JP2010106361A - 金属極細線、金属極細線の製造方法、及び金属極細線を用いたメッシュ金網 - Google Patents

金属極細線、金属極細線の製造方法、及び金属極細線を用いたメッシュ金網 Download PDF

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Abstract

【課題】織製作業性にすぐれ、高強度で高精度化、高寿命化をもたらし得る金属極細線とその製造方法、並びに該極細線によるスクリーン印刷用のメッシュ金網の提供を目的とする。
【解決手段】線径(d):30μm以下の金属極細線であって、質量%で、C:0.005〜0.3%、Si:≦2.0%、Mn:≦2.0%、Ni:5〜38%、Cr:15〜28%及びCo:35〜58%を含み、かつ、Mo:0.4〜12%及びW:1〜16%のいずれか1種を含み、しかも残部がFe及び不可避不純物で構成されたCo基合金、引張強さ(σs)が1000〜1500MPa、かつ、伸び(E)が20%以上であることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えばスクリーン印刷や濾過用等のハイメッシュ金網用として好適な高強度・高精度でかつ織製作業性に優れた金属極細線、金属極細線の製造方法、及び金属極細線を用いたメッシュ金網に関する。
従来からメッシュ金網は、例えばスクリーン印刷やフィルター用をはじめとして種々用途に使用されている。また、その品質も近年の技術革新の中で高強度、高精度化、高寿命化される。また、目的・用途に適合する種々のメッシュ金網の開発が行われている。スクリーン印刷の用途としては、例えばガラスやプリント基板等への印刷用途をはじめ、近年ではプラズマディスプレーのようにさらに大型化する傾向がある。また、過酷な条件で使用されるフィルター用のメッシュ金網としては、使用に伴う目ずれや伸び等の変形を防止するものや、高強度化と高寿命化を前提にするものがあり、最近では300メッシュ以上(例えば500〜900#)のハイメッシュとして例えばチップコンデンサーやコイルインダクタなどの電子部品への印刷用に向けてより高精度化する取り組みがなされている。
特に前記チップコンデンサーやコイルインダクタなどの電子部品用途では、印刷後の乳剤厚さが例えば1μm以下である薄層化印刷が求められる。このような用途の網体には、従来にも増した均一性と高精度・高強度化が求められ、その織線材にはそのような織製加工に適する従来にも増した細径化と機械的特性が必要となる。
従来、このような網体には、例えばポリエステル細線やステンレス鋼極細線などの材料が用いられている。特にステンレス鋼極細線は、ポリエステルなど他の化学樹脂製の細線に比して高強度で、しかも使用時の弾性伸び性も比較的少ない。このため、ステンレス鋼極細線は、目ずれが少なく印刷精度が安定する網体材料として推奨されている。
例えば、下記特許文献1には、線径40μm以下で、平均結晶粒度が10以上の微細組織となる熱処理によって、耐力が1000〜1500N/mm2で伸びが10〜20.6%、引張強さを耐力の1.02〜1.40倍とする、0.10〜0.50%のNを含有するSUS304系のステンレス鋼からなる極細線が記載されている。このように、特許文献1では、N添加型ステンレス鋼線の細径化に伴う加工硬化と、その後の固溶化熱処理温度の調整によって所定の機械的特性を得るものである。
また、特許文献2には、特にプラズマディスプレーのような大型化に適合するものとして、線径0.050mm以下で、引張強さ2900N/mm2以上、伸び特性1〜5%のキンクがない高強度ステンレス鋼極細線が記載されている。さらに具体的には、特許文献2では、伸線加工と熱処理とを繰り返し、最終では固溶化熱処理(焼鈍)を施さず、キンクなどの線くせを防止している。
さらに、特許文献3には、線径d1で強度600〜1500N/mm2である金属製縦糸と、線径d2で強度が1000N/mm2以上しかも前記縦糸の強度より少なくとも200N/mm2大きい強度を有した金属製横糸とからなり、前記線径d1とd2とが実質的に波打つことなく直線状の状態にて同一平面上に配置されて織り込まれた構造のメッシュ織物が記載されている。つまり、特許文献3では、ハイメッシュ織物として、縦線と横線とを、各々線径と強度特性が異なるものを用いることを要旨とするものである。
特許第4068216号公報 特開2000−248342号公報 特開2003−268649号
しかしながら、ステンレス鋼極細線では、強度と伸び特性はともに相反する特性である。例えば、強度を高めたステンレス鋼極細線は、高強度であるため目ずれなどは防止できるが、伸びの減少により織製作業性が低下し、断線などの歩留まり低下を招くおそれがある。特に、織線を大きく屈折させるハイメッシュの織製加工では、織りムラが生じるなど、断線や折損などの問題が発生しやすい。
また、上記特許文献1のように、多量のNを添加したものでは、加工硬化率が大きく微細な細線への伸線加工性が十分ではない。例えば、線径20μm以下といった超微細な極細線では、加工歩留まりが一段と悪化するとともに、高度の伸線技術が必要となり、コストアップの原因となる。
また、上記特許文献2のように、引張強さ2900N/mm2以上のステンレス鋼極細線では、伸びが2〜5%と非常に小さいため、やはり、織製作業性に劣り、断線による歩留まり低下や、作業速度の低下によるコストアップが生じやすい。また、このような高強度極細線は、例えば縦線や横線を用いて大きく屈曲させてメッシュの膜厚さを厚くするには限界がある。このため、結果として、チップコンデンサー用などで求められる400メッシュを超えるようなハイメッシュ用途には適用し難い。したがって、このような高強度極細線では、電子部品用のスクリーン印刷に供するハイメッシュ用としては使用し難いものであった。
さらに、上記特許文献3についても、縦線と横線とに強度の異なる極細線を用いるものでハイメッシュ化を図っている。しかしながら、このような網体では、縦、横の両方向での強度差が大きく、耐久性の低下、取り扱い上の煩わしさ、更には極細線の在庫管理の複雑化などの問題がある。
本発明は、以上のような実情に鑑み、従来の前記課題を解決し、前記極細線への細径加工性とともに、微細メッシュへの織製作業性にすぐれ、高強度で高精度、かつ高寿命化をもたらし得る金属極細線、その製造方法及び金属極細線を用いたメッシュ金網の提供を目的とする。
また、本発明の他の目的は、その新規な特性によって、特に薄層印刷が求められる例えば前記チップコンデンサーやコイルインダクタ等の電子部品のスクリーン印刷用の金属極細線として、その普及拡大を図ることことにある。
本発明のうち請求項1記載の発明は、線径(d)が30μm以下の金属極細線であって、質量%で、
C:0.005〜0.3%、
Si:≦2.0%、
Mn:≦2.0%、
Ni:5〜38%、
Cr:15〜28%及び
Co:35〜58%を含み、かつ、
Mo:0.4〜12%及びW:1〜16%のいずれか1種を含み、しかも残部がFe及び不可避不純物で構成されたCo基合金で、
引張強さ(σs)が1000〜1500MPa、かつ、伸び(E)が20%以上であることを特徴とする金属極細線である。
また、請求項2記載の発明は、 前記Co基合金は、任意元素として、更に質量%で0.2〜4%のAl、0.1〜2.5%のTi、0.1〜1.0%のNb、及び0.05〜0.3%のNの少なくとも1種を含有する請求項1記載の金属極細線である。
また、請求項3記載の発明は、前記Coの含有量が、次式で算出されるN値の1.0〜2.0倍である請求項1又は2に記載の金属極細線である。
=Ni+0.65Cr+0.98Mo+1.05Mn+0.35Si+12.6C
また、請求項4記載の発明は、前記引張強さ(σs)と0.2%耐力(σ0.2)との比{(σ0.2/σs)×100}である耐力比(%)が、前記伸び(E)(%)の2.0〜4.0倍である請求項1〜3のいずれかに記載の金属極細線である。
また、請求項5記載の発明は、前記極細線を、その線径(d)の20倍の太さを有する断面円形の支持線に巻回して、該極細線の0.2%耐力(σ0.2)と同等の応力を付加して引張り、除荷したときの変形戻り角度θが20°以下であることを特徴とする請求項3又は4に記載の金属極細線である。
また、請求項6記載の発明は、金属極細線の製造方法であって、以下の工程a〜dを含むことを特徴とする金属極細線の製造方法である。
(a)質量%で、C:0.005〜0.3%、Si:≦2.0%、Mn:≦2.0%、Ni:5〜38%、Cr:15〜28%及びCo:35〜58%を含み、かつ、Mo:0.4〜12%及びW:1〜16%のいずれか1種を含み、しかも残部がFe及び不可避不純物で構成されたCo基合金の線材を準備する段階
(b)前記Co基合金の線材を細径化する伸線加工と、その加工によって生じた加工歪を除去する熱処理とを繰り返し行いながら細径化された軟質細線を得る段階
(c)前記軟質細線を冷間加工によって線径30μm以下の極細線にする冷間伸線加工を行う段階
(d)前記冷間伸線加工の後、次式で表されるB値が100〜220となる条件で加熱処理し、引張強さが1000〜1500MPa、かつ、伸び(E)が20%以上の極細線を得る段階
B=(0.785×T×d0.5/(10×S)
但し、T:温度(℃)、d:線径(μm)、S:加熱時間(秒)
また、請求項7記載の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の金属極細線を縦糸及び/又は横糸に用いて構成され、かつ300メッシュ以上に織製したことを特徴とするメッシュ金網である。
また、請求項8記載の発明は、金網の厚さ方向の断面視において、前記極細線は、40°以上の織製角度(α)で織り上げられている請求項7に記載のメッシュ金網である。
また、請求項9記載の発明は、前記メッシュ金網は、その製網加工後に更に時効処理が施されたものであることを特徴とする請求項7又は8に記載のメッシュ金網である。
また、請求項10記載の発明は、前記メッシュ金網は、チップコンデンサーまたはコイルインダクタのスクリーン印刷に用いられるものである請求項7〜9のいずれかに記載のメッシュ金網である。
本願請求項1に係る発明は、線径30μm以下の金属極細線であって、質量%で、C:0.005〜0.3%、Si:≦2.0%、Mn:≦2.0%、Ni:5〜38%、Cr:15〜28%及びCo:35〜58%を含み、かつ、Mo:0.4〜12%及びW:1〜16%のいずれか1種を含み、しかも残部がFe及び不可避不純物で構成されたCo基合金で、引張強さ(σs)が1000〜1500MPa、かつ、伸び(E)が20%以上であることを特徴とする。このような金属極細線は、例えば、Co基合金の細径化に伴う加工硬化性と、その後の熱処理での軟化特性によって、高い引張強さと20%以上の優れた伸び特性とを両立させることが可能である。
また、前記Co基合金は、例えばSUS304又はSUS316材など従来の一般的なステンレス鋼極細線に比して加工性に優れ、安定した細径加工が可能であり、容易に30μm以下の極細線に細径化できる。そして、歩留まりの影響も少なく、これを所定の条件で熱処理することで前記特性を得ることができる。
しかも、前記組成を有する極細線は、細径化によって、例えば180〜200GPa程度の大きな縦弾性係数を具えることができる。このため、該金属極細線は、例えば大きな曲げ変形を伴いながらハイメッシュ用のメッシュ金網に織製加工される場合にも安定した作業が可能である。また、織製後のメッシュ金網も、高い弾性、優れた使用性及び耐久性を発揮しうる。
本願請求項2〜5に係る発明によれば、その特性を更に向上して、高強度で織製作業性にすぐれた極細線の提供が可能であり、ひいては膜厚さの厚いメッシュ金網の織製に役立つ。
また、本願請求項6に係る発明によれば、優れた特性の金属極細線を、段階(d)の加熱処理における加熱条件の調整によって適宜設定できる。従って、例えば、その前段階での最終仕上げの極細線を在庫しておくことで、生産効率を高めることができ、在庫管理の簡素化が可能である。
さらに請求項7〜10に係る発明では、300メッシュ以上のハイメッシュが可能で、その厚さ方向の断面視で縦線及び/又は横線を40°以上の織製角度(α)をもたらし、膜厚さの厚いメッシュ金網を歩留まり良く作ることができる可能である。従って、前記極細線によるメッシュ金網は、前記特性に加えて大きな弾性特性をも具え、大きく曲げ変形されるようなハイメッシュ用の織製作業にもよく順応する。これにより、織製後のメッシュ金網も高い弾性を有し、例えばチップコンデンサーやコイルインダクタなど特に高精密度が求められるスクリーン印刷に好適し、例えばフレームへの張設状態を安定させ、折損など抑制し得る長寿命のメッシュ金網が提供できる。
また必要に応じて、該メッシュ金網に所定温度で加熱し時効処理することで、該極細線内部に微細粒子状の金属間化合物粒子を分散配置させることができる。これは、メッシュ金網における機械的特性を向上させ、機能向上を図るのに役立つ。
メッシュ金網の部分拡大斜視図である。 メッシュ金網の厚さ方向の断面図である。 金属極細線の加熱温度、引張応力及び伸びの関係を示すグラフである。 極細線の巻き付け試験の方法を示す説明図である。 実施例及び比較例の引張応力と歪との関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1は、本発明に係る金属極細線1を用いて織製したメッシュ金網2の斜視図であって、同図に見られるように、メッシュ金網2は、前記極細線1からなる縦線1a及び横線1bにより平織りされて形成される。また、前記縦線1a及び横線1bは、図2に示されるように、例えば、金網の厚さ方向の断面視で40°以上の織製角度αで織られることにより、例えば300メッシュ以上、好ましくは400メッシュ以上、更に好ましくは500〜800メッシュを有するハイメッシュ金網として構成される。なおメッシュ金網2の織り構造については、本実施形態の平織りに限定されるものではなく、例えば綾織りや畳織りなどが採用されても良い。
前記織製角度αは、その厚さ方向の断面視として示す図2に見られるように、該メッシュ2を平面上に載置した時の各織線、すなわち縦線1aや横線1bの交差に伴う立ち上りの角度で示される。そして、この角度を大きくするほど、メッシュ金網2のピッチを小さくでき、それに伴って網厚さの大きいハイメッシュの金網が製造される。このようなハイメッシュの金網用の極細線には、このような大きな波付け変形加工性に優れるとともに、スプリングバックが小さい特性を具えることが望まれる。
すなわち、所定の線径の極細線を縦線や横線に用いて織製メッシュを製造する場合、メッシュ目開きは少なくとも交差する線同士の線径の1本分の間隔が必要であるが、その織製角度αが必要以上に小さいものでは配線ピッチを拡げてハイメッシュを得ることは困難である。また、織製角度αが必要以上に小さいものでは、織製厚さも小さいものとなる。網厚さの大きいハイメッシュ金網としては、各織線の配置ピッチ(隣り合う織線の中心間の距離)Pを、該メッシュ金網2の厚さtの0.8〜3.0倍、例えば0.9〜1.6倍となるように構成することが好ましい。
このように、より高いハイメッシュの織製状態とするには前記織製角度αを大きくするとともに、実質的に各織線の配置ピッチPをできるだけ小さくすることが好ましい。とりわけ、前記角度αは、少なくとも40°以上、より好ましくは50〜85°が望ましい。従って、前記極細線1には、このような波付け加工がなされても、良好に波付けできるものとして、特定組成のCo基合金が採用されるとともに、その引張強さ及び伸び特性が一定範囲に限定される。
即ち、引張強さが1000MPa未満のような低強度のものでは、比較的容易に波付成形できスプリングバックも低く抑えることができる。しかしながら、このような低強度極細線を用いたメッシュ金網では、フレームへの張設時や使用時の張力負荷によって目開きや目づれを起こしやすく、寿命が短いという欠点がある。逆に、引張強さが1500MPaを超えるものでは、スプリングバックが大きくなるため、ピッチ間隔を広げてハイメッシュ金網を製造するのが困難になる。また、織製作業性を低下させる懸念もある。こうした点から、金属極細線1の引張強さを前記範囲とするが、より好ましくは1200〜1400MPaである。
また金属極細線1の伸びに関し、膜厚さの大きいメッシュ金網を織製する場合、例えば10%程度の低伸び特性のものでは円滑な織製作業ができない。その結果、前記織製角度αも小さくなり、ひいては300メッシュ以上の網体を提供することが困難になる。本発明では、金属極細線1の伸びの下限値を20%とするが、好ましくは20〜45%、より好ましくは22〜35%とする。なお、伸び特性は、例えばJIS−Z2241「金属材料引張試験方法」に規定される方法で行われ、その場合の標点間距離は100mmが採用される。
上述の高強度及び高伸び特性をもたらす金属極細線1として、本発明では、C:0.005〜0.3%、Si:≦2.0%、Mn:≦2.0%、Ni:5〜38%、Cr:15〜28%及びCo:35〜58%を含み、かつ、Mo:0.4〜12%及びW:1〜16%のいずれか1種を含み、しかも残部がFe及び不可避不純物で構成されたCo基合金で構成された線径dが30μm以下のものを対象としている。
上記組成のCo基合金は、例えばSUS304、SUS316材といった一般的なステンレス鋼極細線に比して、加工性に優れ、安定した細径加工が可能である。従って、30μm以下、さらには25μm以下の極めて細い線径まで比較的良好に細径化できる。特に、前記組成を持つ金属極細線では、その最終段階での加熱処理における処理条件、即ち加熱温度、線形及び加熱時間との関係において、従来のステンレス鋼極細線等に比して次のような特徴的現象を有することが確認されている。
図3は、前記Co基合金の極細線における各熱処理温度での加熱時間の影響を見た実験結果の一例であって、ストランド方式で熱処理した引張強さと伸びとの関係が示されている。この試験は、加熱処理の巻取り速度が100m/minでの低速処理と、160m/minの高速処理との2条件で行われた。この結果によれば、加熱温度が900℃程度までは、処理速度の影響は殆ど見られない。しかしながら、温度950℃以上の領域では、引張強さは両者ほぼ同等の1500MPa程度であるにもかかわらず、伸び特性には大きな乖離が見られる。このような特性は、線径50μm程度以下、特に30μm以下の前記Co基合金の極細線でより顕著に見られる傾向である。
結果的に、例えば温度950℃で前記高速処理した例では13%程度の伸びしか得られないのに対し、低速処理したものでは約20%と大幅な増加が見られている。したがって、この特性を利用すれば、加熱温度や加熱時間の条件をやや高めに設定した加熱処理によって、引張強さが若干低下しても、伸び特性をより大きく改善できる。この処理条件の判断基準としては、最終加熱処理での加熱温度Tと、加熱時間S及び該極細線の線径dとの関係に基づく算出値が採用される。これについては後述する。
また、前記加熱処理によって、金属極細線1の横断面内で任意に選択される複数の結晶粒毎の各断面積を平均した平均結晶粒の平均径が例えば5μm以下、好ましくは2μm以下の極めて微細なオーステナイト組織が得られる。このような組織は、高強度化とより大きな伸び特性をもたらす。
本発明の金属極細線1は、線径が30μm以下、より好ましくは10〜25μm、更に好ましくは12〜20μmである。また、金属極細線1は、内部に介在物や偏析などの内部欠陥が生じないよう、例えば真空溶解、ESR溶解を適宜組合したダブルメルトやトリプルメルト法によって精製された原材料が好適に用いられる。また、前記介在物等が形成されないように、合金中のP、S及びCa等の介在物形成元素、すなわち不可避不純物は、各々0.04%以下に抑制するのが良い。とりわけ、前記不可避不純物の合計が2%を超えないように調整するのが望ましい。
次に、前記Co基合金の合金組成を前記範囲に制限する理由は次によるが、その分量は特に明記する場合を除き、質量%で示される。
[C:0.005〜0.3%]
Cは、浸入型元素で0.005%以上の添加によって機械的特性を高め、高強度をもたらすが、0.3%を超えるほど多量に含有すると、炭化物を形成して極細線のような細径化が困難であるため0.3%以下とする。好ましくは、Cは0.05〜0.3%とし、より好ましくは0.08〜0.18%、さらに好ましくは0.1〜0.15%とする。
[Si:≦2.0%]
Siは溶解時に必要な脱酸成分で、その添加によって疲労特性、強度特性を向上するが、2.0%を超えるものではσ相を生成して強度特性の低下をもたらす。従って、Siの上限は、2.0%とし、好ましくは0.1〜1.0%、より好ましくは0.2〜0.8%とする。
[Mn:≦2.0%]
Mnは、ニッケルとともに組織を安定化して加工性を向上させる。しかしながら、Mnの配合量が2.0%を超えても、その効果は飽和し、かえってコストアップとなるので、上限を2.0%とする。とりわけ、Mnは、好ましくは0.1〜1.8%、より好ましくは0.5〜1.5%が望ましい。
[Ni:5〜38%]
Niは、生地マトリックスを安定させるとともに、クロムの耐酸化性を促進して加工性向上に有効である。この効果を得るためには、少なくとも5%以上のNiが必要である。一方、Niは高価で材料費の高騰になることから、本発明ではその範囲を5〜38%としており、好ましくは5.0〜20.0%、より好ましくは10.0〜18.0%とする。
[Cr:15〜28%]
Crは、本極細線の生地に固溶することで耐食性及び機械的特性を向上し、スクリーン印刷用のメッシュ金網として用いるものでは少なくとも15%以上の添加が有効である。しかし、Crが28%を超えるものでは、鍛造性が悪化して疲労特性が低下する。このような観点より、Crは15〜28%とするが、好ましくは18.0〜25.0%、より好ましくは20.0〜24.0%とする。
[Mo:0.4〜12%及びW:1〜16%の少なくとも1種]
Moは、極細線の強度を高めるとともに耐食性向上をもたらす。その効果は0.4〜10%の添加で顕著であるが、12%を超えると、硬脆化して寿命を短縮することが懸念されるので、好ましくは2.0〜8.0%、更に好ましくは4.0〜7.0%とする。ただし、該Moに代えて又はMoとともに、更に1〜16%のWを添加し、高強度することもできる。
[Co:35〜58%]
Coは、本発明ではCo基合金のベースマトリックスを形成する基本元素で、他の元素とのより好ましい成分バランスの関係から、その含有量は35〜58%とする。より好ましくは、Coの含有量として、例えば前記Moを主に含有する場合、36.0〜45.0%が、またWを主に含有する場合、44.0〜55.0%がそれぞれ望ましい。
また、前記Co基合金には、更に機械的特性や耐食性、加工性などの特性向上を図るために、必要に応じて次の任意元素の付加を許容する。即ち、任意元素としては、例えば0.2〜4%のAl、0.1〜2.5%のTi、0.1〜1.0%のNb、及び0.05〜0.3%のNなどを挙げることができる。これらの任意元素は、その1種又は2種以上添加されても良い。また、2種以上の任意元素を複合添加する場合、その合計量は6%以下とすることが好ましい。
以上の組成を有するより具体的なものとしては、例えば質量%で、C:0.05〜0.30%、Si:≦2.0、Mn≦2.0%、Ni:5〜20%、Cr:15〜28%、Mo:0.4〜10%と、Co:35〜55%を含むCo基合金や、C:≦0.15%、Si:≦1.0、Mn≦2.0%、Ni:9〜15%、Cr:18〜22%、W:14〜16%、Co:46〜58%を含むCo基合金が挙げられる。なお、いずれも、必要に応じた前記任意元素の添加ができ、残部は実質的にFe及び不可避不純物で構成される。特に、前者組成のCo基合金は、極細線への細径加工性に富み、生産性を高め好ましいものの一つである。
また前記組成は、より好ましくは次式N値が30〜45(単位:質量%)、更に好ましくは33〜42になるように調整され、かつ前記Coの配合量が前記NA値の1.0〜2.0倍、より好ましくは1.0〜1.5倍、さらに好ましくは、1.0〜1.3倍に調整することで、組成的バランスをより一層向上させて前記特性を安定化させることができる。
=Ni+0.65Cr+0.98Mo+1.05Mn+0.35Si+12.6C
前記N値は、その増大によってオーステナイト相の安定化を図ることができ、前記Coの配合量がN値の1.0倍未満では高強度化や耐食性の向上が十分に期待できないおそれがあり、逆に2.0倍を超えるものでは本発明のように30μm以下の極細線への伸線加工性に悪影響を及ぼすおそれがある。
上述のような組成を持つCo基合金からなる金属極細線1は、例えば冷間での伸線加工とその加工歪を回復するための熱処理とを必要に応じて繰返しながら細径化されて軟質細線を得(工程b)、この軟質細線を冷間加工によって線径30μm以下かつ予め定めた仕上げ線径を有する極細線にする冷間伸線加工が行われる(工程c)。工程cの冷間伸線加工の後、例えば900〜1150℃、好ましくは950〜1100℃の温度範囲内で加熱処理がなされる(工程d)。
工程b及び/又はcの伸線加工は、例えば加工率60〜99.8%での湿式方式による冷間伸線加工で行われ、より好ましくはダイヤモンドダイスを用いたノンスリップ型伸線加工が選択される。また、前記Co基合金線は組織的にも安定で加工性に優れることから、例えば前記極細線とする伸線加工では、伸線速度300〜1500m/min程度の高速加工が可能である。また、必要ならば線の表面に、例えばNiめっきやCuめっき等の種々加工用潤滑皮膜を設けておくことも好ましい。
前記工程dの加熱雰囲気は、真空又はH2ガス、Arガス、AXガス(H2+N2の混合ガス)などの種々無酸化雰囲気が採用でき、特にAXガスが好ましい。また、本発明では前記工程dの加熱熱処理は、加熱温度T(℃)、加熱時間S(秒)及び線径d(μm)の関係を示す次式B値が100〜220となる処理条件で行われる。
B=(0.785×T×d0.5/(10×S)
=√(0.785×T×d)/(10×S)
前記B値が100未満の場合、加工歪の十分な除却ができず、ひいては優れた伸び特性の極細線が得られ難い。逆に、例えば加熱温度Tを高めて加熱時間Sを比較的短くする等により、前記B値が220を超える場合には、高強度化や高伸び特性が得られ難い。このような観点より、前記B値は、好ましくは120〜180、更に好ましくは130〜160とする。
このようにして製造された極細線1は、例えば直流磁化試験装置(メトロン技研)による透磁率(μ)が1.01以下の非磁性で、かつ、前記引張強さσsの60〜80%に相当する700MPa以上、例えば900〜1200MPaの0.2%耐力(σ0.2)を具える。また、引張強さσsと0.2%耐力σ0.2との比{(σ0.2/σs)×100}で求められる耐力比(%)が、前記伸びE(%)の2.0〜4.0倍という高い伸び特性を有し、前記ハイメッシュの金網用として特に好ましいものである。
上記の極細線1の特性は、図4に示されるように、例えば該極細線1を、その線径dの20倍の太さを持つ断面円形の支持線3に巻回して、前記0.2%耐力と同等の応力を付与して引張った後、除荷する巻付け試験において、極細線1の変形戻り角度θを20°以下に抑制できることに寄与する。これは、メッシュ織製加工時に、極細線1を大きく波付け屈曲させる場合でも、波付け後のスプリングバックを抑え、ハイメッシュの網体の織製を可能とする。
このスプリングバックの特性は、例えば極細線の一端を固定し、他端側を繰り返し折り曲げる曲げ試験で評価できる。しかし、本実施形態のような金属極細線1では、非常に微細で目視も困難なことから、前記巻き付け試験により、所定の支持線に所定回数(例えば2回)巻回して、その両端を前記応力で互いに逆向きに引張り後、除去した時の極細線の戻り角度θを測定することとした。なお、図4はその戻り角度θを含めて試験状態を示している。
前記戻り角度θが20°を超える極細線は、スプリングバックが大きく、ひいては前記織製角度αを大きくすることができない。より好ましくは前記戻り角度θは、5〜15°が望ましい。戻り角度θの調整は、前記組成及び加工処理条件による特性の調整で対応され、こうした特性を持つ極細線は、特に前記ハイメッシュ金網用として非常に好ましいものである。
前記金属極細線1によるメッシュ金網2は、高強度で高伸び特性を持つ極細線で織製されたもので、その用途として、例えば特開2007−210301号公報に記載されるように、版枠に張設して用いられるスクリーン用のハイメッシュとして、前記チップコンデンサー等の電子部品への応用の他、例えば高精度のフィルター用網体等として好適に用いられる。
前記チップコンデンサーの製造には、例えばセラミック誘電体の微薄なシートに各々微細な内部電極を多数まとめて印刷するシート工法が採用される。そして、そのシートを数百乃至それ以上積層してチップ状に切断して構成される。前記メッシュ金網2は、その印刷段階でのスクリーン印刷用の膜材として用いられる。したがって、本発明に係る前記金属極細線1を縦糸1a及び/又は横糸1bに用いて300メッシュ以上、例えば400〜800メッシュといったハイメッシュに織製したメッシュ金網は、このような高密化し、高精度のスクリーン印刷に特に適したものになる。
また、前記メッシュ金網2の強度特性をさらに高めるために、例えば前記極細線又はメッシュ金網に更に温度400〜600℃の加熱温度で時効処理し、該極細線1の基地マトリックス内に、例えばM23C6系等の微細な金属間化合物粒子を析出させ、変形転位に対する障害物として機能させ材料強化を図ることもできる。この場合の時効処理は、例えば無酸化雰囲気中でのストランド方式で行われるのが良い。また、化合物粒子としては、例えばその分量が0.01〜1.0wt%程度で調整される。
次に本発明のより具体的な実施例について説明するが、本発明は、これらの実施例に限定して解釈されるものではない。
真空ダブルメルト溶解法で製造した表1に示す6種類のCo基合金材による線材(実施例A1〜A6)を、各々冷間伸線加工と熱処理とを繰り返し行って、線径0.10mmφに細径化した後、温度1150℃で熱処理して素材となる軟質細線を得た。前記伸線加工はダイヤモンドダイスによるスリップ型の湿式伸線加工で行われた。この一連の素材加工段階では、断線やダイスマーク等、大きな問題もなく中間加工率70〜98%でも良好に作業できたが、特に試料A1〜A4の合金線は良好であった。また、その横断面の顕微鏡検査でも、特に有害になるような介在物や組織欠陥は確認されなかった。
一方、比較例B1〜B3には、従来から高強度極細線として用いられるSUS304、304N、316材が用いられた。これらの組成は表1に示される。
Figure 2010106361
上記各細線を、前記と同様にスリップ型の極細伸線機(築山機械(株)製)によって加工率96.4%で冷間伸線加工し、19μmに細径化して極細線を得た。この状態で、各実施例は2800〜2900MPa程度の引張強さと、2〜4%の伸び特性を有するものであった。
次に、上記で得られた各極細線に対して、温度900〜1150℃の範囲で、かつ、前記B値が140〜145の条件で加熱処理を行い、加熱温度に伴う機械的特性の変化を見た。この加熱処理は、ストランド型の電気加熱炉(炉長1m)で、加熱雰囲気は前記AXガスで行われたもので、加熱後急冷して織製加工に適する特性を持たせるものである。
表2には、得られた極細線の特性結果として、加熱温度1050℃、加熱巻取り速度160m/minの一定条件で行なった引張強さ、伸び及び0.2%耐力等の特性を比較したものである。
Figure 2010106361
引張強さは、JIS−Z2241に準拠し、標点間距離100mmで行った各2点の平均値で示されている。実施例は、いずれも比較例に比べて、引張強さ及び伸び特性ともに優れている。特に、実施例A4は、伸びが30%を超える高強度・高伸び特性が得られている。また、各実施例の金属極細線について、その横断面の組織状態を顕微鏡観察したところ、いずれも前記加熱処理によって前記した平均結晶粒径が1μm以下の非常に微細なオーステナイト組織を有していることが確認できた。
また、実施例は、耐力比σ0.2/σが平均75%程度であり、これは前記伸び特性の2.4〜3.1倍に相当する。このような特性を持つ実施例の極細線は、織製加工してハイメッシュ金網を容易に製造でき、その生産性及び歩留まりの向上に有効に寄与するものであった。
他方、比較例B1及びB3では、引張強さが1000MPa程度と低いことが分かる。また、伸び特性については、例えば比較例B1のSUS304材は36%であるものの強度的に劣る。逆に、比較例B2は、引張強さが1300MPa程度で高いものではあるが、伸びが15%と低く満足し難いものであった。
更に、上記各極細線の他の特性評価として、図4に示したように、その線径dの20倍の太さの支持線3に巻き付けて、その両端を前記0.2%耐力と同等の応力で引張った後、除荷したときの変形戻り角度θを求めたところ、実施例はいずれも10〜18°と小さく、良好な結果が得られた。
前記実施例A1で0.10mmφに細径化された硬質細線を一端温度1150℃で焼鈍熱処理して軟質線にし、さらに40μmへの伸線加工と温度1110℃での焼鈍熱処理とを行った後、最終の冷間伸線加工を前記スリップ型伸線機によって19μmに細径化し、更に前記B値が120〜130範囲内で加熱処理して所定の極細線を得た。比較対象として、比較例B1及びB2を用いた。それらの加工率は実施例A1より低い77%で行ったもので、その場合の影響を見るために、同様に温度1050℃×100m/minの条件で最終熱処理を行った。結果は、図5に示される。
比較例B1は、最終熱処理前の伸線加工率が少なく、また熱処理速度も100m/minで行ったことから、全体的に実施例に比して引張強さが減少したが、伸び特性については実施例と大きな違いは見られなかった。比較材B2は高強度であるが、伸び特性が得られていないことが確認される。
前記実施例A2の最終熱処理の雰囲気ガスによる特性の影響を見るために、Arガスを用いて同様の熱処理を行って各特性を調査したが、いずれの特性もバラツキ程度の範囲内で、顕著な違いは見られなかった。
各極細線のメッシュ織製の加工性を見るために、実施例A2、A5と、比較例B2を用いて、各々縦線及び横線とする3種類のメッシュ金網(380メッシュ)を織製した。このときの横線は、織製角度αを50〜55°として大きく波付けしたものである。テストの結果、スプリングバックは実施例の方が小さく、問題なく織製することができた。
また得られたメッシュ金網の特性を見るために、幅10mm×長さ200mmに切除した各試験片について各々引張強度と曲げR(R=1mm)での繰返し曲げ回数を測定し比較した。引張試験は、通常の線材で行われるのと同様の引張試験により、破断に要した破断荷重で評価される。また、繰り返し曲げ試験は、試験片を、標点距離50mmにセットされた上下の2つのチャック間に緩みなく取り付け、その一方を水平方向に左右(180゜)に移動させて試験片に繰り返し曲げを与え、試験片が疲労破断するまでの曲げ回数で評価した。本試験ではその曲げ角度90°を1回とし、曲げ速度は1秒/90°で行ったものである。
テストの結果、実施例のメッシュ金網は、いずれも10〜20%程度の破断荷重の向上ができ、また繰返し曲げ特性では1万回でも破断せず、比較例に比して約1.5倍以上の長寿命を有するもので、スクリーン印刷用の製版に使用する場合は、高強度かつ長寿命の特性を有するものであることが確認された。
これらの結果に見られるように、本発明による極細線を用いたメッシュ網体は、高強度で高伸び特性を有することから、波付角度を大きくすることでハイメッシュ化が図れ、寿命特性も大きく改善することができた。
また、その他特性として、耐食性についてはJIS−Z2371による72時間の塩水噴霧試験、及びJIS−G0579によるアノード分極試験によりステンレス鋼による比較メッシュとの比較をしたが、何れの特性もステンレス鋼の比較メッシュを超える耐食性が確認でき、また磁性については、透磁率1.01以下の非磁性であった。
次に、実施例4で得られたメッシュ金網を、インラインの無酸化雰囲気中に配置して温度530℃で時効処理を行い、時効処理の有無について効果を確認した。評価方法は、各メッシュ金網を、製版用枠に所定張力で張り渡し、スクリーン印刷を想定してスキージの移動に伴うメッシュ金網の張り緩みの有無を観察した。本発明に係わるメッシュ金網は全体的に良好な結果が得られ、特に時効処理したものでは張り緩みの発生が少なく、より有効であることが確認された。
以上説明したように、本発明によればその組成を調整されたCo基合金により構成され、高強度で伸び特性に優れることから、特に300メッシュ以上のハイメッシュの網体に好ましく採用できる。また、本発明の金属極細線は、耐食性にも優れることから、従来のステンレス鋼極細線と同様に種々用途に幅広く応用できるものである。
1 金属極細線
2 メッシュ金網
α 製織角度
θ 変形戻り角度

Claims (10)

  1. 線径(d)が30μm以下の金属極細線であって、質量%で、
    C:0.005〜0.3%、
    Si:≦2.0%、
    Mn:≦2.0%、
    Ni:5〜38%、
    Cr:15〜28%及び
    Co:35〜58%を含み、かつ、
    Mo:0.4〜12%及びW:1〜16%のいずれか1種を含み、しかも残部がFe及び不可避不純物で構成されたCo基合金で、
    引張強さ(σs)が1000〜1500MPa、かつ、伸び(E)が20%以上であることを特徴とする金属極細線。
  2. 前記Co基合金は、任意元素として、更に質量%で0.2〜4%のAl、0.1〜2.5%のTi、0.1〜1.0%のNb、及び0.05〜0.3%のNの少なくとも1種を含有する請求項1記載の金属極細線。
  3. 前記Coの含有量が、次式で算出されるN値の1.0〜2.0倍である請求項1又は2に記載の金属極細線。
    =Ni+0.65Cr+0.98Mo+1.05Mn+0.35Si+12.6C
  4. 前記引張強さ(σs)と0.2%耐力(σ0.2)との比{(σ0.2/σs)×100}である耐力比(%)が、前記伸び(E)(%)の2.0〜4.0倍である請求項1〜3のいずれかに記載の金属極細線。
  5. 前記極細線を、その線径(d)の20倍の太さを有する断面円形の支持線に巻回して、該極細線の0.2%耐力(σ0.2)と同等の応力を付加して引張り、除荷したときの変形戻り角度θが20°以下であることを特徴とする請求項3又は4に記載の金属極細線。
  6. 金属極細線の製造方法であって、以下の工程a〜dを含むことを特徴とする金属極細線の製造方法。
    (a)質量%で、C:0.005〜0.3%、Si:≦2.0%、Mn:≦2.0%、Ni:5〜38%、Cr:15〜28%及びCo:35〜58%を含み、かつ、Mo:0.4〜12%及びW:1〜16%のいずれか1種を含み、しかも残部がFe及び不可避不純物で構成されたCo基合金の線材を準備する段階
    (b)前記Co基合金の線材を細径化する伸線加工と、その加工によって生じた加工歪を除去する熱処理とを繰り返し行いながら細径化された軟質細線を得る段階
    (c)前記軟質細線を冷間加工によって線径30μm以下の極細線にする冷間伸線加工を行う段階
    (d)前記冷間伸線加工の後、次式で表されるB値が100〜220となる条件で加熱処理し、引張強さが1000〜1500MPa、かつ、伸び(E)が20%以上の極細線を得る段階
    B=(0.785×T×d0.5/(10×S)
    但し、T:温度(℃)、d:線径(μm)、S:加熱時間(秒)
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載の金属極細線を縦糸及び/又は横糸に用いて構成され、かつ300メッシュ以上に織製したことを特徴とするメッシュ金網。
  8. 金網の厚さ方向の断面視において、前記極細線は、40°以上の織製角度(α)で織り上げられている請求項7に記載のメッシュ金網。
  9. 前記メッシュ金網は、その製網加工後に更に時効処理が施されたものであることを特徴とする請求項7又は8に記載のメッシュ金網。
  10. 前記メッシュ金網は、チップコンデンサーまたはコイルインダクタのスクリーン印刷に用いられるものである請求項7〜9のいずれかに記載のメッシュ金網。
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