JP6610701B2 - ジフルオロリン酸リチウムの製造方法 - Google Patents

ジフルオロリン酸リチウムの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ジフルオロリン酸リチウムの製造方法に関する。
リチウム二次電池の電解液には、有機溶媒にリチウム塩を溶解させてなる非水電解液が使用されているが、こうした非水電解液の分解や副反応がリチウム二次電池の性能に影響を及ぼすため、非水電解液に各種添加剤を混合することによって、サイクル寿命や保存性能を向上させる試みがなされている。ジフルオロリン酸リチウムは、このような添加剤として有用な化合物である。
従来、ジフルオロリン酸リチウムは、LiPFを原料とする製造方法、Pやフッ化水素と各種リチウム塩を一度に反応させる方法、HPOとLiClによる製造方法等により製造されてきた。しかしながら、LiPFは高価であり、生産コストの点で改善の余地がある。また、Pやフッ化水素と各種リチウム塩を一度に反応させる方法は、LiF、LiHPOF、金属等の不純物が多く含まれる問題がある。更に、HPOとLiClによる製造方法では、塩素分が含有される。
このような中で、簡便に、高純度のジフルオロリン酸塩を製造することが望まれており、例えば、特許文献1には、アルカリ金属またはアルカリ土類金属またはオニウムのハロゲン塩、炭酸塩、リン酸塩、水酸化物、酸化物より選ばれる少なくともひとつの原料塩とジフルオロリン酸とを、ジフルオロリン酸中において反応させた後、該ジフルオロリン酸中において晶析操作によって析出した析出物をジフルオロリン酸から固液分離し、析出物に含まれるジフルオロリン酸を留去することによってジフルオロリン酸塩を得ることを特徴とするジフルオロリン酸塩の製造方法が開示されている。
特開2012−51752号公報
しかしながら、特許文献1に記載の製造方法では、得られるジフルオロリン酸塩中に酸分が多く含まれ、また酸分の除去も困難であることから、高純度のジフルオロリン酸リチウムを製造することはできなかった。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、高純度のジフルオロリン酸リチウムを製造する方法を提供することを目的とする。また、本発明は、より高純度のジフルオロリン酸を製造することも目的とする。
本発明者らが鋭意検討した結果、リチウム源とジフルオロリン酸とを反応させる際に、ジフルオロリン酸に対してリチウム源を過剰に存在させることにより、高純度のジフルオロリン酸リチウムを製造できることが見出された。
すなわち、本発明は、リチウム源にジフルオロリン酸を添加する工程、及び、ジフルオロリン酸とリチウム源とを反応させる工程、を含み、上記リチウム源の量は、ジフルオロリン酸に対してリチウム原子換算で1.5モル当量以上であり、上記リチウム源は、リチウム炭酸塩及びリチウム水酸化物からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とするジフルオロリン酸リチウムの製造方法である。
上記リチウム源は、リチウム炭酸塩であることが好ましい。
上記ジフルオロリン酸とリチウム源とを反応させる工程は、有機溶媒の存在下で行うものであることが好ましい。
上記有機溶媒は、アルキル炭酸エステル及びアルキルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
本発明のジフルオロリン酸リチウムの製造方法は、更に、ジフルオロリン酸とリチウム源とを反応させて得られたジフルオロリン酸リチウムを含有する生成物を精製する工程を含むことが好ましい。
本発明はまた、オキシハロゲン化リンの存在下で、リンのオキソ酸とフッ化水素とを反応させる工程を含むことを特徴とするジフルオロリン酸の製造方法でもある。
上記オキシハロゲン化リンは、オキシ塩化リンであることが好ましい。
上記リンのオキソ酸は、五酸化リン、オルトリン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、及び、リン酸からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、オルトリン酸、ピロリン酸及びリン酸からなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
本発明のジフルオロリン酸の製造方法は、更に、リンのオキソ酸とフッ化水素とを反応させる工程により得られた生成物を蒸留する工程を含むことが好ましい。
本発明のジフルオロリン酸リチウムの製造方法は、上記構成を有することから、高純度のジフルオロリン酸リチウムを製造することができる。本発明のジフルオロリン酸の製造方法は、上記構成を有することによって、より高純度のジフルオロリン酸を製造することができる。
本発明のジフルオロリン酸リチウムの製造方法は、リチウム源にジフルオロリン酸を添加する工程、及び、ジフルオロリン酸とリチウム源とを反応させる工程、を含み、上記リチウム源の量は、ジフルオロリン酸に対してリチウム原子換算で1.5モル当量以上であり、上記リチウム源は、リチウム炭酸塩及びリチウム水酸化物からなる群より選択される少なくとも1種である。
本発明のジフルオロリン酸リチウムの製造方法は、安価かつ取り扱い容易な原料を用いることができ、副生物として無害物しか生成されず、更に、高純度のジフルオロリン酸リチウムを製造することができる。
以下、本発明のジフルオロリン酸リチウムの製造方法について詳細に説明する。
本発明のジフルオロリン酸リチウムの製造方法は、リチウム源にジフルオロリン酸を添加する工程を含む。
リチウム源にジフルオロリン酸を添加する方法としては、リチウム源を反応容器中に投入した後、反応容器中にジフルオロリン酸を滴下すること等により投入する方法等が挙げられる。
リチウム源を反応容器中に投入した後、反応容器中にジフルオロリン酸を投入する方法では、反応容器中にリチウム源を投入した後、ジフルオロリン酸を反応容器中に一括で投入してもよいし、分割して投入してもよい。
特許文献1に記載されているように、過剰なジフルオロリン酸中にリチウム源を添加すると、未反応のジフルオロリン酸と副生する水とが反応して加水分解する。そのため、過剰のリチウム源に対してジフルオロリン酸を滴下し、ジフルオロリン酸を残さないようにするのが好ましい。
より高純度のジフルオロリン酸リチウムを製造できることから、上記ジフルオロリン酸は純度が高いことが好ましい。ジフルオロリン酸の純度は、99%以上であることが好ましく、99.98%以上であることがより好ましい。
上記純度は、19F−NMR及び31P−NMRで分析することにより測定することができる。
上記ジフルオロリン酸は、後述するジフルオロリン酸の製造方法で得られたものであることが好ましい。すなわち、オキシハロゲン化リンの存在下で、リンのオキソ酸とフッ化水素とを反応させる工程、必要に応じて、更に、リンのオキソ酸とフッ化水素とを反応させる工程により得られた生成物を蒸留する工程を含む製造方法により得られたジフルオロリン酸であることが好ましい。このような製造方法で得られたジフルオロリン酸を使用することにより、より高純度のジフルオロリン酸リチウムを製造することができる。
上記リチウム源の量は、ジフルオロリン酸に対してリチウム原子換算で1.5モル当量以上である。このように、ジフルオロリン酸に対してリチウム源を極めて過剰に存在させて反応させることによって、ジフルオロリン酸由来の酸分を低減することができ、高純度のジフルオロリン酸リチウムが得られる。
より高純度のジフルオロリン酸リチウムを得ることができることから、上記リチウム源の量は、ジフルオロリン酸に対してリチウム原子換算で2.0モル当量以上であることが好ましい。リチウム源の未反応分が増えてくると、ジフルオロリン酸リチウムとの分離の効率性が損なわれるおそれがあることから、上記リチウム源の量は、ジフルオロリン酸に対してリチウム原子換算で3.0モル当量以下であることが好ましく、2.5モル当量以下であることがより好ましい。
上記リチウム源は、リチウム炭酸塩(LiCO)及びリチウム水酸化物(LiOH)からなる群より選択される少なくとも1種である。上記特定のリチウム源を選択することによって、塩素等に由来する不純物生成を防止することができ、より高純度のジフルオロリン酸リチウムを得ることができる。
より高純度のジフルオロリン酸リチウムを得ることができることから、上記リチウム源は、リチウム炭酸塩であることが好ましい。
本発明のジフルオロリン酸リチウムの製造方法は、ジフルオロリン酸とリチウム源とを反応させる工程を含む。ジフルオロリン酸とリチウム源との反応は、室温(25℃程度)でも十分に反応するが、加熱等の操作を行ってもよい。また、ジフルオロリン酸とリチウム源とを撹拌等してもよい。
上記反応の温度は特に限定されないが、通常、0〜100℃で行う。また、反応時間は、通常、1〜10時間である。
上記ジフルオロリン酸とリチウム源との反応は、有機溶媒の存在下で行うことが好ましい。有機溶媒の存在下で上記反応を行うことで、高い収率でジフルオロリン酸リチウムを製造することができる。
上記反応を有機溶媒の存在下で行う場合、本発明のジフルオロリン酸リチウムの製造方法は、通常、ジフルオロリン酸を添加する工程の前に、リチウム源に有機溶媒を添加する工程を含む。
上記有機溶媒としては、ジフルオロリン酸及びリチウム源と反応しないものであれば、特に限定されないが、ジフルオロリン酸リチウムを溶解する有機溶媒であることが好ましい。
上記有機溶媒としては、例えば、アルキル炭酸エステル等のエステル類、アルキルエーテル等のエーテル類、アルコール類等が挙げられる。
アルキル炭酸エステルとしては、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等が挙げられる。
アルキルエーテルとしては、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
より高純度のジフルオロリン酸リチウムを得ることができることから、上記有機溶媒は、アルキル炭酸エステル及びアルキルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
より高い収率で、高純度のジフルオロリン酸リチウムを製造することができることから、上記有機溶媒の量は、ジフルオロリン酸100質量部に対して300〜2000質量部であることが好ましく、より好ましくは700〜1000質量部である。
上記ジフルオロリン酸とリチウム源との反応は、有機溶媒及び水の存在下で行うことがより好ましい。あえて有機溶媒と水とを併存させ、溶解度を上げることによって収率を向上させることができる。
より高い収率で、高純度のジフルオロリン酸リチウムを製造することができることから、上記水の量は、ジフルオロリン酸100質量部に対して、5〜30質量部であることが好ましく、10〜25質量部であることがより好ましく、15〜20質量部であることが更に好ましい。
上記水は、ジフルオロリン酸を添加する前に仕込む必要がある。すなわち、上記反応を有機溶媒及び水の存在下で行う場合、本発明のジフルオロリン酸リチウムの製造方法は、ジフルオロリン酸を添加する工程の前に、リチウム源に水を添加する工程を含む。
本発明のジフルオロリン酸リチウムの製造方法は、ジフルオロリン酸とリチウム源とを反応させる工程の後に、ジフルオロリン酸とリチウム源とを反応させて得られたジフルオロリン酸リチウムを含有する生成物を精製する工程を含むことが好ましい。本発明のジフルオロリン酸リチウムの製造方法は、ジフルオロリン酸に対して過剰なリチウム源を用いているが、上記精製によって容易に高純度なジフルオロリン酸リチウムが得られる。
例えば、ジフルオロリン酸を過剰に用いてジフルオロリン酸とリチウム源とを反応させた場合、生成物中にジフルオロリン酸、塩酸、ヘキサフルオロリン酸等の酸分が包含される。そうすると、同じように精製したとしても過剰のジフルオロリン酸が残留して高純度のジフルオロリン酸リチウムを得ることができない。
なお、上記生成物は、通常、ジフルオロリン酸リチウム、リチウム源等を含有するものである。
上記精製の方法としては、一般的な精製方法を用いることもできるが、より高純度のジフルオロリン酸リチウムが得られることから、溶解度差により、ジフルオロリン酸リチウムと生成物中の不純物とを分離する再結晶が好ましい。
上記再結晶では、通常、上記生成物を溶媒に溶かし、温度差による溶解度の差により結晶を析出させる。上述したように、ジフルオロリン酸とリチウム源との反応を有機溶媒の存在下で行う場合には、この有機溶媒をそのまま再結晶用の溶媒として用いることができる。
上記再結晶の方法としては従来公知の方法を用いることができるが、具体的な方法としては、ジフルオロリン酸とリチウム源とを反応させて得られた生成物を、減圧下で加熱して(例えば、1〜10kPa、60〜100℃)、溶媒を留去し、更に、減圧して加熱して(例えば、1〜100Pa、100〜150℃)、乾燥させることにより固体結晶を得る方法が挙げられる。
本発明のジフルオロリン酸リチウムの製造方法は、ジフルオロリン酸リチウムの純度を96%以上にすることができるし、98%以上にすることもできる。更には、99%以上にすることもできる。
本発明の製造方法により高純度のジフルオロリン酸リチウムが得られる。本発明の製造方法により得られたジフルオロリン酸リチウムは、リチウム二次電池用の電解液に添加する添加剤として好適である。
また、本発明は、オキシハロゲン化リンの存在下で、リンのオキソ酸とフッ化水素とを反応させる工程を含むことを特徴とするジフルオロリン酸の製造方法でもある。より高純度のジフルオロリン酸塩を製造する場合、原料として使用されるジフルオロリン酸には、より高純度であることが求められる。
本発明のジフルオロリン酸の製造方法は、上記構成を有することによって、より高純度のジフルオロリン酸を製造することができる。また、本発明のジフルオロリン酸の製造方法により得られるジフルオロリン酸を用いることによって、より高純度のジフルオロリン酸リチウムを製造することができる。
リンのオキソ酸とフッ化水素とを反応させる具体的な方法としては、オキシハロゲン化リンとリンのオキソ酸を反応容器中に仕込んだ後、フッ化水素を滴下して反応させる方法や、オキシハロゲン化リンとリンのオキソ酸を反応容器中に仕込み、加熱下で反応させた後、フッ化水素を滴下して反応させる方法が挙げられる。
上記リンのオキソ酸とフッ化水素とを反応させる温度は、通常、−10〜100℃であり、より高純度のジフルオロリン酸が得られることから、−10〜50℃であることがより好ましい。反応時間は、通常、フッ化水素を仕込み終わった後から、30分〜300分である。
オキシハロゲン化リンとしては、オキシ塩化リン(POCl)、オキシ臭化リン(POBr)、オキシフッ化リン(POF)、オキシヨウ化リン(POI)等が挙げられる。入手が容易で、且つ適度な沸点を持ち、取扱いが容易であるという観点からは、オキシ塩化リン及びオキシ臭化リンからなる群より選択少なくとも一種であることが好ましく、オキシ塩化リンであることがより好ましい。
リンのオキソ酸としては、五酸化リン、オルトリン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、及び、リン酸からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。取扱いの観点からは、中でも、五酸化リン、オルトリン酸、ピロリン酸、及び、リン酸からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、オルトリン酸、ピロリン酸及びリン酸からなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
上記リンのオキソ酸は、水溶液の態様で用いてもよい。リンのオキソ酸を水溶液の態様で用いる場合、オキシ塩化リンと反応させると高濃度の塩酸が生成するため、予め、五酸化リン等のリンのオキソ酸と反応させ、水を除去しておくと、より好ましい。
オキシハロゲン化リンの量は、リンのオキソ酸とオキシハロゲン化リンの種類により異なるが、例えば、リンのオキソ酸100質量部に対して、55〜480質量部であることが好ましい。
また、より高純度のジフルオロリン酸が得られることから、リンのオキソ酸として五酸化リン、オキシハロゲン化リンとしてオキシ塩化リンを用いる場合には、五酸化リン100質量部に対して55〜170質量部であることが好ましく、90〜120質量部であることがより好ましい。また、リンのオキソ酸としてオルトリン酸、オキシハロゲン化リンとしてオキシ塩化リンを用いた場合には、オルトリン酸100質量部に対して150〜480質量部であることが好ましく、280〜350質量部であることがより好ましい。
より高純度のジフルオロリン酸が得られることから、フッ化水素の量は、リンのオキソ酸100質量部に対して、50〜160質量部であることが好ましく、65〜140質量部であることがより好ましく、80〜120質量部であることが更に好ましい。
上記フッ化水素は、無水フッ化水素であることが好ましい。
本発明のジフルオロリン酸の製造方法は、更に、リンのオキソ酸とフッ化水素とを反応させる工程により得られた生成物を蒸留する工程を含むことが好ましい。蒸留を行うことにより、より高純度のジフルオロリン酸が得られる。
上記蒸留の方法としては、減圧蒸留、薄膜蒸留等の通常の蒸留方法を採用することができる。蒸留温度は、高温ではジフルオロリン酸が分解するおそれがあることから50〜100℃であることが好ましく、60〜90℃であることがより好ましい。
また、上記蒸留は、常圧でおこなってもよいが、減圧下で行うことが生産性の観点から好ましい。蒸留時の圧力は、10〜500Paであることが好ましい。
本発明のジフルオロリン酸の製造方法は、高純度のジフルオロリン酸を製造することができるため、ジフルオロリン酸リチウム等のジフルオロリン酸塩の製造に好適に使用可能である。また、カチオン重合の触媒等にも好適である。
つぎに本発明を実施例をあげて説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
以下、実施例及び比較例における各数値の測定方法について記載する。
各実施例及び各比較例の収率、酸分、水分は、以下の方法により求めた値である。
(ジフルオロリン酸の収率)
反応後の溶液を分取し、重クロロホルム、重アセトニトリル等溶媒と、内部標準物質としてα,α,α−トリフルオロトルエンを添加し、19F−NMR及び31P−NMRにて分析を行い、得られたジフルオロリン酸量を定量した。
(ジフルオロリン酸リチウムの収率)
乾燥後のジフルオロリン酸リチウムをジメトキシエタンに溶解し、内部標準物質としてα,α,α−トリフルオロトルエンを添加し、19F−NMR及び31P−NMRにて分析を行い、得られたジフルオロリン酸リチウム量を定量した。
(酸分)
乾燥後のジフルオロリン酸リチウムを水に溶かし、0.01N−NaOHにて中和滴定し酸分を定量した。
(水分)
乾燥後のジフルオロリン酸リチウムを低水分ジメトキシエタンに溶かした後、カールフィッシャーにて水分を測定し、元のジメトキシエタン中の水分との増加分によりジフルオロリン酸リチウム中の水分を求めた。
実施例1(HPOの製造)
150mlのPFA〔テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体〕容器に五酸化リン20.0g(0.070モル)とオキシ塩化リン21.9g(0.143モル)を仕込み、氷浴下で撹拌した。N(窒素)流通下、無水フッ化水素16.9g(0.835モル)を内温が20℃以下になるように滴下した。滴下終了後、同温度で30分撹拌した後、25℃まで昇温して60分撹拌した。得られた溶液に31P−NMR及び19F−NMR分析を行ったところ、ジフルオロリン酸の収率は83モル%、モノフルオロリン酸の収率は7モル%であった。
実施例2(HPOの製造)
150mlのPFA容器に85%リン酸7.2g(0.062モル)を仕込み、撹拌しながら五酸化リン2.8g(0.010モル)を添加したところ、内温の上昇と共に五酸化リンの全量が溶解した。この混合物を、N流通下、50℃に加熱しながらオキシ塩化リン28.5g(0.186モル)を添加した。ガスの発生が収まったところで、氷浴下で冷却し、無水フッ化水素11.0g(0.550モル)を内温が20℃以下になるように滴下した。滴下終了後、同温度で30分撹拌した後、25℃まで昇温して90分撹拌した。得られた溶液に31P−NMR及び19F−NMR分析を行ったところ、ジフルオロリン酸の収率は79モル%、モノフルオロリン酸の収率は12モル%であった。
実施例3(HPOの製造)
150mlのPFA容器にオルトリン酸7.9g(0.080モル)を仕込み、N流通下、50℃に加熱しながらオキシ塩化リン19.9g(0.128モル)を添加した。ガスの発生が収まったところで、氷浴下で冷却し、無水フッ化水素9.1g(0.455モル)を内温が20℃以下になるように滴下した。滴下終了後、同温度で30分撹拌した後、25℃まで昇温して180分撹拌した。得られた溶液に31P−NMR及び19F−NMR分析を行ったところ、ジフルオロリン酸の収率は80モル%、モノフルオロリン酸の収率は11モル%であった。
実施例4(HPOの製造)
500mlのPFA容器に、オルトリン酸とピロリン酸の混合物(オルトリン酸48.9g、ピロリン酸31.3g)80.2gを仕込み、N流通下、50℃に加熱しながらオキシ塩化リン210.2g(1.371モル)を添加した。ガスの発生が収まったところで、氷浴下で冷却し、無水フッ化水素89.8g(4.486モル)を内温が20℃以下になるように滴下した。滴下終了後、同温度で30分撹拌した後、25℃まで昇温して180分撹拌した。得られた溶液に31P−NMR及び19F−NMR分析を行ったところ、ジフルオロリン酸の収率は88モル%、モノフルオロリン酸の収率は8モル%であった。
比較例1(HPOの製造)
500mlのPFA容器に五酸化リン101.0g(0.356モル)を仕込んだ。N流通下、氷浴下で冷却し、無水フッ化水素40.4g(2.019モル)を滴下した。滴下途中で固体が凝集し、撹拌が出来なくなった。滴下終了後、同温度で30分撹拌した後、25℃まで昇温して600分撹拌した。得られた溶液に31P−NMR及び19F−NMR分析を行ったところ、ジフルオロリン酸の収率は51モル%、モノフルオロリン酸の収率は45モル%であった。
Figure 0006610701
実施例5(LiPOの製造)
PFA容器にジメトキシエタン86g、およびLiCOを6.5g(0.088モル)を入れ、次いでHPO(純度99.8%)を9.0g(0.088モル)を添加した。得られた懸濁液を室温にて8時間撹拌した。上澄みをPFA容器に移し、減圧下(約3kPa)、70℃にて3時間保持し溶媒を留去、さらに125℃、30Paにて5時間乾燥させ固体結晶を得た。
得られた結晶を31P−NMR及び19F−NMRにて分析したところジフルオロリン酸リチウムであることが同定された。結晶中の酸分、水分はそれぞれ、300ppm、40ppmであり、収率としては99%超であった。
実施例6(LiPOの製造)
PFA容器にエチルメチルカーボネート90g、水1.7gおよびLiCOを6.6g(0.089モル)を入れ、次いでHPO(純度99.8%)を9.0g(0.088モル)を添加した。得られた懸濁液を室温にて8時間撹拌した。上澄みをPFA容器に移し、減圧下(約3kPa)、70℃にて3時間保持し溶媒を留去、さらに125℃、30Paにて5時間乾燥させ固体結晶を得た。
得られた結晶を31P−NMR及び19F−NMRにて分析したところジフルオロリン酸リチウムであることが同定された。結晶中の酸分、水分はそれぞれ、260ppm、150ppmであり、収率としては99%超であった。
実施例7(LiPOの製造)
PFA容器にLiCOを1.1g(0.015モル)を入れ、次いでHPO(純度99.8%)を1.6g(0.016モル)を添加し30分程度撹拌したところ粉末上の固体結晶を得た。得られた結晶を125℃、30Paにて5時間乾燥させた。
得られた結晶を31P−NMR及び19F−NMRにて分析したところジフルオロリン酸リチウム、およびモノフルオロリン酸リチウムであることが同定された。結晶中の酸分、水分はそれぞれ、230ppm、80ppmであり、ジフルオロリン酸リチウムの収率は74%であった。
Figure 0006610701

Claims (5)

  1. オキシハロゲン化リンの存在下で、リンのオキソ酸とフッ化水素とを反応させる工程を含むことを特徴とするジフルオロリン酸の製造方法。
  2. オキシハロゲン化リンは、オキシ塩化リンである請求項1記載のジフルオロリン酸の製造方法。
  3. リンのオキソ酸は、五酸化リン、オルトリン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、及び、リン酸からなる群より選択される少なくとも1種である請求項1又は2記載のジフルオロリン酸の製造方法。
  4. リンのオキソ酸は、オルトリン酸、ピロリン酸及びリン酸からなる群より選択される少なくとも1種である請求項1、2又は3記載のジフルオロリン酸の製造方法。
  5. 更に、リンのオキソ酸とフッ化水素とを反応させる工程により得られた生成物を蒸留する工程を含む請求項1、2、3又は4記載のジフルオロリン酸の製造方法。
JP2018082166A 2018-04-23 2018-04-23 ジフルオロリン酸リチウムの製造方法 Active JP6610701B2 (ja)

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