JP2010011819A - レトルト食品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】食材の洗浄、皮むき、カッティングなどを行う下準備工程(S1)と、下準備をした食材のブランチング、pH調整などを行う前処理行程(S2)と、前処理をした食材を所定の割合で混ぜ合わせ、計量して一定量を調味液とともに袋(レトルトパウチ)に充填する充填工程(S3)と、袋内の空気をいったん排気して新たに不活性ガスを注入し、袋口を熱シール加工等により密封する密封工程(S4)と、食材を密封した袋を多段階昇温加熱処理可能な加圧加熱槽に収納して段階的に昇温・加熱し、調理と殺菌を連続して行う調理殺菌工程(S5)を順次経て、調理殺菌工程(S5)における調理殺菌に要する温度と時間を食品の種類と食材のブランチング量に応じて設定する。
【選択図】図1
Description
この加圧加熱機は、図5のブロック図に示すように、加圧加熱槽1内に袋詰された前処理済みの含気食品を収納し密閉した状態で、コンプレッサ2により槽内を所定圧力に加圧し、蒸気調整アナログ弁3と過熱蒸気発生装置4を介して加熱蒸気の温度を高めて熱交換器5に流し、熱交換により高温に昇温した熱水を槽内に噴出し、槽内温度と熱水温度により蒸気調整アナログ弁3と過熱蒸気発生装置4を制御し、槽内温度が100℃程度になるまで上昇させ、含気食品が調理完了するまでの時間(例えば30分)その状態に保って一次殺菌と調理を行い、調理後に過熱蒸気発生装置4を駆動して高温の熱水を供給して槽内温度tを120℃まで上げて所定時間(例えば5〜10分)維持し、所定時間経過後に2方向切換弁6を切換えて熱水の循環を止め、冷却水を循環して含気食品の温度を下げる。
従って、多段階昇温加熱処理可能な加圧加熱機を使用する際は各昇温加熱段階における温度・時間をこれらの食品特性を考慮して適正に設定する必要がある。
従って、これまでの防災食は乾パンや缶詰など飢えをしのぐだけで、長く食べ続けられるものはなかったが、本発明により普段食べ慣れた日常食と同様な食感が得られ、常温での長期保存が可能な防災食を提供できる。
レトルト食品の製造方法は、食材の洗浄、皮むき、カッティングなどを行う下準備工程(S1)と、下準備をした食材のブランチング、pH調整などを行う前処理行程(S2)と、前処理をした食材を所定の割合で混ぜ合わせ、計量して一定量を調味液とともに袋(レトルトパウチ)に充填する充填工程(S3)と、袋内の空気をいったん排気して新たに不活性ガスを注入し、袋口を熱シール加工等により密封する密封工程(S4)と、食材を密封した袋を多段階昇温加熱処理可能な加圧加熱槽に収納して段階的に昇温・加熱し、調理と殺菌を連続して行う調理殺菌工程(S5)を順次経て、調理殺菌工程(S5)における調理殺菌に要する温度と時間を食品の種類と食材のブランチング量に応じて設定する。
材料は冷凍鶏肉、人参、牛蒡、竹の子、れんこん、冷凍里芋、こんにゃくの7種類を使用した。
冷凍鶏肉は解凍してカットし、前処理として5分間ボイルした後、160℃の油で10秒間オイルブランチングする。
人参は皮むきしてカットし、前処理としてL−アスコルビン酸0.1%、乳酸カルシウム又は塩化カルシウム0.2%水溶液で5分間ボイルしてあく抜きした後、流水にさらして洗浄、冷却する。次にL−アスコルビン酸0.1%、乳酸カルシウム又は塩化カルシウム0.2%水溶液に30〜60分間浸漬処理してpHを4.6に調整する。
牛蒡は洗浄、カットして水さらしを行い、前処理としてL−アスコルビン酸0.1%、乳酸カルシウム又は塩化カルシウム0.2%水溶液の湯60℃に30分間浸してあく抜きした後、流水で洗浄する。次にL−アスコルビン酸0.1%、乳酸カルシウム又は塩化カルシウム0.2%水溶液に30〜60分間浸漬処理してpHを4.6に調整する。
竹の子はカットし、前処理として10分間ボイルしてあく抜きした後、流水で冷却する。次にクエン酸酸性pH3.0〜3.5水溶液に30〜60分間浸漬処理してpHを4.6に調整する。
れんこんはカットし、前処理としてL−アスコルビン酸0.1%、乳酸カルシウム又は塩化カルシウム0.2%水溶液の熱湯80℃に30分間浸してあく抜きした後、流水にさらして洗浄、冷却する。次にL−アスコルビン酸0.1%、乳酸カルシウム又は塩化カルシウム0.2%水溶液に30〜60分間浸漬処理してpHを4.6に調整する。
冷凍里芋は前処理としてL−アスコルビン酸0.1%水溶液で10分間再沸ボイルして解凍した後、流水で冷却する。次にL−アスコルビン酸0.1%水溶液に30〜60分間浸漬処理してpHを4.6に調整する。
こんにゃくはカットし、前処理として熱湯80℃に30分間浸してあく抜きした後、L−アスコルビン酸0.1%水溶液に30〜60分間浸漬処理してpHを4.6に調整する。
この状態で加圧加熱槽に収納して槽内の温度を段階的に昇温し、小袋の場合は殺菌条件102℃30分、110℃10分で調理と殺菌を同時に行った。
このように調理された筑前煮の殺菌時のF0値は0.3〜0.5レベルで、商業的無菌を達成している。また、鶏肉、人参、牛蒡、竹の子、れんこん、里芋、こんにゃくの食感は良好であった。
食感比較グラフは、鍋での調理法、本発明の調理法、従来のレトルト調理法で調理した筑前煮の人参と鶏肉の食感を比較したもので、食感をテクスチャ測定器(山電製)で測定したプランジャの圧縮に対する応力で表現している。
図2より、人参の場合従来のレトルト調理法ではプランジャの圧縮に対して応力の低下が見られ、煮崩れしているのが分かる。一方、鍋や本発明の調理法では従来のレトルト調理法に比べ略3倍の応力があり、人参本来の歯ごたえが維持されているのが分かる。
材料はじゃがいも、玉ねぎ、牛肉、糸こんにゃく、人参の5種類を使用した。
じゃがいもは皮むきしてカットし、前処理として熱湯90〜95℃で5分間ボイルした後、流水で冷却して水切りする。
玉ねぎは皮むきして洗浄した後、くし状にカットする。
牛肉はスライスしてカットし、前処理として5分間再沸ボイルしてあく抜きした後、流水で冷却して水切りする。
糸こんにゃくは、前処理として熱湯80℃で30分間あく抜きした後、流水で冷却して水切りする。
人参は皮むきしてカットし、前処理としてクエン酸酸性pH3.0〜3.3、乳酸カルシウム又は塩化カルシウム0.2%水溶液で5分間再沸ボイルしてあく抜きした後、流水で冷却、洗浄して水切りする。
この状態で加圧加熱槽に収納して槽内の温度を段階的に昇温し、小袋の場合は殺菌条件100℃5分、110℃25分、115℃10分で調理と殺菌を同時に行った。
このように調理された肉じゃがの殺菌時のF0値は3.6前後で、商業的無菌を達成している。また、じゃがいも、玉ねぎ、牛肉、糸こんにゃく、人参の食感は良好であった。
材料は豚肉、人参、こんにゃく、里芋、牛蒡、油揚げの6種類を使用した。
豚肉はスライスしてカットし、前処理として5分間ボイルしてあく抜きした後、流水で冷却して水切りする。
人参は実施例1の筑前煮と同じ処理を施す。
こんにゃくは実施例2の肉じゃがと同じ処理を施す。
里芋は実施例1の筑前煮と同じ処理を施す。
牛蒡は実施例1の筑前煮と同じ処理を施す。
油揚げはスライスし、前処理として3分間ボイルして油抜きした後、流水で冷却して水切りする。
この状態で加圧加熱槽に収納して槽内の温度を段階的に昇温し、殺菌条件110℃25分、115℃10分で調理と殺菌を同時に行った。
このように調理された豚汁の殺菌時のF0値は3.4で、商業的無菌を達成している。
また、豚肉、人参、こんにゃく、里芋、牛蒡、油揚げの食感は良好であった。
材料は鯖を使用した。
鯖は3枚におろしてフィレを3〜4等分にした切り身にし、前処理として蒸し器で10分間蒸す。
このように前処理した材料をアルミパウチに充填し、調味液を注入して袋内の空気を窒素で置換し、アルミパウチを密封する。
この状態で加圧加熱槽に収納して槽内の温度を段階的に昇温し、殺菌条件100℃5分、110℃30分、115℃10分で調理と殺菌を同時に行った。
このように調理されたさば味噌煮の殺菌時のF0値は3.3レベルで、商業的無菌を達成している。また、鯖はたんぱく熱変性が殆どなく食感は良好であった。
材料は合挽きミンチ、玉ねぎ、パン粉、チキンブイヨン、鶏卵、ケチャップ、食塩、香辛料等を使用した。
ハンバーグは、前処理として合挽きミンチに前もってソテーしたきざみ玉ねぎ、パン粉、その他の材料を所定の割合でよく混合して楕円形に成型する。次に熱した鉄板で表面を軽く焼き、肉汁が外に出ないように表面を固める。次にトンネル式、又はバッチ式スチームオーブンで約200℃の熱で7割ほど火を通す。
このように前処理した材料をアルミパウチに入れ、ハンバーグ用ソースを注入して袋内の空気を窒素で置換し、アルミパウチを密封する。
この状態で加圧加熱槽に収納して槽内の温度を段階的に昇温し、殺菌条件100℃5分、110℃30分、120℃10分で調理と殺菌を同時に行った。
このように調理されたハンバーグの殺菌時のF0値は3.8であった。殺菌後、35±1℃で14日保存後の細菌検査の結果は一般生菌数、及び嫌気性菌共に陰性であり、商業的無菌であった。ハンバーグは肉本来の食感を有して美味しいものであった。また、賞味期限を決定する虐待テストにおいて、5年相当期間の後の官能検査においても正常であった。
図より、従来のレトルト調理法では食品の中心温度がなかなか所定の殺菌温度に到達せず、本発明の調理法に比べ殺菌に略2倍時間を要していることが分かる。また、冷却にも略2倍時間を要していることが分かる。
2 コンプレッサ
3 蒸気調整アナログ弁
4 過熱蒸気発生装置
5 熱交換器
6 2方向切換弁
Claims (6)
- 食材のカッティングを含む下準備を行う下準備工程と、
食材のブランチングを含む前処理を行う前処理行程と、
食材を所定の割合で混合して袋に充填する充填工程と、
袋内の空気を不活性ガスで置換して袋を密封する密封工程と、
袋を段階的に昇温・加熱して調理と殺菌を連続して行う調理殺菌工程と、
からなるレトルト食品の製造工程において、
前記調理殺菌に要する温度と時間を食品の種類と食材のブランチング量に応じて設定することを特徴とするレトルト食品の製造方法。 - 前記食品が筑前煮の場合、
冷凍鶏肉のボイルを5分、オイルブランチングを160℃/10秒、
人参のボイルを5分、
牛蒡の湯通しを60℃/30分、
竹の子のボイルを10分、
れんこんの湯通しを80℃/30分、
冷凍里芋の再沸ボイルを10分、
こんにゃくの湯通しを80℃/30分、
ブランチングした後の
一次昇温加熱が102℃/30分、
二次昇温加熱が110℃/10分、
であることを特徴とする請求項1記載のレトルト食品の製造方法。 - 前記食品が肉じゃがの場合、
じゃがいもの湯通しを90〜95℃/5分、
牛肉の再沸ボイルを5分、
糸こんにゃくの湯通しを80℃/30分、
人参の再沸ボイルを5分、
ブランチングした後の
一次昇温加熱が100℃/5分、
二次昇温加熱が110℃/25分、
三次昇温加熱が115℃/10分、
であることを特徴とする請求項1記載のレトルト食品の製造方法。 - 前記食品が豚汁の場合、
豚肉のボイルを5分、
人参のボイルを5分、
こんにゃくの湯通しを80℃/30分、
冷凍里芋の再沸ボイルを10分、
ブランチングした後の
一次昇温加熱が110℃/25分、
二次昇温加熱が115℃/10分、
であることを特徴とする請求項1記載のレトルト食品の製造方法。 - 前記食品がさば味噌煮の場合、
鯖を10分蒸した後の
一次昇温加熱が100℃/5分、
二次昇温加熱が110℃/30分、
三次昇温加熱が115℃/10分、
であることを特徴とする請求項1記載のレトルト食品の製造方法。 - 前記食品がハンバーグ煮込みの場合、
ハンバーグを200℃のオーブンで7割ほど焼いた後の
一次昇温加熱が100℃/5分、
二次昇温加熱が110℃/30分、
三次昇温加熱が120℃/10分、
であることを特徴とする請求項1記載のレトルト食品の製造方法。
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