JP2007202617A - 超音波診断装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ドプラスペクトラム画像の速度レンジを自動的に決定することが可能な超音波診断装置を提供する。
【解決手段】オートトレース部7は、スキャンによって得られたドプラスペクトラム画像が示す最大速度をトレースすることでトレース波形を作成し、ヒストグラム作成部91は、そのトレース波形に基づいて、所定時間の間における速度の頻度を表すヒストグラムを作成する。状態判別部92は、そのヒストグラムが示す速度の頻度に基づいて血流の状態を判別し、レンジ決定部93は、血流状態に応じた速度レンジ(観測可能な最大速度)を求める。送受信部3はレンジ検定部93にて求められた速度レンジに従って超音波プローブに超音波を送受信させる。これにより、血流状態の変化に応じて速度レンジを変えることができるため、各状態で適切なレンジでドプラスペクトラム画像を表示することができる。
【選択図】図1
【解決手段】オートトレース部7は、スキャンによって得られたドプラスペクトラム画像が示す最大速度をトレースすることでトレース波形を作成し、ヒストグラム作成部91は、そのトレース波形に基づいて、所定時間の間における速度の頻度を表すヒストグラムを作成する。状態判別部92は、そのヒストグラムが示す速度の頻度に基づいて血流の状態を判別し、レンジ決定部93は、血流状態に応じた速度レンジ(観測可能な最大速度)を求める。送受信部3はレンジ検定部93にて求められた速度レンジに従って超音波プローブに超音波を送受信させる。これにより、血流状態の変化に応じて速度レンジを変えることができるため、各状態で適切なレンジでドプラスペクトラム画像を表示することができる。
【選択図】図1
Description
この発明は、ドプラスペクトラム画像を取得する超音波診断装置に関し、特に、ドプラスペクトラム画像の速度レンジを自動的に調整する超音波診断装置に関する。
従来から、超音波パルス反射法と超音波ドプラ法を併用することで、診断部位の断層像と血流情報を得る超音波診断装置が知られている。超音波ドプラ法は、超音波ドプラ法の原理に基づいて被検体内の血流の情報を得る技術である。被検体内の血流などの流れのある診断部位に向けて超音波を送信すると、ドプラ効果により、送信周波数に対して受信周波数が僅かに偏移する。この偏移周波数(ドプラ偏移周波数)は血流速度に比例し、偏移周波数(ドプラ偏移周波数)の周波数解析を行なうことにより血流情報が得られる。
上記超音波診断装置は、得られたドプラ信号に対して高速フーリエ変換(FFT)を行い、その周波数分析の結果を、縦軸に周波数f(速度v)、横軸に時間tとしてスペクトラム表示を行い、そのスペクトラム画像を対象として診断で用いる各種項目(パラメータ)の計測が行われる。
ところで、パルスドプラ(PW)法では、周波数解析のためのサンプリング周波数fsがドプラ偏移周波数よりも低い場合には、エイリアシング現象(折り返り)が起きてしまう。そこで、これを防ぐために、サンプリング周波数に相当するパルス繰り返し周波数(PRF:Pulse Repetition Frequency)を上げ、毎回の観測時間間隔を短くする必要がある。この場合、測定したい位置を指定すると、必然的に最大のPRFが決定され、PRFが決まると、測定できる最高血流速度も決定されてしまう。この計測できる最高血流速度をドプラ速度レンジと称する。
ドプラスペクトラム表示を行ったところ、ドプラ速度レンジが小さすぎると、ドプラ波形の折り返し部分が発生する。このような場合、操作者が手動でドプラ速度レンジを大きく設定することで、折り返し部分がナイキスト周波数(PRFの半分)内に収まり、表示上、繋がりの良いドプラスペクトラムが得られる。一方、ドプラ速度レンジが大きすぎるとスケールが大きくなるため、ドプラ波形が小さくなってしまい、観測し難くなる。このような場合、操作者が手動でドプラ速度レンジを小さく設定することで、表示画面の上下いっぱいを有効に使ったドプラスペクトラムが得られる。
また、操作性を向上させるために、ドプラ波形の自動トレース機能や自動計測機能を有する超音波診断装置が知られている。このように計測などを自動で行うことで、操作時間の短縮や操作のばらつきの低減を図っている。
ここで、超音波診断装置によって取得されるドプラスペクトラム画像について図12を参照して説明する。図12は、超音波診断装置によって取得された断層像とドプラスペクトラム画像を示す図である。ここでは、頸動脈を診断部位として断層像とドプラスペクトラム画像とを取得して表示する場合について説明する。
例えば、ドプラスペクトラム画像を取得する位置を指定するためのレンジゲート102によって、Bモード断層像100とカラードプラ画像101とが重畳した画像に表されている血管を指定すると、その位置における血流速度分布の時間変化を表すドプラスペクトラム画像が得られて画面に表示される。図12中、(a)には、ドプラ速度レンジ(測定できる最高血流速度)を決定付けるPRFが7.1[kHz]、速度オフセット(BLS:Baseline Shift)が0[Hz]のときのドプラスペクトラム画像103が示されている。
操作者は、ドプラスペクトラム画像103のオートトレース波形104(スペクトラムの辺縁部をトレースした波形)を基に血流状態の計測を行うため、ドプラ波形がドプラ速度レンジ(縦軸)の中心に一定の比率で表示されるように、パルス繰り返し周波数(PRF)と速度オフセット(BLS)を調整する。例えば、PRFを5[kHz]に変更し、BLSを負側にシフトすることで、図12中、(b)に示すようにドプラスペクトラム画像103を拡大して表示している。
患者や診断部位によって血流速度が異なり、患者や診断部位によって取得されるドプラ波形が異なるため、そのドプラ波形に応じたドプラ速度レンジを設定する必要がある。そのため、操作者は、患者や診断部位が変わるたびに、ドプラ速度レンジに対応するPRFと速度オフセット(BLS)を調整する必要があった。しかしながら、患者や診断部位が変わるたびに、ドプラ速度レンジ(PRF)や速度オフセット(BLS)を調整することは煩雑である。
そこで、ドプラ速度レンジ(PRF)と速度オフセット(BLS)を自動的に決定する手法が提案されている(例えば特許文献1)。従来技術に係る手法によると、所定時間(例えば1心拍)で取得されたドプラ波形に基づいて各速度(周波数)の頻度を算出することで速度の頻度分布を表すヒストグラムを作成し、そのヒストグラムに基づいて、表示領域の縦方向のα%(例えば70%)以内にドプラ波形が表示されるようにドプラ速度レンジ(PRF)を決定してフィードバックしている。
しかしながら、従来技術に係る手法では、作成したヒストグラムの上限値と下限値とからドプラ速度レンジ(PRF)を決定するため、ドプラ波形の信号が欠落した場合や、ドプラ信号がナイキスト周波数(PRFの半分)を超えて折り返しが発生した場合に、フィードバック制御が不安定となり、回復までに時間がかかるといった問題がある。
図13に、従来技術に係る手法によって得られたドプラスペクトラム画像を示す。ここでは、頸動脈を診断部位とした。図中、横軸は時間t、縦軸は血流速度であり、ドプラスペクトラム画像110上にオートトレース波形111を重ねて表示している。ヒストグラムを求めるための観察時間を1秒とし、12秒間の自動速度レンジの設定処理と速度オフセット(BLS)の設定処理を行った。この従来技術に係る手法では、1秒前のヒストグラムに基づいてドプラ速度レンジ(PRF)と速度オフセット(BLS)を求めている。
ドプラ速度レンジ内(上限112と下限113との間)に、一定の比率でドプラ波形が表示されていることが望ましい。0〜2秒は、ドプラ速度レンジの初期値からドプラ速度レンジが安定するまでの過渡応答である。2〜6秒では、ドプラ速度レンジ内にドプラ波形が表示されている。このように、ドプラ速度レンジ内(上限112と下限113との間)に、一定の比率でドプラ波形が表示されていることが望ましいが、6〜7秒では、ドプラ信号の欠落が発生し、以後の7〜10秒では、ドプラ波形はドプラ速度レンジから外れてしまっている。このように、従来技術に係る手法によると、信号の欠落が発生した場合、フィードバック制御が不安定となり、回復に時間がかかるといった問題があった。
この発明は上記の問題を解決するものであり、被検体内の運動流体の状態に応じて、ドプラスペクトラム画像のドプラ速度レンジを自動的に決定することが可能な超音波診断装置を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、被検体内の運動流体を含む診断部位に向けて超音波を送受信する送受信手段と、前記超音波の送受信によって得られる信号に基づいて、前記運動流体の速度を示すドプラスペクトラム画像を生成するドプラ処理手段と、前記ドプラスペクトラム画像に基づいて前記運動流体の状態を判別し、前記運動流体の状態に応じた、測定可能な速度を表すドプラ速度レンジを決定するレンジ処理手段と、を有し、前記送受信手段は、前記決定されたドプラ速度レンジに従って超音波を送受信することを特徴とする超音波診断装置である。
この発明によると、取得されたドプラスペクトラム画像に基づいて運動流体の状態を判別し、その状態に応じたドプラ速度レンジを決定することにより、運動流体の状態変化に追従してドプラ速度レンジを変えることが可能となる。
[第1の実施の形態]
この発明の第1の実施形態に係る超音波診断装置について図1から図9を参照して説明する。図1は、この発明の第1の実施形態に係る超音波診断装置の概略構成を示すブロック図である。
この発明の第1の実施形態に係る超音波診断装置について図1から図9を参照して説明する。図1は、この発明の第1の実施形態に係る超音波診断装置の概略構成を示すブロック図である。
この実施形態に係る超音波診断装置1は、超音波断層像(Bモード断層像)を表示するBモード、血流情報を表示するドプラモード(パルスドプラ(PW)又は連続波ドプラ(CW))、血流情報を2次元的に表示するCFM(カラーフローマッピング)モードなどの既知のモードに応じて動作可能となっている。
超音波プローブ2には、複数の超音波振動子が所定方向(走査方向)に1例に配列された1次元超音波プローブや、超音波振動子がマトリックス(格子)状に配置された2次元超音波プローブが用いられる。
送受信部3は、超音波プローブ2に電気信号を供給して超音波を発生させる送信部(図示しない)と、超音波プローブ2からの信号を受信する受信部(図示しない)とを備えて構成されている。
送受信部3の送信部は、図示しないクロック発生回路、送信遅延回路、及びパルサ回路を備えている。クロック発生回路は、超音波信号の送信タイミングや送信周波数を決めるクロック信号を発生する回路である。送信遅延回路は、超音波の送信時に遅延を掛けて送信フォーカスを実施する回路である。パルサ回路は、各超音波振動子に対応した個別経路(チャンネル)の数分のパルサを内蔵し、遅延が掛けられた送信タイミングで駆動パルスを発生し、超音波プローブ2の各超音波振動子に供給するようになっている。
また、送受信部3の受信部は、図示しないプリアンプ回路、A/D変換回路、及び受信遅延・加算回路を備えている。プリアンプ回路は、超音波プローブ2の各超音波振動子から出力されるエコー信号を受信チャンネルごとに増幅する。A/D変換回路は、増幅されたエコー信号をA/D変換する。受信遅延・加算回路は、A/D変換後のエコー信号に対して受信指向性を決定するのに必要な遅延時間を与え、加算する。その加算により、受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調される。なお、この送受信部3によって加算処理された信号を「RF信号」と称する。送受信部3から出力されたRF信号は、Bモード処理部4又はドプラ処理部5に出力される。
Bモード処理部4は、エコーの振幅情報の映像化を行い、エコー信号からBモード超音波ラスタデータを生成する。具体的には、Bモード処理回路は、RF信号に対してバンドパスフィルタ処理を行い、その後、出力信号の包絡線を検波し、検波されたデータに対して対数変換による圧縮処理を施す。Bモード処理部4により生成されたBモード超音波ラスタデータはDSC6に出力される。
ドプラ処理部5は、直交位相検波部51、レンジゲート(RG)処理部52、ウォール・フィルタ53、及びFFT演算部54を備えて構成されている。
直交位相検波部51は、基準発信器からの基準信号及びその90度の位相差をもつ基準信号と、送受信部3から出力されたRF信号とを混合する。レンジゲート(RG)処理部52は、混合信号のうちの高周波成分を除去してドプラ偏移周波数成分のみからなるドプラ信号を得て、そのうち、被検体内の所望の深さのドプラ信号を抽出する。ウォール・フィルタ53は、レンジゲート処理部52からのレンジゲートで指定された被検体内の所定位置のドプラ信号から、比較的動きの遅い血管壁、心臓壁などの不要低周波ドプラ信号を除去して、検出すべき血流のドプラ信号を抽出する。FFT演算部54は、ウォール・フィルタ53で抽出されたドプラ信号に対して周波数解析を行なってその解析結果であるドプラスペクトラム信号を得て、DSC6に出力する。これにより、表示部8には、例えばBモード断層像とともにドプラスペクトラム画像が表示される。
オートトレース部7は、FFT演算部54から出力されたドプラスペクトラム信号の最大速度Vpを時間方向にトレースして、Vpのトレース波形を検出する。これにより、最大速度Vpのトレース波形は、ドプラスペクトラム画像の辺縁部をトレースした波形となる。また、オートトレース部7は、ドプラスペクトラム信号の平均速度Vmを時間方向にとレースして、Vmのトレース波形を検出しても良い。オートトレース部7はVp、Vmのトレース波形データを表示部8に出力する。これにより、表示部8に、Vp、Vmのオートトレース波形が表示される。例えば、ドプラスペクトラム画像とVp、Vmのオートトレース波形とを重ねて表示部8に表示する。さらに、オートトレース部7は、検出したVp、Vmのトレース波形データをヒストグラム作成部91に出力する。なお、このオートトレース部7が、この発明の「オートトレース手段」に相当する。
DSC6(Digital Scan Converter:デジタルスキャンコンバータ)は、直交座標系で表される画像を得るために、超音波ラスタデータを直交座標で表される画像データに変換する(スキャンコンバージョン処理)。DSC6から表示部8に画像データが出力され、表示部8にその画像データに基づく画像が表示される。例えば、DSC6は、Bモード超音波ラスタデータに基づいて2次元情報としての断層像データを生成し、その断層像データを表示部8に出力する。表示部8はその断層像データに基づく断層像を表示する。
オートレンジ/オートBLS処理部9は、オートトレース部7から出力されたトレース波形データに基づいて血流(運動流体)の状態を判別し、その判別結果に基づいてドプラ速度レンジ(PRF)と速度オフセット(BLS)を求める。このとき、オートレンジ/オートBLS処理部9は、血流状態に応じてドプラ速度レンジを決定する条件を変えて、ドプラ速度レンジを決定する。なお、このオートレンジ/オートBLS処理部9が、この発明の「レンジ処理手段」に相当する。
まず、血流(運動流体)の状態を定義するため、ドプラスペクトラム画像を4種類の状態に分類した。この分類について図2を参照して説明する。図2は、血流の状態を説明するためのドプラスペクトラム画像を示す図である。
図2(a)に示すドプラスペクトラム画像Aのように、血流の方向が片方(正側又は負側)のみの場合を状態Aとする。例えば、頸動脈を診断部位としてスキャンした場合、状態Aのドプラスペクトラム画像が得られる。また、図2(b)に示すドプラスペクトラム画像Bのように、血流の方向が心拍周期中に両方(正側と負側)にある場合を状態Bとする。例えば、肺動脈を診断部位としてスキャンした場合、状態Bのドプラスペクトラム画像が得られる。また、図2(c)に示すドプラスペクトラム画像Cのように、現行の速度レンジに対して血流速度が大きすぎて折り返し(エイリアシング現象)が発生している場合を状態Cとする。また、図2(d)に示すドプラスペクトラム画像Dのように、信号が欠落している場合を状態Dとする。
頸動脈など多くの診断部位では、状態Aのように血流の方向は片方(正側又は負側)のみとなるが、肺静脈など心臓に近い診断部位では、状態Bのように血流の方向は両方(正側と負側)になる。また、状態A、Bともに、ドプラ速度レンジ(PRF)が小さすぎると折り返し(エイリアシング現象)が発生して状態Cになる。図2(c)に示す状態Cは、元々は状態Aにおける正側の信号が折り返って負側の成分として表示されている。また、状態Dはドプラ信号が欠落した場合であって、ドプラスペクトラム画像の辺縁が判別できなくなるため、0[Hz]付近にオートトレース波形が集中することになる。また、感度が悪く、ノイズが多い場合も、ドプラスペクトラム画像は状態Dのようになる。
ヒストグラム作成部91は、オートトレース部7から出力された最大速度Vpのトレース波形データに基づいて各速度の頻度を求め、速度の頻度分布を表すヒストグラムを作成する。そして、ヒストグラム作成部91は、作成したヒストグラムを状態判別部92に出力する。例えば、ヒストグラム作成部91は、所定の観測時間(例えば1.25秒)の間における各速度の頻度を求めて頻度の分布を表すヒストグラムを作成し、そのヒストグラムを状態判別部92に出力する。なお、このヒストグラム作成部91が、この発明の「ヒストグラム作成手段」に相当する。
ここで、図2に示す4種類のドプラスペクトラム画像に基づいて作成されたヒストグラムについて、図3を参照して説明する。図3は、ドプラスペクトラム画像に対応するヒストグラムを示す図である。横軸はPRF(サンプリング周波数fsに相当)で正規化された周波数であり、縦軸は速度の頻度を示している。
図3(a)は、状態Aのトレース波形データに基づいて作成されたヒストグラムである。状態Aでは、血流の方向が片方のみ(正側又は負側のみ)であるため、ヒストグラムの分布は周波数の正側又は負側に偏っている。なお、状態Aでは、ヒストグラムが周波数の正側又は負側に偏っているため、正側に偏っている場合のヒストグラムと、負側に偏っている場合のヒストグラムを図示した。
図3(b)は、状態Bのトレース波形データに基づいて作成されたヒストグラムである。状態Bでは、血流の方向が両方(正側と負側)にあるため、ヒストグラムの分布は周波数の正側及び負側に跨っている。なお、状態Bでは、ヒストグラムが周波数の正側又は負側に偏っているため、正側に偏っている場合のヒストグラムと、負側に偏っている場合のヒストグラムを図示した。
図3(c)は、状態Cのトレース波形データに基づいて作成されたヒストグラムである。状態Cでは、血流速度が大きすぎて折り返しが発生しており、ヒストグラムの分布は周波数の正側又は負側に偏っている。なお、状態Cでは、ヒストグラムが周波数の正側又は負側に偏っているため、正側に偏っている場合のヒストグラムと、負側に偏っている場合のヒストグラムを図示した。
図3(d)は、状態Dのトレース波形に基づいて作成されたヒストグラムである。状態Dでは、信号が欠落しているため、ヒストグラムの分布の幅は狭くなっている。
図3(a)〜(d)中、下限値LLはヒストグラムの所定範囲内における周波数の下限値であり、上限値ULはその所定範囲内における周波数の上限値であり、値MLはヒストグラムにおける頻度が最も高くなる周波数である。下限値LL、上限値UL、及び値MLは、頻度の所定の閾値における周波数となっている。なお、周波数の下限値LLが、この発明における「速度の最小値」に相当し、上限値ULが、この発明における「速度の最大値」に相当する。
状態判別部92は、ヒストグラム作成部91から出力されるヒストグラムを受けると、そのヒストグラムから下限値LL及び上限値ULを求め、下限値LL及び上限値ULに基づいて、そのヒストグラムが状態A〜Dのうちどの状態を表しているかを判別する。つまり、状態判別部92は、ヒストグラムから求められた下限値LL及び上限値ULに基づいて血流(運動流体)の状態を判別し、状態を示す情報をレンジ決定部93に出力する。レンジ決定部93は、状態判別部92から出力された状態を示す情報を受けると、その状態に応じた条件に従ってドプラ速度レンジ(PRF)を決定する。なお、状態判別部92が、この発明の「状態判別手段」に相当し、レンジ決定部93が、この発明の「レンジ決定手段」に相当する。
ここで、状態判別部92による状態判別のアルゴリズムと、レンジ決定部93によるドプラ速度レンジ決定のアルゴリズムについて図4を参照して説明する。図4は、状態判別とドプラ速度レンジ決定のアルゴリズムを説明するためのフローチャートである。
(ステップS10)
まず、ステップS10では、状態判別部92は、ヒストグラム作成部91から出力されたヒストグラムの所定範囲内における周波数の下限値LL及び上限値ULを求める。このとき、状態判別部92は、予め設定されて条件記憶部10に記憶されている頻度の閾値を基準として、周波数の下限値LL及び上限値ULを求める。
まず、ステップS10では、状態判別部92は、ヒストグラム作成部91から出力されたヒストグラムの所定範囲内における周波数の下限値LL及び上限値ULを求める。このとき、状態判別部92は、予め設定されて条件記憶部10に記憶されている頻度の閾値を基準として、周波数の下限値LL及び上限値ULを求める。
(ステップS11)
次に、ステップS11では、状態判別部92は下限値LLと上限値ULとの差を求め、さらにその差の絶対値(|UL−LL|)を求める。
次に、ステップS11では、状態判別部92は下限値LLと上限値ULとの差を求め、さらにその差の絶対値(|UL−LL|)を求める。
(ステップS12、S13)
そして、ステップS12では、状態判別部92は、絶対値(|UL−LL|)と予め設定された閾値A(この発明の第1の閾値)とを比較し、絶対値(|UL−LL|)が閾値A以下であれば(ステップS12、No)、ヒストグラムは状態Dを表していると判断する(ステップS13)。そして、状態判別部92は、状態Dを示す情報をレンジ決定部93に出力する。状態Dと判別されたということは、そのヒストグラムはノイズなどや信号欠落などを表していることになる。なお、閾値Aは、ノイズなどを判別するための値を表していることになる。この閾値Aは条件記憶部10に予め記憶されており、状態判別部92は条件記憶部10から閾値Aを読み込んで絶対値(|UL−LL|)と比較し、ヒストグラムが状態Dを表しているか否かの判断を行う。
そして、ステップS12では、状態判別部92は、絶対値(|UL−LL|)と予め設定された閾値A(この発明の第1の閾値)とを比較し、絶対値(|UL−LL|)が閾値A以下であれば(ステップS12、No)、ヒストグラムは状態Dを表していると判断する(ステップS13)。そして、状態判別部92は、状態Dを示す情報をレンジ決定部93に出力する。状態Dと判別されたということは、そのヒストグラムはノイズなどや信号欠落などを表していることになる。なお、閾値Aは、ノイズなどを判別するための値を表していることになる。この閾値Aは条件記憶部10に予め記憶されており、状態判別部92は条件記憶部10から閾値Aを読み込んで絶対値(|UL−LL|)と比較し、ヒストグラムが状態Dを表しているか否かの判断を行う。
(ステップS14)
レンジ決定部93は、状態判別部92から状態Dを示す情報を受けると、その状態Dに対して設定すべきドプラ速度レンジ(PRF)を求める。血流の状態が状態Dの場合、レンジ決定部93は、以下の式(1)に従って次のドプラ速度レンジy(n+1)を求める。
式(1)
y(n+1)=C(初期値)
レンジ決定部93は、状態判別部92から状態Dを示す情報を受けると、その状態Dに対して設定すべきドプラ速度レンジ(PRF)を求める。血流の状態が状態Dの場合、レンジ決定部93は、以下の式(1)に従って次のドプラ速度レンジy(n+1)を求める。
式(1)
y(n+1)=C(初期値)
状態D、式(1)、及び初期値Cを関連付けて条件記憶部10に予め記憶しておき、レンジ決定部93は状態判別部92から状態Dを示す情報を受けると、状態Dに対応する式(1)と初期値Cを読み込んで次のドプラ速度レンジy(n+1)を求める。
状態Dは、ノイズや信号欠落などの状態を表しているため、初期値Cの値を小さく設定しておく。これにより、次のドプラ速度レンジy(n+1)は小さくなるため、ノイズなどの信号に応じたレンジとなる。なお、初期値Cが、この発明の「第1の所定値」に相当する。
(ステップS15、S16)
また、ステップS12において、状態判別部92が、絶対値(|UL−LL|)が閾値Aより大きい値であると判断した場合(ステップS12、Yes)、次に、状態判別部92は、|UL|又は|LL|と、予め設定された閾値B(この発明の「第2の閾値」)とを比較し、|UL|が閾値Bよりも大きい値、又は、|LL|が閾値Bよりも大きい値であれば(ステップS15、Yes)、ヒストグラムは状態Cを表していると判断する(ステップS16)。そして、状態判別部92は、状態Cを示す情報をレンジ決定部93に出力する。状態Cと判別されたということは、そのヒストグラムは折り返しを表していることになる。このようにエイリアシング現象(折り返り)を判別するために、閾値Bをナイキスト周波数(PRFの半分)とする。これにより、|UL|又は|LL|と閾値Bとを比較することで、エイリアシング現象(折り返り)が発生しているか否かを判断できる。この閾値Bは条件記憶部10に予め記憶されており、状態判別部92は閾値Bを条件記憶部10から読み込んで|UL|又は|LL|と比較する。
また、ステップS12において、状態判別部92が、絶対値(|UL−LL|)が閾値Aより大きい値であると判断した場合(ステップS12、Yes)、次に、状態判別部92は、|UL|又は|LL|と、予め設定された閾値B(この発明の「第2の閾値」)とを比較し、|UL|が閾値Bよりも大きい値、又は、|LL|が閾値Bよりも大きい値であれば(ステップS15、Yes)、ヒストグラムは状態Cを表していると判断する(ステップS16)。そして、状態判別部92は、状態Cを示す情報をレンジ決定部93に出力する。状態Cと判別されたということは、そのヒストグラムは折り返しを表していることになる。このようにエイリアシング現象(折り返り)を判別するために、閾値Bをナイキスト周波数(PRFの半分)とする。これにより、|UL|又は|LL|と閾値Bとを比較することで、エイリアシング現象(折り返り)が発生しているか否かを判断できる。この閾値Bは条件記憶部10に予め記憶されており、状態判別部92は閾値Bを条件記憶部10から読み込んで|UL|又は|LL|と比較する。
(ステップS17)
レンジ決定部93は、状態判別部92から状態Cを示す情報を受けると、その状態Cに対して設定すべきドプラ速度レンジ(PRF)を求める。血流の状態が状態Cの場合、レンジ決定部93は、以下の式(2)に従って次のドプラ速度レンジy(n+1)を求める。
式(2)
y(n+1)=D×y(n)
ここで、Dは一定の値であり、y(n)は現行のドプラ速度レンジを表している。なお、値Dが、この発明の「第2の所定値」に相当する。
つまり、折り返しが発生しているため、ドプラ速度レンジを大きくしてドプラ波形がレンジ内に納まるように、レンジ決定部93は、次のドプラ速度レンジy(n+1)を現行のドプラ速度レンジy(n)の数倍に設定する。例えば、値Dを「2」とすることで、次のドプラ速度レンジy(n+1)は現行のドプラ速度レンジy(n)の2倍になる。
レンジ決定部93は、状態判別部92から状態Cを示す情報を受けると、その状態Cに対して設定すべきドプラ速度レンジ(PRF)を求める。血流の状態が状態Cの場合、レンジ決定部93は、以下の式(2)に従って次のドプラ速度レンジy(n+1)を求める。
式(2)
y(n+1)=D×y(n)
ここで、Dは一定の値であり、y(n)は現行のドプラ速度レンジを表している。なお、値Dが、この発明の「第2の所定値」に相当する。
つまり、折り返しが発生しているため、ドプラ速度レンジを大きくしてドプラ波形がレンジ内に納まるように、レンジ決定部93は、次のドプラ速度レンジy(n+1)を現行のドプラ速度レンジy(n)の数倍に設定する。例えば、値Dを「2」とすることで、次のドプラ速度レンジy(n+1)は現行のドプラ速度レンジy(n)の2倍になる。
状態C、式(2)、及び値Dを関連付けて条件記憶部10に予め記憶しておき、レンジ決定部93は状態判別部92から状態Cを示す情報を受けると、状態Cに対応する式(2)と値Dとを読み込んで次のドプラ速度レンジy(n+1)を決定する。
(ステップS18、S19)
また、ステップS15において、状態判別部92が、|UL|が閾値B以下、及び、|LL|が閾値B以下であると判断した場合(ステップS15、No)、次に、状態判別部92は、|UL|の符号と|LL|の符号が一致するか否かを判断し(ステップS18)、符号が一致しない場合は(ステップS18、No)、ヒストグラムは状態Bであると判断する(ステップS19)。そして、状態判別部92は、状態Bを示す情報をレンジ決定部93に出力する。状態Bと判別されたということは、そのヒストグラムは両極性のドプラ波形を表していることになる。
また、ステップS15において、状態判別部92が、|UL|が閾値B以下、及び、|LL|が閾値B以下であると判断した場合(ステップS15、No)、次に、状態判別部92は、|UL|の符号と|LL|の符号が一致するか否かを判断し(ステップS18)、符号が一致しない場合は(ステップS18、No)、ヒストグラムは状態Bであると判断する(ステップS19)。そして、状態判別部92は、状態Bを示す情報をレンジ決定部93に出力する。状態Bと判別されたということは、そのヒストグラムは両極性のドプラ波形を表していることになる。
(ステップS20)
レンジ決定部93は、状態判別部92から状態Bを示す情報を受けると、その状態Bに対して設定すべきドプラ速度レンジ(PRF)を求める。血流の状態が状態Bの場合、レンジ決定部93は、以下の式(3)に従って次のドプラ速度レンジy(n+1)を求める。
式(3)
y(n+1)=E×(|UL−LL|)
ここで、Eは一定の値である。この値Eが、この発明の「第3の所定値」に相当する。
レンジ決定部93は、状態判別部92から状態Bを示す情報を受けると、その状態Bに対して設定すべきドプラ速度レンジ(PRF)を求める。血流の状態が状態Bの場合、レンジ決定部93は、以下の式(3)に従って次のドプラ速度レンジy(n+1)を求める。
式(3)
y(n+1)=E×(|UL−LL|)
ここで、Eは一定の値である。この値Eが、この発明の「第3の所定値」に相当する。
状態B、式(3)、及び値Eを関連付けて条件記憶部10に予め記憶しておき、レンジ決定部93は状態判別部92から状態Bを示す情報を受けると、状態Bに対応する式(3)と値Eとを読み込んで次のドプラ速度レンジy(n+1)を決定する。例えば、値Eを「1.2」とすることで、次のドプラ速度レンジy(n+1)は、|UL−LL|の1.2倍になる。
(ステップS21)
また、ステップS18において、状態判別部92が、|UL|の符号と|LL|の符号とが一致すると判断した場合(ステップS18、Yes)、ヒストグラムは状態Aであると判断する(ステップS21)。
また、ステップS18において、状態判別部92が、|UL|の符号と|LL|の符号とが一致すると判断した場合(ステップS18、Yes)、ヒストグラムは状態Aであると判断する(ステップS21)。
(ステップS22)
レンジ決定部93は、状態判別部92から状態Aを示す情報を受けると、その状態Aに対して設定すべきドプラ速度レンジ(PRF)を求める。血流の状態が状態Aの場合、レンジ決定部93は、以下の式(4)に従って次のドプラ速度レンジy(n+1)を求める。
式(4)
y(n+1)=F×max(|UL−LL|、|UL|、|LL|)
ここで、Fは一定の値である。なお、この値Fが、この発明の「第4の所定値」に相当する。
レンジ決定部93は、状態判別部92から状態Aを示す情報を受けると、その状態Aに対して設定すべきドプラ速度レンジ(PRF)を求める。血流の状態が状態Aの場合、レンジ決定部93は、以下の式(4)に従って次のドプラ速度レンジy(n+1)を求める。
式(4)
y(n+1)=F×max(|UL−LL|、|UL|、|LL|)
ここで、Fは一定の値である。なお、この値Fが、この発明の「第4の所定値」に相当する。
状態A、式(4)、及び値Fを関連付けて条件記憶部10に予め記憶しておき、レンジ処理部93は状態判別部92から状態Aを示す情報を受けると、状態Aに対応する式(4)と値Fとを読み込んで次のレンジy(n+1)を決定する。
また、表示部8の画面において、表示領域の縦方向のα%以内にドプラ波形を表示させる場合は、F=100/αとして次のドプラ速度レンジy(n+1)を求めても良い。この場合、図示しないユーザインターフェイスによって操作者がαを入力すると、レンジ決定部93はそのαを受けてF=100/αとし、上記式(4)に従ってドプラ速度レンジy(n+1)を求める。例えば、操作者によってα=70%が入力されると、レンジ決定部93は、F=100/70とし、上記式(4)に従って次のドプラ速度レンジy(n+1)を求める。この場合、次のドプラ速度レンジは、y(n+1)=100/70×max(|UL−LL|、|UL|、|LL|)となる。
以上のように、状態判別部92が下限値LLと上限値ULに基づいて血流の状態を判別し、レンジ決定部93がその血流状態に応じた条件(式)に従って、次のドプラ速度レンジy(n+1)を求める。
状態A〜Dと、条件(式)との関係をまとめると、血流状態が状態Dの場合は、式(1)に従って次のドプラ速度レンジy(n+1)を決定し、血流状態が状態Cの場合は、式(2)に従って次のドプラ速度レンジy(n+1)を決定し、血流状態が状態Bの場合は、式(3)に従って次のドプラ速度レンジy(n+1)を決定し、血流状態が状態Aの場合は、式(4)に従って次のドプラ速度レンジy(n+1)を決定する。このように、血流状態によって条件(式)を変えて次のドプラ速度レンジy(n+1)を決定することで、血流の状態偏移に追従してドプラ速度レンジを変えることが可能となる。
また、レンジ処理部93はBLSを算出する。BLSは、特許文献1に記載の方法と同様の方法により求められる。レンジ処理部93は、現行のベースラインより上側の最大速度レンジ及び下側の最小速度レンジを求め、最大速度レンジと最小速度レンジとの比較を行い、ベースラインのシフト量を求める。例えば、最大速度レンジと最小速度レンジとの平均値を画面中央に据えるとして、その平均値とベースラインBL=0との距離を求めることでシフト量を求める。
以上のようにドプラ速度レンジ(PRF)と速度オフセット(BLS)が決定されると、レンジ処理部93はドプラ速度レンジ(PRF)を送受信部3に出力し、速度オフセット(BLS)をドプラ処理部5のFFT演算部54に出力する。
送受信部3はレンジ決定部93からドプラ速度レンジ(PRF)を受けると、そのドプラ速度レンジ(PRF)に従って超音波プローブ2に超音波を送受信させる。また、FFT演算部54はレンジ処理部93から速度オフセット(BLS)を受けると、そのシフト量だけFFT処理の読み出しアドレスを変化させて速度のオフセットを調整する。
また、超音波診断装置1には図示しないユーザインターフェイスが備えられている。このユーザインターフェイスには、操作パネルやTCS(Touch Command Screen)などが含まれる。超音波診断装置1を作動させる上で必要な指示、例えばレンジゲートの指定などは、このユーザインターフェイスによって操作可能となっている。また、上述したαの値は、このユーザインターフェイスによって入力可能となっている。
なお、この実施形態において、オートレンジ/オートBLS処理部9はハードウェアで構成されていても良く、ソフトウェアとして構成されていても良い。例えば、オートレンジ/オートBLS処理部9をCPUで構成し、記憶部(図示しない)からプログラムを読み込んでそのプログラムを実行することで、ヒストグラム作成部91、状態判別部92、及びレンジ決定部93の機能を実行するようにしても良い。
(動作)
次に、この発明の第1の実施形態に係る超音波診断装置による一連の動作について図5を参照して説明する。図5は、この発明の第1の実施形態に係る超音波診断装置による一連の動作を示すフローチャートである。
次に、この発明の第1の実施形態に係る超音波診断装置による一連の動作について図5を参照して説明する。図5は、この発明の第1の実施形態に係る超音波診断装置による一連の動作を示すフローチャートである。
(ステップS01)
まず、被検体に対して超音波を送信し、被検体からの反射波に基づいてBモード断層像とドプラスペクトラム画像とを生成する。FFT演算部54にて生成されたドプラ波形データは、FFT演算部54からDSC6を経て表示部8に出力され、Bモード断層像とともに表示部8に表示される。さらに、ドプラ波形データは、FFT演算部54からオートトレース部7に出力される。
まず、被検体に対して超音波を送信し、被検体からの反射波に基づいてBモード断層像とドプラスペクトラム画像とを生成する。FFT演算部54にて生成されたドプラ波形データは、FFT演算部54からDSC6を経て表示部8に出力され、Bモード断層像とともに表示部8に表示される。さらに、ドプラ波形データは、FFT演算部54からオートトレース部7に出力される。
(ステップS02)
ステップS01にてドプラ波形が取得されると、オートトレース部7は、ドプラスペクトラム画像の辺縁部(最大速度Vp)を時間方向にトレースし、最大速度Vpのトレース波形を検出する。そして、オートトレース部7は、そのトレース波形データをヒストグラム作成部91に出力する。
ステップS01にてドプラ波形が取得されると、オートトレース部7は、ドプラスペクトラム画像の辺縁部(最大速度Vp)を時間方向にトレースし、最大速度Vpのトレース波形を検出する。そして、オートトレース部7は、そのトレース波形データをヒストグラム作成部91に出力する。
(ステップS03)
ステップS03では、ヒストグラム作成部91が、最大速度Vpのトレース波形データに基づいて各速度の頻度を求め、速度の頻度分布を表すヒストグラムを作成する。このとき、ヒストグラム作成部91は、所定の観察時間(例えば1.25秒)の間における各速度の頻度を求めてヒストグラムを作成する。そして、ヒストグラム作成部91は、そのヒストグラムを状態判別部92に出力する。
ステップS03では、ヒストグラム作成部91が、最大速度Vpのトレース波形データに基づいて各速度の頻度を求め、速度の頻度分布を表すヒストグラムを作成する。このとき、ヒストグラム作成部91は、所定の観察時間(例えば1.25秒)の間における各速度の頻度を求めてヒストグラムを作成する。そして、ヒストグラム作成部91は、そのヒストグラムを状態判別部92に出力する。
(ステップS04)
ステップS04では、状態判別部92がヒストグラムに基づいて血流の状態を判別し、レンジ決定部93が血流の状態に応じたドプラ速度レンジ(PRF)を求める。状態判別部92及びレンジ決定部93は、図4のフローチャートを参照して説明したように、ステップS10〜ステップS22を実行することで、状態判別部92がヒストグラムに基づいて血流状態を判別し、レンジ決定部93が、その血流状態に応じて条件(式)を変えて、血流状態に応じたドプラ速度レンジ(PRF)を求める。
ステップS04では、状態判別部92がヒストグラムに基づいて血流の状態を判別し、レンジ決定部93が血流の状態に応じたドプラ速度レンジ(PRF)を求める。状態判別部92及びレンジ決定部93は、図4のフローチャートを参照して説明したように、ステップS10〜ステップS22を実行することで、状態判別部92がヒストグラムに基づいて血流状態を判別し、レンジ決定部93が、その血流状態に応じて条件(式)を変えて、血流状態に応じたドプラ速度レンジ(PRF)を求める。
(ステップS05)
ステップS04でドプラ速度レンジ(PRF)が求められると、レンジ決定部93はBLSを求める。レンジ決定部93は、現行のベースラインより上側の最大速度レンジ及び下側の最小速度レンジを求め、最大速度レンジと最小速度レンジとの比較を行い、ベースラインのシフト量を求める。例えば、最大速度レンジと最小速度レンジとの平均値を画面中央に据えるとして、その平均値とベースラインBL=0との距離を求めることでシフト量を求める。
ステップS04でドプラ速度レンジ(PRF)が求められると、レンジ決定部93はBLSを求める。レンジ決定部93は、現行のベースラインより上側の最大速度レンジ及び下側の最小速度レンジを求め、最大速度レンジと最小速度レンジとの比較を行い、ベースラインのシフト量を求める。例えば、最大速度レンジと最小速度レンジとの平均値を画面中央に据えるとして、その平均値とベースラインBL=0との距離を求めることでシフト量を求める。
(ステップS06)
以上のようにドプラ速度レンジ(PRF)と速度オフセット(BLS)が決定されると、レンジ決定部93は、そのドプラ速度レンジに対応するPRFを送受信部3に出力し、速度オフセット(BLS)をドプラ処理部5内のFFT演算部54に出力する。送受信部3は、レンジ決定部93によって求められたドプラ速度レンジ(PRF)に従って超音波プローブ2に超音波を送受信させる。また、FFT演算部54は、レンジ決定部93によって求められた速度オフセット(BLS)に従い、そのシフト量だけFFT処理の読み出しアドレスを変化させて速度のオフセットを調整する。これにより、ドプラ速度レンジ(PRF)と速度オフセット(BLS)が更新されることになる。
以上のようにドプラ速度レンジ(PRF)と速度オフセット(BLS)が決定されると、レンジ決定部93は、そのドプラ速度レンジに対応するPRFを送受信部3に出力し、速度オフセット(BLS)をドプラ処理部5内のFFT演算部54に出力する。送受信部3は、レンジ決定部93によって求められたドプラ速度レンジ(PRF)に従って超音波プローブ2に超音波を送受信させる。また、FFT演算部54は、レンジ決定部93によって求められた速度オフセット(BLS)に従い、そのシフト量だけFFT処理の読み出しアドレスを変化させて速度のオフセットを調整する。これにより、ドプラ速度レンジ(PRF)と速度オフセット(BLS)が更新されることになる。
以上のように、この実施形態に係る超音波診断装置1によると、スキャンによって取得されたドプラスペクトラム画像に基づいて各速度の頻度分布を表すヒストグラムを作成し、そのヒストグラムに基づいて血流の状態を判別することができる。そして、その血流状態に応じた条件(式)に従って次のドプラ速度レンジと速度オフセットを求めることで、血流の状態偏移に追従してドプラ速度レンジなどを変えることが可能となる。
次に、超音波診断装置1による動作確認と性能評価を目的としたシミュレーションを実行した。このシミュレーションについて図6から図9を参照して説明する。図6は、血流の状態偏移を説明する模式図である。図7は、状態判別のシミュレーション結果である。図8は、この発明の第1の実施形態に係る手法により得られたシミュレーション結果である。図9は、従来技術に係る手法により得られたシミュレーション結果である。
超音波診断装置1には、東芝メディカルシステムズ社製のSSA−770Aを用い、超音波プローブ2には、PLT−604AT(6.0MHzリニア型)とPST−25AT(2.5MHzセクタ型)を用いた。そして、PRFを4.5〜6.0[kHz]としてPWモードでドプラ波形を収集した。また、信号処理シミュレーションにはMathWorks社製のMATLAB(V6.0R13)を用いた。そして、頸動脈と肺静脈のトレース波形データを5〜10秒間サンプリングし、図6に示す16種類の状態偏移が得られるように不連続に繋ぎ合わせた。例えば図6に示すように、状態Cから開始して、(1)状態Aに遷移、(2)状態Aの維持、(3)状態Dに遷移、(4)状態Dの維持、(5)状態Aに遷移、・・・の状態遷移をシミュレートした。
図7(a)に、最大速度Vpのオートトレース波形を示す。このオートトレース波形は、320[Hz]でサンプリングした際のオートトレース波形を繋ぎ合わせ、カットオフ周波数20[Hz]のLPFで処理した後、40[Hz]でリサンプルした波形である。縦軸が速度、横軸が時間であり、85秒間で16通りの状態遷移の波形を作成した。
ヒストグラム作成部91によるヒストグラム計算の観測時間を1.25秒とし、オートレンジ/オートBLS処理部9による処理をシミュレーションした。
図7(b)に、図7(a)に示すオートトレース波形の状態A、B、C、Dを示す。縦軸が状態、横軸が時間である。図7(c)に、オートレンジ/オートBLS処理部9による状態判別の結果を示す。縦軸が状態、横軸が時間である。実線が期待値を表し、破線がシミュレーション結果を表している。
図7(b)に示すように、例えば、45〜50秒の状態は状態C(PRFの初期値に対して折り返しが発生している状態)であるが、フィードバック制御によって状態Aに遷移するのが適切である。この実施形態では、図7(c)に示すように、45秒付近で状態Cから状態Aに遷移しているため、状態判別部92は血流の状態を適切に判断していることが分かる。
なお、図7(c)に示すように、2秒付近、62秒付近に判別エラーが発生しているため、このシミュレーションでは、データ全体で97%(65/67)の確率で状態の判別が可能となった。
次に、この実施形態に係るオートレンジ/オートBLS処理部9による処理の結果と、従来技術に係る手法により得られた結果とを比較する。この比較を図8及び図9に示す。
図8(a)及び図9(a)に、速度のオートトレース波形のヒストグラムの時間変化と、上限値UL、値ML、下限値LLの時間変化を示す。横軸は時間、縦軸はPRF(サンプリング周波数fsに相当)で正規化した周波数である。図8(a)には、この実施形態に係るヒストグラム作成部91により作成されたヒストグラムの時間変化を示し、図9(a)には、従来技術に係る手法により作成されたヒストグラムの時間変化を示す。
また、図8(b)及び図9(b)に、PRFの時間変化を示す。横軸は時間、縦軸は周波数である。図8(b)に示すPRFは、図8(a)のヒストグラムを基にして状態判別部92及びレンジ決定部93により得られたPRFである。つまり、図4に示すステップS01〜S22の処理を実行することで得られたPRFである。
また、図9(b)に示すPRFは、図9(a)に示すヒストグラムを基にして従来技術に係る手法により得られたPRFである。なお、従来技術に係る手法では、血流の状態を判別せずに、次のドプラ速度レンジy(n+1)を、y(n+1)=100/α×max(|UL|、|LL|、|UL−LL|)の式に基づいて決定している。つまり、従来技術に係る手法では、血流の状態遷移を考慮せずに、一定の式に従って次のドプラ速度レンジを決定していることになる。なお、αは操作者によって指定される値であり、例えばα=70が用いられる。
また、図8(c)及び図9(c)に、BLSの時間変化を示す。横軸は時間、縦軸は速度レンジを16等分した±8ステップのBLSである。図8(c)に示すBLSは、この実施形態に係るレンジ決定部93により得られたBLSである。図9(c)に示すBLSは、従来技術に係る手法により得られたBLSである。
図8(d)及び図9(d)に、速度のオートトレース波形と、PRF及びBLSに対応したドプラ速度レンジの上限(実線)及び下線(破線)を示す。横軸は時間、縦軸は速度である。図8(d)に示すオートトレース波形と速度レンジは、この実施形態に係るオートレンジ/オートBLS処理部9によって求められたオートトレース波形とドプラ速度レンジである。図9(d)に示すオートトレース波形とドプラ速度レンジは、従来技術に係る手法により得られたオートトレース波形とドプラ速度レンジである。
図8(d)に示すように、この実施形態においては、速度のトレース波形の変動に応じてドプラ速度レンジとオフセットが逐次適切に変化していることが分かる。
また、図8及び図9を比べると、この実施形態に係る超音波診断装置1によれば、ドプラ速度レンジ(PRF)及び速度オフセット(BLS)の不要な変動が少なく、ヒストグラムの変動も少ないことが分かる。特に、26秒付近の状態Dから状態Aへの遷移では、従来技術に係る方式では、変化直後に負側の速度レンジが急拡大して安定するまで時間を要しているが、この実施形態に係る方式では、安定している。
また、54〜61秒付近の状態C、状態B、状態Cへの遷移では、両方式ともに追従しているが、この実施形態に係る超音波診断装置1の方が、ドプラ速度レンジの精度や応答性能が良いことが分かる。また、70〜76秒付近の状態D、状態B、状態Dへの遷移では、従来技術に係る方式の方が状態Dにおいてドプラ速度レンジが下限値まで下がるため、追従性が良いように見えるが、状態Bにおけるドプラ速度レンジの追従性や応答性はこの実施形態に係る超音波診断装置1の方が良いことが分かる。
以上のように、この実施形態に係る超音波診断装置1によると、取得されたドプラスペクトラム画像に基づいて血流(運動流体)の状態を判別し、その状態に応じた条件(式1〜式4)に従ってPRFとBLSを決定することにより、血流の状態変化に応じてドプラ速度レンジとオフセットを変えることが可能となる。これにより、ドプラ波形の変化(血流の状態変化)に追従してドプラ速度レンジ(PRF)とオフセット(BLS)を変えてドプラ波形を表示することが可能となる。
つまり、従来技術に係る手法では、血流の状態遷移を考慮せずに、一定の式に従ってドプラ速度レンジを決定したため、血流の状態偏移に起因するドプラ波形の変化に追従してドプラ速度レンジを変えることができなかった。それに対して、この実施形態に係る超音波診断装置1によると、ドプラスペクトラム画像に基づいて血流の状態を判別し、その血流状態に応じて、ドプラ速度レンジを求める条件(式)を変えてドプラ速度レンジを求めているため、血流の状態偏移に起因するドプラ波形の変化に追従してドプラ速度レンジを変えることが可能となる。
(変形例)
次に、第1の実施形態に係る超音波診断装置1の変形例について説明する。この変形例では、ドプラ波形の折り返しが多重になる場合について説明する。例えば、図4に示すステップS15及びS16にて血流の状態が状態Cであると判断された場合、ドプラ波形に折り返しが発生していることになる。この場合、ヒストグラム作成部91は、ヒストグラムを作成するための観察時間を短くして再度、各速度の頻度を求め、速度の頻度分布を表すヒストグラムを作成する。
次に、第1の実施形態に係る超音波診断装置1の変形例について説明する。この変形例では、ドプラ波形の折り返しが多重になる場合について説明する。例えば、図4に示すステップS15及びS16にて血流の状態が状態Cであると判断された場合、ドプラ波形に折り返しが発生していることになる。この場合、ヒストグラム作成部91は、ヒストグラムを作成するための観察時間を短くして再度、各速度の頻度を求め、速度の頻度分布を表すヒストグラムを作成する。
例えば2回の折り返しがある場合は、ヒストグラム作成部91は、観察時間を半分にして速度の頻度分布を表すヒストグラムを作成する。観察時間を1.25秒にしてヒストグラムを作成していた場合は、その観察時間の約半分である0.65秒にして再度、ヒストグラムを作成する。そして、多重折り返しの多重の回数を求め、その回数に応じた値を値Dとし、上記式(2)に従って次のドプラ速度レンジy(n+1)を求める。これにより、折り返しがないドプラ波形を表示部8に表示することが可能となる。
[第2の実施の形態]
次に、この発明の第2の実施形態に係る超音波診断装置について図10を参照して説明する。図10はこの発明の第2の実施形態に係る超音波診断装置の概略的な構成を示すブロック図である。第2の実施形態に係る超音波診断装置1Aは、上述した第1の実施形態に係る超音波診断装置1が備えている状態判別部92の代わりに、別の機能を有する状態判別部94を備えている。
次に、この発明の第2の実施形態に係る超音波診断装置について図10を参照して説明する。図10はこの発明の第2の実施形態に係る超音波診断装置の概略的な構成を示すブロック図である。第2の実施形態に係る超音波診断装置1Aは、上述した第1の実施形態に係る超音波診断装置1が備えている状態判別部92の代わりに、別の機能を有する状態判別部94を備えている。
この第2の実施形態に係る超音波診断装置1Aは、ドプラスペクトラム画像の辺縁部をトレースすることで辺縁部のトレース波形(最大速度Vpのトレース波形)を求め、そのトレース波形を基にして速度の頻度分布を表すヒストグラムを求め、そのヒストグラムを特定の分布モデルに近似し、近似した分布モデルの平均値や分散などの特徴量に基づいて血流の状態を判別する。例えば、速度の頻度分布を表すヒストグラムをガウス分布などの分布モデルで近似する。
この第2の実施形態では、状態判別部94が、ヒストグラム作成部91から出力されたヒストグラムを特定の分布モデルに近似し、その分布モデルの平均値や分散やなどの特徴量を求め、その特徴量に基づいて血流の状態を判別する。
例えば、血流の状態と特徴量(平均値や分散など)とを関連付けたテーブルを予め作成しておき、そのテーブルを条件記憶部10に予め記憶しておく。そして、状態判別部94は、近似した分布モデルから特徴量を得ると、条件記憶部10に記憶されているテーブルを参照することで、その特徴量に対応する状態を示す情報を得る。状態判別部94は、その状態を示す情報をレンジ決定部93に出力する。レンジ決定部93は、ヒストグラムからLLとULを求め、上記式(1)〜(4)のいずれかの式のうち、状態判別部94によって判別された状態に対応する式に従って、次のドプラ速度レンジy(n+1)を求める。さらにレンジ決定部93は第1の実施形態と同様にBLSを求める。そして、レンジ決定部93は、ドプラ速度レンジ(PRF)を送受信部3に出力し、速度オフセット(BLS)をドプラ処理部5内のFFT演算部54に出力する。
以上のように、速度の頻度分布を表すヒストグラムを特定の分布モデルに近似し、その分布モデルから得られた特徴量に基づいても血流の状態を判別することができる。そして、その血流の状態に応じたドプラ速度レンジ(PRF)と速度オフセット(BLS)を求めることが可能となる。これにより、ドプラ波形の変化(血流の状態遷移)に追従してドプラ速度レンジ(PRF)と速度オフセット(BLS)を変化させることが可能となる。
[第3の実施の形態]
次に、この発明の第3の実施形態に係る超音波診断装置について図11を参照して説明する。図11、はこの発明の第3の実施形態に係る超音波診断装置の概略的な構成を示すブロック図である。第3の実施形態に係る超音波診断装置1Bは、上述した第1の実施形態に係る超音波診断装置1が備えている状態判別部92の代わりに、別の機能を有する状態判別部95を備えている。
次に、この発明の第3の実施形態に係る超音波診断装置について図11を参照して説明する。図11、はこの発明の第3の実施形態に係る超音波診断装置の概略的な構成を示すブロック図である。第3の実施形態に係る超音波診断装置1Bは、上述した第1の実施形態に係る超音波診断装置1が備えている状態判別部92の代わりに、別の機能を有する状態判別部95を備えている。
この第3の実施形態に係る超音波診断装置1Bは、ドプラスペクトラム画像の辺縁部をトレースすることで辺縁部のトレース波形(最大速度Vpのトレース波形)を求め、そのトレース波形そのものの特徴量(例えば、平均値、振幅、周波数成分、S/N比など)を求め、その特徴量に基づいて血流の状態を判別する。
この第3の実施形態では、状態判別部95が、オートトレース部7から出力されたトレース波形データを受けると、そのトレース波形の特徴量(例えば、平均値、振幅、周波数成分、S/N比など)を求め、その特徴量に基づいて血流の状態を判別する。
例えば、血流の状態と特徴量(平均値や振幅など)とを関連付けたテーブルを予め作成しておき、そのテーブルを条件記憶部10に予め記憶しておく。そして、状態判別部95は、トレース波形データから特徴量を得ると、条件記憶部10に記憶されているテーブルを参照することで、その特徴量に対応する状態を示す情報を得る。状態判別部95は、その状態を示す情報をレンジ決定部96に出力する。レンジ決定部96は、例えば、トレース波形データのAC振幅をドプラ速度レンジ(PRF)とし、DCオフセットを速度オフセット(BLS)とする。そして、第1の実施形態と同様に、レンジ決定部96は、ドプラ速度レンジ(PRF)を送受信部3に出力し、速度オフセット(BLS)をドプラ処理部5内のFFT演算部54に出力する。
以上のように、トレース波形そのものの特徴量を求めて、その特徴量に基づいても血流の状態を判別することができる。そして、血流の状態に応じたドプラ速度レンジ(PRF)と速度オフセット(BLS)を求めることが可能となる。これにより、ドプラ波形の変化(血流の状態遷移)に応じてドプラ速度レンジ(PRF)と速度オフセット(BLS)を変化させることが可能となる。
1、1A、1B 超音波診断装置
2 超音波プローブ
3 送受信部
4 Bモード処理部
5 ドプラ処理部
6 DSC
7 オートトレース部
8 表示部
9、9A、9B オートレンジ/オートBLS処理部
10 条件記憶部
51 直交位相検波部
52 レンジゲート処理部
53 ウォール・フィルタ
54 FFT処理部
91 ヒストグラム作成部
92、94、95 状態判別部
93 レンジ決定部
2 超音波プローブ
3 送受信部
4 Bモード処理部
5 ドプラ処理部
6 DSC
7 オートトレース部
8 表示部
9、9A、9B オートレンジ/オートBLS処理部
10 条件記憶部
51 直交位相検波部
52 レンジゲート処理部
53 ウォール・フィルタ
54 FFT処理部
91 ヒストグラム作成部
92、94、95 状態判別部
93 レンジ決定部
Claims (8)
- 被検体内の運動流体を含む診断部位に向けて超音波を送受信する送受信手段と、
前記超音波の送受信によって得られる信号に基づいて、前記運動流体の速度を示すドプラスペクトラム画像を生成するドプラ処理手段と、
前記ドプラスペクトラム画像に基づいて前記運動流体の状態を判別し、前記運動流体の状態に応じた、測定可能な速度を表すドプラ速度レンジを決定するレンジ処理手段と、
を有し、
前記送受信手段は、前記決定されたドプラ速度レンジに従って超音波を送受信することを特徴とする超音波診断装置。 - 前記レンジ処理手段は、
時間変化する前記ドプラスペクトラム画像の辺縁に基づいて、各速度の頻度分布を表すヒストグラムを作成するヒストグラム作成手段と、
前記ヒストグラムが示す速度の頻度に基づいて前記運動流体の状態を判別する状態判別手段と、
前記運動流体の状態に応じた前記ドプラ速度レンジを決定するレンジ決定手段と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。 - 前記状態判別手段は、前記頻度分布の所定範囲における速度の最大値と最小値を求め、さらに前記最大値と前記最小値との差の絶対値を求め、前記差の絶対値が予め設定された第1の閾値より大きいか否かを判断し、
前記差の絶対値が前記第1の閾値以下の場合、前記レンジ決定手段は、予め設定された第1の所定値を前記ドプラ速度レンジとすることを特徴とする請求項2に記載の超音波診断装置。 - 前記差の絶対値が前記第1の閾値より大きい場合、前記状態判別手段は、前記最大値の絶対値又は前記最小値の絶対値のいずれかが、前記第1の閾値より大きい第2の閾値より大きいか否かを判断し、
前記最大値の絶対値又は前記最小値の絶対値のいずれかが前記第2の閾値より大きい場合、前記レンジ決定手段は、前のドプラ速度レンジに予め設定された第2の所定値を乗算することで前記ドプラ速度レンジとすることを特徴とする請求項3に記載の超音波診断装置。 - 前記最大値の絶対値及び前記最小値の絶対値が前記第2の閾値以下の場合、前記状態判別手段は、前記最大値の符号と前記最小値の符号とが一致するか否かを判断し、
一致しない場合は、前記レンジ決定手段は、前記最大値と最小値の差の絶対値に、予め設定された第3の所定値を乗算することで前記ドプラ速度レンジとし、
一致する場合は、前記レンジ決定手段は、前記最大値と前記最小値の差の絶対値、前記最大値の絶対値、又は前記最小値の絶対値のいずれかのうちで最大となる値に、予め設定された第4の所定値を乗算することで前記ドプラ速度レンジとすることを特徴とする請求項4に記載の超音波診断装置。 - 前記レンジ処理手段は、
時間変化する前記ドプラスペクトラム画像の辺縁に基づいて、各速度の頻度分布を表すヒストグラムを作成するヒストグラム作成手段と、
前記ヒストグラムを所定の分布に近似し、その近似した分布の特徴量を求め、その特徴量に基づいて前記運動流体の状態を判別する状態判別手段と、
前記運動流体の状態に応じた前記ドプラ速度レンジを決定するレンジ決定手段と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。 - 前記レンジ処理手段は、
時間変化する前記ドプラスペクトラム画像の辺縁を表すトレース波形を作成するオートトレース手段と、
前記トレース波形の特徴量を求め、その特徴量に基づいて前記運動流体の状態を判別する状態判別手段と、
前記運動流体の状態に応じた前記ドプラ速度レンジを決定するレンジ決定手段と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。 - 前記レンジ処理手段は、前記ドプラ速度レンジを求めるとともに、前記運動流体の状態に応じた速度オフセットを求め、
前記ドプラ処理手段は、前記速度オフセットに従って前記ドプラスペクトラム画像を生成することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の超音波診断装置。
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