JP2010012160A - 超音波診断装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】連続波を利用して目標位置からの生体内情報を抽出する技術において抽出の精度を高める。
【解決手段】FM変調器20は、変調波生成部24から供給される変調信号を用いて、RF波発振器22から供給されるRF波に対して周波数変調を施すことにより、FM連続波を発生する。送信ビームフォーマ14および受信ビームフォーマ16は、ドプラ信号が選択的に抽出される目標位置を焦点とするように超音波ビームを形成する。FM変調器20から出力されるFM連続波は、遅延回路25において遅延処理され、一方の信号がミキサ32へ直接的に供給され、他方の信号がπ/2シフト回路26を経由してミキサ34へ供給される。遅延回路25は、FM連続波に対して、生体内の目標位置の深さに応じた遅延処理を施す。これにより、ドプラ情報解析部44において、目標位置からのドプラ情報が選択的に抽出される。
【選択図】図1

Description

本発明は、超音波診断装置に関し、特に、連続波を利用する超音波診断装置に関する。
超音波診断装置の連続波を利用した技術として、連続波ドプラが知られている。連続波ドプラでは、例えば、数MHzの正弦波である送信波が生体内へ連続的に放射され、生体内からの反射波が連続的に受波される。反射波には、生体内における運動体(例えば血流など)によるドプラシフト情報が含まれる。そこで、そのドプラシフト情報を抽出して周波数解析することにより、運動体の速度情報を反映させたドプラ波形などを形成することができる。
連続波を利用した連続波ドプラは、パルス波を利用したパルスドプラに比べて一般に高速の速度計測の面で優れている。こうした事情などから、本願発明者は、連続波ドプラに関する研究を重ねてきた。その成果の一つとして、特許文献1において、周波数変調処理を施した連続波ドプラ(FMCWドプラ)に関する技術を提案している。
一方、連続波ドプラでは、連続波を利用していることにより位置計測が困難である。例えば、従来の一般的な連続波ドプラの装置(FMCWドプラを利用しない装置)では、位置計測を行うことができなかった。これに対し、本願発明者は、特許文献2において、FMCWドプラにより生体内組織の速度に加えて生体内組織の位置を計測することができる技術を提案している。
特開2005−253949号公報 特開2006−14916号公報
特許文献1や特許文献2に記載されたFMCWドプラの技術は、それまでにない超音波診断の可能性を秘めた画期的な技術である。本願発明者は、この画期的な技術の改良についてさらに研究を重ねてきた。特に、連続波を利用して目標位置からの生体内情報を抽出する技術に注目して研究を重ねてきた。
本発明は、このような背景において成されたものであり、その目的は、連続波を利用して目標位置からの生体内情報を抽出する技術において抽出の精度を高めることにある。
上記目的を達成するために、本発明の好適な態様である超音波診断装置は、周波数を周期的に変化させた連続波の送信信号を出力する送信信号処理部と、前記送信信号に基づいて超音波を生体に送波して生体からの反射波を受波することにより得られる受信信号に対して、前記送信信号に実質的に等しい波形の参照信号を用いて復調処理を施すことにより復調信号を得る受信信号処理部と、復調信号から生体内情報を抽出する生体内情報抽出部と、を有し、生体内の目標位置を焦点として超音波ビームを形成し、且つ、当該目標位置から得られる受信信号と参照信号との間の相関関係を調整して復調処理を施すことにより、当該目標位置からの生体内情報を選択的に抽出する、ことを特徴とする。
上記態様では、参照信号を用いて受信信号に対して復調処理を施しているため、参照信号との相関が比較的大きい信号成分を含んだ復調信号を得ることができる。そして、その復調処理にあたり、目標位置から得られる受信信号と参照信号との間の相関関係が調整され、例えば、参照信号との相関が比較的大きい信号成分として目標位置からの受信信号を抽出することができる。さらに、生体内の目標位置を焦点として超音波ビームが形成されるため、目標位置から抽出される受信信号に関する抽出の精度を高めることができる。
なお、上記態様において、参照信号と送信信号は、完全に等しい波形であることが望ましい。但し、参照信号と送信信号は、実質的に等しい波形とみなせる程度の対応関係であってもよい。
望ましい態様において、前記超音波診断装置は、生体内の目標位置を移動させ、その目標位置の移動に追従するように焦点を移動させて超音波ビームを形成し、且つ、その目標位置の移動に追従するように前記相関関係を調整して復調処理を施すことにより、目標位置を移動させつつ目標位置からの生体内情報を抽出する、ことを特徴とする。
望ましい態様において、前記超音波診断装置は、目標位置からの受信信号の位相と参照信号の位相が等しくなるように、目標位置の深さに応じた遅延量だけ、前記送信信号または前記参照信号を遅延処理することにより、目標位置から得られる受信信号と参照信号との間の相関を強める、ことを特徴とする。
望ましい態様において、前記超音波診断装置は、変調信号を用いて搬送波信号を変調処理することにより前記送信信号を形成し、当該変調信号を目標位置の深さに応じた遅延量だけ遅延処理して得られる遅延変調信号を用いて搬送波信号を変調処理することにより参照信号を形成し、当該参照信号を用いることにより目標位置から得られる受信信号と参照信号との間の相関を強める、ことを特徴とする。
望ましい態様において、前記送信信号処理部は、周期Tで周波数を変化させた連続波の送信信号を出力し、生体内の目標位置の深さに応じて送信信号の周期Tが調整されることにより、目標位置から得られる受信信号と参照信号との間の相関を強める、ことを特徴とする。
望ましい態様において、前記送信信号処理部は、変調信号を用いて搬送波信号を周波数変調処理することにより前記送信信号を形成する、ことを特徴とする。
望ましい態様において、前記送信信号処理部は、変調信号を用いて搬送波信号を位相変調処理することにより前記送信信号を形成する、ことを特徴とする。
望ましい態様において、前記生体内情報抽出部は、生体内情報として、復調信号に含まれる直流信号成分に対応したドプラ信号成分を抽出する、ことを特徴とする。
本発明により、連続波を利用して目標位置からの生体内情報を抽出する技術において抽出の精度が高められる。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。
図1には、本発明に係る超音波診断装置の好適な実施形態が示されており、図1はその全体構成を示す機能ブロック図である。送信用振動子10は生体内へ送信波を連続的に送波し、また、受信用振動子12は生体内からの反射波を連続的に受波する。このように、送信および受信がそれぞれ異なる振動子で行われて、いわゆる連続波ドプラ法による送受信が実行される。なお、送信用振動子10は複数の振動素子を備えており、これら複数の振動素子が制御されて超音波の送信ビームが形成される。また、受信用振動子12も複数の振動素子を備えており、これら複数の振動素子により得られた信号が処理されて受信ビームが形成される。
送信ビームフォーマ(送信BF)14は、送信用振動子10が備える複数の振動素子に対して送信信号を出力する。送信ビームフォーマ14には、例えば正弦波によるFM変調処理が施されたFM連続波(FMCW波)が入力される。送信ビームフォーマ14は、FM連続波に対して、各振動素子に応じた遅延処理を施して各振動素子に対応した送信信号を形成する。なお、送信ビームフォーマ14において形成された各振動素子に対応した送信信号に対して、必要に応じて電力増幅処理が施されてもよい。こうして、FM連続波による送信ビームが形成される。
FM変調器20は、送信ビームフォーマ14にFM連続波を出力する。FM変調器20は、変調波生成部24から供給される変調信号を用いて、RF波発振器22から供給されるRF波(搬送波信号)に対して周波数変調を施すことにより、FM連続波を発生する。このFM連続波の波形については後の原理説明で詳述する。
受信ビームフォーマ(受信BF)16は、受信用振動子12が備える複数の振動素子から得られる複数の受波信号を整相加算処理して受信ビームを形成する。つまり、受信ビームフォーマ16は、各振動素子から得られる受波信号に対してその振動素子に応じた遅延処理を施し、複数の振動素子から得られる複数の受波信号を加算処理することにより受信ビームを形成する。なお、各振動素子から得られる受波信号に対して低雑音増幅等の処理を施してから、受信ビームフォーマ16に複数の受波信号が供給されてもよい。こうして受信ビームに沿った受信RF信号が得られる。
受信ミキサ30は受信RF信号に対して直交検波を施して複素ベースバンド信号を生成する回路であり、2つのミキサ32,34で構成される。各ミキサは受信RF信号を所定の参照信号と混合する回路である。
受信ミキサ30の各ミキサに供給される参照信号は、FM変調器20から出力されFM連続波に基づいて生成される。つまり、FM変調器20から出力されるFM連続波が遅延回路25において遅延処理され、ミキサ32には遅延処理されたFM連続波が直接供給され、一方、ミキサ34には遅延処理されたFM連続波がπ/2シフト回路26を経由して供給される。
π/2シフト回路26は遅延処理されたFM連続波の位相をπ/2だけずらす回路である。この結果、2つのミキサ32,34の一方から同相信号成分(I信号成分)が出力され、他方から直交信号成分(Q信号成分)が出力される。そして、受信ミキサ30の後段に設けられるLPF(ローパスフィルタ)36,38によって、同相信号成分および直交信号成分の各々の高周波数成分がカットされ、検波後の必要な帯域のみの復調信号が抽出される。
後の原理説明で詳述するが、各ミキサで実行される受信RF信号と参照信号との混合処理の結果である受信ミキサ出力信号(復調信号)には、変調波生成部24から供給される変調波の変調波周波数fに関する複数の第n次波成分(nは0以上の自然数)が含まれている。つまり、第0次波成分である直流成分、第1次波成分である基本波成分、さらに、nが2以上の複数の高調波成分が含まれている。つまり、これら複数の第n次波成分を含んだ復調信号が、LPF36,38の各々から出力される。
FFT回路(高速フーリエ変換回路)40,42は、復調信号(同相信号成分および直交信号成分)の各々に対してFFT演算を実行する。その結果、FFT回路40,42において復調信号が周波数スペクトラムに変換される。なお、FFT回路40,42から出力される周波数スペクトラムは、回路の設定条件などにより周波数分解能δfの周波数スペクトラムデータとして出力される。
ドプラ情報解析部44は、周波数スペクトラムに変換された復調信号からドプラ情報を抽出する。後に詳述するが、本実施形態では、変調波生成部24における変調処理と遅延回路25における遅延処理により目標位置が設定され、ドプラ情報解析部44において目標位置からのドプラ情報が選択的に抽出される。ドプラ情報解析部44は、生体内の各深さ(各位置)ごとにドプラ情報を抽出して、例えば、超音波ビーム(音線)上の各深さごとに生体内組織の速度を算出し、リアルタイムで出力する。なお、超音波ビームを走査させて二次元的あるいは三次元的に生体内組織の各位置の速度を算出してもよい。
表示処理部46は、生体組織の深さ(位置)ごとの速度に基づいて、例えばドプラ波形や、深さ速度の情報を含むグラフなどを形成し、形成したドプラ波形やグラフなどを表示部48にリアルタイムで表示させる。なお、図1に示す超音波診断装置内の各部は、システム制御部50によって制御される。つまり、システム制御部50は、送信制御や受信制御や表示制御などを行う。
以上、概説したように、本実施形態では、連続波(CW)を変調波でFM変調した超音波(FMCW波)を送受波して受信信号が得られて、目標位置からのドプラ情報が選択的に抽出される。そこで、目標位置からのドプラ情報が選択的に抽出される原理について詳述する。なお、図1に示した部分(構成)については、以下の説明においても図1の符号を利用する。
周波数fのRF波(搬送波)に対して、周波数fの正弦波によりFM変調を施したFMCW送信波は次式のように表現できる。
Figure 2010012160
数1式において、Δfは周波数変動幅の0−P値(ゼロピーク値:最大周波数偏移)であり、最大周波数偏移Δfと変調周波数fの比であるβはFMの変調指数である。
また、ドプラシフトを伴う場合のFMCW受信波は、生体における往復の減衰をαとすると次式で表現できる。
Figure 2010012160
なお、数2式においてfに対するドプラシフトは、fのシフト分fに比較して小さいので無視している。
図2は、本実施形態における送信波と受信波を説明するための図である。図2(a)は、FMCW送信波(送信信号)の波形(数1式参照)を示しており、横軸が時間軸であり縦軸が振幅である。また、図2(b)は、FMCW送信波(送信信号)とFMCW受信波(受信信号)の各々についての瞬時周波数変化を示している。図2(b)の横軸は時間軸であり縦軸は周波数(瞬時周波数)である。なお、図2(a)と図2(b)の時間軸は互いに揃えられている。
図2(b)に示されるように、送信信号(破線)は、周期T=1/fで周波数を変化させた連続波となっている。また、受信信号(実線)は、送信信号から、位相角でφだけ遅れている。なお、図2(b)においては、数2式で示した受信信号の減衰やドプラシフトを省略している。
数2式で表される受信波形は、超音波振動子を介して受信される信号波形(受信RF信号)である。FMCWドプラでは、受信RF信号に対する復調処理において、FMCW送信波を参照信号として受信波と乗算を行う。図1を利用して説明したように、FM変調器20から出力されるFM連続波が遅延回路25において遅延処理され、参照信号として、ミキサ32には遅延処理されたFM連続波が直接供給され、一方、ミキサ34には遅延処理されたFM連続波がπ/2シフト回路26を経由して供給される。したがって、ミキサ32へ供給される参照信号vrI(t)と、ミキサ34へ供給される参照信号vrQ(t)は、次式のように表現できる。
Figure 2010012160
数3式において、φmrは、遅延回路25における遅延処理により任意に設定できる参照信号の位相を示しており、φ0rは、任意に設定した参照信号の位相に対応して決まる搬送波の位相変化量を示している。
受信ミキサ30では、復調処理として直交検波が行われる。つまり、ミキサ32において、受信RF信号v(t)と参照信号vrI(t)の乗算に相当する処理が実行され、また、ミキサ34において、受信RF信号v(t)と参照信号vrQ(t)の乗算に相当する処理が実行される。
ミキサ32における受信RF信号v(t)と参照信号vrI(t)の乗算vDI(t)は次式のように表現される。なお、次式の計算途中において、周波数2fの成分が消去されている。これは、LPF36において除去される周波数成分である。
Figure 2010012160
ここで、ベッセル関数に関する次の公式を利用する。
Figure 2010012160
数5式の公式を用いると、数4式はさらに次式のように計算される。
Figure 2010012160
一方、ミキサ34における受信RF信号v(t)と参照信号vrQ(t)の乗算vDQ(t)は次式のように表現される。なお、次式の計算途中において、周波数2fの成分が消去されている。これは、LPF38において除去される周波数成分である。
Figure 2010012160
ここで、数6式のvDI(t)と数7式のvDQ(t)とに基づいて、複素ベースバンド信号を定義する。まず、vDI(t)とvDQ(t)に含まれている直流(DC)成分、変調周波数fの偶数次高調波成分を次式のように表現する。
Figure 2010012160
次に、vDI(t)とvDQ(t)に含まれている変調周波数fの成分、変調周波数fの奇数次高調波成分を次式のように表現する。
Figure 2010012160
数8式と数9式から、直交検波後のベースバンド信号において、ドプラシフトfを含んだドプラ信号は、DC成分と変調周波数fの成分と変調周波数fの高調波成分とからなる複数の成分の各々についての両側帯波として出現することがわかる。通信工学ではこの種の信号形式を両側帯波搬送波除去変調(Double-Sideband Suppressed-Carrier, DSB-SC)と呼んでいる。
ここで、受信信号と参照信号の位相を互いに揃えた場合、つまり、遅延回路25における遅延処理によりφmrを調整してφと一致させた場合(φmr=φ)を考える。φmrとφを一致させた場合には、数4式におけるkが0となる。この結果を数5式のベッセル関数に適用すると、次式のように、0次のベッセル関数の値のみが1となり、それ以外のベッセル関数の値は0となる。
Figure 2010012160
数10式に示す結果を数8式と数9式に適用すると次式のとおりとなる。
Figure 2010012160
数11式は、参照波(参照信号)の位相φmrを送受信間の位相差φに設定すると、圧縮変換により、DC成分(直流信号成分)に対応したドプラ信号のみが抽出できることを示している。その結果として得られる複素ドプラ周波数fの値と極性は、血流などの流体の速度とその極性を表わしている。また、ドプラ信号の振幅は、搬送波および参照波の位相に依存しないこともわかる。
この事実は以下のように解釈することもできる。図1における遅延回路25は、参照波(参照信号)における変調波の位相φmrを、送受信間の変調波の位相差φに設定する役目を持っている。しかし、この遅延回路25は変調波の位相ばかりでなく、搬送波の位相も同時に変化させる。この値がφ0rである。搬送波の位相は、参照波における変調波の位相φmrに応じて変化するので、送受信間の変調波の位相差に応じた特定の値に定めることができない。しかし、数11式に示されているように、φ0rは、φと同様に、どんな値になろうとも、直交検波する限りは、ドプラ信号の振幅、周波数およびその極性に影響を与えない。
そのため、例えば、変調信号(変調波)のみを目標位置の深さに応じた遅延量だけ遅延処理して遅延変調信号を形成し、その遅延変調信号を用いて搬送波信号を変調処理することにより参照信号を形成し、その参照信号とπ/2だけ位相をずらした参照信号とを用いて復調処理を施すようにしてもよい。
そして、本実施形態においては、以下に説明するように、PWドプラ(パルスドプラ)と同様に特定位置のドプラ情報を比較的良好なSNRで得ることができる。数6式から数9式において、ドプラ信号の振幅を支配するJ(kβ)の因数であるkβについて考察する。数4式におけるkの定義から、kβは次式のように表現できる。
Figure 2010012160
数12式は、kβが深さdに依存して正弦波状に変化することを意味している。
図3は、kβが深さdに依存して正弦波状に変化する様子を示す図である。第1次ベッセル関数の性質により、kβが0のときにJ(kβ)が最大値となる。図3において実線で示されるkβの波形は、体表からの深さdが正の範囲において0となる深さが3箇所ある。これら3箇所の深さから得られるドプラ信号の振幅が最大となることを意味している。
数12式などから、目的とする深さからの受信信号の位相φと、参照波の位相φmrとを一致させるとkβを0とすることができ、kβが0となる深さにおいてJ(kβ)が最大となりドプラ信号の振幅が最大となる。つまり、遅延回路25において、目的とする深さからの受信信号の位相φと参照波の位相φmrを一致させることにより、目的とする深さからのドプラ信号の振幅が最大となるようにして、そのドプラ信号を選択的に抽出することができる。
ドプラ信号の選択的な抽出は、別の手法によっても実現できる。例えば、図2(b)に示した送信信号の周波数変化の周期(T=1/f)を調整することにより、ドプラ信号の選択的な抽出を実現してもよい。周期Tは、変調周波数fを調整することにより、所望の大きさに設定することができる。
数12式から、変調周波数fを変化させることにより、kβの値が変化することが理解できる。図3において、破線で示される2つのkβの波形は、実線で示されるkβの波形から、変調周波数fをわずかに変化させた場合の波形である。図3の実線の波形と破線の波形との比較からも理解できるように、変調周波数fを変化させることにより、kβ=0の位置を深さ方向に沿って移動させることができる。そして、kβが0となる深さにおいて、J(kβ)が最大となりドプラ信号の振幅が最大となることから、変調周波数fの変化により、ドプラ信号の振幅が最大となる深さが移動することを理解できる。
送信信号の周期Tを調整して目標位置を設定する場合には、例えば、変調波生成部24が、変調周波数fの変調信号に対して、変調周波数fよりも小さい変調周波数fm2の第2変調信号を用いて周波数変調を施すことにより、変調周波数fを変化させる。そこで、変調周波数fの変化と、ドプラ信号を選択的に抽出する深さdとの関係について説明する。
kβ(図3、数12式参照)に含まれるkやkに含まれるφは、数2式と数4式において定義したとおりであるが、再掲すると次式のとおりとなる。
Figure 2010012160
kβは、参照波の位相φmrを固定すると、φの関数となっており、φに対して正弦波状に変化する。また、φは数13式で表現されるとおりであり、kβが深さdに対しても正弦波状に変化することが理解できる(図3参照)。
数13式におけるφの単位はラジアンである。深さdを決めれば、変調周波数fの位相角であるφを決定することができる。例えば、f=5kHz,Δd=10mm,c=1500m/sとすると、φの変化量Δφは次式のとおり0.42ラジアンとなる。
Figure 2010012160
この位相角を周期的に変化させるためには、変調周波数fの変調信号を低周波で周波数変調または位相変調すればよい。その低周波の周波数をfm2とすれば、位相変調された変調波(変調信号)vPM(t)は、下式により与えられる。
Figure 2010012160
変調波vPM(t)の瞬時周波数は下式で与えられる。
Figure 2010012160
したがって、上式は、以下のようなFM変調波として表現することもできる。この場合の、最大周波数偏移(0−P値:ゼロピーク値)は、2πΔφm2となる。
Figure 2010012160
図1の変調波生成部24は、例えば、数15式または数17式に基づいて、変調周波数fの変調信号に対して、変調周波数fよりも小さい変調周波数fm2の第2変調信号を用いて位相変調または周波数変調を施す。
以上のように、ドプラ信号が選択的に抽出される目標位置は、遅延回路25における遅延処理や変調波生成部24における変調処理に基づいて決定される。図1のシステム制御部50は、遅延回路25における遅延時間に基づいて、あるいは、変調波生成部24における第2変調波(第2変調信号)に基づいて、目標位置を確認する。そして、システム制御部50は、ドプラ情報解析部44において得られるドプラ情報(ドプラシフト量やドプラ成分の電力など)と、そのドプラ情報が得られた位置(深さ)とを対応付ける。その対応関係は、表示処理部46などに伝えられる。
さらに、本実施形態において、システム制御部50は、送信ビームフォーマ14および受信ビームフォーマ16を制御することにより、ドプラ信号が選択的に抽出される目標位置を焦点とするように超音波ビームを形成する。
図4は、目標位置に応じた超音波ビームの焦点の制御を説明するための図である。図4(A)において、横軸は目標位置の選択位置であり、縦軸は超音波ビームの焦点(フォーカス点)の深さを示している。目標位置の選択位置は、例えば、ユーザがカーソル操作などにより位置指定を行う。もちろん、図1のシステム制御部50が目標位置の選択位置を適宜自動設定してもよいし、その選択位置を移動させてもよい。
図4(A)には、各選択位置において、その位置を焦点とする超音波ビームの形状60が図示されている。超音波ビームは、送信ビームと受信ビームであり、送信ビームと受信ビームの両ビームの焦点を各選択位置に合わせることが望ましい。但し、送信ビームと受信ビームのうちの一方の焦点のみを各選択位置に合わせるような態様も可能である。
図4(B)は、超音波ビームの深さ方向70に沿って、複数の目標位置において超音波ビームの焦点を合わせた例を示している。図4(B)の例によれば、深さ方向70のほぼ全域に亘って焦点が絞られているため、深さ方向70のほぼ全域に亘って、目標位置から抽出される受信信号に関する抽出の精度を高めることができる。
図5は、目標位置の深さを正弦波状に変化させた場合の超音波ビームの焦点の制御を説明するための図である。図5において、横軸は時間を示しており、縦軸は目標位置の深さ(診断距離)を示している。図5の例においては、深さdと深さdの各深さを基準として、時間の経過に伴って目標位置を正弦波62(1),62(2)に沿って変化させている。例えば、図1のシステム制御部50が、遅延回路25に対して深さdに対応する遅延量を設定し、その遅延量を基準として正弦波62(1)に沿って時間と共に遅延量を変化させることにより、図5における深さdに対応した目標位置の制御が実現される。
さらに、システム制御部50は、目標位置を焦点とするように、送信ビームフォーマ14および受信ビームフォーマ16を制御することにより、正弦波62(1)に沿って時間と共に焦点を変化させて図5に示す形状60の超音波ビームを形成する。図1のシステム制御部50は、深さdについても、深さdの場合と同様な制御を行う。これにより、例えば、生体内の血管の中央などに深さdや深さdを設定し、正弦波62(1),62(2)の振幅の大きさを血管の径の太さに対応付けることにより、血管内の径方向の全域からドプラ情報などを抽出することが可能になる。
図6は、目標位置の深さを鋸歯状に変化させた場合の超音波ビームの焦点の制御を説明するための図である。図5に示した正弦波62(1),62(2)に換えて、図6に示すように、目標位置の深さを鋸歯状波64(1),64(2)に沿って変化させてもよい。つまり、図1のシステム制御部50が、遅延回路25に対して深さdに対応する遅延量を設定し、その遅延量を基準として鋸歯状波64(1)に沿って時間と共に遅延量を変化させることにより、図6における深さdに対応した目標位置の制御が実現される。さらに、システム制御部50は、目標位置を焦点とするように、送信ビームフォーマ14および受信ビームフォーマ16を制御することにより、鋸歯状波64(1)に沿って時間と共に焦点を変化させて図6に示す形状60の超音波ビームを形成する。深さdについても深さdの場合と同様な制御が行われる。
図7は、送信信号の周波数変化の周期を調整して目標位置を変化させた場合の超音波ビームの焦点の制御を説明するための図である。数12式から数17式や図3を利用して説明したように、送信信号の周波数変化の周期(T=1/f:図2参照)を調整することにより、目標位置を設定してドプラ信号を選択的に抽出することができる。周期Tは変調周波数fを調整することにより、所望の大きさに設定することができる。図7は変調周波数fをそれよりも低い周波数の正弦波62に沿って変化させた例を示している。
目的とする深さからの受信信号の位相φと、参照信号(参照波)の位相φmrとを一致させるとkβを0とすることができ、kβが0となる深さにおいてJ(kβ)が最大となりドプラ信号の振幅が最大となる。一方、変調周波数fを変化させることによりkβの値が変化するため、例えば、深さdの受信信号と参照波との間の位相差が0の状態から変調周波数fを変化させると、深さdの受信信号と参照波との間に位相差が発生し、位相差0の位置(目標位置)が深さdから移動する。
図7(A)は、受信信号と参照信号の位相差の変化を示す図であり、横軸に受信信号と参照信号の位相差が示されており、縦軸に深さ(診断距離)が示されている。深さdにおいて位相差が0の状態から変調周波数fを変化させると、図7(A)の破線矢印に示すように位相差の波形が変化し、位相差0の位置(目標位置)が深さdから移動する。
図1のシステム制御部50は、遅延回路25に対して深さdに対応する遅延量を設定し、その遅延量を基準として、図7(B)に示すように、正弦波62に沿って時間と共に目標位置が変化するように、変調波生成部24における変調周波数fを制御する。さらに、システム制御部50は、目標位置を焦点とするように、送信ビームフォーマ14および受信ビームフォーマ16を制御することにより、正弦波62に沿って時間と共に焦点を変化させて図7(B)に示す形状60の超音波ビームを形成する。
このように、本実施形態においては、目標位置を焦点として超音波ビームを形成するため、例えば、目標位置から焦点がずれている場合などに比べて、目標位置における超音波の電力密度を大きくしてドプラ信号のSNRを改善することや、目標位置以外からのドプラ信号を低減することなどが可能になる。また、目標位置を焦点とすることにより、超音波の電力を目標位置に集中させることができるため、目標位置以外からのクラッタ電力を低減することも可能になる。
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、上述した本発明の好適な実施形態等は、あらゆる点で単なる例示にすぎず、本発明の範囲を限定するものではない。本発明は、その本質を逸脱しない範囲で各種の変形形態を包含する。
例えば、上述した実施形態においては、周波数を周期的に変化させる連続波の変調送信信号を形成するにあたって、搬送波信号(RF波発振器22から供給されるRF波)に対して周波数変調処理を施している。この周波数変調処理に換えて、周波数変調処理と同じ角度変調の方式として当業者において明らかな位相変調処理(PM処理)を利用してもよい。つまり、搬送波信号(RF波発振器22から供給されるRF波)に対して位相変調処理を施すことにより、FM変調器20から出力されるFM連続波と同じ波形あるいは同等な波形を形成してもよい。なお、周波数を周期的に変化させる連続波のデータをメモリなどに記憶しておき、このメモリから読み出されるデータに基づいて、当該連続波を生成してもよい。
本発明に係る超音波診断装置の全体構成を示す機能ブロック図である。 本実施形態における送信波と受信波を説明するための図である。 kβが深さdに依存して正弦波状に変化する様子を示す図である。 目標位置に応じた超音波ビームの焦点の制御を説明するための図である。 目標位置の深さを正弦波状に変化させた場合の超音波ビームの焦点の制御を説明するための図である。 目標位置の深さを鋸歯状に変化させた場合の超音波ビームの焦点の制御を説明するための図である。 送信信号の周波数変化の周期を調整して目標位置を変化させた場合の超音波ビームの焦点の制御を説明するための図である。
符号の説明
14 送信ビームフォーマ、16 受信ビームフォーマ、20 FM変調器、22 RF波発振器、24 変調波生成部、25 遅延回路、40,42 FFT回路、44 ドプラ情報解析部、46 表示処理部、50 システム制御部。

Claims (8)

  1. 周波数を周期的に変化させた連続波の送信信号を出力する送信信号処理部と、
    前記送信信号に基づいて超音波を生体に送波して生体からの反射波を受波することにより得られる受信信号に対して、前記送信信号に実質的に等しい波形の参照信号を用いて復調処理を施すことにより復調信号を得る受信信号処理部と、
    復調信号から生体内情報を抽出する生体内情報抽出部と、
    を有し、
    生体内の目標位置を焦点として超音波ビームを形成し、且つ、当該目標位置から得られる受信信号と参照信号との間の相関関係を調整して復調処理を施すことにより、当該目標位置からの生体内情報を選択的に抽出する、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  2. 請求項1に記載の超音波診断装置において、
    生体内の目標位置を移動させ、その目標位置の移動に追従するように焦点を移動させて超音波ビームを形成し、且つ、その目標位置の移動に追従するように前記相関関係を調整して復調処理を施すことにより、目標位置を移動させつつ目標位置からの生体内情報を抽出する、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  3. 請求項1または2に記載の超音波診断装置において、
    目標位置からの受信信号の位相と参照信号の位相が等しくなるように、目標位置の深さに応じた遅延量だけ、前記送信信号または前記参照信号を遅延処理することにより、目標位置から得られる受信信号と参照信号との間の相関を強める、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  4. 請求項1または2に記載の超音波診断装置において、
    変調信号を用いて搬送波信号を変調処理することにより前記送信信号を形成し、
    当該変調信号を目標位置の深さに応じた遅延量だけ遅延処理して得られる遅延変調信号を用いて搬送波信号を変調処理することにより参照信号を形成し、
    当該参照信号を用いることにより目標位置から得られる受信信号と参照信号との間の相関を強める、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の超音波診断装置において、
    前記送信信号処理部は、周期Tで周波数を変化させた連続波の送信信号を出力し、
    生体内の目標位置の深さに応じて送信信号の周期Tが調整されることにより、目標位置から得られる受信信号と参照信号との間の相関を強める、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載の超音波診断装置において、
    前記送信信号処理部は、変調信号を用いて搬送波信号を周波数変調処理することにより前記送信信号を形成する、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  7. 請求項1から5のいずれか1項に記載の超音波診断装置において、
    前記送信信号処理部は、変調信号を用いて搬送波信号を位相変調処理することにより前記送信信号を形成する、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  8. 請求項1から7のいずれか1項に記載の超音波診断装置において、
    前記生体内情報抽出部は、生体内情報として、復調信号に含まれる直流信号成分に対応したドプラ信号成分を抽出する、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
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