JP5300171B2 - 超音波診断装置、超音波画像処理装置及び超音波画像処理プログラム - Google Patents

超音波診断装置、超音波画像処理装置及び超音波画像処理プログラム Download PDF

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Description

本発明は、例えば脳血管障害診断に用いられる超音波診断装置、超音波画像処理装置及び超音波画像処理プログラムに関する。
超音波診断装置は超音波パルス反射法により、体表から生体内の軟組織の断層像を無侵襲に得る医療用画像機器である。この超音波診断装置は、他の医療用画像機器に比べ、小型で安価、X線などの被爆がなく安全性が高い、血流イメージングが可能等の特長を有し、心臓、腹部、泌尿器、および産婦人科などで広く利用されている。
この超音波診断装置を用いて脳血管障害を診断する場合がある。係る場合には、例えば内頚動脈(ICA)と総頚動脈(CCA)との血流速度比(ICA/CCA比)を計算し、この値の大きさによって脳血管障害を診断する。
なお、本願に関連する公知文献としては、例えば次のようなものがある。
特開平11−33025号公報
ところで、ICA/CCA比の血流速度の比を計算する場合、実際の臨床の現場では、心臓から距離の異なる数ヶ所を測定し、その最高速度の組み合わせからなる(ICA最大値及びCCA最大値の双方を用いた)ICA/CCA比が求められることがある。
しかしながら、従来の超音波診断装置においては、例えば「ICAの中間部での血流速度とCCAの遠位部での血流速度」といった具合に、予め設定された組み合わせを用いてICA/CCA比の計算を行っていた。従って、ICA最大値及びCCA最大値の双方を用いたICA/CCA比の血流速度比を取得するためには、血管種毎に血流速度を測定した後、操作者がICA最大値及びCCA最大値を確認・選択し、これを用いて計算する必要がある。実際に測定される血流速度の数は膨大であり、その中から血管種毎の最大値を判定し計算を行うこの様な作業は、操作者にとって多大な負担となる。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたもので、例えば、ICA/CCA比等の診断に用いられる指標(診断指標)を、多数の測定値の中から好適なものを判定し、これを用いて自動的に計算することができる超音波診断装置、超音波画像処理装置及び超音波画像処理プログラムを提供することを目的としている。
本発明は、上記目的を達成するため、次のような手段を講じている。
請求項1に記載の発明は、被検体の内頚動脈での複数位置における血流速度と総頚動脈での複数位置における血流速度とを、前記各位置において複数回測定する測定手段と、前記各血流速度測定時における前記被検体の心電波形を取得する心電波形取得手段と、前記位置毎の前記複数の血流速度を前記心電波形と対応付けて記憶する記憶手段と、前記心電波形と対応付けて記憶された前記位置毎の前記複数の血流速度のうち、心時相が対応する複数の前記血流速度を抽出する抽出手段と、抽出された前記複数の血流速度のうち、前記内頚動脈での血流速度と前記総頚動脈での血流速度との比である診断指標により定まる速度条件に対応した複数の血流速度を抽出し血流速度の組み合わせとして判定する判定手段と、前記血流速度の組み合わせを用いて、前記診断指標を計算する計算手段と、前記診断指標を所定の形態にて表示する表示手段と、を具備することを特徴とする超音波診断装置である。
請求項4に記載の発明は、被検体の内頚動脈での複数位置における血流速度と総頚動脈での複数位置における血流速度とを、前記各位置において複数回測定して得られた複数の血流速度と、当該各血流速度の測定時における前記被検体の心電波形とを、対応付けて記憶する記憶手段と、前記心電波形と対応付けて記憶された前記測定対象部位毎の前記複数の前記血流速度のうち、心時相が対応する複数の前記血流速度を抽出する抽出手段と、抽出された前記複数の血流速度のうち、前記内頚動脈での血流速度と前記総頚動脈での血流速度とに基づく比である診断指標に対応した複数の血流速度を抽出し血流速度の組み合わせとして判定する判定手段と、前記血流速度の組み合わせを用いて、前記診断指標を計算する計算手段と、前記診断指標を所定の形態にて表示する表示手段と、を具備することを特徴とする超音波診断装置である。
請求項7に記載の発明は、コンピュータに、被検体の内頚動脈での複数位置における血流速度と総頚動脈での複数位置における血流速度とを、前記各位置において複数回測定して得られた複数の血流速度のうち、前記各血流速度の測定時における前記被検体の心電波形に基づいて、心時相が対応する複数の前記血流速度を抽出させる抽出機能と、抽出された前記複数の血流速度のうち、前記内頚動脈での血流速度と前記総頚動脈での血流速度とに基づく比である診断指標に対応した複数の血流速度を抽出させ血流速度の組み合わせとして判定させる判定機能と、前記血流速度の組み合わせを用いて、前記診断指標を計算させる計算機能と、前記診断指標を所定の形態にて表示させる表示機能と、を実現させることを特徴とする超音波画像処理プログラムである。
本発明の第2の視点は、被検体の測定対象部位の所定位置に対して超音波を送信し当該被検体からのエコー信号を受信する超音波送受信手段と、受信した前記エコー信号に基づいて、前記測定対象部位の前記所定位置における血流速度を測定する測定手段と、前記被検体の前記血流速度測定時における心電波形を取得する心電波形取得手段と、前記測定対象部位と前記所定位置とを入力する入力手段と、測定された前記血流速度を、前記測定対象部位及び前記所定位置毎に記憶する記憶手段と、記憶された前記血流速度と前記心電波形とに基づいて、心時相が対応する血流速度を抽出する抽出手段と、抽出された前記血流速度の中から、前記測定対象部位毎に所定条件に該当する血流速度を判定する判定手段と、前記測定対象部位毎に前記所定の条件に該当する血流速度を用いて、前記測定対象部位の診断に用いる指標を計算する計算手段と、計算された前記指標を所定の形態にて表示する表示手段と、を具備することを特徴とする超音波診断装置である。
本発明の第3の視点は、被検体の測定対象部位の所定位置毎に測定された前記血流速度を記憶する記憶手段と、記憶された前記血流速度の中から、前記測定対象部位毎に所定の条件に該当する血流速度を判定する判定手段と、前記測定対象部位毎に前記所定の条件に該当する血流速度を用いて、前記測定対象部位の診断に用いる指標を計算する計算手段と、計算された前記指標を所定の形態にて表示する表示手段と、を具備することを特徴とする超音波画像処理装置である。
本発明の第4の視点は、被検体の測定対象部位の所定位置毎に測定された前記血流速度と、前記被検体の前記血流速度測定時における心電波形とを記憶する記憶手段と、前記測定対象部位と前記所定位置とを入力する入力手段と、記憶された前記血流速度と前記心電波形とに基づいて、心時相が対応する血流速度を抽出する抽出手段と、抽出された前記血流速度の中から、前記測定対象部位毎に所定条件に該当する血流速度を判定する判定手段と、前記測定対象部位毎に前記所定の条件に該当する血流速度を用いて、前記測定対象部位の診断に用いる指標を計算する計算手段と、計算された前記指標を所定の形態にて表示する表示手段と、を具備することを特徴とする超音波画像処理装置である。
本発明の第5の視点は、コンピュータ機能を有し、被検体の測定対象部位の所定位置毎に測定された前記血流速度を、前記測定対象部位及び前記所定位置毎に記憶する超音波画像処理装置又は超音波診断装置に超音波画像処理を実行させるためのプログラムであって、前記コンピュータに、記憶された前記血流速度の中から、前記測定対象部位毎に所定の条件に該当する血流速度を判定する判定機能と、前記測定対象部位毎に前記所定の条件に該当する血流速度を用いて、前記測定対象部位の診断に用いる指標を計算する計算機能と、計算された前記指標を所定の形態にて表示する表示機能と、を実現させることを特徴とする超音波画像処理プログラムである。
本発明の第6の視点は、コンピュータ機能を有し、被検体の測定対象部位の所定位置毎に測定された前記血流速度を、前記測定対象部位及び前記所定位置毎に記憶し、且つ被検体の前記血流速度測定時における心電波形を記憶する超音波画像処理装置又は超音波診断装置に超音波画像処理を実行させるためのプログラムであって、前記コンピュータに、記憶された前記血流速度と前記心電波形とに基づいて、心時相が対応する血流速度を抽出する抽出機能と、抽出された前記血流速度の中から、前記測定対象部位毎に所定条件に該当する血流速度を判定する判定機能と、
前記測定対象部位毎に前記所定の条件に該当する血流速度を用いて、前記測定対象部位の診断に用いる指標を計算する計算機能と、計算された前記指標を所定の形態にて表示する表示機能と、を実現させることを特徴とする超音波画像処理プログラムである。
以上本発明によれば、例えば、ICA/CCA比等の診断指標を、多数の測定値の中から好適なものを判定し、これを用いて自動的に計算することができる超音波診断装置、超音波画像処理装置及び超音波画像処理プログラムを実現することができる。
以下、本発明の第1の実施形態及び第2の実施形態を図面に従って説明する。なお、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態に係る超音波診断装置10のブロック構成を示した図である。同図に示すように、本超音波診断装置10は、超音波プローブ12、入力装置13、表示部14、送受信ユニット21、Bモード処理ユニット22、ドプラ処理ユニット23、画像生成回路24、制御プロセッサ25、内部記憶装置26、最大速度判定部27、画像メモリ28、速度記憶部29、速度比計算部31、インタフェース部33を具備している。
なお、本実施形態に係る各構成要素、特に最大速度判定部27、速度比計算部31については、当該各構成要素と同様の処理を実行するソフトウェアプログラムをワークステーション等のコンピュータ、コンピュータ機能を有する超音波診断装置等にインストールし、これらをメモリ上で展開することによっても実現することができる。このとき、コンピュータに当該手法を実行させることのできるプログラムは、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクなど)、光ディスク(CD−ROM、DVDなど)、半導体メモリなどの記録媒体に格納して頒布することも可能である。
超音波プローブ12は、超音波送受信ユニット21からの駆動信号に基づき超音波を発生し、被検体からの反射波を電気信号に変換する複数の圧電振動子、当該圧電振動子に設けられる整合層、当該圧電振動子から後方への超音波の伝播を防止するバッキング材等を有している。当該超音波プローブ12から被検体Pに超音波が送信されると、当該送信超音波は、体内組織の音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、エコー信号として超音波プローブ12に受信される。このエコー信号の振幅は、反射することになった反射することになった不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。また、送信された超音波パルスが、移動している血流や心臓壁等の表面で反射された場合のエコーは、ドプラ効果により移動体の超音波送信方向の速度成分を依存して、周波数偏移を受ける。
入力装置13は、装置本体11に接続され、オペレータからの各種指示、条件、関心領域(ROI)の設定指示、種々の画質条件設定指示等を装置本体11にとりこむためのトラックボール13a、各種スイッチ・ボタン13b、マウス13c、キーボード13d、TCS(Touch Command Screen)13e等を有している。例えば、後述する診断指標の自動計算機能において、TCS13eから血管種、測定位置等の情報が入力される。
表示部14は、画像生成回路24からのビデオ信号に基づいて、生体内の形態学的情報や、血流情報を画像として表示する。
送受信ユニット21は、図示しないトリガ発生回路、遅延回路およびパルサ回路等を有している。パルサ回路では、所定のレート周波数fr Hz(周期;1/fr秒)で、送信超音波を形成するためのレートパルスが繰り返し発生される。また、遅延回路では、チャンネル毎に超音波をビーム状に集束し且つ送信指向性を決定するのに必要な遅延時間が、各レートパルスに与えられる。トリガ発生回路は、このレートパルスに基づくタイミングで、プローブ12に駆動パルスを印加する。
また、送受信ユニット21は、図示していないアンプ回路、A/D変換器、加算器等を有している。アンプ回路では、プローブ12を介して取り込まれたエコー信号をチャンネル毎に増幅する。A/D変換器では、増幅されたエコー信号に対し受信指向性を決定するのに必要な遅延時間を与え、その後加算器において加算処理を行う。この加算により、エコー信号の受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調され、受信指向性と送信指向性とにより超音波送受信の総合的なビームが形成される。
Bモード処理ユニット22は、送受信ユニット21からエコー信号を受け取り、対数増幅、包絡線検波処理などを施し、信号強度が輝度の明るさで表現されるデータを生成する。このデータは、画像生成回路24に送信され、反射波の強度を輝度にて表したBモード画像として表示部14に表示される。
ドプラ処理ユニット23は、送受信ユニット21から受け取ったエコー信号から速度情報を周波数解析し、ドプラ効果による血流や組織、造影剤エコー成分を抽出し、血流速度、分散、パワー等の血流情報を多点について求める。得られた血流情報は画像生成回路24に送られ、平均速度画像、分散画像、パワー画像、これらの組み合わせ画像として表示部14にカラー表示される。
画像生成回路24は、超音波スキャンの走査線信号列を、テレビなどに代表される一般的なビデオフォーマットの走査線信号列に変換し、表示画像としての超音波診断画像を生成する。画像生成回路24は、画像データを格納する記憶メモリを搭載しており、例えば診断の後に操作者が検査中に記録された画像を呼び出すことが可能となっている。なお、当該画像生成回路24に入る以前のデータは、「生データ」と呼ばれることがある。
制御プロセッサ(CPU)25は、情報処理装置(計算機)としての機能を持ち、本超音波診断装置本体の動作を制御する制御手段である。制御プロセッサ25は、内部記憶装置26から後述する超音波送受信・画像生成・表示等を実行するための制御プログラムを読み出して自身が有するメモリ上に展開し、各種処理に関する演算・制御等を実行する。
内部記憶装置26は、後述のスキャンシーケンス、画像生成、表示処理を実行するための制御プログラムや、診断情報(患者ID、医師の所見等)、診断プロトコル、送受信条件、その他のデータ群を格納している。特に、内部記憶装置26は、後述する診断指標の自動計算機能を実行するための制御プログラムを保管している。また、必要に応じて、画像メモリ28中の画像の保管などにも使用される。内部記憶装置26のデータは、インタフェース部33を経由して外部周辺装置へ転送することも可能となっている。
画像メモリ28は、画像生成回路24から受信した画像データを格納する記憶メモリから成る。この画像データは、例えば診断の後に操作者が呼び出すことが可能となっており、静止画的に、あるいは複数枚を使って動画的に再生することが可能である。また、画像メモリ28は、超音波送受信ユニット21直後の出力信号(radio frequency(RF)信号と呼ばれる)、送受信ユニット21を通過後の画像輝度信号、その他の生データ、ネットワークを介して取得した画像データ等を必要に応じて記憶する。
速度記憶部29は、ドプラ処理ユニット23において測定された血流速度を、入力装置13から入力される血管種、測定位置に基づいて分類し、測定された時刻(時間情報)と共に記憶する。
最大速度判定部27は、ドプラ処理ユニット23において測定された血流速度を速度記憶部29から読み出し、その中から最大値を、血管種毎或いは血管種毎及び測定位置毎に判定する。
速度比計算部31は、最大速度判定部27によって検出された血管種毎の最大速度を用いて、診断に用いる指標(診断指標:例えば、脳内血管障害の診断に用いるICA/CCA等)を計算する。
インタフェース部33は、入力装置13、ネットワーク、新たな外部記憶装置(図示せず)に関するインタフェースである。当該装置によって得られた超音波画像等のデータや解析結果等は、インタフェース部33よって、ネットワークを介して他の装置に転送可能である。
(診断指標の自動計算機能)
次に、本超音波診断装置10が有する診断指標の自動計算機能について説明する。本機能は、例えば測定した血流速度のうちの最大値を血管種毎、又は血管種及び測定位置毎に判定し、これを用いて診断指標を自動計算するものである。ここで、診断指標としては、血管径、血管断面積、血管の狭窄率、intima-media thickness 最高血流速度、及びこれらを用いて計算される所定の定量値(血管速度比や物理量等)である。
なお、本実施形態においては、説明を具体的にするため、脳内血管障害診断において用いられる指標であるICA/CCA比を計算する場合を例とする。
図2は、頭頚部の動脈分布を示した図である。同図を用いて、ICA/CCA比の臨床的意味について説明する。一般に、脳内血管障害の診断のため、超音波診断装置を用いて、例えば次の様な血管をスキャンする。
・総頚動脈(CCA)
・内頚動脈(ICA)
・外頚動脈(ECA)
・椎骨動脈(Vertebra A)
・鎖骨下動脈(Sabclavian A)
上記血管種のうち、ICAとCCAとによって得られるICA/CCA比は、脳血管の狭窄の評価において用いられる有効な指標である。なお、各血管種のスキャンにおいては、近位部(proximal)、遠位部(distal)、その中間部(middle)という様に、心臓からの距離に従って複数位置でスキャンされ、各位置での血流速度(一回とは限らない)が取得される。また、各動脈は左右対称で存在しているため、実際の測定においては、左右いずれの計測であるかが区別される。従って、血管種、左右の区別、測定位置、測定回数を考慮すると、最終的に得られる測定結果は膨大な数となる。
本計算機能では、例えばICA(proximal)、ICA(distal)、ICA(middle)、CCA(proximal)、CCA(distal)、CCA(middle)と六ヶ所で血流速度を測定した場合には、各血管種に関する最大値を自動的に判定し、最大値同士の組み合わせからなるICA/CCA比を自動的に計算する。これにより、測定によって得られた血流速度が多数存在する場合であっても、迅速且つ簡便に最大値同士の組み合わせからなるICA/CCA比を計算することができる。
なお、本自動計算機能は、設定により各血管の各位置における最大血流速度を判定し、これを用いてICA/CCA比を計算することも可能である。この場合には、血流速度の最大値判定を、各血管の各位置毎に実行すればよい。従って、例えばICA(proximal)/CCA(distal)比といった限定的な指標を計算する場合であっても、最大値同士の組み合わせによって計算することができる。
(動作)
次に、血流速度の測定から、血流速度最大値を用いた自動指標計算機能を用いたICA/CCA比の自動計算までの本超音波診断装置の動作について説明する。
図3は、第1の実施形態に係る自動指標計算機能を用いた処理の流れを示したフローチャートである。同図に示すように、まず、プローブ11を被検体表面に当接しスキャン対象を観察しながら、当該プローブ11の位置が決定される(ステップS1)。
次に、スキャン対象である血管種と(例えばICA)及びその測定位置(例えば、middle)が、TCS等から入力され(ステップS2)、当該血管種の当該位置における血流速度が測定される(ステップS3)。この測定は、一つの測定位置において一回とは限らず、異なるタイミングで複数回実施してもよい。
次に、他の血管種又は他の位置での測定を行うか否かを判定する(ステップS4)。今の場合、計算すべき指標がICA/CCA比であるから、例えば、続いてICA(proximal)、ICA(distal)、ICA(middle)、CCA(proximal)、CCA(distal)、CCA(middle)等の測定を継続して行う必要がある。従って、各血管種の各位置について、ステップS1〜S3が繰り返し実行される。
次に、最大速度判定部27は、測定によって得られた複数の血流速度の中から、ICA、CCAのそれぞれの最大値を判定し(ステップS5)、速度比計算部31は、当該最大値と判定されたICA及びCCAのそれぞれの値を用いて、ICA/CCA比を計算する(ステップS6)。
次に、表示部14は、計算されたICA/CCA比を所定の形態で、例えばレポート形式や設けられた計算結果窓に表示する(ステップS7)。
以上述べた構成によれば、以下の効果を得ることができる。
本超音波診断装置によれば、例えば測定した血流速度のうちの最大値を血管種毎、又は血管種及び測定位置毎に判定し、これを用いて診断指標を自動計算するものである。従って、例えばICA/CCA比の計算に用いる組み合わせを事前に設定する必要がなく、操作者の作業負担を軽減させることができる。
また、本超音波診断装置によれば、常に最大値同士の組み合わせからなるICA/CCA比を計算するので、最大値を用いないで計算した等のミスがなく、常に安定した計算結果を迅速且つ簡便に取得することができる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態に係る超音波診断装置10は、測定した複数の血流速度の中から同一の心時相に関するものを抽出し、これらを用いて既述の診断指標の自動計算を実行するものである。
図4は、本実施形態に係る超音波診断装置10の構成を示した図である。図1と比較した場合、ECG35をさらに具備する点が異なる。
ECG35は、心臓の電気現象の時間変化(すなわち、心電波形)を計測する。計測された心電波形は、時間情報と共に内部記憶装置26、速度記憶部29等に自動的に記憶される。
図5は、第2の実施形態に係る自動指標計算機能を用いた処理の流れを示したフローチャートである。同図に示すように、まず、既述の手法によって各血管種に関する各位置での血流速度測定を実行する(ステップS1〜S4)。
次に、制御プロセッサ25は、ECG35によって計測された心電波形を解析することで所定の心時相(例えば収縮末期時相)に対応する時刻を特定し、測定された複数の血流速度の中から当該時刻に対応する血流速度を抽出する(ステップS4′)。
次に、抽出された血流速度の中から、ICA、CCAのそれぞれの最大値を判定し(ステップS5)、速度比計算部31は、当該最大値と判定されたICA及びCCAのそれぞれの値を用いて、ICA/CCA比を計算する(ステップS6)。表示部14は、計算されたICA/CCA比を所定の形態で、例えばレポート形式や設けられた計算結果窓に表示する(ステップS7)。
図6は、ICA/CCA比の表示形態の一例を示した図である。例えば同図(楕円内)に示すような形態によいって、心臓収縮期(Systole)におけるICA/CCA比が表示される。観察者は、表示されたICA/CCA比が基準値よりも大きいか又は小さいかを判断することにより、脳血管の狭窄の評価することができる。
以上述べた本超音波診断装置によれば、測定した複数の血流速度の中から同一の心時相に関するものを抽出し、これらを用いて既述の診断指標の自動計算を実行することができる。従って、心時相をも考慮したICA/CCA比を迅速且つ簡単に計算することができ、操作者の作業負担を軽減させることができる。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。具体的な変形例としては、例えば次のようなものがある。
(1)上記各実施形態においては、血管種毎等の血流速度の最大値を用いて診断指標を自動計算し、これを所定の形態で表示する構成とした。しかしながら、血流速度の最大値や最小値そのものも臨床的価値があると考えられる。従って、上記実施形態に拘泥されず、例えば血管種毎、血管種及び測定位置毎、血管種及び測定位置並びに心時相毎の血流速度最大値そのものを、単独又は計算した診断指標と共に表示する構成であってもよい。
(2)上記各実施形態においては、血管種毎等の血流速度の最大値を用いて診断指標を自動計算する場合を例に説明した。しかしながら、血流速度の最大値に限定されず、例えば「血流速度の最小値」、「血流速度の平均値」等を判定・計算し、これを指標計算に用いる構成であってもよい。
また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
以上本発明によれば、例えば、ICA/CCA比等の診断指標を、多数の測定値の中から好適なものを判定し、これを用いて自動的に計算することができる超音波診断装置、超音波画像処理装置及び超音波画像処理プログラムを実現することができる。
図1は、第1の実施形態に係る超音波診断装置10のブロック構成を示した図である。 図2は、頭頚部の動脈分布を示した図である。 図3は、第1の実施形態に係る自動指標計算機能を用いた処理の流れを示したフローチャートである。 図4は、第2の実施形態に係る超音波診断装置10の構成を示した図である。 図5は、第2の実施形態に係る自動指標計算機能を用いた処理の流れを示したフローチャートである。
符号の説明
10…超音波診断装置、12…超音波プローブ、13…入力装置、14…表示部、21…送受信ユニット、22…Bモード処理ユニット、23…ドプラ処理ユニット、24…画像生成回路、25…制御プロセッサ、26…内部記憶装置、27…最大速度判定部、28…画像メモリ、29…速度記憶部、31…速度比計算部、33…インタフェース部、35…ECG

Claims (9)

  1. 被検体の内頚動脈での複数位置における血流速度と総頚動脈での複数位置における血流速度とを、前記各位置において複数回測定する測定手段と、
    前記各血流速度測定時における前記被検体の心電波形を取得する心電波形取得手段と、
    前記位置毎の前記複数の血流速度を前記心電波形と対応付けて記憶する記憶手段と、
    前記心電波形と対応付けて記憶された前記位置毎の前記複数の血流速度のうち、心時相が対応する複数の前記血流速度を抽出する抽出手段と、
    抽出された前記複数の血流速度のうち、前記内頚動脈での血流速度と前記総頚動脈での血流速度との比である診断指標により定まる速度条件に対応した複数の血流速度を抽出し血流速度の組み合わせとして判定する判定手段と、
    前記血流速度の組み合わせを用いて、前記診断指標を計算する計算手段と、
    前記診断指標を所定の形態にて表示する表示手段と、
    を具備することを特徴とする超音波診断装置。
  2. 前記診断指標により定まる前記速度条件は、血流速度の最大値、最小値、あるいは平均値であることを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
  3. 前記内頚動脈の複数位置は、心臓からの距離が異なる近位部、中位部、遠位部を含み、
    前記総頚動脈の複数位置は、心臓からの距離が異なる近位部、中位部、遠位部を含むこと、
    を特徴とする請求項1又は2記載の超音波診断装置。
  4. 被検体の内頚動脈での複数位置における血流速度と総頚動脈での複数位置における血流速度とを、前記各位置において複数回測定して得られた複数の血流速度と、当該各血流速度の測定時における前記被検体の心電波形とを、対応付けて記憶する記憶手段と、
    前記心電波形と対応付けて記憶された前記測定対象部位毎の前記複数の前記血流速度のうち、心時相が対応する複数の前記血流速度を抽出する抽出手段と、
    抽出された前記複数の血流速度のうち、前記内頚動脈での血流速度と前記総頚動脈での血流速度とに基づく比である診断指標に対応した複数の血流速度を抽出し血流速度の組み合わせとして判定する判定手段と、
    前記血流速度の組み合わせを用いて、前記診断指標を計算する計算手段と、
    前記診断指標を所定の形態にて表示する表示手段と、
    を具備することを特徴とする超音波診断装置。
  5. 前記診断指標により定まる前記速度条件は、血流速度の最大値、最小値、あるいは平均値であることを特徴とする請求項4記載の超音波画像処理装置。
  6. 前記内頚動脈の複数位置は、心臓からの距離が異なる近位部、中位部、遠位部を含み、
    前記総頚動脈の複数位置は、心臓からの距離が異なる近位部、中位部、遠位部を含むこと、
    を特徴とする請求項4又は5記載の超音波画像処理装置。
  7. コンピュータに、
    被検体の内頚動脈での複数位置における血流速度と総頚動脈での複数位置における血流速度とを、前記各位置において複数回測定して得られた複数の血流速度のうち、前記各血流速度の測定時における前記被検体の心電波形に基づいて、心時相が対応する複数の前記血流速度を抽出させる抽出機能と、
    抽出された前記複数の血流速度のうち、前記内頚動脈での血流速度と前記総頚動脈での血流速度とに基づく比である診断指標に対応した複数の血流速度を抽出させ血流速度の組み合わせとして判定させる判定機能と、
    前記血流速度の組み合わせを用いて、前記診断指標を計算させる計算機能と、
    前記診断指標を所定の形態にて表示させる表示機能と、
    を実現させることを特徴とする超音波画像処理プログラム。
  8. 前記診断指標により定まる前記速度条件は、血流速度の最大値、最小値、あるいは平均値
    であることを特徴とする請求項7記載の超音波画像処理プログラム。
  9. 前記内頚動脈の複数位置は、心臓からの距離が異なる近位部、中位部、遠位部を含み、
    前記総頚動脈の複数位置は、心臓からの距離が異なる近位部、中位部、遠位部を含むこと、
    を特徴とする請求項7又は8記載の超音波画像処理プログラム。
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