JPH0735710A - オージェ電子分光法による元素組成の定量方法 - Google Patents

オージェ電子分光法による元素組成の定量方法

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JPH0735710A
JPH0735710A JP5200134A JP20013493A JPH0735710A JP H0735710 A JPH0735710 A JP H0735710A JP 5200134 A JP5200134 A JP 5200134A JP 20013493 A JP20013493 A JP 20013493A JP H0735710 A JPH0735710 A JP H0735710A
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JP
Japan
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auger
sample
elemental composition
relative sensitivity
sensitivity coefficient
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Application number
JP5200134A
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Inventor
Yoshihiro Otsuka
良広 大塚
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Sumitomo Metal Mining Co Ltd
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Sumitomo Metal Mining Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 分析試料表面が、汚染変色,酸化された試料
中の元素組成を精度よく定量する方法を提供する。 【構成】 分析試料と同じ元素からなる系で元素組成が
既知な合金または化合物のオージェピーク強度から相対
感度係数を求めることを特徴とするオージェ電子分光
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、オージェ電子分光法に
よりスパッタリング処理を併用して分析試料中の元素組
成を定量する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】オージェ電子分光法では、電子線照射に
よって分析試料から放出されるオージェ電子のエネルギ
ースペクトルを測定する。オージェ電子のエネルギース
ペクトルは元素に固有であり、エネルギースペクトルを
出現するオージェピークから元素を同定し、オージェピ
ーク強度から元素組成を定量することができる。この
際、元素によってオージェピーク感度が異なるのでオー
ジェピークの強度差を補正する必要がある。補正因子に
はイオン化断面積,オージェ電子の脱出深さ,背面散乱
電子効果,オージェ遷移確率などあるが、これらの因子
は精度良く求められておらず、したがって精度の良い元
素組成の定量方法は確立されていない。このため一般に
は、簡便で比較的良い定量精度が得られる相対感度係数
法が広く用いられている。
【0003】相対感度係数法は、同一分析条件で種々の
元素単体の清浄表面を測定し、基準元素(通常はAg)
に対するオージェピーク強度の相対強度を相対感度係数
として用いる。例えば、CuとAgの単体で測定したオ
ージェピーク強度がそれぞれ50と100であった場
合、Agを基準元素としたCuの相対感度係数は、50
/100=0.5となる。元素組成が未知な分析試料を
定量する場合は、相対感度係数を求めた時と同じ分析条
件で、元素のオージェピーク強度を測定し、(1)式か
ら相対原子濃度C(単位at%)を求める。Iは元素組
成が未知の分析試料で測定したオージェピーク強度であ
り、Sは相対感度係数である。 C=(I/S)/Σ(I/S)×100 (1) 例えば、Ag−Cuから成る組成でオージェピーク強度
が各々100,50である時、Cuの相対原子濃度は
(50/0.5)/(50/0.5+100/1.0)
×100=50(at%)となる。
【0004】この定量方法は、分析試料表面が汚染,変
色,酸化された分析試料中の元素組成を定量する場合に
は、試料表面の汚染物質や自然酸化膜をスパッタリング
処理によって除去し、分析試料表面を清浄にしたのち構
成する元素のオージェピーク強度を測定する必要があ
る。しかし、スパッタリング処理の際に試料表面を構成
する元素のスパッタ率に差があると、スパッタ率の高い
元素が選択的にスパッタされ(選択スパッタリング効
果)、試料表面の元素組成とは異なる表面変質層が試料
表面に生成するため、従来の種々の元素単体の相対感度
係数から元素組成を求める相対感度係数法では定量精度
が低下するという問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、選択スパッ
タリング効果により生成する表面変質層を有する分析試
料中の元素組成を精度良く定量する方法を提供すること
を目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本方法は、分析試料と同
じ元素から成る系で元素組成が既知な合金または化合物
のオージェピーク強度から相対感度係数を求めることを
特徴とする。例えば、i,j元素から成る既知組成の試
料を用いて、i元素を基準としたj元素の相対感度係数
Sjを求める場合は、i,j元素の元素組成をCi,C
j、スパッタリング処理を施した表面のオージェピーク
強度をIi,Ijとすると(2)式から求められる。 Sj=(Ij×Ci)/(Ii×Cj) (2)
【0007】
【作用】本方法において、定量する分析試料の元素の相
対感度係数が分析試料と同じ元素から成る系の1つの合
金または化合物から求められるので相対感度係数の測定
を簡略化することができる。またイオン化断面積,オー
ジェ電子の脱出深さ,背面散乱電子効果,オージェ遷移
確率などと共に分析試料中のすべての元素に対して選択
スパッタリングの影響を補正できるので、選択スパッタ
リングによる表面変質層が生じても分析試料の元素組成
を精度良く定量することができる。定量するに際して
は、スパッタリング処理時におけるイオンビームのイオ
ン種,エネルギー、入射角度、またスペクトル測定時に
おける電子線加速電圧,変調電圧,エネルギー分散能な
どの条件によって相対感度係数が変化するので、これら
の条件は相対感度係数を測定する時と同じ条件に設定さ
れる。
【0008】
【実施例】以下に日本電子株式会社製のオージェ電子分
光装置(JAMP−7100型)を使用して、本方法を
実施した結果について説明する。実施例1〜3 既知組成のCuZnAl合金(化学分析値Cu=70.
6at%,Zn=19.4at%,Al=10.1at
%)に、ビームエネルギーを3keVとしてアルゴンイ
オンスパッタリング処理を施して表面を清浄化した後、
加速電圧を5kV,入射電流を1μA,エネルギー分解
能を0.5%としてCu,Zn,Alの各オージェピー
ク強度を測定した。各元素のオージェピーク強度Iと組
成Cを(2)式に代入し、Cuを基準とした相対感度係
数Sを求めると、SCu=1.000,SZn=0.40
0,SAl=0.488であった。
【0009】一方、Cu,Zn,Alの各元素単体から
従来の方法で求めた相対感度係数Sは、Cuを基準とす
るとSCu=1.000,SZn=0.744,SAl=0.
204である。
【0010】元素組成が未知である3種類のCuZnA
l合金について、アルゴンイオンスパッタリング処理を
施して表面を清浄化した後、Cu,Zn,Alの各オー
ジェピーク強度Iを測定し、(1)式を用いて元素組成
Cを定量した。また、3種類のCuZnAl合金を化学
分析した。表1に元素単体と既知組成のCuZnAl合
金からそれぞれ求めた相対感度係数を用いて元素組成を
定量した結果、及び化学分析により求めた元素組成を示
す。
【0011】
【表1】
【0012】表1より元素単体から求めた相対感度係数
で定量すると、Zn濃度が低くなってAl濃度が高くな
る傾向にあることがわかる。これは元素のスパッタ率に
差があるためであり、選択スパッタリング効果によって
Zn濃度の低い表面変質層が生成したと考えられる。一
方、既知組成のCuZnAl合金から求めた相対感度係
数を用いる本方法による定量値は化学分析値とよく一致
していることがわかる。
【0013】実施例4 SiNx/TbFeCo/SiNx/ガラス基板構造の
積層膜におけるTbFeCo層の組成を、既知組成のT
bFeCo薄膜から求めた相対感度係数で定量した例を
説明する。既知組成のTbFeCo薄膜(Tb=20.
6at%,Fe=72.6at%,Co=6.9at
%)にビームエネルギーを3keVとしてアルゴンイオ
ンスパッタリング処理を施して表面を清浄化した後、加
速電圧を3kV,入射電流を1μA,エネルギー分解能
を0.5%としてTb,Fe,Coの各オージェピーク
強度を測定した。(2)式を用いて、各元素の組成とオ
ージェピーク強度からFeを基準とした相対感度係数S
を求めると、STb=0.582,SFe=1.000,S
Co=1.024であった。
【0014】同じ条件で、未知組成の試料はアルゴンイ
オンスパッタリング処理によりSiNx表面からTbF
eCo層までスパッタした後、Tb,Fe,Coの各オ
ージェピーク強度を測定し、(1)式から元素組成を定
量した。表1に既知組成のTbFeCo薄膜から求めた
相対感度係数で元素組成を定量した結果、及び化学分析
により求めた元素組成を示す。
【0015】Tbなどの希土類元素単体については、吸
着や酸化などによって清浄表面を得るのが難しいため
に、相対感度係数が求められておらず、従来の方法では
TbFeCo薄膜の元素組成を定量することができなか
ったのに対し、本方法を用いれば、精度良く定量できる
ことがわかる。
【0016】
【発明の効果】本発明によれば、スパッタリング処理を
併用した深さ方向分析において、選択スパッタリング効
果により生成する表面変質層のオージェピーク強度から
元素組成を精度良く定量することができる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 オージェ電子分光法によりスパッタリン
    グ処理を施した清浄表面の元素組成を定量する方法にお
    いて、分析試料と同じ元素から成る系で元素組成が既知
    な合金または化合物のオージェピーク強度から相対感度
    係数を求めることを特徴とするオージェ電子分光法によ
    る元素組成の定量方法。
JP5200134A 1993-07-21 1993-07-21 オージェ電子分光法による元素組成の定量方法 Pending JPH0735710A (ja)

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JPH0735710A true JPH0735710A (ja) 1995-02-07

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ID=16419366

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008020386A (ja) * 2006-07-14 2008-01-31 Jeol Ltd オージェ電子分光による化学状態分析法及び装置

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008020386A (ja) * 2006-07-14 2008-01-31 Jeol Ltd オージェ電子分光による化学状態分析法及び装置

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