JP2010006765A - イオン性化合物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】発光性の高いイオン性化合物を高い収率で製造する。
【解決手段】有機溶媒中で、式:(NPR1 2)n[R1はハロゲン元素又は一価の置換基で、少なくとも一つのR1は式:−N+2 3Cl-(R2は一価の置換基又は水素で、少なくとも一つのR2は水素ではない)のイオン性置換基であり;nは3〜15を表す]で表されるイオン性化合物と式:A+-[A+は一価の陽イオンを表し、X-は一価の陰イオンを表す]で表される塩とを反応させて式:(NPR3 2)n[R3はハロゲン元素又は一価の置換基で、少なくとも一つのR3は式:−N+2 3-で表されるイオン性置換基である]で表されるイオン性化合物を生成させ、工程(A)からの反応混合物を濾過してA+Cl-を除去し、工程(B)からの濾液を遠心分離して上澄み液を採取し、工程(C)からの上澄み液に活性炭を加えて反応副生物を除去する。
【選択図】図1

Description

本発明は、イオン性化合物の製造方法、特には、発光性が高い新規イオン性化合物を高い収率で製造する方法に関するものである。
1992年のWilkesらの報告以来、常温で液体であり、イオン伝導性に優れた物質として、イオン液体が注目を集めている。該イオン液体は、陽イオンと陰イオンが静電気的引力で結合しており、イオンキャリア数が非常に多く、更には粘度も比較的低いため、イオンの移動度が常温でも高く、従って、イオン伝導性が非常に高いという特性を有する。また、イオン液体は、陽イオンと陰イオンのみで構成されているため、沸点が高く(300℃超)、液体状態を保持できる温度範囲が非常に広い。更に、該イオン液体は、蒸気圧が殆どないため、引火性が低く、熱的安定性も非常に優れている(非特許文献1及び2参照)。
これら様々な利点を有するため、イオン液体は、昨今、非水電解液2次電池や電気二重層キャパシタの電解液への適用が検討されており(特許文献1及び2参照)、特に、電気二重層キャパシタの電解液にイオン液体を用いた場合には、イオン液体が電気二重層を形成するためのイオン源としても機能するため、別途支持電解質を添加する必要がないという利点もある。しかしながら、上記イオン液体は、常温で液体であるために通常有機基を含んでおり、燃焼の危険性がある。
これに対して、特開2007−153868号(特許文献3)には、燃焼の危険性が非常に低いイオン液体として、環状ホスファゼン化合物にアミンを結合させた構造の新規物質が報告されている。しかしながら、環状ホスファゼン化合物とアミンを単に混合して得られる反応混合物は、空気中で不安定である。
これに対して、特開2007−153867号(特許文献4)には、水相及び有機相からなる二相系で環状ホスファゼン化合物とアミンを界面反応させることで、イオン性化合物を安定的に生成させ、更に、該イオン性化合物を安定的に回収できることが開示されている。
J. Electrochem. Soc., 144 (1997) 3881 「イオン性液体の機能創成と応用」,エヌ. ティー. エス,(2004) 特開2004−111294号公報 特開2004−146346号公報 特開2007−153868号公報 特開2007−153867号公報
しかしながら、本発明者が更に検討を進めたところ、特開2007−153867号に記載の方法では、生成物の収率が低い上、精製が複雑になる問題があることが分かった。
また、本発明者が別の検討を行ったところ、特開2007−153867号に記載の方法で得られる生成物は、驚くべきことに発光性を有することが分かった。しかしながら、その発光性は低く、改良の余地があった。
そこで、本発明の目的は、発光性の高い新規イオン性化合物を高い収率で製造することが可能な方法を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、有機溶媒中で、環状ホスファゼン化合物にアミンが付加したイオン性化合物をイオン交換し、濾過し、遠心分離した後、活性炭で精製することで、発光性の高いイオン性化合物を高い収率で製造できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明のイオン性化合物の製造方法は、
・有機溶媒中で、下記一般式(I):
(NPR1 2)n ・・・ (I)
[式中、R1は、それぞれ独立してハロゲン元素又は一価の置換基で、少なくとも一つのR1は、下記一般式(II):
−N+2 3Cl- ・・・ (II)
(式中、R2は、それぞれ独立して一価の置換基又は水素で、但し、少なくとも一つのR2は水素ではなく、また、R2は互いに結合して環を形成してもよい)で表されるイオン性置換基であり;nは3〜15を表す]で表されるイオン性化合物と下記一般式(III):
+- ・・・ (III)
[式中、A+は一価の陽イオンを表し、X-は一価の陰イオンを表す]で表される塩とを反応させて、下記一般式(IV):
(NPR3 2)n ・・・ (IV)
[式中、R3は、それぞれ独立してハロゲン元素又は一価の置換基で、少なくとも一つのR3は、下記一般式(V):
−N+2 3- ・・・ (V)
(式中、R2及びX-は上記と同義である)で表されるイオン性置換基であり;nは上記と同義である]で表されるイオン性化合物を生成させる工程(A)と、
・前記工程(A)で得られる反応混合物を濾過して、A+Cl-(式中、A+は上記と同義である)を除去する工程(B)と、
・前記工程(B)で得られる濾液を遠心分離して上澄み液を採取する工程(C)と、
・前記工程(C)で得られる上澄み液に活性炭を加えて反応副生物を除去する工程(D)と
を含むことを特徴とする。
本発明のイオン性化合物の製造方法において、前記有機溶媒としては、ハロゲン化炭化水素が好ましく、クロロホルムが特に好ましい。
本発明のイオン性化合物の製造方法の好適例においては、前記一般式(I)で表されるイオン性化合物の有機溶媒中での濃度が0.01〜0.4 mol/Lの範囲であり、前記一般式(III)で表される塩の有機溶媒中での濃度が0.01〜0.4 mol/Lの範囲である。
本発明のイオン性化合物の製造方法においては、前記一般式(III)及び(V)中のX-がイミドイオンであることが好ましい。
本発明によれば、有機溶媒中で、環状ホスファゼン化合物にアミンが付加したイオン性化合物をイオン交換し、濾過し、遠心分離した後、活性炭で精製することで、発光性の高いイオン性化合物を高い収率で製造できる。
以下に、本発明を詳細に説明する。本発明のイオン性化合物の製造方法は、有機溶媒中で、上記一般式(I)で表されるイオン性化合物と上記一般式(III)で表される塩(イオン交換剤)とを反応させて、イオン交換反応により上記一般式(IV)で表されるイオン性化合物を生成させる工程(A)を含むことを特徴とする。上述した式(I)のイオン性化合物は、アニオンが塩素イオンであるが、この方法によれば、使用目的に応じて、アニオンの種類を変更することができる。なお、上述した式(I)のイオン性化合物は、アニオンが塩素イオンであり、通常、25℃(室温)で固体であるが、アニオンの種類を適宜変更することで、25℃(室温)で液体のイオン性化合物を得ることができる。
上記式(IV)のイオン性化合物の製造方法において、有機溶媒としては、ハロゲン化炭化水素が好ましく、ハロゲン化炭化水素の中でもクロロホルムが好ましい。なお、使用する有機溶媒は、一種のみでもよいし、二種以上の混合物であってもよい。
上記一般式(I)において、R1は、それぞれ独立してハロゲン元素又は一価の置換基で、少なくとも一つのR1は、上記一般式(II)で表されるイオン性置換基であり、nは3〜15であり、原料の入手容易性の観点から、3〜4が好ましく、3が特に好ましい。R1におけるハロゲン元素としては、フッ素、塩素、臭素等が挙げられる。
上記一般式(I)のR1において、ハロゲン元素としては、フッ素、塩素、臭素等が好適に挙げられ、これらの中でも、フッ素が好ましい。また、R1における一価の置換基としては、アルコキシ基、アルキル基、アリールオキシ基、アリール基、カルボキシル基、アシル基等が挙げられる。上記アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、メトキシエトキシ基、プロポキシ基等や、二重結合を含むアリルオキシ基やビニルオキシ基等、更にはメトキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基等のアルコキシ置換アルコキシ基等が挙げられ、上記アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基等が挙げられ、上記アリールオキシ基としては、フェノキシ基、メチルフェノキシ基、メトキシフェノキシ基等が挙げられ、上記アリール基としては、フェニル基、トリル基、ナフチル基等が挙げられ、上記アシル基としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基等が挙げられる。なお、上記一価の置換基中の水素元素は、ハロゲン元素で置換されていることが好ましく、ハロゲン元素としては、フッ素、塩素、臭素等が好適に挙げられる。
上記一般式(I)において、nは3〜15であり、入手容易性の観点から、3〜4が好ましく、3が特に好ましい。
上記一般式(II)において、R2は、それぞれ独立して一価の置換基又は水素であり、但し、少なくとも一つのR2は水素ではなく、また、R2は互いに結合して環を形成してもよい。ここで、R2における一価の置換基としては、アルキル基、アリール基等が挙げられ、アルキル基が好ましい。上記アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基等が挙げられ、上記アリール基としては、フェニル基、トリル基、ナフチル基等が挙げられる。また、複数のR2が互いに結合して環を形成する場合において、3つのR2のいずれか2つが結合して形成する環としては、アジリジン環、アゼチジン環、ピロリジン環、ピペリジン環等のアザシクロアルカン環や、該アザシクロアルカン環のメチレン基がカルボニル基に置き換わった構造のアザシクロアルカノン環等が挙げられ、3つのR2が結合して形成する環としては、ピリジン環等が挙げられる。なお、上記一価の置換基中の水素元素は、ハロゲン元素等で置換されていてもよい。
上記一般式(III)において、A+は一価の陽イオンを表し、X-は一価の陰イオンを表す。A+における一価の陽イオンとしては、Ag+、Li+等が挙げられる。また、X-における一価の陰イオンとしては、Cl-以外の一価の陰イオン、具体的には、BF4 -、PF6 -、AsF6 -、SbF6 -、CF3SO3 -の他、(CF3SO2)2-、(C25SO2)2-、(C37SO2)2-、(CF3SO2)(C25SO2)N-、(CF3SO2)(C37SO2)N-、(C25SO2)(C37SO2)N-等のイミドイオンが挙げられる。ここで、A+がLi+である場合、X-としてはイミドイオンが好ましい。小さなイオン半径を有するLi+とは対照的に、上記イミドイオンは大きなイオン半径を有するため、陽イオンと陰イオンとのイオン半径の違いによる影響(ソフト・ハード塩基・酸の関係)で良好に反応し、置換反応が進むからである。一方、A+がAg+である場合は、ほぼ総ての陰イオンを使用することができる。
上記一般式(IV)において、R3は、それぞれ独立してハロゲン元素又は一価の置換基で、少なくとも一つのR3は、上記一般式(V)で表されるイオン性置換基であり、nは3〜15であり、原料の入手容易性の観点から、3〜4が好ましく、3が特に好ましい。R3におけるハロゲン元素としては、フッ素、塩素、臭素等が挙げられる。一方、R3における一価の置換基としては、R1における一価の置換基の項で例示したものを同様に挙げることができる。
上記一般式(V)において、R2は、上記一般式(II)中のR2と同義で、それぞれ独立して一価の置換基又は水素であり、但し、少なくとも一つのR2は水素ではなく、また、該R2は互いに結合して環を形成してもよい。式(V)のR2における一価の置換基としては、式(II)のR2における一価の置換基の項で例示したものを同様に挙げることができ、また、式(V)の3つのR2のいずれか2つが結合して形成する環及び3つのR2が結合して形成する環としては、式(II)の3つのR2のいずれか2つが互いに結合して形成する環及び3つのR2が結合して形成する環の項で例示したものを同様に挙げることができる。また、上記一般式(V)において、X-は、上記一般式(III)中のX-と同義であり、一価の陰イオンを表す。式(V)のX-における一価の陰イオンとしては、式(III)のX-における一価の陰イオンの項で例示したものを同様に挙げることができる。
式(IV)のイオン性化合物の製造にあたって、式(III)の塩の使用量は、式(I)のイオン性化合物の塩素イオンの量に応じて適宜選択でき、例えば、式(I)のイオン性化合物の塩素イオン1 molあたり、1〜1.5 molの範囲が好ましい。また、有機溶媒中での式(I)のイオン性化合物の濃度は、1〜5 mol/Lの範囲が好ましく、有機溶媒中での式(III)の塩の濃度は、1.5〜7.5 mol/Lの範囲が好ましい。有機溶媒中での式(I)のイオン性化合物の濃度が1〜5 mol/Lの範囲であれば、有機溶媒に不溶な固体物質が溶媒中の容積を占領し、反応を阻害することが少ない。一方、有機溶媒中での式(III)の塩の濃度を式(I)のイオン性化合物の濃度に対して1.5倍程度過剰に、即ち、1.5〜7.5 mol/Lの範囲にしておけば、塩素イオンとの配位子置換反応が円滑に行なわれる。
式(I)のイオン性化合物と式(III)の塩との反応における反応温度は、特に制限されるものではないが、室温〜50℃の範囲が好ましく、室温でも十分に反応が進行する。また、反応圧力も特に限定されず、大気圧下で実施することができる。
本発明のイオン性化合物の製造方法では、上記工程(A)の後に、上記工程(A)で得られる反応混合物を濾過して、A+Cl-(式中、A+は上記と同義である)で表わされる塩を除去する工程(B)を行う。工程(B)において、濾過方法は、特に限定されず、公知の濾材を用いて、常圧下で濾過してもよいし、減圧下で濾過してもよい。なお、工程(B)で除去される塩は、使用する式(III)の塩に依存し、銀塩を使用した場合はAgClが除去され、リチウム塩を使用した場合はLiClが除去される。
ここで、本発明者が検討したところ、上記工程(B)で得られる濾液から有機溶媒を留去して得られる反応生成物は、副生物を含み、発光量子収率が低いことが分かった。そのため、本発明では、以下に詳述する工程(C)及び工程(D)を経て、反応生成物の精製を行う。
本発明のイオン性化合物の製造方法では、上記工程(B)の後に、上記工程(B)で得られる濾液を遠心分離して上澄み液を採取する工程(C)を行う。工程(C)において、遠心分離方法は特に限定されず、公知の遠心分離機を用いて通常の方法で実施できる。なお、遠心分離における回転速度は、特に限定されるものではないが、9000〜12000 rpmの範囲が好ましい。
本発明のイオン性化合物の製造方法では、上記工程(C)の後に、上記工程(C)で得られる上澄み液に活性炭を加えて反応副生物を除去する工程(D)を行う。工程(D)において使用する活性炭は、特に限定されず、公知の活性炭を使用できる。活性炭の使用量は、特に限定されるものではないが、式(IV)のイオン性化合物1 g当り1 g〜5 gの範囲が好ましい。
上記(D)工程の後は、例えば、活性炭を濾過で取り除き、使用した有機溶媒を留去することで式(IV)のイオン性化合物を単離することができる。なお、上記工程(B)で得られる濾液から有機溶媒を留去して得られる反応生成物は、副生物を含むため、発光性が低いが、本発明に従い工程(C)及び工程(D)を経て精製された式(IV)のイオン性化合物は、発光性が高いという特徴を有する。
本発明の製造方法で出発原料として用いる上記一般式(I)で表されるイオン性化合物の製造方法は、特に限定されず、例えば、有機溶媒中で、下記一般式(VI):
(NPR4 2)n ・・・ (VI)
[式中、R4は、それぞれ独立してハロゲン元素又は一価の置換基で、少なくとも一つのR4は塩素であり;nは3〜15を表す]で表される環状ホスファゼン化合物と、下記一般式(VII):
NR2 3 ・・・ (VII)
[式中、R2は、それぞれ独立して一価の置換基又は水素で、但し、少なくとも一つのR2は水素ではなく、また、R2は互いに結合して環を形成してもよい]で表されるアミンとを反応させることで、上記一般式(I)で表されるイオン性化合物を製造することができる。
上記式(I)のイオン性化合物の製造において、有機溶媒としては、芳香族炭化水素、エステル化合物及びエーテル化合物が好ましい。ここで、芳香族炭化水素の中でもトルエンが好ましく、エステル化合物の中でも酢酸エチルが好ましく、エーテル化合物の中でも、ジエチルエーテルが好ましい。これら有機溶媒は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。
上記一般式(VI)において、R4は、それぞれ独立してハロゲン元素又は一価の置換基で、少なくとも一つのR4は塩素であり、nは3〜15であり、原料の入手容易性の観点から、3〜4が好ましく、3が特に好ましい。式(VI)中のR4が塩素である部分に式(VII)のアミンが付加するため、出発物質である式(VI)の環状ホスファゼン化合物の骨格のリンに結合する塩素の数を調整することで、目的生成物である式(I)のイオン性化合物中の式(II)で表されるイオン性置換基の導入数をコントロールすることができる。
上記一般式(VI)中のR4において、ハロゲン元素としては、塩素の他に、フッ素、臭素等が好適に挙げられ、これらの中でも、塩素及びフッ素が好ましい。また、R4における一価の置換基としては、R1における一価の置換基の項で例示したものを同様に挙げることができる。
上記一般式(VI)で表される環状ホスファゼン化合物は、例えば、式(VI)中のR4が総て塩素である市販のホスファゼン化合物を出発物質として、総ての塩素をフッ素化剤によりフッ素化した後、目的とする塩素置換部位にアルコキシ基やアミン基等を導入した後、HClやホスゲン等の塩素化剤により再び塩素化を行う方法や、使用する式(VI)中のR4が総て塩素である市販のホスファゼン化合物に対して導入するフッ素の当量を計算した上で、必要量のフッ素化剤を添加する方法等で合成することができる。ここで、再塩素化における塩素化剤やフッ素化におけるフッ素化剤の使用量や反応条件を変えることで、式(VI)のR4における塩素数をコントロールすることができる。
上記一般式(VII)において、R2は、上記一般式(II)中のR2と同義で、それぞれ独立して一価の置換基又は水素であり、但し、少なくとも一つのR2は水素ではなく、また、該R2は互いに結合して環を形成してもよい。式(VII)のR2における一価の置換基としては、式(II)のR2における一価の置換基の項で例示したものを同様に挙げることができ、また、式(VII)の3つのR2のいずれか2つが結合して形成する環及び3つのR2が結合して形成する環としては、式(II)の3つのR2のいずれか2つが互いに結合して形成する環及び3つのR2が結合して形成する環の項で例示したものを同様に挙げることができる。なお、式(VII)のアミンの使用量等を調整することで、R1の一部を塩素とすることができる。
上記一般式(VII)で表されるアミンとして、具体的には、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリヘキシルアミン、トリオクチルアミン、ブチルジメチルアミン、ヘキシルジメチルアミン等の脂肪族3級アミン、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン等の環状3級アミン、ジメチルアニリン等のジアルキル置換アニリンやピリジン等の芳香族3級アミン、アニリン等の芳香族1級アミン等が挙げられ、これらの中でも、3級アミンが好ましく、脂肪族3級アミンが更に好ましい。
式(I)のイオン性化合物の製造にあたって、式(VII)のアミンの使用量は、目的とするアミンの導入量に応じて適宜選択でき、例えば、式(VI)の環状ホスファゼン化合物中のR4における塩素1 molあたり、1〜1.5 molの範囲が好ましい。また、有機溶媒中での式(VI)の環状ホスファゼン化合物の濃度は、1〜5 mol/Lの範囲が好ましく、有機溶媒中での式(VII)のアミンの濃度は、1〜5 mol/Lの範囲が好ましい。有機溶媒中での式(VI)の環状ホスファゼン化合物の濃度が1〜5 mol/Lの範囲であれば、有機溶媒に易溶であり、有機溶媒中での式(VII)のアミンの濃度が1〜5 mol/Lの範囲であれば、生成したイオン性化合物(固体)が速やかに溶媒中で沈殿し、反応を阻害することがない。なお、これを超える濃度でイオン性化合物が生成した場合には、有機溶媒中を生成した固体が占領し、反応速度に支障を来たすことがある。
式(VI)の環状ホスファゼン化合物と式(VII)のアミンとの反応における反応温度は、特に制限されるものではなく、室温でも十分に反応が進行するが、15℃〜50℃の範囲で制御することができる。なお、反応が速い場合には、適時温度を下げることが有効であり、反応が遅い場合には、昇温して反応速度を上げることができる。但し、50℃を超えると、原材料であるホスファゼン化合物が揮発し易くなるため、50℃以下で反応を行なうことが好ましい。また、反応圧力も特に限定されず、大気圧下で実施することができる。なお、式(VI)の環状ホスファゼン化合物と式(VII)のアミンとの反応は、外部から反応系に水分が混入しないように、窒素等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。不活性ガス雰囲気下で反応を行うことで、アミン塩酸塩の副生を抑制することができる。
上述した本発明の製造方法の目的生成物である式(IV)のイオン性化合物は、リン−窒素間二重結合を複数有する環状ホスファゼン化合物の一種であると共に、R3の少なくとも一つが上記式(V)のイオン性置換基である。式(V)のイオン性置換基は、−NR2 3と、Xとが主として静電気的引力によって結合してなるため、式(V)のイオン性置換基を有する式(IV)の化合物は、イオン性を有し、液体の場合は、イオン液体となり、一方、固体の場合は、イオン結晶となる。また、式(IV)の化合物は、ホスファゼン骨格を有するため、燃焼時に分解して、窒素ガスやリン酸エステル等を発生し、該窒素ガスやリン酸エステル等が燃焼の進行を抑制するため、燃焼の危険性が低い。更に、上記イオン性化合物がハロゲンを含む場合、万が一の燃焼時にはハロゲンが活性ラジカルの捕捉剤として機能し、燃焼の危険性を更に低減する。また更に、上記イオン性化合物が有機置換基を含む場合、燃焼時に炭化物(チャー)を生成するため酸素の遮断効果もある。また、本発明の製造方法で得られる式(IV)のイオン性化合物は、従来の方法で得られものよりも、発光性が高い。
上記式(IV)のイオン性化合物において、R3は、少なくとも一つが上記式(V)のイオン性置換基であるが、イオン性化合物の不燃性の観点から、その他がフッ素であることが好ましい。従って、式(I)のイオン性化合物の原料物質である式(VI)の環状ホスファゼン化合物において、R4は、少なくとも一つが塩素で、その他がフッ素であることが好ましい。
本発明の製造方法で得られるイオン性化合物は、室温(25℃)で液体の場合、電気二重層キャパシタ用電解液、リチウムイオン電池用電解液、色素増感型太陽電池用電解液、有機合成用の反応溶媒、有機化合物の抽出溶媒、磁性流体等として利用することができ、一方、室温(25℃)で固体の場合は、塩として使用することができ、液体及び固体のいずれの場合においても、高い不燃性を有し、使用用途の燃焼の危険性を著しく低減することができる。また、本発明の製造方法で得られるイオン性化合物は、高い発光性を有し、高温下でも発光するため、例えば、高温条件下での発光材料や、高温プロセスを必要とする高分子や樹脂材料への発光性付与剤等としても有用である。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
還流冷却器を備えた三口フラスコ中で、上記一般式(VI)で表され、式中のnが3であって、6つのR4のうち1つが塩素で且つ5つがフッ素である環状ホスファゼン化合物 1.5 mL(0.01 mol)と、トリ-n-ブチルアミン[即ち、上記一般式(VII)で表され、3つのR2の総てがn-ブチル基であるアミン]1.72 mL(0.01 mol)とを、脱水ジメチルエーテル 30 mLに溶解させ、20℃で3時間撹拌した後、エバポレーターにてジメチルエーテルを留去し、上記一般式(I)で表され、式中のnが3であって、6つのR1のうち5つがフッ素で且つ1つが−N+(C49)3Cl-であるイオン性化合物を得た。該イオン性化合物をクロロホルム 30 mLに溶解させた後、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム[LiN(SO2CF3)2]0.49 gを添加し、室温にて1時間撹拌したところ、LiClが沈殿した。沈殿したLiClを濾過で分離し、更に、遠心分離機を用い、12000 rpmで30分間濾液を遠心分離して、上澄み液を採取した。次に、得られた上澄み液をクロロホルム 30 mLに溶解させ、更に活性炭 5 gを加えて、着色成分を除去した。次に、活性炭を濾過で取り除き、エバポレーターにてクロロホルムを除去し、更に、真空ポンプにて減圧下、150℃で24時間乾燥を行って、液体 1.13 g(収率 16%)を得た。得られた液体を重クロロホルムに溶解させて、1H-NMR及び13C-NMRで分析したところ、該液体は、下記化学式(a):
Figure 2010006765
で表わされる化合物[即ち、上記一般式(IV)で表され、式中のnが3であって、6つのR3のうち5つがフッ素で且つ1つが−N+(C49)3・N-(SO2CF3)2である化合物]であることを確認した。
[スペクトルデーダ(250 MHz, CDCl3, δ/ppm)]
1H-NMR:δ=0.98(t, J=7.25 Hz, 3H)・・HA、δ=1.38(m, 2H)・・HB、δ=1.75(m, 2H)・・HC、δ=2.97(m, J=5.04 Hz, 6H)・・HD
13C-NMR:δ=13.1(s)・・CE、δ=19.6(s)・・CF、δ=25.3(s)・・CG、δ=53.0(s)・・CH、δ=119.5(q, J=1275 Hz)・・CI
(比較例1)
実施例1と同様にしてLiClを濾過で除いて得た濾液を、遠心分離及び活性炭処理を経ることなく、真空ポンプにて減圧下、150℃で24時間乾燥して、液体 2.08 g(収率 30%)を得た。得られた液体を1H-NMR及び13C-NMRで分析したところ、該液体は、上記化学式(a)で表わされる化合物であることを確認した。
(実施例2)
還流冷却器を備えた三口フラスコ中で、上記一般式(VI)で表され、式中のnが3であって、6つのR4のうち1つが塩素で且つ5つがフッ素である環状ホスファゼン化合物1.5 mL(0.01 mol)と、トリ-n-オクチルアミン[即ち、上記一般式(VII)で表され、3つのR2の総てがn-オクチル基であるアミン]4.38 mL(0.01 mol)とを、脱水ジメチルエーテル 30 mLに溶解させ、20℃で3時間撹拌した後、エバポレーターにてジメチルエーテルを留去し、上記一般式(I)で表され、式中のnが3であって、6つのR1のうち5つがフッ素で且つ1つが−N+(C817)3Cl-であるイオン性化合物を得た。該イオン性化合物をクロロホルム 30 mLに溶解させた後、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム[LiN(SO2CF3)2]0.37 gを添加し、室温にて1時間撹拌したところ、LiClが沈殿した。沈殿したLiClを濾過で分離し、更に、遠心分離機を用い、12000 rpmで30分間濾液を遠心分離して、上澄み液を採取した。次に、得られた上澄み液をクロロホルム 30 mLに溶解させ、更に活性炭 5 gを加えて、着色成分を除去した。次に、活性炭を濾過で取り除き、エバポレーターにてクロロホルムを除去し、更に、真空ポンプにて減圧下、150℃で24時間乾燥を行って、液体 0.93 g(収率 10%)を得た。得られた液体を重クロロホルムに溶解させて、1H-NMR及び13C-NMRで分析したところ、該液体は、下記化学式(b):

Figure 2010006765
で表わされる化合物[即ち、上記一般式(IV)で表され、式中のnが3であって、6つのR3のうち5つがフッ素で且つ1つが−N+(C817)3・N-(SO2CF3)2である化合物]であることを確認した。
[スペクトルデーダ(400 MHz, CDCl3, δ/ppm)]
1H-NMR:δ=0.89(t, J=6.72 Hz, 3H)・・HA、δ=1.29(m, 10H)・・HB、δ=1.67(m, 2H)・・HC、δ=3.02(m, 2H)・・HD
13C-NMR:δ=14.0(s)・・CF、δ=22.5(s)・・CG、δ=23.3(s)・・CH、δ=26.5(s)・・CI、δ=28.9(s)・・CJ、δ=31.6(s)・・CK、δ=53.0(s)・・CL、δ=119.5(q, J=1275 Hz)・・CM
(比較例2)
実施例2と同様にしてLiClを濾過で除いて得た濾液を、遠心分離及び活性炭処理を経ることなく、真空ポンプにて減圧下、150℃で24時間乾燥して、液体 2.16 g(収率 25%)を得た。得られた液体を1H-NMR及び13C-NMRで分析したところ、該液体は、上記化学式(b)で表わされる化合物であることを確認した。
(実施例3)
還流冷却器を備えた三口フラスコ中で、上記一般式(VI)で表され、式中のnが3であって、6つのR4のうち1つが塩素で且つ5つがフッ素である環状ホスファゼン化合物1.5 mL(0.01 mol)と、n-ブチルジメチルアミン[即ち、上記一般式(VII)で表され、3つのR2のうち1つがn-ブチル基で且つ2つがメチル基であるアミン]1.40 mL(0.01 mol)とを、脱水ジメチルエーテル 30 mLに溶解させ、20℃で3時間撹拌した後、エバポレーターにてジメチルエーテルを留去し、上記一般式(I)で表され、式中のnが3であって、6つのR1のうち5つがフッ素で且つ1つが−N+(C49)(CH3)2Cl-であるイオン性化合物を得た。該イオン性化合物をクロロホルム 30 mLに溶解させた後、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム[LiN(SO2CF3)2]0.32 gを添加し、室温にて1時間撹拌したところ、LiClが沈殿した。沈殿したLiClを濾過で分離し、更に、遠心分離機を用い、12000 rpmで30分間濾液を遠心分離して、上澄み液を採取した。次に、得られた上澄み液をクロロホルム 30 mLに溶解させ、更に活性炭 5 gを加えて、着色成分を除去した。次に、活性炭を濾過で取り除き、エバポレーターにてクロロホルムを除去し、更に、真空ポンプにて減圧下、150℃で24時間乾燥を行って、液体 0.52 g(収率 8.4%)を得た。得られた液体を重クロロホルムに溶解させて、1H-NMR及び13C-NMRで分析したところ、該液体は、下記化学式(c):
Figure 2010006765
で表わされる化合物[即ち、上記一般式(IV)で表され、式中のnが3であって、6つのR3のうち5つがフッ素で且つ1つが−N+(C49)(CH3)2・N-(SO2CF3)2である化合物]であることを確認した。
[スペクトルデーダ(400 MHz, CDCl3, δ/ppm)]
1H-NMR:δ=0.97(t, J=7.36 Hz, 3H)・・HA、δ=1.41(m, 2H)・・HB、δ=1.71(m, 2H)・・HC、δ=2.89(d, J=5.04 Hz, 6H)・・HD、δ=3.07(m, 2H)・・HE
13C-NMR:δ=13.3(s)・・CF、δ=19.5(s)・・CG、δ=26.3(s)・・CH、δ=43.7(s)・・CI、δ=58.8(s)・・CJ、δ=119.5(q, J=1275 Hz)・・CK
(比較例3)
実施例3と同様にしてLiClを濾過で除いて得た濾液を、遠心分離及び活性炭処理を経ることなく、真空ポンプにて減圧下、150℃で24時間乾燥して、液体 1.53 g(収率 25%)を得た。得られた液体を1H-NMR及び13C-NMRで分析したところ、該液体は、上記化学式(c)で表わされる化合物であることを確認した。
(実施例4)
還流冷却器を備えた三口フラスコ中で、上記一般式(VI)で表され、式中のnが3であって、6つのR4のうち1つが塩素で且つ5つがフッ素である環状ホスファゼン化合物1.5 mL(0.01 mol)と、n-ヘキシルジメチルアミン[即ち、上記一般式(VII)で表され、3つのR2のうち1つがn-ヘキシル基で且つ2つがメチル基であるアミン]2.08 mL(0.01 mol)とを、脱水ジメチルエーテル 30 mLに溶解させ、20℃で3時間撹拌した後、エバポレーターにてジメチルエーテルを留去し、上記一般式(I)で表され、式中のnが3であって、6つのR1のうち5つがフッ素で且つ1つが−N+(C613)(CH3)2Cl-であるイオン性化合物を得た。該イオン性化合物をクロロホルム 30 mLに溶解させた後、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム[LiN(SO2CF3)2]0.22 gを添加し、室温にて1時間撹拌したところ、LiClが沈殿した。沈殿したLiClを濾過で分離し、更に、遠心分離機を用い、12000 rpmで30分間濾液を遠心分離して、上澄み液を採取した。次に、得られた上澄み液をクロロホルム 30 mLに溶解させ、更に活性炭 5 gを加えて、着色成分を除去した。次に、活性炭を濾過で取り除き、エバポレーターにてクロロホルムを除去し、更に、真空ポンプにて減圧下、150℃で24時間乾燥を行って、液体 0.58 g(収率 8.9%)を得た。得られた液体を重クロロホルムに溶解させて、1H-NMR及び13C-NMRで分析したところ、該液体は、下記化学式(d):
Figure 2010006765
で表わされる化合物[即ち、上記一般式(IV)で表され、式中のnが3であって、6つのR3のうち5つがフッ素で且つ1つが−N+(C613)(CH3)2・N-(SO2CF3)2である化合物]であることを確認した。
[スペクトルデーダ(400 MHz, CDCl3, δ/ppm)]
1H-NMR:δ=0.89(t, J=6.76 Hz, 3H)・・HA、δ=1.32(m, 6H)・・HB、δ=1.67(m, 2H)・・HC、δ=2.85(s, 6H)・・HD、δ=2.93(m, 2H)・・HE
13C-NMR:δ=13.8(s)・・CF、δ=19.5(s)・・CG、δ=22.3(s)・・CH、δ=24.7(s)・・CI、δ=31.1(s)・・CJ、δ=43.5(s)・・CK、δ=58.7(s)・・CL、δ=119.5(q, J=1275 Hz)・・CM
(比較例4)
実施例4と同様にしてLiClを濾過で除いて得た濾液を、遠心分離及び活性炭処理を経ることなく、真空ポンプにて減圧下、150℃で24時間乾燥して、液体 1.41 g(収率 22%)を得た。得られた液体を1H-NMR及び13C-NMRで分析したところ、該液体は、上記化学式(d)で表わされる化合物であることを確認した。
<発光量子収率の測定>
上記実施例及び比較例で得られたイオン液体の発光量子収率を、4-アミノフタルイミドの蛍光量子収率の相対値として測定した。なお、励起波長は360 nmとし、メタノールに各イオン液体を0.1 mol/Lの濃度で溶解させて、室温(25℃)で測定した。結果を表1に示す。
Figure 2010006765
表1から、本発明の方法で合成した実施例のイオン液体は、比較例のイオン液体よりも発光量子収率が向上していることが分かる。これは、活性炭処理しなければ、不純物による光の散乱等により量子収率が見かけ低下することによると考えられる。この点に関して、図1に実施例1で得られた生成物と比較例1で得られた生成物の吸収スペクトルを示す。
実施例1で得られた生成物と比較例1で得られた生成物の吸収スペクトルである。

Claims (6)

  1. 有機溶媒中で、下記一般式(I):
    (NPR1 2)n ・・・ (I)
    [式中、R1は、それぞれ独立してハロゲン元素又は一価の置換基で、少なくとも一つのR1は、下記一般式(II):
    −N+2 3Cl- ・・・ (II)
    (式中、R2は、それぞれ独立して一価の置換基又は水素で、但し、少なくとも一つのR2は水素ではなく、また、R2は互いに結合して環を形成してもよい)で表されるイオン性置換基であり;nは3〜15を表す]で表されるイオン性化合物と下記一般式(III):
    +- ・・・ (III)
    [式中、A+は一価の陽イオンを表し、X-は一価の陰イオンを表す]で表される塩とを反応させて、下記一般式(IV):
    (NPR3 2)n ・・・ (IV)
    [式中、R3は、それぞれ独立してハロゲン元素又は一価の置換基で、少なくとも一つのR3は、下記一般式(V):
    −N+2 3- ・・・ (V)
    (式中、R2及びX-は上記と同義である)で表されるイオン性置換基であり;nは上記と同義である]で表されるイオン性化合物を生成させる工程(A)と、
    前記工程(A)で得られる反応混合物を濾過して、A+Cl-(式中、A+は上記と同義である)を除去する工程(B)と、
    前記工程(B)で得られる濾液を遠心分離して上澄み液を採取する工程(C)と、
    前記工程(C)で得られる上澄み液に活性炭を加えて反応副生物を除去する工程(D)と
    を含むことを特徴とする上記一般式(IV)で表されるイオン性化合物の製造方法。
  2. 前記有機溶媒が、ハロゲン化炭化水素であることを特徴とする請求項1に記載のイオン性化合物の製造方法。
  3. 前記有機溶媒が、クロロホルムであることを特徴とする請求項2に記載のイオン性化合物の製造方法。
  4. 前記一般式(I)で表されるイオン性化合物の有機溶媒中での濃度が0.01〜0.04 mol/Lの範囲であることを特徴とする請求項1に記載のイオン性化合物の製造方法。
  5. 前記一般式(III)で表される塩の有機溶媒中での濃度が0.01〜0.04 mol/Lの範囲であることを特徴とする請求項1に記載のイオン性化合物の製造方法。
  6. 前記一般式(III)及び(V)中のX-がイミドイオンであることを特徴とする請求項1に記載のイオン性化合物の製造方法。
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