JP2016027029A - 精製イオン性錯体の製造方法及びイオン性錯体 - Google Patents

精製イオン性錯体の製造方法及びイオン性錯体 Download PDF

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Abstract

【課題】イオン性錯体の溶媒への溶解度に比べて溶媒への溶解度が低い不純物を含有する不純物含有イオン性錯体組成物からその不純物を効率よく回収し、精製イオン性錯体を効率よく提供する。【解決手段】本発明は、特定のイオン性錯体と、このイオン性錯体を溶解する主溶媒と、不純物として少なくともジフルオロリン酸塩を含有する不純物含有イオン性錯体組成物から不純物を分離除去して精製イオン性錯体を製造する方法である。この方法は、不純物含有イオン性錯体組成物に、イオン性錯体を溶解する溶解度が主溶媒の溶解度より低い低極性有機溶媒を添加し、該添加に際し前記低極性有機溶媒の添加総量の1/3の質量を添加し終えた時点から0.4時間以上28時間以内に、混合物を固液分離することで、不純物を前記イオン性錯体から分離する工程を含む。【選択図】なし

Description

本発明は、精製イオン性錯体の製造方法及びイオン性錯体に関する。
現在、リチウム二次電池として、リチウム、コバルト、マンガン、ニッケル等の遷移金属を含む複合酸化物からなる正極活物質と、炭素材料からなる負極活物質と、イオン性錯体を含有する非水系電解液とを含むものが主流となっている。
イオン性錯体の中心元素の一例として、リンが知られている。そして、リンの供給源となる化合物の例として、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)、五フッ化リン(PF)、そして五塩化リン(PCl)等が知られている。
ところで、中心元素がPであるイオン性錯体は、キレート配位子の構造にも依存するが、そのイオン乖離度の高さから基本的に溶媒への溶解度が高く、溶媒がカチオン側に配位するため、結晶として得ることが難しい。
例えば、イオン性錯体を含む溶液から溶媒を加熱減圧等で留去した後には、粘稠な液体、または溶媒で湿潤した固体が残されることが多く、取り扱い易い付着性の低い固体を容易には得られない。
また、反応によりイオン性錯体を合成した場合、該イオン性錯体を電解液の一部として使用した際に電池性能に悪影響を与える不純物が含まれるため、該不純物の除去が必要であるが、上記の通り結晶として得難い場合が多い。
この課題を解決するため、特許文献1には、反応液に不純物として含まれるLiPFを除去するため、CHCNと炭酸ジメチル(DMC)の混合系より再結晶を行うことが示されている。しかしながら、特許文献1に記載の手法では、CHCNと炭酸ジメチル(DMC)との混合系についてもまた、イオン性錯体を溶解させる溶媒であるため、十分な収率でイオン性錯体を回収できるとはいえない。
また、非特許文献1には、2分子のPFと1分子のシュウ酸リチウムとの反応生成物である1分子の錯体と1分子のLiPFとの混合物からLiPFを除去するため、CHClとDMCの混合系より再結晶を行うことが示されている。非特許文献1に記載の手法を用いると、効果的にLiPFを除去し、F、P純度の高いイオン性錯体を得ることができる。
しかしながら、非特許文献1に記載の手法の場合、配位子原料の溶解度が反応進行の有無を大きく左右し、溶解度が低い配位子原料では目的物を得ることが難しい。
この課題を解決するため、特許文献2に記載されている、一般式(101)で示される化学構造式よりなるイオン性錯体を合成するに際し、一般式(102)で示される化合物と一般式(103)で示される化合物、又は一般式(102)で示される化合物と一般式(104)で示されるハロゲン含有化合物とフッ化リチウムを、有機溶媒中において、Al、B、又はSiを含む反応助剤の存在下で反応させる手法を利用する事ができる。
Figure 2016027029
[ただし、MはB又はP、Aa+は、金属イオン、水素イオン又はオニウムイオン、aは1、bは1、pは1、mは1〜3、nは0〜4、qは0又は1をそれぞれ表し、Rは、C〜C10のアルキレン、C〜C10のハロゲン化アルキレン、C〜C20のアリーレン、またはC〜C20のハロゲン化アリーレン、Rはフッ素、X、Xは、Oを表し、E、Eは、それぞれ独立で、水素又はアルカリ金属、Rは、フッ素を表す。]
米国特許出願公開第2010/0267984号明細書 特許第3907446号公報
ECS Transactions,2009,16(35),3−11
しかしながら、特許文献2に記載の手法では、不純物として、ジフルオロリン酸リチウム(目的物への変換率を向上させるために、反応助剤の使用当量を増加させた場合)、錯体中心形成剤と配位子形成剤との過剰反応生成物等が生成される。これら不純物の溶媒への溶解度は、イオン性錯体の溶媒への溶解度に比べて低いため、非特許文献1に記載の手法を参照して不純物を効果的に除去しようとしても、不純物を効率よく除去することは難しい。
本発明は、配位子形成剤、錯体中心形成剤と配位子形成剤との過剰反応生成物、及び錯体中心形成剤又は配位子形成剤に由来するフッ素以外の残留ハロゲン化合物といった、イオン性錯体の溶媒への溶解度に比べて溶媒への溶解度が低い不純物を含有する不純物含有イオン性錯体組成物からこれらの不純物を効率よく回収し、精製イオン性錯体を効率よく提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために、鋭意研究を重ねたところ、不純物含有イオン性錯体組成物に、イオン性錯体を溶解する溶解度が主溶媒の前記溶解度より低い低極性有機溶媒を添加し、該添加に際し前記低極性有機溶媒の添加総量の1/3の質量を添加し終えた時点から0.4時間以上28時間以内に、混合物を固液分離することで、上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的に、本発明では、以下のようなものを提供する。
(1)本発明は、下記一般式(1)から(3)のいずれかで表されるイオン性錯体と、前記イオン性錯体を溶解する主溶媒と、不純物として少なくともジフルオロリン酸塩を含有する不純物含有イオン性錯体組成物から不純物を分離除去して精製イオン性錯体を製造する方法であって、前記不純物含有イオン性錯体組成物に、前記イオン性錯体を溶解する溶解度が前記主溶媒の前記溶解度より低い低極性有機溶媒を添加し、該添加に際し前記低極性有機溶媒の添加総量の1/3の質量を添加し終えた時点から0.4時間以上28時間以内に、混合物を固液分離することで、前記不純物を前記イオン性錯体から分離する工程を含む、精製イオン性錯体の製造方法である。
Figure 2016027029
Figure 2016027029
Figure 2016027029
[一般式(1)において、
Aは金属イオン、プロトン及びオニウムイオンからなる群から選ばれる少なくとも1つである。aは1又は2である。
Fはフッ素である。oは2又は4である。
Pはリンである。
、Xは、それぞれ独立でO、S又はNであり、Nの場合、−N(R)−を表す。ここで、Rは炭素数1〜10の環やヘテロ原子やハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基を表す。炭素数が3以上の場合にあっては、Rは分岐鎖あるいは環状構造をとることもできる。また、XがNでmが0の場合、XとRは直接結合し、その際は下記一般式(4)〜(6)のような構造をとることもできる。同様に、XがNでkが0の場合、XとRは直接結合し、下記一般式(4)〜(6)のような構造をとることもできる。直接結合が二重結合となる下記一般式(4)の場合、Rは存在しない。
、Yはそれぞれ独立でC、又はSを表す。kは0又は1(ただし、kが0の場合、qも0)であり、mは0又は1(ただし、mが0の場合、rも0)である。YがCの場合、kが1であればqは1であり、kが0であればqは0である。YがCの場合、mが1であればrは1であり、mが0であればrは0である。YがSの場合、それに結合するZはOであり、kが1であればqは1又は2であり、kが0であればqは0である。YがSの場合、それに結合するZはOであり、mが1であればrは1又は2であり、mが0であればrは0である。
、Zはそれぞれ独立でO元素又はS元素である。qは0〜2であり、rは0〜2である。
は炭素数1〜10の環やヘテロ原子やハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基(炭素数が3以上の場合にあっては、分岐鎖あるいは環状構造のものも使用できる)、又は−N(R)−を表す。このとき、Rは水素、アルカリ金属、炭素数1〜10の環やヘテロ原子やハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基を表す。炭素数が3以上の場合にあっては、Rは分岐鎖あるいは環状構造をとることもできる。pは0又は1である。
nは1又は2である。]
Figure 2016027029
[一般式(2)において、
Dはハロゲンイオン、ヘキサフルオロリン酸アニオン、テトラフルオロホウ酸アニオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン、ビス(フルオロメタンスルホニル)イミドアニオン、(フルオロメタンスルホニル)(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン、ビス(ジフルオロホスホニル)イミドアニオンから選ばれる少なくとも一つである。cは0又は1であり、nが1の場合、cは0(cが0のときDは存在しない)であり、nが2の場合、cは1となる。
F、P及びoは、一般式(1)で説明したものと同じである。
は、O、S、又はNであり、Nの場合、−N(R)−を表す。このとき、Rは炭素数1〜10の環やヘテロ原子やハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基を表す。炭素数が3以上の場合にあっては、Rは分岐鎖あるいは環状構造をとることもできる。また、XがNでkが0の場合、XとRは直接結合し、その際は上記一般式(4)〜(6)のような構造をとることもできる。同様に、mが0の場合、N(R)(R)とRは直接結合し、その際は下記一般式(7)〜(11)のような構造をとることもできる。直接結合が二重結合となる式(7)、式(9)の場合、Rは存在しない。
、Y、R、Z、Z、k、m、p、q及びrは、一般式(1)で説明したものと同じである。
Nは窒素である。
、Rはそれぞれ独立で炭素数1〜10の環やヘテロ原子やハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基であり、炭素数が3以上の場合にあっては、分岐鎖あるいは環状構造のものも使用できる。また、下記の(11)の様にお互いを含む環状構造を有してもよい。]
Figure 2016027029
[一般式(3)において、
Dは、一般式(2)で説明したものと同じである。dは1〜3であり、nが1の場合、dは1であり、nが2の場合、dは3となる。
F、P、Y、Y、R、Z、Z、k、m、o、p、q及びrは、一般式(1)で説明したものと同じである。
、R、R、Rはそれぞれ独立で炭素数1〜10の環やヘテロ原子やハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基であり、炭素数が3以上の場合にあっては、分岐鎖あるいは環状構造のものも使用できる。また、上記一般式(11)、下記一般式(16)の様にお互いを含む環状構造を有してもよい。mが0の場合、N(R)(R)とRは直接結合し、その際は上記一般式(7)〜(11)のような構造をとることもできる。同様にkが0の場合、N(R)(R)とRは直接結合し、その際は下記一般式(12)〜(16)のような構造をとることもできる。直接結合が二重結合となる一般式(7)、一般式(9)の場合、Rは存在しない。直接結合が二重結合となる一般式(12)、一般式(14)の場合、Rは存在しない。
Nは、一般式(2)で説明したものと同じである。]
Figure 2016027029
(2)また、本発明は、前記主溶媒が、炭酸ジメチル、炭酸エチルメチル、炭酸ジエチル、炭酸メチルプロピル、炭酸エチルプロピル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、アセトン、エチルメチルケトン、ジエチルケトン、アセトニトリル、プロピオニトリル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,2−ジメトキシエタン、及び1,2−ジエトキシエタンからなる群から選ばれる少なくとも1つである、(1)に記載の精製イオン性錯体の製造方法である。
(3)また、本発明は、前記低極性有機溶媒が、エーテル溶媒、炭化水素溶媒、炭素数1又は2の塩素系溶媒、及び炭素数3のヒドロクロロフルオロオレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1つである、(1)又は(2)に記載の精製イオン性錯体の製造方法である。
(4)また、本発明は、前記エーテル溶媒が、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,4−ジオキサン、及び1,3−ジオキサンからなる群から選ばれる少なくとも1つである、(3)に記載の精製イオン性錯体の製造方法である。
(5)また、本発明は、前記炭化水素溶媒が、トルエン、ベンゼン、キシレン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、及びシクロヘプタンからなる群から選ばれる少なくとも1つである、(3)に記載の精製イオン性錯体の製造方法である。
(6)また、本発明は、前記塩素系溶媒が、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,1−ジクロロエタン、トリクロロエチレン、及びテトラクロロエチレンからなる群から選ばれる少なくとも1つである、(3)に記載の精製イオン性錯体の製造方法である。
(7)また、本発明は、前記ヒドロクロロフルオロオレフィンが、トランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン(以降、「1233zd(トランス体)」と記載)、シス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン(以降、「1233zd(シス体)」と記載)、トランス−1−クロロ−2,3,3−トリフルオロ−1−プロペン(以降、「1233yd(トランス体)」と記載)、シス−1−クロロ−2,3,3−トリフルオロ−1−プロペン(以降、「1233yd(シス体)」と記載)、トランス−1−クロロ−1,3,3−トリフルオロ−1−プロペン(以降、「1233zb(トランス体)」と記載)、シス−1−クロロ−1,3,3−トリフルオロ−1−プロペン(以降、「1233zb(シス体)」と記載)、トランス−2−クロロ−1,3,3−トリフルオロ−1−プロペン(以降、「1233xe(トランス体)」と記載)、シス−2−クロロ−1,3,3−トリフルオロ−1−プロペン(以降、「1233xe(シス体)」と記載)、トランス−3−クロロ−1,2,3−トリフルオロ−1−プロペン(以降、「1233ye(トランス体)」と記載)、シス−3−クロロ−1,2,3−トリフルオロ−1−プロペン(以降、「1233ye(シス体)」と記載)、2−クロロ−1,1,3−トリフルオロ−1−プロペン(以降、「1233xc」と記載)、3−クロロ−1,1,2−トリフルオロ−1−プロペン(以降、「1233yc」と記載)、及び2−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン(以降、「1233xf」と記載)からなる群から選ばれる少なくとも1つである、(3)に記載の精製イオン性錯体の製造方法である。
(8)また、本発明は、前記不純物含有イオン性錯体組成物に前記低極性有機溶媒を添加する際、その添加総量は、前記不純物含有イオン性錯体組成物の質量に対して1〜20質量倍である、(1)から(7)のいずれかに記載の精製イオン性錯体の製造方法である。
(9)また、本発明は、前記低極性有機溶媒に含まれる水分が150質量ppm以下である、(1)から(8)のいずれかに記載の精製イオン性錯体の製造方法である。
(10)また、本発明は、前記低極性有機溶媒の添加を開始してから前記混合物を固液分離するまでの間、液温を−5℃以上45℃以下の範囲内にする、(1)から(9)のいずれかに記載の精製イオン性錯体の製造方法である。
(11)また、本発明は、上記一般式(1)から(3)のいずれかで表されるイオン性錯体であって、不純物としてジフルオロリン酸塩を含有し、F,P−NMRで測定したときの前記イオン性錯体の純度が95モル%以上であり、遊離酸濃度がフッ化水素換算で700質量ppm以下であるイオン性錯体である。
本発明によると、配位子形成剤、錯体中心形成剤と配位子形成剤との過剰反応生成物、及び錯体中心形成剤又は配位子形成剤に由来するフッ素以外の残留ハロゲン化合物といった、イオン性錯体の溶媒への溶解度に比べて溶媒への溶解度が低い不純物を含有する場合であっても、これらの不純物を不純物含有イオン性錯体組成物から除き、精製イオン性錯体を効率よく提供できる。
以下、本発明の具体的な実施形態について、詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
<精製イオン性錯体の製造方法>
本発明は、特定のイオン性錯体と、このイオン性錯体を溶解する主溶媒と、不純物として少なくともジフルオロリン酸塩を含有する不純物含有イオン性錯体組成物から不純物を分離除去して精製イオン性錯体を製造する方法である。この方法は、上記不純物含有イオン性錯体組成物に、上記イオン性錯体を溶解する溶解度が主溶媒の溶解度より低い低極性有機溶媒を添加し、該添加に際し前記低極性有機溶媒の添加総量の1/3の質量を添加し終えた時点から0.4時間以上28時間以内に、混合物を固液分離することで、不純物をイオン性錯体から分離する工程を含む。
〔不純物含有イオン性錯体組成物〕
不純物含有イオン性錯体組成物は、特定のイオン性錯体と、このイオン性錯体を溶解する主溶媒と、不純物として少なくともジフルオロリン酸塩を含有する。
[イオン性錯体]
イオン性錯体は、下記一般式(1)から(3)のいずれかで表される。
Figure 2016027029
Figure 2016027029
Figure 2016027029
(一般式(1))
一般式(1)において、Aは金属イオン、プロトン及びオニウムイオンからなる群から選ばれる少なくとも1つである。aは1又は2である。Fはフッ素である。oは2又は4である。Pはリンである。
、Xは、それぞれ独立でO、S又はNであり、Nの場合、−N(R)−を表す。ここで、Rは炭素数1〜10の環やヘテロ原子やハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基を表す。炭素数が3以上の場合にあっては、Rは分岐鎖あるいは環状構造をとることもできる。また、XがNでmが0の場合、XとRは直接結合し、その際は下記一般式(4)〜(6)のような構造をとることもできる。同様に、XがNでkが0の場合、XとRは直接結合し、下記一般式(4)〜(6)のような構造をとることもできる。直接結合が二重結合となる下記一般式(4)の場合、Rは存在しない。
Figure 2016027029
、Yはそれぞれ独立でC、又はSを表す。kは0又は1(ただし、kが0の場合、qも0)であり、mは0又は1(ただし、mが0の場合、rも0)である。YがCの場合、kが1であればqは1であり、kが0であればqは0である。YがCの場合、mが1であればrは1であり、mが0であればrは0である。YがSの場合、それに結合するZはOであり、kが1であればqは1又は2であり、kが0であればqは0である。YがSの場合、それに結合するZはOであり、mが1であればrは1又は2であり、mが0であればrは0である。
、Zはそれぞれ独立でO元素又はS元素である。qは0〜2であり、rは0〜2である。
は炭素数1〜10の環やヘテロ原子やハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基(炭素数が3以上の場合にあっては、分岐鎖あるいは環状構造のものも使用できる)、又は−N(R)−を表す。このとき、Rは水素、アルカリ金属、炭素数1〜10の環やヘテロ原子やハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基を表す。炭素数が3以上の場合にあっては、Rは分岐鎖あるいは環状構造をとることもできる。pは0又は1である。
nは1又は2である。
(一般式(2))
一般式(2)において、Dはハロゲンイオン、ヘキサフルオロリン酸アニオン、テトラフルオロホウ酸アニオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン、ビス(フルオロメタンスルホニル)イミドアニオン、(フルオロメタンスルホニル)(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン、ビス(ジフルオロホスホニル)イミドアニオンから選ばれる少なくとも一つである。cは0又は1であり、nが1の場合、cは0(cが0のときDは存在しない)であり、nが2の場合、cは1となる。
F、P及びoは、一般式(1)で説明したものと同じである。
は、O、S、又はNであり、Nの場合、−N(R)−を表す。このとき、Rは炭素数1〜10の環やヘテロ原子やハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基を表す。炭素数が3以上の場合にあっては、Rは分岐鎖あるいは環状構造をとることもできる。また、XがNでkが0の場合、XとRは直接結合し、その際は上記一般式(4)〜(6)のような構造をとることもできる。同様に、mが0の場合、N(R)(R)とRは直接結合し、その際は下記一般式(7)〜(11)のような構造をとることもできる。直接結合が二重結合となる式(7)、式(9)の場合、Rは存在しない。
Figure 2016027029
、Y、R、Z、Z、k、m、p、q及びrは、一般式(1)で説明したものと同じである。
Nは窒素である。
、Rはそれぞれ独立で炭素数1〜10の環やヘテロ原子やハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基であり、炭素数が3以上の場合にあっては、分岐鎖あるいは環状構造のものも使用できる。また、上記の(11)の様にお互いを含む環状構造を有してもよい。
(一般式(3))
一般式(3)において、Dは、一般式(2)で説明したものと同じである。dは1〜3であり、nが1の場合、dは1であり、nが2の場合、dは3となる。
F、P、Y、Y、R、Z、Z、k、m、o、p、q及びrは、一般式(1)で説明したものと同じである。
、R、R、Rはそれぞれ独立で炭素数1〜10の環やヘテロ原子やハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基であり、炭素数が3以上の場合にあっては、分岐鎖あるいは環状構造のものも使用できる。また、上記一般式(11)、下記一般式(16)の様にお互いを含む環状構造を有してもよい。mが0の場合、N(R)(R)とRは直接結合し、その際は上記一般式(7)〜(11)のような構造をとることもできる。同様にkが0の場合、N(R)(R)とRは直接結合し、その際は下記一般式(12)〜(16)のような構造をとることもできる。直接結合が二重結合となる一般式(7)、一般式(9)の場合、Rは存在しない。直接結合が二重結合となる一般式(12)、一般式(14)の場合、Rは存在しない。
Figure 2016027029
Nは、一般式(2)で説明したものと同じである。
[主溶媒]
主溶媒は、上記イオン性錯体を溶解する溶媒である。主溶媒の例として、炭酸ジメチル(DMC)、炭酸エチルメチル(EMC)、炭酸ジエチル、炭酸メチルプロピル、炭酸エチルプロピル、酢酸エチル(AcOEt)、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、アセトン、エチルメチルケトン、ジエチルケトン、アセトニトリル、プロピオニトリル、テトラヒドロフラン(THF)、テトラヒドロピラン、1,2−ジメトキシエタン又は1,2−ジエトキシエタン等が挙げられる。これらの主溶媒は、1種類であってもよいし、2種類以上の混合液であってもよい。
主溶媒の種類にかかわらず、同じ種類の低極性有機溶媒(貧溶媒)を同じ添加総量で添加した場合に得られる精製品の純度は同程度であるものの、主溶媒の種類によって回収率が大きく異なり、EMC>AcOEt>CHCN、THFである。このことから、主溶媒は、炭酸エステル(DMC、EMC等)又はエステル(AcOEt等)であることがより適しているといえる。中でも、低温であっても粘度の上昇の程度が小さく、イオン性錯体を精製する際、母液を充分に撹拌できることから、主溶媒は、炭酸エチルメチル、炭酸ジエチル、酢酸エチルであることが特に好ましい。
[不純物]
不純物含有イオン性錯体組成物は、不純物として少なくともジフルオロリン酸塩を含有する。例えば、上記特許文献2(特許第3907446号公報)に記載の手法でイオン性錯体を製造すると、不純物として、ヘキサフルオロリン酸塩のほか、ジフルオロリン酸塩(目的物への変換率を向上させるために、反応助剤の使用当量を増加させた場合)、原料である錯体中心形成剤と配位子形成剤との過剰反応生成物、これら原料に由来するフッ素化合物以外の残留ハロゲン化合物等が生成される。これらは、イオン性錯体組成物の不純物に該当し、イオン性錯体組成物を電解液の一部として使用した際、電池性能に悪影響を与え得る。
ジフルオロリン酸塩は、錯体中心形成剤がフッ素を含む化合物であることに由来して生成する不純物である。ジフルオロリン酸塩は、反応助剤の使用当量が多い反応系にて錯体中心形成剤と配位子形成剤が反応して生成した中間体が分解すること、あるいは、中間体から生成したイオン性錯体が分解することによって生成される。
錯体中心形成剤と配位子形成剤との過剰反応生成物とは、目的のイオン性錯体よりも配位子が過剰に配位してしまった化合物をいう。
錯体中心形成剤に由来するフッ素化合物以外の残留ハロゲン化合物の例として、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、カルボン酸塩化物、カルボン酸臭化物、カルボン酸ヨウ化物(配位子形成剤がカルボン酸である場合、錯体中心形成剤の塩素により、カルボン酸の酸塩化物化が一部進行)等が挙げられる。これら残留ハロゲン化合物は、錯体中心形成剤がフッ素以外のハロゲンを含む化合物であることに由来して生成する不純物である。
イオン性錯体は、キレート配位子の構造にも依存するが、そのイオン乖離度の高さから基本的に溶解度が高く、溶媒がカチオン側に配位するため、結晶として得難い傾向がある化合物である。例えば、イオン性錯体を含む溶液から溶媒を加熱減圧等で留去した後には、粘稠な液体、又は溶媒で湿潤した固体が残される事が多く、取り扱い易い付着性の低い固体を容易には得られない。また、合成後の液中にはイオン性錯体を電解液の一部として使用した際に電池性能に悪影響を与える不純物が含まれるため、これらの除去が必要であるが、結晶として得難い場合が多い。そこで、極性溶媒中から、イオン性錯体を取り扱い容易な固体(結晶)として効率的に回収できる条件を確立することが好ましい。
本発明は、配位子形成剤、錯体中心形成剤と配位子形成剤との過剰反応生成物、ジフルオロリン酸塩、及び錯体中心形成剤又は配位子形成剤に由来するフッ素以外の残留ハロゲン化合物といった、イオン性錯体の溶媒への溶解度に比べて溶媒への溶解度が低い不純物を含有する不純物含有イオン性錯体組成物からこれらの不純物を効率よく回収し、精製イオン性錯体を効率よく提供することを目的としている。以下では、これらの不純物を効率よく回収するプロセスについて説明する。
〔低極性有機溶媒の添加〕
本発明は、不純物含有イオン性錯体組成物に、上記イオン性錯体を溶解する溶解度が主溶媒の溶解度より低い低極性有機溶媒を添加する工程を含む。
[低極性有機溶媒]
低極性有機溶媒は、上記イオン性錯体を溶解する溶解度が主溶媒の溶解度より低い溶媒である。低極性有機溶媒は、エーテル溶媒(ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキサン等)、炭化水素溶媒(トルエン、ベンゼン、キシレン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン等)、炭素数1又は2の塩素系溶媒(四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,1−ジクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等)、及び炭素数3のヒドロクロロフルオロオレフィン(1233zd(トランス体)、1233zd(シス体)、1233yd(トランス体)、1233yd(シス体)、1233zb(トランス体)、1233zb(シス体)、1233xe(トランス体)、1233xe(シス体)、1233ye(トランス体)、1233ye(シス体)、1233xc、1233yc、1233xf等)からなる群から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
低極性有機溶媒(貧溶媒)が塩素系溶媒(CHCl、CHCl等)である場合、低極性有機溶媒の添加を開始してから混合物の固液分離を開始するまでの全ての時間を通して溶液が均一系である。これに対して、貧溶媒が炭化水素溶媒(トルエン等)の場合、貧溶媒の添加を開始した時点でだけでなく、添加を終え精製の中盤に差し掛かった段階でも混合液が飽和溶液層と貧溶媒層とに分離する。貧溶媒層に主溶媒成分が抽出され、飽和溶液層中の主溶媒量が一定量以下になった時点で、イオン性錯体の析出が進むと考えられる。
塩素系溶媒と炭化水素系溶媒とで比較すると、同じ精製時間である場合、塩素系溶媒の方が純度、回収率ともに高い値となる。しかしながら、低極性有機溶媒が炭化水素系溶媒であっても、精製時間を長くとることで、高い純度及び回収率を得ることができる。
イオン性錯体の純度及び回収率だけを考慮すると、低極性有機溶媒は、塩素系溶媒(CHCl、CHCl等)であることが好ましい。塩素系溶媒の中でも、40℃以上の高温領域において低極性有機溶媒の揮発を抑えられ、イオン性錯体を有効に精製できる点で、低極性有機溶媒は、クロロホルム(CHCl)であることが好ましい。
しかし、塩素系溶媒は外部へ漏洩した際の環境への影響が大きいことから、その使用は可能な限り避けることが好ましい。この場合、低極性有機溶媒(貧溶媒)として炭化水素溶媒を用いることが好ましい。炭化水素溶媒として、酸素官能基を有さず、付加体を形成しない溶媒、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、ヘキサン、ヘプタンが挙げられる。また同様に、環境への負荷が低いことから、炭素数3のヒドロクロロフルオロオレフィンを低極性有機溶媒(貧溶媒)として用いることが好ましい。
低極性有機溶媒に含まれる水分は、150質量ppm以下であることが好ましい。低極性有機溶媒に含まれる水分を低く抑えることで、精製操作中のジフルオロリン酸リチウム等の不純物の増加を抑制し、F、P純度95%以上のイオン性錯体を得やすい。
低極性有機溶媒に含まれる水分量が低いほど、得られる精製品の純度が高まる。これは、水分量が低い方が、精製操作中のイオン性錯体の分解が抑制されているためであると考えられる。
[添加総量]
低極性有機溶媒の添加総量は、上記イオン性錯体を主溶媒に溶解させた溶液に対して1〜20質量倍であることが好ましく、1.5〜17質量倍であることがより好ましい。低極性有機溶媒の添加総量が少なすぎると、イオン性錯体を結晶として有効に回収できない可能性がある。低極性有機溶媒の添加総量が多すぎると、イオン性錯体に含まれる遊離酸濃度が高くなり、充分な純度を得られない可能性がある。
[液温]
低極性有機溶媒の添加開始以降の液温は特に限定されるものでないが、−5℃以上45℃以下であることが好ましく、5℃以上35℃以下であることがより好ましく、5℃以上25℃以下であることがさらに好ましい。液温が高すぎると、イオン性錯体を結晶として有効に回収できない可能性がある。液温が低すぎると、純度が充分に向上しない可能性がある。
〔固液分離〕
そして、本発明は、低極性有機溶媒の添加総量の1/3の質量を添加し終えた時点から0.4時間以上28時間以内に、混合物を固液分離することで、不純物をイオン性錯体から分離する工程を含む。低極性有機溶媒の添加総量の1/3の質量を添加し終えた時点から混合物を固液分離するまでの時間(以下、「精製時間」ともいう。)が0.4時間以上28時間以下であると、純度が95モル%以上のイオン性錯体を10%以上の回収率で得ることができる。低極性有機溶媒の添加総量の1/3の質量を添加し終えた時点では、系によっては目的物である結晶が析出し始める場合があり、この時点から固液分離までの時間を適切な範囲で確保することが効率的な精製操作にとって重要といえる。
中でも、精製時間が3時間以上であると、イオン性錯体の回収率の観点から好適であり、精製時間が12時間以上であると、より好適である。また、精製時間が21時間以下であると、イオン性錯体の純度の観点から好適である。精製時間が短すぎると、イオン性錯体を結晶として有効に回収できない可能性があるため、好ましくない。精製時間が長すぎると、イオン性錯体の純度が95モル%未満になる可能性があるため、好ましくない。
溶液の撹拌については特に限定されるものではないが、結晶をゆっくりと成長させ、イオン性錯体の純度を高めるため、低極性有機溶媒の添加を開始してから混合物を固液分離するまでの間、溶液を撹拌し続けることが好ましい。
〔より好適な形態〕
低極性有機溶媒の添加及び固液分離を複数回行うことで、目的のイオン性錯体よりも溶解度が低く除去し難いジフルオロリン酸リチウムをはじめとした不純物を効果的に除去し、F、P純度95%以上のイオン性錯体を得ることができる。
低極性有機溶媒を添加して混合液を撹拌し、混合物を固液分離する操作(以下、「精製操作」ともいう。)を続けるか終えるかを判断する指標の目安として、イオン性錯体組成物に含まれる残留塩素濃度が挙げられる。イオン性錯体組成物に含まれる残留塩素濃度が500質量ppm以下であれば、イオン性錯体組成物を電解液として使用した場合の塩素濃度を5質量ppm以下にすることができる。イオン性錯体組成物を電解液として使用した場合の塩素濃度が5質量ppm以下であれば、不純物による電池性能への影響を問題の無い程度にまで抑えることができるため、低極性有機溶媒の添加及び固液分離をさらに繰り返すことを要しない。
一方、イオン性錯体組成物に含まれる残留塩素濃度が500質量ppmを超える場合、イオン性錯体組成物を電解液として使用した場合の塩素濃度が5質量ppmを超え、不純物が電池性能に影響を及ぼし得る。そのため、イオン性錯体組成物に含まれる残留塩素濃度が500質量ppm以下になるまで精製操作を繰り返すことが好ましい。
<イオン性錯体>
本発明に係るイオン性錯体は、下記一般式(1)から(3)のいずれかで表され、不純物としてジフルオロリン酸塩を含有し、F,P−NMRで測定したときのイオン性錯体の純度が95モル%以上であり、遊離酸濃度がフッ化水素換算で700質量ppm以下である。
Figure 2016027029
Figure 2016027029
Figure 2016027029
各々の符号については、上記一般式(1)から(3)で説明したものと同じであるため、説明を省略する。
純度の高いイオン性錯体を得る手法として、例えば、非特許文献1に記載の手法が挙げられるが、これは、不純物としてジフルオロリン酸塩を含有するものではない。また、不純物としてジフルオロリン酸塩を含有する錯体においては、公知の精製手法では、F,P−NMRで測定したときのイオン性錯体の純度が95モル%以上にならない。したがって、本発明に係るイオン性錯体は、物の発明として、公知のイオン性錯体と明確に区別できる。
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの記載に何ら制限を受けるものではない。
<実施例1>
合成例:基本的に合成例2
溶媒系:DMC+CHCl系(主溶媒:DMC、低極性溶媒:CHCl
〔合成例 その1〕 不純物含有イオン性錯体の合成 その1
Figure 2016027029
本明細書において、錯体(1a)は、下記一般式(1)において、A=Li,X=X=Z=Z=O,Y=Y=C,o=4,k=m=q=r=n=a=1,p=0であるイオン性錯体である。また、錯体(1b)は、下記一般式(1)において、A=Li,X=X=Z=Z=O,Y=Y=C ,o=2、k=m=q=r=a=1,p=0,n=2であるイオン性錯体である。
Figure 2016027029
[合成例1]
非特許文献1に記載された方法を参考に反応を実施した。20.0g(132mモル)のLiPFを容積200mLの金属製耐圧容器に入れた後、180〜200℃に加熱してPFを発生させた。ジメチルカーボネート(DMC)110mLとシュウ酸リチウム13.4g(132mモル)とを入れた容積500mLの硝子製フラスコに、発生したPFを導入し、内温25℃にて4時間撹拌することで、合成例1に係る不純物含有イオン性錯体を得た。この錯体の組成をF−NMRにて分析したところ、不純物含有イオン性錯体の組成は、錯体(1a)が46モル%であり、LiPFが54モル%あった。
[合成例2]
特許文献2に記載された方法を参考に反応を実施した。20.0g(132mモル)のLiPFとジメチルカーボネート(DMC)110mL、そしてシュウ酸11.9g(132mモル)を容積500mLの硝子製フラスコに加えた。このとき、LiPFは完全に溶解したが、シュウ酸の大部分は溶け残っていた。25℃撹拌下、13.4g(79mモル)のSiClをフラスコ内へ滴下した後、撹拌を4時間継続した。続いて、減圧にてテトラフルオロシラン及び塩酸を除去し、合成例2に係る不純物含有イオン性錯体を得た。この錯体の組成をF−NMRにて分析したところ、不純物含有イオン性錯体の組成は、錯体(1a)が91モル%、錯体(1b)が7モル%、LiPFが1モル%、LiPOが1モル%であった。
〔合成例3〕
まず、特許第5151121号に記載された方法を参考にLiPClの合成を行った。容積500mLのポリテトラフルオロエチレン製容器に、含有水分100質量ppm未満であるDMC:125mL、PCl:18.1g(132mモル)、LiCl:5.6g(132mモル)を加えた。そこへ撹拌下で内温10℃を維持しながらCl:9.4g(133mモル)を導入する事でLiPCl溶液を得た。
さらに、そこにHF:10.6g(528mモル)を、内温10℃を維持しながら導入することで、LiPCl(Cl:F=2:4)のDMC溶液を得た。
このDMC溶液(約140mL)に対して、25℃撹拌下、配位子形成用化合物としてシュウ酸:11.9g(132mモル)を添加し、さらに4時間撹拌を継続した。続いて、減圧によって、上記反応において反応液中に生成した塩酸を除去するとともに、該反応液を濃縮して、合成例3に係る不純物含有イオン性錯体を得た。この錯体の組成をF−NMRにて分析したところ、不純物含有イオン性錯体の組成は、錯体(1a)が76モル%、錯体(1b)が3モル%、LiPFが20モル%、LiPOが1モル%であった。
〔調製例 その1〕 不純物含有イオン性錯体組成物の調製 その1
Figure 2016027029
[組成物A]
合成例1に係る不純物含有イオン性錯体を、Li塩濃度が約50質量%となるまで濃縮し、不純物含有イオン性錯体組成物Aを得た。
[組成物B]
合成例2に係る不純物含有イオン性錯体に含まれる不溶解物をろ過にて除去した後、Li塩濃度が約50質量%になるまで濃縮した。濃縮の際に析出した不溶解物を再びろ過で取り除き、不純物含有イオン性錯体組成物Bを得た。
[組成物C]
合成例3に係る不純物含有イオン性錯体に含まれる不溶解物をろ過にて除去した後、Li塩濃度が約50質量%になるまで濃縮した。濃縮の際に析出した不溶解物を再びろ過で取り除き、不純物含有イオン性錯体組成物Cを得た。
〔実施例1 その1〕 低極性有機溶媒の添加総量の1/3の質量を添加し終えた時点から混合物を固液分離するまでの時間(精製時間)の比較
Figure 2016027029
[実施例1−1〜1−5、比較例1−1、1−2]
不純物含有イオン性錯体組成物B(50g)の質量に対して12倍量の低極性有機溶媒(貧溶媒)ジクロロメタン(以下、「CHCl」という。)(水分:50質量ppm)を添加した。該添加に際し、添加総量の1/3の質量(200g)を4分間(0.07時間)かけて撹拌下で添加し、その後に残りの添加総量の2/3の質量(400g)を撹拌下で添加して混合液を撹拌し、結晶を析出させた。低極性有機溶媒の添加総量の1/3の質量を添加し終えた時点から混合物を固液分離するまでの時間(精製時間)は表3に記載の通りである。なお、低極性有機溶媒の添加開始以降の液温は25℃に保った。析出した固体をろ過にて回収し、加熱減圧(30〜50℃、1〜10hPa)にて乾燥させた。その結果、実施例1−1〜1−5、比較例1−1、1−2に係るイオン性錯体を得た。
[参考例1−1]
不純物含有イオン性錯体組成物A(50g)の質量に対して12倍量の低極性有機溶媒(貧溶媒)CHCl(水分:200質量ppm)を添加した。該添加に際し、添加総量の1/3の質量(200g)を4分間(0.07時間)かけて撹拌下で添加し、その後に残りの添加総量の2/3の質量(400g)を撹拌下で添加して混合液を撹拌し、結晶を析出させた。低極性有機溶媒の添加総量の1/3の質量を添加し終えた時点から混合物を固液分離するまでの時間(精製時間)は表3に記載の通りである。なお、低極性有機溶媒の添加開始以降の液温は25℃に保った。析出した固体をろ過にて回収し、加熱減圧(30〜50℃、1〜10hPa)にて乾燥させることで、参考例1−1に係るイオン性錯体を得た。
[評価]
各種のイオン性錯体について、イオン性錯体(1a)の純度、イオン性錯体(1a)の回収率及びイオン性錯体に含まれる遊離酸濃度を測定した。純度及び回収率は、F,P−NMRを用いて測定した。遊離酸濃度は、中和滴定にて測定したHF換算での値である。結果を表4に示す。
Figure 2016027029
精製時間が0.4時間以上28時間以下である場合、純度が95モル%以上のイオン性錯体(1a)を10%以上の回収率で得られることが確認された(実施例)。
中でも、精製時間が3時間以上であると、イオン性錯体(1a)の回収率が70%を超える点で好適であり(実施例1−2〜1−5)、精製時間が12時間以上であると、イオン性錯体(1a)の回収率が80%を超える点でより好適である(実施例1−3〜1−5)。これら実施例1−2〜1−5の態様であれば、従来から容易に精製可能な系である参考例1に記載の系と同レベルに高い純度のイオン性錯体(1a)を、参考例1に記載の系よりも高い回収率で回収できる。
また、精製時間が21時間以下であると、イオン性錯体(1a)の純度が98%以上である点で好適である。
一方、精製時間が28時間を超えると、イオン性錯体(1a)の純度が95%未満になる可能性があるため、好ましくないことが確認された(比較例1−1)。精製時間が長すぎると、それまでは母液中に溶存していた低溶解性不純物(ここではジフルオロリン酸リチウムとイオン性錯体(1b))の析出が徐々に進行するためであると考えられる。
また、精製時間が0.4時間未満であると、イオン性錯体(1a)の回収率が10%未満になる可能性があるため、好ましくないことが確認された(比較例1−2)。
〔実施例1 その2〕 低極性有機溶媒(貧溶媒)の添加総量の比較
Figure 2016027029
[実施例1−6、1−7]
低極性有機溶媒(貧溶媒)の添加総量を表5に記載のとおりとしたこと以外は、実施例1−3と同じ手法にて、実施例1−6及び1−7に係るイオン性錯体を得た。
[評価]
各種のイオン性錯体について、実施例1−3と同じ手法にて、イオン性錯体(1a)の純度、イオン性錯体(1a)の回収率及びイオン性錯体に含まれる遊離酸濃度を測定した。結果を表6に示す。なお、表6には、参考例1−1の結果も示した。
Figure 2016027029
精製時間が好適な範囲内にある場合、低極性有機溶媒(貧溶媒)の添加総量にかかわらず、純度が95モル%以上のイオン性錯体(1a)を10%以上の回収率で得られることが確認された(実施例)。
各々の実施例を比べると、添加総量増加に従って純度が低下し、回収率が向上する傾向が見られている。中でも、低極性有機溶媒(貧溶媒)の添加総量が不純物含有イオン性錯体組成物の質量に対して12質量倍以上であると、イオン性錯体(1a)の回収率が80%を超える点で好適である(実施例1−3及び1−7)。これら実施例1−3及び1−7の態様であれば、従来から容易に精製可能な系である参考例1に記載の系と同レベルに高い純度のイオン性錯体(1a)を、参考例1に記載の系よりも高い回収率で回収できる。
また、低極性有機溶媒(貧溶媒)の添加総量が不純物含有イオン性錯体組成物の質量に対して18質量倍以下であると、イオン性錯体(1a)に含まれる遊離酸濃度を400ppm以下に抑えられる点で好適である。
〔実施例1 その3〕 精製操作時の母液の液温の比較
Figure 2016027029
[実施例1−8、1−9]
不純物含有イオン性錯体組成物Bに対して低極性有機溶媒(貧溶媒)を添加した後の撹拌温度を表7に記載のとおりとしたこと以外は、実施例1−3と同じ手法にて、実施例1−8及び1−9に係るイオン性錯体を得た。
[評価]
各種のイオン性錯体について、実施例1−3と同じ手法にて、イオン性錯体(1a)の純度、イオン性錯体(1a)の回収率及びイオン性錯体に含まれる遊離酸濃度を測定した。結果を表8に示す。なお、表8には、参考例1−1の結果も示した。
Figure 2016027029
精製時間が好適な範囲内にある場合、精製操作時の母液の液温にかかわらず、純度が95モル%以上のイオン性錯体(1a)を10%以上の回収率で得られることが確認された(実施例)。
中でも、精製操作時の母液の液温が5℃以上25℃以下である場合、イオン性錯体(1a)の回収率が80%以上である点で好適である(実施例1−3及び1−8)。これら実施例1−3及び1−8の態様であれば、従来から容易に精製可能な系である参考例1に記載の系と同レベルに高い純度のイオン性錯体(1a)を、参考例1に記載の系よりも高い回収率で回収できる。
〔実施例1 その4〕 低極性有機溶媒(貧溶媒)に含まれる水分の比較
Figure 2016027029
[実施例及び比較例]
不純物含有イオン性錯体組成物の種類、低極性有機溶媒(貧溶媒)に含まれる水分及び精製時間が表9に記載のとおりであること以外は、実施例1−3と同じ手法にて、実施例及び比較例に係るイオン性錯体を得た。
[評価]
各種のイオン性錯体について、実施例1−3と同じ手法にて、イオン性錯体(1a)の純度、イオン性錯体(1a)の回収率及びイオン性錯体に含まれる遊離酸濃度を測定した。結果を表10に示す。なお、表10には、参考例1−1の結果も示した。
Figure 2016027029
精製時間が好適な範囲内にある場合、低極性有機溶媒(貧溶媒)に含まれる水分量にかかわらず、純度が95モル%以上のイオン性錯体(1a)を10%以上の回収率で得られることが確認された(実施例)。中でも、水分量が低いほど、得られる精製品の純度が高まる。これは、水分量が低い方が、精製操作中のイオン性錯体(1a)の分解が抑制されているためであると考えられる。
一方、精製時間が28時間を超えると、低極性有機溶媒(貧溶媒)に含まれる水分量にかかわらず、イオン性錯体(1a)の純度が95モル%未満になり得るため、好ましくない(比較例1−1、1−3及び1−4)。また、精製時間が28時間を超える場合、不純物含有イオン性錯体組成物の種類を変えたとしても、イオン性錯体(1a)の純度が95モル%未満になり得るため、好ましくない(比較例1−5)。
〔実施例1のまとめ〕
実施例1で検討した4つの条件(精製時間、低極性有機溶媒(貧溶媒)添加総量、低極性有機溶媒(貧溶媒)含水量、母液の液温)のうち、目標純度95モル%以上の精製イオン性錯体を目標回収率10%以上で得るためには、得られる精製品と回収率に大きく影響する因子である精製時間を0.4〜28時間とする必要がある(好ましくは0.6〜26時間、より好ましくは1〜21時間)。
次いで重要なのが貧溶媒添加総量である。貧溶媒の添加総量については、回収率を上げつつ純度を向上させるためには1〜20質量倍が好ましく、1.5〜17質量倍がより好ましい。
また、精製操作中のイオン性錯体の分解を抑制するためには、貧溶媒の含水量を抑制することも効果がある。200質量ppm未満(更に好ましくは150質量ppm以下)であることが好ましい。
精製操作中の母液の液温も精製結果に影響を与えるものの、その度合いは他の条件に比べて大きくない。通常の室温(25℃)付近であれば特に問題なく6℃以上35℃以下で好適に精製が可能である。貧溶媒をより高沸点のものに変更することで、6℃以上50℃以下で精製も可能となる。
<実施例2>
合成例:基本的に合成例4
溶媒系:EMC+CHCl系(主溶媒:EMC、低極性溶媒:CHCl
〔合成例 その2〕 不純物含有イオン性錯体の合成 その2
Figure 2016027029
〔合成例4〕
使用する溶媒をDMCからエチルメチルカーボネート(EMC)にしたこと以外は、合成例2と同じ手法にて、合成例4に係る不純物含有イオン性錯体を得た。この錯体の組成をF−NMRにて分析したところ、不純物含有イオン性錯体の組成は、錯体(1a)が92モル%、錯体(1b)が6モル%、LiPFが1モル%、LiPOが1モル%であった。
〔調製例 その2〕 不純物含有イオン性錯体組成物の調製 その2
Figure 2016027029
〔組成物D〕
合成例4に係る不純物含有イオン性錯体に含まれる不溶解物をろ過にて除去した後、Li塩濃度が約50質量%になるまで濃縮した。濃縮の際に析出した不溶解物を再びろ過で取り除き、不純物含有イオン性錯体組成物Dを得た。
〔実施例及び比較例〕
Figure 2016027029
[実施例及び比較例]
不純物含有イオン性錯体組成物D(50g)の質量に対し、低極性有機溶媒(貧溶媒)CHCl(含水量は表13に記載のとおり)を、表13に記載の量だけ添加した。該添加に際し、添加総量の1/3の質量を表13に記載の通りの時間(表13中で「1/3添加終了までの時間」と記載する)をかけて撹拌下で添加し、その後に残りの添加総量の2/3の質量を撹拌下で添加して混合液を撹拌し、結晶を析出させた。低極性有機溶媒の添加総量の1/3の質量を添加し終えた時点から混合物を固液分離するまでの時間(精製時間)は表13に記載の通りである。なお、低極性有機溶媒の添加開始以降の液温は25℃に保った。析出した固体をろ過にて回収し、加熱減圧(30〜50℃、1〜10hPa)にて乾燥させることで、実施例及び比較例に係るイオン性錯体を得た。
[評価]
各種のイオン性錯体について、実施例1と同じ手法にて、イオン性錯体(1a)の純度、イオン性錯体(1a)の回収率及びイオン性錯体に含まれる遊離酸濃度を測定した。結果を表14に示す。
Figure 2016027029
不純物含有イオン性錯体組成物の種類が異なる場合であっても、精製時間が0.4時間以上28時間以下である場合、低極性有機溶媒の添加総量、低極性有機溶媒の水分、精製操作時の母液の液温にかかわらず、純度が95モル%以上であるイオン性錯体(1a)を10%以上の回収率で得ることができた(実施例)。一方、精製時間が0.38時間である場合、純度が95モル%以上であるイオン性錯体(1a)を得られたものの、回収率が10%未満であった(比較例2−1)。また、精製時間が29.13時間である場合、イオン性錯体の純度が95モル%未満であった(比較例2−2)。
ここで、実施例1の結果と実施例2の結果、すなわち、DMC+CHCl系での結果と、EMC+CHCl系での結果とを比較する。実施例1及び2を比較すると、低極性有機溶媒(貧溶媒)の含水量、低極性有機溶媒(貧溶媒)の添加総量、精製時間、母液の液温の各条件が精製結果に与える影響は、基本的に同じであるといえる。
しかしながら、実施例1−2と実施例2−2、あるいは実施例1−3と実施例2−3を対比すると、EMC+CHCl系の方が若干ではあるが精製効率が高く、同純度である場合は回収率が良好であるといえる。また、実施例1−10と実施例2−12とから、純度と回収率共に良好となる場合も見られる。
また、DMC+CHCl系では、DMCが原因で5℃未満では良好な精製効果が得られ難い。これは、5℃未満の濃縮液は極めて粘度が高く、充分に撹拌を行うことが難しいためであると考えられる。また、CHClが原因で40℃以上では精製を行うことが難しい。これは、CHClが沸騰する傾向にあるためであると考えられる。これに対して、EMC+CHCl系では、−10℃でも精製が可能であり(実施例2−8)、50℃でも精製が可能であった(実施例2−11)。
<実施例3>
合成例:基本的に合成例3
溶媒系:DMC+CHCl系(主溶媒:DMC、低極性溶媒:CHCl
Figure 2016027029
[実施例及び比較例]
不純物含有イオン性錯体組成物C(50g)の質量に対し、低極性有機溶媒(貧溶媒)CHCl(含水量は表15に記載のとおり)を、表15に記載の量だけ添加した。該添加に際し、添加総量の1/3の質量を表15に記載の通りの時間(表15中で「1/3添加終了までの時間」と記載する)をかけて撹拌下で添加し、その後に残りの添加総量の2/3の質量を撹拌下で添加して混合液を撹拌し、結晶を析出させた。低極性有機溶媒の添加総量の1/3の質量を添加し終えた時点から混合物を固液分離するまでの時間(精製時間)は表15に記載の通りである。なお、低極性有機溶媒の添加開始以降の液温は25℃に保った。析出した固体をろ過にて回収し、加熱減圧(30〜50℃、1〜10hPa)にて乾燥させることで、実施例及び比較例に係るイオン性錯体を得た。
[評価]
各種のイオン性錯体について、実施例1と同じ手法にて、イオン性錯体(1a)の純度、イオン性錯体(1a)の回収率及びイオン性錯体に含まれる遊離酸濃度を測定した。結果を表16に示す。
Figure 2016027029
不純物含有イオン性錯体組成物の種類が異なる場合であっても、精製時間が0.4時間以上28時間以下である場合、低極性有機溶媒の添加総量、低極性有機溶媒の水分、精製操作時の母液の液温にかかわらず、純度が95モル%以上であるイオン性錯体(1a)を10%以上の回収率で得ることができた(実施例)。一方、精製時間が0.38時間である場合、純度が95モル%以上であるイオン性錯体(1a)を得られたものの、回収率が10%未満であった(比較例3−1)。また、精製時間が29.13時間である場合、イオン性錯体の純度が95モル%未満であった(比較例3−2)。
ここで、実施例1の結果と実施例3の結果、すなわち、合成例2で合成した不純物含有イオン性錯体BをDMC+CHCl系に付した場合の結果と、合成例3で合成した不純物含有イオン性錯体Cを同じ溶媒系に付した場合の結果とを比較する。実施例1及び3を比較すると、低極性有機溶媒(貧溶媒)の含水量、低極性有機溶媒(貧溶媒)の添加総量、精製時間、母液の液温の各条件が精製結果に与える影響は、基本的に同じであるといえる。
しかしながら、実施例1−3と実施例3−3、あるいは実施例1−4と実施例3−4を対比すると、合成例2で合成した不純物含有イオン性錯体Bを原料として用いる方が合成例3で合成した不純物含有イオン性錯体Cを原料として用いるよりも若干ではあるが純度と回収率が共に良好となる傾向が見られた。これは、精製前の不純物含有イオン性錯体の純度が影響しているものと予想される。
<実施例4>
合成例:基本的に合成例5
溶媒系:EMC+CHCl系(主溶媒:EMC、低極性溶媒:CHCl
〔合成例 その3〕 不純物含有イオン性錯体の合成 その3
Figure 2016027029
[合成例5]
使用する溶媒をDMCからEMCにした以外は、合成例3と同じ手法にて、合成例5に係る不純物含有イオン性錯体を得た。この錯体の組成をF−NMRにて分析したところ、不純物含有イオン性錯体の組成は、錯体(1a)が77モル%、錯体(1b)が3モル%、LiPFが19モル%、LiPOが1モル%であった。
〔調製例 その3〕 不純物含有イオン性錯体組成物の調製 その3
Figure 2016027029
[組成物E]
合成例5に係る不純物含有イオン性錯体に含まれる不溶解物をろ過にて除去した後、Li塩濃度が約50質量%になるまで濃縮した。濃縮の際に析出した不溶解物を再びろ過で取り除き、不純物含有イオン性錯体組成物Eを得た。
〔実施例及び比較例〕
Figure 2016027029
[実施例及び比較例]
不純物含有イオン性錯体組成物E(50g)の質量に対し、低極性有機溶媒(貧溶媒)CHCl(含水量は表19に記載のとおり)を、表19に記載の量だけ添加した。該添加に際し、添加総量の1/3の質量を表19に記載の通りの時間(表19中で「1/3添加終了までの時間」と記載する)をかけて撹拌下で添加し、その後に残りの添加総量の2/3の質量を撹拌下で添加して混合液を撹拌し、結晶を析出させた。低極性有機溶媒の添加総量の1/3の質量を添加し終えた時点から混合物を固液分離するまでの時間(精製時間)は表19に記載の通りである。なお、低極性有機溶媒の添加開始以降の液温は25℃に保った。析出した固体をろ過にて回収し、加熱減圧(30〜50℃、1〜10hPa)にて乾燥させることで、実施例及び比較例に係るイオン性錯体を得た。
[評価]
各種のイオン性錯体について、実施例1と同じ手法にて、イオン性錯体(1a)の純度、イオン性錯体(1a)の回収率及びイオン性錯体に含まれる遊離酸濃度を測定した。結果を表20に示す。
Figure 2016027029
不純物含有イオン性錯体組成物の種類が異なる場合であっても、精製時間が0.4時間以上28時間以下である場合、低極性有機溶媒の添加総量、低極性有機溶媒の水分、精製操作時の母液の液温にかかわらず、純度が95モル%以上であるイオン性錯体(1a)を10%以上の回収率で得ることができた(実施例)。一方、精製時間が0.38時間である場合、純度が95モル%以上であるイオン性錯体(1a)を得られたものの、回収率が10%未満であった(比較例4−1)。また、精製時間が29.13時間である場合、イオン性錯体の純度が95モル%未満であった(比較例4−2)。
ここで、実施例3の結果と実施例4の結果、すなわち、DMC+CHCl系での結果と、EMC+CHCl系での結果とを比較する。実施例3及び4を比較すると、低極性有機溶媒(貧溶媒)の含水量、低極性有機溶媒(貧溶媒)の添加総量、精製時間、母液の液温の各条件が精製結果に与える影響は、基本的に同じであるといえる。
しかしながら、実施例3−3と実施例4−3、実施例3−4と実施例4−4、あるいは実施例3−5と実施例4−5を対比すると、EMC+CHCl系の方が若干ではあるが精製効率が高く、同純度である場合は回収率が良好であるといえる。また、実施例3−2と実施例4−2とから、純度と回収率共に良好となる場合も見られる。
この、EMC+CHCl系の方が、DMC+CHCl系に比べて若干ではあるが回収率、純度の結果が良好である傾向は、特許第3907446号に開示された手法で合成したイオン性錯体を精製する場合等においても同様であった。
<実施例5〜9>
合成例:合成例4
溶媒系:(実施例5)EMC+トルエン系(主溶媒:EMC、低極性溶媒:トルエン)
(実施例6)酢酸エチル(AcOEt)+CHCl系(主溶媒:AcOEt、低極性溶媒:CHCl
(実施例7)酢酸エチル(AcOEt)+トルエン系(主溶媒:AcOEt、低極性溶媒:トルエン)
(実施例8)CHCN+CHCl系(主溶媒:CHCN、低極性溶媒:CHCl
(実施例9)テトラヒドロフラン(THF)+CHCl系(主溶媒:THF、低極性溶媒:CHCl
〔調製例 その4〕 不純物含有イオン性錯体組成物の調製 その4
Figure 2016027029
[組成物F]
不純物含有イオン性錯体組成物Dの主溶媒を酢酸エチル(AcOEt)に置換し、Li塩濃度が約50質量%であり、AcOEtを主溶媒とする不純物含有イオン性錯体組成物Fを得た。なお、EMCからAcOEtへの置換は、濃縮後のEMC溶液にその質量の4倍のAcOEtを加えて再濃縮することを、2回繰り返すことによって行った。
[組成物G]
不純物含有イオン性錯体組成物Dの主溶媒をCHCNに置換し、Li塩濃度が約50質量%であり、CHCNを主溶媒とする不純物含有イオン性錯体組成物Gを得た。なお、EMCからCHCNへの置換は、濃縮後のEMC溶液にその質量の4倍のCHCNを加えて再濃縮することを、2回繰り返すことによって行った。
[組成物H]
不純物含有イオン性錯体組成物Dの主溶媒をテトラヒドロフラン(THF)に置換し、Li塩濃度が約50質量%であり、THFを主溶媒とする不純物含有イオン性錯体組成物Hを得た。なお、EMCからTHFへの置換は、濃縮後のEMC溶液にその質量の4倍のTHFを加えて再濃縮することを、2回繰り返すことによって行った。
〔実施例及び比較例〕
Figure 2016027029
Figure 2016027029
Figure 2016027029
Figure 2016027029
Figure 2016027029
[実施例及び比較例]
表22〜26に示す不純物含有イオン性錯体組成物(50g)の質量に対し、表22〜26に示す低極性有機溶媒(含水量は表22〜表26に記載のとおり)を、表22〜26に記載の量だけ添加した。該添加に際し、添加総量の1/3の質量を表22〜26に記載の通りの時間(表22〜26中で「1/3添加終了までの時間」と記載する)をかけて撹拌下で添加し、その後に残りの添加総量の2/3の質量を撹拌下で添加して混合液を撹拌し、結晶を析出させた。低極性有機溶媒の添加総量の1/3の質量を添加し終えた時点から混合物を固液分離するまでの時間(精製時間)は表22〜26に記載の通りである。なお、低極性有機溶媒の添加開始以降の液温は25℃に保った。析出した固体をろ過にて回収し、加熱減圧(30〜50℃、1〜10hPa)にて乾燥させることで、実施例及び比較例に係るイオン性錯体を得た。
[評価]
各種のイオン性錯体について、実施例1と同じ手法にて、イオン性錯体(1a)の純度、イオン性錯体(1a)の回収率及びイオン性錯体に含まれる遊離酸濃度を測定した。結果を表27〜31に示す。
Figure 2016027029
Figure 2016027029
Figure 2016027029
Figure 2016027029
Figure 2016027029
主溶媒及び低極性有機溶媒(貧溶媒)の種類が異なる場合であっても、精製時間が0.4時間以上28時間以下である場合、低極性有機溶媒の添加総量、低極性有機溶媒の水分、精製操作時の母液の液温にかかわらず、純度が95モル%以上であるイオン性錯体(1a)を10%以上の回収率で得ることができた(実施例)。一方、精製時間が0.38時間である場合、純度が95モル%以上であるイオン性錯体(1a)を得られたものの、回収率が10%未満であった。また、精製時間が29.13時間である場合、イオン性錯体の純度が95モル%未満であった。
ここで、各々の実施例を比較する。低極性有機溶媒(貧溶媒)が塩素系溶媒(CHCl、CHCl)である場合、低極性有機溶媒(貧溶媒)の添加を開始してから混合物の固液分離を開始するまでの全ての時間を通して溶液が均一系である。それに対して、貧溶媒が炭化水素溶媒(トルエン等)の場合、貧溶媒の添加を開始した時点でだけでなく、添加を終え精製の中盤に差し掛かった段階でも混合液が飽和溶液層と貧溶媒層とに分離する。貧溶媒層に主溶媒成分が抽出され、飽和溶液層中の主溶媒量が一定量以下になった時点で、イオン性錯体の析出が進むと考えられる。
実施例2−3と実施例5−3とを比較すると、貧溶媒トルエンとCHClを同じ精製時間12.13時間で比較した場合、CHClの方が純度、回収率ともに高い値となっている。しかし、実施例2−4と実施例5−4とを比較すると、貧溶媒がトルエンである場合、精製時間を12時間から20.13時間に延ばすことで回収率が大きく向上し、同条件でのCHCl系との回収率の差は13%にまで縮まっているといえる。
また、貧溶媒をCHClに固定し、主溶媒の種類で比べると、主溶媒がEMC、AcOEt、CHCN、THFである場合、同じ低極性有機溶媒(貧溶媒)添加総量で得られる精製品の純度は同程度であるものの、回収率が大きく異なり、EMC>AcOEt>CHCN、THFである。このことから、回収率には、主溶媒の溶解度が大きく影響するといえる。
総合的に見ると、主溶媒が炭酸エステル(DMC、EMC)又はエステル(AcOEt)、貧溶媒が塩素系溶媒(CHCl、CHCl)の組み合わせが特に適しているといえる。しかし、塩素系溶媒は外部へ漏洩した際の環境への影響が大きいことから、その使用は可能な限り避けることが好ましく、その場合、主溶媒が炭酸エステル(DMC、EMC)又はエステル(AcOEt)、貧溶媒がトルエン(酸素官能基を有さず、付加体を形成しない)の組み合わせが適している。
<実施例10〜15> 目標とするイオン性錯体がイオン性錯体(1b)である場合
実施例10:合成例;合成例6
溶媒系;DMC+CHCl
実施例11:合成例;合成例8
溶媒系;EMC+CHCl
実施例12:合成例;合成例7
溶媒系;DMC+CHCl
実施例13:合成例;合成例9
溶媒系;EMC+CHCl
実施例14:合成例;合成例6
溶媒系;AcOEt+CHCl
実施例15:合成例;合成例6
溶媒系;AcOEt+トルエン系
〔合成例 その4〕 不純物含有イオン性錯体の合成 その4
Figure 2016027029
[合成例6]
DMCの量を150mLにし、シュウ酸を倍量の23.8g(264mモル)にし、SiClを倍量の26.8g(158mモル)にし、反応温度を45℃にしたこと以外は、合成例2と同じ手法にて、合成例6に係る不純物含有イオン性錯体を得た。この錯体の組成をF−NMRにて分析したところ、不純物含有イオン性錯体の組成は、錯体(1a)が5モル%、錯体(1b)が93モル%、LiPOが2モル%であった。
〔合成例7〕
DMCを40mL追加し、シュウ酸を倍量の23.8g(264mモル)にし、ClとFとの比率が4:2であるLiPCl溶液を使用したこと以外は、合成例3と同じ手法にて、合成例7に係る不純物含有イオン性錯体を得た。この錯体の組成をF−NMRにて分析したところ、不純物含有イオン性錯体の組成は、錯体(1a)が16モル%、錯体(1b)が75モル%、LiPFが7モル%、LiPOが2モル%であった。
〔合成例8〕
使用する溶媒をDMCからEMCに変更したこと以外は、合成例6と同じ手法にて、合成例8に係る不純物含有イオン性錯体を得た。この錯体の組成をF−NMRにて分析したところ、不純物含有イオン性錯体の組成は、錯体(1a)が5モル%、錯体(1b)が93モル%、LiPOが2モル%であった。
〔合成例9〕
使用する溶媒をDMCからEMCに変更したこと以外は、合成例7と同じ手法にて、合成例9に係る不純物含有イオン性錯体を得た。この錯体の組成をF−NMRにて分析したところ、不純物含有イオン性錯体の組成は、錯体(1a)が15モル%、錯体(1b)が76モル%、LiPFが7モル%、LiPOが2モル%であった。
〔調製例 その5〕 不純物含有イオン性錯体組成物の調製 その5
Figure 2016027029
[組成物I]
合成例6に係る不純物含有イオン性錯体に含まれる不溶解物をろ過にて除去した後、Li塩濃度が約45質量%になるまで濃縮した。濃縮の際に析出した不溶解物を再びろ過で取り除き、不純物含有イオン性錯体組成物Iを得た。
[組成物J]
合成例7に係る不純物含有イオン性錯体に含まれる不溶解物をろ過にて除去した後、Li塩濃度が約45質量%になるまで濃縮した。濃縮の際に析出した不溶解物を再びろ過で取り除き、不純物含有イオン性錯体組成物Jを得た。
[組成物K]
合成例8に係る不純物含有イオン性錯体に含まれる不溶解物をろ過にて除去した後、Li塩濃度が約45質量%になるまで濃縮した。濃縮の際に析出した不溶解物を再びろ過で取り除き、不純物含有イオン性錯体組成物Kを得た。
[組成物L]
合成例9に係る不純物含有イオン性錯体に含まれる不溶解物をろ過にて除去した後、Li塩濃度が約45質量%になるまで濃縮した。濃縮の際に析出した不溶解物を再びろ過で取り除き、不純物含有イオン性錯体組成物Lを得た。
[組成物M]
不純物含有イオン性錯体組成物Iの主溶媒をAcOEtに置換し、Li塩濃度が約45質量%であり、AcOEtを主溶媒とする不純物含有イオン性錯体組成物Mを得た。なお、DMCからAcOEtへの置換は、濃縮後のDMC溶液にその質量の4倍のAcOEtを加えて再濃縮することを、2回繰り返すことによって行った。
〔実施例及び比較例〕
Figure 2016027029
Figure 2016027029
Figure 2016027029
Figure 2016027029
Figure 2016027029
Figure 2016027029
[実施例及び比較例]
表34〜39に示す不純物含有イオン性錯体組成物(50g)の質量に対し、表34〜39に示す低極性有機溶媒(含水量は表34〜表39に記載のとおり)を、表34〜39に記載の量だけ添加した。該添加に際し、添加総量の1/3の質量を表34〜39に記載の通りの時間(表34〜39中で「1/3添加終了までの時間」と記載する)をかけて撹拌下で添加し、その後に残りの添加総量の2/3の質量を撹拌下で添加して混合液を撹拌し、結晶を析出させた。低極性有機溶媒の添加総量の1/3の質量を添加し終えた時点から混合物を固液分離するまでの時間(精製時間)は表34〜39に記載の通りである。なお、低極性有機溶媒の添加開始以降の液温は25℃に保った。析出した固体をろ過にて回収し、加熱減圧(30〜50℃、1〜10hPa)にて乾燥させることで、実施例及び比較例に係るイオン性錯体を得た。
[評価]
各種のイオン性錯体について、実施例1と同じ手法にて、イオン性錯体(1b)の純度、イオン性錯体(1b)の回収率及びイオン性錯体に含まれる遊離酸濃度を測定した。結果を表40〜45に示す。
Figure 2016027029
Figure 2016027029
Figure 2016027029
Figure 2016027029
Figure 2016027029
Figure 2016027029
主溶媒及び低極性有機溶媒(貧溶媒)の種類が異なる場合であっても、精製時間が0.4時間以上28時間以下である場合、低極性有機溶媒の添加総量、低極性有機溶媒の水分、精製操作時の母液の液温にかかわらず、純度が95モル%以上であるイオン性錯体(1b)を10%以上の回収率で得ることができた(実施例)。一方、精製時間が0.38時間である場合、純度が95モル%以上であるイオン性錯体(1b)を得られたものの、回収率が10%未満であった。また、精製時間が29.13時間である場合、イオン性錯体の純度が95モル%未満であった。
まず、実施例10−2と実施例12−2、実施例10−3と実施例12−3、あるいは実施例10−4と実施例12−4を対比し、原料の違いによる純度及び回収率の違いについて検討する。異なる合成法で得られたイオン性錯体(1b)をDMC+CHCl系で精製すると、どちらも3.13時間の精製時間で純度99モル%、12.13時間の精製時間で純度98モル%、20.13時間の精製時間で純度97モル%の精製品が得られている。
しかしながら、合成例6に係る原料を用いる方が合成例7に係る原料を用いる場合に比べ、回収率がわずかながら高い。これは、元となる濃縮液の純度が異なるためであると考えられる。
続いて、溶媒の違いによる純度及び回収率の違いについて検討する。実施例10−3と実施例11−3あるいは実施例12−3と実施例13−3を対比し、DMC+CHCl系とEMC+CHCl系とを比較すると、EMC+CHCl系の方が若干ではあるが精製効率が高い。また、実施例14−7と実施例10−3とを対比すると、溶媒系をAcOEt+CHClに変更してもイオン性錯体(1b)を精製することは可能であるが、回収率がDMC+CHCl系に比べて低くなるといえる。また、実施例14−3と実施例15−7とを対比すると、AcOEt+トルエン系でも問題なく精製できるが、AcOEt+CHCl系に比べて純度及び回収率がさらに低下する。
最後に、目標とするイオン性錯体が(1a)である場合と(1b)である場合とについて比較すると、イオン性錯体(1b)の方が析出し易く、より少ない貧溶媒添加総量で純度の高い精製品を高い回収率で回収できるといえる。しかし、貧溶媒含水量、貧溶媒添加総量、精製時間、母液の液温の各条件が精製結果に与える影響は基本的に同じ傾向であり、特に精製時間(次いで貧溶媒の添加総量)が、純度と回収率に大きな影響を与える因子であることに変わりはないといえる。
[実施例16−1、16−2]
貧溶媒としてCHClではなく、1233zd(シス体)を用いた以外は、それぞれ実施例2−3及び2−4と同様の操作を行い、同様に評価した。結果を表46に示す。
Figure 2016027029
表46に示すように、貧溶媒として炭素数3のヒドロクロロフルオロオレフィンを用いた場合も良好な精製結果を示した。

Claims (11)

  1. 下記一般式(1)から(3)のいずれかで表されるイオン性錯体と、前記イオン性錯体を溶解する主溶媒と、不純物として少なくともジフルオロリン酸塩を含有する不純物含有イオン性錯体組成物から不純物を分離除去して精製イオン性錯体を製造する方法であって、
    前記不純物含有イオン性錯体組成物に、前記イオン性錯体を溶解する溶解度が前記主溶媒の前記溶解度より低い低極性有機溶媒を添加し、該添加に際し前記低極性有機溶媒の添加総量の1/3の質量を添加し終えた時点から0.4時間以上28時間以内に、混合物を固液分離することで、前記不純物を前記イオン性錯体から分離する工程を含む、精製イオン性錯体の製造方法。
    Figure 2016027029
    Figure 2016027029
    Figure 2016027029
    [一般式(1)において、
    Aは金属イオン、プロトン及びオニウムイオンからなる群から選ばれる少なくとも1つである。aは1又は2である。
    Fはフッ素である。oは2又は4である。
    Pはリンである。
    、Xは、それぞれ独立でO、S又はNであり、Nの場合、−N(R)−を表す。ここで、Rは炭素数1〜10の環やヘテロ原子やハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基を表す。炭素数が3以上の場合にあっては、Rは分岐鎖あるいは環状構造をとることもできる。また、XがNでmが0の場合、XとRは直接結合し、その際は下記一般式(4)〜(6)のような構造をとることもできる。同様に、XがNでkが0の場合、XとRは直接結合し、下記一般式(4)〜(6)のような構造をとることもできる。直接結合が二重結合となる下記一般式(4)の場合、Rは存在しない。
    、Yはそれぞれ独立でC、又はSを表す。kは0又は1(ただし、kが0の場合、qも0)であり、mは0又は1(ただし、mが0の場合、rも0)である。YがCの場合、kが1であればqは1であり、kが0であればqは0である。YがCの場合、mが1であればrは1であり、mが0であればrは0である。YがSの場合、それに結合するZはOであり、kが1であればqは1又は2であり、kが0であればqは0である。YがSの場合、それに結合するZはOであり、mが1であればrは1又は2であり、mが0であればrは0である。
    、Zはそれぞれ独立でO元素又はS元素である。qは0〜2であり、rは0〜2である。
    は炭素数1〜10の環やヘテロ原子やハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基(炭素数が3以上の場合にあっては、分岐鎖あるいは環状構造のものも使用できる)、又は−N(R)−を表す。このとき、Rは水素、アルカリ金属、炭素数1〜10の環やヘテロ原子やハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基を表す。炭素数が3以上の場合にあっては、Rは分岐鎖あるいは環状構造をとることもできる。pは0又は1である。
    nは1又は2である。]
    Figure 2016027029
    [一般式(2)において、
    Dはハロゲンイオン、ヘキサフルオロリン酸アニオン、テトラフルオロホウ酸アニオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン、ビス(フルオロメタンスルホニル)イミドアニオン、(フルオロメタンスルホニル)(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン、ビス(ジフルオロホスホニル)イミドアニオンから選ばれる少なくとも一つである。cは0又は1であり、nが1の場合、cは0(cが0のときDは存在しない)であり、nが2の場合、cは1となる。
    F、P及びoは、一般式(1)で説明したものと同じである。
    は、O、S、又はNであり、Nの場合、−N(R)−を表す。このとき、Rは炭素数1〜10の環やヘテロ原子やハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基を表す。炭素数が3以上の場合にあっては、Rは分岐鎖あるいは環状構造をとることもできる。また、XがNでkが0の場合、XとRは直接結合し、その際は上記一般式(4)〜(6)のような構造をとることもできる。同様に、mが0の場合、N(R)(R)とRは直接結合し、その際は下記一般式(7)〜(11)のような構造をとることもできる。直接結合が二重結合となる式(7)、式(9)の場合、Rは存在しない。
    、Y、R、Z、Z、k、m、p、q及びrは、一般式(1)で説明したものと同じである。
    Nは窒素である。
    、Rはそれぞれ独立で炭素数1〜10の環やヘテロ原子やハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基であり、炭素数が3以上の場合にあっては、分岐鎖あるいは環状構造のものも使用できる。また、下記の(11)の様にお互いを含む環状構造を有してもよい。]
    Figure 2016027029
    [一般式(3)において、
    Dは、一般式(2)で説明したものと同じである。dは1〜3であり、nが1の場合、dは1であり、nが2の場合、dは3となる。
    F、P、Y、Y、R、Z、Z、k、m、o、p、q及びrは、一般式(1)で説明したものと同じである。
    、R、R、Rはそれぞれ独立で炭素数1〜10の環やヘテロ原子やハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基であり、炭素数が3以上の場合にあっては、分岐鎖あるいは環状構造のものも使用できる。また、上記一般式(11)、下記一般式(16)の様にお互いを含む環状構造を有してもよい。mが0の場合、N(R)(R)とRは直接結合し、その際は上記一般式(7)〜(11)のような構造をとることもできる。同様にkが0の場合、N(R)(R)とRは直接結合し、その際は下記一般式(12)〜(16)のような構造をとることもできる。直接結合が二重結合となる一般式(7)、一般式(9)の場合、Rは存在しない。直接結合が二重結合となる一般式(12)、一般式(14)の場合、Rは存在しない。
    Nは、一般式(2)で説明したものと同じである。]
    Figure 2016027029
  2. 前記主溶媒が、炭酸ジメチル、炭酸エチルメチル、炭酸ジエチル、炭酸メチルプロピル、炭酸エチルプロピル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、アセトン、エチルメチルケトン、ジエチルケトン、アセトニトリル、プロピオニトリル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,2−ジメトキシエタン、及び1,2−ジエトキシエタンからなる群から選ばれる少なくとも1つである、請求項1に記載の精製イオン性錯体の製造方法。
  3. 前記低極性有機溶媒が、エーテル溶媒、炭化水素溶媒、炭素数1又は2の塩素系溶媒、及び炭素数3のヒドロクロロフルオロオレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1つである、請求項1又は2に記載の精製イオン性錯体の製造方法。
  4. 前記エーテル溶媒が、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,4−ジオキサン、及び1,3−ジオキサンからなる群から選ばれる少なくとも1つである、請求項3に記載の精製イオン性錯体の製造方法。
  5. 前記炭化水素溶媒が、トルエン、ベンゼン、キシレン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、及びシクロヘプタンからなる群から選ばれる少なくとも1つである、請求項3に記載の精製イオン性錯体の製造方法。
  6. 前記塩素系溶媒が、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,1−ジクロロエタン、トリクロロエチレン、及びテトラクロロエチレンからなる群から選ばれる少なくとも1つである、請求項3に記載の精製イオン性錯体の製造方法。
  7. 前記炭素数3のヒドロクロロフルオロオレフィンが、トランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン、シス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン、トランス−1−クロロ−2,3,3−トリフルオロ−1−プロペン、シス−1−クロロ−2,3,3−トリフルオロ−1−プロペン、トランス−1−クロロ−1,3,3−トリフルオロ−1−プロペン、シス−1−クロロ−1,3,3−トリフルオロ−1−プロペン、トランス−2−クロロ−1,3,3−トリフルオロ−1−プロペン、シス−2−クロロ−1,3,3−トリフルオロ−1−プロペン、トランス−3−クロロ−1,2,3−トリフルオロ−1−プロペン、シス−3−クロロ−1,2,3−トリフルオロ−1−プロペン、2−クロロ−1,1,3−トリフルオロ−1−プロペン、3−クロロ−1,1,2−トリフルオロ−1−プロペン、及び2−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペンからなる群から選ばれる少なくとも1つである、請求項3に記載の精製イオン性錯体の製造方法。
  8. 前記不純物含有イオン性錯体組成物に前記低極性有機溶媒を添加する際、その添加総量は、前記不純物含有イオン性錯体組成物の質量に対して1〜20質量倍である、請求項1から7のいずれかに記載の精製イオン性錯体の製造方法。
  9. 前記低極性有機溶媒に含まれる水分が150質量ppm以下である、請求項1から8のいずれかに記載の精製イオン性錯体の製造方法。
  10. 前記低極性有機溶媒の添加を開始してから前記混合物を固液分離するまでの間、液温を−5℃以上45℃以下の範囲内にする、請求項1から9のいずれかに記載の精製イオン性錯体の製造方法。
  11. 下記一般式(1)から(3)のいずれかで表されるイオン性錯体であって、
    不純物としてジフルオロリン酸塩を含有し、
    F,P−NMRで測定したときの前記イオン性錯体の純度が95モル%以上であり、
    遊離酸濃度がフッ化水素換算で700質量ppm以下であるイオン性錯体。
    Figure 2016027029
    Figure 2016027029
    Figure 2016027029
    [一般式(1)において、
    Aは金属イオン、プロトン及びオニウムイオンからなる群から選ばれる少なくとも1つである。aは1又は2である。
    Fはフッ素である。oは2又は4である。
    Pはリンである。
    、Xは、それぞれ独立でO、S又はNであり、Nの場合、−N(R)−を表す。ここで、Rは炭素数1〜10の環やヘテロ原子やハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基を表す。炭素数が3以上の場合にあっては、Rは分岐鎖あるいは環状構造をとることもできる。また、XがNでmが0の場合、XとRは直接結合し、その際は下記一般式(4)〜(6)のような構造をとることもできる。同様に、XがNでkが0の場合、XとRは直接結合し、下記一般式(4)〜(6)のような構造をとることもできる。直接結合が二重結合となる下記一般式(4)の場合、Rは存在しない。
    、Yはそれぞれ独立でC、又はSを表す。kは0又は1(ただし、kが0の場合、qも0)であり、mは0又は1(ただし、mが0の場合、rも0)である。YがCの場合、kが1であればqは1であり、kが0であればqは0である。YがCの場合、mが1であればrは1であり、mが0であればrは0である。YがSの場合、それに結合するZはOであり、kが1であればqは1又は2であり、kが0であればqは0である。YがSの場合、それに結合するZはOであり、mが1であればrは1又は2であり、mが0であればrは0である。
    、Zはそれぞれ独立でO元素又はS元素である。qは0〜2であり、rは0〜2である。
    は炭素数1〜10の環やヘテロ原子やハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基(炭素数が3以上の場合にあっては、分岐鎖あるいは環状構造のものも使用できる)、又は−N(R)−を表す。このとき、Rは水素、アルカリ金属、炭素数1〜10の環やヘテロ原子やハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基を表す。炭素数が3以上の場合にあっては、Rは分岐鎖あるいは環状構造をとることもできる。pは0又は1である。
    nは1又は2である。]
    Figure 2016027029
    [一般式(2)において、
    Dはハロゲンイオン、ヘキサフルオロリン酸アニオン、テトラフルオロホウ酸アニオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン、ビス(フルオロメタンスルホニル)イミドアニオン、(フルオロメタンスルホニル)(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン、ビス(ジフルオロホスホニル)イミドアニオンから選ばれる少なくとも一つである。cは0又は1であり、nが1の場合、cは0(cが0のときDは存在しない)であり、nが2の場合、cは1となる。
    F、P及びoは、一般式(1)で説明したものと同じである。
    は、O、S、又はNであり、Nの場合、−N(R)−を表す。このとき、Rは炭素数1〜10の環やヘテロ原子やハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基を表す。炭素数が3以上の場合にあっては、Rは分岐鎖あるいは環状構造をとることもできる。また、XがNでkが0の場合、XとRは直接結合し、その際は上記一般式(4)〜(6)のような構造をとることもできる。同様に、mが0の場合、N(R)(R)とRは直接結合し、その際は下記一般式(7)〜(11)のような構造をとることもできる。直接結合が二重結合となる式(7)、式(9)の場合、Rは存在しない。
    、Y、R、Z、Z、k、m、p、q及びrは、一般式(1)で説明したものと同じである。
    Nは窒素である。
    、Rはそれぞれ独立で炭素数1〜10の環やヘテロ原子やハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基であり、炭素数が3以上の場合にあっては、分岐鎖あるいは環状構造のものも使用できる。また、下記の(11)の様にお互いを含む環状構造を有してもよい。]
    Figure 2016027029
    [一般式(3)において、
    Dは、一般式(2)で説明したものと同じである。dは1〜3であり、nが1の場合、dは1であり、nが2の場合、dは3となる。
    F、P、Y、Y、R、Z、Z、k、m、o、p、q及びrは、一般式(1)で説明したものと同じである。
    、R、R、Rはそれぞれ独立で炭素数1〜10の環やヘテロ原子やハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基であり、炭素数が3以上の場合にあっては、分岐鎖あるいは環状構造のものも使用できる。また、上記一般式(11)、下記一般式(16)の様にお互いを含む環状構造を有してもよい。mが0の場合、N(R)(R)とRは直接結合し、その際は上記一般式(7)〜(11)のような構造をとることもできる。同様にkが0の場合、N(R)(R)とRは直接結合し、その際は下記一般式(12)〜(16)のような構造をとることもできる。直接結合が二重結合となる一般式(7)、一般式(9)の場合、Rは存在しない。直接結合が二重結合となる一般式(12)、一般式(14)の場合、Rは存在しない。
    Nは、一般式(2)で説明したものと同じである。]
    Figure 2016027029
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