JP2022094021A - タイヤ用ゴム組成物及びタイヤ - Google Patents

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Minako Yoshioka
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Abstract

【課題】破壊特性、耐亀裂屈曲性、熱劣化後の破壊特性の総合性能を改善できるタイヤ用ゴム組成物及びタイヤを提供する。【解決手段】イソプレン系ゴムと、スチレンブタジエンゴム及び/又はブタジエンゴムとを少なくとも含むゴム成分と充填剤を含むタイヤ用ゴム組成物であって、芳香環がヒドロキシメチル基で修飾された構造の化合物Aと、芳香環がヒドロキシ基で修飾された構造の化合物Bとを単量体とする樹脂を含み、前記ゴム成分100質量%中のイソプレン系ゴムの含有量が35質量%以上である、タイヤ用ゴム組成物に関する。【選択図】なし

Description

本発明は、タイヤ用ゴム組成物及びタイヤに関する。
従来より、タイヤ用ゴム組成物の破壊特性を改善する手法が種々検討されている(例えば、特許文献1)。
特開2012-116909号公報
しかしながら、本発明者の検討の結果、従来の技術では、破壊特性、耐亀裂屈曲性、熱劣化後の破壊特性の総合性能を改善するという点では改善の余地があることが判明した。
本発明は、前記課題を解決し、破壊特性、耐亀裂屈曲性、熱劣化後の破壊特性の総合性能を改善できるタイヤ用ゴム組成物及びタイヤを提供することを目的とする。
本発明は、イソプレン系ゴムと、スチレンブタジエンゴム及び/又はブタジエンゴムとを少なくとも含むゴム成分と充填剤を含むタイヤ用ゴム組成物であって、芳香環がヒドロキシメチル基で修飾された構造の化合物Aと、芳香環がヒドロキシ基で修飾された構造の化合物Bとを単量体とする樹脂を含み、上記ゴム成分100質量%中のイソプレン系ゴムの含有量が35質量%以上である、タイヤ用ゴム組成物に関する。
上記充填剤100質量%中のカーボンブラックの含有量が80質量%以上であることが好ましい。
上記樹脂の含有量(質量部)/イソプレン系ゴムの含有量(質量部)≦0.5であることが好ましい。
ゴム成分として、ブタジエンゴムを含み、ブタジエンゴムもしくはスチレンブタジエンゴムの含有量(質量部)/イソプレン系ゴムの含有量(質量部)≧0.15であることが好ましい。
上記ゴム成分100質量%中のイソプレン系ゴムの含有量が80質量%以下であることが好ましい。
本発明はまた、上記ゴム組成物を用いたタイヤ部材を有するタイヤに関する。
本発明は、イソプレン系ゴムと、スチレンブタジエンゴム及び/又はブタジエンゴムとを少なくとも含むゴム成分と充填剤を含むタイヤ用ゴム組成物であって、芳香環がヒドロキシメチル基で修飾された構造の化合物Aと、芳香環がヒドロキシ基で修飾された構造の化合物Bとを単量体とする樹脂を含み、上記ゴム成分100質量%中のイソプレン系ゴムの含有量が35質量%以上である、タイヤ用ゴム組成物であるので、破壊特性、耐亀裂屈曲性、熱劣化後の破壊特性の総合性能を改善できる。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、イソプレン系ゴムと、スチレンブタジエンゴム(SBR)及び/又はブタジエンゴム(BR)とを少なくとも含むゴム成分と充填剤を含むタイヤ用ゴム組成物であって、芳香環がヒドロキシメチル基で修飾された構造の化合物Aと、芳香環がヒドロキシ基で修飾された構造の化合物Bとを単量体とする樹脂を含み、上記ゴム成分100質量%中のイソプレン系ゴムの含有量が35質量%以上である。
上記ゴム組成物で前述の効果が得られる理由は、以下のように推察される。
(1)上記樹脂は、イソプレン系ゴムとの相溶性が良いためイソプレン系ゴム相の強度や剛性を強化でき、破壊特性や耐亀裂屈曲性が向上する。
(2)イソプレン系ゴムと共に、SBR及び/又はBRを含むことにより、上記樹脂がイソプレン系ゴム相でドメインを形成するため、より破壊特性や耐亀裂屈曲性が向上すると共に、熱劣化後の破壊特性も向上する。
(3)イソプレン系ゴムの含有量を特定量以上とすることにより、SBR・BR/イソプレン系ゴムで共連続構造を形成しやすくなる。
これらによって、ゴム組成物全体の強度や剛性を向上できるため、破壊特性や耐亀裂屈曲性が向上すると共に、熱劣化後の破壊特性も向上し、破壊特性、耐亀裂屈曲性、熱劣化後の破壊特性の総合性能を改善できる。
<ゴム成分>
上記ゴム組成物は、ゴム成分を含有する。
ここで、ゴム成分は、架橋に寄与する成分であり、一般的に、重量平均分子量(Mw)が1万以上のものである。
ゴム成分の重量平均分子量は、好ましくは5万以上、より好ましくは15万以上、更に好ましくは20万以上であり、また、好ましくは200万以下、より好ましくは150万以下、更に好ましくは100万以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、本明細書において、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)(東ソー(株)製GPC-8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMULTIPORE HZ-M)による測定値を基に標準ポリスチレン換算により求めることができる。
上記ゴム組成物は、ゴム成分として、スチレンブタジエンゴム(SBR)及び/又はブタジエンゴム(BR)と、イソプレン系ゴムとを少なくとも含む。
イソプレン系ゴムとしては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、改質NR、変性NR、変性IR等が挙げられる。NRとしては、例えば、SIR20、RSS♯3、TSR20等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。IRとしては、特に限定されず、例えば、IR2200等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。改質NRとしては、脱タンパク質天然ゴム(DPNR)、高純度天然ゴム(UPNR)等、変性NRとしては、エポキシ化天然ゴム(ENR)、水素添加天然ゴム(HNR)、グラフト化天然ゴム等、変性IRとしては、エポキシ化イソプレンゴム、水素添加イソプレンゴム、グラフト化イソプレンゴム等、が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、NRが好ましい。
ゴム成分100質量%中、イソプレン系ゴムの含有量は、35質量%以上、好ましくは40質量%以上であり、また、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、更に好ましくは60質量%以下、特に好ましくは50質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
BRとしては特に限定されず、高シス含量のBR、低シス含量のBR、シンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBR等を使用できる。市販品としては、宇部興産(株)、JSR(株)、旭化成(株)、日本ゼオン(株)等の製品が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
BRのシス量(シス含量)は、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、特に好ましくは80質量%以上、最も好ましくは90質量%以上、より最も好ましくは95質量%以上であり、上限は特に限定されない。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、BRのシス量は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定できる。
ゴム成分100質量%中、BRの含有量は、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは40質量%以上、特に好ましくは50質量%以上であり、また、好ましくは65質量%以下、より好ましくは60質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
SBRとしては特に限定されず、例えば、乳化重合スチレンブタジエンゴム(E-SBR)、溶液重合スチレンブタジエンゴム(S-SBR)等を使用できる。市販品としては、住友化学(株)、JSR(株)、旭化成(株)、日本ゼオン(株)等の製品が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
SBRのスチレン量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上、特に好ましくは20質量%以上である。また、該スチレン量は、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは40質量%以下、特に好ましくは30質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、本明細書において、SBRのスチレン量は、H-NMR測定により算出される。
ゴム成分100質量%中、SBRの含有量は、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは40質量%以上、特に好ましくは50質量%以上であり、また、好ましくは65質量%以下、より好ましくは60質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
上記ゴム組成物では、ゴム成分として、BRを含み、更に、BRもしくはSBRの含有量(質量部)/イソプレン系ゴムの含有量(質量部)≧0.15であることが好ましい。これにより、上記樹脂がイソプレン系ゴム相でドメインをより形成しやすくなり、より破壊特性や耐亀裂屈曲性が向上すると共に、熱劣化後の破壊特性も向上する傾向がある。
BRもしくはSBRの含有量(質量部)/イソプレン系ゴムの含有量(質量部)は、好ましくは0.15以上、より好ましくは0.30以上、更に好ましくは0.50以上、特に好ましくは0.70以上、最も好ましくは0.90以上、より最も好ましくは1.10以上、更に最も好ましくは1.20以上、特に最も好ましくは1.40以上であり、また、好ましくは2.50以下、より好ましくは2.25以下、更に好ましくは2.00以下、特に好ましくは1.90以下、最も好ましくは1.80以下、より最も好ましくは1.70以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、この関係において、BRの含有量、SBRの含有量、イソプレン系ゴムの含有量は、ゴム成分100質量部に対する含有量(単位:質量部)である。
ゴム成分100質量%中、イソプレン系ゴム及びBRの合計含有量は、好ましくは40質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上であり、100質量%であってもよい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
ゴム成分100質量%中、イソプレン系ゴム及びSBRの合計含有量は、好ましくは40質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上であり、100質量%であってもよい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
イソプレン系ゴム、BR、SBR以外に使用できるゴム成分としては、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、スチレン-イソプレン-ブタジエン共重合ゴム(SIBR)等のジエン系ゴムが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ゴム成分は、変性により、シリカ等の充填剤と相互作用する官能基が導入されていてもよい。
上記官能基としては、例えば、アミノ基、アミド基、シリル基、アルコキシシリル基、イソシアネート基、イミノ基、イミダゾール基、ウレア基、エーテル基、カルボニル基、オキシカルボニル基、メルカプト基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、アンモニウム基、イミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、カルボキシル基、ニトリル基、ピリジル基、アルコキシ基、水酸基、オキシ基、エポキシ基等が挙げられる。なお、これらの官能基は、置換基を有していてもよい。なかでも、アミノ基(好ましくはアミノ基が有する水素原子が炭素数1~6のアルキル基に置換されたアミノ基)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1~6のアルコキシ基)、アルコキシシリル基(好ましくは炭素数1~6のアルコキシシリル基)が好ましい。
上記官能基を有する化合物(変性剤)の具体例としては、2-ジメチルアミノエチルトリメトキシシラン、3-ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、2-ジメチルアミノエチルトリエトキシシラン、3-ジメチルアミノプロピルトリエトキシシラン、2-ジエチルアミノエチルトリメトキシシラン、3-ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、2-ジエチルアミノエチルトリエトキシシラン、3-ジエチルアミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
<樹脂>
上記ゴム組成物は、芳香環がヒドロキシメチル基で修飾された構造の化合物Aと、芳香環がヒドロキシ基で修飾された構造の化合物Bとを単量体とする樹脂を含有する。該樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<<化合物A>>
まず、化合物Aについて説明する。
化合物Aは、芳香環がヒドロキシメチル基で修飾された構造を有する化合物である。化合物Aは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
化合物Aとしては、少なくとも2個の官能基を有する少なくとも1個の芳香環を含み、これらの官能基の一方はヒドロキシメチル基であり、他方はアルデヒド基又はヒドロキシメチル基である芳香族化合物であることが好ましく、下記一般式(A)で示す化合物であることがより好ましい。
なお、本明細書においては、化合物Aを芳香族化合物とも記載することがある。
Figure 2022094021000001
(式中、Arは、芳香環を示し、Aは、CHO(アルデヒド基)又はCHOH(ヒドロキシメチル基)を示す)。
上記芳香環は、5又は6員環であることが好ましく、5員環であることがより好ましい。また、上記芳香環は、員環として炭素原子を含み、且つN-オキシド又はS-オキシドの形で酸化されていてもよい1個以上のヘテロ原子、特に窒素、酸素又はイオウ原子を含んでもよい。なかでも、上記芳香環は、員環として炭素原子を含み、1個のヘテロ原子、特に窒素、酸素又はイオウ原子を含むことが好ましく、員環として炭素原子を含み、1個の酸素原子を含むことがより好ましい。
上記芳香環は、0、1又は2個のヘテロ原子を含む。上記芳香環の残余部は置換されていても置換されてなくてもよい。
上記芳香環は、0、1又は2個のアルデヒド基、好ましくは0又は1個のアルデヒド基を有することができる。
上記芳香環は、1、2又は3個のヒドロキシメチル基、好ましくは1又は2個のヒドロキシメチル基を有することができる。
さらに、上記芳香環は、0、1又は2個の他の官能基、特にヒドロキシ基を有することもできる。
上記芳香環が6員環である実施態様において、上記A及びヒドロキシメチル基は、互いに対してメタ位置又はパラ位置にあることが好ましい。上記芳香環が5員環である実施態様において、上記環は、N-オキシド又はS-オキシドの形で酸化されていてもよい1個以上のヘテロ原子、特に窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を含むことができる。上記芳香環は、好ましくは、1又は2個のヘテロ原子、好ましくは1個のヘテロ原子を含む。
上記芳香環が5員環である場合、下記の3つの条件の少なくとも1つが満たされていることが好ましく、下記の3つの条件の少なくとも2つが満たされていることがより好ましく、下記の3つの条件の全てが満たされていることが更に好ましい。
-上記芳香環は、0個又は1個のアルデヒド基を含む;
-上記芳香環は、1又は2個のヒドロキシメチル基を含む;
-上記アルデヒド基とヒドロキシメチル基とは別に、上記芳香環の残余部は置換基を有さない。
化合物Aとしては、下記一般式(A1)で示す化合物であることが好ましく、下記一般式(A1-1)で示す化合物であることがより好ましい。
Figure 2022094021000002
(式中、Aは、CHO又はCHOHを示し、Xは、O、NR、NO、S、SO、SO又はSRを示し、Rは、水素、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、アルキルアリール基又はシクロアルキル基を示し、R及びRは、同一又は異なって、水素、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、アルキルアリール基又はシクロアルキル基を示す)。
Figure 2022094021000003
(式中、X及びAは、式(A1)の場合と同様である)。
上記一般式(A1)、上記一般式(A1-1)において、Aは、CHOであることが好ましく、Xは、Oであることが好ましい。
化合物Aとしては、下記式(A1-1a)で示す化合物、下記式(A1-1b)で示す化合物であることが好ましく、下記式(A1-1a)で示す化合物(5-(ヒドロキシメチル)-フルフラール)であることがより好ましい。
Figure 2022094021000004
化合物Aとしては、上記芳香環が6員環であり、N-オキシド形で酸化されていてもよい、0、1又はそれ以上のヘテロ原子、特に窒素を含んでもよい。
上記Aとヒドロキシメチル基は、互いに対してメタ位置又はパラ位置にあることが好ましい。
上記芳香環は、0、1又は2個のアルデヒド基、好ましくは0又は1個のアルデヒド基を有することができる。
上記芳香環は、1、2又は3個のヒドロキシメチル基、好ましくは1又は2個のヒドロキシメチル基を有することができる。
さらに、上記芳香環は、0、1又は2個の他の官能基、特にヒドロキシ基を有することもできる。
化合物Aとしては、下記一般式(A2)で示す化合物であることも好ましい。
Figure 2022094021000005
(式中、Xは、C又はNRを示し、nは、0、1又は2の数値であり、mは、0又は1の数値であり、pは、1、2又は3の数値である。Rは、水素、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、アルキルアリール基又はシクロアルキル基を示す。ここで、p+n>1、p>0である)。
は、好ましくは、水素又はC-Cアルキル基を示す。
上記一般式(A2)で示す化合物の上記芳香環は、好ましくはベンゼン環である。上記一般式(A2)で示す化合物は、より好ましくは2-(ヒドロキシメチル)ベンゼン-1-カルボキシアルデヒド、3-(ヒドロキシメチル)ベンゼン-1-カルボキシアルデヒド、4-(ヒドロキシメチル)ベンゼン-1-カルボキシアルデヒド、3-ヒドロキシメチル-6-ヒドロキシベンゼン-1-カルボキシアルデヒド、3-ヒドロキシメチル-4-ヒドロキシベンゼン-1-カルボキシアルデヒド、3-ヒドロキシメチル-2-ヒドロキシベンゼン-1-カルボキシアルデヒド、3-ヒドロキシメチル-2-ヒドロキシベンゼン-1,5-ジカルボキシアルデヒド、5-ヒドロキシメチル-2-ヒドロキシベンゼン-1,3-ジカルボキシアルデヒド、3,5-ジヒドロキシメチル-4-ヒドロキシベンゼン-1-カルボキシアルデヒド、3,5-ヒドロキシメチル-2-ヒドロキシベンゼン-1-カルボキシアルデヒド、1,2-ジヒドロキシメチルベンゼン、1,3-ジヒドロキシメチルベンゼン、1,4-ジヒドロキシメチルベンゼン、1,3-ジヒドロキシメチル-6-ヒドロキシベンゼン、1,3-ジヒドロキシメチル-4-ヒドロキシベンゼン、1,3-ジヒドロキシメチル-2-ヒドロキシベンゼン、1,3,5-トリヒドロキシメチル-2-ヒドロキシベンゼン、1,3-ジヒドロキシメチル-6-ヒドロキシベンゼン、1,3,5-トリヒドロキシメチル-4-ヒドロキシベンゼン、1,3,2-トリヒドロキシメチル-2-ヒドロキシベンゼン及びこれらの化合物の混合物からなる群から選ばれる。
化合物Aは、式(A2a)の1-(ヒドロキシメチル)ベンゼン-4-カルボキシアルデヒド又は式(A2b)の1,4-ジヒドロキシメチルベンゼンであることも好ましい。
Figure 2022094021000006
また、本明細書において、化合物Aは、芳香環がヒドロキシメチル基で修飾された構造を有する化合物であるが、芳香環がヒドロキシメチル基で修飾された構造を有する化合物には、芳香環がヒドロキシメチル基で修飾された構造を有する化合物だけではなく、芳香環がヒドロキシメチル基で修飾された構造から誘導される化合物も含まれる。
芳香環がヒドロキシメチル基で修飾された構造から誘導される化合物としては、例えば、上記一般式(A)で示す化合物と、下記一般式(α)で示す化合物及び/又は下記一般式(β)で示す化合物とを反応させることにより得られる化合物が挙げられる。
Figure 2022094021000007
(式中、R、Rは、同一又は異なって、炭化水素基を示す。)
上記一般式(A)で示す化合物(好ましくは上記一般式(A1)で示す化合物、より好ましくは上記一般式(A1-1)で示す化合物)と、上記一般式(α)で示す化合物及び/又は上記一般式(β)で示す化合物とを反応させることにより得られる化合物としては、例えば、下記の構造の化合物が挙げられる。
Figure 2022094021000008
(式中、Xは、式(A1)の場合と同様であり、R、Rは、式(α)、式(β)の場合と同様である。)
化合物Aとしては、上記一般式(A)で示す化合物であることが好ましく、上記一般式(A1)で示す化合物であることがより好ましく、上記一般式(A1-1)で示す化合物であることが更に好ましく、上記式(A1-1a)で示す化合物(5-(ヒドロキシメチル)-フルフラール)であることが特に好ましい。
<<化合物B>>
次に、化合物Bについて説明する。
化合物Bは、芳香環がヒドロキシ基で修飾された構造を有する化合物である。化合物Bは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
化合物Bとしては、フェノール化合物が好ましく、芳香族ポリフェノール又は芳香族モノフェノールがより好ましく、芳香族ポリフェノールが更に好ましい。
本明細書において、芳香族ポリフェノールとは、1個を超えるヒドロキシ基を有する少なくとも1個の芳香環(好ましくはベンゼン環)を含む芳香族化合物を意味する。
また、本明細書において、芳香族モノフェノールとは、1個のヒドロキシ基を有する少なくとも1個の芳香環(好ましくはベンゼン環)を含む芳香族化合物を意味する。
なお、本明細書においては、化合物Bをフェノール化合物やフェノールとも記載することがある。
芳香族ポリフェノールは、少なくとも2個のヒドロキシ基を互いに対してメタ位置に有し、少なくとも1個のヒドロキシ基に対する2個のオルト位置は置換されていない少なくとも1個の芳香環を含むことが好ましい。
芳香族モノフェノールは、単一のヒドロキシ基を有する少なくとも1つの6員芳香環を含むことが好ましい。この芳香族モノフェノールについて、上記ヒドロキシ基に対する2つのオルト位置は置換されていないか、或いは上記ヒドロキシ基に対する少なくとも1つのオルト位置及びパラ位置は置換されていないことがより好ましい。
芳香族ポリフェノールは、少なくとも2個のヒドロキシ基を互いに対してメタ位置に有し、少なくとも1個の上記ヒドロキシ基に対する2つのオルト位置が置換されていない、1個以上の芳香環、これらの芳香環のうちの少なくとも1個、又は各芳香環さえも含む単純分子の芳香族ポリフェノールであってもよい。
同様に、芳香族モノフェノールは、単一のヒドロキシ基を有する1個以上の6員芳香環、これらの6員芳香環のうちの少なくとも1個、又は各6員芳香環さえも含む単純分子の芳香族モノフェノールであってもよい。上記ヒドロキシ基に対する2つのオルト位置は置換されてなく、或いは上記ヒドロキシ基に対する少なくとも1つのオルト位置及びパラ位置は置換されていないことが好ましい。
このような単純分子は繰り返し単位を含まない。
芳香族ポリフェノールは、下記の成分をベースとする事前縮合樹脂であってもよい。:
-少なくとも2個のヒドロキシ基を互いに対してメタ位置に有する少なくとも1個の芳香環を含み、少なくとも1個の上記ヒドロキシ基に対する2つのオルト位置は置換されていない少なくとも1種の芳香族ポリフェノール;及び
-少なくとも1個のアルデヒド基を含む上記ポリフェノールと反応することのできる少なくとも1種の化合物及び/又は芳香環が有する少なくとも2つのヒドロキシメチル基を含む上記ポリフェノールと反応することのできる少なくとも1種の化合物。
芳香族ポリフェノールをベースとするこのような事前縮合樹脂は、上記の単純分子とは異なり、繰り返し単位を含む。この場合、上記繰り返し単位は、互いに対してメタ位置に少なくとも2個のヒドロキシ基を有する少なくとも1個の芳香環を含む。
同様に、芳香族モノフェノールは、下記の成分をベースとする事前縮合樹脂であってもよい。:
-単一のヒドロキシ基を有する少なくとも1個の6員芳香環を含む少なくとも1種の芳香族モノフェノール:
-上記ヒドロキシ基の2つのオルト位は置換されていないか、又は
-上記ヒドロキシ基に対する少なくとも1つのオルト位置及びパラ位置は置換されていない;
-少なくとも1個のアルデヒド基を含む上記モノフェノールと反応することのできる少なくとも1種の化合物及び/又は芳香環が有する少なくとも2個のヒドロキシメチル基を含む上記モノフェノールと反応することのできる少なくとも1種の化合物。
芳香族モノフェノールをベースとするそのような事前縮合樹脂は、上記の単純分子と異なり、繰り返し単位を含む。この場合、上記繰り返し単位は、単一のヒドロキシ基を有する少なくとも1個の6員芳香環を含む。
下記では、芳香族ポリフェノール及び/又は芳香族モノフェノールはその単純分子形態で記載されている。この芳香族ポリフェノール及び/又はこの芳香族モノフェノールは次に縮合することができ、部分的に上記繰り返し単位を形成してもよい。
<<<芳香族ポリフェノール>>>
次に、芳香族ポリフェノールについて説明する。
上記芳香族ポリフェノールの芳香環は、3個のヒドロキシ基を互いに対してメタ位置に有することが好ましい。
各ヒドロキシ基に対する2つのオルト位置は置換されていないことが好ましい。
3個のヒドロキシ基を互いに対してメタ位置に有し、各ヒドロキシ基に対する2つのオルト位置は置換されていないことがより好ましい。これは、ヒドロキシル化された炭素原子の(即ち、上記ヒドロキシ基を有する)両側に(オルト位置に)位置する2個の炭素原子が単純水素原子を有することを意味する。
上記芳香族ポリフェノールの芳香環の残余部は置換されていないことが好ましい。これは、上記芳香環の残余部のその他の炭素原子(上記ヒドロキシ基を有する炭素原子以外のもの)が単純水素原子を有することを意味する。
上記芳香族ポリフェノールは複数個の芳香環を含み、そのうちの少なくとも2個は互いに対してメタ位置に少なくとも2個のヒドロキシ基をそれぞれ有し、少なくとも1個の芳香環の少なくとも1個の上記ヒドロキシ基に対するオルト位置は置換されていないことも好ましい。
上記芳香族ポリフェノールの芳香環の少なくとも1個は、互いに対してメタ位置に3個のヒドロキシ基を有することが好ましい。
少なくとも1個の芳香環の各ヒドロキシ基に対する2つのオルト位置は置換されていないことが好ましい。
各芳香環の各ヒドロキシ基に対する2つのオルト位置は置換されていないことが好ましい。
各芳香環の残余部は置換されていないことが好ましい。これは、各芳香環の残余部のその他の炭素原子(上記ヒドロキシ基を有するか又は上記芳香環を一緒に結合する基を有する炭素原子以外のもの)が単純水素原子を有することを意味するものとする。
少なくとも2個のヒドロキシ基を互いに対してメタ位置に有し、少なくとも1個の上記ヒドロキシ基に対する2つのオルト位置が置換されていない上記芳香環はベンゼン環であることが好ましい。
上記芳香族ポリフェノールの各芳香環はベンゼン環であることが好ましい。
1個のみの芳香環を含む芳香族ポリフェノールの例として、例えば、下記式(B1)で示す化合物(レゾルシノール)、下記式(B2)で示す化合物(フロログルシノール)等が挙げられる。なかでも、下記式(B2)で示す化合物(フロログルシノール)が好ましい。
Figure 2022094021000009
上記芳香族ポリフェノールが複数個の芳香環を含む場合、これらの芳香環の少なくとも2個が、同一又は異なるものであって、下記一般式の芳香環から選ばれることが好ましい。
Figure 2022094021000010
(式中、Z及びZは、同一又は異なるものであって、同じ芳香環上に複数個のZ及びZが存在する場合、上記芳香族ポリフェノールの残余部に少なくともこれら2個の芳香環を結合させる原子(例えば、炭素、イオウ又は酸素)又は、少なくとも2価の結合基を示す)。
芳香族ポリフェノールは、下記の構造式(B4)の2,2’,4,4’-テトラヒドロキシジフェニルスルフィドであってもよい。
Figure 2022094021000011
芳香族ポリフェノールは、下記の構造式(B5)の2,2’,4,4’-テトラヒドロキシジフェニルベンゾフェノンの誘導体であってもよい。
Figure 2022094021000012
各化合物(B4)及び(B5)は2個の芳香環を含む(式B3-cを有する)芳香族ポリフェノールであって、これらポリフェノールの各々は、少なくとも2個(この場合は2個)のヒドロキシ基を互いに対してメタ位置に有している。
式B3-bに従う少なくとも1個の芳香環を含む芳香族ポリフェノールの場合、少なくとも1個の芳香環の各ヒドロキシ基に対する2つのオルト位置は置換されていない。式B3-bに従う複数個の芳香環を含む芳香族ポリフェノールの場合、各芳香環の各ヒドロキシ基に対する2つのオルト位置は置換されていない。
上記芳香族ポリフェノールとしては、例えば、レゾルシノール(B1)、フロログルシノール(B2)、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシジフェニルスルフィド (B4)、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン(B5)、これらのフェノールの少なくとも1種からの事前縮合樹脂等が挙げられる。なかでも、フロログルシノールが好ましい。
芳香族ポリフェノールは、上記芳香族ポリフェノールをベースとする事前縮合樹脂を含む。
この事前縮合樹脂は、好ましくは、下記の成分をベースとすることが好ましい。:
-レゾルシノール(B1)、フロログルシノール(B2)、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシジフェニルスルフィド(B4)、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン(B5)及びそれらの混合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の芳香族ポリフェノール;及び
-少なくとも1個のアルデヒド基を含む上記ポリフェノールと反応することのできる少なくとも1種の化合物、及び/又は芳香環が有する少なくとも2個のヒドロキシメチル基を含む上記ポリフェノールと反応することのできる少なくとも1種の化合物。
少なくとも1個のアルデヒド基を含む上記ポリフェノールと反応することのできる化合物及び/又は芳香環が有する少なくとも2個のヒドロキシメチル基を含む上記ポリフェノールと反応することのできる化合物は、化合物A又は任意の他のアルデヒドであってもよい。好ましくは、少なくとも1個のアルデヒド基を含む上記ポリフェノールと反応することのできる上記化合物及び/又は芳香環が有する少なくとも2個のヒドロキシメチル基を含む上記ポリフェノールと反応することのできる化合物は、少なくとも2個の官能基を有する芳香環を含む芳香族化合物、これらの官能基の一方はヒドロキシメチル基であり、他方はアルデヒド基又はヒドロキシメチル基である、ホルムアルデヒド、ベンズアルデヒド、フルフルアルデヒド、2,5-フランジカルボキシアルデヒド、1,4-ベンゼンジカルボキシアルデヒド、1,3-ベンゼンジカルボキシアルデヒド、1,2-ベンゼンジカルボキシアルデヒド及びこれらの混合物からなる群から選ばれる。より好ましくは、上記化合物が少なくとも2個の官能基を有する芳香環を含み、これらの官能基の一方はヒドロキシメチル基であり、他方はアルデヒド基又はヒドロキシメチル基である芳香族化合物である場合、この化合物は5-(ヒドロキシメチル)フルフラール、2,5-ジ(ヒドロキシメチル)フラン、及びこれらの化合物の混合物からなる群から選ばれる。
したがって、芳香族ポリフェノールをベースとする上記事前縮合樹脂において、繰り返し単位は、置換されていなかった上記芳香環の炭素原子の少なくとも1個が他の単位に結合していることを除いて、上記芳香族ポリフェノールの特性を満たしている。
芳香族ポリフェノールは、上記のように、遊離分子の芳香族ポリフェノールと芳香族ポリフェノールをベースとする事前縮合樹脂の混合物を含むこともできる。特に、芳香族ポリフェノールは、フロログルシノールとフロログルシノールをベースとする事前縮合樹脂の混合物を含むこともできる。
<<<芳香族モノフェノール>>>
次に、芳香族モノフェノールについて説明する。
芳香族モノフェノールは、2つの態様が挙げられる。1つの態様において、上記ヒドロキシ基に対する2つのオルト位は置換されていない。もう1つの態様において、上記ヒドロキシ基に対する少なくとも1つのオルト位置及びパラ位置は置換されていない。
上記ヒドロキシ基に対する少なくとも1つのオルト位置及びパラ位置が置換されていない変形において、単一のオルト位は置換されてなく、上記ヒドロキシ基に対するパラ位置は置換されていないことが好ましい。
上記態様とかかわりなく、上記ヒドロキシ基の2つのオルト位は置換されていないことが好ましい。これは、ヒドロキシル化炭素原子の両側(オルト位置)に位置する(即ち、上記ヒドロキシ基を有する)2個の炭素原子が単純水素原子を有することを意味する。
上記芳香環の残余部は置換されていないことが好ましい。これは、上記芳香環の残余部のその他の炭素原子(上記ヒドロキシ基を有する炭素原子以外のもの)が単純水素原子を有することを意味する。
上記芳香族モノフェノールは複数個の6員芳香環を含み、それらの少なくとも2個はそれぞれ単一のヒドロキシ基を有し、少なくとも1つの上記ヒドロキシ基については、上記ヒドロキシ基に対する2つのオルト位が置換されていないか、又は上記ヒドロキシ基に対する少なくとも1つのオルト位置及びパラ位置が置換されていないことが好ましい。
少なくとも1つの6員芳香環の各ヒドロキシ基に対する2つのオルト位置は置換されていないことが好ましい。各6員芳香環の各ヒドロキシ基に対する2つのオルト位置は置換されていない好ましい。
各芳香環の残余部は置換されていないことが好ましい。これは、各芳香環の残余部のその他の炭素原子(上記ヒドロキシ基を有するか又は上記芳香環を一緒に結合する基を有する炭素原子以外のもの)が単純水素原子を有することを意味する。
上記芳香族モノフェノールの1つ又は各芳香環はベンゼン環であることが好ましい。
上記芳香族モノフェノールとしては、例えば、フェノール、オルト-クレゾール、メタ-クレゾール、パラ-クレゾール、オルト-クロロフェノール、メタ-クロロフェノール、パラ-クロロフェノール、2-ヒドロキシ安息香酸、3-ヒドロキシ安息香酸、4-ヒドロキシ安息香酸、4-ビニルフェノール、4-エチルフェノール、4-イソプロピルフェノール、4-イソブチルフェノール、パラクマル酸等が挙げられる。
芳香族モノフェノールは、上記芳香族モノフェノールをベースとする事前縮合樹脂であってもよい。
この事前縮合樹脂は、好ましくは下記の成分をベースとすることが好ましい:
-フェノール、オルト-クレゾール、メタ-クレゾール、パラ-クレゾール、オルト-クロロフェノール、メタ-クロロフェノール、パラ-クロロフェノール、2-ヒドロキシ安息香酸、3-ヒドロキシ安息香酸、4-ヒドロキシ安息香酸、4-ビニルフェノール、4-エチルフェノール、4-イソプロピルフェノール、4-イソブチルフェノール、パラ-クマル酸及びこれらの化合物の混合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の芳香族モノフェノール;及び
-少なくとも1個のアルデヒド基を含む上記モノフェノールと反応することのできる少なくとも1種の化合物及び/又は芳香環が有する少なくとも2個のヒドロキシメチル基を含む上記モノフェノールと反応することのできる少なくとも1種の化合物。
少なくとも1個のアルデヒド基を含むモノフェノールと反応することのできる化合物及び/又は芳香環が有する少なくとも2個のヒドロキシメチル基を含むモノフェノールと反応することができ且つ上記芳香族モノフェノールと反応することのできる化合物は、化合物A又は他の任意のアルデヒドであってもよい。好ましくは、少なくとも1個のアルデヒド基を含むモノフェノールと反応することのできる上記化合物及び/又は芳香環が有する少なくとも2個のヒドロキシメチル基を含むモノフェノールと反応することのできる上記化合物は、少なくとも2個の官能基を有する芳香環を含む芳香族化合物、これらの官能基の一方はヒドロキシメチル基であり、他方はアルデヒド基又はヒドロキシメチル基である、ホルムアルデヒド、ベンズアルデヒド、フルフルアルデヒド、2,5-フランジカルボキシアルデヒド、1,4-ベンゼンジカルボキシアルデヒド、1,3-ベンゼンジカルボキシアルデヒド、1,2-ベンゼンジカルボキシアルデヒド及びこれらの混合物からなる群から選ばれる。より好ましくは、上記化合物が少なくとも2個の官能基を有する芳香環を含む芳香族化合物である場合、これらの官能基の一方はヒドロキシメチル基であり、他方はアルデヒド基又はヒドロキシメチル基であり、この化合物は、5-(ヒドロキシメチル)フルフラール、2,5-ジ(ヒドロキシメチル)フラン及びこれらの化合物の混合物からなる群から選ばれる。
したがって、芳香族モノフェノールをベースとする上記事前縮合樹脂において、繰り返し単位は、置換されていなかった上記6員芳香環の炭素原子の少なくとも1つがもう1つの単位に結合していることを除いて、上記芳香族モノフェノールの特性を満たしている。
芳香族モノフェノールは、上記のように、芳香族モノフェノールの遊離分子と芳香族モノフェノールをベースとする事前縮合樹脂との混合物も含むことができる。特に、芳香族モノフェノールはフェノールとフェノールをベースとする事前縮合樹脂との混合物も含むことができる。
また、本明細書において、化合物Bは、芳香環がヒドロキシ基で修飾された構造を有する化合物であるが、芳香環がヒドロキシ基で修飾された構造を有する化合物には、芳香環がヒドロキシ基で修飾された構造を有する化合物だけではなく、芳香環がヒドロキシ基で修飾された構造から誘導される化合物も含まれる。
芳香環がヒドロキシ基で修飾された構造から誘導される化合物としては、例えば、芳香環が有するヒドロキシ基が他の化合物と反応した化合物が挙げられる。芳香環がヒドロキシ基で修飾された構造から誘導される化合物としては、例えば、下記の構造の化合物が挙げられる。
Figure 2022094021000013
化合物Bとしては、フェノール化合物が好ましく、芳香族ポリフェノール又は芳香族モノフェノールがより好ましく、芳香族ポリフェノールが更に好ましい。
上記芳香族ポリフェノールの芳香環は、3個のヒドロキシ基を互いに対してメタ位置に有することが好ましい。また、各ヒドロキシ基に対する2つのオルト位置は置換されていないことが好ましい。すなわち、3個のヒドロキシ基を互いに対してメタ位置に有し、各ヒドロキシ基に対する2つのオルト位置は置換されていないことがより好ましい。ここで、上記芳香族ポリフェノールは、1つの芳香環を有することが好ましく、該芳香環はベンゼン環であることがより好ましい。
また、芳香族ポリフェノールは繰り返し単位を有さない単純分子であることが好ましい。
すなわち、化合物Bとしては、上記式(B2)で示す化合物(フロログルシノール)が最も好ましい。
芳香環がヒドロキシメチル基で修飾された構造の化合物Aと、芳香環がヒドロキシ基で修飾された構造の化合物Bとを単量体とする樹脂は、化合物Aと、化合物Bとを単量体とする樹脂であればよく、このような樹脂は公知の方法に従って、化合物Aと、化合物Bとを反応させることにより重合できる。
そして、上記樹脂は、ゴム組成物に配合する前に重合してもよい。すなわち、上記樹脂をまず公知の方法に従って合成し、合成した樹脂をゴム組成物に配合してもよい。
また、上記樹脂は、ゴム組成物に配合してから重合してもよい。すなわち、ゴム組成物の混練、加硫中に上記樹脂の合成を行ってもよい。具体的には、化合物A、化合物Bをゴム組成物に添加し、ゴム組成物を混錬、加硫する際に樹脂を生成させ、上記樹脂を配合したゴム組成物を調製することとしてもよい。
上記樹脂100質量%中の化合物Aに由来する単位の含有量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上、特に好ましくは40質量%以上であり、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは70質量%以下、特に好ましくは60質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
上記樹脂100質量%中の化合物Bに由来する単位の含有量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上、特に好ましくは40質量%以上であり、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは70質量%以下、特に好ましくは60質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
上記樹脂100質量%中の化合物Aに由来する単位及び化合物Bに由来する単位の合計含有量は、好ましくは20質量%以上、より好ましくは40質量%以上、更に好ましくは60質量%以上、特に好ましくは80質量%以上、最も好ましくは90質量%以上、より最も好ましくは95質量%以上、更に最も好ましくは98質量%以上であり、100質量%であってもよい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
本明細書において、化合物Aに由来する単位、化合物Bに由来する単位の含有量は、NMRにより測定される値である。
上記樹脂の含有量(化合物A、化合物Bとして配合する場合は化合物A、化合物Bの合計配合量)は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上、特に好ましくは8質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは50質量部以下、より好ましくは30質量部以下、更に好ましくは20質量部以下、特に好ましくは15質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
上記樹脂の含有量(質量部)/イソプレン系ゴムの含有量(質量部)≦0.5であることが好ましい。
上記樹脂の含有量(質量部)/イソプレン系ゴムの含有量(質量部)は、好ましくは0.4以下、より好ましくは0.3以下、更に好ましくは0.26以下であり、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.1以上、更に好ましくは0.15以上である。
上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。これは、イソプレン系ゴムに対する上記樹脂の量が多すぎると、海島の硬度差が大きくなる傾向があるためと推測される。
なお、この関係において、上記樹脂の含有量、イソプレン系ゴムの含有量は、ゴム成分100質量部に対する含有量(単位:質量部)である。また、上記樹脂の含有量は、化合物A、化合物Bとして配合する場合は化合物A、化合物Bの合計配合量を意味する。
上記ゴム組成物は、上記樹脂以外の樹脂を含有してもよい。
樹脂としては、例えば、シクロペンタジエン系樹脂、テルペン系樹脂、ロジン樹脂、クマロンインデン系樹脂(クマロン、インデン単体樹脂を含む)、オレフィン系樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、水素添加物(水添樹脂)であってもよい。
上述の樹脂の市販品としては、例えば、丸善石油化学(株)、住友ベークライト(株)、ヤスハラケミカル(株)、東ソー(株)、Rutgers Chemicals社、BASF社、アリゾナケミカル社、日塗化学(株)、(株)日本触媒、ENEOS(株)、荒川化学工業(株)、田岡化学工業(株)等の製品を使用できる。
<充填剤>
上記ゴム組成物は、充填剤(補強性充填剤)を含有する。充填剤としては、カーボンブラック、シリカ、タルク、クレイ、水酸化アルミニウム、酸化チタン等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、カーボンブラック、シリカが好ましく、カーボンブラックがより好ましい。
充填剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは20質量部以上、特に好ましくは30質量部以上であり、また、好ましくは80質量部以下、より好ましくは60質量部以下、更に好ましくは50質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
カーボンブラックとしては、特に限定されず、N134、N110、N220、N234、N219、N339、N330、N326、N351、N550、N762等が挙げられる。市販品としては、旭カーボン(株)、キャボットジャパン(株)、東海カーボン(株)、三菱ケミカル(株)、ライオン(株)、新日化カーボン(株)、コロンビアカーボン社等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は、50m/g以上が好ましく、70m/g以上がより好ましく、90m/g以上が更に好ましい。また、上記NSAは、200m/g以下が好ましく、150m/g以下がより好ましく、130m/g以下が更に好ましい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、カーボンブラックの窒素吸着比表面積は、JIS K6217-2:2001によって求められる。
カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは20質量部以上、特に好ましくは30質量部以上、最も好ましくは35質量部以上であり、また、好ましくは80質量部以下、より好ましくは60質量部以下、更に好ましくは50質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
充填剤100質量%中のカーボンブラックの含有量は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上、最も好ましくは98質量%以上であり、100質量%であってもよい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。カーボン比率が高い方が、海島相の硬度差が少なくなり、応力集中しにくいためと推測される。
シリカとしては、乾式法シリカ(無水シリカ)、湿式法シリカ(含水シリカ)などが挙げられる。なかでも、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。市販品としては、デグッサ社、ローディア社、東ソー・シリカ(株)、ソルベイジャパン(株)、(株)トクヤマ等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シリカの窒素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは50m/g以上、より好ましくは100m/g以上、更に好ましくは150m/g以上である。また、シリカのNSAの上限は特に限定されないが、好ましくは350m/g以下、より好ましくは250m/g以下、更に好ましくは200m/g以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、シリカのNSAは、ASTM D3037-93に準じてBET法で測定される値である。
シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは8質量部以上であり、好ましくは50質量部以下、より好ましくは40質量部以下、更に好ましくは30質量部以下、特に好ましくは25質量部以下、最も好ましくは15質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
<ゴム成分、樹脂、充填剤以外の配合剤>
シリカを含有する場合、シリカは、シランカップリング剤と併用することが好ましい。
シランカップリング剤としては、特に限定されず、例えば、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)ジスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2-トリエトキシシリルエチル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド等のスルフィド系、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシラン等のメルカプト系、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニル系、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ系、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のグリシドキシ系、3-ニトロプロピルトリメトキシシラン、3-ニトロプロピルトリエトキシシラン等のニトロ系、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルトリエトキシシラン等のクロロ系等があげられる。市販されているものとしては、例えば、デグッサ社、Momentive社、信越シリコーン(株)、東京化成工業(株)、アヅマックス(株)、東レ・ダウコーニング(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して、好ましくは3質量部以上、より好ましくは6質量部以上、更に好ましくは8質量部以上であり、また、好ましくは15質量部以下、より好ましくは12質量部以下、更に好ましくは10質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
上記ゴム組成物は、液体可塑剤(常温(25℃)で液体状態の可塑剤)を含有することが好ましい。
液体可塑剤(常温(25℃)で液体状態の可塑剤)としては特に限定されず、オイル、液状ポリマー(液状ジエン系ポリマーなど)などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、オイルが好ましい。
液体可塑剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは3質量部以上、より好ましくは5質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは100質量部以下、より好ましくは70質量部以下、更に好ましくは50質量部以下、特に好ましくは25質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
オイルとしては、例えば、プロセスオイル、植物油、又はその混合物が挙げられる。プロセスオイルとしては、例えば、パラフィン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイルなどを用いることができる。植物油としては、ひまし油、綿実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、落花生油、ロジン、パインオイル、パインタール、トール油、コーン油、こめ油、べに花油、ごま油、オリーブ油、ひまわり油、パーム核油、椿油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、桐油等が挙げられる。市販品としては、出光興産(株)、三共油化工業(株)、(株)ジャパンエナジー、オリソイ社、H&R社、豊国製油(株)、昭和シェル石油(株)、富士興産(株)、日清オイリオグループ(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、プロセスオイル(パラフィン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル等)、植物油が好ましく、アロマ系プロセスオイルがより好ましい。
オイルの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは3質量部以上、より好ましくは5質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは100質量部以下、より好ましくは70質量部以下、更に好ましくは50質量部以下、特に好ましくは25質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、オイルの含有量には、油展オイルに含まれるオイルも含まれる。
液状ジエン系ポリマーとしては、25℃で液体状態の液状スチレンブタジエン共重合体(液状SBR)、液状ブタジエン重合体(液状BR)、液状イソプレン重合体(液状IR)、液状スチレンイソプレン共重合体(液状SIR)、液状スチレンブタジエンスチレンブロック共重合体(液状SBSブロックポリマー)、液状スチレンイソプレンスチレンブロック共重合体(液状SISブロックポリマー)、液状ファルネセン重合体、液状ファルネセンブタジエン共重合体等が挙げられる。これらは、末端や主鎖が極性基で変性されていても構わない。また、これらの水素添加物も使用可能である。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
液状ジエン系ポリマーの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは3質量部以上、より好ましくは5質量部以上である。該含有量の上限は、好ましくは100質量部以下、より好ましくは70質量部以下、更に好ましくは50質量部以下、特に好ましくは25質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
上記ゴム組成物は、老化防止剤を含有してもよい。
老化防止剤としては、例えば、フェニル-α-ナフチルアミン等のナフチルアミン系老化防止剤;オクチル化ジフェニルアミン、4,4′-ビス(α,α′-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン等のジフェニルアミン系老化防止剤;N-イソプロピル-N′-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-(1,3-ジメチルブチル)-N′-フェニル-p-フェニレンジアミン、N,N′-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン等のp-フェニレンジアミン系老化防止剤;2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンの重合物等のキノリン系老化防止剤;2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、スチレン化フェノール等のモノフェノール系老化防止剤;テトラキス-[メチレン-3-(3′,5′-ジ-t-ブチル-4′-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等のビス、トリス、ポリフェノール系老化防止剤等が挙げられる。市販品としては、精工化学(株)、住友化学(株)、大内新興化学工業(株)、フレクシス社等の製品を使用できる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なかでも、p-フェニレンジアミン系老化防止剤、キノリン系老化防止剤が好ましく、p-フェニレンジアミン系老化防止剤がより好ましい。
老化防止剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは1.5質量部以上、更に好ましくは2質量部以上であり、また、好ましくは12質量部以下、より好ましくは10質量部以下、更に好ましくは8質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
上記ゴム組成物は、ワックスを含有してもよい。
ワックスとしては、特に限定されず、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油系ワックス;植物系ワックス、動物系ワックス等の天然系ワックス;エチレン、プロピレン等の重合物等の合成ワックス等が挙げられる。市販品としては、大内新興化学工業(株)、日本精蝋(株)、精工化学(株)等の製品を使用できる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ワックスの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上であり、また、好ましくは10質量部以下、より好ましくは6質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
上記ゴム組成物は、酸化亜鉛を含有してもよい。
酸化亜鉛としては、従来公知のものを使用でき、市販品としては、三井金属鉱業(株)、東邦亜鉛(株)、ハクスイテック(株)、正同化学工業(株)、堺化学工業(株)等の製品を使用できる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
酸化亜鉛の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上であり、また、好ましくは10質量部以下、より好ましくは6質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
上記ゴム組成物は、ステアリン酸を含有してもよい。
ステアリン酸としては、従来公知のものを使用でき、市販品としては、日油(株)、花王(株)、富士フイルム和光純薬(株)、千葉脂肪酸(株)等の製品を使用できる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ステアリン酸の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上であり、また、好ましくは10質量部以下、より好ましくは6質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
上記ゴム組成物は、硫黄を含有する。加硫後のゴム組成物において、硫黄の大部分がゴム成分と結合している。
硫黄としては、ゴム工業において一般的に架橋剤として用いられる粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄、可溶性硫黄等が挙げられる。市販品としては、鶴見化学工業(株)、軽井沢硫黄(株)、四国化成工業(株)、フレクシス社、日本乾溜工業(株)、細井化学工業(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
硫黄の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.3質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、更に好ましくは1質量部以上であり、好ましくは3.5質量部以下、より好ましくは3質量部以下、更に好ましくは2.5質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
上記ゴム組成物は、加硫促進剤を含有してもよい。
加硫促進剤としては、2-メルカプトベンゾチアゾール、ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド等のチアゾール系加硫促進剤;テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラキス(2-エチルヘキシル)チウラムジスルフィド(TOT-N)等のチウラム系加硫促進剤;N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド(CBS)、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(TBBS)、N-オキシエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N′-ジイソプロピル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド系加硫促進剤;ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジン等のグアニジン系加硫促進剤を挙げることができる。市販品としては、住友化学(株)、大内新興化学工業(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、スルフェンアミド系加硫促進剤が好ましい。
加硫促進剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上であり、また、好ましくは8質量部以下、より好ましくは6質量部以下、更に好ましくは3質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
上記ゴム組成物には、上記成分の他、タイヤ工業において一般的に用いられている添加剤、例えば、有機過酸化物等を更に配合してもよい。これらの添加剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、0.1~200質量部が好ましい。
上記ゴム組成物は、例えば、上記各成分をオープンロール、バンバリーミキサーなどのゴム混練装置を用いて混練し、その後加硫する方法等により製造できる。
混練条件としては、加硫剤及び加硫促進剤以外の添加剤を混練するベース練り工程では、混練温度は、通常100~180℃、好ましくは120~170℃である。加硫剤、加硫促進剤を混練する仕上げ練り工程では、混練温度は、通常120℃以下、好ましくは80~110℃である。また、加硫剤、加硫促進剤を混練した組成物は、通常、プレス加硫等の加硫処理が施される。加硫温度としては、通常140~190℃、好ましくは150~185℃である。加硫時間は、通常5~15分である。
上記ゴム組成物は、例えば、トレッド(キャップトレッド)、サイドウォール、ベーストレッド、アンダートレッド、ショルダー、クリンチ、ビードエイペックス、ブレーカークッションゴム、カーカスコード被覆用ゴム、インスレーション、チェーファー、インナーライナー等や、ランフラットタイヤのサイド補強ゴム、ビード補強ゴムなどのタイヤ部材に(タイヤ用ゴム組成物として)用いることができる。なかでも、サイドウォール、クリンチ、サイド補強ゴム、ビード補強ゴムに好適に用いられ、サイドウォールにより好適に用いられる。
本発明のタイヤ(空気入りタイヤ等)は、上記ゴム組成物を用いて通常の方法によって製造される。すなわち、必要に応じて各種添加剤を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でタイヤの各部材(特に、サイドウォール)の形状に合わせて押し出し加工し、タイヤ成型機上にて通常の方法にて成形し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、未加硫タイヤを形成した後、加硫機中で加熱加圧してタイヤを製造することができる。
なお、上記タイヤのタイヤ部材は、少なくとも一部が上記ゴム組成物で構成されていればよく、全部が上記ゴム組成物で構成されていてもよい。
上記タイヤは、乗用車用タイヤ、大型乗用車用、大型SUV用タイヤ、トラック・バス用タイヤ、二輪車用タイヤ、競技用タイヤ、冬用タイヤ(スタッドレスタイヤ、スノータイヤ、スタッドタイヤ)、オールシーズンタイヤ、ランフラットタイヤ、航空機用タイヤ、鉱山用タイヤ等として好適に用いられる。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
以下に、実施例及び比較例で用いた各種薬品について説明する。
NR:TSR20(NR)
BR:宇部興産(株)製のBR150B(シス量:97質量%)
SBR:日本ゼオン(株)製のNipol 1502(E-SBR、スチレン量:23.5質量%)
カーボンブラック:三菱化学(株)製のダイアブラックN220(NSA:111m/g)
シリカ:エボニックデグッサ社製のウルトラシルVN3(NSA:175m/g)
ワックス:日本精蝋(株)製のオゾエース0355
老化防止剤:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン)
オイル:出光興産(株)製のダイアナプロセスAH-24(アロマ系プロセスオイル)
樹脂:5-(ヒドロキシメチル)フルフラール(Aldrich社製、化合物Aに該当)、フロログルシノール(Alfa Aesar社製、化合物Bに該当)を質量比1:1で配合
ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸「椿」
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
硫黄:細井化学工業(株)製のHK-200-5(5質量%オイル含有粉末硫黄)
加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ(N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
(実施例及び比較例)
表1、2に示す配合内容に従い、(株)神戸製鋼所製の1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄、加硫促進剤、及び樹脂(化合物A及び化合物B)以外の材料を150℃の条件下で5分間混練りし、混練り物を得た。次に、得られた混練り物に硫黄、加硫促進剤、及び樹脂(化合物A及び化合物B)を添加し、オープンロールを用いて、80℃の条件下で5分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物を150℃の条件下で12分間プレス加硫し、加硫ゴム組成物を得た。得られた加硫ゴム組成物を用いて下記評価を行い、結果を表1、2に示した。なお、表1の基準比較例を比較例1-1、表2の基準比較例を比較例2-1とした。
(破壊特性)
JIS K 6251の「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム-引張特性の求め方」にしたがって、上記加硫ゴム組成物からなるゴムスラブシート(2mm×130mm×130mm)の引張強度及び破断伸びを測定した。そして、得られた測定結果を用いて、引張強度×破断伸び/2により破壊エネルギーを計算し、基準比較例の破壊エネルギー指数(破壊特性指数)を100として、下記計算式により、各配合の測定結果を指数表示した。指数が大きいほど、破壊特性に優れることを示す。
(破壊エネルギー指数)=(各配合の破壊エネルギー)/(基準比較例の破壊エネルギー)×100
(耐亀裂屈曲性)
加硫ゴム組成物を用い、JIS-K-6260「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム-デマッチャ屈曲亀裂試験方法」に基づいてサンプルを作製し、屈曲亀裂成長試験を行い、70%伸張を100万回繰り返してゴムシートを屈曲させたのち、発生した亀裂の長さを測定した。基準比較例の測定値(長さ)の逆数を100とし、指数表示した。指数が大きいほど、亀裂の成長が抑制され、耐亀裂屈曲性に優れることを示す。
(熱劣化後の破壊特性)
加硫ゴム組成物(新品サンプル)を100℃のオーブンで7日間熱劣化させ、熱劣化後の加硫ゴム組成物(劣化サンプル)を得た。得られた熱劣化後の加硫ゴム組成物を用いて、上記方法に従って、破壊エネルギーを計算し、基準比較例の破壊エネルギー指数(破壊特性指数)を100として指数表示した。指数が大きいほど、熱劣化後の破壊特性に優れることを示す。
Figure 2022094021000014
Figure 2022094021000015
表1、2より、イソプレン系ゴムと、スチレンブタジエンゴム及び/又はブタジエンゴムとを少なくとも含むゴム成分と充填剤を含み、芳香環がヒドロキシメチル基で修飾された構造の化合物Aと、芳香環がヒドロキシ基で修飾された構造の化合物Bとを単量体とする樹脂を含み、上記ゴム成分100質量%中のイソプレン系ゴムの含有量が35質量%以上である実施例は、破壊特性、耐亀裂屈曲性、熱劣化後の破壊特性の総合性能(破壊特性、耐亀裂屈曲性、熱劣化後の破壊特性の3つの指数の総和で表す)を改善できることが分かった。
実施例1-1、比較例1-1~1-3の比較、実施例2-1、比較例2-1~2-3の比較により、特定のゴム成分と、上記樹脂を併用することにより、破壊特性、耐亀裂屈曲性、熱劣化後の破壊特性の総合性能を相乗的に改善できることが分かった。

Claims (6)

  1. イソプレン系ゴムと、スチレンブタジエンゴム及び/又はブタジエンゴムとを少なくとも含むゴム成分と充填剤を含むタイヤ用ゴム組成物であって、
    芳香環がヒドロキシメチル基で修飾された構造の化合物Aと、芳香環がヒドロキシ基で修飾された構造の化合物Bとを単量体とする樹脂を含み、
    前記ゴム成分100質量%中のイソプレン系ゴムの含有量が35質量%以上である、タイヤ用ゴム組成物。
  2. 前記充填剤100質量%中のカーボンブラックの含有量が80質量%以上である、請求項1記載のタイヤ用ゴム組成物。
  3. 前記樹脂の含有量(質量部)/イソプレン系ゴムの含有量(質量部)≦0.5である、請求項1又は2記載のタイヤ用ゴム組成物。
  4. ゴム成分として、ブタジエンゴムを含み、
    ブタジエンゴムもしくはスチレンブタジエンゴムの含有量(質量部)/イソプレン系ゴムの含有量(質量部)≧0.15である、請求項1~3のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  5. 前記ゴム成分100質量%中のイソプレン系ゴムの含有量が80質量%以下である、請求項1~4のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  6. 請求項1~5のいずれかに記載のゴム組成物を用いたタイヤ部材を有するタイヤ。
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