JP2009280531A - 金属フタロシアニンナノワイヤー及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】2価の銅塩とアンモニアにより形成される銅錯体を、固体担体の表面上に付着させて担持させる工程、ある特定の構造を有する金属フタロシアニンスルファモイル化合物の存在下に、無水フタル酸若しくはその誘導体とカルバミル尿素とを、該固体担体の表面上に担持された該銅錯体に反応させる工程、さらに、前記工程により得られる、金属フタロシアニンスルファモイル化合物を含有する銅フタロシアニンを有機溶剤中又は有機溶剤の雰囲気下で加熱する工程を含む製造方法による金属フタロシアニンナノワイヤーの提供。
【選択図】なし
Description
銅フタロシアニンと特定の構造を有する金属フタロシアニンスルファモイル化合物を含む金属フタロシアニンナノワイヤー及びその製造方法に関する。
また、特許文献2には、非導電性ナノワイヤーとして、幅が構成分子1個分〜1μmであり、長さが1nm〜500μmであり、有機モット絶縁体である非導電性ナノワイヤーが記載されており、前記有機モット絶縁体が、有機化合物の結晶を含む有機モット絶縁体である非導電性ナノワイヤーであること、前記有機化合物の結晶がフタロシアニン誘導体であることが記載されている。
2価の銅塩とアンモニアにより形成される銅錯体を、固体担体の表面上に付着させて担持させる工程、
ある特定の構造を有する金属フタロシアニンスルファモイル化合物の存在下に、無水フタル酸若しくはその誘導体とカルバミル尿素とを、該固体担体の表面上に担持された該銅錯体に反応させる工程、
さらに、前記工程により得られる、金属フタロシアニンスルファモイル化合物を含有する銅フタロシアニンを有機溶剤中又は有機溶剤の雰囲気下で加熱する工程
を含む製造方法が、極めて好適に、目的とする金属フタロシアニンナノワイヤーを提供することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
銅フタロシアニンと一般式(1)
を表し、a、b、c及びdは、各々独立に0〜2の整数を表すが、そのうち少なくとも一つは1である。)
で表される金属フタロシアニンスルファモイル化合物を含む金属フタロシアニンナノワイヤー、及び
(1)2価の銅塩とアンモニアにより形成される銅錯体を、固体担体の表面上に付着させて担持させる第一工程、
(2)第一工程の後、一般式(1)
を表し、a、b、c及びdは、各々独立に0〜2の整数を表すが、そのうち少なくとも一つは1である。)
で表される金属フタロシアニンスルファモイル化合物の存在下に、無水フタル酸若しくはその誘導体とカルバミル尿素とを、該固体担体の表面上に担持された該銅錯体に反応させる第二工程、
(3)第二工程により得られる、前記一般式(1)で表される金属フタロシアニンスルファモイル化合物を含有する銅フタロシアニンを有機溶剤中又は有機溶剤の雰囲気下で加熱する第三工程
を含む該金属フタロシアニンナノワイヤーの製造方法に関する。
そして、本発明の金属フタロシアニンナノワイヤーは、銅フタロシアニンと金属フタロシアニンスルファモイル化合物から成るものであっても、例えばフタロシアニンスルホン酸のようなフタロシアニン誘導体を含むものであっても、好適に用いることができるが、好ましくは、銅フタロシアニンと金属フタロシアニンスルファモイル化合物から成るものを挙げることができる。
で表される金属フタロシアニンスルファモイル化合物は、フタロシアニン環が少なくとも1個以上のスルファモイル基で置換された化合物を挙げることができる。導入されるスルファモイル基は、フタロシアニン環1個あたり少なくとも1個であれば特に限定なく用いることができるが、好ましくは1または2個、より好ましくは1個である。置換される位置は、特に限定はない。フタロシアニンと錯体を形成する金属原子Xとしては、特に限定はないが、好ましい金属原子として、Xは銅、亜鉛、コバルト、ニッケル及び鉄からなる群から選ばれるいずれか一種の金属原子を挙げることができる。
であるアルキレンオキシドコポリマーであり、カラーフィルター用顔料組成物で用いる溶剤に応じて、その親水性や親油性を最適化するのが望ましい。ここで、Q’は、炭素数1〜30に非環状炭化水素基として、直鎖状炭化水素基でも分岐状炭化水素基でもどちらでもよく、炭化水素基は、飽和炭化水素基でも不飽和炭化水素基のどちらでもよい。このような非環状炭化水素基として、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−エチル−ヘキシル基、n−ドデシル基、ステアリル基、n−テトラコシル基、n−トリアコンチル基等の直鎖状或いは分岐状飽和炭化水素基を挙げることができる。
の環Aがベンゼン環である場合に、その他の部位にハロゲン原子やアルキル基等の官能基が導入されているものでもよい。
その後、該粒子をろ過し、目的とする銅−アンミン錯体がシリカゲルに担持した固体粒子が得られる。ろ過後、次の反応工程で用いるために、得られた粒子を減圧乾燥等により乾燥を行っても、或いは乾燥を行わないでそのまま次反応工程に用いてもよい。
該担持させる工程の反応温度は、通常0〜100℃、好ましくは20〜50℃を挙げることができるが、これに限られるものではない。該担持反応は非常に速やかであり、銅−アンミン錯体が固体担体に接触したとほぼ同時に終了する。
反応は、通常水中で行うことが好ましいが、有機溶剤を含む水溶液中でも行うこともできる。本発明に用いることのできる有機溶剤は、担持に影響を与える有機溶剤であれば、特に制限なく用いることができるが、水溶性である有機溶剤が好ましく、このような有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール等のアルコール類、アセトン等のケトン類を挙げることができる。
上述の銅塩の担持工程に引き続いて、金属フタロシアニンスルファモイル化合物を担持する。例えば、前記で得られた銅−アンミン錯体を、金属フタロシアニンスルファモイル化合物を溶解せしめる有機溶剤、例えばアセトンに投入して溶解せしめた後に、穏やかに攪拌して、エバポレーターで有機溶剤を留去させ、真空中で乾燥させることにより金属フタロシアニンスルファモイル化合物が担持された銅−アンミン錯体複合粒子を得ることができる。
本発明における銅フタロシアニンの合成は、無水フタル酸若しくはその誘導体から選択された物質と、カルバミル尿素とを、固体担体の表面上に担持された銅塩と反応せしめる反応工程によってなされる。その際に、一般式(1)で表される金属フタロシアニンスルファモイル化合物の存在下に反応を行う。
グリコール系溶剤が好ましい理由として本発明のフタロシアニンをナノワイヤー化させるための一方向の結晶成長を促進させる作用を挙げることができる。ここで、グリコール系溶剤以外の溶剤、例えばトルエンやキシレンなどの芳香族系有機溶剤を用いると結晶成長の促進作用が大きすぎて長径方向だけでなく、短径方向の結晶成長を促進し、フタロシアニンは粗大な針状結晶に成長する。アセトンやヘキサンなどの低沸点有機溶剤では結晶成長の促進作用が小さすぎてフタロシアニンは微細粒子化し、本発明のナノワイヤーは得られない。またグリコール系溶剤は本発明で用いる金属フタロシアニンスルファモイル化合物の側鎖(化4)との親和性が高く、該溶剤もしくは該溶剤雰囲気下での加熱後、固体担体から脱離して、フタロシアニンナノワイヤーを回収する上でも好適である。
本発明により得られる金属フタロシアニンナノワイヤーは、安定性の高い導電性を有するナノサイズ径の細線材料として、例えばナノデバイスの配線材料として利用可能である。
ポリエーテルモノアミンとして、アメリカ合衆国Huntsman Corporation製「Surfonamine B−200」(商品名)(第一アミン−末端ポリ(エチレンオキシド/プロピレンオキシド)(5/95)コポリマー、数平均分子量約2,000)692部と炭酸ナトリウム66部と水150部の混合物に、銅フタロシアニンスルホニルクロリド(スルホン化度=1)210部を投入し、5℃〜室温で6時間反応させた。得られた反応混合物を真空下で90℃に加熱して水を除去し、式(3)で表される銅フタロシアニンスルファモイル化合物を得た。
(実施例1)
<銅−アンモニア錯体水溶液調整工程>
硝酸銅(II)三水和物(和光純薬工業(株)社製)7.92gを蒸留水100mlに溶解させ、次いで28%アンモニア水(和光純薬工業(株)社製)を7.0g添加して銅−アンモニア錯体水溶液を調整した。
<担持工程>
続いて青色の該銅−アンモニア錯体水溶液に白色のシリカ粒子としてワコーシルC−200(和光純薬工業(株)社製)50.0gを投入し、撹拌後、静置したところ、該錯体水溶液中の銅成分が該シリカ粒子表面に沈殿した薄青色銅−シリカ複合粒子が得られた。ここでシリカ粒子投入後の水溶液はほぼ無色透明であり、水溶液中に該銅−アンミン錯体の残余がないことを確認した。該銅−シリカ複合粒子をろ過して回収した後、真空乾燥機にて一昼夜乾燥した。
<一般式(1)で表される金属フタロシアニンスルファモイル化合物の担持工程>
一般式(1)で表される金属フタロシアニンスルファモイル化合物のうち、下記式(3)
で表される銅フタロシアニンスルファモイル化合物5.65gを溶解したアセトン(和光純薬工業(株)社製)300mLに、先に調製した銅−シリカ複合粒子の全量を投入し、2時間緩やかに攪拌した後、ロータリーエバポレーターを用いてアセトンを留去させて、真空乾燥機にて一昼夜乾燥することにより、式(4)で表される銅フタロシアニンスルファモイル化合物が担持された銅−シリカ複合粒子を得た。
<反応工程>
次に、担持工程で得られた銅−シリカ複合粒子を500mlの丸底フラスコに投入し、次いで、フタルイミド(和光純薬工業(株)社製)10.0g、カルバミル尿素(和光純薬工業(株)社製)17.0gを投入し、半月板形の撹拌羽根を用いて撹拌しながらオイルバスを用いて丸底フラスコの内容物を加熱し、180℃に到達後、そのままの温度で2時間反応を継続して、シリカ粒子に担持された銅フタロシアニンを得た。
<精製工程>
続いて濃度2Nの塩酸水(和光純薬工業(株)社製)50gと蒸留水200gを投入し、1時間撹拌した。その後、シリカ粒子に担持された銅フタロシアニンを含む該水分散液を濾紙(5C)を用いて減圧濾過し、さらに濾残の該粒子を水洗およびアセトン洗浄した後、真空乾燥機にて乾燥した。
<熟成工程>
続いて乾燥した該銅フタロシアニン担持シリカ粒子を500ml丸底フラスコに投入し、さらにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(和光純薬工業(株)社製)を450g投入し、半月板形の撹拌羽根を用いて撹拌しながらオイルバスを用いて丸底フラスコの内容物を加熱し、145℃に到達後、そのままの温度で1時間加熱を継続した。
<銅フタロシアニン回収工程>
1時間の加熱の後、シリカ粒子に担持されていた銅フタロシアニンが剥離してプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート中に分散し、濃青色に変色していることを確認し、室温まで冷却した後に、38μmのステンレス製メッシュフィルターを用いてシリカ粒子と銅フタロシアニンが分散したプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを分離回収した。
ここで得られた分散液を透過型電子顕微鏡を用いて観察したところ、短径が10nm程度前後で長径が短径の10倍以上にまで成長したナノワイヤー形状を有することが確認された(図1)。
実施例1において、一般式(1)で表される銅フタロシアニンスルファモイル化合物の代わりに、下記式(4)
実施例1において、銅フタロシアニンスルファモイル化合物を担持しなかった場合には、実施例1と同様の方法で有機溶剤中で加熱を行ったが、銅フタロシアニンが固体担体から剥離せず、ナノワイヤーは得られなかった。
(比較例2)
実施例1において、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの代わりに、キシレンを使用したところ、銅フタロシアニンが固体担体からほとんど剥離せず、また剥離物を透過型電子顕微鏡を用いて観察したところ、粗大な針状結晶にまで成長しており、ナノワイヤーは得られなかった。
Claims (6)
- 前記一般式(1)で表される金属フタロシアニンスルファモイル化合物が、銅フタロシアニンスルファモイル化合物である請求項1に記載の金属フタロシアニンナノワイヤー。
- (1)2価の銅塩とアンモニアにより形成される銅錯体を、固体担体の表面上に付着させて担持させる第一工程、
(2)第一工程の後、一般式(1)
を表し、a、b、c及びdは、各々独立に0〜2の整数を表すが、そのうち少なくとも一つは1である。)
で表される金属フタロシアニンスルファモイル化合物の存在下に、無水フタル酸若しくはその誘導体とカルバミル尿素とを、該固体担体の表面上に担持された該銅錯体に反応させる第二工程、
(3)第二工程により得られる、前記一般式(1)で表される金属フタロシアニンスルファモイル化合物を含有する銅フタロシアニンを、有機溶剤中又は有機溶剤の雰囲気下で加熱する第三工程
を含む前記金属フタロシアニンナノワイヤーの製造方法。 - 前記固体担体が、二酸化珪素である請求項3に記載の金属フタロシアニンナノワイヤーの製造方法。
- 前記有機溶剤が、グリコール、グリコールエーテル系又はグリコールエステル系溶剤である請求項3または4に記載の金属フタロシアニンナノワイヤーの製造方法。
- 前記有機溶剤が、グリコールエステル系溶剤であって、加熱温度が100〜200℃である請求項3乃至5のいずれかに記載の金属フタロシアニンナノワイヤーの製造方法。
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