JP2005024771A - 現像剤及び現像剤の製造方法 - Google Patents

現像剤及び現像剤の製造方法 Download PDF

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Chikatoshi Satou
周逸 佐藤
Takashi Urabe
隆 占部
Yasuhito Noda
康仁 野田
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Abstract

【課題】着色剤、低融点物質、及びバインダー樹脂が十分に分散され、透明性及び色調が良好で、低コストな現像剤を得る
【解決手段】着色剤、バインダー樹脂、結晶性化合物、低いDSC吸熱ピーク温度をもつ第1のワックス、及び高いDSC吸熱ピーク温度をもつ第2のワックスの混合物を、二軸型連続式押出器内で、0.2ないし1.0kW・h/kgの混練エネルギーE(kW・h/kg)で溶融混練する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等に適用される現像剤及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真方式に使用されるカラートナーの製造方法としては、混練粉砕法が知られている。この混練粉砕法によれば、バインダー樹脂、顔料等のトナー材料を混練し、粉砕し、分級して所定の粒径のカラートナーを製造することができる。
【0003】
カラートナーにおいて着色剤として使用される顔料は、一般にバインダー樹脂に対する分散性が悪いために、均一に分散させることが困難である。そこで、トナー中の顔料の分散性を向上させる技術として、トナー原料の溶融混練工程を、多量の着色剤とバインダー樹脂を予め溶融混練して分散させてマスターバッチを形成する第1の工程と、このマスターバッチにさらにバインダー樹脂を配合して希釈する第2の工程とに分けて行った後、常法と同様に混練物を粉砕、分級してトナーを得る方法いわゆるマスターバッチ法がある。これにより顔料の分散性は多少良好となる反面、工程数が増えるため、カラートナーのコスト高の一因となっていた。
【0004】
また、トナーには、バインダー樹脂、及び種々のワックス類が添加され、これにより、トナーの耐オフセット性及び定着性を向上している。特に、カラー画像形成では、モノクロ画像形成と異なり、カラートナーすなわちイエロー、マゼンタ、及びシアントナーを適宜混色することにより、所望の発色を得ていることから、これらのトナーが定着時に十分溶融混合するように、使用されるバインダー樹脂の軟化点が比較的低く設定されている。さらに、定着後のトナーが溶融状態を維持していると、他の記録紙、及び部材等に付着しやすいため、これらのトナーには、狭い温度域内で十分に溶融し、その温度域未満では容易に固化するよう、バインダー樹脂中に種々の低融点物質例えばワックス等が添加されている。
【0005】
しかしながら、これらの低融点物質は、トナー製造中、特に溶融混練工程後の十分に冷却されない状態ではバインダー樹脂中から染み出し易く、トナー製品中に均一に分散が困難となり、トナーの透明性及び色調の低下を招き、十分な定着性及び耐オフセット性が得られないという問題があった。
【0006】
溶融混練後の冷却方法として、例えば混練物を0.5mm以下の薄膜状にして、20℃/秒以上の冷却速度で冷却することがあげられる(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
しかしながら、この冷却方法は種々の低融点物質を含有する混練物に適用すると、低融点物質が急激に冷却されることにより、バインダー樹脂との親和性が低下し、次工程の粉砕において脱離してしまい、最終的にトナー中に残留する低融点物質の量が減少するとともに、トナー中に低融点物質単体が遊離した状態で存在した場合、トナーの流動性や保存性が悪化するという問題が生じるため、実用的ではなかった。
【0008】
【特許文献1】
特開平9−34173号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その第1の目的は、着色剤、低融点物質、及びバインダー樹脂が十分に分散され、透明性及び色調が良好で、低コストな現像剤を得ることにある。
【0010】
また、本発明の第2の目的は、着色剤、低融点物質、及びバインダー樹脂が十分に分散され、透明性及び色調が良好な現像剤を安価に製造し得る現像剤の製造方法を得ることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、第1に、着色剤、バインダー樹脂、1ないし30重量%の結晶性化合物、低いDSC吸熱ピーク温度をもつ第1のワックス、及び高いDSC吸熱ピーク温度をもつ第2のワックスの混合物を、二軸型連続式押出器内で、0.2ないし1.0kW・h/kgの混練エネルギーE(kW・h/kg)で溶融混練して得られる現像剤を提供する。
【0012】
また、本発明は、第2に、着色剤、バインダー樹脂、1ないし30重量%の結晶性化合物、低いDSC吸熱ピーク温度をもつ第1のワックス、及び高いDSC吸熱ピーク温度をもつ第2のワックスの混合物を、二軸型連続式押出器内で、0.2ないし1.0kW・h/kgの混練エネルギーE(kW・h/kg)で溶融混練、冷却、及び粉砕する工程を有する現像剤の製造方法を提供する。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、種々の低融点物質及び着色剤をバインダー樹脂中に十分にさせるべく、鋭意研究を行ったところ、従来用いられていた混練エネルギーよりも低いエネルギーで溶融混練を行う方が着色剤とバインダー樹脂が効率よく混合され、マスターバッチの作成を省くことが可能となることを見出し、本発明をなすに至った。
【0014】
本発明の現像剤は、着色剤、バインダー樹脂、1ないし30重量%の結晶性化合物、該結晶性化合物のDSC吸熱ピーク温度よりも低いDSC吸熱ピーク温度をもつ第1のワックス、及び
該結晶性化合物のDSCピーク温度よりも高いDSC吸熱ピーク温度をもつ第2のワックスの混合物を含み、このような混合物の中でも、特に、二軸型連続式押出器内で、0.2ないし1.0kW・h/kgの混練エネルギーE(kW・h/kg)で溶融混練された混練物を冷却、粉砕したものに限定される。
【0015】
混練エネルギーE(kW・h/kg)は、下記式で表される。
【0016】
E=F/W
但し、上記式中F(kW・h)は駆動部の動力、W(kg)は原料の重量を示す。
【0017】
上記二軸型連続式押出器は、混合物を導入する導入部及びこれを吐き出すための吐出部を有するシリンダと、シリンダ内に並列して配置された2本のスクリューと、スクリューを回転駆動する駆動部とを備えている。また、このシリンダ内が、スクリューにより混合物に加熱しながら剪断を加えるニーディング部と、加熱及び剪断された混合物をスクリューにて送り出す送り部とに分けられる。
【0018】
図1に、本発明に使用される二軸型連続式押出器の一例を表す概略断面図を示す。
【0019】
図示するように、この二軸型連続式押出器20は、その一端にトナー原料を投入するためのホッパー10、他端に混練物を排出するための排出口5を有する加熱シリンダ9と、加熱シリンダ内に、図示しないもう1本のスクリューと並列して配設されたスクリュー8と、これらのスクリューに接続されたモーター3とを有する。この装置では、ホッパー10側からスクリュー全体の長さの約1/4の位置までの領域33がニーディング部に相当し、スクリュー全体の長さの残り3/4の領域34が送り部に相当する。
【0020】
スクリューに伝達される駆動力すなわちモーター動力は、上記式E=F/Wの値が0.2ないし1.0kW・h/kgとなるように、原料の重量に応じて適宜設定し得る。例えば原料の重量が90ないし150kgである場合、好ましくは90ないし750kW・hに設定することができる。
【0021】
ニーディング部の温度T1(℃)は、送り部の温度T2(℃)よりも、10ないし70℃低いことが好ましい。10℃未満であると、ニーディング部での混練りが不完全なまま、送り部に混練物が送られるため、着色剤等のトナー材料の分散不良となる傾向があり、また70℃を超えると、ニーディング部での滞留時間が長すぎて、樹脂の分子鎖の断裂や、着色剤の分解により発色不良及び透明性不良となる傾向がある。
【0022】
また、本発明の現像剤の製造方法は、上記現像剤を製造するための方法であって、
上記混合物を、上記二軸型連続式押出器内に導入し、0.2ないし1.0kW・h/kgの混練エネルギーE(kW・h/kg)で溶融混練して混練物を形成する工程、及び
得られた混練物を冷却、及び粉砕してトナー粒子を形成する工程を含む。
【0023】
本発明によれば、着色剤及びバインダー樹脂に、種々の低融点物質すなわち結晶性化合物、結晶性化合物のDSC吸熱ピーク温度よりも低いDSC吸熱ピーク温度をもつ第1のワックス、及び結晶性化合物のDSCピーク温度よりも高いDSC吸熱ピーク温度をもつ第2のワックスを添加しても、所定の二軸型連続式押出器内で、比較的低い0.2ないし1.0kW・h/kgの混練エネルギーE(kW・h/kg)で溶融混練することにより、マスターバッチを使用しなくても、着色剤及びこれら低融点物質が、バインダー樹脂中に十分に分散される。
【0024】
1.0kW・h/kgより高い混練エネルギーで溶融混練を行うと、混練エネルギーEが高すぎて、着色剤が分散しにくく、時間がかかって製造コストが上がり、また、このような大きい混練エネルギーで長時間溶融混練を行うことにより、樹脂の分子鎖が切断され、熱的な物性が変化し、特に結晶性化合物においては、結晶化部分が分解してしまい、低温定着性の役割を果たさないという不利点がある。
【0025】
また、0.2kW・h/kg未満の低いエネルギーで溶融混練を行うと、混練が不十分なため、着色剤及び上記低融点物質が分散しにくく、時間がかかって製造コストが上がり、また、低融点物質の分散径が大きくなり、着色剤の発色性や透明性を損なう傾向がある。また、低融点物質が表面に露出する比率が大となるため、流動性や保存性が低下すること、及び吸湿のため環境差により帯電安定性が劣ることなどの不利点がある。さらに、連続して画出しを行った場合に画像濃度の低下をもたらす傾向がある。
【0026】
本発明の現像剤の好ましい定着温度は、130ないし240℃である。
【0027】
また、本発明に使用されるバインダー樹脂は、好ましくは90ないし130℃の軟化点を有する。
【0028】
ここで、軟化点は、例えば高架式フローテスター((株)島津製作所製 CFT−500D)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながらプランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルを押し出すようにし、これによりフローテスターのプランジャー降下量と温度との関係を表すS字曲線状のグラフ図を描き、そのS字曲線の高さをhとしたとき、h/2に対応する温度を軟化点により測定されるものをいう。
【0029】
本発明に使用される結晶性化合物のDSC吸熱ピーク温度は、好ましくは90ないし140℃である。この温度範囲内であると、DSC吸熱ピーク温度において、固体状から液体状に変化し、定着基材上に強固に定着するという利点がある。しかしながら、90℃未満であると、定着されて排紙上のトナーが十分に冷却されない場合、連続して複写され、積み重なった定着紙の裏面にトナーが定着されてしまう傾向があり、140℃を超えると、定着可能温度が高くなり、低温定着性の効果が十分に得られない傾向がある。
【0030】
結晶性化合物は、好ましくは、結晶性を有するポリエステル樹脂である。結晶性を有するポリエステル樹脂は、結晶化度10ないし50%で昇温時に固体状から液体状に急激に変化することにより、定着基材上に強固に定着する効果を発揮することから、好適に使用することができる。
【0031】
第1のワックスは、結晶性化合物のDSC吸熱ピーク温度より低いDSC吸熱ピーク温度を有し、好ましくは、60ないし120℃、さらに好ましくは70ないし100℃のDSC吸熱ピーク温度を有する。この温度範囲内であると、可塑化作用により低温オフセットに対する効果を発揮するという利点がある。しかしながら、60℃未満であると、高温下の保存、保管の際にブリードしてしまうため、保存性が劣る傾向があり、120℃を超えると、可塑化作用が十分に機能しないため、低温オフセット性に劣る傾向がある。
【0032】
第2のワックスは、結晶性化合物のDSC吸熱ピーク温度より高いDSC吸熱ピーク温度を有し、好ましくは、100ないし160℃、さらに好ましくは110ないし155℃のDSC吸熱ピーク温度を有する。この温度範囲内であると、定着ローラ表面からの離型作用に対する効果を発揮するという利点がある。しかしながら、100℃未満であると、離型作用が低温域で作用するため、高温オフセットが発生する傾向があり、160℃を超えると、定着温度範囲で溶融しないため、離型作用がなく、高温オフセットが発生する傾向がある。
【0033】
また、本発明の一態様によれば、シリンダ内の混合物の温度を制御することができる。また、本発明の一態様によれば、吐き出された混練物の温度を制御することができる。
【0034】
シリンダ内の送り部における混合物の温度は、結晶性化合物のDSC吸熱ピーク温度よりも、好ましくは10℃以上より好ましくは10ないし35℃低い。この場合、結晶性化合物が完全に液状化しないため、適度なシアが混練物にかかるという利点がある。しかしながら、送り部における混合物の温度が結晶性化合物のDSC吸熱ピーク温度より10℃低い温度よりも高い場合には、結晶性化合物が液状化して、シアがかからず分散不良となる傾向がある。
【0035】
また、吐出部から吐き出された混練物の温度は、結晶性化合物のDSC吸熱ピーク温度よりも10℃以上高いことが好ましい。この場合、次工程での圧延・冷却の際に厚みムラが少なく、均一に圧延され、冷却の際の温度ムラが発生しないという利点がある。しかしながら、吐出部から吐き出された混練物の温度が結晶性化合物のDSC吸熱ピーク温度より10℃高い温度よりも低い場合には、圧延した際に圧延ロールに固着しやすく、厚みムラも発生しやすくなり、生産性が低下する傾向がある。
【0036】
本発明の一態様によれば、二軸型連続式押出器の後段に、冷却固化装置をさらに設けることができる。
【0037】
冷却固化装置は、好ましくは、混練物を圧延して圧延物を形成する圧延ロールと、圧延物を放熱させるための冷却ベルトとを備えた冷却機構とを含む。
【0038】
図2に、本発明に使用され得る冷却固化装置の一例を表す概略図を示す。
【0039】
冷却固化装置30は、二軸連続式押出機20の後段に設けられる。一対の圧延ロール6は二軸連続式押出機20の吐出口5の後段に設けられている。圧延ロール6の後段には同期して回転可能なローラ23,24と、これらに掛け渡されたベルト18からなる搬送機構が設けられている。冷却機構4は、この搬送機構上に設けられ、ローラ23と対向して設けられたローラ21、及びこのベルト18を圧接可能な位置に設けられたローラ22に掛け渡されて、ベルト18の一部と接触し得るベルト7とを有する。また、ベルト7は、図示しない水冷機構を備えている。冷却固化装置30の後段には、例えば粉砕装置40を設けることができる。
【0040】
二軸連続式押出機20で溶融混練された混練物は、自然落下しながら自然冷却されてその表面が半固化状態になる。次に、混練物は圧延ロール6にかけられて、薄板状の圧延物を形成する。圧延物はベルト18により冷却固化装置30に搬送され、ここで、ベルト7とベルト18との間に挟まれ、この状態で搬送されながらベルト7に放熱してさらに冷却される。
【0041】
混練物の冷却速度は、圧延物の厚さ、冷却固化装置30における冷却温度、冷却ベルトの長さ、及び圧延物の搬送速度等により適宜調整し得る。
【0042】
また、図3に、本発明に使用され得る冷却固化装置の他の一例を表す概略図を示す。
【0043】
冷却固化装置31は、二軸連続式押出機20の後段に設けられている。圧延ローラ16は、二軸連続式押出機20の吐出口5の後段に設けられ、冷却ドラム11と押圧可能に配置されている。また、冷却ドラム11は、4つのローラに掛け渡された冷却ベルト17上に、冷却ベルト17を押圧するように設けられている。
【0044】
図2に示す冷却固化装置30は、冷却機構4と圧延ローラ6と別々に設けられているが、この冷却固化装置31では、冷却ベルト17及び冷却ドラム11を含む冷却機構と圧延ローラ16とが一体化されているためコンパクトである。
【0045】
冷却固化装置31の後段には、例えば粉砕装置40を設けることができる。
【0046】
冷却固化装置31では、二軸連続式押出機20で溶融混練された混練物は、吐出口5から自然落下しながら自然冷却されてその表面が半固化状態になる。次に、混練物は冷却ドラム11と圧延ロール6とにより冷却しながら圧延され、薄板状の圧延物を形成する。圧延物は冷却ドラム11と冷却ベルト17との間に挟まれて搬送されながら放熱し、さらに冷却される。
【0047】
混練物の冷却速度は、圧延物の厚さ、冷却固化装置30における冷却温度、冷却ベルトの長さ、及び圧延物の搬送速度等により適宜調整し得る。
【0048】
本発明によれば、上述のように、吐出部から吐き出された混練物を、圧延ロールにより圧延して板状の圧延物を形成することができる。
【0049】
得られた圧延物は、好ましくは1.5mm以下の厚さを有する。圧延物の厚さが1.5mmを超えると、圧延物表面と内部の冷却速度の差が大きくなり、分散状態が不均一となる傾向がある。より好ましくは0.5ないし1.5mm、さらに好ましくは0.5mmより大きく1.2mm以下の厚さを有する。0.5mmより大きいと、圧延物の厚みムラが小さいという利点がある。
【0050】
また、圧延により冷却された圧延物の温度は、結晶性化合物のDSC吸熱ピーク温度よりも10℃以上低いことが好ましい。この場合、低融点物質及び結晶性化合物が圧延物中に均一に分散された状態になるという利点がある。圧延により冷却された圧延物の温度が結晶性化合物のDSC吸熱ピーク温度よりも10℃低い温度より高い場合、低融点物質及び結晶性化合物が圧延物中の表面に析出し、分散が劣る傾向がある。
【0051】
また、圧延物は、冷却固化装置において、好ましくは5℃/秒以上、より好ましくは5ないし20℃/秒、さらに好ましくは8.0℃/秒以上14℃/秒未満の冷却速度で、バインダー樹脂のガラス転移点Tgよりも10℃以上低い温度まで冷却される。このような冷却を行うと、圧延物内のバインダー樹脂中から結晶性化合物及びワックス等の低融点物質が染み出しにくく、冷却、粉砕後に得られるトナー粒子中のバインダー樹脂、低融点物質、及び、着色剤の分散が良好となる。このため、透明性及び色調が良好で、十分な定着性及び耐オフセット性を有する現像剤が得られる。
【0052】
なお、冷却速度が5.0℃/秒より低いと、温度が高い軟らかい状態で粉体に供されるため、分散されにくく、生産性が低下する傾向があり、また、14℃/秒を超えると、バインダー樹脂と低融点物質との親和性に劣る傾向がある。さらに、20℃/秒を超えると、バインダー樹脂と低融点物質との親和性に劣り、さらに、結晶性化合物が表面に析出する傾向がある。
【0053】
本発明に使用し得るバインダー樹脂として、例えば結晶性化合物との溶融混練の際に分散可能なものであれば何でも使用できるが、中でもポリエステル樹脂で酸価を有するものが好ましい。
【0054】
バインダー樹脂として使用されるポリエステル樹脂としては、公知の多価アルコール成分と、カルボン酸、カルボン酸無水物、カルボン酸エステル等の多価カルボン酸成分を含有した単量体を用いて得られる。多価アルコール成分としては、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレン(炭素数2〜3)オキサイド(平均付加モル数1〜10)付加物、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、水添ビスフェノールA、ソルビトール、又はそれらのアルキレン(炭素数2〜3)オキサイド(平均付加モル数1〜10)付加物等が挙げられ、これらの1種以上を含有するものが好ましい。
【0055】
また、多価カルボン酸成分としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フマル酸、マレイン酸等のジカルボン酸、ドデセニルコハク酸、オクチルコハク酸等の炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数2〜20のアルケニル基で置換されたコハク酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、それらの酸の無水物及びそれらの酸のアルキル(炭素数1〜8)エステル等が挙げられ、これらの1種以上を含有するものが好ましい。
【0056】
原料モノマーとして好ましい芳香族化合物としては、例えばトリメリット酸及びその誘導体、イソフタル酸、テレフタル酸及びそれらの誘導体、ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物、フェニレンジアミン、キシリレンジアミン等が挙げられる。
【0057】
上記により製造されるポリエステル樹脂は、軟化点が90℃から130℃であることが好ましい。軟化点が90℃よりも低いと定着性は良いが保存性が悪化する傾向があり、軟化点が130℃よりも高いと定着に要するエネルギーが高くなり、定着強度が低下するといった傾向がある。また、軟化点を調整するために軟化点の低いポリエステル樹脂と軟化点の高いポリエステル樹脂を適宜混合することができる。
【0058】
本発明に用いられるポリエステル樹脂は、ガラス転移点が55℃ないし70℃であることが好ましい。ガラス転移点が55℃よりも低いと定着性は良いが保存性が悪化する傾向があり、ガラス転移点が70℃よりも高いと樹脂の硬度が高くなり粉砕に要するエネルギーが高くなり、製造性が低下するといった傾向がある。また、ガラス転移点を調整するために、ガラス転移点の低いポリエステル樹脂とガラス転移点の高いポリエステル樹脂を適宜混合することができる。
【0059】
また、本発明に使用されるポリエステル樹脂は、酸価が6(mgKOH/g)から12(mgKOH/g)になるものが好ましく使われる。酸価が6(mgKOH/g)よりも低いと帯電安定性は良いが樹脂の硬度が高くなるため、粉砕に要するエネルギーが高くなり、これにより、製造性が低下する傾向があり、酸価が12(mgKOH/g)よりも高いと、製造性は良いが帯電安定性が悪化する傾向がある。また、酸価を調整するために、例えば酸価の低いポリエステル樹脂と酸価の高いポリエステル樹脂を適宜混合することができる。
【0060】
上記により製造されるポリエステル樹脂は、2000〜5000の数平均分子量になるものが好ましく使われる。数平均分子量が2000よりも低いと定着性は良いが保存性が悪化する不具合があり、数平均分子量が5000よりも高いと定着に要するエネルギーが高くなり、定着強度が低下するといった不具合が発生する。また、数平均分子量においては、数平均分子量を調整するために数平均分子量の低いポリエステル樹脂と数平均分子量の高いポリエステル樹脂を適宜混合してもよい。
【0061】
上記により製造されるポリエステル樹脂は、5000〜90000の重量平均分子量になるものが好ましく使われる。数平均分子量が5000よりも低いと定着性は良いが保存性が悪化する不具合があり、重量平均分子量が90000よりも高いと定着に要するエネルギーが高くなり、定着強度が低下するといった不具合が発生する。また、重量平均分子量においては、重量平均分子量を調整するために重量平均分子量の低いポリエステル樹脂と重量平均分子量の高いポリエステル樹脂を適宜混合してもよい。
【0062】
本発明には、第1のワックスと、第2のワックスの少なくとも2種類のワックスを用いる。このようなワックスとして、例えば低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィン共重合物、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、及びフィッシャートロプシュワックス等の脂肪族炭化水素系ワックス、及び酸価ポリエチレンワックス等の脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、またはそれらのブロック共重合体、キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろう、ライスワックス等の植物系ワックス、みつろう、ラノリン、及び鯨ろう等の動物系ワックス、オゾケライト、セレシン、ペトロラクタム等の鉱物系ワックス、モンタン酸エステルワックス、カスターワックス等の脂肪酸エステルを主成分とするワックス類、脱酸カルナバワックスの脂肪酸エステルを一部または全部を脱酸化したものがあげられる。さらに、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸、あるいは更に長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルカルボン酸類等の飽和直鎖脂肪酸、ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸等の不飽和脂肪酸、ステアリルアルコール、エイコシルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール、あるいは更に長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルアルコール等の飽和アルコール、ソルビトール等の多価アルコール、リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミド等の脂肪酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド等の飽和脂肪酸ビスアミド、エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミド等の不飽和脂肪酸アミド類、m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミド等の芳香族系ビスアミド、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等の脂肪酸金属塩(一般に金属石けんといわれているもの)、脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸等のビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス、ベヘニン酸モノグリセリド等の脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物、植物性油脂を水素添加することによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物が挙げられる。
【0063】
また、第1のワックスとしては、例えばキャンデリラワックス(71℃)、カルナバワックス(83℃)、ライスワックス(79℃)、ホホバオイル(95℃)、白ロウ(53℃)、蜜ろう(64℃)、などの植物系ワックスや動物系ワックス、パラフィンワックス(80〜107℃)などの脂肪族炭化水素系ワックス、長鎖エステルワックス(90〜95℃)、脂肪酸エステルワックス(60〜82℃)、酸性基を有する(73℃)、ステアリン酸亜鉛(123℃)などの脂肪酸金属塩、モンタンワックス(79〜89℃)、モンタン酸エステルワックス(56〜92℃)、低密度の低分子量ポリエチレン(103〜124℃)などが例示される。
【0064】
第2のワックスとしては、例えば高密度の低分子量ポリエチレン(124〜133℃)、低分子量ポリプロピレン(145〜164℃)などが例示される。
【0065】
第1のワックスおよび/または第2のワックスは、バインダー樹脂の重合時に、溶液中の固形分100重量部に対して、ワックスを0.1〜8重量部添加して脱溶剤したものを用いることが好ましい。これにより、ワックスの分散がより良好になり得る。
【0066】
上記ワックスは任意に組み合わせて用いることが出来る。融点の低いワックスが可塑化作用を発揮し、融点の高いワックスが離型作用に対する効果を発揮し得る。このため、融点の低いワックスがトナーの低温定着性に寄与し、融点の高いワックスが耐高温オフセット性に寄与する。
【0067】
本発明に使用され得る着色剤を下記に示す。
【0068】
モノカラー用カラー着色材としては下記のものがあげられる。
【0069】
赤:パーマネントレッド、ブリリアントカーミン6B、ローダミンレーキ
青:フタロシアニンブルー、アルカリブルー、ファストスカイブルー
緑:マラカイトグリーン、ピグメントグリーン、クロムグリーン
また、フルカラー画像用イエロー着色材としては、 C.I.pigment Yellow 1 Symuler FastYellow GH(大日本インキ社製)、C.I.pigment Yellow 3 Symuler FastYellow 10GH(大日本インキ社製)、C.I.pigment Yellow 12 Symuler FastYellow GF(大日本インキ社製)、C.I.pigment Yellow 13 Symuler FastYellow GRF(大日本インキ社製)、C.I.pigment Yellow 14 Symuler FastYellow 5GR(大日本インキ社製)、C.I.pigment Yellow 17 Symuler FastYellow 8GR(大日本インキ社製)、更にC.I.pigment Yellow 12としてイエロー152(有本化学)、ピグメントイエローGRT(山陽色素社製)、スミカプリントイエローST−O(住友化学社製)、ベンジジンイエロー1316(野間化厚)、セイカファストイエロー2300(大日精化社製)、及びリオノールイエローGRT(東洋インキ)、C.I.pigment Yellow 180、Toner Yellow HG(クラリアント社製)等があげられる。
【0070】
フルカラー画像用マゼンタ着色材としては、C.I.pigment Red 81 Symulex Rhodamin Y Toner F(大日本インキ社製)、C.I.pigment Red 122、C.I.pigment Red 57 Symuler BrillCarmine 6B(大日本インキ社製)、C.I.pigment Red 22 Symuler FastBrill Scarlet BG(大日本インキ社製)、C.I.pigment Red 21 Sanyo Fast RedGR(山陽色素社製)、C.I.pigment Red 18 Sanyo Toluid neNaroom Medium(山陽色素社製)、C.I.pigment Red 114 Symuler FastCarmine BS(大日本インキ社製)、C.I.pigment Red 112 Symuler FastRed FGR(大日本インキ社製)、C.I.pigment Red 5 Symuler FastCarmine FB(大日本インキ社製)があげられる。
【0071】
フルカラー画像用シアン着色材としては、C.I.pigment Blue 15 Fastogen BlueGS(大日本インキ社製)、Chromofine SR(大日精化社製)、C.I.pigment Blu l6 SumitoneCyanine Blue LG(住友化学社製)、C.I.pigment Green 7 phthalocyaninneGreen(東京インキ社製)、C.I.pigment Green 36 Cyanine Green2 YL(東洋インキ社製)、C.I.pigment Blue 15:3 Cyanine BlueGGK(日本ピグメント社製)があげられる。
【0072】
また、ブラック色着色材としては、カーボンブラック、スピリットブラック、アニリンブラック(C.I.pigment Black 1)等があげられる
本発明の現像剤には、任意に、電荷制御剤を添加することができる。
【0073】
電荷制御剤としては、ニグロシン染料、含クロム錯体、第4級アンモニウム塩等が用いられる。電荷制御剤はトナー粒子の極性により使い分けすることができる。
【0074】
カラー現像剤の場合、トナーの色調に影響を与えない無色又は淡色のものが好ましく、例えば、サリチル酸金属塩又はサリチル酸誘導体の金属塩(ボントロンE84=オリエント社製)が例示され、金属元素がジルコニウム、亜鉛、クロム、ボロンの錯体、錯塩、あるいはその混合物を用いることが好ましい。電荷制御剤の添加量は、バインダー樹脂100重量部に対して好ましくは0.1ないし10重量部、より好ましくは0.2ないし7重量部である。
【0075】
本発明の現像剤において、トナー粒子に、流動性付与剤を添加することができる。
【0076】
本発明において、流動性付与剤としては、シリカ、アルミナ、チタニァ、マグネシア、ジルコニア、フェライト、マグネタイト等の金属酸化物の微粒子及びそれら微粒子をシランカップリング剤、チタネートカップリング剤、ジルコアルミネート、四級化アンモニウム塩、脂肪酸、脂肪酸金属塩、フッ素系活性剤、溶剤、ポリマー等の処理剤によって表面処理または被覆したもの、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸またはその金属塩の微粒子、及びそれら微粒子を前記処理剤により表面処理したものポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリフッ化ビニリデン等のポリマー微粒子及びそれら微粒子を前記処理剤で表面処理または被覆したものが用いられる。これら流動性付与剤の平均粒径は、0.01〜3μmの範囲のものが使用される。
【0077】
これら流動性付与剤の添加量は、トナー粒子100重量部に対して0.1〜7.0重量部、特に0.2〜5.0重量部の範囲が好ましい。
【0078】
トナー粒子と流動性付与剤との混合方法は、粉体が流動状態で気流又は機械カなどにより高速運動させ、実質的に粉砕を起こさないよう調整され得る。混合機としては、高速流動型の混合機、例えば、ヘンシェルミキサー、UMミキサー等があげられる。
【0079】
【実施例】
以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明する。
【0080】
なお実施例および比較例に記載の各成分の量(部)は重量部を表す。
【0081】
Figure 2005024771
上記トナー原料をヘンシェルミキサーを用いて混合した後、図1と同様の構成を有する二軸型連続式押出器に導入し、1.00kW・h/kgの混練エネルギーで、溶融混練した。送り部におけるトナー粒子材料の温度は80℃であった。得られた混練物を二軸型連続式押出器の吐き出し口から吐き出した。吐き出された混練物の温度は100℃であった。次に、混練物を図2と同様の冷却装置に導入し、まず、0.5mm厚に圧延し、圧延物を得た。得られた圧延物の温度は63℃まで低下した。次に、その圧延物を5.0℃/秒で、50℃の冷却温度まで冷却し、その後ハンマーミルで粗粉砕し、次いでジェット粉砕機で微粉砕、分級を行い、体積平均径7.0μmのトナー粒子を得た。
【0082】
このトナー粒子100部に疎水性シリカ2.5部と疎水性酸化チタン0.5部をヘンシェルミキサーにより添加、混合してトナーを製造した。
【0083】
トナー8部に対し、フェライトコアにシリコーン樹脂をコーティングしたキャリアを総量100部となるように混合して二成分現像剤を作製した。
【0084】
上記現像剤を用いて、フルカラー電子写真複写機(ファンタジア22i、東芝テック社製)により1万枚の連続複写を行い、最低定着温度、非オフセット領域、スメアレベル、帯電性、画像濃度、及び顔料分散性の試験、評価を行った。その結果を表2に示す。
【0085】
最低定着温度は、75%以上の定着残存率を得る温度とした。
【0086】
なお、定着残存率は、定着器の熱ローラの設定温度を順次上昇させた状態で、加重400N、ニップ幅7.5mm、定着送り速度200mm/秒の条件でトナー像を転写した転写用紙を定着器により定着処理を行い、形成された定着画像に対して画像部の画像濃度を測定し、その画像部を100%コットンパットで摩擦を施した後、画像濃度を再度測定して、以下の式で算出することにより求めた。
【0087】
定着残存率=摩擦後の画像濃度/摩擦前の画像濃度×100(%)
非オフセット範囲の測定は、トナー像を転写して上記条件で定着処理を行い、トナーの汚れが生ずるか否かを観察する操作を、定着器の熱ローラの設定温度を順次上昇させた状態で行い、トナーの汚れの発生しない温度、すなわち、低温度域で発生する低温オフセット、高温度領域で発生する高温オフセットのいずれも発生しない温度領域を非オフセット範囲とした。
【0088】
スメアレベルの測定は、スメアレベルを10段階に分けた見本を作成し、トナー画像を見本と照合することにより行い、非オフセット範囲温度におけるトナーが裏写りするレベルの平均値とした。このスメアレベルは、値が小さい程、良好であることを示す。
【0089】
帯電性は、温度10℃、湿度20%の低温低湿(L/L)環境、温度35℃湿度85%の高温高湿(H/H)環境、温度20℃、湿度50%の常温常湿(N/N)環境の3条件で、それぞれトナーとキャリアを12時間放置した後、所定の混合比にて現像剤を作成したものを、東芝ケミカル社製TB−220型帯電量測定装置によりを行うことにより測定し、以下のように評価した。
【0090】
Figure 2005024771
画像濃度は、温度10℃湿度20%の低温低湿(L/L)環境、温度35℃湿度85%の高温高湿(H/H)環境、温度20℃湿度50%の常温常湿(N/N)環境の3条件で、東芝テック社製複写機プリマージュ455にて画像を出力したものをサカタインクス社製マクベス濃度計を用いて測定し、以下のように評価した。
【0091】
Figure 2005024771
顔料分散性は、スライドガラスに載せたトナーをホットプレート上に加熱したものを均一に延伸し、透過光による光学顕微鏡観察において、目視により観察し、100倍の倍率で顔料粒子が見られない場合を◎、3ないし5個みられた場合を△、5個を超える場合を×として評価した。
【0092】
また、得られたトナー粒子について、その結晶性化合物のDSC吸熱ピークを測定した。混練時に混練時にトナー材料にかかる剪断力が適当である場合には、DSC吸熱ピークがあるが、混練時にトナー材料に剪断力がかかりすぎ、結晶性化合物が分解してしまうと、DSC吸熱ピークがなくなる。
【0093】
実施例2ないし18
実施例1と同様の樹脂、下記表1−1ないし1−3に示すDSC吸熱ピーク温度を有する結晶性ポリエステル、下記表1−1に示すDSC吸熱ピーク温度を有する第1のワックス、及び下記表1−1に示すDSC吸熱ピーク温度を有する第2のワックスを表1−1に示す組成で、さらに実施例1と同様の青色顔料、及びCCAを同様の組成で、トナー粒子材料を用意した。
【0094】
得られたトナー粒子材料を表1−2に示す混練機に各々導入した。混練エネルギー、送り部のトナー粒子材料の温度、吐き出された混練物の温度、圧延物厚さ、圧延物温度、冷却温度、及び冷却速度が各々表1−2,表1−3と同様であること以外は、実施例1と同様にしてトナー粒子を作成し、同様にしてトナーを得た。得られたトナーを、実施例1と同様にしてキャリアと混合し、二成分現像剤を得た。
【0095】
さらに、得られた二成分現像を用いて、実施例1と同様の試験、評価を行った。その結果を下記表2に示す。
【0096】
【表1】
Figure 2005024771
【0097】
【表2】
Figure 2005024771
【0098】
【表3】
Figure 2005024771
【0099】
【表4】
Figure 2005024771
【0100】
表2から明らかなように、実施例1ないし18の現像剤は、顔料分散性が良好であり、最低定着温度、非オフセット領域、スメアレベル、帯電性、画像濃度、及び顔料分散性共に優れていることから、従来よりも低い混練エネルギーで溶融混練を行うと、着色剤とバインダー樹脂が効率よく混合され、マスターバッチの作成を省くことが可能となることがわかった。
【0101】
また、混練時にかかるエネルギーを最適化することにより、結晶性化合物が結晶性を保持した状態で、バインダー中に分散されていることがDSCピークの存在より確認することができ、これにより、最低定着温度の低いトナーを得ることができた。
【0102】
実施例19の現像剤は、送り部の温度が使用される結晶性化合物のDSC発熱ピークより高く、非オフセット領域が若干高くて狭く、スメアレベルが若干高かった。
【0103】
また、実施例20の現像剤は、吐出部から吐き出された混練物の温度が、結晶性化合物のDSC吸熱ピーク温度よりも10℃以上高くなかった。非オフセット領域が若干高くて狭く、帯電性と画像濃度評価が若干劣っていた。
【0104】
実施例21の現像剤は、圧延物の厚さが1.5mmを大きく超えていた。圧延物の温度がDSC吸熱ピーク温度よりも10℃以上低い温度とならず、及び冷却温度がバインダー樹脂のガラス転移点Tgよりも10℃以上低い温度にならなかった。また、非オフセット領域が若干低くて狭く、画像濃度が多少低く、帯電性及びスメアレベルも若干劣っていた。
【0105】
実施例23の現像剤は、冷却温度が高く、冷却速度が0.5℃/秒よりも小さかった。最低定着温度が高く、耐電安定性、画像濃度共に劣るものとなった。
【0106】
実施例22の現像剤は、圧延物の厚さが1.5mmを少々超えていた。冷却温度がバインダー樹脂のガラス転移点Tgよりも10℃以上低い温度にならなかった。また、非オフセット領域が若干低くて狭く、画像濃度が多少低く、帯電性及びスメアレベルも若干劣っていた。
【0107】
比較例1の現像剤は、結晶性化合物を含んでいないため、最低定着温度が高めで、スメアレベル及び顔料分散性が悪かった。
【0108】
比較例2の現像剤は、結晶性化合物の添加量が多すぎ、スメアレベル及び顔料分散性が悪かった。
【0109】
比較例3では、従来の高い混練エネルギーで溶融混練を行っても、結晶性化合物の結晶性が失われ、DSCピークが見られなくなった。これにより、低温定着性に劣っていることが分かった。また、顔料分散性が劣り、スメアレベルも良好ではなく、非オフセット領域が若干高くて狭くなり、帯電性、及び画像濃度も劣るなど、全体的に良好な特性が得られないことがわかった。
【0110】
比較例4は、混練エネルギーが低すぎた。結晶性化合物の分散が上手く行かず、トナー化しているときに脱離して、バグに回収されてしまったために結晶性化合物の最終的な含有量が不足し、DSCピークも見られなかった。これにより、低温定着性が劣った。このため、顔料分散性が悪く、スメアレベルも良好でなく、非オフセット領域が若干高くて狭くなり、帯電性、及び画像濃度も劣るなど、全体的に良好な特性が得られないことがわかった。
【0111】
比較例5ないし8は、二軸型連続式押出器を使用していない。使用した混練機は共に、混練エネルギーが高く、結晶性化合物の結晶性が失われ、DSCピークが見られなくなった。これにより、低温定着性が劣った。また、顔料分散性が非常に悪く、非オフセット領域が若干高くて狭く、スメアレベルも劣っていた。
【0112】
【発明の効果】
本発明によれば、着色剤、低融点物質、及びバインダー樹脂が十分に分散され、透明性及び色調が良好で、低コストな現像剤を得ることができる。
【0113】
また、本発明によれば着色剤、低融点物質、及びバインダー樹脂が十分に分散され、透明性及び色調が良好な現像剤を安価に製造し得る現像剤の製造方法が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に使用される二軸型連続式押出器の一例を表す概略断面図
【図2】本発明に使用され得る冷却固化装置の一例を表す概略図
【図3】本発明に使用され得る冷却固化装置の他の一例を表す概略図
【符号の説明】
3…モーター、4…冷却機構、5…吐出口、6…圧延ローラ、7…ベルト、8…スクリュー、9…加熱シリンダ、10…ホッパー、11…冷却ドラム、16…圧延ローラ、17…冷却ベルト、18…ベルト、20…二軸型連続式押出器、21,22,23,24…ローラ、30…冷却固化装置、31…、33…ニーディング部、34…送り部、40…粉砕装置

Claims (11)

  1. 着色剤、
    バインダー樹脂、
    1ないし30重量%の結晶性化合物、
    該結晶性化合物のDSC吸熱ピーク温度よりも低いDSC吸熱ピーク温度をもつ第1のワックス、及び
    該結晶性化合物のDSCピーク温度よりも高いDSC吸熱ピーク温度をもつ第2のワックスの混合物を、
    該混合物を導入する導入部及びこれを吐き出すための吐出部を有するシリンダと、該シリンダ内に並列して配置された2本のスクリューと、該スクリューを回転駆動する駆動部とを備え、該シリンダ内が、該スクリューにより該混合物に加熱しながら剪断を加えるニーディング部と、加熱及び剪断された該混合物を該スクリューにて送り出す送り部とに分けられる二軸型連続式押出器に導入し、
    下記式
    E=F/W
    但し、上記式中F(kW・h)は前記駆動部の動力、W(kg)は前記混合物の重量、
    で表される混練エネルギーE(kW・h/kg)0.2ないし1.0kW・h/kgで溶融混練し、混練物を得る工程、及び
    該混練物を、冷却、及び粉砕し、トナー粒子を得る工程を具備する現像剤の製造方法。
  2. 前記結晶性化合物は、90ないし140℃のDSC吸熱ピーク温度をもつ請求項1に記載の現像剤の製造方法。
  3. 前記結晶性化合物は、結晶性を有するポリエステル樹脂である請求項1または2に記載の現像剤の製造方法。
  4. 前記第1のワックスは、60ないし120℃のDSC吸熱ピーク温度をもつ請求項1ないし3のいずれか1項に記載の現像剤の製造方法。
  5. 前記第2のワックスは、100ないし160℃のDSC吸熱ピーク温度をもつ請求項1ないし4のいずれか1項に記載の現像剤の製造方法。
  6. 前記送り部の混合物の温度は前記結晶性化合物のDSC吸熱ピーク温度よりも10℃以上低い請求項1ないし5のいずれか1項に記載の現像剤の製造方法。
  7. 前記吐出部から吐き出された混練物の温度は、前記結晶性化合物のDSC吸熱ピーク温度よりも10℃以上高い請求項1ないし6のいずれか1項に記載の現像剤の製造方法。
  8. 前記吐出部から吐き出された混練物を、該混練物を圧延して板状の圧延物を形成圧延ロールと、圧延物を放熱させるための冷却ベルトを備えた冷却機構とを含む冷却固化装置により冷却する工程をさらに含む請求項1ないし7のいずれか1項に記載の現像剤の製造方法。
  9. 前記圧延物は、1.5mm以下の厚さを有し、前記DSC吸熱ピーク温度よりも10℃以上低い温度に低下する請求項8に記載の現像剤の製造方法。
  10. 前記圧延物は、該冷却固化装置において、5.0ないし20.0℃/秒の冷却速度で、前記バインダー樹脂のガラス転移点Tgよりも10℃以上低い温度に冷却される請求項8または9に記載の現像剤の製造方法。
  11. 着色剤、
    バインダー樹脂、
    1ないし30重量%の結晶性化合物、
    該結晶性化合物のDSC吸熱ピーク温度よりも低いDSC吸熱ピーク温度をもつ第1のワックス、及び
    該結晶性化合物のDSCピーク温度よりも高いDSC吸熱ピーク温度をもつ第2のワックスの混合物を含む現像剤であって、
    該混合物を導入する導入部及びこれを吐き出すための吐出部を有するシリンダと、該シリンダ内に並列して配置された2本のスクリューと、該スクリューを回転駆動する駆動部とを備え、該シリンダ内が、該スクリューにより該混合物に加熱しながら剪断を加えるニーディング部と、加熱及び剪断された該混合物を該スクリューにて送り出す送り部とに分けられる二軸型連続式押出器を用いて、
    下記式
    E=F/W
    但し、上記式中F(kW・h)は前記駆動部の動力、W(kg)は前記混合物の重量
    で表される混練エネルギーE(kW・h/kg)0.2ないし1.0kW・h/kgで溶融混練され、その後、冷却、及び粉砕して得られる現像剤。
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JP2010055019A (ja) * 2008-08-29 2010-03-11 Sanyo Chem Ind Ltd トナー組成物

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