以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施形態における光ディスク装置の構成を示すブロック図である。
記録媒体としての光ディスク10は、表面にスパイラル状のトラックが形成されており、スピンドルモータ21によって回転駆動される。本実施形態における光ディスク装置では、光ディスク10として例えばCD(Compact Disk)とDVD(Digital Versatile Disk)、及びHD−DVD(High Definition DVD)の3種類が使用可能であるものとして説明する。
光ディスク10に対する情報の記録、再生は、光ピックアップヘッド(PUH)11から出力されるレーザ光によって行われる。
光ピックアップヘッド11には、レーザダイオード11a、コリメータレンズ、ビームスプリッタ、対物レンズ、シリンカドリカルレンズ、フォトディテクタ11b、レンズポジションセンサ等が含まれている。
レーザダイオード11aは、レーザ制御回路16による駆動制御によりレーザ光を出力する。なお、本実施形態における光ディスク装置では、複数の異なる波長のレーザを出力する複数のレーザダイオード11aが設けられており、装着された光ディスク10(CD、DVD、HD−DVD)の何れかに応じてレーザ光が出力される。すなわち、CD用の赤外レーザ(波長:780nm)、DVD用の赤レーザ(波長:650nm)、HD−DVD用の青レーザ(波長:405nm)が設けられている。
レーザダイオード11aから出力されたレーザ光は、コリメータレンズ、ビームスプリッタ、光ピックアップヘッド11を介して光ディスク10上に照射される。光ディスク10からの反射光は、光ピックアップヘッド11、ビームスプリッタ、及びシリンカドリカルレンズを介して、フォトディテクタ11bに導かれる。フォトディテクタ11bは、例えば4分割の光検出セルから成り、これら光検出セルの検知信号をRFアンプ13に出力する。フォトディテクタ11bには、レーザダイオード11aの各レーザ(CD用の赤外レーザ、DVD用の赤レーザ、HD−DVD用の青レーザ)のそれぞれに対応するフォトダイオードが含まれている。
RFアンプ13は、フォトディテクタ11bからの信号を処理して出力するもので、レーザ光のビームスポット中心とトラック中心との誤差を示すトラッキングエラー信号、ジャストフォーカスからの誤差を示すフォーカスエラー信号、例えばフォトディテクタ11bの4分割の光検出セルから出力される信号を加算した全加算信号(RF信号)などを生成して出力する。全加算信号は、光ディスク10に対するレーザ光の反射レベルを表す。RFアンプ13には、CD用回路13a、DVD用回路13b、及びHD/Blue用回路13cが設けられている。各回路は、光ディスク10に対して照射されるレーザ光の波長に応じて、すなわちCD用の赤外レーザ、DVD用の赤レーザ、あるいはHD−DVD用(またはBlue−rayディスク用)の青レーザが点灯された場合に、それぞれに対応してフォトディテクタ11bから出力される信号に対する処理を実行する。
RFアンプ13により生成された全加算信号(RF信号)は、エラー信号検出/保持回路14に供給され保持される。本実施形態におけるディスク判別処理では、エラー信号検出/保持回路14により保持される全加算信号(RF信号)のレベル、すなわち光ディスク10に対してレーザ光を照射した際のディスク表面及び記録層における反射レベルをもとにディスク判別処理が実行される。
一方、RFアンプ13から出力されるトラッキングエラー信号及びフォーカスエラー信号はサーボ制御回路18に供給される。
サーボ制御回路18は、フォーカスエラー信号に応じて、ドライバ20によりアクチュエータ23(フォーカシングアクチュエータ)を駆動させて、光ピックアップヘッド11から出力されるレーザ光が光ディスク10の記録膜上にジャストフォーカスとなるようにフォーカスサーボを実行する。
また、サーボ制御回路18は、RFアンプ13から出力されるトラッキングエラー信号に応じて、ドライバ20によりスレッドモータ22を駆動させて、光ピックアップヘッド11から出力されるレーザ光が光ディスク10上に形成されたトラック上を常にトレースするようにトラッキングサーボを実行する。
ドライバ20は、サーボ制御回路18の制御のもとで、光ディスク10を回転させるスピンドルモータ21、光ピックアップヘッド11を半径方向(トラッキング方向)に移動させるスレッドモータ22、及び光ピックアップヘッド11の対物レンズをフォーカシング方向(レンズの光軸方向)およびトッラキング方向(光ディスクの半径方向)に移動させるアクチュエータ23を駆動する。
CPU25は、メモリ26(RAM)を作業エリアとして使用して装置全体を総合的に制御するもので、メモリ26(ROM)に記憶されたプログラムに基づいて、インタフェース回路27を介してホストコンピュータから提供される動作コマンドに従って各部を制御する。本実施形態の光ディスク装置は、装着されたディスクの種類(CD−ROM、DVD、HD−DVD)を判別するためのディスク判別処理を実行する。本実施形態におけるディスク判別処理では、ドライバ20によりアクチュエータ23を駆動させてフォーカスアップ(対物レンズの光ディスク10方向への移動)する間に、特定の波長のレーザ光を用いて光ディスク10の表面と記録層における反射レベルを検出し、この検出されたディスクの表面と記録層における反射レベルの比をもとにディスクの種類を判別する。
次に、本実施形態における光ディスク装置のディスク判別処理のための動作について説明する。
本実施形態の光ディスク装置では、装着された光ディスク10の種類の判別を、光ディスク10に形成される記録層の反射率に波長依存性があり、光ディスク10の表面については波長依存性が小さいことを利用する。すなわち、光ディスク10の基板については、例えばポリカーボネイトが用いられており、光ピックアップヘッド11から照射されるレーザ光が何れのディスク(CD,DVD,HD−DVD)用であるかに関係なくほぼ一定の反射レベルを示す。これに対して光ディスク10の記録層については、ディスクに対応する波長のレーザ光が照射された場合に高い反射レベルを表す。例えば、HD−DVD用の青レーザが用いられた場合、装着された光ディスク10がHD−DVDであれば高い反射レベルを表すのに対して、DVDでは反射レベルが低くなる。本実施形態では、光ディスク10の記録層における反射レベルの絶対値に対して予め決められた基準値と比較するのではなく、表面の反射レベルに対する比(反射レベル比)をもとめ、この反射レベル比について基準値と比較することでディスクの種類を判別する。
図2には、アクチュエータ23を駆動して光ピックアップヘッド11をフォーカスアップした際に検出される信号波形の一例を示している。
図2(b)は、アクチュエータ23に対する駆動量(対物レンズの移動量)を示すもので、対物レンズが光軸方向に一定に移動するようにアクチュエータ23が駆動されることを示している。図2(a)は、フォトディテクタ11bから出力されるS字信号、図2(c)はRFアンプ13により生成される全加算信号(RF信号)を示している。全加算信号(RF信号)が光ディスク10からの反射レベルを表す。
図2に示すように、レーザダイオード11aの特定のレーザが点灯された状態でアクチュエータ23が駆動され、フォーカスアップが開始されると、t=Aのタイミングにおいて所定値以上の反射レベルが表れ、その後、t=Bのタイミングで所定値以上の反射レベルが表れる。すなわち、最初に表れる反射レベルが光ディスク10の表面によるもので、後に表れる反射レベルが記録層によるものである。
次に、本実施形態における光ディスク装置のディスク判別の動作について、図5に示すフローチャートを参照しながら説明する。
ここでは、赤レーザが使用されるDVDと、青レーザが用いられるHD−DVDを判別する赤青判定処理について説明する。
まず、レーザ制御回路16によりレーザダイオード11a(赤レーザ)を点灯させて(ステップA1)、赤レーザ光を用いて、装着された光ディスク10の表面と記録層との信号反射レベル比の測定を行う(ステップA2)。
すなわち、図2に示すように、ドライバ20によりアクチュエータ23(フォーカシングアクチュエータ)を駆動して対物レンズをフォーカスアップし、光ディスク10からの反射光をフォトディテクタ11b(赤レーザ用)により検出する。RFアンプ13のDVD用回路13bは、フォトディテクタ11bからの信号をもとに全加算信号(RF信号)を生成してエラー信号検出/保持回路14に出力する。
図3(a)には、赤レーザを用いた場合の、光ディスク10の表面の反射レベル(Va_Red)と記録層の反射レベル(Vb_Red)とを示している。
CPU25は、赤レーザを用いたフォーカスアップにより検出される表面の反射レベル(Va_Red)と記録層における反射レベル(Vb_Red)との比(Rr)(第1の反射レベル比)、すなわちRr=(Vb_Red)/(Va_Red)を算出して、表面の反射レベルに対する記録層の反射レベル比を求める。
次に、レーザ制御回路16によりレーザダイオード11a(青レーザ)を点灯させて(ステップA3)、赤レーザ光を用いて、装着された光ディスク20の表面と記録層との信号反射レベル比の測定を行う(ステップA4)。
すなわち、図2に示すように、ドライバ20によりアクチュエータ23(フォーカシングアクチュエータ)を駆動して対物レンズをフォーカスアップし、光ディスク10からの反射光をフォトディテクタ11b(青レーザ用)により検出する。RFアンプ13のHD/Blue用回路13cは、フォトディテクタ11bからの信号をもとに全加算信号(RF信号)を生成してエラー信号検出/保持回路14に出力する。
図3(b)には、青レーザを用いた場合の、光ディスク10の表面の反射レベル(Va_Blue)と記録層の反射レベル(Vb_Blue)とを示している。
CPU25は、青レーザを用いたフォーカスアップにより検出される表面の反射レベル(Va_Blue)と記録層における反射レベル(Vb_Blue)との比(Rb)(第2の反射レベル比)、すなわちRb=(Vb_Blue)/(Va_Blue)を算出して、表面の反射レベルに対する記録層の反射レベルの比を求める。
次に、CPU25は、赤レーザ点灯時の比率測定により得られた反射レベル比Rrと、青レーザ点灯時の比率測定により得られた反射レベル比Rbとが、ディスク判別を安定して実行できる程度に十分に離れているか、すなわち予め決められた所定以上の差があるかを判別する。ここでは、反射レベル比Rrと反射レベル比Rbとの比(Rr/Rb)とが、(100−α)%<Rr/Rb<(100+α)%の関係にあるか否かにより判別する(ステップA5)。なお、αは、ディスク判別を安定して実行できる程度に反射レベル比Rr,Rbの値が離れているかを判別するために予め設定された値である。
図4は、(100−α)%<Rr/Rb<(100+α)%の判定について説明するための図である。図4に示すように、(100−α)%≧Rr/RbであればHD−DVDを安定して判別することができ、またRr/Rb≧(100+α)%であればDVDを安定して判別することができることを表している。
ここで、比(Rr/Rb)の値が(100−α)%と(100+α)%の範囲に含まれる場合(ステップA5、Yes)、反射レベル比Rrと反射レベル比Rbとの差が所定以上でないと判別することができる。この場合、光ディスク10の表面における反射レベルが赤レーザと青レーザを用いた何れの場合でもほぼ同じであるので、本来、反射依存性に応じて異なる反射レベルを示す記録層における反射レベルが近い値を示していることになる。この状況は、例えば光ディスク10にレーザ光が照射されている光スポットの位置にゴミや汚れが付着しているために、正しい反射レベルが得られていないといった他の要因により正しく反射レベルが検出されていない可能性がある。
そこで、CPU25は、ドライバ20によりスピンドルモータ21あるいはスレッドモータ22を駆動させ、現在のレーザ光が照射されている光スポットの位置を変更する(ステップA7)。そして、前述した処理をリトライする。すなわち、再度、赤レーザと青レーザのそれぞれを用いたフォーカスアップを実行して、光ディスク10の表面と記録層における反射レベル比Rr,Rbを算出し、(100−α)%<Rr/Rb<(100+α)%の関係について判定する(ステップA1〜A5)。
なお、光スポットの位置を変更する方法としては、スピンドルモータ21をわずかに回転させて周方向に移動させる、あるいはスレッドモータ22を駆動して光ピックアップヘッド11を半径方向に移動にさせる(チルトさせても良い)ことにより行う。
なお、ステップA1〜A5の処理を繰り返し実行するリトライについては、例えば3回実行するものとする(ただし、3回に限定されるものではない)。3回リトライを実行しても反射レベル比Rr,Rbの値に差があらわれない場合には(ステップA6、Yes)、装着された光ディスク10に対する記録/再生では赤レーザを点灯させる、すなわち装着された光ディスク10がDVDであると見なして処理を終了する(ステップA9)。
一方、反射レベル比Rrと反射レベル比Rbとの比(Rr/Rb)とが、(100−α)%<Rr/Rb<(100+α)%の関係にないと判別できた場合(ステップA5、No)、Rr/Rb≧(100+α)の関係にあるかを判別する。この関係が成立する場合、すなわち赤レーザを用いた場合の反射レベル比Rrの方が青レーザを用いた時の反射レベル比Rb以上であるので、装着された光ディスク10に対する記録/再生では赤レーザを点灯させる、すなわち装着された光ディスク10がDVDであると判別して処理を終了する(ステップA9)。
また、Rr/Rb≧(100+α)の関係が成立しない場合には、装着された光ディスク10に対する記録/再生では青レーザを点灯させる、すなわち装着された光ディスク10がHD−DVDであると判別して処理を終了する(ステップA10)。
こうして、赤レーザと青レーザを用いてフォーカスアップを実行し、それぞれにおいて検出された光ディスク10の表面における反射レベルと、波長依存性のある記録層における反射レベルとの比Rr,Rbをもとにして、光ディスク10の種類を判別することができる。ここでは、光ディスク10から検出された反射レベルの絶対値と基準値とを比較するのではなく、実際のフォーカスアップによって検出された表面における反射レベルと記録層における反射レベルとの比をもとにした判別を行っているため、装置個々のゲイン差や光パワーのばらつき等の違いや動作環境の違いによる変化にも影響されずに安定してディスク判別ができる。
なお、図5に示す処理では、赤レーザと青レーザをそれぞれ用いてフォーカスアップすることにより検出される反射レベル比Rr,Rbの比(Rr/Rb)をもとに、DVDとHD−DVD(赤レーザ、青レーザ)とを区別しているが、それぞれの反射レベル比Rr,Rbに対して予め設定された基準値との比較により判別することも可能である。
この場合、赤レーザ点灯による比率測定で得られた反射レベル比Rrに対する第1の基準値と、青レーザ点灯による比率測定で得られた反射レベル比Rbに対する第2の基準値を設定し、何れか一方において基準値よりも反射レベル比が大きい場合に、該当する基準値より大きいと判別された反射レベル比に対応するディスクであると判別することができる。例えば、反射レベル比Rrが第1の基準値よりも大きく、反射レベル比Rbが第2の基準値よりも大きくない場合には、反射レベル比Rrに対応する赤レーザに波長依存性を有するDVDであると判別することができる。
ここでは、光ディスク10から検出された反射レベルの絶対値と基準値とを比較するのではなく、実際のフォーカスアップによって検出された表面における反射レベル比と基準値との比較であるため、装置個々の違いや動作環境の違いに影響されずに安定してディスク判別ができる。
次に、本実施形態における光ディスク装置のCDを含めたディスク判別の動作について、図6及び図7に示すフローチャートを参照しながら説明する。
まず、レーザ制御回路16によりレーザダイオード11aの赤レーザを点灯させ、ドライバ20によりアクチュエータ23を駆動してフォーカスアップを開始させる(ステップB1,B2)。
フォーカスアップが開始されてからタイマXmsが経過するまで、光ディスク10の表面における反射レベル(レベル1)が検出されるかを監視する(ステップB7)。なお、タイマXmsは、図2に示すように、フォーカスアップが開始されてから、光ディスク10の表面における反射レベル(レベル1)が検出されるまでの十分な時間が設定されている。
ここで、光ディスク10の表面における反射レベル(レベル1)がタイマXmsまでに検出されなかった場合(ステップB3、No)、光ディスク10の表面が検出されなかったと判別し(ステップB4)、ドライバ20によりスピンドルモータ21あるいはスレッドモータ22を駆動して、現在のレーザ光が照射されている光スポットの位置を変更する(ステップB6)。そして、再度、フォーカスアップを開始して、前述と同様にして、光ディスク10の表面における反射レベルの検出を行う(ステップB2,B3,B7)。
なお、再度、タイマXmsまでに反射レベル(レベル1)が検出されなかった場合には、スポット光の位置を変更してリトライを既に実行済みであるので(ステップB5、Yes)、光ディスク10が光ディスク装置に装着されていないと判別する(No Disc)。
一方、タイマXmsまでに反射レベル(レベル1)が検出された場合(ステップB7、Yes)、フォーカスアップが開始されてからのタイマ値[A]を保存しておく(ステップB8)。
さらに、フォーカスアップを継続してタイマYms(Yms>Xms)が経過するまで(ステップB9)、光ディスク10の記録層における反射レベル(レベル2)が検出されるかを監視する(ステップB12)。なお、タイマYmsは、図2に示すように、フォーカスアップが開始されてから、各光ディスク10(CD,DVD、HD−DVD)の記録層における反射レベルが検出されることが期待できる十分な時間が設定されている。
ここで、光ディスク10の記録層における反射レベル(レベル2)がタイマYmsまでに検出された場合(ステップB127、Yes)、フォーカスアップが開始されてからのタイマ値[B]を保存しておく(ステップB13)。
そして、タイマ値[B]とタイマ値[A]との差(B−A)、すなわち光ディスク10の表面から記録層が検出されるまでの時間が、DVDまたはHD−DVDと、CDの何れであるか判別するために設定された基準タイマ値より短いか否かを判別する(ステップB14)。
すなわち、DVDまたはHD−DVDと、CDとは表面から記録層までの距離が異なっているため、フォーカスアップを一定に行った場合、DVDまたはHD−DVDの方が表面の反射レベル(レベル1)が検出されてから記録層の反射レベル(レベル2)が検出されるまでの時間が短い。従って、この構造の違いを利用して判別している。
ここで、基準タイマ値よりタイマ値[B]とタイマ値[A]との差(B−A)が小さくない場合(ステップB14、No)、レーザ制御回路16によりCD用の赤外レーザを点灯させて(ステップB10)、フォーカスアップを実行し、CD用のレーザに依存性のある記録層からの反射レベルが検出されるかを監視する。ここで、記録層における反射レベルが検出された場合(ステップB11、Yes)、装着された光ディスク10がCDであると判別することができる。なお、ここで記録層からの反射レベルが検出されなかった場合、HD−DVDを想定したディスク判別を実行する(後述する)。
一方、光ディスク10の記録層における反射レベル(レベル2)がタイマYmsまでに検出されなかった場合(ステップB9、No)、現在、DVD用の赤レーザを用いたフォーカスアップにより記録層が検出されなかったことから、装着された光ディスク10がCDあるいはHD−DVDであると想定する。
この場合、まずレーザ制御回路16によりCD用の赤外レーザを点灯させて(ステップB10)、フォーカスアップを実行して、CD用のレーザに依存性のある記録層からの反射レベルが検出されるかを監視する。
ここで、記録層における反射レベルが検出された場合(ステップB11、Yes)、装着された光ディスク10がCDであると判別することができる。
また、記録層からの反射レベルが検出されなかった場合(ステップB11、No)、装着された光ディスク10がCDではないと判別できるので、HD−DVDを想定したディスク判別を実行する(後述する)。
なお、基準タイマ値よりタイマ値[B]とタイマ値[A]との差(B−A)が小さい場合(ステップB14、Yes)、光ディスク装置に装着された光ディスク10がDVDまたはHD−DVDであると想定される。
この場合、図5のフローチャートにおいて説明したDVDとHD−DVDとを判別する赤青判定処理を実行する(ステップB15)。この結果、青レーザ点灯(HD−DVD)と判別された場合、HD−DVDを想定したディスク判別を実行する。
すなわち、HD−DVDを想定した場合のディスク判別では、青レーザを用いて実際に光スポット制御を実行することにより、装着された光ディスク10がHD−DVDであることを最終的に確認する(ステップB23〜B27)。
まず、レーザの点灯を一旦停止した後(ステップB23)、レーザ制御回路16によりHD−DVD用の青レーザを点灯させ、青レーザを用いてフォーカスオンさせる(ステップB24)。すなわち、青レーザを光ディスク10に照射し、その反射光に応じてフォトディテクタ11bから出力される信号をもとにRFアンプ13(HD/Blue用回路13c)に生成されるフォーカスエラー信号をもとに、サーボ制御回路18によりフォーカシングを実行する。また、RFアンプ13から出力されるトラッキングエラー信号(TE)の振幅が十分な状態であればこの信号をもとにトラッキングを実行する(ステップB25、Yes)。
そして、HD−DVDのBCA(Burst Cutting Area)に相当する領域からIDを読み取り、正常にIDが読み取られた場合には(ステップB26)、さらに「System Lead-In」領域のデータを読み取ることにより、HD−DVDであると確定する(ステップB27)。
なお、トラッキングエラー信号の振幅が十分でなく(振幅を判別する基準値以下)、光スポット制御を安定して継続できない場合(ステップB25、No)、あるいはHD−DVDを想定した領域からIDが正常に読みとれなかった場合(ステップB26、No)には、HD−DVDではない可能性があるためDVDを想定したディスク判別の処理に移行する。
ただし、本実施形態では、HD−DVDを想定した処理(ステップB23〜B27)については、異なるパラメータにより2回まで実行するものとしている(ステップB30)。この処理を2回実行して確定されなかった場合には(ステップB28,B29、Yes)、装着された光ディスク10がHD−DVDであると見なし、2回実行して状態が良好であった方のパラメータを用いて光ディスク10に対する処理を実行する。
一方、ステップB15の赤青判定処理によって、赤レーザ点灯(DVD)と判別された場合、DVDを想定したディスク判別を実行する。本実施形態では、何れかのディスクの種類が確定されるまで最大8回のリトライを実行するものとする。すなわち、DVDを想定したリトライ2回、CDを想定したリトライ1回、HD−DVDを想定したリトライ1回を1セットとし、これを2セット実行する。
ここでのリトライは、例えば赤青判定処理による記録層の反射レベルをもとにした判別により、確実に判別ができないディスクが存在していた場合を想定している。例えば、反射層を形成する材料が赤レーザと青レーザの何れの場合についても同等の反射レベルとなる場合(図5のフローチャートでリトライが3回実行された場合)に、以下に説明するように条件(パラメータ)を変更しながらリトライを繰り返すことでディスクを判別できるようにしている。
また、HD−DVDを想定した処理ではエネルギーが高い青レーザが用いられ、記録可能なディスクに対して影響を及ぼす可能性があるため、装着された光ディスク10をDVDであると想定した処理を優先して複数回実行するようにしている。これにより、DVDについてはより確実に判別されるようになり、青レーザを照射することによる影響を受ける可能性を低減している。
まず、レーザ制御回路16によりDVD用の赤レーザを点灯させ、赤レーザを用いてフォーカスオンさせる(ステップB18)。すなわち、赤レーザを光ディスク10に照射し、その反射光に応じてフォトディテクタ11bから出力される信号をもとにRFアンプ13(DVD用回路13b)に生成されるフォーカスエラー信号をもとに、サーボ制御回路18によりフォーカシングを実行する。
また、RFアンプ13から出力されるトラッキングエラー信号(TE)の振幅が十分な状態であればこの信号をもとにトラッキングを実行する。
ここで、装着された光ディスク10に対して、例えばADIP(Address In Pre-groove)、LPP(Land Pre-Pit)などの読み取りが可能であるか試行する。あるいは、データ復調を行ってデータの読み取りが可能であるかを判別する。
この結果、読み取りが可能である場合(ステップB19、Yes)、光アドレス10のアドレス読み取りが可能となり、IDが記録されているアドレスに光ビームを移動し、DVDのBCA(Burst Cutting Area)に相当する領域からIDを読み取り、正常にIDが読み取られた場合には(ステップB20)、さらに「Control data」領域のデータを読み取ることによりDVDであると確定する(ステップB21)。
また、ADIP、LPPなどが読み取れない(ステップB19)、あるいはDVDを想定した領域からIDが正常に読みとれなかった場合(ステップB20、No)には、DVDを想定した判定を2回実行していなければ(ステップB22、No)、リトライ回数に応じたパラメータに変更して(ステップB30)、前述と同様の処理を実行する。なお、赤レーザによるフォーカスオンに失敗した場合には(ステップB18)、パラメータを変更して前述と同様の処理を実行する。この時には、リトライ回数にカウントしないものとする。なお、ここで、フォーカスオンに失敗した場合には、CDを想定した処理に移行するリトライ回数を実行していなければ(ステップB22、No)、HD−DVDを想定した処理(ステップB23〜B27)を実行するようにフォローチャートを変更することも考えられる。そうすることにより、実際はHD−DVDであるのに赤青判定処理において誤ってDVDと判定された場合には(ステップB16、赤)、すぐにHD−DVDを想定した処理に移ることができる。
なお、パラメータの変更には、例えばドライバ20によりスピンドルモータ21あるいはスレッドモータ22を駆動して、光ディスク10に対する光スポットの位置を変更する、RFアンプ13におけるフォトディテクタ11bから出力される信号に対するゲインを変更する、ドライバ20により光ピックアップヘッド11の対物レンズを移動させてビームスポットサイズを変更する等がある。
こうして、DVDを対象とした判別を2回実行して確定できなかった場合、次が3回目のリトライとなるため(ステップB22、Yes)、CDを想定した判別を実行する(ステップB10,B11)。さらに、CDと確定されなかった場合には、前述と同様にして、HD−DVDを想定したディスク判別を実行する(ステップB23〜)。
この結果、ディスク判別が確定されなければ、CDとHD−DVDを想定したリトライを含めてカウントアップする(ステップB17)。ここでは、1セットの処理、すなわちDVDを想定したリトライ2回、CDを想定したリトライ1回、HD−DVDを想定したリトライ1回を実行しているため、リトライ回数が4回となる。
総リトライ回数(8回)が終了していないため、前述と同様の処理を繰り返し実行する。すなわち、何れかのディスクに確定されるまで、DVDを想定したリトライ2回、CDを想定したリトライ1回、HD−DVDを想定したリトライ1回を実行する。
こうして、HD−DVDを想定したリトライを2回実行してディスクを確定できなかった場合には(ステップB28,B29、Yes)、光ディスク装置に装着された光ディスク10をHD−DVDと見なして処理を終了する。
なお、前述した説明では、DVDを想定したリトライを2回としているが3回以上とすることも可能である。すなわち、HD−DVDを想定した処理ではエネルギーが高い青レーザが用いられるため、記録可能なディスクに対して影響を及ぼす可能性があるため、装着された光ディスク10がDVDであった場合により確実に判別されるように回数を増やすようにして、青レーザが照射される機会を減らすようにすることができる。
なお、図6に示すフローチャートでは、CDについては記録層の位置に基づいて判別しているが、CDについても表面の反射レベルと記録層の反射レベルとの比をもとにして判別するようにしても良い。この場合、CD用の赤外レーザ(波長:780nm)を用いることにより、DVDやHD−DVDと同様にして記録層に波長依存性があるため、この記録層の反射レベルと表面の反射レベルとの比がCDを判別するための所定の基準範囲内であれば、CDであることを判別することができる。また、図5のフローチャートの手順に従い、CDとDVD、DVDとHD−DVD、CDとHD−DVDのそれぞれについての判定結果に基づいて、CDを含めた各ディスクの種類の判別が可能となる。
さらに、前述した説明では、CD、DVD、HD−DVDの3種のディスクを想定して説明しているが、レーザ光に対して反射依存性を有する(特定の波長のレーザ光が照射された場合に高い反射レベルを示す)記録層を持つ他の光ディスクを含めてディスクの判別が可能である。
さらに、上記実施の形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜の組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施の形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題の少なくとも1つが解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果の少なくとも1つが得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
10…光ディスク、11…光ピックアップヘッド(PUH)、11a…レーザダイオード、11b…フォトディテクタ、13…RFアンプ、13a…CD用回路、13b…DVD用回路、13c…HD/Blue用回路、14…エラー信号検出/保持回路、16…レーザ制御回路、18…サーボ制御回路、20…ドライバ、21…スピンドルモータ、22…スレッドモータ、23…アクチュエータ、25…CPU、26…メモリ、27…インタフェース回路(I/F)。