JP2001341444A - 平版印刷版用支持体 - Google Patents

平版印刷版用支持体

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JP2001341444A
JP2001341444A JP2000160496A JP2000160496A JP2001341444A JP 2001341444 A JP2001341444 A JP 2001341444A JP 2000160496 A JP2000160496 A JP 2000160496A JP 2000160496 A JP2000160496 A JP 2000160496A JP 2001341444 A JP2001341444 A JP 2001341444A
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printing plate
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acid
aqueous solution
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JP2000160496A
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Masaya Matsuki
昌也 松木
Yoshinori Hotta
吉則 堀田
Hirokazu Sawada
宏和 澤田
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 印刷条件の変動に係わらず、非画像部に汚れ
が発生しない印刷性能に優れた平版印刷版用支持体を提
供すること。 【解決手段】 少なくともFe、Siを含むアルミニウ
ム合金材の表面を陽極酸化処理してなる平版印刷版用支
持体であって、Fe、Si、Alの3種類の元素からな
る金属間化合物(A)と、Fe、Si、Al、X(X
は、Mn、Cu、Mg、Ti、Cr、およびZnからな
る群から選ばれる少なくとも1つ)の4種類以上の元素
を含む金属間化合物(B)との存在比率が、A/B≦
0.6であることを特徴とする平版印刷版用支持体であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は非画像部に汚れが発
生しない印刷性能に優れた平版印刷版用支持体に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、平版印刷版用支持体としては、A
l板、Al合金板等の片面あるいは両面に、粗面化処理
を施したものが用いられ、感光層を塗布して平版印刷版
用原版が製造される。印刷時の耐磨耗性を向上させるた
め、粗面化後の表面には陽極酸化皮膜処理を施されるこ
とが多い。また、製版時の真空密着時間を短くするため
に、感光層の表面にマット層という微小な凹凸が設けら
れる事もある。
【0003】平版印刷版用支持体は、画像露光、現像、
水洗などの製版処理を施して、平版印刷版とされる。画
像露光の方法には、画像を焼き付けたリスフィルムを密
着させて光を当てることで画像部と非画像部の違いをつ
ける方法や、赤外線レーザを用いる方法や画像を投影す
る方法で直接画像部もしくは非画後部を書き込むことに
よって画像部と非画像部の違いをつける方法が用いられ
る。
【0004】画像露光後の現像処理の際、未溶解の感光
層は、インク受容体として画像部を形成し、感光層が溶
解除去された部分は、その下のアルミニウム表面もしく
は陽極酸化皮膜表面が露出し、水受容体として非画像部
を形成する。現像後必要によっては親水化処理、ガム引
き、必要によってはバーニング処理等が行われることも
ある。
【0005】この平版印刷版は印刷機の円筒状の版胴に
取り付けられて、インキと湿し水を版胴に供給する事で
親油性の画像部にはインキが付着し、親水性の非画像部
には水が付着し、画像部のインキをブランケツト胴に転
写した上で、ブランケット胴から紙に画像を印刷する。
しかし、時として非画像部に点状あるいは円環状にイン
キが付着し、結果的に紙面に点状あるいは円環状の汚れ
を発生させる不具合が発生することがある。
【0006】このインキ汚れを防止するために多くの提
案がなされている。例えば、支持体に含まれるMg,M
n,Si,Ga,Ti,Cu等の合金成分の含有率を規
定する方法(特開平5−309964号、同3−177
528号等)、FeとSiの比を限定する方法(特開平
4−254545号、同7−197162号等)、Fe
の固溶量を限定する方法(特開平4−165041号
等)、単体Si量を限定する方法(特開平3−1775
29号、特開昭62−148295号等)、金属間化合
物の量や大きさや分布を限定する方法(特開平4−16
5041号、同3−234594号、同4−25454
5号、同3−177529等)、陽極酸化皮膜の特徴を
限定する方法(特開平7−197293号、同7−26
393号等)が提案されている。
【0007】しかし、非画像部の汚れの発生程度は、印
刷を行う時の条件の影響を非常に受けやすい。すなわ
ち、先に述べた種々の提案によって望ましいとされてい
る支持体を使用しても、印刷条件によっては、非画像部
の汚れの発生を防止し得ない場合があった。平版印刷版
は現在、世界中で、非常に幅広く使用されており、使用
されるインク、雰囲気温度など、印刷条件も様々であ
る。従って、印刷条件の変動に依らず、非画像部の汚れ
が発生しない平版印刷版用支持体が望まれる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、印刷
条件の変動に係わらず、非画像部に汚れが発生しない印
刷性能に優れた平版印刷版用支持体を提供することであ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、支持体を
構成するアルミニウム或いはアルミニウム合金材につい
て鋭意検討し、先に非画像部に点状或いは円環状にイン
キが付着し、結果的に紙面に点状或いは円環状のインキ
汚れが発生する問題に対して、電子線マイクロプローブ
アナライザーを用いた表面元素分析の結果、FeとSi
の重複点の面積率とインキ汚れ性に相関関係があること
を見出し、特願2000−65155号の如き提案を行
っている。しかし、さらに種々の材料に付いて検討を重
ねた結果、AlFeSiの3元系金属間化合物(A)
と、AlFeXSi(Xは、Mn、Cu、Mg、Ti、
Cr、およびZnのいずれか1つ)の4元系金属間化合
物(B)と、の存在割合にインキ汚れとの相関関係を新
たに見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】即ち、本発明の平版印刷版用支持体は、少
なくともFe、Siを含むアルミニウム合金材の表面を
陽極酸化処理してなる平版印刷版用支持体であって、F
e、Si、Alの3種類の元素からなる金属間化合物
(A)と、Fe、Si、Al、X(Xは、Mn、Cu、
Mg、Ti、Cr、およびZnからなる群から選ばれる
少なくとも1つ)の4種類以上の元素を含む金属間化合
物(B)との存在比率が、A/B≦0.6であることを
特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。 (本発明の平版印刷版用支持体の原理)本発明の平版印
刷版用支持体の材料は、少なくともFe、Siを含むア
ルミニウム合金材であって、さらに第3の合金成分とし
てのX(Xは、Mn、Cu、Mg、Ti、Cr、および
Znからなる群から選ばれる少なくとも1つ)が添加さ
れたものであり、Fe、Si、Alの3種類の元素から
なる金属間化合物(A)と、Fe、Si、Al、X(X
は、Mn、Cu、Mg、Ti、Cr、およびZnからな
る群から選ばれる少なくとも1つ)の4種類以上の元素
を含む金属間化合物(B)との存在比率が、A/B≦
0.6であることを特徴とするものである。このように
金属間化合物の面積割合がインキ汚れと相関関係を示す
ものであることを見出した経緯について、説明する。
【0012】Fe、Siの添加量を一定にしてX(第3
の合金成分)の添加量を変更調合した溶湯を用い、鋳造
後、同一の条件にて圧延、熱処理、矯正を行った試料を
用いてX(第3の合金成分)の添加量の影響を調べた。
また、熱処理(中間焼鈍)の条件を変更することによ
り、製造工程の影響を調べた。得られた各サンプルを後
述の実施例に示す手順で各種粗面化処理後、陽極酸化処
理を施し、サンプル表面を下記条件にて電子線マイクロ
プローブアナライザーによりマッピングした。そして3
元系の金属間化合物を示すFeとSiだけの重複点
(A)、および、4元系の金属間化合物を示すFe、S
iおよびXの重複点(B)のそれぞれの面積率を測定
し、その面積比率(存在比率、A/B)を求めた。これ
らそれぞれの重複点の意味するものについては、別途行
ったX線回折分析の結果から、それぞれの元素を含む金
属間化合物の量と対応することを確認した。その結果、
(A/B)が減少するにしたがい、インキ汚れが良化す
る傾向が確認できた。
【0013】このことから、Al,Fe,Siを含む金
属間化合物であっても、異種元素が取り込まれたAlF
eXSiのような金属間化合物になっていれば、インキ
汚れが良化することが確認できた。これは、熱処理条件
を制御することによっても達成できることが確認でき
た。
【0014】すなわち、アルミニウム合金材作製時に、
合金元素X(Xは、Mn、Cu、Mg、Ti、Cr、お
よびZnからなる群から選ばれる少なくとも1つ)を添
加することにより、熱処理時あるいは製板時に析出して
くるAl,Fe,Siからなる金属間化合物中にこれら
の元素が取り込まれることで、(A/B)比率が変化す
るためであると考えられる。第3の合金成分Xの取り込
みによる影響の詳細については、確かめられていない
が、従来知見と併せて考えると、酸に対する溶解性や、
陽極酸化処理時の皮膜の生成性が異なっていると予想さ
れる。
【0015】なお、X(第3の合金成分)としては、C
u、Mn、Mg、Ti、Zn、およびCrがあり、Xが
複数ある5元系以上の金属間化合物が存在してもよい。
【0016】[EPMAのマッピングによる評価方法] 測定機器:電子線マイクロプローブアナライザー(EM
PA) 測定条件 加速電圧:20kV、測定電流:1.3×1
-6A、 ビーム径:0μm(電子線をフォーカスした状態)、 Pixel:425×425、 Interval:0.4μm(X)×0.4μm
(Y)、 測定範囲:170×170μm2。 *上記条件で測定し、斑状分布したFe、Si、Xを特
定のカウント値(Fe:1630、Si:137、X:
2170)を境界値として二値化処理した。
【0017】本発明の平版印刷版用支持体は、3元系金
属間化合物のα−AlFeSi(A)と、4元系(以
上)金属間化合物のAlFeXSi(B)と、の面積割
合をA/B≦0.6に制御することで、非画像部の汚れ
が発生しない、優れた印刷性能を発現する。
【0018】(本発明の平版印刷版用支持体の構成)本
発明に使用されるアルミニウム板としては、上記の要件
を満たすものであれば、その他には特に限定されるもの
ではなく、一般的に平版印刷版用支持体として用いられ
る、アルミニウムを主成分として微量の異元素を含む合
金板の中から選ばれるものを使用することができる。該
アルミニウム合金材に含まれる異元素には、珪素、鉄、
ニッケル、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜
鉛、ビスマス、チタン、バナジウム、ジルコニウム等が
挙げられる。通常は、アルミニウムハンドブック第4版
(1990、軽金属協会)に記載の、従来より公知の素
材のもの、例えばJIS A1050材、JIS A3
103材、JIS A3005材、JIS A1100
材、JIS A3004材または引っ張り強度を増す目
的で、これらに5wt%以下のマグネシウムを添加した
合金材を用いることができる。
【0019】このように本発明に適用されるアルミニウ
ム板は、その組成が特定されるものではなく、従来より
公知・公用の素材のアルミニウム板を適宜利用すること
ができる。上記アルミニウム板は、通常のDC鋳造法に
よる鋳塊を圧延して製造されるアルミニウム板の他、連
続鋳造圧延法により製造されたものでもよい。連続鋳造
圧延の方法としては、双ロール法、ベルトキャスター
法、ブロックキャスター法等を用いることができる。こ
のように鋳造されたアルミニウム板は、圧延され、均熱
化処理あるいは焼鈍処理等の熱処理および矯正処理を施
して、平版印刷版用支持体のアルミニウム合金板として
提供される。上記の範囲内で合金組成および熱処理条件
を制御することにより、本発明に必要な要件を具備する
アルミニウム板を得ることができる。こうして規定の厚
みに成形されたアルミニウム合金材に、必要に応じて後
述するような所定の粗面化処理を行い、かつ陽極酸化処
理を施すことで、本発明の平版印刷版用支持体を得るこ
とができる。
【0020】アルミニウム合金材に適用される粗面化処
理とは、機械的な粗面化処理、バフ研磨処理、ポリッシ
ング処理、酸またはアルカリ水溶液中での化学的なエッ
チング処理、酸またはアルカリ水溶液中での電解研磨処
理、中性塩水溶液中でアルミニウム板を陽極または陰極
にした電解処理、酸性水溶液中で直流または交流を用い
ておこなう電気化学的な粗面化処理のうち一つ以上を組
み合わせて行うことを特徴とするものであるが、特に好
ましい粗面化処理工程としては以下に記載のものが挙げ
られる。
【0021】即ち、アルミニウム合金材を、(a)機械
的に粗面化処理する工程、(b)酸もしくはアルカリ水
溶液中で化学的にエッチング処理する工程、又は酸もし
くはアルカリ水溶液中での電解研磨処理する工程、
(c)硝酸を主体とする水溶液中での電気化学的に粗面
化処理する工程、(d)酸もしくはアルカリ水溶液中で
化学的にエッチング処理する工程、又は酸もしくはアル
カリ水溶液中での電解グレイニングを行う工程、を含む
粗面化処理する方式である。
【0022】次に、前記した各粗面化工程について詳細
に説明する (a)機械的に粗面化処理する工程、 機械的な粗面化処理は電気化学的な粗面化と比較して、
より安価に、0.3〜1.5μmの中心線平均粗さ(R
a75)を持つ表面を形成することができる。機械的な粗
面化処理においては、毛径が0.2〜0.9mmの回転
するナイロンブラシローラと、アルミニウム合金材表面
に供給されるスラリー液とで機械的に粗面化処理する方
式が有利である。研磨剤としては公知の物が使用できる
が、珪砂、石英、水酸化アルミニウムまたはこれらの混
合物が好ましい。これらの方式は、特開平6−1351
75号、特公昭50−40047号各公報に詳しく記載
されている。スラリー液の比重は1.05〜1.3が好
ましい。スラリー液を吹き付ける方式、ワイヤーブラシ
を用いた方式、凹凸を付けた圧延ローラの表面形状をア
ルミニウム合金材に転写する方式などを用いてもよい。
その他の方式としては、特開昭55−074898号、
特開昭61−162351号、特開昭63−10488
9号各公報等に記載されている。
【0023】(b)酸もしくはアルカリ水溶液中でアル
ミニウム合金材を化学的にエッチング処理する工程、又
は酸もしくはアルカリ水溶液中で電解研磨処理する工程 表面の自然酸化皮膜や汚れ、圧延油等を取り除き、なお
かつ機械的な粗面化で生成した急峻な凹凸を滑らかにす
る目的でアルミニウム合金材を0.1〜20g/m2
好ましくは5〜20g/m2溶解する。
【0024】b−1)酸もしくはアルカリ水溶液中でア
ルミニウム合金材を化学的にエッチング処理する工程 酸性水溶液に含まれる酸としては、燐酸、硝酸、硫酸、
クロム酸、塩酸、またはこれらの2種以上の酸を含む混
酸を用いることが出来る。酸性水溶液の濃度は0.5〜
65wt%が好ましい。液温は30〜95℃で、1〜1
20秒間処理することが好ましい。酸性水溶液としては
特に硫酸が好ましい、硫酸濃度とアルミニウム濃度は常
温で晶出しない範囲から選択することが好ましい。アル
カリ水溶液の濃度は1〜30wt%が好ましい。アルカ
リ水溶液としては、特に苛性ソーダを主体とする水溶液
が好ましい。苛性ソーダ濃度とアルミニウム濃度は常温
で晶出しない範囲から選択することが好ましい。
【0025】特に好ましくは、苛性ソーダ濃度4〜6w
t%、且つ、アルミニウムイオン濃度1〜1.5wt
%、または、苛性ソーダ濃度25〜28wt%、且つ、
アルミニウムイオン濃度5〜9wt%である。液温は3
0〜80℃で、0.1〜60秒間処理することが好まし
い。エッチング処理が終了した後には、処理液を次工程
に持ち込まないためにニップローラによる液切りとスプ
レーによる水洗を行うことが好ましい。
【0026】また、化学的なエッチングをアルカリの水
溶液を用いて行った場合は、一般にアルミニウム合金材
の表面にはスマットが生成するので、この場合には燐
酸、硝酸、硫酸、クロム酸、塩酸、またはこれらの2つ
以上の酸を含む混酸でデスマット処理する。酸性水溶液
の濃度は0.5〜60wt%が好ましい。さらに酸性水
溶液中には、アルミニウムはもちろんアルミニウム合金
材中に含まれる他の合金成分を0〜5wt%溶解してい
てもよい。液温は常温から95℃で実施され、処理時間
は1〜60秒が好ましい。デスマット処理が終了した後
には、処理液を次工程に持ち込まないためにニップロー
ラによる液切りとスプレーによる水洗を行うことが好ま
しい。
【0027】最も好ましい酸性水溶液中でのデスマット
処理とは、塩酸または硝酸0.5〜3wt%にアルミニ
ウムイオンを0〜1wt%含有する水溶液(15℃〜5
0℃)、または、硫酸5〜30wt%にアルミニウムイ
オンを0〜1wt%含有する水溶液(15℃〜70℃)
である。
【0028】b−2) 酸性もしくはアルカリ水溶液中
で電解処理する工程 ・酸性水溶液中での電解研磨処理 本発明でいう酸性水溶液中でのアルミニウム合金材の電
解研磨処理は、公知の電解研磨に用いる水溶液が使用で
きるが、好ましくは硫酸または燐酸を主体とする水溶液
である。特に好ましくは、硫酸または燐酸を20〜90
wt%(好ましくは40〜80wt%)含有する水溶液
である。液温は10〜90℃(好ましくは50〜80
℃)、電流密度1〜200A/dm2(好ましくは5〜
80A/dm2)、電解時間は1〜180秒の範囲から
選択できる。前記水溶液中に、硫酸、燐酸、クロム酸、
過酸化水素、クエン酸、硼酸、フッ化水素酸、無水フタ
ール酸などを1〜50wt%添加してもよい。また、ア
ルミニウムはもちろんアルミニウム合金中に含有する合
金成分を0〜10wt%含有していてもよい。硫酸イオ
ンまたは燐酸イオンの濃度と、アルミニウムイオン濃度
は、常温でも晶析しない濃度で用いることが好ましい。
【0029】・アルカリ水溶液中での電解研磨処理 本発明でいうアルカリ水溶液中での電解研磨処理は、水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウムおよ
び燐酸ナトリウムのようなアルカリ性物質単独か、また
はそれらの混合物、またはアルカリ性物質と水酸化亜
鉛、水酸化アルミニウムとの混合物、またはこれらアル
カリ性物質と塩化ナトリウムあるいは塩化カリウム等の
塩類との混合物の水溶液を使用し、しかも電気的に脱酸
素材になるような電解液組成、温度および濃度でアルミ
ニウムを陽極にして電解処理することをいう。均一な酸
化皮膜を安定的に生成するために、過酸化水素、燐酸塩
などを1wt%以下の濃度で添加してもよい。公知の電
解研磨に用いる水溶液が使用できるが、好ましくは水酸
化ナトリウムを主体とする水溶液である。好ましくは、
水酸化ナトリウムを2〜30wt%含有する水溶液であ
り、特に水酸化ナトリウムを3〜20wt%含有する水
溶液である。液温は10〜90℃(好ましくは35〜6
0℃)、電流密度1〜200A/dm2(好ましくは2
0〜80A/dm2)、電解時間は1〜180秒の範囲
から選択できる。
【0030】酸性もしくはアルカリ水溶液中での電解研
磨処理において、電流は、直流、パルス電流、交流を用
いることが可能であるが、連続直流が好ましい。電解処
理装置はフラット型槽、ラジアル型槽など公知の電解処
理に使われているものを用いることができる。処理が終
了した後には、処理液を次工程に持ち込まないために、
ニップローラーによる液切りとスプレーによる水洗を行
うことが好ましい。また、電解研磨処理の前もしくは
後、またはその両方において、アルミニウム合金材を
0.01〜3g/m2溶解する、酸またはアルカリ水溶
液中での化学的なエッチングを行うことがさらに好まし
い。
【0031】(c)硝酸を主体とする水溶液中で電気化
学的に粗面化処理する工程 アルミニウム合金材表面に、平均直径0.1〜20μm
のクレーターまたはハニカムピットを30〜100%の
面積率で生成する目的で行う。印刷版の非画像部の汚れ
にくさと耐刷力を向上する作用がある。
【0032】なお、本発明において、「硝酸を主体とす
る水溶液」とは、通常の直流または交流を用いた電気化
学的な粗面化処理に用いるものを使用でき、濃度5〜2
0g/リットルの硝酸水溶液に、硝酸アルミニウム、硝
酸ナトリウム、硝酸アンモニウム、等の硝酸イオン、塩
化アルミニウム、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム、
等の塩酸イオンを有する塩酸または硝酸化合物の1つ以
上を1g/リットル〜飽和まで添加して使用することが
できる。硝酸を主体とする水溶液中には、鉄、銅、マン
ガン、ニッケル、チタン、マグネシウム、シリカ等のア
ルミニウム合金材中に含まれる金属が溶解していてもよ
い。特に好ましくは、硝酸5〜20g/リットル水溶液
中にアルミニウムイオンが3〜50g/リットルとなる
ように塩化アルミニウム、硝酸アルミニウムを添加した
液を用いることが好ましい。温度は10〜95℃が好ま
しく、40〜80℃がより好ましい。また、この粗面化
は交流を用いて行うことができる。
【0033】電気化学的な粗面化に用いる交流電源波形
は、サイン波、矩形波、台形波、三角波などを用いるこ
とができるが、矩形波または台形波が好ましく、台形波
が特に好ましい。周波数は0.1〜250Hzが好まし
い。台形波において、電流が0からピークに達するまで
の時間tpは0.1〜10msecが好ましく、0.3
〜2msecが特に好ましい。電源回路のインピーダン
スの影響のため、tpが0.1msec未満であると電
流波形の立ち上がり時に大きな電源電圧が必要となり、
電源の設備コストが高くなる。10msecより大きく
なると、電解液中の微量成分の影響を受けやすくなり均
一な粗面化が行われにくくなる。
【0034】電気化学的な粗面化が終了した時点でのア
ルミニウム板のアノード反応にあずかる電気量の総和は
1〜1000C/dm2が好ましく、10〜300C/
dm2が更に好ましい。電気量が多ければ、より大きな
表面粗さとなる。電気化学的な粗面化に用いる電源波形
は、交流または直流が用いられる。本発明で交流を用い
た電気化学的な粗面化に用いる電解槽は、縦型、フラッ
ト型、ラジアル型など公知の表面処理に用いる電解槽が
使用可能であるが、特開平5−195300号公報に記
載のようなラジアル型電解槽がとくに好ましい。電解槽
内を通過する電解液はアルミニウムウェブの進行とパラ
レルでもカウンターでもよい。ひとつの電解槽には1個
以上の交流電源を接続することができる。電解槽は2個
以上を用いることもできる。
【0035】(d)酸もしくはアルカリ水溶液中でアル
ミニウム板を化学的にエッチング処理する工程、又は酸
もしくはアルカリ水溶液中で電解研磨処理する工程 電気化学的な粗面化処理で生成した水酸化アルミニウム
を主体とするスマット成分の除去と、ピットのエッジの
部分を滑らかにする目的で行われる。アルミニウム板の
溶解量は0.01〜20g/m2が好ましく、0.05
〜5g/m2がより好ましく、0.1〜3g/m2がさら
に好ましい。各工程での条件は、前記(b)のb−
1)、b−2)と同様である。
【0036】本発明の平版印刷版用支持体を得るための
処理方法の1つとして、本発明者らが特願平11−36
2678号において提案した上記の粗面化処理後に塩酸
を含む水溶液中で化学的処理を行う方法を好ましい態様
として挙げることができる。この処理は粗面化したアル
ミニウム合金材表面に陽極酸化皮膜を付与する前にイン
キ汚れの原因物質を除去する事を目的として行なわれる
処理である。
【0037】塩酸の濃度は1重量%以上5重量%未満が
良い。また処理時間は10秒以上3分以下であり、望ま
しくは30秒以上3分以下が良い。その後、表面のスマ
ット成分の除去のために硫酸もしくは硝酸の主体の水溶
液に浸漬するデスマット処理を施すことが望ましい。こ
こで、デスマット処理は、好ましくは、硫酸を主体とす
る水溶液により処理液温度30℃以上、さらに好ましく
は40〜60℃で、20秒以上、さらに好ましくは、3
0〜60秒間行われる。
【0038】その後、本発明の平版印刷版用支持体を得
るために、アルミニウム合金材の表面の耐磨耗性を高め
る目的で、陽極酸化処理が施される。アルミニウム合金
材の陽極酸化処理に用いられる電解質としては、多孔質
酸化皮膜を形成するものならば、いかなるものでも使用
することができる。一般には硫酸、リン酸、シュウ酸、
クロム酸、またはそれらの混合液が用いられる。それら
の電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められ
る。陽極酸化の処理条件は、用いる電解質によって変わ
るので一概に特定し得ないが、一般的には電解質の濃度
が1〜80wt%、液温は5〜70℃、電流密度1〜6
0A/dm2、電圧1〜100V、電解時間10秒〜3
00秒の範囲にあれば適当である。
【0039】硫酸水溶液中での陽極酸化については、特
開昭54−12853号、特開昭48−45303号各
公報に詳しく記載されている。硫酸濃度10〜300g
/リットル、アルミニウム濃度1〜25g/リットルと
することが好ましく、50〜200g/リットルの硫酸
水溶液中に硫酸アルミニウムを添加してアルミニウムイ
オン濃度を2〜10g/リットルとすることが特に好ま
しい。液温は30〜60℃が好ましい。直流法を用いる
ときは、電流密度が1〜60A/dm2、特に5〜40
A/dm2が好ましい。連続的にアルミニウムシートを
陽極酸化する場合は、アルミニウム合金材の焼けと呼ば
れる電流集中を防ぐために、最初5〜10A/dm2
低電流密度で陽極酸化処理を行い、後半に行くに従い徐
々に電流密度を上げて30〜40A/dm2になるま
で、あるいはそれ以上に電流密度を設定することが特に
好ましい。
【0040】硫酸法では通常、直流電流で処理が行われ
るが、交流を用いることも可能である。陽極酸化皮膜の
量(酸化皮膜量)は1〜10g/m2の範囲が適当であ
る。一般的平版印刷版材料の場合、陽極酸化皮膜の量は
1〜5g/m2で、1g/m2よりも少ないと耐刷性が不
十分であったり、平版印刷版の非画像部に傷が付きやす
くなって、同時に傷の部分にインキが付着する、いわゆ
る傷汚れが生じやすくなる。また、陽極酸化皮膜の量が
多くなると、アルミニウム合金材のエッジ部分へ酸化皮
膜が集中しやすくなるので、アルミニウム合金材のエッ
ジの部分と中心部分の酸化皮膜量の差は、1g/m2
下であることが好ましい。
【0041】上記のように製造された、前記好ましい条
件を満たす本発明の平版印刷版用支持体上には感光層が
塗布され、平版印刷版原版が得られる。画像形成層は従
来公知の組成物を適宜用いることができる。代表的な具
体例としてポジ型の感熱性組成物としては、ノボラック
樹脂等のフェノール性水酸基を有するアルカリ水溶液可
溶性樹脂を用いることができる。例えば、特開平7−2
85275号公報において、ノボラック樹脂等のフェノ
ール性水酸基を有するアルカリ水溶液可溶性樹脂に、光
を吸収し熱を発生する物質と、種々のオニウム塩、キノ
ンジアジド化合物類等を添加した画像形成材料が提案さ
れている。これらの画像形成材料では、画像部ではオニ
ウム塩、キノンジアジド化合物類等が、アルカリ水溶液
可溶性樹脂の溶解防止剤として働き、非画像部では熱に
より分解して溶解阻止能を発現しなくなり、現像により
除去され得るようになって、画像を形成する。本発明の
平版印刷版においては、必要に応じて画像形成層の上に
保護層を設けてもよい。保護層成分としては、ポリビニ
ルアルコールや通常の感光性画像形成材料に用いられる
マット材料等が挙げられる。その他、光重合性感光層な
どを用いても問題ない。
【0042】以下に、本発明の平版印刷版用支持体に適
用し、評価して問題の無かった画像形成層の処方を示し
た。
【0043】 感光層塗布液(a) ・カーボンブラック分散液 10g ・4−ジアゾジフェニルアミンと ホルムアルデヒド縮合物六フッ化リン酸塩 0.5g ・メタクリル酸、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ベンジル メタクリレート、アクリロニトリルのラジカル共重合体(モル 比15:30:40:15、重量平均分子量10万) 5g ・リンゴ酸 0.05g ・FC−430(米国3M社製フッ素系界面活性剤) 0.05g ・1−メトキシ−2−プロパノール 80g ・乳酸エチル 15g ・水 5g
【0044】 感光層塗布液(b) ・カプリン酸 0.03g ・特定の共重合体(フェノール性水酸基を有する樹脂、スルホン アミド基を有するモノマー、活性イミノ基を有するモノマー の内、少なくとも1つを共重合成分として10モル%以上含 む共重合体) 0.75g ・m、p−クレゾールノボラック(m/p比=6/4) 0.25g ・p−トルエンスルホン酸 0.003g ・テトラヒドロ無水フタル酸 0.03g ・シアニン染料 0.017g ・ビクトリアピュアブルー BOHの対イオンを1−ナフタレン スルホン酸アニオンにした染料 0.017g ・フッ素系界面活性剤(メガファックF−177、大日本インキ化学 工業(株)製) 0.05g ・γ−ブチルラクトン 10g ・メチルエチルケトン 10g ・1−メトキシ−2−プロパノール 1g
【0045】 感光層塗布液(c) ・光重合層感光液 テトラメチロールメタンテトラアクリレート 1.5g 線状有機高分子重合体(B1)(下記構造) 2.0g 増感剤(C1)(下記構造) (λmaxTHF479nm、ε=6.9×104) 0.15g 光開始剤(D1) 0.2g IRGACURE907(Ciba−Geigy社製) 0.4g ε−フタロシアニン/(B1)分散物 0.2g フッ素系ノニオン界面活性剤(メガファックF177 大日本インキ化学工業(株)製) 0.03g メチルエチルケトン 9g プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 7.5g トルエン 11g ・酸素遮断層 ポリビニルアルコール (ケン化度98モル%、重合度500)の3重量%の水溶液 11g
【0046】
【化1】
【0047】感光層塗布液(d) ・物理現像核層 カレイ・レー(Carey Lea)法により調製した
銀ゾルを、乾燥重量が銀量で5mg/m2になるように
塗布。 ・ハロゲン化銀層(物理現像核層の上に塗布) 40モル%の塩化物および60モル%の臭化物からなる
平均粒子サイズが0.3μmの塩臭化銀乳剤(銀塩:ゼ
ラチン(重量比)=1:1)を、2.0g/m2塗布。
【0048】 感光層塗布液(e) ・光導電層用塗布液 Fastogen Blue 8120 (大日本インキ(株)製 無金属フタロシアニン) 1.0重量部 メチルメタクリレートとメタクリル酸の共重合体 (メタクリル酸20%モル%) 10.0重量部 テトラヒドロフラン 60重量部 シクロヘキサノン 40重量部 ・保護層用塗布液(光導電層の上に塗布する) ポリビニルブチラール (電気化学工業株式会社製 2000−L) 2.0重量部 ステアリン酸 0.5重量部 エタノール 97.5重量部
【0049】 感光層塗布液(f) 酸の作用でスルホン酸を発生する官能基を 側鎖に有する高分子化合物 1.0g (特開平10−207068記載の化合物) o−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸クロライド 0.1g ビクトリアピュアブルーBOHの対イオンを 1−ナフタレン−スルホン酸にした染料 0.05g フッ素系界面活性剤(メガファックF−176PF、 大日本インキ化学工業(株)製) 0.06g メチルエチルケトン 10g γ−ブチロラクトン 10g
【0050】本発明の平版印刷版用支持体は、画像形成
機構が異なる上記の種々の感光層を適用して、いずれも
良好な印刷物が得られ、感光層の条件に係わらず、非画
像部に汚れが発生せず、印刷性能に優れた平版印刷版用
支持体であることがわかる。
【0051】
【実施例】以下、本発明を実施例によって具体的に説明
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。 (実施例1〜2、比較例1〜6) A:アルミニウム合金材の製造 後記表1に示すように、合金成分のうち、FeとSi及
びX(第3の合金成分)の代表として、Mn、Mgの合
金元素の添加量を変更し、調合したアルミニウム溶湯を
用いてスラブを鋳造し、表面の不均一組織部分を約10
mm削り取った。その後内部の応力除去および組織の均
一化のため、500℃で10時間保持して均熱化処理を
施した。しかる後に熱間圧延を行い、40mmの厚みに
圧延した。続いて冷間圧延を行い、2mmの厚みまで圧
延した後焼鈍処理を施した。具体的には、連続焼鈍炉を
用い500℃で焼鈍した。比較例においては、この焼鈍
処理を省略した。焼鈍後冷却し、常温で0.24mmの
厚みまで冷間圧延し、サンプルとした。
【0052】B:平版印刷板用支持体の製造 以上のようにして作製した各アルミニウム合金材につい
て、以下に示す条件にて粗面化処理(1)〜(6)及び
陽極酸化処理(7)を行った。 (1)機械的粗面化 比重1.12のパミスと水との懸濁液を研磨スラリー液
として、これをアルミニウム合金材の表面に供給しなが
ら、回転するローラー状のナイロンブラシにより機械的
な粗面化を行った。ナイロンブラシには6,10ナイロ
ンを使用し、毛長は50mm、毛の直径は0.48mm
であった。ナイロンブラシを直径300mmのステンレ
ス製の筒に形成された穴に密になるように植毛した。使
用したブラシローラの本数は3本であった。ブラシ下部
の2本の支持ローラ(直径200mm)の距離は300
mmであった。ブラシローラは、ブラシを回転させる駆
動モータの負荷がブラシローラをアルミニウム合金材に
押さえつける前の負荷に対して6kWプラスになるまで
アルミニウム板を押さえつけた。ブラシの回転方向はア
ルミニウム合金材の移動方向と同じとした。アルミニウ
ム合金材の移動速度は50m/minであった。かかる
機械的粗面化の後、水洗した。
【0053】(2)アルカリ水溶液中でのエッチング処
理 機械的粗面化が為されたアルミニウム合金材を、NaO
H27wt%、アルミニウムイオン6.5wt%含有す
る60℃の水溶液に浸漬してエッチング処理を行った。
アルミニウム合金材の溶解量は10g/m2であった。
その後、水洗処理を行った。
【0054】(3)デスマット処理 上記エッチング処理後のアルミニウム合金材を35℃の
硝酸1wt%(アルミニウムイオン0.5wt%、アン
モニウムイオン0.007wt%含む)水溶液に10秒
間浸漬してデスマット処理を行った。その後、水洗処理
を行った。
【0055】(4)硝酸水溶液中での電気化学的な粗面
化処理 上記デスマット処理後のアルミニウム合金材に、液温5
0℃の硝酸1wt%水溶液(アルミニウムイオン0.5
wt%、アンモニウムイオン0.007wt%含む)中
で電気化学的な粗面化処理を施した。電流値がゼロから
ピークに達するまでの時間TPが1msec、duty
比1:1、60Hzの台形の矩形波交流を用い、対極に
はカーボン電極を、補助アノードにはフェライトをそれ
ぞれ用いた。電流密度は電流のピーク値で60A/dm
2、電気量(アルミニウム板が陽極時の電気量の総和)
は65C/dm2であった。補助陽極には電源から流れ
る電流の5%を分流させた。その後、スプレーによる水
洗を行った。
【0056】(5)アルカリ水溶液中でのエッチング処
理 上記電気化学的な粗面化処理後のアルミニウム合金材
を、NaOH27wt%、アルミニウムイオン6.5w
t%含有する45℃の水溶液に浸漬してエッチング処理
を行った。アルミニウム板の溶解量は4g/m2であっ
た。その後、水洗処理を行った。
【0057】(6)デスマット処理 次いで、上記エッチング処理後のアルミニウム合金材を
硫酸25wt%含有する60℃の水溶液に浸漬してデス
マット処理を行った。その後、水洗処理を行った。
【0058】(7)陽極酸化処理 以上の如く粗面化処理を施したアルミニウム合金材に対
し、液温35℃の硫酸濃度15wt%水溶液(アルミニ
ウムイオンを0.5wt%含む)で、直流電源を用い、
電流密度2A/dm2で陽極酸化皮膜量が1.1g/m2
になるように陽極酸化処理を行った。その後、スプレー
による水洗を行った。以上のようにして各平版印刷板用
支持体を作製した。
【0059】C:支持体の評価 得られた各平版印刷板用支持体の表面を、電子線マイク
ロプローブアナライザーにてFe、Si、Mn、Mgの
マッピングを行い、FeSiだけの重複点の面積率
(A)とFeSiMnだけもしくはFeSiMgだけの
重複点の面積率(B)の割合(A/B)を調べた。結果
を下記表1に示す。
【0060】なお、各々の重複点と金属間化合物との関
係は、各々金属間化合物の多い板のX線回析結果とEP
MAマッピングデータ結果との照合を行い、重複点はそ
の金属間化合物の分布状況となることを確認している。
具体的な評価方法は、以下の通りである。
【0061】実施例および比較例で作製した各平版印刷
版用支持体について、表面を電子線マイクロプローブア
ナライザー(日本電子(株)製、商品名:JXA−88
00M)を用いて、加速電圧:20kV、測定電流:
1.3×10-6A、ビーム径:0μm(電子線をフォー
カスした状態)、Pixel:425×425、Int
erval:0.4μm(X)×0.4μm(Y)、測
定範囲:170×170μm2のFeとSiの分布のマ
ッピングを行い、Feの分布(1630カウント以上の
分布)とSiの分布(137カウント以上の分布)の重
なりのある点の面積率(A)とFeの分布(1630カ
ウント以上の分布)とSiの分布(137カウント以上
の分布)及びXの分布(XとしてはMn、Cu、Mg、
Ti、Cr、Zn。2170カウント以上の分布)の重
なりのある点の面積率(B)の割合(A/B)を求め
た。
【0062】
【表1】
【0063】D:平版印刷版原版の製造 (1)画像形成層の作製 以上のようにして得られた各平版印刷板用支持体に下記
下塗り液を塗布し、80℃で30秒間乾燥した。乾燥後
の被覆量は10mg/m2であった。 <下塗り液> ・β−アラニン ・・・・0.10g ・フェニルホスホン酸 ・・・・0.05g ・メタノール ・・・40 g ・純水 ・・・60 g
【0064】更に、下記感光液[A]あるいは[B]を
それぞれ、別個の実施例および比較例の各下塗り済サン
プルに塗布することにより、感光層[A]あるいは
[B]を設けた各実施例および比較例の平版印刷版原版
をそれぞれ得た。乾燥後の感光層塗膜量は[A]の場合
1.8g/m2、[B]の場合1.0g/m2であった。
【0065】 感光液[A] ・1,2−ジアゾナフトキノン−5−スルホニルクロリドと ピロガロール−アセトン樹脂とのエステル化合物(米国 特許第3,635,709号明細書の実施例1に記載さ れているもの) 0.8g バインダー ・ノボラックI(下記構造) 1.5g ・ノボラックII(下記構造) 0.2g ・ノボラック以外の樹脂III(下記構造) 0.4g ・p−ノルマルオクチルフェノール−ホルムアルデヒド樹脂 (米国特許第4,123,279号明細書に記載されているもの) 0.02g ・ナフトキノン−1,2−ジアジド−4−スルホン酸クロライド 0.01g ・テトラヒドロ無水フタル酸 0.02g ・安息香酸 0.02g ・ピロガロール 0.05g ・4−[p−N,N−ビス(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル] −2,6−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン 0.07g ・ビクトリアピュアブルーBOH(保土谷化学(株)製の対アニオンを 1−ナフタレンスルホン酸に変えた染料) 0.045g ・フッ素系界面活性剤(F176PF、 大日本インキ化学工業(株)製) 0.01g ・メチルエチルケトン 15g ・1−メトキシ−2−プロパノール 10g
【0066】
【化2】
【0067】 感光液[B] ・m,p−クレゾールノボラック(m/p比=6/4、重量平均 分子量3500、未反応クレゾール0.5重量%含有)) 1.2g ・赤外線吸収剤(IR−1)(下記構造) 0.20g ・ビクトリアピュアブルーBOHの対アニオンを1−ナフタレン スルホン酸アニオンにした染料 0.02g ・フッ素系界面活性剤(メガファックF−177、 大日本インキ化学工業(株)製) 0.05g ・γ−ブチロラクトン 3.0 g ・メチルエチルケトン 8.0 g ・1−メトキシ−2−プロパノール 7.0 g
【0068】
【化3】
【0069】E:平版印刷版原版の製造 上記得られた各平版印刷版原版について、インキ汚れ印
刷評価を行い、既に求めた面積割合(A/B)との相関
を調べた。結果を表2に示す。なお、インキ汚れ印刷評
価の方法は、以下の通りである。
【0070】感光層Aが形成された平版印刷版原版は紫
外線ランプで、感光層Bが形成された平版印刷版原版は
波長830nmの赤外線を発する半導体レーザーで、そ
れぞれ像様に露光した。その後、感光層Aが形成された
平版印刷版原版は、富士写真フイルム(株)製現像液、
DP−4及びリンス液FR−3(1:7)を仕込んだ自
動現像機(「PSプロセッサー900VR」、富士写真
フイルム(株)製)を用いて現像した。なお、現像液D
P−4は、1:6で希釈したものを用いた。一方、感光
層Bが形成された平版印刷版原版は、富士写真フイルム
(株)製スタプロン900NP現像機を使用して、富士
写真フイルム(株)製PS版用現像液LH−DPを水で
1:8に希釈したものを用い現像した。
【0071】得られた製版後(現像後)の平版印刷版に
ついて、実際の中印刷機(ハマダ社製、商品名:ハマダ
900CDX)を使って、条件1として苛酷な湿し水条
件である塩素イオン(KCL2%)を含む湿し水とイン
クを平版印刷版に供給し、1000枚印刷し、一旦放置
し、再度数十枚印刷したときの印刷物の非画像部の汚れ
(インキ汚れ)の発生状況を目視で観察し、以下の基準
で評価した。また、感光層Aが形成された平版印刷版原
版を用いた平版印刷版についてのみ、条件2として、通
常使用している湿し水条件(IPA:10%、EU−
3:1%)で同様に印刷、同様の基準で評価をした。結
果を下記表2に示す。 ◎:インキ汚れが全く発生していない ○:若干汚れが発生しているが、実用可能なレベル △:実用可能な下限レベル ×:実用上許容できない汚れが発生している
【0072】
【表2】
【0073】上記表2によって明らかなように、AlF
eSiの3元系金属間化合物(A)とAlFeXSi
(XとしてはMn、Cu、Mg、Ti、CrまたはZ
n)の4元系金属間化合物(B)の存在比率が、A/B
≦0.6である実施例の平版印刷版用支持体を用いた平
版印刷版は非画像部に汚れが発生せず、印刷性能に優れ
ることがわかる。前記特性を有する平版印刷版用支持体
は、合金組成の選択と製造条件の変更で容易に得られる
ことがわかる。
【0074】
【発明の効果】本発明によれば、印刷条件によらず非画
像部に汚れが発生しない印刷性能に優れた平版印刷版用
支持体を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C23F 1/20 C23F 1/20 1/36 1/36 C25F 3/04 C25F 3/04 A 3/20 3/20 (72)発明者 澤田 宏和 静岡県榛原郡吉田町川尻4000番地 富士写 真フイルム株式会社内 Fターム(参考) 2H025 AA12 AB03 DA18 DA20 DA36 2H096 AA06 CA03 2H114 AA04 AA14 DA04 DA73 EA02 EA04 GA03 GA05 GA06 GA08 GA09 4K057 WA05 WB05 WE02 WE03 WE04 WE05 WE08 WE22 WG01 WG02 WG03 WK01 WN06 WN10

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくともFe、Siを含むアルミニウ
    ム合金材の表面を陽極酸化処理してなる平版印刷版用支
    持体であって、Fe、Si、Alの3種類の元素からな
    る金属間化合物(A)と、Fe、Si、Al、X(X
    は、Mn、Cu、Mg、Ti、Cr、およびZnからな
    る群から選ばれる少なくとも1つ)の4種類以上の元素
    を含む金属間化合物(B)との存在比率が、A/B≦
    0.6であることを特徴とする平版印刷版用支持体。
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