JP2009261749A - 超音波診断装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ドプラ情報の抽出の精度を高める。
【解決手段】FM変調器24は、第2変調波を変調信号として用いて第1変調波に対して周波数変調処理を施す。FM変調器20は、変調された第1変調波を変調信号として用いてRF波に対して周波数変調処理を施す。受信ミキサ30に供給される参照信号は、FM変調器20から出力される2重に変調されたFM連続波に基づいて生成される。遅延回路35において生体内の目標位置の深さに応じて参照信号が遅延処理され、受信ミキサ30において、ドプラ信号を抽出するうえで優位なドプラ優位信号が抽出される。受信ミキサ40に供給される参照信号は、FM変調器24から出力される第1変調波に基づいて生成される。遅延回路45において生体内の目標位置の深さに応じて参照信号が遅延処理され、受信ミキサ40において、目標位置からのドプラ優位信号が選択的に抽出される。
【選択図】図1

Description

本発明は、超音波診断装置に関し、特に、変調された連続波を利用する超音波診断装置に関する。
超音波診断装置の連続波を利用した技術として、連続波ドプラが知られている。連続波ドプラでは、例えば、数MHzの正弦波として構成される送信波が生体内へ連続的に放射され、生体内からの反射波が連続的に受波される。反射波には、生体内における運動体(例えば血流)によるドプラシフト情報が含まれる。そこで、そのドプラシフト情報を抽出して周波数解析することにより、運動体の速度情報を反映させたドプラ波形などを形成することができる。
連続波を利用した連続波ドプラは、パルス波を利用したパルスドプラに比べて一般に高速の速度計測の面で優れている。こうした事情などから、本願発明者は、連続波ドプラに関する研究を重ねてきた。その成果の一つとして、特許文献1において、周波数変調処理を施した連続波ドプラ(FMCWドプラ)に関する技術を提案している。
一方、連続波ドプラでは、連続波を利用していることにより位置計測が困難である。例えば、従来の一般的な連続波ドプラの装置(FMCWドプラを利用しない装置)では、位置計測を行うことができなかった。これに対し、本願発明者は、特許文献2において、FMCWドプラにより生体内組織の速度に加えて生体内組織の位置を計測することができる技術を提案している。
特開2005−253949号公報 特開2006−14916号公報
特許文献1や特許文献2に記載されたFMCWドプラの技術は、それまでにない超音波診断の可能性を秘めた画期的な技術である。本願発明者は、この画期的な技術の改良についてさらに研究を重ねてきた。特に、連続波を利用して目標位置からドプラ情報を抽出する技術に注目した。
本発明は、このような背景において成されたものであり、その目的は、連続波を利用して目標位置からドプラ情報を抽出する場合において、ドプラ情報の抽出の精度を高めることにある。
上記目的を達成するために、本発明の好適な態様である超音波診断装置は、第1変調信号と第2変調信号を用いて多重に変調された連続波の送信信号を出力する送信信号処理部と、前記送信信号に基づいて超音波を生体に送波して生体からの反射波を受波することにより得られる受信信号に対して、前記送信信号に実質的に等しい波形の第1参照信号を用いて第1復調処理を施すことにより、ドプラ優位信号を抽出する第1受信信号処理部と、前記第1変調信号に実質的に等しい波形の第2参照信号を用いて前記ドプラ優位信号に対して第2復調処理を施すことにより、目標位置からのドプラ優位信号を選択的に抽出する第2受信信号処理部と、を有し、前記第1受信信号処理部は、生体内の目標位置の深さに応じた遅延処理を施して前記第1参照信号と前記受信信号との間の遅延関係を調整して前記第1復調処理を施すことにより、ドプラ信号を抽出するうえで優位な前記ドプラ優位信号を抽出する、ことを特徴とする。
望ましい態様において、前記第1受信信号処理部は、前記第1復調処理により得られる第1復調信号から、前記第1変調信号を基本波とした場合における基本波成分および第n(nは2以上の自然数)高調波成分のうちの少なくとも一つの成分を前記ドプラ優位信号として抽出する、ことを特徴とする。
望ましい態様において、前記第2受信信号処理部は、生体内の目標位置の深さに応じた遅延処理を施して前記第2参照信号と前記ドプラ優位信号との間の遅延関係を調整して前記第2復調処理を施すことにより、目標位置からのドプラ優位信号を選択的に抽出する、ことを特徴とする。
望ましい態様において、前記送信信号処理部は、変調周波数fm1の第1変調信号に対して変調周波数fm1よりも小さい変調周波数fm2の第2変調信号を用いて変調処理を施し、さらに、変調処理された第1変調信号を用いて周波数fの搬送波信号を変調処理することにより、前記連続波の送信信号を形成する、ことを特徴とする。
望ましい態様において、前記搬送波信号に対する第1変調信号を用いた変調処理における変調指数の大きさに応じて、前記第1復調処理により得られる第1復調信号から、前記第1変調信号を基本波とした場合における基本波成分および第n(nは2以上の自然数)高調波成分のうちの少なくとも一つの成分が選択され、前記ドプラ優位信号として抽出される、ことを特徴とする。
望ましい態様において、前記搬送波信号に対する第1変調信号を用いた変調処理における変調指数の大きさが0.8から1.2の範囲であり、前記第1復調信号から前記基本波成分が前記ドプラ優位信号として抽出される、ことを特徴とする。
望ましい態様において、前記第2変調信号を用いて変調処理された第1変調信号を前記第2参照信号として用いて前記第2復調処理が実行される、ことを特徴とする。
本発明により、連続波を利用して目標位置からドプラ情報を抽出する場合において、ドプラ情報の抽出の精度を高めることが可能になる。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。
図1には、本発明に係る超音波診断装置の好適な実施形態が示されており、図1はその全体構成を示す機能ブロック図である。送信用振動子10は生体内へ送信波を連続的に送波し、また、受信用振動子12は生体内からの反射波を連続的に受波する。このように、送信および受信がそれぞれ異なる振動子で行われて、いわゆる連続波ドプラ法による送受信が実行される。
電力増幅器14は、電力増幅された連続波を送信用振動子10へ供給する。電力増幅器14には、FM変調器20とFM変調器24により2重に変調されたFM連続波(FMCW波)が入力される。そして、このFM連続波に対応する送信波が送信用振動子10から送波される。
FM変調器24は、第1変調波発振器26から供給される第1変調波に対して、第2変調波発振器28から供給される第2変調波を変調信号として用いて、周波数変調処理(FM処理)を施す。これにより、第2変調波で変調された第1変調波がFM変調器24から出力される。
FM変調器20は、RF波発振器22から供給されるRF波に対して、FM変調器24から供給される信号を変調信号として用いて、周波数変調処理(FM処理)を施す。つまり、FM変調器20において、第2変調波で変調された第1変調波を変調信号として用いて、RF波に対して周波数変調が施される。こうして、2重に変調されたFM連続波(FMCW波)が形成され、このFM連続波に対応する送信波が送信用振動子10から送波されることになる。
前置増幅器16は、受信用振動子12から供給される受波信号に対して低雑音増幅等の受信処理を施して受信RF信号を形成し、受信ミキサ30へ出力する。受信ミキサ30は受信RF信号に対して直交検波を施して復調信号を得る回路であり、2つのミキサ32,34で構成される。各ミキサは受信RF信号を所定の参照信号と混合する回路である。
受信ミキサ30の各ミキサに供給される参照信号は、FM変調器20から出力される2重に変調されたFM連続波に基づいて生成される。つまり、FM変調器20から出力されるFM連続波が、遅延回路35において遅延処理され、ミキサ32には遅延処理されたFM連続波が直接供給され、一方、ミキサ34には遅延処理されたFM連続波がπ/2シフト回路36を経由して供給される。π/2シフト回路36は遅延処理されたFM連続波の位相をπ/2だけずらす回路である。この結果、ミキサ32から復調信号の同相信号成分(I信号成分)が出力され、ミキサ34から復調信号の直交信号成分(Q信号成分)が出力される。
後に詳述するが、本実施形態では、遅延回路35において生体内の目標位置の深さに応じて参照信号(2重に変調されたFM連続波)が遅延処理され、受信により得られる信号(受信RF信号)と参照信号との間の位相関係が調整される。こうして、参照信号と受信RF信号との間の遅延関係が調整されて、受信ミキサ30において復調処理が行われる。受信ミキサ30の各ミキサから得られる復調信号には、第1変調波発振器26から供給される第1変調波の変調周波数fm1に関する複数の第n次波成分(nは0以上の自然数)が含まれている。つまり、第0次波成分である直流成分、第1次波成分である基本波成分、さらに、nが2以上の複数の高調波成分が含まれている。そして、受信ミキサ30の後段に設けられたBPF(バンドパスフィルタ)37,38によって、これら複数の第n次波成分の中から、ドプラ信号を抽出するうえで優位な周波数成分がドプラ優位信号として抽出される。つまり、BPF37からドプラ優位信号の同相信号成分が出力され、BPF38からドプラ優位信号の直交信号成分が出力される。
受信ミキサ40はドプラ優位信号に対して直交検波を施して復調信号を得る回路であり、2つのミキサ42,44で構成される。各ミキサはドプラ優位信号を所定の参照信号と混合する回路である。
受信ミキサ40の各ミキサに供給される参照信号は、FM変調器24から出力される第1変調波に基づいて生成される。つまり、第2変調波で変調された第1変調波が、遅延回路45において遅延処理され、ミキサ42には遅延処理された第1変調波が直接供給され、一方、ミキサ44には遅延処理された第1変調波がπ/2シフト回路46を経由して供給される。π/2シフト回路46は遅延処理された第1変調波の位相をπ/2だけずらす回路である。この結果、ミキサ42から復調信号の同相信号成分(I信号成分)が出力され、ミキサ44から復調信号の直交信号成分(Q信号成分)が出力される。そして、受信ミキサ40の後段に設けられるLPF(ローパスフィルタ)47,48によって、同相信号成分および直交信号成分の各々の不要な高周波数成分がカットされ、検波後の必要な帯域のみの復調信号が抽出される。
後に詳述するが、本実施形態では、遅延回路45において生体内の目標位置の深さに応じて参照信号(第2変調波で変調された第1変調波)が遅延処理され、受信により得られる信号(ドプラ優位信号)と参照信号との間の位相関係が調整される。これにより、受信ミキサ40において、目標位置からのドプラ優位信号が選択的に抽出される。また、受信ミキサ40の各ミキサから得られる復調信号には、第2変調波発振器28から供給される第2変調波の変調波周波数fm2に関する複数の第n次波成分(nは0以上の自然数)が含まれている。つまり、第0次波成分である直流成分、第1次波成分である基本波成分、さらに、nが2以上の複数の高調波成分が含まれている。これら複数の第n次波成分を含んだ復調信号が、LPF47,48の各々から出力される。例えば、受信波と参照波の遅延時間が完全に一致している場合、変調波周波数fm2およびその高調波成分は出現せず、第0次波成分に相当するドプラ信号のみが出力される。
FFT回路(高速フーリエ変換回路)50,52は、LPF47,48の各々から出力される復調信号(同相信号成分および直交信号成分)に対してFFT演算を実行する。その結果、FFT回路50,52において復調信号が周波数スペクトラムに変換される。なお、FFT回路50,52から出力される周波数スペクトラムは、回路の設定条件などにより周波数分解能δfの周波数スペクトラムデータとして出力される。
ドプラ情報解析部54は、周波数スペクトラムに変換された復調信号からドプラ情報を抽出する。本実施形態では、予め遅延回路45によって生体内の目標位置の深さに応じて参照信号と受信により得られる信号(ドプラ優位信号)との間の位相関係が調整されているため、目標位置からのドプラ情報が選択的に抽出される。ドプラ情報解析部54は、生体内の各深さ(各位置)ごとにドプラ情報を抽出して、例えば超音波ビーム(音線)上の各深さごとに生体内組織の速度を算出し、リアルタイムで出力する。なお、超音波ビームを走査させて二次元的あるいは三次元的に生体内組織の各位置の速度を算出してもよい。
表示処理部56は、生体組織の深さ(位置)ごとの速度に基づいて、例えばドプラ波形や、深さ速度の情報を含むグラフなどを形成し、形成したドプラ波形やグラフなどを表示部58に例えばリアルタイムで表示させる。なお、図1に示す超音波診断装置内の各部は、システム制御部60によって制御される。つまり、システム制御部60は、送信制御や受信制御や表示制御などを行う。
以上に概説したように、本実施形態では、2重に変調されたFM連続波(FMCW波)が利用される。そして、受信ミキサ30とBPF37,38における復調処理により、ドプラ信号を抽出するうえで有利なドプラ優位信号が抽出され、また、受信ミキサ40とLPF47,48における復調処理により、目標位置からのドプラ優位信号が選択的に抽出される。そこで、以下に本実施形態における信号処理について詳述する。なお、図1に示した部分(構成)については、以下の説明においても図1の符号を利用する。
周波数fのRF波(搬送波)に対して、変調周波数fの正弦波によりFM変調を施したFMCW送信波は次式のように表現できる。
Figure 2009261749
数1式において、Δfは周波数変動幅の0−P値(ゼロピーク値:最大周波数偏移)であり、最大周波数偏移Δfと変調周波数fの比であるβはFMの変調指数である。
また、ドプラシフトを伴う場合のFMCW受信波は生体による減衰を無視すると次式で表現できる。
Figure 2009261749
なお、数2式においてfに対するドプラシフトは、fのシフト分fに比較して小さいので無視している。
数2式で表される受信波形は、超音波振動子を介して受信される信号波形(受信RF信号)である。FMCWドプラでは、受信RF信号に対する復調処理において、FMCW送信波を参照信号として受信波と乗算を行う。そのため、受信ミキサ出力v(t)はv(t)とv(t)を乗算した結果として次式のように算出される。
Figure 2009261749
そして、v(t)から周波数2fの不要な高周波数成分をカットすると、v(t)は次式のようなる。
Figure 2009261749
ここで、ベッセル関数に関する次の公式を利用する。
Figure 2009261749
数5式の公式を用いると、数4式はさらに次式のように計算される。なお、次式では数4式における係数1/2を省略する。
Figure 2009261749
数6式で表現される受信ミキサ出力v(t)は、FMCWドプラにおける特徴的な信号である。例えば、本実施形態の受信ミキサ30において得られる復調信号から、BPF37,38において周波数2fの不要な高周波数成分をカットすると、数6式においてf=fm1とした信号が得られる。
図2は、固定組織からのクラッタを説明するための図であり、受信ミキサ30において得られる復調信号に含まれるクラッタの様子を示している。
受信ミキサ30において得られる復調信号には、第1変調波発振器26から供給される第1変調波の変調周波数fm1に関する複数の第n次波成分(nは0以上の自然数)が含まれている(数6式参照)。つまり、第0次波成分である直流成分(DC)、第1次波成分である基本波成分(fm1)、さらに、nが2以上の複数の高調波成分(nfm1)が含まれている。
図2は、複数の第n次波成分の各成分ごとに、組織内に均一に分布した固定組織からのクラッタの深さ依存性を描いた図であり、各成分ごとに、各深さからのクラッタ電力72とクラッタ総電力70が示されている。
図2は、遅延回路35における遅延量を0(ゼロ)とした場合に受信ミキサ30において得られる復調信号を示しており、遅延量が0の場合には、直流成分(DC)のクラッタ電力72は、浅い位置つまり体表付近で最大値を示す。これに対し、基本波成分(fm1)やその高調波成分(nfm1)のクラッタ電力72は、体表に近づくほど0(ゼロ)に漸近する。また、これらのクラッタ電力72は、第1変調波の半周期ごとにその大きさが周期的に変化する。
遅延回路35における遅延量を0(ゼロ)に設定し、第1参照信号(2重に変調されたFM連続波)を用いて受信RF信号に対して復調処理(乗算)することは、生体の体表からの深さが0(ゼロ)の位置からの受信RF信号との相関が最も大きい状態で検波することに相当する。図2は、目標が体表付近に存在する場合は、DC成分が最大値を示すが、変調波の基本波および高調波成分は0になることを示している。すなわち、受信RF信号と第1参照信号の間で最もよく相関がとれていれば、DC成分が最大値の受信電力を得ることができ、変調波の基本波および高調波成分は全く生じない。深さが体表から遠ざかるにつれ、DC成分は減少するが、変調波の基本波および高調波成分が増加し始める。すなわち、深い位置にある目標からの反射電力が増大し始める。この反射電力の最大値はDC成分の70%程度であるが、総クラッタ電力は、DCクラッタよりはるかに小さい。したがって、変調波の基本波および高調波成分近傍のドプラ信号を検出すれば、クラッタ電力を相対的に抑圧したドプラ信号の検出が可能となる。
しかし、遅延回路35における遅延量を0(ゼロ)に固定した場合、すべての深さでドプラ感度が良好であるわけではない。図2では、変調波の基本波(fm1)および高調波成分(nfm1)においては、体表付近と、変調波により決まる繰り返しの深さで、感度が極端に低下する。このような深さでは、クラッタ電力72は抑圧できたとしても、ドプラ感度も小さくなるので、ドプラ信号を検出するうえでは好ましくない。
図2において模式的に描かれている各深さからの電力を具体的に計算した例を図3から図5に示す。
図3から図5は、各々、横軸を深さとして各深さからの電力を具体的に計算した結果を示す図である。受信ミキサ30において得られる復調信号に含まれる各深さからの電力については、直流成分と基本波成分と高調波成分の各成分の振幅が、数6式の各項のベッセル関数に相当するため、各項のベッセル関数を2乗して電力とした。なお、数6式において、直流成分の振幅に相当するJ(kβ)以外の項には、ベッセル関数に係数「2」が乗算されているため、この係数「2」を含めて振幅として扱っている。
また、図3から図5の結果を算出するにあたって、f=fm1=5kHz、超音波の伝搬速度c=1530m/sec、遅延回路35における遅延量を0(ゼロ)とした。そして、図3は変調度β=0.8の場合の計算結果であり、図4は変調度β=1.0の場合の計算結果であり、図5は変調度β=1.2の場合の計算結果である。これらの変調度βを選んだ理由は、変調周波数の基本波の近傍においてドプラ信号の検出感度がよく、また、感度の一定な領域が広いからである。
例えば、図3から図5の各図に示される基本波に対応した波形つまり2J(kβ)の波形において、深さ5cmから10cmの部分で電力が約0.68の比較的一定の領域が存在している。特に、変調度β=1.0の図4において、深さ5cmから10cmの部分で2J(kβ)の波形が比較的平坦になっている。なお、約0.68の電力はDC近傍の感度1.0に対する相対的な電力である。このように、例えば深さ5cmから10cmの部分において、ドプラ信号の検出感度がよく且つ感度の一定な領域(感度良好領域)が存在する一方で、例えば深さ0cm,15cm,30cmの付近では、変調周波数の基本波の電力である2J(kβ)の値が0(ゼロ)となり感度が極端に小さくなる。
本実施形態においては、ドプラ信号を検出する目標の深さで感度がよく且つ感度が一定となるように、目標の深さに応じて遅延回路35における遅延量を設定する。遅延回路35における遅延量を変化させることにより、図3から図5において検討した感度良好領域や、感度が極端に小さくなる深さを変化させることができる。
図6は、遅延回路35により第1参照信号の位相(φr1)を感度増減周期の半分(π/2)だけシフトさせた場合の計算結果を示す図である。図6は、図4の計算条件のうち第1参照信号の位相のみをφr1=0からφr1=π/2に変更したものに相当する。図6においては、感度がよく且つ感度が一定となる領域つまり感度良好領域が、深さ15cmの位置に移動している。
このように、第1参照信号の位相(φr1)を変化させることにより、つまり遅延回路35における遅延量を調整することにより、感度良好領域を深さ方向に移動させることができる。
図7は、感度良好領域を深さ方向に亘って広げた場合の計算結果を示す図であり、図4におけるφr1=0の場合の基本波の電力波形2J(kβ)と、図6におけるφr1=π/2の場合の基本波の電力波形2J(kβ)を同じ座標上に描いた図である。例えば、目標の深さに応じて遅延回路35における遅延量をφr1=0またはφr1=π/2に切り換えることにより、図7に示すように、感度良好領域を深さ方向の広い領域に亘って広げることが可能になる。もちろん、遅延回路35における遅延量をφr1=0〜πの間の任意の値としてもよい。例えば、目標の深さが移動する場合に、その移動に追従するように、遅延回路35における遅延量を変化させてもよい。
このように、本実施形態では、遅延回路35において生体内の目標位置の深さに応じて参照信号(2重に変調されたFM連続波)が遅延処理され、受信により得られる信号(受信RF信号)と参照信号との間の位相関係を調整することにより、目標位置を含むように感度良好領域を設定することができる。そして、受信ミキサ30とBPF37,38における第一段目の復調処理により、ドプラ信号を抽出するうえで優位なドプラ優位信号として、第1変調波の変調周波数fm1に関する基本波成分や高調波成分が抽出される。つまり、先に説明したように、受信ミキサ30の各ミキサから得られる復調信号には、第1変調波発振器26から供給される第1変調波の変調周波数fm1に関する複数の第n次波成分(nは0以上の自然数)が含まれており、BPF37,38によって、これら複数の第n次波成分の中から、第1次波成分である基本波成分およびnが2以上の複数の高調波成分のうちの少なくとも一つの成分がドプラ優位信号として抽出される。
図8は、図1の超音波診断装置の受信処理系において得られる信号を説明するための図であり、図8(A)〜(C)の各々には、横軸を周波数として、受信ミキサ30に入力される受信信号(受信RF信号)の周波数スペクトラム(A)、受信ミキサ30から出力される復調信号の周波数スペクトラム(B)、BPF37,38から出力されるドプラ優位信号の周波数スペクトラム(C)が図示されている。ちなみに、送信信号の周波数スペクトラムは、FDAなどの影響を無視すれば、受信信号と同じになる。
図8(A)の受信信号の周波数スペクトラムにおいてf−2fm1,f−fm1,f,f+fm1,f+2fm1を中心周波数とするスペクトラム成分同士が重ならないためには、第2変調波の変調周波数fm2と比較して、第1変調波の変調周波数fm1を十分に大きく設定する必要がある。そこで、本実施形態においてはfm1>>fm2に設定され、図8(A)に示すような受信信号が得られる。なお、図8においては、図が煩雑になるのを防ぐために、ドプラ信号を省略してクラッタのみを描いている。
m1>>fm2の場合にはf−2fm1,f−fm1,f,f+fm1,f+2fm1を中心周波数とするスペクトラム成分は、線スペクトラムと類似の扱いができる。この場合、図8(B)の復調信号(ベースバンド信号)の周波数スペクトラムに対して、クラッタ低減のプロセスを適用することが可能になる。例えば、FM変調器20における変調度を1程度に設定する。つまり、周波数fのRF波(搬送波)に対して、変調周波数fm1の第1変調波によりFM変調を施す場合における変調指数βを1程度に設定する。そして、図8(B)の復調信号(ベースバンド信号)の周波数スペクトラムに含まれる、変調周波数fm1に関する基本波成分や高調波成分の付近のドプラ信号を抽出することにより、周波数ゼロの直流成分の付近のドプラ信号を抽出する場合に比べて、ドプラ電力対クラッタ電力比の改善が可能となる。
なお、図8(B)の復調信号を得るにあたって、遅延回路35における遅延処理により目標位置を含むように感度良好領域を設定することは先に説明したとおりである。
本実施形態では、FM変調器20における変調指数βを1程度に設定し、ドプラ信号を抽出するうえで優位な周波数成分として、変調周波数fm1に関する基本波成分を抽出する。これにより、図8(C)に示すようなドプラ優位信号の周波数スペクトラムが得られる。図8(C)においては、ドプラ信号を省略してクラッタのみを描いているため、ドプラ信号とクラッタ比が改善されることが理解し難い。そこで、ドプラ信号とクラッタ比が改善される(望ましくは最大になる)理由を図示したのが図9である。
図9は、ドプラ信号を含んだドプラ優位信号の周波数スペクトラムを説明するための図であり、図9(a)〜(f)の各々には、横軸を周波数として、BPF37,38から出力されるドプラ優位信号の周波数スペクトラムが図示されている。図9(a)は、FM変調器24における変調度を0(ゼロ)とした場合の周波数スペクトラムであり、図9(b)から順に図9(f)まで、FM変調器24における変調度を0(ゼロ)から徐々に大きくした場合におけるドプラ優位信号の周波数スペクトラムの変化の様子が示されている。
なお、FM変調器24における変調度とは、変調周波数fm1の第1変調波に対して、変調周波数fm2の第2変調波によりFM変調を施す場合における変調指数βである。したがって、図9(a)の周波数スペクトラムは、第2変調波によるFM変調が存在しない場合のスペクトラムに相当する。また、図9(b)から図9(f)の順にFM変調器24における変調度が増加するにつれて、周波数fm1の線スペクトラムに加えて、その周波数fm1の線スペクトラムから、周波数fm2の間隔をおいて、周波数fm2の基本波成分および高調波成分が出現する。
ドプラ電力とクラッタ積算電力の比は、FM変調器20における変調度、つまり、周波数fのRF波に対して変調周波数fm1の第1変調波によりFM変調を施す場合における変調指数βに依存して変化する。
これに対し、図9(a)〜(f)においては、周波数fm1を中心とするその近傍の帯域内のドプラ電力とクラッタ積算電力の比が殆ど変化しない。これは、FM変調器24における変調度、つまり、変調周波数fm1の第1変調波に対して変調周波数fm2の第2変調波によりFM変調を施す場合における変調指数βを変化させても、ドプラ電力とクラッタ積算電力の比が殆ど変化しないことを示している。
このように、ドプラ電力とクラッタ積算電力の比は、FM変調器20における変調度の影響を大きく受けており、先に述べたとおり、本実施形態においては、FM変調器20における変調指数βが適度に調整され、例えば1程度に設定されて、ドプラ電力とクラッタ積算電力の比が改善される。
そして、本実施形態では、BPF37,38から出力されるドプラ優位信号、つまり図9に示す周波数スペクトラムを有する信号に対して、受信ミキサ40において、FM変調器24から出力される第1変調波を参照信号とする復調処理が施される。
FM変調器24は、第1変調波発振器26から供給される第1変調波に対して、第2変調波発振器28から供給される第2変調波を変調信号として用いて、周波数変調処理(FM処理)を施す。したがって、第1変調波発振器26から供給される第1変調波を搬送波と考えた場合に、その搬送波に対して第2変調波を用いて周波数変調処理を施して得られるFMCW波がFM変調器24から出力される。例えば、数1においてf=fm1,f=fm2とした信号がFM変調器24から出力される。
また、FM変調器24から出力されたFMCW波は、FM変調器20においてさらに変調されて送信信号となり、その送信信号に対応した受信信号が受信ミキサ30に入力されて復調される。受信ミキサ30においては、FM変調器20の変調に対応した復調が施され、これにより、FM変調器20における変調前の信号に対応した復調信号が形成される。そのため、受信ミキサ40には、FM変調器24から出力されたFMCW波に対応した受信信号が入力される。例えば、数2においてf=fm1,f=fm2とした信号が受信ミキサ40に入力される。
したがって、FM変調器24の変調と受信ミキサ40の復調との組み合わせにおいても、数1式から数6式を利用して説明したFMCWドプラの信号処理が実行され、復調信号として、例えば数6式で表現されるFMCWドプラの特徴的な信号が出力される。つまり、受信ミキサ40において得られる復調信号から、LPF47,48において不要な高周波数成分をカットすることにより、数6式においてf=fm2とした信号が得られる。
そして、本実施形態では、図1に示す遅延回路45(移相器あるいは遅延線)により、生体内の目標位置の深さに応じて参照信号と受信信号との間の位相関係が調整され、目標位置(目標となる深さ)からのドプラ情報が選択的に抽出される。つまり、遅延回路45による遅延処理の遅延時間を、超音波が生体内を往復する伝搬時間に設定することにより、目標となる深さからの受信信号と参照信号との相関が最大となり目標からの信号のみが選択的に抽出される。
図10は、参照信号と受信信号との間の位相関係(時間関係)を説明するための図である。(a)はFMCW波(送信波)の時間波形を示しており、図1のFM変調器24から出力される信号に相当する。また、(b)はその送信波に対応したFMCWの受信波を示しており、図1の受信ミキサ40に入力される信号に相当する。受信波は送信時からτだけ遅れて受信される。音速をcとすると、深さdから得られる受信波はτ=2d/cだけ遅れて受信される。また、図10において、fは搬送波周波数(超音波周波数に相当)を示しており、fは搬送波を変調する周波数(変調周波数)を示している。FM変調器24と受信ミキサ40の変復調においては、f=fm1,f=fm2となることは先に説明したとおりである。
また、受信波の周波数スペクトラム電力を(e)に示す。ちなみに、送信波の周波数スペクトラムも電力として表現すると、(e)と同じ形をしているが、各電力スペクトラムの位相は遅延時間τに対応して、送信スペクトラムとは異なっている。
受信波と直交検波する参照波(c)は、FM変調器24から出力される信号である送信波を遅延回路45において送受信時間差(往復の伝搬時間τ)だけシフトさせた信号である。直交検波器入力、つまり受信ミキサ40に入力される受信波と参照波は、このシフト操作により周波数、位相ともまったく等しい時間波形となる。したがって、受信波を二乗した波形が直交検波器出力(d)となる。この信号は、振幅が1/2の直流成分と、搬送波周波数が2fで変調度が2βのFM信号の和として表現できる。受信波を二乗することにより、受信波が、直流付近と搬送波の2倍の周波数帯に移行するという特徴がある。(f)における周波数スペクトラムは、この様子を表している。
受信ミキサ40から出力される復調後の信号(ベースバンド信号)は、受信波と参照波間の遅延時間が完全に一致している場合は、fおよびその高調波成分は出現せず、図10(f)のように直流成分のみとなる。なお、図10(f)における2fや−2fの成分は、受信ミキサ40の後段のLPF47,48によって除去される。受信波と参照波間の遅延時間が一致していないと、両者の時間差により、変調波の高調波成分、つまりfおよびその高調波成分が発生する。高調波成分は、受信波と参照波間の時間差が“0”からわずかでもずれると発生する。
こうした特徴から、本実施形態のFMCW方式では、受信波(受信信号)と参照波(参照信号)との間の位相関係を調整することにより、ベースバンド信号の直流および直流付近の信号成分に基づいて対象とする組織のドプラ情報を得ることができる。この意味において、本実施形態に係る超音波診断装置を位相シフト型FMCW超音波ドプラシステムと称することができる。
図11は、ベースバンド信号の直流および高調波成分の生体内深さ(体表からの距離)依存性を説明するための図である。図11には、複数の変調指数βについて、各変調指数βごとにベースバンド信号(復調信号)の周波数スペクトラムが示されている。なお、図11における変調指数βは、FM変調器24と受信ミキサ40の変復調における変調指数であり、第1変調波に対して、変調周波数fm2の第2変調波によりFM変調を施す場合における変調指数βである。また、FM変調器24と受信ミキサ40の変復調においてはf=fm2である。
図11に示すβ=0からβ≒30までの各周波数スペクトラムは、固定組織からの反射電力を表している。図11においては、組織における減衰の効果は省略した。なお、FM変調度の大きさは、一般的に、変調指数βにより定量化される。βは、FM変調による搬送波の最大周波数偏移Δfと変調周波数fの比として定義され、β=Δf/fにより定義される。
β=0の場合は無変調であるため、これは通常のCWドプラ速度計測システムと等価である。この場合は、どんな深さからの反射電力にも位置依存性は無い。また、送受信ともに無変調なので、ベースバンド信号に変調波成分が出現する余地は無い。連続超音波(CW)にFM変調をかけ、周波数偏移Δfを徐々に増加させると、FMCW送受信波はFM変調された信号となり、その電力は搬送波から側帯波に移行してゆく。送受信間の遅延時間差が無い場合はベースバンド信号に変調波の高調波成分は発生しない(図10参照)。直交検波器の2つの入力(つまり受信信号と参照信号)に時間差を生じさせないためには、当該深さからの反射波の遅延時間に相当する遅延時間を参照波に与えてやればよい。
図11の例は、距離d=7.5cmにおいて、参照波に与える遅延時間を受信波の遅延時間と一致するように設定した場合を示している。したがって、距離dからの反射電力は、直流成分のみで、変調波の高調波成分はまったく発生しない。距離がd以外の場所では、送信波と受信波間に時間差が生じるので、両者の相関性が少なくなってくる。したがって、直流成分が減少し、同時に高調波成分が出現しはじめる。この現象は、図10の(b),(c)間に時間差が生じたときに、瞬時周波数の差が、変調周波数の周期で繰り返す現象が発生するという概念からも説明できる。
変調度(変調指数β)が大きくなるにつれて、距離dにおける反射電力の位置ずれに対する変化は敏感になってくる。すなわち、距離dにおける反射電力の選択性が増加する。この傾向はβが増加するにしたがってますます顕著になる。図11では、その様子をβが0から30の場合について示している。そして、例えばβが30以上になると、この選択性(サンプルボリュームとしての機能)はPW(パルス波)ドプラにおけるレンジゲートの役割と類似の機能に近づいてくる。
次に、距離dからの反射電力が、ドプラシフトfを伴っていると仮定する。この場合は、固定物と相似形の距離依存性が出現するが、ドプラ周波数fだけ、直流成分からシフトして現れる。ドプラスペクトラムは、変調波あるいはその高調波の両側帯波にも同時に出現するが、距離dからのドプラエコーは直流からfだけシフトした周波数成分のみとなる。この様子を図11(DP)に示す。
図11(DP)に示すように、距離dからのドプラエコーが直流からfだけシフトした周波数成分のみとなるのは、搬送波周波数fからfだけずれた周波数において、参照信号とドプラ信号との相関が最も強くなるからである。このドプラ信号は、直流付近にのみ出現し、変調波の高調波成分(f,2f,3f,・・・)の付近には出現しない。したがって、直流付近のこの成分だけをローパスフィルタ(低域濾波器)によって抽出することにより、通常のCWと同様のSNR(信号体ノイズ比)を保った状態で、位置情報の特定されたドプラ情報を得ることができる。
具体的には、例えば、図1の遅延回路45によって、目標となる深さ(例えば血管の位置)dに対応した遅延時間τ(τ=2d/c:音速c,深さd)で参照信号に対して遅延処理が施されることにより、図1のFFT回路50,52から図11(DP)に相当するドプラ周波数スペクトラム情報が出力され、図1のドプラ情報解析部54によって、図11(DP)の直流付近のドプラ信号が抽出される。
このように、本実施形態においては、FM変調器20と受信ミキサ30の変復調により、例えば、ドプラ電力とクラッタ積算電力の比がドプラ電力に有利なように改善される。そして、FM変調器24と受信ミキサ40の変復調により、例えば、目標位置(目標となる深さ)からのドプラ情報が選択的に抽出され、サンプルボリュームとしての機能を実現することができる。
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、上述した本発明の好適な実施形態やその効果等は、あらゆる点で単なる例示にすぎず、本発明の範囲を限定するものではない。本発明は、その本質を逸脱しない範囲で各種の変形形態を包含する。
例えば、上述した実施形態においては、多重に変調された連続波の送信信号を形成するにあたって、第2変調波を変調信号として用いて第1変調波に対して周波数変調処理を施し、次に、その変調された第1変調波を変調信号として用いてRF波に対して周波数変調を施している。この変調の順序を入れ替えることも可能である。例えば、変調されていない第1変調波を変調信号として用いてRF波に対して周波数変調を施し、次に、その変調されたRF波に対して、変調されていない第2変調波を変調信号として用いて周波数変調処理を施してもよい。また、変調されていない第2変調波を変調信号として用いてRF波に対して周波数変調を施し、次に、その変調されたRF波に対して、変調されていない第1変調波を変調信号として用いて周波数変調処理を施してもよい。
さらに、周波数変調処理に換えて、周波数変調処理と同じ角度変調の方式として当業者において明らかな位相変調処理(PM処理)を利用してもよい。また、FM変調器20から出力されるFM連続波と同じ波形あるいは同等な波形のデータをメモリなどに記憶しておき、このメモリから読み出されるデータに基づいて当該連続波を生成してもよい。もちおろん、FM変調器24から出力される多重に変調された連続波と同じ波形あるいは同等な波形のデータをメモリなどに記憶しておき、このメモリから読み出されるデータに基づいて当該連続波を生成してもよい。
本発明に係る超音波診断装置の全体構成を示す機能ブロック図である。 固定組織からのクラッタを説明するための図である。 変調度β=0.8の場合の各深さからの電力の計算結果を示す図である。 変調度β=1.0の場合の各深さからの電力の計算結果を示す図である。 変調度β=1.2の場合の各深さからの電力の計算結果を示す図である。 第1参照信号の位相をシフトさせた場合の計算結果を示す図である。 感度良好領域を深さ方向に亘って広げた場合の計算結果を示す図である。 受信処理系において得られる信号を説明するための図である。 ドプラ優位信号の周波数スペクトラムを説明するための図である。 参照信号と受信信号との間の位相関係を説明するための図である。 直流および高調波成分の生体内深さ依存性を説明するための図である。
符号の説明
20 FM変調器、22 RF波発振器、24 FM変調器、26 第1変調波発振器、28 第2変調波発振器、30,40 受信ミキサ、35,45 遅延回路、50,52 FFT回路、54 ドプラ情報解析部。

Claims (7)

  1. 第1変調信号と第2変調信号を用いて多重に変調された連続波の送信信号を出力する送信信号処理部と、
    前記送信信号に基づいて超音波を生体に送波して生体からの反射波を受波することにより得られる受信信号に対して、前記送信信号に実質的に等しい波形の第1参照信号を用いて第1復調処理を施すことにより、ドプラ優位信号を抽出する第1受信信号処理部と、
    前記第1変調信号に実質的に等しい波形の第2参照信号を用いて前記ドプラ優位信号に対して第2復調処理を施すことにより、目標位置からのドプラ優位信号を選択的に抽出する第2受信信号処理部と、
    を有し、
    前記第1受信信号処理部は、生体内の目標位置の深さに応じた遅延処理を施して前記第1参照信号と前記受信信号との間の遅延関係を調整して前記第1復調処理を施すことにより、ドプラ信号を抽出するうえで優位な前記ドプラ優位信号を抽出する、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  2. 請求項1に記載の超音波診断装置において、
    前記第1受信信号処理部は、前記第1復調処理により得られる第1復調信号から、前記第1変調信号を基本波とした場合における基本波成分および第n(nは2以上の自然数)高調波成分のうちの少なくとも一つの成分を前記ドプラ優位信号として抽出する、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  3. 請求項1または2に記載の超音波診断装置において、
    前記第2受信信号処理部は、生体内の目標位置の深さに応じた遅延処理を施して前記第2参照信号と前記ドプラ優位信号との間の遅延関係を調整して前記第2復調処理を施すことにより、目標位置からのドプラ優位信号を選択的に抽出する、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の超音波診断装置において、
    前記送信信号処理部は、変調周波数fm1の第1変調信号に対して変調周波数fm1よりも小さい変調周波数fm2の第2変調信号を用いて変調処理を施し、さらに、変調処理された第1変調信号を用いて周波数fの搬送波信号を変調処理することにより、前記連続波の送信信号を形成する、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  5. 請求項4に記載の超音波診断装置において、
    前記搬送波信号に対する第1変調信号を用いた変調処理における変調指数の大きさに応じて、前記第1復調処理により得られる第1復調信号から、前記第1変調信号を基本波とした場合における基本波成分および第n(nは2以上の自然数)高調波成分のうちの少なくとも一つの成分が選択され、前記ドプラ優位信号として抽出される、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  6. 請求項5に記載の超音波診断装置において、
    前記搬送波信号に対する第1変調信号を用いた変調処理における変調指数の大きさが0.8から1.2の範囲であり、前記第1復調信号から前記基本波成分が前記ドプラ優位信号として抽出される、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  7. 請求項4から6のいずれか1項に記載の超音波診断装置において、
    前記第2変調信号を用いて変調処理された第1変調信号を前記第2参照信号として用いて前記第2復調処理が実行される、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
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