JP4503802B2 - 超音波診断装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、超音波診断装置に関し、特に超音波エコーの位相変化を精度良く計測する超音波診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
超音波ビームを被検体に送信し、送信からエコー信号の受信までの遅延時間に基づいて、例えば血管壁や心臓などの被検体内での深さを計測することができる。例えば血管壁は心臓の脈動に同期して変位し、これを観察することにより動脈硬化などの疾病を診断するための基礎データを取得できる。この血管壁の変位は比較的小さく、その観察では、超音波の波長単位ではなく、エコー信号の1波長以下の位相変化を捉える高精度の測定が必要となる。
【0003】
また、ドプラ計測では、エコー信号の位相変化に基づいて被検体内の血流等の運動速度が計測される。この用途においてもエコー信号の位相変化の測定が必要とされる。
【0004】
このエコー信号の位相変化を計測するために、従来より行われている方法として、目標部位からのエコー信号の代表点としてゼロクロス点を選び、このゼロクロス点の変位を計測する方法がある。
【0005】
従来は、特願2000−132136号に示されるように受信信号の振幅に基づいてゼロクロス点を定めていた。図7は、従来のゼロクロス法を説明する模式図である。図において、横軸は時間であり、縦軸は受信信号の振幅である。受信信号2は例えば血管壁等の観察対象部位からのものであり、ゼロクロス点4は受信信号2の振幅がゼロとなる点である。図8は、受信信号のゼロクロス点近傍を拡大した模式図である。この図においても、横軸は時間であり、縦軸は受信信号の振幅である。図には、サンプリング前の受信信号2(曲線波形で表される)、タイミングt1,t2,…にてサンプリングされた受信信号値6(黒丸で表す)、サンプリングにより生成される量子化された受信信号8(階段状波形で表される)、及び真のゼロクロス点4が示されている。従来は、受信信号値6の符号を監視し、その符号が反転したサンプリングタイミングをゼロクロス点としていた。例えば図8では、真のゼロクロス点4の前後のタイミングt3,t4で受信信号値6の符号が反転するので、例えばタイミングt4がゼロクロス点とみなされる。また、より精度が必要とされる場合には、符号反転を生じたサンプリング区間[t3,t4]において、その両端t3,t4での受信信号値6を用いて補間を行うことが考えられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述の受信信号の符号反転を生じたサンプリングタイミングによりゼロクロス点を求める方法では、位相の計測精度は受信信号のサンプリング周期に留まるという問題があった。よって、ゼロクロス点を精度良く求めるためにはサンプリング周波数を上げる必要があった。また、受信信号の振幅は曲線を描くため、補間を行うとしても線形補間や多項式補間では近似精度が低い。またSync関数等によって補間してもサンプリング周波数の数倍程度しか精度を確保できないという問題があった。
【0007】
本発明は上記問題点を解消するためになされたもので、エコー信号の位相変化を精度良く計測することができる超音波診断装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る超音波診断装置は、被検体へ超音波を送信し、被検体内からのエコーを取得し、受信信号を出力する送受波手段と、前記受信信号に基づいて、時間的に離散化された位相データ列を求める位相検出手段と、前記位相データ列に基づいて、前記受信信号の位相が所定レベルと交差するクロスポイントを補間により推定するクロスポイント推定手段とを有するものである。
【0009】
本発明によれば、位相検出手段は、送信された超音波に応じた周波数で変動する受信信号の位相を検出する。この位相は、離散化されたタイミングで検出され、時系列に従った位相データ列を形成する。クロスポイント推定手段は、離散的な位相データ列を補間して、位相が所定の値となるタイミングを推定する。このタイミングがクロスポイントである。受信信号の位相は振幅とは異なり、基本的に時間と共に直線的に変化する性質を有する。そのため、位相データ列間に存在するクロスポイントの推定を高精度に行うことが容易である。
【0010】
他の本発明に係る超音波診断装置においては、前記位相検出手段は、前記受信信号に基づいて、解析信号を求める複素化手段と、前記解析信号の偏角に基づいて、前記位相データ列を求める位相演算手段とを有することを特徴とする。
【0011】
受信信号の位相は、解析信号の偏角として表される。本発明によれば、受信信号から解析信号を生成し、その偏角を求める。そして、この偏角から位相データ列が生成される。
【0012】
本発明の好適な態様は、前記複素化手段が、前記受信信号をヒルベルト変換して前記解析信号を生成するヒルベルト変換手段を有することを特徴とする超音波診断装置である。
【0013】
いま、受信信号をx(t)とすると、解析信号xa(t)はx(t)を実部とし、x(t)をヒルベルト変換によってπ/2だけ位相をシフトした信号x'(t)を虚部として、次式で表される。
【0014】
【数1】
a(t) = x(t)+jx'(t)
ここで、受信信号x(t)に対するヒルベルト変換により、次式が成り立つ。なお、記号F[]はフーリエ変換を表す。
【0015】
【数2】
F[xa(t)] = 2・F[x(t)] for f>0
F[xa(t)] = F[x(t)] for f=0
F[xa(t)] = 0 for f<0
ここで、fはフーリエ変換したときの周波数である。本発明は正の周波数(f>0)の関係式を利用する。すなわち、測定した受信信号x(t)を複素フーリエ変換後、2倍し、さらに逆フーリエ変換によって時間領域に戻すことにより、解析信号xa(t)が求められる。
【0016】
本発明の好適な態様は、前記複素化手段が、前記受信信号を直交検波して前記解析信号を生成する直交検波手段を有することを特徴とする超音波診断装置である。
【0017】
本発明の好適な態様は、前記複素化手段が、前記受信信号を直交サンプリングして前記解析信号を生成する直交サンプリング手段を有することを特徴とする超音波診断装置である。
【0018】
他の本発明に係る超音波診断装置は、さらに前記クロスポイントの変位に基づいて、前記エコーの遅延時間の変化を計測する遅延変化量計測手段を有する。
【0019】
本発明によれば、超音波の送受波ごとにクロスポイントが推定され、クロスポイントの時間的な移動が計測される。このクロスポイントの変位は、当該クロスポイントに対応する被検体内の部位におけるエコーの遅延時間の変化を表している。
【0020】
別の本発明に係る超音波診断装置は、前記受信信号に対し、所定幅のゲートを設定するゲート設定手段をさらに有し、前記クロスポイント推定手段が、前記ゲートの範囲内で前記クロスポイントの推定を行うことを特徴とする。
【0021】
受信信号の位相は周期的に変化するので、位相に対しある所定レベルを設定した場合、それに対応するクロスポイントは、超音波が送受波される深さ方向に多数存在し、基本的に超音波の1周期ごとに現れる。本発明によれば、関心のある被検体部位に対応して所定幅のゲートを設定し、当該部位におけるクロスポイントの検出を行う。ゲートの所定幅は、例えば、それに含まれるクロスポイントを1つとする場合には、超音波の1波長分以下とされる。
【0022】
さらに別の本発明に係る超音波診断装置においては、ゲート設定手段が、検知された前記クロスポイントの位置に基づいて、次回の送受波により得られる受信信号に対する前記ゲートを設定する。
【0023】
クロスポイントは、ある超音波の送受波タイミングにおけるその位置を起点として変位を開始する。そして次回の超音波の送受波タイミングにおけるクロスポイントは、基本的には前回の位置を中心とし、超音波の送受波の時間間隔に応じた幅の範囲内に存在することが期待される。本発明によれば、超音波の送受波ごとに更新されるクロスポイントに応じて、ゲートの位置も更新設定される。これにより、ある被検体部位におけるクロスポイントを、精度良く追跡することが容易となる。
【0024】
本発明の好適な態様の超音波診断装置においては、前記クロスポイントは、前記位相がゼロレベルと交差するゼロクロス点であることを特徴とする。
【0025】
また別の本発明に係る超音波診断装置は、前記クロスポイントをゼロクロス点に設定した場合において、前記クロスポイント推定手段が、前記受信信号のピーク位置を検知する受信信号ピーク検知手段を有し、前記ピーク位置の所定近傍にて、前記ゼロクロス点の推定を行うものである。
【0026】
上述したように受信信号は解析信号の実部であり、解析信号の偏角が0のときに基本的に受信信号の振幅はピークとなると期待される。本発明によれば、受信信号のピーク位置を検知することにより、ゼロクロス点の位置を推定する範囲が、当該ピーク位置の所定近傍に限定される。
【0027】
さらに別の本発明に係る超音波診断装置においては、前記クロスポイント推定手段が、前記解析信号の絶対値のピーク位置を検知するピーク検知手段を有し、前記ピーク位置の所定近傍にて、前記クロスポイントの推定を行うものである。
【0028】
本発明によれば、解析信号の絶対値が大きい範囲に存在するクロスポイントが検出される。解析信号の絶対値が大きいと、受信信号に含まれるノイズやデジタル化による量子化誤差の影響を受けにくい。ここで、解析信号xa(t)の絶対値は、〔[x(t)]2+[x'(t)]21/2である。
【0029】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0030】
図1には、本発明の実施の形態である超音波診断装置の全体構成がブロック図として示されている。図1において、プローブ10は、超音波パルスの送波及びエコーの受波を行う超音波探触子である。このプローブ10はアレイ振動子を有しており、そのアレイ振動子の電子走査によって超音波ビームが電子的に走査される。その電子走査方式としては例えば電子リニア走査や電子セクタ走査などを挙げることができる。
【0031】
送信回路12は送受信制御回路14による制御に従って、振動子アレイの各チャネルごとに遅延された送信パルスをプローブ10へ出力する。振動子ごとの遅延量は、送波される超音波がビームを形成するように制御され、また、送波ビームの方向に応じて制御される。
【0032】
一方、受信系は、受信増幅回路20、A/D変換器(analog-to-digital converter)22、整相加算回路24、受信信号処理回路28、表示処理回路30及び表示器32を含んで構成される。
【0033】
受信増幅回路20は、各チャネルごとに受信信号を増幅する。また、A/D変換器22は、受信増幅回路20から出力される各チャネルごとのアナログ受信信号を一定時間間隔でサンプリングし、デジタル信号に変換する。
【0034】
整相加算回路24は、デジタル遅延器を用いて各チャネル間の位相を調節した後、加算器により各チャネルの受信信号を互いに加算し、受信フォーカスを実現する。ここで送受信制御回路14がデジタル遅延器の遅延量を各チャネルごとに調節し制御する。整相加算回路24は加算により複数チャネルの受信信号を1つのデジタル受信信号にまとめ、受信信号処理回路28へ入力する。
【0035】
受信信号処理回路28は、断層画像形成部40、変位計測部42等の各信号処理を行うユニットを含んで構成される。
【0036】
断層画像形成部40は、受信信号から断層画像すなわちBモード画像を形成する回路である。形成された断層画像のイメージ情報は表示処理回路30に出力される。
【0037】
変位計測部42は、被検体内の目標部位の変位を計測する回路であり、超音波ビームの軸線方向の変位量が計測される。
【0038】
表示処理回路30は、表示器32に表示する表示画像を構成する回路である。表示処理回路30は画像合成機能などを有している。
【0039】
本装置の主たる特徴は、変位計測部42にある。図2は変位計測部42の概略のブロック構成図である。変位計測部42は、ヒルベルト変換器50、偏角演算器52、ゼロクロス点推定器54、トラッキングゲート操作器56及びトラッキングゲート設定器58を含んで構成される。
【0040】
変位計測部42のヒルベルト変換器50に、整相加算回路24からのデジタル受信信号が入力される。ヒルベルト変換器50は、N個のデジタル受信信号x(ti)(i=0,1,…N−1)に対してヒルベルト変換を行い、各x(ti)に対する変換結果x'(ti)が生成される。これらx(ti)、x'(ti)によって、受信信号の各サンプリング点に対応した解析信号値xa(ti)が次式で定義される。
【0041】
【数3】
a(ti) = x(ti)+jx'(ti)
ヒルベルト変換器50は、この解析信号の実部x(ti)と虚部x'(ti)とを偏角演算器52へ出力する。偏角演算器52は、これら実部、虚部を用いて、各解析信号xa(ti)の偏角φi(≡arg[xa(ti)])を求め、ゼロクロス点推定器54へ出力する。上述したように偏角φiは通常のエコーの場合、直線的に変化する。
【0042】
図3は、送受信される超音波の複数周期にわたる解析信号の偏角の変化の一例を示すグラフである。この図において横軸は時間、左側の縦軸が偏角に対応している。この図には、偏角の変化パターン70と共に、超音波の振幅の変化パターン72が示されている。なお、振幅の変化パターン72は、送受波される超音波の波束(超音波パルス)を表している。この図に示されるように偏角は超音波の一周期に対応して、−πから+πまでの範囲内で直線変化する。なお、偏角はその周期性に起因して+πに達すると−πに折り返す挙動を示す。
【0043】
図3に示されるように、偏角φのゼロクロス点は周期的に現れる。ゼロクロス点推定器54は、その複数現れるゼロクロス点のうち、ユーザにより設定された目標部位からの受信信号に現れるゼロクロス点を、偏角演算器52から入力される偏角φiに基づいて推定する。
【0044】
目標部位の設定は、トラッキングゲート操作器56とトラッキングゲート設定器58とによって行われる。具体的には、目標部位からのエコーが受信されるタイミングに対応してトラッキングゲートが設定され、このゲートが開いている期間内に現れる偏角のゼロクロス点の位置が求められる。
【0045】
トラッキングゲート操作器56は、トラッキングゲートの初期設定を行うものである。例えば、表示器32上に断層画像に重ねて、超音波ビームの軸線を表示させ、その軸線上にてユーザがトラックボール等により目標部位の位置を指定するという方法で、トラッキングゲートがマニュアル設定されるように構成することができる。
【0046】
トラッキングゲート設定器58は、このトラッキングゲート操作器56により指定されたトラッキングゲートの初期値をゼロクロス点推定器54に対して設定する。また、一旦、目標部位におけるゼロクロス点が求まると、その位置はゼロクロス点推定器54の出力からトラッキングゲート設定器58へ入力される。トラッキングゲート設定器58は、この入力されたゼロクロス点の位置を基準として、次の超音波ビームに対するトラッキングゲートを自動設定する。トラッキングゲート設定器58は例えば、前回の超音波ビームに対する処理から得られたゼロクロス点が次回の超音波ビームに対するトラッキングゲートの中心にくるように、トラッキングゲートの位置をずらす。このフィードバック制御により、目標部位の運動によるゼロクロス点の変位に追従することができ、目標部位の変位量計測を正確に行うことが容易となる。なお、トラッキングゲートの幅は例えば、送信超音波の1波長以下の時間幅に設定され、これによりトラッキングゲートに含まれるゼロクロス点が複数となることを回避し、ゼロクロス点のトラッキングを容易とすることができる。
【0047】
ちなみに、図3に示す例では、受信信号の振幅がピークとなり、また解析信号の絶対値がピークとなる位置の近傍に存在するゼロクロス点74に対してトラッキングゲートが設定され、当該ゼロクロス点74がトラッキングされる。
【0048】
図4はゼロクロス点推定器54の処理を説明する説明図であり、ゼロクロス点近傍での偏角の時間的な変化を示す図である。この図において、横軸は時間tであり、縦軸は偏角φである。図には、偏角演算器52から出力される偏角値の信号80(階段状波形で表される)と各サンプリングタイミングtiにおける偏角値φi(黒丸82で表す)が示されている。この偏角値φi(i=0,1,…N−1)が位相データ列を構成し、当該列の各データは上述したように一つの直線84上にある。
【0049】
ゼロクロス点推定器54は、トラッキングゲートが開いている間に偏角演算器52から入力される偏角φiに対してゼロクロス点の位置の推定処理を行う。ゼロクロス点推定器54は、例えばサンプリングタイミング順に偏角φiの符号を調べ、偏角φiが負から正へ反転する位置を探索する。例えば、図4ではt3における偏角φ3が負であり、t4における偏角φ4が正であり、ゼロクロス点推定器54はこの偏角の符号が反転する区間[t3,t4]をゼロクロス点を含む区間として検知する。そして、ゼロクロス点推定器54は、偏角φの変化が直線的であることに基づいて、偏角φ3,φ4を用いて当該区間にて線形補間演算を行い、真のゼロクロス点86を推定する。
【0050】
このようにゼロクロス点推定器54は、ゼロクロス点から得られる受信信号の遅延時間を超音波ビームの送受波ごとに求め、これを目標部位の変位量情報として表示処理回路30へ出力する。また、必要に応じて、超音波の速度を用いて、遅延時間の変化を距離に換算して表示処理回路30へ出力することもできる。
【0051】
また、ここでは、ゼロクロス点を挟む2つのサンプリングタイミングにおける偏角の値を用いてゼロクロス点の推定を行ったが、さらに多くのサンプリングタイミングにおける偏角の値を用いて推定を行うように構成することもできる。例えば、3つ以上のサンプリングタイミングにおける偏角の値を用いて、最小2乗法などにより偏角の変化の直線84を近似し、ゼロクロス点86の推定精度の向上を図ることができる。また、受信信号をローパスフィルタ処理した後にゼロクロス点の推定処理を行う構成とすることにより、ノイズの影響の低減による精度の向上を図ることができる。
【0052】
また、偏角が0となるのは、解析信号の虚部が0であり、実部のみが非零成分を有する場合である。すなわち、基本的に受信信号の振幅のピークとゼロクロス点とは同じタイミングとなるはずである。そこで、トラッキングゲート内での受信信号のピークを含むサンプリング区間を絞り込み、この範囲内でゼロクロス点の推定処理を行うように構成して、推定時間の短縮、処理負荷の軽減を図ることができる。また、解析信号の絶対値が大きいと、受信信号に含まれるノイズやデジタル化による量子化誤差の影響を受けにくい。そこで、解析信号の絶対値のピーク近傍でゼロクロス点の推定処理を行うことにより精度の向上を図ることができる。
【0053】
なお、ヒルベルト変換器50は例えば、FFT/逆FFT専用のハードウェア演算器を使用して構成することもできるし、高速のDSP(Digital Signal Processor)を利用してソフトウェア的に処理するように構成することもできる。
【0054】
また、ヒルベルト変換器50に代えて他の手段を用い、受信信号から解析信号(すなわち複素化)を行ってもよい。図5は、他の複素化手段の一例である直交検波器の概略のブロック構成図である。整相加算回路24からのRF受信信号は2つに分岐され、それぞれ混合器90,92に入力される。各混合器90,92には参照信号も入力され、各混合器90,92はこれら受信信号と参照信号とを混合する。各混合器90,92からの高周波信号はそれぞれ、低域通過フィルタ(Low Pass Filter:LPF)96,98に入力され、その包絡線信号が検波される。ここで、混合器92への参照信号はπ/2シフタ94にて、位相を90°遅らせられて入力される。これにより、直交位相検波が実現され、LPF96,98からはそれぞれ解析信号の実数成分、虚数成分が出力される。そしてこれら両成分が偏角演算器52に入力される。
【0055】
図6は、複素化手段のさらに別の例である直交サンプリング器の概略のブロック構成図である。整相加算回路24からのRF受信信号は、バンドパスフィルタ(Band Pass Filter:BPF)により高周波成分を除かれた後、分岐されてそれぞれスイッチ102,104に入力される。各スイッチはサンプリング信号に応じて開閉され、受信信号を所定周期にてサンプリングする。ここで、遅延器106によって、スイッチ104へのサンプリング信号はスイッチ102へのサンプリング信号に対して、位相を90°遅らせられて入力される。これにより、直交サンプリングが実現され、スイッチ102,104からはそれぞれ解析信号の実数成分、虚数成分が出力される。そしてこれら両成分が偏角演算器52に入力される。
【0056】
上述のように、本装置では、解析信号の偏角(位相)が直線的に変化することを利用してゼロクロス点の変位を簡単にかつ高精度に検出する。このゼロクロス点の検出技術の適用は、上述のような目標部位の変位のためだけには限られない。例えば、超音波ビームに沿って繰り返される受信信号の各ゼロクロス点の位置を、この技術を用いて推定することができる。そして、送信周波数から予想されるゼロクロス点の位置と本技術により推定されたゼロクロス点の位置とを比較することで、生体組織内の各深さでの超音波の位相の乱れを補正することができる。
【0057】
上述の構成では解析信号の偏角が0となるゼロクロス点を検出した。しかし、0以外の一定水準と偏角とが交差するクロスポイントを検出するように構成することもできる。偏角は直線的に変化するので、他の水準でのクロスポイントを精度良く検出することは、ゼロクロス点を検出する場合と同様に簡単である。
【0058】
また、本技術により受信信号のドプラシフトを求めることができ、ドプラモード断層画像を形成することもできる。
【0059】
また、送信系、受信系のハードウェアに対して適用し、それらでの信号の遅延誤差の評価を行うことも可能である。
【0060】
【発明の効果】
本発明の超音波診断装置によれば、解析信号の偏角が直線的に変化することを利用して、受信信号の位相が特定の値となる点、例えばゼロクロス点の位置を線形補間により求めることができる。これにより補間の精度が向上し、また補間演算が簡単となる。よって、サンプリング周波数を上げずに、ゼロクロス点等の特定位相の位置やその変位を精度良く検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態である超音波診断装置の全体構成を示す概略のブロック図である。
【図2】 変位計測部の概略のブロック構成図である。
【図3】 送受信される超音波の複数周期にわたる解析信号の偏角の変化の一例を示すグラフである。
【図4】 ゼロクロス点推定器の処理を説明する説明図であり、ゼロクロス点近傍での解析信号の偏角の時間的な変化を示す図である。
【図5】 他の複素化手段の第1の例である直交検波器の概略のブロック構成図である。
【図6】 他の複素化手段の第2の例である直交サンプリング器の概略のブロック構成図である。
【図7】 従来のゼロクロス法を説明する模式図である。
【図8】 受信信号のゼロクロス点近傍を拡大した模式図である。
【符号の説明】
10 プローブ、12 送信回路、14 送受信制御回路、22 A/D変換器、24 整相加算回路、28 受信信号処理回路、30 表示処理回路、32表示器、40 断層画像形成部、42 変位計測部、50 ヒルベルト変換器、52 偏角演算器、54 ゼロクロス点推定器、56 トラッキングゲート操作器、58 トラッキングゲート設定器。

Claims (11)

  1. 被検体へ超音波を送信し、被検体内からのエコーを取得し、受信信号を出力する送受波手段と、
    前記受信信号に基づいて、時間的に離散化された位相データ列を求める位相検出手段と、
    前記位相データ列に基づいて、前記受信信号の位相が所定レベルと交差するクロスポイントを補間により推定するクロスポイント推定手段と、
    を有することを特徴とする超音波診断装置。
  2. 請求項1記載の超音波診断装置において、
    前記位相検出手段は、
    前記受信信号に基づいて、解析信号を求める複素化手段と、
    前記解析信号の偏角に基づいて、前記位相データ列を求める位相演算手段と、
    を有することを特徴とする超音波診断装置。
  3. 請求項2記載の超音波診断装置において、
    前記複素化手段は、前記受信信号をヒルベルト変換して前記解析信号を生成するヒルベルト変換手段を有することを特徴とする超音波診断装置。
  4. 請求項2記載の超音波診断装置において、
    前記複素化手段は、前記受信信号を直交検波して前記解析信号を生成する直交検波手段を有することを特徴とする超音波診断装置。
  5. 請求項2記載の超音波診断装置において、
    前記複素化手段は、前記受信信号を直交サンプリングして前記解析信号を生成する直交サンプリング手段を有することを特徴とする超音波診断装置。
  6. 請求項1から請求項5のいずれかに記載の超音波診断装置において、
    前記クロスポイントの変位に基づいて、前記エコーの遅延時間の変化を計測する遅延変化量計測手段を有することを特徴とする超音波診断装置。
  7. 請求項1から請求項6のいずれかに記載の超音波診断装置において、
    前記受信信号に対し、所定幅のゲートを設定するゲート設定手段を有し、
    前記クロスポイント推定手段は、前記ゲートの範囲内で前記クロスポイントの推定を行うこと、
    を特徴とする超音波診断装置。
  8. 請求項7記載の超音波診断装置において、
    ゲート設定手段は、検知された前記クロスポイントの位置に基づいて、次回の送受波により得られる受信信号に対する前記ゲートを設定すること、
    を特徴とする超音波診断装置。
  9. 請求項1から請求項8のいずれかに記載の超音波診断装置において、
    前記クロスポイントは、前記位相がゼロレベルと交差するゼロクロス点であることを特徴とする超音波診断装置。
  10. 請求項9記載の超音波診断装置において、
    前記クロスポイント推定手段は、
    前記受信信号のピーク位置を検知する受信信号ピーク検知手段を有し、
    前記ピーク位置の所定近傍にて、前記ゼロクロス点の推定を行うこと、
    を特徴とする超音波診断装置。
  11. 請求項1から請求項9のいずれかに記載の超音波診断装置において、
    前記クロスポイント推定手段は、
    前記解析信号の絶対値のピーク位置を検知するピーク検知手段を有し、
    前記ピーク位置の所定近傍にて、前記クロスポイントの推定を行うこと、
    を特徴とする超音波診断装置。
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