JP2010055019A - トナー組成物 - Google Patents

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正司 皆木
Shinichi Maeda
真一 前田
Koshin Yoshimura
光真 嘉村
Shinya Sasada
信也 笹田
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Abstract

【課題】 結着樹脂と荷電制御剤、及び着色剤のマスターバッチを使用することなく、画像濃度、帯電性及び、耐ブロッキング性全てに優れるトナーを提供する。
【解決手段】 溶融粘弾性測定において140℃で測定した粘度が、せん断速度0.1s-1の時(η0.1)18000〜800Pa・s、せん断速度1s-1の時(η1)14000〜600Pa・s、せん断速度10s-1の時(η10)6000〜200Pa・sであるポリエスル樹脂(A)を含有するトナー用樹脂、荷電制御剤及び着色剤が、下記式(1)で示される混練エネルギー(E)が20〜2000J/gとなる条件で連続式混練押出し機で混練され、トナー用樹脂中に荷電制御剤及び着色剤が分散されてなるトナー組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、電子写真、静電記録、静電印刷等に用いられるトナー組成物に関する。
電子写真用トナーは結着樹脂を主成分とし、これに必要に応じて、着色剤、荷電制御剤、離型剤等を添加して製造される。そして、これらのトナーの製造方法としては、原料を全て一度に混合して混練機などにより加熱、溶融、分散を行ない、均一な組成物とした後、これを冷却して、粉砕、分級する方法が一般的に採用されている。
一方、着色剤や荷電制御剤等の添加剤の分散性を向上させる観点から、添加剤と結着樹脂からなるマスターバッチを製造後、得られたマスターバッチをさらなる結着樹脂と混合して、トナーを製造する方法がある。特許文献1では、顔料分散を向上させて色再現性を改善するために、酸価が特定の樹脂を含有するマスターバッチを使用したトナーが開示されている。特許文献2では、荷電制御剤の分散性を向上させて帯電立ち上がり性を改善するために、特定の軟化点を有する樹脂を含有するマスターバッチを使用するトナーの製造方法が開示されている。
特開2004−45617号公報 特開2004−170710号公報
マスターバッチを用いると着色剤や荷電制御剤等の添加剤の分散性が向上し、均一に添加剤が存在したトナーを得ることができ、発色性や帯電性を改善することができる。しかしながら、混練・粉砕工程が2倍になり、生産性が悪化したり、マスターバッチの結着樹脂とトナー生産時に加える結着樹脂との混合性等の課題があり、生産方法を全て置き換えるには至っていない。
本発明の課題は、結着樹脂と荷電制御剤及び着色剤のマスターバッチを使用することなく、画像濃度、帯電性及び、耐ブロッキング性全てに優れるトナーを提供することにある。
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち本発明は、溶融粘弾性測定において140℃で測定した粘度が、せん断速度0.1s-1の時(η0.1)18000〜800Pa・s、せん断速度1s-1の時(η1)14000〜600Pa・s、せん断速度10s-1の時(η10)6000〜200Pa・sであるポリエスル樹脂(A)を含有するトナー用樹脂、荷電制御剤及び着色剤が、下記式(1)で示される混練エネルギー(E)が20〜2000J/gとなる条件で連続式混練押出し機で混練され、トナー用樹脂中に荷電制御剤及び着色剤が分散されてなるトナー組成物である。
Figure 2010055019
〔式(1)において、IPはセグメント間隔[m]、Ddはセグメント径[m]、Nは回転数[s-1]、Ldは横型装置全長[m]、ηは混練時のせん断速度における粘度[Pa・s]、gは重力加速度[m・s-2]、Wは混練機へのフィード量[g/s]、tは混練装置内の滞留時間[s]、Eは混練で与えられるエネルギー[J/g]である。]
本発明によれば、結着樹脂と荷電制御剤及び着色剤のマスターバッチを使用することなく、画像濃度、帯電性及び、耐ブロッキング性全てに優れるトナー組成物を提供できる。
以下、本発明を詳述する。
本発明のトナー組成物に用いるトナー用樹脂中のポリエステル樹脂(A)としては、溶融粘弾性測定において140℃で測定した粘度が、せん断速度0.1s-1の時(η0.1)18000〜800Pa・s、せん断速度1s-1の時(η1)14000〜600Pa・s、せん断速度10s-1の時(η10)6000〜200Pa・sである。好ましくは140℃で測定した粘度が、せん断速度0.1s-1の時(η0.1)16000〜900Pa・s、せん断速度1s-1の時(η1)12000〜700Pa・s、せん断速度10s-1の時(η10)5500〜300Pa・sであり、さらに好ましくは、せん断速度0.1s-1の時(η0.1)14000〜1000Pa・s、せん断速度1s-1の時(η1)11000〜800Pa・s、せん断速度10s-1の時(η10)5000〜400Pa・sであり、特に好ましくは0.1s-1の時(η0.1)12000〜1100Pa・s、せん断速度1s-1の時(η1)10000〜900Pa・s、せん断速度10s-1の時(η10)4000〜420Pa・sである。
上記粘度をコントロールする方法としては、ポリエステル樹脂(A)の重量平均分子量を変化させることが好ましい。重量平均分子量を大きくすると粘度は高くなり、小さくすると粘度が低くなる。
ポリエステル樹脂(A)の構成としては特に限定されることなく、例えば1種類以上のポリオール成分と、1種類以上のポリカルボン酸成分とが1工程または2工程以上で重縮合されて得られた物が挙げられる。
ポリエステル樹脂(A)中には、軟化点が100〜150℃であるポリエステル樹脂(A1)を含有するのが好ましい。
ポリエステル樹脂(A1)の軟化点は、耐ホットオフセット性と低温定着性の観点から100〜150℃であり、好ましくは105〜148℃、さらに好ましくは110〜145℃である。
なお、本発明においては、フローテスターを用いて下記条件で等速昇温し、その流出量が1/2になる温度をもって軟化点とした。
装置 : 島津(株)製 フローテスター CFT−500
荷重 : 20kg
ダイ : 1mmΦ−1mm
昇温速度 : 6℃/min.
ポリエステル樹脂(A1)としては、ポリエステル樹脂の末端にさらにカルボン酸が反応されて得られたものが好ましく、以下に述べる特定酸価および特定水酸基価を有するポリエステル樹脂(a)と脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸これらカルボン酸の酸無水物及びこれらカルボン酸の低級アルキル(炭素数1〜4)エステルからなる群から選ばれる1種以上のカルボン酸(b)とが反応されて得られたものがさらに好ましい。
上記(a)としては、1種以上のポリオール成分と、1種以上のポリカルボン酸成分とが重縮合されて得られたものが好ましい。
ポリエステル樹脂(a)の原料のポリオール成分のうち、2価アルコール(ジオール)としては、炭素数2〜36の脂肪族ジオール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,3−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,3−ヘキサンジオール、3,4−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,7−ヘプタンジオール、およびドデカンジオール等のアルカンジオールなど);炭素数4〜36のポリアルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコール等);上記炭素数2〜36の脂肪族ジオールの炭素数2〜4のアルキレンオキシド(以下AOと略記する)〔エチレンオキシド(以下EOと略記する)、プロピレンオキシド(以下POと略記する)およびブチレンオキシド等〕付加物(付加モル数2〜30);炭素数6〜36の脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等);上記脂環式ジオールの炭素数2〜4のAO付加物(付加モル数2〜30);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールFおよびビスフェノールS等)の炭素数2〜4のAO付加物(付加モル数2〜30)等が挙げられ、2種以上を併用してもよい。
ポリオール成分のうち3〜8価またはそれ以上のポリオールとしては、炭素数3〜36の3〜8価またはそれ以上の脂肪族多価アルコール(グリセリン、トリエチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールおよびソルビトール等);上記脂肪族多価アルコールの炭素数2〜4のAO付加物(付加モル数2〜30);トリスフェノール類(トリスフェノールPA等)の炭素数2〜4のAO付加物(付加モル数2〜30);ノボラック樹脂(フェノールノボラックおよびクレゾールノボラック等:平均重合度3〜60)の炭素数2〜4のAO付加物(付加モル数2〜30)等が挙げられ、2種以上を併用してもよい。
これらのポリオール成分の中で、好ましくは、炭素数2〜6のポリアルキレンエーテルグリコール、炭素数6〜36の脂環式ジオール、炭素数6〜36の脂環式ジオールの炭素数2〜4のAO付加物、ビスフェノール類の炭素数2〜4のAO付加物、およびノボラック樹脂の炭素数2〜4のAO付加物であり、さらに好ましくは、ビスフェノール類の炭素数2〜3のAO(EOおよび/またはPO)付加物、およびノボラック樹脂の炭素数2〜3のAO(EOおよび/またはPO)付加物である。
ポリエステル樹脂(a)の原料のポリカルボン酸成分のうち脂肪族(脂環式を含む)ジカルボン酸としては、炭素数2〜50のアルカンジカルボン酸(シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、レパルギン酸、およびセバシン酸等)、炭素数4〜50のアルケンジカルボン酸(ドデセニルコハク酸等のアルケニルコハク酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、およびグルタコン酸等)、などが挙げられる。
芳香族ジカルボン酸としては、炭素数8〜36の芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、およびナフタレンジカルボン酸等)などが挙げられる。
ポリカルボン酸成分のうち、3〜6価またはそれ以上の脂肪族(脂環式を含む)ポリカルボン酸としては、炭素数6〜36の脂肪族トリカルボン酸(ヘキサントリカルボン酸等)、不飽和カルボン酸のビニル重合体[数平均分子量(以下Mnと記載、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による):450〜10000](α−オレフィン/マレイン酸共重合体等)等が挙げられる。
ポリカルボン酸成分のうち、3〜6価またはそれ以上の芳香族ポリカルボン酸としては、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸、およびピロメリット酸等)、不飽和カルボン酸のビニル重合体[Mn:450〜10000](スチレン/マレイン酸共重合体、スチレン/アクリル酸共重合体、およびスチレン/フマル酸共重合体等)等が挙げられる。
ポリカルボン酸成分として、これらのポリカルボン酸の、無水物、低級アルキル(炭素数1〜4)エステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル等)を用いてもよい。
これらのポリカルボン酸成分のうち好ましいものは、炭素数2〜50のアルカンジカルボン酸、炭素数4〜50のアルケンジカルボン酸、炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸、および炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸であり、さらに好ましくは、アジピン酸、炭素数16〜50のアルケニルコハク酸、テレフタル酸、イソフタル酸、マレイン酸、フマル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、およびこれらの併用であり、とくに好ましくは、アジピン酸、テレフタル酸、トリメリット酸、およびこれらの併用である。これらの酸の無水物や低級アルキルエステルも、同様に好ましい。
また、ポリカルボン酸成分としては、芳香族ポリカルボン酸および必要により脂肪族ポリカルボン酸からなり、芳香族ポリカルボン酸を60モル%以上含有するものが好ましい。芳香族ポリカルボン酸の含有量は、さらに好ましくは70〜100モル%、とくに好ましくは80〜100モル%である。芳香族ポリカルボン酸が60モル%以上含有されていることで、樹脂強度が上がり、低温定着性がさらに向上する。
ポリエステル樹脂(a)は、通常のポリエステル製造法と同様にして製造することができる。例えば、不活性ガス(窒素ガス等)雰囲気中で、反応温度が好ましくは150〜280℃、さらに好ましくは160〜250℃、とくに好ましくは170〜240℃で反応させることにより行うことができる。また反応時間は、重縮合反応を確実に行う観点から、好ましくは30分以上、とくに2〜40時間である。
このとき必要に応じてエステル化触媒を使用することもできる。エステル化触媒の例には、スズ含有触媒(例えばジブチルスズオキシド)、三酸化アンチモン、チタン含有触媒〔例えばチタンアルコキシド、シュウ酸チタニルカリウム、テレフタル酸チタン、テレフタル酸チタンアルコキシド、およびチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)とその分子内重縮合物〕、ジルコニウム含有触媒(例えば酢酸ジルコニル)、および酢酸亜鉛等が挙げられる。反応末期の反応速度を向上させるために減圧することも有効である。
ポリオール成分とポリカルボン酸成分との反応比率は、水酸基とカルボキシル基の当量比[OH]/[COOH]として、好ましくは1.4/1〜1/1、さらに好ましくは1.35/1〜1.1/1、とくに好ましくは1.35/1〜1.2/1である。なお、上記反応比率は、反応中に系外へ除去される成分があるときは、その分を除外した比率である。
ポリエステル樹脂(A1)の原料となるカルボン酸(b)としては特に限定されず、ポリエステル樹脂(a)の原料のポリカルボン酸と同様のものでよい。
カルボン酸(b)のうち好ましいものは、炭素数2〜50のアルカンジカルボン酸、炭素数4〜50のアルケンジカルボン酸、炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸、および炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸であり、さらに好ましくは、アジピン酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、およびこれらの併用である。これらの酸の無水物や低級アルキルエステルも、同様に好ましい。
ポリエステル樹脂(a)とカルボン酸(b)を反応させ、ポリエステル樹脂(A1)を得る方法としてはポリエステル樹脂(a)を製造する方法と同様でよい。
ポリエステル樹脂(A1)のMnとしては、最低定着温度とホットオフセット発生温度の両立の観点から3000〜100000が好ましく、より好ましくは4000〜50000である。(A1)の酸価としては、飽和帯電量の観点から2〜100が好ましく、より好ましくは5〜80である。(A1)の水酸基価としては飽和帯電量の観点から0.01〜100が好ましく、より好ましくは0.05〜50である。
本発明に用いるポリエステル樹脂(A)中には、ポリエステル樹脂(A1)と共に、(A1)より軟化点が10℃以上低いポリエステル樹脂(A2)を含有するのが好ましい。(A2)の軟化点は、(A1)より12〜80℃低いことが好ましく、15〜55℃低いことがさらに好ましい。
本発明のトナー組成物に用いるトナー用樹脂としては、ポリエステル樹脂(A1)単独でも優れた定着性を示すが、ポリエステル樹脂(A1)と共にポリエステル樹脂(A2)を含有することで、さらに優れた定着性が得られる。
ポリエステル樹脂(A2)は、通常、1種以上のポリオール成分と、1種以上のポリカルボン酸成分を重縮合して得られ、組成はとくに限定されない。
ポリエステル樹脂(A2)の原料となるポリオール成分はポリエステル樹脂(A1)と同様のものでよく、ジオールとしては、炭素数2〜36の脂肪族ジオール、炭素数4〜36のポリアルキレンエーテルグリコール、炭素数2〜36の脂肪族ジオールの炭素数2〜4のAO付加物(付加モル数2〜30)、炭素数6〜36の脂環式ジオール、炭素数6〜36の脂環式ジオールの炭素数2〜4のAO付加物(付加モル数2〜30)、およびビスフェノール類の炭素数2〜4のAO付加物(付加モル数2〜30)等が挙げられ、2種以上を併用してもよい。これらの具体例としては、前述のポリエステル樹脂(A1)に用いるものと同様のものが挙げられる。
ポリオール成分のうち、3〜8価またはそれ以上のアルコールとしては、炭素数3〜36の3〜8価またはそれ以上の脂肪族多価アルコール、脂肪族多価アルコールの炭素数2〜4のAO付加物(付加モル数2〜30)、トリスフェノール類の炭素数2〜4のAO付加物(付加モル数2〜30)、ノボラック樹脂の炭素数2〜4のAO付加物(付加モル数2〜30)等が挙げられ、2種以上を併用してもよい。これらの具体例としては、前述のポリエステル樹脂(A1)に用いるものと同様のものが挙げられる。
これらポリオール成分中好ましいものは、炭素数2〜6の脂肪族ジオール、炭素数4〜36のポリアルキレンエーテルグリコール、炭素数6〜36の脂環式ジオール、炭素数6〜36の脂環式ジオールの炭素数2〜4のAO付加物、ビスフェノール類の炭素数2〜4のAO付加物、およびノボラック樹脂の炭素数2〜4のAO付加物であり、さらに好ましくは、炭素数2〜6の脂肪族ジオール、ビスフェノール類の炭素数2〜3のAO(EOおよびPO)付加物、およびノボラック樹脂の炭素数2〜3のAO(EOおよびPO)付加物である。
ポリカルボン酸成分のうち、脂肪族(脂環式を含む)ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、3〜6価またはそれ以上の脂肪族(脂環式を含む)ポリカルボン酸、および3〜6価またはそれ以上の芳香族ポリカルボン酸としては、前記ポリエステル樹脂(A1)に用いるものと同様のものが挙げられる。
ポリカルボン酸成分として、これらのポリカルボン酸の、無水物、低級アルキル(炭素数1〜4)エステルを用いてもよい。
これらのポリカルボン酸成分のうち好ましいものは、前記ポリエステル樹脂(A1)に用いるポリカルボン酸と同様である。
ポリエステル樹脂(A2)の酸価は、飽和帯電量の観点から5〜80が好ましく、8〜50がさらに好ましく、10〜30がとくに好ましい。
また水酸基価は、飽和帯電量の観点から60以下が好ましく、50以下がさらに好ましく、5〜45がとくに好ましい。
ポリエステル樹脂(A2)の分子量は、最低定着温度とホットオフセット発生温度の両立の観点から、Mnが1000〜10000であることが好ましく、1500〜9000であることがさらに好ましい。
本発明において、ポリエステル樹脂(A2)は、通常のポリエステル製造法と同様にして製造することができる。例えば、前述のポリエステル樹脂(a)の製造法と同様の方法が挙げられる。
ポリオール成分とポリカルボン酸成分との反応比率は、水酸基とカルボキシル基の当量比[OH]/[COOH]として、好ましくは2/1〜1/2、さらに好ましくは1.5/1〜1/1.3、とくに好ましくは1.3/1〜1/1.2である。
ポリエステル樹脂(A1)のTHF不溶解分は、耐ホットオフセット性の観点から、好ましくは1〜36重量%であり、さらに好ましくは2〜33重量%、特に好ましくは3〜28重量%、最も好ましくは4〜25重量%である。
また、ポリエステル樹脂(A2)のTHF不溶解分はないことが好ましい。
上記および以下においてポリエステル樹脂のTHF不溶解分は、以下の方法で求めたものである。
試料0.5gに50mlのTHFを加え、3時間撹拌還流させる。還流温度から20℃まで冷却後、グラスフィルターにて不溶解分をろ別し、グラスフィルター上の樹脂分を80℃で3時間減圧乾燥する。グラスフィルター上の乾燥した樹脂分の重量と試料の重量比から、不溶解分を算出する。
本発明のトナー組成物に用いるトナー用樹脂における、ポリエステル樹脂(A1)とポリエステル樹脂(A2)の重量比は、(A1)と(A2)の合計を100としたとき、(20〜100)/(80〜0)が好ましく、(30〜99)/(70〜1)がさらに好ましく、(40〜90)/(60〜10)がとくに好ましい。ポリエステル樹脂(A1)の重量比が20以上であると樹脂強度が上昇し、高温域での定着性が良好である。
ポリエステル樹脂(A)としては酸価は、飽和帯電量の観点から2〜100が好ましく、3〜80がさらに好ましく、5〜50がとくに好ましい。
また水酸基価は、飽和帯電量の観点から100以下が好ましく、80以下がさらに好ましく、1〜60がとくに好ましい。
ポリエステル樹脂(A)の分子量は、最低定着温度とホットオフセット発生温度の両立の観点から、Mnが2000〜100000であることが好ましく、2500〜50000であることがさらに好ましい。
ポリエステル樹脂(A)の軟化点は、最低定着温度とホットオフセット発生温度の両立の観点から、90〜150℃が好ましく、さらに好ましくは100〜145℃である。
ポリエステル樹脂(A)の1kHz時の誘電率(ε)は、トナーとしての帯電性能の観点から2.0〜2.8が好ましく、より好ましくは2.1〜2.7、特に好ましくは2.1〜2.5である。
本発明における誘電率(ε)は、TR−1100形誘電体損自動測定装置 SE−43系固体電極[安藤電気社製]を用いて測定した値である。例えば、ポリエステル樹脂(A)の酸価を低くすると誘電率(ε)が低くなり、酸価を高くすると(ε)が高くなる。
ポリエステル樹脂(A)の1kHz時の誘電率(ε)と体積固有抵抗(R)の積は、飽和帯電量の保持性の観点から、1×1011〜1.5×1011が好ましく、より好ましくは1.1×1011〜1.4×1011であり、特に好ましくは1.1×1011〜1.3×1011である。
本発明における体積固有抵抗(R)はTR−1100形誘電体損自動測定装置 SE−43系固体電極[安藤電気社製]を用いて測定した値である。
誘電率(ε)と体積固有抵抗(R)の積の調整法としては、例えば、ポリエステル樹脂(A)の酸価を低くすると誘電率(ε)が低くなり、酸価を高くすると(ε)が高くなり、エステル基濃度を高くすると体積固有抵抗(R)が低くなり、エステル基濃度を低くすれば(R)が高くなる。
本発明のトナー組成物中のトナー用樹脂としては、ポリエステル樹脂(A)のみを含有することが好ましいが、本発明のトナー組成物の特性を損なわない範囲で、これら以外の他の樹脂を含有してもよい。他の樹脂としては、(A1)、(A2)以外のポリエステル樹脂、ビニル系樹脂[スチレンとアルキル(メタ)アクリレートの共重合体、スチレンとジエン系モノマーとの共重合体等]、エポキシ樹脂(ビスフェノールAジグリシジルエーテル開環重合物等)、ウレタン樹脂(ジオールおよび/または3価以上のポリオールとジイソシアネートの重付加物等)などが挙げられる。
他の樹脂のMnは、300〜10万が好ましい。他の樹脂の含有量は、好ましくはトナー用樹脂中に10重量%以下、さらに好ましくは8重量%以下である。
ポリエステル樹脂を2種以上併用する場合、および少なくとも1種のポリエステル樹脂と他の樹脂を混合する場合、予め粉体混合または溶融混合してもよいし、トナー化時に混合してもよい。
溶融混合する場合の温度は、好ましくは80〜180℃、さらに好ましくは100〜170℃、とくに好ましくは120〜160℃である。
混合温度が低すぎると充分に混合できず、不均一となることがある。2種以上のポリエステル樹脂を混合する場合、混合温度が高すぎると、エステル交換反応による平均化などが起こるため、トナーバインダーとして必要な樹脂物性が維持できなくなる場合がある。
溶融混合する場合の混合時間は、好ましくは10秒〜30分、さらに好ましくは20秒〜10分、とくに好ましくは30秒〜5分である。2種以上のポリエステル樹脂を混合する場合、混合時間が長すぎると、エステル交換反応による平均化などが起こるため、トナーバインダーとして必要な樹脂物性が維持できなくなる場合がある。
溶融混合する場合の混合装置としては、反応槽などのバッチ式混合装置、および連続式混合装置が挙げられる。適正な温度で短時間で均一に混合するためには、連続式混合装置が好ましい。連続式混合装置としては、エクストルーダー、コンティニアスニーダー、3本ロールなどが挙げられる。これらのうちエクストルーダーおよびコンティニアスニーダーが好ましい。
粉体混合する場合は、通常の混合条件および混合装置で混合することができる。
粉体混合する場合の混合条件としては、混合温度は、好ましくは0〜80℃、さらに好ましくは10〜60℃である。混合時間は、好ましくは3分以上、さらに好ましくは5〜60分である。混合装置としては、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、およびバンバリーミキサー等が挙げられる。好ましくはヘンシェルミキサーである。
本発明のトナー組成物は、ポリエステル樹脂(A)を含有するトナー用樹脂と、着色剤、荷電制御剤、及び必要により、離型剤、流動化剤等1種類以上の他の添加剤を含有する。
着色剤としては、トナー用着色剤として使用されている染料、顔料等のすべてを使用することができる。具体的には、カーボンブラック、鉄黒、スーダンブラックSM、ファーストイエローG、ベンジジンイエロー、ピグメントイエロー、インドファーストオレンジ、イルガシンレッド、パラニトロアニリンレッド、トルイジンレッド、カーミンFB、ピグメントオレンジR、レーキレッド2G、ローダミンFB、ローダミンBレーキ、メチルバイオレットBレーキ、フタロシアニンブルー、ピグメントブルー、ブリリアントグリーン、フタロシアニングリーン、オイルイエローGG、カヤセットYG、オラゾールブラウンBおよびオイルピンクOP等が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。また、必要により磁性粉(鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性金属の粉末もしくはマグネタイト、ヘマタイト、フェライト等の化合物)を着色剤としての機能を兼ねて含有させることができる。着色剤の含有量は、ポリエステル樹脂(A)を含有するトナー用樹脂100部に対して、好ましくは1〜40部、さらに好ましくは3〜10部である。なお、磁性粉を用いる場合は、好ましくは20〜150部、さらに好ましくは40〜120部である。上記および以下において、部は重量部を意味する。
荷電制御剤としては、ニグロシン染料、3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩、ポリアミン樹脂、イミダゾール誘導体、4級アンモニウム塩基含有ポリマー、含金属アゾ染料、銅フタロシアニン染料、サリチル酸金属塩、ベンジル酸のホウ素錯体、スルホン酸基含有ポリマー、含フッ素系ポリマー、ハロゲン置換芳香環含有ポリマー等が挙げられる。
離型剤としては、軟化点が50〜170℃のものが好ましく、ポリオレフィンワックス、天然ワックス、炭素数30〜50の脂肪族アルコール、炭素数30〜50の脂肪酸およびこれらの混合物等が挙げられる。ポリオレフィンワックスとしては、オレフィン(例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ヘキセン、1−ドデセン、1−オクタデセンおよびこれらの混合物等)の(共)重合体[(共)重合により得られるものおよび熱減成型ポリオレフィンを含む]、オレフィンの(共)重合体の酸素および/またはオゾンによる酸化物、オレフィンの(共)重合体のマレイン酸変性物[例えばマレイン酸およびその誘導体(無水マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノブチルおよびマレイン酸ジメチル等)変性物]、オレフィンと不飽和カルボン酸[(メタ)アクリル酸、イタコン酸および無水マレイン酸等]および/または不飽和カルボン酸アルキルエステル[(メタ)アクリル酸アルキル(アルキルの炭素数1〜18)エステルおよびマレイン酸アルキル(アルキルの炭素数1〜18)エステル等]等との共重合体、およびサゾールワックス等が挙げられる。
天然ワックスとしては、例えばカルナウバワックス、モンタンワックス、パラフィンワックスおよびライスワックスが挙げられる。炭素数30〜50の脂肪族アルコールとしては、例えばトリアコンタノールが挙げられる。炭素数30〜50の脂肪酸としては、例えばトリアコンタンカルボン酸が挙げられる。
本発明のトナー組成物の重量比は、トナー重量に基づき、ポリエステル樹脂(A)を含有するトナー用樹脂が、好ましくは30〜97重量%、さらに好ましくは40〜95重量%、とくに好ましくは45〜92重量%;着色剤が、好ましくは0.05〜60重量%、さらに好ましくは0.1〜55重量%、とくに好ましくは0.5〜50重量%;荷電制御剤が、好ましくは0.05〜20重量%、さらに好ましくは0.1〜10重量%、とくに好ましくは0.5〜7.5重量%;他の添加剤のうち、離型剤が、好ましくは0〜30重量%、さらに好ましくは0.5〜20重量%、とくに好ましくは1〜10重量%;流動化剤が、好ましくは0〜10重量%、さらに好ましくは0〜5重量%、とくに好ましくは0.1〜4重量%である。また、添加剤の合計含有量は、好ましくは3〜70重量%、さらに好ましくは4〜58重量%、とくに好ましくは5〜50重量%である。トナーの組成比が上記の範囲であることで帯電性が良好なものを容易に得ることができる。
本発明のトナー組成物は、ポリエステル樹脂(A)を含有するトナー用樹脂、荷電制御剤及び着色剤が、トナー組成物の帯電の安定性、及び画像の鮮鋭性の観点から、下記式(1)で示される混練エネルギー(E)が20〜2000J/gとなる条件で、連続式混練押出し機で混練されたものである。混練エネルギー(E)は、好ましくは25〜1800J/g、さらに好ましくは30〜1500J/g、特に好ましくは40〜1000J/g、最も好ましくは45〜800J/gである。
Figure 2010055019
〔式(1)において、IPはセグメント間隔[m]、Ddはセグメント径[m]、Nは回転数[s-1]、Ldは横型装置全長[m]、ηは混練時のせん断速度における粘度[Pa・s]、gは重力加速度[m・s-2]、Wは混練機へのフィード量[g/s]、tは混練装置内の滞留時間[s]、Eは混練で与えられるエネルギー[J/g]である。]
式(1)は化学工学便覧P915・式20−1記載の横型混練機の動力経験式を本発明の目的に合わせ、変形したものである。
連続式混練押出し機としては特に限定されないが、上述のエネルギーを付与出来なければならない。連続式混練押出し機としては連続式2本ロールミル、連続式3本ロールミル、及びバッチ式ロールミル等が挙げられ、これらの中で連続式2本ロールミルが好ましい。
本発明のトナー組成物中の、荷電制御剤の体積平均粒径は、帯電の安定性の観点から0.1〜1μmであることが好ましく、より好ましくは0.12〜0.8μm、特に好ましくは0.15〜0.5μmである。
荷電制御剤の体積平均粒径は、ポリエステル樹脂(A)98重量%、荷電制御剤2重量%を事前に紛体混合し、連続式2軸ロールミルを用いて混練し、得られたポリエステル樹脂荷電制御剤混合樹脂をダイヤモンドカッターで切り出し、透過電子顕微鏡(TEM)にて観察した写真を用い、荷電制御剤の分散径を300個測定し、体積換算、算術平均することにより得た。
この値をトナー組成物中の荷電制御剤の体積平均粒径とした。
ポリエステル樹脂(A)の、混練エネルギー(E)が20〜2000J/gとなる条件で連続式混練押出し機で混練された前後の軟化点の差が、耐ホットオフセットの観点から25℃以内であることが好ましい。より好ましくは0〜23℃、より好ましくは3〜20℃である。例えば、ポリエステル樹脂(A)の架橋密度を低くすることにより、混練された前後の軟化点の差を低くすることができる。
本発明のトナー組成物は、混練粉砕法、乳化転相法、重合法等の従来より公知のいずれの方法により得られたものであってもよい。例えば、混練粉砕法によりトナーを得る場合、流動化剤を除くトナーを構成する成分を乾式ブレンドした後、溶融混練し、その後粗粉砕し、最終的にジェットミル粉砕機等を用いて微粒化して、さらに分級することにより、体積平均粒径(D50)が好ましくは5〜20μmの微粒とした後、流動化剤を混合して製造することができる。なお、粒径(D50)はコールターカウンター[例えば、商品名:マルチサイザーIII(コールター社製)]を用いて測定される。
また、乳化転相法によりトナーを得る場合、流動化剤を除くトナーを構成する成分を有機溶剤に溶解または分散後、水を添加する等によりエマルジョン化し、次いで分離、分級して製造することができる。トナーの体積平均粒径は、3〜15μmが好ましい。
本発明のトナー組成物は、温度20℃、湿度50%の環境下、後述のキャリアと本発明のトナー組成物を、ステンレス性のポットに仕込み、ボールミル架台上で300rpmにて回転混合させ、得られた現像剤の帯電量を、ブローオフ装置によって測定した帯電量が最大になるまでの時間が、連続印刷時の画像の安定性の観点から15秒以下であることが好ましく、より好ましくは10秒以下である。
本発明のトナー組成物は、市販複写機(AR5030;シャープ製)を用いて現像した未定着画像を、市販複写機(AR5030;シャープ製)の定着機で定着させ、定着画像をパットで擦った後の画像濃度の残存率が70%以上となる定着ロール温度である定着下限が、省エネルギーの観点から150℃以下であることが好ましく、また、定着下限と同様に定着評価した定着画像へのホットオフセットの有無を目視評価し、ホットオフセットが発生した定着ロール温度であるホットオフセット温度が、連続印刷の安定性の観点から200℃以上であることが好ましい。
本発明のトナー組成物を0.3mg/cm2定着させた普通紙の画像濃度は、画像の鮮鋭性の観点から1〜1.5であることが好ましく、より好ましくは1.1〜1.4である。
本発明のトナー組成物は、必要に応じて鉄粉、ガラスビーズ、ニッケル粉、フェライト、マグネタイトおよび樹脂(アクリル樹脂、シリコーン樹脂等)により表面をコーティングしたフェライト等のキャリアー粒子と混合されて電気的潜像の現像剤として用いられる。トナーとキャリアー粒子との重量比は、通常1/99〜100/0である。また、キャリア粒子の代わりに帯電ブレード等の部材と摩擦し、電気的潜像を形成することもできる。
本発明のトナー組成物は、複写機、プリンター等により支持体(紙、ポリエステルフィルム等)に定着して記録材料とされる。支持体に定着する方法としては、公知の熱ロール定着方法、フラッシュ定着方法等が適用できる。
以下実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
<製造例1>
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールA・EO2モル付加物41部(0.13モル)、ビスフェノールA・PO3モル付加物457部(1.14モル)、フェノールノボラック(平均官能基数5.6)のPO6モル付加物9部(0.01モル)、テレフタル酸166部(1.0モル)、および縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3部を入れ、230℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら5時間反応させた。次いで5〜20mmHgの減圧下に反応させ、酸価が2以下になった時点で取り出し、室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(a−1)とする。
ポリエステル樹脂(a−1)の酸価は1.8、水酸基価は46、Mnは2500、ピークトップ分子量(以下Mpと記載)は5500であった。
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ポリエステル樹脂(a−1)622部、無水トリメリット酸41部(0.21モル)、および触媒としてテトラブトキシチタネート3部を入れ、系内の気相を窒素置換したのち、180℃で常圧密閉下2時間反応後、220℃で、500〜700mmHgの減圧下に反応させ、軟化点が135℃になった時点でベルトクーラーを通して取り出し、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(A1−1)とする。
ポリエステル樹脂(A1−1)の酸価は20、水酸基価は10、Mwは120000、Mpは11000、軟化点135℃、ガラス転移点61℃、THF不溶解分は6重量%であった。
<製造例2>
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、1,2−プロピレングリコール(以下プロピレングリコールと記載)228部(3.0モル)、テレフタル酸141部(0.85モル)、アジピン酸22部(0.15モル)、および縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3部を入れ、180℃で窒素気流下に、生成するメタノールを留去しながら8時間反応させた。次いで230℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成するプロピレングリコール、水を留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下に反応させ、軟化点が100℃になった時点で取り出した。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(a−2)とする。ポリエステル樹脂(a−2)の酸価は0.8、水酸基価は21、Mnは5500、Mpは9000であった。
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ポリエステル樹脂(a−2)206部、無水トリメリット酸8部(0.04モル)、および触媒としてテトラブトキシチタネート0.3部を入れ、系内の気相を窒素置換したのち、180℃で常圧密閉下2時間反応後、220℃で、5〜20mmHgの減圧下に反応させ、軟化点が140℃になった時点でベルトクーラーを通して取り出し、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(A1−2)とする。
ポリエステル樹脂(A1−2)の酸価は16、水酸基価は3.3、Mwは195000、Mpは14000、軟化点140℃、ガラス転移点60℃、THF不溶解分は5重量%であった。
<製造例3>
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールA・EO2モル付加物379部(1.2モル)、ビスフェノールA・PO2モル付加物447部(1.3モル)、テレフタル酸332部(2.0モル)および縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3部を入れ、230℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら5時間反応させた。次いで5〜20mmHgの減圧下に反応させ、酸価が2以下になった時点で180℃に冷却し、無水トリメリット酸40部(0.21モル)を加え、常圧密閉下2時間反応後取り出し、室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(A2−1)とする。
ポリエステル樹脂(A2−1)の酸価は21、水酸基価は37、Mnは2000、Mpは4200、軟化点100℃、ガラス転移点61℃、THF不溶解分は0重量%であった。
<製造例4〜12><参考製造例1〜9>
製造例4〜12においては、表1に従い、製造例1〜3で得られたポリエステル樹脂、荷電制御剤、着色剤、及び離型剤を配合した後、ヘンシェルミキサー[三井三池化工機(株)製 FM10B]を用いて混合し、紛体混合物(Tb−1〜9)を得た。着色剤としてはカーボンブラックMA−100[三菱化学(株)製]、荷電制御剤としてはT−77[保土谷化学(製)]、離型剤としてはカルナバワックスを用いた。
また、参考製造例1〜9では、製造例4〜12に対応するポリエステル樹脂のみを同様に混合し、紛体混合物(Tc−1〜9)を得た。
Figure 2010055019
<参考例1〜35><比較参考例1〜17>
参考製造例1〜9で得られたポリエステル樹脂の紛体混合物(Tc−1〜9)を用いて、二軸混練機[(株)池貝製 PCM−30]で各ファクターを下記値とし、表2に示す条件で140℃で混練した。ついで超音速ジェット粉砕機ラボジェット[日本ニューマチック工業(株)製]を用いて微粉砕した後、気流分級機[日本ニューマチック工業(株)製 MDS−I]で分級し、粒径D50が8μmのポリエステル粒子(Tp−1〜35)、(Tq−1〜17)を得た。
lP:セグメント間隔=0.05[m]
Dd:セグメント径=0.035[m]
Ld:横型装置全長=0.60[m]
g:重力加速度=9.8[m・s−2
また、前述の手法に従い、ポリエステル樹脂(A)の重量に対し2重量%の荷電制御剤を混練し、TEMにより、荷電制御剤の体積平均粒径を測定した。
参考例1〜35、比較参考例1〜17で製造されたポリエステル粒子(Tp−1〜35)、(Tq−1〜17)について下記評価方法に従い、1kHz時の誘電率(ε)、1kHz時の誘電率と体積固有抵抗の積〔(ε)×(R)〕、混練前の軟化点、混練後の軟化点、混練による軟化点差を測定し、表2に示す。
参考例1〜35においてはトナーの帯電性能に影響する電気的特性(1kHz時の誘電率(ε)、1kHz時の誘電率と体積固有抵抗の積〔(ε)×(R)〕)及び、定着性能に影響する混練による軟化点の変化について、好ましい範囲であるが、本発明の最適な範囲外である比較参考例1〜17については電気的特性及び、混練による軟化点の変化に好ましい範囲から外れている。
[ポリエステル粒子の評価方法]
〔1〕1kHz時の誘電率(ε)及び体積固有抵抗(R)の測定
TR−1100形誘電体損自動測定装置、及びSE−43形粉体用電極[安藤電気株式会社製]を用いて静電容量値(Cx)とコンダクタンス(Gx)を測定し、式(2)、(3)により算出した。
(ε)=1/2×(Cx)×(試料厚さ[μm]) (2)
(R)=2.27/(Gx)/(試料厚さ[μm])×1013 (3)
〔2〕軟化点測定
フローテスターを用いて下記条件で等速昇温し、その流出量が1/2になる温度をもって軟化点とした。
装置 : 島津(株)製 フローテスター CFT−500
荷重 : 20kg
ダイ : 1mmΦ−1mm
昇温速度 : 6℃/min.
Figure 2010055019
<実施例1〜35、比較例1〜17>
製造例4〜12で得られた紛体混合物(Tb−1〜9)を用いて、二軸混練機[(株)池貝製 PCM−30]で各ファクターを下記値とし、表3に示す条件で140℃で混練した。ついで超音速ジェット粉砕機ラボジェット[日本ニューマチック工業(株)製]を用いて微粉砕した後、気流分級機[日本ニューマチック工業(株)製 MDS−I]で分級し、粒径D50が8μmのトナー粒子を得た。
lP:セグメント間隔=0.05[m]
Dd:セグメント径=0.035[m]
Ld:横型装置全長=0.60[m]
g:重力加速度=9.8[m・s−2
ついで、トナー粒子100部にコロイダルシリカ(アエロジルR972:日本アエロジル製)0.5部をサンプルミルにて混合して、本発明のトナー組成物(T−1)〜(T−35)、比較のトナー組成物(R−1)〜(R−17)を得た。
Figure 2010055019
実施例及び比較例で得られたトナー組成物(T−1)〜(T−35)、比較のトナー組成物(R−1)〜(R−17)それぞれについて下記評価法に従い、トナーの評価を行い、表4に示した。
Figure 2010055019
[トナー評価方法]
〔1〕帯電の立ち上がり
温度20℃、湿度50%の環境下、フェライトキャリア(F−150;パウダーテック社製)100部とトナー組成物5部を、ステンレス性のポットに仕込み、ボールミル架台上で300rpmにて回転混合させた。回転開始から15秒後、30秒後及び、60秒後に停止させ、得られた現像剤の帯電量を、ブローオフ装置によって測定した。
○:15秒以内に帯電量が最大になる。
△:15〜30秒の間で帯電量が最大になる。
×:30秒以上で帯電量が最大になる。または60秒まで帯電量が増加し続ける。
〔2〕最低定着温度(MFT)
市販複写機(AR5030;シャープ製)を用いて現像した未定着画像を、市販複写機(AR5030;シャープ製)の定着機を用いて評価した。定着画像をパットで擦った後の画像濃度の残存率が70%以上となる定着ロール温度をもって最低定着温度とした。
〔3〕ホットオフセット発生温度(HOT)
上記MFTと同様に定着評価し、定着画像へのホットオフセットの有無を目視評価した。ホットオフセットが発生した定着ロール温度をもってホットオフセット発生温度とした。
〔4〕定着温度幅
ホットオフセット発生温度と最低定着温度の差[(HOT)−(MFT)]を計算により求めた。
〔5〕トナーの耐ブロッキング性試験
上記トナー組成物を、50℃・85%R.H.の高温高湿環境下で、48時間調湿した。同環境下において該現像剤のブロッキング状態を目視判定し、さらに市販複写機(AR5030:シャープ製)でコピーした時の画質を観察した。
判定基準
◎:トナーのブロッキングがなく、3000枚複写後の画質も良好。
○:トナーのブロッキングはないが、3000枚複写後の画質に僅かに乱れが観察さ
れる。
△:トナーのブロッキングが目視でき、3000枚複写後の画質に乱れが観察される

×:トナーのブロッキングが目視でき、3000枚までに画像が出なくなる
〔6〕画像濃度(ID)
市販複写機(AR5030;シャープ製)を用いて、普通紙にベタ画像で、0.3±0.02mg/cm2のトナーが現像される様に調整を行い、定着ベルトの温度が可変となる様に調整を行ってベタ画像出力後、画像濃度をX−Rite(X−Rite社製)により測定した。これを5点測定し画像濃度の平均を求めた。
本発明のトナー組成物は、低温定着性、耐ホットオフセット性、現像性、帯電性、及び耐ブロッキング性に優れる静電荷像現像用トナーとして有用である。

Claims (7)

  1. 溶融粘弾性測定において140℃で測定した粘度が、せん断速度0.1s-1の時(η0.1)18000〜800Pa・s、せん断速度1s-1の時(η1)14000〜600Pa・s、せん断速度10s-1の時(η10)6000〜200Pa・sであるポリエスル樹脂(A)を含有するトナー用樹脂、荷電制御剤及び着色剤が、下記式(1)で示される混練エネルギー(E)が20〜2000J/gとなる条件で連続式混練押出し機で混練され、トナー用樹脂中に荷電制御剤及び着色剤が分散されてなるトナー組成物。
    Figure 2010055019
    〔式(1)において、IPはセグメント間隔[m]、Ddはセグメント径[m]、Nは回転数[s-1]、Ldは横型装置全長[m]、ηは混練時のせん断速度における粘度[Pa・s]、gは重力加速度[m・s-2]、Wは混練機へのフィード量[g/s]、tは混練装置内の滞留時間[s]、Eは混練で与えられるエネルギー[J/g]である。〕
  2. トナー組成物中の荷電制御剤の体積平均粒径が0.1〜1μmである請求項1記載のトナー組成物。
  3. ポリエステル樹脂(A)の1kHz時の誘電率が2.0〜2.8である請求項1又は2記載のトナー組成物。
  4. ポリエステル樹脂(A)が軟化点が100〜150℃であるポリエステル樹脂(A1)と、(A1)より軟化点が10℃以上低いポリエステル樹脂(A2)の混合物である請求項1〜3のいずれか記載のトナー組成物。
  5. ポリエステル樹脂(A)の1kHz時の誘電率(ε)と体積固有抵抗(R)の積が1.0×1011〜1.5×1011である請求項1〜4のいずれか記載のトナー組成物。
  6. ポリエステル樹脂(A)の混練エネルギー(E)が20〜2000J/gとなる条件で連続式混練押出し機で混練された前後の軟化点の差が25℃以内である請求項1〜5のいずれか記載のトナー組成物。
  7. 帯電量が最大になるまでの時間が15秒以下である請求項1〜6のいずれか記載のトナー組成物。
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