JP6292996B2 - フルオロ硫酸リチウムとそれを含む溶液の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、フルオロ硫酸リチウムとそれを含む非水溶媒溶液の製造方法に関する。さらに詳しくは、無水フッ化水素酸中において、ハロゲン化リチウムとフルオロ硫酸もしくは三酸化硫黄とを反応させることによる、硫酸リチウムを含むフルオロ硫酸リチウムの製造方法、また、それに続く精製工程による高純度のフルオロ硫酸リチウムの製造方法に関するものである。
携帯電話、ノートパソコン等のいわゆる民生用の電源から自動車用等の駆動用車載電源や定置用大型電源等の広範な用途にリチウム二次電池等の非水系電解液二次電池が実用化されつつある。しかしながら、近年の非水系電解液二次電池に対する高性能化の要求はますます高くなっている。
これまで、非水系電解液二次電池の特性を改善するための手段として、数多くの技術が検討されている。例えば特許文献1には、LiPFを電解質として用いた系に、第2の電解質成分としてフルオロ硫酸リチウムを特定の割合で含有させることにより、初期充電容量、入出力特性、電池内部インピーダンス特性が改善されることが記載されている。
しかし、原料であるフルオロ硫酸や三酸化硫黄、また生成したフルオロ硫酸リチウムは加水分解性を有するため、その加水分解物である硫酸が生成し易く、経済的で且つ二次電池用電解質として使用できうる硫酸イオンの少ない高純度なフルオロ硫酸リチウムを製造する方法はあまり報告されていない。
特許文献2では、非水溶媒中で、ハロゲン化リチウムとフルオロ硫酸との反応によりフルオロ硫酸リチウムを製造する方法が記載されている。しかしながら、ハロゲン化リチウムを使用することにより副生するハロゲン化水素由来の不純物を除去する目的で、意図的に水を含む非水溶媒を使用しており、その結果、フルオロ硫酸が加水分解して硫酸が不純物として生成している。本特許文献では、再結晶を繰り返すことによりその硫酸を除去しているが、工程が煩雑となる上に収率も低下する。
特許文献3には、非水溶媒中で、カルボン酸リチウムとフルオロ硫酸との反応によりフルオロ硫酸を製造する方法が記載されている。この方法では、反応によりカルボン酸が副生するため、それを除去する工程が必要となり、製造設備が複雑となる。
一方、特許文献4、5及び非特許文献1には、フッ化ナトリウムやフッ化カリウムと、三酸化硫黄または発煙硫酸を反応させ、フルオロ硫酸ナトリウムやフルオロ硫酸カリウムを合成する方法が記載されている。特許文献4は、溶媒に二酸化硫黄を用いており、残存した二酸化硫黄は、亜硫酸しいては硫酸の発生源となる。特許文献5は、ジクロロエタンやn-デカンなどの不活性溶媒中で発煙硫酸を用いて反応させるものであり、このままでは硫酸が多量に含まれる。非特許文献1では、フッ化カリウムと三酸化硫黄を直接反応させて一旦フルオロ二硫酸塩を生成させる。この為、熱分解により三酸化硫黄一分子を除去する必要があり、操作が煩雑となる上、原料の三酸化硫黄も無駄に消費する。さらには、混入水分と反応して硫酸が混入する原因ともなる。
特開2011−187440号公報
特開2012−218985号公報
特開2012−232888号公報
西独国特許出願公告第1010503号明細書
ソ連国特許発明第223070号明細書
特開2012−230897号公報
Zeitschrift fur Anorganische und Allgemeine Chemie,(西独国),1953年,第272巻,p69
Journal of Physical Chemistry,(米国),1952年,第56巻,p1106
原料に使用するフルオロ硫酸もしくは三酸化硫黄は僅かな水分においても、式(1)、(2)に示すように、容易に加水分解してフッ化水素や硫酸になる。フッ化水素は比較的沸点が低いため、除去することは可能だが、硫酸は一度発生すると留去することは困難であり、それにより硫酸がフルオロ硫酸リチウムに混入することとなる。
Figure 0006292996

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硫酸を含むフルオロ硫酸リチウムをリチウム電池の電解液に溶解した場合、硫酸イオンが多い場合は電池性能に悪影響を及ぼすため、所定量以下に硫酸を除去しなければならない。しかし、上記の問題から、フルオロ硫酸リチウムの製造において一度発生した不純物である硫酸の除去が容易に行えない点が課題となっている。
そこで、本発明は、フルオロ硫酸リチウムの製造過程において発生する不純物としての硫酸を煩雑な精製工程を含まず除去し、高純度なフルオロ硫酸リチウムを製造する方法を提供する。
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、ハロゲン化リチウムとフルオロ硫酸もしくは三酸化硫黄とを反応させる際の溶媒として、無水フッ化水素酸を用いると、硫酸とハロゲン化リチウムが反応して硫酸リチウムが生成する反応が、主反応であるフルオロ硫酸リチウムが生成する反応と同時に起ることを見出し、不純物として硫酸ではなく硫酸リチウムを含むフルオロ硫酸リチウムを製造する技術を確立するに至った。
この硫酸リチウムは、フルオロ硫酸リチウムが種々の非水溶媒に可溶であるのに対して、ほとんどの非水溶媒に難溶・不溶である。その為、適切な非水溶媒を用いてフルオロ硫酸リチウムのみを溶解させれば、溶け残った硫酸リチウムを容易に取り除くことができ、ひいては硫酸イオンをほとんど含まないフルオロ硫酸リチウムの非水溶媒溶液を容易に得ることができる。
得られたこの非水溶媒溶液から非水溶媒を除去することにより、硫酸イオンをほとんど含まないフルオロ硫酸リチウムを得る方法を確立し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、無水フッ化水素酸中で、ハロゲン化リチウムとフルオロ硫酸もしくは三酸化硫黄とを反応させてフルオロ硫酸リチウムを製造する工程において、不純物として存在する硫酸を、ハロゲン化リチウムと反応させて硫酸リチウムへと変換する工程を経たのち、その溶液より無水フッ化水素酸を取り除いて、硫酸リチウムを含むフルオロ硫酸リチウムを得ることを特徴とするものである。
非水有機溶媒中での反応においては、ハロゲン化リチウムを過剰に用いたとしても、硫酸とはほとんど反応せず、そのまま硫酸として残留し、その結果、得られたフルオロ硫酸リチウム中に多量の硫酸が混入する原因となる。しかしながら、無水フッ化水素酸中で反応を行った場合、ハロゲン化リチウムは硫酸に対して反応性を持つようになり、硫酸は硫酸リチウムへと変換されることが明らかとなった。この反応における詳細は詳らかではないが、おそらくハロゲン化リチウムは過剰に存在する無水フッ化水素酸と瞬時に反応して酸性フッ化リチウム(Li[HF)となり、無水フッ化水素酸に溶解していると考えられる。これは、非特許文献2において、フッ化リチウムのフッ化水素酸飽和溶液中に平衡状態で存在する固体がLiF・HFで表されると報告されていることからも示唆される。
その結果、式(3)に示すような反応により、酸性フッ化リチウムが硫酸を硫酸リチウムへと変換させ得るものと推測される。従って、無水フッ化水素酸はフルオロ硫酸リチウムを得る単なる溶媒としてだけではなく、不純物の硫酸に対する反応剤をも提供している。
次いで、反応後の溶液から無水フッ化水素酸を取り除くことで、従来の製造方法では硫酸が不純物として存在していたが、それを硫酸リチウムへと置き換えたフルオロ硫酸リチウムを得る方法を確立させた。
Figure 0006292996

またこの時、ハロゲン化リチウムとしてフッ化リチウムを用いずに塩化リチウムや臭化リチウムを用いた場合においても、無水フッ化水素酸と瞬時に反応してフッ化リチウムに変換され、副生する塩化水素や臭化水素は無水フッ化水素酸にほとんど溶けないため、気体の状態で反応溶液から容易に除去され反応には関与しない。その結果、フッ化リチウムを使用した場合と同様の結果となることも見出した。
さらに本発明は、硫酸リチウムを含むフルオロ硫酸リチウムから、非水溶媒を用いて硫酸リチウムを取り除き、フルオロ硫酸リチウム及びその非水溶媒溶液を得ることを特徴とする。
フッ化リチウムおよび硫酸リチウムは多くの非水溶媒に難溶であるため、上記反応工程により得られたフルオロ硫酸リチウムを非水溶媒に溶解させることで、ろ過等の操作により容易にフッ化リチウムと硫酸リチウムを取り除くことができ、フルオロ硫酸リチウムを含む非水溶媒溶液を得ることができる。
さらに、濃縮もしくは再結晶等により非水溶媒を除去することで、硫酸イオンをほとんど含まないフルオロ硫酸リチウムを得るに至った。
また非水溶媒に、予めリチウム電池の電解液に使用される非プロトン性極性有機溶媒を用いると、得られたフルオロ硫酸リチウムの非水溶媒溶液を直接電解液として使用することができ、さらにこの溶液より得られたフルオロ硫酸リチウムにおいて、非水溶媒が不純物として残存しても電解液成分であるため、電池性能に害を及ぼすことはなく、極めて好適である。
請求項1乃至3記載の製造方法を用いることにより、フルオロ硫酸リチウムの生成反応と同時に、原料からの混入やフルオロ硫酸、またフルオロ硫酸リチウムの加水分解により発生した硫酸を、ハロゲン化リチウムで硫酸リチウムへと変換することができる。得られた反応後の溶液から無水フッ化水素酸を取り除くことで、不純物として非水溶媒に難溶のフッ化リチウムおよび硫酸リチウムを含むが、非水溶媒に可溶で容易に取り除くことができない硫酸をほとんど含まない、フルオロ硫酸リチウムを得ることができる。
多くの非水溶媒に硫酸リチウムが難溶であることから、請求項4記載の製造方法を用いることにより、フルオロ硫酸リチウムを含む非水溶媒溶液から一般的なろ過等の容易な操作により硫酸リチウムを取り除くことで本溶液を精製することができ、硫酸イオンをほとんど含まない、高純度なフルオロ硫酸リチウムを含む非水溶媒溶液を得ることができる。
また、この精製工程は、従来の製造方法と比して再結晶などは必要としないため、極めて高収率かつ低コストである。
同様に、請求項5記載の製造方法を用いることにより、硫酸イオンをほとんど含まない高純度なフルオロ硫酸リチウムを低コストで得ることができる。
請求項6または7記載の製造方法を用いることにより得られた、硫酸イオンをほとんど含まない高純度のフルオロ硫酸リチウムの非プロトン性極性有機溶媒溶液は、リチウム電池の非水系電解液として直接使用できる付加価値の高い材料を安価に提供する。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではなく、任意に変形して実施することができる。
<1.無水フッ化水素酸中で、ハロゲン化リチウムとフルオロ硫酸もしくは三酸化硫黄、およびハロゲン化リチウムと硫酸との反応工程>
本発明は、大過剰の無水フッ化水素酸中でハロゲン化リチウムとフルオロ硫酸もしくは三酸化硫黄とを反応させる工程、かつハロゲン化リチウムと硫酸との反応工程を同時に経ることにより、硫酸リチウムを含むフルオロ硫酸リチウムを製造する方法、に関するものである。
本発明にて用いられる無水フッ化水素酸は、特に限定はされないが、反応液中の不純物の硫酸量が水分含量に比例して増大するため、極力水分と硫酸分の少ないものが好ましい。通常、工業的に入手できる無水フッ化水素酸の規格は、日本工業規格(JIS K1405−1995)によると、水分量は0.02重量%以下で、硫酸量は0.01重量%以下であり、本発明においてはそのまま使用することができる。しかし、含有する水分により反応過程において発生する硫酸が増加すれば、その硫酸を硫酸リチウムに変換するために必要なハロゲン化リチウムの使用量が増加する。また生成する硫酸リチウムの量も増加するため、ろ過等により取り除く負担も増大する点からも不利となる。そのため、市販されている無水フッ化水素酸は一度蒸留精製して沸点の高い硫酸や水分を低減させて使用するのが好ましい。よって本発明の反応工程に用いられる無水フッ化水素酸中の水分量は、好ましくは0.01重量%以下、さらに好ましくは0.005重量%以下、もっとも好ましくは0.002重量%以下である。
本発明にて用いられる無水フッ化水素酸のフルオロ硫酸もしくは三酸化硫黄に対するモル比は、特に限定されないが、好ましくは50倍以下、さらに好ましくは30倍以下、さらに好ましくは15倍以下である。また無水フッ化水素酸のフルオロ硫酸もしくは三酸化硫黄に対するモル比は、特に限定はされないが、好ましくは1.5倍以上、さらに好ましくは2倍以上、さらに好ましくは2.5倍以上である。上記範囲内にあると、反応により生成したフルオロ硫酸リチウムが過度に析出することなく、撹拌を阻害する等の問題が発生し難くなり、また反応後の無水フッ化水素酸の除去に多大なコストをかけることも避けられる。
本発明の反応工程において、反応槽への無水フッ化水素酸の仕込み方法は特に限定されず、液体のまま投入してもよく、一旦気化させて、それを凝縮させて導入してもよい。このうち、気化させて導入する方法は、不揮発性の不純物や微量含まれる水分を低減できる効果が見込めることから、より好ましい。
本発明に用いられるハロゲン化リチウムは、特に限定されないが、入手の容易さから、フッ化リチウム、塩化リチウム、臭化リチウムが好ましい。さらに無水フッ化水素酸中に投入した際、副生物が発生しないこと、および水分混入の原因となる吸湿性がないことから、フッ化リチウムがより好ましい。
これらのハロゲン化リチウムは単独で用いても組み合わせて用いてもよいが、操作を複雑にしない為に単独で用いることが好ましい。
本発明に用いられるハロゲン化リチウムは、市販のものをそのまま用いても精製して用いても良く、他の化合物から製造して用いてもよい。純度については特に限定されないが、生成するフルオロ硫酸リチウム中に上記のハロゲン化リチウム由来の不純物が残存することが懸念されるため、リチウム以外の金属等の不純物が少ないことが好ましい。また、当然水分が含まれていると無水フッ化水素酸の場合と同様に、反応工程中に硫酸を生成させるため、乾燥させて用いることがより好ましい。その場合の乾燥方法は特に限定されず、加熱または減圧操作もしくはその両方を併用する一般的な方法が使用できる。
本発明の反応工程における反応槽へのハロゲン化リチウムの仕込み方法は特に限定されないが、反応槽内へ湿気を伴うことのないように、通常は乾燥空気または、窒素雰囲気やアルゴン雰囲気等の不活性雰囲気下でシールされた装置を使用して行う。
本発明に用いられるフルオロ硫酸もしくは三酸化硫黄は、それぞれどちらかを単独で用いても組み合わせて用いてもよいが、操作を複雑にしない為に単独で用いることが好ましい。用いるフルオロ硫酸もしくは三酸化硫黄は、市販のものをそのまま用いても精製して用いてもよく、他の化合物から製造してもよい。純度については特に限定されないが、フルオロ硫酸リチウム中にフルオロ硫酸もしくは三酸化硫黄由来の不純物が残存することにより、電池等の性能が悪化することが懸念される為、より高純度であることが好ましく、好ましくは99重量%以上、より好ましくは99.5重量%以上、さらに好ましくは99.9重量%以上であることが好ましい。
本発明の反応工程における反応槽へのフルオロ硫酸もしくは三酸化硫黄の仕込み方法は特に限定されず、液体のまま投入してもよく、一旦気化させて、それを凝縮させて導入してもよい。このうち、気化させて導入する方法は、硫酸等の不揮発性の不純物や微量含まれる水分を低減できる効果が見込めることから、より好ましい。
不純物として含まれる硫酸を硫酸リチウムに変換することにより容易に除去できるとする本発明の効果を達成させるためには、反応に関与するフルオロ硫酸もしくは三酸化硫黄に対するモル比に加えて、不純物の硫酸に対して2倍のモル比に相当する量以上のハロゲン化リチウムを加えなければならない。それゆえに本発明の反応工程に用いられるフルオロ硫酸に対するハロゲン化リチウム、もしくは三酸化硫黄に対するハロゲン化リチウムのモル比は、通常1倍を超える。原料として工業的に入手可能な市販品を特別な精製工程を加えずに用いた場合においては、好ましくは1.03倍以上、さらに好ましくは1.10倍以上、もっとも好ましくは1.15倍以上である。一方、その上限値としては特に限定はされないが、通常5.0倍以下、好ましくは3.0倍以下、さらに好ましくは2.0倍以下、もっとも好ましくは1.5倍以下である。
フルオロ硫酸もしくは三酸化硫黄に対するハロゲン化リチウムの比が上記範囲内であれば、反応液中に含まれる不純物としての硫酸を十分に硫酸リチウムに変換することができ、また生成した硫酸リチウムと過剰のフッ化リチウムを除去する工程で操作を煩雑にしないためにも好ましい。しかしながら、ハロゲン化リチウムの比が上記範囲内であっても、用いる原料中に含まれる硫酸や水分の量および装置内に混入する水分量が想定を超える場合には硫酸を硫酸リチウムに変換するためのハロゲン化リチウムの量が不足となることがある。従って、適切なハロゲン化リチウムのモル比は、用いる原料の純度や装置によって異なるものとなる。
本発明の反応工程における無水フッ化水素酸とハロゲン化リチウム、およびフルオロ硫酸もしくは三酸化硫黄の反応槽への仕込み順序は、特に限定はされず、任意の順序で仕込むことができる。特に、ハロゲン化リチウムと無水フッ化水素酸との反応によりハロゲン化水素がガスとして発生する場合には、あらかじめ排ガス処理装置を備えた槽にて混合したのち、反応槽にてフルオロ硫酸もしくは三酸化硫黄と反応させることもできる。
本発明の反応工程は、ハロゲン化リチウムと無水フッ化水素酸、フルオロ硫酸もしくは三酸化硫黄と無水フッ化水素酸の接触した時点で発熱することから十分な冷却装置を備えた反応槽にて実施される。また、原料の投入時の温度は、好ましくは30℃以下、さらに好ましくは20℃以下、さらに好ましくは10℃以下である。また反応を行う際の温度は、好ましくは−80℃以上、さらに好ましくは−50℃以上、さらに好ましくは−30℃以上である。本発明を開始する際の温度が上記範囲内にあると、無水フッ化水素酸の揮発や圧力の異常な増加、また反応原料や生成物の溶解度の低下、および反応速度の低下等の問題も防ぐことができる。
本発明の反応工程時の雰囲気は特に制限されないが、原料のフルオロ硫酸や生成物のフルオロ硫酸リチウムが水によって分解し不純物としての硫酸が増加する懸念があることから、極力水分を取り除いた雰囲気下で反応させることが好ましく、乾燥空気または、窒素雰囲気やアルゴン雰囲気等の不活性雰囲気下で反応を行うことがより好ましい。これら気体は反応工程開始時に設備内に導入した後に密閉されてもよいし、連続的に装置内に供給・排出してもよい。
本発明の反応工程における反応の設備は、一般的な化学製造に用いられる材質であれば特に限定はされないが、無水フッ化水素酸に腐食されにくい材質を使用することが好ましい。特に、反応槽等反応溶液と長時間接する部位に関して無水フッ化水素酸に腐食されない材質を使用することが好ましい。具体的には反応槽等にガラス類以外を使用することが好ましい。
本発明の反応工程における無水フッ化水素酸に溶解したフルオロ硫酸リチウムおよび硫酸リチウムの結晶化法は、特に限定はされないが、加熱により無水フッ化水素酸を気化させて留去する方法、装置内に気体を流通させてその気体に無水フッ化水素酸を随伴させて留去する方法、系内を減圧にして無水フッ化水素酸を留去する方法、冷却して溶解度を低減させて析出させる方法、これらを組み合わせた方法等が挙げられる。さらに無水フッ化水素酸を留去して結晶化する場合、加熱のみでは多大な熱量と時間が必要となり、気体流通法では気体中の水分が硫酸を発生させる問題や生成物のフルオロ硫酸リチウムが気流に随伴してロスする問題もあるため、減圧法が好ましい。さらに減圧法に加熱を組み合わせることがより好ましい。
なお本発明の反応工程において、無水フッ化水素酸を留去にて除去する場合、無水フッ化水素酸中のフルオロ硫酸リチウムの濃度がある一定の値に達すると、極めて留去速度が低下することが判明している。おそらく無水フッ化水素酸が生成したフルオロ硫酸リチウムに溶媒和しており、溶媒和していない無水フッ化水素酸が留去された時点で極端に留去に必要な条件が厳しくなるものと推測される。また、無水フッ化水素酸の留去の最終段階では、フルオロ硫酸リチウムの析出と同時に、式(4)で示される硫酸と過剰の酸性フッ化リチウムの反応による硫酸リチウムとフッ化リチウムの析出に伴ってフリーとなったフッ化水素酸が気化していると考えられる。
Figure 0006292996

本発明の反応工程における無水フッ化水素酸を留去する際の装置は、特に限定はされないが、留去が進むにつれて粉体となるため、粉体の乾燥に適した構造を持つことが好ましい。さらに無水フッ化水素酸に腐食されにくい材質を使用することが好ましい。特に、反応溶液と長時間接する部位に関して無水フッ化水素酸に腐食されない材質を使用することが好ましい。具体的にはガラス類以外を使用することが好ましい。
<2.非水溶媒により、硫酸リチウムを含むフルオロ硫酸リチウムを精製して、硫酸イオンの極めて少ない高純度のフルオロ硫酸リチウムおよびその溶液とする精製工程>
反応工程後に得られた硫酸リチウムを含むフルオロ硫酸リチウムを非水溶媒に溶かし、硫酸リチウムおよび未反応のフッ化リチウム等の不溶解分を取り除くことを経て得られる、硫酸イオンの極めて少ない高純度のフルオロ硫酸リチウムおよびその非水溶媒溶液を製造する方法、に関する。
本発明の精製工程に用いられる非水溶媒は、水以外であり、かつ硫酸リチウムが難溶であれば特に限定はされないが、フルオロ硫酸リチウムの溶解性が極端に低くないものは、必要な液量が少なくて済むために好ましい。さらに得られた高純度のフルオロ硫酸リチウムの溶解した非水溶媒溶液を、そのままリチウムイオン電池の電解液として使用するため、一般的なリチウムイオン電池で用いられる電解液である、非プロトン性極性有機溶媒を用いることがより好ましい。
本発明の精製工程に用いられる非水溶媒は、具体的には、炭酸ジメチル、炭酸エチルメチル、炭酸ジエチル等の鎖状炭酸エステル、またエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の環状炭酸エステル等が好ましい。さらに精製工程で用いた非水溶媒を留去して高純度のフルオロ硫酸リチウムを得るためには、比較的沸点の低い炭酸ジメチル、炭酸エチルメチル、炭酸ジエチル等の鎖状炭酸エステルが好ましい。これらであれば、残留した場合でも電解液と同成分である不純物となるため、電池特性に対する問題も起らない。
これらの非水溶媒は単独で用いても組み合わせてもよいが、操作を複雑にしないために単独で用いることが好ましい。
本発明の精製工程における硫酸リチウム等の不溶解分の除去は、特に限定はされないが、減圧濾過、加圧濾過、遠心分離等の濾過、静置、デカンテーション等を用いることができ、さらにこれらの手法を組み合わせたり同一の手法を繰り返したりすることができる。さらに加水分解の抑制や収率低下の防止のため、加圧濾過がより好ましい。
本発明の精製工程における高純度のフルオロ硫酸リチウムの溶解した非水溶媒溶液から、高純度のフルオロ硫酸リチウムを得る方法は特に限定されないが、溶媒の加熱留去、溶媒の減圧留去、気体を流通させて溶媒を留去する方法、濃縮もしくは冷却して溶解度を低減させて析出させる方法、これらを組み合わせた方法等が挙げられる。
<3.フルオロ硫酸リチウムおよびその非水溶媒溶液>
フルオロ硫酸リチウムを電池等に用いた場合により高い性能を示すために、純度は高いことが好ましいが、特に硫酸イオンについては電池部材の腐食を防ぐ目的から、低いレベルで制御することが望ましい。そのため、極力硫酸イオンを含まないフルオロ硫酸リチウムが求められるが、本発明の方法を用いれば、フルオロ硫酸リチウムに対する硫酸イオンの含有量は0.2重量%以下まで低減することが可能となる。
例えば特許文献6によると、非水電解液二次電池に添加使用して良好な電池特性を得るためのフルオロ硫酸リチウムに含まれる硫酸イオンの含量としては、より好ましくは1.0×10−4mol/kg以上1.5×10−1mol/kgと記載されている。これによるとフルオロ硫酸リチウムに対する硫酸イオンの適正な含量は、およそ0.001重量%以上1.5重量%以下であり、本発明を用いると硫酸イオン含量を低く抑えた高純度のフルオロ硫酸リチウムが特別な精製工程を経ずに得ることができる。
以下、実施例および比較例を示して、本発明について具体的に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り、任意に変形して実施することができる。
分析にはイオンクロマトグラフィー測定を用いた。イオンクロマトグラフィーはダイオネクス社のICS−3000を用い、公知の無機陰イオンの分析手法で実施した。測定サンプルの希釈溶媒は純水を用いた。また、実験操作はすべて不活性雰囲気中で行った。
(実施例1)
<反応>
1000mlのフッ素樹脂製容器にフッ化リチウム62.3g(2.40mol)を入れ、−5℃に冷却しながら無水フッ化水素酸280g(14.0mol)を滴下投入した。
次いで、フルオロ硫酸200g(2.00mol)を滴下投入した。投入後、室温に戻しながら撹拌を行った結果、フッ化リチウムと思われる少量の白色不溶解分をもつ無水フッ化水素酸溶液が得られた。
この反応液をフッ素樹脂製丸底フラスコへ入れ、100℃に加熱し、系内を減圧にして無水フッ化水素酸を留去した。留去後、223gの白色粉末が得られ、イオンクロマトグラフィーの結果、主生成物はフルオロ硫酸リチウムであり、不純物として硫酸イオンを0.87重量%含んでいた。
<精製>
上記、無水フッ化水素酸の留去で得られた硫酸イオンを0.87重量%含むフルオロ硫酸リチウムを2000mlの炭酸ジメチルに溶解させた。溶け残った白色粉末を加圧濾過で取り除き、得られたフルオロ硫酸リチウムの溶解した炭酸ジメチル溶液のイオンクロマトグラフィーの結果から、硫酸イオンの濃度は0.005重量%であった。
さらに、この溶液から炭酸ジメチルを減圧留去することで、フルオロ硫酸リチウムの白色粉末207gを得た。フルオロ硫酸からの全収率は97.6%であった。このフルオロ硫酸リチウムはイオンクロマトグラフィーの結果から、不純物として硫酸イオンを0.069重量%含んでいた。
(実施例2)
<反応>
フルオロ硫酸に変えて三酸化硫黄160g(2.00mol)を気化させて導入した以外は実施例1と同様に反応を行い、フッ化リチウムと思われる少量の白色不溶解分をもつ無水フッ化水素酸溶液が得られた。
この反応液をフッ素樹脂製丸底フラスコへ入れ、100℃に加熱し、系内を減圧にして無水フッ化水素酸を留去した。留去後、222gの白色粉末が得られ、イオンクロマトグラフィーの結果、主生成物はフルオロ硫酸リチウムであり、不純物として硫酸イオンを0.38重量%含んでいた。
<精製>
上記、無水フッ化水素酸の留去で得られた硫酸イオンを0.38重量%含むフルオロ硫酸リチウムを2000mlの炭酸ジメチルに溶解させた。溶け残った白色粉末を加圧濾過で取り除き、得られたフルオロ硫酸リチウムの溶解した炭酸ジメチル溶液のイオンクロマトグラフィーの結果から、硫酸イオンの濃度は0.004重量%であった。
さらに、この溶液から炭酸ジメチルを減圧留去することで、フルオロ硫酸リチウムの白色粉末206gを得た。三酸化硫黄からの全収率は97.2%であった。このフルオロ硫酸リチウムはイオンクロマトグラフィーの結果から、不純物として硫酸イオンを0.052重量%含んでいた。
(実施例3)
<反応>
フッ化リチウムの仕込み量を53.4g(2.06mol)に変えた以外は実施例2と同様に反応を行い、無色透明な無水フッ化水素酸溶液が得られた。
この反応液をフッ素樹脂製丸底フラスコへ入れ、100℃に加熱し、系内を減圧にして無水フッ化水素酸を留去した。留去後、213gの白色粉末が得られ、イオンクロマトグラフィーの結果、主生成物はフルオロ硫酸リチウムであり、不純物として硫酸イオンを0.42重量%含んでいた。
<精製>
上記の硫酸イオンを0.42重量%含むフルオロ硫酸リチウムを実施例2と同様に2000mlの炭酸ジメチルに溶解させてろ過精製した結果、得られたフルオロ硫酸リチウムの炭酸ジメチル溶液の硫酸イオンの濃度は0.010重量%であった。
さらに、この溶液から炭酸ジメチルを減圧留去することで、フルオロ硫酸リチウムの白色粉末206gを得た。三酸化硫黄からの全収率は97.2%であった。このフルオロ硫酸リチウムはイオンクロマトグラフィーの結果から、不純物として硫酸イオンを0.15重量%含んでいた。
(実施例4)
<反応>
1000mlのフッ素樹脂製容器に塩化リチウム102g(2.40mol)を入れ、−5℃に冷却しながら無水フッ化水素酸400g(20.0mol)をゆっくりと滴下投入した。投入と同時に塩化水素と思われる気体が発生しているのが確認できた。気体の発生が終了するまで撹拌を行い、次いでフルオロ硫酸200g(2.00mol)を滴下投入した。投入後、室温に戻しながら撹拌を行った結果、フッ化リチウムと思われる少量の白色不溶解分をもつ無水フッ化水素酸溶液が得られた。
この反応液をフッ素樹脂製丸底フラスコへ入れ、100℃に加熱し、系内を減圧にして無水フッ化水素酸を留去した。留去後、222gの白色粉末が得られ、イオンクロマトグラフィーの結果、主生成物はフルオロ硫酸リチウムであり、不純物として硫酸イオンを1.24重量%含んでいた。
<精製>
上記、無水フッ化水素酸の留去で得られた硫酸イオンを1.24重量%含むフルオロ硫酸リチウムを2000mlの炭酸ジメチルに溶解させた。溶け残った白色粉末を加圧濾過で取り除き、得られたフルオロ硫酸リチウムの溶解した炭酸ジメチル溶液のイオンクロマトグラフィーの結果から、硫酸イオンの濃度は0.006重量%であった。
さらに、この溶液から炭酸ジメチルを減圧留去することで、フルオロ硫酸リチウムの白色粉末207gを得た。フルオロ硫酸からの全収率は97.6%であった。このフルオロ硫酸リチウムはイオンクロマトグラフィーの結果から、不純物として硫酸イオンを0.081重量%含んでいた。また、塩素イオンは0.001重量%以下であった。
(実施例5)
<反応>
反応ののち無水フッ化水素酸溶液から無水フッ化水素酸を留去するまでは実施例2と同様に行い、222gの白色粉末を得た。
<精製>
上記、無水フッ化水素酸の留去で得られたフルオロ硫酸リチウムを1000mlのアセトニトリルに溶解させた。溶け残った白色粉末を加圧濾過で取り除き、得られたフルオロ硫酸リチウムの溶解したアセトニトリル溶液のイオンクロマトグラフィーの結果から、硫酸イオンの濃度は0.009重量%であった。
さらに、この溶液からアセトニトリルを減圧留去することで、フルオロ硫酸リチウムの白色粉末210gを得た。三酸化硫黄からの全収率は99.0%であった。このフルオロ硫酸リチウムはイオンクロマトグラフィーの結果から、不純物として硫酸イオンを0.11重量%含んでいた。
(比較例1)
<反応>
500mlのフッ素樹脂製容器に炭酸ジメチル200mlを入れ、フッ化リチウム15.6g(0.60mol)を加えた。次いで、撹拌しながら10℃に冷却し、フルオロ硫酸50.0g(0.50mol)を滴下投入した。導入後、室温に戻しながら撹拌を行った結果、フッ化リチウムと思われる少量の白色不溶解分をもつ炭酸ジメチル溶液が得られた。
この反応液をフッ素樹脂製丸底フラスコへ入れ、100℃に加熱し、系内を減圧にして炭酸ジメチルを留去した。留去後、57gの白色粉末が得られ、イオンクロマトグラフィーの結果、主生成物はフルオロ硫酸リチウムであり、不純物として硫酸イオンを1.60重量%含んでいた。
<精製>
上記、炭酸ジメチルの留去で得られた硫酸イオンを1.60重量%含むフルオロ硫酸リチウムを500mlの炭酸ジメチル溶液に溶解させた。溶け残った白色粉末を加圧濾過で取り除き、得られたフルオロ硫酸リチウムの溶解した炭酸ジメチル溶液のイオンクロマトグラフィーの結果から、硫酸イオンの濃度は0.18重量%であった。
さらに、この溶液から炭酸ジメチルを減圧留去することで、フルオロ硫酸リチウムの白色粉末50gを得た。フルオロ硫酸からの全収率は94.3%であった。このフルオロ硫酸リチウムはイオンクロマトグラフィーの結果から、不純物として硫酸イオンを2.2重量%含んでいた。
(比較例2)
<反応>
フルオロ硫酸に変えて三酸化硫黄を40.0g(0.50mol)を気化させて導入した以外は比較例1と同様に反応を行い、フッ化リチウムと思われる少量の白色不溶解分をもつ炭酸ジメチル溶液が得られた。
この反応液をフッ素樹脂製丸底フラスコへ入れ、100℃に加熱し、系内を減圧にして炭酸ジメチルを留去した。留去後、56gの白色粉末が得られ、イオンクロマトグラフィーの結果、主生成物はフルオロ硫酸リチウムであり、不純物として硫酸イオンを1.20重量%含んでいた。
<精製>
上記、炭酸ジメチルの留去で得られた硫酸イオンを1.20重量%含むフルオロ硫酸リチウムを500mlの炭酸ジメチル溶液に溶解させた。溶け残った白色粉末を加圧濾過で取り除き、得られたフルオロ硫酸リチウムの溶解した炭酸ジメチル溶液のイオンクロマトグラフィーの結果から、硫酸イオンの濃度は0.16重量%であった。
さらに、この溶液から炭酸ジメチルを減圧留去することで、フルオロ硫酸リチウムの白色粉末49gを得た。三酸化硫黄からの全収率は92.4%であった。このフルオロ硫酸リチウムはイオンクロマトグラフィーの結果から、不純物として硫酸イオンを1.9重量%含んでいた。
(比較例3)
<反応>
500mlのフッ素樹脂製容器にアセトニトリル50mlを入れ、塩化リチウム4.4g(0.104mol)を加えた。次いで、撹拌しながら10℃に冷却し、フルオロ硫酸8.7g(0.086mol)を滴下投入した。導入後、室温に戻しながら撹拌を行った結果、フッ化リチウムと思われる少量の白色不溶解分をもつアセトニトリル溶液が得られた。
<精製>
上記、アセトニトリル溶液から白色不溶解分を加圧濾過で取り除き、フルオロ硫酸リチウムの溶解したアセトニトリル溶液を得た。この溶液からアセトニトリルを減圧留去することで、フルオロ硫酸リチウムの白色固体9.5gを得た。フルオロ硫酸からの全収率は100%であった。このフルオロ硫酸リチウムはイオンクロマトグラフィーの結果から、不純物として硫酸イオンを4.2重量%含んでいた。また、塩素イオンは0.2%であった。
上記比較例より、反応溶媒に非水有機溶媒を用いると、精製後に得られたフルオロ硫酸リチウムに含まれる硫酸がかなり多い結果となった。これはハロゲン化リチウムによって、硫酸が硫酸リチウムへと変換されなかったことを示しており、無水フッ化水素酸を溶媒に用いる効果が明らかとなった。

Claims (7)

  1. フルオロ硫酸リチウムを製造する工程において、無水フッ化水素酸中で、ハロゲン化リチウムとフルオロ硫酸もしくは三酸化硫黄とを反応させ、フルオロ硫酸リチウムを生成させると同時に、不純物として存在する硫酸をハロゲン化リチウムと反応させることで硫酸リチウムへと変換する工程を経たのち、その溶液より無水フッ化水素酸を取り除いて、硫酸リチウムを含むフルオロ硫酸リチウムを得ることを特徴とするフルオロ硫酸リチウムの製造方法。
  2. フルオロ硫酸もしくは三酸化硫黄に対して等モルのハロゲン化リチウムに加えて、不純物として含まれる硫酸に対して2倍以上のモル比のハロゲン化リチウムを用いることを特徴とする請求項1に記載のフルオロ硫酸リチウムの製造方法。
  3. ハロゲン化リチウムとしてフッ化リチウムを用いることを特徴とする請求項1または2に記載のフルオロ硫酸リチウムの製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の方法により得られた硫酸リチウムを含むフルオロ硫酸リチウムを非水溶媒に溶かした後、硫酸リチウムを取り除き、フルオロ硫酸リチウムを含む非水溶媒溶液を得ることを特徴とする、フルオロ硫酸リチウムを含む非水溶媒溶液の製造方法。
  5. 請求項4に記載の方法により得られたフルオロ硫酸リチウムを含む非水溶媒溶液から非水溶媒を除去し、フルオロ硫酸リチウムを得ることを特徴とする、フルオロ硫酸リチウムの製造方法。
  6. 非水溶媒が非プロトン性極性有機溶媒である、請求項4に記載のフルオロ硫酸リチウムを含む非水溶媒溶液の製造方法。
  7. 非水溶媒が非プロトン性極性有機溶媒である、請求項5に記載のフルオロ硫酸リチウムの製造方法。
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