JP6093488B2 - ジフルオロリン酸塩の製造方法 - Google Patents
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Description
また、特許文献8には、原材料であるオキシフッ化リンを自製する方法が開示されているが、リン酸カルシウムとフルオロ硫酸との反応は、用いる原材料が高価であることや収率が低いこと等から、この方法は、工業的製造には不向きであると言えなくもない。
(1)アルカリ金属、アルカリ土類金属又はオニウムのハロゲン化物、炭酸塩、ホウ酸塩、リン酸塩、水酸化物及び酸化物からなる群より選択される少なくとも1種の塩と、リンのオキシ塩化物及び塩化物からなる群より選択される1種のリン化合物と、水との反応によってジクロロリン酸塩を生成させる工程と、(2)当該ジクロロリン酸塩にフッ化水素を反応させる工程とを含むことを特徴とするジフルオロリン酸塩の製造方法。
(1)リンのオキシ塩化物及び塩化物からなる群より選択される1種のリン化合物と、水との反応によってジクロロリン酸を生成させる工程と、(2)当該ジクロロリン酸と、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はオニウムのハロゲン化物、炭酸塩、ホウ酸塩、リン酸塩、水酸化物及び酸化物からなる群より選択される少なくとも1種の塩との反応によりジクロロリン酸塩を生成させる工程と、(3)当該ジクロロリン酸塩にフッ化水素を反応させる工程とを含むことを特徴とするジフルオロリン酸塩の製造方法。
フッ化水素が、無水フッ化水素、無水フッ化水素と有機溶媒との混合溶液、無水フッ化水素と不活性ガスとの混合ガスからなる群より選択される何れかである、[1]又[2]に記載の方法のジフルオロリン酸塩の製造方法。
反応に使われる塩が、アルカリ金属のハロゲン化物、炭酸塩、ホウ酸塩、リン酸塩、水酸化物及び酸化物からなる群より選択される少なくとも1種である、[1]〜[3]の何れかに記載のジフルオロリン酸塩の製造方法。
反応に使われる塩が、アルカリ金属のハロゲン化物及び炭酸塩からなる群より選択される少なくとも1種である、[1]〜[3]の何れかに記載のジフルオロリン酸塩の製造方法。
リン化合物が、塩化ホスホリルである、[1]〜[5]の何れかに記載のジフルオロリン酸塩の製造方法。
リン化合物と水との反応温度が−50℃〜50℃の範囲であることを特徴とする、[1]〜[6]の何れかに記載のジフルオロリン酸塩の製造方法。
ジクロロリン酸塩とフッ化水素とを接触させた後に、80℃〜250℃の温度範囲を維持することを特徴とする、[1]〜[7]の何れかに記載のジフルオロリン酸塩の製造方法。
ジクロロリン酸塩とフッ化水素との接触温度として−50℃〜130℃の範囲で接触させた後、生成物の組成を収束させる温度として80℃〜250℃の範囲に維持することを特徴とする、[1]〜[8]の何れかに記載のジフルオロリン酸塩の製造方法。
また、本発明の方法では副生物が低沸点な塩化水素となることから、反応系内に残留することがない。そのため、酸によりジフルオロリン酸塩が分解されるおそれがなく、高純度のジフルオロリン酸塩を得ることができる。さらに、ワンポットにて製造可能であり、工業的に有利である。
また、本発明の方法によれば反応系内でジフルオロリン酸塩の分解が発生しないことから、分解物による電池サイクル特性の悪化や電解液の着色といった問題も生じない。
(化1)
POCl3 + H2O → HPO2Cl2 + HCl (i)
HPO2Cl2 + LiCl → LiPO2Cl2 + HCl (ii)
LiPO2Cl2 + 2HF → LiPO2F2 + 2HCl (iii)
また、他の原材料となる塩を用いた場合には、二段階目(上記(ii))の副生物が異なる。
例えば、フッ化リチウム(LiF)を用いた場合にはフッ化水素が、炭酸リチウム(Li2CO3)を用いた場合には水と炭酸ガスが、それぞれ副生する。
更に上述したように、ジクロロリン酸塩がジフルオロリン酸塩となる反応は不明な点が多いが、加熱することでモノクロロモノフルオロリン酸塩やモノフルオロリン酸塩等の不純物が減少し、ジフルオロリン酸塩へと組成が収束(convergent synthesis)することがわかっている。
本発明では、場合により、
1)アルカリ金属のハロゲン化物、炭酸塩、ホウ酸塩、リン酸塩、水酸化物又は酸化物、2)アルカリ土類金属のハロゲン化物、炭酸塩、ホウ酸塩、リン酸塩、水酸化物又は酸化物、
3)オニウムのハロゲン化物、炭酸塩、ホウ酸塩、リン酸塩、水酸化物又は酸化物、より選択される少なくとも一種類を原料塩として使用することができる。
ホスホ二ウムとしては、第4級ホスホ二ウムが好ましい。
スルホニウムとしては、第3級スルホニウムが好ましい。
原料塩として最も好ましいのは、入手の容易さ及びコストの優位性の観点から、フッ化リチウム、塩化リチウム、又は炭酸リチウムである。
そして、本発明では場合により、リンのオキシ塩化物及び塩化物からなる群より選択される少なくとも一種類をリン化合物として使用することができる。
リンの塩化物としては、具体的に、三塩化リン、又は五塩化リン等が挙げられる。
本発明では、無水フッ化水素を用いることが、反応の際、加える水との取扱いを区別できるので好ましい。
エステル類としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等が挙げられ、好ましくは、酢酸エチル、酢酸ブチルが挙げられる。
リン酸エステルとしては、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、亜リン酸トリメチル、又は亜リン酸ジエチルメチル等が挙げられる。
エーテル類としては、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、又は2−メチルテトラヒドロフラン等が挙げられ、好ましくはジメトキシエタンが挙げられる。
ニトリル化合物としては、アセトニトリル等が挙げられる。
アミド化合物としては、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。
アルコール類としては、メチルアルコール、エチルアルコール、ブチルアルコール等が挙げられる。
アルカン類としては、ヘキサン、n−ヘプタン等が挙げられる。
このため、本発明の製造方法において、実施例1、リン化合物として塩化ホスホリル、原料塩としてフッ化リチウムを用いた反応を例に取ると、原料塩の仕込み量は、任意に設定することができるが、原料として使用される塩を、リン源としてのリン化合物1当量あたり、0.9当量以上とすることが好ましく、精製操作の負荷軽減の観点から0.95〜1.35当量とすることが好ましく、さらには、1.05〜1.15当量とすることが好ましく、特に好ましくは、1.09〜1.11当量とすることである。他の原料塩を用いた場合、原料塩の種類、副生する化合物を勘案し当量を変化させてもよい。
この中でも、反応制御の容易性の観点から、(a)=1、(b)=2、(c)=3、(d)=4の順、(a)=1、(b)=3、(c)=2、(d)=4の順、(a)=2、(b)=3、(c)=1、(d)=4の順が好ましく、さらには(a)=2、(b)=3、(c)=1、(d)=4の順、(a)=1、(b)=2、(c)=3、(d)=4の順が好ましい。
エステル類としては、酢酸メチル、酢酸エチル等が挙げられ、好ましくは、酢酸エチル、酢酸ブチルが挙げられる。
リン酸エステルとしては、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、亜リン酸トリメチル、亜リン酸ジエチルメチル等が挙げられる。
エーテル類としては、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等が挙げられ、好ましくはジメトキシエタンが挙げられる。 ニトリル化合物としては、アセトニトリル等が挙げられる、アミド化合物としては、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。
アルコール類としては、メチルアルコール、エチルアルコール、ブチルアルコール等が挙げられる。
アルカン類としては、ヘキサン、n−ヘプタン等が挙げられる。
エステル類としては、酢酸メチル、酢酸エチル等が挙げられ、好ましくは、酢酸エチル、酢酸ブチルが挙げられる。
リン酸エステルとしては、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、亜リン酸トリメチル、亜リン酸ジエチルメチル等が挙げられる。
エーテル類としては、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等が挙げられ、好ましくはジメトキシエタンが挙げられる。
ニトリル化合物としては、アセトニトリル等が挙げられる。アミド化合物としては、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。
アルコール類としては、メチルアルコール、エチルアルコール、ブチルアルコール等が挙げられる。
アルカン類としては、ヘキサン、n−ヘプタン等が挙げられる。
塩化ホスホリル 25.0g(0.16mol)、ジメチルカーボネート 62.5gを250mLのPFA製容器に量りとった。続いて、窒素シールの下、10℃で攪拌しながら純水 2.9g(0.16mol)を30分かけて滴下した。1時間撹拌した後、31P−NMRにて塩化ホスホリルのピークが消失し、ジクロロリン酸のピークが出現したことを確認し、フッ化リチウム 4.6g(0.18mol)を加えた。30分撹拌した後、31P−NMRにてジクロロリン酸のピークが消失し、ジクロロリン酸リチウム及びモノクロロモノフルオロリン酸リチウムのピークが出現することを確認した後、28%フッ化水素ジメチルカーボネート溶液 17.0g(フッ化水素換算0.24mol)を加え、10℃で30分撹拌した。続いて、120℃で、窒素シールしながら1時間撹拌し、組成を収束した。120℃で2時間加熱し余剰な溶媒や反応副生物を留去せしめた。その後、室温まで冷却すると粗ジフルオロリン酸リチウムの結晶が15.9g得られた。得られた結晶を19F−NMR、31P−NMRにて生成比を算出した。その結果、ほぼ定量的に反応が進行していることを確認した。引き続いて精製処理を実施したところ、ジフルオロリン酸リチウムの結晶を13.2g得た。得られた結晶を中和滴定により算出した酸分値は50wtppm以下、NMRにて算出した純度は99%であった。
塩化リチウム 7.6g(0.18mol)、塩化ホスホリル 25.0g(0.16mol)、ジメチルカーボネート 62.5gを250mLのPFA製容器に量りとった。続いて、窒素シールの下、10℃で攪拌しながら純水 2.9g(0.16mol)を30分かけて滴下した。30分撹拌した後、31P−NMRにてジクロロリン酸リチウムのピークが出現することを確認した後、14%フッ化水素ジメチルカーボネート溶液 68.5g(フッ化水素換算0.48mol)を加え、10℃で30分撹拌した。その後、120℃で、窒素シールしながら1時間撹拌し、組成を収束した。120℃で2時間加熱し余剰な溶媒や反応副生物を留去せしめた。続いて、室温まで冷却すると粗ジフルオロリン酸リチウムの結晶を13.2g得た。得られた結晶を19F−NMR、31P−NMRにて生成比を算出した。結果、ほぼ定量的に反応が進行していることを確認した。続いて精製処理を実施したところ、ジフルオロリン酸リチウムの結晶を11.4g得た。得られた結晶を中和滴定により算出した酸分値は50wtppm以下、NMRにて算出した純度は99%であった。
フッ化リチウム 4.6g(0.18mol)、塩化ホスホリル 25.0g(0.16mol)、ジメチルカーボネート 62.5gを250mLのPFA製容器に量りとった。続いて、窒素シールの下、10℃で攪拌しながら純水 2.9g(0.16mol)を30分かけて滴下した。30分撹拌した後、31P−NMRにてジクロロリン酸リチウム及びモノフルオロリン酸リチウムのピークが出現することを確認した後、14%フッ化水素ジメチルカーボネート溶液 35.0g(フッ化水素換算0.25mol)を加え、10℃で30分撹拌した。続いて、120℃で、窒素シールしながら1時間撹拌し、組成を収束した。120℃で2時間加熱し余剰な溶媒や反応副生物を留去せしめた。その後、室温まで冷却すると粗ジフルオロリン酸リチウムの結晶を14.9g得た。得られた結晶を19F−NMR、31P−NMRにて生成比を算出した。結果、ほぼ定量的に反応が進行していることを確認した。続いて精製処理を実施したところ、ジフルオロリン酸リチウムの結晶を12.5g得た。得られた結晶を中和滴定により算出した酸分値は50wtppm以下、NMRにて算出した純度は99%であった。
炭酸リチウム 6.0g(0.08mol)、塩化ホスホリル 25.0g(0.16mol)、ジメチルカーボネート 62.5gを250mLのPFA製容器に量りとった。続いて、窒素シールの下、10℃で攪拌しながら純水 1.4g(0.08mol)を30分かけて滴下した。30分撹拌した後、31P−NMRにてジクロロリン酸リチウムのピークが出現することを確認した後、28%フッ化水素ジメチルカーボネート溶液 35.0g(フッ化水素換算0.49mol)を加え、10℃で30分撹拌した。その後、120℃で、窒素シールしながら1時間撹拌し、組成を収束した。120℃で2時間加熱し余剰な溶媒や反応副生物を留去せしめた。続いて、室温まで冷却すると粗ジフルオロリン酸リチウムの結晶を14.8g得た。得られた結晶を19F−NMR、31P−NMRにて生成比を算出した。結果、ほぼ定量的に反応が進行していることを確認した。続いて精製処理を実施したところ、ジフルオロリン酸リチウムの結晶を12.0g得た。得られた結晶を中和滴定により算出した酸分値は50wtppm以下、NMRにて算出した純度は99%であった。
フッ化リチウム 4.6g(0.18mol)、塩化ホスホリル 25.0g(0.16mol)、1,2−ジメトキシエタン 62.5gを250mLのPFA製容器に量りとった。続いて、窒素シールの下、10℃で攪拌しながら純水 2.9g(0.16mol)を30分かけて滴下した。30分撹拌した後、31P−NMRにてジクロロリン酸リチウム及びモノフルオロリン酸リチウムのピークが出現することを確認した後、28%フッ化水素1,2−ジメトキシエタン溶液 35.0g(フッ化水素換算0.49mol)を加え、10℃で30分撹拌した。その後、110℃で、窒素シールしながら1時間撹拌し、組成を収束した。120℃で2時間加熱し余剰な溶媒や反応副生物を留去せしめた。続いて、室温まで冷却すると粗ジフルオロリン酸リチウムの結晶を11.1g得た。得られた結晶を19F−NMR、31P−NMRにて生成比を算出した。結果、ほぼ定量的に反応が進行していることを確認した。続いて精製処理を実施したところ、ジフルオロリン酸リチウムの結晶を9.3g得た。得られた結晶を中和滴定により算出した酸分値は50wtppm以下、NMRにて算出した純度は99%であった。
フッ化リチウム 4.6g(0.18mol)、塩化ホスホリル 25.0g(0.16mol)、酢酸エチル 62.5gを250mLのPFA製容器に量りとった。続いて、窒素シールの下、10℃で攪拌しながら純水 2.9g(0.16mol)を30分かけて滴下した。30分撹拌した後、31P−NMRにてジクロロリン酸リチウム及びモノフルオロリン酸リチウムのピークが出現することを確認した後、28%フッ化水素酢酸エチル溶液 35.0g(フッ化水素換算0.49mol)を加え、10℃で30分撹拌した。続いて、120℃で、窒素シールしながら1時間撹拌し、組成を収束した。120℃で2時間加熱し余剰な溶媒や反応副生物を留去せしめた。その後、室温まで冷却すると粗ジフルオロリン酸リチウムの結晶を15.2g得た。得られた結晶を19F−NMR、31P−NMRにて生成比を算出した。結果、ほぼ定量的に反応が進行していることを確認した。続いて精製処理を実施したところ、ジフルオロリン酸リチウムの結晶を11.7g得た。得られた結晶を中和滴定により算出した酸分値は50wtppm以下、NMRにて算出した純度は99%であった。
フッ化リチウム 4.6g(0.18mol)、塩化ホスホリル 25.0g(0.16mol)、ジエチルカーボネート 62.5gを250mLのPFA製容器に量りとった。続いて、窒素シールの下、10℃で攪拌しながら純水 2.9g(0.16mol)を30分かけて滴下した。30分撹拌した後、31P−NMRにてジクロロリン酸リチウム及びモノフルオロリン酸リチウムのピークが出現することを確認した後、28%フッ化水素ジエチルカーボネート溶液 35.0g(フッ化水素換算0.49mol)を加え、10℃で30分撹拌した。続いて、110℃で、窒素シールしながら1時間撹拌し、組成を収束した。120℃で2時間加熱し余剰な溶媒や反応副生物を留去せしめた。その後、室温まで冷却すると粗ジフルオロリン酸リチウムの結晶を14.7g得た。得られた結晶を19F−NMR、31P−NMRにて生成比を算出した。結果、ほぼ定量的に反応が進行していることを確認した。続いて精製処理を実施したところ、ジフルオロリン酸リチウムの結晶を9.3g得た。得られた結晶を中和滴定により算出した酸分値は50wtppm以下、NMRにて算出した純度は99%であった。
フッ化リチウム 4.6g(0.18mol)塩化ホスホリル 25.0g(0.16mol)、を250mLのPFA製容器に量りとった。続いて、窒素シールの下、10℃にて無溶媒で振とう攪拌しながら純水 2.9g(0.16mol)を30分かけて滴下した。30分撹拌した後、31P−NMRにてジクロロリン酸リチウム及びモノフロロリン酸リチウムのピークが出現することを確認した後、14%フッ化水素ジメチルカーボネート溶液 35.0g(フッ化水素換算0.25mol)を加え、10℃で30分撹拌した。続いて、120℃で、窒素シールしながら1時間撹拌し、組成を収束した。120℃で2時間加熱し余剰な溶媒や反応副生物を留去せしめた。その後、室温まで冷却すると粗ジフルオロリン酸リチウムの結晶を14.2g得た。得られた結晶を19F−NMR、31P−NMRにて生成比を算出した。結果、ほぼ定量的に反応が進行していることを確認した。続いて精製処理を実施したところ、ジフルオロリン酸リチウムの結晶を11.4g得た。得られた結晶を中和滴定により算出した酸分値は50wtppm以下、NMRにて算出した純度は99%であった。
フッ化リチウム 4.6g(0.18mol)塩化ホスホリル 25.0g(0.16mol)、を250mLのPFA製容器に量りとった。続いて、窒素シールの下、10℃にて無溶媒で振とう攪拌しながら純水 2.9g(0.16mol)を30分かけて滴下した。30分撹拌した後、31P−NMRにてジクロロリン酸リチウム及びモノフロオロリン酸リチウムのピークが出現することを確認した後、無水フッ化水素 11.0g(0.55mol)を加え、10℃で30分撹拌した。続いて、130℃で、窒素シールしながら1時間撹拌し、組成を収束した。120℃で2時間加熱し余剰な反応副生物を留去せしめた。その後、室温まで冷却すると粗ジフルオロリン酸リチウムの結晶を14.4g得た。得られた結晶を19F−NMR、31P−NMRにて生成比を算出した。結果、ほぼ定量的に反応が進行していることを確認した。続いて精製処理を実施したところ、ジフルオロリン酸リチウムの結晶を11.7g得た。得られた結晶を中和滴定により算出した酸分値は50wtppm以下、NMRにて算出した純度は99%であった。
フッ化リチウム 4.6g(0.18mol)、塩化ホスホリル 25.0g(0.16mol)、ジメチルカーボネート 62.5gを250mLのPFA製容器に量りとった。続いて、窒素シールの下、10℃で攪拌しながら純水 2.9g(0.16mol)を30分かけて滴下した。30分撹拌した後、31P−NMRにてジクロロリン酸リチウム及びモノフロオロリン酸リチウムのピークが出現することを確認した後、無水フッ化水素 11.0g(0.55mol)を加え、10℃で30分撹拌した。続いて、120℃で、窒素シールしながら1時間撹拌し、組成を収束した。120℃で2時間加熱し余剰な溶媒や反応副生物を留去せしめた。その後、室温まで冷却すると粗ジフルオロリン酸リチウムの結晶を14.4g得た。得られた結晶を19F−NMR、31P−NMRにて生成比を算出した。結果、ほぼ定量的に反応が進行していることを確認した。続いて精製処理を実施したところ、ジフルオロリン酸リチウムの結晶を12.7g得た。得られた結晶を中和滴定により算出した酸分値は50wtppm以下、NMRにて算出した純度は99%であった。
フッ化リチウム 46g(1.8mol)、塩化ホスホリル 250g(1.6mol)、ジメチルカーボネート 625gを2LのPFA製容器に量りとった。続いて、窒素シールの下、20℃で攪拌しながら純水 29g(1.6mol)を30分かけて滴下した。30分撹拌した後、31P−NMRにてジクロロリン酸リチウム及びモノフロオロリン酸リチウムのピークが出現することを確認した後、28%フッ化水素ジメチルカーボネート溶液 170g(フッ化水素換算2.4mol)を加え、20℃で30分撹拌した。続いて、120℃で、窒素シールしながら1時間撹拌し、組成を収束した。120℃で2時間加熱し余剰な溶媒や反応副生物を留去せしめた。その後、室温まで冷却すると粗ジフルオロリン酸リチウムの結晶を140g得た。得られた結晶を19F−NMR、31P−NMRにて生成比を算出した。結果、ほぼ定量的に反応が進行していることを確認した。続いて精製処理を実施したところ、ジフルオロリン酸リチウムの結晶を106g得た。得られた結晶を中和滴定により算出した酸分値は50wtppm以下、NMRにて算出した純度は99%であった。
塩化ナトリウム 10.5g(0.18mol)、塩化ホスホリル 25.0g(0.16mol)、ジメチルカーボネート 62.5gを250mLのPFA製容器に量りとった。続いて、窒素シールの下、10℃で攪拌しながら純水 2.9g(0.16mol)を30分かけて滴下した。30分撹拌した後、31P−NMRにてジクロロリン酸ナトリウムのピークが出現することを確認した後、14%フッ化水素ジメチルカーボネート溶液 35.0g(フッ化水素換算0.25mol)を加え、10℃で30分撹拌した。続いて、120℃で、窒素シールしながら1時間撹拌し、組成を収束した。100℃で2時間加熱し余剰な溶媒や反応副生物を留去せしめた。その後、室温まで冷却すると粗ジフルオロリン酸ナトリウムの結晶を17.9g得た。得られた結晶を19F−NMR、31P−NMRにて生成比を算出した。結果、ほぼ定量的に反応が進行していることを確認した。続いて精製処理を実施したところ、ジフルオロリン酸ナトリウムの結晶を15.0g得た。得られた結晶を中和滴定により算出した酸分値は50wtppm以下、NMRにて算出した純度は99%であった。
フッ化カリウム 10.5g(0.18mol)、塩化ホスホリル 25.0g(0.16mol)、ジメチルカーボネート 62.5gを250mLのPFA製容器に量りとった。続いて、窒素シールの下、10℃で攪拌しながら純水 2.9g(0.16mol)を30分かけて滴下した。30分撹拌した後、31P−NMRにてジクロロリン酸カリウム及びモノフロオロリン酸カリウムのピークが出現することを確認した後、14%フッ化水素ジメチルカーボネート溶液 35.0g(フッ化水素換算0.25mol)を加え、10℃で30分撹拌した。続いて、120℃で、窒素シールしながら1時間撹拌し、組成を収束した。120℃で2時間加熱し余剰な溶媒や反応副生物を留去せしめた。その後、室温まで冷却すると粗ジフルオロリン酸カリウムの結晶を19.0g得た。得られた結晶を19F−NMR、31P−NMRにて生成比を算出した。結果、ほぼ定量的に反応が進行していることを確認した。続いて精製処理を実施したところ、ジフルオロリン酸カリウムの結晶を16.2g得た。得られた結晶を中和滴定により算出した酸分値は50wtppm以下、NMRにて算出した純度は99%であった。
フッ化セシウム 27.3g(0.18mol)、塩化ホスホリル 25.0g(0.16mol)、ジメチルカーボネート 62.5gを250mLのPFA製容器に量りとった。続いて、窒素シールの下、10℃で攪拌しながら純水 2.9g(0.16mol)を30分かけて滴下した。30分撹拌した後、31P−NMRにてジクロロリン酸セシウム及びモノフロオロリン酸セシウムのピークが出現することを確認した後、14%フッ化水素ジメチルカーボネート溶液 35.0g(フッ化水素換算0.25mol)を加え、10℃で30分撹拌した。続いて、120℃で、窒素シールしながら1時間撹拌し、組成を収束した。120℃で2時間加熱し余剰な溶媒や反応副生物を留去せしめた。その後、室温まで冷却すると粗ジフルオロリン酸セシウムの結晶を29.7g得た。得られた結晶を19F−NMR、31P−NMRにて生成比を算出した。結果、ほぼ定量的に反応が進行していることを確認した。続いて精製処理を実施したところ、ジフルオロリン酸セシウムの結晶を 21.9g得た。得られた結晶を中和滴定により算出した酸分値は50wtppm以下、NMRにて算出した純度は99%であった。
リン酸二水素リチウム 18.7g(0.18mol)、塩化ホスホリル 25.0g(0.16mol)、ジメチルカーボネート 62.5gを250mLのPFA製容器に量りとった。続いて、窒素シールの下、10℃で攪拌しながら純水 2.9g(0.16mol)を30分かけて滴下した。30分撹拌した後、31P−NMRにてジクロロリン酸リチウムのピークが出現することを確認した後、14%フッ化水素ジメチルカーボネート溶液 35.0g(フッ化水素換算0.25mol)を加え、10℃で30分撹拌した。続いて、120℃で、窒素シールしながら1時間撹拌し、組成を収束した。120℃で2時間加熱し余剰な溶媒や反応副生物を留去せしめた。その後、室温まで冷却すると粗ジフルオロリン酸リチウムの結晶を13.8g得た。得られた結晶を19F−NMR、31P−NMRにて生成比を算出した。結果、ほぼ定量的に反応が進行していることを確認した。続いて精製処理を実施したところ、ジフルオロリン酸リチウムの結晶を12.3g得た。得られた結晶を中和滴定により算出した酸分値は50wtppm以下、NMRにて算出した純度は99%であった。
フッ化リチウム 4.6g(0.18mol)、五塩化リン 33.3g(0.16mol)、ジメチルカーボネート 62.5gを250mLのPFA製容器に量りとった。続いて、窒素シールの下、10℃で攪拌しながら純水 5.9g(0.33mol)を30分かけて滴下した。30分撹拌した後、31P−NMRにてジクロロリン酸リチウム及びモノフロオロリン酸リチウムのピークが出現することを確認した後、14%フッ化水素ジメチルカーボネート溶液 35.0g(フッ化水素換算0.25mol)を加え、10℃で30分撹拌した。その後、120℃で、窒素シールしながら1時間撹拌し、組成を収束した。120℃で2時間加熱し余剰な溶媒や反応副生物を留去せしめた。その後、室温まで冷却すると粗ジフルオロリン酸リチウムの結晶を12.4g得た。得られた結晶を19F−NMR、31P−NMRにて生成比を算出した。結果、ほぼ定量的に反応が進行していることを確認した。続いて精製処理を実施したところ、ジフルオロリン酸リチウムの結晶を10.7g得た。得られた結晶を中和滴定により算出した酸分値は50wtppm以下、NMRにて算出した純度は99%であった。
フッ化水素との接触温度が−5℃である以外は実施例4と同様に行った。得られた粗ジフルオロリン酸リチウムの結晶は15.2gであった。得られた結晶を19F−NMR、31P−NMRにて生成比を算出した。結果、ほぼ定量的に反応が進行していることを確認した。続いて精製処理を実施したところ、ジフルオロリン酸リチウムの結晶を11.7g得た。得られた結晶を中和滴定により算出した酸分値は50wtppm以下、NMRにて算出した純度は99%であった。
フッ化水素との接触温度が100℃である以外は実施例4と同様に行った。得られた粗ジフルオロリン酸リチウムの結晶は15.7gであった。得られた結晶を19F−NMR、31P−NMRにて生成比を算出した。結果、ほぼ定量的に反応が進行していることを確認した。続いて精製処理を実施したところ、ジフルオロリン酸リチウムの結晶を10.4g得た。得られた結晶を中和滴定により算出した酸分値は50wtppm以下、NMRにて算出した純度は99%であった。
フッ化水素(流量25mL/min)を窒素(流量100mL/min)で希釈した以外は実施例9と同様に行った。得られた粗ジフルオロリン酸リチウムの結晶は13.8gであった。得られた結晶を19F−NMR、31P−NMRにて生成比を算出した。結果、ほぼ定量的に反応が進行していることを確認した。続いて精製処理を実施したところ、ジフルオロリン酸リチウムの結晶を11.7g得た。得られた結晶を中和滴定により算出した酸分値は50wtppm以下、NMRにて算出した純度は99%であった。
塩化ホスホリル 25.0g(0.16mol)、ジエチルカーボネート 62.5gを250mLのPFA製容器に量りとった。続いて、窒素シールの下、25℃で攪拌しながら純水 1.5g(0.08mol)を30分かけて滴下した。1時間撹拌した後、31P−NMRにて塩化ホスホリルのピークが消失し、ジクロロリン酸のピークが出現したことを確認し、炭酸リチウム 5.9g(0.08mol)を加えた。30分撹拌した後、31P−NMRにてジクロロリン酸のピークが消失し、ジクロロリン酸リチウムのピークが出現することを確認した後、28%フッ化水素ジエチルカーボネート溶液 34.2g(フッ化水素換算0.48mol)加え、25℃で30分撹拌した。続いて、150℃で、窒素シールしながら1時間撹拌し、組成を収束した。150℃で2時間加熱し余剰な溶媒や反応副生物を留去せしめた。その後、室温まで冷却すると粗ジフルオロリン酸リチウムの結晶を15.7g得た。得られた結晶を19F−NMR、31P−NMRにて生成比を算出した。結果、ほぼ定量的に反応が進行していることを確認した。続いて精製処理を実施したところ、ジフルオロリン酸リチウムの結晶を13.3g得た。得られた結晶を中和滴定により算出した酸分値は50重量ppm以下、NMRにて算出した純度は99%であった。
塩化ホスホリル 25.0g(0.16mol)、ジエチルカーボネート 62.5gを250mLのPFA製容器に量りとった。続いて、窒素シールの下、25℃で攪拌しながら純水 2.9g(0.16mol)を30分かけて滴下した。1時間撹拌した後、31P−NMRにて塩化ホスホリルのピークが消失し、ジクロロリン酸のピークが出現したことを確認し、塩化リチウム 7.6g(0.18mol)を加えた。30分撹拌した後、31P−NMRにてジクロロリン酸のピークが消失し、ジクロロリン酸リチウムのピークが出現することを確認した後、無水フッ化水素 11.1g(0.55mol)加え、25℃で30分撹拌した。続いて、150℃で、窒素シールしながら1時間撹拌し、組成を収束した。150℃で2時間加熱し余剰な溶媒や反応副生物を留去せしめた。その後、室温まで冷却すると粗ジフルオロリン酸リチウムの結晶を14.8g得た。得られた結晶を19F−NMR、31P−NMRにて生成比を算出した。結果、ほぼ定量的に反応が進行していることを確認した。続いて精製処理を実施したところ、ジフルオロリン酸リチウムの結晶を13.3g得た。得られた結晶を中和滴定により算出した酸分値は50重量ppm以下、NMRにて算出した純度は99%であった。
塩化ホスホリル 25.0g(0.16mol)、ジエチルカーボネート 62.5gを250mLのPFA製容器に量りとった。続いて、窒素シールの下、25℃で攪拌しながら純水 2.9g(0.16mol)を30分かけて滴下した。1時間撹拌した後、31P−NMRにて塩化ホスホリルのピークが消失し、ジクロロリン酸のピークが出現したことを確認し、塩化リチウム 7.6g(0.18mol)を加えた。30分撹拌した後、31P−NMRにてジクロロリン酸のピークが消失し、ジクロロリン酸リチウムのピークが出現することを確認した後、無水フッ化水素 11.1g(0.55mol)加え、25℃で30分撹拌した。続いて、150℃で、窒素シールしながら1時間撹拌し、組成を収束した。150℃で2時間加熱し余剰な溶媒や反応副生物を留去せしめた。その後、室温まで冷却すると粗ジフルオロリン酸リチウムの結晶を12.1得た。得られた結晶を19F−NMR、31P−NMRにて生成比を算出した。結果、ほぼ定量的に反応が進行していることを確認した。続いて精製処理を実施したところ、ジフルオロリン酸リチウムの結晶を9.7g得た。得られた結晶を中和滴定により算出した酸分値は50重量ppm以下、NMRにて算出した純度は99%であった。
水を使用しない以外は実施例3と同様に行った。得られた結晶は5.9gであった。さらに、ジフルオロリン酸リチウムの生成比は63%の比率であった。収率が低く、純度も低いことから反応が十分に進行していないことが確認できた。
組成を収束させる温度を60℃とした以外は実施例9と同様に行った。得られた結晶を19F−NMR、31P−NMRにて分析を行ったところ、ジクロロリン酸リチウムやモノフルオロリン酸リチウムのピークが確認され、ジフルオロリン酸リチウムの生成比は38%であった。純度が低いことから反応が十分に進行していないことが確認できた。
Claims (8)
- (1)アルカリ金属、アルカリ土類金属又はオニウムのハロゲン化物、炭酸塩、ホウ酸塩、リン酸塩、水酸化物及び酸化物からなる群より選択される少なくとも1種の塩と、リンのオキシ塩化物及び塩化物からなる群より選択される1種のリン化合物と、水との反応によってジクロロリン酸塩を生成させる工程と、(2)当該ジクロロリン酸塩にフッ化水素を反応させる工程とを含み、ジクロロリン酸塩とフッ化水素とを接触させた後、生成物の組成を収束させる温度として80℃〜250℃の範囲に制御することを特徴とするジフルオロリン酸塩の製造方法。
- (1)リンのオキシ塩化物及び塩化物からなる群より選択される1種のリン化合物と水との反応によって、ジクロロリン酸を生成させる工程と、(2)当該ジクロロリン酸と、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はオニウムのハロゲン化物、炭酸塩、ホウ酸塩、リン酸塩、水酸化物及び酸化物からなる群より選択される少なくとも1種の塩との反応によりジクロロリン酸塩を生成させる工程と、(3)当該ジクロロリン酸塩にフッ化水素を反応させる工程とを含み、ジクロロリン酸塩とフッ化水素とを接触させた後、生成物の組成を収束させる温度として80℃〜250℃の範囲に制御することを特徴とするジフルオロリン酸塩の製造方法。
- フッ化水素が、無水フッ化水素、無水フッ化水素と有機溶媒との混合溶液、又は無水フッ化水素と不活性ガスとの混合ガスからなる群より選択される何れかである、請求項1又は2に記載のジフルオロリン酸塩の製造方法。
- 反応に使われる塩が、アルカリ金属のハロゲン化物、炭酸塩、ホウ酸塩、リン酸塩、水酸化物、及び酸化物からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1〜3の何れか1項に記載のジフルオロリン酸塩の製造方法。
- 反応に使われる塩が、アルカリ金属のハロゲン化物又は炭酸塩からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1〜3の何れか1項に記載のジフルオロリン酸塩の製造方法。
- リン化合物が、塩化ホスホリルである、請求項1〜5の何れか1項に記載のジフルオロリン酸塩の製造方法。
- リン化合物と水との反応温度が−50℃〜50℃の範囲であることを特徴とする、請求項1〜6の何れか1項に記載のジフルオロリン酸塩の製造方法。
- ジクロロリン酸塩とフッ化水素との接触温度として−50℃〜130℃の範囲で互いを接触させた後、生成物の組成を収束させる温度として80℃〜250℃の範囲に制御することを特徴とする、請求項1〜7の何れか1項に記載のジフルオロリン酸塩の製造方法。
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