JP2003092146A - 非水電解質二次電池およびその製造方法 - Google Patents

非水電解質二次電池およびその製造方法

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secondary battery
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carbonate
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育朗 中根
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    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P70/00Climate change mitigation technologies in the production process for final industrial or consumer products
    • Y02P70/50Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product

Abstract

(57)【要約】 【課題】 マンガン酸リチウムを正極に備え、環状カー
ボネートと鎖状カーボネートを含む混合溶媒に溶質を溶
解させた電解液を熱重合性高分子材料で硬化させても、
不均一な熱重合が生じない非水電解質二次電池を提供で
きるようにする。 【解決手段】 本発明の非水電解質二次電池は、スピネ
ル型マンガン酸リチウムを含有する正極11と、リチウ
ムイオンを挿入・脱離可能な負極活物質を含有する負極
12と、これらを隔離するセパレータ13と、ゲル状電
解質とを外装体14内に備えている。そして、ゲル状電
解質は、環状カーボネートと鎖状カーボネートを含む混
合溶媒にリチウム塩からなる溶質を溶解させた電解液を
熱重合性のモノマー材料で重合しゲル化させて形成され
ているとともに、正極11あるいは負極12の少なくと
も一方の表面は電解液に溶解された炭酸ガスと電解液と
の反応により生成された炭酸リチウムの被膜が形成され
ている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スピネル型マンガ
ン酸リチウムを正極活物質として含有する正極と、リチ
ウムイオンを挿入・脱離可能な負極活物質を含有する負
極と、これらの正極と負極を隔離するセパレータと、ゲ
ル状電解質とを外装体内に備えた非水電解質二次電池お
よびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、小型ビデオカメラ、携帯電話、ノ
ートパソコン等の携帯用電子・通信機器等に用いられる
電池として、リチウムイオンを挿入・脱離できる合金も
しくは炭素材料などを負極活物質とし、コバルト酸リチ
ウム(LiCoO2)、ニッケル酸リチウム(LiNi
2)、マンガン酸リチウム(LiMn24)等のリチ
ウム含有複合酸化物を正極材料とするリチウムイオン電
池で代表される非水電解質二次電池(リチウム二次電
池)が、小型軽量でかつ高容量で充放電可能な電池とし
て実用化され、市販もされるようになった。
【0003】最近になって、優れた放電特性を維持しな
がら使用する機器での使用形態の自由度が大きいリチウ
ム二次電池が要求されるようになった。特に、薄型化が
可能で、液漏れがなく、軽量で、質量エネルギー密度に
優れた小型リチウム二次電池が要望されるようになっ
た。このような背景にあって、熱重合性のモノマー材料
を加熱することにより、電解液をゲル化(硬化)させた
ポリマー電解質を備えたリチウム二次電池、いわゆるリ
チウムポリマー二次電池が実用化されるようになった。
この種のリチウムポリマー二次電池は、電解液にモノマ
ー材料を含有させて、このモノマー材料を熱硬化させた
点において、従来のリチウム二次電池とは異なるのみ
で、電池構成や製造工程および使用する材料は従来のリ
チウム二次電池とほぼ類似している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】一般的に、リチウム二
次電池用電解液に用いられる溶媒としては、電池内で還
元分解されにくくて、かつ極性が高くて、イオン導電性
を確保しやすい環状カーボネートを用いることが必須と
なっている。しかしながら、環状カーボネートは、環状
構造に由来して自由度が少なくて、分子間力が強いた
め、粘度が非常に強くて、電極群の内部に含液しにくい
という欠点を有している。このため、分子間力が弱く、
粘性が小さい鎖状(非環状)カーボネートを混合した混
合溶媒を用いるようにしている。この鎖状カーボネート
は、極性が環状カーボネートより高くないため、イオン
導電性を確保することができないが、鎖状構造に由来し
て自由度が大きいため、分子間力が弱くて、粘性が小さ
いという長所を有する。
【0005】ところが、リチウムポリマー二次電池にお
いては、電解液中にポリマー材料を含有させるため、電
解液の粘度が上昇して、リチウム二次電池に比較して電
極群の内部に電解液が含液しにくいという問題があっ
た。このため、電解液の構成には、粘度が低い鎖状カー
ボネート系の低沸点溶媒種を多く含有させる必要があ
る。しかしながら、鎖状カーボネート系に代表される低
沸点溶媒種は、溶媒種自体が還元分解されやすくて、電
池内にガスを発生しやすいという問題が生じた。
【0006】また、リチウム二次電池は、充電初期に電
池材料(主として負極材料)の不可逆効率分の副反応が
生じて、ガスが発生することが知られている。この場
合、発電要素を収容する外装体に鉄缶やアルミニウム缶
などのハードケースが用いられるリチウム二次電池にお
いては、電池膨れを起こすというような問題を比較的生
じ難い。しかしながら、リチウムポリマー二次電池にお
いては、アルミニウム製のラミネートフィルムなどのソ
フトケースが用いられるため、発生したガスの圧力によ
り電池膨れを招来し、使用する機器に悪影響を及ぼすと
いう問題を生じた。
【0007】特に、マンガン酸リチウムを正極活物質と
して用いたリチウムポリマー二次電池においては、負極
材料のみでなく、正極材料のマンガン酸リチウムも電解
液の分解に関与して、ガスが非常に多く発生するという
問題があった。これは、マンガン酸リチウムは酸に弱い
ために、電解液中にわずかに存在する水分がLiPF 6
等の溶質と反応して生じたHFなどの強酸と反応するた
めである。このため、マンガン酸リチウムの結晶中から
マンガンが溶解して、溶解したマンガンが負極上で電解
液と絡んで反応することにより、ガスが発生しているも
のと推定される。
【0008】この場合、リチウム二次電池においては電
解液に流動性があるため、電池内でガスが発生しても電
極間にガスが滞留することはない。しかしながら、リチ
ウムポリマー二次電池においては、電解液がゲル化によ
り硬化、固化されているため、発生したガスが電極間に
固定化されて、充放電不良を招くなどの重大な問題が発
生した。これは、硬化前に高粘度の溶媒中で発生したガ
スが、電極間に存在した状態で硬化(ゲル化)する、い
わゆる「ガス噛み」現象が生じたためである。このた
め、正極とセパレータとの間、あるいはセパレータと負
極との間に電解液(この場合は、ゲル化した電解液)が
存在しない部分が生じる。すると、その後に充放電を行
っても、均一な電池反応を行うことができなくて、充放
電不良が生じて電池特性が低下したためである。
【0009】そこで、本発明は上述した問題点を解決す
るためになされたものであって、マンガン酸リチウムを
正極活物質として備え、かつ環状カーボネートと鎖状カ
ーボネートを含む混合溶媒に溶質を溶解させた電解液を
熱重合性のモノマー材料でゲル化(硬化)させても、熱
重合の不均一性が生じない非水電解質二次電池を提供で
きるようにすることを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の非水電解質二次電池は、スピネル型マンガ
ン酸リチウムを正極活物質として含有する正極と、リチ
ウムイオンを挿入・脱離可能な負極活物質を含有する負
極と、これらの正極と負極を隔離するセパレータと、ゲ
ル状電解質とを外装体内に備えている。そして、ゲル状
電解質は、環状カーボネートと鎖状カーボネートを含む
混合溶媒にリチウム塩からなる溶質を溶解させた電解液
を熱重合性のモノマー材料で重合しゲル化させて形成さ
れているとともに、正極あるいは負極の少なくとも一方
の表面は電解液に溶解された炭酸ガスと電解液との反応
により生成された炭酸リチウムの被膜が形成されている
ことを特徴とするものである。
【0011】ここで、電解液に溶存した炭酸ガスは、電
解液の溶質であるリチウム塩が解離したリチウムイオン
と反応して、正極や負極表面上に薄い炭酸リチウムの無
機質被膜を形成する。この炭酸リチウムの被膜は、負極
上の活性な官能基(−COOH,−NH,−OH等)を
コーティングするため、一方の溶媒の鎖状カーボネート
が活性な官能基により分解されることが防止できるよう
になる。この結果、モノマー材料の熱重合時に「ガス噛
み」現象が生じることが防止でき、熱重合の不均一性が
生じない非水電解質二次電池を得ることが可能となる。
【0012】また、電解液に溶存した炭酸ガスは、電解
液中の極性溶媒などに溶存していた酸素を追い出して熱
重合するため、均一な熱重合が可能になって、均一性に
優れたゲル状電解質(ポリマー電解質)が得られる。こ
れは、電解液中の極性溶媒に配位した酸素が、酸素より
は配位力が強い炭酸ガスにより置換されたためと考えら
れる。そして、均一性に優れたゲル状電解質(ポリマー
電解質)を備えることにより、エネルギー密度、サイク
ル特性、負荷特性、温度特性が向上した非水電解質二次
電池が得られるとともに、安全性に優れ、かつ高温保存
時においてもガスの発生が抑制された非水電解質二次電
池が得られるようになる。
【0013】この場合、LiPF6を電解液の溶質とし
て用いると、LiPF6はHFのような強酸を発生す
る。すると、HFは酸に弱い鎖状カーボネートと反応し
て、鎖状カーボネートを分解してガスを発生するため、
「ガス噛み」に起因する硬化むらが生じる。ところが、
正極や負極表面上に薄い炭酸リチウムの無機質被膜が形
成されていると、鎖状カーボネートが分解されることが
防止できるようになる。このことから、特に、HFのよ
うな強酸を発生させる頻度が高いLiPF6を溶質とし
て用いる電解液に炭酸ガスを溶存させると、硬化むらを
防止する効果を充分に発揮させることが可能となるので
好ましい。
【0014】なお、正極活物質に用いるスピネル型マン
ガン酸リチウムとしては、マンガン酸リチウムの一部を
マグネシウム(Mg)、ホウ素(B)、フッ素(F)、
アルミニウム(Al)、コバルト(Co)、ジルコニウ
ム(Zr)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)から選
択される少なくとも1種の元素で置換もしくは添加した
スピネル型マンガン酸リチウムを用いるのが好ましい。
【0015】また、電解液の溶媒としては、環状カーボ
ネートと鎖状カーボネートの混合溶媒を用いることが必
須になる。しかしながら、環状カーボネートと鎖状カー
ボネートの溶媒種については、特に限定されるものでは
ないが、環状カーボネートとしては、プロピレンカーボ
ネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート
の少なくとも1種から選択して用いるのが好ましい。ま
た、鎖状カーボネートとしては、ジメチルカーボネー
ト、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート
の少なくとも1種から選択して用いるのが好ましい。
【0016】さらに、熱重合性のモノマー材料として
は、特に、ポリプロピレングリコールジアクリレートな
どの末端基がアクリレートであるモノマー材料を用いる
のが好ましい。また、熱重合性のモノマー材料を重合し
た高分子は、ポリエーテル系固体高分子、ポリカーボネ
ート系固体高分子、ポリアクリロニトリル系固体高分
子、あるいはこれらの2種以上からなる共重合体もしく
は架橋した高分子を用いるのが望ましい。
【0017】そして、上述した構造の非水電解質二次電
池を得るため、本発明の非水電解質二次電池の製造方法
は、正極と負極との間にセパレータを介在させて電極群
を形成した後、この電極群を外装体内に収容する電極群
収容工程と、環状カーボネートと鎖状カーボネートを含
む混合溶媒に、リチウム塩からなる電解質と熱重合性の
モノマー材料を溶解させて電解液を調製する電解液調製
工程と、電極群が収容された外装体内に炭酸ガスの雰囲
気で電解液を注液する注液工程と、外装体内に注液され
た電解液を減圧の雰囲気で電極群に含浸させる減圧含浸
工程と、電解液に溶解された熱重合性のモノマー材料を
加熱によりゲル化して重合させるゲル化工程とを備える
ようにしている。
【0018】このように、炭酸ガスの雰囲気で電解液を
注液する注液工程を備えると、炭酸ガスは電解液中に溶
存されるようになる。これにより、減圧含浸工程におい
て、電解液を減圧の雰囲気で電極群に含浸させると、正
極の表面あるいは負極の表面もしくはこれらの両極の表
面に炭酸リチウムの被膜が形成されることとなる。この
ため、後の硬化工程において、熱重合性のモノマー材料
を加熱、硬化させても、「ガス噛み」に起因する硬化む
らが生じることが防止できるようになる。
【0019】この場合、注液工程を炭酸ガスの雰囲気で
行うことに代えて、減圧含浸工程を炭酸ガスの雰囲気で
行うようにしても、炭酸リチウムの被膜を両極の少なく
とも一方に形成できるようになって、同様な効果を奏す
ることができる。また、予め、炭酸ガスをバブリングな
どにより電解液中に溶存させるようにした後、この電解
液を注液、含浸させるようにしても、炭酸リチウムの被
膜を両極の少なくとも一方に形成できるようになって、
同様な効果を奏することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】ついで、本発明の実施の形態を図
1に基づいて以下に説明するが、本発明はこの実施の形
態に何ら限定されるものでなく、本発明の目的を変更し
ない範囲で適宜実施が可能である。なお、図1は本発明
の非水電解質電池の一例を模式的に示す図であり、図1
(a)は外形形状を模式的に示す斜視図であり、図1
(b)は、図1(a)のA−A断面を示す断面図であ
る。
【0021】1.非水電解質二次電池 本発明の非水電解質二次電池10は、図1に示すよう
に、スピネル型マンガン酸リチウムを正極活物質とする
正極11と、黒鉛を負極活物質とする負極12と、これ
らの両極の間にポリエチレン製の微多孔膜からなるセパ
レータ13を介在させた電極群を備えている。そして、
扁平状に押しつぶした電極群をアルミニウムラミネート
フィルムからなる外装体14内に収容するようにしてい
る。また、正極11から延出した正極リード(図示せ
ず)は正極端子15に接続されており、負極12から延
出した負極リード(図示せず)は負極端子16に接続さ
れており、外装体14の上部開口部は液密に封止されて
いる。
【0022】この外装体14内にはゲル化された電解液
が充填されている。電解液としては、エチレンカーボネ
ート(EC:環状カーボネート)とジエチルカーボネー
ト(DEC:鎖状カーボネート)を3:7の容積比で混
合した混合溶媒に、溶質としてLiPF6を1mol/
lの割合で溶解させたものを使用している。また、電解
液中には、熱重合性モノマー材料としてのポリプロピレ
ングリコールジアクリレート(分子量が300程度のも
の)と、重合開始剤としてのt−ヘキシルパーオキシピ
バレートが添加(添加量は5000ppm)されてい
る。そして、この電解液を外装体14内に充填した後、
50℃で3時間加熱し、ポリプロピレングリコールジア
クリレートを熱重合して、ゲル化(硬化)するようにし
ている。
【0023】ここで、本発明の重要な特徴は、負極12
の表面あるいは正極11の表面もしくはこれら両極1
1,12の表面に、後述するように上記電解液に溶存し
た炭酸ガスと電解液との反応により生成された炭酸リチ
ウムの被膜が形成されていることにある。電極の表面に
炭酸リチウムの被膜が形成されていると、この被膜は負
極上の活性な官能基(−COOH,−NH,−OH等)
をコーティングする。このため、活性な官能基により電
解液の溶媒が分解されることが防止できるようになっ
て、ガスの発生を防止できるようになる。この結果、モ
ノマー材料の熱重合時に「ガス噛み」現象が生じること
が防止でき、均一に熱重合されるようになる。
【0024】なお、正極活物質と用いるスピネル型マン
ガン酸リチウムとしては、マンガン酸リチウムの一部を
マグネシウム(Mg)、ホウ素(B)、フッ素(F)、
アルミニウム(Al)、コバルト(Co)、ジルコニウ
ム(Zr)、チタン(Yi)、ニッケル(Ni)から選
択される少なくとも1種の元素で置換もしくは添加した
スピネル型マンガン酸リチウムを用いるのが望ましい。
また、負極活物質としては、上述した黒鉛以外に、グラ
ファイト、コークス、酸化スズ、金属リチウム、珪素、
およびこれらの混合物が使用でき、リチウムイオンを挿
入・脱離可能な物質であれば、特に制限はない。
【0025】また、電解液の溶媒としては、環状カーボ
ネートと鎖状カーボネートが混合された混合溶媒を用い
る必要がある。そして、環状カーボネートとしては、上
述したエチレンカーボネート(EC)以外に、プロピレ
ンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(B
C)の少なくとも1種から選択して用いればよい。ま
た、鎖状カーボネートとしては、上述したジエチルカー
ボネート(DEC)以外に、ジメチルカーボネート(D
MC)、エチルメチルカーボネートの少なくとも1種か
ら選択して用いればよい。
【0026】また、電解液の溶質としては、上述したL
iPF6以外に、LiClO4,LiBF4,LiN(S
2CF32,LiN(SO2252,LiPF
6-x(Cn 2n+1x(但し、1≦x≦6,n=1または
2)等から選択して用い、これらの1種あるいは2種以
上を混合して使用できる。なお、リチウム塩の添加量と
しては電解液1リットル当たり0.2〜1.5モル
(0.2〜1.5モル/l)が望ましい。
【0027】さらに、熱重合性のモノマー材料として
は、特に、ポリプロピレングリコールジアクリレートな
どの末端基がアクリレートであるモノマー材料を用いる
のが好ましい。また、熱重合性のモノマー材料を重合し
た高分子は、ポリエーテル系固体高分子、ポリカーボネ
ート系固体高分子、ポリアクリロニトリル系固体高分
子、あるいはこれらの2種以上からなる共重合体もしく
は架橋した高分子を用いるのが望ましい。なお、熱重合
性高分子材料と電解液の質量比は、イオン伝導性や電解
液の保液性を考慮すると、1:6〜1:25の範囲にな
るようにするのが望ましい。また、電池の形状は上述し
た薄型以外に、角形であっても、円筒型であってもどの
ような形状でも良いし、そのサイズについても特に制限
はない。
【0028】2.非水電解液二次電池の作製 このように構成される非水電解質二次電池10の作製手
順について、以下に詳細に説明する。なお、図2は、本
発明の非水電解質二次電池10を作製するための工程手
順の概略を示している。図2において、本発明の非水電
解質二次電池10は、まず、正極11及び負極12を作
製する電極作製工程を行った後、これらの両極11,1
2間にセパレータ13を介在させて巻回して電極群にす
る巻取工程を行った後、電極群を乾燥させる乾燥工程を
行う。ついで、電極群を収容した外装体をドライボック
ス内に配置する。この後、ドライボックス内で、外装体
内に電解液を注液する注液工程と、注液した電解液を減
圧の雰囲気で電極群内に含浸させる含浸工程と、外装体
の開口部を仮封止する仮封止工程を行う。
【0029】ついで、仮封止された外装体を加熱して電
解液中に存在する熱重合性モノマー材料をゲル化して熱
硬化させた後、エージングする熱硬化・エージング工程
を行う。最後に、外装体を本封止する本封止工程を経て
完成電池となる。なお、本発明においては、電解液中に
炭酸ガスを溶存させる手段として、注液工程を炭酸ガス
の雰囲気中で行う方法や、含浸工程を炭酸ガスの雰囲気
中で行う方法や、予めバブリングなどにより電解液中に
溶存させる方法を採用している。以下においては、本発
明の非水電解質電池の具体的ないくつかの実施例につい
て説明するが、本発明の効果を明らかにするため、種々
の比較例についても併せて説明する。
【0030】(1)実施例1 正極活物質としてのマンガンの一部がマグネシウム(M
g)で置換され、かつ硼素(B)が添加されたスピネル
型マンガン酸リチウム(Li1.06Mn1.88Mg 0.044
0.01)と、炭素導電剤としてのグラファイト粉末を混
合(例えば、質量比で92:5)して正極合剤粉末とし
た。ついで、得られた正極合剤粉末を混合装置(例え
ば、ホソカワミクロン製メカノフュージョン装置(AM
−15F))内に充填した。これを、毎分1500回の
回転数(1500rpm)で10分間作動させて、圧縮
・衝撃・剪断作用を起こさせて混合した。
【0031】この後、フッ素樹脂系結着剤を一定の割合
(例えば、質量比で97:3)で混合して正極合剤とし
た。ついで、この正極合剤をアルミ箔からなる正極集電
体の両面に塗着し、乾燥した後、所定の厚みに圧延し、
所定の形状に切断して正極11を作製した。なお、正極
合剤粉末を混合するに際して、メカノフュージョン装置
を用いることなく、正極合剤粉末をそのまま用いてスラ
リー状態で混合してもよい。また、他の方法で混合する
ようにしてもよい。
【0032】一方、負極活物質として(002)面の面
間隔(d002)が0.336nmで、c軸方向の結晶子
の大きさ(Lc)が200nmで平均粒径が20μmの
塊状黒鉛(2950℃で焼成した人造黒鉛)の粉末を用
いた。この黒鉛粉末と、スチレン系結着剤とを一定の割
合(例えば、質量比で98:2)で混合し、これに水を
添加、混合して負極合剤とした。この後、この負極合剤
を銅箔からなる負極集電体の両面に塗着し、乾燥した
後、所定の厚みに圧延し、所定の形状に切断して負極1
2を作製した。
【0033】また、エチレンカーボネート(EC)とジ
エチルカーボネート(DEC)を3:7の容積比で混合
した混合溶媒に、1モル/lの六フッ化燐酸リチウム
(LiPF6)を溶解させて電解液(LiPF6/EC:
DEC=3:7)を調製した。ついで、この電解液に熱
重合性のモノマー材料としてのポリプロピレングリコー
ルジアクリレート(分子量が300程度のもの)を、電
解液との質量比が15:1となるように添加するととも
に、重合開始剤としてt−ヘキシルパーオキシピバレー
トを5000ppm添加して、混合電解液を作製した。
なお、電解液に添加するモノマー材料の添加量は、イオ
ン伝導性や液保持性の点を考慮すると、電解液に対する
質量比が6:1〜25:1の範囲になるように添加する
のが望ましい。
【0034】ついで、上述のようにして作製した正極1
1と負極12を用い、これらの間にポリエチレン製微多
孔膜からなるセパレータ13を介在させて重ね合わせて
渦巻状に巻回した。ついで、これを扁平になるように押
しつぶして扁平状の電極群を作製し後、この電極群を所
定時間乾燥させた。ついで、電極群をアルミニウムラミ
ネートフィルムよりなる外装体14内に収容した後、こ
れをドライボックス内に配置した。この後、ドライボッ
クス内を炭酸ガスの雰囲気にして、上述のように作製し
た電解液を外装体14内に注液した。これにより、炭酸
ガスは電解液中に溶存することとなる。
【0035】ついで、ドライボックス内を窒素ガスある
いはアルゴンガスに置換して、ドライボックス内を窒素
ガスあるいはアルゴンガスの雰囲気にするととに、ドラ
イボックス内を真空ポンプで吸引して、減圧の雰囲気に
した。これにより、外装体14内に注液された電解液は
電極群内に含浸され、正極11の表面あるいは負極12
の表面もしくはこれらの両極11,12の表面に炭酸リ
チウムの被膜が形成されることとなる。この後、外装体
14の開口部を仮封止して、ドライボックスから取り出
した。ついで、これを加熱装置内に配置した後、加熱装
置内を50℃の温度に保持して3時間加熱した。これに
より、熱重合性のモノマー材料であるポリプロピレング
リコールジアクリレートは重合して、電解液はゲル化す
ることにより硬化することとなる。ついで、外装体14
の開口部を本封止することにより、設計容量が600m
Ahの実施例1の非水電解質電池Aを作製した。
【0036】(2)実施例2 エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート
(DEC)を3:7の容積比で混合した混合溶媒に、1
モル/lのリチウムイミド塩(LiN(SO2
252)を溶解させて電解液(LiN(SO225
2/EC:DEC=3:7)を調製した以外は、上述し
た実施例1と同様に非水電解質電池を作製して、これを
実施例2の非水電解質電池Bとした。
【0037】(3)実施例3 エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート
(DEC)を3:7の容積比で混合した混合溶媒に、
0.5モル/lの六フッ化燐酸リチウム(LiPF6
と0.5モル/lのリチウムイミド塩(LiN(SO2
252)を溶解させて電解液(LiPF6+LiN
(SO2252/EC:DEC=3:7)を調製した
以外は、上述した実施例1と同様に非水電解質電池を作
製して、これを実施例3の非水電解質電池Cとした。
【0038】(4)実施例4 正極活物質としてスピネル型マンガン酸リチウム(Li
1.06Mn1.88Mg0.0440.01)とコバルト酸リチウ
ムとを混合(質量比で1:1)した混合正極活物質を用
いたこと以外は、上述した実施例1と同様に電解液(L
iPF6/EC:DEC=3:7)を調製した後、上述
した実施例1と同様に非水電解質電池を作製して、これ
を実施例4の非水電解質電池Dとした。
【0039】(5)実施例5 実施例1と同様に作製した電極群を外装体14内に収容
し、ドライボックス内に配置した後、ドライボックス内
を窒素ガスあるいはアルゴンガスの雰囲気にして、上述
した実施例1と同様の電解液(LiPF6/EC:DE
C=3:7)を外装体14内に注液した。ついで、ドラ
イボックス内を炭酸ガスと置換して、ドライボックス内
を炭酸ガスの雰囲気にするととに、ドライボックス内を
真空ポンプで吸引して、減圧の雰囲気にした。これによ
り、外装体14内に注液された電解液は電極群内に含浸
され、炭酸ガスは電解液中に溶存して、正極11の表面
あるいは負極12の表面もしくはこれらの両極11,1
2の表面に炭酸リチウムの被膜が形成されることとな
る。ついで、上述した実施例1と同様に非水電解質電池
を作製して、これを実施例5の非水電解質電池Eとし
た。
【0040】(6)実施例6 上述した実施例1と同様に電解液(LiPF6/EC:
DEC=3:7)を調製した後、上述した実施例1と同
様にポリマー材料と重合開始剤を添加して混合電解液と
した。これに室温常圧下で炭酸ガスを吹き込む(バブリ
ング)ことにより、電解液中に炭酸ガスが飽和するまで
溶存させた。ついで、実施例1と同様に作製した電極群
を外装体14内収容して、これをドライボックス内に配
置した後、ドライボックス内を窒素ガスあるいはアルゴ
ンガスの雰囲気にして、この炭酸ガスが溶存した電解液
を外装体14内に注液した。これにより、正極11の表
面あるいは負極12の表面もしくはこれらの両極11,
12の表面に炭酸リチウムの被膜が形成されることとな
る。ついで、窒素ガスあるいはアルゴンガスの雰囲気の
ドライボックス内を減圧にして、外装体14内に注液さ
れた電解液は電極群内に含浸した後、上述した実施例1
と同様に非水電解質電池を作製して、これを実施例6の
非水電解質電池Fとした。
【0041】(7)比較例1 正極活物質としてコバルト酸リチウムを用い、かつ上述
した実施例1と同様に調製した電解液(LiPF6/E
C:DEC=3:7)の注液工程および含浸工程を窒素
ガスあるいはアルゴンガスの雰囲気で行って、電解液に
炭酸ガスを溶存させなかったこと以外は、上述した実施
例1と同様に非水電解質電池を作製して、これを比較例
1の非水電解質電池Rとした。
【0042】(8)比較例2 正極活物質としてコバルト酸リチウムを用いたこと以外
は、上述した実施例1と同様に電解液(LiPF6/E
C:DEC=3:7)を調製した後、上述した実施例1
と同様に非水電解質電池を作製して、これを比較例2の
非水電解質電池Sとした。
【0043】(9)比較例3 正極活物質としてコバルト酸リチウムを用い、かつエチ
レンカーボネート(EC:環状カーボネート)とプロピ
レンカーボネート(PC:環状カーボネート)を3:7
の容積比で混合した混合溶媒に、1モル/lの六フッ化
燐酸リチウム(LiPF6)を溶解させて電解液(Li
PF6/EC:PC=3:7)を調製したこと、および
この電解液の注液工程および含浸工程を窒素ガスあるい
はアルゴンガスの雰囲気で行って、電解液に炭酸ガスを
溶存させなかったこと以外は、上述した実施例1と同様
に非水電解質電池を作製して、これを比較例3の非水電
解質電池Tとした。
【0044】(10)比較例4 実施例1と同様に調製した電解液(LiPF6/EC:
DEC=3:7)の注液工程および含浸工程を窒素ガス
あるいはアルゴンガスの雰囲気で行って、電解液に炭酸
ガスを溶存させなかったこと以外は、上述した実施例1
と同様に非水電解質電池を作製して、これを比較例4の
非水電解質電池Uとした。
【0045】(11)比較例5 比較例3と同様に調製した電解液(LiPF6/EC+
PC)を用い、かつこの電解液β4の注液工程および含
浸工程を窒素ガスあるいはアルゴンガスの雰囲気で行っ
て、電解液β4に炭酸ガスを溶存させなかったこと以外
は、上述した実施例1と同様に非水電解質電池を作製し
て、これを比較例5の非水電解質電池Vとした。
【0046】(12)比較例6 実施例2と同様に調製した電解液(LiN(SO22
52/EC:DEC=3:7)を用い、かつこの電解液
の注液工程および含浸工程を窒素ガスあるいはアルゴン
ガスの雰囲気で行って、電解液に炭酸ガスを溶存させな
かったこと以外は、上述した実施例1と同様に非水電解
質電池を作製して、これを比較例6の非水電解質電池W
とした。
【0047】(13)比較例7 ポリマー材料としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)
を用い、かつ実施例1と同様に調製した電解液(LiP
6/EC:DEC=3:7)の注液工程および含浸工
程を窒素ガスあるいはアルゴンガスの雰囲気で行って、
電解液に炭酸ガスを溶存させなかったこと以外は、上述
した実施例1と同様に非水電解質電池を作製して、これ
を比較例7の非水電解質電池Xとした。なお、ポリフッ
化ビニリデン(PVdF)は、既に高分子化している
が、これが液を吸収して膨潤することでゲル化するタイ
プと、高温で電解液と溶融して、冷却することにより、
ポリマーネットワーク中に電解液を取り込むタイプの2
種類があるが、この例においては後者のものを使用して
いる。
【0048】(14)比較例8 ポリマー材料としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)
を用いたこと以外は、上述した実施例1と同様に調製し
た電解液(LiPF6/EC:DEC=3:7)を用
い、かつ実施例1と同様に非水電解質電池を作製して、
これを比較例8の非水電解質電池Yとした。なお、ポリ
フッ化ビニリデン(PVdF)については、上述と同様
な高温で電解液と溶融して、冷却することにより、ポリ
マーネットワーク中に電解液を取り込むタイプのものを
使用している。
【0049】(15)比較例9 実施例4と同様の正極活物質(Li1.06Mn1.88Mg
0.0440.01+コバルト酸リチウム)を用い、実施例
1と同様に調製した電解液(LiPF6/EC:DEC
=3:7)の注液工程および含浸工程を窒素ガスあるい
はアルゴンガスの雰囲気で行って、電解液に炭酸ガスを
溶存させなかったこと以外は、上述した実施例1と同様
に非水電解質電池を作製して、これを比較例9の非水電
解質電池Zとした。
【0050】3.充放電試験 ついで、上述のようにして作製した設計容量が600m
Ahの実施例1〜6の電池A〜F、および比較例1〜9
の電池R〜Zを用いて、これらの各電池を室温(約25
℃)で、600mAの充電電流で電池電圧が4.2Vに
なるまで定電流で充電した後、4.2Vに到達した後は
電流値が30mA以下になるまで定電圧で充電を行っ
た。ついで、室温(約25℃)で10分休止した後、今
度は、室温(約25℃)で、600mAの放電電流で電
池電圧が2.75Vになるまで放電させ、放電時間から
初期の放電容量を求めると、下記の表1に示すような結
果が得られた。
【0051】また、充電後に、これらの各電池を解体し
て負極12の表面状態を観察して、負極表面の硬化むら
を目視により確認すると、下記の表1に示すような結果
が得られた。さらに、実施例1の電池Aと比較例4の電
池Uを用いて、上述の充放電を1サイクルとする充電サ
イクルを繰り返して行った。そして、各サイクル毎の放
電容量を求めて、求めた放電容量と初期放電容量との比
率を求めると、図4に示すような結果が得られた。な
お、表1の負極硬化むらにおいて、「有り」に*印を付
したものは硬化むらが多量に発生していたことを示して
いる。
【0052】
【表1】
【0053】4.試験結果の検討 (1)コバルト酸リチウムを正極活物質として用いた場
合の炭酸ガス溶存の効果コバルト酸リチウムを正極活物
質として用い、電解液中に炭酸ガスを溶存しない比較例
1の電池Rと、電解液中に炭酸ガスを溶存した比較例2
の電池Sを比較すると、いずれの電池も600mAhの
設計容量に対して、電池作製上の誤差(例えば、合剤塗
布時の質量誤差等)程度しか差異が生じていないことが
分かる。このことは、電解液中の炭酸ガスの溶存の有無
に関わらず、即ち、電極表面に炭酸リチウムの皮膜が形
成されているか否かに関わらず、電池性能を充分に引き
出していることを示している。解体した負極において
は、ポリマーも均一に硬化されていて、均一に充電され
ていることが分かった。
【0054】これは、電解液中にわずかに存在する水分
がLiPF6等のリチウム塩と反応してHFなどの酸を
発生し、これが正極活物質と反応して電解液の分解を促
進するが、コバルト酸リチウムは酸に対してそれほど敏
感ではないため、電解液の分解を促進しないためと考え
られる。これらのことから、コバルト酸リチウムを正極
活物質として用いた場合には、電解液中に炭酸ガスを溶
存させても、電極表面に炭酸リチウムの皮膜を形成させ
る効果を発揮することはないということができる。
【0055】(2)低沸点溶媒種(鎖状カーボネート系
溶媒)の必要性 コバルト酸リチウムを正極活物質として用い、環状カー
ボネートと鎖状カーボネートの混合溶媒(EC+DE
C)を用いた比較例1の電池Rと、環状カーボネート同
士の混合溶媒(EC+PC)を用いた比較例3の電池T
を比較すると、初期の放電容量が電池Tの方が、電池R
より47mAh低くなっていることが分かる。また、マ
ンガン酸リチウムを正極活物質として用い、環状カーボ
ネートと鎖状カーボネートの混合溶媒(EC+DEC)
を用いた比較例4の電池Uと、環状カーボネート同士の
混合溶媒(EC+PC)を用いた比較例5の電池Vを比
較すると、初期の放電容量が電池Vの方が、電池Uより
44mAh低くなっていることが分かる。
【0056】これは、環状カーボネートは極性が強いた
めにイオン伝導性が優れているが、環状という構造上、
自由度が少ないために分子間力が高くなる傾向が強く、
粘度が非常に高い。このため、環状カーボネート同士の
混合溶媒(EC+PC)を用いた比較例3の電池Tおよ
び比較例5の電池Vにおいては、高充填された電極(正
極11及び負極12)内に電解液を充分に浸透させるこ
とが難しく、初期放電容量が低下した結果になったと考
えられる。なお、電解液を電極内に浸透させやすくする
ために、電池内に界面活性剤を添加することが有効であ
るが、電池性能に悪影響を与えたり、界面活性剤自体が
環境上好ましくないため、有効な手段であるとはいえな
い。
【0057】一方、鎖状カーボネートは、極性が環状カ
ーボネートほど高くないため、導電性の補助的効果は少
ないが、鎖状という構造上、自由度が大きいために分子
間力が小さく、粘度が低い。このため、環状カーボネー
トと鎖状カーボネートの混合溶媒(EC+DEC)を用
いた比較例1の電池Rおよび比較例4の電池Uにおいて
は、高充填された電極(正極11及び負極12)内に電
解液を充分に浸透させることができるようになって、初
期放電容量の低下を抑制できたと考えられる。しかしな
がら、電解液注液直後の電池内部は非常に還元性が高い
ため、還元されやすい鎖状カーボネートは容易に分解さ
れてガスを発生する。
【0058】このことは、コバルト酸リチウムを正極活
物質とした場合には、上述したようにガス発生を生じな
いが、マンガン酸リチウムを正極活物質とした場合に
は、ガスを発生するため重大な問題なる。これは、電解
液中にわずかに存在する水分がLiPF6等のリチウム
塩と反応してHFなどの酸を発生し、これが正極活物質
のマンガン酸リチウムと反応して電解液の分解を促進す
るためである。このため、マンガン酸リチウムを正極活
物質として用い、環状カーボネートと鎖状カーボネート
の混合溶媒(EC+DEC)を用いた比較例4の電池U
においては、初期放電容量が設計容量よりも29mAh
だけ低下した結果になったと考えられる。
【0059】これらのことから、以下の事項が明らかに
なる。即ち、電池内で熱重合させて電解液をゲル化した
非水電解質電池においては、環状カーボネートと鎖状カ
ーボネートの混合溶媒を用いることが必須になる。しか
しながら、マンガン酸リチウムを正極活物質に用いた場
合には、鎖状カーボネートが分解されてガスを発生し、
放電容量が低下する。このため、鎖状カーボネートの分
解を抑制することが必要になる。そこで、本発明の効果
を以下において、詳細に検討する。
【0060】(3)マンガン酸リチウムを正極活物質と
して用いた場合の炭酸ガス溶存の効果 まず、窒素ガスあるいはアルゴンガスの雰囲気中で電解
液の注液を行って、電解液中に炭酸ガスが溶存していな
い比較例4の電池Uと、炭酸ガスの雰囲気中で電解液の
注液を行って、電解液中に炭酸ガスを溶存させた実施例
1の電池Aとを比較する。窒素ガスあるいはアルゴンガ
スの雰囲気中で電解液の注液を行った比較例4の電池U
においては、設計容量に対して29mAhだけ初期放電
容量が低下していることが分かる。また、比較例4の電
池Uにおいては、図3に示すように、負極12の至る所
に「ガス噛み」に起因する硬化むら12aが発生してい
ることが分かった。
【0061】これは、溶質として用いたLiPF6が電
解液中にわずかに存在する水分と反応してHFなどの強
酸を発生させる。すると、酸に特に敏感なマンガン酸リ
チウムが、発生した酸と反応してマンガンイオンを電解
液中に溶出させる。この溶出したマンガンイオンが、負
極表面上に点在する−COOH,−NH,−OHなどの
活性官能基と電解液を絡めて反応して多量のガスを発生
する。そして、電解液中には熱重合性のモノマー材料が
存在しているので、粘度が高い状態にある。このため、
発生したガスが電極間に滞留して、この状態でモノマー
が熱重合して電解液はゲル化することとなる。この結
果、正極11−セパレータ13−負極12間に充分に電
解液が充填されない状態となって、初期放電容量が低下
したと考えられる。
【0062】一方、炭酸ガスの雰囲気中で電解液の注液
を行って、電解液中に炭酸ガスを溶存させた実施例1の
電池Aにおいては、ほぼ設計容量通りの初期放電容量が
得られた。また、図3に示すような「ガス噛み」に起因
する硬化むら12aの発生も認められなく、均一に充電
されたものとなった。このような結果になった理由は、
今のところ、充分には把握できていないが、以下のよう
に推測できる。即ち、電解液中に溶存した炭酸ガスは、
溶質であるLiPF6のリチウム塩が解離したリチウム
イオン(Li+)と反応して、正極11の表面や負極1
2の表面に薄い炭酸リチウムの無機質皮膜を形成する。
すると、この皮膜は負極表面上に点在する−COOH,
−NH,−OHなどの活性官能基をコーティングするよ
うに包み込み、炭酸ガスを溶存させなかった場合のよう
な副反応の進行を阻害し、「ガス噛み」に起因する硬化
むら12aの発生を抑制できたと考えられる。
【0063】ここで、図3に示すように、「ガス噛み」
に起因する硬化むら12aが形成されると、硬化むら1
2aの部分は電解液が存在しにくい状態にあるため、こ
の硬化むら12aの周辺にリチウムが析出しやすくな
る。そして、析出したリチウムは電解液と副反応してガ
スを発生させ、正規の充放電反応を阻害して充放電不良
が発生する。そして、この状態で充放電サイクルを繰り
返すと、充放電不良の箇所が拡大して、充放電サイクル
中に急激な劣化が引き起こされる。また、析出したリチ
ウムは100℃付近の温度で異常発熱を引き起こすた
め、内部燃焼などの異常を引き起こす場合もある。
【0064】このことは、図4の結果が明瞭に示してい
るということができる。即ち、ポリマーの硬化不良が認
められる比較例4の電池Uにおいては、充放電サイクル
の経過に伴い、充放電不良の箇所が拡大して急激にサイ
クル特性が劣化している。これに対して、硬化不良が認
められない実施例1の電池Aにおいては、均一に重合さ
れているために異常な反応が生じず、単調なサイクル特
性劣化の挙動をしている。このことから、マンガン酸リ
チウムを正極活物質として用いた場合には、電解液中に
炭酸ガスを溶存させることは、ポリマーの均一な重合性
を確保する上で非常に有効な手段になるということがで
きる。
【0065】(4)LiPF6をリチウム塩として用い
た場合の炭酸ガス溶存の効果 LiPF6を電解液の溶質とする比較例4の電池Uと、
LiN(SO225 2を電解液の溶質とする比較例6
の電池Wとを比較すると、初期放電容量が電池Wの方が
高いことが分かる。これは、LiN(SO2252
LiPF6のようにHFのような強酸を発生しないため
に、比較例4の電池Uのような「ガス噛み」に起因する
硬化むら12aの発生を緩和できたためと考えられる。
しかしながら、LiN(SO2252を電解液の溶質
を用いて電解液に炭酸ガスを溶存させた実施例2の電池
B、およびLiPF6とLiN(SO2252の混合
溶質を用いて電解液に炭酸ガスを溶存させた実施例3の
電池Cと、比較例6の電池Wとを比較すると、電池B,
Cの方が初期放電容量が高いことが分かる。
【0066】これは、LiN(SO2252はLiP
6のようにHFのような強酸を発生しないが、HFよ
りも弱い酸を発生することが知られており、この弱い酸
により鎖状カーボネートの分解が起こってガスを発生す
る。このため、電池Wにおいては、「ガス噛み」に起因
する硬化むら12aを発生して、初期放電容量が低下し
たと考えられる。一方、電池B,Cにおいては、上述し
た理由により「ガス噛み」に起因する硬化むら12aの
発生が防止されて、初期放電容量が低下しなかったと考
えられる。このことから、特に、HFのような強酸を発
生させる頻度が高いLiPF6を溶質として用いる電解
液に炭酸ガスを溶存させると、硬化むらを防止する効果
を充分に発揮させることが可能となって、有効であると
いうことができる。
【0067】(5)熱重合性高分子材料の必要性 ポリマー材料としてPVdFを用いた、比較例7の電池
Xと比較例8の電池Yにおいては、いずれの電池も60
0mAhの設計容量に対して、電池作製上の誤差程度し
か差異が生じていないことが分かる。このことは、電解
液中に炭酸ガスが溶存してるか否に関わらず、即ち、電
極表面に炭酸リチウムの皮膜が形成されているか否かに
関わらず、電池性能を充分に引き出していることを示し
ている。解体した負極においては、ポリマーも均一に硬
化されていて、均一に充電されていることが分った。
【0068】これは、PVdFは熱重合性の高分子材料
でないため、電解液中にPVdFを添加すると電解液の
粘度が上昇する。しかしながら、粘度が上昇しても流動
性を維持しているため、ゲル化の過程でガスが発生して
も、発生したガスは電極間に留まることなく、完全にゲ
ル化するまでには電極間から抜け出るようになる。この
ため、電解液中に炭酸ガスが溶存していなくても、溶存
しても同じような結果になったと考えられる。このこと
から、電解液中に炭酸ガスを溶存させる効果を発揮させ
るためには、熱重合性のモノマー材料を用いた場合にお
いて、有効であるということができる。なお、熱重合性
のモノマー材料としては、末端基がアクリレートである
ものが好ましい。
【0069】(6)マンガン酸リチウムにコバルト酸リ
チウムを混合した混合正極活物質を用いた場合の炭酸ガ
ス溶存の効果 マンガン酸リチウムにコバルト酸リチウムを混合した混
合正極活物質(質量比で1:1)を用いた、実施例4の
電池Dと比較例9の電池Zとを比較すると、初期放電容
量は電池Dの方が電池Zよりも16mAhだけ向上して
いることが分かる。このことは、正極中に酸分に対して
敏感に反応するマンガン酸リチウムが含有されている
と、このマンガン酸リチウムが電解液の分解に関与する
ため、電解液中に炭酸ガスを溶存させる効果を発揮した
ためと考えられる。なお、マンガン酸リチウムの含有量
が少なすぎると、炭酸ガスを溶存させる効果を発揮させ
ることができないため、マンガン酸リチウムの含有量
は、混合正極活物質の質量に対して10質量%以上、好
ましくは30質量%以上とするのが望ましい。
【0070】(7)炭酸ガスの電解液中への溶存方法の
差異 さらに、炭酸ガスの雰囲気で注液した後、窒素ガスある
いはアルゴンガスの雰囲気で含浸した実施例1の電池A
と、窒素ガスあるいはアルゴンガスの雰囲気で注液した
後、炭酸ガスの雰囲気で含浸した実施例5の電池Eと、
予め炭酸ガスを溶存させた電解液を窒素ガスあるいはア
ルゴンガスの雰囲気で注液、含浸した実施例6の電池F
とを比較すると、いずれの電池も600mAhの設計容
量に対して、電池作製上の誤差程度しか差異が生じてい
ないことが分かる。このことは、炭酸ガスを注液時ある
い含浸時もしくは予め電解液中に溶存させても、どのよ
うな方法によっても、炭酸ガスの導入効果を奏すること
ができるようになる。
【0071】
【発明の効果】上述したように、本発明においては、ス
ピネル型マンガン酸リチウムを正極活物質として含む正
極と、環状カーボネートと鎖状カーボネートの混合溶媒
と溶質からなる電解液と、熱重合性モノマーとの組み合
わせで懸案となっていた発生ガスによる重合の不均一性
を、炭酸ガスを電解液に溶存させることで改善してい
る。この結果、優れた電池性能を有する非水電解質電池
を提供できるようになる。
【0072】また、本発明においては、電解液に溶存し
た炭酸ガスは、電解液中の極性溶媒になどに溶存してい
た酸素を追い出して熱重合するため、均一な熱重合が可
能になって、均一性に優れたポリマー電解質が得られ
る。これは、電解液中の極性溶媒に配位した酸素が、酸
素よりは配位力が強い炭酸ガスにより置換されたためと
考えられる。そして、均一性に優れたポリマー電解質を
備えることにより、エネルギー密度、サイクル特性、負
荷特性、温度特性が向上した非水電解質二次電池が得ら
れるとともに、安全性に優れ、かつ高温保存時において
もガス発生が減少した非水電解質二次電池が得られるよ
うになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の非水電解質電池の一例を模式的に示
す図であり、図1(a)は外形形状を模式的に示す斜視
図であり、図1(b)は、図1(a)のA−A断面を示
す断面図である。
【図2】 本発明の非水電解質二次電池を作製するため
の工程手順の概略を示す工程図である。
【図3】 負極の表面に形成された重合むらを模式的に
示す図である。
【図4】 実施例の電池と比較例の電池の充放電サイク
ルと放電容量の関係を示す図である。
【符号の説明】
10…非水電解質二次電池、11…正極、12…負極、
13…セパレータ、14…外装体、15…正極端子、1
6…負極端子
フロントページの続き (72)発明者 生川 訓 大阪府守口市京阪本通2丁目5番5号 三 洋電機株式会社内 Fターム(参考) 5H029 AJ02 AJ03 AJ05 AK03 AL07 AM00 AM03 AM05 AM07 AM16 BJ04 BJ13 BJ14 CJ02 CJ13 CJ23 CJ28 DJ08 DJ16 EJ03 5H050 AA02 AA05 AA06 AA07 AA08 BA17 CA09 CB08 DA09 DA18 EA11 FA04 FA05 FA17 GA02 GA13 GA22 GA23 GA27

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スピネル型マンガン酸リチウムを正極活
    物質として含有する正極と、リチウムイオンを挿入・脱
    離可能な負極活物質を含有する負極と、これらの正極と
    負極を隔離するセパレータと、ゲル状電解質とを外装体
    内に備えた非水電解質二次電池であって、 前記ゲル状電解質は、環状カーボネートと鎖状カーボネ
    ートを含む混合溶媒にリチウム塩からなる溶質を溶解さ
    せた電解液を熱重合性のモノマー材料で重合しゲル化さ
    せて形成されているとともに、 前記正極あるいは前記負極の少なくとも一方の表面は前
    記電解液に溶存させた炭酸ガスと該電解液との反応によ
    り生成された炭酸リチウムの被膜が形成されていること
    を特徴とする非水電解質二次電池。
  2. 【請求項2】 前記電解液に溶解させたリチウム塩から
    なる溶質は少なくともLiPF6を含有することを特徴
    とする請求項1に記載の非水電解質二次電池。
  3. 【請求項3】 前記スピネル型マンガン酸リチウムはマ
    ンガンの一部がマグネシウム、ホウ素、フッ素、アルミ
    ニウム、コバルト、ジルコニウム、チタン、ニッケルか
    ら選択される少なくとも1種の元素で置換された置換ス
    ピネル型マンガン酸リチウムであることを特徴とする請
    求項1または請求項2に記載の非水電解質二次電池。
  4. 【請求項4】 前記環状カーボネートはプロピレンカー
    ボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネー
    トの少なくとも1種から選択されるとともに、 前記鎖状カーボネートはジメチルカーボネート、ジエチ
    ルカーボネート、エチルメチルカーボネートの少なくと
    も1種から選択されることを特徴とする請求項1から請
    求項3のいずれかに記載の非水電解質二次電池。
  5. 【請求項5】 前記熱重合性のモノマー材料を重合した
    高分子はポリエーテル系固体高分子、ポリカーボネート
    系固体高分子、ポリアクリロニトリル系固体高分子、あ
    るいはこれらの2種以上からなる共重合体もしくは架橋
    した高分子であることを特徴とする請求項1から請求項
    4のいずれかに記載の非水電解質二次電池。
  6. 【請求項6】 前記モノマーはポリプロピレングリコー
    ルジアクリレートであることを特徴とする請求項1から
    請求項4のいずれかに記載の非水電解質二次電池。
  7. 【請求項7】 スピネル型マンガン酸リチウムを正極活
    物質として含有する正極と、リチウムイオンを挿入・脱
    離可能な負極活物質を含有する負極と、これらの正極と
    負極を隔離するセパレータと、ゲル状電解質とを外装体
    内に備えた非水電解質二次電池の製造方法であって、 前記正極と前記負極との間に前記セパレータを介在させ
    て電極群を形成した後、該電極群を外装体内に収容する
    電極群収容工程と、 環状カーボネートと鎖状カーボネートを含む混合溶媒
    に、リチウム塩からなる溶質と熱重合性のモノマー材料
    を溶解させて電解液を調製する電解液調製工程と、 前記電極群が収容された外装体内に炭酸ガスの雰囲気で
    前記電解液を注液する注液工程と、 前記外装体内に注液された電解液を減圧の雰囲気で前記
    電極群に含浸させる減圧含浸工程と、 前記電解液に溶解された前記熱重合性のモノマー材料を
    加熱により重合しゲル化させるゲル化工程とを備えたこ
    とを特徴とする非水電解質二次電池の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記減圧含浸工程を不活性ガスの雰囲気
    で行うようにしたことを特徴とする請求項7に記載の非
    水電解質二次電池の製造方法。
  9. 【請求項9】 スピネル型マンガン酸リチウムを正極活
    物質として含有する正極と、リチウムイオンを挿入・脱
    離可能な負極活物質を含有する負極と、これらの正極と
    負極を隔離するセパレータと、ゲル状電解質とを外装体
    内に備えた非水電解質二次電池の製造方法であって、 前記正極と前記負極との間に前記セパレータを介在させ
    て電極群を形成した後、該電極群を外装体内に収容する
    電極群収容工程と、 環状カーボネートと鎖状カーボネートを含む混合溶媒
    に、リチウム塩からなる溶質と熱重合性のモノマー材料
    を溶解させて電解液を調製する電解液調製工程と、 前記電極群が収容された外装体内に前記電解液を注液す
    る注液工程と、 前記外装体内に注液された電解液を減圧でかつ炭酸ガス
    の雰囲気で前記電極群に含浸させる減圧含浸工程と、 前記電解液に溶解された前記熱重合性のモノマー材料を
    加熱により重合しゲル化させるゲル化工程とを備えたこ
    とを特徴とする非水電解質二次電池の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記注液工程を不活性ガスの雰囲気で
    行うようにしたことを特徴とする請求項9に記載の非水
    電解質二次電池の製造方法。
  11. 【請求項11】 スピネル型マンガン酸リチウムを正極
    活物質として含有する正極と、リチウムイオンを挿入・
    脱離可能な負極活物質を含有する負極と、これらの正極
    と負極を隔離するセパレータと、ゲル状電解質とを外装
    体内に備えた非水電解質二次電池の製造方法であって、 前記正極と前記負極との間に前記セパレータを介在させ
    て電極群を形成した後、該電極群を外装体内に収容する
    電極群収容工程と、 環状カーボネートと鎖状カーボネートを含む混合溶媒
    に、リチウム塩からなる溶質と熱重合性のモノマー材料
    と炭酸ガスを溶解させて電解液を調製する電解液調製工
    程と、 前記電極群が収容された外装体内に前記炭酸ガスが溶解
    された電解液を注液する注液工程と、 前記外装体内に注液された電解液を減圧の雰囲気で前記
    電極群に含浸させる減圧含浸工程と、 前記電解液に溶解された前記熱重合性のモノマー材料を
    加熱により重合しゲル化させるゲル化工程とを備えたこ
    とを特徴とする非水電解質二次電池の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記注液工程および前記減圧含浸工程
    を不活性ガスの雰囲気で行うようにしたことを特徴とす
    る請求項11に記載の非水電解質二次電池の製造方法。
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