JP2010279531A - 超音波診断装置 - Google Patents

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正徳 国田
Takashi Okada
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Abstract

【課題】連続波を利用して目標位置からの生体内情報を抽出する超音波診断装置において改良された装置構成を提供する。
【解決手段】変調処理部20は、周期的な信号列に基づいてRF波に対して変調処理を施して連続波を発生する。変調処理部20から出力される連続波は、遅延回路26I,26Qにおいて遅延処理され、参照信号として受信ミキサ30の各ミキサに供給される。遅延回路26I,26Qは、連続波に対して、生体内の目標位置の深さに応じた遅延処理を施す。受信ミキサ30は、メモリA(17A)に記憶された対象受信信号に後続する受信信号がメモリB(17B)に記憶される処理と並行して、複数の目標位置の各々に対応した参照信号を順に用いて、対象受信信号に対して各目標位置ごとに復調処理を施すことにより、対象受信信号から複数の目標位置の各々に対応した復調信号を得る。
【選択図】図1

Description

本発明は、超音波診断装置に関し、特に、連続波を利用する超音波診断装置に関する。
超音波診断装置の連続波を利用した技術として、連続波ドプラが知られている。連続波ドプラでは、例えば、数MHzの正弦波である送信波が生体内へ連続的に放射され、生体内からの反射波が連続的に受波される。反射波には、生体内における運動体(例えば血流など)によるドプラシフト情報が含まれる。そこで、そのドプラシフト情報を抽出して周波数解析することにより、運動体の速度情報を反映させたドプラ波形などを形成することができる。
連続波を利用した連続波ドプラは、パルス波を利用したパルスドプラに比べて一般に高速の速度計測の面で優れている。こうした事情などから、本願発明者は、連続波ドプラに関する研究を重ねてきた。その成果の一つとして、特許文献1において、周波数変調処理を施した連続波ドプラ(FMCWドプラ)に関する技術を提案している。
一方、連続波ドプラでは、連続波を利用していることにより位置計測が困難である。例えば、従来の一般的な連続波ドプラの装置(FMCWドプラを利用しない装置)では、位置計測を行うことができなかった。これに対し、本願発明者は、特許文献2において、FMCWドプラにより生体内組織の速度に加えて生体内組織の位置を計測することができる技術を提案している。
特開2005−253949号公報 特開2006−14916号公報
特許文献1や特許文献2に記載されたFMCWドプラの技術は、それまでにない超音波診断の可能性を秘めた画期的な技術である。本願発明者は、この画期的な技術の改良についてさらに研究を重ねてきた。特に、連続波を利用して目標位置からの生体内情報を抽出する技術に注目して研究を重ねてきた。
本発明は、このような背景において成されたものであり、その目的は、連続波を利用して目標位置からの生体内情報を抽出する超音波診断装置において改良された装置構成を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の好適な態様である超音波診断装置は、周期的な信号に基づいて変調された連続波の送信信号を出力する送信信号出力部と、前記送信信号に対応した超音波の送信波を生体に送波してその送信波に伴う受信波を生体から受波することにより受信信号を得る送受波部と、受信信号を記憶する受信信号記憶部と、前記送信信号に実質的に等しい波形の参照信号を出力する参照信号出力部と、生体内の目標位置との間の相関関係が調整された参照信号を用いて、受信信号に対して復調処理を施すことにより、当該目標位置に対応した復調信号を得る復調処理部と、復調信号から生体内情報を抽出する生体内情報抽出部と、を有し、前記復調処理部は、対象受信信号に後続する受信信号が前記受信信号記憶部に記憶される処理と並行して、複数の目標位置の各々に対応した参照信号を順に用いて、対象受信信号に対して各目標位置ごとに復調処理を施すことにより、対象受信信号から複数の目標位置の各々に対応した復調信号を得る、ことを特徴とする。
望ましい態様において、前記超音波診断装置は、対象受信信号に後続する受信信号が前記受信信号記憶部に記憶される処理と並行して、複数の目標位置の各々を順に焦点として、対象受信信号に対して各目標位置ごとにビーム形成処理を施すビーム形成部をさらに有し、前記復調処理部は、各目標位置ごとに、当該目標位置を焦点としてビーム形成処理された対象受信信号に対して、当該目標位置に対応した参照信号を用いて復調処理を施す、ことを特徴とする。
望ましい態様において、前記受信信号記憶部は、2つの記憶部要素を含み、一方の記憶部要素に対して前記後続する受信信号が記憶される処理と並行して、他方の記憶部要素から前記対象受信信号が読み出されて前記ビーム形成処理と前記復調処理を施される、ことを特徴とする。
望ましい態様において、前記超音波診断装置は、前記後続する受信信号が記憶される処理の期間内に、前記対象受信信号に対するビーム形成処理と復調処理を完了させる、ことを特徴とする。
望ましい態様において、前記送信信号出力部は、周期Tの周期的な変調を施された連続波の送信信号を出力し、前記2つの記憶部要素には、周期Tごとに受信信号が交互に記憶される、ことを特徴とする。
望ましい態様において、前記各記憶部要素は、複数の振動素子に対応した複数のメモリで構成され、各振動素子から得られる受信信号がその振動素子に対応した各メモリに記憶される、ことを特徴とする。
望ましい態様において、前記送信信号出力部は、周期的な信号列に基づいた位相シフトキーイングにより位相を変化させて形成された連続波の送信信号を出力する、ことを特徴とする。
望ましい態様において、前記送信信号出力部は、周期的な信号列に基づいた周波数シフトキーイングにより周波数を変化させて形成された連続波の送信信号を出力する、ことを特徴とする。
望ましい態様において、前記送信信号出力部は、位相を連続的に変化させつつ周波数を変化させた連続波の送信信号を出力する、ことを特徴とする。
望ましい態様において、前記送信信号出力部は、前記周期的な信号列の各信号ごとにその信号の期間T内において位相を+π/2または−π/2だけ変化させた連続波の送信信号を出力する、ことを特徴とする。
望ましい態様において、前記送信信号出力部は、周波数を周期的に変化させた連続波の送信信号を出力する、ことを特徴とする。
望ましい態様において、前記超音波診断装置は、生体内の目標位置との間の相関関係が調整された参照信号を記憶する参照信号記憶部をさらに有する、ことを特徴とする。
望ましい態様において、前記参照信号記憶部は、複数の目標位置の各々に対応した参照信号を記憶する、ことを特徴とする。
本発明により、連続波を利用して目標位置からの生体内情報を抽出する超音波診断装置において改良された装置構成が提供される。
本発明に係る超音波診断装置の好適な実施形態を示す図である。 PSKにより形成される連続波の送信信号を説明するための図である。 送信信号と受信信号と復調信号の周波数スペクトラムを示す図である。 本実施形態における位置選択性を説明するための図である。 乗算器出力の電圧と参照信号の位相との関係を説明するための図である。 FSKにより形成される連続波の送信信号を説明するための図である。 FSK変調器から出力される連続波の位相変化を説明するための図である。 FSK変調器から出力される連続波の周波数スペクトラムを説明するための図である。 FSKにおける位置選択性を説明するための図である。 FSKにおける位置選択性を説明するための図である。 FSKにおける参照波の位相と乗算器出力との関係を示す図である。 受信RF信号の記憶処理とその後段の処理を説明するための図である。 本発明に係る超音波診断装置の他の好適な実施形態を示す図である。 メモリバンクから受信ビームフォーマの構成を説明するための図である。 複数の受波信号の記憶処理とその後段の処理を説明するための図である。 参照信号メモリを設けた超音波診断装置を示す図である。 受信信号に対するビーム形成処理と復調処理を説明するための図である。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。
図1には、本発明に係る超音波診断装置の好適な実施形態が示されており、図1はその全体構成を示す機能ブロック図である。送信用振動子10は生体内へ送信波を連続的に送波し、また、受信用振動子12は生体内からの反射波を連続的に受波する。このように、送信および受信がそれぞれ異なる振動子で行われて、いわゆる連続波ドプラ法による送受信が実行される。
本実施形態において利用される連続波は、周期的な信号に基づいて変調処理されたものである。変調処理された連続波は、変調処理部20によって形成される。変調処理部20は、変調信号発生部24から供給される周期的な信号に基づいて、RF波発振器22から供給されるRF波に対して変調処理を施して連続波を発生する。変調処理部20における変調処理としては、位相シフトキーイング(PSK)や周波数シフトキーイング(FSK)などのデジタル変調処理と、周波数変調(FM)および位相変調(PM)などのアナログ変調処理が好適である。変調処理部20において形成される連続波の波形等については後に詳述する。変調処理部20は、変調処理された連続波を送信ビームフォーマ(送信BF)14へ出力する。
送信ビームフォーマ(送信BF)14は、送信用振動子10が備える複数の振動素子に対して送信信号を出力する。送信ビームフォーマ14には、デジタル変調された連続波が入力される。送信ビームフォーマ14は、その連続波に対して、各振動素子に応じた遅延処理を施して各振動素子に対応した送信信号を形成する。なお、送信ビームフォーマ14において形成された各振動素子に対応した送信信号に対して、必要に応じて電力増幅処理が施されてもよい。こうして変調処理された連続波による送信ビームが形成される。
前置増幅器13は、受信用振動子12が備える複数の振動素子から得られる複数の受波信号の各々に対して低雑音増幅等の処理を施す。受信ビームフォーマ(受信BF)16は、前置増幅器13から得られる複数の振動素子に対応した複数の受波信号を整相加算処理して受信ビームを形成する。受信ビームフォーマ16は、各振動素子から得られる受波信号に対してその振動素子に応じた遅延処理を施し、複数の振動素子から得られる複数の受波信号を加算処理することにより受信ビームを形成する。こうして受信ビームに沿った受信RF信号が得られる。
受信ビームフォーマ16において形成された受信RF信号は、メモリA(17A)とメモリB(17B)に記憶される。そして、セレクタ18が、メモリAとメモリBを適宜選択し、選択されたメモリから受信RF信号が読み出されて受信ミキサ30へ出力される。メモリAとメモリBを利用した受信RF信号の記憶処理と、セレクタ18によるメモリAとメモリBの選択処理については後に詳述する。
受信ミキサ30は受信RF信号に対して直交検波を施して複素ベースバンド信号を生成する回路であり、2つのミキサ32,34で構成される。各ミキサは受信RF信号を所定の参照信号と混合する回路である。
受信ミキサ30の各ミキサに供給される参照信号は、変調処理された連続波(送信信号)に基づいて生成される。つまり、変調処理部20から出力される連続波が遅延回路26Iと遅延回路26Qにおいて遅延処理され、遅延回路26Iにおいて遅延処理された連続波がミキサ32に供給され、遅延回路26Qにおいて遅延処理された連続波がミキサ34に供給される。
遅延回路26Iと遅延回路26Qは、目標位置の深さに応じた遅延量だけ連続波に遅延処理を施し、遅延された参照信号を出力する。遅延回路26Iと遅延回路26Qは、各々、例えばn段のシフトレジスタによって形成することができる。この場合、シフトレジスタのn段のタップから目標位置の深さに応じた遅延量のタップが選択され、選択されたタップから目標位置の深さに応じた参照信号(遅延処理された連続波)が出力される。
なお、遅延回路26Iと遅延回路26Qは、互いに連続波の位相をπ/2だけずらして遅延処理を行う。その結果、ミキサ32から同相信号成分(I信号成分)が出力され、ミキサ34から直交信号成分(Q信号成分)が出力される。そして、受信ミキサ30の後段に設けられるLPF(ローパスフィルタ)36,38によって、同相信号成分および直交信号成分の各々の高周波数成分がカットされて検波後の必要な帯域のみの復調信号が抽出される。
後に詳述するが、各ミキサで実行される受信RF信号と参照信号との混合処理の結果である受信ミキサ出力信号(復調信号)には、目標位置からの受信信号成分が多く含まれている。LPF36,38において、その目標位置からの受信信号成分に含まれている直流信号成分が抽出される。
FFT(高速フーリエ変換処理部)40,42は、復調信号(同相信号成分および直交信号成分)の各々に対してFFT演算を実行する。その結果、FFT40,42において復調信号が周波数スペクトラムに変換される。なお、FFT40,42から出力される周波数スペクトラムは、回路の設定条件などにより周波数分解能δfの周波数スペクトラムデータとして出力される。
ドプラ情報解析部44は、周波数スペクトラムに変換された復調信号からドプラ情報を抽出する。その際、予め遅延回路26I,26Qによって、生体内の目標位置の深さに応じて参照信号と受信信号との間の遅延関係が調整されているため、目標位置からのドプラ情報が選択的に抽出される。遅延関係の調整と目標位置からのドプラ情報の抽出との関連については、後に詳述する。ドプラ情報解析部44は、生体内の各深さ(各位置)ごとにドプラ情報を抽出して、例えば、超音波ビーム(音線)上の各深さごとに生体内組織の速度を算出し、リアルタイムで出力する。なお、超音波ビームを走査させて二次元的あるいは三次元的に生体内組織の各位置の速度を算出してもよい。
表示処理部46は、生体組織の深さ(位置)ごとの速度に基づいて、例えばドプラ波形や、深さと速度の情報を含むグラフなどを形成し、形成したドプラ波形やグラフなどを表示部48にリアルタイムで表示させる。なお、図1に示す超音波診断装置内の各部は、システム制御部50によって制御される。つまり、システム制御部50は、送信制御や受信制御や表示制御などを行う。
次に、本実施形態における目標位置の選択性について説明する。本実施形態では、変調処理された連続波に対応した超音波を送受波して受信信号を得て、生体内の目標位置の深さに応じて参照信号と受信信号との間の遅延関係を調整し、目標位置からの受信信号と参照信号との間の相関を強めて復調処理を施すことにより、目標位置からの生体内情報としてドプラ情報を選択的に抽出する。変調処理部20における変調方式としては、位相シフトキーイング(PSK)や周波数シフトキーイング(FSK)などのデジタル変調処理と、周波数変調(FM)および位相変調(PM)などのアナログ変調処理が好適である。そこで、各変調方式ごとに位置選択性について説明する。
<位相シフトキーイング(PSK)による位置選択性>
図2は、位相シフトキーイング(PSK)により形成される連続波の送信信号を説明するための図である。図2(A)には、RF波発振器(図1の符号22)から出力されるRF信号(RF波)の波形が示されている。RF信号は、一定の周波数(例えば5MHz程度)の連続波である。図2(B)には、変調信号発生部(図1の符号24)から出力される周期的な信号列の一例が示されている。変調信号発生部は、例えば図2(B)に示すような、ランダムに値を変化させた2値符号(擬似ランダム信号)を発生する。
図2(C)には、PSK変調器として機能する変調処理部(図1の符号20)において形成される変調された連続波(送信信号)が示されている。変調処理部は、図2(A)のRF信号に対して、図2(B)の2値符号に基づいて、位相シフトキーイング(PSK)の変調処理を施す。変調処理部は、2値符号が「1」のビット期間においてRF信号の位相をそのままとし、2値符号が「−1」のビット期間においてRF信号の位相を反転する(180度ずらす)ことにより、図2(C)の送信信号を形成する。こうして、例えば図2(C)の送信信号に対応した連続波の超音波が送信用振動子(図1の符号10)から出力され、受信用振動子(図1の符号12)を介して生体内から受信信号が得られる。
図3は、送信信号と受信信号と復調信号の周波数スペクトラムを示す図である。図3(A)には、PSK変調器として機能する変調処理部において形成される送信信号、つまりPSK変調された連続波の周波数スペクトラムが示されている。周波数f0は、RF信号の周波数である。RF信号の周波数f0を中心として広がっている側帯波の周波数間隔は、擬似ランダム信号(図2(B)の2値符号)の繰り返し周波数fpである。また、周波数f0を中心として広がっている側帯波の電力が0(ゼロ)となる、いわゆるヌル(null)点が存在する。周波数f0からヌル点までの周波数間隔は、擬似ランダム信号(図2(B)の2値符号)の1ビットの時間間隔Tの逆数となる。
図3(B)には、受信信号の周波数スペクトラムが示されている。受信信号は、生体内における減衰を無視すると、送信信号と同じ波形となる。したがって、図3(B)に示す受信信号の周波数スペクトラムは、図3(A)に示す送信信号の周波数スペクトラムとほぼ同じである。但し、生体内における超音波の伝搬時間に応じて、送信信号と受信信号との間では位相が異なる。
本実施形態では、変調処理部(図1の符号20)において形成された送信信号に対して遅延処理を施して参照信号を形成し、受信ミキサ(図1の符号30)においてその参照信号を用いて受信信号に対してミキサ処理(参照信号と受信信号の乗算)が行われる。後に詳述するが、このミキサ処理において、遅延処理された参照信号の位相に対応する深さ(目標位置の深さ)からの受信信号と参照信号との間の相関が強められて最大となり、その他の深さからの受信信号と参照信号との間の相関が極端に小さくなる。
図3(C)には、ミキサ処理により得られる復調信号の周波数スペクトラムが示されている。図3(C)の復調信号は、相関が最大の場合における参照信号と受信信号の乗算結果に相当する。つまり、目標位置からの受信信号と、目標位置の深さに位相を合わせた参照信号との間の乗算結果が、図3(C)の復調信号となる。
図3(C)に示す復調信号には、直流信号成分と、RF信号の周波数f0の2倍の高調波成分が含まれている。ドプラ信号は、これらの成分に付着した形で出現する。なお、LPF(図1の符号36,38)において、高調波成分がカットされて直流信号成分のみが抽出されるため、FFT(図1の符号40,42)においては、図3(C)に示す直流信号成分と周波数f0の2倍の高調波成分のうち、直流信号成分の周波数スペクトラムのみが形成される。そして、ドプラ情報解析部(図1の符号44)において、図3(C)に示す直流信号成分の周波数スペクトラムからドプラ信号が抽出され、ドプラシフト量などに基づいて、目標位置に存在する血流の流速などが算出される。受信ミキサ(図1の符号30)において、直交検波を施しているため、流速の極性を判断することもできる。直流信号成分の周波数スペクトラムからクラッタ信号を抽出して、目標位置に存在する血管壁の位置などを算出してもよい。
図4は、本実施形態における位置選択性を説明するための図である。受信信号と参照信号の相関の鋭さは、変調信号発生部(図1の符号24)において形成される周期的な信号列のシーケンスに依存する。相関性を鋭くするためには、周期的な信号列である擬似ランダム信号の符号系列として、PN(Pseudo Noise)系列、M系列、Gorey系列など、パルス圧縮などで実用化されている符号系列を用いればよい。簡単な例として、n=3のPN符号を用いた場合の位置選択性について、図4を用いて説明する。
n=3の場合のPN符号の長さは7(=23―1)ビットである。このシーケンスが際限なく繰り返すので、この擬似ランダムパターンは繰り返し周期の逆数の線スペクトラムを持っている。この信号を用いて周波数f0の搬送波に0−πの2相のPSK変調をかけると、その時間波形は、先に説明した図2(C)のようになる。
受信信号は、送信信号が目標の深さに応じた遅延時間だけ遅れ、また組織によって減衰した信号である。その減衰を無視すると、例えば図4の受信信号の波形が得られる。送信信号を遅延処理して得られる参照信号の位相をφ1〜φ6まで変化させて受信信号と乗算した結果(乗算器出力)が図4に示されている。
図4から、参照信号と受信信号の位相が一致したφ3の場合に、乗算器出力(ミキサ出力)の直流成分が最大になる。また、交流成分としては、搬送波およびその高調波成分のみとなるのも、参照信号と受信信号の位相が一致した場合の特徴である。この信号の周波数スペクトラムは、図3(C)に示したとおりである。また、図4から、位相がφ3以外の場合には、乗算器出力として正と負の電圧がランダムに発生するので、これらの平均電圧は非常に小さくなる。
図5は、乗算器出力の電圧と参照信号の位相との関係を説明するための図である。図5には、参照信号の位相と乗算器出力との対応関係が示されている。図5においては、PNパターンの繰り返し周期ごとに合計値のピークが出現し、ピーク以外の位相では、電圧(合計値)は極端に小さくなっている。この例におけるPNパターンの長さは7ビットであり、約3周期分すなわち20ビットの合計である“20”が最大値となっている。一方、ピーク以外の位相では、合計は−2または−4であり、“20”に比べて極端に小さい。
このように、目標位置からの受信信号に対応するように参照信号の位相を調整することにより、その目標の深さからの反射波電力とドプラ情報を選択的に検出する位置選択性が実現される。
<周波数シフトキーイング(FSK)による位置選択性>
図6は、周波数シフトキーイング(FSK)により形成される連続波の送信信号を説明するための図である。図6(I)には、変調信号発生部(図1の符号24)から出力される周期的な信号列の一例が示されている。変調信号発生部は、例えば図6(I)に示すような、ランダムに値を変化させた2値符号(擬似ランダム信号)を発生する。周期的な信号列である擬似ランダム信号の符号系列としては、PN(Pseudo Noise)系列、M系列、Gorey系列などパルス圧縮などで実用化されている符号系列を用いればよい。
図6(II)には、FSK変調器として機能する変調処理部(図1の符号20)において形成される変調された連続波(送信信号)が示されている。変調処理部は、図6(I)の2値符号に基づいた周波数シフトキーイングにより、RF波(搬送波)に対してデジタル変調処理を施して連続波の送信信号を形成する。変調処理部は、例えば2値符号が「1」のビット期間において周波数f1とし2値符号が「0」のビット期間において周波数f2とすることにより、図6(II)の超音波送信信号を形成する。
こうして、例えば図6(II)の超音波送信信号に対応した連続波の超音波が送信用振動子(図1の符号10)から出力され、受信用振動子(図1の符号12)を介して生体内から受信信号が得られる。
図7は、FSK変調器から出力される連続波の位相変化を説明するための図である。なお、図7では、搬送波の位相は常に一定として0(ゼロ)で表現し、周波数f1あるいは周波数f2に対応して位相回転した量を表現している。周波数シフトキーイング(FSK)によりデジタル変調処理された信号を復調処理する際には、その信号の周波数を弁別すればよい。例えば、図6(II)の連続波であれば、周波数f1と周波数f2を弁別することにより、図6(II)の信号から図6(I)の2値符号を復調することができる。単に周波数を弁別するだけであれば、符号に対応した各周波数の位相は特に決めなくてもよい。例えば、符号の切り替わりの時点で位相が不連続に変化しても、単に周波数を弁別するだけであれば問題はない。しかし、符号変化時に位相が不連続となると、その分だけ周波数帯域が広がってしまう。そこで、符号変化時に位相が連続的に変化するように各周波数と1ビットの時間長Tを決めておけば、より狭い帯域でFSK変調および復調を行うことが可能となる。
図7は、その条件を満足したときの連続波の位相変化を描いたものである。図7に示す連続波の位相変化は、2値符号の符号変化時に位相が連続的に変化し、2値符号が「1」のビット期間(周波数f1の期間)において連続波の位相が+φだけ変化し(φだけ進み)、2値符号が「0」のビット期間(周波数f2の期間)において連続波の位相が−φだけ変化する(φだけ遅れる)場合の連続波の位相変化である。
図7に示す例の連続波では、符号がどのように変化しようとも、連続波の位相が連続的に変化し、必ず図7のグラフ内の破線の増加直線または破線の減少直線上を移動するという特徴がある。さらに、符号に対応した周波数の間隔をある程度小さく設定しておけば、狭帯域のFSK連続波を得ることができる。周波数間隔が狭くなると1ビットで回転する位相も小さくなる。この位相回転量がπ/2となるように周波数間隔を設定すると、つまり1ビットの期間T内において位相を+π/2または−π/2だけ変化させた連続波とすることにより、狭帯域でありながら、符号誤り率を小さく保った状態でデジタル信号の送受信をすることができる。このときのFSK方式は特別にMSK(Minimum Shift Keying)方式と呼ばれる。
図8は、FSK変調器から出力される連続波の周波数スペクトラムを説明するための図である。図8には、横軸を周波数として縦軸に各周波数成分の電力を示したグラフが示されており、グラフ内には、周波数シフトキーイングにより周波数f0の搬送波(RF波)から周波数をf1,f2だけ変化させたFSK信号(FSKの連続波)の周波数スペクトラムが変調度により変化する様子が示されている。なお、FSKの変調度mは次式のように定義される。
Figure 2010279531
上式で表現される変調度mは、周波数差(f1とf2の差)とビットレートfb(bit/s.)との比であり、アナログFM変調の変調度βと類似の意味を持っている。変調度mを大きくするということは、周波数差を大きく設定することに相当し、その結果、周波数スペクトラムは広がってゆく。したがって、例えば超音波プローブなどの周波数帯域を考慮しながら変調度mを設定することが望ましい。
周波数シフトキーイング(FSK)の場合においても変調処理部(図1の符号20)で形成された送信信号に対して遅延処理を施して参照信号を形成し、受信ミキサ(図1の符号30)においてその参照信号を用いて受信信号に対してミキサ処理(参照信号と受信信号の乗算)が行われる。このミキサ処理において、遅延処理された参照信号の位相に対応する深さ(目標位置の深さ)からの受信信号と参照信号との間の相関が強められて最大となり、その他の深さからの受信信号と参照信号との間の相関が極端に小さくなる。
図9および図10は、FSKにおける位置選択性を説明するための図であり、図9および図10の各図には、目標位置からの受信信号(受信波)と参照信号(参照波)の各位相の時間変化の様子と、目標位置からの受信信号と参照信号との間の位相差の時間変化の様子が図示されている。各図において、位相φは、擬似ランダム信号の1ビットの期間Tにおける連続波の位相の変化である。そして、各図において位相差の時間変化については、φ=π/2の場合における変化も図示されている。
乗算器(図1の受信ミキサ30)は、受信信号と参照信号の両者の位相差に応じた結果(例えば電圧)を出力する。例えば、両者の位相差がπ/2,3π/2,−π/2,−3π/2の場合に乗算器の出力値が「0(ゼロ)」であり、両者の位相差が0(ゼロ),2πの場合に乗算器の出力値が「+1」であり、両者の位相差がπ,−πの場合に乗算器の出力値が「−1」となる。
なお、図9および図10の例においては、7ビットの周期で変化する擬似ランダムパターンを用いているが、装置を具現化する際には、例えば100〜200ビット程度の周期で変化する擬似ランダムパターンを用いることが望ましい。
図9は、参照信号の位相が目標位置からの受信信号と一致している場合の様子を示している。参照信号の位相が目標位置からの受信信号の位相と一致している場合には、両者の位相差は常に0(ゼロ)となる。両者の位相差が0の場合の乗算器(図1の受信ミキサ30)の出力を「+1」とすると、両者の位相が一致している場合に7ビットの期間内において得られる乗算器出力の合計値は「+7」となる。
これに対し、図10は、参照信号の位相が目標位置からの受信信号と一致していない場合の様子を示している。
図10は、目標位置からの受信信号(実線)に対して、参照信号(破線)の位相がTだけ遅れている場合の様子を示している。この場合の両者の位相差は、図10の下段に示すとおりであり、φ=π/2の場合において、乗算器(図1の受信ミキサ30)の出力が常に「0(ゼロ)」となり、7ビットの期間内において得られる乗算器出力の合計値も「0(ゼロ)」となる。
このように、参照信号の位相が目標位置からの受信信号の位相と一致している場合には乗算器出力の合計値が「+7」と極端に大きくなり、両者の位相が一致していない場合には乗算器出力の合計値が例えば「0」と極端に小さくなる。
図11は、FSKにおける参照波(参照信号)の位相と乗算器出力との関係を示す図である。図11に示すグラフは、7ビットの周期で変化する擬似ランダムパターンを用いた例に対応しており、図11に示すグラフの縦軸は、7ビットの期間内において得られる乗算器出力の合計値である。また、図11に示すグラフの横軸は、受信信号に対する参照波(参照信号)の位相、つまり、受信信号と参照信号の位相差を示している。なお、図11の横軸は、1ビットの時間であるTを基準単位とした場合の位相の相対的な大きさを示している。
参照信号と受信信号の位相差が0(ゼロ)の場合には、その受信信号と参照信号の擬似ランダムパターンが互いに一致するため、7ビットの期間内において得られる乗算器出力の合計値は「+7」となる。したがって、図11において、参照波の位相が0の場合における乗算器出力値が「+7」となっている。これに対して、参照信号と受信信号の間に位相差が生じると、その受信信号と参照信号の擬似ランダムパターンが互いにずれるため、7ビットの期間内において得られる乗算器出力の合計値が「+1,0,−1」程度と極端に小さくなる。なお、参照波の位相が相対値で7だけずれると、7ビットの周期の擬似ランダム信号が1周期分だけずれるため、乗算器出力値は、位相差が0の場合と同じく極端に大きな値「+7」を示す。
このように、FSKの場合においても、PSKの場合(図5参照)と同様に、参照信号の位相に応じた位置選択性がある。
<周波数変調(FM)および位相変調(PM)による位置選択性>
図1の変調処理部20においてアナログ変調処理を施す場合、例えば周波数変調(FM変調)や位相変調(PM変調)を施す場合、変調処理部20は、RF波発振器22から供給されるRF波、および、変調信号発生部24から供給される正弦波や鋸歯状波などの変調波に基づいて連続波を発生する。
周波数f0のRF波(搬送波)に対して、周波数fmの正弦波によりFM変調を施したFMCW送信波は次式のように表現できる。次式において、Δfは周波数変動幅の0−P値(ゼロピーク値:最大周波数偏移)であり、最大周波数偏移Δfと変調周波数fmの比であるβはFMの変調指数である。
Figure 2010279531
また、ドプラシフトを伴う場合のFMCW受信波は、生体における往復の減衰をαとすると次式で表現できる。なお、次式においてfmに対するドプラシフトは、f0のシフト分fdに比較して小さいので無視している。
Figure 2010279531
数3式で表される受信波形は、受信用振動子12を介して受信される信号波形(受信RF信号)である。FMCWドプラでは、受信RF信号に対する復調処理において、FMCW送信波を参照信号として受信波と乗算を行う。図1を利用して説明したように、変調処理部20から出力される連続波(FM連続波)が遅延回路26I,26Qにおいて遅延処理され、参照信号としてミキサ32,34に供給される。遅延回路26Iと遅延回路26Qは、互いに連続波の位相をπ/2だけずらして遅延処理を行う。従って、ミキサ32へ供給される参照信号vrI(t)と、ミキサ34へ供給される参照信号vrQ(t)は、次式のように表現できる。
Figure 2010279531
数4式において、φmrは、遅延回路26I,26Qにおける遅延処理により任意に設定できる参照信号の位相を示しており、φ0rは、任意に設定した参照信号の位相に対応して決まる搬送波の位相変化量を示している。
受信ミキサ30では、復調処理として直交検波が行われる。つまり、ミキサ32において、受信RF信号vR(t)と参照信号vrI(t)の乗算に相当する処理が実行され、また、ミキサ34において、受信RF信号vR(t)と参照信号vrQ(t)の乗算に相当する処理が実行される。
ミキサ32における受信RF信号vR(t)と参照信号vrI(t)の乗算vDI(t)は次式のように表現される。なお、次式の計算途中において、周波数2f0の成分が消去されている。これは、LPF36において除去される周波数成分である。
Figure 2010279531
ここで、ベッセル関数に関する次の公式を利用する。
Figure 2010279531
数6式の公式を用いると、数5式はさらに次式のように計算される。
Figure 2010279531
一方、ミキサ34における受信RF信号vR(t)と参照信号vrQ(t)の乗算vDQ(t)は次式のように表現される。なお、次式の計算途中において、周波数2f0の成分が消去されている。これは、LPF38において除去される周波数成分である。
Figure 2010279531
ここで、数7式のvDI(t)と数8式のvDQ(t)とに基づいて、複素ベースバンド信号を定義する。まず、vDI(t)とvDQ(t)に含まれている直流(DC)成分、変調周波数fmの偶数次高調波成分を次式のように表現する。
Figure 2010279531
次に、vDI(t)とvDQ(t)に含まれている変調周波数fmの成分、変調周波数fmの奇数次高調波成分を次式のように表現する。
Figure 2010279531
数9式と数10式から、直交検波後のベースバンド信号において、ドプラシフトfdを含んだドプラ信号は、DC成分と変調周波数fmの成分と変調周波数fmの高調波成分とからなる複数の成分の各々についての両側帯波として出現することがわかる。通信工学ではこの種の信号形式を両側帯波搬送波除去変調(Double-Sideband Suppressed-Carrier, DSB-SC)と呼んでいる。
ここで、受信信号と参照信号の位相を互いに揃えた場合、つまり、遅延回路26I,26Qにおける遅延処理によりφmrを調整してφmと一致させた場合(φmr=φm)を考える。φmrとφmを一致させた場合には、数5式におけるkが0となる。この結果を数6式のベッセル関数に適用すると、次式のように、0次のベッセル関数の値のみが1となり、それ以外のベッセル関数の値は0となる。
Figure 2010279531
数11式に示す結果を数9式と数10式に適用すると次式のとおりとなる。
Figure 2010279531
数12式は、参照波(参照信号)の位相φmrを送受信間の位相差φmに設定すると、圧縮変換により、直流付近のドプラ信号のみが抽出できることを示している。つまり、変調波fmとその高調波成分(2fm,3fm,・・・)の付近のドプラ信号は出現しない。
このように、ベースバンド信号は、受信波と参照波間の遅延時間が完全に一致している場合は、fmおよびその高調波成分は出現せず、数12式のように直流成分のみとなる。受信波と参照波間の遅延時間が一致していないと、両者の時間差により、変調波の高調波成分、つまりfmおよびその高調波成分が発生する。高調波成分は、受信波と参照波間の時間差が“0”からわずかでもずれると発生する。
こうした特徴から、周波数変調を利用する場合においても、受信波(受信信号)と参照波(参照信号)との間の位相関係を調整することにより、ベースバンド信号の直流および直流付近の信号成分に基づいて対象とする組織の速度情報を得ることができる。この意味において、この方式による超音波診断装置を位相シフト型FMCW超音波ドプラシステムと称することができる。
なお、周波数変調処理に換えて、周波数変調処理と同じ角度変調の方式として一般的によく知られている位相変調処理(PM処理)を利用してもよい。つまり、搬送波信号に対して位相変調処理を施すことにより、変調処理部20から出力されるFM連続波と同じ波形あるいは同等な波形を形成してもよい。
以上のように、本実施形態においては、変調処理された連続波に対応した超音波を送受波して受信信号を得て、生体内の目標位置の深さに応じて参照信号と受信信号との間の遅延関係を調整し、目標位置からの受信信号と参照信号との間の相関を強めて復調処理を施すことにより、目標位置からの生体内情報としてドプラ情報を選択的に抽出している。さらに、本実施形態においては、受信RF信号を2系統に分けて記憶し、記憶された2系統の受信RF信号を選択的に利用して復調処理している。そこで、受信RF信号の記憶処理と復調処理について説明する。
<受信RF信号の記憶処理と復調処理>
図12は、受信RF信号の記憶処理とその後段の処理を説明するための図であり、図1の受信ビームフォーマ16から後段における信号処理に関する図である。図12と図1を併用してこれらの信号処理について説明する。
図12に示す受信信号60は、受信ビームフォーマ16から出力される受信RF信号に対応している。受信信号60は、周期TごとにメモリA(17A)とメモリB(17B)へ交互に記憶される。周期Tは送信信号である連続波の変調の周期であり、変調信号発生部24から供給される信号の周期に対応している。例えば、図4における2値符号の周期Tpが周期Tの具体例であり、周期Tは例えば超音波ビーム1本の期間に対応付けられる。
上記の記憶処理により、図12に示すように、周期Tp1の期間の受信信号60がメモリAに記憶され、次の周期Tp2の期間の受信信号60がメモリBに記憶される。周期Tp3と周期Tp4においてもメモリAとメモリBに対して交互に受信信号60が記憶される。
周期Tp1の期間の受信信号60がメモリAに記憶されると、セレクタ18は、メモリAから周期Tp1の期間の受信信号60を読み出して受信ミキサ30へ供給する。受信ミキサ30においては、前述のとおり、目標位置に応じた復調処理が行われる。図12に示す参照信号62は、受信ミキサ30における復調処理に利用される信号である。
図12には、複数の深さ、つまり超音波ビームに沿った互いに異なる複数の目標位置に対応したφ1〜φ7の参照信号62が図示されている。例えば、遅延回路26Iがn段のシフトレジスタで構成され、シフトレジスタのn段のタップから目標位置の深さに応じた遅延量のタップが選択され、φ1〜φ7の参照信号62が選択的に出力される。なお、図12においては、説明のための例としてφ1〜φ7の7個の参照信号62を用いているが、各超音波ビームに沿って数十から数百の目標位置が設定され、それに応じて数十から数百の参照信号62が利用されてもよい。
受信ミキサ30は、φ1〜φ7の参照信号62を利用して、セレクタ18から供給される周期Tp1の期間の受信信号60に対して復調処理を施す。例えば、ミキサ32において受信信号60と各参照信号62とが乗算され、LPF36を経由してFFT40においてさらにFFT演算が実行される。ミキサ32からFFT40までの処理は、各参照信号62ごとに順に実行される。つまり、φ1の参照信号62を利用してミキサ32からFFT40までの処理が時間σで実行されると、次に、φ2の参照信号62を利用してミキサ32からFFT40までの処理が時間σで実行される。同様に、φ3〜φ7の参照信号62が次々に利用される。
周期Tp1の期間の受信信号60に対するφ1〜φ7の全ての参照信号62を利用した処理は、周期Tp2の期間内に完了される。つまり、周期Tp2の期間の受信信号60がメモリBに記憶される記憶処理の期間内に、周期Tp1の期間の受信信号60に対する信号処理を完了させる。
周期Tp2の期間の受信信号60がメモリBに記憶されると、セレクタ18は、メモリBから周期Tp2の期間の受信信号60を読み出して受信ミキサ30へ供給する。そして、受信ミキサ30においてφ1〜φ7の参照信号62が次々に利用され、ミキサ32からFFT40において、周期Tp2の期間の受信信号60に対する処理が実行される。そして、周期Tp3の期間の受信信号60がメモリAに記憶される記憶処理の期間内に、周期Tp2の期間の受信信号60に対する信号処理を完了させる。同様に、周期Tp4の期間の受信信号60がメモリBに記憶される記憶処理の期間内に、周期Tp3の期間の受信信号60に対する信号処理を完了させる。
なお、セレクタ18において読み出された信号は、ミキサ34に対しても供給されている。そして、ミキサ32からFFT40までの同相信号成分(I信号成分)に関する処理と並行して、ミキサ34からFFT42における直交信号成分(Q信号成分)に関する処理も実行される。例えば、周期Tp2の期間の受信信号60がメモリBに記憶される記憶処理の期間内に、周期Tp1の期間の受信信号60に対する同相信号成分と直交信号成分に関する信号処理を完了させる。
このように、本実施形態においては、受信RF信号を2系統に分けて記憶し、記憶された2系統の受信RF信号を選択的に利用して復調処理している。その復調処理においては、複数の深さ(目標位置)に対応した参照信号が順に利用され、複数の目標位置の各々に対応した復調信号が次々に抽出される。そのため、複数の目標位置の各々に対応した受信ミキサ30を設ける必要がない。例えば、受信ミキサ30が1つのみの構成であっても、複数の目標位置に対応した複数の復調信号をリアルタイムで得ることなどが可能になる。
なお、例えば、図1の遅延回路26I,26Qの各々の後段に、複数の深さ(目標位置)に対応した参照信号を記憶するメモリを設け、受信ミキサ30において、それらのメモリに記憶された各目標位置に対応した参照信号を順に利用するようにしてもよい。また、図1においては、受信RF信号を2系統、つまりメモリA(17A)とメモリB(17B)に分けて記憶する例を示したが、受信RF信号を3系統以上に分けて記憶し、記憶された3系統以上の受信RF信号を選択的に利用するようにしてもよい。
さらに、本発明においては、複数の目標位置の各々を焦点として受信ビームを形成しつつ、複数の目標位置の各々に対応した復調信号を得る態様も可能である。
図13には、本発明に係る超音波診断装置の他の好適な実施形態が示されており、図13はその全体構成を示す機能ブロック図である。図1の実施形態との比較において、図13の実施形態は、前置増幅器13から受信ビームフォーマ(受信BF)16までの構成が異なっており、その他の構成は図1の実施形態と同じである。そこで、図1の実施形態と同じ構成についての説明を適宜省略し、図13の実施形態について説明する。
前置増幅器13は、受信用振動子12が備える複数の振動素子から得られる複数の受波信号の各々に対して低雑音増幅等の処理を施す。前置増幅器13における処理後の信号、つまり、複数の振動素子に対応した複数の受波信号は、メモリバンクA(15A)とメモリバンクB(15B)に記憶される。そして、セレクタ18が、メモリバンクAとメモリバンクBを適宜選択し、選択されたメモリバンクから、複数の振動素子に対応した複数の受波信号が読み出され、受信ビームフォーマ(受信BF)16へ出力される。
図14は、メモリバンクから受信ビームフォーマの構成を説明するための図である。図14には、図13のメモリバンクA(15A)とメモリバンクB(15B)とセレクタ18と受信ビームフォーマ(受信BF)16の詳細な構成が図示されている。
複数の振動素子、例えば振動素子1から振動素子NまでのN個の振動素子に対応したN個の受波信号は、メモリバンクAとメモリバンクBに供給される。メモリバンクAは、振動素子1から振動素子Nの各々に対応したメモリ1からメモリNによって構成される。同様に、メモリバンクBもメモリ1からメモリNによって構成される。
図14の結線状態からも理解できるように、振動素子1に対応した受波信号は、メモリバンクAのメモリ1とメモリバンクBのメモリ1へ供給され、例えばシステム制御部50(図13)の制御に応じて選択された一方のメモリへ記憶される。また、振動素子2に対応した受波信号は、メモリバンクAのメモリ2とメモリバンクBのメモリ2へ供給されて選択的に記憶される。同様に、振動素子3から振動素子Nの受波信号についても、対応するメモリ3からメモリNに記憶される。
セレクタ18は、メモリバンクAとメモリバンクBから、複数の振動素子に対応した複数の受波信号を選択的に読み出す。例えば、メモリバンクAが選択されている場合には、メモリバンクAのメモリ1からメモリNに記憶された複数の受波信号が読み出され、それら複数の受波信号が受信ビームフォーマ(受信BF)16へ供給される。同様に、メモリバンクBが選択されている場合には、メモリバンクBのメモリ1からメモリNに記憶された複数の受波信号が受信ビームフォーマ(受信BF)16へ供給される。
受信ビームフォーマ16は、目標位置を焦点として、複数の受波信号から受信ビーム信号を形成する。受信ビームフォーマ16は、例えば、各受波信号に対して目標位置に応じた遅延を施してから複数の受波信号を加算する整相加算処理により、目標位置を焦点とした受信ビーム信号を形成する。形成された受信ビーム信号は受信ミキサ30へ出力され、受信ミキサ30において復調処理される。
図15は、複数の受波信号の記憶処理とその後段の処理を説明するための図であり、図14の各部における信号処理に関する図である。図15と図14を併用してこれらの信号処理について説明する。
複数の振動素子に対応した複数の受波信号は、周期TごとにメモリバンクA(15A)とメモリバンクB(15B)へ交互に記憶される。周期Tは、送信信号である連続波の変調の周期であり、変調信号発生部24から供給される信号の周期に対応している。例えば、図4における2値符号の周期Tpが周期Tの具体例であり、周期Tは例えば超音波ビーム1本の期間に対応付けられる。
上記の記憶処理により、図15に示すように、周期Tp1の期間の複数の受波信号がメモリバンクAに記憶され、次の周期Tp2の期間の複数の受波信号がメモリバンクBに記憶される。図15においては、チャンネル(ch)1〜10までの10個の振動素子に対応した10個の受波信号が示されている。各チャンネルの受波信号は、選択されたメモリバンクの対応するメモリへ記憶される。例えば、周期Tp1の期間において、チャンネル1の受波信号がメモリバンクAのメモリ1に記憶され、チャンネル2の受波信号がメモリバンクAのメモリ2に記憶される。また、周期Tp2の期間においては、チャンネル1の受波信号がメモリバンクBのメモリ1に記憶され、チャンネル2の受波信号がメモリバンクBのメモリ2に記憶される。
周期Tp1の期間の複数の受波信号がメモリバンクAに記憶されると、セレクタ18はメモリバンクAから周期Tp1の期間の複数の受波信号を読み出して受信ビームフォーマ(受信BF)16へ供給する。
受信ビームフォーマ16は、複数の深さ、つまり超音波ビームに沿った互いに異なる複数の目標位置の各々を焦点として、各目標位置に対応した受信ビーム信号を形成する。図15においては、互いに異なる9個の目標位置を焦点とする例が示されている。なお、超音波ビーム1本あたりの焦点の個数は、例えば数十から数百程度でもよい。受信ビームフォーマ16は、期間d1において、深さ(目標位置)d1を焦点として、周期Tp1に対応した複数の受波信号に対して整相加算処理を施し、深さd1に対応した受信ビーム信号を形成する。
深さd1に対応した受信ビーム信号が形成されると、受信ミキサ30において、深さ(目標位置)d1に対応した復調処理が行われる。つまり、受信ミキサ30は、深さd1に対応した参照信号を利用して、深さd1に対応した受信ビーム信号に対して復調処理を施す。復調処理はミキサ32,34(図13)の各々において実行される。さらに、ミキサ32において復調処理された受信ビーム信号に対して、LPF36を経由してFFT40においてFFT演算が実行され、同様に、ミキサ34において復調処理された受信ビーム信号に対して、LPF38を経由してFFT42においてFFT演算が実行される。
ミキサ32からFFT40までの処理とミキサ34からFFT42までの処理は並行して実行される。深さd1に対応した受信ビーム信号に対するこれらの処理は、図15に示す期間φ1で実行される。
受信ビームフォーマ16は、期間d1において深さd1に対応したビーム形成処理を完了させると、その直後に続く期間d2において深さd2に対応したビーム形成処理を実行する。受信ビームフォーマ16は、周期Tp1に対応した複数の受波信号に基づいて、深さd2に対応した受信ビーム信号を形成し、期間d2において深さd2に対応したビーム形成処理を完了させる。期間φ1と期間d2は必ずしも並行させる必要はないが、処理時間の短縮の面から図15に示すようにこれらの期間を並行させることが望ましい。
深さd2に対応した受信ビーム信号が形成されると、受信ミキサ30において、深さ(目標位置)d2に対応した復調処理が行われ、さらに、復調処理された受信ビーム信号に対して、LPF36を経由してFFT40においてFFT演算が実行され、同様に、LPF38を経由してFFT42においてFFT演算が実行される。深さd2に対応した受信ビーム信号に対するこれらの処理は、図15に示す期間φ2で実行される。
受信ビームフォーマ16は、その後も、周期Tp1に対応した複数の受波信号に基づいて、期間d3から期間d9の各々において、深さd3から深さd9の各々に対応したビーム形成処理を実行する。また、各深さに対応した受信ビーム信号が形成されると、期間φ3から期間φ9の各々において、各深さに対応した復調処理等が実行される。
周期Tp1に対応した複数の受波信号に対するビーム形成処理とそれに引き続く復調処理等は、周期Tp2の期間内に完了される。つまり、周期Tp2に対応した複数の受波信号がメモリバンクBに記憶される記憶処理の期間内に、周期Tp1に対応した複数の受波信号に対する信号処理を完了させる。
周期Tp2に対応した複数の受波信号がメモリバンクBに記憶されると、セレクタ18は、メモリバンクBから周期Tp2に対応した複数の受波信号を読み出して受信ビームフォーマ16へ供給する。
受信ビームフォーマ16は、周期Tp2に対応した複数の受波信号に基づいて、超音波ビームに沿った互いに異なる複数の目標位置の各々を焦点として、各目標位置に対応した受信ビーム信号を形成する。また、受信ビームフォーマ16において各深さに対応した受信ビーム信号が形成されると、受信ミキサ30とその後段の各部において、各深さに対応した復調処理等が実行される。
周期Tp2に対応した複数の受波信号に対するビーム形成処理とそれに引き続く復調処理等は、周期Tp2の後の図示しない周期Tp3の期間内に完了される。つまり、周期Tp3に対応した複数の受波信号がメモリバンクAに記憶される記憶処理の期間内に周期Tp2に対応した複数の受波信号に対する信号処理を完了させる。
このように、図13から図15の実施形態においては、複数の受波信号を2系統に分けて記憶し、記憶された2系統の受波信号を選択的に利用して、ビーム形成処理と復調処理等を施している。そのビーム形成処理においては、複数の深さ(目標位置)の各々を焦点として次々に受信ビーム信号が形成され、さらに、その復調処理においては、複数の深さ(目標位置)に対応した参照信号が順に利用され、複数の目標位置の各々に対応した復調信号が次々に抽出される。そのため、例えば、受信ビームフォーマ16と受信ミキサ30のペアが1つのみの構成であっても、複数の目標位置(深さ)に受信ビームの焦点を合わせたダイナミックフォーカスを実現することが可能になる。
なお、図13においては、複数の受波信号を2系統つまりメモリバンクA(15A)とメモリバンクB(15B)に分けて記憶する例を示したが、複数の受波信号を3系統以上に分けて記憶し、記憶された3系統以上の受波信号を選択的に利用するようにしてもよい。また、図13の遅延回路26I,26Qの後段に、複数の深さ(目標位置)に対応した参照信号を記憶する参照信号メモリを設けてもよい。
図16は、参照信号メモリを設けた超音波診断装置を説明するための図であり、図16には、その全体構成に対応した機能ブロック図が示されている。図13との比較において、図16においては、遅延回路26I,26Qの後段に、参照信号メモリI(27I)と参照信号メモリQ(27Q)が設けられており、さらに、メモリ制御部19とメモリ制御部28が設けられている。図16の機能ブロック図に含まれる他の構成は図13の構成と同じであり、図16と図13との間において同じ符号の構成が互いに対応関係にある。そこで、図13と同じ構成についての説明を適宜省略し、図16に係る実施形態について説明する。
参照信号メモリI(27I)は、遅延回路26Iにおいて遅延処理された参照信号を記憶する。図16に係る実施形態においても、超音波ビームに沿って互いに異なる複数の目標位置が設定される。参照信号メモリI(27I)には、複数の目標位置に対応した参照信号が記憶される。例えば、図12を利用して説明したφ1〜φ7の参照信号62が参照信号メモリI(27I)に記憶される。
同様に、参照信号メモリQ(27Q)は、遅延回路26Qにおいて遅延処理された参照信号を記憶する。例えば、図12を利用して説明したφ1〜φ7の参照信号62が参照信号メモリQ(27Q)に記憶される。なお、既に図1を利用して説明したように、図16においても遅延回路26Iと遅延回路26Qは、互いに連続波の位相をπ/2だけずらして遅延処理を行う。そのため、参照信号メモリI(27I)と参照信号メモリQ(27Q)に記憶された互いに同じ目標位置に対応した2つの参照信号は、互いに位相がπ/2だけずれている。
図16に係る実施形態においても、図15を利用して説明した処理が実行される。そこで、図16と図15を併用してその処理について説明する。
複数の振動素子に対応した複数の受波信号は、周期TごとにメモリバンクA(15A)とメモリバンクB(15B)へ交互に記憶される。周期Tは、送信信号である連続波の変調の周期であり、変調信号発生部24から供給される信号の周期に対応している。この記憶処理により、図15に示すように、周期Tp1の期間の複数の受波信号がメモリバンクAに記憶され、次の周期Tp2の期間の複数の受波信号がメモリバンクBに記憶される。
周期Tp1の期間の複数の受波信号がメモリバンクAに記憶されると、セレクタ18を介して、メモリバンクAから周期Tp1の期間の複数の受波信号が受信ビームフォーマ(受信BF)16へ供給される。受信ビームフォーマ16は、複数の深さ、つまり超音波ビームに沿った互いに異なる複数の目標位置の各々を焦点として、各目標位置に対応した受信ビーム信号を形成する。例えば、図15に示したように、互いに異なる9個の目標位置を焦点として受信ビームが形成される。
図15に示したように、周期Tp1の期間に対応した複数の受波信号に関する処理を周期Tp2の期間内において完了させるためには、メモリバンクAに記憶された複数の受波信号を周期Tp1よりも短い時間内で読み出す必要がある。そこで、図16におけるメモリ制御部19は、メモリバンクAに記憶された複数の受波信号を周期Tp1よりも短い時間内で高速に読み出し、セレクタ18を介して受信ビームフォーマ16へ供給する。こうして、実時間上における長さが周期Tp1である各受波信号が、時間軸方向に圧縮されて(高速サンプリングされて)受信ビームフォーマ16へ供給される。なお、メモリ制御部19は、メモリバンクBに記憶された複数の受波信号についても、高速に読み出してセレクタ18を介して受信ビームフォーマ16へ供給する。
受信ビームフォーマ16において各深さ(目標位置)に対応した受信ビーム信号が形成されると、受信ミキサ30において各深さに対応した復調処理が行われる。受信ミキサ30は、例えば、深さd1に対応した参照信号を利用して、深さd1に対応した受信ビーム信号に対して復調処理を施す。その復調処理に利用される各深さに対応した参照信号は、参照信号メモリI(27I)と参照信号メモリQ(27Q)から読み出される。例えば深さd1に対応した受信ビーム信号に対する復調処理等は、図15に示す期間φ1で実行される。
参照信号の実時間上における長さは、受波信号と同じであり、例えば周期Tp1である。そのため、図15に示したように、周期Tp1の期間に対応した複数の受波信号に関する処理を周期Tp2の期間内において完了させるためには、各深さに対応した参照信号も高速に読み出す必要がある。そこで、図16におけるメモリ制御部28は、参照信号メモリI(27I)と参照信号メモリQ(27Q)に記憶された周期Tp1の参照信号を、各深さごとに、周期Tp1よりも短い時間内で高速に読み出して受信ミキサ30(ミキサ32,34)へ供給する。こうして、実時間上における長さが周期Tp1である、各深さに対応した参照信号が、時間軸方向に圧縮されて(高速サンプリングされ)受信ミキサ30へ供給される。
受信ミキサ30において復調処理が実行されると、復調処理された受信ビーム信号に対して、LPF36,38を経由してFFT40,42においてFFT演算が実行される。深さd1に対応した受信ビーム信号に対するこれらの処理は、図15に示す期間φ1で実行される。
図16に係る実施形態においても、図15に示したように、周期Tp1に対応した複数の受波信号に基づいて、深さd3から深さd9の各々に対応したビーム形成処理が実行され、また、各深さに対応した受信ビーム信号が形成されると、各深さに対応した復調処理等が実行される。そして、周期Tp1に対応した複数の受波信号に対する処理が終了すると、周期Tp2に対応した複数の受波信号に対する処理が実行される。
このように、図16に係る実施形態においても、複数の受波信号を2系統に分けて記憶し、記憶された2系統の受波信号を選択的に利用して、ビーム形成処理と復調処理等を施している。そのビーム形成処理においては、複数の深さ(目標位置)の各々を焦点として次々に受信ビーム信号が形成され、さらに、その復調処理においては、複数の深さ(目標位置)に対応した参照信号が順に利用され、複数の目標位置の各々に対応した復調信号が次々に抽出される。そのため、例えば、受信ビームフォーマ16と受信ミキサ30のペアが1つのみの構成であっても、複数の目標位置(深さ)に受信ビームの焦点を合わせたダイナミックフォーカスを実現することが可能になる。
図17は、受信信号に対するビーム形成処理と復調処理を説明するための図であり、図17には、図13および図16に係る実施形態において処理される信号が示されている。
図17(A)は、複数の振動素子(受信用の振動素子)から得られる複数の受信信号(受信RF信号)の波形を示している。図17(A)に示す波形は、変調方式としてFSKを利用した場合に対応している。図17(A)においては、遅延関係を分かりやすく説明するために各受信用振動素子により目標位置から得られる受信信号が示されている。各振動素子(受信用振動素子)から目標位置までの距離が素子ごとに異なるため、図17(A)に示すように、複数の受信用振動素子に対応した複数の受信信号(目標位置からの受信信号)は時間軸方向に沿って互いにずれて受信される。
図17(B)は、目標位置に対応するように遅延処理された複数の受信信号の波形を示している。つまり、図17(A)の複数の受信信号の各々に対して、受信ビームフォーマ16において、目標位置に応じた遅延処理が施され、図17(B)に示すように、複数の受信信号の位相が互いに揃えられる。
さらに、受信ビームフォーマ16において、互いに位相を揃えられた複数の受信信号が加算され、図17(C)の加算器出力が得られる。
そして、受信ミキサ30において、図17(C)の加算器出力に対して、目標位置に応じて遅延処理された図17(D)の参照信号を用いて復調処理(乗算処理)が実行され、図17(E)の乗算器出力が得られる。
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、上述した本発明の好適な実施形態は、あらゆる点で単なる例示にすぎず、本発明の範囲を限定するものではない。本発明は、その本質を逸脱しない範囲で各種の変形形態を包含する。例えば、変調された連続波のデータをメモリなどに記憶しておきこのメモリから読み出されるデータに基づいて、当該連続波を生成してもよい。
16 受信ビームフォーマ、17A メモリA、17B メモリB、18 セレクタ、20 変調処理部、22 RF波発振器、24 変調信号発生部、26I,26Q 遅延回路、40,42 FFT回路、44 ドプラ情報解析部。

Claims (13)

  1. 周期的な信号に基づいて変調された連続波の送信信号を出力する送信信号出力部と、
    前記送信信号に対応した超音波の送信波を生体に送波してその送信波に伴う受信波を生体から受波することにより受信信号を得る送受波部と、
    受信信号を記憶する受信信号記憶部と、
    前記送信信号に実質的に等しい波形の参照信号を出力する参照信号出力部と、
    生体内の目標位置との間の相関関係が調整された参照信号を用いて、受信信号に対して復調処理を施すことにより、当該目標位置に対応した復調信号を得る復調処理部と、
    復調信号から生体内情報を抽出する生体内情報抽出部と、
    を有し、
    前記復調処理部は、対象受信信号に後続する受信信号が前記受信信号記憶部に記憶される処理と並行して、複数の目標位置の各々に対応した参照信号を順に用いて、対象受信信号に対して各目標位置ごとに復調処理を施すことにより、対象受信信号から複数の目標位置の各々に対応した復調信号を得る、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  2. 請求項1に記載の超音波診断装置において、
    対象受信信号に後続する受信信号が前記受信信号記憶部に記憶される処理と並行して、複数の目標位置の各々を順に焦点として、対象受信信号に対して各目標位置ごとにビーム形成処理を施すビーム形成部をさらに有し、
    前記復調処理部は、各目標位置ごとに、当該目標位置を焦点としてビーム形成処理された対象受信信号に対して、当該目標位置に対応した参照信号を用いて復調処理を施す、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  3. 請求項2に記載の超音波診断装置において、
    前記受信信号記憶部は、2つの記憶部要素を含み、
    一方の記憶部要素に対して前記後続する受信信号が記憶される処理と並行して、他方の記憶部要素から前記対象受信信号が読み出されて前記ビーム形成処理と前記復調処理を施される、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  4. 請求項3に記載の超音波診断装置において、
    前記後続する受信信号が記憶される処理の期間内に、前記対象受信信号に対するビーム形成処理と復調処理を完了させる、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  5. 請求項3または4に記載の超音波診断装置において、
    前記送信信号出力部は、周期Tの周期的な変調を施された連続波の送信信号を出力し、
    前記2つの記憶部要素には、周期Tごとに受信信号が交互に記憶される、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  6. 請求項3から5のいずれか1項に記載の超音波診断装置において、
    前記各記憶部要素は、複数の振動素子に対応した複数のメモリで構成され、
    各振動素子から得られる受信信号がその振動素子に対応した各メモリに記憶される、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  7. 請求項1から6のいずれか1項に記載の超音波診断装置において、
    前記送信信号出力部は、周期的な信号列に基づいた位相シフトキーイングにより位相を変化させて形成された連続波の送信信号を出力する、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  8. 請求項1から6のいずれか1項に記載の超音波診断装置において、
    前記送信信号出力部は、周期的な信号列に基づいた周波数シフトキーイングにより周波数を変化させて形成された連続波の送信信号を出力する、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  9. 請求項8に記載の超音波診断装置において、
    前記送信信号出力部は、位相を連続的に変化させつつ周波数を変化させた連続波の送信信号を出力する、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  10. 請求項9に記載の超音波診断装置において、
    前記送信信号出力部は、前記周期的な信号列の各信号ごとにその信号の期間T内において位相を+π/2または−π/2だけ変化させた連続波の送信信号を出力する、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  11. 請求項1から6のいずれか1項に記載の超音波診断装置において、
    前記送信信号出力部は、周波数を周期的に変化させた連続波の送信信号を出力する、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  12. 請求項1から11のいずれか1項に記載の超音波診断装置において、
    生体内の目標位置との間の相関関係が調整された参照信号を記憶する参照信号記憶部をさらに有する、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  13. 請求項12に記載の超音波診断装置において、
    前記参照信号記憶部は、複数の目標位置の各々に対応した参照信号を記憶する、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
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JP2016174874A (ja) * 2015-03-23 2016-10-06 国立大学法人九州工業大学 生体信号センサ
CN107884770A (zh) * 2016-09-29 2018-04-06 松下知识产权经营株式会社 探测装置、探测方法和探测程序
CN110664431A (zh) * 2019-09-19 2020-01-10 天津大学 一种复用型超声内镜回波数据传输及图像重建装置及方法

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