以下、図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
(1)本発明の原理
一般的に光ディスク100では、信号記録面に凹凸を設けたり、当該信号記録面の反射率を局所的に低下させたりすることにより記録マークRMを形成する。そして光ディスク100では、記録マークRMに対して光ビームが照射されると、記録マークRMが形成されていない箇所に光ビームが照射された場合と比較して、回折による散乱や反射率の低下などにより、光ディスク100からの戻り光ビームの光量を低下させることができる。
すなわち光ディスク装置1は、信号記録面に光ビームを照射すると、当該信号記録面によって反射されてなる戻り光ビームを受光する。図2(A)に示すように信号記録面に記録マークRMが形成されていた場合には、戻り光ビームの受光量が低下することになる。この結果光ディスク装置1は、図2(B)に示すように、記録マークRMの有無に応じて信号レベルが増減する再生信号SRFを生成することになる。
さらに光ディスク装置1は、図2(C)に示すように、基準クロックCKの例えば立ち下がりに応じて再生信号SRFを2値化することにより、記録マークRMの有無を表す2値化再生データDRFを生成する。
因みに2値化処理により、2値化再生データDRFにおいて信号レベルが「High」の期間及び「Low」期間のタイミングは、再生信号SRFの信号レベルが基準レベルSL以上となる「High」の期間と信号レベルが基準レベル以下となる「Low」の期間のタイミングからずれることになる。しかしながら2値化再生データDRFと再生信号SRFでは、「High」及び「Low」の期間が互いに対応しており、その間隔が同一になるようになされている。なお再生信号RFにおける基準レベルSLは、当該再生信号SRFにおける「High」及び「Low」の期間がほぼ同一になるように決定されている。
ここで、BD(Blu-ray Disc、登録商標)方式、DVD(Digital Versatile Disc)方式又はCD(Compact Disc)方式でなる光ディスク100では、方式ごとの規格により立ち上がりエッジと立ち下がりエッジとの間隔(以下、これをデータエッジ間隔と呼ぶ)が、所定のエッジ長になるように記録マークRMのマーク長さが決められている。なお2値化データDRFが「Low」レベルから「High」レベルに切り替わるタイミングを立ち上がりエッジと呼び、2値化データDRFが「High」レベルから「Low」レベルに切り替わるタイミングを立ち下がりエッジと呼ぶ。
なお便宜上、以下ではBD方式、DVD方式及びCD方式の光ディスク100をそれぞれBDメディア100b、DVDメディア100d、及びCDメディア100cと呼ぶ。また、各光ディスク100が有する信号記録面をそれぞれBD記録面、DVD記録面及びCD記録面と呼ぶ。
ここで各方式における基準クロックCKの周波数の逆数をTとすると、各光ディスク100おけるエッジ長はそれぞれ異なっている。以下に、各光ディスク100におけるエッジ長及びTの値(1倍速のとき)を示す。
BDメディア100bのエッジ長
2T、3T、4T、5T、6T、7T、8T及び9T
T=1/66[MHz]
DVDメディア100dのエッジ長
3T、4T、5T、6T、7T、8T、9T、10T、11T及び14T
T=1/26.15625[MHz]
CDメディア100cのエッジ長
3T、4T、5T、6T、7T、8T、9T、10T及び11T
T=1/4.3218[MHz]
また図3(A)、(B)及び(C)に、BDメディア100b、DVDメディア100d、及びCDメディア100cの信号記録面に形成された記録マークRMの様子をそれぞれ示している。図からわかるように、BD記録面、DVD記録面及びCD記録面における記録マークRMのサイズはそれぞれ異なっている。
例えば最小長を有する記録マークRMのマーク長さを比較すると、BDメディア100bにおける2Tマークが約0.17[μm]、DVDメディア100dにおける3Tマークが約0.4[μm]、CDメディア100cにおける3Tマークが約0.83[μm]とそれぞれ異なっている。
すなわち光ディスク100では、その種類に応じて記録マークRMのサイズ(エッジ長の種類及び1T当たりのエッジ長)が相違するため、再生信号SRFの周波数を変化させることになる。これに応じて光ディスク100は、その種類に応じて再生信号SRFを2値化することにより生成される2値化再生データDRFの周波数を変化させることになる。
そこで本発明では、光ディスク100を回転させながら対物レンズ7を移動させ、光ディスク100に光ビームを照射する(以下、これら一連の動作をサーチ動作と呼ぶ)と共に、戻り光ビームから2値化再生データDRFを生成する。さらに本発明では、2値化再生データDRFの周波数に基づいて、種類が不明である光ディスク100(以下、これを未知ディスク100xと呼ぶ)の種類を判別するようになされている。
(2)第1の実施の形態
(2−1)光ディスク装置の構成
図4において、光ディスク装置1は、図示しない外部機器からの指示に基づき、光記録媒体としての光ディスク100に情報を記録し、また当該光ディスク100に記録された情報を再生するようになされている。
また光ディスク装置1は、BDメディア100b、DVDメディア100d及びCDメディア100cでなる光ディスク100のいずれにも対応し得るようになされている。
因みにCDメディア100c、DVDメディア100d、及びBDメディア100bは、外径が約120[mm]、厚さが約1.2[mm]の円盤状である点については共通しているものの、情報の記録時及び再生時に使用される光ビームの波長、当該光ビームを集光する対物レンズの開口数、光ビームが照射される表面から情報を記録する記録層までの間隔(いわゆるカバー層の厚さ)が互いに異なっている。
具体的には、CD方式、DVD方式及びBD方式において、光ビームの波長がそれぞれ約780[nm]、約660[nm]及び約405[nm]、対物レンズの開口数がそれぞれ約0.45、約0.6及び約0.85、カバー層の厚さが約1.2[mm]、約0.6[mm]及び約0.1[mm]とそれぞれ規定されている。
光ディスク装置1は、制御部2によって全体を統括制御するようになされている。この制御部2は、図示しないCPU(Central Processing Unit)を中心に構成されており、図示しないROM(Read Only Memory)から基本プログラムやメディア種類判別プログラム、フォーカス制御開始プログラム等の各種プログラムを読み出し、これを図示しないRAM(Random Access Memory)に展開することにより、判別フォーカス制御開始処理等の各種処理を実行するようになされている。
光ディスク装置1は、例えば光ディスク100が装填された状態で、図示しない外部機器からの再生指示を受け付けると、当該光ディスク100に記録されている情報を読み出すようになされている。
実際上、駆動制御部3は、制御部2の指示に基づき、スピンドルモータ4を駆動制御することにより光ディスク100を回転させると共に、光ピックアップ5から当該光ディスク100に光ビームを照射させる。
この光ピックアップ5は、いわゆる3波長対応型となっており、波長約780[nm]でなるCD用光ビームを出射するCD用レーザダイオード6c、波長約660[nm]でなるDVD用光ビームLDを出射するDVD用レーザダイオード6d、及び波長約405[nm]でなるBD用光ビームを出射するBD用レーザダイオード6b(以下、これらを総称してレーザダイオード6と呼ぶ)を有している。
光ピックアップ5は、光ディスク100の種類(すなわちCDメディア100c、DVD用メディア100d又はBDメディア100bのいずれであるか)に応じたレーザダイオード6から光ビームを出射させるようになされている。例えば光ディスク100がBDメディア100bであれば、光ピックアップ5は、BD用レーザダイオード6bからBD用光ビームLbを出射する。その後光ピックアップ5は、図示しない光学部品を介した後、対物レンズ7により当該光ビームを集光するようになされている。
対物レンズ7は、アクチュエータ8により、光ビームの光軸に沿って光ディスク100へ近接される方向又は離隔される方向、すなわちフォーカス方向へ駆動されるようになされている。これは、回転される光ディスク100がいわゆる面ブレ等を生じた際に、対物レンズ7を当該光ディスク100に追従させるためである。
また対物レンズ7は、複数の光学部品の組み合わせにより構成され(図示せず)、同時に各波長のレーザに対して焦点を形成する波長選択多焦点レンズとして作用するようになされている。また対物レンズ7は、波長選択のために特に開口の低い波長では、開口制限を受けたり、回折により光路が変えられたりすることによって、不要になった光(以下、これを不使用光と呼ぶ)Uにより複数の集光点を持つ可能性がある。
実際上、対物レンズ7は、CD用光ビームを開口数約0.45で集光し、DVD用光ビームLDを開口数約0.6で集光し、BD用光ビームを開口数約0.85で集光することができる一方、同時に他の開口数でも光ビームを集光する。
光ピックアップ5は、光ビームが光ディスク100により反射されてなる戻り光ビームが対物レンズ7に入射されると、図示しない光学部品を介して、これをフォトディテクタ9に照射させる。
フォトディテクタ9は、戻り光ビームが照射される面に複数の検出領域を有しており、検出領域ごとに光電変換を行うことにより複数の受光信号を生成し、これらを信号処理部10へ供給する。
信号処理部10は、受光信号を基に所定の演算処理を行うことにより、戻り光ビームの光量を表す再生信号SRF及びプルイン信号SPI、光ビームの焦点と光ディスク100の信号記録面とのずれ量を表すフォーカスエラー信号SFE、光ビームの焦点と信号記録面上に形成されたトラック中心とのずれ量を表すトラッキングエラー信号等を生成し、これらを制御部2へ供給する。
制御部2は、フォーカスエラー信号SFEに基づき、当該フォーカスエラー信号SFEを値「0」に近づけるようなフォーカス駆動信号SDFを駆動制御部3に供給する。駆動制御部3は、フォーカス駆動信号SDFに基づいてフォーカス駆動電流を生成し、アクチュエータ8へ供給することにより、光ビームの焦点を光ディスク100の信号記録面に合焦させるように、対物レンズ7をフォーカス方向に移動させる。
すなわち駆動制御部3は、アクチュエータ8を介して対物レンズ7を光ディスク100に対して離隔又は近接させるフォーカス方向にフィードバック制御することにより、光ビームの焦点を光ディスク100の信号記録面に追従させるようになされている。
また駆動制御部3は、同様にしてトラッキングエラー信号に基づき、アクチュエータ8を介して対物レンズ7を光ディスク100の半径方向であるトラッキング方向にフィードバック制御することにより、光ビームの焦点を光ディスク100のトラック中心に追従させる。
さらに信号処理部10は、光ディスク100に記録されている記録マークRMに応じて信号レベルの変化する再生信号SRFを2値化して記録マークRMの有無を表す2値化再生データDRFを生成する。そして信号処理部10は、当該2値化再生データDRFに対し所定の復調処理や復号化処理等を施して再生情報を生成し、制御部2を介して外部機器(図示せず)へ送出するようになされている。
また光ディスク装置1は、例えば光ディスク100が装填された状態で、図示しない外部機器からの記録指示及び記録すべきデータ等を受け付けると、当該光ディスク100に情報を記録するようになされている。
この場合にも駆動制御部3は、光ディスク100から情報を再生する場合と同様に、アクチュエータ8を介して対物レンズ7をフィードバック制御することにより、光ビームの焦点を光ディスク100の信号記録面に追従させるようになされている。
このように光ディスク装置1は、光ディスク100に光ビームを照射し、戻り光ビームの検出結果を基に対物レンズ7をフォーカス方向にフィードバック制御する、いわゆるフォーカス制御を行うことにより、光ビームの焦点を光ディスク100の信号記録面に追従させるようになされている。
(2−2)メディア種類の判別及びフォーカス制御の開始
ところで光ディスク100は、上述したように、記録時及び再生時に照射すべき光ビームの波長及びカバー層の厚さが、種類ごとに異なっている。
このため光ディスク装置1は、光ディスク100の種類に応じて、光ビームの波長、すなわちCD用レーザダイオード6c、DVD用レーザダイオード6d又はBD用レーザダイオード6bのいずれから光ビームを出射させるかと、フォーカス方向に関して光ビームの焦点を合わせる位置、すなわちフォーカス方向に関する対物レンズ7の位置と、光ディスク100の回転数とを切り換える必要がある。
そこで光ディスク装置1は、種類が未知の光ディスク100(以下、これを未知ディスク100xと呼ぶ)が装填されると、当該未知ディスク100xの種類を判別するようになされている。
第1の実施の形態による光ディスク装置1では、上述したように、2値化再生データDRFの周波数に基づいて光ディスク100の種類を判別するため、光ディスク100を回転させた状態で、対物レンズ7を移動させながら光ビームを照射する。
このとき図5及び図6に示すように、光ディスク装置1は、戻り光ビームの受光量に基づいて、再生信号SRF及びフォーカスエラー信号SFEを生成する。なお図5(A)は、BDメディア100bをBD方式の規格に応じた回転数(以下、これをBD回転数と呼ぶ)で回転させてBD用光ビームを用いてサーチ動作した場合に生成される再生信号SRFb及びフォーカスエラー信号SFEを示している。
また図5(B)は、DVDメディア100dをDVD方式の規格に応じた回転数(以下、これをDVD回転数と呼ぶ)で回転させてDVD用光ビームLDを用いてサーチ動作した場合に生成される再生信号SRFd及びフォーカスエラー信号SFEを示している。図6は、CDメディア100cをCD方式の規格に応じた回転数(以下、これをCD回転数と呼ぶ)で回転させてCD用光ビームLcを用いてサーチ動作した場合に生成される再生信号SRFc及びフォーカスエラー信号SFEを示している。
ここでサーチ動作の結果得られる再生信号SRF(SRFb、SRFd及びSRFc)から、どの程度記録マークRMの有無を判別し得るかについて着目する。
まず、光ディスク100においてユーザの要求に応じてデータが記憶される領域(以下、これをユーザ領域と呼ぶ)を半径として以下に示す。因みにこのユーザ領域より内側の領域においても例えば工場出荷時に記憶されるデータなどが記録されている。
BDメディア100b :24〜58[mm]
DVDメディア100d:24〜58[mm]
CDメディア100c :25〜58[mm]
また光ディスク100の回転数は、光ディスク100の半径方向の位置によって変化する。以下に、光ディスク100が各方式における1倍速での半径24[mm]及び58[mm]における回転数を示している。
BDメディア100b(24[mm]) : 1957.6[rpm]
BDメディア100b(58[mm]) : 810.0[rpm]
DVDメディア100d(24[mm]) : 1388.6[rpm]
DVDメディア100d(58[mm]) : 574.6[rpm]
CDメディア100c(24[mm]) : 954.9[rpm]
CDメディア100c(58[mm]) : 395.1[rpm]
ここで、サーチ動作において光ビームが信号記録面に合焦したときに再生信号SRFの極大値は最大となる。この最大極大値APの信号レベルを100[%]とし、再生信号SRFの極大値が80[%]以上となる期間を光ビームの焦点深度内に信号記録面が存在する焦点深度期間とすると、各光ディスク100における焦点深度期間は以下の通りであった。なお、1Xは各光ディスク100の種類に規定されている1倍速を、2Xは2倍速を、4Xは4倍速を表している。
BDメディア100b(1X) :148[μsec]
DVDメディア100d(2X) :248[μsec]
CDメディア100c(4X) :800[μsec]
図5及び図6に示したように、フォーカス制御を開始する(すなわちフォーカスサーボをOFFからONに切り換える)タイミングとなるゼロクロス点ZCは、再生信号SRFの最大極大値APとほぼ同一タイミングとなり、焦点深度期間のほぼ中心に位置する。
言い換えると光ディスク装置1では、焦点深度期間の始まりから最大極大値APまでとなる焦点深度期間の半分の時間(以下、これを焦点深度ハーフ期間と呼ぶ)で光ディスク100の種類を判別することができれば、光ディスク100の種類を確認した後にそのままフォーカス制御を開始することが可能となる。
例えばBDメディア100bでは、1倍速のとき基準クロックCKの周波数が66.0[MHz]であり、1T当たりの時間を表す1チャネルビット間隔が15.15[nsec]、1シンクフレーム当たりの時間を表す1シンクフレーム間隔が29.27[μsec]である。このことから1倍速のBD回転数でBDメディア100bを回転させる場合、焦点深度期間に4.8シンクフレーム、焦点深度ハーフ期間に2.4シンクフレームの情報が含まれることになる。
またDVDメディア100dでは、1倍速のとき基準クロックCKの周波数が26.15625[MHz]であり、1チャネルビット間隔が38.23[nsec]、1シンクフレーム間隔が56.88[μsec]である。このことから2倍速のDVD回転数でDVDメディア100dを回転させる場合、焦点深度期間に8.7シンクフレーム、焦点深度ハーフ期間に4.3シンクフレームの情報が含まれることになる。
さらにCDメディア100cでは、1倍速のとき基準クロックCKの周波数が4.3218[MHz]であり、1チャネルビット間隔が231.4[nsec]、1シンクフレーム間隔が136.05[μsec]である。このことから4倍速のCD回転数でCDメディア100cを回転させる場合、焦点深度期間に23.5シンクフレーム、焦点深度ハーフ期間に11.7シンクフレームの情報が含まれることになる。
ここで、BDメディア100b、DVDメディア100d及びCDメディア100cの各規格の定義から、1シンクフレーム内には全ての長さのデータ(すなわちBDメディア100bでは2T〜9T、DVDメディア100dでは3T〜11T及び14T、CDメディア100cでは3T〜11T)が含まれる。
従って焦点深度ハーフ期間の間に再生信号SRFから生成される2値化再生データDRFの周波数に基づいて光ディスク100の種類を判別することは、理論的に可能であることがわかる。
そこで光ディスク装置1では、照射する光ビームに応じた回転数により光ディスク100を回転させておき、未知ディスク100xが照射する光ビームに対応する種類の光ディスク100である場合には、そのまま当該光ディスク100に対するフォーカス制御を開始する判別フォーカス制御開始処理を実行するようになされている。
また上述したようにBDメディア100b、DVDメディア100d及びCDメディア100cのカバー層の厚さはそれぞれ異なっており、これに伴って信号記録面(BD記録面、DVD記録面及びCD記録面)の位置もそれぞれ異なっている。また従来の光ディスク装置と異なり、光ディスク100の表面位置を検出する必要がない。
このため光ディスク装置1では、対物レンズ7を未知ディスク100xから最も離隔した最離隔位置から近接させていき、まず未知ディスク100xがBDメディア100bであるか否かを判別する。光ディスク装置1は、未知ディスク100xがBDメディア100bでないと判別された場合には、対物レンズ7をそのまま未知ディスク100xにさらに近接させてDVDメディア100dであるか否かを判別する。さらに光ディスク装置1は、対物レンズ7をそのまま未知ディスク100xにさらに近接させてCDメディア100cであるか否かを判別するようになされている。
(2−2−1)BDメディア判別
光ディスク装置1は、判別フォーカス制御開始処理として、まずBD用光ビームLbを用いてサーチ動作を実行し、当該未知ディスク100xがBDメディア100bであるか否かを判別する。
具体的に光ディスク装置1の制御部2(図4)は、駆動制御部3を介してスピンドルモータ4に電圧を印加することにより対物レンズ7の位置に応じたBD回転数で未知ディスク100xを回転させる。さらに制御部2は、アクチュエータ8に印加する電圧を制御することにより対物レンズ7を一定の移動速度でフォーカス方向に移動させながらBD用レーザダイオード6bからBD用光ビームLbを出射することにより、未知ディスク100xに対してBD用光ビームLbを照射する。
この結果フォトディテクタ9は、BD用光ビームLbが未知ディスク100xによって反射されてなるBD用戻り光ビームLbrを受光する。フォトディテクタ9は、BD用戻り光ビームLbrの受光量に応じた受光信号を生成し、信号処理部10に供給する。
図7に示すように信号処理部10のサーボ制御信号生成部11は、光ピックアップ5から供給される受光信号に基づいてプルイン信号SPI、再生信号SRFb及びフォーカスエラー信号SFEをそれぞれ生成し、FOK_PI検出部13、FOK_RF検出部12及びFZC検出部14にそれぞれ供給する。
FOK_PI検出部13は、プルイン信号SPIの信号レベルを監視し、プルイン信号SPIが所定の計測閾値以上であることを表す計測タイミング信号FOK_PIを生成し、これをFOK_RF検出部12及びFOK検出部15に供給する。なおこの計測閾値は、BD用戻り光ビームLbrにおいて再生信号SRFbを2値化し得る十分な光量が得られる値に設定され、必ずしも上述した焦点深度期間に対応するように設定される必要はない。計測閾値は、例えば再生信号SRFbにおける最大極大値APの40〜50[%]に対応する値(すなわちプルイン信号SPIの極大値の40〜50[%])に設定される。
FOK_RF検出部12は、再生信号SRFbから2値化再生データDRFbを生成し、当該2値化再生データDRFbの周波数に基づいてディスク判定処理(詳しくは後述する)を開始する。具体的にFOK_RF検出部12は、計測タイミング信号FOK_PIが「High」レベルであることによりプルイン信号SPIが所定の計測閾値以上であることを認識すると、未知ディスク100xからBD記録面の検出を開始する。
そしてFOK_RF検出部12は未知ディスク100xからBD記録面を検出したか否かを表すディスク判定信号FOK_RFを生成し、FOK検出部15に供給する。
FOK検出部15は、ディスク判定信号FOK_RFが「High」レベルであることにより未知ディスク100xからBD記録面が検出されたことを認識すると、計測タイミング信号FOK_PIプルイン信号SPIが所定の計測閾値以上であるか否かについて判別する。
このときFOK検出部15は、計測タイミング信号FOK_PIプルイン信号SPIが所定の計測閾値以上である場合、十分な光量でなるBD用戻り光ビームLbrに基づいてBD記録面が検出されか否かを表す記録面確認信号FOKを生成し、制御部2を介してFZC検出部14に供給する。
ここでBD記録面が検出され、かつ計測タイミング信号FOK_PIプルイン信号SPIが所定の計測閾値以上であるということは、言い換えるとBD用光ビームLbの焦点がBD記録面の近傍に位置することを表している。そこで光ディスク装置1は、BD用光ビームLbの焦点がBD記録面に合焦するタイミングを検出し、そのままフォーカス制御を開始するようになされている。
FZC検出部14は、記録面確認信号FOKが「High」レベルであることにより十分な光量による戻り光ビームLbrに基づいてBD記録面が検出されたことを認識すると、フォーカスエラー信号SFEからゼロクロス点ZCを検出したことを表すゼロクロス信号FZCを生成し、制御部2に供給する。
制御部2は、ゼロクロス信号FZCが「High」レベルであることにより、フォーカスエラー信号SFEからゼロクロス点ZCが検出されたことを認識すると、フォーカス制御を「OFF」から「ON」に切り換え、フォーカス制御を開始する。
一方、光ディスク装置1の制御部2は、対物レンズ7を所定のDVD切替位置まで移動させたにも拘わらず記録面確認信号FOKが「High」レベルに立ち上がらない場合には、未知ディスク100xがBDメディア100bではないと判別する。次いで制御部2は、DVD用光ビームLdを用いてサーチ動作を実行し、未知ディスク100xがDVDメディア100bであるか否かを判別するようになされている。
例えば図8(B)に示すように、時点t1においてプルイン信号SPIが所定の計測閾値以上になると、FOK_PI検出部14は、計測タイミング信号FOK_PI(図8D))を「Low」レベルから「High」レベルに立ち上げる。このときFOK_RF検出部12は、再生信号SRFb(図8(C))に基づいてディスク判定処理を開始する。
時点t2においてFOK_RF検出部12は、BD記録面を検出すると、ディスク判定信号FOK_RF(図8(E))を「Low」レベルから「High」レベルに立ち上げる。
このときFOK検出部15は、計測タイミング信号FOK_PI及びディスク判定信号FOK_RFの両方が「High」レベルであることを確認すると、記録面確認信号FOK(図8(F))を「Low」レベルから「High」レベルに立ち上げる。このときFZC検出部15は、フォーカスエラー信号SFE(図8(A))の監視を開始する。また制御部2は、ゼロクロス信号FZC(図8(G))の監視を開始する。
時点t3においてFZC検出部14は、フォーカスエラー信号SFEからゼロクロス点ZCを検出すると、ゼロクロス信号FZCを「Low」レベルから「High」レベルに立ち上げる。このとき制御部2は、フォーカス制御を「OFF」から「ON」に切り換え、フォーカス制御を開始する。
なお信号処理部10は、時点t4において、プルイン信号SPIの信号レベルが計測閾値未満になったことにより計測タイミング信号FOK_PIが「Low」レベルに立ち下がると、ディスク判定信号FOK_RF、記録面確認信号FOK及びゼロクロス信号FZCを「Low」レベルに立ち下げるようになされている。
このように光ディスク装置1は、未知ディスク100xをBD回転数で回転させた状態でサーチ動作を実行することにより、未知ディスク100xからBD記録面を検出する。そして光ディスク装置1は、BD記録面を検出したことにより未知ディスク100xがBDメディア100bであると判別し、BD記録面に対してそのままフォーカス制御を開始し得るようになされている。
(2−2−2)DVDメディア判別
光ディスク装置1の制御部2は、駆動制御部3を介してアクチュエータ8に印加する電圧を制御することにより対物レンズ7を一定の移動速度でフォーカス方向に移動させたまま、スピンドルモータ4に印加する電圧を変化させることにより未知ディスク100xの回転数を対物レンズ7の位置に応じたDVD回転数に切り換える。さらに制御部2は、DVD用レーザダイオード6dからDVD用光ビームLdを出射することにより、未知ディスク100xに対してDVD用光ビームLdを照射する。
この結果フォトディテクタ9は、DVD用光ビームLdが未知ディスク100xによって反射されてなるDVD用戻り光ビームLbdを受光する。フォトディテクタ9は、DVD用戻り光ビームLdrの受光量に応じた受光信号を生成し、信号処理部10に供給する。
信号処理部10のサーボ制御信号生成部11(図7)は、光ピックアップ5から供給される受光信号に基づいてプルイン信号SPI、再生信号SRFd及びフォーカスエラー信号SFEをそれぞれ生成し、FOK_PI検出部13、FOK_RF検出部12及びFZC検出部14にそれぞれ供給する。
そして制御部2は、BDメディア100bのときと同様に、再生信号SRFdに基づいて未知ディスク100xからDVD記録面が検出された場合には未知ディスク100xがDVDメディア100dであると判別し、フォーカス制御を開始するようになされている。
一方、制御部2は、対物レンズ7を所定のCD切換位置まで移動させたにも拘わらず記録面確認信号FOKが「High」レベルに立ち上がらない場合には、未知ディスク100xがDVDメディア100dではないと判別する。そして制御部2は、CD用光ビームLcを用いてサーチ動作を実行し、未知ディスク100xがCDメディア100cであるか否かを判別するようになされている。
(2−2−3)CDメディア判別
光ディスク装置1の制御部2は、駆動制御部3を介してアクチュエータ8に印加する電圧を制御することにより対物レンズ7を一定の移動速度でフォーカス方向に移動させたまま、スピンドルモータ4に印加する電圧を変化させることにより未知ディスク100xの回転数を対物レンズ7の位置に応じたCD回転数に切り換える。さらに制御部2は、CD用レーザダイオード6cからCD用光ビームLcを出射することにより、未知ディスク100xに対してCD用光ビームLcを照射する。
この結果フォトディテクタ9は、CD用光ビームLcが未知ディスク100xによって反射されてなるCD用戻り光ビームLcrを受光する。フォトディテクタ9は、CD用戻り光ビームLcrの受光量に応じた受光信号を生成し、信号処理部10に供給する。
信号処理部10のサーボ制御信号生成部11(図7)は、光ピックアップ5から供給される受光信号に基づいてプルイン信号SPI、再生信号SRFc及びフォーカスエラー信号SFEをそれぞれ生成し、FOK_PI検出部13、FOK_RF検出部12及びFZC検出部14にそれぞれ供給する。
ここで上述したように、特にCD用光ビームLcを用いたサーチ動作においては、フォーカスエラー信号SFEやプルイン信号SPIに、CD用光ビームLc以外の光ビームが未知ディスク100xの表面などによって反射されるフェイクパターンPfが多く出現する。
ところでFOK検出部15は、計測タイミング信号FOK_PI及びディスク判定信号FOK_RFの両方の信号レベルが「High」の場合にのみ、記録面確認信号FOKを「High」に立ち上げるようになされている。すなわち制御部2は、プルイン信号SPIが所定の計測閾値以上であり、かつディスク判定処理により未知ディスク100xからCD記録面が検出された場合にのみ、未知ディスク100xがCDメディア100cであると判別し、フォーカス制御を開始する。
ここでFOK_RF検出部12は、上述したように2値化再生データDRFの周波数に基づいてディスク判定処理を実行する。フェイクパターンPfは、不使用光Uの集光点が未知ディスク100xの表面などによって反射されて発生することから、記録マークRMに応じて再生信号SRFの信号レベルを増減させることがなく、周期的な2値化再生データDRFを生成させ得ない。このためFOK_RF検出部12は、フェイクパターンPfに対するディスク判定処理によりCD記録面を検出することはない。
これにより制御部2は、CDメディア100cにおけるCD記録面を正しく検出し、当該CD記録面に対してフォーカス制御を開始することが可能となる。
図8では、便宜上、最もフェイクパターンPfが多く出現するCDメディア100cに対し、対物レンズ7を最離隔位置からCD記録面を検出するまでの間CD用光ビームLcを照射した場合について示している。なお実際は光ビームを切り換えるため、図8とは各種信号の波形が若干相違することになる。
時点t11から時点t12の間において、プルイン信号SPI(図8(B))には、CD用光ビームLcが未知ディスク100xの表面によって反射されてなる表面反射パターンPSrが出現する。プルイン信号SPIは、表面反射パターンPSrにおいて信号レベルが計測閾値以上にならない。このとき制御部2は、記録面確認信号FOKも立ち上がらないため、サーチ動作をそのまま継続する。
時点t13から時点t14の間において、プルイン信号SPIには、DVDメディア100dに対応する集光点を有する不使用光Uが未知ディスク100xの表面によって反射されてなる表面フェイクパターンPSf1が出現する。このときFOK_PI検出部13は、プルイン信号SPIが計測閾値以上となるため、計測タイミング信号FOK_PIを「High」レベルに立ち上げる。
FOK_RF検出部12は、ディスク判定処理を実行するものの、再生信号SRFcに記録マークに応じた変動が表われないため、当該再生信号SRFcに基づいてCD記録面を検出することはない。そしてFOK_PI検出部13は、プルイン信号SPIが計測閾値未満となると、計測タイミング信号FOK_PIを「Low」レベルに立ち上げる。このとき制御部2は、記録面確認信号FOKが立ち上がらないため、サーチ動作をそのまま継続する。
時点t15から時点t16の間において、プルイン信号SPIには、BDメディア100bに対応する集光点を有する不使用光Uが未知ディスク100xの表面によって反射されてなる表面フェイクパターンPSf2が出現する。プルイン信号SPIは、表面フェイクパターンPSf2において信号レベルが計測閾値以上にならない。このとき制御部2は、記録面確認信号FOKも立ち上がらないため、サーチ動作をそのまま継続する。
時点t17から時点18の間において、プルイン信号SPIには、CD用光ビームLcがCD記録面によって反射されてなる記録面反射パターンPRrが出現する。このときこのときFOK_PI検出部13は、プルイン信号SPIが計測閾値以上となるため、計測タイミング信号FOK_PIを「High」レベルに立ち上げる。
FOK_RF検出部12は、ディスク判定処理を実行し、再生信号SRFcにCD記録面に形成された記録マークRMに応じた変動が表われると、CD記録面を検出する。このときFOK_RF検出部12は、ディスク判定信号FOK_RFを「High」レベルに立ち上げる。これに応じてFOK検出部15は、計測タイミング信号FOK_PIが「High」レベルであることを確認し、記録面確認信号FOKを「High」レベルに立ち上げ、フォーカス制御の開始を許可することになる。
そして制御部2は、FZC検出部14によってフォーカスエラー信号SFEからゼロクロス点ZCを検出すると、フォーカス制御を開始する。すなわち制御部2は、フォーカスループを「OFF」から「ON」に切り換え、フォーカスエラー信号SFEがゼロになるよう対物レンズ7を駆動することにより、フォーカス制御を開始する。
このように光ディスク装置1では、記録面確認信号FOKの立ち上がりに応じてフォーカス制御の開始を許可することにより、光ビームが信号記録面にほぼ合焦したときにのみ適切にフォーカス制御を開始し得るようになされている。
(2−3)ディスク判定処理
次に、2値化再生データDRFの周波数に基づいて実行されるディスク判定処理について説明する。
図10に、BDメディア100b(BD−ROM、1倍速)において、タイムインターバルアナライザを用いて2値化再生データDRFから実際に測定されたデータエッジ間隔及び各データエッジ間隔の出現確率を示している。なおこの測定では、約10万サンプルのデータエッジ間隔を測定した時の値を示している。
図中「Window」は各エッジ長(2T、3T、4T・・・)を、「Average」は各データ長と判別されたデータエッジ間隔の平均値、「σ」は当該各データ長と判別されたデータエッジ間隔のばらつき、「σ/T」は当該ばらつきをTで除算した値、「Number」は各データ長と判別されたデータエッジ間隔の個数、「出現確率」は全サンプルに対する各データ長と判別されたデータエッジ間隔の個数の割合、「Average*Number」は各データ長と判別されたデータエッジ間隔の出現した合計時間をそれぞれ示している。
また図11及び図12に、DVDメディア100d(DVD−ROM、2倍速)及びCDメディア100c(CD−ROM、4倍速)において実際に測定されたデータエッジ間隔及び各データエッジ間隔の出現確率を示している。測定条件及び図中の項目は図10と同様である。
図から、BDメディア100b、DVDメディア100d及びCDメディア100cのいずれにおいても短いエッジ長ほど出現確率が高く、長いエッジ長ほど出現確率が低いことがわかる。
従って、2値化再生データDRFにおける特定のエッジ長でなるデータエッジ間隔の出現数をカウントすることにより未知ディスク100xの種類を判別する場合、短いエッジ長でなるデータエッジ間隔を計測することにより、長いエッジ長でなるデータエッジ間隔をカウントするよりも短時間での判別が可能となる。
また複数のエッジ長でなるデータエッジ間隔の出現数をカウントすることにより、単数のエッジ長でなるデータエッジ間隔の出現数をカウントする場合と比して、判別の精度を向上させることができる。
そこで光ディスク装置1では、短い方から3つのエッジ長でなるデータエッジ間隔をカウントすることにより、光ディスク100の種類を判別するようになされている。
具体的に光ディスク装置1の制御部2は、図13に斜線で示すように、BDメディア100bについて2T、3T、4Tのエッジ長をカウント対象となる対象エッジ長とし、DVDメディア100d及びCDメディア100cについて3T、4T、5Tのエッジ長を対象エッジ長とする。
このとき光ディスク装置1は、対象エッジ長Nよりも10[%]大きい値及び対象エッジ長よりも10[%]小さい値を対象エッジ長Nであるか否かを判別するための対象閾値範囲として設定する。
すなわちBDメディア100bの場合、対象エッジ長Nの値(Na:2T=30[nsec]、Nb:3T=45[nsec]、Nc:4T=61[nsec])に10%を加減した値を対象エッジ長Nに対応する対象閾値範囲として設定する。なお対象閾値範囲は図12(B)において斜線で示す値(Na:27〜33[nsec](すなわち27[nsec]以上、33[nsec]以下、以下同様の意味で〜を用いる)Nb:41〜50[nsec]、Nc:55〜67[nsec])となる。
またDVDメディア100dの場合、対象エッジ長Nの値(Na:3T=57[nsec]、Nb:4T=76[nsec]、Nc:5T=96[nsec])に10%を加減した値を対象エッジ長に対応する対象閾値範囲として設定する。なお対象閾値範囲は図13(B)において斜線で示す値(Na:52〜63[nsec]、Nb:69〜84[nsec]、Nc:86〜105[nsec])となる。
さらにCDメディア100cの場合、対象エッジ長Nの値(Na:3T=174[nsec]、Nb:4T=231[nsec]、Nc:5T=289[nsec])に10%を加減した値を対象エッジ長に対応する対象閾値範囲として設定する。なお対象閾値範囲は図12(B)において斜線で示す値(Na:156〜191[nsec]、Nb:208〜255[nsec]、Nc:260〜318[nsec])となる。
そして光ディスク装置1は、ディスク判定処理の際、2値化再生データDRFにおいて対象閾値範囲内であると判別されたデータエッジ間隔(立ち上がりエッジから立ち下がりエッジまで及び立ち下がりエッジから立ち上がりエッジまでの間隔)の出現数を計測する。
具体的に図14に示すように、光ディスク装置1のFOK_RF検出部12は、再生信号SRFが供給されると、2値化部21によって再生信号SRFを2値化して2値化再生データDRFを生成し、これをウィンドウ生成部22に供給する。
ウィンドウ生成部22は、図15に示すように、2値化再生データDRFの立ち上がりエッジから立ち下がりエッジまでのデータエッジ間隔を測定する判別ウィンドウWD1と、2値化再生データDRFの立ち下がりエッジから立ち上がりエッジまでのデータエッジ間隔を測定する判別ウィンドウWD2を立ち上げる。
ウィンドウ生成部22は、判別ウィンドウWD1及びWD2によって2値化再生データDRFから対象エッジ長となるデータエッジ間隔を検出すると、カウント信号SCTを生成し、これを計測判定部23に供給する。
図15に示すように、ウィンドウ生成部22は、判別ウィンドウWD1によって2値化再生データDRFの立ち上がりエッジに応じて判別タイミング信号SNa1〜SNc1を生成する。
例えば判別ウィンドウWD1は、BD用光ビームLbによるサーチ動作を実行中のディスク判定処理において、時点t21における2値化再生データDRFの立ち上がりエッジに応じて判別タイミング信号SNa1〜SNc1を生成する。判別ウィンドウWD1は、2値化再生データDRFの立ち上がりエッジからの時間をカウントし、対象エッジ長Na〜Ncに対応する対象閾値範囲(27〜33[nsec]、41〜50[nsec]、55〜67[nsec])に亘って判別タイミング信号SNa1〜SNc1の信号レベルを「High」レベルに立ち上げる。
ウィンドウ生成部22は、時点t22において、2値化再生データDRFが立ち下がると、判別タイミング信号SNa1〜SNc1のいずれかの信号レベルが「High」であるか否かについて判別すると共に、判別ウィンドウWD2を立ち上げる。
ウィンドウ生成部22は、例えば判別タイミング信号SNcが「High」レベルであった場合、このデータエッジ間隔が対象エッジ長Ncであると判別し、カウント信号SCTを計測判定部23に供給し、次に立ち上がりエッジを検出するまで待機する。
一方ウィンドウ生成部22は、2値化再生データDRFが立ち下がったときに判別タイミング信号SNa1〜SNc1の信号レベルがいずれも「Low」レベルであった場合、次の立ち上がりエッジを検出するまで待機する。
判別ウィンドウWD2は、時点t23における2値化再生データDRFの立ち下がりに応じて時点t23から判別タイミング信号SNa2〜SNc2を生成し、判別ウィンドウWD1と同様にして立ち下がりエッジから立ち上がりエッジのデータエッジ間隔が対象エッジNa〜Ncであるか否かについて判別するようになされている。
なおウィンドウ生成部22は、DVD用光ビームLd又はCD用光ビームLcによるサーチ動作を実行中におけるディスク判定処理の際、BD用光ビームLbによるサーチ動作を実行中の場合と同様の処理を実行する。すなわちウィンドウ生成部22は、2値化再生データDRFの立ち上がりエッジに応じて立ち上がる判別タイミング信号SNa1〜SNc1を生成し、データエッジ間隔がDVDメディア100d又はCDメディア100cに対応する対象エッジNa〜Ncであるか否かについて判別するようになされている。
計測判定部23は、カウント信号SCTが供給されると、対象エッジ長Nでなるデータエッジ間隔が検出されたと認識し、対象エッジ長Na〜Ncごとに検出されたデータエッジ間隔の数を計測する。
そして計測判定部23は、対象エッジ長Na〜Ncでなるデータエッジ間隔の数が、いずれも出現閾値(例えば10)に到達すると、未知ディスク100xから判別の対象となる判別対象ディスクの信号記録面が検出されたと判別するようになされている。
このように光ディスク装置1は、2値化再生データSRFから判別対象ディスクに対応する対象エッジ長Nでなるデータエッジ間隔が出現閾値以上計測されたときに未知ディスク100xから判別対象ディスクに対応する信号記録面を検出したと認識し、当該検出された信号記録面から未知ディスク100xの種類を判別するようにした。
これにより光ディスク装置1は、光ディスク100に対応する対象エッジ長を検出することにより、光ディスク100ごとにしか存在し得ないマーク長さでなる記録マークRMが形成されていることを確認することができるため、光ディスク100の種類を確実に判別することができる。
また光ディスク装置1は、判別対象ディスクの信号記録面からしか光ディスク100に対応する対象エッジ長を検出することができないため、光ビームの焦点が当該対象判別ディスクの信号記録面近傍に存在することを確認することができる。
これにより光ディスク装置1は、未知ディスク100xから判別対象ディスクの信号記録面が検出されたことを表すディスク判定信号FOK_RFをフォーカス制御の開始許可を表す信号として用いることが可能となる。この結果光ディスク装置1は、ディスク判定信号FOK_RFが「High」レベルのときにフォーカス制御を開始することにより、信号記録面に対して確実にフォーカス制御を開始し得るようになされている。
(2−4)処理手順
(2−4−1)判別フォーカス制御開始処理
次に、フォーカス制御開始プログラム及びメディア種類判別プログラムに従って実行される判別フォーカス制御開始処理の処理手順について、図16に示すフローチャーチを用いて説明する。
光ディスク装置1の制御部2は、未知ディスク100xが装填されると、判別フォーカス制御開始処理手順RT1(図16)を開始し、ステップSP1へ移る。
ステップSP1において制御部2は、未知ディスク100の半径方向における対物レンズ7の位置に応じたBD回転数で未知ディスク100xを回転させると共に、対物レンズ7をフォーカス方向に移動させながらBD用光ビームLbを未知ディスク100xに対して照射することにより、判別対象ディスクをBDメディア100bとしてサーチ動作を開始する。また制御部2は、信号処理部10によりBD用戻り光ビームLbrに基づいてフォーカスエラー信号SRF及び再生信号SRFbの生成を開始すると、次のステップSP2へ移る。
ステップSP2において制御部2は、サブルーチンSRT11へ移り、信号処理部10によってディスク判定処理を実行すると、次のステップSP3へ移る。
ステップSP3において、制御部2は、ステップSP2におけるディスク判定処理の結果に基づいて、未知ディスク100xから判別対象ディスクに対応するBD記録面を検出したか否かについて判別する。
ここで肯定結果が得られた場合、このことはBD用光ビームLbの焦点がBDメディア100bにおけるBD記録面の近傍に位置していることを表しており、このとき制御部2は、ステップSP4へ移る。
ステップSP4において、制御部2は、BD用光ビームLbの焦点がBDメディア100bにおけるBD記録面に合焦したことを検出し、フォーカス制御を開始すると、終了ステップに移ってフォーカス制御開始処理手順RT1を終了する。
これに対してステップSP3において否定結果が得られた場合、制御部2は、ステップSP6へ移り、対物レンズ7がDVD切換位置まで移動したか否かについて判別する。
ここで否定結果が得られた場合、このことはBD用光ビームLbが未だBDメディア100bにおけるBD記録面に到達しておらず、未知ディスク100xがBDメディア100bである可能性があることを表しており、このとき制御部2は、ステップSP2へ戻り、判別対象ディスクをBDメディア100bとしたまま処理を継続する。
これに対してステップSP6において肯定結果が得られた場合、このことはBD用光ビームLbの焦点がBDメディア100bにおいてBD記録面が存在するべき位置を経過しているにも拘わらずBDメディア100bのBD記録面を検出しておらず、未知ディスク100xがBDメディア100bではないことを表している。このとき制御部2は、ステップSP7へ移る。
ステップSP7において、制御部2は、未知ディスク100xの半径方向における対物レンズ7の位置に応じたDVD回転数で未知ディスク100xを回転させると共に、対物レンズ7をフォーカス方向に移動させながらDVD用光ビームLDLbを未知ディスク100xに対して照射することにより、判別対象ディスクをDVDメディア100dとしてサーチ動作を開始する。また制御部2は、信号処理部10によりDVD用戻り光ビームLdrに基づいてフォーカスエラー信号SRF及び再生信号SRFdの生成を開始すると、次のステップSP8へ移る。
ステップSP8において、制御部2は、サブルーチンSRT11へ移り、信号処理部10によってディスク判定処理を実行すると、次のステップSP9へ移る。
ステップSP9において、制御部2は、ステップSP8におけるディスク判定処理に基づいて、未知ディスク100xが判別対象ディスクに対応するDVD記録面を検出したか否かについて判別する。
ここで肯定結果が得られた場合、このことはDVD用光ビームLdの焦点がDVDメディア100dにおけるDVD記録面の近傍に位置していることを表しており、このとき制御部2は、ステップSP10へ移る。
ステップSP10において、制御部2は、DVD用光ビームLdの焦点がDVDメディア100dにおけるDVD記録面に合焦したことを検出し、フォーカス制御を開始すると、終了ステップに移ってフォーカス制御開始処理手順RT1を終了する。
これに対してステップSP9において否定結果が得られた場合、制御部2は、ステップSP11へ移り、対物レンズ7がDVD切換位置まで移動したか否かについて判別する。
ここで否定結果が得られた場合、このことはDVD用光ビームLdが未だDVDメディア100dにおけるDVD記録面に到達しておらず、未知ディスク100xがDVDメディア100dの可能性があることを表しており、このとき制御部2は、ステップSP8へ戻り、判別対象ディスクをDVDの判別メディア100dとしたまま処理を継続する。
これに対してステップSP11において肯定結果が得られた場合、このことは未知ディスク100xがDVDメディア100dではないことを表しており、このとき制御部2は、ステップSP12へ移る。
ステップSP12において、制御部2は、未知ディスク100xの半径方向における対物レンズ7の位置に応じたCD回転数で未知ディスク100xを回転させると共に、対物レンズ7をフォーカス方向に移動させながらDVD用光ビームLDLbを未知ディスク100xに対して照射することにより、判別対象ディスクをDVDメディア100dとしてサーチ動作を開始する。また制御部2は、信号処理部10によりBD用戻り光ビームLcrに基づいてフォーカスエラー信号SRF及び再生信号SRFcの生成を開始すると、次のステップSP13へ移る。
ステップSP13において、制御部2は、サブルーチンSRT11へ移り、信号処理部10によってディスク判定処理を実行すると、次のステップSP13へ移る。
ステップSP14において、制御部2は、ステップSP12におけるディスク判定処理の結果、未知ディスク100xが判別対象ディスクに対応するCD記録面を検出したか否かについて判別する。
ここで肯定結果が得られた場合、このことはCD用光ビームLcの焦点がCDメディア100cにおけるCD記録面の近傍に位置していることを表しており、このとき制御部2は、ステップSP15へ移る。
ステップSP15において、制御部2は、CD用光ビームLcの焦点がCDメディア100cにおけるCD記録面に合焦したことを検出し、フォーカス制御を開始すると、終了ステップに移ってフォーカス制御開始処理手順RT1を終了する。
これに対してステップSP14において否定結果が得られた場合、制御部2は、ステップSP16へ移り、対物レンズ7が停止位置まで移動したか否かについて判別する。
ここで否定結果が得られた場合、このことはCD用光ビームLcが未だCDメディア100cにおけるCD記録面に到達しておらず、未知ディスク100xがCDメディア100cの可能性があることを表しており、このとき制御部2は、ステップSP13へ戻り、判別対象ディスクをCDメディア100cとしたまま処理を継続する。
これに対してステップSP16において肯定結果が得られた場合、このことは未知ディスク100xがCDメディア100cではないことを表しており、このとき制御部2は、ステップSP17へ移る。
ステップSP17において、制御部2は、未知メディア100xがBDメディア100b、DVDメディア100d又はCDメディア100cのいずれでもなく、他の種類の光ディスク100であると判別し、終了ステップへ移って処理を終了する。
(2−4−2)対象エッジ長のカウントによるディスク判定処理
フォーカス制御開始処理手順RT1のステップSP2、ステップSP8及びステップSP13において、光ディスク装置1の信号処理部10は、ディスク判定処理として、対象エッジ長のカウントによるディスク判定処理手順を表すサブルーチンSRT11を実行する。
サブルーチンSRT11におけるステップSP21において、信号処理部10は、対象エッジ長Na〜Ncと判別されたデータエッジ間隔の個数を表すカウント値CTa〜CTcをそれぞれ「ゼロ」にセットする。また信号処理部10は、ディスク判定信号FOK_RFの信号レベルが「Low」レベルであることを確認し、次のステップSP22へ移る。
ステップSP22において、信号処理部10は、計測タイミング信号FOK_PIの信号レベルが「High」であるか否かについて判別する。
ここで肯定結果が得られた場合、このことはプルイン信号SPIが計測閾値以上であることにより、光ビームの焦点が信号記録面の近傍に存在する可能性があることを表しており、このとき信号処理部10は、次のステップSP24へ移る。
これに対してステップSP22において否定結果が得られた場合、このことは光ビームの焦点が信号記録面の近傍に存在する可能性がないことを表しており、このとき信号処理部10は、ステップSP22において計測タイミング信号FOK_PIの信号レベルが「High」に立ち上がるのを待ち受ける。
ステップSP24において、信号処理部10は、データエッジ間隔の計測を開始し、次のステップSP25へ移る。
ステップSP25において、信号処理部10は、計測中のデータエッジ間隔が対象エッジ長Naであるか否かについて判別し、肯定結果が得られた場合には、ステップSP26へ移り、カウント値CTaを「1」加算して次のステップSP31へ移る。
これに対してステップSP25において否定結果が得られた場合、信号処理部10は、次のステップSP27へ移り、計測中のデータエッジ間隔が対象エッジ長Nbであるか否かについて判別する。
ここで肯定結果が得られた場合、信号処理部10は、ステップSP28へ移り、カウント値CTbを「1」加算して次のステップSP31へ移る。これに対してステップSP27において否定結果が得られた場合、信号処理部10は、次のステップSP29へ移る。
ステップSP29において、信号処理部10は、計測中のデータエッジ間隔が対象エッジ長Ncであるか否かについて判別し、肯定結果が得られた場合、信号処理部10は、ステップSP30へ移り、カウント値CTcを「1」加算して次のステップSP31へ移る。
これに対してステップSP29において否定結果が得られた場合、このことはデータエッジ間隔が対象エッジ長でないことを表しており、このとき信号処理部10は、ステップSP37へ移る。
ステップSP31において、信号処理部10は、カウント値CTa、CTb及びCTcの全てが出現閾値以上であるか否かを判別する。ここで肯定結果が得られた場合、このことは未知ディスク100xから信号記録面を検出したことを表しており、このとき信号処理部10は、次のステップSP32へ移る。
ステップSP32において、信号処理部10は、ディスク判定信号FOK_RFを「Low」レベルから「High」レベルに立ち上げると、次のステップSP33へ移る。
ステップSP33において、信号処理部10は、計測タイミング信号FOK_PIが「High」レベルであるか否かについて判別する。ここで肯定結果が得られた場合、このことは十分な光量でなる戻り光ビームに基づいて検出されたため、信号記録面の検出結果が十分に信頼できることを表しており、このとき信号処理部10は、次のステップSP34へ移る。
ステップSP34において、信号処理部10は、ディスク判定信号FOK_RFを「High」レベルから「Low」レベルに立ち下げると、終了ステップへ移ってサブルーチンSRT11を終了する。
これに対してステップSP31において否定結果が得られた場合、このことはカウント値CTが小さいため対象記録面を検出するに至らないことを表しており、このとき信号処理部10は、次のステップSP37へ移る。
ステップSP37において、信号処理部10は、計測タイミング信号FOK_PIの信号レベルが「High」レベルであるか否かについて判別する。ここで肯定結果が得られた場合、このことは光ビームの焦点が未だ信号記録面近傍に存在することを表しており、このとき信号処理部10は、ステップSP24へ戻って処理を継続する。
これに対してステップSP37において否定結果が得られた場合、信号処理部10は、ステップSP39へ移ってサブルーチンSRT11を終了する。
(2−5)動作及び効果
以上の構成において、光ディスク装置1は、未知ディスク100xを回転させ、光源としてのレーザダイオード6bから出射され第1の光ディスクとしてのBDメディア100bに対応する第1の光ビームとしてのBD用光ビームLbを対物レンズ7によって集光し、種類が未知である未知ディスク100xに照射し、未知ディスク100xに対して対物レンズ7を離隔又は近接させるフォーカス方向に駆動することにより、サーチ動作を実行する。
また光ディスク装置1は、未知ディスク100xによってBD用光ビームLbが反射されてなる第1の戻り光ビームとしての戻り光ビームの和光量を表す第1の再生信号としての再生信号SRFbを生成する。そして光ディスク装置1は、再生信号SRFbから生成される2値化再生データDRFを用いることにより、当該再生信号SRFbに基づいて未知ディスク100xがBDメディア100bに対応する第1の信号記録面としてのBD記録面を検出する。
これにより光ディスク装置1は、BD記録面しか有し得ないマーク長さでなる記録マークRMの存在を2値化再生データDRFから確認することができるため、フェイクパターンPfの有無などに惑わされることなく、BD用記録ビームLbがBD記録面近傍に存在する時にBD記録面をBD記録面として検出することができる。
また光ディスク装置1は、未知ディスクからBD記録面を検出した場合に、当該未知ディスク100xがBDメディア100bであると判別するようにした。これにより光ディスク装置1は、未知メディア100xがBD記録面を有することが確実なときにのみ当該未知メディア100xをBDメディア100bと判別できるため、未知ディスク100xの種類を高い精度で判別することができる。
さらに光ディスク装置1は、フォーカス制御開始部としての制御部2によって、BD用光ビームLbの焦点がBD記録面に到達する前にBD記録面が検出された場合に、BD用光ビームLbの焦点がBD記録面に合焦したことを検出し、対物レンズ7のフォーカス方向への制御を開始するようにした。これにより光ディスク装置1は、再度のサーチ動作が不要なため、BDメディア100dから情報の再生及び記録を開始するまでの時間を大幅に短縮することができる。
さらに光ディスク装置1は、再生信号SRFbの信号レベルが基準レベルより低くなる「Low」レベルと当該基準レベルより高くなる「High」レベルとに切り替わる切替間隔に対応する2値化再生データDRFのデータエッジ間隔に基づいてBD記録面を検出する。このとき光ディスク装置1は、BD記録面に形成されているべき記録マークRMのマーク長さに応じた対象エッジ長でなるデータエッジ間隔が所定の出現閾値以上検出されたことを以て、BD記録面を検出するようにした。
これにより光ディスク装置1は、BD用光ビームLbの焦点がBD記録面近傍に存在する場合に当然に検出されるものとして設定された出現閾値以上の対象エッジ長でなるデータエッジ間隔を検出した場合にBD記録面を検出したと認識するため、BD記録面を高い精度で検出することができる。
また光ディスク装置1は、複数の切替間隔に対応する3つの対象エッジ長でなるデータエッジ間隔の全てが出現閾値以上検出されると、BD記録面を検出するようにした。これにより光ディスク装置1は、単数の対象エッジ長を設定する場合と比して、高い精度でBD記録面を検出することができる。
さらに光ディスク装置1は、データエッジ間隔のうち、出現頻度が高いデータエッジ間隔(2T、3T及び4T)を対象エッジ長として設定するようにした。これにより光ディスク装置1は、対象エッジ長でなるデータエッジ間隔を短時間で検出することができるため、BD記録面を検出するまでの時間を短縮することができる。
また光ディスク装置1は、第2の光ディスクであるDVDメディア100dに対応する第2の光ビームとしてのDVD用光ビームLdを集光して未知ディスク100dに照射する。光ディスク装置1は、未知ディスク100xによってDVD用光ビームLdが反射されてなる第2の戻り光ビームとしてのDVD用戻り光ビームLdrの和光量を表す第2の再生信号としての再生信号SRFdを生成する。
そして光ディスク装置1は、再生信号SRFdに基づいて、未知ディスク100xからDVDメディア100dに対応しBD記録面とは異なるサイズの記録マークRMが形成されてなる第2の信号記録面としてのDVD記録面を検出するようにした。これにより光ディスク装置1は、BD記録面に加えて、DVD記録面をも検出することができる。
さらに光ディスク装置1は、未知ディスク100xからDVD記録面を検出した場合に、当該未知ディスク100xがDVDメディア100dであると判別する。これにより光ディスク装置1は、未知ディスク100xがBDメディア100bであるかDVDメディア100dであるかを判別することができる。
光ディスク装置1はフォーカス方向のうち、未知ディスク100xに対して近接させる一方向へのみ対物レンズ7を移動させ、当該対物レンズ7の位置に応じて、すなわち当該対物レンズ7がDVD切換位置まで移動したことにより、BD用光ビームLb及びDVD用光ビームLdを切換えて未知ディスク100xに照射する。
ここで従来の光ディスク装置では、光ディスク100を回転させない(すなわち停止させた)状態で対物レンズを移動させながら光ビームを照射することにより、カバー層の厚さを検出し、当該カバー層の厚さに基づいて光ディスク100の種類を判別する。これにより従来の光ディスク装置では、面ブレなどによりカバー層の厚さを誤認識することを防止するようになされている。
すなわち従来の光ディスク装置では、BD用光ビームLb及びDVD用光ビームLdを用いたサーチ動作の際、未知ディスク100xの表面を検出する必要があるため、対物レンズ7を毎回最離隔位置に移動させなくてはならない。
これに対して光ディスク装置1では、BD記録面及びDVD記録面さえ検出できれば良く、未知ディスク100xの表面を検出する必要がないため、任意の位置からサーチ動作を開始することができる。またBD記録面及びDVD記録面は、その位置が互いに異なっている。
この結果光ディスク装置1では、DVD切換位置においてBD用光ビームLbとDVD用光ビームLdとを切換えることにより、対物レンズ7を無駄に駆動させることなく、BD用光ビームLb及びDVD用光ビームLdを用いたサーチ動作を短時間で終了させることができる。
また光ディスク装置1は、第3の光ディスクであるCDメディア100cに対応する第3の光ビームとしてのCD用光ビームLcを集光して未知ディスク100xに照射する。光ディスク装置1は、未知ディスク100xによってCD用光ビームLcが反射されてなるCD用戻り光ビームLcrの和光量を表す第3の再生信号としての再生信号SRFcを生成する。
そして光ディスク装置1は、再生信号SRFcに基づいて、未知ディスク100xからCDメディア100cに対応しBD記録面及びDVD記録面とは異なるサイズの記録マークRMが形成されてなるCD記録面を検出するようにした。これにより光ディスク装置1は、BD記録面及びDVD記録面に加えて、CD記録面をも検出することができる。
光ディスク装置1は、未知ディスク100xからCD記録面を検出した場合に、当該未知ディスク100xがCDメディア100cであると判別する。これにより光ディスク装置1は、未知ディスク100xがBDメディア100bであるかDVDメディア100dであるか、若しくはCDメディア100cであるかを判別することができる。
さらに光ディスク装置1では、未知ディスク100xに対してBD用光ビームLbを照射する際には、BDメディア100bに応じたBD回転数で未知ディスク100xを回転させる。光ディスク装置1は、未知ディスク100xに対してDVD用光ビームLdを照射する際には、DVDメディア100dに応じたDVD回転数で未知ディスク100xを回転させる。光ディスク装置1は、未知ディスク100xに対してCD用光ビームLcを照射する際には、CDメディア100cに応じたCD回転数で未知ディスク100xを回転させる。
すなわち光ディスク装置1は、各光ディスク100に応じた回転数で未知ディスク100xを回転させるため、信号記録面が検出された後に回転数を変更することなく、迅速にサーボ制御を開始することができる。
また光ディスク装置1は、BD用光ビームLbの焦点に集光することによりBD用光ビームLbをBDメディア100bのBD記録面に照射し、また当該DVD用光ビームの焦点に集光することによりDVD用光ビームLdをDVDメディア100dのDVD記録面に照射する対物レンズ7を有している。
光ディスク装置1は、対物レンズ7が波長選択多焦点レンズとして作用することにより、不使用光Uの集光点が未知ディスク100xの表面などで反射してしまい、プルイン信号SPIやフォーカスエラー信号SFEにフェイクパターンPfが発生することになる。しかしながら光ディスク装置1は、各光ディスク100にしか存在し得ない記録マークRMを検出することにより信号記録面を検出するため、フェイクパターンPfに惑わされることなく確実に信号記録面を検出することができる。
以上の構成によれば、光ディスク装置1は、再生信号SRFに基づいて信号記録面を検出するようにした。これにより光ディスク装置1は、各光ディスク100から各光ディスク100にしか存在し得ない記録マークRMを検出することにより信号記録面を検出することができ、かくして信号記録面を正しく検出し得る光ディスク装置及び信号記録面検出方法を実現できる。
(2−6)他の実施の形態
なお上述した第1の実施の形態においては、対物レンズ7をフォーカス方向のうち、未知ディスク100xに対して近接させる方向へ移動させるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限られない。本発明では、対物レンズ7を未知ディスク100xに対して離隔する方向へ移動させても良い。
また上述した第1の実施の形態においては、対物レンズ7を未知ディスク100xに対して近接させる近接方向(一方向)へ移動させながら、当該対物レンズ7がDVD切換位置及びCD切換位置まで移動するとDVD用光ビームLd及びCD用光ビームLcに切り換えるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限られない。本発明では、例えばDVD切換位置及びCDで対物レンズ7を一旦停止させ、未知ディスク100xの回転数がDVD回転数及びCD回転数に安定してから対物レンズ7を再び移動させるようにしても良い。
これにより本発明では、未知ディスク100xの回転数がDVD回転数及びCD回転数に安定しているときにDVD記録面及びCD記録面を検出してフォーカス制御を開始することができる。
また本発明では、BD用光ビームLbを未知ディスク100xに照射しながら、対物レンズ7を所定の照射停止位置まで移動させた後、当該対物レンズ7を未知ディスク100xに対して離隔させる離隔方向(他方向)へ向けてDVD切換位置まで一旦移動させ、当該切換位置からDVD用光ビームLdを未知ディスク100xに照射しながら対物レンズ7を再び近接方向へ移動させるようにしても良い。またCD用光ビームLcについても同様である。
これにより本発明では、DVD記録面及びCD記録面に対するサーチ範囲を拡げることができるため、面ブレなどによりDVD記録面及びCD記録面の位置が変動した場合であっても、確実にDVD記録面及びCD記録面を検出することができる。
さらに上述した第1の実施の形態においては、2値化信号DRFの立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジに応じて切替期間に対応するデータエッジ間隔を検出するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限られない。本発明では、例えば再生信号SRFのゼロクロス点を検出することにより切替期間を検出するようにしても良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、対象エッジ長に対して誤差範囲として±10%増減した値を対象閾値範囲として設定するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限られない。誤差範囲は、任意の値に設定することができる。
さらに上述した第1の実施の形態においては、ディスク判定信号FOK_RF及び計測タイミング信号の双方が「High」レベルである場合に信号記録面が正式に検出された(すなわち確認された)と認識し、記録面確認信号FOKを「High」レベルに立ち上げるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限られない。ディスク判定信号FOK_RFのみが「High」レベルである場合に信号記録面が正式に検出されたと認識し、記録面確認信号FOKを「High」レベルに立ち上げるようにしても良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、3つの対象エッジに対応するデータエッジ間隔を出現閾値以上検出した場合に信号記録面を検出するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限られない。対象エッジは1、2若しくは4以上設定しても良い。もちろん全てのデータエッジ間隔を対象エッジとしても良い。この場合、対象エッジの出現確率に応じて出現閾値を対象エッジごとに異なる値に設定するようにしても良い。これにより出現確率の低い対象エッジに合わせて信号記録面の検出が遅延することを防止することができる。
さらに上述した第1の実施の形態においては、出現確率の高いデータエッジ間隔を対象エッジとするようにした場合について述べたが、本発明はこれに限られない。本発明では、任意のデータエッジ間隔を対象エッジとすることができる。
さらに上述した第1の実施の形態においては、再生信号SRFにおける表面フェイクパターンPSfにおいて記録マークRMに応じた変動が生じない場合について述べたが、反射フェイクパターンPRfにおいてもスポット径の差異により、記録マークRMに応じた変動が正しく表われ得ないため、同様の効果を得ることができる。
さらに上述した第1の実施の形態においては、光ディスク装置1がBDメディア100b、DVDメディア100d及びCDメディア100cの3つの光ディスク100に対応するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限られない。本発明は、1種類又は2種類若しくは4種類以上の光ディスク100に対応する光ディスク装置に適用することができる。
さらに上述した第1の実施の形態においては、対物レンズ7がBD用光ビームLb、DVD用光ビームLd及びCD用光ビームLcの3波長に対応した波長選択多焦点レンズでなるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限られない。例えば対物レンズとして、BD用光ビームLbを集光する第1の対物レンズと、DVD光ビームLdを集光する第2の対物レンズとの2つの対物レンズを有するようにしても良い。この場合であっても、上述した実施の形態と同様の効果を得ることができる。
さらに上述した第1の実施の形態においては、対物レンズ7が3つの開口数を有するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、2又は4以上の開口数を有するようにしても良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、BDメディア100b、DVDメディア100d、CDメディア100c順に光ディスクの種類を判別するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、種々の順序で光ディスクの種類を判別するようにしても良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、未知ディスク100xが装填された時に判別フォーカス制御開始処理を実行するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限られない。本発明は、例えば未知ディスク100xが装填された状態で電源が「ON」に切り換えられた場合など、任意のタイミングで実行することができる。
さらに上述した第1の実施の形態においては、対物レンズ7がCD用の波長780[nm]、DVD用の波長660[nm]及びBD用の波長405[nm]の3波長に対応するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、種々の波長に対応するようにしても良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、レーザダイオード6が単波長のレーザ光を出射するCD用レーザダイオード6c、DVD用レーザダイオード6d、及びBD用レーザダイオード6bにより構成されるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限られない。本発明では、レーザダイオード6として、例えばCD/DVD用の2種類の波長の光ビームを出射し得る2波長対応レーザダイオードとBD用レーザダイオード6bとを組み合わせるようにし、或いはCD/DVD/BD用の3種類の波長の光ビームを出射し得る3波長対応レーザダイオードを用いるようにしても良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、光ディスク装置1が光ディスク100に情報を記録し、また当該光ディスク100から情報を再生する、すなわち記録及び再生の両方を行うようにした場合について述べたが、本発明はこれに限られない。本発明では、例えば光ディスク装置1が情報の再生のみを行う光ディスク再生装置や情報の記録のみを行う光ディスク記録装置である場合に本発明を適用するようにしても良い。さらには、光ディスク装置1がCDメディア100c及びDVDメディア100dについては記録及び再生の両方を行い、BDメディア100bについては再生のみを行う場合に本発明を適用するようにしても良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、対物レンズとしての対物レンズ7と、駆動部としてのアクチュエータ8と、回転部としてのスピンドルモータ4と、信号処理部及び検出部としての信号処理部10とによって光ディスク装置としての光ディスク装置1を構成する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる対物レンズと、駆動部と、回転部と、信号処理部と、検出部とによって本発明の光ディスク装置を構成するようにしても良い。
(3)第2の実施の形態
図18及び図19は第2の実施の形態を示すもので、図4〜図17に示す第1の実施の形態に対応する部分を同一符号で示している。この第2の実施の形態では、ディスク判定処理の処理内容が第1の実施の形態と異なっている。なお第2の実施の形態における光ディスク装置41は、第1の実施の形態における光ディスク装置1とほぼ同一構成のため、説明を省略する。また光ディスク装置41は、第1の実施の形態と同様、判別フォーカス制御開始処理手順RT1(図16)に従って判別フォーカス制御開始処理を実行する。
(3−1)平均周波数計測によるディスク判定処理
ここでBDメディア100b、DVDメディア100d及びCDメディア100cなどのディスクフォーマットでは、情報に対してスクランブル処理や変調処理などを施してから当該情報を記録するため、情報の内容に拘らずエッジ長の出現確率は常にほぼ同率となる。言い換えると、出現するデータエッジ間隔の平均値(以下、これをエッジ間隔平均値と呼ぶ)は、光ディスク100の種類ごとにほぼ一定となる。
図10に示したように、エッジ長の出現時間の合計値を表す「Avarage*Number」のSUM(合計)値(5138751.35[nsec])を、サンプル数を表す「Number」のSUM値(99816)で除算した値がエッジ間隔平均値となる。この結果、BDメディア100bを1倍速で回転させた場合、当該エッジ間隔平均値は、51.48[nsec]となる。
また図11に示したように、「Avarage*Number」のSUM(合計)値が9063761[nsec]であり、「Number」のSUM値が99990である。このことからDVDメディア100dを2倍速で回転させた場合、エッジ間隔平均値は、90.65[nsec]となる。
さらに図12に示したように、「Avarage*Number」のSUM(合計)値が28172905[nsec]であり、「Number」のSUM値が99759である。このことからCDメディア100cを4倍速で回転させた場合、エッジ間隔平均値は、282.41[nsec]となる。
これらの値から、エッジ間隔平均値は、光ディスク100の種類ごとに相違することがわかる。すなわちディスク判定処理において、データエッジ間隔の平均値に基づいて未知ディスク100xからBD記録面、DVD記録面又はCD記録面を検出することが可能である。
ここで、エッジ間隔平均値が小さければ、単位時間当たりに検出されるデータエッジ(すなわち2値化再生データSRFにおける立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジ)の数(以下、これを検出エッジ数と呼ぶ)が大きくなる。一方エッジ間隔平均値が大きければ、検出エッジ数は小さくなる。
そこで光ディスク装置41は、単位時間当たりの検出エッジ数を計測することにより、光ディスク100の種類を判別するようになされている。
具体的に光ディスク装置41の信号処理部10は、図18に示すように、FOK_RF検出部12と対応するFOK_RF検出部42によってディスク判定処理を実行する。FOK_RF検出部42は、プルイン信号SPIが所定の計測閾値以上となることにより計測タイミング信号FOK_PIが「Low」レベルから「High」レベルに立ち上がると、エッジカウンタ43によってデータエッジのカウントを開始する。
エッジカウンタ43は、単位時間として例えば50[μsec]に亘って検出エッジ数をカウントすると、検出エッジ数を表すエッジ数信号SEDを判定部44に供給する。
ここで例えば50[μsec]に亘って検出エッジ数を計測する場合、BDメディア100b(1倍速)から50μ[sec]をエッジ間隔平均値(51.48[nsec])で除算した約971個が理論上検出されるべき基準エッジ数となる。
この971に対し、±10%の誤差を加減すると、870〜1070(870以上、1070以下)となるため、この値をBDメディア100bであるか否かを判別するための検出閾値範囲とする。
同様にして、50[μsec]に亘って検出エッジ数を計測する場合、DVDメディア100d(2倍速)の基準エッジ数は552、CDメディア100c(4倍速)の基準エッジ数は177となる。このため±10%の誤差を加減した497〜607、及び159〜195をそれぞれDVDメディア100d及びCDメディア100cの検出閾値範囲とする。
判定部44は、エッジ数信号SEDの表す検出エッジ数が判別対象メディアに対応する検出閾値範囲内であると判別すると、ディスク判定信号FOK_RFを「Low」レベルから「High」レベルに立ち上げる。
FOK検出部15(図7)は、ディスク判定信号FOK_RFが「High」レベルとなると、計測タイミング信号FOK_PIが「High」であるか否かを判別し、「High」である場合には、記録面確認信号FOKを「Low」レベルから「High」レベルに立ち上げるようになされている。
このように光ディスク装置41は、各光ディスク100においてエッジ間隔平均値がほぼ一定であることを利用して、単位時間当たりの検出エッジ数が判別対象ディスクの検出閾値範囲内にある場合には、未知ディスク100xから当該判別対象ディスクに対応する信号記録面を検出したと判別するようにした。
これにより光ディスク装置41は、所定の単位時間において未知ディスク100xが当該判別対象ディスクであるか否かを確実に判別できるため、フォーカス制御を開始するまでの準備時間を十分に確保し得るようになされている。
(3−2)処理手順
次に、メディア種類判別プログラムに従って実行されるディスク判定処理手順について、図19に示すフローチャートを用いて説明する。
フォーカス制御開始処理手順RT1のステップSP2、ステップSP8及びステップSP13において、光ディスク装置41の信号処理部10は、ディスク判定処理として、平均周波数測定によるディスク判定処理手順を表すサブルーチンSRT12を実行する。
サブルーチンSRT12におけるステップSP81において、信号処理部10は、ディスク判定信号FOK_RFの信号レベルが「Low」レベルであることを確認し、次のステップSP82へ移る。
ステップSP82において、信号処理部10は、計測タイミング信号FOK_PIの信号レベルが「High」であるか否かについて判別する。
ここで肯定結果が得られた場合、プルイン信号SPIが計測閾値以上であることにより、光ビームの焦点が信号記録面101の近傍に存在するため、信号処理部10は、次のステップSP83へ移る。
これに対してステップSP82において否定結果が得られた場合、光ビームの焦点が信号記録面101の近傍に存在しないため、信号処理部10は、ステップSP82において計測タイミング信号FOK_PIの信号レベルが「High」に立ち上がるのを待ち受ける。
ステップSP83において、信号処理部10は、検出エッジ数の計測を開始すると、次のステップSP84へ移る。
ステップSP84において、信号処理部10は、単位時間が経過したか否かについて判別し、肯定結果が得られた場合には次のステップSP85へ移る一方、否定結果が得られた場合にはステップSP84おいて検出エッジ数の計測を継続する。
ステップSP85において、信号処理部10は、検出エッジ数の計測を終了すると、次のステップSP86へ移る。
ステップSP86において、信号処理部10は、検出エッジ数が検出閾値範囲内であるか否かについて判別する。ここで否定結果が得られた場合、このことは光ビームの焦点が対象判別ディスクの信号記録面の近傍にないことを表しており、このとき信号処理部10は、ステップSP91へ移り、サブルーチンSRT12を終了する。
これに対してステップSP86において肯定結果が得られた場合、このことは光ビームの焦点が対象判別ディスクの信号記録面の近傍に存在することを表しており、このとき信号処理部10は、次のステップSP87へ移る。
ステップSP87において、信号処理部10は、ディスク判定信号FOK_RFを「Low」レベルから「High」レベルに立ち上げると、次のステップSP88へ移る。
ステップSP88において、信号処理部10は、計測タイミング信号FOK_PIの信号レベルが「High」であるか否かについて判別し、否定結果が得られた場合、十分な光量でないため検出エッジ数の計測が誤っている可能性があると認識し、ステップSP91へ移ってサブルーチンSRT12を終了する。
これに対してステップSP88において肯定結果が得られた場合、信号処理部10は、ステップSP89へ移り、記録面確認信号FOKを「Low」レベルから「High」レベルに立ち上げ、次のステップSP90へ移る。
ステップSP90において、信号処理部10は、計測カウント信号FOK_PIが「High」レベルであるか否かを判別し、肯定結果が得られた場合、ステップSP90において否定結果が得られるのを待ち受ける。
これに対してステップSP90において否定結果が得られた場合、信号処理部10は、次のステップSP91へ移り、サブルーチンSRT12を終了する。
(3−3)動作及び効果
以上の構成において、光ディスク装置41は、2値化再生信号DRFにおける単位時間当たりの立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジの個数である検出エッジ数を計測することにより、再生信号SRFの平均周波数に基づいてBD記録面を検出するようにした。
これにより光ディスク装置41は、記録マークRMの長さに応じて変動する再生信号SRFbの周波数に基づいてBD記録面を検出できるため、フェイクパターンPfなどに惑わされることなく、BD記録面上に形成された記録マークRMのマーク長さに基づいて確実にBD記録面をBD記録面として検出することができる。
また光ディスク装置41は、所定の単位時間において検出され、再生信号SRFbの信号レベルが「Low」レベルと「High」レベルとに切り替わる切替タイミングに対応する2値化再生データDRFの検出エッジ数が所定の検出閾値範囲内である場合に、BD記録面を検出するようにした。
これにより光ディスク装置41は、計測タイミング信号FOK_PIが立ち上がってから単位時間で確実に計測を終了し、BD用光ビームLbの焦点がBD記録面近傍に存在するか否かを判別できるため、BD記録面を検出したか否かを所定の時間内に終了させることができる。このため光ディスク装置41は、BD用光ビームLbの焦点がBD記録面に到達する前に確実にBD記録面を検出したか否かの判別をすることができ、BD記録面に対して迅速にフォーカス制御を開始することができる。
以上の構成によれば、光ディスク装置41は、再生信号SRFの周波数に基づいて信号記録面を検出することにより、各光ディスク100における記録マークRMの平均長さに基づいて信号記録面を検出することができ、かくして信号記録面を正しく検出することができる。
(3−4)他の実施の形態
なお上述した第2の実施の形態においては、検出されるべき基準エッジ数の±10%の誤差範囲を増減した範囲を検出閾値範囲とするようにした場合について述べたが、本発明はこれに限られない。基準エッジ数に対して増減する誤差範囲は任意の数値に設定することが可能である。
さらに上述した第2の実施の形態においては、切替タイミングとして検出エッジを計測するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限られない。本発明では、例えば再生信号SRFからゼロクロス点を計測するようにしても良い。この場合であっても、上述した実施の形態と同様の効果を得ることができる。
(4)第3の実施の形態
図20〜図22は第3の実施の形態を示すもので、図1〜17に示す第1の実施の形態に対応する部分を同一符号で示している。なお第3の実施の形態における光ディスク装置51は、第1の実施の形態における光ディスク装置1とほぼ同一構成のため、説明を省略する。
(4−1)メディア種類判別
この光ディスク装置51では、上述したBDメディア100b、DVDメディア100d及びCDメディア100cに加えて、BD記録面、DVD記録面及びCD記録面の3つの信号記録面を有するハイブリッドメディア100hにも対応している。
このハイブリッドメディア100hでは、図示しないが、光ビームの入射面(表面)から約0.1[mm]の位置にBD記録面を、入射面から約0.6[mm]の位置にDVD記録面を、入射面から約1.2[mm]の位置にCD記録面を有している。
光ディスク装置51では、一の回転数で未知ディスク100xを回転させると共に、対物レンズ7を最離隔位置から停止位置まで一定の移動速度で移動させ、未知ディスク100xから単数又は複数の信号記録面が検出されると、検出結果に基づいて未知ディスク100xの種類を判別するようになされている。
具体的に光ディスク装置51の制御部2は、例えば未知ディスク100xが装填されると、まずBDメディア100cを判別対象ディスクとし、サーチ動作を実行する。実際上制御部2は、BD回転数で未知ディスク100xを回転させると共に、BD用光ビームLbを照射しながら対物レンズ7を最離隔位置から未知ディスク100xに近接させる方向に所定の移動速度で移動させる。このとき制御部2は、第1の実施の形態と同様に、プルイン信号SPIが計測閾値以上となると、信号処理部10によってディスク判定処理を実行する。
制御部2は、ディスク判定処理の結果、BD記録面が確認されたことを表す記録面確認信号FOKが供給されるか、又は対物レンズ7をDVD切換位置まで移動させると、DVDメディアを判別対象ディスクとし、サーチ動作を実行する。実際上制御部2は、対物レンズ7を移動速度で移動させながら未知ディスク100xをBD回転数のまま回転させると共に、照射する光ビームをDVD用光ビームLdに切換える。このとき制御部2は、BDメディア100cを判別対象ディスクとしたときと同様にしてディスク判定処理を実行する。
制御部2は、ディスク判定処理の結果、DVD記録面が確認されたことを表す記録面確認信号FOKが「High」レベルに立ち上がるか、又は対物レンズ7をCD切換位置まで移動させると、CDメディアを判別対象ディスクとし、サーチ動作を実行する。実際上制御部2は、対物レンズ7を移動速度で移動させながら未知ディスク100xをBD回転数のまま回転させると共に、照射する光ビームをCD用光ビームLdに切換える。このとき制御部2は、BDメディア100cを判別対象ディスクとしたときと同様にしてディスク判定処理を実行する。
さらに制御部2は、ディスク判定処理の結果、CD記録面が確認されたことを表す記録面確認信号FOKが「High」レベルに立ち上がるか、又は対物レンズ7を停止位置まで移動させると、サーチ動作を終了する。
そして制御部2は、サーチ動作中に供給された記録面確認信号FOKに基づいて未知ディスク100xの種類を判別するようになされている。
このとき制御部2は、BDメディア100bを判別対象ディスクとしたときにのみ記録面確認信号FOKが「High」レベルに立ち上がった場合には、BD記録面のみが検出されたため、未知ディスク100xがBDメディア100bであると判別する。
一方制御部2は、DVDメディア100dを判別対象ディスクとしたときにのみ記録面確認信号FOKが「High」レベルに立ち上がった場合には、DVD記録面が検出されたため、未知ディスク100xがDVDメディア100dであると判別する。
他方制御部2は、CDメディア100cを判別対象ディスクとしたときにのみ記録面確認信号FOKが「High」レベルに立ち上がった場合には、CD記録面のみが検出されたため、未知ディスク100xがCDメディア100cであると判別する。
これに対して制御部2は、BDメディア100b、DVDメディア100d、CDメディア100cを判別対象ディスクとしたときにそれぞれ記録面確認信号FOKが「High」レベルに立ち上がった場合には、BD記録面、DVD記録面及びCD記録面が検出されたため、未知ディスク100xがハイブリッドメディア100hであると判別する。
このように光ディスク装置51は、光ビームを切換えながら未知ディスク100xの入射面から当該入射面と反対側となる反対面まで移動させ、未知ディスク100x内にBD記録面、DVD記録面及びCD記録面が存在するか否かを判別するようにした。
これにより光ディスク装置51は、フェイクパターンPfの有無に拘わらず各信号記録面を確実に検出することができるため、複数種類の信号記録面を有するような光ディスク100や単数種類に信号記録面を有する光ディスク100のいずれであっても、その種類を的確に判別し得るようになされている。
(4−2)フォーカス制御の開始
光ディスク装置51は、例えば情報の再生又は記録を実行する旨の要求がなされたとき、所望の信号記録面に対してフォーカス制御を開始する。例えばハイブリッドディスク100hにおいて、DVD記録面に対してフォーカス制御を開始する場合を例にとり、説明する。
光ディスク装置51の制御部2は、情報の記録又は再生の対象となるDVD記録面を判別対象記録面とし、DVD記録面に応じたサーチ動作を実行する。実際上制御部2は、DVD回転数で未知ディスク100xを回転させると共に、DVD用光ビームLdを照射しながら対物レンズ7を所定の位置からハイブリッドメディア100hに近接させる方向に所定の移動速度で移動させる。
このとき制御部2は、メディア種類判別処理のときと同様に、プルイン信号SPIが計測閾値以上となると、信号処理部10によってディスク判定処理を実行する。
そして制御部2は、ディスク判定処理によりDVD記録面が確認されたことを表す記録面確認信号FOKが供給されると、DVD用光ビームLdがDVD記録面に対して合焦した位置でフォーカス制御を開始するようになされている。
このように光ディスク装置51は、ディスク判定処理によって光ビームの焦点の近傍に位置する信号記録面が判別対象記録面であることを判別した後、当該信号記録面に対してフォーカス制御を開始するようにした。
これにより光ディスク装置51は、光ディスク100が複数種類の信号記録面を有するハイブリッドメディア100hであった場合であっても、信号記録面の種類を確認してからフォーカス制御を開始することができる。このため光ディスク装置51は、異なる種類の信号記録面に対してフォーカス制御を開始してしまうことを確実に防止し得るようになされている。
(4−3)ディスク判定処理
ここで1倍速のBD回転数は、DVD回転数(1倍速)の約1.4倍に相当する。同様に1倍速のBD回転数は、CD回転数(1倍速)の約2.05倍に相当する。このときの2値化再生データDRFにおける各エッジ長のエッジデータ間隔を図18(A)に示している。またエッジデータ間隔の値が他の種類の光ディスク100と重複しないものを、斜線で示している。
光ディスク装置51では、他の種類の光ディスク100と重複しないエッジデータ間隔を有するエッジ長を対象エッジ長とすることにより、信号記録面を誤認識することを一段と確実に防止し得るようになされている。
具体的に光ディスク装置51は、BDメディア100bについて2T、3T及び4Tを対象エッジ長Nとし、DVDメディア100dについて5T、6T及び7Tを対象エッジ長Nとし、CDメディア100cについて4T、5T及び6Tを対象エッジ長Nとする。
すなわちBDメディア100bの場合、対象エッジ長Nの値(Na:2T=30[nsec]、Nb:3T=45[nsec]、Nc:4T=61[nsec])に10%を加減した値を対象エッジ長Nに対応する対象閾値範囲として設定する。なお対象閾値範囲は図18(B)において斜線で示す値(Na:27及び33[nsec]、Nb:41及び50[nsec]、Nc:55及び67[nsec])となる。
またDVDメディア100dの場合、対象エッジ長Nの値(Na:5T=137[nsec]、Nb:6T=164[nsec]、Nc:7T=191[nsec])に10%を加減した値を対象エッジ長に対応する対象閾値範囲として設定する。なお対象閾値範囲は図18(B)において斜線で示す値(Na:123及び150[nsec]、Nb:147及び180[nsec]、Nc:172及び210[nsec])となる。
さらにCDメディア100cの場合、対象エッジ長Nの値(Na:4T=451[nsec]、Nb:5T=564[nsec]、Nc:6T=677[nsec])に10%を加減した値を対象エッジ長に対応する対象閾値範囲として設定する。なお対象閾値範囲は図18(B)において斜線で示す値(Na:406及び497[nsec]、Nb:508及び621[nsec]、Nc:610及び745[nsec])となる。
そして光ディスク装置51は、第1の実施の形態と同様にしてディスク判別処理を実行することにより、BD記録面、DVD記録面及びCD記録面を確実に検出し得るようになされている。
(4−4)処理手順
(4−4−1)メディア種類判別処理手順
次に、メディア種類判別プログラムに従って実行されるメディア種類判別処理手順RT2について、図19に示すフローチャートを用いて説明する。
光ディスク装置51の制御部2は、例えば未知ディスク100xが装填されると、メディア種類判別処理手順RT2を開始し、ステップSP51へ移る。
ステップSP51において、制御部2は、未知ディスク100xをBD回転数で回転させると、次のステップSP52へ移り、BD用光ビームLbを照射しながら対物レンズ7を移動させることにより、サーチ動作を開始し、次のステップSP53へ移る。
ステップSP53において、制御部2は、サブルーチンSRT11(図17)へ移り、他の種類の光ディスク100と重複しないエッジ長から選択された対象エッジ長を用いてディスク判定処理を実行すると、次のステップSP54へ移る。
ステップSP54において、制御部2は、ディスク判定処理において記録面確認信号FOKが「High」レベルに立ち上がったか否かについて判別し、肯定結果が得られた場合、制御部2は、次のステップSP54へ移る。
ステップSP55において、制御部2は、未知ディスク100xからBD記録面が検出されたと認識し、次のステップSP57へ移る。
これに対してステップSP54において否定結果が得られた場合、このことは未知ディスク100xからBD記録面が検出されなかったことを表しており、このとき制御部2は、次のステップSP56へ移る。
ステップSP56において、制御部2は、対物レンズ7がDVD切換位置まで移動したか否かについて判別し、否定結果が得られた場合には、まだBD記録面に到達していない可能性があるため、ステップSP53へ戻り、ディスク判定処理を継続する。
これに対してステップSP56において否定結果が得られた場合、制御部2は、もはやBD記録面が存在する可能性がないため、次のステップSP57へ移る。
ステップSP57において、制御部2は、BD回転数を維持し対物レンズ7を移動させたままの状態で、未知ディスク100xに照射する光ビームをDVD用光ビームLdに切換えると、次のステップSP58へ移る。
ステップSP58において、制御部2は、サブルーチンSRT11(図17)へ移り、DVD記録面に対応する対象閾値範囲を用いてディスク判定処理を実行すると、次のステップSP59へ移る。
ステップSP59において、制御部2は、ディスク判定処理において記録面確認信号FOKが「High」レベルに立ち上がったか否かについて判別し、肯定結果が得られた場合、制御部2は、次のステップSP60へ移る。
ステップSP60において、制御部2は、未知ディスク100xからBD記録面が検出されたと認識し、次のステップSP62へ移る。
これに対してステップSP59において否定結果が得られた場合、このことは未知ディスク100xからDVD記録面が検出されなかったことを表しており、このとき制御部2は、次のステップSP61へ移る。
ステップSP61において、制御部2は、対物レンズ7がCD切換位置まで移動したか否かについて判別し、否定結果が得られた場合には、まだDVD記録面に到達していない可能性があるため、ステップSP58へ戻り、ディスク判定処理を継続する。
これに対してステップSP61において否定結果が得られた場合、制御部2は、もはやDVD記録面が存在する可能性がないため、次のステップSP62へ移る。
ステップSP62において、制御部2は、BD回転数を維持し対物レンズ7を移動させたままの状態で、未知ディスク100xに照射する光ビームをCD用光ビームLcに切換えると、次のステップSP63へ移る。
ステップSP63において、制御部2は、サブルーチンSRT11(図17)へ移り、CD記録面に対応する対象閾値範囲を用いてディスク判定処理を実行すると、次のステップSP64へ移る。
ステップSP64において、制御部2は、ディスク判定処理において記録面確認信号FOKが「High」レベルに立ち上がったか否かについて判別し、肯定結果が得られた場合、制御部2は、次のステップSP65へ移る。
ステップSP65において、制御部2は、未知ディスク100xからCD記録面が検出されたと認識し、次のステップSP67へ移る。
これに対してステップSP64において否定結果が得られた場合、このことは未知ディスク100xからCD記録面が検出されなかったことを表しており、このとき制御部2は、次のステップSP66へ移る。
ステップSP66において、制御部2は、対物レンズ7が停止位置まで移動したか否かについて判別し、否定結果が得られた場合には、まだCD記録面に到達していない可能性があるため、ステップSP63へ戻り、ディスク判定処理を継続する。
これに対してステップSP66において否定結果が得られた場合、制御部2は、もはやCD記録面が存在する可能性がないため、次のステップSP67へ移る。
ステップSP67において、制御部2は、検出された信号記録面の種類から、光ディスクの種類を判別すると、終了ステップへ移って処理を終了する。
(4−4−2)フォーカス制御開始処理
次に、フォーカス制御開始プログラムに従って実行されるフォーカス制御開始処理手順RT3について、図22に示すフローチャートを用いて説明する。
光ディスク装置51の制御部2は、例えば情報の記録又は再生を実行する旨の要求信号が供給されると、フォーカス制御処理手順RT3を開始し、ステップSP71へ移る。
ステップSP71において、制御部2は、サブルーチンSRT11(図17)へ移り、再生又は記録の対象となる判別対象記録面に応じた対象閾値範囲を用いてディスク判定処理を実行し、次のステップSP73へ移る。
ステップSP73において、制御部2は、ディスク判定処理において記録面確認信号FOKが立ち上がったか否かについて判別する。ここで肯定結果が得られた場合、このことは光ビームの焦点が判別対象記録面の近傍に存在することを表しており、このとき制御部2は、次のステップSP74へ移る。
これに対して否定結果が得られた場合、このことは光ビームの焦点が判別対象記録面の近傍に存在しないことを表しており、このとき制御部2は、ステップSP72へ移り、ディスク判定処理を継続する。
ステップSP74において、制御部2は、判別対象記録面に対して光ビームの焦点がほぼ合焦したことを検出すると、フォーカス制御を開始し、終了ステップへ移ってフォーカス制御開始処理手順RT3を終了する。
(4−5)動作及び効果
以上の構成において、光ディスク装置51は、対物レンズ7を最離隔位置から停止位置まで近接方向に向けて一気に移動させることにより、未知ディスク100xが有する全ての信号記録層を検出する。
このとき光ディスク装置51は、未知ディスク100xからBD記録面のみを検出した場合に、当該未知ディスク100xがBDメディア100bであると判別する。光ディスク51は、未知ディスク100xからDVD記録面のみを検出した場合に、当該未知ディスク100xがDVDメディア100dであると判別する。
光ディスク装置51は、未知ディスク100xがCD記録面のみを検出した場合に、当該未知ディスク100xがCDメディア100cであると判別する。そして光ディスク装置51未知ディスク100xからBD記録面、DVD記録面及びCD記録面を検出した場合に、当該未知ディスク100がBD記録面、DVD記録面及びCD記録面を有する第4の光ディスクとしてのハイブリッドメディア100hであると判別するようにした。
ここでハイブリッドメディア100hでは、信号記録面の数が増大することにより、サーチ動作の際にフォーカスエラー信号SFEやプルイン信号SPIにさらに多数のフェイクパターンPfが発生し、その波形がCDメディア100cよりもさらに複雑となる。この結果、未知ディスク100hがハイブリットメディア100hである場合には、その判別が困難となる。この場合従来の光ディスク装置では所望の信号記録面を検出することも困難となるため、当該所望の信号記録層に対してフォーカス制御を開始することも困難となってしまう。
また一般的にハイブリッドメディア100hでは、歪みや厚みムラなどが大きく信号記録面の位置の変動が大きくなる。このためサーチ動作の際にフェイクパターンPfが出現しない光ピックアップ(すなわち対物レンズとして単焦点レンズを複数用いた光ピックアップ)を使用した従来の光ディスク装置であっても、ハイブリッドメディア100hを回転させたときに同一の信号記録面を2回検出してしまう場合が生じてしまう。
このことから従来の光ディスク装置では、時間管理のみ(すなわちフォーカスエラー信号SFEやプルイン信号SPIの波形の検出)でハイブリッドメディア100hの信号記録面を正しく検出することが困難となり、誤って異なる信号記録層に対してフォーカス制御を開始してしまうような場合があった。
光ディスク装置51では、再生信号SRFに基づいて信号記録面上に形成された記録マークRMのサイズを確認することにより信号記録面を正しく検出できるため、各信号記録層を正しく検出することができる。この結果光ディスク装置51では、未知ディスク100xがハイブリッドメディア100hであることを正しく判別できる。
また光ディスク装置51では、再生信号SRFに基づいて所望の信号記録面であることを確認してから当該ハイブリッドメディア100hにおける所望の信号記録層に対してフォーカス制御を開始するため、適切にフォーカス制御を開始することができる。
さらに光ディスク装置51は、未知ディスク100xの種類を判別する際、未知ディスク100hに対してBD用光ビームLb、DVD用光ビームLd及びCD用光ビームLcを照射する際、所定の回転数としてのBD回転数で未知ディスク100xを回転させる。
これにより光ディスク装置51は、未知ディスク100xに照射する光ビームに応じて回転数を変更する必要がないため、回転数を変更する場合と比較して当該回転数が安定する時間を無駄にすることなく、速やかにサーチ動作を実行することができる。
以上の構成によれば、光ディスク装置51は、対物レンズ7を最離隔位置から停止位置まで近接方向に向けて一気に移動させ、検出された信号記録面に基づいて未知ディスク100xの種類を判別するようにした。これにより光ディスク装置51は、判別の困難なハイブリッドメディア100hをも正しく検出することができる。
(4−6)他の実施の形態
なお上述した第3の実施の形態においては、サブルーチンSRT11に従ってディスク判定処理を実行するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限られない。例えばサブルーチンSRT12に従ってディスク判定処理を実行しても良い。この場合、光ディスク装置は、メディア種類判別処理手順RT2のステップSP53、ステップSP58及びステップSP63、並びにフォーカス制御開始処理手順RT3のステップSP72においてサブルーチンSRT12のステップSP81へ移る。また光ディスク装置は、サブルーチンSRT12を終了すると、メディア種類判別処理手順RT2のステップSP54、ステップSP59及びステップSP64並びにフォーカス制御開始処理手順RT3のステップSP73へそれぞれ戻るようにする。
このメディア種類判別処理手順RT2では、BD回転数で未知ディスク100xを回転させるため、設定する検出閾値範囲が第2の実施の形態とは相違する。すなわちBD回転数(1倍速)は、DVD回転数の1.4倍速、CD回転数の2.05倍速に相当する。このため、BDメディア100b、DVDメディア100d及びCDメディア100cのエッジ間隔平均値はそれぞれ51.48[nsec]、129.5[nsec]及び551.0[nsec]となる。
ここで上述した第2の実施の形態と同様、BDメディア100bで1シンクフレーム分の情報が再生できる50[μsec]に亘って検出エッジ数を計測する場合、BDメディア100b、DVDメディア100d及びCDメディア100cから検出される基準エッジ数はそれぞれ971、386及び91となり、CDメディア100cの基準エッジ数が小さくなる。因みにDVDメディア100d(1.4倍速)から1シンクフレームの情報を再生するには、40.652[μsec]が必要であり、CDメディア100c(2.05倍速)から1シンクフレームの情報を再生するには、66.368[μsec]必要となる。
このため光ディスク装置では、単位時間を50[μsec]として検出エッジ数を計測する場合、CDメディア100cのみ誤差が大きくなることを想定し、基準エッジ数から例えば±20%増減した値を検出閾値範囲とする。なおBDメディア100b及びDVDメディア100dについては第2の実施の形態と同様、基準エッジ数から例えば±10%増減した値を検出閾値範囲とする。この場合、検出閾値範囲はBDメディア100bで874〜1097、DVDメディア100dで347〜425、CDメディア100cで73〜109となる。また単位時間をCDメディア100c(2.05倍速)で1シンクフレームの情報を再生できる時間とすることももちろん可能である。
また上述した第3の実施の形態においては、光ディスク装置51は、メディア種類判別処理手順RT2とフォーカス制御開始処理手順RT3の双方を実行するようにした場合について述べたが、本発明はこれにかぎられない。本発明では、メディア種類判別処理手順RT2とフォーカス制御開始処理手順RT3のうち少なくとも一方を実行すれば良い。
さらに上述した第3の実施の形態においては、対物レンズ7を一定の移動速度で移動させた場合について述べたが、本発明はこれに限られない。本発明では、対物レンズ7を任意の移動速度で移動させることができ、例えば計測タイミング信号FOK_PIが「High」の間だけゆっくり移動させても良い。これにより信号記録面近傍で対物レンズ7をゆっくり移動させることができるため、ディスク判定処理を時間をかけて正確に実行することができる。
さらに上述した第3の実施の形態においては、BDメディア100b、DVDメディア100d、CDメディア10c及びハイブリッドメディア100hから信号記録面を検出するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限られない。本発明は、各種信号記録面のうち、少なくとも1以上の信号記録面を有する光ディスク100の全てについて、信号記録面を検出することが可能である。
さらに上述した第3の実施の形態においては、未知メディア100xをBD回転数で回転させるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限られない。本発明は例えばDVD回転数やCD回転数で未知ディスク100xを回転させても良く、一定の回転数であれば、回転数について制限はない。
さらに上述した第1、第2及び第3実施の形態における構成を適宜組み合わせることが可能である。
1……光ディスク装置、2……制御部、3……駆動制御部、4……スピンドルモータ、5……光ピックアップ、6、6b、6c、6d……レーザダイオード、7……対物レンズ、8……アクチュエータ、9……フォトディテクタ、10……信号処理部、11……サーボ制御信号生成部、12……FOK_RF検出部、13……FOK_PI検出部、14……FZC検出部、15……FOK検出部、FOK_RF……ディスク判定信号、FOK_PI……計測タイミング信号、FOK……記録面確認信号、100……光ディスク、100c……CDメディア、100d……DVDメディア、100b……BDメディア、100h……ハイブリッドディスク、100x……未知ディスク、SRF……再生信号、DRF……2値化再生データ、SFE……フォーカスエラー信号、SPI……プルイン信号、Pf……フェイクパターン。