JP3746115B2 - 超音波診断装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ドプラ効果により周波数が偏移することを利用して、注目血管に関する血流速度の時間変化をグラフとして提供する超音波診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図11に、この種の超音波診断装置の構成を示している。パルス発生回路121は、送信の繰り返し周期(PFR)を決定するレートパルスを発生する。パルサ103はレートパルスを受けて高周波の電圧パルスを超音波プローブ101に印加する。超音波プローブ101は、この電圧パルスを機械振動に変換して超音波パルスを発生する。超音波パルスの一部は音響インピーダンスの境界で反射し、残りは通過する。超音波パルスはこの反射・通過を繰り返しながら被検体内を伝播していく。スペクトラムドプラで重要なのは、超音波が血球等の移動体で反射したとき、その周波数が偏移すること、この偏移周波数が超音波送信方向の速度成分に応じていることである。すなわち、超音波パルスの中心周波数fc は、流動する血流によって周波数fd だけ偏移する。このため、受信周波数fはf=fc +fd となる。fd は、次の式により数学的に与えられる。なお、Vは血流速度、θは超音波の送信方向と血流が流れる方向との成す角度、Cは生体内の音速(約1530m/sec )である。
d =(2・V・ cosθ/C)・fc
この式から、偏移周波数fd が分かれば、速度成分(V・ cosθ)を求めることができる。
【0003】
音響インピーダンスの境界で反射した反射波は、超音波プローブ101で電気信号に変換される。この信号は、プリアンプ105を介してミキサ107に送られる。ミキサ107とローパスフィルタ109とは信号を直交位相検波し、偏移周波数成分だけのドプラ信号を生成する。
【0004】
ドプラ信号は、レンジゲート回路119に送られ、そこでサンプルボリューム102の深さ及び長さに応じた一部分が切り出される。切り出されたドプラ信号はサンプルホールド回路111でサンプリングされ、バンドパスフィルタ113で心臓壁等の遅い成分が除去され比較的速い血流成分だけが取り出される。高速フーリエ変換器115は、血流成分を周波数解析し、その周波数スペクトルを求める。周波数スペクトルは、図12に示すように、縦軸が周波数、横軸が時間とした領域に分布され、各周波数成分のパワーに応じた輝度でモニタ117にスペクトラムドプラ波形として表示される。
【0005】
上述したように周波数は血流の特定方向の速度成分を反映しており、したがって観察者は、スペクトラムドプラ波形を、サンプルボリューム内の速度分布の時間変化と理解して診断に役立てている。
【0006】
ところで、近年、臨床現場では、スペクトラムドプラ波形の最高速度をトレースすることがしばしば行われている。このトレースにより得られる最高速度の時間変化は、レジスタンス・インデックス等の詳細な診断指標を導き出すことができ、非常に有益である。
【0007】
しかし、この最高速度をトレースするにあたっては、
(1)スペクトラムドプラ波形の各時相で最高速度を算出するための処理が複雑で時間を食うためリアルタイム性が低下してしまうこと、
(2)S/Nを飛躍的に向上するものと期待されている微小気泡群等の超音波造影剤(コントラスト剤)の注入前後で、図13に示すように、最高速度が見掛上著しく増加してしまいその結果、最高速度の時間変化の信頼性が低下してしまい定量的評価ができなくなってしまうこと、
(3)図14に示すように、呼吸動や拍動等の体動により、サンプルボリュームが注目血管からはずれてしまい、これに起因して最高速度の時間変化の信頼性が低下してしまい定量的評価ができなくなってしまこと、
(4)上記算出処理等のための複雑で新規な回路を追加しなければならないこと等の様々な問題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、注目血管の血流の動き以外の要因で時間変化が変動することを軽減し得る超音波診断装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、被検体内の注目血管を含む局所領域を超音波でスキャンすることにより反射信号を収集するスキャン手段と、前記反射信号から血流に関するドプラ信号を抽出する手段と、前記ドプラ信号を自己相関処理により周波数解析して前記局所領域内の複数のサンプル点に対応する複数の平均周波数を求める自己相関手段と、前記複数のサンプル点に対応する複数の平均周波数から特徴的な平均周波数を選択し、前記特徴的な平均周波数の時間変化を生成する時間変化生成手段と、前記自己相関処理によって求められた特徴的な平均周波数の時間変化をグラフとして表示する手段とを具備する。
【0010】
前記時間変化生成手段は、前記複数のサンプル点の中の最も高周波の平均周波数を前記特徴的な平均周波数として取り出す。
前記時間変化生成手段は、前記複数のサンプル点の中の最大パワーを示す平均周波数を前記特徴的な平均周波数として取り出す。
【0011】
前記時間変化生成手段は、前記複数のサンプル点の全てに関する平均周波数の時間変化をパワーに応じた輝度で表示する。
前記時間変化生成手段は、前記時間変化を補間する手段を有する。
【0012】
前記平均周波数は50Hz以上の周期で生成される。
前記スキャン手段は、1回の送信に対して多方向からの反射波を受信する並列多方向同時受信を行う。
【0013】
前記スキャン手段は、前記平均周波数が少なくとも1/50秒以上の周期で生成されるように、超音波送信の繰り返し周波数、前記局所領域内のラスタ本数、前記並列多方向同時受信の同時受信方向数、前記自己相関処理のデータ数の少なくとも1つを調整する。
(作用)
本発明では、従来のように“最高周波数”により注目血管の血流の時間変化を生成するのではなく、“平均周波数”、つまり平均速度により注目血管の血流の時間変化を生成するので、超音波造影剤(コントラスト剤)の反射増強作用によって時間変化が変動することはない。また、局所領域内の複数のサンプル点のうち特徴的な平均周波数を取り出して時間変化を生成しているので、従来のように呼吸動や拍動等の体動によりサンプルボリュームが注目血管からはずれてしまうことに起因する時間変化の変動は軽減される。したがって、注目血管の血流の動き以外の要因で時間変化が変動することが軽減され得る。
【0014】
さらに、本発明では、平均周波数を自己相関処理により求めているので、回路規模の増大を回避できる。つまり、従来のスペクトラムドプラによっても、スペクトラムドプラ波形から平均周波数を演算し、この平均周波数の時間変化を生成することにより、本発明と同様な“平均周波数”の時間変化を求めることはできるのであるが、このための回路規模は、自己相関回路よりも30倍程度の工程数の高速フーリエ変換回路とスペクトラムドプラ波形から平均周波数を演算するための演算回路とが必要になってしまう。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明による超音波診断装置の実施形態を説明する。 図1に第1の実施形態に係る超音波診断装置の構成を示す。装置全体の制御中枢としてのCPU47には、トラックボール49が接続される。なお、詳細は後述するが、本実施形態では、図2に斜線で示した被検体内の比較的広い関心領域(以下、広域ROIと称する)が超音波によりBモードでスキャンされ、また図3に示した被検体内の注目血管を含む比較的狭い関心領域(以下、局所ROIと称する)が超音波によりカラーフローマッピングモードでスキャンされる。トラックボール49を介して局所ROIマーカがモニタ29に表示されているBモード像上に指定されることにより、上記局所ROIが設定される。
【0016】
超音波プローブ11の先端には、複数(n個)の圧電素子の配列構造が装備される。なお、スキャン方式としては、機械式、電子式のいずれでもよいし、またセクタ、リニア、コンベックス等いずれのタイプであってもよい。ここでは電子式セクタスキャンとして説明する。
【0017】
レートパルス発生回路13は、例えば6KHzの周波数(レート周波数PRF)のレートパルスを発生する。このレートパルスは、n個に分配されて送信遅延回路15に供給される。送信遅延回路15は、n個のレートパルスをそれぞれ異なる時間で遅延させる。パルサ17は、n個の圧電素子に高周波(f0 )の電圧パルスを、それぞれ対応するレートパルスを受けたタイミングで印加する。これにより、超音波プローブ11から超音波パルスが発生される。なお、この超音波パルスの中心周波数は、上記電圧パルスの周波数f0 に一致している。
【0018】
超音波プローブ11から被検体に送信された超音波パルスは、その一部が被検体内の音響インピーダンスの境界で反射し、残りが当該境界を通過しながら、被検体内を深く伝播していく。反射波の振幅は、当該境界の前後での音響インピーダンスの差に依存している。
【0019】
また、超音波パルスは、血球等の移動体で反射するとき、周波数偏移を受ける。この偏移周波数fd は、送信方向に関する移動体の速度成分に依存している。詳細は従来技術で説明した通りである。
【0020】
音響インピーダンスの境界で反射した反射波は、超音波プローブ11のn個の圧電素子によりn個の電気信号に変換される。このn個の電気信号は、プリアンプ19で個別に増幅された後、受信遅延加算回路21で送信時とは逆の時間で遅延され、そして1つに加算される。こうして得られた反射信号は、Bモード時には、レシーバ23に送られ、ドプラモード時には、ドプラ演算部31に送られる。
【0021】
ここで、上述したn個の圧電素子それぞれに対応する送信及び受信の遅延時間を少しづつ変えていくことにより、被検体内の関心領域を超音波でスキャンすることができるのは周知の通りである。
【0022】
レシーバ23は、反射信号の包絡線を検波する。この包絡線、つまり反射信号の振幅の深さ方向に関する空間的変化は、当該深さ方向に関する1次元の組織構造を表している。Bモード用メモリ25、ディジタル・スキャン・コンバータ(DSC)27及びモニタ29は、1スキャン分の複数の包絡線信号に基づいて、被検体の関心領域の2次元的な組織構造を表現しているBモード像を濃淡表示する。
【0023】
反射信号が送り込まれるもう一方のドプラ演算部31は、直交位相検波部32、アナログ・ディジタル・コンバータ(ADC)33、バッファ35、クラッタ除去フィルタ37、自己相関演算部39、演算部41とからいわゆるカラーフローマッピング処理系として構成される。直交位相検波部32は、周波数は中心周波数f0 と同じであるが、位相が90°ずれている2種類の参照信号を、反射信号に対して個別に掛け合わせ、そして掛け合わせた信号それぞれから、高周波成分(2×f0 )を除去することにより、つまりいわゆる直交位相検波により、偏移周波数成分だけのドプラ信号を生成する。
【0024】
このドプラ信号は、アナログ・ディジタル・コンバータ33とバッファ35を介して、MTIフィルタとも呼ばれているクラッタ除去フィルタ37に送られる。このクラッタ除去フィルタ37は、局所ROI内の複数のサンプル点について個々に、ドプラ信号から心臓壁等比較的動きの遅い低周波成分を除去し、比較的動きの速い高周波成分だけを抽出する。
【0025】
自己相関演算部39は、クラッタ除去フィルタ37で抽出された高周波成分を自己相関演算処理により周波数分析し、演算部41はこの分析結果に基づいて平均速度(高周波成分の周波数スペクトラムの平均周波数)、分散(高周波成分の周波数スペクトラムの分散)、パワー(高周波成分の振幅の2乗)を演算する。これら周波数分析及び平均速度等の演算は、局所ROI内の複数のサンプル点について個々に行われる。自己相関演算及び平均速度等の演算については周知であるので簡単に説明する。
【0026】
クラッタ除去フィルタ37の出力を、Z(i,Δt)、その複素共役をZ*(i,Δt)で表す。ただし、Δtはレート周期(1/f0 )、iはデータ番号である。自己相関のデータ数をMとしたとき、自己相関関数C(τ) は次の式で与えられる。
Figure 0003746115
演算された自己相関関数C(τ) に基づいて、パワーP、平均周波数f ̄、分散σ2 は、それぞれ次のように求められる。ただし、Im(C(Δt)) はC(Δt)の実部、Re(C(Δt)) は虚部を表している。
P=C(0)
f ̄=(1/2π・Δt)・ tan-1{Im(C(Δt))/Re(C(Δt))}
σ2 =(2/(2π・Δt)2 )・{1−|C(Δt)|/C(0)}
これらパワー、平均速度、分散の各データは、ドプラ用メモリ43を介して血流波形検出部45及びディジタル・スキャン・コンバータ27に送り込まれる。
【0027】
血流波形検出部45は、図4に示すように、補間部51、血管追従演算部43、血流波形演算部55とから構成され、所定のルールにしたがって、局所ROI内の複数のサンプル点毎に求めた平均速度の中から、注目血管に関する平均速度を選択し、これを縦軸を速度、横軸を時間としたスペクトラムドプラと同様の領域に順次分布していくことにより、当該注目血管を流れる血流の平均速度の時間変化をグラフとして生成する。
【0028】
図3に示したように呼吸動や拍動等の体動によって注目血管は局所ROIの範囲内で往復移動をする。換言すると、局所ROIは、注目血管が体動によって往復移動する範囲を最低限含む領域で設定される。したがって注目血管の位置は局所ROI内で刻々と変位する。
【0029】
この変位する注目血管を追従してその平均速度を取り出すために、上記ルールは、(1)局所ROI内で最大パワーを示すサンプル点を注目血管と見なして当該サンプル点の平均速度を選択する、(2)局所ROI内で最高の平均速度を注目血管の血流に関するものと見なして選択する、という2種類の中からオペレータによって選択することができるようになっている。
【0030】
ディジタル・スキャン・コンバータ27及びモニタ29は、血流波形検出部45で生成された注目血管に関する平均速度の時間変化を、図5(a)に示すようにグラフで表示する。
【0031】
また、血流波形検出部45は、局所ROI内の複数のサンプル点毎に求めたパワーの中の最大パワーを、注目血管に関するパワーと見なして選択し、これを縦軸を速度、横軸を時間としたスペクトラムドプラと同様の領域に順次分布していくことにより、当該注目血管を流れる血流のパワーの時間変化をグラフとして生成する。
【0032】
ディジタル・スキャン・コンバータ27及びモニタ29は、血流波形検出部45で生成された注目血管に関するパワーの時間変化を、図5(a)に示すように、注目血管に関する平均速度の時間変化と共にグラフで表示する。
【0033】
また、ディジタル・スキャン・コンバータ27及びモニタ29は、図5(b)に示すように、局所ROI内の全てのサンプル点に関する平均速度の時間変化を一斉表示する。このとき、平均速度の時間変化の輝度をパワーに応じて変化させることにより、スペクトラムドプラ波形を近似的な波形を取得することもできる。
【0034】
このように本実施形態によれば、体動により往復移動する注目血管に追従して、その注目血管に関する平均速度の時間変化を高精度に生成することができ、従来のようなサンプルボリュームが注目血管から体動により外れることに起因するエラーを解消することができる。
【0035】
また、本実施形態では、超音波造影剤の影響を受けて変動するようなことの少ない、“平均速度”の時間変化を生成するようにしたので、血流の動きを忠実に再現して、定量的評価に用いることができえる。なお、従来では、スペクトラムドプラ波形の最高速度をトレースしていたが、図13を参照して説明した通りこの最高速度は超音波造影剤の影響を受けて変動するという性質を有しており、この結果、当該時間変化の信頼性は低いものであった。なお、本実施形態では、血流波形検出部45において、最高速度fMAX を、
MAX =f ̄+K・σ
により簡易的に求め、この最高速度fMAX の時間変化を生成するようにしてもよい。この場合でも、“平均速度”を使っているので、超音波造影剤の影響を受けて変動するようなことはない。
【0036】
さらに本実施形態では、“平均速度”の時間変化を比較的小規模の回路で実現できる。従来でもスペクトラムドプラ波形から平均速度を演算し、この平均速度の時間変化を生成することにより、“平均速度”の時間変化を求めることはできるのであるが、このための回路規模は本実施形態のような自己相関回路を使った場合より著しく増大してしまう。この回路規模の増大を理解するために、FFT処理と当該演算処理とを含めた平均速度を求めるための全工程数と、本実施形態の自己相関処理と選択処理の工程数とを比較すると次のようになる。
【0037】
平均周波数f ̄を求める工程を考えると、本実施形態の自己相関処理では、C(Δt)のみを求めればよいことから、データ数Mとすれば、上述したf ̄を求める式を見ると、M回の乗算とM−1回の加算でよい。一方、FFT処理は、同じM個のデータとすると、
(M・r)/2
の演算回数が必要とされる。ただし、M=2r である。FFTでは、さらに平均周波数を求める次のような処理工程数も必要になる。
【0038】
Figure 0003746115
ただし、Siは周波数成分fiのパワースペクトラムである。
【0039】
ここで、自己相関演算工程数は、FFT演算工程数に対して、r=8、M=256では、
M/((M・r)/2)=1/4
と少ない。
【0040】
さらに、現存の装置を見ると自己相関処理はM´=32で動作しているので、このデータ数を考慮すると、自己相関演算工程数は、FFT演算工程数に対して、
M´/((M・r)/2)=1/32
と著しく少ない。これに、上述したFFTでの平均周波数を求める処理工程数を加味すると、FFTを使った平均速度を求めるための工程数に対して自己相関を使った平均速度を求めるための工程数は、1/40程度になると考えられる。
【0041】
このようにFFTを使って平均速度を求めるよりも、自己相関を採用して平均速度を求める方が工程数を劇的に少なくすることができる。
ここで問題となるのが、従来のスペクトラムドプラではサンプルボリュームを通る一方向だけを対象に送受信すればよかったのに対して、本実施形態では、局所ROI内の複数方向を対象として超音波を送受信するので、時間分解能が低下してしまうことにある。従来のスペクトラムドプラの場合と同等の時間分解能を獲得するのは、少なくとも50Hz、好ましくは100Hzのフレームレートを達成しなければならない。本実施形態では、これを、(1)図6に示すような1回の送信に対して多方向からの反射波を同時に受信するいわゆる並列多方向同時受信技術を採用すること、(2)局所ROI内のみをスキャンすることの工夫により解決している。以下に具体的に説明する。
【0042】
スキャンのフレームレートに関わるパラメータとしては、
・レート周波数f0 (超音波送受信の繰り返し周波数)
・自己相関のためのデータ数M(同一方向に対する送受信の繰り返し回数)
・局所ROIに含まれる受信方向の数R(ラスタ本数)
・並列多方向同時受信の方向数N(1回の送信に対して同時にN方向からの反射波を受信する)
がある。
【0043】
これらパラメータのうち、ラスタ本数Rは局所ROIの大きさ(広がり角)に依存して決まる。100Hzのフレームレートを達成するために必要なNは、次の式を解くことにより求められる。なお、並列多方向同時受信における実際の送信方向数はR/Nで与えられる。
100Hz =f0 /(M×(R/N))
例えば、図7に示すようにレート周波数f0 =6KHzとし、データ数M=15、ラスタ本数R=16と仮定すると、フレームレート100Hzを達成するために必要なNは、「4」として導き出される。図8に並列4方向同時受信のタイムチャートを示している。
【0044】
このように局所ROIの大きさにしたがって、並列多方向同時受信の方向数Nを調整することにより、100Hzのフレームレートを達成することができる。勿論、並列多方向同時受信の方向数Nには限界があり、局所ROIが大きくなるにしたがって、Nの増加だけでは100Hzのフレームレートが達成できないケースもあり得る。このような場合、Nだけでなく、局所ROIの深さ(視野深度)に応じてレート周波数f0 を変化させることも可能である。この場合、局所ROIが浅くなるに応じて、レート周波数f0 を増加させることができる。また、ラスタピッチを拡大して、ラスタ本数Rを減らしたり、データ数Mを減少させて対処するようにしてもよい。また、図9に示すように、Sinc補間法等の補間により欠落したデータを埋め合わせて見掛上、100Hzのフレームレートを達成するようにしてもよい。
【0045】
なお、本実施形態は、図10に示すように、レンジゲート回路60、サンプルホールド回路61、バンドパスフィルタ63、アナログ・ディジタル・コンバータ65、高速フーリエ変換回路(FFT)67からなるスペクトラムドプラ回路50を併用してもよい。この場合、自己相関演算部39は、アナログ・ディジタル・コンバータ65の出力、つまり血流の偏移周波数信号が供給されるように接続される。
【0046】
【発明の効果】
本発明では、従来のように“最高周波数”により注目血管の血流の時間変化を生成するのではなく、“平均周波数”、つまり平均速度により注目血管の血流の時間変化を生成するので、超音波造影剤の反射増強作用によって時間変化が変動することはない。また、局所領域内の複数のサンプル点のうち特徴的な平均周波数を取り出して時間変化を生成しているので、従来のように呼吸動や拍動等の体動によりサンプルボリュームが注目血管からはずれてしまうことに起因する時間変化の変動は軽減される。したがって、注目血管の血流の動き以外の要因で時間変化が変動することが軽減され得る。
【0047】
さらに、本発明では、平均周波数を自己相関処理により求めているので、回路規模の増大を回避できる。つまり、従来のスペクトラムドプラによっても、スペクトラムドプラ波形から平均周波数を演算し、この平均周波数の時間変化を生成することにより、本発明と同様な“平均周波数”の時間変化を求めることはできるのであるが、このための回路規模は、自己相関回路よりも30倍程度の工程数の高速フーリエ変換回路とスペクトラムドプラ波形から平均周波数を演算するための演算回路とが必要になってしまう。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る超音波診断装置の構成図。
【図2】Bモードのための広域ROIを示す図。
【図3】注目血管を含む局所ROIを示す図。
【図4】図1の血流波形検出部の構成図。
【図5】図1の血流波形検出部で作成される注目血管の血流に関する平均速度の時間変化を示す図。
【図6】並列多方向同時受信法の説明図。
【図7】レート周波数とフレームレートとの関係を示す図。
【図8】第1の実施形態による送受信動作説明図。
【図9】図1の補間部51で補間された平均速度の時間変化を示す図。
【図10】図1の超音波診断装置の変形された構成図。
【図11】従来のスペクトラムドプラ対応の超音波診断装置の構成図。
【図12】従来のスペクトラムドプラにより得られるスペクトラムドプラ波形を示す図。
【図13】超音波造影剤による最高速度変動の原理説明図。
【図14】体動によってサンプルボリュームが注目部位から外れる様子を示す図。
【符号の説明】
11…超音波プローブ、
13…クロック発生回路、
15…送信遅延回路、
17…パルサ、
19…プリアンプ、
21…受信遅延加算回路、
23…レシーバ、
25…Bモード用メモリ、
27…ディジタル・スキャン・コンバータ、
29…モニタ、
31…ドプラ演算部、
32…直交位相検波部、
33…アナログ・ディジタル・コンバータ、
35…バッファ、
37…クラッタ除去フィルタ、
39…自己相関演算部、
41…演算部、
43…ドプラ用メモリ、
45…検出波形検出部、
47…CPU、
49…トラックボール。

Claims (8)

  1. 被検体内の注目血管を含む局所領域を超音波でスキャンすることにより反射信号を収集するスキャン手段と、
    前記反射信号から血流に関するドプラ信号を抽出する手段と、
    前記ドプラ信号を自己相関処理により周波数解析して前記局所領域内の複数のサンプル点に対応する複数の平均周波数を求める自己相関手段と、
    前記複数のサンプル点に対応する複数の平均周波数から特徴的な平均周波数を選択し、前記特徴的な平均周波数の時間変化を生成する時間変化生成手段と、
    前記自己相関処理によって求められた特徴的な平均周波数の時間変化をグラフとして表示する手段とを具備したことを特徴とする超音波診断装置。
  2. 前記時間変化生成手段は、前記複数のサンプル点の中の最も高周波の平均周波数を前記特徴的な平均周波数として取り出すことを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
  3. 前記時間変化生成手段は、前記複数のサンプル点の中の最大パワーを示す平均周波数を前記特徴的な平均周波数として取り出すことを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
  4. 前記時間変化生成手段は、前記複数のサンプル点の全てに関する平均周波数の時間変化をパワーに応じた輝度で表示することを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
  5. 前記時間変化生成手段は、前記時間変化を補間する手段を有することを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
  6. 前記平均周波数は50Hz以上の周期で生成されることを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
  7. 前記スキャン手段は、1回の送信に対して多方向からの反射波を受信する並列多方向同時受信を行うことを特徴とする請求項6記載の超音波診断装置。
  8. 前記スキャン手段は、前記平均周波数が少なくとも1/50秒以上の周期で生成されるように、超音波送信の繰り返し周波数、前記局所領域内のラスタ本数、前記並列多方向同時受信の同時受信方向数、前記自己相関処理のデータ数の少なくとも1つを調整することを特徴とする請求項6記載の超音波診断装置。
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