JP2009188057A - ワーク搬送用トレイおよびトレイ群遮蔽用トレイ - Google Patents

ワーク搬送用トレイおよびトレイ群遮蔽用トレイ Download PDF

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Abstract

【課題】ラフクリーン環境で用いてもワークの汚染が生じにくいワーク搬送用トレイを提供する。
【解決手段】ワーク搬送用トレイ1は、基板Sの搬送に用いられるものであって、桟4と、外枠2と、樹脂ブロック8と、シール部材51とを備えている。桟4は、基板Sを載置するワーク載置面を有する。外枠2は、桟4を支持する。樹脂ブロック8は、外枠2に設けられ、他のワーク搬送用トレイ1に積まれた状態で上に積まれる他のワーク搬送用トレイ1の重量を支持する。シール部材51は、外枠2に沿って配置され、外枠2と上に積まれる他のワーク搬送用トレイ1の外枠2との間の隙間を遮蔽する。
【選択図】図1

Description

本発明は、薄板状のワークを載置して搬送するトレイに関し、特に、複数のトレイを積み重ねて保管することのできるワーク搬送用トレイに関する。
例えば薄型表示装置の製造工程等において、ガラス基板に代表される薄板状の物品を搬送する技術が必要となっている。薄板状の物品は捻れや撓み等の変形が発生しやすく、搬送中に変形が原因で周囲に接触して、表面に傷が付いたり破損したりする恐れがある。このため搬送には、薄板状の物品を変形させずに載置できる専用の容器が用いられる。
薄板状の物品を、1枚ずつ個別の容器に載置して搬送することで、搬送中の物品の変形を防止することができる。しかし、個別の容器を用いると、搬送途中で一時保管を行う場合に、保管スペースを広く占めてしまうという問題があった。また、別の場所に容器をまとめて移送したい場合にも手間がかかるという問題があった。
そこで、薄板状の物品を個別に載置可能であり、しかも一時保管や別の場所への移送の際には容器同士を積み重ねることのできる容器が考案された。しかしながら、これらの容器には、容器内にダストが蓄積したり、積み重ねる際に自身からダストが発生して載置した物品を汚染したりするという問題が発生した。また、複数の容器を積み重ねた場合の全体の重量が重くなり、保管や運搬が不便であるという問題があった。
このような問題を解決するために、4本の枠部材からなる矩形状の外枠と、枠部材間に掛け渡された複数の桟とからなるワーク搬送用トレイが考案された(例えば、特許文献1を参照。)。
特開2007−35761号公報
従来のワーク搬送用トレイは、一般に、積み重ねられた状態(以下、「段積みトレイ」という。)で搬送・待機させられる。例えば自動倉庫内で使用されている場合は、フィルタによってパーティクルやダストを除去したクリーンエアを段積みトレイにサイドフローで送って、物品へのパーティクルの付着を防止している。この場合、部分的に配置された樹脂ブロックによってトレイ同士の隙間が確保されているため、トレイに送風が十分に届いてパーティクル除去が効率よく行われる。
しかし、従来のワーク搬送用トレイをラフクリーンの環境で使用する場合には、トレイ同士の隙間からパーティクルが段積みトレイ内に入り込んでガラス基板上に載りやすい。一方、ラフクリーン用に別途異なる形状のトレイを製作すると、それ自体のコストが高くなるのみならず、装置もそのトレイに対応する必要があるため、コストがアップしてしまう。
本発明の課題は、ラフクリーン環境で用いてもワークの汚染が生じにくいワーク搬送用トレイを提供することにある。
請求項1に記載のワーク搬送用トレイは、薄板状のワークの搬送に用いられるものであって、ワーク載置部と、枠と、重量支持部材と、弾性部材とを備えている。ワーク載置部は、ワークを載置するワーク載置面を有する。枠は、ワーク載置部を支持する。重量支持部材は、枠に設けられ他のワーク搬送用トレイに積まれた状態で上に積まれる他のワーク搬送用トレイの重量を支持する。弾性部材は、枠に沿って配置され、枠と上に積まれる他のワーク搬送用トレイの枠との間の隙間を遮蔽する。
このトレイでは、複数のトレイを積み重ねた場合に、下側のトレイの枠に沿って配置さされた弾性部材が枠と上側の他のトレイの枠との間の隙間を遮断するために、トレイ群の外部から内部にパーティクルが侵入しにくい。したがって、ラフクリーン環境で用いてもワークがパーティクルによって汚染されにくい。しかも、重量支持部材によって他のトレイの重量は支持されているため、弾性部材に所定以上の重量が作用することがない。そのため、弾性部材の剛性を低く設定することができ、それにより段積み時のピッチ誤差を小さくできる。
請求項2に記載のワーク搬送用トレイでは、請求項1において、弾性部材は、枠の上部に配置されている。
このトレイでは弾性部材が枠の上部に配置されているため、小さな弾性部材を用いても確実に上側のトレイとの密着を確保できる。
請求項3に記載のワーク搬送用トレイでは、請求項1または2において、枠は、ワーク載置部を支持する支持部と、支持部から斜めに延びる傾斜部とを有している。弾性部材は、傾斜部の上側部分に配置され、上に積まれる他のワーク搬送用トレイの枠の傾斜部の下側部分に当接可能である。
このトレイでは、弾性部材は傾斜部の上側部分に配置された他のトレイの枠の傾斜部の下側部分に当接するため、小さな弾性部材を用いても確実に上側のトレイとの密着を確保できる。
請求項4に記載のワーク搬送用トレイでは、請求項1〜3のいずれかにおいて、弾性部材は、枠に固定される第1部分と、第1部分から側方に延び上に積まれる他のワーク搬送用トレイの枠に当接可能な第2部分とを有する。
このトレイでは、弾性部材の第2部分が第1部分の真上になく、そのため弾性部材が曲げ変形することで、上側のトレイとの接触を維持する。したがって、弾性部材の剛性を低く設定することができ、その結果、段積み時のピッチ誤差が生じにくい。
請求項5に記載のトレイ群遮蔽用トレイは、複数のワーク搬送用トレイが積み上げられたトレイ群の内部を外部から遮蔽するために用いられるものであって、ワークを載置するワーク載置面を有するワーク載置部と、ワーク載置部を支持する枠と、ワーク載置部全体を覆うカバー部材とを備えている。
このトレイでは、トレイ群の最下部または最上部に用いられることで、トレイ群全体の内部空間を外部から遮断できる。したがって、トレイ群の外部から内部にパーティクルが侵入しにくい。
本発明に係るワーク搬送用トレイでは、複数のトレイを積み重ねた場合に、下側のトレイの弾性部材が上側のトレイとの間の隙間を遮断するために、トレイ群の外部から内部にパーティクルが侵入しにくい。したがって、ラフクリーン環境で用いてもワークが汚染されにくい。
1.第1実施形態
以下、本発明を適用したワーク搬送用トレイの実施形態を、図面を参照しつつ詳細に説明する。
(1)ワーク搬送用トレイの全体構造
図1は本発明に係るワーク搬送用トレイ1(以下、「トレイ1」と省略する。)を積み上げて構成される段積みトレイまたはトレイ群の部分断面図である。図2および図3は、シール部材(後述)を取り除いた状態のトレイ1を示す図である。
トレイ1は、薄板状の物品が載置され、物品を搬送するために用いられる。トレイ1は、主に、矩形状の外枠2と、外枠2の対向する長辺枠部材2aの間に掛け渡された複数の桟4(ワーク載置部)とを備えている。なお、この実施例では、薄板状の物品としてガラス基板Sを用いて説明する。
(2)外枠の構造
外枠2は、2本の長辺枠部材2aと2本の短辺枠部材2bとから構成される。本実施例における枠部材2a,2bには一定の板厚のアルミ押し出し材が使用されている。
図4及び図5は段積みされたトレイ1の部分斜視図である。図4および図5も、シール部材(後述)を取り除いた状態のトレイ1を示す図である。
枠部材2a,2bは、図1の断面形状から明らかなように、外側平坦部11と、外側平坦部11よりも高い位置に形成される内側平坦部12を備えており、外側平坦部11と内側平坦部12の間に傾斜部13が設けられている。内側平坦部12は傾斜部13の上端部から内方に延出しており、外側平坦部11は傾斜部13の下端部から外方に延出している。外側平坦部11には、樹脂ブロック8(後述)を取り付けるためのブロック取付孔17が複数箇所設けられている。傾斜部13は、外枠2が形成されたときに下方に向けて広がった形状となるように角度が付けられている。
傾斜部13の高さは、枠部材2a,2b同士が長方形の外枠2として組み合わされた場合に、外枠2の平面度を所定量以内に維持するために必要な強度を保てる高さに設定される。このため、傾斜部13の高さが、1枚の基板Sを安全に収容するために必要な収容高さを越えた高さになる場合がある。ここで、「安全に収容する」とは、トレイが段積みされた状態において、ガラス基板が全て、あるいは一部のトレイに搭載されており、全体が所定の移動により振動を加えられても、ガラス基板や桟の上面が上側の桟に接触することがない、ことを意味する。外枠2の形状が大型化された場合には要求される強度が大きくなり、外枠2を強化するために傾斜部13の高さはより高くなる。小型の外枠2で要求される強度が低い場合には、傾斜部13を低くすることができる。
枠部材2a,2b同士を接合することにより、本実施例の外枠2が形成される。本実施例の外枠2は、その断面形状が、上述したように、外側平坦部11、外側平坦部11の内側端から連続して上昇する傾斜部13、この傾斜部13の上端部から連続する内側平坦部12とで形成される。形成された外枠2の単体としての高さは傾斜部13の高さで決定されるが、複数のトレイ1を積み重ねる場合には、傾斜部13で囲まれた部分の一部が、別のトレイが入り込むための収容空間13a(図1)として機能するために、より小さいピッチで積み重ねることが可能となる。
長辺枠部材2aと短辺枠部材2bは、両端同士が、図12に示すように、第1接合部材28と第2接合部材29によって接合される。第1接合部材28は、L字形状のプレートであって、枠部材2a,2bの内側平坦部12同士をリベットを介して固定している。第2接合部材29は、L字形状のプレートであって、枠部材2a,2bの外側平坦部11同士をリベットを介して固定している。
なお、枠部材2a,2bの接続端部同士の隙間は、図示しないパッキンやシール材によって封止されている。
(3)桟の構造
外枠2の対向する長辺枠部材2aの間に、複数の桟4が掛け渡されて、ガラス基板Sの載置部を構成している。桟4には一定の板厚のアルミ押し出し材が使用されている。
外枠2の長辺枠部材2aには、桟4を支持するための複数の支持部材14が固定されている。支持部材14は、図1に示すように、プレート部材であって、外枠2の傾斜部13の内側に接してリベット81によって固定される固定部14aと、その上端から内側に延びる支持部14bとを有している。
桟4の一端部の拡大図を図10に示す。桟4は、ワーク載置面としての平坦部41と、その両側に形成され断面コの字形状を構成する一対の側壁部42と、各側壁部42から外側に延びる一対のフランジ43とから構成されている。以上の形状によって、桟4は、平板の部材を用いた場合よりも梁強度が向上しており、このため、桟4にはより板厚の薄い素材を用いることが可能となっており、桟4の軽量化が図られている。平坦部41の上面には、ガラス基板Sを支持するための複数の載置ピン44が固定されている。載置ピン44は耐磨耗性の高いポリエーテル・エーテル・ケトン(PEEK(登録商標))や超高分子量ポリエチレン(UPE)等で形成されており、ガラス基板Sを繰り返し搭載しても、磨耗によるダストがほとんど発生せず、ガラス基板Sを汚染しない。平坦部41の両端には、断面コの字形状内に支持部材14の支持部14bが配置されており、両者はリベット82によって固定されている。このようにして、平坦部41は、支持部材14を介して外枠2に支持されている。
このトレイ1では、外枠2の枠部材2a,2bの傾斜部13の上部と内側平坦部12が、桟4の平坦部41の周囲を覆う囲い部材として機能している。具体的には、囲い部材は、桟4の平坦部41より高い壁となっている。したがって、ガラス基板Sの外周部が外部から保護されている。また、例えば装置の急停止によってガラス基板Sが移動しても、ガラス基板Sがトレイ1から飛び出したり、あるいは、万一破損した場合でも破片が周囲に飛散しにくい構造となっている。
(4)樹脂ブロックの構造
樹脂ブロック8は、枠部材2a,2bの外側平坦部11に取りつけられた部材であり、各トレイ1同士の高さ方向のスペースを確保するためのスペーサであり、さらに各トレイ1同士の位置ずれを防止するためのトレイ位置規制部材である。
樹脂ブロック8は、上下に積み重ねられるトレイ1との接触部となるために、ダストの発生が抑えられた素材で形成されることが好ましい。本実施例における樹脂ブロック8は、耐磨耗性が高く、機械的な強度に優れたPEEKやUPEで形成されている。樹脂ブロック8は、ブロック同士が接触しても摩耗が極めて少なく、ダストが発生したとしても落下しにくいために、搬送するガラス基板Sを汚染しにくい。
(5)第1樹脂ブロックと第2樹脂ブロックの構造および配置
樹脂ブロック8は、2種類のブロック、第1樹脂ブロック8Aと第2樹脂ブロック8Bを有している。以下、各ブロックの構造を説明し、次に配置を説明する。
(a)共通構造
図6(a)は第1樹脂ブロック8Aの上面図であり、図6(b)は第1樹脂ブロック8Aの正面図であり、図6(c)は第1樹脂ブロック8Aの底面図であり、図6(d)は第1樹脂ブロック8Aの側面図である。図8(a)は第2樹脂ブロック8Bの正面図であり、図8(b)第2樹脂ブロック8Bの底面図であり、図8(c)は第2樹脂ブロック8Bの側面図である。
最初に、第1樹脂ブロック8Aと第2樹脂ブロック8Bの共通構造について説明する。
樹脂ブロック8A,8Bは、主に、略直方体の本体部20を有している。本体部20は、図左右方向に長くなっている。本体部20の高さは、1枚の基板Sを安全に収容するための収容高さH1(図1を参照)と等しくなるように形成されている。本体部20の上面には凸部21が設けられている。凸部21は、概ね円錐形または円錐台形状に形成されている。
本体部20の両側部には、トレイを段積み、段ばらしする際に支持するための接触部となる被支持部23が延びている。被支持部23には、枠部材2a,2bに樹脂ブロック8を固定するための外枠取付孔24が貫通しており、樹脂ブロック8A,8Bは、外枠2に、取付孔24を貫通するボルト・ナット19もしくはリベットによって固定される。図3と図4は、樹脂ブロック8A,8Bが枠部材2a,2bにボルト・ナットもしくはリベットによって固定された状態を示す斜視図である。樹脂ブロック8A,8Bは、被支持部23の上面が枠部材2a,2bの外側平坦部11の下面に突き当てられて、ブロック取付孔17から凸部21と本体部20の上部が突出した状態で固定されている。樹脂ブロック8A,8Bは、本体部20の上面が、枠部材2a,2bの外側平坦部11よりも高くなっている。また、本体部20の下面(後述する凸部25の下面)は、外側平坦部11の下面よりも低くなっている。
このような配置により、上下方向にトレイ1を多段で積み重ねると、各々のトレイ1の樹脂ブロック8A,8Bの本体部20の上面と下面が互いに接することとなり、トレイ1は、樹脂ブロック8A,8Bの本体部20の高さをピッチとして積み重ねられる。
以上に述べたように、本実施例のトレイ1は、接触部である樹脂ブロック8A,8Bと外枠2を異なる素材で別々に形成してから固定する構成となっている。このことにより、接触部だけにダストの発生を抑えられた素材を適用することが可能となり、接触部を容易に加工し、形成することができる。一方、外枠2の他の部分は、他のトレイ1や設備等とほとんど接触しないため、ダストの抑制よりも強度を重視した素材を適用することが可能となり、外枠2の素材を選択する自由度を広げることができる。
(b)異なる構造
次に、第1樹脂ブロック8Aと第2樹脂ブロック8Bの異なる構造について説明する。
図6に示すように、第1樹脂ブロック8Aの本体部20の下面には、凹部22が設けられている。凹部22は、本体部20の長手方向に延びる一対の凸部25の間に形成されており、両端が開放された溝である。凹部22は、上面の凸部21に対応した断面形状を有している。図7は2つの第1樹脂ブロック8Aが互いに係合した状態を示す側面図である。この状態で、第1樹脂ブロック8Aは本体部20の長手方向に相対移動可能である。また、第1樹脂ブロック8Aは凸部21の中心軸回りに相対回転可能である。
図8に示すように、第2樹脂ブロック8Bの本体部20の下面には、凹部26が設けられている。凹部26は、本体部20の長手方向に離れた一対の凸部27の間に形成されており、本体部20の短手方向に開放されている。図9は2つの第2樹脂ブロック8Bが互いに係合した状態を示す部分正面図である。この状態で、凸部21は、凹部26に対して左右・前後に隙間を確保している。以上より、第2樹脂ブロック8Bは、上側にあるトレイ1の重量は支持するが、トレイ1同士を位置決めしていない。
(c)配置
第1樹脂ブロック8Aと第2樹脂ブロック8Bの配置について説明する。図3に示すように、樹脂ブロック8A、8Bは、各枠部材2a,2bに三カ所ずつ合計12カ所に設けられている。
第1樹脂ブロック8Aは、図3のA位置,B位置,C位置の三カ所に配置されている。A位置,B位置は、図下側の短辺枠部材2bの両端側である。C位置は、図左側の長辺枠部材2a上の図下側の短辺枠部材2bから離れた側である。このように、A位置の第1樹脂ブロック8AとB位置の第1樹脂ブロック8Aは同じ短辺枠部材2bに配置されており、凹部22の向きも同じである。それに対して、C位置の第1樹脂ブロック8Aは、A位置の第1樹脂ブロック8AとB位置の第1樹脂ブロック8Aを結ぶ直線上に配置されておらず、さらに凹部22の向きが両者の凹部22の向きと異なる。残りの9カ所には、第2樹脂ブロック8Bが配置されている。
以上に述べた構造によって、部品精度や組立精度のバラツキにも影響を受けずに段積みが可能になる。さらに段積み後にも最小限の隙間で第1樹脂ブロック8A同士が互いの移動を規制している。したがって、段積み状態で搬送中に急制動が作用した場合でも、トレイ1のずれの累積を最小限に抑えることができる。
なお、トレイ1の寸法が大きく、しかも軽量化のために外枠2の強度を十分にとれない場合は、図3の位置Dの第2樹脂ブロック8Bは、第1樹脂ブロック8Aに置き換えても良い。D位置は、図左側の長辺枠部材2a上の図下側の短辺枠部材2bに近い側である。その場合は、外枠2の弾性変形による樹脂ブロック8間の位置変化を効果的に制限することができる。
(6)基板位置決め部材の構造
次に、トレイ1に搭載されるガラス基板Sを位置決めするための基板位置決め部材30を説明する。
図11は基板位置決め部材30の斜視図であり、図12は外枠2の枠部材2a,2bの角部分の部分上面図であり、図13は基板位置決め部材30を含む外枠2周辺のトレイ1の断面図である。
基板位置決め部材30は、外枠2の角部に固定され、ガラス基板Sの平面方向への移動を防止するための部材である。基板位置決め部材30は、樹脂製であり、平坦部31と、そこから下方に延びる柱部32と、平坦部31の一端から上方に延びる壁部34と、その上端からなだらかに続いて直線状に延びる傾斜部35と、その下端部からさらに伸びる平坦部36とを有している。平坦部36には、球形凸状の基板載置部37が形成されている。平坦部31および柱部32にはネジ穴33が形成されている。
基板位置決め部材30は、図12に示すように、外枠2の各角部の二カ所に設けられており、より具体的には、各枠部材2a,2bの両端位置から枠部材の長手方向に直角に延びて配置されている。基板位置決め部材30の平坦部31の上面は、外枠2の内側平坦部12の下面に当接しており、壁部34は内側平坦部12の先端面に当接している。この状態で、例えばボルトがネジ穴33に螺合することによって、基板位置決め部材30は内側平坦部12に固定されている。この結果、平坦部36は内側平坦部12より内側下方に位置しており、基板載置部37にはガラス基板Sが載置されている。この状態で、傾斜部35が基板Sの位置決めを行っている。傾斜部35は、実際のガラス基板Sの寸法に対して片側で例えば1〜3mmのクリアランスを確保できるように配置されている。
また、ガラス基板Sをトレイ1上に搭載する際、傾斜部35によりガラス基板S端面が誘い込まれ、位置ずれを補正する。
基板位置決め部材30が従来の脱落防止部材と載置ピンとを一体化した構造であるため、ガラス基板Sと外枠2との間の隙間が従来より小さくなっている。この結果、従来のトレイに比べて外枠の小型化が達成されている。
なお、基板位置決め部材30は、耐磨耗性の高いPEEKやUPEで形成されており、基板Sが位置決めのために繰り返し接触しても、磨耗によるダストがほとんど発生せず、基板Sが汚染されにくい。
(7)シール部材の構造
図1に示すように、各外枠2には上に積まれる他のトレイ1との間の隙間を遮蔽するためのシール部材51が設けられている。シール部材51は弾性変形可能な部材からなり、例えばエラストマー成形品からなる。なお、シール部材51は、ゴムやプラスチックなどの他の材料から構成されていても良い。
シール部材51は、各枠部材2a,2bの内側平坦部12に固定され、上側のトレイ1の外側平坦部11に当接して、上下のトレイ1の間の内部空間を外部から遮断する。そのために、トレイ群の外部から内部にパーティクルが侵入しにくい。したがって、ラフクリーン環境で用いても基板Sが汚染されにくい。
シール部材51は、枠部材2a,2bに沿って長く延びる板形状である。より詳細には、図14および図15に示すように、シール部材51は、内側平坦部12の上辺に固定された平坦な固定部52と、固定部52から外側下方に斜めに延びる傾斜部53と、傾斜部53からさらに外側に延びる当接部54とから構成されている。当接部54は、自由状態では外側上方に斜めに延びている。より詳細には、固定部52の外側端は、内側平坦部12の外側端からさらに外方に延びている。積み上げられた状態で、当接部54の外側部分が外側平坦部11の内側部分(傾斜部13との境界)の下面に当接して、上下に積まれたトレイ1同士の境界を遮断している。
図15に示すように、外枠2の角部では、シール部材51の端部同士は互いに密着している。
なお、他のトレイ1の重量は樹脂ブロック8によって支持されているため、シール部材51に所定以上の重量が作用することがない。そのため、シール部材51の剛性を低く設定することができ、それにより段積み時のピッチ誤差を小さくできる。
シール部材51が外枠2の上部に配置されているため、小さな弾性部材を用いても確実に上側のトレイ1との密着を確保できる。
シール部材51が傾斜部13の上側部分(内側平坦部12)に配置された他のトレイ1の傾斜部13の下側部分(外側平坦部11)に当接するため、小さな弾性部材を用いても確実に上側のトレイ1との密着を確保できる。
シール部材51は、外枠2に固定される固定部52と、固定部52から側方に延び上に積まれる他のワーク搬送用トレイ1の外枠2に当接可能な当接部54とを有する。シール部材51の当接部54が固定部52の真上になく、そのためシール部材51が曲げ変形することで、上側のトレイ1との接触を維持する。したがって、シール部材51の剛性を低く設定することができ、その結果、段積み時のピッチ誤差が生じにくい。
(8)段積みトレイの構造
図1に、5枚重ねられたトレイ1の断面図を示す。図1から明らかなように、上から載せられた別のトレイ1の傾斜部13が下側のトレイ1の傾斜部13を覆って積み重ねられる。言い換えると、上側のトレイ1の傾斜部13の内側の収容空間13a内に下側のトレイ1の囲い部材(外枠2の枠部材2a,2bの傾斜部13の上部と内側平坦部12)が入り込む。そのため、積み重ねたときに小さなスペースで多くのトレイ1を保管することが可能となっている。
本実施例のトレイ1は、外枠2に固定された樹脂ブロック8の本体部20の上面と下面だけが互いに接した状態で積み重ねられる。樹脂ブロック8の高さが、1枚のガラス基板Sを安全に収容する為の収容高さH1となっており、トレイ1の外枠2の他の部分及び桟4は、積み重ねたときに上下のトレイ1とは接触しない。このことから、トレイ1は、樹脂ブロック8によって規定される高さ、即ち収容高さH1をピッチとして積み重ねられる。
トレイ1が樹脂ブロック8によって規定される収容高さH1のピッチで積み重ねられるとき、上側のトレイ1の外枠2内に、下側のトレイ1の外枠2が入り込む。たとえ、外枠2の強度を高くするために傾斜部13の高さを高くしたトレイ1を積み重ねたとしても、傾斜部13が上側のトレイ1の傾斜部13の収容空間13a内に納められている限り、全体の高さに対する影響は無い。このように、本実施例のトレイ1は、上側のトレイ1の傾斜部13に、下側の別のトレイ1の傾斜部13が入り込む収容空間13aが設けられることで、たとえ傾斜部13の高さを変更した場合であっても、常により小さいピッチで積み重ねることが可能となっている。
上述したように、本実施例のトレイ1が上下方向に積み重ねられているとき、上下のトレイ1の間では、樹脂ブロック8だけが接触しており、外枠2と桟4は他のトレイ1と全く接触しない。樹脂ブロック8はPEEKやUPEで形成されているために接触によってもダストがほとんど発生しない。また外枠2と桟4は他のトレイ1と接触しないためにダストを発生させない。このように、本実施例のトレイ1は積み重ねてもダストがほとんど発生せず、基板Sの汚染が極めて小さい。
更に、本実施例のトレイ1は、上積みされたトレイ1の重量を、樹脂ブロック8が支持する構成となっており、外枠2には、上側のトレイ1の重量が加えられることがない。このために、外枠2は、自らの重量と、載置した基板Sの重量を支持できる強度を備えていればよく、外枠2によって上積みされたトレイ1を支持する構成を採用した場合と比較すると、要求される強度は小さい。このため、外枠2に要求される強度を容易に得ることができ、軽量化を図ることができる。
さらに、本実施形態では、トレイ1の自重によってシール部材51の密閉機能が実現されるため、特別な部材による密閉が不要であり、構造が簡単になる。
図1に示す段積みトレイでは、最下部のトレイ1’と最上部のトレイ1’’には基板Sは載置されておらず、これら2つのトレイは段積みトレイのカバーとして用いられている。
最下部のトレイ1’と最上部のトレイ1’’には、桟4の上側を覆う矩形状のカバー61が固定されている。カバー61は、桟4の平坦部41の上面に配置された覆い部62と、覆い部62の外周縁から上側に延びる壁部63と、壁部から外側に延びシール部材51の固定部52上に配置されたフランジ部64とを有している。最下部のトレイ1’および最上部のトレイ1’’の平坦部41には載置ピン44は設けられていない。覆い部62はボルトによって平坦部41に固定されている。
最下部のトレイ1’と最上部のトレイ1’’を設けることで、トレイ群の上下両側が遮断され、トレイ群全体の内部空間を外部から遮断できる。したがって、トレイ群の外部から内部にパーティクルが侵入しにくい。この場合、特別な蓋用のトレイを準備する必要がないため、コストを下げることができる。
以上に述べたシール構造によって、図1において、トレイ群の内部空間(二点鎖線で示した部分)は外部からのパーティクルによって汚染されにくい。
トレイ1および1’、1’’からなる段積みトレイは、ラフクリーン環境では、上述のように、各トレイ1にシール部材51を取付け、さらにカバー61を設けた一対のトレイ1’、1’’を用意することでパーティクルによる基板Sの汚染を防止できる。さらに、トレイ1からなる段積みトレイは、クリーンルーム環境では、シール部材51やカバー61を取り外したトレイ1を用いることでクリーンエアによるサイドフローによってパーティクルの付着を防止できる。以上より、トレイ1に追加部品を脱着することで、クリーンルームの内外で共通して利用することが可能になり、さらにトレイ1を扱う装置も共通化できる。
2.他の実施形態
以上、実施例において本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
(1)各部材の接合
外枠の枠部材同士の接合方法や接合箇所、外枠と桟の接合方法や接合箇所は、搭載する薄板状の物品の大きさや重量に合わせて、適宜変更が可能である。
(2)各部材の構造
外枠の形状や、樹脂ブロックの形状や配置を、作用効果を損なわない範囲において、変更することが可能である。
(3)樹脂ブロックの変形例
図16(a)は他の実施形態の第3樹脂ブロック108の上面図であり、図16(b)は第3樹脂ブロック108の縦断面図である。
第3樹脂ブロック108は、主に、略直方体の本体部120を有している。本体部120の高さは、1枚の薄板状の物品を安全に収容する為の収容高さH1と等しくなるように形成されている。本体部120の上面には凸部121が設けられている。凸部121は、円錐台形状に形成されている。本体部120の両側部には、トレイを段積み、段ばらしする際に支持するための接触部となる被支持部123が延びている。被支持部123には、枠部材に樹脂ブロック8を固定するための外枠取付孔124が貫通している。
第3樹脂ブロック108は、外枠に、リベット若しくはネジによって固定される。第3樹脂ブロック108は、被支持部123の上面が枠部材の外側平坦部の下面に突き当てられて、ブロック取付孔から凸部121と本体部120の上部が突出した状態で固定されている。
このような配置により、上下方向にワーク搬送用トレイを多段で積み重ねると、各々のトレイの第3樹脂ブロック108の本体部120の上面と下面が互いに接することとなり、ワーク搬送用トレイは、第3樹脂ブロック108の本体部120の高さをピッチとして積み重ねられる。
第3樹脂ブロック108の本体部120の下面には凹部122が設けられている。凹部122は、凸部121とほぼ同じ形状及び寸法の孔であり、凹部と凸部の隙間は最小限確保されている。図18は2つの第3樹脂ブロック108が互いに係合する様子を示す側面図である。この状態で、第3樹脂ブロック108は左右・前後方向にはほとんど移動不能であるが、回転方向には制限なく移動できる。
第3樹脂ブロック108は、トレイの全ての箇所に取りつけられていても良いし、前記実施形態における第1樹脂ブロック8Aや第2樹脂ブロック8Bと適宜組み合わせられても良い。
(4)トレイの枠の形状の変形例
前記実施形態ではトレイの枠は支持部から外方に向かって下り勾配の傾斜部を有していたが、トレイの枠の傾斜部が支持部から外方に向かって上り勾配であっても良い。以下、前記実施形態と異なる点を中心に説明して、同様の構造については説明を省略する。
図19に示すように、トレイ201の枠部材202a,202bは、外側平坦部211と、外側平坦部211よりも低い位置に形成される内側平坦部212を備えており、外側平坦部211と内側平坦部212の間に傾斜部213が設けられている。内側平坦部212は傾斜部213の下端部から内方に延出しており、外側平坦部211は傾斜部213の上端部から外方に延出している。傾斜部213は、外枠202が形成されたときに上方に向けて広がった形状となるように角度が付けられている。
各外枠202には、上に積まれる他のトレイ201との間の隙間を遮蔽するためのシール部材251が設けられている。
シール部材251は、各枠部材202a,202bの外側平坦部211に固定され、上側のトレイ201の内側平坦部212に当接して、上下のトレイ201の間の内部空間を外部から遮断する。そのために、トレイ群の外部から内部にパーティクルが侵入しにくい。したがって、ラフクリーン環境で用いても基板Sが汚染されにくい。
より詳細には、図19に示すように、シール部材251は、外側平坦部211の上辺に固定された平坦な固定部252と、固定部252から内側下方に斜めに延びる傾斜部253と、傾斜部253からさらに内側に延びる当接部254とから構成されている。当接部254は、自由状態では内側上方に斜めに延びている。より詳細には、固定部252の内側端は、外側平坦部211の内側端からさらに内方に延びている。トレイ201が積み上げられた状態で、当接部254の内側部分が内側平坦部212の外側部分(傾斜部213との境界)の下面に当接して、上下に積まれたトレイ201同士の境界を遮断している。
この実施形態によって得られる効果は前記実施形態と同様である。
(5)外枠および桟の材料の変形例
前記実施形態では枠部材はアルミの押出加工形成されていたが、一定の板厚の鋼材(例えば、SUS304)を板金加工によって同一の断面形状となるように加工しても良い。
(6)支持部材の変形例
前記実施形態では支持部材は枠部材に固定されていたが、支持部材は、内側平坦部と同様に、傾斜部に一体に形成されていても良い。
また、支持部材と桟とを固定するリベットの数は1個に限定されない。つまり、リベットは複数個でも良い。
本発明の一実施例としてのワーク搬送用トレイが積み上げられて構成されている一つのトレイ群の部分断面図。 本発明の一実施形態としてのワーク搬送用トレイの斜視図。 ワーク搬送用トレイの平面図。 段積みトレイの角部の斜視図。 段積みトレイの角部の斜視図。 第1樹脂ブロックの各図。 第1樹脂ブロック同士の載置を示すための側面図。 第2樹脂ブロックの各図。 第2樹脂ブロック同士の載置を示すための側面図。 桟の部分斜視図。 位置決め部材の斜視図。 ワーク搬送用トレイの部分平面図。 位置決め部材の断面図。 ワーク搬送用トレイの積み上げ動作を説明するための部分断面図。 ワーク搬送用トレイの角部の部分上面図。 他の実施形態における樹脂ブロックの各図。 他の実施形態における樹脂ブロックの側面図。 他の実施形態における樹脂ブロック同士の係合の関係を示すための部分断面図。 他の実施形態における段積みトレイのシール構造を示す部分断面図。
符号の説明
1 ワーク搬送用トレイ
2 外枠
2a 長辺枠部材
2b 短辺枠部材
4 桟
8 樹脂ブロック
11 外側平坦部
12 内側平坦部
13 傾斜部
20 本体部
21 凸部
22 凹部
23 被支持部
51 シール部材
52 固定部(第1部分)
53 傾斜部
54 当接部(第2部分)
61 カバー
62 覆い部
63 壁部
64 フランジ部

Claims (5)

  1. 薄板状のワークの搬送に用いられるワーク搬送用トレイであって、
    前記ワークを載置するワーク載置面を有するワーク載置部と、
    前記ワーク載置部を支持する枠と、
    前記枠に設けられ他のワーク搬送用トレイに積まれた状態で上に積まれる他のワーク搬送用トレイの重量を支持するための重量支持部材と、
    前記枠に沿って配置され、前記枠と上に積まれる他のワーク搬送用トレイの枠との間の隙間を遮蔽するための弾性部材と、
    を備えたワーク搬送用トレイ。
  2. 前記弾性部材は、前記枠の上部に配置されている、請求項1に記載のワーク搬送用トレイ。
  3. 前記枠は、前記ワーク載置部を支持する支持部と、前記支持部から斜めに延びる傾斜部とを有しており、
    前記弾性部材は、前記傾斜部の上側部分に配置され、上に積まれる他のワーク搬送用トレイの枠の傾斜部の下側部分に当接可能である、請求項1または2に記載のワーク搬送用トレイ。
  4. 前記弾性部材は、前記枠に固定される第1部分と、前記第1部分から側方に延び上に積まれる他のワーク搬送用トレイの枠に当接可能な第2部分とを有する、請求項1〜3のいずれかに記載のワーク搬送用トレイ。
  5. 複数のワーク搬送用トレイが積み上げられたトレイ群の内部を外部から遮蔽するために用いられるトレイ群遮蔽用トレイであって、
    前記ワークを載置するワーク載置面を有するワーク載置部と、
    前記ワーク載置部を支持する枠と、
    前記ワーク載置部全体を覆うカバー部材と、
    を備えたトレイ群遮蔽用トレイ。
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