JP2011098162A - 超音波診断装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】連続波を利用して目標位置から生体内情報を抽出する技術において、不要波成分を低減する。
【解決手段】位相調整部23は、変調波生成部24から得られる変調信号の位相を調整することにより、互いに位相をずらした複数の変調信号を出力する。FM変調部20は、位相調整部23から出力される複数の変調信号を用いて複数のFM連続波を発生し、加算部21において、それら複数のFM連続波が加算されて送信信号が形成される。受信ミキサ30は、生体内の目標位置との間の相関関係が調整された参照信号を用いて、受信信号に対して復調処理を施すことにより、その目標位置に対応した復調信号を得る。互いに位相をずらした複数のFM連続波を加算した送信信号が利用されているため、復調信号に含まれる不要波成分が低減される。
【選択図】図1
【解決手段】位相調整部23は、変調波生成部24から得られる変調信号の位相を調整することにより、互いに位相をずらした複数の変調信号を出力する。FM変調部20は、位相調整部23から出力される複数の変調信号を用いて複数のFM連続波を発生し、加算部21において、それら複数のFM連続波が加算されて送信信号が形成される。受信ミキサ30は、生体内の目標位置との間の相関関係が調整された参照信号を用いて、受信信号に対して復調処理を施すことにより、その目標位置に対応した復調信号を得る。互いに位相をずらした複数のFM連続波を加算した送信信号が利用されているため、復調信号に含まれる不要波成分が低減される。
【選択図】図1
Description
本発明は、超音波診断装置に関し、特に、連続波を利用する超音波診断装置に関する。
超音波診断装置の連続波を利用した技術として、連続波ドプラが知られている。連続波ドプラでは、例えば、数MHzの正弦波である送信波が生体内へ連続的に放射され、生体内からの反射波が連続的に受波される。反射波には、生体内における運動体(例えば血流など)によるドプラシフト情報が含まれる。そこで、そのドプラシフト情報を抽出して周波数解析することにより、運動体の速度情報を反映させたドプラ波形などを形成することができる。
連続波を利用した連続波ドプラは、パルス波を利用したパルスドプラに比べて一般に高速の速度計測の面で優れている。こうした事情などから、本願の発明者は、連続波ドプラに関する研究を重ねてきた。その成果の一つとして、特許文献1において、周波数変調処理を施した連続波ドプラ(FMCWドプラ)に関する技術を提案している。
一方、連続波ドプラでは、連続波を利用していることにより位置計測が困難である。例えば、従来の一般的な連続波ドプラの装置(FMCWドプラを利用しない装置)では、位置計測を行うことができなかった。これに対し、本願の発明者は、特許文献2において、FMCWドプラにより選択的に生体内組織の所望の位置からドプラ情報を抽出することができる極めて画期的な技術を提案している。
特許文献1や特許文献2に記載されたFMCWドプラの技術は、それまでにない超音波診断の可能性を秘めた画期的な技術である。本願発明者は、この画期的な技術の改良についてさらに研究を重ねてきた。特に、連続波を利用して目標位置から生体内情報を抽出する技術に注目して研究を重ねてきた。
本発明は、このような背景において成されたものであり、その目的は、連続波を利用して目標位置から生体内情報を抽出する技術において、不要波成分を低減することにある。
上記目的にかなう好適な超音波診断装置は、変調周波数に応じて周期的に周波数を変化させた連続波信号に基づく送信信号を出力する送信信号処理部と、送信信号に対応した超音波の送信波を生体に送波してその送信波に伴う受信波を生体から受波することにより受信信号を得る送受波部と、生体内の目標位置との間の相関関係が調整された参照信号を用いて、受信信号に対して復調処理を施すことにより、当該目標位置に対応した復調信号を得る受信信号処理部と、前記目標位置に対応した復調信号から生体内情報を抽出する生体内情報抽出部と、を有し、前記送信信号処理部は、互いに位相をずらした複数の連続波信号を合成した合成送信信号を出力し、前記受信信号処理部は、前記合成送信信号に基づく受信信号に対して前記復調処理を施すことにより、不要波成分を低減された前記復調信号を得る、ことを特徴とする。
望ましい具体例として、前記送信信号処理部は、変調信号を用いて搬送波信号を周波数変調処理することにより得られる連続波信号に基づいて合成送信信号を形成する、ことを特徴とする。
望ましい具体例として、前記送信信号処理部は、変調信号の位相を調整することにより得られる互いに位相をずらした複数の連続波信号を合成して合成送信信号を形成する、ことを特徴とする。
望ましい具体例として、前記送信信号処理部は、変調信号の位相を所定量だけ互いにずらした複数の連続波信号を合成して合成送信信号を形成する、ことを特徴とする。
望ましい具体例として、前記送信信号処理部は、第1連続波信号と、第1連続波信号から変調信号の位相をπだけずらした第2連続波信号とを加算することにより合成送信信号を形成し、前記受信信号処理部は、当該合成送信信号に基づく受信信号に対して前記復調処理を施すことにより、前記変調周波数の奇数次成分を低減された前記復調信号を得る、ことを特徴とする。
望ましい具体例として、前記送信信号処理部は、第1連続波信号と、第1連続波信号から変調信号の位相をπだけずらした第2連続波信号と、第1連続波信号から変調信号の位相を+π/2だけずらした第3連続波信号と、第1連続波信号から変調信号の位相を+3π/2だけずらした第4連続波信号と、を加算することにより、合成送信信号を形成し、前記受信信号処理部は、当該合成送信信号に基づく受信信号に対して前記復調処理を施すことにより、前記変調周波数の基本波成分と第2次高調波成分と第3次高調波成分を低減され、直流成分を含んだ前記復調信号を得る、ことを特徴とする。
望ましい具体例として、前記受信信号処理部は、前記目標位置の深さに応じて前記合成送信信号を遅延処理して得られる参照信号を用いて前記復調処理を施す、ことを特徴とする。
本発明により、連続波を利用して目標位置から生体内情報を抽出する技術において、不要波成分を低減することが可能になる。
図1は、本発明の実施において好適な超音波診断装置の全体構成を示す図である。送信用振動子10は、生体内へ送信波を連続的に送波し、また、受信用振動子12は、生体内からの反射波を連続的に受波する。このように、送信および受信がそれぞれ異なる振動子で行われて、いわゆる連続波ドプラ法による送受信が実行される。なお、送信用振動子10は複数の振動素子を備えており、これら複数の振動素子が制御されて超音波の送信ビームが形成される。また、受信用振動子12も複数の振動素子を備えており、これら複数の振動素子により得られた信号が処理されて受信ビームが形成される。
送信ビームフォーマ(送信BF)14は、送信用振動子10が備える複数の振動素子に対して送信信号を出力する。送信ビームフォーマ14には、加算部21を介して連続波の送信信号が供給され、送信ビームフォーマ14は、その送信信号に対して、各振動素子に応じた遅延処理を施して各振動素子に対応した送信信号を形成する。なお、送信ビームフォーマ14において形成された各振動素子に対応した送信信号に対して、必要に応じて電力増幅処理が施されてもよい。こうして、超音波の送信ビームが形成される。
FM変調部20は、変調波生成部24から位相調整部23を介して供給される変調信号を用いて、RF波発振器22から供給されるRF波(搬送波信号)に対して周波数変調を施すことにより、FM連続波を発生する。
位相調整部23は、変調波生成部24から得られる変調信号の位相を調整することにより、互いに位相をずらした複数の変調信号を出力する。つまり、位相調整部23は、位相0,π,π/2,3π/2の4つの変調信号を出力する。
FM変調部20は、位相調整部23から出力される複数の変調信号を用いて複数のFM連続波を発生する。FM変調部20は、第1変調器から第4変調器までの4つの変調器を備えており、第1変調器において位相0の変調信号を用いてRF波発振器22から供給されるRF波に対して周波数変調が施されて第1FM連続波が形成され、また、第2変調器において位相πの変調信号を用いてRF波発振器22から供給されるRF波に対して周波数変調が施されて第2FM連続波が形成される。同様に、第3変調器において位相π/2の変調信号を用いて第3FM連続波が形成され、第4変調器において位相3π/2の変調信号を用いて第4FM連続波が形成される。
こうして、FM変調部20において、第1FM連続波から第4FM連続波までの4つのFM連続波が形成され、加算部21において、それら4つのFM連続波が加算されて送信信号が形成される。なお、各FM連続波の波形などについては後にさらに詳述する。
受信ビームフォーマ(受信BF)16は、受信用振動子12が備える複数の振動素子から得られる複数の受波信号を整相加算処理して受信ビームを形成する。つまり、受信ビームフォーマ16は、各振動素子から得られる受波信号に対してその振動素子に応じた遅延処理を施し、複数の振動素子から得られる複数の受波信号を加算処理することにより受信ビームを形成する。なお、各振動素子から得られる受波信号に対して低雑音増幅等の処理を施してから、受信ビームフォーマ16に複数の受波信号が供給されてもよい。こうして受信ビームに沿った受信RF信号が得られる。
受信ミキサ30は受信RF信号に対して直交検波を施して複素ベースバンド信号を生成する回路であり、2つのミキサ32,34で構成される。各ミキサは受信RF信号を所定の参照信号と混合する回路である。
受信ミキサ30の各ミキサに供給される参照信号は、加算部21から出力される送信信号に基づいて生成される。つまり、加算部21から出力される送信信号が遅延回路25において遅延処理され、ミキサ32には遅延処理された送信信号が参照信号として直接供給され、一方、ミキサ34には遅延処理された送信信号がπ/2シフト回路26を経由して参照信号として供給される。
π/2シフト回路26は、遅延処理された参照信号の位相をπ/2だけずらす回路である。この結果、2つのミキサ32,34の一方から同相信号成分(I信号成分)が出力されて他方から直交信号成分(Q信号成分)が出力される。そして、受信ミキサ30の後段に設けられたLPF(ローパスフィルタ)36,38により、同相信号成分および直交信号成分の各々の高周波数成分がカットされ、検波後の必要な帯域のみの復調信号が抽出される。
なお、本実施形態においては、FM変調部20から得られる4つのFM連続波を加算した送信信号が利用されており、これにより、同相信号成分の復調信号と直交信号成分の復調信号に含まれる不要波成分が低減される。この不要波成分の低減については、後にさらに詳述する。
FFT処理部(高速フーリエ変換処理部)50は、LPF36,38から出力される不要波成分が低減された復調信号(同相信号成分および直交信号成分)の各々に対してFFT演算を実行する。その結果、FFT処理部50において復調信号が周波数スペクトラムに変換される。なお、FFT処理部50から出力される周波数スペクトラムは、回路の設定条件などにより周波数分解能δfの周波数スペクトラムデータとして出力される。
ドプラ情報解析部52は、周波数スペクトラムに変換された復調信号からドプラ信号を抽出する。後に詳述するが、図1の超音波診断装置では、遅延回路25における遅延処理により目標位置が設定され、ドプラ情報解析部52において目標位置からのドプラ信号が選択的に抽出される。ドプラ情報解析部52は、例えば、時間的に変化するドプラ信号の表示波形を形成する。なお、生体内の各深さ(各位置)ごとにドプラ信号を抽出して、例えば、超音波ビーム(音線)上の各深さごとに生体内組織の速度を算出し、リアルタイムで出力してもよい。また、超音波ビームを走査させて二次元的あるいは三次元的に生体内組織の各位置の速度を算出してもよい。
表示部54は、ドプラ情報解析部52において形成されたドプラ信号の波形などを表示する。なお、図1に示す超音波診断装置内の各部は、システム制御部60によって制御される。つまり、システム制御部60は、送信制御や受信制御や表示制御などを行う。
以上、概説したように、図1の超音波診断装置では、連続波(CW)を変調波でFM変調した超音波(FMCW波)を送受波して受信信号が得られて、目標位置からのドプラ情報が選択的に抽出される。さらに、互いに位相をずらした複数のFM連続波を加算した送信信号が利用され、復調信号に含まれる不要波成分が低減される。そこで、目標位置からのドプラ情報が選択的に抽出される位置選択性と不要波成分の低減について以下に詳述する。なお、図1に示した部分(構成)については、以下の説明においても図1の符号を利用する。
<位置選択性について>
周波数f0のRF波(搬送波)に対して、周波数fmの正弦波によりFM変調を施したFM連続波は次式のように表現できる。次式において、Δfは周波数変動幅の0−P値(ゼロピーク値:最大周波数偏移)であり、最大周波数偏移Δfと変調周波数fmの比であるβはFMの変調指数である。
周波数f0のRF波(搬送波)に対して、周波数fmの正弦波によりFM変調を施したFM連続波は次式のように表現できる。次式において、Δfは周波数変動幅の0−P値(ゼロピーク値:最大周波数偏移)であり、最大周波数偏移Δfと変調周波数fmの比であるβはFMの変調指数である。
本実施形態においては、互いに位相をずらした複数のFM連続波を加算した送信信号を利用して不要波成分を低減させている。しかし、位置選択性については、単独の各FM連続波(加算前のFM連続波)により実現できる。そこで、複数のFM連続波を加算することによる不要波成分の低減については後に詳述することとし、ここでは、数1式に示す単独のFM連続波による位置選択性について説明する。
数1式に示すFM連続波を超音波の送信波(送信信号)とした場合、ドプラシフトを伴う受信波(受信信号)は、生体における往復の減衰をαとすると次式で表現できる。なお、次式においてfmに対するドプラシフトは、f0のシフト分fdに比較して小さいので無視している。
図2は、周波数変調処理された送信信号と受信信号を説明するための図である。図2(a)は、送信信号の波形(数1式参照)を示しており、横軸が時間軸であり縦軸が振幅である。また、図2(b)は、送信信号と受信信号の各々についての瞬時周波数変化を示している。図2(b)の横軸は時間軸であり縦軸は周波数(瞬時周波数)である。なお、図2(a)と図2(b)の時間軸は互いに揃えられている。
図2(b)に示されるように、FM連続波の送信信号(破線)は、周期Tm=1/fmで周波数を変化させた連続波となっている。また、受信信号(実線)は、送信信号から、位相角でφmだけ遅れている。なお、図2(b)においては、数2式で示した受信信号の減衰やドプラシフトを省略している。
数2式で表される受信信号は、超音波振動子を介して受信される信号波形(受信RF信号)である。FMCWドプラでは、受信RF信号に対する復調処理において、送信信号を参照信号として受信信号と乗算を行う。図1を利用して説明したように、FM変調部20から出力されるFM連続波は、加算部21を介して(他のFM連続波と加算されて)、遅延回路25に供給される。そして、遅延回路25において遅延処理され、参照信号として、ミキサ32には遅延処理されたFM連続波が直接供給され、一方、ミキサ34には遅延処理されたFM連続波がπ/2シフト回路26を経由して供給される。したがって、ミキサ32へ供給される参照信号vrI(t)と、ミキサ34へ供給される参照信号vrQ(t)は次式のように表現できる。
数3式において、φmrは、遅延回路25における遅延処理により任意に設定できる参照信号の位相を示しており、φ0rは、任意に設定した参照信号の位相に対応して決まる搬送波の位相変化量を示している。
受信ミキサ30では、復調処理として直交検波が行われる。つまり、ミキサ32において、受信RF信号vR(t)と参照信号vrI(t)の乗算に相当する処理が実行され、また、ミキサ34において、受信RF信号vR(t)と参照信号vrQ(t)の乗算に相当する処理が実行される。
ミキサ32における受信RF信号vR(t)と参照信号vrI(t)の乗算vDI(t)は次式のように表現される。なお、次式の計算途中において、周波数2f0の成分が消去されている。これは、LPF36によって除去される。
ここで、ベッセル関数に関する次の公式を利用する。
数5式の公式を用いると、数4式はさらに次式のように計算される。
一方、ミキサ34における受信RF信号vR(t)と参照信号vrQ(t)の乗算vDQ(t)は次式のように表現される。なお、次式の計算途中において、周波数2f0の成分が消去されている。これは、LPF38によって除去される。
ここで、数6式のvDI(t)と数7式のvDQ(t)とに基づいて、複素ベースバンド信号を定義する。まず、vDI(t)とvDQ(t)に含まれている直流(DC)成分、変調周波数fmの偶数次高調波成分を次式のように表現する。
次に、vDI(t)とvDQ(t)に含まれている変調周波数fmの成分、変調周波数fmの奇数次高調波成分を次式のように表現する。
数8式と数9式から、直交検波後のベースバンド信号において、ドプラシフトfdを含んだドプラ信号は、DC成分と変調周波数fmの成分と変調周波数fmの高調波成分とからなる複数の成分の各々についての両側帯波として出現することがわかる。通信工学ではこの種の信号形式を両側帯波搬送波除去変調(Double-Sideband Suppressed-Carrier, DSB-SC)と呼んでいる。
ここで、受信信号と参照信号の位相を互いに揃えた場合、つまり、遅延回路25における遅延処理によりφmrを調整してφmと一致させた場合(φmr=φm)を考える。φmrとφmを一致させた場合には、数4式におけるkが0となる。この結果を数5式のベッセル関数に適用すると、次式のように、0次のベッセル関数の値のみが1となり、それ以外のベッセル関数の値は0となる。
数10式に示す結果を数8式と数9式に適用すると次式のとおりとなる。
数11式は、参照波(参照信号)の位相φmrを送受信間の位相差φmに設定すると、圧縮変換により、DC成分(直流信号成分)に対応したドプラ信号のみが抽出できることを示している。その結果として得られる複素ドプラ周波数fdの値と極性は、血流などの流体の速度とその極性を表わしている。また、ドプラ信号の振幅は、搬送波および参照波の位相に依存しないこともわかる。
この事実は以下のように解釈することもできる。図1における遅延回路25は、参照波(参照信号)における変調波の位相φmrを、送受信間の変調波の位相差φmに設定する役目を持っている。しかし、この遅延回路25は変調波の位相ばかりでなく、搬送波の位相も同時に変化させる。この値がφ0rである。搬送波の位相は、参照波における変調波の位相φmrに応じて変化するので、送受信間の変調波の位相差に応じた特定の値に定めることができない。しかし、数11式に示されているように、φ0rは、φ0と同様に、どんな値になろうとも、直交検波する限りは、ドプラ信号の振幅、周波数およびその極性に影響を与えない。
そのため、例えば、変調信号(変調波)のみを目標位置の深さに応じた遅延量だけ遅延処理して遅延変調信号を形成し、その遅延変調信号を用いて搬送波信号を変調処理することにより参照信号を形成し、その参照信号とπ/2だけ位相をずらした参照信号とを用いて復調処理を施すようにしてもよい。
そして、図1の超音波診断装置においては、以下に説明するように、PWドプラ(パルスドプラ)と同様に特定位置のドプラ情報をCWドプラと類似の比較的良好なSNRで得ることができる。数6式から数9式において、ドプラ信号の振幅を支配するJ0(kβ)の因数であるkβについて考察する。数4式におけるkの定義からkβは次式のように表現できる。次式は、kβが深さdに依存して正弦波状に変化することを意味している。
図3は、kβが深さdに依存して正弦波状に変化する様子を示す図である。第1次ベッセル関数の性質により、kβが0のときにJ0(kβ)が最大値となる。図3において実線で示されるkβの波形は、体表からの深さdが正の範囲において0となる深さが3箇所ある。これら3箇所の深さから得られるドプラ信号の振幅が最大となることを意味している。
数12式などから、目的とする深さからの受信信号の位相φmと、参照波の位相φmrとを一致させるとkβを0とすることができ、kβが0となる深さにおいてJ0(kβ)が最大となりドプラ信号の振幅が最大となる。つまり、遅延回路25において、目的とする深さからの受信信号の位相φmと参照波の位相φmrを一致させることにより、目的とする深さからのドプラ信号の振幅が最大となるようにして、そのドプラ信号を選択的に抽出することができる。
以上のように、ドプラ信号が選択的に抽出される目標位置は、遅延回路25における遅延処理に基づいて決定される。図1のシステム制御部60は、目標位置の深さに応じて遅延回路25における遅延時間を制御する。
さらに、図1の超音波診断装置では、周波数変調の影響に伴うドプラ信号の不要波成分が低減され、必要とされるドプラ信号が抽出される。そこで、周波数変調に伴う不要波成分と、その不要波成分の低減について以下に詳述する。なお、図1に示した部分(構成)については、以下の説明においても図1の符号を利用する。
<周波数変調に伴う不要波成分について>
ドプラ法の基本原理において、移動体(例えば血流)に関するドプラ周波数(ドプラシフト周波数)は、計測に利用される超音波の周波数と移動体の速度に比例する。図1の超音波診断装置においては、FM連続波を利用しており、FM連続波は、図2において説明したように、周波数(瞬時周波数)が周期的に変化している。そのため、移動体の速度が一定の場合においても、FM連続波を利用してその移動体のドプラ周波数を計測すると、FM連続波の周期性に伴ってドプラ周波数が周期的に変動する。
ドプラ法の基本原理において、移動体(例えば血流)に関するドプラ周波数(ドプラシフト周波数)は、計測に利用される超音波の周波数と移動体の速度に比例する。図1の超音波診断装置においては、FM連続波を利用しており、FM連続波は、図2において説明したように、周波数(瞬時周波数)が周期的に変化している。そのため、移動体の速度が一定の場合においても、FM連続波を利用してその移動体のドプラ周波数を計測すると、FM連続波の周期性に伴ってドプラ周波数が周期的に変動する。
図4は、FM連続波の周期性がドプラ周波数へ与える影響を説明する図である。図4には、ドプラシフトの影響を受けていないFM連続波70と、ドプラシフトの影響を受けたFM連続波72が図示されている。なお、図4の横軸は時間軸であり、図4の縦軸にはFM連続波70,72の瞬時周波数が示されている。
図1の超音波診断装置における連続波は、その瞬時周波数がFM連続波70のように周期的に正弦波状に変化する。そのため、移動体の速度が一定の場合においてもドプラシフトが周期的に変化し、その結果としてFM連続波72のような波形が得られる。つまり、FM連続波70の瞬時周波数が低い(小さい)時刻においては、比較的小さいドプラ周波数fdLとなり、FM連続波70の瞬時周波数が高い(大きい)時刻においては、比較的大きいドプラ周波数fdHとなる。
このように、FM連続波70を利用して得られるドプラ周波数の変動は、FM連続波70の周期性に対応した周期的なものとなる。特に、移動体の速度が大きい場合には、ドプラ周波数fdLとドプラ周波数fdHの差も大きくなり、ドプラ周波数の周期性が比較的顕著になる。一方、移動体の速度が小さい場合にはドプラ周波数fdLとドプラ周波数fdHの差が小さくなり、ドプラ周波数の周期性が比較的目立たなくなる。
図1の超音波診断装置において利用される連続波は、周波数f0のRF波(搬送波)に対して、周波数fmの正弦波によりFM変調を施したFM連続波であり、その信号は前述の数1式のとおりである。そのFM連続波の瞬時角周波数は、数1式の位相項を時間微分して次式のように表現される。
ここで、ドプラシフトを音速(超音波の速度)cと移動体の速度vの比だけ、瞬時周波数が変化する量として定義する。この場合、相対速度vに対するドプラ周波数変化は往復で速度2vとして次式で表現される。
数14式で表現されるドプラ周波数変化を瞬時位相に変換すると次式となる。
数15式で表現される瞬時位相は、移動体からの受信波の瞬時位相に対して、初項で表現される搬送波f0によるドプラシフトに加え、第2項で表現される変調波によるドプラシフトが追加されることを意味している。なお、第3項は積分定数であり、ドプラ周波数の位相を意味する。一般に、血流などの速度計測では、ドプラ周波数の位相情報までは必要としない。また、時間的に変化しない位相成分であるため、速度計測において物理的に大きな意味を含んでいないと考える。
受信波は、送受信時間差(目標位置までの往復の伝播時間)τだけ送信波よりも遅れて到着するため、送受信時間差τを考慮すると、受信波は次式のように表現される。
受信ミキサ30では、送信波に実質的に同じ波形の参照波(参照信号)と受信波との乗算(次式)に相当する処理が実行される。
数17式から2f0の周波数成分をローパスフィルタで除去すると、受信ミキサ30の出力(例えばLPF36の出力)は次式のように表現することができる。
数18式の結果について、さらに計算を進めると、次式のようになる。
数19式は、ドプラ信号が、新たに定義された変調度β´(数18式参照)と変調周波数fmにより周波数変調された信号に等しいことを意味している。
図5は、周波数変調の影響を受けたドプラ信号を説明するための図であり、図5には、数19式に対応したドプラ信号の周波数スペクトラムが示されている。なお、図5の横軸は周波数であり縦軸は電力である。
図5や数19式に示されるように、変調信号の影響を受けたドプラ信号には、変調周波数fmのゼロ次成分である直流成分J0(β´)に加え、1次成分J1(β´),2次成分J2(β´),3次成分J3(β´),・・・の折り返し成分が含まれている。なお、直流成分は周波数0からドプラ周波数fdだけ離れた位置に現れており、1次成分は周波数fmからドプラ周波数fdだけ離れた位置に現れており、2次成分は周波数2fmからドプラ周波数fdだけ離れた位置に現れている。
図6は、周波数変調の影響を受けたドプラ信号の時間変化波形を示す図であり、図5の周波数スペクトラムの時間変化を示している。つまり、図6には、ドプラ信号の直流成分と1次成分(−1次成分)と2次成分の各々についての時間変化波形が示されている。横軸に示す時間の経過に伴って測定対象である血流などの速度が変化すると、速度の変化に応じてドプラ周波数fdも変化する。そのため、図6に示す各成分の波形は、横軸に示す時間の経過に従って縦軸に示す周波数方向に変化している。
図1の超音波診断装置では、必要とされるドプラ信号として、ゼロ次成分である直流成分を抽出する。そのため、折り返し成分である1次成分,2次成分,3次成分,・・・を不要波成分として、これら不要波成分が低減される。
<不要波成分の低減について>
不要波成分を低減するために、図1の超音波診断装置では、変調波生成部24において変調信号が生成され、位相調整部23においてその変調信号の位相が調整され、FM変調部20において互いに位相をずらした複数のFM連続波が形成される。そして、互いに位相をずらした複数のFM連続波が加算部21で合成(加算)され、合成により得られた送信信号を利用して不要波成分が低減される。
不要波成分を低減するために、図1の超音波診断装置では、変調波生成部24において変調信号が生成され、位相調整部23においてその変調信号の位相が調整され、FM変調部20において互いに位相をずらした複数のFM連続波が形成される。そして、互いに位相をずらした複数のFM連続波が加算部21で合成(加算)され、合成により得られた送信信号を利用して不要波成分が低減される。
この不要波成分の低減について数式を利用して説明する。その説明において数式の記載を簡略化するために、これまでの数式に登場したいくつかの数量を次式の定義に従ってギリシャ文字で表現する。
図1を利用して説明したように、位相調整部23から位相0,π,π/2,3π/2の4つの変調信号が出力され、FM変調部20の第1変調器において位相0の変調信号を用いてRF波に対して周波数変調が施されて第1FM連続波が形成され、FM変調部20の第2変調器において位相πの変調信号を用いてRF波に対して周波数変調が施されて第2FM連続波が形成される。そこで、数1式のFM連続波を第1FM連続波(vTS1)とし、第1FM連続波から変調信号の位相をπだけずらした第2FM連続波(vTC1)を次式のように表現する。なお、数式の記載を簡略化するために、数1式における振幅Aを省略(A=1)している。
まず、数21式に示す第1FM連続波と第2FM連続波が加算されて送信信号が形成された場合について説明する。第1FM連続波と第2FM連続波が加算された場合の参照信号は、次式に示す第1FM連続波に対応した参照信号(vrefs1)と、第2FM連続波に対応した参照信号(vrefc1)が加算された信号となる。
また、第1FM連続波と第2FM連続波が加算された送信信号に基づいて得られる受信波は、次式に示す第1FM連続波に対応した受信信号(vRS1)と、第2FM連続波に対応した受信信号(vRC1)が加算された信号となる。
そして、受信ミキサ30において、例えばミキサ32において、数22式の参照信号と数23式の受信信号が乗算処理されて、ベースバンド信号(復調信号)が得られる。そこで、まず、数22式の参照信号(vrefs1)と数23式の受信信号(vRS1)による乗算処理を示すと次式のようになる。なお、次式の計算途中において、vDS1の低周波数成分が抽出されてvds1とされている。これは、例えばLPF36における処理に相当する。
また、数22式の参照信号(vrefc1)と数23式の受信信号(vRC1)による乗算処理を示すと次式のようになる。なお、次式の計算途中において、vDC1の低周波数成分が抽出されてvdc1とされている。これは、例えばLPF36における処理に相当する。
数24式における最終結果の第2項(最終行)と数25式における最終結果の第2項(最終行)は、共に変調周波数fmの奇数次の高調波成分であり、互いに極性(正負)が逆になっている。そのため、数22式の参照信号と数23式の受信信号が乗算処理されて得られるベースバンド信号(復調信号)内において、数24式の奇数次の高調波成分と数25式の奇数次の高調波成分が互いに加算されて打ち消し合うことになる。
次に、数22式の参照信号(vrefs1)と数23式の受信信号(vRC1)による乗算処理と、数22式の参照信号(vrefc1)と数23式の受信信号(vRS1)による乗算処理を示すと次式のようになる。なお、次式の計算途中において、vX1の低周波数成分が抽出されている。これは、例えばLPF36における処理に相当する。
数26式における最終結果は、ドプラ信号に、変調周波数fmの偶数次の高調波成分が含まれているものの、変調周波数fmの奇数次の高調波成分が含まれないことを示している。数24式から数26式の結果により、数22式の参照信号と数23式の受信信号が乗算処理されて得られるベースバンド信号(復調信号)内には、変調周波数fmの奇数次の高調波成分が含まれないことがわかる。
このように、FM変調部20から得られる第1FM連続波と第2FM連続波(数21式)を加算部21において加算した送信信号(合成送信信号)を利用することにより、復調信号に含まれる不要波成分として、変調周波数fmの奇数次の高調波成分を低減することができる。望ましくは、変調周波数fmの奇数次の高調波成分が完全に除去される。
図7は、第1FM連続波と第2FM連続波による不要波成分の低減を説明するための図である。図7の各横軸は周波数であり各縦軸は電力である。図7には、数24式から数26式の各々の結果に対応した周波数スペクトラムと、数24式から数26式の結果を加算して得られる信号の周波数スペクトラムが示されている。図7の最下段に示す加算結果から、変調周波数fmの奇数次の高調波成分がキャンセルされていることがわかる。
なお、数21式に示した第1FM連続波と第2FM連続波の組に代えて、次式に示す第3FM連続波(vTS2)と第4FM連続波(vTC2)の組を利用しても、復調信号に含まれる不要波成分として、変調周波数fmの奇数次の高調波成分を低減することができる。第3FM連続波は、FM変調部20の第3変調器において位相π/2の変調信号を用いて形成され、第4FM連続波は、FM変調部20の第4変調器において位相3π/2の変調信号を用いて形成される。
図8は、第3FM連続波と第4FM連続波による不要波成分の低減を説明するための図である。図8の各横軸は周波数であり各縦軸は電力である。図8には、数27式に示した第3FM連続波と第4FM連続波を用いて、数24式から数26式に対応した計算を進めた場合に得られる信号の周波数スペクトラムと、それらを加算して得られる周波数スペクトラムが示されている。図8の最下段に示す加算結果から、変調周波数fmの奇数次の高調波成分がキャンセルされていることがわかる。
なお、数21式と数27式においては、周波数f0の搬送波として正弦波(sin)を利用しているが、周波数f0の搬送波として余弦波(cos)を利用してもよい。
このように、第1FM連続波と第2FM連続波の組、または、第3FM連続波と第4FM連続波の組を利用することにより、変調周波数fmの奇数次の高調波成分を低減することができる。さらに、本実施形態においては、第1FM連続波から第4FM連続波までの4つのFM連続波を合成(加算)した送信信号(合成送信信号)を利用することにより、不要波成分の低減効果を高めることができる。
そこで、4つのFM連続波を合成した場合における不要波成分の低減について数式を利用して説明する。まず、第1FM連続波(vT1)と第2FM連続波(vT2)と第3FM連続波(vT3)と第4FM連続波(vT4)を次式のように表現する。
そして、数28式の4つのFM連続波を加算して得られる送信信号は次式のように表現される。
図9は、4つのFM連続波とそれらを合成した送信信号を説明するための図である。図9の各横軸は周波数であり各縦軸は振幅である。図9には、数28式に示した4つのFM連続波の各々の周波数スペクトラムと、4つのFM連続波を加算して得られる数29式の送信信号(合成送信信号)の周波数スペクトラムが示されている。図9の最下段に示す周波数スペクトラムから、4つのFM連続波を合成した送信信号は、搬送波周波数f0を中心として4fmごとに線スペクトラムを持つ側帯波から構成されていることがわかる。
数29式の送信信号を利用して得られる受信信号は次式のように表現される。
さらに、受信ミキサ30において得られるベースバンド信号(復調信号)は、参照信号として利用される数29式の送信信号と数30式の受信信号から、次式のように表現される。なお、次式の計算途中において、vDの低周波数成分が抽出されてvdとされている。これは、例えばLPF36における処理に相当する。
数31式の最終結果は3行に亘って表現されており、その第1行目に含まれるJ0の項が、必要とされる直流成分のドプラ信号である。このドプラ信号は次式のとおりである。
また、数31式の最終結果の第1行目に含まれるJ4nの項は、4n次(n=1〜∞)の高調波成分であり、それらの中で、n=1すなわち4次の高調波成分は次式のようになる。
次に、数31式の最終結果の第2行目の乗算結果と第3行目の乗算について解析する。図10は、復調信号に含まれる各項の周波数スペクトラムを示す図であり、図10には、数31式の最終結果の第2行目に含まれる各項の周波数スペクトラム(A)と、数31式の最終結果の第3行目に含まれる各項の周波数スペクトラム(B)が図示されている。図10を参照して、数31式の最終結果の第2行目の乗算結果と第3行目の乗算結果について解析する。
まず、直流成分は次式のように多項式の和として表現できる。
数34式の最終結果の第2項は、極性が交互に反転する成分の総和となり、数34式の最終結果においては、第1項が支配的となる。
次に、2fmの成分は、次式のようになり、複数の項が互いに打ち消し合って最終結果は0(ゼロ)となる。
次に、4fmの成分は次式のようになる。4fmの成分は、極性が交互に反転する成分の総和となり、その電力はほとんど相殺される。
数32式から数36式までの解析から、数31式の最終結果には、直流成分以外である不要波成分のうち、4次,8次,12次,・・・というような、変調波の4n倍(nは自然数)の不要波成分のみが残り、他の不要波成分はキャンセルされていることがわかる。
このように、FM変調部20から得られる第1FM連続波から第4FM連続波を加算部21において加算した合成送信信号(数29式)を利用することにより、変調波の4n倍(nは自然数)の不要波成分のみが残り、他の不要波成分を低減することができる。望ましくは、変調波の4n倍以外の不要波成分が完全に除去される。
なお、4つのFM連続波を合成した送信信号を利用することによる不要波成分の低減については、図7と図8の組み合わせから推定することもできる。
図11は、4つのFM連続波による不要波成分の低減を説明するための図である。図11の各横軸は周波数であり各縦軸は電力である。図11には、図7と図8に示した復調信号の周波数スペクトラムが示されており、図11の最下段には、図7と図8に示した復調信号を加算して得られる信号の周波数スペクトラムが示されている。数31式の最終結果から得られる周波数スペクトラムも図11の最下段のようになり、変調周波数fmの4n倍(nは自然数)の不要波成分のみが残り、他の不要波成分がキャンセルされていることがわかる。
図12は、不要波成分がキャンセルされたドプラ信号の時間変化波形を示す図であり、図11最下段の周波数スペクトラムの時間変化を示している。図6と比較すると、図12においては、1次成分(−1次成分)と2次成分の不要波成分がキャンセルされ、ドプラ信号の直流成分についての時間変化波形のみが示されている。なお、3次成分の不要波成分もキャンセルされる。そのため、図6の場合と比較して、図12においては、例えば、血流速度の測定範囲を4倍に拡大することが可能になる。なお、例えば、図12に示す直流成分の時間変化波形が、ドプラ信号の時間変化波形として、図1の表示部54に表示される。
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、上述した本発明の好適な実施形態等は、あらゆる点で単なる例示にすぎず、本発明の範囲を限定するものではない。本発明は、その本質を逸脱しない範囲で各種の変形形態を包含する。
20 FM変調部、21 加算部、22 RF波発振器、23 位相調整部、24 変調波生成部、25 遅延回路、50 FFT処理部、52 ドプラ情報解析部。
Claims (7)
- 変調周波数に応じて周期的に周波数を変化させた連続波信号に基づく送信信号を出力する送信信号処理部と、
送信信号に対応した超音波の送信波を生体に送波してその送信波に伴う受信波を生体から受波することにより受信信号を得る送受波部と、
生体内の目標位置との間の相関関係が調整された参照信号を用いて、受信信号に対して復調処理を施すことにより、当該目標位置に対応した復調信号を得る受信信号処理部と、
前記目標位置に対応した復調信号から生体内情報を抽出する生体内情報抽出部と、
を有し、
前記送信信号処理部は、互いに位相をずらした複数の連続波信号を合成した合成送信信号を出力し、
前記受信信号処理部は、前記合成送信信号に基づく受信信号に対して前記復調処理を施すことにより、不要波成分を低減された前記復調信号を得る、
ことを特徴とする超音波診断装置。 - 請求項1に記載の超音波診断装置において、
前記送信信号処理部は、変調信号を用いて搬送波信号を周波数変調処理することにより得られる連続波信号に基づいて合成送信信号を形成する、
ことを特徴とする超音波診断装置。 - 請求項2に記載の超音波診断装置において、
前記送信信号処理部は、変調信号の位相を調整することにより得られる互いに位相をずらした複数の連続波信号を合成して合成送信信号を形成する、
ことを特徴とする超音波診断装置。 - 請求項3に記載の超音波診断装置において、
前記送信信号処理部は、変調信号の位相を所定量だけ互いにずらした複数の連続波信号を合成して合成送信信号を形成する、
ことを特徴とする超音波診断装置。 - 請求項4に記載の超音波診断装置において、
前記送信信号処理部は、第1連続波信号と、第1連続波信号から変調信号の位相をπだけずらした第2連続波信号とを加算することにより合成送信信号を形成し、
前記受信信号処理部は、当該合成送信信号に基づく受信信号に対して前記復調処理を施すことにより、前記変調周波数の奇数次成分を低減された前記復調信号を得る、
ことを特徴とする超音波診断装置。 - 請求項4に記載の超音波診断装置において、
前記送信信号処理部は、第1連続波信号と、第1連続波信号から変調信号の位相をπだけずらした第2連続波信号と、第1連続波信号から変調信号の位相を+π/2だけずらした第3連続波信号と、第1連続波信号から変調信号の位相を+3π/2だけずらした第4連続波信号と、を加算することにより、合成送信信号を形成し、
前記受信信号処理部は、当該合成送信信号に基づく受信信号に対して前記復調処理を施すことにより、前記変調周波数の基本波成分と第2次高調波成分と第3次高調波成分を低減され、直流成分を含んだ前記復調信号を得る、
ことを特徴とする超音波診断装置。 - 請求項1から6のいずれか1項に記載の超音波診断装置において、
前記受信信号処理部は、前記目標位置の深さに応じて前記合成送信信号を遅延処理して得られる参照信号を用いて前記復調処理を施す、
ことを特徴とする超音波診断装置。
Priority Applications (1)
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JP2009256345A JP2011098162A (ja) | 2009-11-09 | 2009-11-09 | 超音波診断装置 |
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-
2009
- 2009-11-09 JP JP2009256345A patent/JP2011098162A/ja active Pending
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