JP2009544486A - リソグラフ印刷プレート基板用のストリップ - Google Patents

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Abstract

本発明は、リソグラフ印刷プレート用支持体を製造するためのストリップに関するものであって、前記ストリップは、アルミニウム又はアルミニウム合金からなり、そして、前記ストリップの少なくともいくつかのセクションは、熱間及び/又は冷間圧延パスの結果として、ミクロ結晶表面層を有する。本発明は、リソグラフ印刷プレート支持体を製造するために使用されるストリップ表面の特性決定方法にも関する。本発明の目的は、リソグラフ印刷プレート支持体の製造間でのより高い製造速度を可能にする、改良されたミクロ結晶表面層を有するリソグラフ印刷プレート支持体を製造するためのストリップを提供することである。前記目的を達成するために、ストリップのミクロ結晶表面の表面領域のマッピング法により実施される二次元マイクロプローブ解析において、酸素のX線発光スペクトルのKα1線の特定領域での3を越える強度比I/Ibulk(avg)を有する、測定されたミクロ結晶表面層中の表面部分は、10%未満であり、好ましくは、7%未満である。本発明によると、電子ビーム用の増分16.75μmと共に、励起電圧15kV、ビーム電流50nA、及び、ビーム断面1μmを使用する。

Description

発明の詳細な説明
本発明は、リソグラフ印刷プレート(lithografische Druckplatten)基板の製造用の、アルミニウム又はアルミニウム合金からなるストリップであって、熱間及び/又は冷間圧延パスの結果、少なくともある程度までミクロ結晶表面層(mikrokristalline Oberflaechenschicht)を有する前記ストリップに関する。更に、本発明は、リソグラフ印刷プレート基板の製造用ストリップの表面の特性決定(Charakterisierung)方法に関する。
リソグラフ印刷プレートのための基板の製造用のストリップは、適当なアルミニウム合金を鋳造した後に圧延することによって製造される。前記ストリップは、通常、冷間圧延前にビレットを熱間圧延することによって製造される。ストリップが製造された後に、それを脱脂してコイルへ巻き取る。前記コイルは、リソグラフ印刷プレート用基板の製造業者によって、予備処理を施され、そして次に、電気化学的手段によって粗面処理(aufrauen)される。現在のところ、圧延により取り込まれる、アルミニウムストリップのミクロ結晶表面層は、予備処理によってかなりの程度まで除去されてしまうため、ミクロ結晶表面層はその後の電気化学粗面処理工程でもはや何の役割も果たさない。現在のところ重要になってきているアルミニウムストリップのミクロ結晶表面層に基づく、先行する洗浄での及び電気化学粗面処理間での製造速度の増加及びエッチング深さの減少に伴って、不十分な粗面処理結果による製造欠陥がより頻繁に生じる。
この前提を発端として、本発明の目的は、リソグラフ印刷プレート基板の製造用のストリップを提供することであって、前記ストリップは、リソグラフ印刷プレート基板の製造間でのより高い製造速度を可能にするような、改良されたミクロ結晶表面層を有する。本発明の更なる目的は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなるストリップの、ミクロ結晶表面構造の表面品質の特性決定方法を提案する。
本発明の第1の教示によると、前記目的は、
ストリップのミクロ結晶表面の表面領域のマッピング法(Mapping-Verfahren)による二次元マイクロプローブ解析において、測定されたミクロ結晶表面層の酸素のX線発光スペクトルのKα1線のスペクトル領域で、3を越える強度比(Intensitaetsverhaeltnis)I/Ibulk(avg)を有する表面部分が、10%未満、好ましくは7%未満であることによって達成され、
ここで、前記二次元マイクロプローブ解析の間で、電子ビーム用のステップサイズ(Schrittweite)16.75μmのために、励起電圧15kV、ビーム電流50nA、及びビーム断面1μmを使用することとする。
驚くべきことに、ミクロ結晶表面層中における酸化物粒子の特定の比率及び粒径を有する、リソグラフ印刷プレートのための基板の製造用のストリップは、リソグラフ印刷プレート基板用の次の製造工程で非常に良好な粗面処理特性を達成することができ、そして、製造速度全体を増加できることが分かった。通常、電気化学粗面処理工程に問題を生じさせる酸化物粒子が、本発明によるストリップのミクロ結晶表面層中には、極めて少ない数及び小さい粒径で存在するので、その結果、ミクロ結晶表面層を非常に良好に粗面処理することができ、従って、製造速度が高いために電気化学粗面処理工程中で材料の少量が除去される場合であっても、非常に良好な粗面処理結果を達成することができる。二次元マイクロプローブ解析では、ステップサイズ16.75μmと共に、励起電圧15kVと、ビーム電流50nAと、ビーム断面1μmとを有する電子ビームの手段によって、ストリップの表面部分を解析する。ストリップ表面上に衝突(auftreffen)する電子は、X線制御放射及び特性X線発光スペクトルをつくり、それらの波長が、サンプル中に存在する要素を同定し、そして、これらの強度が、測定されるべき表面上に衝突する電子ビーム断面の測定域における相当する要素の濃度又は比率についての情報を提供する。最も高い強度は、X線発光スペクトルのKα1線により示される。励起電圧15kVによって、電子の侵入深さは1〜2μmまでに限定されるので、表面近くのストリップの層のみが励起されて、特性X線発光スペクトルを発光する。特に、電子の侵入深さは、ビレットの熱間圧延から製造されるミクロ結晶表面層の厚さのための、文献から公知の値と一致し、冷間圧延後に、前記値は、最終ストリップ厚0.15〜0.5mmでは通常1〜2μmに達する(これに関連して、以下を参照:Lindseth I., “Optical total reflectance, near surface microstructure, and topography of rolled aluminium materials”, PhD thesis, NTNO, Trontheim, Norway, 1999)。酸素のX線発光スペクトルのKα1線は、相当する測定点でのミクロ結晶表面層における酸化化合物(oxidische Verbindungen)の酸素含有量を示す。ミクロ結晶表面層の測定されたマイクロプローブ信号と、ストリップの(バルク材料上で除去される)表面層の平均表面信号とから比率を形成することによって、測定されたアルミニウム表面上の比較的薄いアルミニウム酸化物膜の実質的に同じ量(これは、特性酸素スペクトルの強度にも貢献する)が、平均化される(herausmitteln)。その結果、ストリップのミクロ結晶表面層に衝突する電子ビームの領域中に取り込まれる(eingewalzt)酸化物粒子によって、比I/Ibulk(avg)は実質的に酸素原子の比率を表すための尺度である。従って、マイクロプローブ信号の強度は、酸化物粒子の粒径のための尺度として使用されることができる。電子の侵入深さが約1〜2μmであるため、特に、圧延作業によって表面下に取り込まれる酸化物粒子(電気化学粗面処理工程に対して問題を生じさせると同定されてきた)も検出される。従って、I/Ibulk(avg)>3である表面部分が10%未満まで、好ましくは7%未満まで限定されるため、リソグラフ印刷プレート基板の製造のための本発明のストリップは、比較的小さい酸化物粒子の分布を有している。その結果、本発明によるストリップは非常に優れた粗面処理特性を有している。
ストリップ厚は0.15〜0.5mmが好ましく、そして、ストリップのミクロ結晶表面層の厚さは約0.5〜2.5μmが好ましい。
ストリップの表面部分のマッピング法による二次元マイクロプローブ解析の際に、測定されたミクロ結晶表面の酸素のX線発光スペクトルのKα1線のスペクトル領域で、4を越える強度比I/Ibulk(avg)を有する表面部分が、3%未満、好ましくは2%未満であることにおいて、リソグラフ印刷プレート基板用のストリップの電気化学粗面処理工程用の加工速度の更なる増加を、本発明のストリップにより保証することができる。この場合、本発明のストリップのミクロ結晶表面層は、電気化学粗面処理又はそれに先立つ予備処理に問題を生じさせることのできる少量の大きな酸化物粒子をも有する。
ストリップは、タイプAA1050、AA1100、又はAA3103のアルミニウム合金からなることが好ましい。これらのアルミニウム合金は、リソグラフ印刷プレート基板の製造でのそれらの安定性のために、既に広く使用されている。
リソグラフ印刷プレート基板の製造用の強度及び粗面処理能力について更に改良されるストリップは、
アルミニウムストリップが、合金成分の以下の比率(重量%で表示):
0.05% ≦ Si ≦ 0.1 %,
0.4 % ≦ Fe ≦ 1 %,
Cu ≦ 0.04%,
Mn ≦ 0.3 %,
0.05% ≦ Mg ≦ 0.3 %,
Ti ≦ 0.04%,
それぞれ最大0.005%であって、合計で最大0.15%の不可避の不純物、及び
残余Al
を有するアルミニウム合金からなることにおいて、提供することができる。
本発明の第二の教示によると、前記目的は、ストリップ(特に、リソグラフ印刷プレート基板の製造用のストリップ)の表面の特性決定方法であって、
ミクロ結晶表面層の二次元マイクロプローブ解析をマッピング法に従って実施して、そして、酸素のX線発光スペクトルのKα1線のスペクトル領域で測定された強度分布を使用して、ストリップ表面の品質を評価する、前記方法により達成される。
前述したとおり、二次元マイクロプローブ解析は、ミクロ結晶表面層を試験してその組成を確認する可能性、特に、酸素のX線発光スペクトルのKα1線の強度分布の二次元評価による、ミクロ結晶表面層中の酸化物粒子の分布を決定する可能性を提供する。マッピング法による表面の二次元マイクロプローブ解析が既に公知であることは、事実である。しかしながら、酸素のX線発光スペクトルのKα1線のスペクトル領域における強度分布を使用する、アルミニウム又はアルミニウム合金のストリップ表面の(リソグラフ印刷プレート基板の製造のためのその安定性に関する)品質評価は、現在のところ実施されていない。前述したとおり、特に、次の電気化学粗面処理工程におけるストリップの安定性を、本発明による特性決定方法によって確実に調査することができる。
本発明の方法の第1の実施態様によると、強度比I/Ibulk(avg)のための特定値を有する表面部分を、表面層の測定された強度分布から決定するという試験結果において、ミクロ結晶表面層上に対するアルミニウム酸化物膜の影響を減少させることができる。更に、ミクロ結晶表面層中の酸化物粒子の粒径の指標は、強度比I/Ibulk(avg)によって提供され、そして、酸化物粒子の比率の指標は、強度比I/Ibulk(avg)のための特定値を有する表面部分により提供される。従って、特定の粒径の酸化物粒子を有するミクロ結晶表面層のサイズと表面占有とのための組み合わされた指標は、前記の強度比から得られる。先行するエッチング工程がミクロ結晶表面層を完全に除去しないか、又は、バルク材料(Bulk-Material)からなる表面を粗面処理するかのそれぞれの場合、ミクロ結晶表面層中の酸化物粒子の粒径と数との組合せが、次の電気化学粗面処理工程にネガティブな効果をもたらすことができることがわかった。
励起電圧5〜20kV(好ましくは、15kV)、ビーム電流10〜100nA(好ましくは、50nA)、及びビーム断面0.2〜1.5μm(好ましくは、1μm)を電子ビーム用に使用する場合には、電子の侵入深さを限定するだけでなく、ビーム電流とビーム断面とによって、表面部分の決定における測定誤差を減少させる励起密度及びX線発光強度を達成することも可能である。
この場合、測定点あたりの測定期間0.3〜1秒(好ましくは、0.6秒)も寄与する。更に、測定点あたりの測定時間は、十分に大きなストリップ表面部分を適当な時間内に測定できることを確実にする。
最後に、6nmの格子面間隔(Netzebenenabstand)2dを有する結晶(好ましくは、LDE1H結晶)をもつ線形集束(linear fokussierend)スペクトロメーターを使用することが好ましい。線形集束スペクトロメーターにおける結晶は、通常、例えば、100mmの小さい直径のローランド円上に配置される。一方で、線形集束の利点によって、スペクトロメーターは、サンプルドットから発光されるX線発光スペクトルが、十分な強度で検知器(検知器は、X線放射用の計数管(Zaehlrohr)として構成されることが好ましい)中へ集束することを可能にする。6nmの格子面間隔2dを有する結晶は、酸素のX線発光スペクトルのKα1線がブラッグ反射によって、波長選択態様で、光学検知器の方向に高強度で回折することを確実にする。この配置によって、特に、酸化物粒子の非常に少ない量であっても、酸素のX線発光スペクトルの測定可能なKα1線をつくることが可能になる。
リソグラフ印刷プレート基板の製造のための本発明のストリップと、アルミニウム又はアルミニウム合金のストリップの特性決定のための本発明の方法とを、発展させ構成する多くの可能性が提供される。これに関して、一方で、請求項1及び請求項5に従属する請求項を参照し、他方で、図面と共に実施態様の以下の記載を参照されたい。
本発明の特性決定方法の或る実施態様による線形集束スペクトロメーターの模式図である。 ストリップの表面部分の測定結果を示す図である。
図1は、マイクロプローブ解析のスペクトロメーターの通常の構造を示しており、この場合には、JEOL JXA 8200型マイクロプローブが使用された。このマイクロプローブでは、電子ビーム1がサンプル2上で屈折する。電子は、励起電圧15kV、ビーム電流50nA、及びビーム断面1μmで、サンプル2上に向けられる。次に、励起原子の内殻(innere Schalen der angeregten Atome)における電子遷移(Elektronenuebergaenge)によって発生する特性X線発光スペクトル3が、サンプル2中でつくられる。従って、発光スペクトルの波長は各々の原子に特有である。波長分析のために、図1に示される線形集束スペクトロメーターは湾曲結晶(gebogener Kristall)4を有し、前記湾曲結晶4は、サンプル2により発光されるX線放射を、選択的な波長で、検知器5のスリット中に集束された方法で反射する。特性X線放射の取り出し角(Abnahmewinkel)αは40°である。ローランド円6(この場合、直径100mmを有する)上の結晶の位置は、酸素の特性X線スペクトルのKα1線のみがブラッグ反射により検知器中へ回折するように調節される。X線パルスの数が、測定時間0.6秒にわたって検知器中でカウントされた後に、サンプルはステップサイズ16.75μmで更に輸送され、次の測定点が測定される。
スペクトロメーターは、酸素のX線発光スペクトルのKα1線の測定に特に適合し酸素スペクトルの最大強度に適応するタイプLDE1Hの結晶を有し、前記結晶は、6nmの格子面間隔2dを有する。励起電圧15kVを伴う、サンプル2中への電子の侵入深さは、約1〜2μmである。各々のサンプルでは、端の長さ(Kantenlaenge)5.025mmを有する四角形(quadratisch)表面が測定され、そこでは、全体で900の測定点が前記四角形表面中で測定されるようにステップサイズ16.75μmを選択した。図2は、サンプルへのマッピング法による二次元マイクロプローブ解析の測定結果を示し、ここでは、一方で、端の長さ16.75μmを有する四角形表面が、他方で、測定された強度比I/Ibulk(avg)が、各々の測定点と関連している。図2は、測定されたサンプル表面の測定された強度値(明度に変換される)を示し、この値は、圧延の方向における微視的な斑(mikroskopische Streifigkeit)試験された圧延ストリップ表面にとって典型的である)を表す。この斑は、圧延工程間で、圧延方向に取り込まれた表面粒子の分布に起因する。次に、相当するマッピングは、特定の強度比I/Ibulk(avg)を有するそれらの表面占有について評価された。
合計で8つのストリップサンプルが試験された(ここで、各々のストリップサンプルはAA1050タイプのアルミニウム合金からなる)。ミクロ結晶表面層中の酸化物粒子の粒径及び比率を決定するための試験設定は、前述したとおりに選択された。測定された強度信号(Intensitaetssignal)におけるミクロ結晶表面層の影響を決定するために、同一の合金からなる追加の9番目のサンプル上で、エッチング工程での2μmを超えるストリッピング(Abtragen)によってミクロ結晶表面層を除去し、サンプルを約1週間保存して通常のアルミニウム酸化物層を形成させて、二次元マイクロプローブ解析も実施し、そして、バルク材料用の平均強度信号Ibulk(avg)を決定した。前記励起及び検知条件の下で、平均強度信号として、0.6秒中に125パルスが測定された。サンプル上で測定される酸素のX線発光スペクトルのKα1線の強度値は、バルク材料の平均強度値によって分けられ、そして、相当するマッピングにおいて、端の長さ16.75μmを有する四角形の測定表面へ割り当てられた。測定された表面全体における表面面積に、5.025mm×5.025mmの寸法を加算した。ここで、前記表面面積は、3よりも大きい(又は、それぞれ4よりも大きい)強度比I/Ibulk(avg)を有している。サンプル番号1〜9において測定され、3よりも大きい(又は、それぞれ4よりも大きい)強度比I/Ibulk(avg)を有する表面部分を、サンプル上で測定される平均強度値Iavgと共に、表1中に示す。
Figure 2009544486
サンプル1〜9又はそれぞれの相当するストリップを、次に、電気化学粗面処理工程に施して、そして、それらの電気化学粗面処理間での態様を評価した。
製造されるサンプル1、2及び3では、電気化学粗面処理間で欠陥を生じ、そして、前記電気化学粗面処理間での加工速度での増加が生じなかったことがわかった。サンプル1及び2が、電気化学粗面処理に関して非常に不良(−−)であるとして評価され、その結果として、均一な粗面処理が電荷担体の非常に高い導入と共にだけ達成されるのに対して、サンプル3では、粗面処理性が改良した。しかしながら、サンプル3は、十分な粗面処理性を示さなかった。測定される前で、全てのサンプルに従来の脱脂工程を施した。
表面上のより少ない酸化不純物と、従って、十分な粗面処理特性とが、サンプル4によって示された。そこでは、3よりも大きい(又は、それぞれ4よりも大きい)強度比I/Ibulk(avg)を有する表面部分の、それぞれ9.1%、3.1%が決定された。更なるサンプル5〜8も、十分な(○)、良好な(+)、又は非常に良好な(++)粗面処理特性を示した。全体として、特定の強度比I/Ibulk(avg)を有するマイクロプローブマッピングにおいて測定される領域の表面部分と、ストリップのミクロ結晶表面の粗面処理特性との、明確な相関関係が明らかになる。
強度比I/Ibulk(avg)が、ミクロ結晶表面層中の酸化物粒子の粒径のための指標に相当し、そして、それらの表面部分が、特定の粒径からの酸化物粒子の発生に相当するという試験結果が評価された。より大きな酸化物粒子による表面占有が非常に低い場所では、アルミニウムストリップのミクロ結晶表面層の粗面処理特性がかなり改良する。
酸化物粒子が強度比I/Ibulk(avg)の測定された分布に対する主な寄与を構成するという事実は、サンプル5によって実証されることができた。サンプル5は、その前に試験されたサンプル2に相当し、前記サンプル2は、取り込まれた粒子上で選択的に作用する表面エッチング処理も施された。サンプル5の表面は、80℃の10%HPO溶液で約10秒間エッチングされた。リン酸はほとんどアルミニウムマトリックスを腐食させず、そして、酸化物粒子を選択的に除去するだけなので、4を超える強度比I/Ibulk(avg)を有する表面部分は、23.9%から6.0%までに減少されることができた。4を超える強度比I/Ibulk(avg)を有する、マイクロプローブ測定における表面部分は、リン酸エッチング液を使用することによって、6.8%から2.0%までに減少させることができた。同時に、それによって、電気化学粗面処理についての特性を不良から十分なものへ改良することができた。
比較のために、表1は、バルクサンプル9の測定値を示す。ミクロ結晶表面層を除去することによって、バルクサンプル9の表面上に任意の大きな酸化物含有物(oxidische Einschluesse)を検出することが不可能である。I/Ibulk(avg)の表面部分の測定値は、全てゼロであり、粗面処理性は非常に良好であった。酸素の特性X線発光スペクトルの強度(まだ測定中であった)は、表面上で天然アルミニウム酸化物層(natuerliche Aluminiumoxidschicht)が形成されることに起因する。マイクロプローブ測定の測定結果に対するアルミニウム酸化物層の影響の修正を、実施に関して可能な限り達成するために、ミクロ結晶表面層の除去後にサンプル9を、十分に厚いアルミニウム酸化物層が形成できるように、約1週間保管した。本発明の実施態様で選択される測定時間0.6秒では、125パルスの平均強度信号I/Ibulk(avg)が、サンプル表面にわたって測定された。
本発明によるサンプル4〜8の改良された電気化学粗面処理特性は、サンプルの表面の電気化学粗面処理間で、完全な粗面処理のための減少された電荷担体導入(Ladungstraegereintrag)中で特に明らかである。この点において、電気化学粗面処理又はリソグラフ印刷プレート基板製造のそれぞれでの、より高い処理速度を可能にするストリップを、リソグラフ印刷プレート基板のために提供することができる。

Claims (9)

  1. リソグラフ印刷プレート基板の製造用の、アルミニウム又はアルミニウム合金からなるストリップであって、
    ここで、前記ストリップは、熱間及び/又は冷間圧延パスの結果、少なくともある程度までミクロ結晶表面層を有しているものとし、
    前記ストリップにおいて、
    前記ストリップのミクロ結晶表面の表面領域のマッピング法による二次元マイクロプローブ解析において、測定されたミクロ結晶表面層の酸素のX線発光スペクトルのKα1線のスペクトル領域で、3を越える強度比I/Ibulk(avg)を有する表面部分が、10%未満、好ましくは7%未満であることを特徴とし、
    ここで、前記二次元マイクロプローブ解析の間に、電子ビーム用のステップサイズ16.75μmのために、励起電圧15kV、ビーム電流50nA、及びビーム断面1μmを使用することとする、
    前記ストリップ。
  2. ストリップの表面部分のマッピング法による二次元マイクロプローブ解析において、測定されたミクロ結晶表面層の酸素のX線発光スペクトルのKα1線のスペクトル領域で、4を越える強度比I/Ibulk(avg)を有する表面部分が、3%未満、好ましくは2%未満であることを特徴とする、請求項1に記載のストリップ。
  3. タイプAA1050、AA1100、又はAA3103のアルミニウム合金からなることを特徴とする、請求項1又は2に記載のストリップ。
  4. アルミニウムストリップが、合金成分の以下の割合(重量%で表示):
    0.05% ≦ Si ≦ 0.1 %,
    0.4 % ≦ Fe ≦ 1 %,
    Cu ≦ 0.04%,
    Mn ≦ 0.3 %,
    0.05% ≦ Mg ≦ 0.3 %,
    Ti ≦ 0.04%,
    それぞれ最大0.005%であって、合計で最大0.15%の不可避の不純物、及び
    残余Al
    を有するアルミニウム合金からなることを特徴とする、請求項1又は2に記載のストリップ。
  5. ミクロ結晶表面層の二次元マイクロプローブ解析をマッピング法に従って実施し、そして、酸素のX線発光スペクトルのKα1線のスペクトル領域で測定された強度分布を使用して、ストリップ表面の品質を評価することを特徴とする、アルミニウム又はアルミニウム合金のストリップ(特に、請求項1〜4に記載のストリップ)の表面の特性決定方法。
  6. 強度比I/Ibulk(avg)のための特定値を有する表面部分を、表面層の測定された強度分布から決定することを特徴とする、請求項5に記載の方法。
  7. 電子ビームの、励起電圧5〜20kV(好ましくは、15kV)、ビーム電流10〜100nA(好ましくは、50nA)、及び、ビーム断面0.2〜1.5μm(好ましくは、1μm)を使用することを特徴とする、請求項5又は6に記載の方法。
  8. 測定点あたりの測定期間0.3〜1秒、好ましくは、0.6秒を選択することを特徴とする、請求項5〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 6nmの格子面間隔2dを有する結晶(好ましくは、LDE1H結晶)をもつ線形集束スペクトロメーターを使用することを特徴とする、請求項5〜8のいずれか一項に記載の方法。
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