JPH09506329A - リチウムヘキサフルオロホスフェートの製造法 - Google Patents

リチウムヘキサフルオロホスフェートの製造法

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Abstract

(57)【要約】 低沸点且つ非プロトン性有機溶媒中で塩基性条件下で、ナトリウム、カリウム、アンモニウム又は有機アンモニウムヘキサフルオロホスフェート塩から選ばれる塩とリチウム塩とを反応させて、反応物リチウム塩の陰イオンを含む沈殿したナトリウム、カリウム、アンモニウム又は有機アンモニウム塩並びにリチウムヘキサフルオロホスフェートの溶液を生成させることを含むリチウムヘキサフルオロホスフェートの溶液の製造法に関する。

Description

【発明の詳細な説明】 リチウムヘキサフルオロホスフェートの製造法 技術分野 本発明は、高純度且つバッテリー品質のリチウムヘキサフルオロホスフェート 、並びに高エネルギーバッテリーに使用するのに好適な高純度のリチウムヘキサ フルオロホスフェート溶液の製造法に関する。 背景技術 一次リチウムバッテリーの高い電圧及び二次リチウムバッテリーデザインのた めの電荷電圧は、これらのバッテリーの応用に選ばれる電解質塩に厳しい要求を している。塩は、還元反応を避けるのに十分な電気化学的安定性、他のバッテリ ー成分との反応を避けるのに十分な化学的安定性、並びに一次バッテリーの放電 及び二次バッテリーの電荷に十分な電導度を許すのに十分な電解質溶媒(又は重 合体マトリックス)における溶解性を有しなければならない。 リチウムヘキサフルオロホスフェートは、多くのバッテリーの応用に関する電 気化学的及び伝導度の要求に合致する。しかし、塩は、化学的に非常に反応しや すく、製造及び精製が困難である。リチウムバッテリーの電解質塩としてのこの 塩の使用は、他のバッテリー成分との反応及び塩の熱分解を導く。塩基性リチウ ム塩例えば水酸化リチウム又は炭酸リチウムとヘキサフルオロ燐酸の水溶液から 製造されるリチウムヘキサフルオロホスフェートは、加水分解されて3種の陰イ オンPO22 -、HPO3-及びPO4を形成する。従って、水溶液から製造され る沈殿したリチウムヘキサフルオロホスフェート塩は、これらの望ましくない汚 染物を含むだろう。これらの加水分解反応は、加水分解反応を触媒化する酸を生 ずるだろう。リチウムヘキサフルオロホスフェートの低い熱安定性は、無水のリ チウムヘキサフルオロホスフェートを生成するための水の除去を極めて困 難にする。その結果、水性の経路により製造されるリチウムヘキサフルオロホス フェートは、一般にバッテリーの応用に適していない。他の溶媒との分解反応を 触媒化する酸について可能性が存在する。 水溶液中のヘキサフルオロホスフエート陰イオンの加水分解を処埋する問題を 避けるために、リチウムヘキサフルオロホスフェートが、有機溶媒中の懸濁され たフッ化リチウム及び気体状の五フッ化燐の反応により生成された方法が開発さ れた。これらの処理方法の困難さは、極めて反応性の高い高価な五フッ化燐気体 の取り扱い及び有機溶液からの溶媒和しない塩の困難な単離を含む。無水フッ化 水素酸溶媒中の五フッ化燐とハロゲン化リチウムとの反応は、記述されている。 コストを下げそして純度を上げるための他の処理の記述も開示されている。これ らのやり方は、完全に除くことができずしかもバッテリーの性能に不利な固体生 成物に含まれる残存フッ化水素酸を残す。 リチウムヘキサフルオロホスフェートは、極めて吸湿性であり、その製造及び 精製を困難にしている。一つの製法は、フッ化水素酸無水物の存在下水素化リチ ウム(LiH)及び五塩化燐(PCl5)を反応させる。方法は、或る量の水分 、硫酸塩イオン、鉄及び鉛を常に含む固体のPCl5から出発し、これらの不純 物は、電解質を汚染し、残念ながらたとえ比較的少量のこれらの不純物でも電解 質中では許容できない。他の方法は、フッ化水素酸無水物中でハロゲン化リチウ ムとPF6とを反応させる。この方法は、多孔性のLiF−HFとPF6気体との 固体気体反応を用い、以前の方法の水分の問題を避けることができるが、高い純 度のPF5気体は極めて高価である。公開された特開平4−175216号(1 992)は、PCl5とフッ化水素酸とを−20℃又はそれ以下で反応させるこ とにより高いPF5のコストを克服し、HF溶液即ちHPF6が形成されることを 主張している。この得られる反応溶液は、−10℃から20℃に加温されて高い 純度のPF5気体を生成する。PF5気体は、LiF−HFの溶液中に注意深く導 入されて−30℃でLiPF6を生成する。LiPF6は、2−3mmの粒子とし て沈殿し、それらは、通常の回収方法を用いて回収される。NH4PF6とLiB rとがジメトキシエタン(DME)中で反応してLiPF6・DMEコンプレッ クスを形成する方法は、周知である。生成物は、高い純度を有するが、 DMEは、除去が困難であり、それは、DMEが許容できる使用に生成物を制限 する。 酸性成分による汚染を避ける処理が記述されている。米国特許第488071 4号は、プロトンとルイス塩基との付加物を含む陽イオン並びにエーテル中のヘ キサフルオロホスフェートからなる陰イオンの塩とリチウム塩基との反応を開示 し、LiPF6−エーテルコンプレックスが単離できる溶液を形成する。コンプ レックスからエーテルを除く困難さにより、コンプレックスは、バッテリー電解 質中に直接配合され、そのためこの生成物は、エーテルを含まないバッテリーデ ザインに有用ではない。 アセトニトリル中のカリウムヘキサフルオロホスフェートと臭化リチウムとの 反応が記載されて、カリウム臭化物沈殿物を生じ、それは濾過されそしてアセト ニトリル中のリチウムヘキサフルオロホスフェートの溶液が回収される。アセト ニトリルの除去、ハロゲン化炭化水素溶媒による抽出及び不純物の濾過は、結晶 性[Li(CH3CN)4PF6]が有機溶媒の除去により単離できる溶液を生ず る。この生成物は、電解質成分としてアセトニトリルを含むバッテリーの応用に 制限され、そしてバッテリーに一般的に適していない。 発明の開示 本発明は、無水アンモニア、メチルアミン又はエチルアミンから選択される化 合物により連続的に飽和されている反応帯内で非プロトン性有機溶媒中でリチウ ム塩とヘキサフルオロ燐酸のアルカリ金属又はアンモニウム又は有機アンモニウ ム塩とを塩基性条件下で反応させることにより、バッテリー品質のリチウムヘキ サフルオロホスフェート溶液を生成する問題を克服する方法を提供する。本発明 の特別な態様では、アンモニア又は他の揮発性のアミンは添加されて、反応の速 度を増大させるとともに、反応物であるヘキサフルオロホスフェート塩から酸性 の汚染物を沈殿させる。種々の有機溶媒は、処理に使用でき、そして好ましい態 様では、低沸点有機溶媒は、最初の溶媒が他の高沸点溶媒の存在下除去されて最 後のバッテリー電解質溶液を製造するように使用される。この方法の利点は、望 ましくない分解反応を生ずることができる酸性の条件の回避、並びに例えば無水 アンモニアにより反応溶液を飽和することによる熱的に不安定な固体塩の回避を 含む。反応は、任意に、例えばメチル或いはエチルアミンの使用により、反応が 完了するとき容易に除去できるアミンの存在下有利に行われる。 本発明を実施するのに有用な種々の反応物リチウム塩は、塩化リチウム、臭化 リチウム、過塩素酸リチウム、リチウムテトラフルオロボレート、硝酸リチウム 、酢酸リチウム、安息香酸リチウムなどを含むが、これらに限定されない。選択 は、通常、ヘキサフルオロホスフェート塩の陽イオン及びリチウム塩の陰イオン から形成される副生成物の溶解度により左右される。リチウム塩は、また反応を 進行させるのに十分な溶解度を有しなければならない。同様に、反応物ヘキサフ ルオロホスフェート塩における陽イオンの選択は、一般に、得られる副生成物塩 の溶解度により左右される。 本発明を実施するのに有用なヘキサフルオロ燐酸の塩は、式R4NPF6(式中 、Rは1−8個好ましくは1−4個の炭素原子のアルキル基及び6−12個の炭 素原子のアリール基から選ばれる)のカリウムヘキサフルオロホスフェート、ナ トリウムヘキサフルオロホスフェート、アンモニウムヘキサフルオロホスフェー ト及び有機アンモニウムヘキサフルオロホスフェート化合物を含むが、これらに 限定されない。 本発明を実施するのに有用な溶媒は、反応物リチウム塩の陰イオンを含むナト リウム、カリウム、アンモニウム又は有機アンモニウム塩の低い溶解度、並びに リチウムヘキサフルオロホスフェートの高い溶解度を有する低沸点非プロトン性 有機溶媒であり、それらは、アセトニトリル、ジメチルカーボネート、ジエチル カーボネート、塩化メチレン及びジメトキシエタン又は他の低沸点非プロトン性 溶媒を含むがこれらに限定されない。これらの低沸点溶媒は、高い粘度の溶媒、 例えばエチレンカーボネート又はプロピレンカーボネートと混合でき、その後低 沸点溶媒は除かれる。これらの物質の粘度は、高い粘度の溶媒中に溶解されると き、シメチルカーボネート又はジエチルカーボネートのように変性できる。最後 の数%の反応溶媒は、ヘキサフルオロホスフェート生成物から除くのが困難であ り、そして掃引フィルム蒸留装置が、アセトニトリルを除くのに有用であること が分かった。 反応は、一般に、室温又はそれよりわずかに高い温度で行われる。高い温度は 、ヘキサフルオロホスフェート塩の分解を避けるために回避される。反応は、遅 くそして完了するのに24時間又はそれ以上を要する。アンモニアは、アンモニ アにより反応帯内の雰囲気の連続的な飽和があるような速度で加えられる。反応 帯は、反応物及び生成物に対して不活性な任意の材料により構成できる。 反応物であるLiCl及びKPF6は、実質的に化学量論的な量で使用され、 わずかに過剰のLiClが一般に使用される。無水のアンモニアが、反応溶液を アンモニアにより飽和された反応溶液を維持するのが望ましいので、実質的な量 で使用される。アンモニアの添加を停止することは、見かけ上反応を停止させる ことになる。反応は、元来、外界の圧力及び温度の条件下でなされる。加圧下の 反応は、行うことができ、そして反応はアンモニア飽和雰囲気で最もよく行われ る。アンモニアの添加は、僅かな発熱を生じさせ、さもなければ、反応は外界の 圧力及び温度の条件下で行われる。アンモニアは、有利には、反応期間を通して 添加される。 有機溶媒に溶解したLiPF6に基づくバッテリー品質の電解質は、有用なバ ッテリー電解質である。NH3の使用は、塩化リチウム(LiCl)について使 用ができ、NH3が存在しなければ、KPF6−LiCl反応は進行しない。アン モニアは、LiPF6生成物を溶解し、そして反応を完了にシフトさせる。臭化 リチウム(LiBr)は、LiClの代わりに使用できるが、これは溶媒に溶解 するKBrを生ずる。LiClは、溶媒中にそれほど可溶でなく、生成物LiP F6は、より純度が高い。反応の完了後、NH3は、反応帯又は混合物から気体と して除かれる。従って、NH3は、NH3又はアミンの何れも電解質に望ましくな いので、アミンより好ましい。反応混合物は、従来の手段例えば副生成物の濾去 及びアンモニアの真空除去により回収される。 実施例 以下の実施例は、本発明をさらに説明する。 実施例 1 プロピレンカーボネート中のLiPF6 溶液A:553gの再結晶KPF6を室温で3000ccのCH3CNに溶解し た。 溶液B:127gのLiClを室温で400ccのCH3CNに加えた。 溶液Aを室温で溶液Bに加えた。アンモニアを次に24時間かけて混合物中に スパージした。溶液を濾過してKClを除いた。溶液をプロピレンカーボネート と混合し、アセトニトリルを蒸発により除いた。生成物は、0.1%のKClを 含んだ。 比較例 A 実施例1を、アンモニアのスパージなしに繰り返した。反応は生じなかった。 実施例 2 混合溶媒中のLiPF6 実施例1を繰り返した。CH3CNの蒸発除去後、第二の溶媒をLiPF6/P C溶液に加えた。第二の溶媒は、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート 、エチレンカーボネートであった。 実施例 3 LiBrを使用するPC中のLiPF6 LiClの代わりにLiBrを置き換えて実施例1を繰り返した。結果は、3 %のKBrを含む生成物であった。 実施例 4 PC中のLiPF6 LiClの代わりにLiBrを置き換え、そしてアンモニアのスパージなしで 、実施例1を繰り返した。得られる生成物は、酸触媒分解により着色した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG ,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN, TD,TG),AT,AU,BB,BG,BR,BY, CA,CH,CN,CZ,DE,DK,ES,FI,G B,GE,HU,JP,KG,KP,KR,KZ,LK ,LU,LV,MD,MG,MN,MW,NL,NO, NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SK,T J,TT,UA,UZ,VN (72)発明者 バーネット,レベッカ エイ アメリカ合衆国ノース カロライナ州 28650 メイデン ボックス 148エイ ル ート 3

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.無水のアンモニア、メチルアミン又はエチルアミンから選ばれる化合物によ り連続的に飽和している反応帯内で低沸点非プロトン性有機溶媒中でナトリウム 、カリウム、アンモニウム又はテトラアルキルアンモニウムヘキサフルオロホス フェートから選ばれる塩とリチウム塩とを塩基性条件下で反応させて、リチウム ヘキサフルオロホスフェート並びに反応物リチウム塩の陰イオンを含む沈殿した ナトリウム、カリウム、アンモニウム又は有機アンモニウム塩の溶液を生成する ことを特徴とするリチウムヘキサフルオロホスフェートの溶液を製造する方法。 2.有機溶媒が、アセトニトリル、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネー ト、ジメトキシエタン及び塩化メチレンから選ばれることを特徴とする請求項1 の方法。 3,反応物リチウム塩が、塩化リチウム、臭化リチウム、過塩素酸リチウム、硝 酸リチウム、酢酸リチウム、リチウムテトラフルオロボレート又は安息香酸リチ ウムから選ばれることを特徴とする請求項1の方法。 4.反応物有機ヘキサフルオロホスフェート塩が、式R4NPF6(式中、Rは1 −8個の炭素原子のアルキル基から選ばれる)のテトラアルキルアンモニウムヘ キサフルオロホスフェートであることを特徴とする請求項1の方法。 5.塩基性条件が、有効量のアミンの添加、又は無水のアンモニアによる反応溶 液の飽和から選ばれる手段により達成されることを特徴とする請求項1の方法。 6.初めの生成物溶液を濾過することにより溶液からリチウムヘキサフルオロホ スフェートを回収し、エチレンカーボネート又はプロピレンカーボネートから選 ばれる高沸点溶媒をリチウムヘキサフルオロホスフェートの最初の生成物溶液に 加え、そして真空下加熱することにより最初の低沸点溶媒及びアンモニア又はア ミンを除くことをさらに特徴とする請求項1の方法。 7.溶液を無水アンモニアにより飽和させることにより溶液を塩基性に維持しつ つ、塩基性条件下カリウムヘキサフルオロホスフェート塩と塩化リチウムとをア セトニトリル中で反応させて、リチウムヘキサフルオロホスフェート及び沈殿し た塩化カリウムの溶液を生成させることを特徴とするリチウムヘキサフルオロホ スフェートの溶液の製造法。 8.最初の生成物溶液を濾過することにより溶液からリチウムヘキサフルオロホ スフェートを回収し、エチレンカーボネート又はプロピレンカーボネートから選 ばれる高沸点溶媒をリチウムヘキサフルオロホスフェートの最初の生成物溶液に 加え、そして真空下加熱することにより最初の低沸点溶媒及びアンモニア又はア ミンを除くことをさらに特徴とする請求項7の方法。
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