JP2011177346A - 超音波診断装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】復調信号に含まれる不要波成分の状態を確認する技術を提供する。
【解決手段】不要波判定部44は、復調信号の周波数スペクトラム内における最大電力値を探索する。これにより、観測対象となるドプラ信号のピーク値が検出される。不要波判定部44は、検出したピーク値の周波数に基づいてドプラ周波数の極性を判断する。ドプラ周波数の極性が正の場合、不要波判定部44は、周波数スペクトラム内の変調周波数の近傍におけるスペクトラムの電力値に基づいて、不要波成分の入り込みを判定する。例えば、変調周波数の近傍において、スペクトラムの電力値が所定の閾値を超える場合に、不要波成分が入ると判定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、超音波診断装置に関し、特に、連続波を利用する超音波診断装置に関する。
超音波診断装置の連続波を利用した技術として、連続波ドプラが知られている。連続波ドプラでは、例えば、数MHzの正弦波である送信波が生体内へ連続的に放射され、生体内からの反射波が連続的に受波される。反射波には、生体内における運動体(例えば血流など)によるドプラシフト情報が含まれる。そこで、そのドプラシフト情報を抽出して周波数解析することにより、運動体の速度情報を反映させたドプラ波形などを形成することができる。
連続波を利用した連続波ドプラは、パルス波を利用したパルスドプラに比べて一般に高速の速度計測の面で優れている。こうした事情などから、本願の出願人は、連続波ドプラに関する研究を重ねてきた。その成果の一つとして、特許文献1において、周波数変調処理を施した連続波ドプラ(FMCWドプラ)に関する技術を提案している。
一方、連続波ドプラでは、連続波を利用していることにより位置計測が困難である。例えば、従来の一般的な連続波ドプラの装置(FMCWドプラを利用しない装置)では、位置計測を行うことができなかった。これに対し、本願の出願人は、特許文献2において、FMCWドプラにより選択的に生体内組織の所望の位置からドプラ情報を抽出することができる極めて画期的な技術を提案している。
特開2005−253949号公報 特開2008−289851号公報
特許文献1や特許文献2に記載されたFMCWドプラの技術は、それまでにない超音波診断の可能性を秘めた画期的な技術である。本願の発明者らは、この画期的な技術の改良についてさらに研究を重ねてきた。特に、連続波を利用して目標位置からドプラ情報等の生体内情報を抽出する技術に注目して研究を重ねてきた。
本発明は、このような背景において成されたものであり、その目的は、復調信号に含まれる不要波成分の状態を確認する技術を提供することにある。
上記目的にかなう好適な超音波診断装置は、変調周波数に応じて周期的に周波数を変化させた連続波の送信信号を出力する送信処理部と、前記送信信号に対応した超音波の送信波を生体に送波してその送信波に伴う受信波を生体から受波することにより受信信号を得る超音波送受部と、生体内の目標位置との間の相関関係を調整しつつ前記受信信号に対して復調処理を施すことにより、当該目標位置に対応した復調信号を得る受信処理部と、前記変調周波数のゼロ次成分に対応したドプラ信号と前記変調周波数の1次以上の成分に対応した不要波成分とを含んだ前記復調信号の周波数スペクトラムに基づいて、当該ドプラ信号が得られる周波数帯域内に当該不要波成分が入るか否かの判定をする不要波判定部とを有することを特徴とする。
望ましい具体例において、前記不要波判定部は、周波数スペクトラム内における前記ドプラ信号のピーク値を検出し、当該ピーク値の周波数を利用して前記判定をすることを特徴とする。
望ましい具体例において、前記不要波判定部は、前記ドプラ信号のピーク値の周波数に基づいてドプラ周波数の極性を判断し、その極性に応じた判定基準に基づいて前記判定をすることを特徴とする。
望ましい具体例において、前記不要波判定部は、周波数スペクトラム内の前記変調周波数の近傍におけるスペクトラム電力が所定の閾値を超える場合に、前記周波数帯域内に前記不要波成分が入ると判定することを特徴とする。
望ましい具体例において、前記送信処理部は、前記変調周波数に対応した変調信号を用いて搬送波信号に対して周波数変調処理を施すことにより得られる前記送信信号を出力することを特徴とする。
本発明により、復調信号に含まれる不要波成分の状態を確認する技術が提供される。これにより、例えば、不要波成分の状態を考慮しつつドプラ情報等の生体内情報を確認することなどが可能になる。
本発明の実施において好適な超音波診断装置の全体構成を示す図である。 FM連続波の周期性がドプラ周波数へ与える影響を説明する図である。 周波数変調の影響を受けたドプラ信号を説明するための図である。 周波数変調の影響を受けたドプラ信号の時間変化波形を示す図である。 ドプラ周波数が正の場合の判定処理を説明するための図である。 ドプラ周波数が負の場合の判定処理を説明するための図である。
図1は、本発明の実施において好適な超音波診断装置の全体構成を示す図である。送信用振動子10は生体内へ送信波を連続的に送波し、また、受信用振動子12は生体内からの反射波を連続的に受波する。このように、送信および受信がそれぞれ異なる振動子で行われて、いわゆる連続波ドプラ法による送受信が実行される。なお、送信用振動子10は複数の振動素子を備えており、これら複数の振動素子が制御されて超音波の送信ビームが形成される。また、受信用振動子12も複数の振動素子を備えており、これら複数の振動素子により得られた信号が処理されて受信ビームが形成される。
送信ビームフォーマ(送信BF)14は、送信用振動子10が備える複数の振動素子に対して送信信号を出力する。送信ビームフォーマ14には、例えば正弦波によるFM変調処理が施されたFM連続波(FMCW波)が入力される。送信ビームフォーマ14は、FM連続波に対して、各振動素子に応じた遅延処理を施して各振動素子に対応した送信信号を形成する。なお、送信ビームフォーマ14において形成された各振動素子に対応した送信信号に対して、必要に応じて電力増幅処理が施されてもよい。こうして、FM連続波による送信ビームが形成される。
FM変調器20は、送信ビームフォーマ14にFM連続波を出力する。FM変調器20は、変調波生成部24から供給される変調信号を用いて、RF波発振器22から供給されるRF波(搬送波信号)に対して周波数変調を施すことにより、FM連続波を発生する。このFM連続波の波形等については後に詳述する。
受信ビームフォーマ(受信BF)16は、受信用振動子12が備える複数の振動素子から得られる複数の受波信号を整相加算処理して受信ビームを形成する。つまり、受信ビームフォーマ16は、各振動素子から得られる受波信号に対してその振動素子に応じた遅延処理を施し、複数の振動素子から得られる複数の受波信号を加算処理することにより受信ビームを形成する。なお、各振動素子から得られる受波信号に対して低雑音増幅等の処理を施してから、受信ビームフォーマ16に複数の受波信号が供給されてもよい。こうして受信ビームに沿った受信RF信号が得られる。
受信ミキサ30は受信RF信号に対して直交検波を施して複素ベースバンド信号を生成する回路であり、2つのミキサ32,34で構成される。各ミキサは受信RF信号を所定の参照信号と混合する回路である。
受信ミキサ30の各ミキサに供給される参照信号は、FM変調器20から出力されるFM連続波に基づいて生成される。つまり、FM変調器20から出力されるFM連続波が遅延回路25において遅延処理され、ミキサ32には遅延処理されたFM連続波が直接供給され、一方、ミキサ34には遅延処理されたFM連続波がπ/2シフト回路26を経由して供給される。
π/2シフト回路26は遅延処理されたFM連続波の位相をπ/2だけずらす回路である。この結果、2つのミキサ32,34の一方から同相信号成分(I信号成分)が出力され、他方から直交信号成分(Q信号成分)が出力される。なお、受信ミキサ30の後段に設けられたLPF(ローパスフィルタ)36,38により、同相信号成分および直交信号成分の各々の高周波数成分がカットされ、検波後の必要な帯域のみの復調信号が抽出される。
FFT処理部(高速フーリエ変換処理部)42は、復調信号(同相信号成分および直交信号成分)の各々に対してFFT演算を実行する。その結果、FFT処理部42において復調信号が周波数スペクトラムに変換される。なお、FFT処理部42から出力される周波数スペクトラムは、回路の設定条件などにより周波数分解能δfの周波数スペクトラムデータとして出力される。
不要波判定部44は、復調信号の周波数スペクトラムに基づいて、復調信号に含まれる不要波成分の状態を確認する。復調信号には、変調周波数のゼロ次成分(直流近傍の成分)に対応したドプラ信号と、変調周波数の1次以上の成分に対応した不要波成分が含まれている。不要波判定部44は、ドプラ信号が得られる周波数領域内に不要波成分が入り込むか否かを判定する。復調信号に含まれる不要波成分や不要波判定部44による判定処理については後に詳述する。
ドプラ画像形成部46は、ドプラ信号波形などのドプラ画像を形成してモニタなどに表示する。後に詳述するが、図1の超音波診断装置では、遅延回路25における遅延処理により目標位置が設定され、目標位置からのドプラ信号が選択的に抽出される。ドプラ画像形成部46は、例えば、時間的に変化するドプラ信号の表示波形を形成する。なお、生体内の各深さ(各位置)ごとにドプラ信号が抽出され、例えば、超音波ビーム(音線)上の各深さごとに生体内組織の速度が算出されてリアルタイムで出力されてもよい。また、超音波ビームを走査させて二次元的あるいは三次元的に生体内組織の各位置の速度などが算出されてもよい。
図1に示す超音波診断装置内の各部は、システム制御部50によって制御される。つまり、システム制御部50は、送信制御や受信制御や表示制御などを行う。
以上、概説したように、図1の超音波診断装置では、連続波(CW)を変調波でFM変調した超音波(FMCW波)を送受波して受信信号が得られて、目標位置からのドプラ情報が選択的に抽出される。そこで、目標位置からのドプラ情報が選択的に抽出される原理について詳述する。なお、図1に示した部分(構成)については、以下の説明においても図1の符号を利用する。
<位置選択性について>
周波数fのRF波(搬送波)に対して、周波数fの正弦波によりFM変調を施したFMCW送信波は次式のように表現できる。次式において、Δfは周波数変動幅の0−P値(ゼロピーク値:最大周波数偏移)であり、最大周波数偏移Δfと変調周波数fの比であるβはFMの変調指数(変調度)である。
Figure 2011177346
また、ドプラシフトを伴う場合のFMCW受信波は、生体における往復の減衰をαとすると次式で表現できる。なお、次式において、fに対するドプラシフトは、fのシフト分fに比べて小さいので無視している。
Figure 2011177346
数2式で表される受信波形は、超音波振動子を介して受信される信号波形(受信RF信号)である。FMCWドプラでは、受信RF信号に対する復調処理において、FMCW送信波を参照信号として受信波と乗算を行う。図1を利用して説明したように、FM変調器20から出力されるFM連続波が参照信号として利用され、遅延回路25において遅延処理され、ミキサ32には遅延処理されたFM連続波が直接供給され、一方、ミキサ34には遅延処理されたFM連続波がπ/2シフト回路26を経由して供給される。したがってミキサ32へ供給される参照信号vrI(t)とミキサ34へ供給される参照信号vrQ(t)は、次式のように表現できる。
Figure 2011177346
数3式において、φmrは、遅延回路25における遅延処理により任意に設定できる参照信号の位相を示しており、φ0rは、任意に設定した参照信号の位相に対応して決まる搬送波の位相変化量を示している。
受信ミキサ30では、復調処理として直交検波が行われる。つまり、ミキサ32において、受信RF信号v(t)と参照信号vrI(t)の乗算に相当する処理が実行され、また、ミキサ34において、受信RF信号v(t)と参照信号vrQ(t)の乗算に相当する処理が実行される。
ミキサ32における受信RF信号v(t)と参照信号vrI(t)の乗算vDI(t)は次式のように表現される。なお、次式の計算途中において、周波数2fの成分が消去されている。これは、LPF36によって除去される。
Figure 2011177346
ここで、ベッセル関数に関する次の公式を利用する。
Figure 2011177346
数5式の公式を用いると、数4式はさらに次式のように計算される。
Figure 2011177346
一方、ミキサ34における受信RF信号v(t)と参照信号vrQ(t)の乗算vDQ(t)は次式のように表現される。なお、次式の計算途中において、周波数2fの成分が消去されている。これは、LPF38によって除去される。
Figure 2011177346
ここで、数6式のvDI(t)と数7式のvDQ(t)とに基づいて、複素ベースバンド信号を定義する。まず、vDI(t)とvDQ(t)に含まれている直流(DC)成分、変調周波数fの偶数次高調波成分を次式のように表現する。
Figure 2011177346
次に、vDI(t)とvDQ(t)に含まれている変調周波数fの成分、変調周波数fの奇数次高調波成分を次式のように表現する。
Figure 2011177346
数8式と数9式から、直交検波後のベースバンド信号において、ドプラシフトfを含んだドプラ信号は、DC成分と変調周波数fの成分と変調周波数fの高調波成分とからなる複数の成分の各々についての両側帯波として出現することがわかる。
ここで、受信信号と参照信号の位相を互いに揃えた場合、つまり、遅延回路25における遅延処理によりφmrを調整してφと一致させた場合(φmr=φ)を考える。φmrとφを一致させた場合には、数4式におけるkが0となる。この結果をベッセル関数に適用すると、第1次ベッセル関数の性質により、次式のように、0次のベッセル関数の値のみが1となり、それ以外のベッセル関数の値は0となる。
Figure 2011177346
数10式に示す結果を数8式と数9式に適用すると次式のとおりとなる。
Figure 2011177346
数11式は、参照波(参照信号)の位相φmrを送受信間の位相差φに設定すると、圧縮変換により、DC成分(直流信号成分)に対応したドプラ信号のみが抽出できることを示している。
上述した数2式の受信波形は、ある深さからの受信信号の波形である。これに対し、FMCW送信波を利用して、実際に受信用振動子12において得られる受信信号は、複数の深さからの信号が合成された受信信号である。受信ミキサ30においては、複数の深さからの信号が合成された受信信号と参照信号との乗算に相当する処理が実行される。
数8式などに現れた直流信号成分に対応したドプラ信号の振幅を支配するJ(kβ)は、第1次ベッセル関数の性質により、kβが0のときに最大値である1となり、kβが0からずれると急激に小さくなる。そのため、遅延回路25においてφmrを調整し、目標位置から得られる受信信号のφと一致させると、目標位置におけるJ(kβ)が最大値である1となり、目標位置以外におけるJ(kβ)が極端に小さな値となる。したがって、遅延回路25においてφmrを調整し、目標位置から得られる受信信号のφと一致させることにより、目標位置におけるドプラ信号(直流信号成分)を選択的に抽出することができる。
以上のように、ドプラ信号が選択的に抽出される目標位置は、遅延回路25における遅延処理に基づいて決定される。図1のシステム制御部50は、目標位置の深さに応じて遅延回路25における遅延時間を制御する。
さらに、図1の超音波診断装置では、周波数変調の影響に伴って発生する不要波成分の状態が確認される。そこで、周波数変調に伴って発生する不要波成分と、その状態を確認するための処理について以下に詳述する。なお、図1に示した部分(構成)については、以下の説明においても図1の符号を利用する。
<周波数変調に伴う不要波成分について>
ドプラ法の基本原理において、移動体(例えば血流)に関するドプラ周波数(ドプラシフト周波数)は、計測に利用される超音波の周波数と移動体の速度に比例する。図1の超音波診断装置においては、FM連続波を利用しており、FM連続波は、数1式に示したように、周波数(瞬時周波数)が周期的に変化している。そのため、移動体の速度が一定の場合においても、FM連続波を利用してその移動体のドプラ周波数を計測すると、FM連続波の周期性に伴ってドプラ周波数が周期的に変動する。
図2は、FM連続波の周期性がドプラ周波数へ与える影響を説明する図である。図2には、ドプラシフトの影響を受けていないFM連続波70と、ドプラシフトの影響を受けたFM連続波72が図示されている。なお、図2の横軸は時間軸であり、図2の縦軸にはFM連続波70,72の瞬時周波数が示されている。
図1の超音波診断装置における超音波の送信信号は、その瞬時周波数がFM連続波70のように周期的に正弦波状に変化する。そのため、移動体の速度が一定の場合においてもドプラシフトが周期的に変化し、その結果としてFM連続波72のような波形が得られる。つまり、FM連続波70の瞬時周波数が低い(小さい)時刻においては、比較的小さいドプラ周波数fdLとなり、FM連続波70の瞬時周波数が高い(大きい)時刻においては、比較的大きいドプラ周波数fdHとなる。
このように、FM連続波70を利用して得られるドプラ周波数の変動は、FM連続波70の周期性に対応した周期的なものとなる。特に、移動体の速度が大きい場合には、ドプラ周波数fdLとドプラ周波数fdHの差も大きくなり、ドプラ周波数の周期性が比較的顕著になる。一方、移動体の速度が小さい場合にはドプラ周波数fdLとドプラ周波数fdHの差が小さくなり、ドプラ周波数の周期性が比較的目立たなくなる。
図1の超音波診断装置における超音波の送信信号は、周波数fのRF波(搬送波)に対して、周波数fの正弦波によりFM変調を施したFMCW送信波であり、その信号は前述の数1式のとおりである。その送信信号(FMCW送信波)の瞬時角周波数は、数1式の位相項を時間微分して次式のように表現される。
Figure 2011177346
ここで、ドプラシフトを音速(超音波の速度)cと移動体の速度vの比だけ、瞬時周波数が変化する量として定義する。この場合、相対速度vに対するドプラ周波数変化は往復で速度2vとして次式で表現される。
Figure 2011177346
数13式で表現されるドプラ周波数変化を瞬時位相に変換すると次式となる。
Figure 2011177346
数14式で表現される瞬時位相は、移動体からの受信波の瞬時位相に対して、初項で表現される搬送波fによるドプラシフトに加え、第2項で表現される変調波によるドプラシフトが追加されることを意味している。なお、第3項は積分定数であり、ドプラ周波数の位相を意味する。一般に、血流などの速度計測では、ドプラ周波数の位相情報までは必要としない。また、時間的に変化しない位相成分であるため、速度計測において物理的に大きな意味を含んでいないと考える。
受信波は、送受信時間差(目標位置までの往復の伝播時間)τだけ送信波よりも遅れて到着するため、送受信時間差τを考慮すると、受信波は次式のように表現される。
Figure 2011177346
受信ミキサ30では、送信波に実質的に同じ波形の参照波(参照信号)と受信波との乗算(次式)に相当する処理が実行される。
Figure 2011177346
数16式から2fの周波数成分をローパスフィルタで除去すると、受信ミキサ30の出力(例えばLPF36の出力)は次式のように表現することができる。
Figure 2011177346
数17式の結果について、さらに計算を進めると、次式のようになる。
Figure 2011177346
数18式は、復調信号に含まれるドプラ信号が、新たに定義された変調度β´(数17式参照)と変調周波数fにより周波数変調された信号に等しいことを意味している。
図3は、周波数変調の影響を受けたドプラ信号を説明するための図であり、図3には、数18式に対応したドプラ信号の周波数スペクトラムが示されている。なお、図3の横軸は周波数であり縦軸は電力である。
図3や数18式に示されるように、変調信号の影響を受けたドプラ信号には、変調周波数fのベッセル関数のゼロ次成分であるJ(β´)に加え、1次成分J(β´),2次成分J(β´),3次成分J(β´),・・・の折り返し成分が含まれている。なお、直流近傍の成分(ゼロ次成分)は周波数0からドプラ周波数fだけ離れた位置に現れており、1次成分は周波数fからドプラ周波数fだけ離れた位置に現れており、2次成分は周波数2fからドプラ周波数fだけ離れた位置に現れている。
図4は、周波数変調の影響を受けたドプラ信号の時間変化波形を示す図であり、図3の周波数スペクトラムの時間変化を示している。つまり、図4には、変調周波数fのゼロ次成分に対応した直流近傍のドプラ信号と変調周波数fの1次成分と2次成分の各々についての時間変化波形が示されている。横軸に示す時間の経過に伴って測定対象である血流などの速度が変化すると、速度の変化に応じてドプラ周波数fも変化する。そのため図4に示す各成分の波形は、横軸に示す時間の経過に従って縦軸に示す周波数方向に変化している。
本実施形態においては、変調周波数fのゼロ次成分に対応したドプラ信号(直流近傍の成分)を観測対象とし、変調周波数fの1次成分,2次成分,3次成分,・・・を不要波成分とする。
図4に示すように、直流近傍の成分は、周波数ゼロの軸を基準として時間的に変動する。また、例えば−1次成分は、周波数−fの軸を基準として時間的に変動する。ドプラ周波数が小さい場合には、例えば、図4に示す時刻Taにおいては、直流近傍の成分は周波数ゼロの軸の近傍にあり、また、−1次成分は周波数−fの軸の近傍にある。これに対し、ドプラ周波数が大きくなると、例えば、図4に示す時刻Tbにおいては、直流近傍の成分は変調周波数fを超え、また、−1次成分は周波数ゼロの軸を超えている。つまり、観測対象となる直流近傍の成分の波形が変動する周波数帯域内に、−1次の不要波成分が入り込んでいる。そのため、この不要波成分が誤って観測対象と判断されてしまう可能性がある。
そこで、図1の不要波判定部44は、観測対象となるドプラ信号が得られる周波数領域内に不要波成分が入り込むか否かを判定する。以下にその判定処理について詳述する。なお、図1に示した部分(構成)については以下の説明においても図1の符号を利用する。
<不要波成分の判定処理について>
図5は、ドプラ周波数が正の場合の判定処理を説明するための図であり、図5には、復調信号に含まれるドプラ信号などの周波数スペクトラム(図3の周波数スペクトラムの一部)が図示されている。不要波判定部44は、まず、復調信号の周波数スペクトラム内における最大電力値(スペクトラム電力値の最大値)を探索する。これにより、観測対象となるドプラ信号、つまり直流近傍の成分J(β´)のピーク値が検出される。
不要波判定部44は、検出したピーク値の周波数に基づいて、ドプラ周波数の極性を判断する。図5に示す例においては、J(β´)のピーク値が周波数軸の正側にあり、ドプラ周波数の極性が正と判断される。
ドプラ周波数の極性が正の場合、不要波判定部44は、周波数スペクトラム内の変調周波数fの近傍におけるスペクトラムの電力値に基づいて、不要波成分の入り込みを判定する。例えば、周波数0.9fから周波数fの間において、スペクトラムの電力値が閾値Pを超える場合に、不要波成分が入ると判定する。閾値Pは、例えばノイズフロアよりも少し大きめに設定される。もちろん、ユーザが閾値Pのレベルを調整できるようにしてもよい。
例えば、図5に示すように、直流近傍の成分J(β´)が周波数fの近傍に近づくと、周波数0.9fから周波数fの間において、スペクトラムの電力値が閾値Pを超え、不要波成分が入ると判定される。不要波判定部44により不要波成分が入り込むと判定されると、例えばモニタなどにその旨の警告が表示される。不要波成分の入り込みを知らせる警告音が鳴らされてもよい。図5に示すスペクトラムの状態は、例えば図4における時刻Tbのように、直流近傍の成分の波形が変動する周波数帯域内に、−1次の不要波成分が入り込んでいる、あるいは、入り込む可能性が高いためである。
図6は、ドプラ周波数が負の場合の判定処理を説明するための図である。図5と同様に図6には、復調信号に含まれるドプラ信号などの周波数スペクトラムが図示されている。不要波判定部44は、復調信号の周波数スペクトラム内における最大電力値を探索し、直流近傍の成分J(β´)のピーク値を検出する。図6においては、J(β´)のピーク値が周波数軸の負側にあり、ドプラ周波数の極性が負と判断される。
ドプラ周波数の極性が負の場合、不要波判定部44は、周波数スペクトラム内の−fの近傍におけるスペクトラムの電力値に基づいて、不要波成分の入り込みを判定する。例えば、周波数−fから周波数−0.9fの間において、スペクトラムの電力値が閾値Pを超える場合に、不要波成分が入ると判定する。閾値Pは、図5における値と同じであるが、必要に応じて、正側(図5)と負側(図6)において閾値Pの値を異ならせてもよい。そして、図6の例においても、不要波判定部44により不要波成分が入り込むと判定されると、例えばモニタなどにその旨の警告が表示される。
なお、不要波判定部44は、検出された直流近傍の成分J(β´)のピーク値を追跡し、そのピーク値が周波数fの近傍(例えば周波数0.9fから周波数fの間)に入った場合に、不要波成分が入り込むと判定してもよい。同様に、不要波判定部44は、追跡したピーク値が周波数−fの近傍(例えば周波数−fから周波数−0.9fの間)に入った場合に、不要波成分が入り込むと判定してもよい。
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、上述した本発明の好適な実施形態等は、あらゆる点で単なる例示にすぎず、本発明の範囲を限定するものではない。本発明は、その本質を逸脱しない範囲で各種の変形形態を包含する。
20 FM変調器、22 RF波発振器、24 変調波生成部、25 遅延回路、30 受信ミキサ、42 FFT処理部、44 不要波判定部、46 ドプラ画像形成部。

Claims (5)

  1. 変調周波数に応じて周期的に周波数を変化させた連続波の送信信号を出力する送信処理部と、
    前記送信信号に対応した超音波の送信波を生体に送波してその送信波に伴う受信波を生体から受波することにより受信信号を得る超音波送受部と、
    生体内の目標位置との間の相関関係を調整しつつ前記受信信号に対して復調処理を施すことにより、当該目標位置に対応した復調信号を得る受信処理部と、
    前記変調周波数のゼロ次成分に対応したドプラ信号と前記変調周波数の1次以上の成分に対応した不要波成分とを含んだ前記復調信号の周波数スペクトラムに基づいて、当該ドプラ信号が得られる周波数帯域内に当該不要波成分が入るか否かの判定をする不要波判定部と、
    を有する、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  2. 請求項1に記載の超音波診断装置において、
    前記不要波判定部は、周波数スペクトラム内における前記ドプラ信号のピーク値を検出し、当該ピーク値の周波数を利用して前記判定をする、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  3. 請求項2に記載の超音波診断装置において、
    前記不要波判定部は、前記ドプラ信号のピーク値の周波数に基づいてドプラ周波数の極性を判断し、その極性に応じた判定基準に基づいて前記判定をする、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の超音波診断装置において、
    前記不要波判定部は、周波数スペクトラム内の前記変調周波数の近傍におけるスペクトラム電力が所定の閾値を超える場合に、前記周波数帯域内に前記不要波成分が入ると判定する、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の超音波診断装置において、
    前記送信処理部は、前記変調周波数に対応した変調信号を用いて搬送波信号に対して周波数変調処理を施すことにより得られる前記送信信号を出力する、
    ことを特徴とする超音波診断装置。
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