JP5820357B2 - サイドウォール、ウイング、ベーストレッド、サイドウォールパッキン、ブレーカークッション又はタイガム用ゴム組成物及び空気入りタイヤ - Google Patents

サイドウォール、ウイング、ベーストレッド、サイドウォールパッキン、ブレーカークッション又はタイガム用ゴム組成物及び空気入りタイヤ Download PDF

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Description

本発明は、サイドウォール、ウイング、ベーストレッド、サイドウォールパッキン、ブレーカークッション又はタイガム用ゴム組成物、及びそれを用いて作製したサイドウォール、ウイング、ベーストレッド、サイドウォールパッキン、ブレーカークッション及びタイガムからなる群より選択される少なくとも一種を有する空気入りタイヤに関する。
近年、自動車に対する低燃費性の要請が高まり、低燃費性に優れたタイヤ用ゴム組成物を提供することが望まれている。低燃費性を改善する方法としては、スチレンブタジエンゴムやブタジエンゴムを変性し、フィラーの分散を促進する方法が知られており、例えば、シリカ用の変性ゴムとして、窒素官能基を有するアルコキシシランで末端が変性されたゴムが、カーボンブラック用の変性ゴムとして、スズでカップリングされた末端変性ブタジエンゴムが提案されている。また、特許文献1に記載のメルカプト基を有するシランカップリング剤は、シリカとの反応性が高く、シリカの分散を促進する効果があることが知られている。
しかし、上述の低燃費化の技術はいずれもスチレンブタジエンゴムやブタジエンゴムに対して効果を発揮するものであり、天然ゴム、高純度化天然ゴム、イソプレンゴム、エポキシ化天然ゴムなどのイソプレン系ゴムに対して、その効果は充分ではなかった。
通常、タイヤ用ゴム組成物にはスチレンブタジエンゴムやブタジエンゴムとともにイソプレン系ゴムが配合されており、特に、優れたゴム強度が求められる重荷重用タイヤに使用されるゴム組成物においては、主としてイソプレン系ゴムが配合されている。そのため、イソプレン系ゴムに対して有効な低燃費化の技術が求められている。
特開2012−122015号公報
本発明は、前記課題を解決し、イソプレン系ゴムを含むゴム組成物の低燃費性を改善し、更に、良好な耐摩耗性、破断伸び及び加工性も得られるサイドウォール、ウイング、ベーストレッド、サイドウォールパッキン、ブレーカークッション又はタイガム用ゴム組成物、及び該ゴム組成物を用いて作製したサイドウォール、ウイング、ベーストレッド、サイドウォールパッキン、ブレーカークッション及びタイガムからなる群より選択される少なくとも一種を有する空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明は、ゴム成分と、窒素吸着比表面積が20〜90m/gのカーボンブラックと、硫黄と、下記式(I)で表される化合物とを含有し、上記ゴム成分100質量%中、イソプレン系ゴムの含有量が40〜75質量%、ブタジエンゴムの含有量が25〜60質量%であり、上記ゴム成分100質量部に対して、上記カーボンブラックの含有量が15〜55質量部、上記硫黄の含有量が1.0〜2.3質量部であり、上記カーボンブラック100質量部に対する下記式(I)で表される化合物の含有量が0.1〜20質量部であるサイドウォール、ウイング、ベーストレッド、サイドウォールパッキン、ブレーカークッション又はタイガム用ゴム組成物に関する。
Figure 0005820357
(式中、R、Rは、同一又は異なって、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルケニル基又は炭素数1〜20のアルキニル基である。Mr+は金属イオンを示し、rはその価数を表す。)
上記式(I)で表される化合物が下記式(I−1)、(I−2)又は(I−3)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 0005820357
Figure 0005820357
Figure 0005820357
上記金属イオンがナトリウムイオン、カリウムイオン又はリチウムイオンであることが好ましい。
上記カーボンブラック100質量部に対する上記式(I)で表される化合物の含有量が0.5〜5質量部であることが好ましい。
上記カーボンブラックの窒素吸着比表面積が20〜70m/gであり、上記ゴム成分100質量部に対する上記カーボンブラックの含有量が15〜50質量部であることが好ましい。
上記ブタジエンゴムが、シンジオタクチック結晶含有ブタジエンゴム、希土類元素系触媒を用いて合成された希土類系ブタジエンゴム及びスズ変性ブタジエンゴムからなる群より選択される少なくとも一種であり、上記ゴム成分100質量%中、上記シンジオタクチック結晶含有ブタジエンゴム、上記希土類系ブタジエンゴム及び上記スズ変性ブタジエンゴムの合計含有量が10〜60質量%であることが好ましい。
本発明はまた、上記ゴム組成物を用いて作製したサイドウォール、ウイング、ベーストレッド、サイドウォールパッキン、ブレーカークッション及びタイガムからなる群より選択される少なくとも一種を有する空気入りタイヤに関する。
本発明によれば、イソプレン系ゴムと、ブタジエンゴムと、特定のカーボンブラックと、硫黄と、式(I)で表される化合物とを所定量含有するサイドウォール、ウイング、ベーストレッド、サイドウォールパッキン、ブレーカークッション又はタイガム用ゴム組成物であるので、低燃費性、耐摩耗性、破断伸び及び加工性がバランス良く改善された空気入りタイヤを提供できる。
本発明のゴム組成物は、イソプレン系ゴムと、ブタジエンゴムと、特定のカーボンブラックと、硫黄と、式(I)で表される化合物とを含有する。式(I)で表される化合物は、末端の窒素官能基がカーボンブラック表面に存在するカルボキシル基などの官能基と反応することでカーボンブラックと結合することができ、また、炭素−炭素二重結合の部分がポリマーラジカルとの反応や硫黄架橋を伴う反応によりポリマーと結合することができる。そのため、カーボンブラックの分散性を向上させ、かつその良好な分散状態を使用中も維持することができる。更に、ポリマーが式(I)で表される化合物を介してカーボンブラックを拘束しているため、発熱性を抑えることができる。これらの作用を有する式(I)で表される化合物を、ブタジエンゴムと、特定のカーボンブラックと、硫黄とともに、イソプレン系ゴムを含むゴム組成物に配合することで、該ゴム組成物の低燃費性を改善し、更に、良好な耐摩耗性、破断伸び及び加工性も得られる。
本発明のゴム組成物は、ゴム成分として、イソプレン系ゴムを含有する。イソプレン系ゴムは、混練り中にポリマー鎖が切断されてラジカルが発生する。この発生したラジカルを式(I)で表される化合物が捕捉することにより、ポリマー鎖と式(I)で表される化合物とが結合することができる。
イソプレン系ゴムとしては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、エポキシ化天然ゴム(ENR)、高純度天然ゴム(HPNR)などが挙げられ、NRを好適に使用できる。
ゴム成分100質量%中のイソプレン系ゴムの含有量は、40質量%以上、好ましくは50質量%以上である。40質量%未満であると、低燃費性を充分に改善できないおそれがある。イソプレン系ゴムの含有量は、75質量%以下、好ましくは70質量%以下である。75質量%を超えると、充分な耐摩耗性及び耐亀裂成長性を確保できなくなるおそれがある。
本発明のゴム組成物は、ゴム成分として、ブタジエンゴム(BR)を含有する。BRとしては特に限定されず、タイヤ工業において一般的なものを使用できるが、シンジオタクチック結晶含有ブタジエンゴム(SPB含有BR)、希土類元素系触媒を用いて合成された希土類系ブタジエンゴム(希土類系BR)及びスズ変性ブタジエンゴム(スズ変性BR)からなる群より選択される少なくとも一種を用いることが好ましく、希土類系BRを用いることがより好ましい。希土類系BRとしては、希土類元素系触媒を用いて合成され、ビニル含量が1.0質量%以下(好ましくは0.8質量%以下)、シス含量が95質量%以上のものを好適に使用できる。
なお、本発明において、ビニル含量(1,2−結合ブタジエン単位量)及びシス含量(シス−1,4−結合ブタジエン単位量)は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定された値である。
ゴム成分100質量%中のSPB含有BR、希土類系BR及びスズ変性BRの合計含有量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは35質量%以上である。10質量%未満であると、充分な耐摩耗性及び耐亀裂成長性を確保できなくなるおそれがある。SPB含有BR、希土類系BR及びスズ変性BRの合計含有量は、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下である。60質量%を超えると、低燃費性を充分に改善できないおそれがある。
ゴム成分100質量%中のBRの含有量は、25質量%以上、好ましくは30質量%以上である。25質量%未満であると、充分な耐摩耗性や耐亀裂成長性を確保できないおそれがある。BRの含有量は、60質量%以下、好ましくは50質量%以下である。60質量%を超えると、低燃費性を充分に改善できないおそれがある。
本発明のゴム組成物は、イソプレン系ゴム、BR以外に他のゴム成分を使用してもよい。他のゴム成分としては、スチレンブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、スチレンイソプレンゴム(SIR)、イソプレンブタジエンゴムなどのジエン系ゴムが挙げられ、リバージョン防止効果があり、Hsを確保しやすい点から、好ましくはSBRである。SBRとしては、アミノアルコキシシランで末端が変性されたシリカ用変性SBRを好適に使用できる。
本発明のゴム組成物がSBRを含有する場合、ゴム成分100質量%中のSBRの含有量は、好ましくは1〜20質量%以上、より好ましくは5〜15質量%である。
本発明のゴム組成物は、特定の窒素吸着比表面積を有するカーボンブラックを含有する。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は、20m/g以上、好ましくは30m/g以上、より好ましくは35m/g以上である。20m/g未満では、充分な耐摩耗性及び破断伸びを確保できないおそれがある。カーボンブラックのNSAは、90m/g以下、好ましくは70m/g以下、より好ましくは55m/g以下である。90m/gを超えると、カーボンブラック由来の発熱が大きくなること、及び、式(I)で表される化合物との反応が進行しにくくなることにより、低燃費性を充分に改善できないおそれがある。
カーボンブラックのジブチルフタレート(DBP)吸油量は、好ましくは65cm/100g以上、より好ましくは80cm/100g以上である。65cm/100g未満では、充分なHs及び破断伸びを確保できないおそれがある。カーボンブラックのDBP吸油量は、好ましくは120cm/100g以下である。120cm/100gを超えると、充分な低燃費性を確保できないおそれがある。
カーボンブラックのpHは、好ましくは7.9以下、より好ましくは7.8以下、更に好ましくは7.7以下、特に好ましくは7.6以下である。7.9を超えると、カーボンブラックの酸性官能基量が少ないため、式(I)で表される化合物との反応性(相互作用)が小さくなり、低燃費性などを充分に改善できないおそれがある。カーボンブラックのpHは、好ましくは3.0以上、より好ましくは3.5以上である。3.0未満であると、ゴム組成物のpHが低くなることにより、加硫剤の活性が低下し、架橋効率が低下する傾向がある。
カーボンブラックの揮発分は、好ましくは0.8質量%以上、より好ましくは0.9質量%以上、更に好ましくは1.0質量%以上である。0.8質量%未満では、式(I)で表される化合物との反応性(相互作用)が小さくなり、低燃費性などを充分に改善できないおそれがある。カーボンブラックの揮発分は、好ましくは3.5質量%以下、より好ましくは3.0質量%以下である。3.5質量%を超えると、加硫工程で揮発分の大部分を揮発させ、ポロシティーが発生しなくなるまで加硫し続けることが必要となるため、加硫時間が長くなり、生産効率が悪化する傾向がある。
なお、本明細書において、カーボンブラックのDBP吸油量、pH、揮発分はJIS K6221(1982)に、カーボンブラックのNSAはJIS K6217(2001)に記載の方法で測定される値である。
カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、15質量部以上、好ましくは25質量部以上である。15質量部未満であると、充分なHs及び破断伸びを確保できないおそれがある。カーボンブラックの含有量は、55質量部以下、好ましくは50質量部以下、より好ましくは45質量部以下である。55質量部を超えると、発熱性が大きくなり過ぎて、低燃費性や加工性が悪化するおそれがある。
本発明のゴム組成物は、下記式(I)で表される化合物を含有する。
Figure 0005820357
(式中、R、Rは、同一又は異なって、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルケニル基又は炭素数1〜20のアルキニル基である。Mr+は金属イオンを示し、rはその価数を表す。)
、Rのアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などを挙げることができる。
、Rのアルケニル基としては、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、1−メチルエテニル基などを挙げることができる。
、Rのアルキニル基としては、エチニル基、プロパルギル基などを挙げることができる。
、Rとしては、好ましくは、水素原子、アルキル基であり、より好ましくは、水素原子、メチル基であり、更に好ましくは、水素原子である。すなわち、上記式(I)で表される化合物は、下記式(I−1)、(I−2)又は(I−3)で表される化合物であることが好ましく、下記式(I−1)で表される化合物であることがより好ましい。
Figure 0005820357
Figure 0005820357
Figure 0005820357
上記式(I)、(I−1)、(I−2)、(I−3)において、金属イオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオンが挙げられ、ナトリウムイオンであることが好ましい。
式(I)で表される化合物の含有量は、カーボンブラック100質量部に対して、0.1質量部以上、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上である。0.1質量部未満であると、低燃費性を充分に改善できないおそれがある。式(I)で表される化合物の含有量は、20質量部以下、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下である。20質量部を超えると、ムーニー粘度、耐スコーチ性、押出し加工性などの加工性を充分に確保できないおそれがある。
本発明のゴム組成物は、硫黄を含有する。硫黄としては特に限定されず、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。
硫黄の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、1.0質量部以上、好ましくは1.5質量部以上である。1.0質量部未満であると、ゴム組成物が充分に加硫されず、必要とするゴム特性が得られないおそれがある。硫黄の含有量は、2.3質量部以下である。2.3質量部を超えると、ゴム焼けや使用中の酸化劣化の原因となるおそれがある。
なお、硫黄の含有量は、フレキシス社製のDURALINK HTSなどの硫黄含有カップリング剤由来の硫黄分も含む総量である。
本発明のゴム組成物は、粘着加工助剤として、C5系石油樹脂を使用することが好ましい。C5系石油樹脂は、C5(炭素数5)系石油炭化水素を重合して得られる。C5系石油炭化水素とは、ナフサの熱分解により得られるC5留分(炭素数5の留分)のことをいい、具体的には、イソプレン、1,3−ペンタジエン、ジシクロペンタジエン、ピペリレンなどのジオレフィン類や2−メチル−1−ブテン、2−メチル−2−ブテン、シクロペンテンなどのモノオレフィン類が挙げられる。C5系石油樹脂の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0〜5質量部、より好ましくは0〜3質量部である。
本発明のゴム組成物は、架橋剤として、下記式(II)で表される化合物及び/又はその水和物を使用することが好ましい。
XOS−S−(CH−S−SOX (II)
(式中、qは3〜10の整数を表す。Xは、リチウム、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、ニッケル又はコバルトを表す。)
式(II)中、qは、好ましくは3〜6の整数である。また、Xは、好ましくはカリウム、ナトリウムである。また、式(II)で表される化合物の水和物としては、例えば、ナトリウム塩一水和物、ナトリウム塩二水和物などが挙げられ、好ましくは、1,6−ヘキサメチレン−ジチオ硫酸ナトリウム・二水和物である。
本発明のゴム組成物が式(II)で表される化合物及びその水和物を含有する場合、その含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.2〜5質量部、より好ましくは0.5〜3質量部である。
本発明のゴム組成物には、前記成分以外にも、ゴム組成物の製造に一般に使用される配合剤、例えば、シリカなどの補強用充填剤、シランカップリング剤、老化防止剤、オイル、ワックス、加硫促進剤などを適宜配合することができる。
オイルの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは7質量部以下、より好ましくは4質量部以下、更に好ましくは3質量部以下である。7質量部を超えると、式(I)で表される化合物とカーボンブラック表面の官能基との反応が阻害されるおそれがある。オイルの含有量の下限は特に限定されず、0質量部であってもよい。
本発明のゴム組成物を製造する方法としては、公知の方法、例えば、各成分をロールやバンバリーのような公知の混合機で混練する方法を用いることができる。
本発明のゴム組成物は、タイヤのサイドウォール、ウイング、ベーストレッド、サイドウォールパッキン、ブレーカークッション又はタイガムに用いることができる。本発明のゴム組成物で作製したブレーカークッションは、乗用車用タイヤに好適である。
なお、ウイングとは、トレッドゴムの両側に配される部材であり、具体的には、特開平9−277801号公報の図1などに示される部材である。
ベーストレッドとは、多層構造を有するトレッドの内層部であり、2層構造〔表面層(キャップトレッド)及び内面層(ベーストレッド)〕からなるトレッドでは内面層である。
サイドウォールパッキンとは、ソフトビードエイペックスとも呼ばれ、ビードエーペックスからタイヤ半径方向外側に向けて先細状にのびる部材であり、具体的には、特開2005−271857号公報の図1などに示される部材である。
ブレーカークッションとは、ブレーカーのエッジ部とケース(カーカス)との間に設けられる部材であり、具体的には、特開2006−273934号公報の図1などに示される部材である。
タイガムとは、ケースコードとインナーライナーの間に配置される部材であり、具体的には、特開2010−095705号公報の図1などに示される部材である。
本発明の空気入りタイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法によって製造される。すなわち、必要に応じて各種添加剤を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でタイヤのサイドウォールなどの形状に合わせて押し出し加工し、タイヤ成型機上にて通常の方法にて成形し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧して、本発明の空気入りタイヤを製造できる。
本発明の空気入りタイヤは、乗用車用タイヤ、重荷重用タイヤなどに使用でき、なかでも、イソプレン系ゴムを多量に配合する重荷重用タイヤに好適に使用できる。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
以下に、実施例及び比較例で用いた各種薬品について説明する。
NR:TSR20
IR:IR2200
BR1:ランクセス社製のBUNA−CB25(Nd系触媒を用いて合成した希土類系BR、ビニル含量:0.7質量%:シス含量:97質量%)
BR2:ランクセス社製のBUNA−CB22(Nd系触媒を用いて合成した希土類系BR、ビニル含量:0.6質量%:シス含量:97質量%)
BR3:宇部興産(株)製のBR150B(Co系触媒を用いて合成したBR、シス含量:98質量%)
BR4:宇部興産(株)製のVCR617(SPB含有BR、SPBの含有量:17質量%)
BR5:日本ゼオン(株)製のBR1250H(スズ変性BR)
SBR:JSR(株)製のHPR340(アミノアルコキシシランで末端が変性された変性SBR)
化合物I:住友化学(株)製の(2Z)−4−[(4−アミノフェニル)アミノ]−4−オキソ−2−ブテン酸ナトリウム(下記式で表される化合物)
Figure 0005820357
S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸:住友化学(株)製のS−(3−アミノプロピル)チオ硫酸(下記式で表される化合物)
Figure 0005820357
カーボンブラック1:コロンビアカーボン社製のStatex N550(NSA:40m/g、DBP吸油量:115cm/100g、pH:6.8、揮発分:1.8質量%)
カーボンブラック2:コロンビアカーボン社製のStatex N660(NSA:34m/g、DBP吸油量:82cm/100g、pH:7.7、揮発分:1.7質量%)
カーボンブラック3:コロンビアカーボン社製のStatex N330(NSA:78m/g、DBP吸油量:102cm/100g、pH:7.4、揮発分:1.8質量%)
カーボンブラック4:コロンビアカーボン社製のStatex N762(NSA:29m/g、DBP吸油量:68cm/100g、pH:6.9、揮発分:1.0質量%)
カーボンブラック5:コロンビアカーボン社製のStatex N220(NSA:114m/g、DBP吸油量:114cm/100g、pH:7.5、揮発分:1.8質量%)
シリカ:エボニックデグッサ社製のU9000Gr
シランカップリング剤:エボニックデグッサ社製のSi75
C5系石油樹脂:丸善石油化学(株)製のマルカレッツT−100AS(軟化点:102℃)
TDAEオイル:H&R社製のVivatec
ワックス:日本精蝋(株)製のOzoace355
老化防止剤6PPD:住友化学(株)性のアンチゲン6C
老化防止剤TMQ:大内新興化学工業(株)製のノクラック224
ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸 椿
酸化亜鉛:東邦亜鉛(株)製の銀嶺R
5%オイル含有粉末硫黄:細井化学工業(株)製のHK−200−5
加硫促進剤TBBS:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS−G
HTS:フレキシス社製のDURALINK HTS(1,6−ヘキサメチレン−ジチオ硫酸ナトリウム・二水和物)
(実施例及び比較例)
(ベース練り工程1)
(株)神戸製鋼所製の1.7Lバンバリーミキサーを用いて、ゴム成分70質量部(イソプレン系ゴムを優先)、カーボンブラック30質量部(NSAが大きいものを優先)及び化合物I全量を4分間混練りし、150℃で排出することで、マスターバッチを得た。なお、実施例9については、カーボンブラックの配合量が30質量部に満たないため、全量(25質量部)をこの工程で投入した。
(ベース練り工程2)
得られたマスターバッチに、残りのゴム成分及びカーボンブラックと、硫黄、加硫促進剤及びHTS以外の材料とを添加し、上記バンバリーミキサーで4分間混練りし、150℃で排出することで、混練り物を得た。
(仕上げ練り工程)
得られた混練り物に硫黄、加硫促進剤及びHTSを添加し、オープンロールで2分間混練りし、105℃で排出することで、未加硫ゴム組成物を得た。
(加硫工程)
得られた未加硫ゴム組成物を150℃で30分間プレス加硫し、加硫ゴム組成物を得た。
得られた未加硫ゴム組成物及び加硫ゴム組成物を使用して、下記の評価を行った。それぞれの試験結果を表1及び2に示す。
(粘弾性試験)
(株)岩本製作所製の粘弾性スペクトロメータVESを用いて、温度70℃、周波数10Hz、初期歪10%及び動歪2%の条件下で、上記加硫ゴム組成物の複素弾性率E(MPa)及び損失正接tanδを測定した。Eが大きいほど剛性が高く、操縦安定性に優れることを示し、tanδが小さいほど発熱しにくく、低燃費性に優れることを示す。なお、tanδは、比較例1のtanδを100として指数でも表した。指数が大きいほど、低燃費性に優れることを示す。
(引張試験)
上記加硫ゴム組成物からなる3号ダンベル型試験片を用いて、JIS K 6251「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−引張特性の求め方」に準じて、室温にて引張試験を実施し、破断伸びEB(%)を測定した。EBが大きいほど、破断伸び(耐久性)に優れることを示す。なお、EBは、比較例1のEBを100として指数でも表した。指数が大きいほど、破断伸びに優れることを示す。
(耐摩耗性)
LAT試験機(Laboratory Abrasion and Skid Tester)を用い、荷重75N、速度20km/h、スリップアングル5°の条件にて、各加硫ゴム組成物の容積損失量を測定し、比較例1の容積損失量を100として指数表示した。指数が大きいほど、耐摩耗性に優れることを示す。
(加工性)
押出し後の各未加硫ゴム組成物を所定のサイドウォールの形状に成形した成形品のエッジ状態、ゴムの焼け度合い、ゴム同士の粘着度合い、平坦さを目視、触覚により評価し、比較例1を100として指数表示した。数値が大きいほど、加工性(シート加工性)に優れることを示す。
なお、エッジ状態については、最もエッジが真っ直ぐで滑らかな状態を良好とし、ゴムの焼け度合いについては、上記成形品から切り出した15cm角の2mmシートにおいて、ピッツ焼けゴム塊による凹凸がない状態を良好とし、平坦さについては、該シートが平坦で平面板に密着する状態を良好として評価した。
Figure 0005820357
Figure 0005820357
表1及び2より、イソプレン系ゴムと、ブタジエンゴムと、特定のカーボンブラックと、硫黄と、式(I)で表される化合物とを所定量含有する実施例は、低燃費性、耐摩耗性、破断伸び及び加工性がバランス良く改善された。また操縦安定性も良好であった。

Claims (6)

  1. ゴム成分と、窒素吸着比表面積が20〜90m/gのカーボンブラックと、硫黄と、下記式(I)で表される化合物とを含有し、
    前記ゴム成分100質量%中、イソプレン系ゴムの含有量が40〜75質量%、ブタジエンゴムの含有量が25〜60質量%であり、
    前記ブタジエンゴムが、シンジオタクチック結晶含有ブタジエンゴム、希土類元素系触媒を用いて合成された希土類系ブタジエンゴム及びスズ変性ブタジエンゴムからなる群より選択される少なくとも一種を含み
    前記ゴム成分100質量%中、前記シンジオタクチック結晶含有ブタジエンゴム、前記希土類系ブタジエンゴム及び前記スズ変性ブタジエンゴムの合計含有量が10〜60質量%であり、
    前記ゴム成分100質量部に対して、前記カーボンブラックの含有量が15〜55質量部、前記硫黄の含有量が1.0〜2.3質量部であり、
    前記カーボンブラック100質量部に対する下記式(I)で表される化合物の含有量が0.1〜20質量部であるサイドウォール、ウイング、ベーストレッド、サイドウォールパッキン、ブレーカークッション又はタイガム用ゴム組成物。
    Figure 0005820357
    (式中、R、Rは、同一又は異なって、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルケニル基又は炭素数1〜20のアルキニル基である。Mr+は金属イオンを示し、rはその価数を表す。)
  2. 前記式(I)で表される化合物が下記式(I−1)、(I−2)又は(I−3)で表される化合物である請求項1記載のサイドウォール、ウイング、ベーストレッド、サイドウォールパッキン、ブレーカークッション又はタイガム用ゴム組成物。
    Figure 0005820357
    Figure 0005820357
    Figure 0005820357
  3. 前記金属イオンがナトリウムイオン、カリウムイオン又はリチウムイオンである請求項1又は2記載のサイドウォール、ウイング、ベーストレッド、サイドウォールパッキン、ブレーカークッション又はタイガム用ゴム組成物。
  4. 前記カーボンブラック100質量部に対する前記式(I)で表される化合物の含有量が0.5〜5質量部である請求項1〜3のいずれかに記載のサイドウォール、ウイング、ベーストレッド、サイドウォールパッキン、ブレーカークッション又はタイガム用ゴム組成物。
  5. 前記カーボンブラックの窒素吸着比表面積が20〜70m/gであり、
    前記ゴム成分100質量部に対する前記カーボンブラックの含有量が15〜50質量部である請求項1〜4のいずれかに記載のサイドウォール、ウイング、ベーストレッド、サイドウォールパッキン、ブレーカークッション又はタイガム用ゴム組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のゴム組成物を用いて作製したサイドウォール、ウイング、ベーストレッド、サイドウォールパッキン、ブレーカークッション及びタイガムからなる群より選択される少なくとも一種を有する空気入りタイヤ。
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