JP3567416B2 - 平版印刷版用支持体の作製方法、平版印刷版用支持体、及び感光性平版印刷版 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、平版印刷版用支持体の作製方法、平版印刷版用支持体、及び感光性平版印刷版に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、適宜の支持体に感光性樹脂層等の感光性層その他を形成して、感光性平版印刷版(以下、PS版と称することもある)を形成することが行われている。PS版を形成するための支持体は、通常、表面を処理して、粗面化を行う。
【0003】
従来、PS版用支持体の粗面処理化方法のひとつとして、電解処理による粗面化方法が用いられてきた。この場合、形状をコントロールしやすい手法として、種種の交流波形を用いた先行技術がある。たとえば、特公昭55−19191号公報、特公昭56−19280号公報に記載されている、陽極時電圧が陰極時電圧より大きい交流波形を用いる方法、また、特公昭57−22036号公報に記載されている正弦波交流を、サイリスターで位相制御した波形を用いる方法、また、特公昭58−157997号公報に記載されている3相交流を用いる方法、また、特公昭58−207374号公報に記載されている周波数の異なる交流を重ね合わせた交流を用いる方法などが、知られている。
【0004】
しかし、単一の交番電流波形を用いたこれらの電解粗面化では、ピットの形状分布を制御することが不十分であるため、この支持体上に感光性物質としてたとえば感光性樹脂組成物を塗設して形成した感光性平版印刷版は、版位置による性能のバラツキを生じやすく、よって刷版管理が困難であった。
【0005】
さらに従来の電解処理による粗面化方法では、形成されたピットの上縁(エッジ)部が不可避的に残存する。このエッジ部が存在する支持体を用いた感光性平版印刷版は、現像や印刷時に汚れを発生しやすく、たとえばアンダー現像での地汚れや非画像部の汚れ、ストップ汚れ、ブランケット汚れなどを生じる。
【0006】
また非画像部に描画したボールペンインキが現像しても除去されずに残って版面に付着し、印刷時にその部分に汚れが発生する問題(ボールペン残り)が生じるといった問題がある。
【0007】
これらの問題を解消するために、一般的には電解処理後に水酸化ナトリウム等のアルカリ水溶液に浸漬してエッジ部を除去する方法(デスマット)がとられているが、この方法では、ピットのエッジ部のみを選択的に除去することは困難であり、形成されたピット自体も溶解してしまう。このため、前述した問題の解決は、不十分であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は上記従来技術の諸問題を解消し、高品質の印刷物を安定的に製作できる感光性平版印刷版が得られる平版印刷版用支持体の作製方法を提供し、また、このような平版印刷版用支持体を提供し、また、このような感光性平版印刷版を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記した課題を解決するため、本発明に係る平版印刷版用支持体の作製方法は、アルミニウム板を、交互に極性の変化する交番電流波形を用い、少なくとも2つの電解槽を有する酸性電解液中で複数回電解粗面化処理する平版印刷版用支持体の作製方法において、少なくとも1つの電解槽に対して使用する交番電流波形の形状が、他の電解槽に対して使用する交番電流波形の形状と異なり、且つ酸性電解液として塩酸及び酢酸の混合液を用いることを特徴とする構成にする。
【0011】
上記した課題を解決するため、本発明に係る平版印刷版用支持体は、アルミニウム板を、交互に極性の変化する交番電流波形を用い、少なくとも2つの電解槽を有する酸性電解液中で複数回電解粗面化処理するとともに、少なくとも1つの電解槽に対して使用する交番電流波形の形状が、他の電解槽に対して使用する交番電流波形の形状と異なり、且つ酸性電解液として塩酸及び酢酸の混合液を用いて形成したことを特徴とする構成にする。
【0014】
上記した課題を解決するため、本発明に係る感光性平版印刷版用支持体は、上記本発明に係る平版印刷版用支持体を陽極酸化処理して得た平版印刷版用支持体上に、感光性樹脂層を塗設して形成したことを特徴とする構成にする。
【0015】
本発明により、次に列記する(1)〜(4)の効果が得られ、よって従来技術での問題点を解消できるとともに、驚くべきことに、下記(5)の効果も得られた。
【0016】
(1)支持体に、均一かつ緻密なピットが形成された。この結果、この支持体を用いた感光性平版印刷版の、性能バラツキが低減された。
(2)印刷時に汚れにくい。このため、湿し水の供給量を低減でき、水が絞れる。これにより、画像部のインキ濃度が高まり、高品質の印刷物が得られる。その他、ストップ汚れやブランケット汚れが低減する。
(3)アンダー現象での汚れが低減される。このため、現像ラチチュードが広がることにもなる。
(4)ボールペン残りの問題が解消される。よって、印刷物への汚れ付着が無くなる。
(5)印刷時における印刷版画像部の湿し水耐性(H液耐性)が向上した。
【0017】
以下本発明について更に説明する。
本発明に係る平版印刷版用支持体の作製方法においては、少なくとも1つの電解槽に対して使用する交番電流波形の形状が、他の電解槽に対して使用する交番電流波形の形状と異なるようにする。この場合に、交番電流波形の異なる波形における電流密度や、位相(正弦波を除く)、周波数を、任意に変化させるようにしてもよい。好ましい電流密度は、粗面化に関する説明において、後述する。
【0018】
異なる交番電流波形の形状が、位相のずれを伴う場合、好ましい位相のずれは、5〜175度である。さらに好ましくは、20〜150度である。
【0019】
用いる交番電流波形の好ましい周波数は、5〜250Hzである。さらに好ましくは、10〜100Hzである。
【0020】
用いる交番電流は、任意の波形であってよい。好ましくは、正弦波、矩形波、台形波、三角波、のこぎり波である。好ましいのこぎり波の波形は、たとえば図32〜図41に示す波形(32)〜(41)である。図中、Sは波形1周期の始点からの時間で、波形(32)〜(36)、(40)、(41)においてS=1.5msecが好ましい。Eは波形1周期の終点からの時間で、波形(33)、(39)、(41)においてE=1.0msecが好ましい。他に陽極時と陰極時で、上記波形を組み合わせたものも使用できる。このような、波形を組み合わせたもので好ましいのは、たとえば図7〜図31に示す波形(7)〜(31)である。
【0021】
用いる波形の陽極時間/陰極時間は、0.2〜2.0であることが好ましい。より好ましくは、0.5〜1.5である。
【0022】
用いる波形の陽極電気量/陰極電気量は、0.5〜2.0であることが好ましい。より好ましくは、0.7〜1.5である。
【0023】
電解液は、後述する粗面化に関する説明で述べるように、各種のものが使用できるが、塩酸、または、塩酸/酢酸の混合系が好ましい。
【0024】
支持体上に感光層を形成することにより、感光性平版印刷版を得ることができる。感光層形成用の感光性組成物としては、本発明に係る支持体を平版印刷版として使用する場合、一般に、後処理に続いて、ポジ型またネガ型の感光層を塗布することにより、感光性平版印刷版が得られる。
【0025】
具体的には、ポジ型感光層としては、特願平5−15499号、同6−190163号、同6−333805号、同7−2218986号、同7−337687号の明細書に記載のもの、ネガ型感光層としては、特開平2−220062号、同2−219060号、同2−217859号、同2−189544号、特開昭64−56442号、同62−78544号、特公平3−56622、特願平4−176228号、同6−3313805号、同7−221986号の明細書に記載のもの、CTP用感光層としては、特願平7−231444号、及び特開平3−87833号の明細書に記載のものを用いることができる。
【0026】
感光層塗設量は、乾燥重量で0.8〜2.5g/m2 であることが好ましく、さらに好ましくは、1.2〜1.8g/m2 である。感光層には、必要に応じてマット剤を付与することができる。更に、感光性平版印刷版を重ねた時の感光層への擦れ傷を防ぐために、また、現像時に現像液中へのアルミニウム成分の溶出を防ぐために、特開昭50−151136号公報、特開昭57−63293号公報、特開昭60−73538号公報、特開昭61−67863号公報、特開平6−35174号公報等に記載されているような、支持体裏面に保護層を設ける処理を行うことができる。
【0027】
本発明に係る支持体の実施に際して使用できるアルミニウム支持体には、純アルミニウム、及びアルミニウム合金よりなる支持体が含まれる。アルミニウム合金としては様々なものが使用でき、たとえば、珪素、銅、マンガン、マグネシウム、クロム、亜鉛、鉛、ビスマス、ニッケル、チタン、ナトリウム、鉄等の金属と、アルミニウムの合金を、用いることができる。
【0028】
アルミニウム支持体は、粗面化に先立って、主としてアルミニウム表面の圧延油を除去するために、脱脂処理を施すことが好ましい。脱脂処理としては、トリクレン、シンナー等の溶剤をもちいる脱脂処理、ケロシン、トリエタノール等のエマルジョンを用いたエマルジョン脱脂処理等を用いることができる。また、脱脂処理には、苛性ソーダ等のアルカリの水溶液を用いることもできる。脱脂処理に苛性ソーダ等のアルカリの水溶液を用いた場合、上記脱脂処理のみでは除去できない汚れや酸化皮膜も、除去することができる。脱脂処理に苛性ソーダ等のアルカリの水溶液を用いた場合には、燐酸、硝酸、塩酸、硫酸、クロム酸等の酸、あるいはそれらの混酸に浸漬し、中和処理を施すことが好ましい。中和処理の次に電気化学的粗面化を行う場合、中和に使用する酸を、電気化学的粗面化に使用する酸に合わせることが特に好ましい。
【0029】
本発明において、粗面化は、酸性電解液中で交流電流を用いて粗面化を行う。酸性電解液としては、通常の電気化学的粗面化法に用いられるもの各種が使用できるが、塩酸系または硝酸系電解液を用いるのが好ましい。
【0030】
粗面化処理に際し、処理に必要な全電気量を一工程で連続的に通電して処理してもよく、また、適度な休止時間、もしくは電流密度を下げた電解処理進行が遅い時間を配して、数回に分割して行うこともできる。分割して粗面化を行う場合は、分割一工程での正の電気量を100C/dm2 以下とし、かつ休止時間もしくは電解処理の進行が遅い時間を0.6〜5秒とすることが好ましい。また、分割して粗面化を行う場合は、塩酸系電解液を用いるのが好ましく、これにより均一な砂目を形成することができる。
【0031】
硝酸系電解液を用いた粗面化を行う場合においては、印加される電圧は、1〜50Vが好ましく、5〜30Vがさらに好ましい。電流密度(ピーク値)は10〜200A/dm2 が好ましく、20〜150A/dm2 がさらに好ましい。電気量は全処理工程を合計して、好ましくは100〜2000C/dm2 、より好ましくは200〜1500C/dm2 、さらに好ましくは200〜1000C/dm2 である。温度は、10〜50℃が好ましく、15〜45℃がさらに好ましい。硝酸濃度は0.1〜5重量%が好ましく、0.5〜2.0重量%が特に好ましい。電解液には、必要に応じて硝酸塩、塩化物、アミン類、アルデヒド類、燐酸、クロム酸、ホウ酸、酢酸、シュウ酸等を加えることができる。
【0032】
塩酸系電解液を用いた粗面化を行う場合においては、印加される電圧は、1〜50Vが好ましく、5〜30Vがさらに好ましい。電流密度(ピーク値)は10〜200A/dm2 が好ましく、20〜150A/dm2 がさらに好ましい。電気量は全処理工程を合計して、好ましくは100〜2000C/dm2 、より好ましくは200〜1500C/dm2 、さらに好ましくは200〜1000C/dm2 である。温度は、10〜50℃が好ましく、15〜45℃がさらに好ましい。塩酸濃度は0.1〜5重量%が好ましく、0.5〜2.0重量%が特に好ましい。電解液には、必要に応じて硝酸塩、塩化物、アミン類、アルデヒド類、燐酸、クロム酸、ホウ酸、酢酸、シュウ酸等を加えることができるが、特に、酢酸を0.1〜5重量%加えることが好ましい。
【0033】
本発明の方法により粗面化された支持体は、表面のスマット等を取り除いたり、ピット形状をコントロールする等のため、酸またはアルカリの水溶液に浸漬して表面をエッチングすることが好ましい。いわゆるデスマット処理である。用いることができる酸としては、たとえば、硫酸、過硫酸、フッ酸、燐酸、硝酸、塩酸等が含まれ、用いることができる塩基としては、たとえば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が含まれる。これらの中でも、アルカリの水溶液を用いるのが好ましい。エッチング量としては、スマットを含めた重量減少量として、1.0〜3.0g/m2 が特に好ましい。上記処理をアルカリの水溶液で浸漬処理することで行った場合には、燐酸、硝酸、硫酸、クロム酸等の酸、あるいはそれらの混酸に浸漬し中和処理を施すことが好ましい。中和処理の次に陽極酸化処理を行う場合、中和に使用する酸を陽極酸化処理に使用する酸に合わせることが特に好ましい。
【0034】
粗面化処理の次に、陽極酸化処理を行うことは、好ましい態様である。陽極酸化処理は、一般に、硫酸またはリン酸または両者の混合水溶液を用いて、直流電解により行われる。電流密度1〜10A/dm2 で電解する方法が好ましく用いられるが、他に米国特許第1,412,768号明細書に記載されている、硫酸中で高電流密度で電解する方法や、米国特許第3,511,661号明細書に記載されている、燐酸を用いて電解する方法等がある。陽極酸化皮膜厚としては、0.5〜5.0g/m2 が好ましく、1.5〜3.5g/m2がさらに好ましい。生成するマイクロポアの密度としては、400〜700個/m2 が好ましく、400〜600個/m2 がさらに好ましい。
【0035】
必要に応じ、適宜後処理を行うことができる。たとえば、陽極酸化されたアルミニウム版には、必要に応じて封孔処理を施してもよい。封孔処理は、沸騰処理、水蒸気処理、珪酸ソーダ処理、重クロム酸塩水溶液処理、亜硝酸処理、酢酸アンモニウム処理等が挙げられる。さらに封孔処理の後に、親水性下塗層を設けても良い。親水性下塗層としては、米国特許第3,181,461号明細書に記載のアルカリ金属珪酸塩、米国特許第1,860,426号明細書に記載されている親水性セルロース、特開昭60−149491号公報、特開昭63−165183号公報に記載のアミノ酸及びその塩、特開昭60−232998号公報に記載の水酸基を有するアミン類及びその塩、特開昭62−19494号公報に記載の燐酸塩、特開昭59−101651号公報に記載のスルホ基を有するモノマー単位を含む高分子化合物等を挙げることができる。
【0036】
【実施例】
以下本発明の実施例について説明する。当然のことではあるが、本発明は以下の各実施例によって限定されるものではない。実施例とともに、比較例を述べる。
【0037】
厚さ0.24mmのアルミニウム板(材質1050、調質H16)を、50℃に保たれた1%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬し、溶解量が2.0g/m2 になるように溶解処理を行い水洗した後、25℃に保たれた次に行う電解処理と同組成の水溶液に10秒間浸漬し、中和処理を行い、その後水洗した。
【0038】
次いでこのアルミニウム板を、表1に示した条件、及び図1ないし図35に示した波形によって、電解粗面化処理を行った。この際の電解液の温度は25℃とし、電極とウェブ表面との距離は10mmとした。電解粗面化後は、50℃に保たれた1%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬し、粗面化された面のスマットを含めた溶解量が2.0g/m2 になるようにエッチングし、次いで25℃に保たれた10%硫酸水溶液中に10秒間浸漬し、中和処理した後、水洗した。次いで、20%硫酸水溶液中で、直流20Vの定電圧条件で電気量が150C/dm2 となるように陽極酸化処理を行い、支持体を得た。
【0039】
次に、それぞれの支持体に、表2に示した下記組成の感光性組成物塗布液1〜4を、ワイヤーバーを用いて塗布し、80℃で乾燥し、感光性平板印刷版を得た。このとき、感光性組成物塗布量としては、1.6g/m2 となるようにした。
【0040】
【0041】
【化1】
【0042】
【0043】
【化2】
【0044】
【0045】
【化3】
【0046】
安息香酸 0.02g
tーブチルフェノール樹脂(米国特許第4,123,279号の実施例に記載
されているもの) 0.01
オイルブルー#603(オリエント化学工業株式会社製) 0.04
4−〔p−N−(p−ヒドロキシベンゾイル)アミノフェニル〕−2,6−ビ
ス(トリクロロメチル)−S−トリジアン 0.02g
メガファックF177(大日本インキ化学工業(株)製) 0.02g
メチルエチルケトン 15.0g
メチルイソブチルケトン 5.0g
プロピレングリコールモノメチルエーテル 10.0g
【0047】
(ピットの均一性)
ピットの均一性とは、下記の大ピット中に小ピットが重畳して存在する構造をもつことをいう。評価方法としては、作製された支持体表面を倍率500のSEMを用いて写真撮影し、目視で良好/不良の判定を行った。ここで、大ピットとは全ピット中、開口径が2〜30μmのものを指し、小ピットとは全ピット中、開口径が0.1〜2μmのものを指す。0.1μm未満のピットは無視した。
【0048】
(ピットエッジの滑らかさ)
ピットの均一性と同様にSEM観察を行い、エッジ部が滑らかになっているかを目視で良好/不良を評価した。
【0049】
(水を絞った際の汚れ難さの評価)
表1に示すように感光性組成物を塗装して得られた印刷版に、ポジ画像の網点フィルムを重ね、4kWメタルハライドランプを用いて露光、SDR−1(コニカ(株)製)を水で6倍希釈した現像液で、27℃、20秒間現像後、SGW−3(コニカ(株)製)によりガム引きを行って、印刷機(三菱重工(株)製DAIYA1F−1)にかけ、コート紙、湿し水(東京インキ(株)製エッチ液SG−51、濃度1.5%)、インキ(東洋インキ製造(株)製ハイエコーM墨)を使用して印刷を行い、画像部の濃度を1.8にして印刷を行った。ここで湿し水配給量を抑えていった場合の汚れ難さを比較し、良好/不良の評価を行った。
【0050】
評価基準は、次のとおりである。
○汚れが生じなかった
△わずかに汚れた
×部分的〜全体的
【0051】
(ストップ汚れ性)
得られた平版印刷を、湿し水配給量を抑性しない以外は、上記「水を絞った際の汚れ難さの評価」と同様の条件で印刷し、5000枚刷った時点でいったん印刷機を停止し、1時間放置した後に印刷を再開し、発生した微点状の汚れを100cm2 内の個数で評価した。
【0052】
(ブランケット汚れ)
得られた平版印刷を、湿し水配給量を抑性しない以外は上記「水を絞った際の汚れ難さの評価」と同様の条件で印刷し、10,000枚刷った時点でいったん印刷機を停止してブランケット上の非画像部のインキによる汚れの程度を目視にて評価した。
【0053】
評価基準は、次のとおりである。
○ほとんど汚れていない
△やや汚れている
×著しく汚れている
【0054】
(アンダー現像性)
得られた平版印刷に対し、4kWメタルハライドランプで90cmの距離から60秒間全面露光を行い、SDR−1(コニカ(株)製)を水で9倍希釈した現像液で、27℃、20秒間現像した。現像後の版面上に現像インキPI−2(富士写真フィルム(株)製)をインキ盛りし、インキの付着具合を目視で評価した。
【0055】
評価基準は、次のとおりである。
○付着しない
△わずかに付着する
×著しく付着する
【0056】
(ボールペン残り)
実施例および比較例の印刷版に、荷重75gでボールペン(青インキ)を描画した後、4kWメタルハライドランプで90cmの距離から60秒間全面露光を行い、SDR−1(コニカ(株)製)を水で6倍希釈した現像液で、27℃、20秒間現像した。そして現像後の砂目判定は5点満点として、インキが完全に除去されない場合0点とした。
【0057】
(H液耐性)
実施例および比較例の印刷版に、100%網点(ベタ)、50%網点、及び、0.5〜5%までの小点をもつフィルム原稿を密着させ、4kWメタルハライドランプで90cmの距離から60秒間露光を行い、SDR−1(コニカ(株)製)を水で6倍希釈した現像液で、27℃、20秒間現像した。さらにこのサンプルに、フィルム原稿を使わない以外は前記と同条件で露光を行い、東京インキ(株)製H液SG−51の10%水溶液に、常温で1時間浸漬し、水洗乾燥した。そして、ベタおよび50%網点の形状変化と小点再現性を目視で評価した。
【0058】
評価基準は、次のとおりである。
ベタの変化 50%網点の形状変化
○形状変化なし ○ 形状変化なし
△わずかに欠陥が見られる △ わずかに点の形状が歪んでいる
×明らかに欠陥が見られる × 明らかに点の形状が歪んでいる
【0059】
小点再現性
0.5〜5%のうち、欠陥がなく点が保持されている最小の網点%のこと
【0060】
表2から理解されるように、本発明の実施例の試料は、ピットの均一性、ピットエッジの滑らかさ、水を絞った際の汚れ難さの評価、ストップ汚れ性、ブランケット汚れ、アンダー現像性、ボールペン残り、H液耐性のいずれについても、良好なものであった。これに対し、比較例では、良好な結果は得られなかった。なお、別途、図36〜図41に示す波形36〜41を適宜組み合わせて用いた場合も実施したが、本発明の手法によれば、同様に良好な結果が得られた。
【0061】
【表1】
【0062】
【表2】
【0063】
【発明の効果】
上記したように、本発明によれば、高品質の印刷物を安定的に製作できる感光性平版印刷版が得られる平版印刷版用支持体の作製方法を提供し、また、このような平版印刷版用支持体を提供し、また、このような感光性平版印刷版を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】使用した交番電流波形を示すものである(1)。
【図2】使用した交番電流波形を示すものである(2)。
【図3】使用した交番電流波形を示すものである(3)。
【図4】使用した交番電流波形を示すものである(4)。
【図5】使用した交番電流波形を示すものである(5)。
【図6】使用した交番電流波形を示すものである(6)。
【図7】使用した交番電流波形を示すものである(7)。
【図8】使用した交番電流波形を示すものである(8)。
【図9】使用した交番電流波形を示すものである(9)。
【図10】使用した交番電流波形を示すものである(10)。
【図11】使用した交番電流波形を示すものである(11)。
【図12】使用した交番電流波形を示すものである(12)。
【図13】使用した交番電流波形を示すものである(13)。
【図14】使用した交番電流波形を示すものである(14)。
【図15】使用した交番電流波形を示すものである(15)。
【図16】使用した交番電流波形を示すものである(16)。
【図17】使用した交番電流波形を示すものである(17)。
【図18】使用した交番電流波形を示すものである(18)。
【図19】使用した交番電流波形を示すものである(19)。
【図20】使用した交番電流波形を示すものである(20)。
【図21】使用した交番電流波形を示すものである(21)。
【図22】使用した交番電流波形を示すものである(22)。
【図23】使用した交番電流波形を示すものである(23)。
【図24】使用した交番電流波形を示すものである(24)。
【図25】使用した交番電流波形を示すものである(25)。
【図26】使用した交番電流波形を示すものである(26)。
【図27】使用した交番電流波形を示すものである(27)。
【図28】使用した交番電流波形を示すものである(28)。
【図29】使用した交番電流波形を示すものである(29)。
【図30】使用した交番電流波形を示すものである(30)。
【図31】使用した交番電流波形を示すものである(31)。
【図32】使用した交番電流波形を示すものである(32)。
【図33】使用した交番電流波形を示すものである(33)。
【図34】使用した交番電流波形を示すものである(34)。
【図35】使用した交番電流波形を示すものである(35)。
【図36】使用した交番電流波形を示すものである(36)。
【図37】使用した交番電流波形を示すものである(37)。
【図38】使用した交番電流波形を示すものである(38)。
【図39】使用した交番電流波形を示すものである(39)。
【図40】使用した交番電流波形を示すものである(40)。
【図41】使用した交番電流波形を示すものである(41)。
【符号の説明】
1〜41・・・(交番電流)の波形。
Claims (4)
- アルミニウム板を、交互に極性の変化する交番電流波形を用い、少なくとも2つの電解槽を有する酸性電解液中で複数回電解粗面化処理する平版印刷版用支持体の作製方法において、少なくとも1つの電解槽に対して使用する交番電流波形の形状が、他の電解槽に対して使用する交番電流波形の形状と異なり、且つ酸性電解液として塩酸及び酢酸の混合液を用いることを特徴とする平版印刷版用支持体の作製方法。
- 1つの電解槽の電流密度が、他の電解槽の電流密度より高いことを特徴とする請求項1記載の平版印刷版用支持体の作製方法。
- アルミニウム板を、交互に極性の変化する交番電流波形を用い、少なくとも2つの電解槽を有する酸性電解液中で複数回電解粗面化処理するとともに、少なくとも1つの電解槽に対して使用する交番電流波形の形状が、他の電解槽に対して使用する交番電流波形の形状と異なり、且つ酸性電解液として塩酸及び酢酸の混合液を用いて形成したことを特徴とする平版印刷版用支持体。
- 請求項3に記載の平版印刷版用支持体を陽極酸化処理して得た平版印刷版用支持体上に、感光性樹脂層を塗設して形成したことを特徴とする感光性平版印刷版。
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-
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