JP2009254526A - 超音波診断装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】連続波を利用して目的の位置からドプラ情報を選択的に抽出する。
【解決手段】FM変調波生成部24は、変調周波数fmの変調信号に対して、第2変調波発振器23から供給される第2変調信号を用いて周波数変調を施し、その変調後の変調信号を出力する。FM変調器20は、FM変調波生成部24から供給される変調信号を用いて、RF波発振器22から供給されるRF波(搬送波信号)に対して周波数変調を施すことにより、FM連続波を発生する。受信ミキサ30の各ミキサに供給される参照信号は、FM変調器20から出力されFM連続波に基づいて生成される。第2変調信号を用いた変調により、目標位置の深さに応じて、FM変調波生成部24から出力される変調信号の変調周波数fmを調整することにより、目標位置からのドプラ情報が選択的に抽出される。
【選択図】図1

Description

本発明は、超音波診断装置に関し、特に、変調された連続波を利用する超音波診断装置に関する。
超音波診断装置の連続波を利用した技術として、連続波ドプラが知られている。連続波ドプラでは、例えば、数MHzの正弦波として構成される送信波が生体内へ連続的に放射され、生体内からの反射波が連続的に受波される。反射波には、生体内における運動体(例えば血流)によるドプラシフト情報が含まれる。そこで、そのドプラシフト情報を抽出して周波数解析することにより、運動体の速度情報を反映させたドプラ波形などを形成することができる。
連続波を利用した連続波ドプラは、パルス波を利用したパルスドプラに比べて一般に高速の速度計測の面で優れている。こうした事情などから、本願発明者は、連続波ドプラに関する研究を重ねてきた。その成果の一つとして、特許文献1において、周波数変調処理を施した連続波ドプラ(FMCWドプラ)に関する技術を提案している。
一方、連続波ドプラでは、連続波を利用していることにより位置計測が困難である。例えば、従来の一般的な連続波ドプラの装置(FMCWドプラを利用しない装置)では、位置計測を行うことができなかった。これに対し、本願発明者は、特許文献2において、FMCWドプラにより生体内組織の速度に加えて生体内組織の位置を計測することができる技術を提案している。
特開2005−253949号公報 特開2006−14916号公報
特許文献1や特許文献2に記載されたFMCWドプラの技術は、それまでにない超音波診断の可能性を秘めた画期的な技術である。本願発明者は、この画期的な技術の改良についてさらに研究を重ねてきた。
本発明は、このような背景において成されたものであり、その目的は、連続波を利用して目的の位置からドプラ情報を選択的に抽出する技術を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の好適な態様である超音波診断装置は、周期Tmで周波数を変化させた連続波の送信信号を出力する送信信号処理部と、前記送信信号に基づいて超音波を送受波することにより生体から得られる受信信号に対して、前記送信信号に実質的に等しい波形の参照信号を用いて復調処理を施すことにより復調信号を得る受信信号処理部と、復調信号からドプラ情報を抽出するドプラ情報抽出部と、を有し、生体内の目標位置の深さに応じて前記送信信号の周期Tmを調整することにより、目標位置からのドプラ情報を選択的に抽出する、ことを特徴とする。
望ましい態様において、前記送信信号は、変調信号を用いて搬送波信号を変調することにより形成され、前記変調信号の変調周波数が調整されることにより、前記送信信号の周期Tmが調整される、ことを特徴とする。
望ましい態様において、前記変調信号の変調周波数を変化させて前記送信信号の周期Tmを変化させることにより、深さ方向に沿って目標位置を移動させつつ目標位置からドプラ情報を抽出する、ことを特徴とする。
望ましい態様において、前記変調信号の変調周波数を周期的に変化させて深さ方向に沿った対象区間内において目標位置を周期的に移動させることにより、対象区間内に亘って複数の位置からドプラ情報を抽出する、ことを特徴とする。
望ましい態様において、前記参照信号と前記受信信号との間の遅延関係を調整して復調処理を施すことにより、前記対象区間の位置を設定する、ことを特徴とする。
望ましい態様において、前記送信信号処理部は、変調周波数fmの変調信号を用いて搬送波信号を周波数変調することにより前記送信信号を形成し、前記目標位置の深さに応じて変調周波数fmが調整されることにより、前記送信信号の周期Tm=1/fmが調整される、ことを特徴とする。
望ましい態様において、前記送信信号処理部は、変調周波数fmの変調信号に対して変調周波数fmよりも小さい変調周波数fm2の第2変調信号を用いて周波数変調を施し、その周波数変調後の変調信号を用いて搬送波信号を周波数変調することにより前記送信信号を形成し、これにより、変調周波数fmを周期1/fm2で変化させて深さ方向に沿った対象区間内において目標位置を周期1/fm2で移動させることにより、対象区間内に亘って複数の位置からドプラ情報を抽出する、ことを特徴とする。
望ましい態様において、前記対象区間内に亘って複数の位置から抽出されるドプラ情報に基づいて、対象区間内における流体の速度分布を形成する、ことを特徴とする。
望ましい態様において、生体内の深さに対応した軸と時間に対応した軸と流体の速度に対応した軸とを含み、前記速度分布の時間変化の様子を示した表示画像を形成する、ことを特徴とする。
本発明により、連続波を利用して目的の位置からドプラ情報を選択的に抽出することが可能になる。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。
図1には、本発明に係る超音波診断装置の好適な実施形態が示されており、図1はその全体構成を示す機能ブロック図である。送信用振動子10は生体内へ送信波を連続的に送波し、また、受信用振動子12は生体内からの反射波を連続的に受波する。このように、送信および受信がそれぞれ異なる振動子で行われて、いわゆる連続波ドプラ法による送受信が実行される。
電力増幅器14は、送信用振動子10に対し、電力増幅されたFM連続波(FMCW)を供給する。電力増幅器14には、例えば正弦波によるFM変調処理が施されたFM連続波(FMCW波)が入力され、このFM連続波に対応する送信波が送信用振動子10から送波される。FM連続波は、FM変調器20において形成される。
FM変調器20は、FM変調波生成部24から供給される変調信号を用いて、RF波発振器22から供給されるRF波(搬送波信号)に対して周波数変調を施すことにより、FM連続波を発生する。なお、FM変調波生成部24は、変調周波数fmの変調信号に対して、変調周波数fmよりも小さい変調周波数fm2の第2変調信号を用いて周波数変調を施し、その変調後の変調信号を出力する。なお、第2変調信号は、第2変調波発振器23から供給される。FM変調器20から出力されるFM連続波の波形については後の原理説明で詳述する。
前置増幅器16は、受信用振動子12から供給される受波信号に対して低雑音増幅等の受信処理を施し、受信RF信号を形成して受信ミキサ30へ出力する。受信ミキサ30は受信RF信号に対して直交検波を施して複素ベースバンド信号を生成する回路であり、2つのミキサ32,34で構成される。各ミキサは受信RF信号を所定の参照信号と混合する回路である。
受信ミキサ30の各ミキサに供給される参照信号は、FM変調器20から出力されFM連続波に基づいて生成される。つまり、FM変調器20から出力されるFM連続波が遅延回路25において遅延処理され、ミキサ32には遅延処理されたFM連続波が直接供給され、一方、ミキサ34には遅延処理されたFM連続波がπ/2シフト回路26を経由して供給される。π/2シフト回路26は遅延処理されたFM連続波の位相をπ/2だけずらす回路である。この結果、2つのミキサ32,34の一方から同相信号成分(I信号成分)が出力され、他方から直交信号成分(Q信号成分)が出力される。そして、受信ミキサ30の後段に設けられるLPF(ローパスフィルタ)36,38によって、同相信号成分および直交信号成分の各々の高周波数成分がカットされ、検波後の必要な帯域のみの復調信号が抽出される。
後の原理説明で詳述するが、各ミキサで実行される受信RF信号と参照信号との混合処理の結果である受信ミキサ出力信号(復調信号)には、FM変調波生成部24から供給される変調波の変調波周波数fmに関する複数の第n次波成分(nは0以上の自然数)が含まれている。つまり、第0次波成分である直流成分、第1次波成分である基本波成分、さらに、nが2以上の複数の高調波成分が含まれている。つまり、これら複数の第n次波成分を含んだ復調信号が、LPF36,38の各々から出力される。
FFT回路(高速フーリエ変換回路)40,42は、復調信号(同相信号成分および直交信号成分)の各々に対してFFT演算を実行する。その結果、FFT回路40,42において復調信号が周波数スペクトラムに変換される。なお、FFT回路40,42から出力される周波数スペクトラムは、回路の設定条件などにより周波数分解能δfの周波数スペクトラムデータとして出力される。
ドプラ情報解析部44は、周波数スペクトラムに変換された復調信号からドプラ情報を抽出する。後に詳述するが、本実施形態では、FM変調波生成部24における変調処理と遅延回路25における遅延処理により目標位置が設定され、ドプラ情報解析部44において目標位置からのドプラ情報が選択的に抽出される。ドプラ情報解析部44は、生体内の各深さ(各位置)ごとにドプラ情報を抽出して、例えば、超音波ビーム(音線)上の各深さごとに生体内組織の速度を算出し、リアルタイムで出力する。なお、超音波ビームを走査させて二次元的あるいは三次元的に生体内組織の各位置の速度を算出してもよい。
表示処理部46は、生体組織の深さ(位置)ごとの速度に基づいて、例えばドプラ波形や、深さ速度の情報を含むグラフなどを形成し、形成したドプラ波形やグラフなどを表示部48にリアルタイムで表示させる。なお、図1に示す超音波診断装置内の各部は、システム制御部50によって制御される。つまり、システム制御部50は、送信制御や受信制御や表示制御などを行う。
以上、概説したように、本実施形態では、連続波(CW)を変調波でFM変調した超音波(FMCW波)を送受波して受信信号が得られて、目標位置からのドプラ情報が選択的に抽出される。そこで、目標位置からのドプラ情報が選択的に抽出される原理について詳述する。なお、図1に示した部分(構成)については、以下の説明においても図1の符号を利用する。
周波数f0のRF波(搬送波)に対して、周波数fmの正弦波によりFM変調を施したFMCW送信波は次式のように表現できる。
Figure 2009254526
数1式において、Δfは周波数変動幅の0−P値(ゼロピーク値:最大周波数偏移)であり、最大周波数偏移Δfと変調周波数fmの比であるβはFMの変調指数である。
また、ドプラシフトを伴う場合のFMCW受信波は、生体における往復の減衰をαとすると次式で表現できる。
Figure 2009254526
なお、数2式においてfmに対するドプラシフトは、f0のシフト分fdに比較して小さいので無視している。
図2は、本実施形態における送信波と受信波を説明するための図である。図2(a)は、FMCW送信波(送信信号)の波形(数1式参照)を示しており、横軸が時間軸であり縦軸が振幅である。また、図2(b)は、FMCW送信波(送信信号)とFMCW受信波(受信信号)の各々についての瞬時周波数変化を示している。図2(b)の横軸は時間軸であり縦軸は周波数(瞬時周波数)である。なお、図2(a)と図2(b)の時間軸は互いに揃えられている。
図2(b)に示されるように、送信信号(破線)は、周期Tm=1/fmで周波数を変化させた連続波となっている。また、受信信号(実線)は、送信信号から、位相角でφmだけ遅れている。なお、図2(b)においては、数2式で示した受信信号の減衰やドプラシフトを省略している。
数2式で表される受信波形は、超音波振動子を介して受信される信号波形(受信RF信号)である。FMCWドプラでは、受信RF信号に対する復調処理において、FMCW送信波を参照信号として受信波と乗算を行う。図1を利用して説明したように、FM変調器20から出力されるFM連続波が遅延回路25において遅延処理され、参照信号として、ミキサ32には遅延処理されたFM連続波が直接供給され、一方、ミキサ34には遅延処理されたFM連続波がπ/2シフト回路26を経由して供給される。したがって、ミキサ32へ供給される参照信号vrI(t)と、ミキサ34へ供給される参照信号vrQ(t)は、次式のように表現できる。
Figure 2009254526
数3式において、φmrは、遅延回路25における遅延処理により任意に設定できる参照信号の位相を示しており、φ0rは、任意に設定した参照信号の位相に対応して決まる搬送波の位相変化量を示している。
受信ミキサ30では、復調処理として直交検波が行われる。つまり、ミキサ32において、受信RF信号vR(t)と参照信号vrI(t)の乗算に相当する処理が実行され、また、ミキサ34において、受信RF信号vR(t)と参照信号vrQ(t)の乗算に相当する処理が実行される。
ミキサ32における受信RF信号vR(t)と参照信号vrI(t)の乗算vDI(t)は次式のように表現される。なお、次式の計算途中において、周波数2f0の成分が消去されている。これは、LPF36において除去される周波数成分である。
Figure 2009254526
ここで、ベッセル関数に関する次の公式を利用する。
Figure 2009254526
数5式の公式を用いると、数4式はさらに次式のように計算される。
Figure 2009254526
一方、ミキサ34における受信RF信号vR(t)と参照信号vrQ(t)の乗算vDQ(t)は次式のように表現される。なお、次式の計算途中において、周波数2f0の成分が消去されている。これは、LPF38において除去される周波数成分である。
Figure 2009254526
ここで、数6式のvDI(t)と数7式のvDQ(t)とに基づいて、複素ベースバンド信号を定義する。まず、vDI(t)とvDQ(t)に含まれている直流(DC)成分、変調周波数fmの偶数次高調波成分を次式のように表現する。
Figure 2009254526
次に、vDI(t)とvDQ(t)に含まれている変調周波数fmの成分、変調周波数fmの奇数次高調波成分を次式のように表現する。
Figure 2009254526
数8式と数9式から、直交検波後のベースバンド信号において、ドプラシフトfdを含んだドプラ信号は、DC成分と変調周波数fmの成分と変調周波数fmの高調波成分とからなる複数の成分の各々についての両側帯波として出現することがわかる。通信工学ではこの種の信号形式を両側帯波搬送波除去変調(Double-Sideband Suppressed-Carrier, DSB-SC)と呼んでいる。
ここで、受信信号と参照信号の位相を互いに揃えた場合、つまり、遅延回路25における遅延処理によりφmrを調整してφmと一致させた場合(φmr=φm)を考える。φmrとφmを一致させた場合には、数4式におけるkが0となる。この結果を数5式のベッセル関数に適用すると、次式のように、0次のベッセル関数の値のみが1となり、それ以外のベッセル関数の値は0となる。
Figure 2009254526
数10式に示す結果を数8式と数9式に適用すると次式のとおりとなる。
Figure 2009254526
数11式は、参照波(参照信号)の位相φmrを送受信間の位相差φmに設定すると、圧縮変換により、ドプラ信号のみが抽出できることを示している。その結果として得られる複素ドプラ周波数fdの値と極性は、血流などの流体の速度とその極性を表わしている。また、ドプラ信号の振幅は、搬送波および参照波の位相に依存しないこともわかる。
この事実は以下のように解釈することもできる。図1における遅延回路25は、参照波(参照信号)における変調波の位相φmrを、送受信間の変調波の位相差φmに設定する役目を持っている。しかし、この遅延回路25は変調波の位相ばかりでなく、搬送波の位相も同時に変化させる。この値がφ0rである。搬送波の位相は、参照波における変調波の位相φmrに応じて変化するので、送受信間の変調波の位相差に応じた特定の値に定めることができない。しかし、数11式に示されているように、φ0rは、φ0と同様に、どんな値になろうとも、直交検波する限りは、ドプラ信号の振幅、周波数およびその極性に影響を与えない。
ここで、数11式に示される圧縮変換後の電力を通常のCWドプラと比較する。周波数変調されていない通常のCWドプラの送信波vT(t)および受信波vR(t)は以下の式で表現できる。
Figure 2009254526
そして、乗算器(受信ミキサ)の出力は、以下のように表現される。
Figure 2009254526
数13式において、2f0の周波数成分を低域濾波器(LPF)により除去すると、受信ミキサ出力は次式のように表現することができる。
Figure 2009254526
数11式と数14式との比較から明らかなように、本実施形態のFMCW方式では、圧縮変換によって、通常のCW方式と同等のドプラ信号電力が得られることがわかる。さらに、本実施形態においては、以下に説明するように、PWドプラ(パルスドプラ)と同様に特定位置のドプラ情報を比較的良好なSNRで得ることができる。
数6式から数9式において、ドプラ信号の振幅を支配するJ0(kβ)の因数であるkβについて考察する。数4式におけるkの定義から、kβは次式のように表現できる。
Figure 2009254526
数15式は、kβが深さdに依存して正弦波状に変化することを意味している。
図3は、kβが深さdに依存して正弦波状に変化する様子を示す図である。第1次ベッセル関数の性質により、kβが0のときにJ0(kβ)が最大値となる。図3において実線で示されるkβの波形は、体表からの深さdが正の範囲において0となる深さが3箇所ある。これら3箇所の深さから得られるドプラ信号の振幅が最大となることを意味している。この効果を計算により検証した結果を図4から図9に示す。
図4から図9は、kβとJ0(kβ)の深さ依存性を示す図である。図4から図6は、FM変調器20における周波数変調の変調指数をβ=10とし、7cmの深さにおいてkβ=0となるように遅延回路25において参照波の位相φmrを設定した場合の反射電圧と電力の深さ依存性を計算した結果である。図4から図6は、同じ計算結果について、縦軸のみを変化させて表現したものであり、kβが0となる深さにおいて、振幅であるJ0(kβ)や電力であるJ0(kβ)2が最大になる様子がわかる。
図7から図9は、FM変調器20における周波数変調の変調指数をβ=10とし、1cmの深さにおいてkβ=0となるように遅延回路25において参照波の位相φmrを設定した場合の反射電圧と電力の深さ依存性を計算した結果である。図7から図9は、同じ計算結果について、縦軸のみを変化させて表現したものであり、やはり、kβが0となる深さにおいて、振幅であるJ0(kβ)や電力であるJ0(kβ)2が最大になる。
数15式から、目的とする深さからの受信信号の位相φmと、参照波の位相φmrと一致させるとkβを0とすることができ、さらに、図4から図9を利用して説明したように、kβが0となる深さにおいてJ0(kβ)が最大となりドプラ信号の振幅が最大となる。つまり、遅延回路25において、目的とする深さからの受信信号の位相φmと参照波の位相φmrを一致させることにより、目的とする深さからのドプラ信号の振幅が最大となるようにして、そのドプラ信号を選択的に抽出することができる。
ドプラ信号の選択的な抽出は、別の手法によっても実現できる。本実施形態においては、図2(b)に示した送信信号の周波数変化の周期(Tm=1/fm)を調整することにより、ドプラ信号の選択的な抽出を実現している。周期Tmは、変調周波数fmを調整することにより、所望の大きさに設定することができる。
数15式から、変調周波数fmを変化させることにより、kβの値が変化することが理解できる。先に利用した図3において、破線で示される2つのkβの波形は、実線で示されるkβの波形から、変調周波数fmをわずかに変化させた場合の波形である。図3の実線の波形と破線の波形との比較からも理解できるように、変調周波数fmを変化させることにより、kβ=0の位置を深さ方向に沿って移動させることができる。そして、図4から図9を利用して説明したように、kβが0となる深さにおいてJ0(kβ)が最大となりドプラ信号の振幅が最大となることから、変調周波数fmの変化により、ドプラ信号の振幅が最大となる深さが移動することを理解できる。
図1の超音波診断装置においては、FM変調波生成部24が、変調周波数fmの変調信号に対して、変調周波数fmよりも小さい変調周波数fm2の第2変調信号を用いて周波数変調を施すことにより、変調周波数fmを変化させている。そこで、変調周波数fmの変化と、ドプラ信号を選択的に抽出する深さdとの関係について説明する。
kβ(図3、数15式参照)に含まれるkやkに含まれるφmは、数2式と数4式において定義したとおりであるが、再掲すると次式のとおりとなる。
Figure 2009254526
kβは、参照波の位相φmrを固定すると、φmの関数となっており、φmに対して正弦波状に変化する。また、φmは数16式で表現されるとおりであり、kβが深さに対しても正弦波状に変化することが理解できる(図3参照)。
数16式におけるφmの単位はラジアンである。深さdを決めれば、変調周波数fmの位相角であるφmを決定することができる。例えば、fm=5kHz,Δd=10mm,c=1500m/sとすると、φmの変化量Δφmは次式のとおり0.42ラジアンとなる。
Figure 2009254526
この位相角を周期的に変化させるためには、変調周波数fmの変調信号を低周波で周波数変調または位相変調すればよい。その低周波の周波数をfm2とすれば、位相変調された変調波(変調信号)vPM(t)は、下式により与えられる。
Figure 2009254526
変調波vPM(t)の瞬時周波数は下式で与えられる。
Figure 2009254526
したがって、上式は、以下のようなFM変調波として表現することもできる。この場合の、最大周波数偏移(0−P値:ゼロピーク値)は、2πΔφmm2となる。
Figure 2009254526
図1のFM変調波生成部24は、例えば、数18式または数20式に基づいて、変調周波数fmの変調信号に対して、変調周波数fmよりも小さい変調周波数fm2の第2変調信号を用いて位相変調または周波数変調を施す。
以上のように、ドプラ信号が選択的に抽出される目標位置は、遅延回路25における遅延処理やFM変調波生成部24における変調処理に基づいて決定される。図1のシステム制御部50は、遅延回路25における遅延時間に基づいて、あるいは、第2変調波発振器23が出力する第2変調波(第2変調信号)に基づいて、目標位置を確認する。そして、システム制御部50は、ドプラ情報解析部44において得られるドプラ情報(ドプラシフト量やドプラ成分の電力など)と、そのドプラ情報が得られた位置(深さ)とを対応付ける。その対応関係は、表示処理部46などに伝えられる。
図10は、第2変調波が正弦波の場合のドプラ情報と深さの対応関係を説明するための図である。図10には、底面に時間軸と深さ軸を設けて高さ方向のZ軸にドプラ情報(ドプラシフト量またはドプラ成分の電力)を示したグラフが図示されている。
第2変調波が正弦波の場合、第2変調波を用いた変調により、FM変調波生成部24から出力される変調信号の変調周波数fmが時間の経過と共に正弦波状に変化し、ドプラ情報が得られる目標位置(深さ)も時間の経過と共に正弦波状に変化する。
図10には、時間の経過と共に、目標位置が深さ−d/2から+d/2の間(対象区間)を正弦波に沿って変化する様子が示されている。なお、図10に示すグラフは、第2変調波の周波数がfm2の場合であり、目標位置が周期1/fm2の正弦波に沿って変化している。そして、正弦波に沿って変化する各位置において、その位置から得られるドプラ情報がZ軸方向に示されている。
このように、深さ−d/2から+d/2までの対象区間内において、各位置(深さ)ごとにドプラ情報が得られるため、例えば、そのドプラ情報から各位置(深さ)ごとに速度を算出することにより、図10に示すように、深さ−d/2から+d/2までの対象区間内における速度分布70を得ることができる。
なお、図10においては、深さ−d/2と+d/2の中間位置において、比較的大きなドプラ情報が得られている。血管内においては、通常、血管壁の近傍に比べて血管の中心付近において大きな血流が得られる。そのため、例えば、血管と交差するように超音波ビームを設定し、超音波ビーム上の血管に対応した部分に対象区間(深さ−d/2から+d/2)を設定することにより、例えば、図10のような計測結果が得られ、血管内の血流の速度分布70が得られる。
また、対象区間の位置は、例えば、遅延回路25における遅延量に応じて設定される。例えば、遅延回路25において、血管などの中央付近を目標とした遅延量により参照信号に対して遅延処理を施す。これにより、対象区間の中央位置が血管などの中央付近に設定される。そして、第2変調波を用いた変調により、FM変調波生成部24から出力される変調信号の変調周波数fmを時間の経過と共に正弦波状に変化させ、血管などの中央付近を基準として深さ−d/2から+d/2までの間の範囲のドプラ情報を抽出する。これにより、所望の位置に対象区間を移動させて図10のような計測結果を得ることができる。
図11は、速度分布の表示態様を示す図であり、図11には、底面に時間軸と深さ軸を設けて、ドプラ情報から得られる流速を高さ方向に示したグラフが図示されている。図11に示すグラフは、図1の表示処理部46において形成されて表示部48に表示される画像の一例である。表示処理部46は、例えば、システム制御部50から得られるドプラ情報とその位置(深さ)との対応関係に基づいて図11に示す画像を形成する。
つまり、時間の経過と共に変化する目標位置(深さ)と、図1のドプラ情報解析部44から得られるドプラ情報が対応付けられ、ドプラ情報から速度(流速)が算出される。そして、時間の経過と共に、目標位置が深さ−d/2から+d/2までの対象区間内を繰り返し移動することにより、対象区間内における流速の時間変化を示す図11のグラフが形成される。
図11のグラフは、深さ−d/2から+d/2までの対象区間内における流速分布が、時間の経過と共に変化する様子を示している。例えば、血管と交差するように超音波ビームを設定し、超音波ビーム上の血管に対応した部分に対象区間(深さ−d/2から+d/2)を設定することにより、その血管の部分における血流の流速分布の変化として図11に示すような計測結果が得られる。
なお、以上の説明においては、第2変調波が正弦波の場合について説明したが、第2変調波は鋸波や三角波などでもよい。
図12は、第2変調波が鋸波の場合のドプラ情報と深さの対応関係を説明するための図である。図12には、図10と同様に、底面に時間軸と深さ軸を設けて高さ方向にドプラ情報を示したグラフが示されている。第2変調波が鋸波の場合、第2変調波を用いた変調により、FM変調波生成部24から出力される変調信号の変調周波数fmが時間の経過と共に鋸波状に変化し、ドプラ情報が得られる目標位置(深さ)も時間の経過と共に鋸波状に変化する。
図12には、時間の経過と共に、目標位置が深さ−d/2から+d/2の間(対象区間)を鋸波に沿って変化する様子が示されている。なお、図12に示すグラフにおいても、第2変調波の周波数がfm2であり、目標位置が周期1/fm2の鋸波に沿って変化している。そして、鋸波に沿って変化する各位置において、その位置から得られるドプラ情報が高さ方向に示されている。また、図10の場合と同様に、深さ−d/2から+d/2までの対象区間内における速度分布70を得るようにしてもよい。
図13は、第2変調波が対称三角波の場合のドプラ情報と深さの対応関係を説明するための図である。図13には、図10,図12と同様に、底面に時間軸と深さ軸を設けて高さ方向にドプラ情報を示したグラフが示されている。第2変調波が対称三角波の場合、ドプラ情報が得られる目標位置(深さ)が時間の経過と共に対称三角波に沿って変化する。図13には、対称三角波に沿って変化する各位置において、その位置から得られるドプラ情報が高さ方向に示されている。なお、図10,図12の場合と同様に、深さ−d/2から+d/2までの対象区間内における速度分布70を得るようにしてもよい。
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、上述した本発明の好適な実施形態は、あらゆる点で単なる例示にすぎず、本発明の範囲を限定するものではない。本発明は、その本質を逸脱しない範囲で各種の変形形態を包含する。
例えば、上述した実施形態においては、周期Tmで周波数を変化させた連続波の送信信号を形成するにあたって、搬送波信号(RF波発振器22から供給されるRF波)に対して周波数変調処理を施している。この周波数変調処理に換えて、周波数変調処理と同じ角度変調の方式として当業者において明らかな位相変調処理(PM処理)を利用してもよい。つまり、搬送波信号(RF波発振器22から供給されるRF波)に対して位相変調処理を施すことにより、FM変調器20から出力されるFM連続波と同じ波形あるいは同等な波形を形成してもよい。なお、周波数を周期的に変化させる連続波のデータをメモリなどに記憶しておき、このメモリから読み出されるデータに基づいて、当該連続波を生成してもよい。
本発明に係る超音波診断装置の全体構成を示す機能ブロック図である。 本実施形態における送信波と受信波を説明するための図である。 kβが深さdに依存して正弦波状に変化する様子を示す図である。 kβとJ0(kβ)の深さ依存性を示す図である。 kβとJ0(kβ)の深さ依存性を示す図である。 kβとJ0(kβ)の深さ依存性を示す図である。 kβとJ0(kβ)の深さ依存性を示す図である。 kβとJ0(kβ)の深さ依存性を示す図である。 kβとJ0(kβ)の深さ依存性を示す図である。 第2変調波が正弦波の場合のドプラ情報と深さと時間の関係を説明するための図である。 速度分布の表示態様を示す図である。 第2変調波が鋸波の場合のドプラ情報と深さの対応関係を説明するための図である。 第2変調波が対称三角波の場合のドプラ情報と深さの対応関係を説明するための図である。
符号の説明
20 FM変調器、22 RF波発振器、23 第2変調波発振器、24 FM変調波生成部、25 遅延回路、40,42 FFT回路、44 ドプラ情報解析部、46 表示処理部。

Claims (9)

  1. 周期Tmで周波数を変化させた連続波の送信信号を出力する送信信号処理部と、
    前記送信信号に基づいて超音波を送受波することにより生体から得られる受信信号に対して、前記送信信号に実質的に等しい波形の参照信号を用いて復調処理を施すことにより復調信号を得る受信信号処理部と、
    復調信号からドプラ情報を抽出するドプラ情報抽出部と、
    を有し、
    生体内の目標位置の深さに応じて前記送信信号の周期Tmを調整することにより、目標位置からのドプラ情報を選択的に抽出する、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  2. 請求項1に記載の超音波診断装置において、
    前記送信信号は、変調信号を用いて搬送波信号を変調することにより形成され、
    前記変調信号の変調周波数が調整されることにより、前記送信信号の周期Tmが調整される、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  3. 請求項2に記載の超音波診断装置において、
    前記変調信号の変調周波数を変化させて前記送信信号の周期Tmを変化させることにより、深さ方向に沿って目標位置を移動させつつ目標位置からドプラ情報を抽出する、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  4. 請求項3に記載の超音波診断装置において、
    前記変調信号の変調周波数を周期的に変化させて深さ方向に沿った対象区間内において目標位置を周期的に移動させることにより、対象区間内に亘って複数の位置からドプラ情報を抽出する、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  5. 請求項4に記載の超音波診断装置において、
    前記参照信号と前記受信信号との間の遅延関係を調整して復調処理を施すことにより、前記対象区間の位置を設定する、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載の超音波診断装置において、
    前記送信信号処理部は、変調周波数fmの変調信号を用いて搬送波信号を周波数変調することにより前記送信信号を形成し、
    前記目標位置の深さに応じて変調周波数fmが調整されることにより、前記送信信号の周期Tm=1/fmが調整される、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  7. 請求項6に記載の超音波診断装置において、
    前記送信信号処理部は、変調周波数fmの変調信号に対して変調周波数fmよりも小さい変調周波数fm2の第2変調信号を用いて周波数変調を施し、その周波数変調後の変調信号を用いて搬送波信号を周波数変調することにより前記送信信号を形成し、
    これにより、変調周波数fmを周期1/fm2で変化させて深さ方向に沿った対象区間内において目標位置を周期1/fm2で移動させることにより、対象区間内に亘って複数の位置からドプラ情報を抽出する、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  8. 請求項7に記載の超音波診断装置において、
    前記対象区間内に亘って複数の位置から抽出されるドプラ情報に基づいて、対象区間内における流体の速度分布を形成する、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  9. 請求項8に記載の超音波診断装置において、
    生体内の深さに対応した軸と時間に対応した軸と流体の速度に対応した軸とを含み、前記速度分布の時間変化の様子を示した表示画像を形成する、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
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