JP5235110B2 - 超音波診断装置 - Google Patents

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Description

本発明は、超音波診断装置に関し、特に、連続波を利用する超音波診断装置に関する。
超音波診断装置の連続波を利用した技術として、連続波ドプラが知られている。連続波ドプラでは、例えば、数MHzの正弦波として構成される送信波が生体内へ連続的に放射され、生体内からの反射波が連続的に受波される。反射波には、生体内における運動体(例えば血流)によるドプラシフト情報が含まれる。そこで、そのドプラシフト情報を抽出して周波数解析することにより、運動体の速度情報を反映させたドプラ波形などを形成することができる。
連続波を利用した連続波ドプラは、パルス波を利用したパルスドプラに比べて一般に高速の速度計測の面で優れている。こうした事情などから、連続波ドプラに関する研究が進められてきた。その成果の一つとして、本願出願人は、特許文献1において、周波数変調処理を施した連続波ドプラ(FMCWドプラ)に関する技術を提案している。
一方、連続波ドプラでは、連続波を利用していることにより位置計測が困難である。例えば、従来の一般的な連続波ドプラの装置(FMCWドプラを利用しない装置)では、位置計測を行うことができなかった。これに対し、本願出願人は、特許文献2において、FMCWドプラにより生体内組織の速度に加えて生体内組織の位置を計測することができる技術を提案している。
特開2005−253949号公報 特開2006−14916号公報
特許文献1や特許文献2に記載されたFMCWドプラの技術は、それまでにない超音波診断の可能性を秘めた画期的な技術である。本願発明者は、この画期的な技術の改良について研究を重ねてきた。特に、連続波を利用して目標位置からのドプラ情報を抽出する技術に注目して研究を重ねてきた。
本発明は、このような背景において成されたものであり、その目的は、ドプラ情報が抽出される目標位置を設定するための技術を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の好適な態様である超音波診断装置は、周波数を周期的に変化させた連続波の送信信号を出力する送信信号処理部と、前記送信信号に基づいて超音波を生体に送波して生体からの反射波を受波することにより得られる受信信号に対して、前記送信信号に実質的に等しい波形の参照信号を用いて復調処理を施すことにより復調信号を得る受信信号処理部と、復調信号からドプラ情報を抽出するドプラ情報抽出部と、生体内の診断対象部位に対して設定されるサンプルボリュームの位置を示した表示画像を形成する表示画像形成部と、を有し、設定されたサンプルボリュームの位置に応じた遅延処理を施して参照信号と受信信号との間の遅延関係を調整して復調処理を施すことにより、サンプルボリュームからのドプラ情報を選択的に抽出する、ことを特徴とする。
上記態様では、参照信号を用いて受信信号に対して復調処理を施しているため、参照信号との相関が比較的大きい信号成分を含んだ復調信号を得ることができる。そして、その復調処理にあたり、診断対象部位に対して設定されるサンプルボリュームの位置に応じて参照信号と受信信号との間の遅延関係(時間軸方向の関係)が調整される。例えば参照信号と受信信号との間の位相関係が調整される。そのため、例えば、サンプルボリュームからの受信信号の位相と参照信号の位相とを揃えることにより、参照信号との相関が比較的大きい信号成分として、サンプルボリュームからの受信信号を抽出することができる。さらに、その受信信号から例えばバンドパスフィルタあるいはローパスフィルタなどを用いてドプラ情報を抽出することにより、サンプルボリュームからのドプラ情報を選択的に抽出することが可能になる。
また、上記態様においては、サンプルボリュームの位置を示した表示画像が形成されるため、例えば、ユーザがその表示画像を見ながら比較的容易に診断対象部位に対してサンプルゲートを設定することが可能になる。なお、上記態様において、参照信号と送信信号は、完全に等しい波形であることが望ましい。但し、参照信号と送信信号は、実質的に等しい波形とみなせる程度の対応関係であってもよい。
望ましい態様において、前記サンプルボリュームからの受信信号の位相と参照信号の位相が等しくなるように、サンプルボリュームの深さに応じた遅延量だけ前記参照信号を遅延処理し、サンプルボリュームからの受信信号と参照信号との相関を強めることにより、サンプルボリュームからのドプラ情報を選択的に抽出する、ことを特徴とする。
望ましい態様において、前記送信信号処理部は、搬送波信号に対して変調処理を施すことにより前記送信信号を生成し、前記送信信号処理部による変調処理の変調度に応じて前記サンプルボリュームの幅が決定される、ことを特徴とする。
望ましい態様において、前記変調度を調整してサンプルボリュームの幅を段階的に変化させ、各段階ごとにサンプルボリュームの深さを変化させつつドプラ情報を抽出することにより診断対象部位が探索され、診断対象部位の深さに合わせてサンプルボリュームが設定される、ことを特徴とする。
望ましい態様において、前記変調度を段階的に大きくすることによりサンプルボリュームの幅を段階的に小さくし、各段階ごとにサンプルボリュームの深さを変化させつつドプラ情報を抽出することにより、診断対象部位の位置が絞り込まれる、ことを特徴とする。
望ましい態様において、前記表示画像形成部は、超音波画像内にサンプルボリュームの位置を示した表示画像を形成する、ことを特徴とする。
望ましい態様において、前記表示画像形成部は、診断対象部位に対して設定されたサンプルボリュームから得られるドプラ情報に基づいて形成されるドプラ波形を表示する、ことを特徴とする。
本発明により、ドプラ情報が抽出される目標位置を設定するための技術が提供される。例えば、本発明の好適な態様によれば、ユーザが表示画像を見ながら比較的容易に診断対象部位に対してサンプルゲートを設定することが可能になる。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。
図1には、本発明に係る超音波診断装置の好適な実施形態が示されており、図1はその全体構成を示す機能ブロック図である。送信用振動子10は生体内へ送信波を連続的に送波し、また、受信用振動子12は生体内からの反射波を連続的に受波する。このように、送信および受信がそれぞれ異なる振動子で行われて、いわゆる連続波ドプラ法による送受信が実行される。
電力増幅器14は、送信用振動子10に対し、電力増幅されたFM連続波(FMCW)を供給する。電力増幅器14には、例えば正弦波または鋸歯状波などによるFM変調処理が施されたFM連続波(FMCW波)が入力され、このFM連続波に対応する送信波が送信用振動子10から送波される。FM変調器20は、FM連続波を電力増幅器14に出力する。FM変調器20は、RF波発振器22から供給されるRF波、および、変調波生成部24から供給される正弦波または鋸歯状波などの変調波に基づいてFM連続波を発生する。このFM連続波の波形については後の原理説明で詳述する。
前置増幅器16は、受信用振動子12から供給される受波信号に対して低雑音増幅等の受信処理を施し、受信RF信号を形成して受信ミキサ30へ出力する。受信ミキサ30は受信RF信号に対して直交検波を施して複素ベースバンド信号を生成する回路であり、2つのミキサ32,34で構成される。各ミキサは受信RF信号を所定の参照信号と混合する回路である。
受信ミキサ30の各ミキサに供給される参照信号は、FM変調器20から出力されFM連続波に基づいて生成される。つまり、FM変調器20から出力されるFM連続波が遅延回路25において必要に応じて遅延処理され、ミキサ32には遅延処理されたFM連続波が直接供給され、一方、ミキサ34には遅延処理されたFM連続波がπ/2シフト回路26を経由して供給される。π/2シフト回路26は遅延処理されたFM連続波の位相をπ/2だけずらす回路である。この結果、2つのミキサ32,34の一方から同相信号成分(I信号成分)が出力され、他方から直交信号成分(Q信号成分)が出力される。そして、受信ミキサ30の後段に設けられるLPF(ローパスフィルタ)36,38によって、同相信号成分および直交信号成分の各々の高周波数成分がカットされ、検波後の必要な帯域のみの復調信号が抽出される。
なお、変調波生成部24から供給される変調波に遅延処理を施して遅延変調波を形成し、その遅延変調波によってRF波発振器22から供給されるRF波を周波数変調することにより、参照信号を生成してもよい。
後の原理説明で詳述するが、各ミキサで実行される受信RF信号と参照信号との混合処理の結果である受信ミキサ出力信号(復調信号)には、変調波生成部24から供給される変調波の変調波周波数fに関する複数の第n次波成分(nは0以上の自然数)が含まれている。つまり、第0次波成分である直流成分、第1次波成分である基本波成分、さらに、nが2以上の複数の高調波成分が含まれている。これら複数の第n次波成分を含んだ復調信号が、LPF36,38の各々から出力される。
FFT回路(高速フーリエ変換回路)40,42は、復調信号(同相信号成分および直交信号成分)の各々に対してFFT演算を実行する。その結果、FFT回路40,42において復調信号が周波数スペクトラムに変換される。なお、FFT回路40,42から出力される周波数スペクトラムは、回路の設定条件などにより周波数分解能δfの周波数スペクトラムデータとして出力される。
ドプラ情報解析部44は、周波数スペクトラムに変換された復調信号からドプラ情報を抽出する。本実施形態においては、遅延回路25によってサンプルボリュームの位置に応じて参照信号と受信信号との間の位相関係が調整されるため、サンプルボリュームからのドプラ情報が選択的に抽出される。位相の調整とサンプルボリュームからのドプラ情報の抽出との関連については、後の原理説明において詳述する。
なお、ドプラ情報解析部44は、生体内の各深さ(各位置)ごとにドプラ情報を抽出して、例えば、超音波ビーム(音線)上の各深さごとに生体内組織の速度を算出し、リアルタイムで出力してもよい。また、超音波ビームを走査させて二次元的あるいは三次元的に生体内組織の各位置の速度を算出してもよい。
表示処理部46は、ドプラ情報解析部44において抽出されるドプラ情報に基づいて得られるドプラ波形などの診断結果を含んだ表示画像を形成する。また、表示処理部46は、ユーザが生体内の診断対象部位に対してサンプルボリュームを設定する際の設定支援用の画像を含んだ表示画像を形成する。形成された表示画像は表示部48に表示される。
図1に示す超音波診断装置内の各部は、システム制御部50によって制御される。つまり、システム制御部50は、送信制御や受信制御や表示制御などを行う。また、図示しない操作パネルなどを介して入力されるユーザ操作に応じて、システム制御部50が超音波診断装置内の各部を制御する。
以上、概説したように、本実施形態では、連続波(CW)を変調波でFM変調した超音波(FMCW波)を送受波して受信信号が得られて、目標位置(サンプルボリュームの設定位置)となる診断対象部位からのドプラ情報が選択的に抽出される。そこで、目標位置からのドプラ情報が選択的に抽出される原理について詳述する。なお、図1に示した部分(構成)については、以下の説明においても図1の符号を利用する。
周波数fのRF波(搬送波)に対して、周波数fの正弦波によりFM変調を施したFMCW送信波は次式のように表現できる。
Figure 0005235110
数1式において、Δfは周波数変動幅の0−P値(ゼロピーク値:最大周波数偏移)であり、最大周波数偏移Δfと変調周波数fの比であるβはFMの変調度(変調指数)である。
また、ドプラシフトを伴う場合のFMCW受信波は、生体における往復の減衰をαとすると次式で表現できる。
Figure 0005235110
なお、数2式においてfに対するドプラシフトは、fのシフト分fに比較して小さいので無視している。
数2式で表される受信波形は、超音波振動子を介して受信される信号波形(受信RF信号)である。FMCWドプラでは、受信RF信号に対する復調処理において、FMCW送信波を参照信号として受信波と乗算を行う。図1を利用して説明したように、FM変調器20から出力されるFM連続波が遅延回路25において遅延処理され、参照信号として、ミキサ32には遅延処理されたFM連続波が直接供給され、一方、ミキサ34には遅延処理されたFM連続波がπ/2シフト回路26を経由して供給される。したがって、ミキサ32へ供給される参照信号vrI(t)と、ミキサ34へ供給される参照信号vrQ(t)は、次式のように表現できる。
Figure 0005235110
数3式において、φmrは、遅延回路25における遅延処理により任意に設定できる参照信号の位相を示しており、φ0rは、任意に設定した参照信号の位相に対応して決まる搬送波の位相変化量を示している。
受信ミキサ30では、復調処理として直交検波が行われる。つまり、ミキサ32において、受信RF信号v(t)と参照信号vrI(t)の乗算に相当する処理が実行され、また、ミキサ34において、受信RF信号v(t)と参照信号vrQ(t)の乗算に相当する処理が実行される。
ミキサ32における受信RF信号v(t)と参照信号vrI(t)の乗算vDI(t)は次式のように表現される。なお、次式の計算途中において、周波数2fの成分が消去されている。これは、LPF36において除去される周波数成分である。
Figure 0005235110
ここで、ベッセル関数に関する次の公式を利用する。
Figure 0005235110
数5式の公式を用いると、数4式はさらに次式のように計算される。
Figure 0005235110
一方、ミキサ34における受信RF信号v(t)と参照信号vrQ(t)の乗算vDQ(t)は次式のように表現される。なお、次式の計算途中において、周波数2fの成分が消去されている。これは、LPF38において除去される周波数成分である。
Figure 0005235110
ここで、数6式のvDI(t)と数7式のvDQ(t)とに基づいて、複素ベースバンド信号を定義する。まず、vDI(t)とvDQ(t)に含まれている直流(DC)成分、変調周波数fの偶数次高調波成分を次式のように表現する。
Figure 0005235110
次に、vDI(t)とvDQ(t)に含まれている変調周波数fの成分、変調周波数fの奇数次高調波成分を次式のように表現する。
Figure 0005235110
数8式と数9式から、直交検波後のベースバンド信号において、ドプラシフトfを含んだドプラ信号は、DC成分と変調周波数fの成分と変調周波数fの高調波成分とからなる複数の成分の各々についての両側帯波として出現することがわかる。通信工学ではこの種の信号形式を両側帯波搬送波除去変調(Double-Sideband Suppressed-Carrier, DSB-SC)と呼んでいる。
ここで、受信信号と参照信号の位相を互いに揃えた場合、つまり、遅延回路25における遅延処理によりφmrを調整してφと一致させた場合(φmr=φ)を考える。φmrとφを一致させた場合には、数4式におけるkが0となる。この結果を数5式のベッセル関数に適用すると、次式のように、0次のベッセル関数の値のみが1となり、それ以外のベッセル関数の値は0となる。
Figure 0005235110
数10式に示す結果を数8式と数9式に適用すると次式のとおりとなる。
Figure 0005235110
数11式は、参照波(参照信号)の位相φmrを送受信間の位相差φに設定すると、圧縮変換により、DC成分(直流信号成分)に対応したドプラ信号のみが抽出できることを示している。その結果として得られる複素ドプラ周波数fの値と極性は、血流などの流体の速度とその極性を表わしている。また、ドプラ信号の振幅は、搬送波および参照波の位相に依存しないこともわかる。
こうした特徴から、本実施形態のFMCW方式では、受信波(受信信号)と参照波(参照信号)との間の位相関係を調整することにより、ベースバンド信号の直流および直流付近の信号成分に基づいて対象とする組織の速度情報を得ることができる。この意味において、本実施形態に係る超音波診断装置を位相シフト型FMCW超音波ドプラシステムと称することができる。
図2は、ベースバンド信号の直流および高調波成分の生体内深さ(体表からの距離)依存性を説明するための図である。図2には、複数の変調度(変調指数)βについて、各変調度βごとにベースバンド信号(復調信号)の周波数スペクトラムが示されている。なお、β=0からβ≒30までの各周波数スペクトラムは、固定組織からからの反射電力を表している。図2においては、組織における減衰の効果は省略した。なお、FM変調度の大きさは、一般的に、変調度βにより定量化される。βは、FM変調による搬送波の最大周波数偏移Δfと変調周波数fの比として定義され、β=Δf/fにより定義される。
β=0の場合は無変調であるため、これは通常のCWドプラ速度計測システムと等価である。この場合は、どんな深さからの反射電力にも位置依存性は無い。また、送受信ともに無変調なので、ベースバンド信号に変調波成分が出現する余地は無い。連続超音波(CW)にFM変調をかけ、周波数偏移Δfを徐々に増加させると、FMCW送受信波はFM変調された信号となり、その電力は搬送波から側帯波に移行してゆく。送受信間の遅延時間差が無い場合はベースバンド信号に変調波の高調波成分は発生しない。直交検波器の2つの入力(つまり受信信号と参照信号)に時間差を生じさせないためには、当該深さからの反射波の遅延時間に相当する遅延時間を参照波に与えてやればよい。
図2の例は、距離d=7.5cmにおいて、参照波に与える遅延時間を受信波の遅延時間と一致するように設定した場合を示している。したがって、距離dからの反射電力は、直流成分のみで、変調波の高調波成分はまったく発生しない。距離がd以外の場所では、送信波と受信波間に時間差が生じるので、両者の相関性が少なくなってくる。したがって、直流成分が減少し、同時に高調波成分が出現しはじめる。
変調度(変調指数β)が大きくなるにつれて、距離dにおける反射電力の位置ずれに対する変化は敏感になってくる。すなわち、距離dにおける反射電力の選択性が増加する。この傾向はβが増加するにしたがってますます顕著になる。図2では、その様子をβが0から30の場合について示している。そして、βが30以上になると、この選択性はPW(パルス波)ドプラにおけるレンジゲートの役割と類似の機能に近づいてくる。本実施形態においては、反射電力が選択的に抽出される領域をサンプルボリュームと称する。
次に、距離dからの反射電力が、ドプラシフトfを伴っていると仮定する。この場合は、固定物と相似形の距離依存性が出現するが、ドプラ周波数fだけ、直流成分からシフトしてあらわれる。ドプラスペクトラムは、変調波あるいはその高調波の両側帯波にも同時に出現するが、距離dからのドプラエコーは直流からfだけシフトした周波数成分のみとなる。この様子を図2(DP)に示す。
図2(DP)に示すように、距離dからのドプラエコーが直流からfだけシフトした周波数成分のみとなるのは、搬送波周波数fからfだけずれた周波数において、参照信号とドプラ信号との相関が最も強くなるからである。このドプラ信号は、直流付近にのみ出現し、変調波fとその高調波成分(2f,3f,・・・)の付近には出現しない。したがって、直流付近のこの成分だけをローパスフィルタ(低域濾波器)によって抽出することにより、通常のCWと同様のSNR(信号体ノイズ比)を保った状態で、位置情報の特定されたドプラ情報を得ることができる。
具体的には、例えば、図1の遅延回路25によって、目標となる深さ(位置)dに対応した遅延時間τ(τ=2d/c:音速c,深さd)で参照信号に対して遅延処理が施されることにより、サンプルボリュームの位置が決定され、図1のFFT回路40,42から図2(DP)に相当するドプラ周波数スペクトラム情報が出力され、図1のドプラ情報解析部44によって、図2(DP)の直流付近のドプラ信号が抽出される。また、FM変調器20における変調度βの大きさに応じて、サンプルボリュームの幅を調整することができる。
本実施形態においては、上述した位相シフト型FMCW超音波ドプラシステムの特徴を利用し、生体内における血流などの測定対象部位に目標位置(サンプルボリューム)を設定して測定対象部位からのドプラ情報を選択的に抽出する。そして、測定対象部位に対するサンプルボリュームの設定を容易にするために、本実施形態においては、以下に説明する設定支援用の機能が設けられている。
図3は、サンプルボリュームの設定支援画像を含んだ表示画像100を示す図である。表示画像100は、表示処理部46(図1)によって形成される画像であり、サンプルボリュームの位置を示すサンプルボリュームカーソル110を含んでいる。サンプルボリュームカーソル110は、超音波ビームの方向を示すビームカーソル112上に設けられる。サンプルボリュームは超音波ビームに沿って深さ方向に移動するため、サンプルボリュームカーソル110もビームカーソル112に沿って移動させることができる。また、診断の深さ(生体内の深さ)を示す深さスケール120がビームカーソル112に対してほぼ平行に設けられており、深さスケール120とサンプルボリュームカーソル110の位置から、ユーザはサンプルボリュームの深さを視覚的に容易に把握できる。なお、プローブ位置マーカ114は、プローブの位置を示している。
位相シフト型FMCW超音波ドプラシステムでは、先に説明したように、サンプルボリュームの位置から選択的にドプラ情報が抽出される。そこで、表示処理部46(図1)は、ドプラ情報に基づいて形成されるドプラ波形の波形画像130を表示画像100内に表示させてもよい。波形画像130は、横軸を時間軸として、診断対象部位における速度を縦軸に示したドプラ波形の画像である。
図4は、表示画像の変形例である変形表示画像100´を示す図である。変形表示画像100´も、表示処理部46(図1)によって形成され、サンプルボリュームの位置を示すサンプルボリュームカーソル110を含んでいる。また、サンプルボリュームカーソル110は、ビームカーソル112上に設けられ、ビームカーソル112に沿ってサンプルボリュームカーソル110を移動させることができる。診断の深さを示す深さスケール120やドプラ波形の波形画像130も表示されている。
図4の変形表示画像100´には、超音波画像140が挿入されている。超音波画像140は、超音波を送受波することにより得られたエコー信号から形成される。例えば、超音波のパルス波を用いて得られたエコー信号により、超音波画像140としてBモード画像が形成されてもよい。例えば、超音波画像140内に診断対象部位を映し出すことにより、サンプルボリュームカーソル110の位置設定、つまりサンプルボリュームの位置設定がさらに容易になる。
図5は、サンプルボリュームの設定手順を説明するための図である。図5には、横軸を時間軸として、送信信号の状態と参照信号の状態と操作内容が示されている。
診断が開始されると、時刻Tから時刻Tまでのステップ1において、生体内のドプラ信号が確認される。ステップ1においては、送信信号の変調度βが0に設定される。つまり、FM変調器20(図1)における変調処理の変調度βが0に設定され、RF波発振器22(図1)から供給される搬送波(RF波)が変調されずに、送信信号としてFM変調器20から出力される。この送信信号は、変調が施されていない通常の連続波(CW)となる。また、参照信号も変調度βが0の通常の連続波となり、遅延回路25(図1)における遅延調整も行われない。
このように、ステップ1においては、通常の連続波(CM)による測定が行われて、生体内の深さ方向の全域からドプラ情報が収集される。そこで、ステップ1において、例えば、超音波ビーム上にドプラ信号が存在するか否かが全域的に確認される。なお、ステップ1において、超音波ビームの方向を変化させつつドプラ情報を確認することにより、ドプラ信号が存在する方向などを確認してもよい。
ステップ1においてドプラ信号の存在が確認されると、時刻Tから時刻Tまでのステップ2において、超音波ビーム上の比較的広い範囲で診断対象部位が探索される。ステップ2においては、送信信号の変調度βが例えば10程度に設定される。つまり、FM変調器20(図1)における変調処理の変調度βが例えば10に設定され、RF波発振器22(図1)から供給される搬送波(RF波)が変調され、送信信号としてFM連続波がFM変調器20から出力される。また、参照信号も送信信号と同じFM連続波となり、遅延回路25(図1)において遅延調整が行われてサンプルゲートを移動させる。
ステップ2の広域的な探索においては、超音波ビームに沿った診断領域の全域をサンプルゲートが移動するように、遅延回路25において遅延調整が行われる。例えば、FM連続波の変調波の位相が0°〜360°まで変化するように遅延調整が行われる。そして、移動するサンプルゲートの各位置においてドプラ信号が存在するか否かを確認することにより、超音波ビーム上におけるドプラ信号の位置(深さ)が広域的に確認される。
ステップ2において、例えば変調波の位相が200°〜280°の範囲内にドプラ信号の存在が確認されると、時刻Tから時刻Tまでのステップ3において、その範囲内でさらに診断対象部位の位置が絞り込まれる。ステップ3においては、送信信号の変調度βが例えば100程度に設定される。図2を利用して説明したように、変調度βが大きくなるにつれてドプラ信号の位置選択性が鋭くなる。つまり、変調度βが大きくなるにつれてサンプルゲートの幅が小さくなる。
そこで、ステップ3においては、ステップ2で確認された位相が200°〜280°の比較的狭い範囲内で、ステップ2の場合よりもサンプルゲートの幅を小さくして、サンプルゲートを移動させつつドプラ信号を確認する。
こうして、ステップ3において、例えば変調波の位相が240°の位置(深さ)にドプラ信号の存在が確認されると、その位置を診断対象部位として、時刻T以降のステップ4において、変調波の位相を240°に固定してドプラ信号が抽出される。
図5を利用して説明したように、本実施形態では、ステップ1の全域的な確認からステップ2の広域的な確認を経てステップ3において変調度を大きくして狭域的な確認が行われるため、例えば変調度を大きくした状態で全域を確認する場合に比べて、診断対象部位の位置特定が容易になり位置特定のための操作時間の短縮も期待できる。
なお、変調度βは、操作パネルなどを介してユーザが調整してもよいし、例えば予め登録されているいくつかの変調度βを利用して装置が自動選択してもよい。また、装置がサンプルゲートの移動処理とドプラ信号の確認処理を行って、診断対象部位の自動サーチを実現してもよい。
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、上述した本発明の好適な実施形態は、あらゆる点で単なる例示にすぎず、本発明の範囲を限定するものではない。本発明は、その本質を逸脱しない範囲で各種の変形形態を包含する。
例えば、上述した実施形態においては、周波数を周期的に変化させる連続波の送信信号を形成するにあたって、搬送波信号(RF波発振器22から供給されるRF波)に対して周波数変調処理を施している。この周波数変調処理に換えて、周波数変調処理と同じ角度変調の方式として当業者において明らかな位相変調処理(PM処理)を利用してもよい。つまり、搬送波信号に対して位相変調処理を施すことにより、FM変調器20から出力されるFM連続波と同じ波形あるいは同等な波形を形成してもよい。なお、周波数を周期的に変化させる連続波のデータをメモリなどに記憶しておき、このメモリから読み出されるデータに基づいて、当該連続波を生成してもよい。
本発明に係る超音波診断装置の全体構成を示す機能ブロック図である。 ベースバンド信号の直流および高調波成分の生体内深さ依存性を説明するための図である。 サンプルボリュームの設定支援画像を含んだ表示画像を示す図である。 表示画像の変形例である変形表示画像を示す図である。 サンプルボリュームの設定手順を説明するための図である。
符号の説明
20 FM変調器、22 RF波発振器、24 変調波生成部、25 遅延回路、40,42 FFT回路、44 ドプラ情報解析部、46 表示処理部。

Claims (7)

  1. 周波数を周期的に変化させた連続波の送信信号を出力する送信信号処理部と、
    前記送信信号に基づいて超音波を生体に送波して生体からの反射波を受波することにより得られる受信信号に対して、前記送信信号に実質的に等しい波形の参照信号を用いて復調処理を施すことにより復調信号を得る受信信号処理部と、
    復調信号からドプラ情報を抽出するドプラ情報抽出部と、
    生体内の診断対象部位に対して設定されるサンプルボリュームの位置を示した表示画像を形成する表示画像形成部と、
    を有し、
    設定されたサンプルボリュームの位置に応じた遅延処理を施して参照信号と受信信号との間の遅延関係を調整し、サンプルボリュームの位置からの受信信号と参照信号との相関を強めて復調処理を施すことにより、サンプルボリュームからのドプラ情報を選択的に抽出する、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  2. 周波数を周期的に変化させた連続波の送信信号を出力する送信信号処理部と、
    前記送信信号に基づいて超音波を生体に送波して生体からの反射波を受波することにより得られる受信信号に対して、前記送信信号に実質的に等しい波形の参照信号を用いて復調処理を施すことにより復調信号を得る受信信号処理部と、
    復調信号からドプラ情報を抽出するドプラ情報抽出部と、
    生体内の診断対象部位に対して設定されるサンプルボリュームの位置を示した表示画像を形成する表示画像形成部と、
    を有し、
    設定されたサンプルボリュームの位置に応じた遅延処理を施して参照信号と受信信号との間の遅延関係を調整して復調処理を施すことにより、サンプルボリュームからのドプラ情報を選択的に抽出するにあたり、
    前記サンプルボリュームからの受信信号の位相と参照信号の位相が等しくなるように、サンプルボリュームの深さに応じた遅延量だけ前記参照信号を遅延処理し、サンプルボリュームからの受信信号と参照信号との相関を強めることにより、サンプルボリュームからのドプラ情報を選択的に抽出する、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  3. 請求項2に記載の超音波診断装置において、
    前記送信信号処理部は、搬送波信号に対して変調処理を施すことにより前記送信信号を生成し、
    前記送信信号処理部による変調処理の変調度に応じて前記サンプルボリュームの幅が決定される、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  4. 請求項3に記載の超音波診断装置において、
    前記変調度を調整してサンプルボリュームの幅を段階的に変化させ、各段階ごとにサンプルボリュームの深さを変化させつつドプラ情報を抽出することにより診断対象部位が探索され、診断対象部位の深さに合わせてサンプルボリュームが設定される、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  5. 請求項4に記載の超音波診断装置において、
    前記変調度を段階的に大きくすることによりサンプルボリュームの幅を段階的に小さくし、各段階ごとにサンプルボリュームの深さを変化させつつドプラ情報を抽出することにより、診断対象部位の位置が絞り込まれる、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載の超音波診断装置において、
    前記表示画像形成部は、超音波画像内にサンプルボリュームの位置を示した表示画像を形成する、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  7. 請求項1から6のいずれか1項に記載の超音波診断装置において、
    前記表示画像形成部は、診断対象部位に対して設定されたサンプルボリュームから得られるドプラ情報に基づいて形成されるドプラ波形を表示する、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
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