JP2009084366A - 銅フタロシアニンの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 合成段階で金属フタロシアニンの結晶成長を抑制し、環境負荷の高い有機溶媒等の希釈液を使用することなく、また微細化のための粉砕媒体の利用等の特段の機械的エネルギー投入を必要とせずに、均一で微細な銅フタロシアニンを従来法に比べて低い温度で製造し、合成工程後の顔料化工程の負荷を大幅に低減する製造方法を提供する。
【解決手段】 銅フタロシアニンの中心金属となり得る銅塩から得られる錯体を固体担体の表面上に付着させて担持させ、その状態で、無水フタル酸若しくはその誘導体と、窒素源としてカルバミル尿素とを固体担体の表面上に形成された金属微粒子に反応させる。
【選択図】なし
【解決手段】 銅フタロシアニンの中心金属となり得る銅塩から得られる錯体を固体担体の表面上に付着させて担持させ、その状態で、無水フタル酸若しくはその誘導体と、窒素源としてカルバミル尿素とを固体担体の表面上に形成された金属微粒子に反応させる。
【選択図】なし
Description
本発明は銅フタロシアニンの合成方法に関し、さらに詳しくは、2価の銅塩とアンモニアにより形成される銅錯体を固体担体の表面上に付着させて担持させる第一工程と、該第一工程の後、無水フタル酸若しくはその誘導体とカルバミル尿素とを、該固体担体の表面上に担持された該銅錯体に反応させる第二工程を含む銅フタロシアニンの製造方法に関する。
フタロシアニン化合物は印刷インキや塗料、プラスチック着色剤等に用いられる顔料として重要な有機化合物であり、その分子中に金属原子を含む金属フタロシアニン、中でも銅原子を含む銅フタロシアニンは極めて重要な有機顔料である。
このような金属フタロシアニンの合成方法としては、使用する主な原料種の観点から、フタロニトリル化合物若しくはその誘導体と金属塩等を原料とするフタロジニトリル法や、無水フタル酸若しくはその誘導体と、尿素若しくはその誘導体とを、金属塩等と共にモリブデン化合物等の触媒存在下で反応させるワイラー法が知られている。
また、上述のフタロジニトリル法やワイラー法において、原料以外に希釈液として有機溶媒等を用い、該有機溶媒中で合成するソルベント法と、有機溶媒を使用せず無溶媒下で原料のみを加熱溶融して合成するベーキング法が知られている。
ソルベント法は反応温度の制御や撹拌混合が容易であることから、産業的に広く採用されているが、有機溶剤を多量に使用することから製造コストの増大及び臭気対策等の環境負荷が大きく、かつ、生成する金属フタロシアニンが有機溶媒中で結晶成長し、針状の粗大粒子となり、印刷インキや塗料の着色剤として使用するには、反応後に該粒子を微細化する顔料化行程が必要になる等、製品品質的にも問題があった。
一方、ベーキング法は希釈液としての有機溶媒を使用しないので環境負荷の小さいプロセスを構築できるが、撹拌混合の効率が低下しやすく、反応温度の制御が困難となる場合もあり、工業的規模での実施が困難である場合もあった。
また、フタロジニトリル法又はワイラー法を用いて金属フタロシアニンを合成する際には、セラミックビーズ等の微細な粉砕媒体を用いて生成する金属フタロシアニンを粉砕しながら合成し、顔料化工程を経ずに直接、微細な金属フタロシアニンを得る方法等も提案されている(例えば、特許文献1)。
しかしながら、粉砕媒体を用いる方法では生成する金属フタロシアニンを機械的に微細化するため、多大のエネルギーを要する場合もあり、特に、より微細な金属フタロシアニンを得るには、必要となるエネルギー量も増大する。また、粉砕媒体の摩耗により、不純物が製品中に混入する場合もあり、製品品質上、好ましくない場合もあった。
フタロジニトリル法又はワイラー法による金属フタロシアニン化合物の理想的な製造方法としては、ソルベント法のように希釈液を用いることなく、ベーキング法よりも低温、短時間で合成することが可能で、かつ、多大の機械的エネルギーを投入しなくても、合成段階で結晶成長を抑制して均一で微細な金属フタロシアニン微粒子を得ることにあるが、上述のように、従来のソルベント法やベーキング法、あるいは、これらの方法にさらに機械的エネルギーを投入する方法を併用しても、製造コストの増大や製品品質上の問題があった。
本発明が解決しようとする課題は、銅フタロシアニンの合成方法において、合成段階で銅フタロシアニンの結晶成長を抑制し、環境負荷の高い有機溶媒等の希釈液を使用することなく、また微細化のための粉砕媒体の利用等の特段の機械的エネルギー投入を必要とせずに、均一で微細な銅フタロシアニンを従来法に比べて低い温度で製造し、合成工程後の顔料化工程の負荷を大幅に低減する製造方法を提供することにあり、さらに、顔料化工程無しで印刷インキの着色剤等に好適な銅フタロシアニンの製造方法を提供することにある。
本発明者は、2価の銅塩とアンモニアにより形成される銅錯体を固体担体の表面上に付着させて担持させる第一工程と、該第一工程の後、無水フタル酸若しくはその誘導体とカルバミル尿素とを、該固体担体の表面上に担持された該銅錯体に反応させる第二工程を含む銅フタロシアニンの製造を行うことにより、固体担体の表面上に、結晶成長が抑制され、微細な銅フタロシアニン化合物が凝集することなく得られること、また該第二工程において、ある特定の金属フタロシアニン誘導体の存在下に担持させることにより、特にカラーフィルター用青色有機顔料として有用なε型銅フタロシアニンを選択的に合成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
そして、上記の方法において、固体担体の表面上に微細な金属フタロシアニン化合物が得られた後、固体担体を除去することにより、微細な銅フタロシアニン化合物のみが選別されて得られることも見出した。
すなわち、本発明は、金属フタロシアニンの製造方法であって、
(1)2価の銅塩とアンモニアにより形成される銅錯体を固体担体の表面上に付着させて担持させる第一工程と、
(2)第一工程の後、無水フタル酸若しくはその誘導体とカルバミル尿素とを、該固体担体の表面上に担持された該銅錯体に反応させる第二工程
を含む銅フタロシアニンの製造方法を提供するものである。
(1)2価の銅塩とアンモニアにより形成される銅錯体を固体担体の表面上に付着させて担持させる第一工程と、
(2)第一工程の後、無水フタル酸若しくはその誘導体とカルバミル尿素とを、該固体担体の表面上に担持された該銅錯体に反応させる第二工程
を含む銅フタロシアニンの製造方法を提供するものである。
本発明の金属フタロシアニンの製造方法によれば、結晶成長が抑制された、均一で微細な銅フタロシアニン化合物を従来法に比べて短時間に合成することができる。したがって、従来方法に比べて顔料化工程の負荷が大幅に低減でき、また、顔料化工程を経ることなく印刷インキや塗料用の着色剤等として用いることもできる。
本発明の製造方法による銅フタロシアニンは、その分子構造の中心に銅原子を含むフタロシアニンであって、その分子構造中の4つのベンゼン環に置換基を有しないような金属フタロシアニンや、ベンゼン環又はナフタレン環の一部がハロゲン化やアルキル化する等して置換基が導入された金属フタロシアニン化合物又は金属ナフタロシアニン化合物等を含み、以下、これらを総称して銅フタロシアニンという。
また、本発明で用いることができる無水フタル酸若しくはその誘導体は、無水フタル酸、フタルイミドを含み、例えば、下記一般式
(環Aは、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ハロゲン基の置換基を有してもよいベンゼン環またはナフタレン環を示し、Bは、OまたはNHを示す。)
の環Aがベンゼン環である場合に、その他の部位にハロゲン原子やアルキル基等の官能基が導入されているものでもよい。
の環Aがベンゼン環である場合に、その他の部位にハロゲン原子やアルキル基等の官能基が導入されているものでもよい。
本発明で用いることができる窒素源としては、カルバミル尿素である。従来は窒素源として尿素が用いられてきたが、尿素の融点は銅フタロシアニン合成の反応温度よりも低いために、少なくとも一部の尿素が溶け出すため、反応により生成した金属フタロシアニンが結晶成長する場合があった。これに対してカルバミル尿素の融点(193℃)は金属フタロシアニン合成の反応温度よりも高いために尿素のように液状になることがないため、該銅フタロシアニン合成をすべての原料が固体状態又は一部が昇華により気化した状態で反応させることができる。そのため、生成する銅フタロシアニンは結晶成長することなく、固体担体の表面上で微細な粒子として合成される。
本発明で用いることができる中心金属としては、銅を挙げることができる。
銅として銅塩を用いることができ、銅塩として塩化銅(II)、硫酸銅(II)、硝酸銅(II)などを挙げることができる。これらの銅塩は水などの溶媒に溶解させることができるので、該銅塩溶液に固体担体の粒子を分散させた後、該固体担体の表面上に皮膜状に担持させることができる。
銅として銅塩を用いることができ、銅塩として塩化銅(II)、硫酸銅(II)、硝酸銅(II)などを挙げることができる。これらの銅塩は水などの溶媒に溶解させることができるので、該銅塩溶液に固体担体の粒子を分散させた後、該固体担体の表面上に皮膜状に担持させることができる。
本願において、担持する際には、上記銅塩とアンモニアから形成される錯体(以下、銅−アンミン錯体という)とすることが好ましい。銅粒子を固体担体に担持させる場合には、銅粒子を微細化し、担持の際にエバポレーション等の操作により加熱減圧下に強制的に担持する工程が必要となるが、水溶液中で銅−アンミン錯体を形成した場合には、銅粒子を微細化することなく、水溶液中で銅塩から形成される該銅−アンミン錯体と固体担体を浸漬することにより容易に固体担体に担持することができ、銅フタロシアニンの製造上極めて有利である。
担持方法の一例を簡単に説明すると、例えば硝酸銅を蒸留水に溶解させ、アンモニア水を添加することにより、銅−アンミン錯体を作製する。その後、シリカゲル粒子を添加し、攪拌を行うことにより、銅塩が表面に担持したシリカゲル粒子が得られる。この錯体の作製、及び担持の工程は水溶液中で行うことが、操作も簡便で好ましい。
その後、該粒子をろ過し、目的とする銅−アンミン錯体がシリカゲルに担持した固体粒子が得られる。ろ過後、次の反応工程で用いるために、得られた粒子を減圧乾燥等により乾燥を行っても、或いは乾燥を行わないでそのまま次反応工程に用いてもよい。
該担持させる工程の反応温度は、通常0〜100℃、好ましくは20〜50℃を挙げることができるが、これに限られるものではない。該担持反応は非常に速やかであり、銅−アンミン錯体が固体担体に接触したとほぼ同時に終了する。
反応は、通常水中で行うことが好ましいが、有機溶媒を含む水溶液中でも行うこともできる。本発明に用いることのできる有機溶媒は、担持に影響を与える有機溶媒であれば、特に制限なく用いることができるが、水溶性である有機溶媒が好ましく、このような有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール等のアルコール類、アセトン等のケトン類を挙げることができる。
その後、該粒子をろ過し、目的とする銅−アンミン錯体がシリカゲルに担持した固体粒子が得られる。ろ過後、次の反応工程で用いるために、得られた粒子を減圧乾燥等により乾燥を行っても、或いは乾燥を行わないでそのまま次反応工程に用いてもよい。
該担持させる工程の反応温度は、通常0〜100℃、好ましくは20〜50℃を挙げることができるが、これに限られるものではない。該担持反応は非常に速やかであり、銅−アンミン錯体が固体担体に接触したとほぼ同時に終了する。
反応は、通常水中で行うことが好ましいが、有機溶媒を含む水溶液中でも行うこともできる。本発明に用いることのできる有機溶媒は、担持に影響を与える有機溶媒であれば、特に制限なく用いることができるが、水溶性である有機溶媒が好ましく、このような有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール等のアルコール類、アセトン等のケトン類を挙げることができる。
上述のごとく、銅−アンミン錯体を固体担体の表面上に付着させて担持する担持工程により、固体担体の表面上に銅源が担持された複合粒子を得ることができる。ここで、該固体担体は本発明の方法で用いることができる各種のフタロシアニン製造の原料と生成する銅フタロシアニンと反応しない材料の中から選択できるものであれば特に限定は無く、金属、セラミックス、高分子材料などが使用できる。
本発明の方法で、好ましい固体担体としては、金属フタロシアニン合成時の反応温度が100℃以上であることを考慮して、耐熱性に優れるセラミックスを挙げることができ、その中でも特に好ましい固体担体としてシリカ(二酸化珪素)を挙げることができる。これはシリカが安価で入手しやすく、かつ、後述する反応工程にて金属フタロシアニンを合成した後に、水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリで容易にシリカを分解除去できるからである。また、固体担体の形態にも特に限定はないが、多くの金属微粒子を担持できる粒子状が好ましい。したがって、本発明の金属フタロシアニンの製造方法ではシリカ粒子を最も好ましい固体担体の一つとして挙げることができる。
ここで、該固体担体がシリカ粒子等の粒子状固体である場合、その粒子径にも特に限定は無いが、担持する銅塩の量や反応工程において銅フタロシアニンが主に該固体担体の表面上で生成することを鑑みて決定されることが好ましく、該固体担体粒子同士の凝集防止の観点から、好ましい粒子径は10nm以上で、さらに好ましくは20nm以上である。
また、後述する反応工程において、銅フタロシアニンが生成する場である固体担体の表面上の表面積をより大きく確保し、生成する該銅フタロシアニン微粒子同士の結合による結晶成長を抑制するために、該固体担体の粒子径は、好ましくは1mm以下で、さらに好ましくは100μm以下であると考えてよい。なお、固体担体の粒子径は上記範囲であれば、得られる銅フタロシアニンの性状に影響しないため、該固体担体の粒度分布に特に限定はなく、10nm以上、1mm以下の範囲で粒度分布が広くても狭くてもよい。
また、担持する銅塩の量も固体担体の量に対して決定され、後述する反応工程における銅フタロシアニン合成の収率向上、及び、担持した銅源と生成した銅フタロシアニンの凝集防止の観点から、その担持量は1%から20%、好ましくは2%から10%の範囲にあると考えてよい。
金属塩の固体担体への担持方法に関しては、これまで各種の担持法が知られている。例えば、金属源を含む溶液若しくは分散液に、さらに固体担体を分散させ、スプレードライ(噴霧乾燥)法によって担持する方法や、同様に該溶液若しくは分散溶液に固体担体粒子を分散させ、ロータリーエバポレーター等を用いて液体成分を除去しながら真空乾燥することにより、固体担体の表面上に担持する方法、該金属源と固体担体とをビーズミルなどを用いて混和・複合化する方法などが挙げられ、これらの方法を用いて固体担体の表面上に金属フタロシアニンの金属源を担持した複合粒子を得ることができる。
しかしながら、本発明による方法では、前記した工程により銅−アンミン錯体を容易に固体担体に担持することが可能であり、上記の煩雑な操作は不要となる。
ソルベント法においては有機溶媒中で生成する金属フタロシアニンは容易に結晶成長をおこし、長針状化しやすく、ベーキング法においても、溶融状態の原料中で結晶成長しやすいことが知られているが、本発明においては、担持工程で用いる該固体担体はその表面上に均一に銅塩を担持させ、該銅塩の凝集を防止して反応工程における銅フタロシアニン合成を効率的に進行させる働きを担っているのみならず、反応工程において銅フタロシアニン生成の一部若しくは大部分を該固体担体表面上の物質移動が拘束された環境下で進行させることにより、生成する該銅フタロシアニンの結晶成長を抑制し、微細な銅フタロシアニン粒子を得ることができる。
本発明の反応工程は、無水フタル酸若しくはその誘導体から選択された物質と、カルバミル尿素とを、固体担体の表面上に担持された銅塩と反応せしめる工程である。
本発明の銅フタロシアニンの製造方法では窒素源としてカルバミル尿素の使用が必須である。従来、使用されている尿素を使用した場合は生成する銅フタロシアニンの少なくとも一部が結晶成長し、針状化することが確認されている。この原因については必ずしも明確ではないが、カルバミル尿素と尿素の融点の差に起因しているものと考えられる。すなわちカルバミル尿素が高融点であるため、銅フタロシアニンの生成が固相で進行するため、結晶成長を促進する液体成分が存在せず、銅フタロシアニンの微細化が達成されたものと考えられる。
このような反応工程を採用することにより、結晶成長が抑制された微細な銅フタロシアニンを製造することができ、その結果、合成工程後の顔料化工程の負荷を大幅に低減できるか、又は顔料化工程無しで印刷インキの着色剤等に好適な銅フタロシアニン化合物を得ることができる。
ここで、本発明の反応工程において、担持工程で得られた銅源が担持された固体担体と無水フタル酸若しくはその誘導体とカルバミル尿素とを作用させる方法に特に限定は無いが、加熱機構を有するビーズミルやニーダー、ナウターミキサーなどの粉体処理装置、分散機などで攪拌、混合、分散操作を実施しながら上述の所定温度に操作することにより、銅フタロシアニンを合成することができる。本反応における好ましい反応温度は、150〜250℃を挙げることができるが、中でもカルバミル尿素の融点(193℃)以下の温度が特に好ましく、好ましい反応温度として165〜190℃の温度を挙げることができる。反応時間は、通常1〜5時間である。
また、本発明の反応工程においては、一般式(1)
(但し、式中、Yは一般式(2)
(ここで、nは4〜100の整数であり、Qは各々独立に水素原子またはメチル基であり、Q’は炭素数1〜6のアルキル基である。)
を表し、a、b、cおよびdは、各々独立に0〜2の整数を表すが、そのうち少なくとも一つは1である。)
で表される銅フタロシアニンスルファモイル化合物、または一般式(3)
を表し、a、b、cおよびdは、各々独立に0〜2の整数を表すが、そのうち少なくとも一つは1である。)
で表される銅フタロシアニンスルファモイル化合物、または一般式(3)
(但し、式中、Xは銅、亜鉛、コバルト、ニッケル、及び鉄から選ばれるいずれか1種の金属原子を表し、Mは水素原子、アルカリ金属原子、或いはアンモニウム基を表し、R1、R2はそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルカノール基を表し、L及びNはそれぞれ独立に0〜4の整数、Pは1〜4の整数を表す。)
で表される金属フタロシアニンスルファモイル化合物の存在下に反応させることができる。
で表される金属フタロシアニンスルファモイル化合物の存在下に反応させることができる。
一般式(1)で表される銅フタロシアニンスルファモイル化合物としては、フタロシアニン環が、少なくとも1個以上の一般式(1)において記載されるスルファモイル基で置換された化合物を挙げることが出来る。導入されるスルファモイル基は、フタロシアニン環1個あたり少なくとも1個であれば特に限定なく用いることが出来るが、好ましくは1乃至2個である。また、置換される位置は、特に限定はない。
本発明の一般式(1)におけるYは、ポリアルキレンオキシド部分である。Yは、エチレンオキシドポリマーおよびエチレンオキシド/プロピレンオキシドコポリマーなどのあらゆるポリアルキレンオキシドであり、ブロックでもランダムでも良い。好ましくは、Yは、一般式(2)
(ここで、nは4〜100であり、Qは各々独立に水素原子またはメチル基であり、Q’は炭素数1〜6のアルキル基である。)を有するアルキレンオキシドコポリマーであり、カラーフィルター用顔料組成物で用いる溶媒に応じて、その親水性や親油性を最適化するのが望ましい。ここで、Q’は、炭素数1〜6にアルキル基として、直鎖状アルキル基でも分岐状アルキル基でもどちらでもよい。このような直鎖状アルキル基として、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基等が挙げられる。また、分岐状アルキル基としては、炭素数1〜6の適宜分岐していてもよいアルキル基を挙げることができる。
ポリアルキレンオキシド部分の繰り返し数nは4以上100以下であることが好ましく、より好ましくは5以上80以下、更により好ましくは10以上50以下である。繰り返し数nは4未満では分散媒との親和性が不足し、100を超えると分散安定性が低下する傾向がある。
本発明で用いる一般式(1)で表される銅フタロシアニンスルファモイル化合物は、公知慣用の方法を注意深く組み合わせることにより、例えば、銅フタロシアニンスルホニルクロライドとポリエーテル主鎖の末端にアミンを持つポリエーテルアミン(以下、「ポリエーテルモノアミン」と略記)とを反応させて製造できる。原料となる銅フタロシアニンスルホニルクロライドは、銅フタロシアニンとクロロスルホン酸および/または塩化チオニルとの反応により得ることができる。他方の原料であるポリエーテルモノアミンは、ポリエーテル骨格の末端にある水酸基をニッケル/銅/クロム触媒を用いて還元的にアミノ化することにより得ることができる。ポリエーテルモノアミンは市販品としても提供されており、例えばアメリカHuntsman Corporationから「JEFFAMINE(商標)Mシリーズ」がある。
また、一般式(2)で表される銅フタロシアニンスルファモイル化合物としては、少なくとも一個の一般式(2)に記載するスルファモイル基が置換した金属フタロシアニンを挙げることができる。該フタロシアニンとしては、フタロシアニンの中心金属原子として、銅、亜鉛、コバルト、ニッケル、鉄を挙げることができるが、特に銅原子が好ましい。置換するスルファモイル基の種類は、一般式(2)に記載する置換基であれば、特に制限なく用いることができ、置換される個数も特に制限なく用いることができるが、好ましくは、3種類のスルファモイル基の合計が1〜4個、特に1乃至2個が好ましい。
一般式(2)の置換基スルホン酸基において、Mは水素原子、アルカリ金属原子、或いはアンモニウム基を表わす。アルカリ金属原子としては、通常公知のアルカリ金属原子、例えば、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属原子が好ましく、アンモニウム基としては、アンモニウム、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム等のトリアルキルアンモニウム基等を挙げることができる。
一般式(2)の置換基スルホン酸基において、Mは水素原子、アルカリ金属原子、或いはアンモニウム基を表わす。アルカリ金属原子としては、通常公知のアルカリ金属原子、例えば、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属原子が好ましく、アンモニウム基としては、アンモニウム、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム等のトリアルキルアンモニウム基等を挙げることができる。
また、スルファモイル基の有するベンゼン環に置換するR1、R2はそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルカノール基を表わす。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子を挙げることができ、アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、ブチル基等の炭素数1〜4の炭化水素を挙げることができ、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基を挙げることができ、アルカノール基としては、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、4-ヒドロキシブチル基等の炭素数1〜4のアルカノール基を挙げることができる。
一般式(1)または(2)で表される銅フタロシアニンスルファモイル化合物は、どちらかを単独で用いても、または併用しても良い。これらの銅フタロシアニンスルファモイル化合物の使用する量は、特に制限はないが、フタルイミド誘導体100質量部に対して5〜100質量部用いることが好ましい。
一般式(1)で表される銅フタロシアニンスルファモイル化合物を用いる効果は、得られる銅フタロシアニンの分散性を向上させることができ、一般式(2)で表される銅フタロシアニンスルファモイル化合物を用いる効果は、得られる銅フタロシアニンの結晶形が、ε型の比率を向上させ、特に該銅フタロシアニンをカラーフィルター用青色顔料組成物として用いる場合に非常に有用である。
一般式(1)で表される銅フタロシアニンスルファモイル化合物を用いる効果は、得られる銅フタロシアニンの分散性を向上させることができ、一般式(2)で表される銅フタロシアニンスルファモイル化合物を用いる効果は、得られる銅フタロシアニンの結晶形が、ε型の比率を向上させ、特に該銅フタロシアニンをカラーフィルター用青色顔料組成物として用いる場合に非常に有用である。
本発明の金属フタロシアニンの製造方法は、上述の銅塩をシリカ粒子等の固体担体の表面上に担持する担持工程と、該固体表面上の銅塩と無水フタル酸若しくはその誘導体とカルバミル尿素とを反応させる反応工程を含むが、必要に応じて、反応工程終了後、該固体担体を除去する工程を含んでいてもよい。
固体担体を除去する工程においては、通常公知の塩基による固体担体の処理を行うことにより、銅フタロシアニンと固体担体の分離を行うことができる。
固体担体を除去する工程においては、通常公知の塩基による固体担体の処理を行うことにより、銅フタロシアニンと固体担体の分離を行うことができる。
以下、実施例、比較例により、本発明をさらに詳細に説明する。なお、銅フタロシアニンは一般に凝集が激しいため、既存の粒度分布計を用いた粒子径評価が困難であることから、その粒子径は透過型電子顕微鏡(日本電子(株)社製JEM−2200FS)の観察により、少なくとも5つ以上の観察視野から最小粒子と最大粒子を見積もり、その範囲内を得られた銅フタロシアニンの粒子径とした。
(実施例1)
<銅−アンモニア錯体水溶液調整工程>
硝酸銅(II)三水和物(和光純薬工業(株)社製)7.92gを蒸留水100mlに溶解させ、次いで28%アンモニア水(和光純薬工業(株)社製)を7.0g添加して銅−アンモニア錯体水溶液を調整した。
<担持工程>
続いて青色の該銅−アンモニア錯体水溶液に白色のシリカ粒子としてワコーシルC−200(和光純薬工業(株)社製)50.0gを投入し、撹拌後、静置したところ、該錯体水溶液中の銅成分が該シリカ粒子表面に沈殿した薄青色銅−シリカ複合粒子が得られた。ここでシリカ粒子投入後の水溶液はほぼ無色透明であり、水溶液中に該銅−アンミン錯体の残余がないことを確認した。該銅−シリカ複合粒子をろ過して回収した後、真空乾燥機にて一昼夜乾燥した。
<反応工程>
次に、担持工程で得られた銅−シリカ複合粒子を500mlの丸底フラスコに投入し、次いで、フタルイミド(和光純薬工業(株)社製)10.0g、カルバミル尿素(和光純薬工業(株)社製)17.0gを投入し、半月板形の撹拌羽根を用いて撹拌しながらオイルバスを用いて丸底フラスコの内容物を加熱し、180℃に到達後、そのままの温度で2時間反応を継続して、シリカ粒子に担持された銅フタロシアニンを得た。
<精製工程>
続いて濃度10%の水酸化ナトリウム(和光純薬工業(株)社製)水溶液200gを投入し、温度を95℃に維持して2時間撹拌し、シリカ粒子を分解した。
その後、フラスコ内の内容物を0.1μmのメンブレンフィルターで濾過して、さらに濃度が10%の水酸化ナトリウム水溶液で洗浄し、ついで和光純薬工業(株)社製のメタノール、2N塩酸水、メタノールの順序で濾残を洗浄した後、該濾残を80℃で2時間乾燥し、銅フタロシアニンを回収した。
ここで得られた固形物のマススペクトル測定から銅フタロシアニンであることが確認され、X線回折スペクトル(理学電機(株)社製RINT−ULTIMA+)から、その結晶形はα形であることが判明した。また透過型電子顕微鏡による観察からその一次粒子は10から20nm前後の微細な粒子であった(図1)。
<銅−アンモニア錯体水溶液調整工程>
硝酸銅(II)三水和物(和光純薬工業(株)社製)7.92gを蒸留水100mlに溶解させ、次いで28%アンモニア水(和光純薬工業(株)社製)を7.0g添加して銅−アンモニア錯体水溶液を調整した。
<担持工程>
続いて青色の該銅−アンモニア錯体水溶液に白色のシリカ粒子としてワコーシルC−200(和光純薬工業(株)社製)50.0gを投入し、撹拌後、静置したところ、該錯体水溶液中の銅成分が該シリカ粒子表面に沈殿した薄青色銅−シリカ複合粒子が得られた。ここでシリカ粒子投入後の水溶液はほぼ無色透明であり、水溶液中に該銅−アンミン錯体の残余がないことを確認した。該銅−シリカ複合粒子をろ過して回収した後、真空乾燥機にて一昼夜乾燥した。
<反応工程>
次に、担持工程で得られた銅−シリカ複合粒子を500mlの丸底フラスコに投入し、次いで、フタルイミド(和光純薬工業(株)社製)10.0g、カルバミル尿素(和光純薬工業(株)社製)17.0gを投入し、半月板形の撹拌羽根を用いて撹拌しながらオイルバスを用いて丸底フラスコの内容物を加熱し、180℃に到達後、そのままの温度で2時間反応を継続して、シリカ粒子に担持された銅フタロシアニンを得た。
<精製工程>
続いて濃度10%の水酸化ナトリウム(和光純薬工業(株)社製)水溶液200gを投入し、温度を95℃に維持して2時間撹拌し、シリカ粒子を分解した。
その後、フラスコ内の内容物を0.1μmのメンブレンフィルターで濾過して、さらに濃度が10%の水酸化ナトリウム水溶液で洗浄し、ついで和光純薬工業(株)社製のメタノール、2N塩酸水、メタノールの順序で濾残を洗浄した後、該濾残を80℃で2時間乾燥し、銅フタロシアニンを回収した。
ここで得られた固形物のマススペクトル測定から銅フタロシアニンであることが確認され、X線回折スペクトル(理学電機(株)社製RINT−ULTIMA+)から、その結晶形はα形であることが判明した。また透過型電子顕微鏡による観察からその一次粒子は10から20nm前後の微細な粒子であった(図1)。
(製造例1)
ポリエーテルモノアミンとして、アメリカ合衆国Huntsman Corporation製「Surfonamine B−200」(商品名)(第一アミン−末端ポリ(エチレンオキシド/プロピレンオキシド)(5/95)コポリマー、数平均分子量約2,000)692部と炭酸ナトリウム66部と水150部の混合物に、銅フタロシアニンスルホニルクロリド(スルホン化度=1)210部を投入し、5℃〜室温で6時間反応させた。得られた反応混合物を真空下で90℃に加熱して水を除去し、式(4)で表される銅フタロシアニンスルファモイル化合物を得た。
ポリエーテルモノアミンとして、アメリカ合衆国Huntsman Corporation製「Surfonamine B−200」(商品名)(第一アミン−末端ポリ(エチレンオキシド/プロピレンオキシド)(5/95)コポリマー、数平均分子量約2,000)692部と炭酸ナトリウム66部と水150部の混合物に、銅フタロシアニンスルホニルクロリド(スルホン化度=1)210部を投入し、5℃〜室温で6時間反応させた。得られた反応混合物を真空下で90℃に加熱して水を除去し、式(4)で表される銅フタロシアニンスルファモイル化合物を得た。
本化合物において、プロピレンオキシド/エチレンオキシド=29/6(モル比)、nの平均値=35である。
(実施例2)
<銅−アンモニア錯体水溶液調整工程>及び<担持工程>
実施例1と同様にして、銅−アンモニア錯体水溶液を調整し、実施例1と同様にして、銅塩をシリカ粒子に担持し、銅−シリカ複合粒子を得た。
<一般式(1)で表される銅フタロシアニンスルファモイル化合物の担持工程>
一般式(1)で表される銅フタロシアニンスルファモイル化合物のうち、式(4)で表される銅フタロシアニンスルファモイル化合物5.65gを溶解したアセトン(和光純薬工業(株)社製)300mLに実施例1と同様にして調整した銅−シリカ複合粒子の全量を投入し、2時間緩やかに攪拌した後、ロータリーエバポレーターを用いてアセトンを留去させて、真空乾燥機にて一昼夜乾燥することにより、式(4)で表される銅フタロシアニンスルファモイル化合物が担持された銅−シリカ複合粒子を得た。
<反応工程>及び<精製工程>
実施例1と同様にして、反応工程、精製工程を行った。
得られた固形物はマススペクトル測定から銅フタロシアニンであることが確認され、X線回折スペクトル(理学電機(株)社製RINT−ULTIMA+)から、その結晶形はα形であることが判明した。また透過型電子顕微鏡による観察からその一次粒子は5から20nm前後の微細な粒子であった(図2)。
<銅−アンモニア錯体水溶液調整工程>及び<担持工程>
実施例1と同様にして、銅−アンモニア錯体水溶液を調整し、実施例1と同様にして、銅塩をシリカ粒子に担持し、銅−シリカ複合粒子を得た。
<一般式(1)で表される銅フタロシアニンスルファモイル化合物の担持工程>
一般式(1)で表される銅フタロシアニンスルファモイル化合物のうち、式(4)で表される銅フタロシアニンスルファモイル化合物5.65gを溶解したアセトン(和光純薬工業(株)社製)300mLに実施例1と同様にして調整した銅−シリカ複合粒子の全量を投入し、2時間緩やかに攪拌した後、ロータリーエバポレーターを用いてアセトンを留去させて、真空乾燥機にて一昼夜乾燥することにより、式(4)で表される銅フタロシアニンスルファモイル化合物が担持された銅−シリカ複合粒子を得た。
<反応工程>及び<精製工程>
実施例1と同様にして、反応工程、精製工程を行った。
得られた固形物はマススペクトル測定から銅フタロシアニンであることが確認され、X線回折スペクトル(理学電機(株)社製RINT−ULTIMA+)から、その結晶形はα形であることが判明した。また透過型電子顕微鏡による観察からその一次粒子は5から20nm前後の微細な粒子であった(図2)。
(実施例3)
<銅−アンモニア錯体水溶液調整工程>及び<担持工程>
実施例1と同様にして、銅−アンモニア錯体水溶液を調整し、実施例1と同様にして、銅塩をシリカ粒子に担持し、銅−シリカ複合粒子を得た。
<反応工程>
得られた銅−シリカ複合粒子を500mlの丸底フラスコに投入し、次いで、フタルイミド(和光純薬工業(株)社製)10.0g、カルバミル尿素(和光純薬工業(株)社製)17.0g、一般式(3)で表される銅フタロシアニンスルファモイル化合物のうち、下記式(5)
<銅−アンモニア錯体水溶液調整工程>及び<担持工程>
実施例1と同様にして、銅−アンモニア錯体水溶液を調整し、実施例1と同様にして、銅塩をシリカ粒子に担持し、銅−シリカ複合粒子を得た。
<反応工程>
得られた銅−シリカ複合粒子を500mlの丸底フラスコに投入し、次いで、フタルイミド(和光純薬工業(株)社製)10.0g、カルバミル尿素(和光純薬工業(株)社製)17.0g、一般式(3)で表される銅フタロシアニンスルファモイル化合物のうち、下記式(5)
(但し、式中のスルファモイル基の個数は、置換するスルファモイル基の平均置換基数である。)
で表される銅フタロシアニンスルファモイル化合物0.5g、ε形銅フタロシアニン(大日本インキ化学工業(株)製 Fastgen Blue EP−193) 0.7gを混合して、約10分間、乳鉢ですりつぶした後に投入し、半月板形の撹拌羽根を用いて撹拌しながらオイルバスを用いて丸底フラスコの内容物を加熱し、180℃に到達後、そのままの温度で2時間反応を継続して、シリカ粒子に担持された銅フタロシアニンを得た。
<精製工程>
実施例1と同様にして精製した後、得られた固形物のマススペクトル測定から銅フタロシアニンであることが確認され、X線回折スペクトル(理学電機(株)社製RINT−ULTIMA+)から、その結晶形はε形が51%、α形が49%であることが判明した。また透過型電子顕微鏡による観察からその一次粒子は10から20nm前後の微細な粒子であった(図3)。
で表される銅フタロシアニンスルファモイル化合物0.5g、ε形銅フタロシアニン(大日本インキ化学工業(株)製 Fastgen Blue EP−193) 0.7gを混合して、約10分間、乳鉢ですりつぶした後に投入し、半月板形の撹拌羽根を用いて撹拌しながらオイルバスを用いて丸底フラスコの内容物を加熱し、180℃に到達後、そのままの温度で2時間反応を継続して、シリカ粒子に担持された銅フタロシアニンを得た。
<精製工程>
実施例1と同様にして精製した後、得られた固形物のマススペクトル測定から銅フタロシアニンであることが確認され、X線回折スペクトル(理学電機(株)社製RINT−ULTIMA+)から、その結晶形はε形が51%、α形が49%であることが判明した。また透過型電子顕微鏡による観察からその一次粒子は10から20nm前後の微細な粒子であった(図3)。
(比較例1)
28%アンモニア水を使用しない以外は、実施例1と同様にして、ワコーシルC−200への担持を行ったが、ワコーシルC−200へ担持されず、目的とする銅フタロシアニンは得られなかった。
(比較例2)
カルバミル尿素の替わりに尿素を用い、また反応温度が180℃である以外は、実施例1と同様にして担持及び反応を行った。その結果、針状結晶の銅フタロシアニンが得られたが、当該銅フタロシアニンは、本実施例で得られる銅フタロシアニンに比較し微細な粒子ではなかった。(図4)
(比較例3)
実施例1と同様にして調整した銅−アンミン錯体溶液に白色の酸化アルミニウム(和光純薬工業(株)製、最大粒子径:45μm)50.0gを投入し、攪拌後、静置したところ、水溶液の色調は濃青色から青色に変化したものの、酸化アルミニウムは白色のままで沈殿し、銅成分は該酸化アルミニウム表面に担持されず、目的とする銅フタロシアニンは得られなかった。
28%アンモニア水を使用しない以外は、実施例1と同様にして、ワコーシルC−200への担持を行ったが、ワコーシルC−200へ担持されず、目的とする銅フタロシアニンは得られなかった。
(比較例2)
カルバミル尿素の替わりに尿素を用い、また反応温度が180℃である以外は、実施例1と同様にして担持及び反応を行った。その結果、針状結晶の銅フタロシアニンが得られたが、当該銅フタロシアニンは、本実施例で得られる銅フタロシアニンに比較し微細な粒子ではなかった。(図4)
(比較例3)
実施例1と同様にして調整した銅−アンミン錯体溶液に白色の酸化アルミニウム(和光純薬工業(株)製、最大粒子径:45μm)50.0gを投入し、攪拌後、静置したところ、水溶液の色調は濃青色から青色に変化したものの、酸化アルミニウムは白色のままで沈殿し、銅成分は該酸化アルミニウム表面に担持されず、目的とする銅フタロシアニンは得られなかった。
Claims (4)
- 銅フタロシアニンの製造方法であって、
(1)2価の銅塩とアンモニアにより形成される銅錯体を、固体担体の表面上に付着させて担持させる第一工程と、
(2)前記第一工程の後、無水フタル酸若しくはその誘導体と、カルバミル尿素とを、該固体担体の表面上に担持された該銅錯体に反応させる第二工程
を含む銅フタロシアニンの製造方法。 - 前記第二工程における無水フタル酸若しくはその誘導体が、フタルイミド誘導体である請求項1に記載の銅フタロシアニンの製造方法。
- 前記第二工程が、一般式(1)
を表し、a、b、cおよびdは、各々独立に0〜2の整数を表すが、そのうち少なくとも一つは1である。)
で表される銅フタロシアニンスルファモイル化合物、または一般式(3)
(但し、式中、Xは銅、亜鉛、コバルト、ニッケル、及び鉄から選ばれるいずれか1種の金属原子を表し、Mは水素原子、アルカリ金属原子、或いはアンモニウム基を表し、R1、R2はそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルカノール基を表し、L及びNはそれぞれ独立に0〜4の整数、Pは1〜4の整数を表す。)
で表される金属フタロシアニンスルファモイル化合物の存在下で行われる、請求項1または2のいずれかに記載の銅フタロシアニンの製造方法。 - 前記固体担体が二酸化珪素粒子である請求項1乃至3のいずれかに記載の銅フタロシアニンの製造方法。
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JP2007254129A JP2009084366A (ja) | 2007-09-28 | 2007-09-28 | 銅フタロシアニンの製造方法 |
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