JP2001322362A - 平版印刷版用支持体 - Google Patents

平版印刷版用支持体

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JP2001322362A
JP2001322362A JP2000171595A JP2000171595A JP2001322362A JP 2001322362 A JP2001322362 A JP 2001322362A JP 2000171595 A JP2000171595 A JP 2000171595A JP 2000171595 A JP2000171595 A JP 2000171595A JP 2001322362 A JP2001322362 A JP 2001322362A
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aluminum
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treatment
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aqueous solution
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JP2000171595A
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Masaya Matsuki
昌也 松木
Yoshinori Hotta
吉則 堀田
Hirokazu Sawada
宏和 澤田
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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  • Printing Plates And Materials Therefor (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 印刷条件によらず、非画像部に汚れが発生し
ない印刷性能に優れた平版印刷版用支持体を提供する。 【解決手段】 アルミニウム(合金)材の表面を粗面化
処理し、陽極酸化処理してなる支持体であって、支持体
の表面を電子線プローブマイクロアナライザーを用い
て、以下の測定条件で観察した際の斑状分布したFeと
Siが重なる点の面積率が0.5%以下であり、好まし
くは、FeとSiが重なる点のうち、1.6×10-7
2以上の大きさを有する点の数が1mm2に800個以
下である。(測定方法)〔測定機器:電子線プローブマ
イクロアナライザー(EPMA)、測定条件 加速電
圧:20kV、測定電流:1.3×10-6A、ビーム
径:0μm、Pixel:425×425、Inter
val:0.4μm(X)×0.4μm(Y)、測定範
囲:170×170μm2

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は非画像部に汚れが発
生しない印刷性能に優れた平版印刷版用支持体に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、平版印刷版用支持体としては、A
l板、Al合金板等の片面あるいは両面に、粗面化処理
を施したものが用いられ、感光層を塗布して平版印刷版
用原版が製造される。印刷時の耐磨耗性を向上させるた
め、Al(合金)板の粗面化後の表面には陽極酸化皮膜
処理を施されることが多い。また、製版時の真空密着時
間を短くするために、感光層の表面にマット層という微
小な凹凸が設けられる事もある。
【0003】平版印刷版用原版は、画像露光、現像、水
洗などの製版処理を施して、印刷版とされる。画像露光
の方法には、画像を焼き付けたリスフィルムを密着させ
て光を当てることで画像部と非画像部の違いをつける方
法や、赤外線レーザを用いる方法や画像を投影する方法
で直接画像部もしくは非画後部を書き込むことによって
画像部と非画像部の違いをつける方法が用いられる。画
像露光後の現像処理の際、未溶解の感光層は、インク受
容体として画像部を形成し、感光層が溶解除去された部
分は、その下のアルミニウム表面もしくは陽極酸化皮膜
表面が露出し、水受容体として非画像部を形成する。現
像後必要によっては親水化処理、ガム引き、さらに必要
によってはバーニング処理等が行われることもある。こ
の平版印刷版は印刷機の円筒状の版胴に取り付けられ
て、インキと湿し水を版胴に供給する事で親油性の画像
部にはインキが付着し、親水性の非画像部には水が付着
し、画像部のインキをブランケツト胴に転写した上で、
ブランケット胴から紙に画像を印刷する。しかし、時と
して非画像部に点状あるいは円環状にインキが付着し、
結果的に紙面に点状あるいは円環状の汚れを発生させる
不具合が発生することがある。
【0004】このインキ汚れを防止するために多くの提
案がなされている。例えば、支持体に含まれるMg,M
n,Si,Ga,Ti,Cu等の合金成分の含有率を規
定する方法(特開平5−309964号、同3−177
528号等)、FeとSiの比を限定する方法(特開平
4−254545号、同7−197162号等)、Fe
の固溶量を限定する方法(特開平4−165041号
等)、単体Si量を限定する方法(特開平3−1775
29号、特開昭62−148295号等)、金属間化合
物の量や大きさや分布を限定する方法(特開平4−16
5041号、同3−234594号、同4−25454
5号、同3−177529等)、陽極酸化皮膜の特徴を
限定する方法(特開平7−197293号、同7−26
393号等)が提案されている。
【0005】しかし、非画像部の汚れの発生程度は、印
刷を行う時の条件の影響を非常に受けやすいことがわか
った。すなわち、先に述べた種々の提案によって望まし
いとされている支持体を使用しても、印刷条件によって
は、非画像部の汚れの発生を防止し得ない場合があっ
た。平版印刷版は現在、世界中で、非常に幅広く使用さ
れており、使用されるインク、雰囲気温度など、印刷条
件も様々である。従って、印刷条件の変動に依らず、非
画像部の汚れが発生しない平版印刷版用支持体が望まれ
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、印刷
条件の変動に係わらず、非画像部に汚れが発生しない印
刷性能に優れた平版印刷版用支持体を提供することであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、支持体を
構成するAl或いはAl合金の組織を検討し、先に非画
像部に点状あるいは円環状にインキが付着し、結果的に
紙面に点状あるいは円環状のインキ汚れが発生する問題
に対して、塩酸水溶液に浸漬することで表面の金属間化
合物が除去され、該インキ汚れの発生を抑えることがで
きることを見出し、特願平11−362678号として
提案を行なったが、さらに、このメカニズム解明のため
にAlサンプルの表面を電子線マイクロプローブアナラ
イザーにより測定したところ、斑状分布したFe、Si
に特徴を見出し、FeSiの重複点、また、金属間化合
物としてFeとSiを含むものとなるα−AlFeSi
の存在が、インキ汚れと相関関係があることを見出し、
本発明を完成した。
【0008】即ち、本発明の平版印刷版用アルミニウム
支持体は、アルミニウム材もしくは、アルミニウム合金
材の表面を粗面化処理し、その後、陽極酸化処理してな
る支持体であって、該支持体の表面を、電子線プローブ
マイクロアナライザーを用いて、以下の測定条件で観察
した際の斑状分布したFeとSiが重なる点の面積率が
0.5%以下であることを特徴とする。 (測定方法)〔測定機器:電子線プローブマイクロアナ
ライザー(EPMA)、 測定条件 加速電圧:20kV、測定電流:1.3×1
-6A、ビーム径:0μm、Pixel:425×42
5、Interval:0.4μm(X)×0.4μm
(Y)、測定範囲:170×170μm2。、上記条件
で測定し、斑状分布したFe、Siを特定のカウント値
(Fe:1630、Si:137)を境界値として、二
値化処理した。〕 また、前記アルミニウム材の表面を電子線プローブマイ
クロアナライザーを用いて、前記と同様の測定条件で観
察した際の斑状分布したSi単独の点の面積率が0.6
%以下であることが好ましい態様である。
【0009】さらに、本発明の請求項3に係る平版印刷
版用アルミニウム支持体は、アルミニウム材もしくは、
アルミニウム合金材の表面を粗面化処理し、その後、陽
極酸化処理してなる支持体であって、該支持体の表面
を、電子線プローブマイクロアナライザーを用いて、前
記と同様の測定条件で観察した際の斑状分布したFeと
Siが重なる点のうち、1.6×10-7mm2以上の大
きさを有する点の数が1mm2に800個以下であるこ
とを特徴とする。
【0010】本発明の平版印刷版用支持体は、陽極酸化
被膜の欠陥起点になり易い物質が除去されており、斑状
分布したFeとSiが重なる点の面積率が低く、或い
は、所定の大きさ以上の面積を有する点が少なく、陽極
酸化皮膜の欠陥の少ない良質な非画像部が得られるた
め、均一な親水性が達成され、印刷条件の変動に係わら
ず非画像部の汚れを効果的に防止することができる。こ
のような条件を満たす支持体を得る方法については、特
に限定するものではないが、本発明者らが先に出願して
いる特願平11−362678号明細書に記載の塩酸水
溶液浸漬処理法を用いて表面のみを改質させることが可
能であり、この際には材質の合金成分や、製法は一般的
に行われる公知のものを適用したAl基板にこの処理を
行えばよい。その他にも、材質の合金組成を制御するこ
とや、Al基板の製法、表面処理方法の条件を選択する
ことで、上記の好ましい物性を有するアルミニウム支持
体を製造することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明では、平版印刷版用支持体の基材としてアルミニ
ウム材又はアルミニウムを主成分として微量の異元素を
含むアルミニウム合金材を使用する。微量の異元素を含
む合金板には、所定の異元素を担持させたものや除去し
難い微量元素を含む合金板も含まれる。このような合金
板は、元素周期表に記載されているものの中から選択さ
れた1種以上を、0.001重量%〜1.5重量%含有
する合金板である。該アルミニウム合金に含まれる異元
素の代表例には、珪素、鉄、ニッケル、マンガン、銅、
マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、チタン、バナ
ジウムなどがある。通常はアルミニウムハンドブック第
4版(1990、軽金属協会)に記載の、従来より公知
の素材のもの、例えばJIS A1050材、JIS
A3103材、JIS A3005材、JIS A11
00材、JIS A3004材または引っ張り強度を増
す目的でこれらに5重量%以下のマグネシウムを添加し
た合金を用いることが出来る。これらのアルミニウム、
アルミニウム合金を平板状に成形する際に、均熱化処理
や焼鈍処理を行い組織等を均質化することが好ましい。
こうして規定の厚みに成形されたアルミニウム(合金)
板に後述するような所定の表面処理を行って支持体を得
る。
【0012】アルミニウム材又はアルミニウム合金材に
適用される粗面化処理とは、機械的な粗面化処理、バフ
研磨処理、ポリッシング処理、酸またはアルカリ水溶液
中での化学的なエッチング処理、酸またはアルカリ水溶
液中での電解研磨処理、中性塩水溶液中でアルミニウム
板を陽極または陰極にした電解処理、酸性水溶液中で直
流または交流を用いておこなう電気化学的な粗面化処理
のうち一つ以上を組み合わせて行うことを特徴とするも
のであるが、特に好ましい粗面化処理工程としては以下
に記載のものが挙げられる。
【0013】即ち、アルミニウム基材を、(a)機械的
に粗面化処理する工程、(b)酸もしくはアルカリ水溶
液中で化学的にエッチング処理する工程、又は酸もしく
はアルカリ水溶液中での電解研磨処理する工程、(c)
硝酸を主体とする水溶液中での電気化学的に粗面化処理
する工程、(d)酸もしくはアルカリ水溶液中で化学的
にエッチング処理する工程、又は酸もしくはアルカリ水
溶液中での電解グレイニングを行う工程、を含む粗面化
処理する方式である。
【0014】次に、前記した各粗面化工程について詳細
に説明する (a)機械的に粗面化処理する工程、 機械的な粗面化処理は電気化学的な粗面化と比較して、
より安価に、0.3〜1.5μmの中心線平均粗さ(R
a)を持つ表面を形成することができる。
【0015】機械的な粗面化処理においては、毛径が
0.2〜0.9mmの回転するナイロンブラシローラ
と、アルミニウム板表面に供給されるスラリー液とで機
械的に粗面化処理する方式が有利である。研磨剤として
は公知の物が使用できるが、珪砂、石英、水酸化アルミ
ニウムまたはこれらの混合物が好ましい。これらの方式
は、特開平6−135175号、特公昭50−4004
7号各公報に詳しく記載されている。スラリー液の比重
は1.05〜1.3が好ましい。スラリー液を吹き付け
る方式、ワイヤーブラシを用いた方式、凹凸を付けた圧
延ローラの表面形状をアルミニウム板に転写する方式な
どを用いても良い。その他の方式としては、特開昭55
−074898号、特開昭61−162351号、特開
昭63−104889号各公報等に記載されている。 (b)酸もしくはアルカリ水溶液中でアルミニウム板を
化学的にエッチング処理する工程、又は酸もしくはアル
カリ水溶液中で電解研磨処理する工程 表面の自然酸化皮膜や汚れ、圧延油等を取り除き、なお
かつ機械的な粗面化で生成した急峻な凹凸を滑らかにす
る目的でアルミニウム(合金)材を0.1〜20g/m
2、好ましくは5〜20g/m2溶解する。b−1)酸も
しくはアルカリ水溶液中でアルミニウム板を化学的にエ
ッチング処理する工程酸性水溶液に含まれる酸として
は、燐酸、硝酸、硫酸、クロム酸、塩酸、またはこれら
の2種以上の酸を含む混酸を用いることが出来る。酸性
水溶液の濃度は0.5〜65wt%が好ましい。液温は
30〜95℃で、1〜120秒間処理することが好まし
い。酸性水溶液としてはとくに硫酸が好ましい、硫酸濃
度とアルミニウム濃度は常温で晶出しない範囲から選択
することが好ましい。
【0016】アルカリ水溶液の濃度は1〜30wt%が
好ましい。アルカリ水溶液としては、特に苛性ソーダを
主体とする水溶液が好ましい。苛性ソーダ濃度とアルミ
ニウム濃度は常温で晶出しない範囲から選択することが
好ましい。
【0017】特に好ましくは、苛性ソーダ濃度4〜6w
t%、且つ、アルミニウムイオン濃度1〜1.5wt
%、または、苛性ソーダ濃度25〜28wt%、且つ、
アルミニウムイオン濃度5〜9wt%である。液温は3
0〜80℃で、0.1〜60秒間処理することが好まし
い。
【0018】エッチング処理が終了した後には、処理液
を次工程に持ち込まないためにニップローラによる液切
りとスプレーによる水洗を行うことが好ましい。
【0019】また、化学的なエッチングをアルカリの水
溶液を用いて行った場合は一般にアルミニウムの表面に
はスマットが生成するので、この場合には燐酸、硝酸、
硫酸、クロム酸、塩酸、またはこれらの2つ以上の酸を
含む混酸でデスマット処理する。酸性水溶液の濃度は
0.5〜60wt%が好ましい。さらに酸性水溶液中に
はアルミニウムは勿諭アルミニウム合金中に含有する他
の合金成分を0〜5wt%溶解していても良い。液温は
常温から95℃で実施され、処理時間は1〜60秒が好
ましい。デスマット処理が終了した後には、処理液を次
工程に持ち込まないためにニップローラによる液切りと
スプレーによる水洗を行うことが好ましい。最も好まし
い酸性水溶液中でのデスマット処理とは、塩酸または硝
酸0.5〜3wt%にアルミニウムイオンを0〜1wt
%含有する水溶液(15℃〜50℃)、または、硫酸5
〜30wt%にアルミニウムイオンを0〜1wt%含有
する水溶液(15℃〜70℃)である。
【0020】b−2) 酸もしくはアルカリ水溶液中で
電解処理する工程酸性水溶液中での電解研磨処理 本発明でいう酸性水溶液中でのアルミニウム(合金)材
の電解研磨処理は、公知の電解研磨に用いる水溶液が使
用できるが、好ましくは硫酸または燐酸を主体とする水
溶液である。特に好ましくは、硫酸または燐酸を20〜
90wt%(好ましくは40〜80wt%)含有する水
溶液である。液温は10〜90℃(好ましくは50〜8
0℃)、電流密度1〜200A/dm2(好ましくは5
〜80A/dm2)、電解時間は1〜180秒の範囲か
ら選択できる。前記水溶液中に、硫酸、燐酸、クロム
酸、過酸化水素、クエン酸、硼酸、フッ化水素酸、無水
フタール酸などを1〜50wt%添加してもよい。ま
た、アルミニウムはもちろんアルミニウム合金中に含有
する合金成分を0〜10wt%含有していてもよい。硫
酸イオンまたは燐酸イオンの濃度と、アルミニウムイオ
ン濃度は、常温でも晶析しない濃度で用いることが好ま
しい。
【0021】アルカリ水溶液中での電解研磨処理 本発明でいうアルカリ水溶液中での電解研磨処理は、水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウムおよ
び燐酸ナトリウムのようなアルカリ性物質単独か、また
はそれらの混合物、またはアルカリ性物質と水酸化亜
鉛、水酸化アルミニウムとの混合物、またはこれらアル
カリ性物質と塩化ナトリウムあるいは塩化カリウム等の
塩類との混合物の水溶液を使用し、しかも電気的に脱酸
素材になるような電解液組成、温度および濃度でアルミ
ニウムを陽極にして電解処理することをいう。均一な酸
化皮膜を安定的に生成するために、過酸化水素、燐酸塩
などを1wt%以下の濃度で添加してもよい。公知の電
解研磨に用いる水溶液が使用できるが、好ましくは水酸
化ナトリウムを主体とする水溶液である。好ましくは、
水酸化ナトリウムを2〜30wt%含有する水溶液であ
り、特に水酸化ナトリウムを3〜20wt%含有する水
溶液である。液温は10〜90℃(好ましくは35〜6
0℃)、電流密度1〜200A/dm2(好ましくは2
0〜80A/dm2)、電解時間は1〜180秒の範囲
から選択できる。
【0022】酸性もしくはアルカリ水溶液中での電解研
磨処理において、電流は、直流、パルス電流、交流を用
いることが可能であるが、連続直流が好ましい。電解処
理装置はフラット型槽、ラジアル型槽など公知の電解処
理に使われているものを用いることができる。処理が終
了した後には、処理液を次工程にもちこまないためにニ
ップローラーによる液切りとスプレーによる水洗を行う
ことが好ましい。また、電解研磨処理の前もしくは後、
またはその両方において、アルミニウム(合金)材を
0.01〜3g/m2溶解する、酸またはアルカリ水溶
液中での化学的なエッチングを行うことがさらに好まし
い。
【0023】(c)硝酸を主体とする水溶液中で電気化
学的に粗面化処理する工程 アルミニウム(合金)材表面に、平均直径0.1〜20
μmのクレーターまたはハニカムピットをアルミニウム
表面に30〜100%の面積率で生成する目的で行う。
印刷版の非画像部の汚れにくさと耐刷力を向上する作用
がある。
【0024】なお、本発明において、「硝酸を主体とす
る水溶液」とは、通常の直流または交流を用いた電気化
学的な粗面化処理に用いるものを使用でき、濃度5〜2
0g/リットルの硝酸水溶液に、硝酸アルミニウム、硝
酸ナトリウム、硝酸アンモニウム、等の硝酸イオン、塩
化アルミニウム、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム、
等の塩酸イオンを有する塩酸または硝酸化合物の1つ以
上を1g/リットル〜飽和まで添加して使用することが
できる。硝酸を主体とする水溶液中には、鉄、銅、マン
ガン、ニッケル、チタン、マグネシウム、シリカ等のア
ルミニウム合金中に含まれる金属が溶解していてもよ
い。とくに好ましくは、硝酸5〜20g/リットル水溶
液中にアルミニウムイオンが3〜50g/リットルとな
るように塩化アルミニウム、硝酸アルミニウムを添加し
た液を用いることが好ましい。温度は10〜95℃が好
ましく、40〜80℃がより好ましい。また、この粗面
化は交流を用いて行なうことができる。
【0025】電気化学的な粗面化に用いる交流電源波形
は、サイン波、矩形波、台形波、三角波などを用いるこ
とができるが、矩形波または台形波が好ましく、台形波
が特に好ましい。周波数は0.1〜250Hzが好まし
い。台形波において、電流が0からピークに達するまで
の時間tpは0.1〜10msecが好ましく、0.3
〜2msecがとくに好ましい。電源回路のインピーダ
ンスの影響のため、tpが0.1msec未満であると
電流波形の立ち上がり時に大きな電源電圧が必要とな
り、電源の設備コストが高くなる。10msecより大
きくなると、電解液中の微量成分の影響を受けやすくな
り均一な粗面化がおこなわれにくくなる。
【0026】電気化学的な粗面化が終了した時点でのア
ルミニウム板のアノード反応にあずかる電気量の総和は
1〜1000C/dm2が好ましく、10〜300C/
dm2が更に好ましい。電気量が多ければ、より大きな
表面粗さとなる。電気化学的な粗面化に用いる電源波形
は、交流または直流が用いられる。本発明で交流を用い
た電気化学的な粗面化に用いる電解槽は、縦型、フラッ
ト型、ラジアル型など公知の表面処理に用いる電解槽が
使用可能であるが、特開平5−195300号公報に記
載のようなラジアル型電解槽がとくに好ましい。電解槽
内を通過する電解液はアルミニウムウェブの進行とパラ
レルでもカウンターでもよい。ひとつの電解槽には1個
以上の交流電源を接続することができる。電解槽は2個
以上を用いることもできる。
【0027】(d)酸もしくはアルカリ水溶液中でアル
ミニウム板を化学的にエッチング処理する工程、又は酸
もしくはアルカリ水溶液中で電解研磨処理する工程 電気化学的な粗面化処理で生成した水酸化アルミニウム
を主体とするスマット成分の除去と、ピットのエッジの
部分を滑らかにする目的で行われる。アルミニウム板の
溶解量は0.01〜20g/m2が好ましく、0.05
〜5g/m2がより好ましく、0.1〜3g/m2がさら
に好ましい。各工程での条件は(b)のb−1)、b−
2)と同様である。
【0028】本発明の平版印刷版用支持体を得るための
処理方法の1つとして、本発明者らが特願平11−36
2678号において提案した上記の粗面化処理後に塩酸
を含む水溶液中で化学的処理を行う方法を好ましい態様
として挙げることができる。この処理は粗面化したアル
ミ表面に陽極酸化皮膜を付与する前にインキ汚れの原因
物質を除去する事を目的として行なわれる処理である。
【0029】塩酸の濃度は1重量%以上5重量%未満が
良い。また処理時間は10秒以上3分以下であり、望ま
しくは30秒以上3分以下が良い。その後、表面のスマ
ット成分の除去のために硫酸もしくは硝酸の主体の水溶
液に浸漬するデスマット処理を施すことが望ましい。こ
こで、デスマット処理は、好ましくは、硫酸を主体とす
る水溶液により処理液温度30℃以上、さらに好ましく
は40〜60℃で、20秒以上、さらに好ましくは、3
0〜60秒間行なわれる。
【0030】その後、本発明の支持体を得るために、ア
ルミニウム(合金)材の表面の耐磨耗性を高める目的
で、陽極酸化処理が施される。アルミニウム板の陽極酸
化処理に用いられる電解質としては多孔質酸化皮膜を形
成するものならば、いかなるものでも使用することがで
きる。一般には硫酸、リン酸、シュウ酸、クロム酸、ま
たはそれらの混合液が用いられる。それらの電解質の濃
度は電解質の種類によって適宜決められる。陽極酸化の
処理条件は用いる電解質によって変わるので一概に特定
し得ないが、一般的には電解質の濃度が1〜80wt
%、液温は5〜70℃、電流密度1〜60A/dm2
電圧1〜100V、電解時間10秒〜300秒の範囲に
あれば適当である。
【0031】硫酸水溶液中での陽極酸化については、特
開昭54−12853号、特開昭48−45303号各
公報に詳しく記載されている。硫酸濃度10〜300g
/リットル、アルミニウム濃度1〜25g/リットルと
することが好ましく、50〜200g/リットルの硫酸
水溶液中に硫酸アルミニウムを添加してアルミニウムイ
オン濃度を2〜10g/リットルとすることが特に好ま
しい。液温は30〜60℃が好ましい。直流法を用いる
ときは、電流密度が1〜60A/dm2、特に5〜40
A/dm2が好ましい。連続的にアルミニウムシートを
陽極酸化する場合は、アルミニウム(合金)材の焼けと
呼ばれる電流集中を防ぐために、最初5〜10A/dm
2の低電流密度で陽極酸化処理を行い、後半にゆくに従
い徐々に電流密度を上げて30〜40A/dm2になる
まで、あるいはそれ以上に電流密度を設定することが特
に好ましい。
【0032】硫酸法では通常、直流電流で処理がおこな
われるが、交流を用いることも可能である。陽極酸化皮
膜の量は1〜10g/m2の範囲が適当である。一般的
平版印刷版材料の場合、陽極酸化皮膜量は1〜5g/m
2で、1g/m2よりも少ないと耐刷性が不十分であった
り、平版印刷版の非画像部に傷が付きやすくなって、同
時に傷の部分にインキが付着する、いわゆる傷汚れが生
じやすくなる。また、陽極酸化皮膜量が多くなると、ア
ルミニウム(合金)材のエッジ部分へ酸化皮膜が集中し
やすくなるので、アルミニウム(合金)材のエッジの部
分と中心部分の酸化皮膜量の差は、1g/m2以下であ
ることが好ましい。
【0033】このようにして得られた支持体の表面を、
下記測定方法で電子線プローブマイクロアナライザー
(EPMA)を用いて観察を行った。 〔EPMAのマッピングによる評価方法〕 測定機器:電子線プローブマイクロアナライザー(日本
電子(株)製、商品名:JXA−8800M) 測定条件 加速電圧:20kV、測定電流:1.3×1
-6A、ビーム径:0μm(電子線をフォーカスした状
態)、Pixel:425×425、Interva
l:0.4μm(X)×0.4μm(Y) 測定範囲:170×170μm。 ここで、FeとSiが重なる点(以下、適宜FeSi重
複点と称する)とは、α−AlFeSiの分布状況の傾
向をみる指標となり、このFeSi重複点が少ない、ま
たは、FeSi重複点の面積率0.5%以下でなおかつ
Si単独部分の面積率が0.6%以下の表面であれば、
陽極酸化皮膜の欠陥起点が少ないか、または欠陥が生じ
にくい表面であると考えられ、非画像部のインキ汚れが
発生しにくくなっていることが分かった。
【0034】上記のように製造された、前記好ましい条
件を満たす本発明の支持体上には感光層が塗布され、平
版印刷版原版が得られる。
【0035】画像形成層は従来公知の組成物を適宜用い
ることができる。代表的な具体例としてポジ型の感熱性
組成物としては、ノボラック樹脂等のフェノール性水酸
基を有するアルカリ水溶液可溶性樹脂を用いることがで
きる。例えば、特開平7−285275号公報におい
て、ノボラック樹脂等のフェノール性水酸基を有するア
ルカリ水溶液可溶性樹脂に、光を吸収し熱を発生する物
質と、種々のオニウム塩、キノンジアジド化合物類等を
添加した画像形成材料が提案されている。これらの画像
形成材料では、画像部ではオニウム塩、キノンジアジド
化合物類等が、アルカリ水溶液可溶性樹脂の溶解防止剤
として働き、非画像部では熱により分解して溶解阻止能
を発現しなくなり、現像により除去され得るようになっ
て、画像を形成する。本発明の平版印刷版においては、
必要に応じて画像形成層の上に保護層を設けてもよい。
保護層成分としては、ポリビニルアルコールや通常の感
光性画像形成材料に用いられるマット材料等が挙げられ
る。その他、光重合性感光層などを用いても問題ない。
以下に、本発明の支持体に適用し、評価して問題の無か
った画像形成層の処方を示した。
【0036】 感光層塗布液(a) ・カーボンブラック分散液 10g ・4−ジアゾジフェニルアミンと ホルムアルデヒド縮合物六フッ化リン酸塩 0.5g ・メタクリル酸、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ベンジル メタクリレート、アクリロニトリルのラジカル共重合体モル 比15:30:40:15、重量平均分子量10万) 5g ・リンゴ酸 0.05g ・FC−430(米国3M社製フッ素系界面活性剤) 0.05g ・1−メトキシ−2−プロパノール 80g ・乳酸エチル 15g ・水 5g
【0037】 感光層塗布液(b) ・カプリン酸 0.03g ・特定の共重合体(フェノール性水酸基を有する樹脂、スルホン アミド基を有するモノマー、活性イミノ基を有するモノマー の内、少なくとも1つを共重合成分として10モル%以上含 む共重合体) 0.75g ・m、p−クレゾールノボラック(m,p比=6/4) 0.25g ・p−トルエンスルホン酸 0.003g ・テトラヒドロ無水フタル酸 0.03g ・シアニン染料 0.017g ・ビクトリアピュアブルー BOHの対イオンを1−ナフタレン スルホン酸アニオンにした染料 0.017g ・フッ素系界面活性剤(メガファックF−177、大日本インキ化学 工業(株)製) 0.05g ・γ−ブチルラクトン 10g ・メチルエチルケトン 10g ・1−メトキシ−2−プロパノール 1g
【0038】 感光層塗布液(c) ・カプリン酸 0.03g ・m、p−クレゾールノボラック(m,p比=6/4) 1g ・p−トルエンスルホン酸 0.003g ・テトラヒドロ無水フタル酸 0.03g ・シアニン染料 0.017g ・ビクトリアピュアブルー BOHの対イオンを1−ナフタレン スルホン酸アニオンにした染料 0.017g ・フッ素系界面活性剤(メガファックF−177、大日本インキ化学 工業(株)製) 0.05g ・γ−ブチルラクトン 10g ・メチルエチルケトン 10g ・1−メトキシ−2−プロパノール 1g
【0039】 感光層塗布液(d) ・光重合層感光液 テトラメチロールメタンテトラアクリレート 1.5g 線状有機高分子重合体(B1)(下記構造) 2.0g 増感剤(C1)(下記構造) 0.15g (λmaxTHF479nm、ε=6.9×104) 光開始剤(D1)(下記構造) 0.2g IRGACURE907(Ciba−Geigy社製) 0.4g ε−フタロシアニン/(B1)分散物 0.2g フッ素系ノニオン界面活性剤(メガファックF177 大日本インキ化学工業(株)製) 0.03g メチルエチルケトン 9g プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 7.5g トルエン 11g ・酸素遮断層 ポリビニルアルコール (ケン化度98モル%、重合度500)の3重量%の水溶液 11g
【0040】
【化1】
【0041】 感光層塗布液(e) ・重合層塗布液 ペンタエリスリトールテトラアクリレート 2.5g アリルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(共重合比=80/20)の 20重量%プロピレングリコールモノメチルエーテル溶液 37.5g 顔料分散液 13.0g メチルエチルケトン 74.0g ・感光層塗布液(重合層塗布乾燥後に塗布する) ケン化度79.5%のポリビニルアルコール(商品名:PVA−405, クラレ(株)製)の10重量%水溶液 10.5g 下記の添加剤(SH−1)の0.11重量%メタノール溶液 0.41g 下記の添加剤(SH−2)の0.11重量%水溶液 0.41g 上記のハロゲン化銀乳剤 0.50g 下記の界面活性剤(SA−1)の5重量%水溶液 0.40g 水 7.80g 還元剤分散液 1.20g ・酸素遮断層(感光層塗布乾燥後に塗布する) ケン化度98.5%のポリビニルアルコール(商品名:PVA−105、 クラレ(株)製)の10重量%水溶液 200.0g 下記の塩基プレカーサー分散液 1.25g 界面活性剤水溶液 4.0g
【0042】
【化2】
【0043】 感光層塗布液処方(f) ・樹脂層 アセトン−ピロガロール液樹脂のナフトキノン−1,2−ジアジド− (2)−5−スルホン酸エステル 5.0g クレゾール−ホルムアルデヒド樹脂 10.0g メチルエチルケトン 150g シクロヘキサノン 122g ・感光層(樹脂層塗布乾燥後に塗布する) 塩臭化銀ゼラチン乳剤(Cl:70モル%、Br:30モル%、平均粒子径: 0.28μm、乳剤1kg当りゼラチン量:55g、ハロゲン化銀含有量: 0.85モル) 1000g 1,3−ジエチル−5−[2−(3−(3−スルホプロピル)ベンズオキサゾ ールー2−イリデン)エチリデン]チオヒダントインナトリウム塩の0.1 %メタノール溶液 50ml 4−ヒドロキシ−6−メチル1,3,3a,7−テトラザインデンの0.5% アルカリ水溶液 100ml 2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジンの2%水溶液 35ml
【0044】感光層塗布液(g) ・物理現像核層 カレイ・レー(Carey Lea)法により調製した
銀ゾルを、乾燥重量が銀量で5mg/m2になるように
塗布。 ・ハロゲン化銀層(物理現像核層の上に塗布) 40モル%の塩化物および60モル%の臭化物からなる
平均粒子サイズが0.3μmの塩臭化銀乳剤(銀塩:ゼ
ラチン(重量比)=1:1)を、2.0g/m2塗布。
【0045】 感光層塗布液(h) ・光導電層用塗布液 Fastogen Blue 8120 (大日本インキ(株)製 無金属フタロシアニン) 1.0重量部 メチルメタクリレートとメタクリル酸の共重合体 (メタクリル酸20%モル%) 10.0重量部 テトラヒドロフラン 60重量部 シクロヘキサノン 40重量部 ・保護層用塗布液(光導電層の上に塗布する) ポリビニルブチラール (電気化学工業株式会社製 2000−L) 2.0重量部 ステアリン酸 0.5重量部 エタノール 97.5重量部
【0046】 感光層塗布液(i) 酸の作用でスルホン酸を発生する官能基を 側鎖に有する高分子化合物 1.0g (特開平10−207068号公報に記載の化合物) o−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸クロライド 0.1g ビクトリアピュアブルーBOHの対イオンを 1−ナフタレン−スルホン酸にした染料 0.05g フッ素系界面活性剤(メガファックF−176PF、 大日本インキ化学工業(株)製) 0.06g メチルエチルケトン 10g γ−ブチロラクトン 10g
【0047】感光層塗布液(j) 特開平11−139023号公報記載と同様な方法で作
成した、銀薄膜が露出した感光層
【0048】本発明の支持体は、画像形成機構が異なる
上記の種々の感光層を適用して、いずれも良好な印刷物
が得られ、感光層の条件に係わらず、非画像部に汚れが
発生せず、印刷性能に優れた平版印刷版用支持体である
ことがわかる。
【0049】本発明の平版印刷版用支持体は、陽極酸化
皮膜の欠陥を生起させるようなFeSi重複点を所定の
範囲内に制御しているため、外的な環境、使用する感光
層、印刷インク、湿し水の組成等の印刷条件に係わら
ず、非画像部の汚れが発生しない、優れた印刷性能を発
現する。
【0050】
【実施例】以下、本発明を実施例によって具体的に説明
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。 (実施例1〜6、比較例1〜4)以下の手順に従い、A
l合金及びその組成、調質、塩酸水溶液処理を組み合わ
せて実施例及び比較例の支持体を作成した。なお、使用
した合金の種類、組成、材質、及び塩酸水溶液処理条件
は、下記表1に示すとおりである。
【0051】(1)機械的粗面化 比重1.12のパミスと水の懸濁液を研磨スラリー液と
してアルミニウム板(厚さ0.24mm、幅1030m
mの、JIS A1050アルミニウム板、及びJIS
A3005材のO材及びH18材から選択されるAl
基板)の表面に供給しながら、回転するローラー状ナイ
ロンブラシにより機械的な粗面化を行った。ナイロンブ
ラシには6,10ナイロンを使用し、毛長は50mm、
毛の直径は0.48mmであった。ナイロンブラシを直
径300mmのステンレス製の筒に形成された穴に密に
なるように植毛した。使用したブラシの本数は3本であ
った。ブラシ下部の2本の支持ローラ(直径200m
m)の距離は300mmであった。ブラシローラは、ブ
ラシを回転させる駆動モータの負荷がブラシローラをア
ルミニウム板に押さえつける前の負荷に対して6kwプ
ラスになるまでアルミニウム板を押さえつけた。ブラシ
の回転方向はアルミニウム板の移動方向と同じであっ
た。アルミニウム板の移動速度は50m/minであっ
た。その後、水洗した。
【0052】(2)アルカリ水溶液中でのエッチング処
理 アルミニウム板を、NaOH27wt%、アルミニウム
イオン6.5wt%含有する60℃の水溶液に浸漬して
エッチング処理を行った。アルミニウム板の溶解量は1
0g/m2であった。その後、水洗処理を行った。 (3)デスマット処理 次にアルミニウム板を35℃の硝酸1wt%(アルミニ
ウムイオン0.5wt%、アンモニウムイオン0.00
7wt%含む)水溶液に10秒間浸漬してデスマット処
理を行った。その後、水洗処理を行った。
【0053】(4)硝酸水溶液中での電気化学的な粗面
化処理 アルミニウム板に液温50℃の硝酸1wt%水溶液(ア
ルミニウムイオン0.5wt%、アンモニウムイオン
0.007wt%含む)中で電気化学的な粗面化処理を
施した。電流値がゼロからピークに達するまでの時間T
Pが1msec、duty比1:1、60Hzの台形の
矩形波交流を用い、対極にはカーボン電極を、補助アノ
ードにはフェライトをそれぞれ用いた。電流密度は電流
のピーク値で60A/dm2、電気量(アルミニウム板
が陽極時の電気量の総和)は65C/dm2であった。
補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。
その後、スプレーによる水洗を行った。
【0054】(5)アルカリ水溶液中でのエッチング処
理 アルミニウム板を、NaOH27wt%、アルミニウム
イオン6.5wt%含有する45℃の水溶液に浸漬して
エッチング処理を行った。アルミニウム板の溶解量は4
g/m2であった。その後、水洗処理を行った。 (6)デスマット処理 次いで、アルミニウム板を硫酸25wt%含有する60
℃の水溶液に浸漬してデスマット処理を行った。その
後、水洗処理を行った。
【0055】(7)塩酸水溶液中での化学的処理 アルミニウム板を液温60℃の1%塩酸水溶液に30秒
間浸漬して、インキ汚れ原因物質を除去した。その後、
水洗処理を行った。 (8)デスマット処理 アルミニウム板を硫酸25wt%含有する60℃の水溶
液に40秒間浸漬してデスマット処理を行った。その
後、水洗処理を行った。
【0056】(9)陽極酸化処理 液温35℃の硫酸濃度15wt%水溶液(アルミニウム
イオンを0.5wt%含む)で、直流電源を用い、電流
密度2A/dm2で陽極酸化皮膜量が1.1g/m2にな
るように陽極酸化処理を行った。その後、スプレーによ
る水洗を行った。 (10)画像形成層の作成 得られた支持体に下記下塗り液を塗布し、80℃で30
秒間乾燥した。乾燥後の被覆量は10mg/m2であっ
た。 <下塗り液> ・β−アラニン ・・・・0.10g ・フェニルホスホン酸 ・・・・0.05g ・メタノール ・・・40 g ・純水 ・・・60 g 更に、下記感光液[A]又は感光液[B]を塗布するこ
とにより、感光層A又は感光層Bを設けた。乾燥後の感
光層塗膜量は[A]の場合1.8g/m2、[B]の場
合1.0g/m2であった。
【0057】 感光液[A] ・1,2−ジアゾナフトキノン−5−スルホニルクロリドと ピロガロール−アセトン樹脂とのエステル化合物(米国 特許第3,635,709号明細書の実施例1に記載さ れているもの) 0.8g バインダー ・ノボラックI(下記式参照) 1.5g ・ノボラックII(下記式参照) 0.2g ・ノボラック以外の樹脂III(下記式参照) 0.4g ・p−ノルマルオクチルフェノール−ホルムアルデヒド樹脂 (米国特許第4,123,279号明細書に記載されているもの) 0.02g ・ナフトキノン−1,2−ジアジド−4−スルホン酸クロライド 0.01g ・テトラヒドロ無水フタル酸 0.02g ・安息香酸 0.02g ・ピロガロール 0.05g ・4−[p−N,N−ビス(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル] −2,6−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン 0.07g ・ビクトリアピュアブルーBOH(保土谷化学(株)製の対アニオンを 1−ナフタレンスルホン酸に変えた染料) 0.045g ・フッ素系界面活性剤(F176PF、 大日本インキ化学工業(株)製) 0.01g ・メチルエチルケトン 15g ・1−メトキシ−2−プロパノール 10g
【0058】
【化3】
【0059】 感光液[B] ・m,p−クレゾールノボラック(m/p比=6/4、重量平均 分子量3500、未反応クレゾール0.5重量%含有)) 1.2g ・赤外線吸収剤(IR−1)(下記式参照) 0.20g ・ビクトリアピュアブルーBOHの対アニオンを1−ナフタレン スルホン酸アニオンにした染料 0.02g ・フッ素系界面活性剤(メガファックF−177、 大日本インキ化学工業(株)製) 0.05g ・γ−ブチロラクトン 3.0 g ・メチルエチルケトン 8.0 g ・1−メトキシ−2−プロパノール 7.0 g
【0060】
【化4】
【0061】(支持体の評価)実施例で作成したアルミ
ニウム支持体について、表面を電子線プローブマイクロ
アナライザー(日本電子(株)製、商品名:JXA−8
800M)を用いて、加速電圧:20kV、測定電流:
1.3×10-6A、ビーム径:0μm、Pixel:4
25×425、Interval:0.4μm(X)×
0.4μm(Y)の条件で、測定範囲:170×170
μm2のFeとSiの分布をマッピングを行い、Feの
分布(1630カウント以上の分布)とSiの分布(1
37カウント以上の分布)の重なりのある点の数を数え
た。なお、FeSi重複点の数は個/mm2に換算(測
定結果×35)し、1の位を四捨五入した値である。結
果を表1に示す。
【0062】なお、ここで、実施例1と比較例1のAl
支持体について、上記条件でEPMAによるマッピング
を行った際の分布状態を詳細に観察した結果を示す。図
1は、本発明の実施例1のAl支持体を、上記条件でE
PMAによるマッピングを行った際の分布状態を表す解
析図である。(A)はFe単独部分の領域を、(B)は
Si単独部分の領域を、(C)はSiとFeとが重複し
たFeSi重複点を表す。図1に明らかなように、本発
明の支持体では、FeSi重複点の面積率、一つ一つの
FeSi重複点の面積のいずれもが小さく、欠陥が発生
しにくいことがわかる。図2は、比較例1のAl支持体
を、図1と同様の条件でEPMAによるマッピングを行
った際の分布状態を表す解析図である。(A)はFe単
独部分の領域を、(B)はSi単独部分の領域を、
(C)はFeSi重複点を表す。図2に明らかなよう
に、FeSi重複点の面積率が図1に比較して高く、一
つ一つのFeSi重複点の面積も比較的広く、欠陥が生
じやすい表面であることがわかる。
【0063】この平版印刷用原版を、紫外線ランプ及び
波長830nmの赤外線を発する半導体レーザで露光し
た。その後、富士写真フイルム(株)製現像液、DP−
4及びリンス液FR−3(1:7)を仕込んだ自動現像
機(「PSプロセッサー900VR」,富士写真フイル
ム(株)製)を用いて現像した。現像液DP−4は、
1:6で希釈したものを用いた。得られた製版後の平版
印刷版を、実際の中印刷機(ハマダ社製、商品名:ハマ
ダ900CDX)を使って、条件1として苛酷な湿し水
条件である塩素イオン(KCL2%)を含む湿し水とイ
ンクを平版印刷版に供給し、1000枚印刷し、一旦放
置し、再度数十枚印刷したときの印刷物の非画像部の汚
れ(インキ汚れ)の発生状況を目視で観察し、以下の基
準で評価した。結果を表1に示す。また、条件2として
通常使用している湿し水条件(IPA:10%、EU−
3:1%)で印刷、評価をした。 ◎:インキ汚れが全く発生していない ○:若干汚れが発生しているが、実用可能なレベル 〇△:実用可能な下限レベル △:実用上許容できない汚れが発生している ×:インキ汚れが極めて目立つ
【0064】
【表1】
【0065】表1に明らかなように、FeSi重複点の
面積率が0.5%以下であり、さらに好ましくはSi単
独の面積率が0.6%以下であるような本発明の支持
体、もしくはFeSi重複点の少ない本発明の支持体を
用いた平版印刷版は非画像部に汚れが発生せず、印刷性
能に優れることがわかる。また、前記特性を有する支持
体は、Al合金の組成を選択することや、所定の塩酸水
溶液処理を行うことで容易に得られることがわかる。
【0066】
【発明の効果】本発明によれば、印刷条件によらず非画
像部に汚れが発生しない印刷性能に優れた平版印刷版用
支持体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1のAl支持体をEPMAによるマッ
ピングを行った際の分布状態を表す解析図であり、
(A)はFe単独部分の領域を、(B)はSi単独部分
の領域を、(C)はSiとFeとが重複したFeSi重
複点を表す。
【図2】 比較例1のAl支持体をEPMAによるマッ
ピングを行った際の分布状態を表す解析図であり、
(A)はFe単独部分の領域を、(B)はSi単独部分
の領域を、(C)はFeSi重複点を表す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 澤田 宏和 静岡県榛原郡吉田町川尻4000番地 富士写 真フイルム株式会社内 Fターム(参考) 2H025 AA12 AB03 DA20 DA36 2H096 AA06 CA03 2H114 AA04 AA14 AA23 BA01 BA10 DA02 DA04 DA08 DA14 EA01 EA02 EA05 FA01 GA03 GA08 GA09

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム材もしくは、アルミニウム
    合金材の表面を粗面化処理し、その後、陽極酸化処理し
    てなる支持体であって、該支持体の表面を、電子線プロ
    ーブマイクロアナライザーを用いて、以下の測定条件で
    観察した際の斑状分布したFeとSiが重なる点の面積
    率が0.5%以下であることを特徴とする平版印刷版用
    アルミニウム支持体。 (測定条件) 測定機器:電子線プローブマイクロアナライザー(EP
    MA) 測定条件 加速電圧:20kV、測定電流:1.3×1
    -6A、ビーム径:0μm、Pixel:425×42
    5、Interval:0.4μm(X)×0.4μm
    (Y)、測定範囲:170×170μm2。 (上記条件で測定し、斑状分布したFe、Siを特定の
    カウント値(Fe:1630、Si:137)を境界値
    として、二値化処理した。)
  2. 【請求項2】 前記アルミニウム材の表面を電子線プロ
    ーブマイクロアナライザーを用いて、前記測定条件で観
    察した際の斑状分布したSi単独の点の面積率が0.6
    %以下であることを特徴とする請求項1に記載の平版印
    刷版用アルミニウム支持体。
  3. 【請求項3】 アルミニウム材もしくは、アルミニウム
    合金材の表面を粗面化処理し、その後、陽極酸化処理し
    てなる支持体であって、該支持体の表面を、電子線プロ
    ーブマイクロアナライザーを用いて、以下の測定条件で
    観察した際の斑状分布したFeとSiが重なる点のう
    ち、1.6×10-7mm2以上の大きさを有する点の数
    が1mm2に800個以下であることを特徴とする平版
    印刷版用アルミニウム支持体。 (測定条件) 測定機器:電子線プローブマイクロアナライザー(EP
    MA) 測定条件 加速電圧:20kV、測定電流:1.3×1
    -6A、ビーム径:0μm、Pixel:425×42
    5、Interval:0.4μm(X)×0.4μm
    (Y)、測定範囲:170×170μm2。 (上記条件で測定し、斑状分布したFe、Siを特定の
    カウント値(Fe:1630、Si:137)を境界値
    として、二値化処理した。)
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