JP2009207603A - 超音波診断装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】連続波を利用した新たな超音波診断装置を提供する。
【解決手段】PM変調器18は、RF波発振器22から供給されるRF波、および、放物線状信号発生器20から供給される放物線状信号に基づいて変調連続波(PMCW波)を発生する。放物線状信号は、振幅の鋭い変化を鈍らせた信号である。受信ミキサ28において、受信RF信号に対して送信用の変調連続波を参照信号とする検波が行われ、バンドパスフィルタ30によって送受信信号間における周波数差信号が抽出される。そして、位置演算部32は周波数差信号に基づいて生体内組織の位置を演算し、また、速度演算部34は周波数差信号に基づいて生体内組織の速度を演算する。
【選択図】図1

Description

本発明は、超音波診断装置に関し、特に、連続波を利用する超音波診断装置に関する。
超音波診断装置の連続波を利用した技術として、連続波ドプラが知られている。連続波ドプラでは、例えば、数MHzの正弦波として構成される送信波が生体内へ連続的に放射され、生体内からの反射波が連続的に受波される。反射波には、生体内における運動体(例えば血流)によるドプラシフト情報が含まれる。そこで、その情報を取り出して周波数解析し、運動体の速度情報を反映したドプラ波形などが形成される。
連続波を利用した連続波ドプラは、パルス波を利用したパルスドプラに比べて、一般に高速の速度計測の面で優れている。ところが、連続波ドプラでは、連続波を利用していることにより位置計測が困難である。例えば、従来の一般的な連続波ドプラの装置では、位置計測を行うことができなかった。
こうした状況のもと、本願発明者は、生体内組織の速度に加えて、生体内組織の位置を計測することができる連続波ドプラの技術を提案している(特許文献1参照)。
特開2006−14916号公報
特許文献1に記載の技術は、連続波ドプラを基本とする技術でありながら、組織などの速度に加えて位置も計測することができるという、画期的な技術であった。
そして、本願の発明者は、上記特許文献1に記載された画期的な技術の改良技術についてさらに研究を重ねてきた。
本発明は、このような背景において成されたものであり、その目的は、連続波を利用して速度情報と位置情報の少なくとも一方を抽出する超音波診断装置に関する改良技術を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の好適な態様である超音波診断装置は、周波数を周期的に変化させる連続波の送信信号を出力する送信信号処理部と、前記送信信号に基づいて超音波を生体に送波して生体からの反射波を受波することにより受信信号を得る送受波部と、前記送信信号に実質的に等しい波形の参照信号を用いて前記受信信号に対して復調処理を施すことにより復調信号を得る受信信号処理部と、前記復調信号に基づいて生体内組織の位置情報と速度情報の少なくとも一方を抽出する組織情報抽出部と、を有し、前記送信信号処理部は、振幅の鋭い変化を鈍らせた変調信号を用いて搬送波信号に対して位相変調処理を施すことにより前記送信信号を生成することを特徴とする。
望ましい態様において、前記送信信号処理部は、放物線関数の波形を周期的に繰り返す放物線状信号に基づいた変調信号を用いることを特徴とする。
望ましい態様において、前記送信信号処理部は、周期的に繰り返される放物線関数の波形同士の接続部分における過渡的な変化を鈍らせた放物線状信号の変調信号を用いることを特徴とする。
望ましい態様において、前記組織情報抽出部は、前記復調信号から得られる送受信信号間における周波数差に基づいて生体内組織の位置情報を得ることを特徴とする。
望ましい態様において、前記組織情報抽出部は、前記復調信号の周波数スペクトラムに含まれる少なくとも一つの周波数差成分に基づいて、その周波数差成分に対応する組織の位置を算出することを特徴とする。
望ましい態様において、前記組織情報抽出部は、前記周波数スペクトラムの時間変化に基づいて生体内組織の速度情報を得ることを特徴とする。
望ましい態様において、前記組織情報抽出部は、前記周波数スペクトラムに含まれる少なくとも一つの周波数差成分の時間変化に基づいて、その周波数差成分に対応する組織の速度を算出することを特徴とする。
望ましい態様において、前記送受波部の周波数特性を補償するように前記送信信号の振幅を制御する周波数特性補償部をさらに有することを特徴とする。
本発明により、連続波を利用して速度情報と位置情報の少なくとも一方を抽出する超音波診断装置に関する改良技術が提供される。
図1には、本発明に係る超音波診断装置の好適な実施形態が示されており、図1はその全体構成を示す機能ブロック図である。送信用振動子10は生体内へ送信波を連続的に送波し、また、受信用振動子12は生体内からの反射波を連続的に受波する。このように、送信および受信が、それぞれ異なる振動子で連続的に実行される。なお、図1では、送信用振動子10および受信用振動子12をそれぞれ一つのブロックで示しているが、送信用振動子10および受信用振動子12は、それぞれ、複数の振動素子で形成されてもよい。
送信器14は、送信用振動子10へ送信信号を供給して超音波を送波させる。送信器14には、周波数を周期的に変化させるように変調された連続波(変調連続波)が入力され、この変調連続波に対応する送信波が送信用振動子10から送波される。
PM変調器18は、RF波発振器22から供給されるRF波(搬送波信号)、および、放物線状信号発生器20から供給される放物線状信号(後に詳述する図3(A)の波形)に基づいて変調連続波(後に詳述する図6(A)の送信波形)を発生する。そして、振幅制御部16は、送信用振動子10や受信用振動子12の周波数特性を補償するように、PM変調器18で生成される変調連続波の振幅を制御する。
図2は、振幅制御部(図1の符号16)における振幅制御を説明するための図である。以下、図1に示した部分には図1の符号を付して説明する。
図2(A)は送信用振動子10および受信用振動子12を含む探触子の振幅−周波数特性を示しており、横軸に示される周波数に応じて探触子の振幅が異なる。このため、振幅制御部16は、図2(B)に示される特性で変調連続波の振幅を周波数に応じて制御することにより、探触子の周波数特性を補償する。つまり、探触子の振幅特性の逆の特性となるように変調連続波の振幅を周波数に応じて制御し、探触子から送波される超音波の振幅が周波数帯域内で均一に保たれるように補償する。
図1に戻り、前置増幅器24および主増幅器26は、受信用振動子12から供給される受波信号に対して増幅処理を施し、受信RF信号を形成して受信ミキサ28へ出力する。受信ミキサ28は、受信RF信号に対して検波を施す回路である。受信ミキサ28に供給される参照信号は、PM変調器18で生成された変調連続波である。ここで、増幅制御部16で振幅制御された変調連続波を受信ミキサ28に参照信号として供給するようにしてもよい。こうして、受信ミキサ28において、受信RF信号に対して送信用の変調連続波による検波が行われて復調信号が形成され、バンドパスフィルタ(BPF)30によって送受信信号間における周波数差信号が抽出される。周波数差信号については後に図5および図6を利用して詳述する。
なお、受信ミキサ28は、受信RF信号に対して直交検波を施して複素信号を生成してもよい。直交検波の場合、PM変調器18から出力される変調連続波と、その変調連続波の位相をπ/2だけずらした連続波とによる、二つの連続波を参照信号として検波を行い、同相成分と直交成分の二つの成分を出力すればよい。
BPF30によって抽出された周波数差信号は、位置演算部32に、さらに位置演算部32を経由して速度演算部34に供給される。
位置演算部32は周波数差信号に基づいて生体内組織の位置を演算し、また、速度演算部34は各周波数差信号に相当する各周波数スペクトラムの時間変化に基づいて生体内組織の速度を演算する。位置演算部32および速度演算部34は、例えば、FFT演算を行う演算器(CPUやDSPなど)で構成される。位置演算部32および速度演算部34で求められた組織の位置情報や速度情報は、表示部36に出力され、例えば、位置情報に基づく生体内の断層画像、あるいは、速度情報に基づくドプラ画像やカラードプラ画像などが表示部36に表示される。
以上、概説したように、本実施形態では、放物線状信号で変調(PM変調)した連続波による超音波(PMCW波)を送受波し、組織の位置情報や速度情報を取得する。そこで、次にその原理について詳述する。なお、以下において、図1に示した部分には図1の符号を付して説明する。
図3は、本実施形態における送信信号と受信信号(送受信信号)を説明するための図である。図3(A)は、送受信信号の位相変化を示している。つまり、図3(A)には、横軸を時間軸、縦軸を位相軸として、送信信号の位相変化(実線)と受信信号の位相変化(破線)が示されている。
本実施形態における送信信号の位相変化は、放物線関数の波形を周期的に繰り返す放物線状信号となっている。つまり、PM変調器18において、RF波発振器22から供給される一定周波数のRF波(搬送波信号)に対して、放物線状信号発生器20から供給される放物線状信号(図3(A)の実線と同じ波形)を用いて位相変調処理が施され、送信信号(変調連続波)が形成される。その結果として、送信信号の位相変化が放物線状信号となる。
また、その送信信号に対応した波形の超音波が送波され、一つの対象組織から反射波を受波すると、その反射波に対応した受信信号が得られる。組織内における減衰などを無視すると、送信信号と全く同形で組織内における往復の伝搬時間だけ遅延された受信信号が得られる。こうして得られた受信信号が図3(A)に示されている。そのため、図3(A)に示すように、受信信号の位相変化(破線)は、送信信号の位相変化(実線)と全く同形で遅延された波形となる。
図3(B)は、送受信信号の周波数変化を示している。つまり、図3(B)には、横軸を時間軸、縦軸を周波数(瞬時周波数)軸として、送信信号の周波数変化(実線)と受信信号の周波数変化(破線)が示されている。図3(A)に示す放物線状信号を用いて一定周波数のRF波に対して位相変調処理が施されて送信信号が形成されると、図3(B)に示すように、その送信信号の周波数変化(実線)は、時間と共に直線状に増加する変化を繰り返す鋸歯状波となる。そして、受信信号の周波数変化(破線)は、送信信号の周波数変化(実線)と全く同形で組織内における往復の伝搬時間τだけ遅延された波形となる。
図3(C)は、送受信信号の位相差を示している。つまり、図3(C)には、横軸を時間軸、縦軸を位相差軸として、図3(A)における送信信号の位相変化(実線)と受信信号の位相変化(破線)の差が表現されている。
図3(D)は、送受信信号の周波数差を示している。つまり、図3(D)には、横軸を時間軸、縦軸を周波数差(瞬時周波数の差)軸として、図3(B)における送信信号の周波数変化(実線)と受信信号の周波数変化(破線)の差が表現されている。送受信信号の周波数差を示す周波数差信号は、バンドパスフィルタ(BPF)30から出力される。本実施形態では、その周波数差信号に基づいて組織の位置情報や速度情報が取得される。
なお、放物線状信号発生器20から供給される放物線状信号(図3(A)の実線と同じ波形)は、放物線関数の波形の繰り返しごとに、振幅(電圧)が急激に変化する時間が存在する。つまり、図3(A)の時間(k−1)Tm、kTm、(k+1)Tmにおいて、図3(A)の実線の波形と同様な過渡的な変化を示す。こうした瞬間的な電圧の変化により、送信信号(変調連続波)の位相と周波数も急激に変化し、その結果として、周波数スペクトラムの帯域が増加する。このような信号を忠実に伝送するためには、装置内において広い周波数帯域が必要となる。
そこで、本実施形態では、周期的に繰り返される放物線関数の波形同士の接続部分における過渡的な変化を鈍らせた放物線状信号の変調信号を用いる。つまり、放物線状信号(図3(A)の実線と同じ波形)の急激な電圧の変化をローパスフィルタなどによって鈍化させた信号を用いる。
図4は、振幅(電圧)の鋭い変化を鈍らせた信号を示す図であり、図4(A)から(D)の各々に示す波形は、図3(A)から(D)の各波形を鈍らせたものである。
放物線状信号発生器20から供給される放物線状信号(図3(A)の実線と同じ波形)をローパスフィルタなどによって鈍らせることにより、鈍化された放物線状信号(図4(A)の実線と同じ波形)が得られる。図4(A)には、その鈍化された放物線状信号に基づいて形成された送信信号の位相変化(実線)が示されている。また、その送信信号から得られる受信信号の位相変化(破線)も鈍ったものとなる。
さらに、図4(B)から(D)に示すように、送受信信号の周波数変化や送受信信号の位相差や送受信信号の周波数差についても、それぞれ、図3(B)から(D)の波形に比べて鈍っている。その結果、装置内の送受信系に必要とされる帯域を狭くすることが可能になる。なお、放物線状信号の周期に比較して急激に変化する時間の長さが短いため、狭帯域化に伴う位置分解能の劣化などは無視できる程度である。
図5は、周波数差信号から位置情報を取得する原理を説明するための図である。図5は、一つの対象組織から受信信号を取得した場合の例を示している。そして、図5(A)には、送信周波数40および受信周波数42の時間変化の様子が示されており、図5(B)には、送受信信号の周波数差(周波数差信号44)の時間変化の様子が示されている。送信周波数40は、送信用振動子10から送波される超音波の周波数変化に相当し、受信周波数42は、受信用振動子12で受波される組織からの反射波の周波数変化に相当する。また、周波数差信号44は、BPF30によって抽出される信号である。
先に説明したように(図3参照)、放物線状信号を用いて一定周波数のRF波に対して位相変調処理が施されて送信信号が形成されると、その送信信号の周波数変化は、時間と共に直線状に増加する変化を繰り返す鋸歯状波の送信周波数40となる。つまり、送信周波数40は、時間Tmの間に−ΔωからΔωまで周波数が変化し、これが繰り返される鋸歯状の周波数変化を示す。この鋸歯状の送信周波数40に対応した送信波が、生体内を伝播して組織によって反射される。このため、往復伝播距離に応じた遅延を伴って受波される。この様子を示すのが受信周波数42である。つまり、受信周波数42は、送信周波数40から遅延時間τだけずれて取得される。
時間τは、超音波の往復伝播時間に相当する。そこで、探触子から対象組織までの距離をL、音速をcとすると、時間τは次式のようになる。
Figure 2009207603
また、送信周波数40は、時間Tmの間に−ΔωからΔωまで周波数が変化するため、単位時間当たりの周波数変化は、次式のようになる。
Figure 2009207603
このため、図5(B)に示す期間1,3,5における送受信信号間の周波数差Δδと、期間2,4,6における送受信信号間の周波数差Δδは、それぞれ次式のようになる。
Figure 2009207603
時間τ=2L/cであるため、期間1,3,5における送受信信号間の周波数差Δδを考えると、
Figure 2009207603
となる。
したがって、期間1,3,5における送受信信号間の周波数差Δδを知ることで、既知の値であるΔω,Tm,cから、数4を利用して、探触子から対象組織までの距離Lを求めることができる。
図6は、周波数差信号から位置情報を取得する原理を説明するための図であり、図6は、複数の対象組織から受信信号を取得した場合の例を示している。
図6(A)は、送信用振動子10へ供給される送信波形(変調連続波:PMCW波)を示している。図6(B)は、送信周波数40および複数の受信周波数42a〜42dの時間変化の様子を示している。複数の受信周波数42a〜42dは、それぞれ、異なる深さに存在する対象組織からの受信信号に相当する。複数の受信周波数42a〜42dは、それぞれ、対応する組織の深さに応じて送信周波数40に対して遅延を伴って受波される。
図6(C)は、複数の受信周波数42a〜42dの各々について、送信周波数40との差である周波数差信号44a〜44dの時間変化の様子を示している。周波数差信号44a〜44dは、BPF30によって一括して抽出される信号である。つまり、BPF30は、周波数差信号44a〜44dが重ね合わされた信号を出力する。
位置演算部32は、この重ね合わされた信号から、各深さごとの周波数差信号を抽出する。このため、位置演算部32は、図6(C)に示す信号処理時間帯48にウィンドウを設定し、設定したウィンドウ内でBPF30からの出力信号を、例えばFFTなどを利用して周波数解析し、図6(D)に示す周波数電力スペクトラムを取得する。
図6(D)に示す周波数電力スペクトラムは、周波数差信号44a〜44dが重ね合わされた信号の周波数スペクトラムに相当する。したがって、各周波数差信号44a〜44dの周波数位置で、スペクトラム成分50a〜50dを含む波形となる。
そこで、位置演算部32は、必要とする周波数帯域の信号を抽出した後、FFT等により周波数スペクトラムの各スペクトラム成分50a〜50dに変換し、その周波数成分から、周波数差信号44a〜44dの信号処理時間帯48における周波数差Δδを求める。こうして、各深さごとに、周波数差Δδと、既知の値であるΔω,Tm,cから、数4を利用して、各組織の深さ(位置)に相当する距離Lが求められる。
図7は、周波数差信号から速度情報を取得する原理を説明するための図であり、周波数差信号の周波数スペクトラムの時間変化を示している。
図7は、図6(D)を利用して説明した周波数スペクトラムを、周波数軸と時間軸によって二次元的に表現したものであり、図7における周波数軸が、図6(D)における縦軸に対応する。したがって、図7においても、所定周波数におけるスペクトラムは、その周波数に対応する深さからの反射波に相当する。なお、図7において、周波数スペクトラムは、振幅成分と位相成分とを含む複素振幅で表現されており、図7において棒状に表現された各スペクトラムの棒の長さが振幅に相当し、棒の傾きが位相に相当する。
対象組織が固定していれば、その対象組織から得られる周波数スペクトラムは時間に関係なく一定となる。つまり、図7で、固定された組織に相当する周波数のスペクトラムは、時間に関係なくその棒の長さや傾きが一定となる。一方、対象組織が移動していると、その対象組織から得られる周波数スペクトラムは時間と共に変化する。つまり、図7で、移動組織に相当する周波数のスペクトラムは、時間と共に、その棒の長さや傾きが変化する。したがって、周波数スペクトラムの振幅成分と位相成分について、その時間変動を解析すれば、その周波数成分に相当する速度、つまり、その周波数成分に対応する組織の速度を求めることができる。
図8は、周波数差信号から速度情報を取得する原理を説明するための図であり、所定時刻における周波数スペクトラムの各周波数成分(Δδ1〜Δδ4)を複素表現したものである。図8の各周波数成分(Δδ1〜Δδ4)は、図7において周波数軸方向に並ぶ互いに異なる複数の周波数成分に対応する。
速度演算部34は、BPF30からの出力信号を位置演算部32によって周波数振幅スペクトラムに変換した信号、つまり図6(C)に示した周波数差信号を、例えばFFTなどを利用して解析する。そして、図8に示すように、Iチャンネル信号成分とQチャンネル信号成分の二つの成分で、各周波数成分(Δδ1〜Δδ4)を複素表現する。図8は、所定時刻における周波数スペクトラムの各周波数成分の複素振幅を示すものであるが、速度演算部34は、各時刻ごとに各周波数成分を複素表現で求め、各周波数成分ごとに時間変動を解析する。
各周波数成分(Δδ1〜Δδ4)は、それぞれ、各深さにおける組織の受信信号に対応するため、各周波数成分(Δδ1〜Δδ4)の時間変化を解析することで、各深さ(位置)における組織の速度を求めることができる。
図9には、図1に示す超音波診断装置の変形例が示されており、図9はその全体構成を示す機能ブロック図である。
図9において、図1に示した部分と符号が同じ部分は、その構成および動作が図1のものと同じであるため説明を省略する。図1において説明したように、図9においても、BPF30から送受信信号間における周波数差信号が出力される。
FFT60は、BPF30から出力される周波数差信号(図6(C)に相当する信号)を周波数解析し、各時刻ごとに周波数スペクトラムの複素信号(図7に相当する信号)を生成する。
そして、乗算器72において、FFT60から入力される現時刻の周波数スペクトラムの複素信号と、遅延線70を介して入力される所定時間前の周波数スペクトラムの複素信号とが乗算され、低域フィルタ74によって、二つの時刻における複素信号の差が抽出される。速度演算回路76は、低域フィルタ74によって抽出された二つの時刻における複素信号の差から、周波数スペクトラムの各周波数成分ごとの時間変動を解析する。
各周波数成分は、それぞれ、各深さにおける組織の受信信号に対応するため、各周波数成分の時間変化を解析することで、各深さ(位置)における組織の速度を求めることができ、求めた速度を速度・速度分散表示部78に表示させる。
なお、図9に示すように、分散演算回路80を設けて、FFT60から出力される各時刻ごとの周波数スペクトラムの複素信号から、速度分散を演算し、それを速度・速度分散表示部78に表示させてもよい。
また、位置演算回路62は、各深さごとに周波数差Δδと、既知の値であるΔω,Tm,cから、数4を利用して、各組織の深さ(距離L)が求められる。そして、位置表示部64に求められた位置に基づく情報(例えば、断層画像など)が表示される。
以上の説明では、放物線状信号発生器20から供給される放物線状信号(図3(A)の実線と同じ波形)を用いて位相変調処理を施して、鋸歯状に周波数が変化する送信信号(図3(B)の実線)を形成する例を示した。その放物線状信号に含まれる放物線関数の極性を周期ごとに反転させることにより、対称三角波状に周波数が変化する送信信号を形成することもできる。
図10は、対称三角波の送信信号と受信信号を説明するための図である。図10(A)は、送受信信号の位相変化を示している。つまり、図10(A)には、横軸を時間軸、縦軸を位相軸として、送信信号の位相変化(実線)と受信信号の位相変化(破線)が示されている。
図10(A)における送信信号の位相変化は、図3(A)における送信信号の位相変化(放物線状信号)に含まれる放物線関数の極性を周期ごとに反転させたものである。PM変調器18において、図10(A)の実線と同じ波形の放物線状信号を用いて位相変調処理を行うことにより、図10における送受信信号が形成される。
図10(B)は、送受信信号の周波数変化を示している。つまり、図10(B)には、横軸を時間軸、縦軸を周波数(瞬時周波数)軸として、送信信号の周波数変化(実線)と受信信号の周波数変化(破線)が示されている。図10(A)に示す極性を周期ごとに反転させた放物線状信号を用いて一定周波数のRF波に対して位相変調処理が施されて送信信号が形成されると、図10(B)に示すように、その送信信号の周波数変化(実線)は、時間と共に直線状に増加した後に直線状に減少する変化を繰り返す対称三角波となる。なお、受信信号の周波数変化(破線)は、送信信号の周波数変化(実線)と全く同形で組織内における往復の伝搬時間τだけ遅延された波形となる。
図10(C)は、送受信信号の位相差を示している。つまり、図10(C)には、横軸を時間軸、縦軸を位相差軸として、図10(A)における送信信号の位相変化(実線)と受信信号の位相変化(破線)の差が表現されている。
図10(D)は、送受信信号の周波数差を示している。つまり、図10(D)には、横軸を時間軸、縦軸を周波数差(瞬時周波数の差)軸として、図10(B)における送信信号の周波数変化(実線)と受信信号の周波数変化(破線)の差が表現されている。送受信信号の周波数差を示す周波数差信号は、バンドパスフィルタ(BPF)30から出力される。
対称三角波の場合においても、生体の深さに応じた往復の伝搬時間だけ、送信信号に対して受信信号が遅延される。そのため、対称三角波の場合においても、鋸歯状波の場合と同じ原理により、送受信信号の周波数差から組織の位置を算出することができる。
組織の速度については、目標が移動していると、鋸歯状波の場合と同様に、対称三角波の場合においても、周波数スペクトラムの振幅と位相成分が時間とともに変化する。したがって、周波数スペクトラムの振幅と位相成分について、その時間変動がわかれば、その周波数成分の移動速度が推定できる。
図11は、対称三角波の場合に周波数差信号から速度情報を取得する原理を説明するための図であり、周波数差信号の周波数スペクトラムの時間変化を示している。図7の場合と同様に、図11においても、周波数スペクトラムは、振幅成分と位相成分とを含む複素振幅で表現されており、図11において棒状に表現された各スペクトラムの棒の長さが振幅に相当し、棒の傾きが位相に相当する。
図11に示す対称三角波の場合においても、鋸歯状波の場合(図7)と同様に、対象組織が固定していれば、その対象組織から得られる周波数スペクトラムは時間に関係なく一定となる。つまり、図11で、固定された組織に相当する周波数のスペクトラムは、時間に関係なくその棒の長さや傾きが一定となる。一方、対象組織が移動していると、その対象組織から得られる周波数スペクトラムは時間と共に変化する。つまり、図11で、移動組織に相当する周波数のスペクトラムは、時間と共に、その棒の長さや傾きが変化する。
ただし、鋸歯状波の場合と異なる点は、移動目標の複素ベクトルが、必ずペアで出現し、その回転方向が逆回りである点である。この理由が、アップチャープとダウンチャープの時点で、ドプラの極性が異なることに起因する。すなわち、変調波の半周期ごとに、ドプラの極性が反転することになる。そこで、隣り合った半周期ごとの周波数スペクトラムの差を演算すれば、ドプラ信号は2倍となり、一方、固定目標からの反射波は消失する。また、隣り合った半周期ごとの周波数スペクトラムの和を演算すれば、ドプラ信号は消失するが、固定目標からの反射波は2倍となる。これらの演算により、ドプラあるいは固定目標を選択して抽出、表示することができる。
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、上述した実施形態は、あらゆる点で単なる例示にすぎず、本発明の範囲を限定するものではない。本発明は、その本質を逸脱しない範囲で各種の変形形態を包含する。
本発明に係る超音波診断装置の全体構成を示す機能ブロック図である。 振幅制御部における振幅制御を説明するための図である。 送信信号と受信信号(送受信信号)を説明するための図である。 振幅(電圧)の鋭い変化を鈍らせた信号を示す図である。 周波数差信号から位置情報を取得する原理を説明するための図である。 周波数差信号から位置情報を取得する原理を説明するための図である。 周波数差信号から速度情報を取得する原理を説明するための図である。 周波数差信号から速度情報を取得する原理を説明するための図である。 図1に示す超音波診断装置の変形例を示す機能ブロック図である。 対称三角波の送信信号と受信信号を説明するための図である。 対称三角波の場合の速度情報を取得する原理を説明するための図である。
符号の説明
10 送信用振動子、12 受信用振動子、16 振幅制御部、18 PM変調器、20 放物線状信号発生器、32 位置演算部、34 速度演算部。

Claims (8)

  1. 周波数を周期的に変化させる連続波の送信信号を出力する送信信号処理部と、
    前記送信信号に基づいて超音波を生体に送波して生体からの反射波を受波することにより受信信号を得る送受波部と、
    前記送信信号に実質的に等しい波形の参照信号を用いて前記受信信号に対して復調処理を施すことにより復調信号を得る受信信号処理部と、
    前記復調信号に基づいて生体内組織の位置情報と速度情報の少なくとも一方を抽出する組織情報抽出部と、
    を有し、
    前記送信信号処理部は、振幅の鋭い変化を鈍らせた変調信号を用いて搬送波信号に対して位相変調処理を施すことにより前記送信信号を生成する、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  2. 請求項1に記載の超音波診断装置において、
    前記送信信号処理部は、放物線関数の波形を周期的に繰り返す放物線状信号に基づいた変調信号を用いる、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  3. 請求項2に記載の超音波診断装置において、
    前記送信信号処理部は、周期的に繰り返される放物線関数の波形同士の接続部分における過渡的な変化を鈍らせた放物線状信号の変調信号を用いる、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の超音波診断装置において、
    前記組織情報抽出部は、前記復調信号から得られる送受信信号間における周波数差に基づいて生体内組織の位置情報を得る、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  5. 請求項4に記載の超音波診断装置において、
    前記組織情報抽出部は、前記復調信号の周波数スペクトラムに含まれる少なくとも一つの周波数差成分に基づいて、その周波数差成分に対応する組織の位置を算出する、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  6. 請求項5に記載の超音波診断装置において、
    前記組織情報抽出部は、前記周波数スペクトラムの時間変化に基づいて生体内組織の速度情報を得る、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  7. 請求項6に記載の超音波診断装置において、
    前記組織情報抽出部は、前記周波数スペクトラムに含まれる少なくとも一つの周波数差成分の時間変化に基づいて、その周波数差成分に対応する組織の速度を算出する、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  8. 請求項1から7のいずれか1項に記載の超音波診断装置において、
    前記送受波部の周波数特性を補償するように前記送信信号の振幅を制御する周波数特性補償部をさらに有する、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
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