JP2019172574A - リチウム塩錯化合物の製造方法 - Google Patents

リチウム塩錯化合物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ヘキサフルオロリン酸リチウムとジフルオロリン酸リチウムと1,3−ジオキソラン−2−オンとからなるリチウム塩錯化合物を製造できる、リチウム塩錯化合物の製造方法を提供すること。【解決手段】ヘキサフルオロリン酸リチウムとジフルオロリン酸リチウムと1,3−ジオキソラン−2−オンとからなるリチウム塩錯化合物の製造方法であって、ヘキサフルオロリン酸リチウムと酸化カルシウムと1,3−ジオキソラン−2−オンとを、前記1,3−ジオキソラン−2−オン以外の有機溶媒中で反応させることにより、前記リチウム塩錯化合物の溶液を得る工程を含む。【選択図】なし

Description

本開示は、リチウム塩錯化合物の製造方法に関する。
リチウム塩化合物は従来、反応試剤、合成反応触媒、各種電気化学デバイス用電解質、ドーピング剤、潤滑油の添加剤などの用途で有用に使用されてきていた。このリチウム塩化合物は熱的な安定性や水に対する安定性に乏しいものが多いことから、リチウム塩化合物を錯化可能な化合物と処理することにより安定性を向上させた錯化合物が開発されてきている。
リチウム塩錯化合物の具体的な例としては、これまでに、ヘキサフルオロヒ酸リチウムやヘキサフルオロリン酸リチウムとアセトニトリルとの錯化合物(特許文献1参照)、ハロゲン化リチウムやテトラフルオロホウ酸リチウムやヘキサフルオロリン酸リチウム等のリチウム塩とN,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン等の化合物との錯化合物(特許文献2参照)、ヘキサフルオロリン酸リチウムとクラウンエーテルとの錯化合物(特許文献3参照)、ヘキサフルオロヒ酸リチウムやヘキサフルオロリン酸リチウムと2−メチルテトラヒドロフランとの錯化合物(特許文献4参照)、ヘキサフルオロリン酸リチウムとピリジンとの錯化合物(特許文献5参照)、ヘキサフルオロリン酸リチウムとジエチルカーボネートやエチレンカーボネートとの錯化合物(特許文献6参照)、ヘキサフルオロリン酸リチウムと1,4−ジオキサンとの錯化合物(特許文献7参照)等が開示されている。
特公昭48−33733号 特公昭53−31859号 特開昭59−151779号 特公平6−16421号 特表2002−514153号 特許3555720号 特許5862015号
本開示の課題は、ヘキサフルオロリン酸リチウムとジフルオロリン酸リチウムと1,3−ジオキソラン−2−オンとからなるリチウム塩錯化合物を製造できる、リチウム塩錯化合物の製造方法を提供することである。
上記課題を解決するための手段には、以下の態様が含まれる。
<1> ヘキサフルオロリン酸リチウムとジフルオロリン酸リチウムと1,3−ジオキソラン−2−オンとからなるリチウム塩錯化合物の製造方法であって、
ヘキサフルオロリン酸リチウムと酸化カルシウムと1,3−ジオキソラン−2−オンとを、前記1,3−ジオキソラン−2−オン以外の有機溶媒中で反応させることにより、前記リチウム塩錯化合物の溶液を得る工程を含むリチウム塩錯化合物の製造方法。
<2> 前記ヘキサフルオロリン酸リチウムと前記酸化カルシウムとの反応における反応温度が、20℃以上である<1>に記載のリチウム塩錯化合物の製造方法。
<3> 前記リチウム塩錯化合物の溶液を得る工程は、
ヘキサフルオロリン酸リチウムと酸化カルシウムとを、有機溶媒中で反応させることにより、前記リチウム塩錯化合物の溶液と固体析出物との混合物を得る工程と、
前記混合物から前記固体析出物を除去する工程と、
を含む<1>又は<2>に記載のリチウム塩錯化合物の製造方法。
<4> 更に、前記リチウム塩錯化合物の溶液から前記リチウム塩錯化合物を取り出す工程を含む<1>〜<3>のいずれか1つに記載のリチウム塩錯化合物の製造方法。
<5> 前記有機溶媒が、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、アセトニトリル、プロピオニトリル、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、及びジエチルカーボネートからなる群から選ばれる少なくとも1種である<1>〜<4>のいずれか1つに記載のリチウム塩錯化合物の製造方法。
本開示によれば、ヘキサフルオロリン酸リチウムとジフルオロリン酸リチウムと1,3−ジオキソラン−2−オンとからなるリチウム塩錯化合物を製造できる、リチウム塩錯化合物の製造方法が提供される。
本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
本明細書において、「工程」との用語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
〔リチウム塩錯化合物の製造方法〕
本開示のリチウム塩錯化合物の製造方法(以下、「本開示の製造方法」ともいう。)について説明する。
本開示の製造方法は、ヘキサフルオロリン酸リチウムとジフルオロリン酸リチウムと1,3−ジオキソラン−2−オンとからなるリチウム塩錯化合物(構造は、以下に示す錯化合物A)の製造方法であって、ヘキサフルオロリン酸リチウムと酸化カルシウムと1,3−ジオキソラン−2−オンとを、1,3−ジオキソラン−2−オン以外の有機溶媒(以下、「有機溶媒A」ともいう。)中で反応させることにより、上記リチウム塩錯化合物(以下、「錯化合物A」ともいう。)の溶液を得る工程(以下、「溶液製造工程」ともいう。)を含む。
本開示の製造方法は、ヘキサフルオロリン酸リチウムとジフルオロリン酸リチウムと1,3−ジオキソラン−2−オンとからなるリチウム塩錯化合物(錯化合物A)の原料として、この錯化合物Aを構成するジフルオロリン酸リチウム自体を用いるのではなく、ヘキサフルオロリン酸リチウムと酸化カルシウムと1,3−ジオキソラン−2−オンとを用いる製造方法である。
本開示の製造方法における溶液製造工程では、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)と酸化カルシウム(CaO)と1,3−ジオキソラン−2−オンとを、有機溶媒A中で反応させることにより、リチウム塩錯化合物(錯化合物A)の溶液を得る。
溶液製造工程における反応の反応スキームは、以下のとおりと考えられる。

上述のとおり、溶液製造工程における反応により、
ジフルオロリン酸リチウム(LiPO)の生成、
生成されたジフルオロリン酸リチウム(LiPO)による錯化合物Aの形成、及び形成された錯化合物Aの有機溶媒A中への溶解が起こる。
溶液製造工程における反応では、このようにして錯化合物Aの溶液が生成される。
また、錯化合物Aの溶液にはフッ化カルシウム(CaF)が生成しており、生成されたフッ化カルシウム(CaF)は、上記反応後の反応液(即ち、錯化合物Aの溶液)から析出除去される。
本開示の製造方法は、上述したとおり、ジフルオロリン酸リチウムを形成させながら、ヘキサフルオロリン酸リチウムとジフルオロリン酸リチウムと1,3−ジオキソラン−2−オンとからなるリチウム塩錯化合物(錯化合物A)を製造できる。
上述の反応スキームでは、錯化合物AにおけるLiPOに対するLiPFのモル比〔LiPF/LiPO〕の表記を省略している。
錯化合物Aにおけるモル比〔LiPF/LiPO〕は、有機溶媒A中での安定性及び有機溶媒Aへの溶解性の観点から、好ましくは1/5〜5/1であり、より好ましくは1/3〜3/1であり、さらに好ましくは1/2〜2/1である。
溶液製造工程において、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)の使用量は、酸化カルシウム(CaO)の使用量に対し、好ましくは60モル%〜300モル%であり、より好ましくは67モル%〜200モル%であり、更に好ましくは75モル%〜150モル%であり、理想的には100モル%である。
溶液製造工程における、ヘキサフルオロリン酸リチウムと酸化カルシウムと1,3−ジオキソラン−2−オンとの反応は、有機溶媒Aの存在下で行う。
上記反応を有機溶媒Aの存在下で行う具体的な態様としては特に限定はない。
具体的な態様としては、例えば、
ヘキサフルオロリン酸リチウムを有機溶媒Aに溶解させた溶液に対し酸化カルシウムを添加する態様(以下、「態様1」とする);
酸化カルシウムの粉体を有機溶媒Aに分散させた分散液(例えばスラリー)に対し、ヘキサフルオロリン酸リチウムを添加する態様(以下、「態様2」とする);
等が挙げられる。
ここで、態様1では、1,3−ジオキソラン−2−オンを、ヘキサフルオロリン酸リチウムを有機溶媒Aに溶解させた溶液側、及び酸化カルシウム側の少なくとも一方に含有させる。
また、態様2では、1,3−ジオキソラン−2−オンを、酸化カルシウムの粉体を有機溶媒Aに分散させた分散液側、及びヘキサフルオロリン酸リチウム側の少なくとも一方に含有させる。
本開示の製造方法における1,3−ジオキソラン−2−オン以外の有機溶媒(「有機溶媒A」)の種類には特に限定はない。
本開示の製造方法における有機溶媒Aとしては、1種の化合物からなる単独溶媒を用いてもよいし、2種以上の化合物からなる混合溶媒を用いてもよい。
本開示の製造方法における有機溶媒Aとしては、リチウム塩錯化合物をより安定的に、かつ、より高濃度で溶解させる観点から、
アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、アセトニトリル、プロピオニトリル、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、及びジエチルカーボネートからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
本開示の製造方法における有機溶媒Aは、リチウム塩錯化合物をより安定的に、かつ、より高濃度で溶解させる観点から、
酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、及びジエチルカーボネートからなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことがより好ましく、
ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、及びジエチルカーボネートからなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが更に好ましい。
本開示の製造方法における有機溶媒Aが、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、及びジエチルカーボネートからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む場合、有機溶媒の全量中に占める、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、及びジエチルカーボネートの合計の比率は、好ましくは60質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上である。
溶液製造工程における有機溶媒Aの使用量は、有機溶媒A、ヘキサフルオロリン酸リチウム、及び酸化カルシウムの総使用量に対し、好ましくは50質量%〜97質量%であり、より好ましくは65質量%〜95質量%であり、更に好ましくは75質量%〜93質量%である。
有機溶媒の使用量が50質量%以上である場合には、製造される溶液中に錯化合物Aを、より安定的に溶解させることができる。
有機溶媒の使用量が97質量%以下である場合には、原料の量がある程度多く確保され、その結果、生成される錯化合物Aの量も確保しやすいので、実用性の面で有利である。
製造される溶液中における錯化合物Aの濃度は、好ましくは3質量%〜50質量%であり、より好ましくは5質量%〜35質量%であり、更に好ましくは7質量%〜25質量%である。
錯化合物Aの濃度が3質量%以上であると、各種の用途(用途の具体例は後述する)への実用性に優れる。
錯化合物Aの濃度が50質量%以下であると、錯化合物Aの溶液の保存安定性に優れる。
上記反応は、常圧下又は減圧下で行うことができる。
上記反応は、ジフルオロリン酸リチウムの生成を阻害する成分(例えば水分)の混入を防ぐ観点から、不活性雰囲気下(例えば、窒素雰囲気下、アルゴン雰囲気下、等)で行うことが好ましい。
上記反応における反応温度は、20℃以上であることが好ましく、20℃〜150℃であることが好ましく、20℃〜120℃であることがより好ましく、20℃〜100℃であることがさらに好ましい。
反応温度が20℃以上であると、錯化合物Aの生成が促進されやすい。
反応温度が150℃以下であると、生成した錯化合物Aの分解がより抑制され、生成率が向上しやすい。
上記反応における反応時間は、上記反応を効率よく進行させる観点から、30分〜12時間であることが好ましく、1時間〜8時間であることがより好ましい。
溶液製造工程における反応は、錯化合物Aの溶液のみを得る反応であってもよいし、錯化合物Aの溶液と固体析出物との混合物(例えばスラリー)を得る反応であってもよい。
溶液製造工程における反応が錯化合物Aの溶液のみを得る反応である場合、得られた錯化合物Aの溶液は、各種用途(用途の具体例は後述する)にそのまま用いてもよい。
また、溶液製造工程における反応が錯化合物Aの溶液のみを得る反応である場合、錯化合物Aの溶液から、加熱濃縮等により有機溶媒を除去して錯化合物Aを取り出し、取り出した錯化合物Aを、各種用途に用いてもよい。
溶液製造工程が、錯化合物Aの溶液と固体析出物との混合物を得る反応である場合、混合物から、濾過、遠心分離、沈降分離、等により、混合物から固体析出物を除去して得られた錯化合物Aの溶液を、各種の用途に用いることができる。
即ち、溶液製造工程は、ヘキサフルオロリン酸リチウムと酸化カルシウムと1,3−ジオキソラン−2−オンとを、有機溶媒A中で反応させることにより、錯化合物Aの溶液と固体析出物との混合物を得る工程と、混合物から固体析出物を除去する工程と、を含んでもよい。
固体析出物としては、例えば、フッ化カルシウムが挙げられる。
本開示の製造方法は、溶液製造工程以外のその他の工程を含んでいてもよい。
その他の工程としては、溶液製造工程で得られた錯化合物Aの溶液から、錯化合物Aを取り出す工程が挙げられる。
錯化合物Aの溶液から錯化合物Aを取り出す方法としては、加熱濃縮が好適である。
加熱濃縮における加熱温度は、40℃〜150℃であることが好ましく、40℃〜100℃であることがより好ましく、50℃〜70℃であることがさらに好ましい。
加熱温度が40℃以上であると錯化合物Aの取り出し効率に優れる。
加熱温度が150℃以下であると、錯化合物Aを安定して取り出しやすい。
加熱濃縮は、常圧下又は減圧下で行うことができる。
加熱濃縮を減圧下で行う場合の圧力は10kPa以下が好ましい。
取り出し工程において取り出された錯化合物Aの乾燥方法としては、従来公知の方法を任意に選択し実施することができる。
乾燥方法としては、例えば、棚段式乾燥機での静置乾燥法;コニカル乾燥機での流動乾燥法;ホットプレート、オーブン等の装置を用いて乾燥させる方法;ドライヤーなどの乾燥機で温風又は熱風を供給する方法;等が挙げられる。
取り出された錯化合物Aの乾燥は、常圧下又は減圧下で行うことができる。
乾燥を減圧下で行う場合の圧力は10kPa以下が好ましい。
取り出された錯化合物Aを乾燥する際の乾燥温度は、20℃〜150℃であることが好ましく、20℃〜100℃であることがより好ましく、40℃〜80℃であることが更に好ましく、50℃〜70℃であることが更に好ましい。
乾燥温度が20℃以上であると乾燥効率に優れる。
乾燥温度が150℃以下であると、錯化合物Aを安定して乾燥させやすい。
以上で説明した本開示の製造方法により得られるリチウム塩錯化合物(錯化合物A)又はその溶液は、リチウムイオン電池用添加剤、反応試剤、合成反応触媒、各種電気化学デバイス用電解質、ドーピング剤、潤滑油の添加剤などの用途で有用に使用できる。
本開示の製造方法により得られるリチウム塩錯化合物(錯化合物A)又はその溶液は、特に電池用非水電解液(好ましくはリチウム二次電池用非水電解液)に添加される添加剤として用いた場合に、電池特性の向上に寄与することが期待される。
この場合、錯化合物Aの溶液を原料の一部として用いて電池用非水電解液を調製してもよいし、錯化合物Aの溶液から取り出した錯化合物Aを原料の一部として用いて電池用非水電解液を調製してもよい。
以下、本開示の実施例を示すが、本開示は以下の実施例には限定されない。
また、以下において、室温は25℃を意味する。
次に、前述した本開示の製造方法(錯化合物Aであるリチウム塩錯化合物の製造方法の一態様)の実施例である、実施例1及び2を示す。
〔実施例1〕
撹拌装置、温度計、ガス導入ライン、及び排気ラインを備えた100mLのフラスコを乾燥窒素ガスでパージした後、ここに、酸化カルシウム2.02g(0.036mol)と1,3−ジオキソラン−2−オン9.51g(0.108mol)とジメチルカーボネート14.00gとを入れ、室温(25℃。以下同じ。)で攪拌し、スラリーを得た。ここに、ヘキサフルオロリン酸リチウム5.45g(0.036mol)をジメチルカーボネート16.35gに溶解させた溶液を、1時間かけて滴下して加えることにより、すべての原料を含む混合液を得た。この混合液を、25℃で12時間撹拌することにより反応を行い、反応液を得た。得られた反応液は、固体が析出したスラリーであった。この反応液(スラリー)を濾過することにより、濾液として、溶液A(44.28g)を得た。この溶液Aを、10kPa以下の減圧下、60℃に加温することにより、溶液Aからジメチルカーボネートを留去させ、固体を得た。得られた固体を、更に、10kPa以下の減圧下、60℃で乾燥処理することにより、固体生成物14.08gを得た。
得られた固体生成物を重ジメチルスルホキシド溶媒に溶解し、H−NMR分析及び19F−NMR分析の各々を行った。
H−NMR分析及び19F−NMR分析の各々によって得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕及び積分値(比)は、以下の通りであった。
結果を以下に示す。
H−NMR:4.5ppm。
19F−NMR:−72ppm(3F)、−74ppm(3F)、−82ppm(1F)、−85ppm(1F)。
H−NMRから、1,3−ジオキソラン−2−オンのスペクトルパターンが確認され、19F−NMRから、ジフルオロリン酸リチウム及びヘキサフルオロリン酸リチウムの各々の単独のスペクトルパターンを併せたパターンが確認された。
また、室温から600℃までの示差走査熱量(DSC)測定の結果、得られた固体生成物には、各原料化合物を単独で測定する際には認められない180℃ピークの吸熱熱解離挙動が観測された。
以上の結果から、固体生成物が、ヘキサフルオロリン酸リチウムとジフルオロリン酸リチウムと1,3−ジオキソラン−2−オンとからなる錯化合物Aであることが確認された。
〔実施例2〕
撹拌装置、温度計、ガス導入ライン、及び排気ラインを備えた100mLのフラスコを乾燥窒素ガスでパージした後、ここに、酸化カルシウム2.02g(0.036mol)と1,3−ジオキソラン−2−オン9.51g(0.108mol)とジメチルカーボネート14.00gとを入れ、90℃(88℃還流状態)に加熱しながら攪拌し、スラリーを得た。ここに、ヘキサフルオロリン酸リチウム5.45g(0.036mol)をジメチルカーボネート16.35gに溶解させた溶液を、1時間かけて滴下して加えることにより、すべての原料を含む混合液を得た。この混合液を、90℃(88℃還流状態)で1時間撹拌することにより反応を行い、反応液を得た。得られた反応液は、固体が析出したスラリーであった。この反応液(スラリー)を濾過することにより、濾液として、溶液A(44.19g)を得た。この溶液Aを、10kPa以下の減圧下、60℃に加温することにより、溶液Aからジメチルカーボネートを留去させ、固体を得た。得られた固体を、更に、10kPa以下の減圧下、60℃で乾燥処理することにより、固体生成物14.10gを得た。
得られた固体生成物を重ジメチルスルホキシド溶媒に溶解し、H−NMR分析及び19F−NMR分析の各々を行った。
H−NMR分析及び19F−NMR分析の各々によって得られたスペクトルのケミカルシフト〔ppm〕及び積分値(比)は、以下の通りであった。
結果を以下に示す。
H−NMR:4.5ppm。
19F−NMR:−72ppm(3F)、−74ppm(3F)、−82ppm(1F)、−85ppm(1F)。
H−NMRから、1,3−ジオキソラン−2−オンのスペクトルパターンが確認され、19F−NMRから、ジフルオロリン酸リチウム及びヘキサフルオロリン酸リチウムの各々の単独のスペクトルパターンを併せたパターンが確認された。
また、室温から600℃までの示差走査熱量(DSC)測定の結果、得られた固体生成物には、各原料化合物を単独で測定する際には認められない180℃ピークの吸熱熱解離挙動が観測された。
以上の結果から、固体生成物が、ヘキサフルオロリン酸リチウムとジフルオロリン酸リチウムと1,3−ジオキソラン−2−オンとからなる錯化合物Aであることが確認された。

Claims (5)

  1. ヘキサフルオロリン酸リチウムとジフルオロリン酸リチウムと1,3−ジオキソラン−2−オンとからなるリチウム塩錯化合物の製造方法であって、
    ヘキサフルオロリン酸リチウムと酸化カルシウムと1,3−ジオキソラン−2−オンとを、前記1,3−ジオキソラン−2−オン以外の有機溶媒中で反応させることにより、前記リチウム塩錯化合物の溶液を得る工程を含むリチウム塩錯化合物の製造方法。
  2. 前記ヘキサフルオロリン酸リチウムと前記酸化カルシウムと前記1,3−ジオキソラン−2−オンとの反応における反応温度が、20℃以上である請求項1に記載のリチウム塩錯化合物の製造方法。
  3. 前記リチウム塩錯化合物の溶液を得る工程は、
    前記ヘキサフルオロリン酸リチウムと前記酸化カルシウムと前記1,3−ジオキソラン−2−オンとを、前記1,3−ジオキソラン−2−オン以外の有機溶媒中で反応させることにより、前記リチウム塩錯化合物の溶液と固体析出物との混合物を得る工程と、
    前記混合物から前記固体析出物を除去する工程と、
    を含む請求項1又は請求項2に記載のリチウム塩錯化合物の製造方法。
  4. 更に、前記リチウム塩錯化合物の溶液から前記リチウム塩錯化合物を取り出す工程を含む請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のリチウム塩錯化合物の製造方法。
  5. 前記1,3−ジオキソラン−2−オン以外の有機溶媒が、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、アセトニトリル、プロピオニトリル、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、及びジエチルカーボネートからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のリチウム塩錯化合物の製造方法。
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