JP5704037B2 - フタロシアニンナノサイズ構造物集合体の製造方法、及び該フタロシアニンナノサイズ構造物集合体を用いた電子デバイス - Google Patents
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しかし、フタロシアニンナノワイヤーなど前記ナノサイズ構造物を各種の電子デバイスへ応用するにあたっては、形成されたナノサイズ構造物が一定方向に配向・配列した構造を有することが有利であるが、これまで、フタロシアニンのナノワイヤー状結晶などの前記ナノサイズ構造物を配列させて成長させる技術は知られていない。
また、無置換フタロシアニン及び置換基を有するフタロシアニンとを酸に溶解させた後に、貧溶媒に析出させて得られた複合体を、微粒子化した後、基板上に塗布し、基板上で一定方向に応力をかけた後に有機溶媒蒸気の暴露を行うか、又は基板上で有機溶媒蒸気を一定方向に流して暴露を行うことにより、短径が100nm以下のナノサイズの細線状の構造を有するフタロシアニンナノサイズ構造物であって、該フタロシアニンナノサイズ構造物が一定方向に成長したフタロシアニンナノサイズ構造物集合体を得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下の各項目から構成される。
(2)前記複合体(A1)を微粒子化して、微粒子化複合体(A2)を得る工程(b)
(3)前記微粒子化複合体(A2)を基材(基板)上に塗布し、微粒子化複合体膜(B)を得る工程(c)
(4)前記微粒子化複合体膜(B)に、基材(基板)上で有機溶媒蒸気の暴露を行うことにより、ナノサイズ構造物を成長させる工程(d)
の各工程を有することを特徴とする、無置換フタロシアニン及び置換基を有するフタロシアニンを含有し、且つ長径と短径を有するが、その短径が100nm以下であるナノサイズ構造物集合体の製造方法。
2.前記工程(d)において、微粒子化複合体膜(B)に対して基材(基板)上で一定方向に応力をかけた後に有機溶媒蒸気の暴露を行うか、又は基材(基板)上で有機溶媒蒸気を一定方向に流して暴露を行う1.に記載のナノサイズ構造物集合体の製造方法。
3.無置換フタロシアニンが、一般式(1)又は(2)で表される1.又は2.に記載のナノサイズ構造物集合体の製造方法。
4.置換基を有するフタロシアニンが、一般式(3)又は(4)で表されるものである1.〜3.の何れかに記載のナノサイズ構造物集合体の製造方法。
Y1からY4が、−O−、−S−、−C(=O)−、−C(=O)O−、−OC(=O)−、−OC(=O)O−、−C(=O)NH−、−NHC(=O)−、−NHC(=O)NH−、−OC(=O)NH−、−NHC(=O)O−、−S(=O)−、−S(=O)2−、−SO2NH−、−NHSO2−、−NHSO2NH−、−SO3−、−OS(=O)2−、−N=N−、−C(=O)OC(=O)−、−C(=O)NHC(=O)−、−(CR2)n−(nは1〜10の整数を、Rは水素、又は置換基を有してもよいアルキル基を表す)、−CH=CH−、−C≡C−で表される結合基である場合には、Z1〜Z4は、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよい(オリゴ)アリール基、置換基を有してもよい(オリゴ)へテロアリール基、置換基を有してもよい(ポリ)エーテル鎖、置換基を有してもよい(ポリ)アルキレンイミン鎖、置換基を有してもよいフラーレン類、置換基を有してもよいフタルイミド、又は−SiR3(Rは水素、又は置換基を有してもよいアルキル基を表す)であり、a、b、c及びdは各々独立に0〜4の整数を表すが、そのうち少なくとも一つは0ではない。
Xは、銅原子、亜鉛原子、コバルト原子、ニッケル原子、錫原子、鉛原子、マグネシウム原子、珪素原子、鉄原子、パラジウム原子、チタニル(TiO)、バナジル(VO)、塩化アルミニウム(AlCl)からなる群から選ばれる何れかである。)
5.置換基を有してもよいアルキル基が、メチル基、エチル基又はプロピル基であり、置換基を有してもよい(オリゴ)アリール基が、置換基を有してもよい(オリゴ)フェニレン基又は置換基を有してもよい(オリゴ)ナフチレン基であり、置換基を有してもよい(オリゴ)へテロアリール基が、置換基を有してもよい(オリゴ)ピロール基、置換基を有してもよい(オリゴ)チオフェン基、置換基を有してもよい(オリゴ)ベンゾピロール基又は置換基を有してもよい(オリゴ)ベンゾチオフェン基である4.に記載のナノサイズ構造物集合体の製造方法。
6.前記工程(a)における酸が、硫酸、クロロ硫酸、メタンスルホン酸又はトリフルオロ酢酸である1.〜5.の何れかに記載のナノサイズ構造物集合体の製造方法。
7.前記工程(d)における有機溶媒がアミド系有機溶媒、ハロゲン系有機溶媒、又は芳香族系有機溶媒である1.〜6.の何れかに記載のナノサイズ構造物集合体の製造方法。
8.前記アミド系有機溶媒がN−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド又はN,N−ジメチルアセトアミドである7.に記載のナノサイズ構造物集合体の製造方法。
9.前記ハロゲン系有機溶剤が、クロロホルム、塩化メチレン又はジクロロエタンである7.に記載のナノサイズ構造物集合体の製造方法。
10.前記芳香族系有機溶媒が、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クロロベンゼン又はジクロロベンゼンである7.に記載のナノサイズ構造物集合体の製造方法。
11.1.〜10.の何れかに記載のナノサイズ構造物集合体の製造方法により得られるナノサイズ構造物集合体を含有する電子デバイス。
本発明の製造方法の一形態は、以下の工程を有することに特徴を有する。
(1)無置換フタロシアニン及び置換基を有するフタロシアニンとを酸に溶解させた後に、貧溶媒に析出させて複合体(A1)を得る工程(a)
(2)前記複合体(A1)を微粒子化して、微粒子化複合体(A2)を得る工程(b)
(3)前記微粒子化複合体(A2)を基板上に塗布し複合体膜(B)を得る工程(c)
(4)前記微粒子化複合体膜(B)を有機溶媒蒸気に暴露し、ナノサイズ構造物を成長させる工程(d)
一般にフタロシアニン類は硫酸等の酸溶媒に可溶であることが知られており、本発明のフタロシアニンナノサイズ構造物の製造方法においても、まず無置換フタロシアニンと置換基を有するフタロシアニンとを硫酸、クロロ硫酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸等の酸溶媒に溶解させる。その後に水等の貧溶媒に投入して無置換フタロシアニン及び置換基を有するフタロシアニンとの複合体(A1)を析出させる。
なお、ここで言う混合比は[(置換基を有するフタロシアニンの質量)/(無置換フタロシアニンの質量)]×100である。
該複合体は濾紙及び、ブフナーロートを用いて濾過し、酸性水を除去するともに、濾液が中性になるまで水洗して、含水した該複合体を回収することができる。回収した複合体は、含水状態のまま溶媒や水を追加し工程(b)に供しても良いし、又、乾燥して水分を完全に除去した後、N−メチルピロリドンやジクロロベンゼン等の有機溶媒中に湿式分散し、工程(b)に供しても良い。
工程(b)は、前記工程(a)を経て得られた複合体(A1)を微粒子化することができれば、その方法は特に限定されるものではない。この微粒子化の方法として、乾式法と湿式法があるが、後工程(c)にて、本工程で得られた微粒子化複合体(A2)を塗布することを鑑みると、湿式法で前記複合体(A1)を微粒子化することが好ましい。例えば、工程(a)で得られた複合体(A1)をビーズミル、ペイントコンディショナー等の微小ビーズを用いた湿式分散機や、プライミクス社製のT.K.フィルミックスに代表されるメディアレス分散機を用いて、水もしくは有機溶媒および含水有機溶媒等の分散溶媒とともに湿式分散して、該複合体を微粒子化する。ここで該複合体の分散溶媒に対する質量比に関しては特に制限はないが、分散効率の観点から、固形分濃度を1〜30質量%の範囲で分散処理することが好ましい。微粒子化処理にジルコニアビーズ等の微小メディアを使用する場合は、該複合体の微粒子化の程度を鑑みて、そのビーズ径は0.01〜2mmの範囲にあるとよい。また微小メディアは微粒子化の効率と回収効率の観点から、該複合体の分散液に対して、100〜1000質量%の範囲が最も好適に微粒子化できる。
なお、微粒子化複合体(A2)を有機溶媒や水分散体として、工程(c)に供する場合、分散攪拌機、ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、湿式微粉砕機(ジェットミル)等を併用し、微粒子化複合体(A2)の分散体に対する分散度を向上させても良い。
工程(b)を経て得られた微粒子化複合体(A2)を、粉末あるいは有機溶媒や水分散体として基板に塗布し、微粒子化複合体塗布基板を得る。微粒子化複合体粉末の塗布方法としては、特に制限はなく、公知慣用の方式を採用することができ、具体的には静電粉体塗装、摩擦転写法、ラビング法等が挙げられる。一方、微粒子化複合体(A2)の有機溶媒や水分散体の製膜方法にも、特に制限はなく、公知慣用の塗布又は印刷方式を採用することができ、具体的には、インクジェット法、グラビア法、グラビアオフセット法、オフセット法、凸版法、凸版反転法、スクリーン法、マイクロコンタクト法、リバース法、エアドクターコーター法、ブレードコーター法、エアナイフコーター法、ロールコーター法、スクイズコーター法、含浸コーター法、トランスファーロールコーター法、キスコーター法、キャストコーター法、スプレイコーター法、静電コーター法、超音波スプレイコーター法、ダイコーター法、スピンコーター法、バーコーター法、スリットコーター法、ドロップキャスト法等が挙げられる。
工程(c)を経て得られた微粒子化複合体塗布基板に有機溶媒の蒸気を暴露することによって、該基板上でフタロシアニンナノ構造物を成長させる。工程(d)において、暴露に用いる有機溶媒としては、フタロシアニン類との親和性が低いものでなければ特に制限はないが、例えば、フタロシアニン類との親和性が高いアミド系溶媒、グリコールエステル系溶媒、芳香族有機溶媒、ハロゲン系有機溶媒が好ましく、具体的には、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン等を最も好適な有機溶媒として挙げることができる。前記アミド系有機溶媒、グリコールエステル系溶媒、芳香族有機溶媒、ハロゲン系有機溶媒は単独で用いることもできるが、任意の比率で混合して使用することもでき、さらには他の有機溶媒と併用して用いることもできる。
フタロシアニンあるいはフタロシアニン誘導体等のフタロシアニン類は、前記の様に、代表的な有機半導体の一つであり、高次構造、すなわち、分子の配列や集合状態を制御すること、すなわち分子が一定方向に配列することで良好な半導体特性を示すことが知られており、すなわち、これら分子が一定方向に配列したフタロシアニンナノワイヤー又はナノロッドは、有機半導体として非常に有用な材料である。通常、このような材料を電子デバイス等に供する場合には、該フタロシアニンナノワイヤー又はナノロッドは、一本で用いられることは少なく、複数の集合体として用いられるが、この際、集合体中でのワイヤー又はロッドの配列がランダムであると、電荷の輸送方向が一定にならず、充分な能力を発揮できない場合がある。従って、半導体としての能力を充分に発揮させるためには、該フタロシアニンナノワイヤー又はナノロッドが一定方向に配列した構造を形成することが重要である。
本発明のフタロシアニンナノサイズ構造物としては、無置換フタロシアニンと置換基を有するフタロシアニン(フタロシアニン誘導体)からなる、フタロシアニンナノサイズ構造物を挙げることができる。
で表される基も用いることができる。
で表される基を挙げることができる。置換基としては、フタルイミド基に置換が可能な公知慣用の置換基を挙げることができる。
電子デバイスとしては、有機半導体によって構成される通常公知のものであれば特に制限は無く、有機EL、有機電界効果型トランジスタ、有機太陽電池、有機フォトダイオード、有機センサー、有機レーザー、有機サイリスタ等を挙げることができる。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
<フタロシアニンナノサイズ構造物集合体(膜)の製造>
・工程(a)
銅フタロシアニン(Fastogen Blue 5380E(商品名、DIC製))1.0gと
工程(a)で得られた銅フタロシアニンと前記銅フタロシアニン誘導体化合物からなる複合体2.5gを含む含水複合体12.4gを容量50mLのポリプロピレン製容器に投入し、さらに蒸留水を4.3g加えて、該複合体の水に対する重量比を15%とし、次いでφ0.5mmのジルコニアビーズ60gを加えて、ペイントシェイカーを用いて2時間処理した。続いて、該処理にて微粒子(微細)化した複合体をジルコニアビーズから分離回収し、さらに蒸留水を加えて重量50gの微粒子化複合体水分散液(固形物濃度5%)(微粒子化複合体水分散液(1))を得た。
工程(b)で得られた微粒子化複合体水分散液をガラス板上にキャストし、乾燥させた。
工程(c)において得られた微細化複合体塗布ガラス板を、フローセル中に設置し、室温において、ジクロロベンゼン蒸気を窒素ガスによってフローさせ、基板の一方向から1時間暴露した(図1参照)。このガラス板を取り出して、走査型電子顕微鏡を用いて観察したところ、短径が約100nm、短径に対する長さの比率が10以上にまで成長したナノワイヤーが蒸気のフロー方向に成長(配向)していることが確認された(フタロシアニンナノワイヤー集合体(膜)(1))。
実施例1で得た配向フタロシアニンナノワイヤー集合体(膜)(1)に、配向方向がチャネルとなるように、蒸着成膜によって、金薄膜からなるソース・ドレイン電極をパターン形成した(チャネル長:75μm、チャネル幅:5mm)。さらに、この上に、ゲート絶縁膜として、パリレン膜を化学気相堆積法(CVD法)にて成膜した。なお、パリレン膜は第三化成社製のdiX Cを原材料に、これを減圧下100〜170℃の温度にて昇華させ、引き続き熱分解炉に導入し(熱分解炉温度:650℃)、その後、前記フタロシアニンナノワイヤー集合体(膜)を有する基板を設置した成膜室に導入することで、作製した(膜厚:1μm)。
最後に、イオンコーターを用いて、白金を30nm、堆積させ、ボトムコンタクトトップゲート型のトランジスタ(1)を作製した。
上記各有機トランジスタについて、トランジスタ特性を測定した。トランジスタ特性の測定方法は、デジタルマルチメーター(ケースレー製237)を用いて、ゲート電極に0〜−80V電圧(Vg)をスイープ印加し、−80V印加したソース・ドレイン電極間の電流(Id)を測定することで行なった。移動度は、√Id−Vgの傾きから、周知の方法により求めた。単位はcm2/V・sである。これらの結果を表1に示す。
実施例1における、ゲート絶縁膜材料を、パリレンに変えて、ポリイミド(サンエバー(商品名、日産化学製))にした以外は、実施例1と同様にして、ボトムコンタクトトップゲート型のトランジスタ(2)を作製した。評価結果を表1に示した。
ガラス基板上に、蒸着成膜によって、チタン/金積層薄膜からなるソース・ドレイン電極をパターン形成した(チャネル長:75μm、チャネル幅:5mm)(基板(3))。なお、各層の厚みは、下層:チタン層5nm、上層:金層30nmとした。
実施例1の工程(c)のガラス基板を前記基板(3)に変え、工程(d)におけるガスフロー方向を基板(3)に形成したチャネル方向と同じにした以外は実施例1と同様にして、トップコンタクトトップゲート型のトランジスタ(3)を作製した。評価結果を表1に示した。
n型のシリコン基板の表面層を熱酸化処理して、シリコン基板上に酸化シリコン(300nm)層を形成した(基板(4))。
実施例1の工程(c)におけるガラス基板を、基板(4)に変えた以外は実施例1と同様にして、配向フタロシアニンナノワイヤー集合体(膜)を得た。
その後、該フタロシアニン集合体(膜)上に、配向方向がチャネルとなるように、蒸着成膜によって、金薄膜からなるソース・ドレイン電極をパターン形成し(チャネル長:75μm、チャネル幅:5mm)、トップコンタクトボトムゲート型のトランジスタ(4)を得た。該トランジスタの評価結果を表1に示した。
<フタロシアニンナノワイヤー集合体(膜)の製造>
工程(a)〜(c)まで、実施例1と同様に行った後、微粒子化複合体塗布ガラス板を上方より、ガラス板で挟み、一方向にスライドさせることで応力を与えた後(図2参照)、室温において、ジクロロベンゼン蒸気で飽和したガラス瓶へ入れ、1時間静置した。このガラス板を取り出して、走査型電子顕微鏡を用いて観察したところ、短径が約20nm、短径に対する長さの比率が10以上にまで成長したナノワイヤーが応力方向(図3、4右方向)に成長していることが確認された(図3、図4参照)(配向フタロシアニンナノワイヤー集合体(膜)(5))。
フタロシアニンナノワイヤー集合体(膜)(1)の変わりにフタロシアニンナノワイヤー集合体(膜)(5)を用いた以外は、実施例1と同様にしてトランジスタを作製した。その評価結果を表1に示した。
<太陽電池の製造と評価>
ガラス基板にスパッタリング法により正極となるITO透明導電層を100nm堆積させ、これをフォトリソグラフィー法により2mm幅の短冊状にパターニングした。得られたパターンITO付きガラス基板を中性洗剤、蒸留水、アセトン、エタノールの順にそれぞれにつき3回15分間超音波洗浄した後、30分間UV/オゾン処理し、この上にPEDOT:PSS水分散液(商品名AI4083、HCStarck社製)をスピンコートすることで、PEDOT:PSSよりなるバッファー層1を60nmの厚さで形成した。これをホットプレートにより100℃で5分間加熱乾燥した後、当該PEDOT:PSS層上に、実施例(1)の工程(a)、(b)により得られた微粒子化複合体水分散液(固形物濃度5%)(微粒子化複合体水分散液(1))をスピンコートし、膜厚100nmの微粒子化複合体膜を形成した。これを室温において、ジクロロベンゼン蒸気で飽和したガラス瓶へ入れ、1時間静置し、フタロシアニンナノワイヤー集合体(膜)(6)を作製した。その後、前記フタロシアニンナノワイヤー集合体(膜)(6)上に、2重量%のPCBM−オルトジクロロベンゼンをスピンコートし電子受容性材料層を積層し、これを蒸着用メタルマスク(2mm幅の短冊パターン形成用)とともに真空蒸着装置内に設置して、装置内の真空度を5×10−4Paまで高めた後、抵抗加熱法によって、負極となるアルミニウムを2mm幅の短冊パターンになるように蒸着堆積した(膜厚:80nm)。以上のようにして、面積が2mm×2mm(短冊状のITO層とアルミニウム層が交差する部分)である光電変換素子(6)を作製した。
FF=JVmax/(Jsc×Voc)
(ここで、JVmaxは、印加電圧が0Vから開放電圧値の間で電流密度と印加電圧の積が最大となる点における電流密度と印加電圧の積の値である。)
PCE=[(Jsc×Voc×FF)/擬似太陽光強度(100mW/cm2)]×100(%)
微粒子化した複合体をジルコニアビーズから分離回収した後、水分散体を作製せず、ろ過する以外は、実施例(1)と同様にして工程(a)〜(b)を行い、微粒子化複合体を得た。
この微粒子化複合体をジクロロベンゼン60gに分散し、2時間攪拌した後にさらに60gのN−メチルピロリドンを加えて、さらに2時間攪拌した。該分散体を、オイルバスを用いて加熱し、90分かけて145℃まで昇温した。145℃に到達後、そのままの温度でさらに30分間加熱を継続した。加熱後の分散液を、メンブレンフィルター(孔径0.1μm)を用いて濾過し、濾残をジクロロベンゼンでよく洗浄した。該濾残をガラス基板上にキャストして(フタロシアニンナノワイヤー集合体(膜)(1)’)、SEM観察を行ったところ、繊維状のフタロシアニンナノワイヤーが、ランダムに凝集しているのが観察された(図5)。
(b)フローセル
(c)ジクロロベンゼン
(d)ジクロロベンゼン蒸気
(e)ガラス板
(f)応力付与方向
Claims (10)
- (1)無置換フタロシアニンと置換基を有するフタロシアニンとを酸に溶解させた後に、貧溶媒に析出させて複合体(A1)を得る工程(a)
(2)前記複合体(A1)を微粒子化して、微粒子化複合体(A2)を得る工程(b)
(3)前記微粒子化複合体(A2)を基材上に塗布し、微粒子化複合体膜(B)を得る工程(c)
(4)前記微粒子化複合体膜(B)に、基材上で有機溶媒蒸気の暴露を行うことにより、ナノサイズ構造物を成長させる工程(d)
の各工程を有することを特徴とする、無置換フタロシアニン及び置換基を有するフタロシアニンを含有し、且つ長径と短径を有するが、その短径が100nm以下であるナノサイズ構造物集合体の製造方法。 - 前記工程(d)において、微粒子化複合体膜(B)に対して基材上で一定方向に応力をかけた後に有機溶媒蒸気の暴露を行うか、又は基材上で有機溶媒蒸気を一定方向に流して暴露を行う請求項1に記載のナノサイズ構造物集合体の製造方法。
- 置換基を有するフタロシアニンが、一般式(3)又は(4)で表されるものである請求項1〜3の何れかに記載のナノサイズ構造物集合体の製造方法。
Y1からY4が、−O−、−S−、−C(=O)−、−C(=O)O−、−OC(=O)−、−OC(=O)O−、−C(=O)NH−、−NHC(=O)−、−NHC(=O)NH−、−OC(=O)NH−、−NHC(=O)O−、−S(=O)−、−S(=O)2−、−SO2NH−、−NHSO2−、−NHSO2NH−、−SO3−、−OS(=O)2−、−N=N−、−C(=O)OC(=O)−、−C(=O)NHC(=O)−、−(CR2)n−(nは1〜10の整数を、Rは水素、又は置換基を有してもよいアルキル基を表す)、−CH=CH−、−C≡C−で表される結合基である場合には、Z1〜Z4は、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよい(オリゴ)アリール基、置換基を有してもよい(オリゴ)へテロアリール基、置換基を有してもよい(ポリ)エーテル鎖、置換基を有してもよい(ポリ)アルキレンイミン鎖、置換基を有してもよいフラーレン類、置換基を有してもよいフタルイミド、又は−SiR3(Rは水素、又は置換基を有してもよいアルキル基を表す)であり、a、b、c及びdは各々独立に0〜4の整数を表すが、そのうち少なくとも一つは0ではない。
Xは、銅原子、亜鉛原子、コバルト原子、ニッケル原子、錫原子、鉛原子、マグネシウム原子、珪素原子、鉄原子、パラジウム原子、チタニル(TiO)、バナジル(VO)、塩化アルミニウム(AlCl)からなる群から選ばれる何れかである。) - 置換基を有してもよいアルキル基が、メチル基、エチル基又はプロピル基であり、置換基を有してもよい(オリゴ)アリール基が、置換基を有してもよい(オリゴ)フェニレン基又は置換基を有してもよい(オリゴ)ナフチレン基であり、置換基を有してもよい(オリゴ)へテロアリール基が、置換基を有してもよい(オリゴ)ピロール基、置換基を有してもよい(オリゴ)チオフェン基、置換基を有してもよい(オリゴ)ベンゾピロール基又は置換基を有してもよい(オリゴ)ベンゾチオフェン基である請求項4に記載のナノサイズ構造物集合体の製造方法。
- 前記工程(a)における酸が、硫酸、クロロ硫酸、メタンスルホン酸又はトリフルオロ酢酸である請求項1〜5の何れかに記載のナノサイズ構造物集合体の製造方法。
- 前記工程(d)における有機溶媒がアミド系有機溶媒、ハロゲン系有機溶媒、又は芳香族系有機溶媒である請求項1〜6の何れかに記載のナノサイズ構造物集合体の製造方法。
- 前記アミド系有機溶媒がN−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド又はN,N−ジメチルアセトアミドである請求項7に記載のナノサイズ構造物集合体の製造方法。
- 前記ハロゲン系有機溶剤が、クロロホルム、塩化メチレン又はジクロロエタンである請求項7に記載のナノサイズ構造物集合体の製造方法。
- 前記芳香族系有機溶媒が、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クロロベンゼン又はジクロロベンゼンである請求項7に記載のナノサイズ構造物集合体の製造方法。
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