JP2021031371A - ガラス基板の処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ガラス板を安定して保持し、歩留まりが高く、処理後のガラスの変形が抑えられるガラス基板の処理方法を提供する。【解決手段】ガラス基板21を主面が鉛直方向に略平行となる向きでガラス収容部29に保持させて液処理するガラス基板の処理方法であって、ガラス収容部29に、ガラス基板21の鉛直方向下方の下辺33を係止する第1支持部材35、及びガラス基板21の下辺33より鉛直方向上方の上側周縁部37を係止する第2支持部材39を有するガラス支持部31と、ガラス支持部31に支持されたガラス基板21の厚さ方向一方の側と他方の側のそれぞれに設けられたガイド部材23と、を備え、ガラス基板21が撓んだ場合に、ガラス基板21が第1支持部材35と第2支持部材39の少なくともいずれかとの係止が外れる前に、ガイド部材23がガラス基板21の凸側の主面に接して、ガラス基板21の撓みを抑制する。【選択図】図2

Description

本発明は、ガラス基板の処理方法に関する。
携帯情報端末PDA(Personal Digital Assistants)やラップトップ型のコンピュータ等に用いるフラットパネルディスプレイ装置においては、薄い板状のカバーガラスがディスプレイの前面に配置されている。このようなカバーガラスは、例えば、化学強化、薬液処理、HFエッチング、超音波洗浄等の各種の液処理工程を経て作製される。
上記した液処理工程では、いずれもカバーガラスがカセットに保持された状態で処理される。しかし、カバーガラスの薄肉化に伴い、特に厚さが0.2mm以下の薄板ガラスでは、ガラスを安定して保持することが難しくなってきた。
例えば、特許文献1、2に記載されるような従来のカセットを用いてカバーガラスを保持させると、カバーガラスが自重や外力によって撓み、ガラス表面が周囲の部材に押し当てられて損傷することや、カセットからの脱落や破損等が生じるおそれがある。
そこで、薄板ガラスに外力を加えて屈曲させ、屈曲させた状態のまま保持して液処理する手法が知られている(特許文献3、4)。この手法では、平坦な初期形状のガラス板を用意して、ガラス板を、応力の負荷により初期形状から湾曲させた第2形状に屈曲させる。そして、屈曲したガラス板がこの第2形状を保持するように応力を負荷したまま後加工する。後加工後に、負荷応力を解除してガラス板の少なくとも一部を初期形状に戻す、ことを行っている。
特許第5730241号公報 国際公開第2008/078492号 特表2016−529196号公報 特許第6392363号公報
しかしながら、特許文献3の方法では、ガラス基板を化学強化処理する場合には、ガラス基板の表裏で応力に差が発生する問題や、ガラス基板が変形するという問題があった。また、ガラス基板の洗浄工程においては、上記方法では流液中での保持力が不十分であり、ガラス基板の破損の原因となった。なお、特許文献4の方法では、調整ねじアセンブリを備える治具によりガラスシートの湾曲を制御し、ガラス基材の主要面の一方のみを非対称イオン交換して化学強化するが、ガラス基板を変形させてしまう課題は上記と同様に避けることはできない。
本発明の目的は、ガラスの品質に影響を与えることなく、ガラス板を板面内で安定して保持したまま、各種の処理工程を実施でき、これにより、歩留まりが高く、処理後のガラスの変形が抑えられたガラス基板を安定して製造することが可能となるガラス基板の処理方法を提供することにある。
本発明は下記の構成からなる。
互いに対向する1対の主面を有し、前記主面の面積Aと、前記1対の主面同士の間の厚さtとの比A/tが25000以上であるガラス基板を準備する工程と、
前記ガラス基板を前記主面が鉛直方向に略平行となる向きでガラス収容部に保持させる工程と、
前記ガラス基板を前記ガラス収容部に保持させたまま、前記ガラス基板を液処理する工程と、
を備えるガラス基板の処理方法であって、
前記ガラス収容部は、
前記ガラス基板の鉛直方向下方の下側周縁部を係止する第1支持部材、及び前記ガラス基板の前記下側周縁部より鉛直方向上方の上側周縁部を係止する第2支持部材により前記ガラス基板を支持するガラス支持部と、
前記ガラス支持部に支持された前記ガラス基板の厚さ方向一方の側と他方の側のそれぞれに設けられたガイド部材と、
を備え、
前記ガラス基板が平坦状である場合には、前記ガイド部材が前記ガラス基板の前記主面から離間し、
前記ガラス基板が撓んだ場合には、前記ガラス基板が前記第1支持部材と前記第2支持部材の少なくともいずれかとの係止が外れる前に、前記ガイド部材が前記ガラス基板の凸側の前記主面に接して、前記ガラス基板の撓みを抑制する、
ガラス基板の処理方法。
本発明によれば、ガラスの品質に影響を与えることなく、ガラス板を板面内で安定して保持したまま、各種の処理工程を実施できる。これにより、歩留まりが高く、処理後のガラスの変形が抑えられたガラス基板を安定して製造できる。
本発明に係るガラス基板の処理方法を説明する概略ブロック図である。 ガラス基板の化学強化処理工程で使用される第1構成例のカセットを模式的に示す概略斜視図である。 第1構成例のカセットの概略平面図である。 図2に示す第1構成例のカセットをX方向から見た概略正面図である。 ガイド部材と変形時のガラス基板との位置関係を表した要部平面図である。 (A)は第1変形例のガイド部材の配置を示すカセットの要部平面図、(B)は第2変形例のガイド部材の配置を示すカセットの要部平面図である。 (A)は第3変形例のガイド部材の配置を示すカセットの正面図、(B)は第4変形例のガイド部材の配置を示すカセットの正面図、(C)は第5変形例のガイド部材の配置を示すカセットの正面図、(D)は第6変形例のガイド部材の配置を示すカセットの正面図である。 第7変形例のカセットの斜視図である。 (A)は支持凹部がV字状の溝であるガラス支持部の要部平面図、(B)は支持凹部が凹部状の溝であるガラス支持部の要部平面図である。 1対の第2支持部材とガラス基板との寸法関係を表した要部平面図である。 ガラス基板の薬液処理工程で使用される第2構成例のカセットを模式的に示す概略斜視図である。 第2構成例のガイド部材の軸線直交方向の断面図である。 第2構成例のカセットの概略平面図である。 第2構成例のカセットのX方向から見た概略正面図である。 ガイド部材とガラス基板の主面とが重なり合う領域を陰影で表した2次元の投影像を模式的に示す説明図である。
以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照して説明する。
本発明に係るガラス基板の処理方法は、概略的には以下の工程を備える。
(1)互いに対向する1対の主面を有し、主面の面積Aと、1対の主面同士の間の厚さtとの比A/tが25000以上であるガラス基板を準備する工程。
(2)ガラス基板を主面が鉛直方向に略平行となる向きでガラス収容部に保持させる工程。
(3)ガラス基板をガラス収容部に保持させたまま、ガラス基板を液処理する工程。
上記の各工程に用いるガラス収容部は、ガラス支持部とガイド部材とを備える。
ガラス支持部は、ガラス基板の鉛直方向下方の下側周縁部を係止する第1支持部材、及びガラス基板の下側周縁部より鉛直方向上方の上側周縁部を係止する第2支持部材を有し、ガラス基板を支持する。
ガイド部材は、ガラス支持部に支持されたガラス基板の厚さ方向一方の側と他方の側のそれぞれに設けられる。
このガラス収容部の構成によれば、ガラス基板の主面が平坦状である場合には、ガイド部材がガラス基板の主面から離間している。一方、ガラス基板の下側周縁部と上側周縁部がガラス支持部に支持されながら、ガラス基板21の主面が厚さ方向に変位して曲面状になる(以下、この変位状態をガラス基板21の「撓み」として説明する。)場合には、ガラス基板が第1支持部材と第2支持部材の少なくともいずれかとの係止が外れる前に、ガイド部材がガラス基板の凸側の主面に接する。これにより、ガラス基板の撓みを抑制できる。
上記のガラス収容部を用いるガラス基板の処理方法によれば、ガラス基板は、第1支持部材により自重が支持され、第2支持部材によりいずれかの主面側への倒れが規制されて、起立姿勢で保持される。これに加え、ガイド部材により撓みが抑制されたガラス基板の主面は、周囲の部材に押し当てられることが抑制されて、損傷しにくくなる。また、ガラス基板が、撓みによってガラス支持部から外れ、ガラス収容部から脱落して破損(割れ)することも抑制される。その結果、変形しやすい薄板ガラスを、処理後の変形を抑えつつ安定して支持することが可能となる。また、ガラス基板は、平坦状であるときには、ガラス支持部以外の周囲の部材と接触していないため、化学強化や洗浄・薬液処理の効果を妨げない。
次に、上記した本発明の一実施形態を以下に説明する。
<第1構成例>
図1は本発明に係るガラス基板の処理方法を説明する概略ブロック図である。
ここで例示するガラス基板の処理方法は、化学強化処理工程と、薬液処理工程とに大別される。化学強化処理工程は、更に化学強化工程11と、洗浄工程13とに分けられる。薬液処理工程は、更に酸処理工程15と、アルカリ処理工程17と、洗浄工程19とに分けられる。
特定塩を含む無機塩による化学強化工程11を含むガラス基板の処理方法においては、ガラスの清浄度を高めることを目的に、通常、化学強化処理の後の洗浄工程13、酸処理工程15における水リンス、アルカリ処理工程17における水リンス及びアルカリ処理工程後の洗浄工程13が実施される。これらの洗浄処理は、超音波を印加して行う超音波洗浄である場合がある。
本発明に係るガラス基板の処理方法は、ナトリウムを含むガラスを硝酸カリウムとKCO、NaCO、KHCO、NaHCO、KPO、NaPO、KSO、NaSO、KOH及びNaOHからなる群より選ばれる少なくとも一種の塩とを含む無機塩に接触させることによって、処理対象ガラス中のNaと上記した無機塩中のKとをイオン交換する化学強化工程11を含む。また、ガラス基板の処理方法は、化学強化工程11の後に処理対象ガラスを酸処理する酸処理工程15、酸処理工程15の後に処理対象ガラスをアルカリ処理するアルカリ処理工程17、及び前述した洗浄工程13,19を含む。
上記の化学強化処理及び薬液処理の詳細については、例えば、特開2019−6615号公報、特開2019−6650号公報と同様であるため、必要に応じて適宜参照されたい。
以下に説明する第1構成例のカセットを用いて液処理する工程は、ガラス基板21を化学強化処理する工程である。
化学強化工程では、以下の特有の課題がある。
ガラス基板21を溶融塩中で処理するため、ガラス基板21を支持する支持部材には耐薬性が求められる。また、支持部材とガラス基板21の間に停滞した塩が汚れとなって支持部材に付着してしまう。さらに、400℃付近の高温雰囲気でガラス基板21を処理するため、支持部材には耐熱性の材料を選定する必要がある。その他、高温処理後の降温時に、ガラス基板21の支持部材との接触部と非接触部とで、温度差を生じることや、溶融塩とガラス基板21の比重の差が小さいことにより、ガラス基板21が溶融塩等の液中での浮遊することを防止する必要がある。
(カセット及びガラス基板)
図2はガラス基板の化学強化工程で使用される第1構成例のカセット25を模式的に示す概略斜視図である。図2においては、カセット25の説明を簡単化するために、カセット25を模式的に示しており、ガラス基板21の収容枚数や各部の寸法は、これに限らず任意である。
ここで用いるガラス基板21は、互いに対向する1対の主面を有する。ガラス基板21は、主面の面積Aと、1対の主面同士の間の厚さtとの比A/tが25000以上、好ましくは50000以上、更に好ましくは100000以上である。
ガラス基板21は、厚さが0.2mm以下、例えば30μm〜150μmの厚さを有することが好ましい。また、ガラス基板21の幅W、高さH(図4参照)は、例えば、50mm〜800mm程度の小型のものから、1000mmを超える大型のもの等が、上記した比A/tに応じて適宜選定される。ここで示すガラス基板21は、上辺34及び下辺33の幅Wが互いに等しく、一対の側辺38の幅(高さH)も互いに等しい長方形を例示しているが、ガラス基板21の形状はこれに限らない。
ここでは、準備されたガラス基板を、複数枚同時に保持するガラス収容部29を有するカセット25を使用する。ガラス収容部29には、ガラス基板21が、主面を鉛直方向に略平行となる向きにして保持される。そして、ガラス基板21をガラス収容部29に保持させたまま、カセット25ごとガラス基板21を液処理する。
ガラス基板21を液処理する際は、複数枚のガラス基板21を収容したカセット25を単体で処理してもよいが、不図示のホルダに複数のカセット25を固定して、複数のカセット25に収容した多数のガラス基板群を同時に処理してもよい。その場合、ホルダは、カセット25を水平方向に連結してもよく、鉛直方向に連結してもよい。
カセット25のガラス収容部29は、ガラス支持部31と、ガイド部材23とを備える。
(ガラス支持部)
ガラス支持部31は、ガラス基板21の鉛直方向下方の下側周縁部である下辺33を係止する第1支持部材35、及びガラス基板21の下辺33より鉛直方向上方の上辺34及び側辺38を含む上側周縁部37を係止する第2支持部材39を有する。複数枚のガラス基板21は、第1支持部材35と第2支持部材39により所定の間隔を空けてガラス収容部29に支持される。ここでいう下側周縁部とは、ガラス基板21の鉛直方向の中心よりも下方の周縁部を意味する。
第1支持部材35と第2支持部材39は、枠状又は箱状に形成されたカセット本体27に、X方向の一方の端部から他方の端部までの間を一方向に沿って架け渡した状態で、長手方向の両端がそれぞれ固定される。つまり、第1支持部材35は、カセット本体27の底部において、Y方向に離間した互いに平行な2本が、X方向に沿って配置される。第2支持部材39は、カセット本体27のY方向両端部において、X方向に沿って配置される。
第1支持部材35と第2支持部材39は、複数枚のガラス基板21を、第1支持部材35と第2支持部材39の任意の支持凹部41に係止させて、互いに離間させながら互いに平行に支持する。
第1支持部材35と第2支持部材39は、図2ではそれぞれ2列配置されるが、それぞれ3列以上配置してもよい。また、第1支持部材35は下辺33の中央部に1列のみ配置した構成であってもよい。
第1支持部材35と第2支持部材39との鉛直方向に関する離間距離は、ガラス基板21の高さH(図4参照)の60%以上、好ましくは70%以上、90%以下、好ましくは80%以下に設定されるのが好ましい。
(ガイド部材)
ガイド部材23は、ガラス支持部31に支持されたガラス基板21の厚さ方向(X方向)一方の側と他方の側で、それぞれ主面に対向して設けられる。それぞれのガイド部材23は、例えば線材を平面視でU字状やV字状に曲げて形成できる。
第1支持部材35及び第2支持部材39並びにガイド部材23は、450℃以上の耐熱性を有する、例えばステンレス鋼材により構成される。第1支持部材35と第2支持部材39は、それぞれ同一の構成を有し、その表面は耐熱性を有するガラス繊維等の緩衝材で覆うことが好ましい。
図3は第1構成例のカセット25の概略平面図である。図4は第1構成例のカセット25をX方向から見た概略正面図である。なお、図3においては、カセット25下側の第1支持部材35を省略している。
図3に示す第2支持部材39(第1支持部材35も同様)には、ガラス基板21の厚さtより大きな溝幅Pbの支持凹部41が形成される。支持凹部41にはガラス基板21の周縁部が挿入され、ガラス基板21を第1支持部材35及び第2支持部材39の軸方向に位置決めしつつ支持する。
第1支持部材35と第2支持部材39には、円柱材の外周に、円周方向に沿って溝深さDbの周溝である支持凹部41がそれぞれ形成されている。支持凹部41は、第1支持部材35と第2支持部材39の軸線に沿って、互いに軸方向(X方向)の位相を一致させて複数箇所に設けられている。
支持凹部41は、軸方向断面が三角形状であるV溝である以外にも、矩形状等、他の形状であってもよい。支持凹部41の溝深さDbは、ガラス基板21の厚さtや主面の面積Aに応じて設定される。例えば、支持凹部41の溝深さDbは、ガラス基板21の厚さtの10倍以上が好ましく、より好ましくは20倍以上、更に好ましくは30倍以上であり、且つ、300倍以下が好ましく、より好ましくは200倍以下、更に好ましくは150倍以下である。
また、支持凹部41に支持されるガラス基板21は、ガラス基板21の板厚方向(X方向)に沿った配置間隔Ptを、ガラス基板21の主面の面積Aを1対の主面同士の間の厚さtで除算した値(A/t)に対し、0.00006〜0.0006倍の範囲にすることが好ましい。より好ましくは0.0008倍以上、更に好ましくは0.00010倍以上であり、より好ましくは0.0005倍以下、更に好ましくは0.0004倍以下の範囲にする。配置間隔Ptは、一定であることが好ましいが、不等間隔であってもよい。
さらに、第1支持部材35と第2支持部材39は、大径の円柱材を加工して、支持凹部41の溝深さDbを、ガラス基板21の厚さtの50〜100倍程度に形成してもよい。その場合、使用条件によっては、詳細を後述するガイド部材23のガラス支持機能を発揮できる。
図3に示すように、ガイド部材23は、ガラス基板21の周縁部(図4の側辺38)から主面の中央に向けて、支持凹部41の溝深さDbよりも長く張り出している(張り出し長さDa)のが好ましい。ガイド部材23は、例えば、線材をU字状に屈曲させて形成した先端の屈曲部23aと、屈曲部23aに接続された基端部23bとを有し、配列されたガラス基板21の主面に直交する仮想面(XY平面)内に配置される。基端部23bの線材は、直線状、又は仮想面内で互いの外側に広がる湾曲状に形成される。
ガイド部材23は、ガラス基板21の厚さ方向(X方向)に沿った一定の配置間隔Paで設けられるのが好ましい。好ましい配置間隔Paは、支持凹部41の溝幅Pbより長く、ガラス基板21の厚さの5000倍以下、より好ましくは4000倍以下、更に好ましくは2500倍以下である。
ガイド部材23の配置間隔Paを上記範囲にすることで、ガラス基板21とガイド部材23との離間距離を確保できる。
図4は図2に示す第1構成例のカセット25をX方向から見た概略正面図である。
ガイド部材23は、ガラス基板21の外周縁からガラス基板21の主面の中央に向けて張り出して設けられる。ガイド部材23がガラス基板21の側辺38から水平方向に張り出す場合、ガイド部材23の好ましい張り出し長さLaは、その張り出し方向におけるガラス基板21の幅Wの20%以上、より好ましくは30%以上であり、好ましくは幅Wの50%以下、より好ましくは40%以下である。
張り出し長さLaを上記した下限値以上にすることにより、ガラス基板21の過剰な撓みの発生が抑制され、確実にガラス基板21を支持した状態を維持できる。また、張り出し長さLaを上記した上限値以下にすることにより、ガラス基板21の主面とガイド部材23との接触が抑制され、ガラス基板21に接触による傷付き等の影響が及びにくくなる。
また、ガイド部材23は、主面を鉛直方向に起立させたガラス基板21の下辺33から鉛直方向に高さHaの位置に設けられる。高さHaの好ましい範囲Rは、ガラス基板21の高さHに対する45%の高さ位置以上、好ましくは50%の高さ位置以上、更に好ましくは60%の高さ位置以上であり、95%の高さ位置以下、好ましくは90%の高さ位置以下、更に好ましくは85%の高さ位置以下である。ここで、高さHに対するn%の高さ位置とは、ガラス基板21の下辺33に、高さHのn%分の高さを付加した高さ位置を意味する。
ガイド部材23をガラス基板21の上記範囲Rに配置することにより、ガラス基板21が撓んだ場合に、ガイド部材23がガラス基板21の中心部を避けた位置で接触する。このため、ガラス基板21の主面の主要部を保護できる。また、ガイド部材23と、撓んだガラス基板21との接触位置では、大きな接触圧が生じず、効率よくガラス基板21を支持できる。
図4に示すガイド部材23は、ガラス基板21の鉛直方向に関して、第2支持部材39とガラス基板21の上辺34との間に配置されているが、ガラス基板21の下辺33側にもガイド部材を配置してもよい。つまり、ガイド部材23の下方となる、ガラス基板21の下辺33から、ガラス基板21の高さHに対する50%の高さ位置までの範囲に、下方ガイド部材24を配置する。その場合、ガラス基板21の上辺34側と下辺33側との双方にガイド部材が配置され、撓んだガラス基板21をより安定して支持できる。
また、ガイド部材23に代えて、下方ガイド部材24のみをガラス基板21の下辺33側に配置することもできる。その場合には、ガイド部材の数を増やしたり、張り出し長さを延長したりして、ガイド部材とガラス基板21との接触長さを十分に確保することが好ましい。
(作用の説明)
次に、上記した構成の作用を説明する。
図5は、ガイド部材23と変形時のガラス基板21との位置関係を表した要部平面図である。
ガラス支持部31は、対向する第2支持部材39の支持凹部41に、ガラス基板21の側辺38(図4参照)を係止する。このガラス基板21を係止した支持凹部41に隣接してガイド部材23が設けられる。
ガラス基板21が平坦状である場合には、ガイド部材23がガラス基板21の主面から離間している。ガラス基板21が厚さ方向(X方向)に撓んだ場合には、ガラス基板21が第1支持部材35と第2支持部材39の少なくともいずれかとの係止が外れる前に、ガイド部材23がガラス基板21の凸側の主面に接して、ガラス基板21の撓みを抑制する。この場合、ガラス基板21は曲面状に撓むので、線材からなるガイド部材23と略点接触状態となる。つまり、ガイド部材23は、小さな領域でガラス基板21と接触するだけで済む。
このように、ガラス基板21は、第1支持部材35で自重が支持され、第2支持部材39で厚さ方向のいずれかの主面側への倒れが規制された状態で、起立姿勢で保持される。つまり、ガラス基板21は重力の作用のみで、基板支持のための外力を加えることなく安定して保持される。この保持状態では、ガラス基板21は、外力によって強制的に屈曲させていないので、化学強化処理によりガラス基板21の一方と他方の主面で応力差が発生せず、ガラス基板21の化学強化処理後の変形が防止される。
これに加え、ガラス支持部31にはガイド部材23が備えられる。ガイド部材23は、ガラス基板21が大きく撓む際に、ガラス基板21の凸側の主面に接して、又は凸側の主面を元の平坦形状に戻すように押し返す。これにより、ガラス基板21の過度な撓みが抑制される。つまり、仮にガラス基板21が大きく撓んでも、第1支持部材35の支持凹部41から下辺33の係止が外れたり、第2支持部材39の支持凹部41から側辺38の係止が外れたりする前に、ガイド部材23によって押さえられ、係止状態が常に維持される。よって、ガラス基板21が撓んだ場合でも、ガラス基板21がガラス収容部から脱落して破損(割れ)することを確実に防止できる。また、ガイド部材23が存在することで、ガラス基板21が、大きく撓んで周囲の部材に押し当てられることがなく、損傷を生じることがない。
そして、ガイド部材23が線材の曲げ加工により形成されることで、例えば、平板状の部材で構成する場合と比較して、液流の妨げが生じにくくなり、ガラス基板21の液処理をムラなく実施できる。
そして、このガラス基板の処理方法では、ガラス基板21が、形状変化(撓みや反り)が生じやすい厚さ0.2mm以下の薄板ガラスであっても、安定してガラス基板21を保持できる。また、カセット25に支持される複数枚のガラス基板21に、平坦度のばらつきが生じることを抑制できる。
第1支持部材35及び第2支持部材39には、ガラス基板21の厚さより大きな溝幅を有した支持凹部41が形成される。支持凹部41がV字状の溝であれば、ガラス基板21の1対の主面と、1対の主面同士を接続する外周端面と、が交わる1対の角部(エッジ)は、V字状の溝の溝内面に接する。その場合、1対の主面には支持凹部41が接することなく、支持凹部41の接触による主面の傷付きが防止される。
ガイド部材23は、ガラス基板21の周縁部から主面の中央に向けて張り出しており、この張り出し量Laは、ガラス基板21の張り出し方向の幅W(上辺34や下辺33から張り出す場合には高さH)に応じて設定される。ガラス基板21が撓むと、主面の中央部分では、ガラス基板21の厚さ方向の変形(突出)量が周縁部よりも大きくなるので、張り出したガイド部材23によってガラス基板21の撓みが規制される。このガイド部材23による変形抑制効果は、ガイド部材23が主面の中央まで張り出すことにより最大となる。
また、第1支持部材35と第2支持部材39は、それぞれ一方向に沿って、カセット本体27に架け渡され、その長手方向に沿って複数の支持凹部41が並んで形成されている。このように、それぞれの支持凹部41は、第1支持部材35と第2支持部材39の長手方向に位相を一致させて、つまり、対応する位置にそれぞれ形成されているので、複数のガラス基板21を互いに平行に支持できる。よって、カセット本体27は、複数のガラス基板21を互いに離間させて一括して支持できる。
そして、高温の溶融塩中にガラス基板21を配置して化学強化工程を実施する場合、ガラス支持部31が、ガラス基板21に外力を付与することなくガラス基板21を支持する。また、ガイド部材23が、ガラス基板21に生じる撓みを抑制し、ガラス支持部31からの脱落を防止する。これにより、ガラス基板21を、自重により起立させた状態で、撓みを抑制しつつ確実に保持でき、ガラス基板21の安定した化学強化処理が可能となる。
また、第1支持部材35及び第2支持部材39並びにガイド部材23は、ステンレス鋼材により構成されるため、処理温度が例えば330℃〜450℃の高温に達する化学強化工程において、材料の劣化や変形が生じにくい。これにより、第1支持部材35及び第2支持部材39並びにガイド部材23の変形によるガラス基板21の脱落や、撓み規制作用の低下が防止され、ガラス基板21の安定した支持が可能となる。
次に、上記した第1構成例の変形例を説明する。
(第1、第2変形例)
図6(A)は第1変形例のガイド部材23の配置を示すカセットの要部平面図、図6(B)は第2変形例のガイド部材の配置を示すカセットの要部平面図である。
第1変形例のガイド部材23は、図6(A)に示すように、カセット本体27の片側の側部のみから張り出している。この場合、ガイド部材23は、張り出し方向の先端がガラス基板21の水平方向中央を越える張り出し長さを有することが好ましい。
また、第2変形例のガイド部材23は、図6(B)に示すように、カセット本体27の互いに対向する一方の側と他方の側との両側からガイド部材23の並び方向に関して交互に張り出している。この場合、ガイド部材23の張り出し方向の先端は、ガラス基板21の中央を越えていることが好ましいが、越えていなくてもよい。
(第3〜第6変形例)
図7(A)は第3変形例のガイド部材の配置を示すカセットの正面図、図7(B)は第4変形例のガイド部材の配置を示すカセットの正面図、図7(C)は第5変形例のガイド部材の配置を示すカセットの正面図、図7(D)は第6変形例のガイド部材の配置を示すカセットの正面図である。
図7(A)に示すように、第3変形例のガイド部材23は、カセット本体27をX方向から見た正面視において、カセット本体27の上辺部27aから、下向きに張り出して配置される。また、図7(B)に示すように、第4変形例のガイド部材23は、カセット本体27の互いに対向する一方の側辺部27bと他方の側辺部27cとの両側に、上向きに張り出すように傾斜して配置される。
第2、第4変形例のガイド部材23によれば、ガラス基板21が撓み、ガラス基板21の主面にガイド部材23が接触する際、ガラス基板21とガイド部材23とが点接触状態となる。これにより、ガラス基板21に及ぶガイド部材23との接触による傷付き等の影響が最小限で済む。
また、図7(C)、図7(D)に示すように、第5変形例では円形のガイド部材23A、第6変形例では四角形のガイド部材23Bを用いている。このように、ガイド部材を環状に形成することで、ガイド部材23A,23Bの、ガラス基板21の主面との厚さ方向に重なる部分が曲線状となる。この場合、ガイド部材23はガラス基板21に線接触するため、ガラス基板21への接触圧を低減できる。
(第7変形例)
図8は第7変形例のカセット25Aの斜視図である。
カセット25Aのカセット本体27は、複数のガラス基板21の上方に、ガラス基板21の浮き上がりを防止するストッパ部材43を設けてある。ストッパ部材43は、カセット本体27の上部に取り付けられ、X方向に沿う方向が長手方向となる桟材である。ストッパ部材43は、ガラス基板21の上辺34に接近又は接触させて、カセット本体27から着脱自在に固定される。ストッパ部材43をカセット本体27から取り外した状態でガラス基板21をカセット本体27に収容し、ガラス基板21の収容後に、ストッパ部材43をカセット本体27に固定する。
上記構成のカセット25Aが処理液等の液中に配置されると、それぞれのガラス基板21には浮力が発生する。その場合でも、本構成によれば浮力により浮き上がろうとするガラス基板21の上辺34がストッパ部材43に接して、これ以上の移動が阻止される。このようにして、ガラス基板21の浮き上がりが規制され、第1支持部材35の支持凹部41からガラス基板21の下辺33が離脱するのを抑止できる。よって、液中においても安定したガラス基板21の保持が可能となる。ストッパ部材43によりガラス基板21が浮き止めされる効果は、溶融塩とガラスの比重の差が小さいことにより、ガラス基板が浮遊しやすい化学強化工程において特に有用である。
上記した第1構成例、及び各変形例においては、支持凹部41を図9(A)に示すような軸方向断面がV字状の溝として説明したが、これに限らない。支持凹部41は、図9(B)に示すように、軸方向断面が矩形状の溝41Aであってもよい。その場合、溝41Aの溝幅Pcは、ガラス基板21の厚さtより大きく、厚さtの1.5倍以上、3倍以下であることが好ましい。
図10は1対の第2支持部材39とガラス基板21との寸法関係を表した要部平面図である。
第2支持部材39の支持凹部41がV字状の溝である場合、各支持凹部41の溝内面が、ガラス基板21のY方向の両端部(側辺)を支持する。このとき、ガラス基板21のY方向両端部における1対のエッジに、支持凹部41の溝内面が接する状態が、1対の第2支持部材39同士の最小の軸間距離Lsaとなる。
しかし、カセット本体等の各部に温度変化が生じると、線膨張係数が特に小さいガラス基板21との間に熱膨張(収縮)差が生じる。そのため、1対の第2支持部材39は、軸線Oaの位置を軸線Obに変更して、最小の軸間距離Lsaよりも大きい軸間距離Lsbで配置することが好ましい。これにより、カセット本体27や第2支持部材39等の熱膨張により、ガラス基板21に応力が加わることを回避できる。
<第2構成例>
以上、ガラス基板を化学処理する場合を説明した。次に、ガラス基板を薬液処理場合について説明する。
第2構成例のカセットを用いて液処理する工程は、化学強化処理後の薬液処理工程であって、酸処理工程15、及び酸処理工程後のアルカリ処理工程17、及び洗浄工程19を含む。
薬液処理工程では、以下の特有の課題がある。
処理液に流れを付与するため、静水状態と比べてガイド部材によるガラス基板の保持力が必要となる。また、ガラス基板の主面の傷付きや汚れの付着を防止する必要がある
ただし、薬液処理工程では、第1支持部材47及び第2支持部材49並びにガイド部材51に、耐薬品性(耐酸性、耐アルカリ性)、耐熱性の有無は特に問題とならない。そのため、第1支持部材47及び第2支持部材49並びにガイド部材51の材料として、フッ素含有樹脂(PFA(パーフルオロアルコキシアルカン),PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等)やPP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)等の樹脂材料の使用が可能となる。また、ガラス基板とガイド部材との接触長さ(又は、接触点数、接触点の配置密度)は、化学強化工程の場合とは逆に、大きくすることが接触面圧を下げる観点で好ましい。
(カセット)
図11はガラス基板の薬液処理工程で使用される第2構成例のカセット45を模式的に示す概略斜視図である。図11においては、カセット45の説明を簡単化するために、カセット45を模式的に示しており、ガラス基板21の収容枚数や各部の寸法は、これに限らず任意である。
カセット45は、複数枚のガラス基板を同時に保持するガラス収容部29を有する。ガラス収容部29は、ガラス支持部31と、ガイド部材51とを備える。
ガラス支持部31は、ガラス基板21の鉛直方向下方の下辺33を係止する第1支持部材47、及びガラス基板21の下辺33より鉛直方向上方の側辺38を係止する第2支持部材49を有する。
なお、第1支持部材35と第2支持部材39は、それぞれ3列以上配置してもよい。また、第1支持部材35は1列のみ配置した構成であってもよい。
第1支持部材47と第2支持部材49は、第1構成例と同様に、枠状又は箱状に形成されたカセット本体53に、一方の端部から他方の端部まで架け渡された状態で、長手方向の両端が固定される。
本構成のカセット45は、薬液処理工程で用いるために、カセット45に設けられるガラス支持部31及びガイド部材51が、化学強化工程のカセット25に用いられたものとは異なっている。
(ガイド部材)
本構成のカセット本体53に設けられるガイド部材51は、ステンレス鋼の線材が屈曲されることにより、平面視で略半円の環状に形成され、その線材の外表面に上記した樹脂材料のチューブが被せられる。
図12は第2構成例のガイド部材51の軸線直交方向の断面図である。
ガイド部材51は、線材である芯材55の表面がフッ素含有樹脂等の樹脂材料57で覆われている。
また、図11に示すガラス支持部31である第1支持部材47及び第2支持部材49は、上記したフッ素含有樹脂等の樹脂材料により形成される。
図13は第2構成例のカセット45の概略平面図である。図13においては、カセット45下側の第1支持部材47を省略している。
第2支持部材49には、複数の支持凹部41が溝幅Pbで形成される。また第2支持部材49には、複数のガイド部材51が配置される。各ガイド部材51は、ガラス基板21の厚さ方向(X方向)に沿って一定の配置間隔Pdで設けることが好ましい。ガイド部材51の配置間隔Pdは、第1構成例のガイド部材23の配置間隔Pa(図3参照)よりも短い。つまり、ガイド部材51は、第1構成例の場合よりもガラス基板21の近くに配置される。
ガイド部材51の配置間隔Pdは、ガラス基板21の厚さtの5000倍以下が好ましく、より好ましくは4000倍以下、更に好ましくは2500倍以下である。また、配置間隔Pdは、支持凹部41の溝幅Pb以上である。
図14は第2構成例のカセット45のX方向から見た概略正面図である。
ガイド部材51は、ガラス基板21の主面と平行な仮想面内に配置される。ガイド部材51は、上側の直線部51aと、直線部51aの両端から下方に向けて突出する曲線部51bとを有する平面視でD字形の形状を有する。このガイド部材51は、曲線部51bの、直線部51aの両端との接続位置で第2支持部材49に支持される。
ガイド部材51は、酸処理工程、アルカリ処理工程、洗浄工程等の薬液処理工程のように、ガラス基板21が液流による外力を受ける場合でも、撓みを生じたガラス基板を確実に保持する必要がある。そのため、ガイド部材51をガラス基板21の主面と広い範囲にわたって接触させることが好ましい。
そこで、ガイド部材51の形状を次のように設定する。
ガイド部材51を、第1支持部材47と第2支持部材49に支持されたガラス基板21の板厚方向(X方向)からガラス基板21の主面に投影する。図15はガイド部材51とガラス基板21の主面とが重なり合う領域を陰影Sで表した2次元の投影像61を模式的に示す説明図である。
投影像61の陰影Sをガラス基板21の水平方向(Y方向)に沿ってガラス基板21の鉛直辺63に投影(Pj_y)して、一次元の陰影垂直分布を求める。図15には、陰影Sを投影した結果を陰影存在領域65として示している。この陰影垂直分布における陰影存在領域65の合計幅Ghは、ガラス基板11の鉛直方向の幅Hの50%以上が好ましく、より好ましくは60%以上、更に好ましくは70%以上にするとよい。
また同様に、投影像61の陰影Sをガラス基板21の鉛直方向(Z方向)に沿ってガラス基板21の水平辺67に投影(Pj_z)して、一次元の陰影水平分布を求める。この陰影水平分布における陰影存在領域69の合計幅Gwは、ガラス基板21の水平方向の幅Wの50%以上が好ましく、より好ましくは60%以上、更に好ましくは70%以上にするとよい。
なお、図示は省略するが、ガイド部材51が、ガラス基板21の主面に対向する複数箇所に設けられた場合には、上記した陰影Sが投影像61の複数箇所に分散して存在する。その場合は、複数の陰影Sをそれぞれ水平方向に投影して得られる複数又は互いに重なり合った単一の陰影存在領域65の合計幅を、上記した陰影存在領域の合計幅Ghとする。同様に、複数の陰影Sを鉛直方向に投影して得られる複数又は互いに重なり合った単一の陰影存在領域69の合計幅を、上記した陰影存在領域の合計幅Gwとする。
陰影垂直分布の陰影存在領域65及び陰影水平分布における陰影存在領域69は、ガラス基板21の重心位置、つまり主面中央Oが含まれることが好ましい。その場合、ガイド部材51がガラス基板21の主面中央Oを含む領域に接触するので、ガラス基板21は、ガイド部材51によって更に安定した形態で支持される。
ガイド部材51の形状は、上記したD字形に限らず、ガラス基板21が撓む際に、処理液の流動を妨げない範囲でガラス基板21との接触長さや接触点数を大きくするほど好ましい。これにより、撓んだガラス基板21を、接触圧を小さく抑えて安定して支持できる。
(作用の説明)
次に、上記した構成の作用を説明する。
このガラス基板の処理方法では、液流中にガラス基板21が配置される薬液処理工程で、カセット45が、ガラス基板21をガラス支持部31及びガイド部材51により保持する。そして、ガイド部材51のガラス基板21との接触長さや接触点数を増加させることで、ガラス基板21の保持能力がより高められる。これにより、カセット45は、液処理中にガラス基板21に液流による外力が作用しても、ガラス基板21を傷付けることなく起立させた状態で保持し続ける。その結果、ガラス基板21の安定した処理が可能となる。
第1支持部材47及び第2支持部材49並びにガイド部材51は、フッ素含有樹脂等の樹脂材料57で表面が覆われている。そのため、液流がある薬液処理工程であっても、第1支持部材47及び第2支持部材49並びにガイド部材51にガラス基板21が接触しても、ガラス基板21が傷付くことはない。さらに、樹脂材料57がフッ素含有樹脂である場合には、汚れが付着しにくくなり、ガラス基板21への汚れの付着を抑制できる。
ガイド部材51の配置間隔Pdは、化学強化工程におけるガイド部材の配置間隔Pa(図3参照)よりも短い前述した範囲の間隔に設定される。このため、液流によってガラス基板21に生じる撓みが小さく抑えられる。
カセット45のカセット本体53には、前述した図8に示すストッパ部材43を設けることが好ましい。これにより、ガラス基板21の浮遊がより確実に抑制される。
<その他の適用例>
ガラス基板の処理方法は、図1に示す化学強化工程11、薬液処理工程である酸処理工程15、アルカリ処理工程17、及び洗浄工程19に適用したが、その他に、化学強化工程11後の洗浄工程13にも適用できる。その場合のカセットは、液を撹拌しない洗浄工程13では、第1構成例の化学強化工程と同様の構成とする。
したがって、このガラス基板の処理方法によれば、液処理内容により異なる制約に応じて、それぞれに適した構成のカセットを用いることで、各液処理でのガラス基板の支持を適切に行える。その結果、ガラスの品質に影響を与えることなく、ガラス板を板面内で安定して保持したまま、各種の処理工程を実施できる。よって、歩留まりが高く、処理後のガラスの変形が抑えられたガラス基板21を安定して製造できる。
このように、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、実施形態の各構成を相互に組み合わせることや、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
上記の実施形態では薄板ガラスを支持する構成を例示しているが、これに限らない。本発明に係るガラス基板の処理方法によれば、主面の面積に対して厚さが十分に小さい、大判のガラス板についても同様に安定して支持できる。例えば、大型の液晶ディスプレイや、建造物の窓等に使用される一辺が例えば1000mmを超える大型のガラス板においては、重力によってガラス板が平坦状から変形しやすくなる。そのようなガラス板を液処理する際に、薄いガラス板の場合と同様に安定して保持できる。
ここでは、図2に示すカセットを用いて化学強化処理工程を実施した後、図11に示すカセットを用いて薬液処理工程を実施したガラス基板(実験例1〜4)と、ガラス基板を曲げ変形させながら支持するカセットを用いて化学強化処理及び薬液処理工程を実施したガラス基板(実験例5〜7)とを比較した。各ガラス基板の処理条件及び処理結果を表1に示す。ガラス基板は、実験例1と実験例5は0.13mm、実験例2と実験例6は0.10mm、実験例3と実験例7は0.07mm、実験例4では0.05mmの厚さものを使用した。また、各ガラス基板は、そのベース材として化学強化用特殊ガラス(登録商標:Dragontrail Pro)を用いた。
Figure 2021031371
化学強化処理工程で使用したガイド部材及び第2支持部材と、薬液処理工程で使用したガイド部材の各寸法を表2,表3に示す。実験例1〜4の化学強化処理工程ではタイプ1のガイド部材及び第2支持部材を使用した。
Figure 2021031371
Figure 2021031371
実験例1〜4の化学強化処理は、ガラス基板を平坦に保持して曲げのない状態で実施し、実験例5〜7の化学強化処理は、従来と同様に、ガラス基板に外力を加えて屈曲させたまま保持した状態で実施した。
その結果、実験例5〜7においては、ガラス基板の一対の主面(第一面、第二面)における圧縮応力値CSの差の比率(圧縮応力差比率ΔCS)は、1.1〜2.4%であり、圧縮応力層の深さDOLの差の比率(圧縮応力層深さ比率ΔDOL)は、1.6〜3.9%であった。割れのないガラス基板の収率(割れ無し収率)は79〜95%となり、ガラス基板に変形が認められた。
一方、実験例1〜4においては、圧縮応力差比率ΔCSが0.2〜0.6%と実験例5〜7よりも小さくなり、圧縮応力層深さ比率ΔDOLが0.1〜1.1%と実験例5〜7よりも小さくなった。また、割れなし収率は、実験例1,2,4で99%以上、最低でも96%であり、ガラス基板の変形は殆ど認められなかった。これらの結果は、ガラス基板を屈曲させていないためと考えられる。
以上のように、圧縮応力差比率ΔCS,圧縮応力層の深さ比率ΔDOLは、実施例としての実験例1〜4の値が、比較例としての実験例5〜7よりも小さく、実験例1〜4では実験例5〜7よりも安定した化学強化処理が実現できたといえる。なお、変形度合いは、ガラス基板の全体にわたって殆ど変形が確認されない場合を「○」、一部に変形が確認された場合を「△」、実使用に支承を及ぼす大きな変形が確認された場合を「×」と評価している。
なお、化学強化処理工程でタイプ2,タイプ3のガイド部材を用いた場合でも、タイプ1を用いた場合と同様に、実験例5〜7よりも圧縮応力比率、圧縮応力層福生比率、割れなし収率、基板の変形度合いのいずれも良好となる結果が得られた。
以上の通り、本明細書には次の事項が開示されている。
(1) 互いに対向する1対の主面を有し、前記主面の面積Aと、前記1対の主面同士の間の厚さtとの比A/tが25000以上であるガラス基板を準備する工程と、
前記ガラス基板を前記主面が鉛直方向に略平行となる向きでガラス収容部に保持させる工程と、
前記ガラス基板を前記ガラス収容部に保持させたまま、前記ガラス基板を液処理する工程と、
を備えるガラス基板の処理方法であって、
前記ガラス収容部は、
前記ガラス基板の鉛直方向下方の下側周縁部を係止する第1支持部材、及び前記ガラス基板の前記下側周縁部より鉛直方向上方の上側周縁部を係止する第2支持部材により前記ガラス基板を支持するガラス支持部と、
前記ガラス支持部に支持された前記ガラス基板の厚さ方向一方の側と他方の側のそれぞれに設けられたガイド部材と、
を備え、
前記ガラス基板が平坦状である場合には、前記ガイド部材が前記ガラス基板の前記主面から離間し、
前記ガラス基板が撓んだ場合には、前記ガラス基板が前記第1支持部材と前記第2支持部材の少なくともいずれかとの係止が外れる前に、前記ガイド部材が前記ガラス基板の凸側の前記主面に接して、前記ガラス基板の撓みを抑制する、
ガラス基板の処理方法。
このガラス基板の処理方法によれば、ガラス基板は、第1支持部材で自重が支持され、第2支持部材でいずれかの主面側への倒れが規制され、起立姿勢で保持される。つまり、ガラス基板は外力を加えることなく自重だけで保持される。ガラス支持部には、ガイド部材が備えられる。ガイド部材は、ガラス基板が第1支持部材と第2支持部材の少なくともいずれかとの係止が外れる前に、ガラス基板の凸側の主面に接して、ガラス基板の撓みを抑制する。ガイド部材により撓みが抑制されて支持されたガラス基板は、ガラス収容部からの脱落による破損(割れ)を確実に防止できる。また、ガラス表面が大きく撓んで周囲の部材に押し当てられることがないため、ガラス基板の損傷が生じにくくなる。
(2) 前記ガラス基板の厚さは0.2mm以下である、(1)に記載のガラス基板の処理方法。
このガラス基板の処理方法によれば、ガラス支持部及びガイド部材によって、厚さが0.2mm以下の薄板ガラスであっても、ガラス収容部に安定して保持できる。
(3) 前記ガイド部材は、線材を曲げ加工して形成されている、(1)又は(2)に記載のガラス基板の処理方法。
このガラス基板の処理方法によれば、ガイド部材が線材から形成されることで、液流の妨げが生じにくく、ガラス基板の液処理をムラなく実施できる。
(4) 前記第1支持部材と前記第2支持部材は、前記ガラス基板の前記厚さより大きい溝幅の支持凹部が形成され、前記支持凹部に前記ガラス基板の周縁部が挿入されて前記ガラス基板を支持する、(1)〜(3)のいずれか1つに記載のガラス基板の処理方法。
このガラス基板の処理方法によれば、ガラス基板の周縁部が支持凹部に挿入された状態でガラス基板が安定して支持される。また、第1支持部材と第2支持部材の各支持凹部によって、ガラス基板を任意に位置決めでき、支持姿勢を設定できる。
(5)前記ガイド部材は、前記ガラス基板の周縁部から前記主面の中央に向けて、前記支持凹部の溝深さよりも長く張り出している、(4)に記載のガラス基板の処理方法。
このガラス基板の処理方法によれば、ガラス基板が撓んだ場合に、張り出したガイド部材がガラス基板の凸側の主面の中央部分に接することで、ガラス基板の撓みを安定して規制できる。
(6) 前記第1支持部材と前記第2支持部材は、それぞれの長手方向に沿って複数の前記支持凹部が形成され、
前記ガラス収容部は、枠状又は箱状に形成されたカセット本体に、前記第1支持部材と前記第2支持部材がそれぞれ一方向に沿って架け渡されており、
複数枚の前記ガラス基板を、前記第1支持部材と前記第2支持部材との前記支持凹部に係止させて、互いに離間させて支持する、(4)又は(5)に記載のガラス基板の処理方法。
このガラス基板の処理方法によれば、ガラス基板は、第1支持部材と第2支持部材のそれぞれの支持凹部は、第1支持部材と第2支持部材の長手方向に複数形成されているので、複数のガラス基板を平行に支持できる。つまり、カセット本体は、複数枚のガラス基板を互いに離間させて一括して支持できる。
(7) 前記カセット本体の前記複数のガラス基板の上方に、前記ガラス基板の浮き上がりを防止するストッパ部材が設けられている、(6)に記載のガラス基板の処理方法。
このガラス基板の処理方法によれば、カセット本体が液体中に配置されて、それぞれのガラス基板に浮力が発生しても、カセット本体の上方に設けたストッパ部材にガラス基板の上辺の周縁部が接することで、ガラス部材の浮き上がりが規制される。これにより、液体中においても安定したガラス基板の保持が可能となる。
(8) 前記支持凹部の前記ガラス基板の厚さ方向に沿った溝幅は、前記ガラス基板の厚さの10倍以上、300倍以下である、(4)〜(7)のいずれか1つに記載のガラス基板の処理方法。
このガラス基板の処理方法によれば、支持凹部の溝内面とガラス基板との間に適切な間隙が確保されて、ガラス基板を安定して支持できる。
(9) 前記ガラス基板の該ガラス基板の厚さ方向に沿った配置間隔は、前記ガラス基板の主面の面積を1対の主面同士の間の厚さで除算した値に対し、0.00006〜0.0006倍の範囲である、(4)〜(8)のいずれか1つに記載のガラス基板の処理方法。
このガラス基板の処理方法によれば、ガラス基板の配置間隔を、ガラス基板の厚さと主面の面積とに応じた適切な長さに設定でき、ガラス基板を安定して支持できる。
(10) 前記ガイド部材が前記ガラス基板の厚さ方向に沿って配置される配置間隔は、前記支持凹部の溝幅より長く、前記ガラス基板の厚さの5000倍以下である、(4)〜(9)のいずれか1つに記載のガラス基板の処理方法。
このガラス基板の処理方法によれば、ガイド部材を支持凹部の配置間隔より広い間隔で配置することで、隣接するガイド部材同士の間にガラス基板を支持できる。
(11) 前記ガイド部材の鉛直方向に関する配置位置は、前記ガラス基板の下辺から前記ガラス基板の鉛直方向の幅の45%の高さ以上、95%の高さ以下の範囲を含む、(4)〜(10)のいずれか1つに記載のガラス基板の処理方法。
このガラス基板の処理方法によれば、ガラス基板の鉛直方向上側にガイド部材が配置されるため、ガラス基板の撓みを効率よく規制でき、ガラス基板への接触面圧を低減できる。
(12) 前記ガイド部材が前記ガラス基板の一方の側辺から他方の側辺に向けて張り出す張り出し量は、前記ガラス基板の水平方向の幅の20%以上である、(4)〜(11)のいずれか1つに記載のガラス基板の処理方法。
このガラス基板の処理方法によれば、ガラス基板の鉛直方向上側にガイド部材が配置されるため、ガラス基板の撓みを効率よく規制でき、ガラス基板への接触面圧を低減できる。
(13) 前記ガラス基板の一方の側辺と他方の側辺から、それぞれ前記ガラス基板の主面中央に向けて張り出す一対の前記ガイド部材が設けられている、(11)又は(12)に記載のガラス基板の処理方法。
このガラス基板の処理方法によれば、ガラス基板の一方の側辺と他方の側辺の双方からガイド部材がそれぞれ張り出して配置されるため、撓んだガラス基板をバランスよく支持できる。
(14) 前記液処理する工程は、前記ガラス基板を化学強化処理する工程である、(1)〜(13)のいずれか1つに記載のガラス基板の処理方法。
このガラス基板の処理方法によれば、高温の溶融塩中にガラス基板が配置される化学強化処理において、ガラス基板をガラス支持部及びガイド部材によって、自重によりガラス基板を起立させた状態で保持できる。この保持状態では、ガラス基板は外力によって強制的に変形させていないため、化学強化処理によりガラス基板の表裏で応力差が発生せず、化学強化処理後のガラス基板の変形が抑制される。
(15) 前記第1支持部材及び前記第2支持部材並びに前記ガイド部材は、ステンレス鋼材により構成される、(14)に記載のガラス基板の処理方法。
このガラス基板の処理方法によれば、化学強化処理によって400℃付近の高温の処理温度に晒されても、第1支持部材及び第2支持部材並びにガイド部材の熱変形や劣化を防止できる。また、高い剛性のため、ガラス基板を安定して支持できる。
(16)前記ガラス基板の下辺から前記ガラス基板の鉛直方向の幅の45%の高さ未満の範囲に、前記ガイド部材よりも下方に配置される下方ガイド部材を更に設ける、(14)又は(15)に記載のガラス基板の処理方法。
このガラス基板の処理方法によれば、ガラス基板が撓む際に、ガラス基板の上辺側と下辺側が共にガイド部材に接触することで、より安定してガラス基板を支持できる。
(17) 前記液処理する工程は、化学強化処理後に実施される、液流を伴う薬液処理工程及び前記薬液処理工程で実施する洗浄工程である、(1)〜(13)のいずれか1つに記載のガラス基板の処理方法。
このガラス基板の処理方法によれば、液流中にガラス基板が配置される薬液処理工程やその際の洗浄工程において、ガラス基板に液流による外力が作用しても、ガラス基板がガラス支持部及びガイド部材によって確実に保持される。
(18) 前記第1支持部材及び前記第2支持部材並びに前記ガイド部材は、少なくとも表面が樹脂材料で構成されている、(17)に記載のガラス基板の処理方法。
このガラス基板の処理方法によれば、第1支持部材及び第2支持部材並びにガイド部材に、樹脂材料を介してガラス基板が接触するため、ガラス基板の傷付きを防止できる。
(19) 前記樹脂材料は、フッ素含有樹脂である、(18)に記載のガラス基板の処理方法。
このガラス基板の処理方法によれば、第1支持部材及び第2支持部材並びにガイド部材がフッ素含有樹脂で覆われるため、汚れや異物が付着しにくくなり、ガラス基板へ汚れや異物が転写されにくくなる。
(20) 前記ガイド部材を、前記ガラス支持部に支持されたガラス基板の板厚方向から前記ガラス基板の主面に投影して、前記ガイド部材と前記ガラス基板の主面とが重なり合う領域を陰影で表した2次元の投影像において、
前記投影像の陰影を前記ガラス基板の水平方向に沿って前記ガラス基板の鉛直辺に投影した一次元の陰影垂直分布における陰影存在領域の合計幅は、前記ガラス基板の鉛直方向の幅の50%以上であり、
前記投影像の陰影を前記ガラス基板の鉛直方向に沿って前記ガラス基板の水平辺に投影した一次元の陰影水平分布における陰影存在領域の合計幅は、前記ガラス基板の水平方向の幅の50%以上である、(17)〜(19)のいずれか1つに記載のガラス基板の処理方法。
このガラス基板の処理方法によれば、ガイド部材がガラス基板の主面と重なる領域が、ガラス基板の鉛直方向の幅と水平方向の幅のそれぞれ50%以上であることで、主面の半分以上の領域がガイド部材と当接するため、ガラス基板をより安定して支持できる。また、接触領域が増加することで、ガラス基板に損傷が及ぶことを抑制できる。よって、静水状態に近い化学強化処理とは異なり、ガラス基板が液流による外力を受ける薬液処理工程及び洗浄工程においても、ガラス基板とガイド部材との接触を増加させて、撓みを生じたガラス基板を損傷させずに確実に保持できる。
(21) 前記陰影垂直分布及び前記陰影水平分布における前記陰影存在領域は、前記ガラス基板の主面中央が含まれている、
(20)に記載のガラス基板の処理方法。
このガラス基板の処理方法によれば、ガイド部材がガラス基板の主面中央を含む領域に接触することで、ガラス基板は、ガイド部材によって更に安定した形態で支持される。
11 化学強化工程(化学強化処理工程)
13 洗浄工程(化学強化処理工程)
15 酸処理工程(薬液処理工程)
17 アルカリ処理工程(薬液処理工程)
19 洗浄工程(薬液処理工程)
21 ガラス基板
23,51 ガイド部材
25,45 カセット
25A カセット
27,53 カセット本体
29 ガラス収容部
31 ガラス支持部
33 下辺
34 上辺
37 上側周縁部
35,47 第1支持部材
37 上側周縁部
38 側辺
39,49 第2支持部材
41 支持凹部
41A 溝(支持凹部)
43 ストッパ部材
55 芯材
57 樹脂材料

Claims (21)

  1. 互いに対向する1対の主面を有し、前記主面の面積Aと、前記1対の主面同士の間の厚さtとの比A/tが25000以上であるガラス基板を準備する工程と、
    前記ガラス基板を前記主面が鉛直方向に略平行となる向きでガラス収容部に保持させる工程と、
    前記ガラス基板を前記ガラス収容部に保持させたまま、前記ガラス基板を液処理する工程と、
    を備えるガラス基板の処理方法であって、
    前記ガラス収容部は、
    前記ガラス基板の鉛直方向下方の下側周縁部を係止する第1支持部材、及び前記ガラス基板の前記下側周縁部より鉛直方向上方の上側周縁部を係止する第2支持部材により前記ガラス基板を支持するガラス支持部と、
    前記ガラス支持部に支持された前記ガラス基板の厚さ方向一方の側と他方の側のそれぞれに設けられたガイド部材と、
    を備え、
    前記ガラス基板が平坦状である場合には、前記ガイド部材が前記ガラス基板の前記主面から離間し、
    前記ガラス基板が撓んだ場合には、前記ガラス基板が前記第1支持部材と前記第2支持部材の少なくともいずれかとの係止が外れる前に、前記ガイド部材が前記ガラス基板の凸側の前記主面に接して、前記ガラス基板の撓みを抑制する、
    ガラス基板の処理方法。
  2. 前記ガラス基板の厚さは0.2mm以下である、
    請求項1に記載のガラス基板の処理方法。
  3. 前記ガイド部材は、線材を曲げ加工して形成されている、請求項1又は2に記載のガラス基板の処理方法。
  4. 前記第1支持部材と前記第2支持部材は、前記ガラス基板の前記厚さより大きい溝幅の支持凹部が形成され、前記支持凹部に前記ガラス基板の周縁部が挿入されて前記ガラス基板を支持する、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載のガラス基板の処理方法。
  5. 前記ガイド部材は、前記ガラス基板の周縁部から前記主面の中央に向けて、前記支持凹部の溝深さよりも長く張り出している、請求項4に記載のガラス基板の処理方法。
  6. 前記第1支持部材と前記第2支持部材は、それぞれの長手方向に沿って複数の前記支持凹部が形成され、
    前記ガラス収容部は、枠状又は箱状に形成されたカセット本体に、前記第1支持部材と前記第2支持部材がそれぞれ一方向に沿って架け渡されており、
    複数枚の前記ガラス基板を、前記第1支持部材と前記第2支持部材との前記支持凹部に係止させて、互いに離間させて支持する、
    請求項4又は5に記載のガラス基板の処理方法。
  7. 前記カセット本体の前記複数のガラス基板の上方に、前記ガラス基板の浮き上がりを防止するストッパ部材が設けられている、
    請求項6に記載のガラス基板の処理方法。
  8. 前記支持凹部の前記ガラス基板の厚さ方向に沿った溝幅は、前記ガラス基板の厚さの10倍以上、300倍以下である、
    請求項4〜7のいずれか1項に記載のガラス基板の処理方法。
  9. 前記ガラス基板の該ガラス基板の厚さ方向に沿った配置間隔は、前記ガラス基板の主面の面積を1対の主面同士の間の厚さで除算した値に対し、0.00006〜0.0006倍の範囲である、
    請求項4〜8のいずれか1項に記載のガラス基板の処理方法。
  10. 前記ガイド部材が前記ガラス基板の厚さ方向に沿って配置される配置間隔は、前記支持凹部の溝幅より長く、前記ガラス基板の厚さの5000倍以下である、
    請求項4〜9のいずれか1項に記載のガラス基板の処理方法。
  11. 前記ガイド部材の鉛直方向に関する配置位置は、前記ガラス基板の下辺から前記ガラス基板の鉛直方向の幅の45%の高さ以上、95%の高さ以下の範囲を含む、
    請求項4〜10のいずれか1項に記載のガラス基板の処理方法。
  12. 前記ガイド部材が前記ガラス基板の一方の側辺から他方の側辺に向けて張り出す張り出し量は、前記ガラス基板の水平方向の幅の20%以上である、
    請求項4〜11のいずれか1項に記載のガラス基板の処理方法。
  13. 前記ガラス基板の一方の側辺と他方の側辺から、それぞれ前記ガラス基板の主面中央に向けて張り出す一対の前記ガイド部材が設けられている、
    請求項11又は12に記載のガラス基板の処理方法。
  14. 前記液処理する工程は、前記ガラス基板を化学強化処理する工程である、
    請求項1〜13のいずれか1項に記載のガラス基板の処理方法。
  15. 前記第1支持部材及び前記第2支持部材並びに前記ガイド部材は、ステンレス鋼材により構成される、
    請求項14に記載のガラス基板の処理方法。
  16. 前記ガラス基板の下辺から前記ガラス基板の鉛直方向の幅の45%の高さ未満の範囲に、前記ガイド部材よりも下方に配置される下方ガイド部材を更に設ける、
    請求項14又は15に記載のガラス基板の処理方法。
  17. 前記液処理する工程は、化学強化処理後に実施される、液流を伴う薬液処理工程及び前記薬液処理工程で実施する洗浄工程である、
    請求項1〜13のいずれか1項に記載のガラス基板の処理方法。
  18. 前記第1支持部材及び前記第2支持部材並びに前記ガイド部材は、少なくとも表面が樹脂材料で構成されている、
    請求項17に記載のガラス基板の処理方法。
  19. 前記樹脂材料は、フッ素含有樹脂である、
    請求項18に記載のガラス基板の処理方法。
  20. 前記ガイド部材を、前記ガラス支持部に支持されたガラス基板の板厚方向から前記ガラス基板の主面に投影して、前記ガイド部材と前記ガラス基板の主面とが重なり合う領域を陰影で表した2次元の投影像において、
    前記投影像の陰影を前記ガラス基板の水平方向に沿って前記ガラス基板の鉛直辺に投影した一次元の陰影垂直分布における陰影存在領域の合計幅は、前記ガラス基板の鉛直方向の幅の50%以上であり、
    前記投影像の陰影を前記ガラス基板の鉛直方向に沿って前記ガラス基板の水平辺に投影した一次元の陰影水平分布における陰影存在領域の合計幅は、前記ガラス基板の水平方向の幅の50%以上である、
    請求項17〜19のいずれか1項に記載のガラス基板の処理方法。
  21. 前記陰影垂直分布及び前記陰影水平分布における前記陰影存在領域は、前記ガラス基板の主面中央が含まれている、
    請求項20に記載のガラス基板の処理方法。
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