JP2010109039A - 基板用カセット - Google Patents

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Abstract

【課題】カセット内に収納後の基板の安定を確保する基板用カセットを提供するものであって、基板用カセットの棚片をカセット内側方向に長くした場合であっても、収納された基板が運搬中の振動や傾きによって、膜面側に隣接する棚片との接触により膜面の損傷を引き起こすことを防ぐ構造の基板用カセットを提供すること。
【解決手段】基板の4辺の内の向き合う2辺もしくは3辺を支持して、該基板を一定の間隔を保って積み上げ状態に一時収納するための基板用カセットであって、棚片と基板位置抑制用爪部を有しており、前記棚片は前記基板用カセットに設けた棚片付き側板の少なくとも内側に整列配置され、前記基板位置抑制用爪部は前記棚片付き側板とは平行に独立して設けた可動性の爪部取り付け支柱から基板用カセットの内側向きに整列配置される。
【選択図】図1

Description

本発明は、ガラス基板、その他各種の基板を互いに接触しないように分離して支持するための基板用カセットに関するものである。
液晶表示装置を初めとするフラットパネルディスプレイのガラス基板や半導体関連の各種配線基板等、剛性を有する平面基板上に種々のパターンを形成したり、様々な表面処理を施す工程が近年の電子部品製造分野で多用されている。特に、基板の薄型化かつ大サイズ化を要求される場合も多く、処理の効率も一段と求められるので、各工程処理における取り扱い手段に一層の工夫が必要になってきている。
上記の各種の製造工程において、平面視矩形状の厚さの薄い基板を数枚〜数十枚の集合体として一つのカセットに一時収納した後、各種の処理工程に基板を一枚ずつ順次取り出して処理し、かつ、一連の処理終了時に再び基板を順次収納することが多い。また、複数の基板をカセットに収納した一体の状態で、ドライまたはウェットの処理工程を扱う場合もある。さらに各工程間の移動および一時保管も上記のカセットに収納された集合体を一体で扱う。
上記の各場面で多用される基板用カセットにおいて、一時収納される各基板を互いに接触しないように分離して支持する機能が重要であることは言うまでも無いが、繰り返し行われる基板の出し入れがスムーズに実施できることが可能であり、かつ、カセット専有スペースの使用効率も高く、耐久性にも優れていることが要求される。また、一般に発塵を嫌う環境で使用されるものであるため、基板、特にガラス基板のエッジが樹脂成型品のカセットとの接触部で樹脂の削り取りによる切削屑を発生させないことも重要であり、種々の改良がなされてきた(特許文献1参照)。
また、カセットの組み立てを容易にしたり、複数の基板をカセットに収納した一体の状態で、ドライまたはウェットの処理工程を扱うという使われ方に対して、使用工程中にカセットの構造間隙に残る液滴の液切れ不良や汚れを防ぐように簡単な構造体が提案されてきた(特許文献2参照)。
一方、カセットに基板を収納するには、カセット内側に複数設けた棚片により、平面視矩形状の基板の4辺の内の向き合う2辺もしくは3辺を支える構造が通常使われており、前記棚片に載るように、基板を水平の方向に一枚ずつ一定の間隔を保って積み上げ状態に収納することが一般的であるが、基板を縦にして棚片を仕切りとするように縦に並べる方法もある。基板を縦に並べる場合も、2辺支持の場合を除いては、基板を水平に並べる場合と同一のカセットを向きを変えて使用することが多い。
また、基板が一時収納された基板用カセットを、工程間の移動もしくは保管のために、ロボットまたは道具と人手により、運搬したり向きを変えたりする必要もあり、基板のエッジとカセットの棚片等との接触状態が変化する機会が多いため、小さな衝突の積み重ねによる双方の損傷または発塵が無視できない。また、基板サイズの大型化と基板の薄型化が進むと、基板の撓み量の増大を考慮する必要があるので、基板を支える棚片を基板端から内側に延ばす方向に設計変更される。上記の衝突により、基板を支える側の上方に隣接する側の棚片が基板表面の主な処理対象となる膜面側に接触することが多いが、その場合は、上述の設計変更される以前の従来の短い棚片によるよりも、新たに拡大された棚片による基板の内側寄りの膜面を損傷する可能性が大きくなる。
特開平2−295150号公報 特開平3−133153号公報
本発明は上記の問題に鑑みて提案するものであり、本発明が解決しようとする課題は、基板の出し入れ時の改良とは異なり、カセット内に収納後の基板の安定を確保する基板用カセットを提供するものであって、基板用カセットの棚片をカセット内側方向に長くした場合であっても、収納された基板が運搬中の振動や傾きによって、膜面側に隣接する棚片との接触により膜面の損傷を引き起こすことを防ぐ構造の基板用カセットを提供することを課題とする。
本発明の請求項1に係る発明は、平面視矩形状の基板の4辺の内の向き合う2辺もしくは3辺を保持して、該基板を一定の間隔を保って積み上げ状態に収納するための基板用カセットであって、前記基板用カセットは対向する2組の側板と棚片と基板位置抑制用爪部を有しており、前記棚片は前記基板用カセットの側板同士が対向する面に整列配置され、前記基板位置抑制用爪部は前記棚片付き側板と平行に独立して設けた可動性の爪部取り付け支柱に基板用カセットの内側向きに整列配置されていることを特徴とする基板用カセットである。
次に、本発明の請求項2に係る発明は、前記基板位置抑制用爪部が、爪部取り付け支柱の法線方向より基板の膜面が向く側に傾けて取り付けられることを特徴とする請求項1記載の基板用カセットである。
次に、本発明の請求項3に係る発明は、前記基板位置抑制用爪部が、前記爪部取り付け支柱を通じて、前記基板の動きを拘束して基板を位置抑制する位置と、前記基板の動きを拘束せず基板を位置抑制しない位置とに切り換え可能であることを特徴とする請求項1または2記載の基板用カセットである。
次に、本発明の請求項4に係る発明は、前記爪部取り付け支柱を支柱の軸方向にスライドさせる機構を有することを特徴とする請求項3記載の基板用カセットである。
次に、本発明の請求項5に係る発明は、予め指定位置に支柱上昇用ブロックが設置されたカセットステージ上に前記基板用カセットを移動載置することにより、前記爪部取り付け支柱を支柱の軸方向にスライドさせることを特徴とする請求項4記載の基板用カセットである。
次に、本発明の請求項6に係る発明は、前記爪部取り付け支柱を支柱の軸を中心に回転させる機構を有することを特徴とする請求項3記載の基板用カセットである。
次に、本発明の請求項7に係る発明は、前記爪部取り付け支柱に設けたドグ(検出片)をカセットステージ側に設けた光センサが検知する機構を用いて、前記基板位置抑制用爪部の回転位置状態を確認できることを特徴とする請求項6記載の基板用カセットである。
上記請求項1に係る発明によれば、棚片と基板位置抑制用爪部とが基板の端部を挟むことができるので、カセット内での収納基板の安定を確保することができ、基板用カセットの棚片をカセット内側方向に長くした場合であっても、収納された基板が運搬中の振動や傾きによって、膜面側の棚片との接触により膜面の損傷を引き起こすことを防ぐ構造を有
する基板用カセットを提供することができる。従って、基板サイズの大型化と基板の薄型化が進み、基板の撓み量の増大を考慮する必要がある場合の基板用カセットにも有用である。また、収納基板の置き方が通常の水平置きの場合だけでなく、縦置きや斜め置きの場合であっても、上記と同様にカセット内での収納基板の安定を確保することができ、前記膜面の損傷を防ぐことができる。また、基板を収納した状態の基板用カセットが、誤って基板が抜け出る方向に傾くような異常事態が生じた場合に対応して、基板の落下破損を防止する手段を有する基板用カセットを提供することも可能になる。
上記請求項2に係る発明によれば、前記基板位置抑制用爪部の先端部は浮かせた状態で、基板を位置抑制することができるので、位置抑制動作時に懸念される爪部の先端部による基板の膜面損傷も避けることができる。
上記請求項3に係る発明によれば、前記基板位置抑制用爪部の基板位置抑制のための動作、および基板位置抑制解除のための動作を、前記爪部取り付け支柱を通じて、一括して行えるので、各収納基板に対して均一に、抜けも無く、簡単に切り換え動作を実行できる。
上記請求項4に係る発明によれば、上記請求項3に係る発明を実施するための簡便な具体策を提供できる。
上記請求項5に係る発明によれば、基板用カセットを載置するカセットステージに対する工夫により、上記請求項4に係る発明を確実に安定して実施するための簡便な具体策を提供できる。
上記請求項6に係る発明によれば、上記請求項3に係る発明を実施するための他の簡便な具体策を提供できる。
上記請求項7に係る発明によれば、基板位置抑制状態に関するON/OFFの状況を、電気信号として明示できるので、動作のミスを防ぐことができるとともに、他の装置の稼動状態との連携を電気的に自動制御するための手段として利用することができる。
以下に本発明を図面に従って、詳しく説明する。図1は本発明の基板用カセットの一例を説明するための概念図であり、(a)は基板位置抑制時の正面透視図、(b)は基板位置抑制時の平面透視図、(c)は基板位置抑制解除時の正面透視図、(d)は基板位置抑制解除時の平面透視図である。平面透視図(b)(d)では、図を見やすくするため、天井側フレーム2も底面側フレーム3も表示せず、それらの外側の輪郭をカセット枠体の外郭線20として点線で表示するに留めた。
図1において、カセット枠体1は、天井側フレーム2、底面側フレーム3、縦フレーム4、で構成され、その内側に、対向する2組と他の1組の棚片付き側板5、側板に配設した棚片6、また、必要により棚片の突出部7を設けることは従来の基板用カセットと同様である。ガラス基板8が整列配置された棚片6のいずれかの段に、基板の4辺の内の向き合う2辺もしくは3辺を支持される状態で収納され、順次、隣接する棚片に他の基板が支持されて収納される。本実施形態においては、ガラス基板8の3辺が棚片6および棚片の突出部7を結合した棚片付き側板5の複数の組により支持される。但し、棚片の突出部7はすべての棚片に必要とされる訳ではなく、棚片の材質や加工形状によっては不要となる。棚片付き側板5の各辺に沿う方向の幅は、棚片6の幅とともに一定の強度が保たれれば特に限定されるものではないが、後述する爪部取り付け支柱11および爪部10を干渉させずに設置できる間隙を確保するように設計する。
本発明は、上記の基板用カセットに、新たに、基板位置抑制用爪部10を基板用カセットの内側向きに整列配置させた可動性の爪部取り付け支柱11を加えることによって、従来の機能から一変させることができる。即ち、従来、ガラス基板8を棚片6および棚片の突出部7で下支えするか、基板を縦に並べる場合には隣り合う2つの棚片の間の狭い領域を位置抑制されずに立つのみであった状態から、本発明の収納後の基板は、基板位置抑制用爪部10で基板8からは反対側に位置する棚片6に押し付けられるか、自由な動きを抑制され、即ち、基板8の端部が挟まれて基板が位置抑制される状態に変わる。爪部により基板を強く押し付ける状態から爪部が基板表面の近傍に接近した状態まで、位置抑制をどの程度のレベルで実施するかは、具体的な設計により決めることができる。通常は、棚片6が基板の裏側を支え、基板位置抑制用爪部10が基板の膜面側を押さえる向きとなるため、基板位置抑制用爪部10の先端部による基板の膜面側の損傷に注意が必要である。上記の点に関しては後述する。
基板用カセットの主要部は各要素別に樹脂成形され、各部を接合して全体の構造物を得ることができる。使用される樹脂としては、使用工程を考慮した製品仕様により必要な、機械強度、耐熱性、耐溶剤性、耐酸、耐アルカリ性等を有する溶融成形が可能な樹脂が選択される。例えば、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリプロピレン等、あるいは、上記の材料にガラス繊維、カーボン繊維、アラミド繊維、セラミックス繊維、金属繊維等を配合した繊維強化熱可塑性樹脂が用いられる。
前記溶融成形の方法としては、射出成形法、押出成形法、トランスファー成形法などが採用される。溶融成形において、充填剤、安定剤、滑剤、その他の添加剤を配合することもできる。
一般に、棚片6は棚片付き側板5とは分離形成し、後に少なくとも基板用カセットの内側に向けて複数個の棚片が一定の間隔を保つように整列配置して棚片付き側板と結合されるが、上述の内側に向けた棚片の張り出しが短い場合には、棚片付き側板5を溝切り加工することによって一体成形しても良いし、棚片と棚片付き側板を一括して溶融成形することもできる。また、その場合、基板用カセットの外側に向けても内側と対称的な構造として成形時の歪を避ける方法もある。
基板位置抑制用爪部10は爪部取り付け支柱11とは分離成形し、後に少なくとも基板用カセットの内側に向けて複数個が一定の間隔を保つように整列配置して結合される。爪部取り付け支柱11は、前記棚片付き側板5の近傍に平行して立てるが、棚片付き側板5とは独立であって、支柱の軸方向に可動性を有する。前記爪部取り付け支柱11と天井側フレーム2および底面側フレーム3との結合部分は、支柱のスライド/支持機構12として、支柱の軸方向のみに可動性をもたせる状態と固定状態との切り換え機能を有する。爪部取り付け支柱11は、基板の対向する2辺に対等に機能させるために、各収納基板の厚み方向に縦断するように、基板の対向する2辺の1辺当たり、少なくとも、一箇所ずつ、望ましくは2箇所ずつ、棚片付き側板5や棚片6と干渉しない位置に設置する。
上記の例として、図1(c)に示す基板位置抑制解除時の正面透視図の状況で説明する。まず、基板用カセットの全体を図1(a)から(c)へ、図面のように横移動して、カセットステージ15の上に載せる。上記の動作に先立って、前記支柱のスライド/支持機構12において、軸方向の可動を可能にする状態を準備しておく。即ち、固定ピンや固定ネジ等により固定されていた前記支柱のスライド/支持機構12の可動状態を回復しておく。カセットステージ15上の所定の位置には、予め支柱上昇用ブロック14を設置しておき、基板用カセットがカセットステージ15上に載置される際に、該ブロックが前記支柱の下部に支柱に対して固定して設けた支柱上昇用ターゲット片13を押し上げるように位置決めする。上記基板用カセットがカセットステージ15上に載置される動作により、支柱上昇用ブロック14が支柱上昇用ターゲット片13を押し上げる高さに相当する距離だけ爪部取り付け支柱11が上昇し、爪部取り付け支柱11に結合された基板位置抑制用爪部10も同じ距離だけ上昇する。そのため、基板位置抑制用爪部10がガラス基板8の端部を棚片6との間で挟んでいた図1(a)に示す状態からは外れて、図1(c)に示すように、基板位置抑制解除された状態となる。なお、図中のブロック矢印は上記の各部の上昇を表す。また、上記の一連の説明は、各爪部取り付け支柱11に対応して、それぞれの関係する前記支柱のスライド/支持機構12や支柱上昇用ターゲット片13、支柱上昇用ブロック14との間で同様に機能させるものである。
上記の例では、基板位置抑制用爪部10が一定量上昇して基板位置抑制解除状態となる図1(c)、(d)の状態で、前記のカセットステージ15に基板用カセットを載置したまま、基板の出し入れを自動または手動ですることができる。その後、基板用カセットを前記のカセットステージ15から搬出するか、または、同一のカセットステージ15上であっても、支柱上昇用ブロック14の影響を受けない位置に移動するかすれば、基板用カセットは再び図1(a)、(b)の状態に戻り、基板を収納している棚片6に対応する位置の基板位置抑制用爪部10がガラス基板8の端部を位置抑制する。ただし、真に固定するためには、支柱のスライド/支持機構12を固定状態に切り換える必要がある。簡単な手段としては、上記固定ピンや固定ネジによる止め方も可能であるが、方法は制約されるものではない。
図2は本発明の基板用カセットの他の一例を説明するための概念図であり、(a)は基板位置抑制時の正面透視図、(b)は基板位置抑制時の平面透視図、(c)は基板位置抑制解除時の正面透視図、(d)は基板位置抑制解除時の平面透視図である。平面透視図(b)(d)では、図を見やすくするため、天井側フレーム2も底面側フレーム3も表示せず、それらの外側の輪郭をカセット枠体の外郭線20として点線で表示するに留めた。
図2において、図1と異なるのは、基板位置抑制用爪部10および爪部取り付け支柱11の動きであって、本例では、爪部による基板位置抑制を解除する手段として、前例のように軸方向にスライドして位置抑制を外すのではなく、回転により位置抑制を外す方法を用いる。図中のブロック矢印は回転方向を示す。
即ち、基板位置抑制用爪部10は爪部取り付け支柱11とは分離成形し、後に爪部の初期位置が基板用カセットの内側に向けて複数個が一定の間隔を保つように整列配置して支柱に結合される。爪部取り付け支柱11は、前記棚片付き側板5の近傍に平行して立てるが、棚片付き側板5とは独立であって、支柱の軸を中心とする円周方向に少なくとも90°程度の角度で回転可動性を有する。前記爪部取り付け支柱11と天井側フレーム2および底面側フレーム3との結合部分は、支柱の回転/支持機構18として、支柱の回転方向に可動性をもたせる状態と固定状態との切り換え機能を有する。
支柱の回転は手動で簡単に行うことができる。レバー、ストッパー等の補助部品を適宜使用して、一定の回転量を着実に与えることができるようにすることが好ましいが、方法は特に制約されない。また、支柱の回転に先立って、爪部の固定を予め解除しておく手段として、支柱の回転/支持機構18を固定状態から解除状態に切り換える。その方法は上述の固定ピンや固定ネジによる止め方も可能であるが、方法は制約されるものではない。また、爪部が基板に接触している状態からの解除の場合には、支柱の軸方向に微量のスライド移動を加えて爪部を基板から微小量といえども離しておく方が支柱の回転時の摩擦を防止する上では好ましい。
また、本発明においては、基板位置抑制用爪部10の位置を検知することにより、前記基板の動きを拘束して基板を位置抑制する位置と、前記基板の動きを拘束せず基板を位置抑制しない位置との状態を判別する手段とすることもできる。
図2の例で、上記の基板位置抑制用爪部10の位置を検知する方法について説明する。図2(a)および(b)に示す、基板位置抑制時の基板位置抑制用爪部10は、いずれも基板用カセットの内側に向けて整列配置されているが、爪部取り付け支柱11の下部に爪部と同一方向に爪部より長く延びた形状のドグ(検出片)16を金属等の小片で予め設置する。該ドグ16は支柱の回転時には爪部と一緒に回転するように支柱に結合されている。一方、基板用カセットを載置するカセットステージ15を固定しておき、上記ドグ16が基板位置抑制時の爪部10と同じ方向、即ち、カセットの内側方向に向いている状態で、ドグ16の直下となるカセットステージ15上の位置に、光センサ17を設置する。
上記光センサ17がドグ16を太い矢印で示す検出線により、検出することにより、基板位置抑制用爪部10が前記基板の動きを拘束して基板を位置抑制する位置にあることを電気的に確認することができる。また、支柱の回転とともに、図2(a)、(b)から図2(c)、(d)の状態に変化して、爪部、従ってドグ16も向きを変えると、上記光センサ17がドグ16を検出しなくなり、基板位置抑制用爪部10が前記基板の動きを拘束せず基板を位置抑制しない位置に変化したことを電気的に確認することができる。爪部取り付け支柱11は、基板の対向する2辺に対等に機能させるために、各収納基板の厚み方向に縦断するように、基板の対向する2辺の1辺当たり、少なくとも、一箇所ずつ、望ましくは2箇所ずつ、棚片付き側板5や棚片6と干渉しない位置に設置する。また、上記一連の説明は、複数の前記爪部取り付け支柱11の各々に対応して、それぞれの関係する前記支柱の回転/支持機構18やドグ16、光センサ17の間で同様に機能させるものである。
上記の本発明の他の例では、基板位置抑制用爪部10が一定量回転して基板位置抑制解除状態となる図2(c)、(d)の状態で、前記のカセットステージ15に基板用カセットを載置したまま、基板の出し入れを自動または手動ですることができる。その後、基板位置抑制用爪部10を逆回転して、基板用カセットを再び図2(a)、(b)の状態に戻し、基板を収納している棚片6に対応する位置の基板位置抑制用爪部10がガラス基板8の端部を位置抑制するように再設定する。ただし、真に固定するためには、支柱の回転/支持機構18を固定状態に切り換える必要がある。簡単な手段としては、上記固定ピンや固定ネジによる止め方も可能であるが、方法は制約されるものではない。
基板が薄く大サイズ化していくに連れて、基板の撓みが大きくなり、前記棚片6および棚片の突出部7を加えた基板端部を支える部分は、内側に長く張り出す必要が生じる。このような場合で、本発明に述べる基板位置抑制用爪部10を有しないで、基板を収納した基板用カセットを運搬したり向きを変えたりすると、基板が大きく振動し、基板の端部に近い膜面の一部が膜面側の棚片6および/または棚片の突出部7と接触し、損傷を受け易い。上記の事情を図3を用いて説明する。
図3は、基板支持の形態と、カセット内での基板の動きを説明するための概念図である。(a)は従来の場合、(b)は本発明の場合である。
図3(a)において、棚片付き側板5に結合した棚片6および必要により棚片6の先端に設けた棚片の突出部7の間にガラス基板8が膜面9を上向きにして収納されれば、完全な静置状態では問題は無い。しかし、基板収納状態で、運搬による振動や傾斜が外部から基板用カセットに加わる場合は、最悪のケースでは、ガラス基板8’、膜面9’のように
膜面側の棚片6や棚片の突出部7と衝突することも生じる。図中のブロック矢印は、一枚のガラス基板およびその膜面の変動状態を同一図面中に示すことを意味している。特に、ガラス基板が薄型化し、サイズが大型化してくると、撓みの影響を考慮して棚片のカセット内側への張り出しを長くする設計に変更するため、上記の衝突が基板端近傍の無効領域に限定されることなく、より基板の内側に入る膜面をも損傷することがある。また、基板を水平ではなく、縦方向に並べて収納する場合は、収納された基板は、対向する各辺において、隣接する2つの棚片に挟まれた領域内を比較的自由に動ける状態であるため、膜面が棚片または棚片の突出部と衝突する可能性は、より増大する。
図3(b)には、上述の図1および図2に示した本発明の可動性の爪部取り付け支柱に結合させる基板位置抑制用爪部10の結合状態を更に詳細に示す。基板位置抑制用爪部10が基板用カセットの内側向きに整列配置するように爪部取り付け支柱11に結合される。略水平に収納された基板の対向する2辺を位置抑制するための基板位置抑制用爪部10は、図3(b)の左右両側に位置し、自重により撓みを有して端部が僅かに棚片6から離れた状態の基板端部を上から抑制する。その際、基板位置抑制用爪部10の各々を爪部取り付け支柱11の法線方向より収納対象基板の膜面が向くべき方向、この場合は上方に傾けて取り付けておけば、基板位置抑制用爪部10の先端部を基板の膜面側に接触させることなく、基板端部を爪部の傾斜面で上から押さえるか、基板端部が上下の棚片間で揺れ動く可能性のある範囲を大幅に制限することができ、位置抑制動作時に懸念される爪部の先端部による基板の膜面損傷を避けることができる。
上記基板位置抑制用爪部10の先端部を図3(b)の上向きに傾ける程度としては、前記棚片に水平に支持される場合の基板の自重に起因する撓みが引き起こす基板端部の傾斜に応じてそれを上回る角度に、爪部取り付け支柱の法線方向より上向きに取り付けられることが好ましい。棚片上にかかる基板8の最端部の反り上がりを、爪部取り付け支柱11から上向きに固定した基板位置抑制用爪部10の傾斜部で抑制することが可能である。
以下、本発明の一例を実施例により説明するが、本発明はこの実施例により何ら限定されるものでない。
基板用カセットに収納するガラス基板の対向する2辺の収納位置にあたる両側の棚片付き側板の近傍に、上記側板と干渉しないように、基板位置抑制用爪部をカセット内向きに備えた爪部取り付け支柱を対向して設けた。ガラス基板は、板厚0.5mm、ヤング率が略70GPaで、対向する棚片で支える方向の基板長は550mmである。棚片はカセット内側に20段の構成とし、棚片付き側板は基板の対向する2辺側は8mm幅の側板を各4列、他の1辺側には5mm幅の側板を1列設ける。各棚片は片側60mm張り出しており、隣接する棚片間の間隔は15mm、棚片上では遊離端から平均55mmまで基板を支える設計とした。また、基板位置抑制用爪部は基板位置抑制時で、棚片が棚片付き側板に結合している高さより4mm高い位置に、幅5mm、長さ15mm、厚さ5mmのPEEK材の小片を、爪部取り付け支柱に結合させた。また、基板位置抑制用爪部は棚片に対して、11°の上向き角度で支柱に取り付けた。爪部取り付け支柱は、PEEK材で左右両側に各2本設置した。爪部取り付け支柱を可動性とするために、回転機構を設け、特定の支柱状態を固定するためにはネジを用いた。
上記の基板用カセットを用いると、水平置きした基板に隣接する上側の棚片までのクリアランスを4mmとすることができた。基板位置抑制用爪部により基板を位置抑制して、通常の運搬を想定した移動実験を行った。移動実験は、基板を収納して位置抑制した状態での基板用カセットを水平置き状態から縦置き状態を経て、135度まで傾ける斜め置き状態に変化させるまでの動作を3往復繰り返した。その結果、移動中の振動やカセットの
傾きによって基板がずれたり、反ったりして膜面側の棚片との接触が起きた形跡は無く、汚れやキズなどの損傷を生じることも無かった。
本発明の基板用カセットの一例を説明するための概念図であり、(a)は基板位置抑制時の正面透視図、(b)は基板位置抑制時の平面透視図、(c)は基板位置抑制解除時の正面透視図、(d)は基板位置抑制解除時の平面透視図である。 本発明の基板用カセットの他の一例を説明するための概念図であり、(a)は基板位置抑制時の正面透視図、(b)は基板位置抑制時の平面透視図、(c)は基板位置抑制解除時の正面透視図、(d)は基板位置抑制解除時の平面透視図である。 基板支持の形態と、カセット内での基板の動きを説明するための概念図であり、(a)は従来の場合、(b)は本発明の場合である。
符号の説明
1・・・・カセット枠体
2・・・・天井側フレーム
3・・・・底面側フレーム
4・・・・縦フレーム
5・・・・棚片付き側板
6・・・・棚片
7・・・・棚片の突出部
8・・・・ガラス基板
8’・・・・ガラス基板(別状態)
9・・・・膜面
9’・・・・膜面(別状態)
10・・・基板位置抑制用爪部
11・・・爪部取り付け支柱
12・・・支柱のスライド/支持機構
13・・・支柱上昇用ターゲット片
14・・・支柱上昇用ブロック
15・・・カセットステージ
16・・・ドグ(検出片)
17・・・光センサ
18・・・支柱の回転/支持機構
20・・・カセット枠体の外郭線(点線)

Claims (7)

  1. 平面視矩形状の基板の4辺の内の向き合う2辺もしくは3辺を保持して、該基板を一定の間隔を保って積み上げ状態に収納するための基板用カセットであって、前記基板用カセットは対向する2組の側板と棚片と基板位置抑制用爪部を有しており、前記棚片は前記基板用カセットの側板同士が対向する面に整列配置され、前記基板位置抑制用爪部は前記棚片付き側板と平行に独立して設けた可動性の爪部取り付け支柱に基板用カセットの内側向きに整列配置されていることを特徴とする基板用カセット。
  2. 前記基板位置抑制用爪部が、爪部取り付け支柱の法線方向より基板の膜面が向く側に傾けて取り付けられることを特徴とする請求項1記載の基板用カセット。
  3. 前記基板位置抑制用爪部が、前記爪部取り付け支柱を通じて、前記基板の動きを拘束して基板を位置抑制する位置と、前記基板の動きを拘束せず基板を位置抑制しない位置とに切り換え可能であることを特徴とする請求項1または2記載の基板用カセット。
  4. 前記爪部取り付け支柱を支柱の軸方向にスライドさせる機構を有することを特徴とする請求項3記載の基板用カセット。
  5. 予め指定位置に支柱上昇用ブロックが設置されたカセットステージ上に前記基板用カセットを移動載置することにより、前記爪部取り付け支柱を支柱の軸方向にスライドさせることを特徴とする請求項4記載の基板用カセット。
  6. 前記爪部取り付け支柱を支柱の軸を中心に回転させる機構を有することを特徴とする請求項3記載の基板用カセット。
  7. 前記爪部取り付け支柱に設けたドグ(検出片)をカセットステージ側に設けた光センサが検知する機構を用いて、前記基板位置抑制用爪部の回転位置状態を確認できることを特徴とする請求項6記載の基板用カセット。
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