JP5308748B2 - 超音波診断装置 - Google Patents

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本発明は、超音波診断装置に関し、特に、連続波を利用する超音波診断装置に関する。
超音波診断装置の連続波を利用した技術として、連続波ドプラが知られている。連続波ドプラでは、例えば、数MHzの正弦波である送信波が生体内へ連続的に放射され、生体内からの反射波が連続的に受波される。反射波には、生体内における運動体(例えば血流など)によるドプラシフト情報が含まれる。そこで、そのドプラシフト情報を抽出して周波数解析することにより、運動体の速度情報を反映させたドプラ波形などを形成することができる。
連続波を利用した連続波ドプラは、パルス波を利用したパルスドプラに比べて一般に高速の速度計測の面で優れている。こうした事情などから、本願発明者は、連続波ドプラに関する研究を重ねてきた。その成果の一つとして、特許文献1において、周波数変調処理を施した連続波ドプラ(FMCWドプラ)に関する技術を提案している。
一方、連続波ドプラでは、連続波を利用していることにより位置計測が困難である。例えば、従来の一般的な連続波ドプラの装置(FMCWドプラを利用しない装置)では、位置計測を行うことができなかった。これに対し、本願発明者は、特許文献2において、FMCWドプラにより生体内組織の速度に加えて生体内組織の位置を計測することができる技術を提案している。
特開2005−253949号公報 特開2006−14916号公報
特許文献1や特許文献2に記載されたFMCWドプラの技術は、それまでにない超音波診断の可能性を秘めた画期的な技術である。本願発明者は、この画期的な技術の改良についてさらに研究開発を重ねてきた。特に、デジタル変調処理された連続波を利用して目標位置からの生体内情報を抽出する技術に注目して研究開発を重ねてきた。
本発明は、その研究開発の過程において成されたものであり、その目的は、デジタル変調処理された連続波を利用して目標位置からの生体内情報を抽出する技術において目標位置の設定機能を高めることにある。
上記目的を達成するために、本発明の好適な態様である超音波診断装置は、周期的な信号列に基づいてデジタル変調処理された第1連続波信号と第2連続波信号を多重化した送信信号を出力する送信信号処理部と、前記送信信号に対応した超音波を生体に送波して生体からの反射波を受波することにより受信信号を得る送受波部と、第1連続波信号に実質的に等しい波形の第1参照信号を用いて前記受信信号に対して復調処理を施すことにより第1復調信号を得て、第2連続波信号に実質的に等しい波形の第2参照信号を用いて前記受信信号に対して復調処理を施すことにより第2復調信号を得る受信信号処理部と、第1復調信号と第2復調信号のうちの少なくとも一方の復調信号から生体内情報を抽出する生体内情報抽出部と、を有し、生体内の第1目標位置から得られる受信信号と第1参照信号の間の相関関係を調整して復調処理を施すことにより第1復調信号を得て、第1復調信号から第1目標位置の生体内情報を抽出し、生体内の第2目標位置から得られる受信信号と第2参照信号の間の相関関係を調整して復調処理を施すことにより第2復調信号を得て、第2復調信号から第2目標位置の生体内情報を抽出する、ことを特徴とする。
上記態様では、参照信号を用いて受信信号に対して復調処理を施しているため、参照信号との相関が比較的大きい信号成分を含んだ復調信号を得ることができる。そして、その復調処理にあたり、目標位置から得られる受信信号と参照信号との間の相関関係が調整され、例えば、第1参照信号との相関が比較的大きい信号成分として第1目標位置からの受信信号を抽出することができ、第2参照信号との相関が比較的大きい信号成分として第2目標位置からの受信信号を抽出することができる。第1目標位置と第2目標位置のように複数の目標位置を設定することができるため、例えば、第1目標位置と第2目標位置とを互いに異なる位置とすることにより、2つの目標位置から生体内情報を抽出することが可能になり、また、第1目標位置と第2目標位置とを互いに同じ位置とすることにより、その位置において比較的有利な方の生体内情報を選択的に利用することなども可能になる。
なお、上記態様において、第1参照信号と第1連続波信号は、互いに完全に等しい波形であることが望ましいものの、互いに実質的に等しい波形とみなせる程度の対応関係でもよい。同様に、第2参照信号と第2連続波信号は、互いに完全に等しい波形であることが望ましいものの、互いに実質的に等しい波形とみなせる程度の対応関係でもよい。
望ましい態様において、前記第1連続波信号と第2連続波信号は、互いに異なる周期の信号列に基づいてデジタル変調処理された連続波である、ことを特徴とする。
望ましい態様において、前記超音波診断装置は、前記第1連続波信号を介して得られる第1復調信号と前記第2連続波信号を介して得られる第2復調信号のうち、同一の目標位置における不要信号が少ない方の復調信号を利用して、当該目標位置からの生体内情報を選択的に抽出する、ことを特徴とする。
望ましい態様において、前記不要信号には、前記デジタル変調処理における周期的な信号列の周期に対応して、超音波の送受波方向に沿って周期的に出現する極大成分が含まれており、前記超音波診断装置は、前記第1復調信号と第2復調信号のうち、極大成分が目標位置からずれている方の復調信号を利用する、ことを特徴とする。
望ましい態様において、前記超音波診断装置は、前記第1目標位置の深さに応じた遅延処理を施して受信信号と第1参照信号の間の遅延関係を調整することにより当該2つの信号間の相関関係を調整し、第1目標位置から得られる受信信号の信号列パターンと第1参照信号の信号列パターンとを互いに一致させ、前記第2目標位置の深さに応じた遅延処理を施して受信信号と第2参照信号の間の遅延関係を調整することにより当該2つの信号間の相関関係を調整し、第2目標位置から得られる受信信号の信号列パターンと第2参照信号の信号列パターンとを互いに一致させる、ことを特徴とする。
望ましい態様において、前記送信信号処理部は、周期的な信号列に基づいた位相シフトキーイングにより位相を変化させた第1連続波信号と第2連続波信号を利用する、ことを特徴とする。
望ましい態様において、前記送信信号処理部は、周期的な信号列に基づいた周波数シフトキーイングにより周波数を変化させた第1連続波信号と第2連続波信号を利用する、ことを特徴とする。
本発明により、デジタル変調処理された連続波を利用して目標位置からの生体内情報を抽出する技術において目標位置の設定機能が高められる。例えば、本発明の好適な態様によれば、第1目標位置と第2目標位置のように複数の目標位置を設定することができるため、例えば第1目標位置と第2目標位置とを互いに異なる位置とすることにより2つの目標位置から生体内情報を抽出することが可能になり、また、例えば第1目標位置と第2目標位置とを互いに同じ位置とすることによりその位置において比較的有利な方の生体内情報を選択的に利用することなども可能になる。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。
図1には、本発明に係る超音波診断装置の好適な実施形態が示されており、図1はその全体構成を示す機能ブロック図である。送信用振動子10は生体内へ送信波を連続的に送波し、また、受信用振動子12は生体内からの反射波を連続的に受波する。このように、送信および受信がそれぞれ異なる振動子で行われて、いわゆる連続波ドプラ法による送受信が実行される。本実施形態において利用される送信信号は、デジタル変調処理された第1連続波信号と第2連続波信号を多重化して形成される。
第1デジタル変調処理部21は、第1パターン発生部25から供給される周期的な信号列に基づいて、第1RF波発振器23から供給されるRF波に対してデジタル変調処理を施して第1連続波信号を発生する。第1デジタル変調処理部21における変調処理としては、位相シフトキーイング(PSK)や周波数シフトキーイング(FSK)などが好適である。第1デジタル変調処理部21において形成される第1連続波信号の波形については後の原理説明で詳述する。
第2デジタル変調処理部22は、第2パターン発生部26から供給される周期的な信号列に基づいて、第2RF波発振器24から供給されるRF波に対してデジタル変調処理を施して第2連続波信号を発生する。第2デジタル変調処理部22における変調処理としては、位相シフトキーイング(PSK)や周波数シフトキーイング(FSK)などが好適である。第2デジタル変調処理部22において形成される第2連続波信号の波形については後の原理説明で詳述する。
多重処理部20は、第1連続波信号と第2連続波信号を多重化した送信信号を形成する。多重処理部20は、例えば第1連続波信号と第2連続波信号を加算処理して送信信号を形成する。多重処理部20において形成された送信信号は電力増幅器14へ出力される。
電力増幅器14は、送信信号を電力増幅して送信用振動子10に供給する。これにより、送信信号に対応した送信波が送信用振動子10から送波され、生体内からの反射波が連続的に受信用振動子12によって受波される。そして、前置増幅器16は、受信用振動子12から供給される受波信号に対して低雑音増幅等の受信処理を施し、受信RF信号を形成して受信ミキサ29と受信ミキサ30へ出力する。
受信ミキサ29は、受信RF信号に対して直交検波を施して複素ベースバンド信号を生成する回路であり、2つのミキサ31,33で構成される。各ミキサは受信RF信号を所定の参照信号と混合する回路である。
受信ミキサ29の各ミキサに供給される参照信号は、第1連続波信号に基づいて生成される。つまり、第1デジタル変調処理部21から出力される第1連続波信号が遅延回路27Iと遅延回路27Qにおいて遅延処理され、遅延回路27Iにおいて遅延処理された連続波がミキサ31に供給され、遅延回路27Qにおいて遅延処理された連続波がミキサ33に供給される。
遅延回路27Iと遅延回路27Qは、目標位置の深さに応じた遅延量だけ第1連続波信号に遅延処理を施し、遅延された参照信号を出力する。遅延回路27Iと遅延回路27Qは、各々、例えばn段のシフトレジスタによって形成することができる。この場合、シフトレジスタのn段のタップから目標位置の深さに応じた遅延量のタップが選択され、選択されたタップから目標位置の深さに応じた参照信号(遅延処理された第1連続波信号)が出力される。
なお、遅延回路27Iと遅延回路27Qは、互いに連続波の位相をπ/2だけずらして遅延処理を行う。その結果、ミキサ31から同相信号成分(I信号成分)が出力され、ミキサ33から直交信号成分(Q信号成分)が出力される。そして、受信ミキサ29の後段に設けられるLPF(ローパスフィルタ)35,37によって、同相信号成分および直交信号成分の各々の高周波数成分がカットされて検波後の必要な帯域のみの復調信号が抽出される。
後の原理説明で詳述するが、各ミキサで実行される受信RF信号と参照信号との混合処理の結果である受信ミキサ出力信号(復調信号)には、目標位置からの受信信号成分が多く含まれている。LPF35,37において、その目標位置からの受信信号成分に含まれている直流信号成分が抽出される。
FFT回路(高速フーリエ変換回路)41,43は、復調信号(同相信号成分および直交信号成分)の各々に対してFFT演算を実行する。その結果、FFT回路41,43において復調信号が周波数スペクトラムに変換される。なお、FFT回路41,43から出力される周波数スペクトラムは、回路の設定条件などにより周波数分解能δfの周波数スペクトラムデータとして出力される。
ドプラ情報解析部45は、周波数スペクトラムに変換された復調信号からドプラ情報を抽出する。その際、予め遅延回路27I,27Qによって、生体内の目標位置の深さに応じて参照信号と受信信号との間の遅延関係が調整されているため、目標位置からのドプラ情報が選択的に抽出される。遅延関係の調整と目標位置からのドプラ情報の抽出との関連については、後の原理説明において詳述する。ドプラ情報解析部45は、生体内の各深さ(各位置)ごとにドプラ情報を抽出して、例えば、超音波ビーム(音線)上の各深さごとに生体内組織の速度を算出してリアルタイムで出力してもよい。なお、超音波ビームを走査させて二次元的あるいは三次元的に生体内組織の各位置の速度を算出してもよい。
一方、受信ミキサ30からドプラ情報解析部46までの経路にも、受信ミキサ29からドプラ情報解析部45までの各部に対応した構成が設けられている。そして、上述した受信ミキサ29からドプラ情報解析部45までの処理と同様な信号処理が、受信ミキサ30からドプラ情報解析部46において実行される。
但し、受信ミキサ30の各ミキサ32,34に供給される参照信号は、第2連続波信号に基づいて生成される。つまり、第2デジタル変調処理部22から出力される第2連続波信号が遅延回路28Iと遅延回路28Qにおいて遅延処理され、遅延回路28Iにおいて遅延処理された連続波がミキサ32に供給され、遅延回路28Qにおいて遅延処理された連続波がミキサ34に供給される。
遅延回路28Iと遅延回路28Qは、目標位置の深さに応じた遅延量だけ第2連続波信号に遅延処理を施し、遅延された参照信号を出力する。なお、遅延回路28Iと遅延回路28Qにおいて設定される目標位置(第2目標位置)は、遅延回路27Iと遅延回路27Qにおいて設定される目標位置(第1目標位置)と同じでもよいし異なってもよい。
遅延回路28Iと遅延回路28Qは、互いに連続波の位相をπ/2だけずらして遅延処理を行う。その結果、ミキサ32から同相信号成分(I信号成分)が出力され、ミキサ34から直交信号成分(Q信号成分)が出力される。そして、受信ミキサ30の後段に設けられるLPF(ローパスフィルタ)36,38によって同相信号成分および直交信号成分の各々の高周波数成分がカットされて検波後の必要な帯域のみの復調信号が抽出される。
FFT回路(高速フーリエ変換回路)42,44は、復調信号(同相信号成分および直交信号成分)の各々に対してFFT演算を実行する。その結果、FFT回路42,44において復調信号が周波数スペクトラムに変換される。
ドプラ情報解析部46は、周波数スペクトラムに変換された復調信号からドプラ情報を抽出する。予め遅延回路28I,28Qによって、生体内の目標位置の深さに応じて参照信号と受信信号との間の遅延関係が調整されているため、目標位置からのドプラ情報が選択的に抽出される。
表示処理部50は、生体組織の深さ(位置)ごとの速度に基づいて、例えばドプラ波形や、深さ速度の情報を含むグラフなどを形成し、形成したドプラ波形やグラフなどを表示部52にリアルタイムで表示させる。なお、図1に示す超音波診断装置内の各部は、システム制御部60によって制御される。つまり、システム制御部60は、送信制御や受信制御や表示制御などを行う。
以上に概説したように、本実施形態では、デジタル変調処理された第1連続波信号と第2連続波信号を多重化して送信信号を形成している。そして、その送信信号に対応した超音波を送受波して受信信号を得て、生体内の目標位置の深さに応じて参照信号と受信信号との間の遅延関係を調整し、目標位置からの受信信号と参照信号との間の相関を強めて復調処理を施すことにより、目標位置からの生体内情報としてドプラ情報を選択的に抽出する。第1デジタル変調処理部21と第2デジタル変調処理部22における変調方式としては、位相シフトキーイング(PSK)や周波数シフトキーイング(FSK)が好適である。そこで、各変調方式ごとに、目標位置からのドプラ情報が選択的に抽出される原理について詳述する。なお、既に図1に示した部分(構成)については、以下の説明においても図1の符号を利用する。
<位相シフトキーイング(PSK)による位置選択性>
図2は、位相シフトキーイング(PSK)により形成される連続波信号を説明するための図である。図2(A)には、第1RF波発振器23から出力されるRF信号(RF波)の波形が示されている。RF信号は、一定の周波数(例えば5MHz程度)の連続波である。図2(B)には、第1パターン発生部25から出力される周期的な信号列に対応した4相コードが示されている。第1パターン発生部25は、ランダムに値を変化させた4値符号(擬似ランダム信号)を発生する。その4値符号の各値に4つの位相(0,π/2,π,3π/2)の各々を対応付けたものが図2(B)の4相コードである。なお、2πと0、5π/2とπ/2、3πとπが互いに同じコードに対応している。
図2(C)には、PSK変調器として機能する第1デジタル変調処理部21において形成されるPSK信号、つまり変調された連続波信号(第1連続波信号)が示されている。第1デジタル変調処理部21は、図2(A)のRF信号に対して、図2(B)の4相コードに基づいて、位相シフトキーイング(PSK)の変調処理を施す。第1デジタル変調処理部21は、4相コードの各コードの期間において、RF信号の位相をそのコードに対応した位相量だけシフトさせることにより、図2(C)のPSK信号(連続波信号)を形成する。
なお、第2デジタル変調処理部22においても、図2を利用して説明したPSKの変調処理が実行される。例えば、第2RF波発振器24からも、図2(A)と同じ波形のRF信号(RF波)が出力される。但し、第1RF波発振器23から出力されるRF信号の周波数(搬送波周波数)f01と、第2RF波発振器24から出力されるRF信号の周波数(搬送波周波数)f02は、互いに異なる周波数であることが望ましい。
また、第2パターン発生部26は、ランダムに値を変化させた4値符号(擬似ランダム信号)を発生し、その4値符号の各値に4つの位相の各々を対応付けて、図2(B)と同様な4相コードが形成される。第1パターン発生部25と第2パターン発生部26から出力される2つの擬似ランダム信号については、擬似ランダムパターンの種類や長さや切り返し周期を互いに独立に設定してもよい。
そして、第2デジタル変調処理部22においても、図2(A)のRF信号に対して、図2(B)の4相コードに基づいて、位相シフトキーイング(PSK)の変調処理が行われて、図2(C)と同様な波形のPSK信号(第2連続波信号)が形成される。さらに、多重処理部20において、2つのPSK信号つまり第1連続波信号と第2連続波信号が多重化され、送信信号が形成される。
図3は、2つのPSK信号と送信信号の周波数スペクトラムを示す図である。図3(1)には、第1デジタル変調処理部21において形成されるPSK信号(第1連続波信号)の周波数スペクトラムが示されている。周波数f01は、第1RF波発振器23から出力されるRF信号の周波数である。PSK信号(第1連続波信号)の周波数スペクトラムはRF信号の周波数f01を中心として側帯波が広がった形状となっている。
図3(2)には、第2デジタル変調処理部22において形成されるPSK信号(第2連続波信号)の周波数スペクトラムが示されている。周波数f02は、第2RF波発振器24から出力されるRF信号の周波数である。第2連続波信号の周波数スペクトラムもRF信号の周波数f02を中心として側帯波が広がった形状となっている。周波数f01と周波数f02とを互いに異なる周波数とすることにより、周波数軸上において第1連続波信号と第2連続波信号が互いにずれて形成される。
図3(3)には、多重処理部20において形成される送信信号の周波数スペクトラムが示されている。図3(1)の第1連続波信号と図3(2)の第2連続波信号が加算されることにより、図3(3)の送信信号、つまり2つのPSK信号が多重化された信号が形成される。こうして、例えば図3(3)の送信信号に対応した超音波が送信用振動子10から出力され、受信用振動子12を介して生体内から受信信号が得られる。
本実施形態では、第1デジタル変調処理部21において形成された第1連続波信号に対して遅延処理を施して参照信号を形成し、受信ミキサ29においてその参照信号を用いて受信信号に対してミキサ処理(参照信号と受信信号の乗算)が行われる。このミキサ処理において、遅延処理された参照信号の位相に対応する深さ(第1目標位置)からの受信信号と参照信号との間の相関が強められて最大となり、その他の深さからの受信信号と参照信号との間の相関が極端に小さくなり、位置選択性が実現される。
同様に、第2デジタル変調処理部22において形成された第2連続波信号に対して遅延処理を施して参照信号を形成し、受信ミキサ30においてその参照信号を用いて受信信号に対してミキサ処理(参照信号と受信信号の乗算)が行われる。このミキサ処理において、遅延処理された参照信号の位相に対応する深さ(第2目標位置)からの受信信号と参照信号との間の相関が強められて最大となり、その他の深さからの受信信号と参照信号との間の相関が極端に小さくなり、位置選択性が実現される。
図4は、4相のPSKによる位置選択性を説明するための図である。図4に示す4相コードは、図2の4相コードと同じパターンであり、図2を利用して説明したように、4相コードを用いてRF信号に対して位相シフトキーイング(PSK)の変調処理を施すことにより、図4のPSK信号(連続波信号)が形成される。つまり、第1デジタル変調処理部21において第1連続波信号が形成され、第2デジタル変調処理部22において第2連続波信号が形成される。
そこで、まず、第1連続波信号による位置選択性について説明する。第1連続波信号を遅延処理して得られる参照信号の位相をφ〜φまで変化させて受信信号と乗算すると図4に示すような結果(乗算器出力)が得られる。
図4に示す位相の中で、φは、位相すなわち遅延時間を目標の深さに調整したときの結果である。受信信号と参照信号がどの時間帯でも一致していることがわかる。乗算器出力は、受信信号が参照信号の極性によりスイッチングされた形となり、その周波数スペクトラムは、直流成分と搬送波(RF信号)の2倍の高調波成分となる。ドプラ信号は、これらのスペクトラムがドプラシフトを受け、直流成分に附着した形で、一般的に微小電力で出現する。
図4に示す位相の中で、目標の深さの遅延時間に相当する値に一致しないのは、参照信号の位相がφ,φの場合である。この場合には、受信信号と参照信号の両者の位相差がπ/2となると、乗算器出力の直流成分は“0”となる。両者の位相差がπの場合は、乗算器出力の直流成分は“−1”となる。また、両者の位相差が“0”あるいは“2π”の場合は、乗算器出力の直流成分は“+1”となる。したがって、時間的に平均化した乗算器出力は、φ=φの場合に−2、φ=φの場合に+3となる。これに対し、φ=φの場合には“+9”であり、φ=φ,φの場合との比較において、明らかに大きな相関値を示している。
このように、参照信号の位相を目標位置の深さに対応付けることにより、その目標位置から得られる受信信号との相関が極端に大きくなり、その目標位置からの受信信号を選択的に抽出することが可能になる。
なお、第2連続波信号による位置選択性についても、第1連続波信号の場合と同様である。つまり、第2連続波信号を遅延処理して得られる参照信号の位相をφ〜φまで変化させて受信信号と乗算すると図4に示すような結果(乗算器出力)が得られ、参照信号の位相に対応した目標位置からの受信信号が選択的に抽出される。
図5は、乗算器出力の電圧と参照信号の位相との関係を説明するための図である。図5には、受信信号の擬似ランダムパターンと、位相の異なる複数の参照信号の各々の擬似ランダムパターンとを乗算した結果の合計値が示されている。受信ミキサ29と受信ミキサ30の各々から図5に示す乗算器出力に対応した出力結果が得られる。
図5においては、擬似ランダムパターンの繰り返し周期ごとに合計値のピークが出現し、ピーク以外の位相では、電圧(合計値)は極端に小さくなっている。この例における擬似ランダムパターンの長さは7ビットであり、乗算器出力は約3周期分、すなわち20ビットの合計である“20”が最大値となっている。一方、ピーク以外の位相では、合計は−2または−4であり、“20”に比べて極端に小さい。
このように、目標位置からの受信信号に対応するように参照信号の位相を調整することにより、その目標の深さからの反射波電力とドプラ情報を選択的に検出する位置選択性が実現される。また、その位置選択性は、第1連続波信号に対応した参照信号と第2連続波信号に対応した参照信号とを利用して独立的かつ並行的に実現される。そのため、例えば、第1連続波信号に対する位相調整による第1目標位置と、第2連続波信号に対する位相調整による第2目標位置とを互いに異なる位置として、並行的に2つの目標位置からドプラ情報を抽出することなどが可能になる。
図6は、2つの目標位置からドプラ情報を抽出する例を説明するための図である。断層画像100は、診断対象となる生体内のBモード画像などである。例えば、超音波診断装置のBモード画像形成機能を利用して予め生体内の断層画像100を形成し、ユーザがその断層画像100を見ながら血管などの診断対象の位置を確認して計測用の超音波ビームBMの方向などを設定する。そして、その超音波ビームBM上において、診断対象の深さつまり目標位置を設定する。こうして設定された目標位置がサンプルボリュームSVであり、図6においては、サンプルボリュームSVが互いに異なる2つの深さの血管に設定されている。
そして、設定された2つのサンプルボリュームSVのうちの一方を第1目標位置として遅延回路27Iと遅延回路27Qにおける遅延量が設定され、同様に、2つのサンプルボリュームSVのうちの他方を第2目標位置として遅延回路28Iと遅延回路28Qにおける遅延量が設定される。こうして、上述した本実施形態における位置選択性の機能により2つのサンプルボリュームSVの位置から並行的にドプラ情報が抽出される。
なお、上記の例では、第1連続波信号と第2連続波信号の2つの連続波信号を多重化しているため、2つの目標位置からドプラ情報を抽出することができる。つまり、連続波信号の数に応じて目標位置の数が決定される。そのため、連続波信号の数を増やすことにより、目標位置の数を3つ以上に増やすことも可能である。例えば、第1連続波信号と第2連続波信号に加えて、第3連続波信号や第4連続波信号を多重化することにより、3つあるいは4つの目標位置からドプラ情報を抽出することもできる。
また、第1連続波信号による第1目標位置と第2連続波信号による第2目標位置を互いに同じ位置に設定して、その位置において比較的有利な方の連続波信号を選択的に用いてドプラ情報を抽出してもよい。例えば、図5に示すように、本実施形態における位置選択性は、深さ方向に周期性を伴っている。この周期性に応じて深さ方向に周期的に不要信号が出現する。その不要信号が少ない方の連続波信号を選択的に利用してもよい。そこで、周期的に出現する不要信号について説明する。
図7は、位置選択の周期性を説明するための図である。図7の上段に示す乗算器出力(信号電力)は、乗算器(受信ミキサ29,30)から出力されるドプラ信号成分の電力を示しており、図5を用いて説明したように深さ方向に沿って周期性を持っている。したがって、例えば、目標位置(選択位置)からの受信信号と参照信号の位相を一致させると、当該目標位置からの受信信号を抽出すると同時に、当該目標位置と周期的な対応関係にある他の位置からの受信信号も抽出してしまう。その周期的な対応関係は、第1パターン発生部25と第2パターン発生部26の各々から出力される周期的な信号列(擬似ランダム信号)の周期1/fp1に伴うものである。例えば、図7の上段に示すように、深さdを目標位置として設定した場合に、擬似ランダム信号の周期1/fp1に対応した距離だけ離れた表面付近の受信信号も抽出されてしまう。
表面付近からの信号は、周波数依存減衰(FDA)の影響をほとんど受けないため、固定組織からの反射電力が極端に大きい。そのため、表面付近からの信号が抽出されてしまうと、表面付近からの反射電力が目標位置からの微小信号に覆いかぶさる状態となり、当該微小信号の検出感度を劣化させてしまう可能性がある。図7の下段は、その検出感度の劣化を説明するための図である。
図7の下段に示す乗算器出力(クラッタ積算電力)は、体表からの深さとクラッタ積算電力との対応関係を示している。横軸の各深さ(体表からの深さ)に対応する縦軸の値(クラッタ積算電力)は、各深さに対応するように参照信号の位相を設定した場合に、その設定条件の参照信号を用いて得られる復調信号に含まれるクラッタ電力を積算したものである。例えば、参照信号の位相をτに設定すると、位相τに対応した目標位置(選択位置)からの受信信号が選択的に抽出される。ところが、通常は深さ方向のほぼ全域に亘って固定組織が存在するため、目標位置以外の深さからの固定組織成分(クラッタ成分)も選択性は低いが抽出されてしまう。そこで、位相をτに設定した参照信号を用いて得られる復調信号に含まれるクラッタ電力を超音波ビーム方向に沿って合計した値がクラッタ積算電力Pとなる。同様に、参照信号の位相をτに設定した場合のクラッタ積算電力がPである。
図7の下段において、参照信号の位相がτの場合は、τの場合に比べて、目標位置(選択位置)が組織表面に近いため、FDAの影響をほとんど受けない表面に近い固定組織からの反射電力が選択的に抽出されてしまい、クラッタ積算電力の値が大きくなっている。クラッタ積算電力の値が最大値Pmaxとなるのは、選択位置を表面あるいは表面近傍に設定した場合である。さらに、先に説明した位置選択の周期性により、クラッタ積算電力も深さ方向に沿って周期的に変化する。そのため、表面近傍の固定組織に伴うクラッタ積算電力の極大成分が深さ方向に沿って周期的に出現する。
例えば、深さdを目標位置として設定すると、擬似ランダム信号の周期1/fp1に対応した距離だけ離れた表面付近の受信信号が抽出されてしまい、深さdにおいてもクラッタ積算電力の値が最大値Pmaxとなってしまう。したがって、図7の条件のままで目標位置を深さdに設定してしまうと、目標位置からの微弱なドプラ信号が大きなクラッタ積算電力に埋もれてしまい、ドプラ信号の検出感度を低下させてしまう可能性がある。本実施形態においては、擬似ランダム信号の周期を変化させて、検出感度の低下などの問題を回避している。
図8は、擬似ランダム信号の周期の変化に伴うクラッタ積算電力の変化を説明するための図である。図8においては、擬似ランダム信号の繰り返し周波数がfp2の場合に、つまり擬似ランダム信号の周期が1/fp2の場合に、深さdでクラッタ積算電力が最大となっている。そこで、例えば、擬似ランダム信号の繰り返し周波数を遅く(小さく)してfp1に変化させると、クラッタ積算電力の極大成分が深さdよりも深い方向へ移動する。つまり目標位置である深さdからクラッタ積算電力の極大成分をずらすことができる。したがって、クラッタ積算電力の極大成分による影響を回避しつつ、目標位置である深さdからドプラ信号を選択的に抽出することが可能になる。図8に示すように、擬似ランダム信号の繰り返し周波数を速く(大きく)して、繰り返し周波数をfp3,fp4などに変化させても、目標位置である深さdからクラッタ積算電力の極大成分をずらすことができる。
なお、先に説明した位置選択の周期性により、目標位置よりも手前の位置(浅い位置)における信号も選択的に抽出される場合がある。この場合には、その手前の位置にノイズとなる大きな信号成分が存在しないことが望ましい。例えば、Bモード画像などを利用して目標位置の手間の組織状態などを確認してから、本実施形態により目標位置のドプラ信号を抽出すればよい。
図9は、擬似ランダム信号の周期の制御例を説明するための図である。図9の横軸は、擬似ランダム信号(擬似ランダムパターン)の周期であり、擬似ランダム信号の繰り返し周波数も併記されている。図9の縦軸は、体表からの深さ(目標位置の深さ)である。図9は、擬似ランダムパターンの各周期ごとに、その周期におけるクラッタ積算電力の深さ方向の周期性を縦軸方向に示したものである。
先に説明したように(図7,8参照)、クラッタ積算電力は深さ方向に沿って周期的に繰り返し出現する極大成分を含んでいる。図9において、点描パターンで塗りつぶされた領域が極大成分の領域である。この領域においては、クラッタ積算電力の極大成分の影響によりドプラ信号を高感度に検出することが困難となる。つまり、点描パターンで塗りつぶされた極大成分の領域がドプラ信号を検出する際のブラインドゾーンとなる。
例えば、擬似ランダムパターンの周波数を10kHzとし、参照信号の位相を調整して深さ7.5cmの位置を目標位置とした場合、その目標位置が点描パターンで塗りつぶされた極大成分の領域(ブラインドゾーン)となるためドプラ信号を高感度に検出することが難しい。
そこで、例えば、目標位置が深さ7.5cmの近傍の場合に、擬似ランダムパターンの周波数を8kHzに変更する。擬似ランダムパターンの周波数が8kHzの場合には、深さ7.5cmの近傍からブランドゾーンがずれるため、ドプラ信号を高感度に検出することが可能になる。なお、擬似ランダムパターンの周波数が8kHzの場合には深さ9.5cmの近傍にブラインドゾーンが位置するため、深さ9.5cmの近傍においては擬似ランダムパターンの周波数を10kHzに戻せばよい。
さらに、擬似ランダムパターンの周波数が10kHzの場合には、深さ15cmの近傍にもブラインドゾーンが存在するため、深さ15cmの近傍においては、擬似ランダムパターンの周波数を8kHzに変更し、深さ18.8cmの近傍において擬似ランダムパターンの周波数を10kHzに戻す。
このように、擬似ランダムパターンの周波数を適宜変更することにより、深さ方向の広い領域に亘って、望ましくは深さ方向の全領域に亘って、ブラインドゾーンを避けつつドプラ信号を検出することが可能になる。
なお、先に説明したように、本実施形態においては、第1連続波信号に対応した参照信号と第2連続波信号に対応した参照信号とを利用して、独立的かつ並行的な位置選択性を実現している。そこで、例えば、第1連続波信号の擬似ランダムパターンの周波数を10kHzに固定的に設定して第2連続波信号の擬似ランダムパターンの周波数を8kHzに固定的に設定し、第1連続波信号を介して得られるドプラ信号または第2連続波信号を介して得られるドプラ信号を選択的に利用することにより、図9に示した10kHzと8kHzの周波数選択パターンを実現してもよい。
以上、第1デジタル変調処理部21と第2デジタル変調処理部22において位相シフトキーイング(PSK)を用いた実施形態について説明したが、位相シフトキーイング(PSK)に換えて周波数シフトキーイング(FSK)を利用しても位置選択性を実現することができる。そこで、次に、周波数シフトキーイング(FSK)を利用した位置選択性について説明する。
<周波数シフトキーイング(FSK)による位置選択性>
図10は、周波数シフトキーイング(FSK)により形成される連続波信号を説明するための図である。図10(I)には、第1パターン発生部25から出力される周期的な信号列の一例が示されている。第1パターン発生部25は、例えば、図10(I)に示すような、ランダムに値を変化させた2値符号(擬似ランダム信号)を発生する。周期的な信号列である擬似ランダム信号の符号系列としては、PN(Pseudo Noise)系列、M系列、Gorey系列などパルス圧縮などで実用化されている符号系列を用いればよい。
図10(II)には、FSK変調器として機能する第1デジタル変調処理部21において形成されるFSK信号、つまり変調された連続波信号が示されている。第1デジタル変調処理部21は、図10(I)の2値符号に基づいた周波数シフトキーイングにより、RF波(搬送波)に対してデジタル変調処理を施してFSK信号を形成する。第1デジタル変調処理部21は、例えば2値符号が「1」のビット期間においてRF波の周波数をfにシフトさせ、2値符号が「0」のビット期間においてRF波の周波数をfにシフトさせることにより、図10(II)のFSK信号(連続波信号)を形成する。
なお、第2デジタル変調処理部22においても、図10を利用して説明したFSKの変調処理が実行される。例えば、第2パターン発生部26は、図10(I)と同様な2値符号(擬似ランダム信号)を発生する。第1パターン発生部25と第2パターン発生部26から出力される2つの擬似ランダム信号については、擬似ランダムパターンの種類や長さや切り返し周期を互いに独立に設定してもよい。
そして、第2デジタル変調処理部22においても、RF信号に対して、図10(I)の2値符号に基づいた周波数シフトキーイング(FSK)の変調処理が行われて、図10(II)と同様な波形のFSK信号(第2連続波信号)が形成される。さらに、多重処理部20において、2つのFSK信号つまり第1連続波信号と第2連続波信号が多重化され、送信信号が形成される。
図11は、2つのFSK信号と送信信号の周波数スペクトラムを示す図である。図11(1)には、第1デジタル変調処理部21において形成されるFSK信号(第1連続波信号)の周波数スペクトラムが示されている。周波数f01は、第1RF波発振器23から出力されるRF信号の周波数である。また、図11(2)には、第2デジタル変調処理部22において形成されるFSK信号(第2連続波信号)の周波数スペクトラムが示されている。周波数f02は、第2RF波発振器24から出力されるRF信号の周波数である。周波数f01と周波数f02とを互いに異なる周波数とすることにより、周波数軸上において第1連続波信号と第2連続波信号が互いにずれて形成される。
図11(3)には、多重処理部20において形成される送信信号の周波数スペクトラムが示されている。図11(1)の第1連続波信号と図11(2)の第2連続波信号が加算されることにより、図11(3)の送信信号、つまり2つのFSK信号が多重化された信号が形成される。こうして、例えば図11(3)の送信信号に対応した超音波が送信用振動子10から出力され、受信用振動子12を介して生体内から受信信号が得られる。
周波数シフトキーイング(FSK)の場合においても、第1デジタル変調処理部21において形成された第1連続波信号に対して遅延処理を施して参照信号を形成し、受信ミキサ29においてその参照信号を用いて受信信号に対してミキサ処理(参照信号と受信信号の乗算)が行われる。このミキサ処理において、遅延処理された参照信号の位相に対応する深さ(第1目標位置)からの受信信号と参照信号との間の相関が強められて最大となり、その他の深さからの受信信号と参照信号との間の相関が極端に小さくなり、位置選択性が実現される。
同様に、第2デジタル変調処理部22において形成された第2連続波信号に対して遅延処理を施して参照信号を形成し、受信ミキサ30においてその参照信号を用いて受信信号に対してミキサ処理(参照信号と受信信号の乗算)が行われる。このミキサ処理において、遅延処理された参照信号の位相に対応する深さ(第2目標位置)からの受信信号と参照信号との間の相関が強められて最大となり、その他の深さからの受信信号と参照信号との間の相関が極端に小さくなり、位置選択性が実現される。
図12は、FSKにおける参照波(参照信号)の位相と乗算器出力との関係を示す図である。受信ミキサ29と受信ミキサ30の各々から図12に示す乗算器出力に対応した出力結果が得られる。図12に示すグラフは、7ビットの周期で変化する擬似ランダムパターンを用いた例に対応しており、図12に示すグラフの縦軸は、7ビットの期間内において得られる乗算器出力の合計値である。また、図12に示すグラフの横軸は、受信信号に対する参照波(参照信号)の位相、つまり、受信信号と参照信号の位相差を示している。なお、図12の横軸は、1ビットの時間であるTを基準単位とした場合の位相の相対的な大きさを示している。
参照信号と受信信号の位相差が0(ゼロ)の場合には、その受信信号と参照信号の擬似ランダムパターンが互いに一致するため、7ビットの期間内において得られる乗算器出力の合計値は「+7」となる。したがって、図12において、参照波の位相が0の場合における乗算器出力値が「+7」となっている。これに対して、参照信号と受信信号の間に位相差が生じると、その受信信号と参照信号の擬似ランダムパターンが互いにずれるため、7ビットの期間内において得られる乗算器出力の合計値が「+1,0,−1」程度と極端に小さくなる。なお、参照波の位相が相対値で7だけずれると、7ビットの周期の擬似ランダム信号が1周期分だけずれるため、乗算器出力値は、位相差が0の場合と同じく極端に大きな値「+7」を示す。
このように、FSKの場合においても、PSKの場合(図5参照)と同様に、参照信号の位相に応じた位置選択性が実現される。また、その位置選択性は、第1連続波信号に対応した参照信号と第2連続波信号に対応した参照信号とを利用して独立的かつ並行的に実現される。そのため、例えば、第1連続波信号に対する位相調整による第1目標位置と、第2連続波信号に対する位相調整による第2目標位置とを互いに異なる位置として、並行的に2つの目標位置からドプラ情報を抽出することなどが可能になる。
さらに、PSKの場合(図5参照)と同様に、図12に示すFSKの場合においても、位置選択性が擬似ランダムパターンの周期に応じた周期性を備えている。そのため、PSKの場合(図7,8参照)と同様に、FSKの場合においても体表近傍の固定組織に伴う極大成分が深さ方向に周期的に出現する。そして、やはりPSKの場合(図9参照)と同様に、FSKの場合においても、擬似ランダムパターンの周期(周波数)を適宜制御することにより、極大成分の影響によるブラインドゾーンを避けつつ、ドプラ信号を検出することが可能になる。
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、上述した本発明の好適な実施形態等は、あらゆる点で単なる例示にすぎず、本発明の範囲を限定するものではない。本発明は、その本質を逸脱しない範囲で各種の変形形態を包含する。例えば、デジタル変調された連続波のデータをメモリなどに記憶しておきこのメモリから読み出されるデータに基づいて、当該連続波を生成してもよい。
本発明に係る超音波診断装置の全体構成を示す機能ブロック図である。 PSKにより形成される連続波の送信信号を説明するための図である。 2つのPSK信号と送信信号の周波数スペクトラムを示す図である。 4相のPSKによる位置選択性を説明するための図である。 乗算器出力の電圧と参照信号の位相との関係を説明するための図である。 2つの目標位置からドプラ情報を抽出する例を説明するための図である。 位置選択の周期性を説明するための図である。 擬似ランダム信号の周期の変化に伴うクラッタ積算電力の変化を説明するための図である。 擬似ランダム信号の周期の制御例を説明するための図である。 FSKにより形成される連続波の送信信号を説明するための図である。 2つのFSK信号と送信信号の周波数スペクトラムを示す図である。 FSKにおける参照波の位相と乗算器出力との関係を示す図である。
符号の説明
21 第1デジタル変調処理部、22 第2デジタル変調処理部、23 第1RF波発振器、24 第2RF波発振器、25 第1パターン発生部、26 第2パターン発生部、27I,27Q,28I,28Q 遅延回路、41,42,43,44 FFT回路、45,46 ドプラ情報解析部。

Claims (7)

  1. 周期的な信号列に基づいてデジタル変調処理された第1連続波信号と第2連続波信号を多重化した送信信号を出力する送信信号処理部と、
    前記送信信号に対応した超音波を生体に送波して生体からの反射波を受波することにより受信信号を得る送受波部と、
    第1連続波信号に実質的に等しい波形の第1参照信号を用いて前記受信信号に対して復調処理を施すことにより第1復調信号を得て、第2連続波信号に実質的に等しい波形の第2参照信号を用いて前記受信信号に対して復調処理を施すことにより第2復調信号を得る受信信号処理部と、
    第1復調信号と第2復調信号のうちの少なくとも一方の復調信号から生体内情報を抽出する生体内情報抽出部と、
    を有し、
    生体内の第1目標位置から得られる受信信号と第1参照信号の間の相関関係を調整して復調処理を施すことにより第1復調信号を得て、第1復調信号から第1目標位置の生体内情報を抽出し、
    生体内の第2目標位置から得られる受信信号と第2参照信号の間の相関関係を調整して復調処理を施すことにより第2復調信号を得て、第2復調信号から第2目標位置の生体内情報を抽出する、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  2. 請求項1に記載の超音波診断装置において、
    前記第1連続波信号と第2連続波信号は、互いに異なる周期の信号列に基づいてデジタル変調処理された連続波である、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  3. 請求項2に記載の超音波診断装置において、
    前記第1連続波信号を介して得られる第1復調信号と前記第2連続波信号を介して得られる第2復調信号のうち、同一の目標位置における不要信号が少ない方の復調信号を利用して、当該目標位置からの生体内情報を抽出する、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  4. 請求項3に記載の超音波診断装置において、
    前記不要信号には、前記デジタル変調処理における周期的な信号列の周期に対応して、超音波の送受波方向に沿って周期的に出現する極大成分が含まれており、
    前記第1復調信号と第2復調信号のうち、極大成分が目標位置からずれている方の復調信号を利用する、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の超音波診断装置において、
    前記第1目標位置の深さに応じた遅延処理を施して受信信号と第1参照信号の間の遅延関係を調整することにより当該2つの信号間の相関関係を調整し、第1目標位置から得られる受信信号の信号列パターンと第1参照信号の信号列パターンとを互いに一致させ、
    前記第2目標位置の深さに応じた遅延処理を施して受信信号と第2参照信号の間の遅延関係を調整することにより当該2つの信号間の相関関係を調整し、第2目標位置から得られる受信信号の信号列パターンと第2参照信号の信号列パターンとを互いに一致させる、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載の超音波診断装置において、
    前記送信信号処理部は、周期的な信号列に基づいた位相シフトキーイングにより位相を変化させた第1連続波信号と第2連続波信号を利用する、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  7. 請求項1から5のいずれか1項に記載の超音波診断装置において、
    前記送信信号処理部は、周期的な信号列に基づいた周波数シフトキーイングにより周波数を変化させた第1連続波信号と第2連続波信号を利用する、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
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