JP4636986B2 - 金属フタロシアニン顔料の製造方法 - Google Patents

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本発明は金属フタロシアニン顔料の新規な製造方法に関する。詳しくは含イオウ系非プロトン性極性溶媒を主成分とする溶媒中でフタロシアニンのアルカリ金属塩と金属塩類と反応させることを含む金属フタロシアニンの製造方法に関する。
フタロシアニン化合物は、従来から顔料として色材工業の分野で非常に有用な化合物であり、これについては古くから多くの研究がなされてきた。フタロシアニン顔料は、鮮明な色調と高い着色力とを示し、シアン色着色剤として多くの分野で広く使用されている。例えば、塗料、印刷インク、電子写真用トナー、インクジェットインク、カラーフィルター等を用途として挙げることができ、今や、生活上欠くことができない重要な化合物である。フタロシアニン顔料の色材としての用途の中でも特に高性能が要求され、実用上特に重要なものとしては、インクジェットインク用顔料およびカラーフィルター用顔料が挙げられる。
インクジェット用インクの色材には染料が用いられてきたが、耐水性や耐光性の面で難点があり、それを改良するために顔料が用いられるようになってきている。シアン色顔料としては銅フタロシアニン顔料が主に用いられている。顔料インクにより得られた画像は、染料系のインクによる画像に較べて耐光性、耐水性に優れるという特筆すべき利点を有する。しかしながら、紙表面の空隙に染み込むことが可能なナノメートルサイズに均一に微細化することは難しく、紙への密着性に劣ると言う問題があった。
デジタルカメラの高画素化に伴い、CCDセンサーに用いるカラーフィルターの薄層化が望まれている。カラーフィルターには有機顔料が用いられているが(シアン色顔料は金属フタロシアニン化合物)、フィルターの厚さは有機顔料の粒子径に大きく依存するため、ナノメートルサイズレベルでの安定な微粒子の製造が望まれている。
フタロシアニン化合物の用途として、色材工業の分野以外にその半導体性および光導電性を応用する分野がある。例えば、光導電性を応用して電子写真感光体あるいはレーザープリンター用感光体として無金属フタロシアニン以外にも銅フタロシアニン、バナジルオキシフタロシアニン、アルミニウムクロルフタロシアニン、亜鉛フタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、またはチタニルフタロシアニン等の各種金属フタロシアニンが研究されている。
また、ある種の金属フタロシアニンは酸化還元能を有することから、触媒としての応用にも注目が集まっている。このようにフタロシアニン化合物のもつ多機能から、無金属または銅フタロシアニンだけでなく、各種金属フタロシアニンの重要性が益々増してきている(非特許文献1、2参照)。
金属フタロシアニンの製造法は、銅フタロシアニンを例にとれば、フタロニトリルと銅塩による反応、無水フタル酸、銅塩、尿素およびモリブデン酸アンモニウムによる反応、有機強塩基の存在下、フタロニトリルと銅塩を反応させる方法などがある(非特許文献3)。
銅などの遷移金属フタロシアニンは顔料であるので通常の溶媒には極めて溶解し難い。そのため上記の製造方法で副生する不純物を除去し、純度の高い顔料を得ることは簡単でない。純度の高い遷移金属フタロシアニンの製造法としては、(1)アシッドペースト法、(2)アルカリ金属フタロシアニンを用いた間接合成法が開示されている。
アシッドペースト法は、銅フタロシアニンなどが強酸に溶解しやすい点を利用し、強酸(一般に濃硫酸)に反応粗製品を溶解させ、氷水中に注ぐことで粒子を析出させる方法である。この方法で粒子サイズをコントロールしたり、かなり純度の高いものが得たりすることが可能であるが、酸化性の強い酸を用いるために、微量ながら新たな分解性不純物が混入し、電子材料あるいは触媒等に用いるにはその性能が劣ることが多いのが問題であった。
アルカリ金属フタロシアニンを用いた間接合成法は、まず有機溶媒に比較的溶解しやすい高純度のアルカリ金属フタロシアニンを合成し、それを有機溶媒中に溶解または分散し、やはり有機溶媒に溶解または分散した銅などの遷移金属塩類と反応させ、遷移金属フタロシアニンを析出させる方法である。本方法で、これまで開示されている方法はジリチウムフタロシアニンを用いる方法とジカリウムフタロシアニンを用いる方法である。これらの方法について以下説明する。
無金属フタロシアニンは、銅などの遷移金属フタロシアニンに比べて有機溶媒に対する溶解性は若干良い程度でやはり極めて難溶な化合物である。そのためアルカリ金属フタロシアニンは酸性度の高い溶媒(pKa<〜17と思われる)、例えば水やアルコールに接触すると、それらのプロトン性の溶媒からプロトンを奪って、難溶な無金属フタロシアニンになって析出してしまう。しかしながら、アルカリ金属フタロシアニンの中ではジリチウムフタロシアニンが無水エタノール中で比較的安定性が高くかつ溶解するので、その特徴を活かして無水エタノール中で遷移金属塩と反応させることにより種々の遷移金属フタロシアニンが合成できることをバレット(Barrett)らは1938年に報告した(非特許文献4)。
しかしながら、非特許文献4ではジリチウムフタロシアニンは「支障なく(Freely)」エタノールに溶解すると述べているが実際は溶解しやすいとは言い難く、反応は均一溶液中での反応ではなく、溶液に分散したジリチウムフタロシアニンが分散した金属フタロシアニンンに変換される反応であり、析出をコントロールして粒子サイズをコントロールすることは難しい。安定性も遷移金属塩の存在下では遷移金属イオンとの反応が速い時はアルコールとの反応は抑制されるが、スケールアップなどで反応に時間がかかるときには非金属フタロシアニンの副生の懸念が高くなる。
ジカリウムフタロシアニンはアルコール中で速やかに無金属フタロシアニンに変換してしまうのでアルコール中で遷移金属塩と反応させることは出来ない。そこで水酸基を有しない有機溶媒中でジカリウムフタロシアニンと遷移金属塩を反応させる方法を木下らは1986年に開示した(特許文献1)。無金属フタロシアニンの精製法として、ジカリウムフタロシアニンとクラウンエーテルやジエチレングリコールジメチルエーテル(以下、「ジグライム」と称す)などのエーテル系溶媒、ジメチルスルホキシドおよびジメチルホルムアミドとを加熱して錯体形成により溶解させる工程を経る方法は、ウォルフガング(Wolfgang)らが1980年に開示していた(特許文献2)。木下らは、その方法に示されたジグライムを用いる方法を利用してジカリウムフタロシアニンビス(メトキシエチル)エーテル錯体溶液を合成し、それと遷移金属塩類を反応させる金属フタロシアニンの合成法を考案した。この方法においては、ジリチウムフタロシアニンの場合と異なり、ジカリウムフタロシアニンはジグライムに均一に溶解しているが、遷移金属塩類はジグライムに分散されている状態での反応であり、粒子サイズをコントロールして金属フタロシアニンを合成する方法としては未だ不十分であった。
一般に顔料微粒子の製造法は、非特許文献5等に示されるようにバルク物質から粉砕などにより製造するブレイクダウン法、気相中または液相中からの粒子成長により製造するビルドアップ法に大別されている。従来から多用されている粉砕法は実用性が高い微粒子製造法であるが、有機物質のナノメートルサイズの粒子を製造するには、極めて生産性が低いことや適用できる物質が限定されるなどの種々の問題点があり、近年、ビルドアップ法により有機物質のナノメートルサイズの微粒子化ができないか検討されている。
ビルドアップの一つの方法として、有機顔料を溶解した溶液を、その貧溶媒として働く水性媒体と徐々に接触させて顔料を析出させる際に、いずれかに分散剤を共存させることにより安定な微粒子を製造する方法がある(いわゆる共沈法(再沈法)。特許文献3)。この方法はナノメートルサイズの粒子の簡単な製造方法として有効であるが、この方法は銅などの遷移金属フタロシアニン顔料微粒子合成には適用できないのが現状であった。その理由は、この方法を利用するには有機顔料またはその前駆体が溶媒に均一に溶解しており、貧溶媒に反応剤が存在する場合にはそれも貧溶媒中に均一に溶解していることが前提条件となるが、銅フタロシアニンではそのような系を構築する良い方法が見出されていないためである。そのため、再沈法において銅フタロシアニンのような顔料の微粒子を合成できる系の提案が望まれていた。
特開昭61−190562号公報 米国特許第4197242号明細書 特開2003−26972号公報 「顔料分散安定化と表面処理技術・評価」2001年、123〜224頁、(株)技術情報協会 田中正人、駒省ニ 著、「フタロシアニン−基礎物性と機能材料への応用」1991年、55〜124頁、ぶんしん出版 ダブリュー・ハーベスト、ケイ・ハンガー(W. Herbst、K. Hunger) 著、"インダストリアル・オーガニック・ピグメンツ、プロダクション、プロパティーズ、アプリケーションズ(Industrial Organic Pigments, Production, Properties, Applications), Second Completely Revised Edition"、VCH A Wiley Company、1997年、p.595−630 ピー・エー・バレット、ディー・エー・フライ、アール・ピー・リンステッド(P. A. Barrett, D. A. Frye, R. P. Linstead), ジャーナル・オブ・ザ・ケミカル・ソシエティ(J. Chem. Soc.), 1938 ,1157 日本化学会編「第4版実験化学講座」第12巻、1993年、411〜488頁、(株)丸善
本発明は、従来のビルドアップ製造法の問題点を解決し、高純度の金属フタロシアニン顔料の製造、および微細な顔料微粒子を製造できる方法を提供することを目的とする。
本発明者は上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、アルカリ金属フタロシアニンは特異的にジメチルスルホキシドのような含イオウ系非プロトン性極性有機溶媒を主成分とする溶媒に溶解しやすく、かつある種の金属塩類がジメチルスルホキシドを含む非プロトン性極性有機溶媒を主成分とする溶媒に溶解しやすいことを見出した。そしてそれらを反応させることにより高純度の銅などの金属フタロシアニン顔料を製造できることを見出した。そしてこの方法を分散剤共存下に行えば微粒子顔料の製造も可能であることを見出した。すなわち、プロトン供与性の低い有機溶媒(すなわち非プロトン性溶媒)を主成分とする溶媒中で金属フタロシアニン前駆体と金属塩類を反応させて金属フタロシアニンを製造することができ、さらに取り分け均一に溶解した金属フタロシアニン前駆体と均一に溶解した金属塩類を反応させ、高純度な金属フタロシアニン顔料を析出し得ることを見出した。本発明はこれらの知見に基づきなされたものである。
すなわち、本発明は
(1)ジメチルスルホキシドを主成分とする溶媒中で、フタロシアニンのアルカリ金属塩と臭化銅とを反応させることを特徴とするフタロシアニン顔料の製造方法、
(2)ジメチルスルホキシドを主成分とする溶媒に溶解したフタロシアニンのアルカリ金属塩を、ジメチルスルホキシド又はジグライムを主成分とする溶媒に溶解した臭化銅と反応させることを特徴とする(1)項記載のフタロシアニン顔料の製造方法、
(3)前記アルカリ金属塩が、ナトリウム塩であることを特徴とする(1)または(2)項記載のフタロシアニン顔料の製造方法、
ジメチルスルホキシドを主成分とする溶媒に溶解したフタロシアニンのアルカリ金属塩溶液中、及びジメチルスルホキシド又はジグライムを主成分とする溶媒に溶解した臭化銅溶液中の両方または片方に、少なくとも一つの分散剤が存在することを特徴とする(1)〜()のいずれか1項に記載のフタロシアニン顔料の製造方法、および
)前記分散剤が高分子分散剤及び/または低分子分散剤であることを特徴とする()項記載の製造方法
を提供するものである。
本発明によれば、水酸基のようなプロトン供与性基を有する溶媒の使用量をある量以下に押さえれば、非金属フタロシアニンのような不純物を含まない高純度の遷移金属フタロシアニンの合成が可能である。また均一な条件下、低温での反応が可能であるため、粒径をコントロールした顔料の微粒子製造も可能である。これらは、高純度かつ微細な金属フタロシアニン顔料の製造を容易にし、その用途拡大を期待させるものである。
以下に本発明を詳しく説明する。本発明において製造可能な金属フタロシアニンについて説明すると、金属は好ましくはII〜IV価の典型金属、遷移金属、または内遷移金属を表す。これらを具体的に示せば、Al、Si、Ga、Ge、As、In、Sn、Sb、Tl、もしくはPbの典型金属、Sc、Ti、V、Cr、Hn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pb、Ag、Cd,La、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、もしくはHgの遷移金属、またはCe、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Th、Pa、U、Np、もしくはAmのランタニド系・アクチニド系の内遷移金属である。好ましくは遷移金属であり、特に好ましくは銅(Cu)であり、II価の銅が最も好ましい。
フタロシアニンは無置換または置換の非金属フタロシアニンを表すが、置換基としてはそれから誘導される金属フタロシアニンが顔料としての性能が維持されるレベルの置換基なら制限はない。置換基として好ましくは炭素数1〜6のアルキルもしくはシクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数1〜6のアルコキシ基、または塩素もしくは臭素のハロゲン原子である。尚、ベンゼン環にベンゼン環が縮合した構造(例えばナフタロシアニン)も本発明ではベンゼン環が縮合置換したフタロシアニンとして扱う。好ましくは無置換もしくはハロゲン原子置換の非金属フタロシアニンであり、特に好ましくは無置換の非金属フタロシアニンである。
アルカリ金属塩におけるアルカリ金属イオンは、好ましくはリチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、もしくはセシウム(Cs)のイオンを表し、より好ましくはNa、K、Rb、もしくはCsのイオンであり、特に好ましくはナトリウム(Na)イオンである。
金属塩類は、前記金属フタロシアニンにおいて説明した金属の塩を表すが、塩を形成する対アニオンはハロゲンアニオンもしくはアセチルアセトナートアニオンのように金属に余り強くない錯体を形成する配位子を表す。好ましい対アニオンは、塩素イオンもしくは臭素イオンのハロゲンイオン、またはアセチルアセトナートアニオンであり、特に好ましくは非プロトン性極性溶媒を主成分とする溶媒への溶解性がとりわけ良い金属塩を形成する臭素イオンである。
上記のフタロシアニンのアルカリ金属塩と上記の金属塩類との反応における両者のモル比は、アルカリ金属塩:金属塩類で、好ましくは1:1〜1:100であり、さらに好ましくは1:2〜1:20である。
本発明においては、含イオウ系非プロトン性(aprotic)極性溶媒(polar solvent)を主成分とする溶媒中で、フタロシアニンのアルカリ金属塩と金属塩類とを反応させる。好ましくは、含イオウ系非プロトン性極性有機溶媒を主成分とする溶媒に溶解したフタロシアニンのアルカリ金属塩を、非プロトン性極性溶媒を主成分とする溶媒に溶解した金属塩類と反応させるものである。
含イオウ系非プロトン性極性有機溶媒とは、分子内にイオウ原子を有する分極構造の有機溶媒であり、具体的にはジメチルスルホキシド、スルホランまたは3−スルホレンのような含イオウ系非プロトン性極性有機溶媒である。
本発明における、含イオウ系非プロトン性極性溶媒を主成分とする溶媒の主成分とは、該溶媒が前記含イオウ系非プロトン性極性溶媒の1種もしくは2種以上からなるか、あるいは、該溶媒が前記含イオウ系非プロトン性極性溶媒と他の溶媒の混合溶媒であって、該混合溶媒中で含イオウ系非プロトン性極性溶媒が質量比で占める割合が60%以上であり、好ましくは80%以上、特に好ましくは90%以上であることを意味する。好ましくはジメチルスルキシド、またはスルホランであり、特に好ましくはジメチルスルホキシド(DMSO)である。
含イオウ系非プロトン性極性溶媒に混合されることが許される溶媒は、含イオウ系非プロトン性極性溶媒と混合可能な非プロトン性溶媒およびプロトン性溶媒である。
混合可能な非プロトン性溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル(モノグライム)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)、もしくはトリエチレングリコールジメチルエーテル(トリグライム)等のエーテル系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、もしくは酢酸イソブチル等のエステル系溶媒、アセトン、もしくはメチルエチルケトン等のケトン系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、もしくはテトラメチル尿素等のアミド系溶媒であり、好ましくはエーテル系溶媒、もしくはアミド系溶媒である。混合溶媒中、非プロトン性溶媒が質量比で占める割合は40%以下であり、好ましくは20%以下、特に好ましくは10%以下である。
混合可能なプロトン性溶媒は、水、またはメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、t−ブタノール、もしくはエチレングリコール等のアルコール系溶媒であり、好ましくはアルコール系溶媒である。
混合される溶媒が非プロトン性溶媒の場合は、アルカリ金属フタロシアニンの溶解を悪くしない限りの量の添加が許されるが、プロトン性溶媒の場合は過剰に存在すると、系に存在するアルカリ量に依拠するが、アルカリ金属フタロシアニンは徐々に無金属フタロシアニンになってしまうので、過剰に存在しない方がよい。しかしながらプロトン性溶媒の存在がアルカリ金属フタロシアニンの含イオウ系非プロトン性極性溶媒への溶解性を向上させる効果があり、適切な量の混合は生産性の向上に役立つ場合がある。プロトン性溶媒の含イオウ系非プロトン性極性溶媒への許容される添加量は10%以下であり、好ましくは5%以下であり、特に好ましくは3%以下である。
用いられる含イオウ系非プロトン性極性溶媒を主成分とする溶媒の量は、単に金属フタロシアニンを得るための場合は、アルカリ金属フタロシアニンと金属塩類を分散できる量で十分である。溶媒の量はアルカリ金属フタロシアニンに対して質量比で、通常2倍以上、好ましくは10倍程度である。しかしながら、粒径が揃った顔料微粒子を製造したい場合は、アルカリ金属フタロシアニンを完全に溶解することが必要であり、質量比で約20倍以上が好ましく、40倍以上がさらに好ましい。
金属塩類を溶解するのに非プロトン性極性溶媒を主成分とする溶媒が用いられるが、非プロトン性極性溶媒とは水酸基のようなプロトン供与しやすい基を有しない極性溶媒である。具体的には例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル(モノグライム)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)、もしくはトリエチレングリコールジメチルエーテル(トリグライム)等のエーテル系溶媒、アセトン、もしくはメチルエチルケトン等のケトン系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、もしくはテトラメチル尿素等のアミド系溶媒、スルホラン、ジメチルスルホキシド、もしくは3−スルホレン等の含イオウ系溶媒が挙げられる。好ましい非プロトン性極性有機溶媒は、エーテル系または含イオウ系溶媒であり、より好ましくは含イオウ系溶媒であり、特に好ましくはジメチルスルホキシドである。
ここで、主成分の意味は前記含イオウ系非プロトン性極性溶媒を主成分とする溶媒における意味と同じである。すなわち、非プロトン性極性溶媒を主成分とする溶媒の主成分とは、該溶媒が前記非プロトン性極性溶媒の1種もしくは2種以上からなるか、あるいは、該溶媒が前記非プロトン性極性溶媒と他の溶媒の混合溶媒であって、該混合溶媒中で非プロトン性極性溶媒が質量比で占める割合が60%以上であり、好ましくは80%以上、特に好ましくは90%以上であることを意味する。
非プロトン性極性溶媒に混合されることが許される溶媒は、非プロトン性極性溶媒と混合可能な非プロトン性溶媒およびプロトン性溶媒であり、その定義は前記含イオウ系非プロトン性極性溶媒を主成分とする溶媒において行ったものと同義である。混合が許される好ましい量も同義である。
非プロトン性極性溶媒を主成分とする溶媒の量は、金属塩に対して質量比で、好ましくは1〜20であり、さらに好ましくは5〜10である。
粒径が小さく安定なフタロシアニン顔料微粒子を製造したい場合、フタロシアニンのアルカリ金属塩を溶解した含イオウ系非プロトン性極性有機溶媒を主成分とする溶媒(溶液)、及び金属塩類を溶解した非プロトン性極性溶媒を主成分とする溶媒(溶液)の両方または片方に、少なくとも一つの分散剤が存在することが好ましく、分散剤として、アニオン性、カチオン性、両イオン性、ノニオン性もしくは顔料性の低分子分散剤、または高分子分散剤を使用することができる。これらの分散剤は、単独あるいは併用して使用することができる。またこれらの低分子分散剤には、通常界面活性剤として用いられているものを用いることができる。本発明において、低分子分散剤とは分子量が1000以下の分散剤であり、高分子分散剤とは分子量(質量平均分子量)が5000以上の分散剤である。
アニオン性分散剤(アニオン性界面活性剤)としては、アシルメチルタウリン塩、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等を挙げることができる。なかでも、アシルメチルタウリン塩が好ましい。これらアニオン性分散剤は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
カチオン性分散剤(カチオン性界面活性剤)には、四級アンモニウム塩、アルコキシル化ポリアミン、脂肪族アミンポリグリコールエーテル、脂肪族アミン、脂肪族アミンと脂肪族アルコールから誘導されるジアミンおよびポリアミン、脂肪酸から誘導されるイミダゾリンおよびこれらのカチオン性物質の塩が含まれる。これらカチオン性分散剤は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
両イオン性分散剤は、前記アニオン性分散剤が分子内に有するアニオン基部分とカチオン性分散剤が分子内に有するカチオン基部分を共に分子内に有する分散剤である。
ノニオン性分散剤(ノニオン性界面活性剤)としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステルなどを挙げることができる。なかでも、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルが好ましい。これらノニオン性分散剤は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
顔料性分散剤とは、親物質としての有機顔料から誘導され、その親構造を化学修飾することで製造される顔料性分散剤と定義する。例えば、糖含有顔料分散剤、ピペリジル含有顔料分散剤、ナフタレンまたはペリレン誘導顔料分散剤、メチレン基を介して顔料親構造に連結された官能基を有する顔料分散剤、ポリマーで化学修飾された顔料親構造、スルホン酸基を有する顔料分散剤、スルホンアミド基を有する顔料分散剤、エーテル基を有する顔料分散剤、あるいはカルボン酸基、カルボン酸エステル基またはカルボキサミド基を有する顔料分散剤などがある。
高分子分散剤としては、具体的には、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリアクリルアミド、ビニルアルコール−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール−部分ホルマール化物、ポリビニルアルコール−部分ブチラール化物、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロック共重合体、ポリアクリル酸塩、ポリビニル硫酸塩、ポリ(4−ビニルピリジン)塩、ポリアミド、ポリアリルアミン塩、縮合ナフタレンスルホン酸塩、スチレン−アクリル酸塩共重合物、スチレン−メタクリル酸塩共重合物、アクリル酸エステル−アクリル酸塩共重合物、アクリル酸エステル−メタクリル酸塩共重合物、メタクリル酸エステル−アクリル酸塩共重合物、メタクリル酸エステル−メタクリル酸塩共重合物、スチレン−イタコン酸塩共重合物、イタコン酸エステル−イタコン酸塩共重合物、ビニルナフタレン−アクリル酸塩共重合物、ビニルナフタレン−メタクリル酸塩共重合物、ビニルナフタレン−イタコン酸塩共重合物、セルロース誘導体、澱粉誘導体などが挙げられる。その他、アルギン酸塩、ゼラチン、アルブミン、カゼイン、アラビアゴム、トラガカントゴム、リグニンスルホン酸塩などの天然高分子類も使用できる。なかでも、ポリビニルピロリドンが好ましい。これら高分子は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
分散剤を添加する好ましい態様として、アニオン性分散剤をアルカリ金属フタロシアニン溶液中に含有させ、かつノニオン性分散剤および/または高分子分散剤を、金属塩類の溶液に含有させる態様を挙げることができる。
分散剤の配合量は、顔料の均一分散性および保存安定性をより一層向上させるために、顔料100質量部に対して0.1〜250質量部の範囲であることが好ましく、より好ましくは1〜100質量部の範囲である。0.1質量部未満であると有機顔料微粒子の分散安定性の向上が見られない場合がある。
本発明における二つの基質の反応方法であるが、単に金属フタロシアニン顔料を得たい場合には、反応は含イオウ系非プロトン性極性溶媒に金属塩類を溶解または分散した溶液中に、アルカリ金属フタロシアニンを固体のまま加えて撹拌することで十分進行させることが出来る。しかし、高純度で粒径の揃った顔料微粒子製造したい場合は、均一に含イオウ系非プロトン性極性溶媒に溶解させた金属フタロシアニン前駆体を、非プロトン性極性溶媒に均一に溶解した金属塩類溶液中に撹拌しながらゆっくり滴下するのが好ましい。
反応温度は通常−20〜200℃であり、好ましくは0〜50℃である。特に好ましくは5〜30℃である。
反応時間は通常1分間〜10時間であり、好ましくは10分間〜5時間である。特に好ましくは30分間〜2時間である。
反応後得られた金属フタルシアニンの単離精製は、濾過洗浄により行われる。すなわち反応により得られた析出物を濾過し、使用した極性溶媒で洗浄後、更にアセトンのような低沸点で極性溶媒と十分に混合する溶媒で十分洗浄して極性溶媒を除去したのち、真空ポンプ等で乾燥する。乾燥は加温して行っても良い。
以下に実施例に基づき本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。尚、実施例に示す粒径分布は動的光散乱粒径測定装置である日機装(株)のマイクロトラックUPA150(商品名)により測定した。金属フタロシアニンの純度の測定は、生成した金属フタロシアニンを取り出して洗浄、十分乾燥した後に95%濃硫酸に溶解させてUV吸収を測定し、同一波長での吸収値を標準品と比較することにより行った。また無金属フタロシアニンの存在の有無は、得られた金属フタロシアニンをアルカリ水/DMSO中に入れ液の着色を観測することにより判断した。
以下の実施例に用いる反応液(A−1)〜(D)の調製は以下のようにして行った。いずれの液も均一溶液であり、調製後0.5μmのPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)マイクロフィルターで濾過したものを使用した。尚、略号は以下の化合物を表す。2NaPC;ジナトリウムフタロシアニン、2HPC;無金属フタロシアニン、DMSO;ジメチルスルホキシド、PVP;ポリビニルピロリドン。
(A−1)液 :2NaPC(東京化成)、2.5g(4.5mmol)を室温下攪拌してDMSO(和光純薬、純度99.0%以上。)に溶かし500mlとした。青緑の溶液。
(A−2)液:2HPC(東京化成)、5.0g(9.7mmol)を1N NaOH水溶液、11.7mlを用いてDMSOに溶解し500mlとした。青緑の溶液(約2mass%の水を含む)。
(A−3)液:2HPC、5.0g(9.7mmol)を28mass%CHONa メタノール溶液、7.3gを用いてDMSOに溶解し500mlとした。青緑の溶液(約1mass%のメタノールを含む)。
(B)液 : PVP(質量平均分子量36万、東京化成)、5.0gをDMSOに100℃で攪拌して溶かし500mlとした。無色透明の溶液。
(C)液 :N−オレオイル−N−メチルタウリンナトリウム塩、5.0g(11.7mmol)を室温下1時間攪拌してDMSOに溶かし500mlとした。無色透明の溶液。
(D)液 : CuBr、10.1g(45.0mmol)を室温下攪拌してDMSOに溶かし500mlとした。黄色の溶液。
実施例1
(D)液11ml(CuBr含量、0.99mmol)をフラスコにとり室温下攪拌した。その中に窒素気流下2NaPC、0.5g(0.90mmol)を固体のまま添加した。1時間攪拌後水を添加し、析出した青色沈殿を濾別し、アセトンで十分洗浄し乾燥すると0.49gの青色顔料を得た。純度を測定したところ銅フタロシアニンの含率は99.5%であった。また無金属フタロシアニンの存在は確認できなかった。
比較例1
CuBr、0.22g(0.98mmol)をフラスコにとり、ジグライム11mlを加え室温下攪拌した。その中に窒素気流下PC−2Na、0.5g(0.90mmol)を固体のまま添加した。1時間攪拌後水を添加し、析出した青色沈殿を濾別し、アセトンで十分洗浄し真空加熱乾燥すると0.40gの青色顔料を得た。純度を測定したところ、56%が銅フタロシアニンで、残りは無金属のフタロシアニンであった。
以上のように、実施例1では、比較例1に比べ、得られた銅フタロシタニンの純度が著しく高かった。
実施例2
CuBr、0.22g(0.98mmol)をフラスコにとり、ジグライム11mlを加え室温下攪拌した。その中に窒素気流下溶液(A−1)液、100mlをゆっくり(約30分)滴下した。滴下終了後30分攪拌し、水を加えて析出した青色沈殿を濾別し、アセトンで十分洗浄し真空加熱乾燥すると0.49gの青色顔料を得た。純度を測定したところ、銅フタロシアニンの含率は99.4%であった。また無金属フタロシアニンは観測されなかった。
比較例2
PC−2Na、0.5g(0.90mmol)をフラスコにとり、その中に窒素気流下ジグライム100mlを加え80℃で1時間加熱攪拌した。室温に戻した後、不溶物を濾過して得られた濾過溶液を、CuBr、0.22g(0.98mmol)、ジグライム11mlの攪拌溶液に室温下添加した。1時間攪拌後水を添加し、得られた青色沈殿を濾別し、アセトンで十分洗浄し真空加熱乾燥すると0.2gの青色顔料を得た。純度を測定したところ、銅フタロシアニンの含率は97.0%であった。尚、若干の無金属フタロシアニンの存在が確認できた。
以上のように実施例2は、比較例2に比べ約2.5倍の収量の青色顔料を得ることができ、さらに実施例2のほうが銅フタロシタニンの純度が高かった。
実施例3
(D)液、10ml(CuBrの含量0.20g(0.90mmol))をフラスコに取り、その中に窒素気流下(A−1)液、100ml(PC−Naの含量0.50g(0.90mmol))を約1時間かけて室温下攪拌滴下した。滴下するにつれて青色の不溶物が生成し、徐々に沈殿となった。滴下終了後水を加え沈殿物を濾別し、アセトンで十分に洗浄し真空加熱乾燥すると0.51gの青色顔料を得た。純度を測定したところ、銅フタロシアニンの含率は99.8%であった。また無金属フタロシアニンの存在は確認できなかった。
実施例4
(B)液20mlと(D)液10mlをフラスコに取り、窒素気流下室温で攪拌した。その中にシリンジポンプを用いて(A−1)液10mlを1時間かけて滴下した。得られた沈殿物を0.1μmのPTFEフィルターで濾過した。濾液であるDMSO層は淡黄色であり、青色化合物の混入は全くなかった。得られた青色物質とそれが付着したPTFEフィルターをフラスコに入れ、その中に1.0質量%のN−オレオイル−N−メチルタウリンナトリウム塩水溶液100mlを加え、超音波10分照射後(30W,発振周波数45kHzの超音波洗浄器使用)、スターラーで1時間攪拌した。その液を0.45μmのCEフィルターを通すと青色はほとんど濾液に行き、分離される物質は極めて少量であった。濾液の粒子径を測定したところメジアン平均粒径は78.2nm(個数分布)であった。尚、得られた水溶性顔料微粒子の純度を見るために、0.1μmのPTFEフィルターで濾過して得られた青色物質の一部を濃硫酸に溶かしてUV吸収を測定したところ、顔料はほぼ銅フタロシアニンのみであることを示した。アルカリ水/DMSOに曝しても無金属フタロシアニンの存在は確認できなかった。
実施例5
(B)液20mlと(D)液10mlをフラスコに取り、窒素気流下室温で混合攪拌した。その中にシリンジポンプを用いて(A−1)液10mlと(C)液10mlの混合溶液を1時間かけて滴下した。得られた沈殿物を0.1μmのPTFEフィルターで濾過した。濾液であるDMSO層は淡黄色であり、青色化合物の混入は全くなかった。得られた青色物質とそれが付着したPTFEフィルターをフラスコに入れ、その中に1.0質量%のN−オレオイル−N−メチルタウリンナトリウム塩水溶液100mlを加え、超音波10分照射後(30W,発振周波数45kHzの超音波洗浄器使用)、スターラーで1時間攪拌した。その液を0.45μmのCEフィルターを通すと青色はほとんど濾液に行き、分離される物質は極めて少量であった。濾液の粒子径を測定したところメジアン平均粒径は76.8nm(個数分布)であった。この顔料微粒子も実施例4と同様にして純度をみてみたが、ほとんど銅フタロシアニンであり、やはり無金属フタロシアニンの存在は確認できなかった。
比較例3
実施例4および5の顔料微粒子の合成を、他の非プロトン性極性溶媒、例えばジグライム中で行おうとすると、CuBrはジグライムに溶解可能であるが、PC−Na、PVP、N−オレオイル−N−メチルタウリンナトリウム塩のジグライムへの溶解性がDMSOに比べて格段に低く、室温で反応して評価可能な実用的系を組むことはできなかった。
実施例6
実施例5において(A−1)液を同量の(A−2)液に置き換えた以外は全く同じにして得られた顔料分散液(濾液)の粒子径を測定したところメジアン平均粒径は77.6nm(個数分布)であった。この顔料微粒子も実施例4と同様にして純度をみてみたが、ほとんど銅フタロシアニンであり、やはり無金属フタロシアニンの存在は確認できなかった。
実施例7
実施例5において(A−1)液を同量の(A−3)液に置き換えた以外は全く同じにして得られた顔料分散液(濾液)の粒子径を測定したところメジアン平均粒径は76.1nm(個数分布)であった。この顔料微粒子も実施例4と同様にして純度をみてみたが、ほとんど銅フタロシアニンであり、やはり無金属フタロシアニンの存在は確認なかった。
比較例4
実施例7において(A−3)液の代わりに同量の(A−3)液にメタノール1.5mlを加えた液(メタノールを10mass%以上含む)を用いた以外は全く同じにして得られた顔料分散液(濾液)の粒子径を測定したところメジアン平均粒径は78.1nm(個数分布)であった。しかしながらこの顔料微粒子を実施例4と同様にして純度をみてみると、銅フタロシアニンの含率は低く、無視できない量の無金属フタロシアニンの微粒子が混じっていることが判明した。
実施例6、7と比較例4からわかるように、過剰のプロトン性溶媒が存在すると無金属フタロシアニンの生成が問題になるが、有る量以下ならほとんどそれは生成せず純度の高い銅フタロシアニンを合成することができることがわかる。

Claims (5)

  1. ジメチルスルホキシドを主成分とする溶媒中で、フタロシアニンのアルカリ金属塩と臭化銅とを反応させることを特徴とするフタロシアニン顔料の製造方法。
  2. ジメチルスルホキシドを主成分とする溶媒に溶解したフタロシアニンのアルカリ金属塩を、ジメチルスルホキシド又はジグライムを主成分とする溶媒に溶解した臭化銅と反応させることを特徴とする請求項1記載のフタロシアニン顔料の製造方法。
  3. 前記アルカリ金属塩が、ナトリウム塩であることを特徴とする請求項1または2記載のフタロシアニン顔料の製造方法。
  4. ジメチルスルホキシドを主成分とする溶媒に溶解したフタロシアニンのアルカリ金属塩溶液中、及びジメチルスルホキシド又はジグライムを主成分とする溶媒に溶解した臭化銅溶液中の両方または片方に、少なくとも一つの分散剤が存在することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のフタロシアニン顔料の製造方法。
  5. 前記分散剤が、高分子分散剤および/または低分子分散剤であることを特徴とする請求項記載の製造方法。
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