JP5136821B2 - 金属フタロシアニンの製造方法 - Google Patents

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本発明は金属フタロシアニンの合成方法に関し、さらに詳しくは、該金属フタロシアニンの中心金属となり得る金属源を微粒子化した後、該微粒子化した金属を固体担体表面に担持させるか、若しくは該金属源の塩類を固体担体表面に担持させ、次いで、無水フタル酸若しくはその誘導体と窒素源とを固体担体表面の該金属源と反応させて金属フタロシアニンを製造する方法に関する。
フタロシアニン化合物は印刷インキや塗料、プラスチック着色剤等に用いられる顔料として重要な有機化合物であり、その分子中に金属原子を含む金属フタロシアニン、中でも銅原子を含む銅フタロシアニンは極めて重要な有機顔料である。
このような金属フタロシアニンの合成方法としては、使用する主な原料種の観点から、フタロニトリル化合物若しくはその誘導体と金属塩等を原料とするフタロジニトリル法や、無水フタル酸若しくはその誘導体と、尿素若しくはその誘導体とを、金属塩等と共にモリブデン化合物等の触媒存在下で反応させるワイラー法が知られている。
また、上述のフタロジニトリル法やワイラー法において、原料以外に希釈液として有機溶媒等を用い、該有機溶媒中で合成するソルベント法と、有機溶媒を使用せず無溶媒下で原料のみを加熱溶融して合成するベーキング法が知られている。
ソルベント法は反応温度の制御や撹拌混合が容易であることから、産業的に広く採用されているが、有機溶剤を多量に使用することから製造コストの増大及び臭気対策等の環境負荷が大きく、かつ、生成する金属フタロシアニンが有機溶媒中で結晶成長し、針状の粗大粒子となり、印刷インキや塗料の着色剤として使用するには、反応後に該粒子を微細化する顔料化行程が必要になる等、製品品質的にも問題があった。
一方、ベーキング法は希釈液としての有機溶媒を使用しないので環境負荷の小さいプロセスを構築できるが、撹拌混合の効率が低下しやすく、反応温度の制御が困難となる場合もあり、工業的規模での実施が困難である場合もあった。
また、フタロジニトリル法又はワイラー法を用いて金属フタロシアニンを合成する際には、セラミックビーズ等の微細な粉砕媒体を用いて生成する金属フタロシアニンを粉砕しながら合成し、顔料化工程を経ずに直接、微細な金属フタロシアニンを得る方法等も提案されている(例えば、特許文献1)。
しかしながら、粉砕媒体を用いる方法では生成する金属フタロシアニンを機械的に微細化するため、多大のエネルギーを要する場合もあり、特に、より微細な金属フタロシアニンを得るには、必要となるエネルギー量も増大する。また、粉砕媒体の摩耗により、不純物が製品中に混入する場合もあり、製品品質上、好ましくない場合もあった。
フタロジニトリル法又はワイラー法による金属フタロシアニン化合物の理想的な製造方法としては、ソルベント法のように希釈液を用いることなく、ベーキング法よりも低温、短時間で合成することが可能で、かつ、多大の機械的エネルギーを投入しなくても、合成段階で結晶成長を抑制して均一で微細な金属フタロシアニン微粒子を得ることにあるが、上述のように、従来のソルベント法やベーキング法、あるいは、これらの方法にさらに機械的エネルギーを投入する方法を併用しても、製造コストの増大や製品品質上の問題があった。
特公平3−74706号公報
本発明が解決しようとする課題は、金属フタロシアニンの合成方法において、合成段階で金属フタロシアニンの結晶成長を抑制し、環境負荷の高い有機溶媒等の希釈液を使用することなく、また微細化のための粉砕媒体の利用等の特段の機械的エネルギー投入を必要とせずに、均一で微細な金属フタロシアニンを従来法に比べて低い温度で製造し、合成工程後の顔料化工程の負荷を大幅に低減する製造方法を提供することにあり、さらに、顔料化工程無しで印刷インキの着色剤等に好適な金属フタロシアニンの製造方法を提供することにある。
本発明者は、金属フタロシアニンの中心金属となり得る金属の金属塩を固体担体の表面上に付着させて担持させ、その状態で、無水フタル酸若しくはその誘導体と窒素源としてカルバミル尿素とを固体担体の表面上に皮膜状に形成された金属塩に反応させることで、固体担体の表面上に、結晶成長が抑制され、微細な金属フタロシアニン化合物が凝集することなく得られることを見出した。
また、金属フタロシアニンの中心金属となり得る金属を微粒子化した金属微粒子を固体担体の表面上に付着させて担持させ、その状態で、無水フタル酸若しくはその誘導体と窒素源としてカルバミル尿素とを固体担体の表面上に形成された金属微粒子に反応させることで、固体担体の表面上に、結晶成長が抑制され、微細な金属フタロシアニン化合物が凝集することなく得られることも見出した。
そして、上記何れの方法においても、固体担体の表面上に微細な金属フタロシアニン化合物が得られた後、固体担体を除去することにより、微細な金属フタロシアニン化合物のみが選別されて得られることも見出した。
すなわち、本発明は、金属フタロシアニンの製造方法であって、
(1)該金属フタロシアニンの中心金属となり得る金属の金属塩を固体担体の表面上に付着させて担持する金属塩担持工程と、
(2)該金属塩担持工程を経た後、無水フタル酸若しくはその誘導体とカルバミル尿素とを、該固体担体の表面上に担持された該金属塩に反応させる反応工程
とを含むことを特徴とする金属フタロシアニンの製造方法を提供するものである。
また、本発明は、金属フタロシアニンの製造方法であって、
(1)該金属フタロシアニンの中心金属となり得る金属を微粒子化した金属微粒子を固体担体の表面上に付着させて担持する金属微粒子担持工程と、
(2)該金属微粒子担持工程を経た後、無水フタル酸若しくはその誘導体とカルバミル尿素とを、該固体担体の表面上に担持された該金属微粒子に反応させる反応工程
とを含むことを特徴とする金属フタロシアニンの製造方法を提供するものである。
本発明の金属フタロシアニンの製造方法によれば、結晶成長が抑制された、均一で微細な金属フタロシアニン化合物を従来法に比べて短時間に合成することができる。したがって、従来方法に比べて顔料化工程の負荷が大幅に低減でき、また、顔料化工程を経ることなく印刷インキや塗料用の着色剤等として用いることもできる。
本発明の製造方法による金属フタロシアニンは、その分子構造の中心に銅、鉄、ニッケル、亜鉛、マグネシウム等の金属原子を含むフタロシアニンであって、その分子構造中の4つのベンゼン環に置換基を有しないような金属フタロシアニンや、ベンゼン環又はナフタレン環の一部がハロゲン化やアルキル化する等して置換基が導入された金属フタロシアニン化合物又は金属ナフタロシアニン化合物等を含み、以下、これらを総称して金属フタロシアニンという。
また、本発明で用いることができる無水フタル酸若しくはその誘導体は、無水フタル酸、フタルイミドを含み、例えば、下記一般式
Figure 0005136821
の環Aがベンゼン環である場合に、その他の部位にハロゲン原子やアルキル基等の官能基が導入されているものでもよい。
本発明で用いることができる窒素源としては、カルバミル尿素である。従来は窒素源として尿素が用いられてきたが、尿素の融点は金属フタロシアニン合成の反応温度よりも低いために、少なくとも一部の尿素が溶け出すため、反応により生成した金属フタロシアニンが結晶成長する場合があった。これに対してカルバミル尿素の融点(193℃)は金属フタロシアニン合成の反応温度よりも高いために尿素のように液状になることがないため、該金属フタロシアニン合成をすべての原料が固体状態又は一部が昇華により気化した状態で反応させることができる。そのため、生成する金属フタロシアニンは結晶成長することなく、固体担体の表面上で微細な粒子として合成される。
本発明で用いることができる中心金属としては、金属フタロシアニンの中心金属となり得るすべての金属を挙げることができ、具体的には鉄、ニッケル、亜鉛、銅等を挙げることができる。
該中心金属となり得る金属の金属塩を用いる場合は、塩化銅(II)、硫酸銅(II)などを挙げることができる。これらの金属塩は水などの溶媒に溶解させることができるので、該金属塩溶液に固体担体の粒子を分散させた後、ロータリーエバポレーターなどを用いて溶媒除去することにより、容易に該金属塩を該固体担体の表面上に皮膜状に担持させることができる。
また、該中心金属となり得る金属を微粒子化した金属微粒子を用いる場合は、該金属微粒子の粒子径は、金属フタロシアニン化合物生成の反応性に直接関係することから、小さい粒子径であることが好ましく、100nm以下であることが好ましく、特に10nm以下であることが好ましい。なお、金属微粒子の粒子径の下限値に関しては特に限定はないが、後述するように、各種の公知公用の金属微粒子の製造方法において得られる該金属微粒子の最小粒子径が1nm以上であることを鑑みて、本発明においても実質的には粒子径が1nm以上の金属微粒子を用いる。
より微細な金属微粒子が好ましい理由として、金属自身の性質の変化を挙げることができる。すなわち、ナノオーダーレベルにまで金属を微粒子化すると、比表面積や表面エネルギーが著しく大きくなり、塊状の金属とは異なった界面現象を示し、例えば、塊状では通常、触媒活性を示さない金でも、数nm程度にまで微粒子することにより触媒活性を示すようになり、また、融点の低下や蒸気圧の上昇といった質的変化が起こることも知られており、その効果を活用することができることが考えられるからである。
したがって、本発明で用いることができる固体担体の表面上の金属塩又はナノオーダーの金属微粒子は、金属フタロシアニン化合物製造の原料として好適であることが期待され、実際、驚くべきことに従来法に比べてより短時間で、金属フタロシアニン微粒子が得られることが判明し、かつ、後述するように、該金属源を固体担体の表面上に担持した後に反応させることにより、きわめて微細な金属フタロシアニン微粒子が得られ、顔料化工程の負荷が大幅に低減でき、また、顔料化工程を経ることなく印刷インキや塗料用の着色剤等として用いることもできることを見出したのである。
ここで、金属源としてナノオーダーの金属微粒子を用いる場合は、その製造方法として、塊状の金属を粉砕して微細化する粉砕法も用いることができるが、実際には微細化できる粒子径には限界があり、ナノオーダーの金属微粒子を得るには多大の労力を要する。
そこで、好ましい該金属微粒子の製造方法として、対応する該金属の塩類の溶液から、界面活性剤存在下又は非存在下で、還元剤等を作用させる還元法により、液相で微細な金属微粒子を生成させる方法が挙げられる。ここで、金属の塩類とは、例えば銅の場合、塩化銅や硝酸銅等が挙げられ、塩類の溶液とは水溶液やアルコール溶液又は水とアルコールの混合溶液等が挙げられる。また還元剤とは一般に還元性を有する化合物の総称であり、本発明においても特に限定はないが、例えば、水素化ホウ素ナトリウム、ヒドラジン、ヒドロキノン、ピロガロール等を挙げることができる。界面活性剤も種類にも特に限定は無く、各種のイオン性界面活性剤や非イオン性界面活性剤を用いることができる。
例えば、硝酸銅(II)三水和物と界面活性剤としてポリオキシエチレンオレイルエーテルとを水とエタノールの混合溶液に溶解させ、該混合溶液にヒドラジン一水和物を含む水とエタノールの還元剤混合溶液を1時間かけて滴下することにより、平均粒子径が10nm以下の銅微粒子分散溶液を得ることができる。
上述のごとく、金属塩溶液又はナノオーダーの金属微粒子分散液を固体担体の表面上に付着させて担持する担持工程により、固体担体の表面上に金属源が担持された複合粒子を得ることができる。ここで、該固体担体は本発明の方法で用いることができる各種のフタロシアニン製造の原料と生成する金属フタロシアニンと反応しない材料の中から選択できるものであれば特に限定は無く、金属、セラミックス、高分子材料などが使用できる。
本発明の方法で、好ましい固体担体としては、金属フタロシアニン合成時の反応温度が100℃以上であることを考慮して、耐熱性に優れるセラミックスを挙げることができ、その中でも特に好ましい固体担体としてシリカ(二酸化珪素)を挙げることができる。これはシリカが安価で入手しやすく、かつ、後述する反応工程にて金属フタロシアニンを合成した後に、水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリで容易にシリカを分解除去できるからである。また、固体担体の形態にも特に限定はないが、多くの金属微粒子を担持できる粒子状が好ましい。したがって、本発明の金属フタロシアニンの製造方法ではシリカ粒子を最も好ましい固体担体のひとつとして挙げることができる。
ここで、該金属微粒子を担持する固体担体がシリカ粒子等の粒子状固体である場合、その粒子径にも特に限定は無いが、担持する金属微粒子の量や反応工程において金属フタロシアニンが主に該固体担体の表面上で生成することを鑑みて決定されることが好ましく、該固体担体粒子同士の凝集防止の観点から、好ましい粒子径は10nm以上で、さらに好ましくは20nm以上である。
また、後述する反応工程において、金属フタロシアニンが生成する場である固体担体の表面上の表面積をより大きく確保し、生成する該金属フタロシアニン微粒子同士の結合による結晶成長を抑制するために、該固体担体の粒子径は、好ましくは1mm以下で、さらに好ましくは100μm以下であると考えてよい。なお、固体担体の粒子径は上記範囲であれば、得られる金属フタロシアニンの性状に影響しないため、該固体担体の粒度分布に特に限定はなく、10nm以上、1mm以下の範囲で粒度分布が広くても狭くてもよい。
また、担持する金属源の量も固体担体の量に対して決定され、後述する反応工程における金属フタロシアニン合成の収率向上、及び、担持した金属源と生成した金属フタロシアニンの凝集防止の観点から、その担持量は1%から20%、好ましくは2%から10%の範囲にあると考えてよい。
金属塩若しくは金属微粒子などの金属源の固体担体への担持方法に関しては、各種の公知公用の担持法が本発明の方法においても適用できる。例えば、該金属源を含む溶液若しくは分散液に、さらに固体担体を分散させ、スプレードライ(噴霧乾燥)法によって担持する方法や、同様に該溶液若しくは分散溶液に固体担体粒子を分散させ、ロータリーエバポレーター等を用いて液体成分を除去しながら真空乾燥することにより、固体担体の表面上に担持する方法、該金属源と固体担体とをビーズミルなどを用いて混和・複合化する方法などが挙げられ、これらの方法を用いて固体担体の表面上に金属フタロシアニンの金属源を担持した複合粒子を得ることができる。
そのほかスパッタ法などを用いて固体担体の表面上に直接、金属微粒子を析出、担持を同時に行うこともできる。
ソルベント法においては有機溶媒中で生成する金属フタロシアニンは容易に結晶成長をおこし、長針状化しやすく、ベーキング法においても、溶融状態の原料中で結晶成長しやすいことが知られているが、本発明においては、担持工程で用いる該固体担体はその表面上に均一に金属源を担持させ、該金属源の凝集を防止して反応工程における金属フタロシアニン合成を効率的に進行させる働きを担っているのみならず、反応工程において金属フタロシアニン生成の一部若しくは大部分を該固体担体表面上の物質移動が拘束された環境下で進行させることにより、生成する該金属フタロシアニンの結晶成長を抑制し、微細な金属フタロシアニン粒子を得ることができる。
本発明の反応工程は、無水フタル酸若しくはその誘導体から選択された物質と、カルバミル尿素とを、固体担体の表面上に担持された金属源若しくはナノオーダーの金属微粒子と反応せる工程である。
本発明の金属フタロシアニンの製造方法では窒素源としてカルバミル尿素の使用が必須である。従来より使用されている尿素を使用した場合は生成する金属フタロシアニンの少なくとも一部が結晶成長し、針状化することが確認されている。この原因については必ずしも明確ではないが、カルバミル尿素と尿素の融点の差に起因しているものと考えられる。すなわちカルバミル尿素が高融点であるため、金属フタロシアニンの生成が固相で進行するため、結晶成長を促進する液体成分が存在せず、金属フタロシアニンの微細化が達成されたものと考えられる。
このような反応工程を採用することにより、結晶成長が抑制された微細な金属フタロシアニンを製造することができ、その結果、合成工程後の顔料化工程の負荷を大幅に低減できるか、又は顔料化工程無しで印刷インキの着色剤等に好適な金属フタロシアニン化合物を得ることができる。
これは、上述したように、極めて薄い状態若しくはナノオーダーの微粒子状の金属源が無水フタル酸若しくはその誘導体とカルバミル尿素とが固体担体の表面上で、該固体担体の表面に拘束された状態で反応して金属フタロシアニンを生じ、生成した金属フタロシアニン同士の干渉、すなわち、会合や凝集等がないために、粒子粗大化につながる結晶成長が生じなかったと推測される。
ここで、本発明の反応工程において、担持工程で得られた金属源が担持された固体担体と無水フタル酸若しくはその誘導体とカルバミル尿素とを作用させる方法に特に限定は無いが、加熱機構を有するビーズミルやニーダー、ナウターミキサーなどの粉体処理装置、分散機などで攪拌、混合、分散操作を実施しながら上述の所定温度に操作することにより、金属フタロシアニンを合成することができる。
本発明の金属フタロシアニンの製造方法は、上述の金属塩若しくは金属微粒子などの金属フタロシアニン合成の中心金属となり得る金属源をシリカ粒子等の固体担体の表面上に担持する担持工程と、該固体表面上の金属源と無水フタル酸若しくはその誘導体とカルバミル尿素とを反応させる反応工程を含むが、必要に応じて、反応工程終了後、該固体担体を除去する工程を含んでいても構わない。
以下、実施例、比較例により、本発明をさらに詳細に説明する。なお、金属フタロシアニンは一般に凝集が激しいため、既存の粒度分布計を用いた粒子径評価が困難であることから、その粒子径は透過型電子顕微鏡(日本電子(株)社製JEM−2200FS)の観察により、少なくとも5つ以上の観察視野から最小粒子と最大粒子を見積もり、その範囲内を得られた金属フタロシアニンの粒子径とした。
(実施例1)
<金属微粒子合成工程>
硝酸銅(II)三水和物(和光純薬工業(株)社製)1.52g及びポリオキシエチレン(10)オレイルエーテル(和光純薬工業(株)社製)2.0gを容量1Lの丸底フラスコに投入し、ついで蒸留水250ml及びエタノール(和光純薬工業(株)社製)250mlの混合溶液を投入して完全に溶解させた。しかる後に撹拌子で該混合溶液を撹拌しながら、ヒドラジン一水酸化物(和光純薬工業(株)製)1.2g、蒸留水60ml、エタノール60mlからなる還元剤溶液を1時間かけて滴下し、銅微粒子を得た。この分散液を日機装(株)社製粒度分布計UPA−150で粒度分布を測定したところ、数平均粒子径は4.1nm、体積平均粒子径は4.8nmであった。
<担持工程>
続いて該銅微粒子を含む溶液に約50μmのシリカ粒子としてワコーシルC−200(和光純薬工業(株)社製)5.0gを投入し、ロータリーエバポレーターを用いて40℃、真空下で液体成分を除去し、そのまま真空乾燥して、銅微粒子を担持したシリカ粒子を得た。
<反応工程>
次に、担持工程で得られた銅微粒子を担持したシリカ粒子5.0gを50mlの丸底フラスコに投入し、次いで、フタルイミド(和光純薬工業(株)社製)0.96g、カルバミル尿素(和光純薬工業(株)社製)1.69g、七モリブデン酸アンモニウム四水和物0.02gを投入し、半月板形の撹拌羽根を用いて撹拌しながら オイルバスを用いて丸底フラスコの内容物を加熱し、188℃に到達後、そのままの温度で1時間反応を継続して、シリカ粒子に担持された銅フタロシアニンを得た。
続いて濃度10%の水酸化ナトリウム(和光純薬工業(株)社製)水溶液20gを投入し、温度を95℃に維持して2時間撹拌し、シリカ粒子を分解した。
その後、フラスコ内の内容物を0.1μmのメンブレンフィルターで濾過して、さらに濃度が10%の水酸化ナトリウム水溶液で洗浄し、ついで和光純薬工業(株)社製のメタノール、2N塩酸水、メタノールの順序で濾残を洗浄した後、該濾残を80℃で2時間乾燥し、銅フタロシアニンを回収した。
ここで得られた固形物のマススペクトル測定から銅フタロシアニンであることが確認され、X線回折スペクトル(理学電機(株)社製 RINT−ULTIMA+)から、その結晶形はα型であることが判明した。また透過型電子顕微鏡による観察からその一次粒子は10から30nm前後の微細な粒子であった(図1)。
(実施例2)
<担持工程>
塩化銅(II)(和光純薬工業(株)社製)0.529gを蒸留水80mLに投入し、さらに扶桑化学工業(株)社製コロイダルシリカPL−3(粒子径:35nm、固形分:20%)25gを添加し、均一に混合した後、ロータリーエバポレーターを用いて40℃、真空下で液体成分を除去し、そのまま真空乾燥して、塩化銅を担持したシリカ微粒子を得た。
<反応工程>
次に、担持工程で得られた塩化銅担持シリカ微粒子5.5gを50mlの丸底フラスコに投入し、次いで、フタルイミド(和光純薬工業(株)社製)2.32g、カルバミル尿素(和光純薬工業(株)社製)4.06g、七モリブデン酸アンモニウム四水和物0.02gを投入し、半月板形の撹拌羽根を用いて撹拌しながら オイルバスを用いて丸底フラスコの内容物を加熱し、188℃に到達後、そのままの温度で1時間反応を継続して、シリカ粒子に担持された銅フタロシアニンを得た(図2)。この銅フタロシアニンで被覆されたシリカ粒子は、約50nmの粒子径となっており、全体的に均一であることから、そのままの状態でも各種着色剤に使用することができる。
なお、実際にシリカ粒子表面に銅フタロシアニンが被覆されていることを確認するために、上記粒子を濃度10%の水酸化ナトリウム(和光純薬工業(株)社製)水溶液20gに投入し、温度を95℃に維持して2時間撹拌し、シリカ粒子を分解し、実施例1と同様にして、銅フタロシアニンを回収した。
ここで得られた固形物のマススペクトル測定から銅フタロシアニンであることが確認され、X線回折スペクトル(理学電機(株)社製RINT−ULTIMA+)から、その結晶形はα型であることが判明した。また透過型電子顕微鏡による観察からその一次粒子は20から50nm前後の薄片状の微細な粒子であった(図3)。
(実施例3)
担持するシリカ粒子として扶桑化学工業(株)社製コロイダルシリカPL−20(粒子径220nm、固形分20%)25gを用いる以外は、実施例1と同様にして、銅微粒子を合成し、シリカ粒子への担持及び銅フタロシアニン合成反応を実施して、シリカ粒子に担持された銅フタロシアニンを得た。透過型電子顕微鏡による観察から、その一次粒子は20〜50nmでシリカ粒子表面に吸着した微細な粒子であった(図4)。この銅フタロシアニン担持シリカ粒子は約280nmであるので、そのまま各種着色剤に使用することができる。
(実施例4)
<担持工程>
硝酸亜鉛(II)六水和物(和光純薬工業(株)社製)0.496gを蒸留水50mLに溶解させ、ついでワコーシルC−200(和光純薬工業(株)社製)5.0gを投入し、強攪拌下で該分散液にヒドラジン一水酸化物(和光純薬工業(株)社製)0.1gを蒸留水10mLに溶解させた還元剤溶液を添加して亜鉛粒子が担持されたシリカ粒子を得た。
<反応工程>
次に、担持工程で得られた亜鉛粒子を担持したシリカ粒子5.1gを50mlの丸底フラスコに投入し、次いで、フタルイミド(和光純薬工業(株)社製)0.90g、カルバミル尿素(和光純薬工業(株)社製)1.58g、七モリブデン酸アンモニウム四水和物0.02gを投入し、半月板形の撹拌羽根を用いて撹拌しながら オイルバスを用いて丸底フラスコの内容物を加熱し、190℃に到達後、そのままの温度で1時間反応を継続して、シリカ粒子に担持された亜鉛フタロシアニンを得た。
続いて塩酸水溶液(2N、和光純薬工業(株)社製)50gを投入し、温度を95℃に維持して2時間撹拌した。
その後、塩酸水溶液から亜鉛フタロシアニンが担持されたシリカ粒子を回収し、濃度10%の水酸化ナトリウム(和光純薬工業(株)社製)水溶液20gに投入してさらに温度を95℃に維持して2時間撹拌し、シリカ粒子を分解した。
その後、フラスコ内の内容物を0.1μmのメンブレンフィルターで濾過して、さらに濃度が10%の水酸化ナトリウム水溶液で洗浄し、ついで和光純薬工業(株)社製のメタノール、2N塩酸水、メタノールの順序で濾残を洗浄した後、該濾残を80℃で2時間乾燥し、亜鉛フタロシアニンを回収した。
ここで得られた固形物のマススペクトル測定から亜鉛フタロシアニンであることが確認され、透過型電子顕微鏡による観察からその一次粒子は10から30nm前後の微細な粒子であった。
(比較例1)
フタルイミド(和光純薬工業(株)社製)0.95g、尿素(和光純薬工業(株)社製)0.95g、塩化銅(I)0.15g、七モリブデン酸アンモニウム四水和物0.02gを50mlの丸底フラスコに投入し、次いで、粒子径が1mmのガラスビーズ10gを加えて、半月板形の撹拌羽根を用いて撹拌しながら オイルバスを用いて丸底フラスコの内容物を加熱し、180℃に到達後、そのままの温度で1時間反応を継続して銅フタロシアニンを得たが、レーザー顕微鏡((株)キーエンス社製VK−8510)で観察したところ、粒子は針状に結晶成長しており、微細な銅フタロシアニンは得られなかった。
(比較例2)
フタルイミド(和光純薬工業(株)社製)0.96g、尿素(和光純薬工業(株)社製)1.69gと実施例1と同様にして調製した銅微粒子が担持されたシリカ粒子5.1gと七モリブデン酸アンモニウム四水和物0.02gを50mlの丸底フラスコに投入し、半月板形の撹拌羽根を用いて撹拌しながらオイルバスを用いて丸底フラスコの内容物を加熱し、188℃に到達後、そのままの温度で1時間反応を継続して銅フタロシアニンを得たが、透過型電子顕微鏡を用いて観察したところ、針状に結晶成長した銅フタロシアニン粒子が相当量含まれていた(図5)。
実施例1で得られた銅フタロシアニンの透過型電子顕微鏡写真。 実施例2で得られた銅フタロシアニンが被覆されたシリカ粒子の透過型電子顕微鏡写真とその模式図。 実施例2で得られた銅フタロシアニンが被覆されたシリカ粒子のシリカ粒子を除去した後の銅フタロシアニンの透過型電子顕微鏡写真。 実施例3で得られた銅フタロシアニンを担持したシリカ粒子の透過型電子顕微鏡写真とその模式図。 比較例2で得られた銅フタロシアニンの透過型電子顕微鏡写真。

Claims (6)

  1. 金属フタロシアニンの製造方法であって、
    (1)該金属フタロシアニンの中心金属となり得る金属の金属塩を固体担体の表面上に付着させて担持する金属塩担持工程と、
    (2)該金属塩担持工程を経た後、無水フタル酸若しくはその誘導体とカルバミル尿素とを、該固体担体の表面上に担持された該金属塩に反応させる反応工程
    とを含むことを特徴とする金属フタロシアニンの製造方法。
  2. 金属フタロシアニンの製造方法であって、
    (1)該金属フタロシアニンの中心金属となり得る金属を微粒子化した金属微粒子を固体担体の表面上に付着させて担持する金属微粒子担持工程と、
    (2)該金属微粒子担持工程を経た後、無水フタル酸若しくはその誘導体とカルバミル尿素とを、該固体担体の表面上に担持された該金属微粒子に反応させる反応工程
    とを含むことを特徴とする金属フタロシアニンの製造方法。
  3. 該金属微粒子は、該金属塩溶液から還元法により微粒子化されて得られる請求項2に記載の金属フタロシアニンの製造方法。
  4. 該金属微粒子の平均粒子径が1nm〜100nmである請求項2又は3のいずれかに記載の金属フタロシアニンの製造方法。
  5. 該固体担体の粒子径が10nm〜1mmである請求項1〜4のいずれかに記載の金属フタロシアニンの製造方法。
  6. 該固体担体が二酸化珪素粒子である請求項1〜5のいずれかに記載の金属フタロシアニンの製造方法。
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