JP2010022737A - 超音波診断装置 - Google Patents

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正徳 国田
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Abstract

【課題】連続波を利用して目標位置からの生体内情報を抽出する技術において抽出の精度を高める。
【解決手段】FMCWクラッタ72には、体表付近からの大きな反射電力の影響を受けたクラッタ電力極大領域が存在し、また、深さ依存減衰の影響で減少した微小クラッタ領域が存在する。送信信号の周期性と位置選択の周期性のために、クラッタ電力極大領域と微小クラッタ領域が、深さ方向に沿って周期Tで繰り返し出現する。本発明においては、目標位置にクラッタ電力極大領域が重ならないように、変調波の周期Tを調整して目標位置からクラッタ電力極大領域をずらすことにより、目標位置において不要信号を低減させて目標位置からドプラ信号を抽出する。
【選択図】図3

Description

本発明は、超音波診断装置に関し、特に、連続波を利用する超音波診断装置に関する。
超音波診断装置の連続波を利用した技術として、連続波ドプラが知られている。連続波ドプラでは、例えば、数MHzの正弦波である送信波が生体内へ連続的に放射され、生体内からの反射波が連続的に受波される。反射波には、生体内における運動体(例えば血流など)によるドプラシフト情報が含まれる。そこで、そのドプラシフト情報を抽出して周波数解析することにより、運動体の速度情報を反映させたドプラ波形などを形成することができる。
連続波を利用した連続波ドプラは、パルス波を利用したパルスドプラに比べて一般に高速の速度計測の面で優れている。こうした事情などから、本願発明者は、連続波ドプラに関する研究を重ねてきた。その成果の一つとして、特許文献1において、周波数変調処理を施した連続波ドプラ(FMCWドプラ)に関する技術を提案している。
一方、連続波ドプラでは、連続波を利用していることにより位置計測が困難である。例えば、従来の一般的な連続波ドプラの装置(FMCWドプラを利用しない装置)では、位置計測を行うことができなかった。これに対し、本願発明者は、特許文献2において、FMCWドプラにより生体内組織の速度に加えて生体内組織の位置を計測することができる技術を提案している。
特開2005−253949号公報 特開2006−14916号公報
特許文献1や特許文献2に記載されたFMCWドプラの技術は、それまでにない超音波診断の可能性を秘めた画期的な技術である。本願発明者は、この画期的な技術の改良についてさらに研究を重ねてきた。特に、連続波を利用して目標位置からの生体内情報を抽出する技術に注目して研究を重ねてきた。
本発明は、このような背景において成されたものであり、その目的は、連続波を利用して目標位置からの生体内情報を抽出する技術において抽出の精度を高めることにある。
上記目的を達成するために、本発明の好適な態様である超音波診断装置は、周期Tで周波数を変化させた連続波の送信信号を出力する送信信号処理部と、前記送信信号に基づいて超音波を生体に送波して生体からの反射波を受波することにより得られる受信信号に対して、前記送信信号に実質的に等しい波形の参照信号を用いて復調処理を施すことにより復調信号を得る受信信号処理部と、復調信号から生体内情報を抽出する生体内情報抽出部と、を有し、前記送信信号の周期Tを調整することにより、超音波の送受波方向に沿って周期的に変化する不要信号の周期を調整して生体内の目標位置において不要信号を低減させ、且つ、当該目標位置から得られる受信信号と参照信号との間の相関関係を調整して復調処理を施すことにより、当該目標位置からの生体内情報を選択的に抽出する、ことを特徴とする。
上記態様では、参照信号を用いて受信信号に対して復調処理を施しているため、参照信号との相関が比較的大きい信号成分を含んだ復調信号を得ることができる。そして、その復調処理にあたり、目標位置から得られる受信信号と参照信号との間の相関関係が調整され、例えば、参照信号との相関が比較的大きい信号成分として目標位置からの受信信号を抽出することができる。さらに、生体内の目標位置において不要信号を低減させているため、目標位置から抽出される受信信号に関する抽出の精度を高めることができる。
なお、上記態様において、参照信号と送信信号は、完全に等しい波形であることが望ましい。但し、参照信号と送信信号は、実質的に等しい波形とみなせる程度の対応関係でもよい。
望ましい態様において、前記不要信号には、生体の体表近傍の組織から得られる極大信号が含まれ、超音波の送受波方向に沿って周期Tに対応した周期で極大信号が出現し、前記送信信号の周期Tを調整して極大信号を目標位置からずらすことにより、目標位置において不要信号を低減させる、ことを特徴とする。
望ましい態様において、前記送信信号処理部は、変調周波数fの変調信号を用いて搬送波信号を周波数変調することにより前記送信信号を形成し、変調周波数fが調整されることにより送信信号の周期T=1/fが調整される、ことを特徴とする。
望ましい態様において、前記超音波診断装置は、目標位置からの受信信号の位相と参照信号の位相が等しくなるように、目標位置に応じた遅延量だけ参照信号を遅延処理することにより、目標位置から得られる受信信号と参照信号との間の相関を強める、ことを特徴とする。
望ましい態様において、前記生体内情報抽出部は、生体内情報として、復調信号に含まれる直流信号成分に対応したドプラ信号成分を抽出する、ことを特徴とする。
本発明により、連続波を利用して目標位置からの生体内情報を抽出する技術において抽出の精度が高められる。例えば、本発明の好適な態様によれば、生体内の目標位置において不要信号が低減され、目標位置から抽出される受信信号に関する抽出の精度が高められる。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。
図1には、本発明に係る超音波診断装置の好適な実施形態が示されており、図1はその全体構成を示す機能ブロック図である。送信用振動子10は生体内へ送信波を連続的に送波し、また、受信用振動子12は生体内からの反射波を連続的に受波する。このように、送信および受信がそれぞれ異なる振動子で行われて、いわゆる連続波ドプラ法による送受信が実行される。
電力増幅器14は、送信用振動子10に対し、電力増幅されたFM連続波(FMCW)を供給する。電力増幅器14には、例えば正弦波または鋸歯状波などによるFM変調処理が施されたFM連続波(FMCW波)が入力され、このFM連続波に対応する送信波が送信用振動子10から送波される。FM変調器20は、FM連続波を電力増幅器14に出力する。FM変調器20は、RF波発振器22から供給されるRF波、および、変調波生成部24から供給される正弦波または鋸歯状波などの変調波に基づいてFM連続波を発生する。このFM連続波の波形については後の原理説明で詳述する。
前置増幅器16は、受信用振動子12から供給される受波信号に対して低雑音増幅等の受信処理を施し、受信RF信号を形成して受信ミキサ30へ出力する。受信ミキサ30は受信RF信号に対して直交検波を施して複素ベースバンド信号を生成する回路であり、2つのミキサ32,34で構成される。各ミキサは受信RF信号を所定の参照信号と混合する回路である。
受信ミキサ30の各ミキサに供給される参照信号は、FM変調器20から出力されFM連続波に基づいて生成される。つまり、FM変調器20から出力されるFM連続波が遅延回路25において必要に応じて遅延処理され、ミキサ32には遅延処理されたFM連続波が直接供給され、一方、ミキサ34には遅延処理されたFM連続波がπ/2シフト回路26を経由して供給される。π/2シフト回路26は遅延処理されたFM連続波の位相をπ/2だけずらす回路である。この結果、2つのミキサ32,34の一方から同相信号成分(I信号成分)が出力され、他方から直交信号成分(Q信号成分)が出力される。そして、受信ミキサ30の後段に設けられるLPF(ローパスフィルタ)36,38によって、同相信号成分および直交信号成分の各々の高周波数成分がカットされ、検波後の必要な帯域のみの復調信号が抽出される。
なお、変調波生成部24から供給される変調波に遅延処理を施して遅延変調波を形成し、その遅延変調波によってRF波発振器22から供給されるRF波を周波数変調することにより、参照信号を生成してもよい。
後の原理説明で詳述するが、各ミキサで実行される受信RF信号と参照信号との混合処理の結果である受信ミキサ出力信号(復調信号)には、変調波生成部24から供給される変調波の変調波周波数fに関する複数の第n次波成分(nは0以上の自然数)が含まれている。つまり、第0次波成分である直流成分、第1次波成分である基本波成分、さらに、nが2以上の複数の高調波成分が含まれている。これら複数の第n次波成分を含んだ復調信号が、LPF36,38の各々から出力される。
FFT回路(高速フーリエ変換回路)40,42は、復調信号(同相信号成分および直交信号成分)の各々に対してFFT演算を実行する。その結果、FFT回路40,42において復調信号が周波数スペクトラムに変換される。なお、FFT回路40,42から出力される周波数スペクトラムは、回路の設定条件などにより周波数分解能δfの周波数スペクトラムデータとして出力される。
ドプラ情報解析部44は、周波数スペクトラムに変換された復調信号からドプラ情報を抽出する。本実施形態においては、遅延回路25によってサンプルボリュームの位置に応じて参照信号と受信信号との間の位相関係が調整されるため、サンプルボリュームからのドプラ情報が選択的に抽出される。位相の調整とサンプルボリュームからのドプラ情報の抽出との関連については、後の原理説明において詳述する。
なお、ドプラ情報解析部44は、生体内の各深さ(各位置)ごとにドプラ情報を抽出して、例えば、超音波ビーム(音線)上の各深さごとに生体内組織の速度を算出し、リアルタイムで出力してもよい。また、超音波ビームを走査させて二次元的あるいは三次元的に生体内組織の各位置の速度を算出してもよい。
表示処理部46は、ドプラ情報解析部44において抽出されるドプラ情報に基づいて得られるドプラ波形などの診断結果を含んだ表示画像を形成する。また、表示処理部46は、ユーザが生体内の診断対象部位に対してサンプルボリュームを設定する際の設定支援用の画像を含んだ表示画像を形成する。形成された表示画像は表示部48に表示される。
図1に示す超音波診断装置内の各部は、システム制御部50によって制御される。つまり、システム制御部50は、送信制御や受信制御や表示制御などを行う。また、図示しない操作パネルなどを介して入力されるユーザ操作に応じて、システム制御部50が超音波診断装置内の各部を制御する。
以上、概説したように、本実施形態では、連続波(CW)を変調波でFM変調した超音波(FMCW波)を送受波して受信信号が得られて、目標位置(サンプルボリュームの設定位置)となる診断対象部位からのドプラ情報が選択的に抽出される。そこで、目標位置からのドプラ情報が選択的に抽出される原理について詳述する。なお、図1に示した部分(構成)については、以下の説明においても図1の符号を利用する。
周波数fのRF波(搬送波)に対して、周波数fの正弦波によりFM変調を施したFMCW送信波は次式のように表現できる。
Figure 2010022737
数1式において、Δfは周波数変動幅の0−P値(ゼロピーク値:最大周波数偏移)であり、最大周波数偏移Δfと変調周波数fの比であるβはFMの変調度(変調指数)である。
また、ドプラシフトを伴う場合のFMCW受信波は、生体における往復の減衰をαとすると次式で表現できる。
Figure 2010022737
なお、数2式においてfに対するドプラシフトは、fのシフト分fに比較して小さいので無視している。
数2式で表される受信波形は、超音波振動子を介して受信される信号波形(受信RF信号)である。FMCWドプラでは、受信RF信号に対する復調処理において、FMCW送信波を参照信号として受信波と乗算を行う。図1を利用して説明したように、FM変調器20から出力されるFM連続波が遅延回路25において遅延処理され、参照信号として、ミキサ32には遅延処理されたFM連続波が直接供給され、一方、ミキサ34には遅延処理されたFM連続波がπ/2シフト回路26を経由して供給される。したがって、ミキサ32へ供給される参照信号vrI(t)と、ミキサ34へ供給される参照信号vrQ(t)は、次式のように表現できる。
Figure 2010022737
数3式において、φmrは、遅延回路25における遅延処理により任意に設定できる参照信号の位相を示しており、φ0rは、任意に設定した参照信号の位相に対応して決まる搬送波の位相変化量を示している。
受信ミキサ30では、復調処理として直交検波が行われる。つまり、ミキサ32において、受信RF信号v(t)と参照信号vrI(t)の乗算に相当する処理が実行され、また、ミキサ34において、受信RF信号v(t)と参照信号vrQ(t)の乗算に相当する処理が実行される。
ミキサ32における受信RF信号v(t)と参照信号vrI(t)の乗算vDI(t)は次式のように表現される。なお、次式の計算途中において、周波数2fの成分が消去されている。これは、LPF36において除去される周波数成分である。
Figure 2010022737
ここで、ベッセル関数に関する次の公式を利用する。
Figure 2010022737
数5式の公式を用いると、数4式はさらに次式のように計算される。
Figure 2010022737
一方、ミキサ34における受信RF信号v(t)と参照信号vrQ(t)の乗算vDQ(t)は次式のように表現される。なお、次式の計算途中において、周波数2fの成分が消去されている。これは、LPF38において除去される周波数成分である。
Figure 2010022737
ここで、数6式のvDI(t)と数7式のvDQ(t)とに基づいて、複素ベースバンド信号を定義する。まず、vDI(t)とvDQ(t)に含まれている直流(DC)成分、変調周波数fの偶数次高調波成分を次式のように表現する。
Figure 2010022737
次に、vDI(t)とvDQ(t)に含まれている変調周波数fの成分、変調周波数fの奇数次高調波成分を次式のように表現する。
Figure 2010022737
数8式と数9式から、直交検波後のベースバンド信号において、ドプラシフトfを含んだドプラ信号は、DC成分と変調周波数fの成分と変調周波数fの高調波成分とからなる複数の成分の各々についての両側帯波として出現することがわかる。通信工学ではこの種の信号形式を両側帯波搬送波除去変調(Double-Sideband Suppressed-Carrier, DSB-SC)と呼んでいる。
ここで、受信信号と参照信号の位相を互いに揃えた場合、つまり、遅延回路25における遅延処理によりφmrを調整してφと一致させた場合(φmr=φ)を考える。φmrとφを一致させた場合には、数4式におけるkが0となる。この結果を数5式のベッセル関数に適用すると、次式のように、0次のベッセル関数の値のみが1となり、それ以外のベッセル関数の値は0となる。
Figure 2010022737
数10式に示す結果を数8式と数9式に適用すると次式のとおりとなる。
Figure 2010022737
数11式は、参照波(参照信号)の位相φmrを送受信間の位相差φに設定すると、圧縮変換により、DC成分(直流信号成分)に対応したドプラ信号のみが抽出できることを示している。その結果として得られる複素ドプラ周波数fの値と極性は、血流などの流体の速度とその極性を表わしている。また、ドプラ信号の振幅は、搬送波および参照波の位相に依存しないこともわかる。
こうした特徴から、本実施形態のFMCW方式では、受信波(受信信号)と参照波(参照信号)との間の位相関係を調整することにより、ベースバンド信号の直流および直流付近の信号成分に基づいて対象とする組織の速度情報を得ることができる。この意味において、本実施形態に係る超音波診断装置を位相シフト型FMCW超音波ドプラシステムと称することができる。
深さ(位置)情報の特定の程度は変調度(変調指数)βに依存するので、必要な位置分解能を確保するためには、βを大きく設定する必要がある。βを大きく設定すると、位置の選択性がシャープになる。そのため、目標位置付近の反射電力だけが受信信号に大きく反映される。この性質は、固定目標でも移動目標でも共通である。
音線上(超音波ビーム上)のすべての固定目標からの反射電力の和がクラッタ電力となる従来のCW法に比べて、本実施形態の方式(位相シフト型FMCW)では、選択された位置からのクラッタしか生じないので、クラッタ電力を極端に減少させることができる。
図2は、FMCW方式におけるドプラ電力とクラッタ電力の深さ依存性を示す図である。図2の横軸は生体内の深さ(体表からの深さ)であり、図2の縦軸は電力の大きさ(相対値)を示している。図2に示される各波形は、横軸に沿って目標位置を移動させつつ、各目標位置(各深さ)において組織から得られる反射電力を示した計算結果である。パラメータはFM変調度(β)である。
図2には、各FM変調度(β)ごとに、クラッタ積算電力64の波形とドプラ信号電力62の波形が示されている。クラッタ改善度60は、従来のCWと比較した場合のクラッタ積算電力の低減を示している。変調度(変調指数)βが増加するに従って、クラッタ電力(積算電力)が全体的に減少する傾向が示されている。これは、変調度が大きくなると位置選択性が鋭くなり、余分なクラッタ成分が減少するためである。例えばβ=100に設定すると、従来のCWに比べてクラッタ電力を25dB程度低減できる。
図2において、クラッタ積算電力64は、深さ0の付近で比較的大きく、深さ100mm程度まで徐々に減少している。これは、生体内における超音波の深さ依存減衰の影響が主な原因である。ところが、図2において、深さ100mm程度を超えると、クラッタ積算電力64が徐々に増加している。これは、位相シフト型FMCW方式の位置選択性が深さ方向に周期性を持っているためである。つまり、変調処理された送信信号が周期的であるため、送信信号の周期に応じて位置選択性も周期的になる。例えば、図2において、深さ180mmの付近に目標位置を設定すると、送信信号の周期性のために、深さ0の付近にも同時に目標位置が設定されてしまい、深さ0の付近におけるクラッタ電力が反映されてしまう。そのため、図2において、深さ180mmの付近に目標位置を設定した場合のクラッタ積算電力64が大きくなっている。このように、送信信号の周期性や位置選択(目標位置)の周期性に応じて、クラッタ積算電力64も周期的に変化する。
図3は、FMCW方式におけるクラッタ電力の周期性を示す図である。図3の横軸は深さであり、超音波の送受波方向(超音波ビーム方向)に沿った目標位置までの距離(体表からの深さ)に対応している。
図3に示すように、FMCW方式におけるクラッタ電力の波形であるFMCWクラッタ72は、変調波の周期Tに相当する距離と同じ周期で深さ方向に沿って増減を繰り返している。変調波の周期Tは、変調波生成部24(図1)から供給される変調波の周期であり、変調周波数fとの間においてT=1/fの関係が成立している。
FMCWクラッタ72には、深さ0の近傍において、体表付近からの大きな反射電力の影響を受けたクラッタ電力極大領域が存在し、また、深さ0から離れるに従って深さ依存減衰の影響で減少した微小クラッタ領域が存在する。そして、送信信号の周期性と位置選択の周期性のために、クラッタ電力極大領域と微小クラッタ領域が、深さ方向に沿って周期Tに相当する距離で繰り返し出現している。
CWクラッタ74は、FM変調を施していない通常のCW方式におけるクラッタ電力の波形であり、深さ方向に沿って一定の値となる。図3では、CWクラッタ74との比較において、20dB以下(クラッタ改善度60が20dB以上)となるFMCWクラッタ72の領域を微小クラッタ領域とし、それ以外の領域をクラッタ電力極大領域としている。もちろん、クラッタ電力極大領域と微小クラッタ領域とを分別する閾値は20dBに限定されない。
FMCWクラッタ72は、目標位置からドプラ信号を抽出する場合において、抽出の妨げとなる不要信号成分である。したがって、目標位置においてFMCWクラッタ72は小さいことが望ましい。ところが、図3に示すように、FMCWクラッタ72には、クラッタ電力極大領域が周期的に存在しており、目標位置にクラッタ電力極大領域が重なると、目標位置からドプラ信号を抽出するうえで好ましくない。
そこで、本実施形態においては、目標位置にクラッタ電力極大領域が重ならないように、変調波の周期Tを調整して目標位置からクラッタ電力極大領域をずらすことにより、目標位置において不要信号を低減させる。変調波の周期Tは、変調波生成部24(図1)において調整される。なお、変調周波数fを調整することにより、周期T=1/fの関係から、変調波の周期Tが調整されてもよい。
図4は、変調波の周期とFMCWクラッタ電力の周期性との関係を示す図であり、図4の横軸は変調波の周期であり、図4の縦軸は体表からの深さ(目標位置の深さ)である。図4は、各変調波の周期ごとにその周期におけるFMCWクラッタ電力の周期性、つまりクラッタ電力極大領域と微小クラッタ領域の繰り返しを縦軸方向に示している。なお、図4において、点描パターンで塗りつぶされた領域がクラッタ電力極大領域であり、隣り合うクラッタ電力極大領域同士の間の領域が微小クラッタ領域である。
例えば、変調周波数を5kHzとすると変調波の周期は200μsec.となり、この場合の微小クラッタ領域は、図4に示す領域A1,領域A2,・・・となる。また、例えば、変調周波数を8kHzとすると変調波の周期は125μsec.となり、この場合の微小クラッタ領域は、図4に示す領域B1,領域B2,領域B3,・・・となる。
変調周波数が8kHzの場合には、5kHzの場合と比較して、微小クラッタ領域が生体表面に近い領域にシフトしていることがわかる。つまり、変調周波数を大きくすることにより、微小クラッタ領域を生体体表に近づけることができる。また、変調周波数が8kHzの場合の2周期目の微小クラッタ領域(領域B2)は、変調周波数が5kHzの場合のクラッタ電力極大領域となる深さとなっている。つまり、変調周波数を調整することにより、目標とする深さ(目標位置)からクラッタ電力極大領域を避ける(ずらす)ことができる。
そこで、本実施形態においては、例えば、ユーザ操作に応じてあるいは装置が自動的に変調波生成部24(図1)における変調周波数fを適宜調整して目標位置に微小クラッタ領域を移動させる。これにより、微小クラッタ領域内となった目標位置におけるφ(数2式)が決定する。そして、遅延回路25(図1)における遅延処理によりφmr(数3式)を調整してφと一致させることにより、目標位置からの受信信号と参照信号の相関が高められて目標位置からの受信信号が選択的に抽出される。なお、変調周波数の調整は、複数の変調波発振器を用いて、これらの変調波発振器の出力を適宜選択することで実現してもよい。
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、上述した実施形態によれば、目標位置が微小クラッタ領域内となるように、変調周波数を調整して微小クラッタ領域を移動させることにより、例えば、通常のCWドプラの場合と比較して、クラッタ電力が20dB程度少ない状態で、目標位置から選択的にドプラ信号を抽出することなどが可能になる。なお上述した本発明の好適な実施形態は、あらゆる点で単なる例示にすぎず、本発明の範囲を限定するものではない。本発明は、その本質を逸脱しない範囲で各種の変形形態を包含する。
例えば、上述した実施形態においては、周波数を周期的に変化させる連続波の送信信号を形成するにあたって、搬送波信号(RF波発振器22から供給されるRF波)に対して周波数変調処理を施している。この周波数変調処理に換えて、周波数変調処理と同じ角度変調の方式として当業者において明らかな位相変調処理(PM処理)を利用してもよい。つまり、搬送波信号に対して位相変調処理を施すことにより、FM変調器20から出力されるFM連続波と同じ波形あるいは同等な波形を形成してもよい。なお、周波数を周期的に変化させる連続波のデータをメモリなどに記憶しておき、このメモリから読み出されるデータに基づいて、当該連続波を生成してもよい。
本発明に係る超音波診断装置の全体構成を示す機能ブロック図である。 FMCW方式のドプラ電力とクラッタ電力の深さ依存性を示す図である。 FMCW方式におけるクラッタ電力の周期性を示す図である。 変調波の周期とFMCWクラッタ電力の周期性との関係を示す図である。
符号の説明
20 FM変調器、22 RF波発振器、24 変調波生成部、25 遅延回路、40,42 FFT回路、44 ドプラ情報解析部、46 表示処理部。

Claims (5)

  1. 周期Tで周波数を変化させた連続波の送信信号を出力する送信信号処理部と、
    前記送信信号に基づいて超音波を生体に送波して生体からの反射波を受波することにより得られる受信信号に対して、前記送信信号に実質的に等しい波形の参照信号を用いて復調処理を施すことにより復調信号を得る受信信号処理部と、
    復調信号から生体内情報を抽出する生体内情報抽出部と、
    を有し、
    前記送信信号の周期Tを調整することにより、超音波の送受波方向に沿って周期的に変化する不要信号の周期を調整して生体内の目標位置において不要信号を低減させ、且つ、当該目標位置から得られる受信信号と参照信号との間の相関関係を調整して復調処理を施すことにより、当該目標位置からの生体内情報を選択的に抽出する、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  2. 請求項1に記載の超音波診断装置において、
    前記不要信号には、生体の体表近傍の組織から得られる極大信号が含まれ、超音波の送受波方向に沿って周期Tに対応した周期で極大信号が出現し、
    前記送信信号の周期Tを調整して極大信号を目標位置からずらすことにより、目標位置において不要信号を低減させる、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  3. 請求項1または2に記載の超音波診断装置において、
    前記送信信号処理部は、変調周波数fの変調信号を用いて搬送波信号を周波数変調することにより前記送信信号を形成し、
    変調周波数fが調整されることにより送信信号の周期T=1/fが調整される、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の超音波診断装置において、
    目標位置からの受信信号の位相と参照信号の位相が等しくなるように、目標位置に応じた遅延量だけ参照信号を遅延処理することにより、目標位置から得られる受信信号と参照信号との間の相関を強める、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の超音波診断装置において、
    前記生体内情報抽出部は、生体内情報として、復調信号に含まれる直流信号成分に対応したドプラ信号成分を抽出する、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
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