JP5260897B2 - 超音波診断装置 - Google Patents

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Description

本発明は、超音波診断装置に関し、特に、変調された連続波を利用する超音波診断装置に関する。
超音波診断装置の連続波を利用した技術として、連続波ドプラが知られている。連続波ドプラでは、例えば、数MHzの正弦波として構成される送信波が生体内へ連続的に放射され、生体内からの反射波が連続的に受波される。反射波には、生体内における運動体(例えば血流など)によるドプラシフト情報が含まれる。そこで、そのドプラシフト情報を抽出して周波数解析することにより、運動体の速度情報を反映させたドプラ波形などを形成することができる。
連続波を利用した連続波ドプラは、パルス波を利用したパルスドプラに比べて一般に高速の速度計測の面で優れている。また、送波される超音波の尖頭値電力をパルスドプラに比べて例えば1/100程度以下に小さくすることができる。こうした事情などから、本願発明者は、連続波ドプラに関する研究を重ねてきた。その成果の一つとして、特許文献1において、周波数変調処理を施した連続波ドプラ(FMCWドプラ)に関する技術を提案している。
一方、連続波ドプラでは、連続波を利用していることにより位置計測が困難である。例えば、従来の一般的な連続波ドプラの装置(FMCWドプラを利用しない装置)では、位置計測を行うことができなかった。これに対し、本願発明者は、特許文献2において、FMCWドプラにより生体内組織の速度に加えて生体内組織の位置を計測することができる技術を提案している。
特開2005−253949号公報 特開2006−14916号公報
特許文献1や特許文献2に記載されたFMCWドプラの技術は、それまでにない超音波診断の可能性を秘めた画期的な技術である。本願発明者は、この画期的な技術の改良についてさらに研究を重ねてきた。その研究の過程において、特に、受信信号に対して復調処理を施すことにより得られる復調信号に含まれるサイドローブ成分に注目した。
本発明は、このような背景において成されたものであり、その目的は、変調された連続波を利用する超音波診断装置において復調信号に含まれるサイドローブ成分を低減することにある。
上記目的を達成するために、本発明の好適な態様である超音波診断装置は、搬送波信号に対して周波数変調処理を施すことにより変調送信信号を生成する送信信号処理部と、変調送信信号に基づいて超音波を生体に送波して生体からの反射波を受波することにより受信信号を得る送受波部と、実質的に変調送信信号に等しい波形の参照信号を用いて受信信号に対して復調処理を施すことにより復調信号を得る受信信号処理部と、を有し、送受波部で利用される変調送信信号と受信信号処理部で利用される参照信号のうちの少なくとも一方の信号に対して振幅変調処理を施すことにより、受信信号処理部で得られる復調信号に含まれるサイドローブ成分を低減させることを特徴とする。
上記態様によれば、送受波部で利用される変調送信信号と受信信号処理部で利用される参照信号のうちの少なくとも一方の信号に対して振幅変調処理を施しているため、例えば当該振幅変調処理を施さない場合に比べて、復調信号に含まれるサイドローブ成分を低減させることができる。これにより、例えば復調信号に含まれるメインローブ成分の抽出の精度を高めることができる。また、復調信号に基づいて、例えば生体内部位の位置情報や速度情報を得るようにしてもよい。
望ましい態様において、前記周波数変調処理は、周期的に変化する周波数変調信号を用いて実行され、前記振幅変調処理は、周波数変調信号と同じ周期の振幅変調信号を用いて実行されることを特徴とする。
望ましい態様において、位相調整処理を施して参照信号と受信信号との間の位相関係を調整して復調処理を施すことにより、復調信号に含まれるサイドローブ成分の低減の程度を調整することを特徴とする。
望ましい態様において、生体内の目標位置の深さに応じた遅延量に基づいて参照信号と受信信号との間の位相関係を調整することにより、目標位置におけるサイドローブ成分の低減の程度を高めることを特徴とする。これにより、例えば位相関係を調整しない場合に比べて、目標位置におけるサイドローブ成分の低減の程度を高めることが可能になる。
望ましい態様において、前記振幅変調信号として、バイアス余弦関数のn乗、バイアス余弦2乗関数のn乗、三角波、ガウス関数のうちの少なくとも一つの関数に対応した重み付け信号を用いることを特徴とする。この態様においてnは整数を含むが整数のみに限定されない。
望ましい態様において、前記周波数変調信号として鋸歯状波信号を用いることを特徴とする。なお、鋸歯状波信号に換えて三角波信号や正弦波信号などを用いてもよい。
本発明により、変調された連続波を利用する超音波診断装置において復調信号に含まれるサイドローブ成分を低減することが可能になる。
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
図1には、本発明に係る超音波診断装置の好適な実施形態が示されており、図1はその全体構成を示す機能ブロック図である。
FM変調器18は、RF波発振器22から供給されるRF波、および、鋸歯状波発振器20から供給される鋸歯状の変調波(後に詳述する図2の符号40)に基づいてFM連続波(後に詳述する図3(A)の送信波形)を発生する。FM連続波は、重み付け処理部16aにおいて振幅に重み付け処理が施されて送信器14へ出力される。なお、重み付け処理による効果等については後に詳述する。
送信器14は、送信用振動子10へ送信信号を供給して超音波を送波させる。送信器14には、FM変調されてさらに重み付け処理が施されたFM連続波(FMCW波)が入力され、このFM連続波に対応する送信波が送信用振動子10から送波される。
送信用振動子10は生体内へ送信波を連続的に送波し、また、受信用振動子12は生体内からの反射波を連続的に受波する。このように、送信および受信がそれぞれ異なる振動子で連続的に実行される。なお、図1では、送信用振動子10および受信用振動子12をそれぞれ一つのブロックで示しているが、送信用振動子10および受信用振動子12は、それぞれ複数の振動素子で形成されてもよい。
前置増幅器24および主増幅器26は、受信用振動子12から供給される受波信号に対して増幅処理を施し、受信RF信号を形成して受信ミキサ28へ出力する。受信ミキサ28は、受信RF信号に対して検波を施す回路である。
なお、受信ミキサ28に供給される参照信号は、FM変調器18で生成されたFM連続波であり、FM変調器18で生成されたFM連続波が重み付け処理部16bにおいて振幅に重み付け処理を施され、さらに遅延回路17において遅延処理を施されてから受信ミキサ28に供給される。重み付け処理や遅延処理による効果等については後に詳述する。
こうして、受信ミキサ28において、受信RF信号に対して送信用のFM連続波から得られる参照信号による検波が行われ、バンドパスフィルタ(BPF)30によって送受信信号間における周波数差信号が抽出される。周波数差信号については後に図2および図3を利用して詳述する。
ちなみに、受信ミキサ28は、受信RF信号に対して直交検波を施して複素信号を生成してもよい。直交検波の場合、遅延回路17から出力されるFM連続波と、そのFM連続波の位相をπ/2だけずらした連続波とによる、二つの連続波を参照信号として検波を行い、同相成分と直交成分の二つの成分を出力すればよい。
BPF30によって抽出された周波数差信号は、位置演算部32に出力され、さらに位置演算部32を経由して速度演算部34に出力される。
位置演算部32は周波数差信号に基づいて生体内組織の位置を演算する。また、速度演算部34は各周波数差信号に相当する各周波数スペクトラムの時間変化に基づいて生体内組織の速度を演算する。位置演算部32および速度演算部34は、例えば、FFT演算を行う演算器(CPUやDSPなど)で構成される。位置演算部32および速度演算部34で求められた組織の位置情報や速度情報は、表示部36に出力され、例えば、位置情報に基づく生体内の断層画像や三次元画像、あるいは、速度情報に基づくドプラ画像やカラードプラ画像などが表示部36に表示される。
以上、概説したように、本実施形態では、鋸歯状波でFM変調した連続波による超音波(FMCW波)を送受波し、生体内の組織(部位)の位置情報や速度情報を取得する。そこで、次にその原理について詳述する。なお、以下において、図1に示した部分には図1の符号を付して説明する。
図2は、周波数差信号から位置情報を取得する原理を説明するための図である。図2は、一つの対象組織から受信信号を取得した場合の例を示している。そして、図2(A)には、送信周波数40および受信周波数42の時間変化の様子が示されており、図2(B)には、送受信信号の周波数差(周波数差信号44)の時間変化の様子が示されている。送信周波数40は、送信用振動子10から送波される超音波の周波数変化に相当し、受信周波数42は、受信用振動子12で受波される組織からの反射波の周波数変化に相当する。また、周波数差信号44は、BPF30によって抽出される信号である。
送信周波数40は、鋸歯状波発振器20で生成される。送信周波数40は、時間Tmの間に−ΔωからΔωまで周波数が変化し、これが繰り返される鋸歯状の周波数変化をするFM変調波である。この鋸歯状波で変調された送信波は、生体内を伝播して組織によって反射される。このため、往復伝播距離に応じた遅延を伴って受波される。この様子を示すのが受信周波数42である。つまり、受信周波数42は、送信周波数40から遅延時間τだけずれて取得される。
時間τは、超音波の往復伝播時間に相当する。そこで、送信用振動子10と受信用振動子12を備えた探触子から対象組織までの距離をL、音速をcとすると、時間τは次式のようになる。
Figure 0005260897
また、送信周波数40は、時間Tmの間に−ΔωからΔωまで周波数が変化するため、単位時間当たりの周波数変化は、次式のようになる。
Figure 0005260897
このため、図2(B)に示す期間1,3,5における送受信信号間の周波数差Δδと、期間2,4,6における送受信信号間の周波数差Δδは、それぞれ次式のようになる。
Figure 0005260897
時間τ=2L/cであるため、期間1,3,5における送受信信号間の周波数差Δδを考えると、
Figure 0005260897
となる。したがって、期間1,3,5における送受信信号間の周波数差Δδを知ることで、既知の値であるΔω,Tm,cから、数4を利用して、探触子から対象組織までの距離Lを算出することができる。
図3は、周波数差信号から位置情報を取得する原理を説明するための図であり、図3は、複数の対象組織から受信信号を取得した場合の例を示している。
図3(A)は、送信用振動子10へ供給される送信波形(FM連続波:FMCW波)を示している。図3(B)は、送信周波数40および複数の受信周波数42a〜42dの時間変化の様子を示している。複数の受信周波数42a〜42dは、それぞれ、異なる深さに存在する対象組織からの受信信号に相当する。複数の受信周波数42a〜42dは、それぞれ、対応する組織の深さに応じて送信周波数40に対して遅延を伴って受波される。
図3(C)は、複数の受信周波数42a〜42dの各々について、送信周波数40との差である周波数差信号44a〜44dの時間変化の様子を示している。周波数差信号44a〜44dは、BPF30によって一括して抽出される信号である。つまり、BPF30は、周波数差信号44a〜44dが重ね合わされた信号を出力する。
位置演算部32は、この重ね合わされた信号から、各深さごとの周波数差信号を抽出する。このため、位置演算部32は、図3(C)に示す信号処理時間帯48にウィンドウを設定し、設定したウィンドウ内でBPF30からの出力信号を、例えばFFTなどを利用して周波数解析し、図3(D)に示す周波数電力スペクトラムを取得する。
図3(D)に示す周波数電力スペクトラムは、周波数差信号44a〜44dが重ね合わされた信号の周波数スペクトラムに相当する。したがって、各周波数差信号44a〜44dの周波数位置に対応したスペクトラム成分50a〜50dを含む波形となる。
そこで、位置演算部32は、必要とする周波数帯域の信号を抽出した後、FFT等により周波数電力スペクトラムの各スペクトラム成分50a〜50dに変換し、その周波数成分から、周波数差信号44a〜44dの信号処理時間帯48における周波数差Δδを求める。例えば、ピーク値をもった線スペクトラム状の各周波数成分50a〜50dの頂点の位置(周波数)が、各スペクトラム成分50a〜50dに対応した周波数差Δδとなる。こうして、各深さごとに、周波数差Δδと、既知の値であるΔω,Tm,cから、数4を利用して、各組織の深さ(位置)に相当する距離Lが算出される。
図4は、周波数差信号から速度情報を取得する原理を説明するための図であり、周波数差信号の周波数スペクトラムの時間変化を示している。
図4は、図3(D)を利用して説明した周波数スペクトラムを、周波数軸と時間軸によって二次元的に表現したものであり、図4における周波数軸が、図3(D)における縦軸に対応する。したがって、図4においても、所定周波数におけるスペクトラムは、その周波数に対応する深さからの反射波に相当する。なお、図4において、周波数スペクトラムは、振幅成分と位相成分とを含む複素振幅で表現されており、図4において棒状に表現された各スペクトラムの棒の長さが振幅に相当し、棒の傾きが位相に相当する。
対象組織が固定していれば、その対象組織から得られる周波数スペクトラムは時間に関係なく一定となる。つまり、図4で、固定された組織に相当する周波数のスペクトラムは、時間に関係なくその棒の長さや傾きが一定となる。一方、対象組織が移動していると、その対象組織から得られる周波数スペクトラムは時間と共に変化する。つまり、図4で、移動組織に相当する周波数のスペクトラムは、時間と共に、その棒の長さや傾きが変化する。したがって、周波数スペクトラムの振幅成分と位相成分について、その時間変動を解析すれば、その周波数成分に相当する速度、つまり、その周波数成分に対応する組織の速度を算出することができる。
図5は、周波数差信号から速度情報を取得する原理を説明するための図であり、所定時刻における周波数スペクトラムの各周波数成分(Δδ1〜Δδ4)を複素表現したものである。図5の各周波数成分(Δδ1〜Δδ4)は、図4において周波数軸方向に並んだ互いに異なる複数の複素振幅成分に対応する。
速度演算部34は、BPF30からの出力信号を位置演算部32によって周波数スペクトラムに変換した信号、つまり図3(D)に示した信号を、例えばFFTなどを利用して解析する。そして、図5に示すように、Iチャンネル信号成分とQチャンネル信号成分の二つの成分で、各周波数成分(Δδ1〜Δδ4)を複素表現する。図5は、所定時刻における周波数スペクトラムの各周波数成分の複素振幅を示すものであるが、速度演算部34は、各時刻ごとに各周波数成分を複素表現で求め、各周波数成分ごとに時間変動を解析する。
各周波数成分(Δδ1〜Δδ4)は、それぞれ、各深さにおける組織の受信信号に対応するため、各周波数成分(Δδ1〜Δδ4)の時間変化を解析することで、各深さ(位置)における組織の速度を算出することができる。
以上説明したように、本実施形態により、図3(D)に示す周波数電力スペクトラムに基づいて、生体内の組織(部位)の位置情報や速度情報を取得することができる。ところが、図3(D)に示す周波数電力スペクトラムの各スペクトラム成分50a〜50dは、単純な一つの山状の波形にはならず、シンク関数(sinc function)の形となる。つまり、各スペクトラム成分50a〜50dは、メインローブに加えてサイドローブ(レンジサイドローブ)を伴った波形となる。本実施形態では、そのサイドローブの低減を目的として、重み付け処理部16a,16bにおいて重み付け処理を実行し、遅延回路17において遅延処理を実行する。以下にサイドローブを低減させる処理について説明する。
図6は、振幅に重み付け処理が施されたFM連続波を説明するための図である。図1を利用して説明したように、FM変調器18において生成されたFM連続波は、重み付け処理部16aにおいて振幅に重み付け処理が施されて送信器14へ出力され、また、重み付け処理部16bにおいて振幅に重み付け処理が施されて遅延回路17を経由して受信ミキサ28へ出力される。
図6には、重み付け処理部16aまたは重み付け処理部16bにおいて重み付け処理されたFM連続波60が示されており、図6(A)は振幅に対する重み付けつまり振幅変調が比較的小さい場合の波形を示しており、図6(B)は振幅変調が比較的大きい場合の波形を示している。
本実施形態では、周期Tmで周期的に変化する鋸歯状波62を周波数変調信号として用いてRF波(搬送波)を周波数変調処理することによりFM連続波60を生成している(図2および図3(A)参照)。振幅変調処理(重み付け処理)においては、周波数変調信号である鋸歯状波62と同じ周期Tmの重み付け関数を変調信号として用いる。そのため図6(A)(B)に示す振幅変調されたFM連続波60は、周波数変化と同じ周期、つまり鋸歯状波62と同じ周期で振幅が周期的に変化する。
なお、重み付け処理は、重み付け処理部16aまたは重み付け処理部16bのいずれか一方のみで実行されてもよいし、重み付け処理部16aと重み付け処理部16bの両方で実行されてもよい。
また、重み付け関数としては、例えば次式に示すバイアス余弦2乗関数、バイアス余弦関数、バイアス余弦関数のn乗、バイアス余弦2乗関数のn乗、三角波、ガウス関数などが好適である。重み付け関数としてハミング窓やブラックマン窓などを利用してもよい。
Figure 0005260897
図7は、重み付け処理によるサイドローブの低減を示す図である。図7には、ベースバンド信号の周波数スペクトラム、つまりBPF30によって抽出された周波数差信号(復調信号)の周波数スペクトラムの例が図示されている。例えば、図3(D)に示したスペクトラム成分50a〜50dのいずれか一つの波形が図7に示す波形に対応する。
図7は、バイアス余弦関数を利用して、受信ミキサ28の片方の入力である参照信号に重み付け処理した例を示しており、バイアス余弦関数における重み係数kを0.7とした場合の計算結果例を示している。また、τは送受信信号の遅延時間差、つまり図1の受信ミキサ28に入力される受信RF信号と参照信号との間の時間差(位相差)であり、図7a)にはτ=50.1μsの場合の波形が示されており、図7b)にはτ=300.1μsの場合の波形が示されている。なお、上段の(a−1)(b−1)の波形のピーク付近の拡大波形が、各々、下段の(a−2)(b−2)に示されている。
(a−2)において、波形70は重み付け無しの場合の周波数スペクトラムであり、波形72は重み付け有りの場合の周波数スペクトラムである。波形70には、横軸(時間軸)方向の中心付近にメインローブが存在し、そのメインローブの左右に対称的に複数のサイドローブが広がっている。波形72にも、波形70と同様に、メインローブとその左右に広がるサイドローブが確認できる。
波形70と波形72の二つの波形の高さ(縦軸方向の大きさ)を比較すると、二つの波形のメインローブの高さはほぼ同じであるのに対し、二つの波形のサイドローブの高さについては、波形70に対して波形72の方が大幅に下げられている。(b−2)においても、重み付け無しの場合と重み付け有りの場合の二つの波形が示されており、重み付け有りの場合の波形の方が全体的に下側に位置している。また、メインローブにおける差よりもサイドローブにおける差の方が顕著に表れている。
このように、重み付け処理を施すことにより、周波数差信号(復調信号)の周波数スペクトラムに含まれるサイドローブを低減させることができる。そのため、例えば、図3(D)に示したように、複数のスペクトラム成分50a〜50dが近接して存在し、例えばスペクトラム成分50bのサイドローブがスペクトラム成分50cの位置(周波数)にまで影響を及ぼす場合においても、重み付け処理によりサイドローブを低減させることにより、スペクトラム成分50bのサイドローブがスペクトラム成分50cへ与える影響を小さくすることができる。その結果、例えば、隣接した組織に関する位置分離性能の向上が期待できる。
さらに、図7の(a−2)と(b−2)を比較すると、(a−2)の方がサイドローブの低減効果が大きい。つまり、送受信信号の遅延時間差τの相違に応じて、サイドローブの低減の程度(サイドローブ抑圧比)が変化する。
図8,図9は、送受信信号の遅延時間差とサイドローブ抑圧比との関係を説明するための図である。図8,図9は、各々、横軸に送受信間の遅延時間差を示し、縦軸にサイドローブ抑圧比を示している。各図の縦軸に示すサイドローブ抑圧比は、重み付け処理を施さない場合に得られる周波数スペクトラムを基準とした場合の抑圧比である。
また、図8,図9において、重み付け処理には、バイアス余弦関数のn乗が利用されており、各図において、バイアス余弦関数の1乗に対応した抑圧比の波形が破線、バイアス余弦関数の2乗に対応した抑圧比の波形が一点鎖線、バイアス余弦関数の3乗に対応した抑圧比の波形が実線で示されている。さらに、図8には、バイアス余弦関数の重み係数k=0.5,k=0.6,k=0.8について、各重み係数ごとにバイアス余弦関数の1乗〜3乗に対応した3つの波形が示されている。また、図9には、重み係数k=0.45,k=0.3,k=0.0について、各重み係数ごとにバイアス余弦関数の1乗〜3乗に対応した3つの波形が示されている。
図8,図9の各図に示される波形は、送受信間の遅延時間差の変化に応じてサイドローブ抑圧比が変化している様子を示している。例えば、図8においては、送受信信号の遅延時間差が小さくなるにつれてサイドローブ抑圧比が大きくなっている。また、図9においては、送受信信号の遅延時間差が小さくなるにつれてサイドローブ抑圧比が大きくなり、サイドローブ抑圧比が極大となった後、さらに送受信信号の遅延時間差が小さくなるにつれてサイドローブ抑圧比が小さくなる様子が示されている。
このように、送受信信号の遅延時間差、つまり図1の受信ミキサ28に入力される受信RF信号と参照信号との間の時間差(位相差)に応じて、周波数差信号(復調信号)の周波数スペクトラムに含まれるサイドローブに対する抑圧比が変化する。そこで、本実施形態では、受信RF信号と参照信号との間の位相関係を調整することにより、サイドローブの低減の程度を調整する。つまり、図1の遅延回路17において参照信号に対して遅延処理を施し、その際の遅延量を適宜設定することにより、受信RF信号と参照信号との間の位相関係を調整する。
例えば、図8に示す重み係数k=0.6のバイアス余弦関数の3乗によって重み付け処理を施した場合(図8におけるk=0.6の実線の波形の場合)には、送受信間の遅延時間差が0(ゼロ)の場合においてサイドローブ抑圧比が最大となる。そのため、受信RF信号と参照信号との間の位相差が0(ゼロ)となるように参照信号に対して遅延処理を行うことにより、サイドローブの低減効果が最大となる。そこで、例えば、遅延回路17による遅延処理の遅延時間を、超音波が生体内の目標位置まで送波されてから戻るまでの伝搬時間に設定することにより、目標位置からの受信信号と参照信号との間の位相差が0(ゼロ)となり、目標位置におけるサイドローブの低減効果を高めることができる。このように、受信RF信号と参照信号との間の位相関係を調整することにより、サイドローブの低減効果を十分に発揮できる位置(深さ)を任意に設定することが可能になる。
図10は、参照信号に対して遅延処理を行わない場合のサイドローブ抑圧比を示す図であり、送受信間の遅延時間差と重み係数kに応じたサイドローブ抑圧比を三次元的に示したものである。図10は、重み付け関数として例えばバイアス余弦関数を利用した場合のサイドローブ抑圧比である。
図10において、重み係数k=1.0からk=0.5の範囲では、サイドローブ抑圧比の山のピークが遅延時間差0(ゼロ)の位置にある。つまり、参照信号に対して遅延処理を行わない場合には、送受信間の遅延時間差0(ゼロ)の受信信号、すなわち生体の表面(探触子が接触する面)から得られる受信信号について、サイドローブ抑圧比が最大となり、遅延時間差が大きくなるに従って、つまり生体の深さ方向に進むに従ってサイドローブ抑圧比が小さくなる。
また、重み係数がk=0.5からk=0.0に向かって減少するにつれて、遅延時間差0(ゼロ)の位置にあったサイドローブ抑圧比の山のピークの位置が、遅延時間差の大きい方に、つまり生体の深さ方向にずれている。従って、例えば重み係数をk=0.5からk=0.0の範囲で調整することにより、サイドローブ抑圧比の山のピークの位置、つまりサイドローブ抑圧比が最大(極大)となる深さを調整することも可能である。
図11は、参照信号に対して遅延処理を施した場合のサイドローブ抑圧比を示す図であり、図10と同様に、送受信間の遅延時間差と重み係数kに応じたサイドローブ抑圧比を三次元的に示したものである。図11は、重み付け関数として例えばバイアス余弦関数を利用した場合のサイドローブ抑圧比である。
参照信号に対して遅延処理を施しているため、図10に示したサイドローブ抑圧比の三次元的な山状の波形が、図11では時間軸方向(送受信間の遅延時間差の軸)に沿って全体的にずれている。つまり、参照信号に対する遅延処理により、サイドローブ抑圧比の山のピークの位置をずらすことができる。従って、例えば、生体内の目標位置とサイドローブ抑圧比の山のピークの位置が一致するように、参照信号を遅延処理することにより、目標位置におけるサイドローブの低減効果を高めることが可能になる。
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、上述した実施形態では、周波数変調信号として鋸歯状波を利用している。この鋸歯状波に換えて三角波や正弦波を利用してもよい。また、例えば、受信信号と参照信号の位相を調整するための変形態様として、図1において、遅延回路17を送信器14の直前に移してもよい。つまり、送信器14へ供給される送信用のFMCWに遅延処理を施し、受信ミキサ28へ供給される参照信号に遅延処理を施さずに、参照信号と受信信号の位相を調整してもよい。また、図1に示す遅延回路17をそのまま残し、さらに送信器14の直前に別の遅延回路を設けてもよい。つまり、送信器14へ供給される送信用のFMCWに遅延処理を施し、さらに受信ミキサ28へ供給される参照信号にも遅延処理を施して参照信号と受信信号の位相を調整してもよい。
以上、本発明の好適な実施形態といくつかの変形形態を説明したが、上述した本発明の好適な実施形態等は、あらゆる点で単なる例示にすぎず、本発明の範囲を限定するものではない。本発明は、その本質を逸脱しない範囲で各種の変形形態を包含する。
本発明に係る超音波診断装置の全体構成を示す機能ブロック図である。 周波数差信号から位置情報を取得する原理を説明するための図である。 周波数差信号から位置情報を取得する原理を説明するための図である。 周波数差信号から速度情報を取得する原理を説明するための図である。 周波数差信号から速度情報を取得する原理を説明するための図である。 振幅に重み付け処理が施されたFM連続波を説明するための図である。 重み付け処理によるサイドローブの低減を示す図である。 遅延時間差とサイドローブ抑圧比との関係を説明するための図である。 遅延時間差とサイドローブ抑圧比との関係を説明するための図である。 遅延処理を行わない場合のサイドローブ抑圧比を示す図である。 遅延処理を施した場合のサイドローブ抑圧比を示す図である。
符号の説明
10 送信用振動子、12 受信用振動子、16a,16b 重み付け処理部、17 遅延回路、18 FM変調器、20 鋸歯状波発振器。

Claims (5)

  1. 搬送波信号に対して周波数変調処理を施すことにより変調送信信号を生成する送信信号処理部と、
    変調送信信号に基づいて超音波を生体に送波して生体からの反射波を受波することにより受信信号を得る送受波部と、
    実質的に変調送信信号に等しい波形の参照信号を用いて受信信号に対して復調処理を施すことにより復調信号を得る受信信号処理部と、
    を有し、
    送受波部で利用される変調送信信号と受信信号処理部で利用される参照信号のうちの少なくとも一方の信号に対して振幅変調処理を施すことにより、受信信号処理部で得られる復調信号に含まれるサイドローブ成分を低減させ
    前記周波数変調処理は、周期的に変化する周波数変調信号を用いて実行され、
    前記振幅変調処理は、周波数変調信号と同じ周期の振幅変調信号を用いて実行される、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  2. 請求項に記載の超音波診断装置において、
    位相調整処理を施して参照信号と受信信号との間の位相関係を調整して復調処理を施すことにより、復調信号に含まれるサイドローブ成分の低減の程度を調整する、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  3. 請求項に記載の超音波診断装置において、
    生体内の目標位置の深さに応じた遅延量に基づいて参照信号と受信信号との間の位相関係を調整することにより、目標位置におけるサイドローブ成分の低減の程度を高める、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の超音波診断装置において、
    前記振幅変調信号として、バイアス余弦関数のn乗、バイアス余弦2乗関数のn乗、三角波、ガウス関数のうちの少なくとも一つの関数に対応した重み付け信号を用いる、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の超音波診断装置において、
    前記周波数変調信号として鋸歯状波信号を用いる、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
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