JP2007145935A - 金属フタロシアニンの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 合成段階で金属フタロシアニンの結晶成長を抑制し、均一で微細な金属フタロシアニンを従来法に比べて低い温度で製造し、合成工程後の顔料化工程の負荷を大幅に低減する金属フタロシアニンの製造方法を提供する。
【解決手段】 金属フタロシアニンの製造方法であって、(1)該金属フタロシアニンの中心金属となり得る金属を微粒子化して金属微粒子を得る第1工程と、(2)該金属微粒子を固体担体表面上に付着させて担持する第2工程と、(3)フタロニトリル化合物若しくはその誘導体から選択された物質を、該固体担体表面上の該金属微粒子に反応させる第3工程とを含む金属フタロシアニンの製造方法とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は金属フタロシアニンの合成方法に関し、さらに詳しくは、該金属フタロシアニンの中心金属となり得る金属を微粒子化した後、該微粒子化した金属を固体担体表面に担持させ、次いで、フタロニトリル化合物等を固体担体表面の該微粒子金属と反応させて金属フタロシアニンを製造する方法に関する。
フタロシアニン化合物は印刷インキや塗料、プラスチック着色剤等に用いられる顔料として重要な有機化合物であり、その分子中に金属原子を含む金属フタロシアニン、中でも銅原子を含む銅フタロシアニンは極めて重要な有機顔料である。
このような金属フタロシアニンの合成方法としては、使用する主な原料種の観点から、フタロニトリル化合物若しくはその誘導体と金属塩等を原料とするフタロジニトリル法や、無水フタル酸若しくはその誘導体と、尿素若しくはその誘導体とを、金属塩等と共にモリブデン化合物等の触媒存在下で反応させるワイラー法が知られている。
また、上述のフタロジニトリル法やワイラー法において、原料以外に希釈液として有機溶媒等を用い、該有機溶媒中で合成するソルベント法と、有機溶媒を使用せず無溶媒下で原料のみを加熱溶融して合成するベーキング法が知られている。
ソルベント法は反応温度の制御や撹拌混合が容易であることから、産業的に広く採用されているが、有機溶剤を多量に使用することから製造コストの増大及び臭気対策等の環境負荷が大きく、かつ、生成する金属フタロシアニンが有機溶媒中で結晶成長し、針状の粗大粒子となり、印刷インキや塗料の着色剤として使用するには、反応後に該粒子を微細化する顔料化行程が必要になる等、製品品質的にも問題があった。
一方、ベーキング法は希釈液としての有機溶媒を使用しないので環境負荷の小さいプロセスを構築できるが、撹拌混合の効率が低下しやすく、反応温度の制御が困難となる場合もあり、工業的規模での実施が困難である場合もあった。
また、フタロジニトリル法又はワイラー法を用いて金属フタロシアニンを合成する際には、セラミックビーズ等の微細な粉砕媒体を用いて生成する金属フタロシアニンを粉砕しながら合成し、顔料化工程を経ずに直接、微細な金属フタロシアニンを得る方法等も提案されている(例えば、特許文献1)。
しかしながら、粉砕媒体を用いる方法では生成する金属フタロシアニンを機械的に微細化するため、多大のエネルギーを要する場合もあり、特に、より微細な金属フタロシアニンを得るには、必要となるエネルギー量も増大する。また、粉砕媒体の摩耗により、不純物が製品中に混入する場合もあり、製品品質上、好ましくない場合もあった。
フタロジニトリル法又はワイラー法による金属フタロシアニン化合物の理想的な製造方法としては、ソルベント法のように希釈液を用いることなく、ベーキング法よりも低温、短時間で合成することが可能で、かつ、多大の機械的エネルギーを投入しなくても、合成段階で結晶成長を抑制して均一で微細な金属フタロシアニン微粒子を得ることにあるが、上述のように、従来のソルベント法やベーキング法、あるいは、これらの方法にさらに機械的エネルギーを投入する方法を併用しても、製造コストの増大や製品品質上の問題があった。
また、金属フタロシアニン化合物の中心金属の原料としては、従来、フタロジニトリル法及びワイラー法ともに、塩化物等の塩類、例えば銅フタロシアニン合成では塩化銅等が用いられてきた。
しかしながら、このような金属塩を用いる製造方法では、金属イオンの対イオンである塩化物イオン等の除去工程が必要となる問題や、対イオンの一部がフタロシアニンと反応して品質低下を招く等の問題もあった。
上記のような問題を回避する方法として、金属フタロシアニン化合物を合成する際に、その中心金属となり得る金属を、純粋な金属として原料に用いることが好ましいと考えられる。しかしながら、一般に純粋な金属は金属塩と比べて反応性が乏しく、金属フタロシアニン合成においても、十分な収率が得られず、反応が長時間化する等の問題があった。また、金属微粒子を粉砕する等して十分に小さな微粒子状態にして使用することにより、反応性を高めることも考えられるが、粉砕できる粒子径に限界があったり、微細化した金属粒子が凝集してフロック状態になる等して、やはり、十分な反応性が得られない場合もあった。
一方、微細な金属微粒子の合成方法として、該当する金属塩の溶液に還元剤を作用させる等して生成させる方法があり、塊状金属を粉砕する方法に比べて、エネルギーコストが小さく、かつ、数nmから数十nmの微細な金属微粒子を得ることができることが知られている(例えば、特許文献2、3)。
特公平3−74706号公報 特開2003−147417号公報 特開2005−281781号公報
本発明が解決しようとする課題は、金属フタロシアニンの合成方法において、合成段階で金属フタロシアニンの結晶成長を抑制し、環境負荷の高い有機溶媒等の希釈液を使用することなく、また微細化のための粉砕媒体の利用等の特段の機械的エネルギー投入を必要とせずに、均一で微細な金属フタロシアニンを従来法に比べて低い温度で製造し、合成工程後の顔料化工程の負荷を大幅に低減する製造方法を提供することにあり、さらに、顔料化工程無しで印刷インキの着色剤等に好適な金属フタロシアニンの製造方法を提供することにある。
本発明者は、金属塩の溶液に還元剤を作用させて金属微粒子を得て、これを固体担体表面に担持させることにより金属微粒子の凝集を防止し、その状態でフタロジニトリル法又はワイラー法により、固体担体表面の金属微粒子をフタロニトリル化合物等と反応させることで、結晶成長が抑制され、微細な金属フタロシアニン化合物が凝集することなく得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、金属フタロシアニンの製造方法であって、
(1)該金属フタロシアニンの中心金属となり得る金属を微粒子化して金属微粒子を得る第1工程と、
(2)該金属微粒子を固体担体表面上に付着させて担持する第2工程と、
(3)フタロニトリル化合物若しくはその誘導体から選択された物質を、該固体担体表面上の該金属微粒子に反応させる第3工程
とを含むことを特徴とする金属フタロシアニンの製造方法を提供するものである。
また、本発明は、
(1)該金属フタロシアニンの中心金属となり得る金属を微粒子化して金属微粒子を得る第1工程と、
(2)該金属微粒子を固体担体表面上に付着させて担持する第2工程と、
(3’)無水フタル酸若しくはその誘導体から選択された物質と、尿素若しくはその誘導体から選択された物質とを、該固体担体表面上の該金属微粒子に反応させる第3’工程
とを含むことを特徴とする金属フタロシアニンの製造方法を提供するものである。
本発明の金属フタロシアニンの製造方法によれば、結晶成長が抑制された均一で微細な金属フタロシアニン化合物を従来法に比べて低い温度で、かつ、短時間に合成することができる。したがって、従来方法に比べて顔料化工程の負荷が大幅に低減でき、また、顔料化工程を経ることなく印刷インキや塗料用の着色剤等として用いることもできる。
本発明の製造方法による金属フタロシアニンは、その分子構造の中心に銅、鉄、ニッケル、亜鉛、マグネシウム等の金属原子を含むフタロシアニンであって、その分子構造中の4つのベンゼン環に置換基を有しないような金属フタロシアニンや、ベンゼン環又はナフタレン環の一部がハロゲン化やアルキル化する等して置換基が導入された金属フタロシアニン化合物又は金属ナフタロシアニン化合物等を含み、以下、これらを総称して金属フタロシアニンという。
本発明で用いることができるフタロニトリル化合物若しくはその誘導体は、オルトフタロニトリルをはじめ、ベンゼン環又はナフタレン環のオルト位に−CN基を2つ有するものをいい、例えば、下記一般式(1)
Figure 2007145935
の環Aがベンゼン環である場合に、その他の部位にハロゲン原子やアルキル基等の官能基が導入されているものでもよい。
また、本発明で用いることができる無水フタル酸若しくはその誘導体は、無水フタル酸、フタルイミドを含み、例えば、下記一般式(2)
Figure 2007145935
の環Bがベンゼン環である場合に、その他の部位にハロゲン原子やアルキル基等の官能基が導入されているものでもよい。
本発明で用いることができる尿素若しくはその誘導体も、従来の金属フタロシアニン製造で用いられている公知の化合物を使用することができ、例えば尿素やアンモニアを挙げることができる。
本発明で用いることができる中心金属としては、金属フタロシアニンの中心金属となり得るすべての金属を挙げることができ、具体的には鉄、ニッケル、亜鉛、銅等を挙げることができる。
該中心金属として用いる金属微粒子の粒子径は、金属フタロシアニン化合物生成の反応性に直接関係することから、小さい粒子径であることが好ましく、100nm以下であることが好ましく、特に10nm以下であることが好ましい。
より微細な金属微粒子が好ましい理由として、金属自身の性質の変化を挙げることができる。すなわち、ナノオーダーレベルにまで金属を微粒子化すると、比表面積や表面エネルギーが著しく大きくなり、塊状の金属とは異なった界面現象を示し、例えば、塊状では通常、触媒活性を示さない金でも、数nm程度にまで微粒子することにより触媒活性を示すようになり、また、融点の低下や蒸気圧の上昇といった質的変化が起こることも知られており、その効果を活用することができることが考えられるからである。
したがって、本発明で用いることができるナノオーダーの金属微粒子も、上述の金属自身の反応活性の向上等により、金属フタロシアニン化合物製造の原料として好適であることが期待され、実際、驚くべきことに従来法に比べてより低温で、かつ、短時間で、金属フタロシアニン微粒子が得られることが判明し、かつ、後述するように、該金属微粒子を固体担体表面上に担持した後に反応させることにより、きわめて微細な金属フタロシアニン微粒子が得られ、顔料化工程の負荷が大幅に低減でき、また、顔料化工程を経ることなく印刷インキや塗料用の着色剤等として用いることもできることを見出したのである。
ここで、第1工程におけるナノオーダーの金属微粒子の製造方法として、塊状の金属を粉砕して微細化する粉砕法も用いることができるが、実際には微細化できる粒子径には限界があり、ナノオーダーの金属微粒子を得るには多大の労力を要する。
そこで、好ましい該金属微粒子の製造方法として、対応する該金属の塩類の溶液から、界面活性剤存在下又は非存在下で、還元剤等を作用させる還元法により、液相で微細な金属微粒子を生成させる方法が挙げられる。ここで、金属の塩類とは、例えば銅の場合、塩化銅や硝酸銅等が挙げられ、塩類の溶液とは水溶液やアルコール溶液又は水とアルコールの混合溶液等が挙げられる。また還元剤とは一般に還元性を有する化合物の総称であり、本発明においても特に限定はないが、例えば、水素化ホウ素ナトリウム、ヒドラジン、ヒドロキノン、ピロガロール等を挙げることができる。界面活性剤も種類にも特に限定は無く、各種のイオン性界面活性剤や非イオン性界面活性剤を用いることができる。
例えば、硝酸銅(II)三水和物と界面活性剤としてポリオキシエチレンオレイルエーテルとを水とエタノールの混合溶液に溶解させ、該混合溶液にヒドラジン一水和物を含む水とエタノールの還元剤混合溶液を1時間かけて滴下することにより、平均粒子径が10nm以下の銅微粒子分散溶液を得ることができる。
次に、第1工程で製造した金属微粒子を固体担体表面上に付着させて担持する工程を第2工程とすることにより、固体担体表面上に担持されたナノオーダーの金属微粒子を得ることができる。ここで、該固体担体は本発明の方法で用いることができる各種のフタロシアニン製造の原料と生成する金属フタロシアニンと反応しない材料の中から選択できるものであれば特に限定は無く、金属、セラミックス、高分子材料などが使用できる。
本発明の方法では好ましい担体として、金属フタロシアニン合成時の反応温度が100℃以上であることを考慮して、耐熱性に優れるセラミックスを挙げることができ、その中でも特に好ましい担体としてシリカ(二酸化珪素)を挙げることができる。これはシリカが安価で入手しやすく、かつ、後述する第3工程にて金属フタロシアニンを合成した後に、水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリで容易にシリカを分解除去できるからである。またその形態にも特に限定はないが、多くの金属微粒子を担持できる粒子状が好ましい。したがって、本発明の金属フタロシアニンの製造方法ではシリカ粒子をもっとも好ましい固体担体のひとつとして挙げることができる。
ここで、該金属微粒子を担持する固体担体がシリカ粒子等の粒子状固体である場合、その粒子径にも特に限定は無いが、担持する金属微粒子の量や第3工程において金属フタロシアニンが主に該固体担体表面で生成することを鑑みて決定されることが好ましく、該固体担体粒子同士の凝集防止の観点から、好ましい粒子径は10nm以上で、さらに好ましくは20nm以上である。
また、後述する第3工程において、金属フタロシアニンが生成する場である固体担体表面の表面積をより大きく確保し、生成する該金属フタロシアニン微粒子同士の結合による結晶成長を抑制するために、該固体担体の粒子径は、好ましくは1mm以下で、さらに好ましくは100μm以下であると考えてよい。
また、担持する金属微粒子の量も固体担体の量に対して決定され、後述する第3工程における金属フタロシアニン合成の収率向上、及び、担持した金属微粒子と生成した金属フタロシアニンの凝集防止の観点から、その担持量は1%から20%、好ましくは2%から10%の範囲にあると考えてよい。
第2工程における金属微粒子の固体担体への担持方法に関しては、各種の公知公用の担持法が本発明の方法においても適用できる。例えば、金属微粒子を含む溶液に固体担体を分散させ、スプレードライ(噴霧乾燥)法によって担持する方法や、同様に金属微粒子の分散溶液に固体担体粒子を分散させ、ロータリーエバポレーター等を用いて液体成分を除去しながら真空乾燥することにより、固体担体表面上に担持する方法、該金属微粒子と固体担体とをビーズミルなどを用いて混和・複合化する方法などが挙げられ、これらの方法を用いて固体担体表面上に担持されたナノオーダーの金属微粒子を得ることができる。
ソルベント法においては有機溶媒中で生成する金属フタロシアニンは容易に結晶成長をおこし、長針状化しやすく、ベーキング法においても、溶融状態の原料中で結晶成長しやすいことが知られているが、本発明においては、第2工程で用いる該固体担体はその表面上に均一にナノオーダーの金属微粒子を担持させ、該金属微粒子の凝集を防止して第3工程における金属フタロシアニン合成を効率的に進行させる働きを担っているのみならず、第3工程において金属フタロシアニン生成の一部若しくは大部分を該固体担体表面上の物質移動が拘束された環境下で進行させることにより、生成する該金属フタロシアニンの結晶成長を抑制し、微細な金属フタロシアニン粒子を得ることができる。
本発明の第3工程では、フタロニトリル化合物若しくはその誘導体から選択された物質を固体担体表面上に担持されたナノオーダーの金属微粒子と反応させる工程とするか、または、第3’工程として、無水フタル酸若しくはその誘導体から選択された物質と、尿素若しくはその誘導体から選択された物質とを、固体担体表面上に担持されたナノオーダーの金属微粒子と反応せる工程とする。
このような第3工程又は第3’工程を採用することにより、結晶成長が抑制された微細な金属フタロシアニンを製造することができ、その結果、合成工程後の顔料化工程の負荷を大幅に低減できるか、又は顔料化工程無しで印刷インキの着色剤等に好適な金属フタロシアニン化合物を得ることができる。
これは、上述したように、反応活性の高いナノオーダーの金属微粒子が、フタロニトリル化合物等と固体担体表面上で、該固体担体表面に拘束された状態で反応して金属フタロシアニンを生じ、生成した金属フタロシアニン同士の干渉、すなわち、会合や凝集等がないために、粒子粗大化につながる結晶成長が生じなかったと推測される。
また、本発明の方法では、例えば、原料であるオルトフタロニトリルの融点(141℃)よりも低い温度(125℃)ですでにフタロシアニンが生成するので、通常180℃以上の温度でオルトフタロニトリルを溶融状態で反応させる従来にベーキング法とは異なり、より低温で、かつ、原料種がすべて固体状態であっても金属フタロシアニンを得ることができるので、製造コストの低減と結晶成長を助長する液状成分の非存在下での合成が可能となる。
なお、本発明の第3工程において、第2工程で得られたナノオーダーの金属微粒子が担持された固体担体とフタロニトリル化合物等とを作用させる方法に特に限定は無いが、加熱機構を有するビーズミルやニーダー、ナウターミキサーなどの粉体処理装置、分散機などで攪拌、混合、分散操作を実施しながら上述の所定温度に操作することにより、金属フタロシアニンを合成することができる。
本発明の金属フタロシアニンの製造方法は、上述のナノオーダーの金属微粒子を製造する第1工程と、該金属微粒子をシリカ粒子等の固体担体表面に担持する第2工程と、該固体表面上の金属微粒子とフタロニトリル化合物等を反応させる第3工程(又は第3’工程)を含むが、必要に応じて、第3工程終了後、該固体担体を除去する工程を含んでいても構わない。
以下、実施例、比較例により、本発明をさらに詳細に説明する。
(実施例1)
<第1工程>
硝酸銅(II)三水和物(和光純薬工業(株)社製)1.52g及びポリオキシエチレン(10)オレイルエーテル(和光純薬工業(株)社製)2.0gを容量1Lの丸底フラスコに投入し、ついで蒸留水250ml及びエタノール(和光純薬工業(株)社製)250mlの混合溶液を投入して完全に溶解させた。しかる後に撹拌子で該混合溶液を撹拌しながら、ヒドラジン一水酸化物(和光純薬工業(株)製)1.2g、蒸留水60ml、エタノール60mlからなる還元剤溶液を1時間かけて滴下し、銅微粒子を得た(平均粒子径は4.1nm)。
<第2工程>
続いて該銅微粒子を含む溶液にシリカ粒子としてワコーシルC−200(和光純薬工業(株)製)5.0gを投入し、ロータリーエバポレーターを用いて30℃、真空下で液体成分を除去し、そのまま真空乾燥して、銅微粒子を担持したシリカ粒子を得た。
<第3工程>
次に、第2工程で得られた銅微粒子を担持したシリカ粒子5.0gを50mlの丸底フラスコに投入し、次いで、オルトフタロニトリル(和光純薬工業(株)社製)0.82gを投入し、半月板形の撹拌羽根を用いて撹拌しながら、オイルバスを用いて丸底フラスコの内容物を加熱し、140℃に到達後、そのままの温度で1時間反応を継続して、シリカ粒子に担持された銅フタロシアニンを得た。
続いて濃度10%の水酸化ナトリウム(和光純薬工業(株)社製)水溶液20gを投入し、温度を95℃に維持して2時間撹拌し、シリカ粒子を分解した。
その後、フラスコ内の内容物を0.1μmのメンブレンフィルターで濾過して、さらに濃度が10%の水酸化ナトリウム水溶液で洗浄し、ついで和光純薬工業(株)社製のメタノール、2N塩酸水、メタノールの順序で濾残を洗浄した後、該濾残を80℃で2時間乾燥し、銅フタロシアニンを回収した。
ここで得られた固形物のマススペクトル測定から銅フタロシアニンであることが確認され、X線回折スペクトル(理学電機(株)製 RINT−ULTIMA+)から、その結晶形はα型であることが判明した。また透過型電子顕微鏡による観察からその一次粒子は20から50nm前後の微細な粒子であった(図1)。
(実施例2)
<第3’工程>
上述の第2工程で得られた銅微粒子を担持したシリカ粒子5.0gを50mlの丸底フラスコに投入し、次いで、フタルイミド(和光純薬工業(株)社製)0.95g、尿素(和光純薬工業(株)社製)0.95g、七モリブデン酸アンモニウム四水和物0.02gを投入し、半月板形の撹拌羽根を用いて撹拌しながら オイルバスを用いて丸底フラスコの内容物を加熱し、170℃に到達後、そのままの温度で1時間反応を継続して、シリカ粒子に担持された銅フタロシアニンを得た。
続いて濃度10%の水酸化ナトリウム(和光純薬工業(株)社製)水溶液20gを投入し、温度を95℃に維持して2時間撹拌し、シリカ粒子を分解した。
その後、フラスコ内の内容物を0.1μmのメンブレンフィルターで濾過して、さらに濃度が10%の水酸化ナトリウム水溶液で洗浄し、ついでメタノール、2N塩酸水、メタノールの順序で濾残を洗浄した後、該濾残を80℃で2時間乾燥し、銅フタロシアニンを回収した。
その後、実施例1と同様にしてマススペクトル測定、X線回折スペクトル測定を実施したところ、α型の銅フタロシアニンであることが判明し、また透過型電子顕微鏡による観察からその一次粒子は10から50nm前後の微細な粒子であった(図2)。
(比較例1)
オルトフタロニトリル1.0g、塩化第二銅0.3g、エチレングリコール19.0gを20mL丸底フラスコに投入し、オイルバスで140℃に維持して2時間撹拌したが、銅フタロシアニンは生成しなかった。
(比較例2)
フタルイミド(和光純薬工業(株)社製)0.95g、尿素(和光純薬工業(株)社製)0.95g、塩化第一銅0.15g、七モリブデン酸アンモニウム四水和物0.02gを50mlの丸底フラスコに投入し、次いで、粒子径が1mmのガラスビーズ10gを加えて、半月板形の撹拌羽根を用いて撹拌しながら オイルバスを用いて丸底フラスコの内容物を加熱し、180℃に到達後、そのままの温度で1時間反応を継続して銅フタロシアニンを得たが、レーザー顕微鏡(株式会社キーエンス製 VK−8510)で観察したところ、粒子は針状に結晶成長しており、微細な銅フタロシアニンは得られなかった(図3)。
本発明の方法でオルトフタロニトリルを原料として得た銅フタロシアニンの透過電子顕微鏡写真(実施例1)。 本発明の方法でフタルイミドと尿素を原料として得た銅フタロシアニンの透過電子顕微鏡写真(実施例2)。 比較例2で得られた銅フタロシアニンのレーザー顕微鏡写真。

Claims (6)

  1. 金属フタロシアニンの製造方法であって、
    (1)該金属フタロシアニンの中心金属となり得る金属を微粒子化して金属微粒子を得る第1工程と、
    (2)該金属微粒子を固体担体表面上に付着させて担持する第2工程と、
    (3)フタロニトリル化合物若しくはその誘導体から選択された物質を、該固体担体表面上の該金属微粒子に反応させる第3工程
    とを含むことを特徴とする金属フタロシアニンの製造方法。
  2. 金属フタロシアニンの製造方法であって、
    (1)該金属フタロシアニンの中心金属となり得る金属を微粒子化して金属微粒子を得る第1工程と、
    (2)該金属微粒子を固体担体表面上に付着させて担持する第2工程と、
    (3’)無水フタル酸若しくはその誘導体から選択された物質と、尿素若しくはその誘導体から選択された物質とを、該固体担体表面上の該金属微粒子に反応させる第3’工程
    とを含むことを特徴とする金属フタロシアニンの製造方法。
  3. 該第1工程が、該金属の塩類溶液から還元法により該金属微粒子を得る工程である請求項1又は2に記載の金属フタロシアニンの製造方法。
  4. 該第1工程における該金属微粒子の平均粒子径が、1nm〜100nmである請求項1〜3のいずれかに記載の金属フタロシアニンの製造方法。
  5. 該第2工程における該固体担体の粒子径が10nm〜1mmである請求項1〜4のいずれかに記載の金属フタロシアニンの製造方法。
  6. 該第2工程における該固体担体が二酸化珪素粒子である請求項1〜5のいずれかに記載の金属フタロシアニンの製造方法。


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