JP5387116B2 - 金属フタロシアニンナノワイヤー及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明はフタロシアニンナノワイヤー及びその製造方法に関する。
金属フタロシアニンナノワイヤーとして、特許文献1に、導電性ナノワイヤーの製造装置および製造方法について、幅が構成分子1個分〜1μmで、長さが1nm〜500μmであり、π電子系を持つ有機化合物から成る有機伝導体を構成分子として含む分子集合体について記載があり、π電子を含む有機伝導体が、テトラフェニルホスホニウム・ジシアノコバルト(III)フタロシアニンであることが記載されている。また、該導電性ナノワイヤーの製造方法として、2本の電極と、電極液と2本の電極とを保持する電極セルとを含み、前記2本の電極の間隔が1nm〜100μmであり、前記電極セルに分子集合体を構成する分子を含む電極液を保持させ、電極液と前記2本の電極とが接触した状態で前記2本の電極に電圧を印加することにより分子集合体を製造することが記載されている。
また、特許文献2には、非導電性ナノワイヤーとして、幅が構成分子1個分〜1μmであり、長さが1nm〜500μmであり、有機モット絶縁体である非導電性ナノワイヤーが記載されている。前記有機モット絶縁体は、有機化合物の結晶を含む有機モット絶縁体である非導電性ナノワイヤーであること、前記有機化合物の結晶がフタロシアニン誘導体であることが記載されている。
一方、フタロシアニン化合物は印刷インキや塗料、プラスチック着色剤等に用いられる顔料として重要な有機化合物であり、その分子中に銅、亜鉛、コバルト、ニッケル、鉄などの金属原子を含む金属フタロシアニンは極めて重要な有機顔料である。
このような金属フタロシアニンの合成方法としては、使用する主な原料種の観点から、フタロニトリル化合物若しくはその誘導体と金属塩等を原料とするフタロジニトリル法や、無水フタル酸若しくはその誘導体と、尿素若しくはその誘導体とを、金属塩等と共にモリブデン化合物等の触媒存在下で反応させるワイラー法が知られている。
合成された金属フタロシアニンは、該金属フタロシアニンに無機塩と有機溶剤を混ぜて磨砕装置により顔料を細かく砕いて微粒子化するソルベントソルトミリング法(例えば、特許文献3参照)や、該金属フタロシアニンを硫酸に溶解させた後に大量の水中に沈殿させる晶析法(例えば、特許文献4参照)などにより、微細粒子化されて、印刷インキの塗料用着色剤として使用され得るものの、これらの方法を用いて金属フタロシアニンのナノワイヤーを得ることはできなかった。
WO2003/076332号公報 特開2007−000991号公報 特開2002−121420号公報 特開2004−91560号公報
本発明が解決しようとする課題は、金属フタロシアニンを含むナノワイヤーと、それを製造するための工業的に優れた製造方法を提供することにある。
本発明者らは、側鎖としてポリマー鎖を有する金属フタロシアニンスルファモイル化合物の存在下で金属フタロシアニンの結晶成長を試みたところ、フタロシアニン環の環状面に対し水平方向への結晶成長が抑制され、一方向(環状面と垂直方向)にのみ結晶成長が促され、これにより金属フタロシアニンがナノワイヤー化される現象を見いだした。さらに本発明者らはこの現象をもとに工業的に優れた金属フタロシアニンナノワイヤーの製造方法、該製造方法により得られる新規な金属フタロシアニンナノワイヤーを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、
(1)金属フタロシアニンと金属フタロシアニンスルファモイル化合物とを析出させて、複合体を得る工程(a)と、
(2)前記複合体を微粒子化して、微粒子化複合体を得る工程(b)と、
(3)前記微粒子化複合体を有機溶媒に分散させて分散体を得る工程(c)と、
(4)前記分散体を加熱してナノワイヤー化する工程(d)と
を有することを特徴とする金属フタロシアニンナノワイヤーの製造方法を提供する。
また、本発明は、金属フタロシアニンと金属フタロシアニンスルファモイル化合物とを有する複合体からなることを特徴とする金属フタロシアニンナノワイヤーを提供する。
本発明は、金属フタロシアニンと特定の構造を有する金属フタロシアニンスルファモイル化合物を含む新規な金属フタロシアニンナノワイヤー、それを製造するための工業的に優れた製造方法を提供することができる。
実施例1の工程(b)(水分散工程)で得られた微粒子化複合体の透過電子顕微鏡写真。 実施例1で得られた銅フタロシアニンナノワイヤーの透過電子顕微鏡写真。 実施例2で得られた銅フタロシアニンナノワイヤーの透過電子顕微鏡写真。 実施例3で得られた銅フタロシアニンナノワイヤーの透過電子顕微鏡写真。 実施例4で得られた銅フタロシアニンナノワイヤーの透過電子顕微鏡写真。 比較例1で得られた銅フタロシアニン粒子の透過電子顕微鏡写真。 実施例1で得られた銅フタロシアニンナノワイヤーのX線回折チャート。
本発明の金属フタロシアニンナノワイヤーは、金属フタロシアニンと金属フタロシアニンスルファモイル化合物を含む固体であることに特徴を有する。ここで、本発明でいうナノワイヤーとは、その短径、すなわち、ワイヤーの幅がナノサイズの細線状の結晶構造を有する分子集合体であれば特に制限はないが、好ましくは分子1個分から500nm、より好ましくは10nmから200nm、さらに好ましくは10nmから20nm以下であり、一方、長径、すなわち、ワイヤーの長さとの比率が長径:短径の比で2以上、より好ましくは5以上、最も好ましくは10以上である。
そして、本発明の金属フタロシアニンナノワイヤーは、金属フタロシアニンと金属フタロシアニンスルファモイル化合物から成るものであっても、例えばフタロシアニンスルホン酸のようなフタロシアニン誘導体を含むものであっても、好適に用いることができるが、好ましくは、金属フタロシアニンと金属フタロシアニンスルファモイル化合物から成るものを挙げることができる。
本発明に用いられる金属フタロシアニンは、フタロシアニンの中心に銅、亜鉛、コバルト、ニッケル、鉄などの金属原子が配位して形成される公知慣用の金属フタロシアニンである。
本発明に用いられる金属フタロシアニンスルファモイル化合物は、スルホニル基を介して側鎖にポリマー鎖を有する金属フタロシアニン化合物であれば特に限定されるものではないが、好ましくは一般式(1)
で表される金属フタロシアニンスルファモイル化合物を挙げることができる。
該金属フタロシアニンスルファモイル化合物は、フタロシアニン環が少なくとも1個以上のスルファモイル基で置換された化合物を挙げることができる。導入されるスルファモイル基は、フタロシアニン環1個あたり少なくとも1個であれば特に限定なく用いることができるが、好ましくは1または2個、より好ましくは1個である。置換される位置は、特に限定はない。
フタロシアニンと錯体を形成する金属原子Xとしては、金属フタロシアニンの中心金属として公知慣用であれば特に限定はないが、好ましい金属原子として、銅、亜鉛、コバルト、ニッケル、及び鉄から選ばれるいずれか一種の金属原子を挙げることができる。
一般式(1)のYは数平均分子量1000以上のポリマー鎖であれば特に制限は無いが、より好ましくは1000以上10000以下であり、アルキル基やビニル化合物の重合体からなるポリマーやウレタン結合やエステル結合、エーテル結合を有するポリマーなどを挙げることができる。最も好ましい本発明の鎖状化合物Yとして、一般式(2)
で記載されるポリアルキレンオキシドコポリマーを挙げることができる。一般式(2)はエチレンオキシドポリマーおよびエチレンオキシド/プロピレンオキシドコポリマーなどのあらゆるポリアルキレンオキシドであり、ブロック重合したものでも、ランダム重合したものでも用いることができる。ここで、Q’は、炭素数1〜30に非環状炭化水素基として、直鎖状炭化水素基でも分岐状炭化水素基でもどちらでもよく、炭化水素基は、飽和炭化水素基でも不飽和炭化水素基のどちらでもよい。このような非環状炭化水素基として、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−エチル−ヘキシル基、n−ドデシル基、ステアリル基、n−テトラコシル基、n−トリアコンチル基等の直鎖状或いは分岐状飽和炭化水素基を挙げることができる。
また、直鎖状或いは分岐状不飽和炭化水素基としては、炭化水素基が二重結合または三重結合を有してもよく、例えば、ビニル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、イソプレン基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、デセニル基、ゲラニル基、エチニル基、2−プロピニル基、2−ペンテン−4−イニル基等の直鎖状或いは分岐状不飽和炭化水素基を挙げることができる。
ポリアルキレンオキシド部分の繰り返し数nは4以上100以下であることが好ましく、より好ましくは5以上80以下、更により好ましくは10以上50以下である。繰り返し数nは4未満では分散媒との親和性が不足し、100を超えると分散安定性が低下する傾向がある。
本発明で用いる一般式(1)で表される金属フタロシアニンスルファモイル化合物は、公知慣用の方法を注意深く組み合わせることにより、例えば、銅フタロシアニンスルホニルクロライドとポリエーテル主鎖の末端にアミンを持つポリエーテルアミン(以下、「ポリエーテルモノアミン」と略記)とを反応させて製造できる。原料となる銅フタロシアニンスルホニルクロライドは、銅フタロシアニンとクロロスルホン酸および/または塩化チオニルとの反応により得ることができる。他方の原料であるポリエーテルモノアミンは、公知慣用の方法で得ることができる。例えば、ポリエーテル骨格の末端にある水酸基をニッケル/銅/クロム触媒を用いて還元的にアミノ化することにより得ることができるし、ポリエーテル骨格の末端にある水酸基を光延反応(参考文献:Synthesis,1−28(1981))によりイミド化したのち、ヒドラジン還元によりアミノ化(参考文献:Chem.Commun.,2062−2063(2003))することにより得ることができる。ポリエーテルモノアミンは市販品としても提供されており、例えばアメリカHuntsman Corporationから「JEFFAMINE(商品名)Mシリーズ」がある。
本発明で用いられる一般式(1)で表される金属フタロシアニンスルファモイル化合物としては、例えば以下の一般式(3)の化合物が挙げられるが、これに限定されるわけではない。
(但し、式中、Qは水素原子またはメチル基、Q’は炭素数1〜30の非環状炭化水素基を表し、nは平均値で35である。)
次に、本発明の金属フタロシアニンナノワイヤーの製造方法について説明する。
<工程(a)>
本発明の金属フタロシアニンナノワイヤーの製造方法では、まず前記金属フタロシアニンと前記金属フタロシアニンスルファモイル化合物とを硫酸、塩酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸等の溶媒に溶解させる。その後に水に投入して該金属フタロシアニンと金属フタロシアニンスルファモイル化合物の複合体を析出させる。
ここで、該金属フタロシアニンスルファモイル化合物の該金属フタロシアニンに対する混合比は5%から200%の範囲に好ましく、さらに好ましくは30%から120%である(なお、%は質量基準であり、以下特に断りが無い限り同様である。)。混合比が5%以下の場合は、該複合体は後述する工程を経ても、ナノワイヤー化しづらい傾向にあり微細粒子となりやすく、一方、200%を超える場合もナノワイヤー化しづらい傾向にありアモルファス状態もしくは粒子状となりやすい。
該金属フタロシアニンと金属フタロシアニンスルファモイル化合物の溶媒に対する添加量は20%以下が好ましい。20%を超える場合は該金属フタロシアニンと該金属フタロシアニンスルファモイル化合物の一部が溶媒に未溶解のまま残留する場合がある。
該金属フタロシアニンと金属フタロシアニンスルファモイル化合物とを溶解させた溶液を水に投入して該金属フタロシアニンと金属フタロシアニンスルファモイル化合物の複合体を析出させる際、該溶液と水の混合に関しては、0.01%から50%の範囲が好ましい。0.01%以下の場合は析出する該複合体が著しく希薄であるため、回収が困難であり、50%以上の場合は析出が不十分で回収が困難となる場合がある。
前記工程(a)で得られた金属フタロシアニンと金属フタロシアニンスルファモイル化合物の複合体は透過型電子顕微鏡による観察結果から、アモルファス状態で該金属フタロシアニンと該金属フタロシアニンスルファモイル化合物とが均一に複合化していることを確認した。
該複合体はろ紙および、ブルナーロートを用いてろ過し、硫酸水を除去するともに、ろ液が中性になるまで水洗して、含水した該複合体を回収することができる。回収した複合体は、脱水・乾燥して水分を除去するか、または次工程において湿式分散法にて微粒子化する場合には、含水状態のままであってもよい。
<工程(b)>
前記工程(a)を経て得られた複合体を微粒子化することができれば、その方法は特に限定されるものではないが、湿式分散法で前記複合体を微粒子化することが好ましい。
例えば、工程(a)で得られた含水複合体をビーズミル、ペイントコンディショナーなどを用いて湿式分散して、該複合体を微粒子化する。ここで該複合体の水に対する重量比に関しては特に制限はないが、分散効率の観点から、含水複合体に含まれる水分を計測するなどして、固形分濃度を1%から30%の範囲で分散処理することが好ましい。分散処理にはジルコニアビーズなどの微小メディアの使用が好ましく、該複合体の微粒子化の程度を鑑みて、そのビーズ径は0.01mmから2mmの範囲にあると考えてよい。また微小メディアは微粒子化する該複合体の水分散体に対して100%から1000%の範囲が最も好適に微粒子化できる。
なお、得られた微粒子化複合体の水分散液を脱水、乾燥して水分を除去することが好ましい。脱水、乾燥の方法については特に制限はないが、ろ過や遠心分離、ロータリーエバポレーター等による蒸発を挙げることができる。さらに脱水後、さらに真空乾燥機などを用いて水分を完全に除去するまで乾燥することが好ましい。
<工程(c)>
工程(b)を経て得られた微粒子化複合体を有機溶媒に分散させる。該有機溶媒に関しては金属フタロシアニンとの親和性が低いものでなければ特に制限はないが、例えば、金属フタロシアニンとの親和性が高いアミド系溶媒が挙げられ、具体的には、金属フタロシアニンと特に親和性が高いN,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドンを最も好適な有機溶媒として挙げることができる。上記アミド系有機溶媒は単独で用いることもできるが、他の有機溶媒と併用して用いることもできる。アミド系有機溶媒と併用できる有機溶媒としては、後述する加熱工程においてナノワイヤー化を促進させることができる点からエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどのグリコールエステル類を挙げることができる。グリコールエステル類は、微粒子化複合体をアミド系有機溶媒に分散させた後に添加してもよいし、予め上記アミド系有機溶媒と混合してから微粒子化複合体を添加し分散させてもよい。
最も好ましい微粒子化複合体の分散方法としては、まず、該微粒子化複合体をアミド系有機溶媒に分散させておく。これはアミド系有機溶媒と金属フタロシアニンの親和性が高いため、ビーズミルなどを用いて高剪断をかけなくても、撹拌もしくは振とうのみで分散できるためである。しかる後、加熱工程においてナノワイヤー化を促進させるため、グリコールエステル類を添加する。この際、分散する微粒子化複合体に対するグリコールエステル類を含む有機溶媒の添加量に関しては、適当な流動性を有し、かつ、凝集防止の観点から、0.1%から20%の範囲にあり、さらに好ましくは1%から5%である。また該有機溶媒に含まれるグリコールエステル類の添加量は、10%から90%の範囲にあり、さらに好ましくは50%から80%の範囲にある。
<工程(d)>
工程(c)を経て得られた微粒子化複合体の有機溶媒分散液を加熱することにより、金属フタロシアニンのナノワイヤーが製造できる。ここで加熱温度は、100℃から200℃の範囲が好ましく、さらに好ましくは120℃から160℃の範囲と考えてよい。加熱温度が100℃よりも低い場合は該ナノワイヤーが成長せず、長さが100nmに満たない金属フタロシアニンが多くなる傾向にあり、200℃以上の場合はナノワイヤーの凝集、融着により、粗大化する傾向が見られる。また加熱時間には特に限定は無いが、金属フタロシアニンナノワイヤーの長さが100nm以上に成長するまでに、少なくとも10分以上加熱することが好ましい。
前記の工程(a)から工程(d)まで処理することにより、短径が20nm以下であり、長径、すなわち、ワイヤーの長さとの比率が長径:短径の比で10以上である金属フタロシアニンナノワイヤーを製造することができる。金属フタロシアニンと金属フタロシアニンスルファモイル化合物が工程(a)の晶析で複合化され、さらに工程(b)の微粒子化複合体を経て、工程(d)でナノワイヤー化する機構に関しては必ずしも明確ではないが、工程(b)で得られる微粒子化複合体の粒子径が10nmから20nmであり(図1参照)、該微粒子化複合体粒子が工程(d)の加熱により、金属フタロシアニンの結晶面方向に連結して、一方向にのみ結晶成長することにより、ナノワイヤー化するものと推測できる。この際、工程(c)の有機溶媒は金属フタロシアニンの良分散媒として機能しており、グリコールエステル類の添加も、良分散媒としての機能をあえて抑制することによって一方向結晶成長を誘発してナノワイヤー化をより促進しているものと考えられる。グリコールエステル類を加えずに加熱した場合は有機溶剤の結晶成長の促進作用が大きすぎて結晶面方向、すなわち、長径方向だけでなく、短径方向の結晶成長をも促進する傾向にあり、例えば、長時間加熱した場合に粗大な針状結晶に成長する場合もあるため、加熱時間と加熱温度のコントロールが極めて難しくなることがある。
本発明の金属フタロシアニンナノワイヤーは、金属フタロシアニンスルファモイル化合物に由来する溶媒親和性の高いポリマー鎖を有することから、溶媒に対する分散性、分散安定性が高く、塗布成膜性に優れることから塗布用途に好ましく供することができる。本発明により得られる金属フタロシアニンナノワイヤーは例えばナノデバイスの配線材料として利用可能である。
以下、実施例等により、本発明をさらに詳細に説明する。
(製造例1)
ポリエーテルモノアミンとして、アメリカ合衆国Huntsman Corporation製「Surfonamine B−200」(商品名)(第一アミン−末端ポリ(エチレンオキシド/プロピレンオキシド)(5/95)コポリマー、数平均分子量約2,000)692部と炭酸ナトリウム66部と水150部の混合物に、銅フタロシアニンスルホニルクロリド(スルホン化度=1)210部を投入し、5℃〜室温で6時間反応させた。得られた反応混合物を真空下で90℃に加熱して水を除去し、式()で表される銅フタロシアニンスルファモイル化合物を得た。
本化合物において、プロピレンオキシド/エチレンオキシド=29/6(モル比)、nの平均値=35である。
(実施例1)
・工程(a)(晶析工程):
銅フタロシアニン(DIC(株)製、Fastogen Blue 5380E)1.54gと金属フタロシアニンスルファモイル化合物のうち、下記式(
(但し、式中、Qは水素原子またはメチル基を表し、プロピレンオキシド/エチレンオキシド=29/6(モル比)、nの平均値=35である。)で表される銅フタロシアニンスルファモイル化合物0.46gを濃硫酸(関東化学(株)製)78gに投入して完全に溶解させ、濃硫酸溶液を調製した。続いて蒸留水720gを1000mlのビーカーに投入し、これを氷水で十分、冷却した後、該蒸留水を撹拌しながら、先に調製した濃硫酸溶液を投入し、銅フタロシアニンと()式で表される銅フタロシアニンスルファモイル化合物をとからなる複合体を析出させた。
・工程(a)(洗浄工程):
続いて得られた該複合体をろ紙を用いてろ過し、蒸留水および、水酸化ナトリウム水溶液(1N)を用いて十分に洗浄し、含水した該複合体を回収した。この含水複合体の重量を測定したところ、16.45gであった。
・工程(b)(水分散工程):
工程(a)で得られた銅フタロシアニンと()式で表される銅フタロシアニンスルファモイル化合物からなる複合体2.0gを含む含水複合体16.45gを容量100mlのポリプロピレン製容器に投入し、さらに蒸留水を3.55g加えて、該複合体の水に対する重量比を10%とし、次いでφ0.5mmのジルコニアビーズ50gを加えて、ペイントシェイカーを用いて2時間、微分散した。ここで得られた微分散処理した該複合体を透過型電子顕微鏡で観察したところ、直径10〜20nmの微粒子であることが確認された(図1)。
・工程(b)(脱水・乾燥):
分散処理後の微粒子化複合体を回収し、さらにポリプロピレン容器およびジルコニアビーズに付着した該微粒子化複合体も蒸留水で洗い流しながら全量回収し、ロータリーエバポレーターを用いて水を留去させて、真空乾燥機にて一昼夜乾燥することにより水分を除去した微粒子化複合体を得た。
・工程(c)(有機溶媒への分散工程)
乾燥した微粒子化複合体から1g分取し、100mlナスフラスコに投入して、さらにN−メチル−2−ピロリドン(和光純薬工業(株)社製)を19g投入して室温でマグネチックスラーラーを用いて8時間撹拌した。8時間後、微粒子化複合体はN−メチル−2−ピロリドンに完全に分散していることを確認した。次いでプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(和光純薬工業(株)社製)を60gを追加投入し、さらに1時間撹拌を継続した。
・工程(d)(ナノワイヤー化工程)
該微粒子化複合体を分散したN−メチル−2−ピロリドンとプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを含む該ナスフラスコを、オイルバスを用いて加熱し、145℃に到達後、そのままの温度で2時間加熱を継続した。
ここで得られた分散液を透過型電子顕微鏡を用いて観察したところ、短径が10nm程度前後で長径が短径の10倍以上にまで成長したナノワイヤー形状を有することが確認された(図2)。さらに、X線回折(理学電機(株)製 RINT−ULTIMA+使用)により、得られたナノワイヤーはフタロシアニン化合物特有の高い結晶性を有することが確認できた(図7)。またナノワイヤーを含むN−メチル−2−ピロリドン分散液は極めて安定で、ナノワイヤーの沈降は見られなかった。
(実施例2)
実施例1において銅フタロシアニンと()式で表される銅フタロシアニンスルファモイル化合物の重量をそれぞれ、0.9g、1.1gとする以外は実施例1と同様にして工程(a)から工程(d)まで処理した。
ここで得られた分散液を透過型電子顕微鏡を用いて観察したところ、短径が10nm程度前後で長径が短径の10倍以上にまで成長したナノワイヤー形状を有することが確認された(図3)。またナノワイヤーを含むN−メチル−2−ピロリドン分散液は極めて安定で、ナノワイヤーの沈降は見られなかった。
(実施例3)
実施例1において、()式に替えて下記式(
(但し、式中、Qは水素原子またはメチル基を表し、プロピレンオキシド/エチレンオキシド=11/36(モル比)、nの平均値=47である。)
で表される銅フタロシアニンスルファモイル化合物を用いる以外は実施例1と同様にして、工程(a)から工程(d)まで処理した。ここで得られた分散液を透過型電子顕微鏡を用いて観察したところ、短径が10nm程度前後で、長径が短径の10倍以上にまで成長したナノワイヤー形状を有することが確認された(図4)。
(実施例4)
実施例1において銅フタロシアニンと()式で表される銅フタロシアニンスルファモイル化合物の重量をそれぞれ、1.05g、0.95gとする以外は実施例1と同様にして工程(a)から工程(d)まで処理した。ここで得られた分散液を透過型電子顕微鏡を用いて観察したところ、短径が10nm程度前後で長径が短径の10倍以上にまで成長したナノワイヤー形状を有することが確認された(図5)。またナノワイヤーを含むN−メチル−2−ピロリドン分散液は極めて安定で、ナノワイヤーの沈降は見られなかった。
(比較例1)
実施例1において、銅フタロシアニンスルファモイル化合物を用いずに銅フタロシアニンのみで実施例1と同様にして工程(a)から工程(d)まで処理した。ここで得られた分散液を透過型電子顕微鏡を用いて観察したところ、粒子径10〜50nm程度の微粒子状であり、ナノワイヤーは得られなかった(図6)。

Claims (7)

  1. (1)金属フタロシアニンと金属フタロシアニンスルファモイル化合物とを硫酸、塩酸、トリフルオロ酢酸、及びメタンスルホン酸から選ばれる酸に溶解させた後に、水に析出させて、複合体を得る工程(a)と、
    (2)前記複合体を微粒子化して、微粒子化複合体を得る工程(b)と、
    (3)前記微粒子化複合体を有機溶媒に分散させて分散体を得る工程(c)と、
    (4)前記分散体を加熱してナノワイヤー化する工程(d)と
    を有することを特徴とする金属フタロシアニンナノワイヤーの製造方法。
  2. (3)工程(c)において、有機溶媒としてグリコールエステル類を含む有機溶媒を用いる請求項1記載の金属フタロシアニンナノワイヤーの製造方法。
  3. (3)工程(c)において、前記有機溶媒がアミド系溶媒である請求項1又は2記載の金属フタロシアニンナノワイヤーの製造方法。
  4. 前記金属フタロシアニンスルファモイル化合物が下記一般式(1)
    (但し、式中、Xは金属原子を表し、Yは数平均分子量が1000以上のポリマー鎖を表し、a、b、cおよびdは各々独立に0〜2の整数を表すが、そのうち少なくとも一つは1である。)で表される金属フタロシアニンスルファモイル化合物である請求項1〜3のいずれか一項に記載の金属フタロシアニンナノワイヤーの製造方法。
  5. 一般式(1)において、Xが銅である請求項4記載の金属フタロシアニンナノワイヤーの製造方法。
  6. 一般式(1)において、Yが下記一般式(2)
    (ここで、nは4〜100の整数であり、Qは各々独立に水素原子またはメチル基であり、Q’は炭素数1〜30の非環状炭化水素基である。)である請求項4又は5に記載の金属フタロシアニンナノワイヤーの製造方法。
  7. 前記金属フタロシアニンが銅フタロシアニンである請求項1〜6のいずれか一項に記載の金属フタロシアニンナノワイヤーの製造方法。
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