JP2009272050A - 全固体電池およびその製造方法 - Google Patents

全固体電池およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、初期性能および耐久性に優れた全固体電池およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明の全固体電池10は、Liを含む酸化物であるLiCoO2の正極1と、正極の上に位置し、気孔を含む固体電解質2と、固体電解質2の上に位置する金属リチウムの負極1とを備え、正極の表面に、絶縁体の炭酸リチウムLi2CO35が散在していることを特徴する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、全固体電池およびその製造方法に関し、より具体的には、信頼性の高い高品質の全固体電池およびその製造方法に関するものである。
携帯用の電子機器に多様な電池が搭載される時代にあって、電池には、常に小型化または高エネルギー密度化、および高い安全性が求められる。とくにカード等に内蔵される電池には、薄膜で高エネルギー密度を備えながら、高い信頼性が求められる。このような要求に応えるために、(正極LiCoO2膜/薄膜固体電解質/負極Li膜)の構成の全固体電池が提案された(非特許文献1)。これにより、薄型でエネルギー密度の高い電池を得ることができる。
J.B.Bates, N.J.Dudney, B.Neudecker, A.Ueda, C.D.Evans,"Thin-film lithium and lithium-ion batteries", Solid StateIonics,135(2000),pp.33-45
上記の全固体電池では、しかしながら、製造した直後に試験してみると、所定の性能を得ることができないケースが多く発生することがあった。たとえば、初期電圧が低く、放電/充電のサイクルを繰り返すと電池容量が急激に低下するケースが多発した。このため、信頼性が高いリチウムの提供が要求されている。本発明は、初期性能および耐久性に優れた全固体電池およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の全固体電池は、Liを含む酸化物の正極と、その正極の上に位置し、気孔を含む固体電解質と、この固体電解質の上に位置する負極とを備え、正極の表面に、Li2CO3が散在していることを特徴する。
上記の構成によって、負極材料が、その形成時に、固体電解質の気孔(貫通ポア(ピンホール)、クラック等の空隙欠陥部)を通って正極に達する箇所を、散在するLi2CO3によってブロックすることができる。負極材料が、固体電解質の空隙欠陥部(以下、欠陥部とのみ記す)を通って正極に達すると、微小短絡路を形成し、過放電状態になり、初期電圧が低下し、さらにサイクル特性が劣化する。上記のLi2CO3は、固体電解質の上記空隙欠陥部に対応する正極の表面に位置して、短絡を効果的に防止する。Li2CO3は、イオン導電性が小さい絶縁体であるが、散在する形態で分布するので、電気抵抗の(内部抵抗)の増大をほとんど生じない。気孔は、固体電解質にはほとんどの場合、付随するものであり、気孔率が高いほど、上記の微小短絡路が形成されやすい。気孔を含む固体電解質は、「多孔質」というほど高い比率で気孔を含んでもよいが、ここでは通常は、10%程度以下で、0%超(たとえば1%以上)の気孔率の固体をいう。
上記の散在するLi2CO3は、厚み1μm以下、平面的径20μm以下とするのがよい。これによって、内部抵抗を増加させずに、固体電解質の欠陥部を通る短絡路の形成を効果的に防止することができる。
上記の正極、固体電解質および負極を、膜形成し、当該固体電解質の厚みを5μm以下とすることができる。これによって、信頼性の高い薄膜全固体電池を得ることができる。また、固体電解質は、欠陥部を生じなければ、薄いほうが内部抵抗を低くする上で好ましい。上記のように、Li2CO3によって欠陥部が補修されるので、薄くしても欠陥部に起因する短絡のおそれはない。このため、固体電解質の厚みを5μm以下にすることができる。内部抵抗をより低くすることを重視する場合には、固体電解質の厚みは、3μm以下にするのがよい。さらに、内部抵抗を低くするためには、2μm以下にするのが望ましい。上記のいずれの場合にも、固体電解質の厚みの下限は、0.2μmとするのがよい。
上記の負極を、金属リチウムで形成することができる。これによって、リチウム電池において、リチウムが固体電解質の欠陥部を通って正極に届き、過放電状態になり初期電圧の低下や、サイクル特性が劣化することを防止できる。
上記の固体電解質を、Li−P−S−O系固体電解質またはLi−P−O−N系固体電解質とすることができる。これらの固体電解質は、イオン導電性が高く、かつ欠陥を生じやすい。上記のLi2CO3によって、上記の短絡を防止しながら、高いイオン導電性を得ることができる。この固体電解質による高いイオン導電性によって、Li2CO3によって生じる可能性のある少しのイオン導電性の劣化を、実質上、問題ないものとすることができる。
上記の正極と固体電解質との間に、Liを含む酸化物の中間層を備え、Li2CO3は、該中間層の固体電解質側の表面に散在して、正極の表面にはない構成とすることができる。これによって、界面抵抗を減らすためにLiNbO3などの中間層を挿入する構造の場合にも、微小短絡路を防止して、信頼性の高い全固体電池を得ることができる。
本発明の全固体電池の製造方法は、Liを含む酸化物の正極を形成する工程と、正極の上に、気孔を含む固体電解質を形成する工程とを備える。そして、固体電解質を形成した後に、該固体電解質を、少なくとも炭素原子を含む気体に暴露する工程と、気体に暴露する工程の後に、負極を形成する工程とを備えることを特徴とする。
上記の方法によれば、固体電解質に内在する気孔(貫通ポア(ピンホール)、クラック等の空隙欠陥部)を、少なくとも炭素原子を含む気体が通り抜け、正極に到達する。正極に到達した気体は、化学反応を生じて絶縁体のLi2CO3を生成する。このため、この後、負極を形成する際に、導電材である負極材の蒸気が、正極に到達するのが防止される。Li2CO3は、固体電解質の欠陥部に対して栓または蓋のような役割を果たす。
上記の正極形成工程と、固体電解質形成工程との間に、Liを含む酸化物の中間層を形成してもよい。この場合、中間層は、導電体であり、固体電解質に貫通する欠陥部があれば、負極を形成する導電材が、その中間層に到達すると、やはり正極と負極とは短絡し、電池性能を劣化させる。上記の中間層は、Liを含む酸化物であるため、欠陥部を通ってきた、少なくとも炭素原子を含む気体と反応して、絶縁体のLi2CO3を、欠陥部の出口一帯に生成する。これによって、負極の形成の際に、負極を形成する導電材の気相が、正極と負極との間に微小短絡路を形成するのを防止することができる。この結果、電池性能の劣化を防止することができる。
上記の固体電解質を気体に暴露する工程では、該固体電解質を二酸化炭素ガスに暴露することができる。これによって、非常に簡単な処理によって、Li2CO3を欠陥部に対応させて、その欠陥部の栓や蓋をなすように、点状に形成することができる。
上記の固体電解質を気体に暴露する工程では、該固体電解質を大気に暴露することができる。大気には、微量の二酸化炭素など炭素を含む気体が含まれるので、大気に暴露することによって、固体電解質の欠陥部に対応する箇所にLi2CO3を形成することができる。このとき、硫化物系の固体電解質で、大気中の湿分と反応して変質し、固体電解質としての機能を果たさなくなるものについては、湿分を除く処理を施した大気にしておくのがよい。たとえば露点の湿分が問題にならないような低温にして、湿分を実質的に除いた大気中に暴露することで炭酸ガスと反応させるのがよい。
本発明によれば、初期性能および耐久性に優れた全固体電池を得ることができる。
図1は、本発明の実施の形態における全固体電池を示す図である。この全固体電池10は、薄型のリチウム二次電池である。この薄型リチウム二次電池は、(正極層1/固体電解質層2/負極層3)の積層構造をもつ。正極は、たとえばLiCoO2により形成し、厚みは0.2μmとすることができる。正極1の厚みが電池の放電容量を決め、厚いほど放電容量は高くなる。固体電解質2は、たとえば、Li2S−P25の硫化物系固体電解質であり、厚みは5μmとすることができる。また、負極は、たとえば、金属リチウムであり、厚みは0.7μmとすることができる。
(図1の全固体電池の構造のポイント)
本実施の形態の全固体電池の構造のポイントは、つぎのとおりである。
(K1)固体電解質2には、貫通ポアなど貫通性欠陥(空隙欠陥部)2hが存在する。
(K2)その固体電解質2の貫通性欠陥2hの出口に対応する正極1の表面に、絶縁部(Li2CO3:炭酸リチウム)5が位置する。炭酸リチウム5は、貫通性欠陥2hに栓をするように位置する。
上記の構造において、(K2)が欠けて、(K1)だけある場合、すなわち、固体電解質2に貫通性欠陥2hがあって、それが貫通状態にある場合、つぎのような問題が生じる。
上記の全固体電池10を製造においては、正極1の形成→固体電解質2の形成→負極3の形成、の工程で、製造が進行する。正極1のLiCoO2はレーザアブレーション法により形成し、また固体電解質(Li2S−P25)2は、やはりレーザアブレーション法で形成する。固体電解質2のLi2S−P25には、貫通性欠陥2hが内在する。つぎに負極3の金属リチウムを、抵抗加熱蒸着法によって固体電解質2の上に形成する。このとき、リチウム蒸気は、固体電解質の貫通性欠陥2hを通り抜けて、正極1の表面に到達する。そして、正極とリチウムとが反応して、正極中に過剰なリチウムが供給される。このため、リチウム二次電池において、過剰なリチウムが正極に蓄積され、過放電状態となる。さらに、貫通性欠陥2hがあると、リチウム蒸気は、貫通性欠陥2hの内壁に付着して導電内壁面を形成する。このため、負極3と正極1とを導通する短絡路を形成し、サイクル特性が劣化する。リチウム二次電池では、使用中に、リチウムが正極1と負極3とを往復移動する。このため、たとえ、初期に短絡路が完全に形成されていなくても、貫通性欠陥があると、使用中に短絡路を完成させることも考えられる。短絡路はリチウム成膜後か電池使用中のいずれかで形成される。図1では、固体電解質2の貫通性欠陥2hが負極材のリチウムで完全に充填されているように図示されているが、完全に充填されていない可能性が大きい。
上記のことから、固体電解質2に貫通性欠陥2hが内在する場合、次の性能劣化を生じる。
(D1)組み立て直後、過放電状態のため、初期電圧が低い。
(D2)短絡のために、サイクル特性、たとえば所定サイクル後の容量維持率が低い。
本発明の実施の形態では、上記のように(K2)を備える。すなわち、固体電解質2の貫通性欠陥2hの出口に対応する正極1の表面に、絶縁部(炭酸リチウム)5が、その貫通性欠陥2hに栓をするように位置する。このため、リチウム蒸気は、固体電解質2の貫通性欠陥2hを通って、正極1に到達することはできず、したがって正極1にリチウムが過剰に供給されることはない。さらに、絶縁体の炭酸リチウム5が、貫通性欠陥2hの栓をするので、正極1と負極3との間に短絡を生じることはない。この結果、上記の(D1)および(D2)はともに除かれる。この結果、特性の優れた薄膜全固体リチウム電池を得ることができる。
(変形例)
図1に示す構造の変形例として、図2に示す全固体電池10であってもよい。変形例では、正極1と固体電解質2との間に、中間層6が挿入されている。中間層6は、正極1と固体電解質2との界面抵抗を低減するために挿入される。中間層6は、Liを含む酸化物であり、たとえばLiNbO3であり、レーザアブレーションによって正極1上に形成される。図2に示す全固体電池10では、固体電解質2の貫通性欠陥2hは、中間層6の上に位置する絶縁体(炭酸リチウム)5によって塞がれている。中間層6を形成するLiNbO3は導電材であるので、絶縁体の炭酸リチウム5がなければ、上記(D1)および(D2)の性能劣化が生じる。しかし、炭酸リチウム5によって、性能劣化は生じない。
図3は、絶縁体(Li2CO3)5が、正極1上、または中間層6上に、位置する態様を考察して描いた推定図である。炭酸リチウム5は、点状またはパッチ状に散在している。炭酸リチウム5の位置は、固体電解質2の貫通性欠陥2hの開口位置に合致する。その位置についての根拠は、つぎに説明する製造方法および実施例で示す貫通性欠陥2hの観察によるところが大きい。
図4は、図1および図2に示す全固体電池10の製造方法のフローチャートである。まず、正極集電体の上に、Liを含む酸化物であるLiCoO2膜によって正極1を形成する。層形成方法は、レーザアブレーション法またはスパッタ法によるのがよい。しかし、大量生産の場合など、状況に応じて、電子ビーム真空蒸着法などによってもよい。図1に示す全固体電池の場合は、その正極1の上に、レーザアブレーション法などで固体電解質2を形成する。図2に示す全固体電池の場合は、正極1→中間層6→固体電解質2の順に、形成する。中間層6はスパッタリング法で形成するのがよい。
図1および図2の全固体電池の両方とも、固体電解質2を形成したあと、その固体電解質2に炭酸ガスを噴射する。炭酸ガスの噴射でもよいし、より広い意味で、単に炭酸ガス中に暴露するだけでもよい。また、大気中に、固体電解質2を暴露してもよい。このとき、硫化物系の固体電解質で、大気中の湿分と反応して変質し、固体電解質としての機能を果たさなくなるものについては、たとえば−55℃以下に管理して湿分を実質的に除いた大気中に暴露することで炭酸ガスと反応させるのがよい。このとき、炭酸ガスは、固体電解質2の貫通性欠陥2hを通り、正極1または中間層6と反応して、炭酸リチウムLi2CO35を、正極1または中間層6の表面に形成する。炭酸ガスは、固体電解質2の貫通性欠陥2hに狙いをつけて、その貫通性欠陥2hの開口位置にのみ、正極1または中間層6の表面に炭酸リチウム5を形成する。この炭酸リチウム5を形成した後に、負極3を形成する。負極3を形成するリチウム蒸気は、炭酸リチウム5に妨げられて、正極1または中間層6に届くことはない。この結果、図1または図2に示す構造の全固体電池10が製造される。
このあと説明する実施例で示す、固体電解質2の貫通性欠陥2hのSEM(Scanning Electron Microscopy)写真から推測されるように、貫通性欠陥2hの一種である貫通ポアなどでは、直線的な貫通孔ができているわけではない。図5に示すような、複雑に入り組んだ形態の気孔2hができていて、その開口位置の正極1または中間層6の表面に、絶縁体Li2CO3が形成されている。
本発明の全固体電池の各部分について、次の材料を用いることができる。
(正極集電体):ステンレススチール(SUS材)、アルミニウムおよびその合金、ニッケルおよびその合金などの箔体、または板状体
(正極1):LiMnO2、LiCoO2、LiNiO2などのリチウム酸化物の薄膜
(固体電解質2):(1)Li−P−S−Oのアモルファス膜、または多結晶膜
(2)Li−P−O−Nのアモルファス膜、または多結晶膜
上記の固体電解質2の気孔率は、通常、5%〜10%程度である。
(負極3):Li金属膜
(負極集電体):ステンレススチール(SUS材)、銅(Cu)およびその合金、ニッケルおよびその合金などの箔体、または板状体
(本発明のポイント)
本発明のポイントは、つぎの点に要約される。
(1)固体電解質の欠陥を、その欠陥部を狙い打ちにして、局所的に絶縁体を点状に形成して、短絡路の形成を防止する。
(2)点状の絶縁体であるため、内部抵抗の増大は実質的に問題とならないレベルにすることができる。
(3)また、上記絶縁体は、イオン導電性が低いが、点状であるため、イオン導電性の劣化も、実質上、問題とならないレベルにすることができる。
(4)上記(1)〜(3)のもとで、固体電解質の厚みを、欠陥部を気にせずに薄くすることができる。これによって、内部抵抗の低減など、いっそうの電池性能の向上を得ることができる。
次に実施例によって、本発明の効果を検証する。試験体は、本発明例および比較例の2体であり、つぎの構造をもつ。
(本発明例):図2に示す全固体電池(中間層6が、正極1と固体電解質2との間に挿入されている)。正極1には、厚み0.2μmのLiCoO2をレーザアブレーション法により形成した。中間層6は、厚み10nm(0.01μm)のLiNbO3膜をスパッタリング法で形成した。固体電解質2は、厚み5μmのLi2S−P25をレーザアブレーション法で形成した。固体電解質2を形成した後、その固体電解質2に炭酸ガスを噴射した。そのあと、負極3には、厚み0.7μmの金属リチウムを電子ビーム真空蒸着法によって形成した。
(比較例):図6に示す全固体電池を用いた。図2の全固体電池とは、図6には絶縁体Li2CO3がない点でのみ相違し、その他の点では共通である。したがって、上記の本発明例の全固体電池の製造工程において、比較例では、固体電解質2に、炭酸ガスを噴射する工程がないだけで、その他の工程は同じように実施した。固体電解質の気孔率は、本発明例および比較例ともに、10%であった。
上記の2つの試験体の全固体電池について、初期電圧(電池組み立て直後の電圧)、初期放電容量、充放電100サイクル後の容量維持率、内部抵抗を測定した。また、本発明例について、固体電解質2を形成後、炭酸ガスを噴射する前の固体電解質の表面観察を行なった。
図7および図8は、本発明例の製造の際、固体電解質2を形成したあとに、貫通性欠陥の貫通ポア2hを観察したSEM像を示す。図7はSEM像の写真であり、図8は、その模式図である。固体電解質2の表面に開口した気孔(貫通ポア)2hを観察しており、内部における孔の形態は知ることができないが、それでも数μmの径の孔ができていることがわかる。すべての貫通ポア2hを見せるわけにはゆかないが、貫通ポア2hの中には、径が10μmを超えるものも散見される。これらの観察をもとに、図3および図5を推測した。
電池特性の測定結果を表1に示す。
Figure 2009272050
1.内部抵抗
内部抵抗については予想外の結果が得られた。絶縁体のLi2CO3が散在する本発明例に対して、比較例は短絡が疑われる電池であり、本発明例のほうが、内部抵抗が高くなることが予測された。しかし、測定結果は、本発明例では30Ωcm2であるのに対して、比較例では70Ωcm2であった。本発明例の内部抵抗は、比較例に比べて、歴然と低い。すなわち、本発明例の電池は、予測に反して、これまでの全固体薄膜リチウム二次電池に比べて、格段に内部抵抗を低くすることができる。この理由は不明であるが、短絡箇所で何らかの反応が生じていることが考えられる。
2.初期電圧
表1によれば、比較例では、初期電圧は1.3Vであるのに比して、本発明例では、2.9Vと、本発明例の初期電圧は、歴然として高い。これは、比較例では、リチウムが過剰に正極に供給されていて、過放電状態になっていることを示している。本発明例では、正常な組み立て時に実現される放電状態になっている。初期放電容量も、このことを反映して、本発明例は、比較例に比べて40%高くなっている。
3.容量維持率
また、100サイクル充放電を繰り返したあとの容量維持率は、本発明例は、当初の容量とほとんど変わらず、98%であるのに対して、比較例では62%と低くなっている。これは、上述のように、使用中に短絡路が次第に大きくなって完成されてゆくことに対応していると、推定される。要は、比較例は、初期性能だけでなく、耐久性についても異常に劣るのに比べて、本発明例は、正常な結果を示した。このような歴然とした性能の差は、炭酸ガス噴射の有無に起因する。よって、このとき形成される、気孔を塞ぐ炭酸リチウムの有無に起因する。
上記において、本発明の実施の形態について説明を行ったが、上記に開示された本発明の実施の形態および実施例は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれら発明の実施の形態に限定されない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
本発明によれば、非常に簡単な製造工程により、固体電解質に内在する貫通性欠陥による電池性能劣化を防止して、高品質で、耐久性に優れた全固体電池を得ることができる。さらに、本発明では、内部抵抗の増大およびイオン導電性の低下は、問題にならない。そして、固体電解質に内在する貫通性欠陥を無害化することによって、その固体電解質の厚みを薄くすることができ、その分、内部抵抗等の電池特性を向上することができる。
本発明の実施の形態における全固体電池を示す図である。 図1の全固体電池の変形例を示す図である。 炭酸リチウムLi2CO3の形態を示す図である。 本発明の実施の形態の全固体電池の製造方法を示すフローチャートである。 固体電解質に内在する実際の貫通性欠陥を示す図である。 比較例の全固体電池を示す図である。 固体電解質の貫通性欠陥の開口部のSEM像の写真である。 図7の貫通性欠陥の模式図である。
符号の説明
1 正極、2 固体電解質、2h 貫通性欠陥、3 負極、5 Li2CO3(炭酸リチウム)、6 中間層、10 全固体電池。

Claims (9)

  1. Liを含む酸化物の正極と、
    前記正極の上に位置し、気孔を含む固体電解質と、
    前記固体電解質の上に位置する負極とを備え、
    前記正極の表面に、Li2CO3が散在していることを特徴する、全固体電池。
  2. 前記散在するLi2CO3は、厚み1μm以下、平面的径20μm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の全固体電池。
  3. 前記正極、固体電解質および負極が、膜形成されており、前記固体電解質の厚みが5μm以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載の全固体電池。
  4. 前記負極が、金属リチウムからなることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1つに記載の全固体電池。
  5. 前記正極と前記固体電解質との間に、Liを含む酸化物の中間層を備え、前記Li2CO3は、該中間層の前記固体電解質側の表面に散在して、前記正極の表面にはないことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1つに記載の全固体電池。
  6. 全固体電池の製造方法であって、
    Liを含む酸化物の正極を形成する工程と、
    前記正極の上に、気孔を含む固体電解質を形成する工程と、
    前記固体電解質を形成した後に、該固体電解質を、少なくとも炭素原子を含む気体に暴露する工程と、
    前記気体に暴露する工程の後に、負極を形成する工程とを備えることを特徴とする、全固体電池の製造方法。
  7. 前記正極形成工程と、前記固体電解質形成工程との間に、Liを含む酸化物の中間層を形成することを特徴とする、請求項6に記載の全固体電池の製造方法。
  8. 前記固体電解質を気体に暴露する工程では、該固体電解質を二酸化炭素ガスに暴露することを特徴とする、請求項6または7に記載の全固体電池の製造方法。
  9. 前記固体電解質を気体に暴露する工程では、該固体電解質を大気に暴露することを特徴とする、請求項6または7に記載の全固体電池の製造方法。
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