以下、図面に基づいて、本発明にかかる冷凍装置の実施形態について説明する。
(1)空気調和装置の構成
図1は、本発明にかかる冷凍装置の一実施形態としての空気調和装置1の概略構成図である。空気調和装置1は、冷房運転と暖房運転とが切り換え可能に構成された冷媒回路10を有し、超臨界域で作動する冷媒(ここでは、二酸化炭素)を使用して二段圧縮式冷凍サイクルを行う装置である。
空気調和装置1の冷媒回路10は、主として、圧縮機構2と、切換機構3と、熱源側熱交換器4と、ブリッジ回路17と、レシーバ18と、第1膨張機構5aと、第2膨張機構5bと、利用側熱交換器6と、中間熱交換器7とを有している。
圧縮機構2は、本実施形態において、2つの圧縮要素で冷媒を二段圧縮する圧縮機21から構成されている。圧縮機21は、ケーシング21a内に、圧縮機駆動モータ21bと、駆動軸21cと、圧縮要素2c、2dとが収容された密閉式構造となっている。圧縮機駆動モータ21bは、駆動軸21cに連結されている。そして、この駆動軸21cは、2つの圧縮要素2c、2dに連結されている。すなわち、圧縮機21は、2つの圧縮要素2c、2dが単一の駆動軸21cに連結されており、2つの圧縮要素2c、2dがともに圧縮機駆動モータ21bによって回転駆動される、いわゆる一軸二段圧縮構造となっている。圧縮要素2c、2dは、本実施形態において、ロータリ式やスクロール式等の容積式の圧縮要素である。そして、圧縮機21は、吸入管2aから冷媒を吸入し、この吸入された冷媒を圧縮要素2cによって圧縮した後に中間冷媒管8に吐出し、中間冷媒管8に吐出された冷媒を圧縮要素2dに吸入させて冷媒をさらに圧縮した後に吐出管2bに吐出するように構成されている。ここで、中間冷媒管8は、圧縮要素2dの前段側に接続された圧縮要素2cから吐出された冷凍サイクルにおける中間圧の冷媒を、圧縮要素2cの後段側に接続された圧縮要素2dに吸入させるための冷媒管である。また、吐出管2bは、圧縮機構2から吐出された冷媒を切換機構3に送るための冷媒管であり、吐出管2bには、油分離機構41と逆止機構42とが設けられている。油分離機構41は、圧縮機構2から吐出される冷媒に同伴する冷凍機油を冷媒から分離して圧縮機構2の吸入側へ戻す機構であり、主として、圧縮機構2から吐出される冷媒に同伴する冷凍機油を冷媒から分離する油分離器41aと、油分離器41aに接続されており冷媒から分離された冷凍機油を圧縮機構2の吸入管2aに戻す油戻し管41bとを有している。油戻し管41bには、油戻し管41bを流れる冷凍機油を減圧する減圧機構41cが設けられている。減圧機構41cは、本実施形態において、キャピラリチューブが使用されている。逆止機構42は、圧縮機構2の吐出側から放熱器としての熱源側熱交換器4への冷媒の流れを許容し、かつ、放熱器としての熱源側熱交換器4から圧縮機構2の吐出側への冷媒の流れを遮断するための機構であり、本実施形態において、逆止弁が使用されている。
このように、圧縮機構2は、本実施形態において、2つの圧縮要素2c、2dを有しており、これらの圧縮要素2c、2dのうちの前段側の圧縮要素から吐出された冷媒を後段側の圧縮要素で順次圧縮するように構成されている。
切換機構3は、冷媒回路10内における冷媒の流れの方向を切り換えるための機構であり、冷房運転時には、熱源側熱交換器4を圧縮機構2によって圧縮される冷媒の放熱器として、かつ、利用側熱交換器6を熱源側熱交換器4において冷却された冷媒の蒸発器として機能させるために、圧縮機構2の吐出側と熱源側熱交換器4の一端とを接続するとともに圧縮機21の吸入側と利用側熱交換器6とを接続し(図1の切換機構3の実線を参照、以下、この切換機構3の状態を「冷却運転状態」とする)、暖房運転時には、利用側熱交換器6を圧縮機構2によって圧縮される冷媒の放熱器として、かつ、熱源側熱交換器4を利用側熱交換器6において冷却された冷媒の蒸発器として機能させるために、圧縮機構2の吐出側と利用側熱交換器6とを接続するとともに圧縮機構2の吸入側と熱源側熱交換器4の一端とを接続することが可能である(図1の切換機構3の破線を参照、以下、この切換機構3の状態を「加熱運転状態」とする)。本実施形態において、切換機構3は、圧縮機構2の吸入側、圧縮機構2の吐出側、熱源側熱交換器4及び利用側熱交換器6に接続された四路切換弁である。尚、切換機構3は、四路切換弁に限定されるものではなく、例えば、複数の電磁弁を組み合わせる等によって、上述と同様の冷媒の流れの方向を切り換える機能を有するように構成したものであってもよい。
このように、切換機構3は、冷媒回路10を構成する圧縮機構2、熱源側熱交換器4及び利用側熱交換器6だけに着目すると、圧縮機構2、冷媒の放熱器として機能する熱源側熱交換器4、冷媒の蒸発器として機能する利用側熱交換器6の順に冷媒を循環させる冷却運転状態と、圧縮機構2、冷媒の放熱器として機能する利用側熱交換器6、冷媒の蒸発器として機能する熱源側熱交換器4の順に冷媒を循環させる加熱運転状態とを切り換えることができるように構成されている。
熱源側熱交換器4は、冷媒の放熱器又は蒸発器として機能する熱交換器である。熱源側熱交換器4は、その一端が切換機構3に接続されており、その他端がブリッジ回路17を介して第1膨張機構5aに接続されている。尚、ここでは図示しないが、熱源側熱交換器4には、熱源側熱交換器4を流れる冷媒と熱交換を行う冷却源として水や空気が供給されるようになっている。
ブリッジ回路17は、熱源側熱交換器4と利用側熱交換器6との間に設けられており、レシーバ18の入口に接続されるレシーバ入口管18a、及び、レシーバ18の出口に接続されるレシーバ出口管18bに接続されている。ブリッジ回路17は、本実施形態において、4つの逆止弁17a、17b、17c、17dを有している。そして、入口逆止弁17aは、熱源側熱交換器4からレシーバ入口管18aへの冷媒の流通のみを許容する逆止弁である。入口逆止弁17bは、利用側熱交換器6からレシーバ入口管18aへの冷媒の流通のみを許容する逆止弁である。すなわち、入口逆止弁17a、17bは、熱源側熱交換器4及び利用側熱交換器6の一方からレシーバ入口管18aに冷媒を流通させる機能を有している。出口逆止弁17cは、レシーバ出口管18bから利用側熱交換器6への冷媒の流通のみを許容する逆止弁である。出口逆止弁17dは、レシーバ出口管18bから熱源側熱交換器4への冷媒の流通のみを許容する逆止弁である。すなわち、出口逆止弁17c、17dは、レシーバ出口管18bから熱源側熱交換器4及び利用側熱交換器6の他方に冷媒を流通させる機能を有している。
第1膨張機構5aは、レシーバ入口管18aに設けられた冷媒を減圧する機構であり、本実施形態において、電動膨張弁が使用されている。また、本実施形態において、第1膨張機構5aは、冷房運転時には、熱源側熱交換器4において冷却された高圧の冷媒をレシーバ18を介して利用側熱交換器6に送る前に冷媒の飽和圧力付近まで減圧し、暖房運転時には、利用側熱交換器6において冷却された高圧の冷媒をレシーバ18を介して熱源側熱交換器4に送る前に冷媒の飽和圧力付近まで減圧する。
レシーバ18は、冷房運転と暖房運転との間で冷媒回路10における冷媒の循環量が異なる等の運転状態に応じて発生する余剰冷媒を溜めることができるように、第1膨張機構5aで減圧された後の冷媒を一時的に溜めるために設けられた容器であり、その入口がレシーバ入口管18aに接続されており、その出口がレシーバ出口管18bに接続されている。また、レシーバ18には、レシーバ18内から冷媒を抜き出して圧縮機構2の吸入管2a(すなわち、圧縮機構2の前段側の圧縮要素2cの吸入側)に戻すことが可能な第1吸入戻し管18fが接続されている。この第1吸入戻し管18fには、第1吸入戻し開閉弁18gが設けられている。第1吸入戻し開閉弁18gは、本実施形態において、電磁弁である。
第2膨張機構5bは、レシーバ出口管18bに設けられた冷媒を減圧する機構であり、本実施形態において、電動膨張弁が使用されている。また、本実施形態において、第2膨張機構5bは、冷房運転時には、第1膨張機構5aによって減圧された冷媒をレシーバ18を介して利用側熱交換器6に送る前に冷凍サイクルにおける低圧になるまでさらに減圧し、暖房運転時には、第1膨張機構5aによって減圧された冷媒をレシーバ18を介して熱源側熱交換器4に送る前に冷凍サイクルにおける低圧になるまでさらに減圧する。
利用側熱交換器6は、冷媒の蒸発器又は放熱器として機能する熱交換器である。利用側熱交換器6は、その一端がブリッジ回路を介して第1膨張機構5aに接続されており、その他端が切換機構3に接続されている。尚、ここでは図示しないが、利用側熱交換器6には、利用側熱交換器6を流れる冷媒と熱交換を行う加熱源としての水や空気が供給されるようになっている。
このように、本実施形態では、ブリッジ回路17、レシーバ18、レシーバ入口管18a及びレシーバ出口管18bによって、切換機構3を冷却運転状態にしている際には、熱源側熱交換器4において冷却された高圧の冷媒を、ブリッジ回路17の入口逆止弁17a、レシーバ入口管18aの第1膨張機構5a、レシーバ18、レシーバ出口管18bの第2膨張機構5b及びブリッジ回路17の出口逆止弁17cを通じて、利用側熱交換器6に送ることができるようになっている。また、切換機構3を加熱運転状態にしている際には、利用側熱交換器6において冷却された高圧の冷媒を、ブリッジ回路17の入口逆止弁17b、レシーバ入口管18aの第1膨張機構5a、レシーバ18、レシーバ出口管18bの第2膨張機構5b及びブリッジ回路17の出口逆止弁17dを通じて、熱源側熱交換器4に送ることができるようになっている。
中間熱交換器7は、中間冷媒管8に設けられており、前段側の圧縮要素2cから吐出されて圧縮要素2dに吸入される冷媒の冷却器、又は、利用側熱交換器6において放熱した冷媒の蒸発器として機能させることが可能な熱交換器である。尚、ここでは図示しないが、中間熱交換器7には、中間熱交換器7を流れる冷媒と熱交換を行う冷却源としての水や空気が供給されるようになっている。このように、中間熱交換器7は、冷媒回路10を循環する冷媒を用いたものではないという意味で、外部熱源を用いた冷却器ということができる。
また、中間冷媒管8には、中間熱交換器7をバイパスするように、中間熱交換器バイパス管9が接続されている。この中間熱交換器バイパス管9は、中間熱交換器7を流れる冷媒の流量を制限する冷媒管である。そして、中間熱交換器バイパス管9には、中間熱交換器バイパス開閉弁11が設けられている。中間熱交換器バイパス開閉弁11は、本実施形態において、電磁弁である。この中間熱交換器バイパス開閉弁11は、本実施形態において、後述の冷房開始制御のような一時的な運転を行う場合を除いて、基本的には、切換機構3を冷却運転状態にしている際に閉め、切換機構3を加熱運転状態にしている際に開ける制御がなされる。すなわち、中間熱交換器バイパス開閉弁11は、冷房運転を行う際に閉め、暖房運転を行う際に開ける制御がなされる。
また、中間冷媒管8には、中間熱交換器バイパス管9の前段側の圧縮要素2c側端との接続部から中間熱交換器7の前段側の圧縮要素2c側端までの部分に、中間熱交換器開閉弁12が設けられている。この中間熱交換器開閉弁12は、中間熱交換器7を流れる冷媒の流量を制限する機構である。中間熱交換器開閉弁12は、本実施形態において、電磁弁である。この中間熱交換器開閉弁12は、本実施形態において、後述の冷房開始制御のような一時的な運転を行う場合を除いて、基本的には、切換機構3を冷却運転状態にしている際に開け、切換機構3を加熱運転状態にしている際に閉める制御がなされる。すなわち、中間熱交換器開閉弁12は、冷房運転を行う際に開け、暖房運転を行う際に閉める制御がなされる。
また、中間冷媒管8には、前段側の圧縮要素2cの吐出側から後段側の圧縮要素2dの吸入側への冷媒の流れを許容し、かつ、後段側の圧縮要素2dの吸入側から前段側の圧縮要素2cの吐出側への冷媒の流れを遮断するための逆止機構15が設けられている。逆止機構15は、本実施形態において、逆止弁である。尚、逆止機構15は、本実施形態において、中間冷媒管8の中間熱交換器7の後段側の圧縮要素2d側端から中間熱交換器バイパス管9の後段側の圧縮要素2d側端との接続部までの部分に設けられている。
さらに、中間熱交換器7の一端(ここでは、前段側の圧縮要素2c側端)には、第2吸入戻し管92が接続されており、中間熱交換器7の他端(ここでは、後段側の圧縮要素2d側端)には、中間熱交換器戻し管94が接続されている。この第2吸入戻し管92は、中間熱交換器バイパス管9を通じて前段側の圧縮要素2cから吐出された冷媒を後段側の圧縮要素2dに吸入させる状態にしている際に、中間熱交換器7の一端と圧縮機構2の吸入側(ここでは、吸入管2a)とを接続させるための冷媒管である。また、この中間熱交換器戻し管94は、中間熱交換器バイパス管9を通じて前段側の圧縮要素2cから吐出された冷媒を後段側の圧縮要素2dに吸入させる状態にし、かつ、切換機構3を加熱運転状態にしている際に、利用側熱交換器6と熱源側熱交換器4との間(ここでは、冷凍サイクルにおける低圧になるまで冷媒を減圧する第2膨張機構5bと蒸発器としての熱源側熱交換器4との間)と中間熱交換器7の他端とを接続させるための冷媒管である。本実施形態において、第2吸入戻し管92は、その一端が、中間冷媒管8の中間熱交換器バイパス管9の前段側の圧縮要素2c側端との接続部から中間熱交換器7の前段側の圧縮要素2c側端までの部分に接続されており、他端が、圧縮機構2の吸入側(ここでは、吸入管2a)に接続されている。また、中間熱交換器戻し管94は、その一端が、第2膨張機構5bから熱源側熱交換器4までの部分に接続されており、他端が、中間冷媒管8の中間熱交換器7の前段側の圧縮要素2c側端から逆止機構15までの部分に接続されている。そして、第2吸入戻し管92には、第2吸入戻し開閉弁92aが設けられており、中間熱交換器戻し管94には、中間熱交換器戻し開閉弁94aが設けられている。第2吸入戻し開閉弁92a及び中間熱交換器戻し開閉弁94aは、本実施形態において、電磁弁である。この第2吸入戻し開閉弁92aは、本実施形態において、後述の冷房開始制御のような一時的な運転を行う場合を除いて、基本的には、切換機構3を冷却運転状態にしている際に閉め、切換機構3を加熱運転状態にしている際に開ける制御がなされる。また、中間熱交換器戻し開閉弁94aは、後述の冷房開始制御のような一時的な運転を行う場合も含めて切換機構3を冷却運転状態にしている際に閉め、切換機構3を加熱運転状態にしている際に開ける制御がなされる。
このように、本実施形態では、主として、中間熱交換器バイパス管9、第2吸入戻し管92及び中間熱交換器戻し管94によって、冷房運転時には、中間冷媒管8を流れる中間圧の冷媒を中間熱交換器7によって冷却することができ、暖房運転時には、中間冷媒管8を流れる中間圧の冷媒を中間熱交換器バイパス管9によって、中間熱交換器7をバイパスさせるとともに、第2吸入戻し管92及び中間熱交換器戻し管94によって、利用側熱交換器6において冷却された冷媒の一部を中間熱交換器7に導いて蒸発させ、圧縮機構2の吸入側に戻すことができるようになっている。
さらに、空気調和装置1は、ここでは図示しないが、圧縮機構2、切換機構3、膨張機構5a、5b、中間熱交換器バイパス開閉弁11、中間熱交換器開閉弁12、第1吸入戻し開閉弁18g、第2吸入戻し開閉弁92a、及び中間熱交換器戻し開閉弁94a等の空気調和装置1を構成する各部の動作を制御する制御部を有している。
(2)空気調和装置の動作
次に、本実施形態の空気調和装置1の動作について、図1〜図9を用いて説明する。ここで、図2は、冷房運転時における空気調和装置1内の冷媒の流れを示す図であり、図3は、冷房運転時の冷凍サイクルが図示された圧力−エンタルピ線図であり、図4は、冷房運転時の冷凍サイクルが図示された温度−エントロピ線図であり、図5は、暖房運転時における空気調和装置1内の冷媒の流れを示す図であり、図6は、暖房運転時の冷凍サイクルが図示された圧力−エンタルピ線図であり、図7は、暖房運転時の冷凍サイクルが図示された温度−エントロピ線図であり、図8は、冷房開始制御のフローチャートであり、図9は、冷房開始制御時における空気調和装置1内の冷媒の流れを示す図である。尚、以下の冷房運転や暖房運転における運転制御、及び、冷房開始制御は、上述の制御部(図示せず)によって行われる。また、以下の説明において、「高圧」とは、冷凍サイクルにおける高圧(すなわち、図3、4の点D、D’、Eにおける圧力や図6、7の点D、D’、Fにおける圧力)を意味し、「低圧」とは、冷凍サイクルにおける低圧(すなわち、図3、4の点A、Fにおける圧力や図6、7の点A、E、Vにおける圧力)を意味し、「中間圧」とは、冷凍サイクルにおける中間圧(すなわち、図3、4の点B1、C1における圧力や図6、7の点B1、C1、C1’における圧力)を意味している。
<冷房運転>
冷房運転時は、切換機構3が図1及び図2の実線で示される冷却運転状態とされる。また、第1膨張機構5a及び第2膨張機構5bは、開度調節される。そして、切換機構3が冷却運転状態となるため、中間冷媒管8の中間熱交換器開閉弁12が開けられ、そして、中間熱交換器バイパス管9の中間熱交換器バイパス開閉弁11が閉められることによって、中間熱交換器7が冷却器として機能する状態とされるとともに、第2吸入戻し管92の第2吸入戻し開閉弁92aが閉められることによって、中間熱交換器7と圧縮機構2の吸入側とが接続していない状態にされ(但し、後述の冷房開始制御時を除く)、また、中間熱交換器戻し管94の中間熱交換器戻し開閉弁94aが閉められることによって、利用側熱交換器6と熱源側熱交換器4との間と中間熱交換器7とが接続していない状態にされる。
この冷媒回路10の状態において、低圧の冷媒(図1〜図4の点A参照)は、吸入管2aから圧縮機構2に吸入され、まず、圧縮要素2cによって中間圧力まで圧縮された後に、中間冷媒管8に吐出される(図1〜図4の点B1参照)。この前段側の圧縮要素2cから吐出された中間圧の冷媒は、中間熱交換器7において、冷却源としての水や空気と熱交換を行うことで冷却される(図1〜図4の点C1参照)。この中間熱交換器7において冷却された冷媒は、次に、圧縮要素2cの後段側に接続された圧縮要素2dに吸入されてさらに圧縮されて、圧縮機構2から吐出管2bに吐出される(図1〜図4の点D参照)。ここで、圧縮機構2から吐出された高圧の冷媒は、圧縮要素2c、2dによる二段圧縮動作によって、臨界圧力(すなわち、図3に示される臨界点CPにおける臨界圧力Pcp)を超える圧力まで圧縮されている。そして、この圧縮機構2から吐出された高圧の冷媒は、油分離機構41を構成する油分離器41aに流入し、同伴する冷凍機油が分離される。また、油分離器41aにおいて高圧の冷媒から分離された冷凍機油は、油分離機構41を構成する油戻し管41bに流入し、油戻し管41bに設けられた減圧機構41cで減圧された後に圧縮機構2の吸入管2aに戻されて、再び、圧縮機構2に吸入される。次に、油分離機構41において冷凍機油が分離された後の高圧の冷媒は、逆止機構42及び切換機構3を通じて、冷媒の放熱器として機能する熱源側熱交換器4に送られる。そして、熱源側熱交換器4に送られた高圧の冷媒は、熱源側熱交換器4において、冷却源としての水や空気と熱交換を行って冷却される(図2〜図4の点E参照)。そして、熱源側熱交換器4において冷却された高圧の冷媒は、ブリッジ回路17の入口逆止弁17aを通じてレシーバ入口管18aに流入し、第1膨張機構5aによって飽和圧力付近まで減圧されてレシーバ18内に一時的に溜められる(図1及び図2の点I参照)。そして、レシーバ18内に溜められた冷媒は、レシーバ出口管18bに送られて、第2膨張機構5bによって減圧されて低圧の気液二相状態の冷媒となり、ブリッジ回路17の出口逆止弁17cを通じて、冷媒の蒸発器として機能する利用側熱交換器6に送られる(図1〜図4の点F参照)。そして、利用側熱交換器6に送られた低圧の気液二相状態の冷媒は、加熱源としての水や空気と熱交換を行って加熱されて、蒸発することになる(図1〜図4の点A参照)。そして、この利用側熱交換器6において加熱された低圧の冷媒は、切換機構3を経由して、再び、圧縮機構2に吸入される。このようにして、冷房運転が行われる。
このように、本実施形態の空気調和装置1では、圧縮要素2cから吐出された冷媒を圧縮要素2dに吸入させるための中間冷媒管8に中間熱交換器7を設けるとともに、冷房運転において、中間熱交換器開閉弁12を開け、また、中間熱交換器バイパス管9の中間熱交換器バイパス開閉弁11を閉めることによって、中間熱交換器7を冷却器として機能する状態にしているため、中間熱交換器7を設けなかった場合(この場合には、図3、図4において、点A→点B1→点D’→点E→点Fの順で冷凍サイクルが行われる)に比べて、圧縮要素2cの後段側の圧縮要素2dに吸入される冷媒の温度が低下し(図4の点B1、C1参照)、圧縮要素2dから吐出される冷媒の温度も低下することになる(図4の点D、D’参照)。このため、この空気調和装置1では、高圧の冷媒の放熱器として機能する熱源側熱交換器4において、中間熱交換器7を設けなかった場合に比べて、冷却源としての水や空気と冷媒との温度差を小さくすることが可能になり、図4の点B1、D’、D、C1を結ぶことによって囲まれる面積に相当する分の放熱ロスを小さくできることから、運転効率を向上させることができる。
<暖房運転>
暖房運転時は、切換機構3が図1及び図5の破線で示される加熱運転状態とされる。また、第1膨張機構5a及び第2膨張機構5bは、開度調節される。そして、切換機構3が加熱運転状態となるため、中間冷媒管8の中間熱交換器開閉弁12が閉められ、そして、中間熱交換器バイパス管9の中間熱交換器バイパス開閉弁11が開けられることによって、中間熱交換器7が冷却器として機能しない状態とされる。さらに、切換機構3が加熱運転状態となるため、第2吸入戻し管92の第2吸入戻し開閉弁92aが開けられることによって、中間熱交換器7と圧縮機構2の吸入側とを接続されている状態にされ、また、中間熱交換器戻し管94の中間熱交換器戻し開閉弁94aが開けられることによって、利用側熱交換器6と熱源側熱交換器4との間と中間熱交換器7とが接続されている状態にされる。
この冷媒回路10の状態において、低圧の冷媒(図1、図5〜図7の点A参照)は、吸入管2aから圧縮機構2に吸入され、まず、圧縮要素2cによって中間圧力まで圧縮された後に、中間冷媒管8に吐出される(図1、図5〜図7の点B1参照)。この前段側の圧縮要素2cから吐出された中間圧の冷媒は、冷房運転時とは異なり、中間熱交換器7を通過せずに(すなわち、冷却されることなく)、中間熱交換器バイパス管9を通過して(図1、図5〜図7の点C1参照)、圧縮要素2cの後段側に接続された圧縮要素2dに吸入されてさらに圧縮されて、圧縮機構2から吐出管2bに吐出される(図1、図5〜図7の点D参照)。ここで、圧縮機構2から吐出された高圧の冷媒は、冷房運転時と同様、圧縮要素2c、2dによる二段圧縮動作によって、臨界圧力(すなわち、図6に示される臨界点CPにおける臨界圧力Pcp)を超える圧力まで圧縮されている。そして、この圧縮機構2から吐出された高圧の冷媒は、油分離機構41を構成する油分離器41aに流入し、同伴する冷凍機油が分離される。また、油分離器41aにおいて高圧の冷媒から分離された冷凍機油は、油分離機構41を構成する油戻し管41bに流入し、油戻し管41bに設けられた減圧機構41cで減圧された後に圧縮機構2の吸入管2aに戻されて、再び、圧縮機構2に吸入される。次に、油分離機構41において冷凍機油が分離された後の高圧の冷媒は、逆止機構42及び切換機構3を通じて、冷媒の放熱器として機能する利用側熱交換器6に送られて、冷却源としての水や空気と熱交換を行って冷却される(図1、図5〜図7の点F参照)。そして、利用側熱交換器6において冷却された高圧の冷媒は、ブリッジ回路17の入口逆止弁17bを通じてレシーバ入口管18aに流入し、第1膨張機構5aによって飽和圧力付近まで減圧されてレシーバ18内に一時的に溜められる(図1及び図5の点I参照)。そして、レシーバ18内に溜められた冷媒は、レシーバ出口管18bに送られて、第2膨張機構5bによって減圧されて低圧の気液二相状態の冷媒となり、ブリッジ回路17の出口逆止弁17dを通じて、冷媒の蒸発器として機能する熱源側熱交換器4に送られるとともに、中間熱交換器戻し管94を通じて、冷媒の蒸発器として機能する中間熱交換器7にも送られる(図1、図5〜図7の点E参照)。そして、熱源側熱交換器4に送られた低圧の気液二相状態の冷媒は、加熱源としての水や空気と熱交換を行って加熱されて、蒸発することになる(図1、図5〜図7の点A参照)。また、中間熱交換器7に送られた低圧の気液二相状態の冷媒も、加熱源としての水や空気と熱交換を行って加熱されて、蒸発することになる(図1、図5〜図7の点V参照)。そして、この熱源側熱交換器4において加熱されて蒸発した低圧の冷媒は、切換機構3を経由して、再び、圧縮機構2に吸入される。また、この中間熱交換器7において加熱されて蒸発した低圧の冷媒は、第2吸入戻し管92を通じて、再び、圧縮機構2に吸入される。このようにして、暖房運転が行われる。
このように、本実施形態の空気調和装置1では、切換機構3を加熱運転状態にした暖房運転において、中間熱交換器開閉弁12を閉め、また、中間熱交換器バイパス開閉弁11を開けることによって、中間熱交換器7を冷却器として機能しない状態にしているため、中間熱交換器7だけを設けた場合や上述の冷房運転と同様に中間熱交換器7を冷却器として機能させた場合(この場合には、図6、図7において、点A→点B1→点C1’→点D’→点F→点Eの順で冷凍サイクルが行われる)に比べて、圧縮機構2から吐出される冷媒の温度の低下が抑えられる(図7の点D、D’参照)。このため、この空気調和装置1では、中間熱交換器7だけを設けた場合や上述の冷房運転と同様に中間熱交換器7を冷却器として機能させた場合に比べて、外部への放熱を抑え、冷媒の放熱器として機能する利用側熱交換器6に供給される冷媒の温度の低下を抑えることが可能になり、図7の点Dと点Fとのエンタルピ差と点D’と点Fとのエンタルピ差との差に相当する分の加熱能力の低下を抑えて、運転効率の低下を防ぐことができる。
しかも、本実施形態の空気調和装置1では、切換機構3を加熱運転状態にした暖房運転において、単に、中間熱交換器7を使用しないことで冷却器として機能しない状態にしているのではなく、熱源側熱交換器4とともに、中間熱交換器7を利用側熱交換器7において放熱した冷媒の蒸発器として機能させるようにして、暖房運転時にも利用するようにして、中間熱交換器7から外部への放熱を抑えつつ、暖房運転時における冷媒の蒸発能力を高めて、冷媒回路10内を循環する冷媒の流量を増加させる等により、利用側熱交換器4における加熱能力が低くなるのを抑えるようにしている。これにより、本実施形態の空気調和装置1では、冷房運転時においては、冷媒の放熱器として機能する熱源側熱交換器4における放熱ロスが小さくなり、冷房運転時の運転効率を向上させることができ、暖房運転時においては、中間熱交換器7の有効利用が図られるとともに、利用側熱交換器4における加熱能力が低くなるのを抑えて、暖房運転時の運転効率が低下しないようにすることができる。
<冷房開始制御>
上述のような中間熱交換器7では、空気調和装置1の停止時等に、液冷媒が溜まり込むおそれがあり、中間熱交換器7に液冷媒が溜まり込んだ状態で、上述の冷房運転を開始すると、中間熱交換器7に溜まり込んだ液冷媒が後段側の圧縮要素2dに吸入されるため、後段側の圧縮要素2cにおいて液圧縮が生じてしまい、圧縮機構2の信頼性が損なわれることになる。
そこで、本実施形態では、上述の冷房運転の開始時に、中間熱交換器バイパス管9を通じて前段側の圧縮要素2cから吐出された冷媒を後段側の圧縮要素2dに吸入させる状態にするとともに、第2吸入戻し管92によって、中間熱交換器7と圧縮機構2の吸入側とを接続させる冷房開始制御を行うようにしている。
以下、本実施形態の冷房開始制御について、図8及び図9を用いて詳細に説明する。
まず、ステップS1において、冷房運転開始の指令がなされると、ステップS2の各種弁を操作する処理に移行する。
次に、ステップS2において、開閉弁11、12、92aの開閉状態を、中間熱交換器バイパス管9を通じて前段側の圧縮要素2cから吐出された冷媒を後段側の圧縮要素2dに吸入させるとともに、第2吸入戻し管92を通じて中間熱交換器7と圧縮機構2の吸入側とを接続させる冷媒戻し状態に切り換える。具体的には、中間熱交換器バイパス開閉弁11を開け、そして、中間熱交換器開閉弁12を閉める。そうすると、中間熱交換器バイパス管9によって、前段側の圧縮要素2cから吐出された冷媒が中間熱交換器7を通過することなく後段側の圧縮要素2dに吸入される流れが生じることになる。すなわち、中間熱交換器7が冷却器として機能しない状態にされるとともに、中間熱交換器バイパス管9を通じて前段側の圧縮要素2cから吐出された冷媒が後段側の圧縮要素2dに吸入される状態となる(図9参照)。そして、このような状態において、第2吸入戻し開閉弁92aを開ける。そうすると、第2吸入戻し管92によって、中間熱交換器7と圧縮機構2の吸入側とが接続されて、中間熱交換器7(より具体的には、中間熱交換器7を含む中間熱交換器開閉弁12と逆止機構15との間の部分)における冷媒の圧力が冷凍サイクルにおける低圧付近まで低下し、中間熱交換器7内の冷媒を圧縮機構2の吸入側に抜くことができる状態となる(図9参照)。
次に、ステップS3において、ステップS2における開閉弁11、12、92aの開閉状態(すなわち、冷媒戻し状態)を所定時間だけ維持する。これにより、空気調和装置1の停止時等に、中間熱交換器7内に液冷媒が溜まり込んでいたとしても、中間熱交換器7内に溜まり込んだ液冷媒は、減圧蒸発して、後段側の圧縮要素2dに吸入されることなく、中間熱交換器7外(より具体的には、圧縮機構2の吸入側)に抜かれて、圧縮機構2(ここでは、前段側の圧縮要素2c)に吸入されることになる。ここで、所定時間は、中間熱交換器7内に溜まり込んでいる液冷媒を中間熱交換器7外に抜くことが可能な時間に設定される。
次に、ステップS4において、開閉弁11、12、92aの開閉状態を、中間熱交換器7を通じて前段側の圧縮要素2cから吐出された冷媒を後段側の圧縮要素2dに吸入させるとともに第2吸入戻し管92を通じて中間熱交換器7と圧縮機構2の吸入側とを接続させない冷媒不戻し状態に切り換える。すなわち、上述の冷房運転時における弁11、12、92aの開閉状態に移行して、冷房開始制御を終了する。具体的には、第2吸入戻し開閉弁92aを閉める。そうすると、中間熱交換器7内の冷媒が圧縮機構2の吸入側に流出しない状態となる。そして、このような状態において、中間熱交換器開閉弁12を開け、そして、中間熱交換器バイパス開閉弁11を閉める。そうすると、中間熱交換器7が冷却器として機能する状態となる。
これにより、この空気調和装置1では、冷房運転の開始時において、中間熱交換器7内に液冷媒が溜まり込むことに起因した後段側の圧縮要素2dにおける液圧縮が生じなくなり、圧縮機構2の信頼性を向上させることができる。
(3)変形例1
上述の実施形態においては、冷房運転と冷房開始制御との間の切り換え、すなわち、冷媒不戻し状態と冷媒戻し状態との切り換えを、開閉弁11、12、92aの開閉状態を変化させることによって行うようにしているが、図10に示されるように、開閉弁11、12、92aに代えて、冷媒不戻し状態と冷媒戻し状態とを切り換え可能な中間熱交換器切換弁93を設けた冷媒回路110にしてもよい。
ここで、中間熱交換器切換弁93は、冷媒不戻し状態と冷媒戻し状態に切り換えることが可能な弁であり、本変形例において、中間冷媒管8の前段側の圧縮要素2cの吐出側と、中間冷媒管8の中間熱交換器7の入口側と、中間熱交換器バイパス管9の前段側の圧縮要素2c側端と、第2吸入戻し管92の中間熱交換器7側端に接続された四路切換弁である。また、中間熱交換器バイパス管9には、前段側の圧縮要素2cの吐出側から後段側の圧縮要素2dの吸入側への冷媒の流れを許容し、かつ、後段側の圧縮要素2dの吸入側から前段側の圧縮要素2cの吐出側や圧縮機構2の吸入側への冷媒の流れを遮断するための逆止機構9aがさらに設けられている。逆止機構9aは、本変形例において、逆止弁である。
そして、本変形例においては、詳細な説明は省略するが、中間熱交換器切換弁93を、中間熱交換器7を通じて前段側の圧縮要素2cから吐出された冷媒を後段側の圧縮要素2dに吸入させるとともに、第2吸入戻し管92を通じて中間熱交換器7と圧縮機構2の吸入側とを接続させない冷媒不戻し状態に切り換えることで(図10の中間熱交換器切換弁93の実線を参照)、上述の実施形態と同様の冷房運転を行い、中間熱交換器バイパス管9を通じて前段側の圧縮要素2cから吐出された冷媒を後段側の圧縮要素2dに吸入させるとともに、第2吸入戻し管92を通じて中間熱交換器7と圧縮機構2の吸入側とを接続させる冷媒戻し状態に切り換えることで(図10の中間熱交換器切換弁93の破線を参照)、上述の実施形態と同様の暖房運転や冷房開始制御を行うことができるようになっている。
そして、本変形例の構成においても、上述の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。しかも、本変形例では、中間熱交換器切換弁93によって、冷媒不戻し状態と冷媒戻し状態とを切り換えることができるため、上述の実施形態のような複数の弁11、12、92aによって、冷媒不戻し状態と冷媒戻し状態とを切り換える構成を採用する場合に比べて、弁の数を減らすことができる。また、電磁弁を使用する場合に比べて圧力損失も減少するため、冷凍サイクルにおける中間圧の低下を抑えて、運転効率の低下も抑えることができる。
(4)変形例2
上述の実施形態及びその変形例において、中間熱交換器7及び熱源側熱交換器4を空気を熱源(すなわち、冷却源又は加熱源)とする熱交換器にして、両熱交換器4、7に共通の熱源側ファン40(後述)によって熱源としての空気を供給する構成を採用することが考えられる。
例えば、空気調和装置1を、主として熱源側ファン40、熱源側熱交換器4及び中間熱交換器7が設けられた熱源ユニット1aと、主として利用側熱交換器6が設けられた利用ユニット(図示せず)とが接続された構成とした場合において、図11及び図12に示されるような熱源ユニット1aを採用することが考えられる。ここで、図11は、熱源ユニット1aの外観斜視図(ファングリルを取り除いた状態)であり、図12は、熱源ユニット1aの右板を取り除いた状態における熱源ユニット1aの側面図である。尚、以下の説明における「左」及び「右」とは、前板24側から熱源ユニット1aを見た場合を基準とする。
本変形例の空気調和装置1を構成する熱源ユニット1aは、側方から空気を吸い込んで上方に向かって空気を吹き出す、いわゆる、上吹きタイプのものであり、主として、ケーシング71と、ケーシング71の内部に配置される熱源側熱交換器4及び中間熱交換器7等の冷媒回路構成部品や熱源側ファン40等の機器とを有している。
ケーシング71は、本変形例において、略直方体形状の箱体であり、主として、ケーシング71の天面を構成する天板72と、ケーシング71の外周面を構成する左板73、右板74、前板75及び後板76と、底板77とから構成されている。天板72は、主として、ケーシング71の天面を構成する部材であり、本変形例において、略中央に吹出開口71aが形成された平面視が略長方形状の板状部材である。天板72には、吹出開口71aを上方から覆うようにファングリル78が設けられている。左板73は、主として、ケーシング71の左面を構成する部材であり、本変形例において、天板72の左縁から下方に延びる側面視が略長方形状の板状部材である。左板73には、上部を除くほぼ全体に吸入開口73aが形成されている。右板74は、主として、ケーシング71の右面を構成する部材であり、本変形例において、天板72の右縁から下方に延びる側面視が略長方形状の板状部材である。右板74には、上部を除くほぼ全体に吸入開口74aが形成されている。前板75は、主として、ケーシング71の前面を構成する部材であり、本変形例において、天板72の前縁から下方向に順に配置された正面視が略長方形状の板状部材から構成されている。後板76は、主として、ケーシング71の後面を構成する部材であり、本変形例において、天板72の後縁から下方向に順に配置された正面視が略長方形状の板状部材から構成されている。後板76には、上部を除くほぼ全体に吸入開口76aが形成されている。底板77は、主として、ケーシング71の底面を構成する部材であり、本変形例において、平面視が略長方形状の板状部材である。
そして、中間熱交換器7は、本変形例において、熱源側熱交換器4の上方に配置された状態で熱源側熱交換器4と一体化されており、底板77上に配置されている。より具体的には、中間熱交換器7は、伝熱フィンを共有することによって熱源側熱交換器4と一体化されている。また、熱源側熱交換器4及び中間熱交換器7が一体化されたものは、本変形例において、平面視が略U字形状の熱交換器パネルを形成しており、吸入開口73a、74a、76aに対向するように配置されている。また、熱源側ファン40は、天板72の吹出開口71aに対向し、かつ、熱源側熱交換器4及び中間熱交換器7が一体化されたもの(すなわち、熱交換器パネル)の上側に配置されている。本変形例において、熱源側ファン40は、軸流ファンであり、ファン駆動モータ40aによって回転駆動することによって、吸入開口73a、74a、76aから熱源としての空気をケーシング71内に吸い込んで、熱源側熱交換器4及び中間熱交換器7を通過させた後に、吹出開口71aから上方に向けて吹き出すことができるようになっている(図12中の空気の流れを示す矢印を参照)。すなわち、熱源側ファン40は、熱源側熱交換器4及び中間熱交換器7の両方に熱源としての空気を供給するようになっている。尚、熱源ユニット1aの外観形状や熱源側熱交換器4及び中間熱交換器7が一体化されたもの(すなわち、熱交換器パネル)の形状は、上述のものに限定されるものではない。このように、中間熱交換器7は、熱源側熱交換器4と一体化された熱交換器パネルを構成しており、この熱交換器パネルの上部に配置されている。
ここで、中間熱交換器7を熱源側熱交換器4と一体化し、両者が一体化した熱交換器パネルの上部に中間熱交換器7を配置するようにしているのは、本変形例の空気調和装置1が超臨界域で作動する冷媒(ここでは、二酸化炭素)を使用している点と、熱源ユニット1aが側方から空気を吸い込んで上方に向かって空気を吹き出す型式である点とを考慮したものである。この点について詳細に説明すると、冷房運転時において冷却器としての中間熱交換器7内には、臨界圧力Pcp(二酸化炭素では、約7.3MPa)よりも低い中間圧の冷媒が流れ、冷媒の放熱器として機能する熱源側熱交換器4内には臨界圧力Pcpを超える高圧の冷媒が流れる冷房運転等の冷凍サイクルが行われることがあり(図3参照)、この場合には、図13に示されるように、臨界圧力Pcpよりも低い圧力における冷媒の物性と臨界圧力Pcpを超える圧力における冷媒の物性(特に、熱伝導率や定圧比熱)との差異に起因して、冷却器としての中間熱交換器7の冷媒側の熱伝達率が冷媒の放熱器として機能する熱源側熱交換器4の冷媒側の熱伝達率に比べて低くなる傾向となる。ここで、図13は、6.5MPaの二酸化炭素を所定の流路断面積を有する伝熱流路内に所定の質量流速で流す場合における熱伝達率の値(冷却器としての中間冷熱交換器7の冷媒側の熱伝達率に対応)と、6.5MPaの二酸化炭素と同一の伝熱流路及び質量流速の条件における10MPaの二酸化炭素の熱伝達率の値(放熱器としての熱源側熱交換器4の冷媒側の熱伝達率に対応)とを示しているが、これを見ると、冷媒の放熱器として機能する熱源側熱交換器4や冷媒の冷却器として機能する中間熱交換器7内を流れる冷媒の温度範囲(35〜70℃程度)においては、6.5MPaの二酸化炭素の熱伝達率の値が10MPaの二酸化炭素の熱伝達率の値よりも低いことがわかる。このため、本変形例の空気調和装置1の熱源ユニット1a(すなわち、側方から空気を吸い込んで上方に向かって空気を吹き出すように構成された熱源ユニット)において、仮に、中間熱交換器7を熱源側熱交換器4の下方に配置された状態で熱源側熱交換器4と一体化すると、熱源となる空気の流速が小さい熱源ユニット1aの下部に熱源側熱交換器4と一体化された中間熱交換器7が配置されることになり、中間熱交換器7を熱源ユニット1aの下部に配置することによる中間熱交換器7の空気側の熱伝達率の低下の影響と、中間熱交換器7の冷媒側の熱伝達率が熱源側熱交換器4の冷媒側の熱伝達率に比べて低くなる影響とが重なり合って、中間熱交換器7の伝熱性能の低下が生じるからである。
そして、このような熱源ユニット1aにおいて、仮に、暖房運転時に、中間熱交換器バイパス管9を用いて、前段側の圧縮要素2cから吐出されて後段側の圧縮要素2dに吸入される冷媒が中間熱交換器7において冷却されないようにバイパスして中間熱交換器7を使用しない状態にすると、冷房運転時の熱伝達率を考慮して熱源としての空気の流速が最も大きい位置に配置された中間熱交換器7が、暖房運転時には何ら寄与しないことになってしまい、中間熱交換器7を有効利用しないことのデメリットが大きい。
しかし、本変形例では、上述の実施形態及びその変形例と同様、暖房運転時に、中間熱交換器バイパス管9を用いて、前段側の圧縮要素2cから吐出されて後段側の圧縮要素2dに吸入される冷媒が中間熱交換器7において冷却されないようにバイパスするとともに、中間熱交換器7を冷媒の蒸発器として機能させることで、暖房運転時の蒸発能力を高めるのに寄与している。
(5)変形例3
上述の実施形態及びその変形例においては、切換機構3によって冷房運転と暖房運転とを切換可能に構成された二段圧縮式冷凍サイクルを行う空気調和装置1において、前段側の圧縮要素2cから吐出されて後段側の圧縮要素2dに吸入される冷媒の冷却器として機能する中間熱交換器7、中間熱交換器7をバイパスするように中間冷媒管8に接続されている中間熱交換器バイパス管9、中間熱交換器7の一端と圧縮機構2の吸入側とを接続させるための第2吸入戻し管92、及び利用側熱交換器6と熱源側熱交換器4との間と中間熱交換器7の他端とを接続させるための中間熱交換器戻し管94を設けるようにしているが、この構成に加えて、第1後段側インジェクション管19及びエコノマイザ熱交換器20による中間圧インジェクションを行うようにしてもよい。
例えば、図14に示されるように、二段圧縮式の圧縮機構2が採用された上述の実施形態の冷媒回路10(図1参照)において、第1後段側インジェクション管19及びエコノマイザ熱交換器20が設けられた冷媒回路210にすることができる。
第1後段側インジェクション管19は、熱源側熱交換器4と利用側熱交換器6との間を流れる冷媒を分岐して圧縮機構2の後段側の圧縮要素2dに戻す機能を有している。本変形例において、第1後段側インジェクション管19は、レシーバ入口管18aを流れる冷媒を分岐して後段側の圧縮要素2dの吸入側に戻すように設けられている。より具体的には、第1後段側インジェクション管19は、レシーバ入口管18aの第1膨張機構5aの上流側の位置(すなわち、切換機構3を冷却運転状態にしている際には、熱源側熱交換器4と第1膨張機構5aとの間)から冷媒を分岐して中間冷媒管8の中間熱交換器7の下流側の位置に戻すように設けられている。また、この第1後段側インジェクション管19には、開度制御が可能な第1後段側インジェクション弁19aが設けられている。そして、第1後段側インジェクション弁19aは、本変形例において、電動膨張弁である。
エコノマイザ熱交換器20は、熱源側熱交換器4と利用側熱交換器6との間を流れる冷媒と第1後段側インジェクション管19を流れる冷媒(より具体的には、第1後段側インジェクション弁19aにおいて中間圧付近まで減圧された後の冷媒)との熱交換を行う熱交換器である。本変形例において、エコノマイザ熱交換器20は、レシーバ入口管18aの第1膨張機構5aの上流側の位置(すなわち、切換機構3を冷却運転状態にしている際には、熱源側熱交換器4と第1膨張機構5aとの間)を流れる冷媒と第1後段側インジェクション管19を流れる冷媒との熱交換を行うように設けられており、また、両冷媒が対向するように流れる流路を有している。また、本変形例において、エコノマイザ熱交換器20は、第1後段側インジェクション管19がレシーバ入口管18aから分岐されている位置よりも下流側に設けられている。このため、熱源側熱交換器4と利用側熱交換器6との間を流れる冷媒は、レシーバ入口管18aにおいて、エコノマイザ熱交換器20において熱交換される前に第1後段側インジェクション管19に分岐され、その後に、エコノマイザ熱交換器20において、第1後段側インジェクション管19を流れる冷媒と熱交換を行うことになる。
このように、本変形例では、切換機構3を冷却運転状態にしている際には、熱源側熱交換器4において冷却された高圧の冷媒を、ブリッジ回路17の入口逆止弁17a、エコノマイザ熱交換器20、レシーバ入口管18aの第1膨張機構5a、レシーバ18、レシーバ出口管18bの第2膨張機構5b及びブリッジ回路17の出口逆止弁17cを通じて、利用側熱交換器6に送ることができるようになっている。また、切換機構3を加熱運転状態にしている際には、利用側熱交換器6において冷却された高圧の冷媒を、ブリッジ回路17の入口逆止弁17b、エコノマイザ熱交換器20、レシーバ入口管18aの第1膨張機構5a、レシーバ18、レシーバ出口管18bの第2膨張機構5b及びブリッジ回路17の出口逆止弁17dを通じて、熱源側熱交換器4に送ることができるようになっている。
さらに、本変形例において、中間冷媒管8又は圧縮機構2には、中間冷媒管8を流れる冷媒の圧力を検出する中間圧力センサ54が設けられている。エコノマイザ熱交換器20の第1後段側インジェクション管19側の出口には、エコノマイザ熱交換器20の第1後段側インジェクション管19側の出口における冷媒の温度を検出するエコノマイザ出口温度センサ55が設けられている。
次に、本変形例の空気調和装置1の動作について、図14〜図18を用いて説明する。ここで、図15は、冷房運転時の冷凍サイクルが図示された圧力−エンタルピ線図であり、図16は、冷房運転時の冷凍サイクルが図示された温度−エントロピ線図であり、図17は、暖房運転時の冷凍サイクルが図示された圧力−エンタルピ線図であり、図18は、暖房運転時の冷凍サイクルが図示された温度−エントロピ線図である。ここで、冷房開始制御については、上述の実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。また、以下の冷房運転及び暖房運転(ここでは説明しない冷房開始制御も含む)における運転制御は、上述の実施形態における制御部(図示せず)によって行われる。また、以下の説明において、「高圧」とは、冷凍サイクルにおける高圧(すなわち、図15、図16の点D、D’、E、Hにおける圧力や図17、図18の点D、D’、F、Hにおける圧力)を意味し、「低圧」とは、冷凍サイクルにおける低圧(すなわち、図15、16の点A、Fにおける圧力や図17、図18の点A、E、Vにおける圧力)を意味し、「中間圧」とは、冷凍サイクルにおける中間圧(すなわち、図15〜図18の点B1、C1、G、J、Kにおける圧力)を意味している。
<冷房運転>
冷房運転時は、切換機構3が図14の実線で示される冷却運転状態とされる。また、第1膨張機構5a及び第2膨張機構5bは、開度調節される。また、第1後段側インジェクション弁19aも、開度調節される。より具体的には、本変形例において、第1後段側インジェクション弁19aは、エコノマイザ熱交換器20の第1後段側インジェクション管19側の出口における冷媒の過熱度が目標値になるように開度調節される、いわゆる過熱度制御がなされるようになっている。本変形例において、エコノマイザ熱交換器20の第1後段側インジェクション管19側の出口における冷媒の過熱度は、中間圧力センサ54により検出される中間圧を飽和温度に換算し、エコノマイザ出口温度センサ55により検出される冷媒温度からこの冷媒の飽和温度値を差し引くことによって得られる。尚、本変形例では採用していないが、エコノマイザ熱交換器20の第1後段側インジェクション管19側の入口に温度センサを設けて、この温度センサにより検出される冷媒温度をエコノマイザ出口温度センサ55により検出される冷媒温度から差し引くことによって、エコノマイザ熱交換器20の第1後段側インジェクション管19側の出口における冷媒の過熱度を得るようにしてもよい。また、第1後段側インジェクション弁19aの開度調節は、過熱度制御に限られるものではなく、例えば、冷媒回路10における冷媒循環量等に応じて所定開度だけ開けるようにするものであってもよい。そして、切換機構3が冷却運転状態となるため、中間冷媒管8の中間熱交換器開閉弁12が開けられ、そして、中間熱交換器バイパス管9の中間熱交換器バイパス開閉弁11が閉められることによって、中間熱交換器7が冷却器として機能する状態とされるとともに、第2吸入戻し管92の第2吸入戻し開閉弁92aが閉められることによって、中間熱交換器7と圧縮機構2の吸入側とが接続していない状態にされ(但し、冷房開始制御時を除く)、また、中間熱交換器戻し管94の中間熱交換器戻し開閉弁94aが閉められることによって、利用側熱交換器6と熱源側熱交換器4との間と中間熱交換器7とが接続していない状態にされる。
この冷媒回路210の状態において、低圧の冷媒(図14〜図16の点A参照)は、吸入管2aから圧縮機構2に吸入され、まず、圧縮要素2cによって中間圧力まで圧縮された後に、中間冷媒管8に吐出される(図14〜図16の点B1参照)。この前段側の圧縮要素2cから吐出された中間圧の冷媒は、中間熱交換器7において、冷却源としての水や空気と熱交換を行うことで冷却される(図14〜図16の点C1参照)。この中間熱交換器7において冷却された冷媒は、第1後段側インジェクション管19から後段側の圧縮機構2dに戻される冷媒(図14〜図16の点K参照)と合流することでさらに冷却される(図14〜図16の点G参照)。次に、第1後段側インジェクション管19から戻る冷媒と合流した(すなわち、エコノマイザ熱交換器20による中間圧インジェクションが行われた)中間圧の冷媒は、圧縮要素2cの後段側に接続された圧縮要素2dに吸入されてさらに圧縮されて、圧縮機構2から吐出管2bに吐出される(図14〜図16の点D参照)。ここで、圧縮機構2から吐出された高圧の冷媒は、圧縮要素2c、2dによる二段圧縮動作によって、臨界圧力(すなわち、図15に示される臨界点CPにおける臨界圧力Pcp)を超える圧力まで圧縮されている。そして、この圧縮機構2から吐出された高圧の冷媒は、油分離機構41を構成する油分離器41aに流入し、同伴する冷凍機油が分離される。また、油分離器41aにおいて高圧の冷媒から分離された冷凍機油は、油分離機構41を構成する油戻し管41bに流入し、油戻し管41bに設けられた減圧機構41cで減圧された後に圧縮機構2の吸入管2aに戻されて、再び、圧縮機構2に吸入される。次に、油分離機構41において冷凍機油が分離された後の高圧の冷媒は、逆止機構42及び切換機構3を通じて、冷媒の放熱器として機能する熱源側熱交換器4に送られる。そして、熱源側熱交換器4に送られた高圧の冷媒は、熱源側熱交換器4において、冷却源としての水や空気と熱交換を行って冷却される(図14〜図16の点E参照)。そして、熱源側熱交換器4において冷却された高圧の冷媒は、ブリッジ回路17の入口逆止弁17aを通じてレシーバ入口管18aに流入し、その一部が第1後段側インジェクション管19に分岐される。そして、第1後段側インジェクション管19を流れる冷媒は、第1後段側インジェクション弁19aにおいて中間圧付近まで減圧された後に、エコノマイザ熱交換器20に送られる(図14〜図16の点J参照)。また、第1後段側インジェクション管19に分岐された後の冷媒は、エコノマイザ熱交換器20に流入し、第1後段側インジェクション管19を流れる冷媒と熱交換を行って冷却される(図14〜図16の点H参照)。一方、第1後段側インジェクション管19を流れる冷媒は、放熱器としての熱源側熱交換器4において冷却された高圧の冷媒と熱交換を行って加熱されて(図14〜図16の点K参照)、上述のように、前段側の圧縮要素2cから吐出された中間圧の冷媒に合流することになる。そして、エコノマイザ熱交換器20において冷却された高圧の冷媒は、第1膨張機構5aによって飽和圧力付近まで減圧されてレシーバ18内に一時的に溜められる(図14の点I参照)。そして、レシーバ18内に溜められた冷媒は、レシーバ出口管18bに送られて、第2膨張機構5bによって減圧されて低圧の気液二相状態の冷媒となり、ブリッジ回路17の出口逆止弁17cを通じて、冷媒の蒸発器として機能する利用側熱交換器6に送られる(図14〜図16の点F参照)。そして、利用側熱交換器6に送られた低圧の気液二相状態の冷媒は、加熱源としての水や空気と熱交換を行って加熱されて、蒸発することになる(図14〜図16の点A参照)。そして、この利用側熱交換器6において加熱された低圧の冷媒は、切換機構3を経由して、再び、圧縮機構2に吸入される。このようにして、冷房運転が行われる。
そして、本変形例の構成においては、上述の変形例2と同様、切換機構3を冷却運転状態にした冷房運転において、中間熱交換器7を冷却器として機能する状態にしていることから、中間熱交換器7を設けなかった場合に比べて、熱源側熱交換器4における放熱ロスを小さくできるようになっている。
しかも、本変形例の構成では、第1後段側インジェクション管19及びエコノマイザ熱交換器20を設けて熱源側熱交換器4から膨張機構5a、5bに送られる冷媒を分岐して後段側の圧縮要素2dに戻すようにしているため、中間熱交換器7のような外部への放熱を行うことなく、後段側の圧縮要素2dに吸入される冷媒の温度をさらに低く抑えることができる(図16の点C1、G参照)。これにより、圧縮機構2から吐出される冷媒の温度がさらに低く抑えられ(図16の点D、D’参照)、第1後段側インジェクション管19を設けていない場合に比べて、図16の点C1、D’、D、Gを結ぶことによって囲まれる面積に相当する分の放熱ロスをさらに小さくできることから、運転効率をさらに向上させることができる。
また、本変形例においても、上述の変形例2と同様、切換機構3を冷却運転状態にした冷房運転の開始時に、中間熱交換器バイパス管9を通じて前段側の圧縮要素2cから吐出された冷媒を後段側の圧縮要素2dに吸入させるとともに、第2吸入戻し管92を通じて中間熱交換器7と圧縮機構2の吸入側とを接続させるようにしているため、切換機構2を冷却運転状態にした運転の開始前に、中間熱交換器7内に液冷媒が溜まり込んでいたとしても、この液冷媒を中間熱交換器7外に抜くことができ、これにより、切換機構3を冷却運転状態にした運転の開始時に、中間熱交換器7内に液冷媒が溜まり込んだ状態を避けることができるようになり、中間熱交換器7内に液冷媒が溜まり込むことに起因した後段側の圧縮要素2dにおける液圧縮が生じなくなり、圧縮機構2の信頼性を向上させることができる。
<暖房運転>
暖房運転時は、切換機構3が図14の破線で示される加熱運転状態とされる。また、第1膨張機構5a及び第2膨張機構5bは、開度調節される。また、第1後段側インジェクション弁19aは、上述の冷房運転と同様の開度調節がなされる。そして、切換機構3が加熱運転状態となるため、中間冷媒管8の中間熱交換器開閉弁12が閉められ、そして、中間熱交換器バイパス管9の中間熱交換器バイパス開閉弁11が開けられることによって、中間熱交換器7が冷却器として機能しない状態とされる。さらに、切換機構3が加熱運転状態となるため、第2吸入戻し管92の第2吸入戻し開閉弁92aが開けられることによって、中間熱交換器7と圧縮機構2の吸入側とを接続させる状態とされ、また、中間熱交換器戻し管94の中間熱交換器戻し開閉弁94aが開けられることによって、利用側熱交換器6と熱源側熱交換器4との間と中間熱交換器7とが接続されている状態にされる。
この冷媒回路210の状態において、低圧の冷媒(図14、図17、図18の点A参照)は、吸入管2aから圧縮機構2に吸入され、まず、圧縮要素2cによって中間圧力まで圧縮された後に、中間冷媒管8に吐出される(図14、図17、図18の点B1参照)。この前段側の圧縮要素2cから吐出された中間圧の冷媒は、冷房運転時とは異なり、中間熱交換器7を通過せずに(すなわち、冷却されることなく)、中間熱交換器バイパス管9を通過して(図14、図17、図18の点C1参照)、第1後段側インジェクション管19から後段側の圧縮機構2dに戻される冷媒(図14、図17、図18の点K参照)と合流することで冷却される(図14、図17、図18の点G参照)。次に、第1後段側インジェクション管19から戻る冷媒と合流した中間圧の冷媒は、圧縮要素2cの後段側に接続された圧縮要素2dに吸入されてさらに圧縮されて、圧縮機構2から吐出管2bに吐出される(図14、図17、図18の点D参照)。ここで、圧縮機構2から吐出された高圧の冷媒は、冷房運転時と同様、圧縮要素2c、2dによる二段圧縮動作によって、臨界圧力(すなわち、図17に示される臨界点CPにおける臨界圧力Pcp)を超える圧力まで圧縮されている。そして、この圧縮機構2から吐出された高圧の冷媒は、油分離機構41を構成する油分離器41aに流入し、同伴する冷凍機油が分離される。また、油分離器41aにおいて高圧の冷媒から分離された冷凍機油は、油分離機構41を構成する油戻し管41bに流入し、油戻し管41bに設けられた減圧機構41cで減圧された後に圧縮機構2の吸入管2aに戻されて、再び、圧縮機構2に吸入される。次に、油分離機構41において冷凍機油が分離された後の高圧の冷媒は、逆止機構42及び切換機構3を通じて、冷媒の放熱器として機能する利用側熱交換器6に送られて、冷却源としての水や空気と熱交換を行って冷却される(図14、図17、図18の点F参照)。そして、利用側熱交換器6において冷却された高圧の冷媒は、ブリッジ回路17の入口逆止弁17bを通じてレシーバ入口管18aに流入し、その一部が第1後段側インジェクション管19に分岐される。そして、第1後段側インジェクション管19を流れる冷媒は、第1後段側インジェクション弁19aにおいて中間圧付近まで減圧された後に、エコノマイザ熱交換器20に送られる(図14、図17、図18の点J参照)。また、第1後段側インジェクション管19に分岐された後の冷媒は、エコノマイザ熱交換器20に流入し、第1後段側インジェクション管19を流れる冷媒と熱交換を行って冷却される(図14、図17、図18の点H参照)。一方、第1後段側インジェクション管19を流れる冷媒は、放熱器としての熱源側熱交換器4において冷却された高圧の冷媒と熱交換を行って加熱されて(図14、図17、図18の点K参照)、上述のように、前段側の圧縮要素2cから吐出された中間圧の冷媒に合流することになる。そして、エコノマイザ熱交換器20において冷却された高圧の冷媒は、第1膨張機構5aによって飽和圧力付近まで減圧されてレシーバ18内に一時的に溜められる(図14の点I参照)。そして、レシーバ18内に溜められた冷媒は、レシーバ出口管18bに送られて、第2膨張機構5bによって減圧されて低圧の気液二相状態の冷媒となり、ブリッジ回路17の出口逆止弁17dを通じて、冷媒の蒸発器として機能する熱源側熱交換器4に送られるとともに、中間熱交換器戻し管94を通じて、冷媒の蒸発器として機能する中間熱交換器7にも送られる(図14、図17、図18の点E参照)。そして、熱源側熱交換器4に送られた低圧の気液二相状態の冷媒は、加熱源としての水や空気と熱交換を行って加熱されて、蒸発することになる(図14、図17、図18の点A参照)。また、中間熱交換器7に送られた低圧の気液二相状態の冷媒も、加熱源としての水や空気と熱交換を行って加熱されて、蒸発することになる(図14、図17、図18の点V参照)。そして、この熱源側熱交換器4において加熱されて蒸発した低圧の冷媒は、切換機構3を経由して、再び、圧縮機構2に吸入される。また、この中間熱交換器7において加熱されて蒸発した低圧の冷媒は、第2吸入戻し管92を通じて、再び、圧縮機構2に吸入される。このようにして、暖房運転が行われる。
そして、本変形例の構成においては、上述の変形例2と同様、切換機構3を加熱運転状態にした暖房運転において、中間熱交換器7だけを設けた場合や上述の冷房運転と同様に中間熱交換器7を冷却器として機能させた場合に比べて、外部への放熱を抑え、加熱能力の低下を抑えて、運転効率の低下を防ぐことができるようになっている。
しかも、本変形例の構成では、冷房運転時と同様に、第1後段側インジェクション管19及びエコノマイザ熱交換器20を設けて熱源側熱交換器4から膨張機構5a、5bに送られる冷媒を分岐して後段側の圧縮要素2dに戻すようにしているため、中間熱交換器7のような外部への放熱を行うことなく、後段側の圧縮要素2dに吸入される冷媒の温度をさらに低く抑えることができる(図18の点B1、G参照)。これにより、圧縮機構2から吐出される冷媒の温度がさらに低く抑えられ(図18の点D、D’参照)、第1後段側インジェクション管19を設けていない場合に比べて、図18の点B1、D’、D、Gを結ぶことによって囲まれる面積に相当する分の放熱ロスを小さくできることから、運転効率をさらに向上させることができる。
また、本変形例の構成では、上述の実施形態と同様、冷房運転時においては、冷媒の放熱器として機能する熱源側熱交換器4における放熱ロスが小さくなり、冷房運転時の運転効率を向上させることができ、暖房運転時においては、中間熱交換器7の有効利用が図られるとともに、利用側熱交換器4における加熱能力が低くなるのを抑えて、暖房運転時の運転効率が低下しないようにすることができるようになっている。
また、冷房運転及び暖房運転に共通する利点として、本変形例の構成では、エコノマイザ熱交換器20として、熱源側熱交換器4又は利用側熱交換器6から膨張機構5a、5bに送られる冷媒と後段側インジェクション管19を流れる冷媒とが対向するように流れる流路を有する熱交換器を採用しているため、エコノマイザ熱交換器20における熱源側熱交換器4又は利用側熱交換器6から膨張機構5a、5bに送られる冷媒と後段側インジェクション管19を流れる冷媒との温度差を小さくすることができ、高い熱交換効率を得ることができる。
また、本変形例では、冷房運転と冷房開始制御との間の切り換え、すなわち、冷媒不戻し状態と冷媒戻し状態との切り換えを、開閉弁11、12、92aの開閉状態によって行うようにしているが、上述の変形例1のように、開閉弁11、12、92aに代えて、冷媒不戻し状態と冷媒戻し状態とを切り換え可能な中間熱交換器切換弁93を設けるようにしてもよい。
さらに、変形例2のような熱源ユニット1aの構成を採用する場合には、特に有利な効果を得ることができる。
(6)変形例4
上述の変形例3における冷媒回路210(図14参照)においては、上述のように、切換機構3を冷却運転状態にする冷房運転及び切換機構3を加熱運転状態にする暖房運転のいずれにおいても、エコノマイザ熱交換器20による中間圧インジェクションを行うことで、後段側の圧縮要素2dから吐出される冷媒の温度を低下させるとともに、圧縮機構2の消費動力を減らし、運転効率の向上を図るようにしている。そして、エコノマイザ熱交換器20による中間圧インジェクションは、冷凍サイクルにおける中間圧が臨界圧力付近まで上昇した条件においても使用可能であることから、上述の実施形態及びその変形例における冷媒回路10、110、210(図1、10、14参照)のように、1つの利用側熱交換器6を有する構成では、超臨界域で作動する冷媒を使用する場合には、特に、有利であると考えられる。
しかし、複数の空調空間の空調負荷に応じた冷房や暖房を行うこと等を目的として、互いに並列に接続された複数の利用側熱交換器6を有する構成にするとともに、各利用側熱交換器6を流れる冷媒の流量を制御して各利用側熱交換器6において必要とされる冷凍負荷を得ることができるようにするために、気液分離器としてのレシーバ18と利用側熱交換器6との間において各利用側熱交換器6に対応するように利用側膨張機構5cを設ける場合がある。
例えば、詳細は図示しないが、上述の変形例3におけるブリッジ回路17を有する冷媒回路210(図14参照)において、互いが並列に接続された複数(ここでは、2つ)の利用側熱交換器6を設けるとともに、気液分離器としてのレシーバ18(より具体的には、ブリッジ回路17)と利用側熱交換器6との間において各利用側熱交換器6に対応するように利用側膨張機構5cを設け(図19参照)、レシーバ出口管18bに設けられていた第2膨張機構5bを削除し、また、ブリッジ回路17の出口逆止弁17dに代えて、暖房運転時に冷凍サイクルにおける低圧まで冷媒を減圧する第3膨張機構を設けることが考えられる。
そして、このような構成においても、切換機構3を冷却運転状態にする冷房運転のように、放熱器としての熱源側熱交換器4において冷却された後に熱源側膨張機構としての第1膨張機構5a以外に大幅な減圧操作が行われることなく、冷凍サイクルにおける高圧から冷凍サイクルの中間圧付近までの圧力差を利用できる条件においては、上述の変形例3と同様、エコノマイザ熱交換器20による中間圧インジェクションが有利である。
しかし、切換機構3を加熱運転状態にする暖房運転のように、各利用側膨張機構5cが放熱器としての各利用側熱交換器6において必要とされる冷凍負荷が得られるように放熱器としての各利用側熱交換器6を流れる冷媒の流量を制御しており、放熱器としての各利用側熱交換器6を通過する冷媒の流量が、放熱器としての各利用側熱交換器6の下流側でかつエコノマイザ熱交換器20の上流側に設けられた利用側膨張機構5cの開度制御による冷媒の減圧操作によって概ね決定される条件においては、各利用側膨張機構5cの開度制御による冷媒の減圧の程度が、放熱器としての各利用側熱交換器6を流れる冷媒の流量だけでなく、複数の放熱器としての利用側熱交換器6間の流量分配の状態によって変動することになり、複数の利用側膨張機構5c間で減圧の程度が大きく異なる状態が生じたり、利用側膨張機構5cにおける減圧の程度が比較的大きくなったりする場合があるため、エコノマイザ熱交換器20の入口における冷媒の圧力が低くなるおそれがあり、このような場合には、エコノマイザ熱交換器20における交換熱量(すなわち、第1後段側インジェクション管19を流れる冷媒の流量)が小さくなってしまい使用が困難になるおそれがある。特に、このような空気調和装置1を、主として圧縮機構2、熱源側熱交換器4及びレシーバ18を含む熱源ユニットと、主として利用側熱交換器6を含む利用ユニットとが連絡配管によって接続されたセパレート型の空気調和装置として構成する場合には、利用ユニット及び熱源ユニットの配置によっては、この連絡配管が非常に長くなることがあり得るため、その圧力損失による影響も加わり、エコノマイザ熱交換器20の入口における冷媒の圧力がさらに低下することになる。そして、エコノマイザ熱交換器20の入口における冷媒の圧力が低下するおそれがある場合には、気液分離器圧力が臨界圧力よりも低い圧力であれば気液分離器圧力と冷凍サイクルにおける中間圧(ここでは、中間冷媒管8を流れる冷媒の圧力)との圧力差が小さい条件であっても使用可能な気液分離器による中間圧インジェクションが有利である。
そこで、本変形例では、図19に示されるように、レシーバ18を気液分離器として機能させて中間圧インジェクションを行うことができるようにするために、レシーバ18に第2後段側インジェクション管18cを接続するようにして、冷房運転時には、エコノマイザ熱交換器20による中間圧インジェクションを行い、暖房運転時には、気液分離器としてのレシーバ18による中間圧インジェクションを行うことが可能な冷媒回路310としている。
尚、第2後段側インジェクション管18cは、レシーバ18から冷媒を抜き出して圧縮機構2の後段側の圧縮要素2dに戻す中間圧インジェクションを行うことが可能な冷媒管であり、本変形例において、レシーバ18の上部と中間冷媒管8(すなわち、圧縮機構2の後段側の圧縮要素2dの吸入側)とを接続するように設けられている。この第2後段側インジェクション管18cには、第2後段側インジェクション開閉弁18dと第2後段側インジェクション逆止機構18eとが設けられている。第2後段側インジェクション開閉弁18dは、開閉動作が可能な弁であり、本変形例において、電磁弁である。第2後段側インジェクション逆止機構18eは、レシーバ18から後段側の圧縮要素2dへの冷媒の流れを許容し、かつ、後段側の圧縮要素2dからレシーバ18への冷媒の流れを遮断するための機構であり、本変形例において、逆止弁が使用されている。尚、第2後段側インジェクション管18cと第1吸入戻し管18fとは、レシーバ18側の部分が一体となっている。また、第2後段側インジェクション管18cと第1後段側インジェクション管19とは、中間冷媒管8側の部分が一体となっている。また、本変形例において、利用側膨張機構5cは、電動膨張弁である。また、本変形例では、上述のように、第1後段側インジェクション管19及びエコノマイザ熱交換器20を冷房運転時に使用し、第2後段側インジェクション管18cを暖房運転時に使用するようにしていることから、エコノマイザ熱交換器20への冷媒の流通方向を冷房運転及び暖房運転を問わず一定にする必要がないため、ブリッジ回路17を省略して、冷媒回路310の構成を簡単なものとしている。
次に、本変形例の空気調和装置1の動作について、図19、図15、図16、図20、図21を用いて説明する。ここで、図20は、暖房運転時の冷凍サイクルが図示された圧力−エンタルピ線図であり、図21は、暖房運転時の冷凍サイクルが図示された温度−エントロピ線図である。ここで、冷房開始制御については、上述の実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。また、本変形例における冷房運転時の冷凍サイクルについては、図15、図16を用いて説明するものとする。尚、以下の冷房運転及び暖房運転における運転制御(ここでは説明しない冷房開始制御も含む)は、上述の実施形態における制御部(図示せず)によって行われる。また、以下の説明において、「高圧」とは、冷凍サイクルにおける高圧(すなわち、図15、図16の点D、D’、E、Hにおける圧力や図20、図21の点D、D’、Fにおける圧力)を意味し、「低圧」とは、冷凍サイクルにおける低圧(すなわち、図15、16の点A、Fにおける圧力や図20、図21の点A、E、Vにおける圧力)を意味し、「中間圧」とは、冷凍サイクルにおける中間圧(すなわち、図15、16の点B1、C1、G、J、Kや図20、図21の点B1、C1、G、I、L、Mにおける圧力)を意味している。
<冷房運転>
冷房運転時は、切換機構3が図19の実線で示される冷却運転状態とされる。熱源側膨張機構としての第1膨張機構5a及び利用側膨張機構5cは、開度調節される。そして、切換機構3が冷却運転状態となるため、中間冷媒管8の中間熱交換器開閉弁12が開けられ、そして、中間熱交換器バイパス管9の中間熱交換器バイパス開閉弁11が閉められることによって、中間熱交換器7が冷却器として機能する状態とされるとともに、第2吸入戻し管92の第2吸入戻し開閉弁92aが閉められることによって、中間熱交換器7と圧縮機構2の吸入側とが接続していない状態にされ(但し、冷房開始制御時を除く)、また、中間熱交換器戻し管94の中間熱交換器戻し開閉弁94aが閉められることによって、利用側熱交換器6と熱源側熱交換器4との間と中間熱交換器7とが接続していない状態にされる。また、切換機構3を冷却運転状態にしている際には、気液分離器としてのレシーバ18による中間圧インジェクションを行わずに、第1後段側インジェクション管19を通じて、エコノマイザ熱交換器20において加熱された冷媒を後段側の圧縮要素2dに戻すエコノマイザ熱交換器20による中間圧インジェクションを行うようにしている。より具体的には、第2後段側インジェクション開閉弁18dは閉状態にされて、第1後段側インジェクション弁19aは、上述の変形例3と同様の開度調節がなされる。
この冷媒回路310の状態において、低圧の冷媒(図19、図15、図16の点A参照)は、吸入管2aから圧縮機構2に吸入され、まず、圧縮要素2cによって中間圧力まで圧縮された後に、中間冷媒管8に吐出される(図19、図15、図16の点B1参照)。この前段側の圧縮要素2cから吐出された中間圧の冷媒は、中間熱交換器7において、冷却源としての水や空気と熱交換を行うことで冷却される(図19、図15、図16の点C1参照)。この中間熱交換器7において冷却された冷媒は、第1後段側インジェクション管19から後段側の圧縮機構2dに戻される冷媒(図19、図15、図16の点K参照)と合流することでさらに冷却される(図19、図15、図16の点G参照)。次に、第1後段側インジェクション管19から戻る冷媒と合流した(すなわち、エコノマイザ熱交換器20による中間圧インジェクションが行われた)中間圧の冷媒は、圧縮要素2cの後段側に接続された圧縮要素2dに吸入されてさらに圧縮されて、圧縮機構2から吐出管2bに吐出される(図19、図15、図16の点D参照)。ここで、圧縮機構2から吐出された高圧の冷媒は、圧縮要素2c、2dによる二段圧縮動作によって、臨界圧力(すなわち、図15に示される臨界点CPにおける臨界圧力Pcp)を超える圧力まで圧縮されている。そして、この圧縮機構2から吐出された高圧の冷媒は、切換機構3を経由して、冷媒の放熱器として機能する熱源側熱交換器4に送られて、冷却源としての水や空気と熱交換を行って冷却される(図19、図15、図16の点E参照)。そして、放熱器としての熱源側熱交換器4において冷却された高圧の冷媒は、その一部が第1後段側インジェクション管19に分岐される。そして、第1後段側インジェクション管19を流れる冷媒は、第1後段側インジェクション弁19aにおいて中間圧付近まで減圧された後に、エコノマイザ熱交換器20に送られる(図19、図15、図16の点J参照)。また、第1後段側インジェクション管19に分岐された後の冷媒は、エコノマイザ熱交換器20に流入し、第1後段側インジェクション管19を流れる冷媒と熱交換を行って冷却される(図19、図15、図16の点H参照)。一方、第1後段側インジェクション管19を流れる冷媒は、放熱器としての熱源側熱交換器4において冷却された高圧の冷媒と熱交換を行って加熱されて(図19、図15、図16の点K参照)、上述のように、前段側の圧縮要素2cから吐出された中間圧の冷媒に合流することになる。そして、エコノマイザ熱交換器20において冷却された高圧の冷媒は、第1膨張機構5aによって飽和圧力付近まで減圧されてレシーバ18内に一時的に溜められる(図19、図15、図16の点I参照)。そして、レシーバ18内に溜められた冷媒は、利用側膨張機構5cに送られて、利用側膨張機構5cによって減圧されて低圧の気液二相状態の冷媒となり、冷媒の蒸発器として機能する利用側熱交換器6に送られる(図19、図15、図16の点F参照)。そして、蒸発器としての利用側熱交換器6に送られた低圧の気液二相状態の冷媒は、加熱源としての水や空気と熱交換を行って加熱されて、蒸発することになる(図19、図15、図16の点A参照)。そして、この蒸発器としての利用側熱交換器6において加熱され蒸発した低圧の冷媒は、切換機構3を経由して、再び、圧縮機構2に吸入される。このようにして、冷房運転が行われる。
<暖房運転>
暖房運転時は、切換機構3が図19の破線で示される加熱運転状態とされる。熱源側膨張機構としての第1膨張機構5a及び利用側膨張機構5cは、開度調節される。そして、切換機構3が加熱運転状態となるため、中間冷媒管8の中間熱交換器開閉弁12が閉められ、そして、中間熱交換器バイパス管9の中間熱交換器バイパス開閉弁11が開けられることによって、中間熱交換器7が冷却器として機能しない状態とされる。さらに、切換機構3が加熱運転状態となるため、第2吸入戻し管92の第2吸入戻し開閉弁92aが開けられることによって、中間熱交換器7と圧縮機構2の吸入側とを接続させる状態とされ、また、中間熱交換器戻し管94の中間熱交換器戻し開閉弁94aが開けられることによって、利用側熱交換器6と熱源側熱交換器4との間と中間熱交換器7とが接続されている状態にされる。また、切換機構3を加熱運転状態にしている際には、エコノマイザ熱交換器20による中間圧インジェクションを行わずに、第2後段側インジェクション管18cを通じて、気液分離器としてのレシーバ18から冷媒を後段側の圧縮要素2dに戻すレシーバ18による中間圧インジェクションを行うようにしている。より具体的には、第2後段側インジェクション開閉弁18dが開状態にされて、第1後段側インジェクション弁19aが全閉状態にされる。
この冷媒回路310の状態において、低圧の冷媒(図19〜図21の点A参照)は、吸入管2aから圧縮機構2に吸入され、まず、圧縮要素2cによって中間圧力まで圧縮された後に、中間冷媒管8に吐出される(図19〜図21の点B1参照)。この前段側の圧縮要素2cから吐出された中間圧の冷媒は、冷房運転時とは異なり、中間熱交換器7を通過せずに(すなわち、冷却されることなく)、中間熱交換器バイパス管9を通過して(図19〜図21の点C1参照)、レシーバ18から第2後段側インジェクション管18cを通じて後段側の圧縮機構2dに戻される冷媒(図19〜図21の点M参照)と合流することで冷却される(図19〜図21の点G参照)。次に、第2後段側インジェクション管18cから戻る冷媒と合流した(すなわち、気液分離器としてのレシーバ18による中間圧インジェクションが行われた)中間圧の冷媒は、圧縮要素2cの後段側に接続された圧縮要素2dに吸入されてさらに圧縮されて、圧縮機構2から吐出管2bに吐出される(図19〜図21の点D参照)。ここで、圧縮機構2から吐出された高圧の冷媒は、冷房運転時と同様、圧縮要素2c、2dによる二段圧縮動作によって、臨界圧力(すなわち、図20に示される臨界点CPにおける臨界圧力Pcp)を超える圧力まで圧縮されている。そして、この圧縮機構2から吐出された高圧の冷媒は、切換機構3を経由して、冷媒の放熱器として機能する利用側熱交換器6に送られて、冷却源としての水や空気と熱交換を行って冷却される(図19〜図21の点F参照)。そして、放熱器としての利用側熱交換器6において冷却された高圧の冷媒は、利用側膨張機構5cによって中間圧付近まで減圧された後に、レシーバ18内に一時的に溜められるとともに気液分離が行われる(図19〜図21の点I、L、M参照)。そして、レシーバ18において気液分離されたガス冷媒は、第2後段側インジェクション管18cによってレシーバ18の上部から抜き出されて、上述のように、前段側の圧縮要素2cから吐出された中間圧の冷媒に合流することになる。そして、レシーバ18内に溜められた液冷媒は、第1膨張機構5aによって減圧されて低圧の気液二相状態の冷媒となり、冷媒の蒸発器として機能する熱源側熱交換器4に送られるとともに、中間熱交換器戻し管94を通じて、冷媒の蒸発器として機能する中間熱交換器7にも送られる(図19〜図21の点E参照)。そして、熱源側熱交換器4に送られた低圧の気液二相状態の冷媒は、加熱源としての水や空気と熱交換を行って加熱されて、蒸発することになる(図19〜図21の点A参照)。また、中間熱交換器7に送られた低圧の気液二相状態の冷媒も、加熱源としての水や空気と熱交換を行って加熱されて、蒸発することになる(図19〜図21の点V参照)。そして、この熱源側熱交換器4において加熱されて蒸発した低圧の冷媒は、切換機構3を経由して、再び、圧縮機構2に吸入される。また、この中間熱交換器7において加熱されて蒸発した低圧の冷媒は、第2吸入戻し管92を通じて、再び、圧縮機構2に吸入される。このようにして、暖房運転が行われる。
そして、本変形例の構成においては、暖房運転時にエコノマイザ熱交換器20による中間圧インジェクションに代えて気液分離器としてのレシーバ18による中間圧インジェクションを行う点が変形例3と異なるが、その他の点については、変形例3と同様の作用効果を得ることができる。
また、本変形例では、冷房運転と冷房開始制御との間の切り換え、すなわち、冷媒不戻し状態と冷媒戻し状態との切り換えを、開閉弁11、12、92aの開閉状態によって行うようにしているが、上述の変形例1のように、開閉弁11、12、92aに代えて、冷媒不戻し状態と冷媒戻し状態とを切り換え可能な中間熱交換器切換弁93を設けるようにしてもよい。
さらに、変形例2のような熱源ユニット1aの構成を採用する場合には、特に有利な効果を得ることができる。
(7)変形例5
上述の変形例4における冷媒回路310(図19参照)においては、複数の空調空間の空調負荷に応じた冷房や暖房を行うこと等を目的として、互いに並列に接続された複数の利用側熱交換器6を有する構成にするとともに、各利用側熱交換器6を流れる冷媒の流量を制御して各利用側熱交換器6において必要とされる冷凍負荷を得ることができるようにするために、レシーバ18と利用側熱交換器6との間において各利用側熱交換器6に対応するように利用側膨張機構5cを設けた構成を採用している。このような構成では、冷房運転時において、第1膨張機構5aによって飽和圧力付近まで減圧されてレシーバ18内に一時的に溜められた冷媒(図19の点I参照)が、各利用側膨張機構5cに分配されるが、レシーバ18から各利用側膨張機構5cに送られる冷媒が気液二相状態であると、各利用側膨張機構5cへの分配時に偏流を生じるおそれがあるため、レシーバ18から各利用側膨張機構5cに送られる冷媒をできるだけ過冷却状態にすることが望ましい。
そこで、本変形例では、図22に示されるように、上述の変形例4における冷媒回路310において、レシーバ18と利用側膨張機構5cとの間に過冷却熱交換器96及び第3吸入戻し管95を設けた冷媒回路410としている。
過冷却熱交換器96は、レシーバ18から利用側膨張機構5cに送られる冷媒を冷却する熱交換器である。より具体的には、過冷却熱交換器96は、冷房運転時に、レシーバ18から利用側膨張機構5cに送られる冷媒の一部を分岐して圧縮機構2の吸入側(すなわち、蒸発器としての利用側熱交換器6と圧縮機構2との間の吸入管2a)に戻す第3吸入戻し管95を流れる冷媒との熱交換を行う熱交換器であり、両冷媒が対向するように流れる流路を有している。ここで、第3吸入戻し管95は、放熱器としての熱源側熱交換器4から利用側膨張機構5cに送られる冷媒を分岐して圧縮機構2の吸入側(すなわち、吸入管2a)に戻す冷媒管である。この第3吸入戻し管95には、開度制御が可能な第3吸入戻し弁95aが設けられており、過冷却熱交換器96において、レシーバ18から利用側膨張機構5cに送られる冷媒と第3吸入戻し弁95aにおいて低圧付近まで減圧された後の第3吸入戻し管95を流れる冷媒との熱交換を行うようになっている。第3吸入戻し弁95aは、本変形例において、電動膨張弁である。また、吸入管2a又は圧縮機構2には、圧縮機構2の吸入側を流れる冷媒の圧力を検出する吸入圧力センサ60が設けられている。過冷却熱交換器96の第3吸入戻し管95側の出口には、過冷却熱交換器96の第3吸入戻し管95側の出口における冷媒の温度を検出する過冷却熱交出口温度センサ59が設けられている。
次に、本変形例の空気調和装置1の動作について、図22〜図24、図20、図21を用いて説明する。ここで、図23は、冷房運転時の冷凍サイクルが図示された圧力−エンタルピ線図であり、図24は、冷房運転時の冷凍サイクルが図示された温度−エントロピ線図である。ここで、冷房開始制御については、上述の実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。また、本変形例における暖房運転時の冷凍サイクルについては、図20、図21を用いて説明するものとする。尚、以下の冷房運転及び暖房運転における運転制御(ここでは説明しない冷房開始制御も含む)は、上述の実施形態における制御部(図示せず)によって行われる。また、以下の説明において、「高圧」とは、冷凍サイクルにおける高圧(すなわち、図23、図24の点D、E、I、Rにおける圧力や図20、図21の点D、D’、Fにおける圧力)を意味し、「低圧」とは、冷凍サイクルにおける低圧(すなわち、図23、24の点A、F、F、S’、Uにおける圧力や図20、図21の点A、E、Vにおける圧力)を意味し、「中間圧」とは、冷凍サイクルにおける中間圧(すなわち、図23、24の点B1、C1、G、J、Kや図20、図21の点B1、C1、G、I、L、Mにおける圧力)を意味している。
<冷房運転>
冷房運転時は、切換機構3が図22の実線で示される冷却運転状態とされる。熱源側膨張機構としての第1膨張機構5a及び利用側膨張機構5cは、開度調節される。そして、切換機構3が冷却運転状態となるため、中間冷媒管8の中間熱交換器開閉弁12が開けられ、そして、中間熱交換器バイパス管9の中間熱交換器バイパス開閉弁11が閉められることによって、中間熱交換器7が冷却器として機能する状態とされるとともに、第2吸入戻し管92の第2吸入戻し開閉弁92aが閉められることによって、中間熱交換器7と圧縮機構2の吸入側とが接続していない状態にされ(但し、冷房開始制御時を除く)、また、中間熱交換器戻し管94の中間熱交換器戻し開閉弁94aが閉められることによって、利用側熱交換器6と熱源側熱交換器4との間と中間熱交換器7とが接続していない状態にされる。また、切換機構3を冷却運転状態にしている際には、気液分離器としてのレシーバ18による中間圧インジェクションを行わずに、第1後段側インジェクション管19を通じて、エコノマイザ熱交換器20において加熱された冷媒を後段側の圧縮要素2dに戻すエコノマイザ熱交換器20による中間圧インジェクションを行うようにしている。より具体的には、第2後段側インジェクション開閉弁18dは閉状態にされて、第1後段側インジェクション弁19aは、上述の変形例3と同様の開度調節がなされる。また、切換機構3を冷却運転状態にしている際には、過冷却熱交換器96を使用するため、第3吸入戻し弁95aについても、開度調節される。より具体的には、本変形例において、第3吸入戻し弁95aは、過冷却熱交換器96の第3吸入戻し管95側の出口における冷媒の過熱度が目標値になるように開度調節される、いわゆる過熱度制御がなされるようになっている。本変形例において、過冷却熱交換器96の第3吸入戻し管95側の出口における冷媒の過熱度は、吸入圧力センサ60により検出される低圧を飽和温度に換算し、過冷却熱交出口温度センサ59により検出される冷媒温度からこの冷媒の飽和温度値を差し引くことによって得られる。尚、本変形例では採用していないが、過冷却熱交換器96の第3吸入戻し管95側の入口に温度センサを設けて、この温度センサにより検出される冷媒温度を過冷却熱交出口温度センサ59により検出される冷媒温度から差し引くことによって、過冷却熱交換器96の第3吸入戻し管95側の出口における冷媒の過熱度を得るようにしてもよい。また、第3吸入戻し弁95aの開度調節は、過熱度制御に限られるものではなく、例えば、冷媒回路410における冷媒循環量等に応じて所定開度だけ開けるようにするものであってもよい。
この冷媒回路410の状態において、低圧の冷媒(図22〜図24の点A参照)は、吸入管2aから圧縮機構2に吸入され、まず、圧縮要素2cによって中間圧力まで圧縮された後に、中間冷媒管8に吐出される(図22〜図24の点B1参照)。この前段側の圧縮要素2cから吐出された中間圧の冷媒は、中間熱交換器7において、冷却源としての水や空気と熱交換を行うことで冷却される(図22〜図24の点C1参照)。この中間熱交換器7において冷却された冷媒は、第1後段側インジェクション管19から後段側の圧縮機構2dに戻される冷媒(図22〜図24の点K参照)と合流することでさらに冷却される(図22〜図24の点G参照)。次に、第1後段側インジェクション管19から戻る冷媒と合流した(すなわち、エコノマイザ熱交換器20による中間圧インジェクションが行われた)中間圧の冷媒は、圧縮要素2cの後段側に接続された圧縮要素2dに吸入されてさらに圧縮されて、圧縮機構2から吐出管2bに吐出される(図22〜図24の点D参照)。ここで、圧縮機構2から吐出された高圧の冷媒は、圧縮要素2c、2dによる二段圧縮動作によって、臨界圧力(すなわち、図23に示される臨界点CPにおける臨界圧力Pcp)を超える圧力まで圧縮されている。そして、この圧縮機構2から吐出された高圧の冷媒は、切換機構3を経由して、冷媒の放熱器として機能する熱源側熱交換器4に送られて、冷却源としての水や空気と熱交換を行って冷却される(図22〜図24の点E参照)。そして、放熱器としての熱源側熱交換器4において冷却された高圧の冷媒は、その一部が第1後段側インジェクション管19に分岐される。そして、第1後段側インジェクション管19を流れる冷媒は、第1後段側インジェクション弁19aにおいて中間圧付近まで減圧された後に、エコノマイザ熱交換器20に送られる(図22〜図24の点J参照)。また、第1後段側インジェクション管19に分岐された後の冷媒は、エコノマイザ熱交換器20に流入し、第1後段側インジェクション管19を流れる冷媒と熱交換を行って冷却される(図20〜図22の点H参照)。一方、第1後段側インジェクション管19を流れる冷媒は、放熱器としての熱源側熱交換器4において冷却された高圧の冷媒と熱交換を行って加熱されて(図22〜図24の点K参照)、上述のように、前段側の圧縮要素2cから吐出された中間圧の冷媒に合流することになる。そして、エコノマイザ熱交換器20において冷却された高圧の冷媒は、第1膨張機構5aによって飽和圧力付近まで減圧されてレシーバ18内に一時的に溜められる(図22〜図24の点I参照)。そして、レシーバ18内に溜められた冷媒は、その一部が第3吸入戻し管95に分岐される。そして、第3吸入戻し管95を流れる冷媒は、第3吸入戻し弁95aにおいて低圧付近まで減圧された後に、過冷却熱交換器96に送られる(図20〜図22の点S参照)。また、第3吸入戻し管95に分岐された後の冷媒は、過冷却熱交換器96に流入し、第3吸入戻し管95を流れる冷媒と熱交換を行ってさらに冷却される(図22〜図24の点R参照)。一方、第3吸入戻し管95を流れる冷媒は、エコノマイザ熱交換器20において冷却された高圧の冷媒と熱交換を行って加熱されて(図22〜図24の点U参照)、圧縮機構2の吸入側(ここでは、吸入管2a)を流れる冷媒に合流することになる。この過冷却熱交換器96において冷却された冷媒は、利用側膨張機構5cに送られて、利用側膨張機構5cによって減圧されて低圧の気液二相状態の冷媒となり、冷媒の蒸発器として機能する利用側熱交換器6に送られる(図22〜図24の点F参照)。そして、蒸発器としての利用側熱交換器6に送られた低圧の気液二相状態の冷媒は、加熱源としての水や空気と熱交換を行って加熱されて、蒸発することになる(図22〜図24の点A参照)。そして、この蒸発器としての利用側熱交換器6において加熱され蒸発した低圧の冷媒は、切換機構3を経由して、再び、圧縮機構2に吸入される。このようにして、冷房運転が行われる。
<暖房運転>
暖房運転時は、切換機構3が図22の破線で示される加熱運転状態とされる。熱源側膨張機構としての第1膨張機構5a及び利用側膨張機構5cは、開度調節される。そして、切換機構3が加熱運転状態となるため、中間冷媒管8の中間熱交換器開閉弁12が閉められ、そして、中間熱交換器バイパス管9の中間熱交換器バイパス開閉弁11が開けられることによって、中間熱交換器7が冷却器として機能しない状態とされる。さらに、切換機構3が加熱運転状態となるため、第2吸入戻し管92の第2吸入戻し開閉弁92aが開けられることによって、中間熱交換器7と圧縮機構2の吸入側とを接続させる状態とされ、また、中間熱交換器戻し管94の中間熱交換器戻し開閉弁94aが開けられることによって、利用側熱交換器6と熱源側熱交換器4との間と中間熱交換器7とが接続されている状態にされる。また、切換機構3を加熱運転状態にしている際には、エコノマイザ熱交換器20による中間圧インジェクションを行わずに、第2後段側インジェクション管18cを通じて、気液分離器としてのレシーバ18から冷媒を後段側の圧縮要素2dに戻すレシーバ18による中間圧インジェクションを行うようにしている。より具体的には、第2後段側インジェクション開閉弁18dが開状態にされて、第1後段側インジェクション弁19aが全閉状態にされる。また、切換機構3を加熱運転状態にしている際には、過冷却熱交換器96を使用しないため、第3吸入戻し弁95aについても全閉状態にされる。
この冷媒回路410の状態において、低圧の冷媒(図22、図20、図21の点A参照)は、吸入管2aから圧縮機構2に吸入され、まず、圧縮要素2cによって中間圧力まで圧縮された後に、中間冷媒管8に吐出される(図22、図20、図21の点B1参照)。この前段側の圧縮要素2cから吐出された中間圧の冷媒は、冷房運転時とは異なり、中間熱交換器7を通過せずに(すなわち、冷却されることなく)、中間熱交換器バイパス管9を通過して(図22、図20、図21の点C1参照)、レシーバ18から第2後段側インジェクション管18cを通じて後段側の圧縮機構2dに戻される冷媒(図22、図20、図21の点M参照)と合流することで冷却される(図22、図20、図21の点G参照)。次に、第2後段側インジェクション管18cから戻る冷媒と合流した(すなわち、気液分離器としてのレシーバ18による中間圧インジェクションが行われた)中間圧の冷媒は、圧縮要素2cの後段側に接続された圧縮要素2dに吸入されてさらに圧縮されて、圧縮機構2から吐出管2bに吐出される(図22、図20、図21の点D参照)。ここで、圧縮機構2から吐出された高圧の冷媒は、冷房運転時と同様、圧縮要素2c、2dによる二段圧縮動作によって、臨界圧力(すなわち、図20に示される臨界点CPにおける臨界圧力Pcp)を超える圧力まで圧縮されている。そして、この圧縮機構2から吐出された高圧の冷媒は、切換機構3を経由して、冷媒の放熱器として機能する利用側熱交換器6に送られて、冷却源としての水や空気と熱交換を行って冷却される(図22、図20、図21の点F参照)。そして、放熱器としての利用側熱交換器6において冷却された高圧の冷媒は、利用側膨張機構5cによって中間圧付近まで減圧された後に、レシーバ18内に一時的に溜められるとともに気液分離が行われる(図22、図20、図21の点I、L、M参照)。そして、レシーバ18において気液分離されたガス冷媒は、第2後段側インジェクション管18cによってレシーバ18の上部から抜き出されて、上述のように、前段側の圧縮要素2cから吐出された中間圧の冷媒に合流することになる。そして、レシーバ18内に溜められた液冷媒は、第1膨張機構5aによって減圧されて低圧の気液二相状態の冷媒となり、冷媒の蒸発器として機能する熱源側熱交換器4に送られるとともに、中間熱交換器戻し管94を通じて、冷媒の蒸発器として機能する中間熱交換器7にも送られる(図22、図20、図21の点E参照)。そして、熱源側熱交換器4に送られた低圧の気液二相状態の冷媒は、加熱源としての水や空気と熱交換を行って加熱されて、蒸発することになる(図22、図20、図21の点A参照)。また、中間熱交換器7に送られた低圧の気液二相状態の冷媒も、加熱源としての水や空気と熱交換を行って加熱されて、蒸発することになる(図22、図20、図21の点V参照)。そして、この熱源側熱交換器4において加熱されて蒸発した低圧の冷媒は、切換機構3を経由して、再び、圧縮機構2に吸入される。また、この中間熱交換器7において加熱されて蒸発した低圧の冷媒は、第2吸入戻し管92を通じて、再び、圧縮機構2に吸入される。このようにして、暖房運転が行われる。
そして、本変形例の構成においては、上述の変形例5と同様の作用効果が得られるとともに、冷房運転時にレシーバ18から利用側膨張機構5cへ送られる冷媒(図22〜図24の点I参照)を過冷却熱交換器96によって過冷却状態まで冷却することができるため(図23、図24点I、R参照)、各利用側膨張機構5cへの分配時に偏流を生じるおそれを少なくすることができる。
また、本変形例では、冷房運転と冷房開始制御との間の切り換え、すなわち、冷媒不戻し状態と冷媒戻し状態との切り換えを、開閉弁11、12、92aの開閉状態によって行うようにしているが、上述の変形例1のように、開閉弁11、12、92aに代えて、冷媒不戻し状態と冷媒戻し状態とを切り換え可能な中間熱交換器切換弁93を設けるようにしてもよい。
さらに、変形例2のような熱源ユニット1aの構成を採用する場合には、特に有利な効果を得ることができる。
(8)変形例6
上述の実施形態及びその変形例では、1台の一軸二段圧縮構造の圧縮機21によって、2つの圧縮要素2c、2dのうちの前段側の圧縮要素から吐出された冷媒を後段側の圧縮要素で順次圧縮する二段圧縮式の圧縮機構2が構成されているが、三段圧縮式等のような二段圧縮式よりも多段の圧縮機構を採用してもよいし、また、単一の圧縮要素が組み込まれた圧縮機及び/又は複数の圧縮要素が組み込まれた圧縮機を複数台直列に接続することで多段の圧縮機構を構成してもよい。また、利用側熱交換器6が多数接続される場合等のように、圧縮機構の能力を大きくする必要がある場合には、多段圧縮式の圧縮機構を2系統以上並列に接続した並列多段圧縮式の圧縮機構を採用してもよい。
例えば、図25に示されるように、上述の変形例5における冷媒回路410(図22参照)において、二段圧縮式の圧縮機構2に代えて、二段圧縮式の圧縮機構103、104を並列に接続した圧縮機構102を採用した冷媒回路510にしてもよい。
第1圧縮機構103は、本変形例において、2つの圧縮要素103c、103dで冷媒を二段圧縮する圧縮機29から構成されており、圧縮機構102の吸入母管102aから分岐された第1吸入枝管103a、及び、圧縮機構102の吐出母管102bに合流する第1吐出枝管103bに接続されている。第2圧縮機構104は、本変形例において、2つの圧縮要素104c、104dで冷媒を二段圧縮する圧縮機30から構成されており、圧縮機構102の吸入母管102aから分岐された第2吸入枝管104a、及び、圧縮機構102の吐出母管102bに合流する第2吐出枝管104bに接続されている。尚、圧縮機29、30は、上述の実施形態及びその変形例における圧縮機21と同様の構成であるため、圧縮要素103c、103d、104c、104dを除く各部を示す符号をそれぞれ29番台や30番台に置き換えることとし、ここでは、説明を省略する。そして、圧縮機29は、第1吸入枝管103aから冷媒を吸入し、この吸入された冷媒を圧縮要素103cによって圧縮した後に中間冷媒管8を構成する第1入口側中間枝管81に吐出し、第1入口側中間枝管81に吐出された冷媒を中間冷媒管8を構成する中間母管82及び第1出口側中間枝管83を通じて圧縮要素103dに吸入させて冷媒をさらに圧縮した後に第1吐出枝管103bに吐出するように構成されている。圧縮機30は、第1吸入枝管104aから冷媒を吸入し、この吸入された冷媒を圧縮要素104cによって圧縮した後に中間冷媒管8を構成する第2入口側中間枝管84に吐出し、第2入口側中間枝管84に吐出された冷媒を中間冷媒管8を構成する中間母管82及び第2出口側中間枝管85を通じて圧縮要素104dに吸入させて冷媒をさらに圧縮した後に第2吐出枝管104bに吐出するように構成されている。中間冷媒管8は、本変形例において、圧縮要素103d、104dの前段側に接続された圧縮要素103c、104cから吐出された冷媒を、圧縮要素103c、104cの後段側に接続された圧縮要素103d、104dに吸入させるための冷媒管であり、主として、第1圧縮機構103の前段側の圧縮要素103cの吐出側に接続される第1入口側中間枝管81と、第2圧縮機構104の前段側の圧縮要素104cの吐出側に接続される第2入口側中間枝管84と、両入口側中間枝管81、84が合流する中間母管82と、中間母管82から分岐されて第1圧縮機構103の後段側の圧縮要素103dの吸入側に接続される第1出口側中間枝管83と、中間母管82から分岐されて第2圧縮機構104の後段側の圧縮要素104dの吸入側に接続される第2出口側中間枝管85とを有している。また、吐出母管102bは、圧縮機構102から吐出された冷媒を切換機構3に送るための冷媒管であり、吐出母管102bに接続される第1吐出枝管103bには、第1油分離機構141と第1逆止機構142とが設けられており、吐出母管102bに接続される第2吐出枝管104bには、第2油分離機構143と第2逆止機構144とが設けられている。第1油分離機構141は、第1圧縮機構103から吐出される冷媒に同伴する冷凍機油を冷媒から分離して圧縮機構102の吸入側へ戻す機構であり、主として、第1圧縮機構103から吐出される冷媒に同伴する冷凍機油を冷媒から分離する第1油分離器141aと、第1油分離器141aに接続されており冷媒から分離された冷凍機油を圧縮機構102の吸入側に戻す第1油戻し管141bとを有している。第2油分離機構143は、第2圧縮機構104から吐出される冷媒に同伴する冷凍機油を冷媒から分離して圧縮機構102の吸入側へ戻す機構であり、主として、第2圧縮機構104から吐出される冷媒に同伴する冷凍機油を冷媒から分離する第2油分離器143aと、第2油分離器143aに接続されており冷媒から分離された冷凍機油を圧縮機構102の吸入側に戻す第2油戻し管143bとを有している。本変形例において、第1油戻し管141bは、第2吸入枝管104aに接続されており、第2油戻し管143cは、第1吸入枝管103aに接続されている。このため、第1圧縮機構103内に溜まった冷凍機油の量と第2圧縮機構104内に溜まった冷凍機油の量との間に偏りに起因して第1圧縮機構103から吐出される冷媒に同伴する冷凍機油の量と第2圧縮機構104から吐出される冷媒に同伴する冷凍機油の量との間に偏りが生じた場合であっても、圧縮機構103、104のうち冷凍機油の量が少ない方に冷凍機油が多く戻ることになり、第1圧縮機構103内に溜まった冷凍機油の量と第2圧縮機構104内に溜まった冷凍機油の量との間の偏りが解消されるようになっている。また、本変形例において、第1吸入枝管103aは、第2油戻し管143bとの合流部から吸入母管102aとの合流部までの間の部分が、吸入母管102aとの合流部に向かって下り勾配になるように構成されており、第2吸入枝管104aは、第1油戻し管141bとの合流部から吸入母管102aとの合流部までの間の部分が、吸入母管102aとの合流部に向かって下り勾配になるように構成されている。このため、圧縮機構103、104のいずれか一方が停止中であっても、運転中の圧縮機構に対応する油戻し管から停止中の圧縮機構に対応する吸入枝管に戻される冷凍機油は、吸入母管102aに戻ることになり、運転中の圧縮機構の油切れが生じにくくなっている。油戻し管141b、143bには、油戻し管141b、143bを流れる冷凍機油を減圧する減圧機構141c、143cが設けられている。逆止機構142、144は、圧縮機構103、104の吐出側から切換機構3への冷媒の流れを許容し、かつ、切換機構3から圧縮機構103、104の吐出側への冷媒の流れを遮断するための機構である。
このように、圧縮機構102は、本変形例において、2つの圧縮要素103c、103dを有するとともにこれらの圧縮要素103c、103dのうちの前段側の圧縮要素から吐出された冷媒を後段側の圧縮要素で順次圧縮するように構成された第1圧縮機構103と、2つの圧縮要素104c、104dを有するとともにこれらの圧縮要素104c、104dのうちの前段側の圧縮要素から吐出された冷媒を後段側の圧縮要素で順次圧縮するように構成された第2圧縮機構104とを並列に接続した構成となっている。
中間熱交換器7は、本変形例において、中間冷媒管8を構成する中間母管82に設けられており、第1圧縮機構103の前段側の圧縮要素103cから吐出された冷媒と第2圧縮機構104の前段側の圧縮要素104cから吐出された冷媒とが合流したものを冷却する熱交換器である。すなわち、中間熱交換器7は、2つの圧縮機構103、104に共通の冷却器として機能するものとなっている。このため、多段圧縮式の圧縮機構103、104を複数系統並列に接続した並列多段圧縮式の圧縮機構102に対して中間熱交換器7を設ける際の圧縮機構102周りの回路構成の簡素化が図られている。
また、中間冷媒管8を構成する第1入口側中間枝管81には、第1圧縮機構103の前段側の圧縮要素103cの吐出側から中間母管82側への冷媒の流れを許容し、かつ、中間母管82側から前段側の圧縮要素103cの吐出側への冷媒の流れを遮断するための逆止機構81aが設けられており、中間冷媒管8を構成する第2入口側中間枝管84には、第2圧縮機構103の前段側の圧縮要素104cの吐出側から中間母管82側への冷媒の流れを許容し、かつ、中間母管82側から前段側の圧縮要素104cの吐出側への冷媒の流れを遮断するための逆止機構84aが設けられている。本変形例においては、逆止機構81a、84aとして逆止弁が使用されている。このため、圧縮機構103、104のいずれか一方が停止中であっても、運転中の圧縮機構の前段側の圧縮要素から吐出された冷媒が中間冷媒管8を通じて、停止中の圧縮機構の前段側の圧縮要素の吐出側に達するということが生じないため、運転中の圧縮機構の前段側の圧縮要素から吐出された冷媒が、停止中の圧縮機構の前段側の圧縮要素内を通じて圧縮機構102の吸入側に抜けて停止中の圧縮機構の冷凍機油が流出するということが生じなくなり、これにより、停止中の圧縮機構を起動する際の冷凍機油の不足が生じにくくなっている。尚、圧縮機構103、104間に運転の優先順位を設けている場合(例えば、第1圧縮機構103を優先的に運転する圧縮機構とする場合)には、上述の停止中の圧縮機構に該当することがあるのは、第2圧縮機構104に限られることになるため、この場合には、第2圧縮機構104に対応する逆止機構84aだけを設けるようにしてもよい。
また、上述のように、第1圧縮機構103を優先的に運転する圧縮機構とする場合においては、中間冷媒管8が圧縮機構103、104に共通に設けられているため、運転中の第1圧縮機構103に対応する前段側の圧縮要素103cから吐出された冷媒が中間冷媒管8の第2出口側中間枝管85を通じて、停止中の第2圧縮機構104の後段側の圧縮要素104dの吸入側に達し、これにより、運転中の第1圧縮機構103の前段側の圧縮要素103cから吐出された冷媒が、停止中の第2圧縮機構104の後段側の圧縮要素104d内を通じて圧縮機構102の吐出側に抜けて停止中の第2圧縮機構104の冷凍機油が流出して、停止中の第2圧縮機構104を起動する際の冷凍機油の不足が生じるおそれがある。そこで、本変形例では、第2出口側中間枝管85に開閉弁85aを設け、第2圧縮機構104が停止中の場合には、この開閉弁85aによって第2出口側中間枝管85内の冷媒の流れを遮断するようにしている。これにより、運転中の第1圧縮機構103の前段側の圧縮要素103cから吐出された冷媒が中間冷媒管8の第2出口側中間枝管85を通じて、停止中の第2圧縮機構104の後段側の圧縮要素104dの吸入側に達することがなくなるため、運転中の第1圧縮機構103の前段側の圧縮要素103cから吐出された冷媒が、停止中の第2圧縮機構104の後段側の圧縮要素104d内を通じて圧縮機構102の吐出側に抜けて停止中の第2圧縮機構104の冷凍機油が流出するということが生じなくなり、これにより、停止中の第2圧縮機構104を起動する際の冷凍機油の不足がさらに生じにくくなっている。尚、本変形例においては、開閉弁85aとして電磁弁が使用されている。
また、第1圧縮機構103を優先的に運転する圧縮機構とする場合においては、第1圧縮機構103の起動に続いて第2圧縮機構104を起動することになるが、この際、中間冷媒管8が圧縮機構103、104に共通に設けられているため、第2圧縮機構104の前段側の圧縮要素103cの吐出側の圧力及び後段側の圧縮要素103dの吸入側の圧力が、前段側の圧縮要素103cの吸入側の圧力及び後段側の圧縮要素103dの吐出側の圧力よりも高くなった状態から起動することになり、安定的に第2圧縮機構104を起動することが難しい。そこで、本変形例では、第2圧縮機構104の前段側の圧縮要素104cの吐出側と後段側の圧縮要素104dの吸入側とを接続する起動バイパス管86を設けるとともに、この起動バイパス管86に開閉弁86aを設け、第2圧縮機構104が停止中の場合には、この開閉弁86aによって起動バイパス管86内の冷媒の流れを遮断し、かつ、開閉弁85aによって第2出口側中間枝管85内の冷媒の流れを遮断するようにし、第2圧縮機構104を起動する際に、開閉弁86aによって起動バイパス管86内に冷媒を流すことができる状態にすることで、第2圧縮機構104の前段側の圧縮要素104cから吐出される冷媒を第1圧縮機構103の前段側の圧縮要素104cから吐出される冷媒に合流させることなく、起動バイパス管86を通じて後段側の圧縮要素104dに吸入させるようにして、圧縮機構102の運転状態が安定した時点(例えば、圧縮機構102の吸入圧力、吐出圧力及び中間圧力が安定した時点)で、開閉弁85aによって第2出口側中間枝管85内に冷媒を流すことができる状態にし、かつ、開閉弁86aによって起動バイパス管86内の冷媒の流れを遮断して、通常の冷房運転に移行することができるようになっている。尚、本変形例において、起動バイパス管86は、その一端が第2出口側中間枝管85の開閉弁85aと第2圧縮機構104の後段側の圧縮要素104dの吸入側との間に接続され、その他端が第2圧縮機構104の前段側の圧縮要素104cの吐出側と第2入口側中間枝管84の逆止機構84aとの間に接続されており、第2圧縮機構104を起動する際に、第1圧縮機構103の中間圧部分の影響を受けにくい状態にできるようになっている。また、本変形例においては、開閉弁86aとして電磁弁が使用されている。
また、本変形例の空気調和装置1の冷房運転や暖房運転等の動作は、圧縮機構2に代えて設けられた圧縮機構102によって、圧縮機構102周りの回路構成がやや複雑化したことによる変更点を除いては、上述の変形例5における動作(図22〜図24、図20、図21及びその関連記載)と基本的に同じであるため、ここでは、説明を省略する。
そして、本変形例の構成においても、上述の変形例5と同様の作用効果を得ることができる。
また、本変形例では、冷房運転と冷房開始制御との間の切り換え、すなわち、冷媒不戻し状態と冷媒戻し状態との切り換えを、開閉弁11、12、92aの開閉状態によって行うようにしているが、上述の変形例1のように、開閉弁11、12、92aに代えて、冷媒不戻し状態と冷媒戻し状態とを切り換え可能な中間熱交換器切換弁93を設けるようにしてもよい。
さらに、変形例2のような熱源ユニット1aの構成を採用する場合には、特に有利な効果を得ることができる。
(9)変形例7
上述の実施形態及びその変形例では、1台の一軸二段圧縮構造の圧縮機21によって、前段側の圧縮要素から吐出された冷媒を後段側の圧縮要素で順次圧縮する二段圧縮式の圧縮機構2を構成したり、2台の一軸二段圧縮構造の圧縮機29、30を並列接続することによって、前段側の圧縮要素から吐出された冷媒を後段側の圧縮要素で順次圧縮する二段圧縮式の圧縮機構102を構成しているが、単段圧縮構造の圧縮機22、23を直列接続することによって、前段側の圧縮要素から吐出された冷媒を後段側の圧縮要素で順次圧縮する二段圧縮式の圧縮機構を構成してもよい。
例えば、図26に示されるように、上述の変形例1における冷媒回路110(図10参照)において、一軸二段圧縮構造の圧縮機21からなる圧縮機構2に代えて、単段圧縮構造の圧縮機22、23を直列に接続した圧縮機構202を採用した冷媒回路610にしてもよい。
圧縮機構202は、本変形例において、前段側の圧縮要素としての圧縮要素2cで冷媒を圧縮する圧縮機22と、後段側の圧縮要素としての圧縮要素2dで冷媒を圧縮する圧縮機22とから構成されている。圧縮機22は、ケーシング22a内に、圧縮機駆動モータ22bと、駆動軸22cと、圧縮要素2cとが収容された密閉式構造となっている。圧縮機駆動モータ22bは、駆動軸22cに連結されている。また、圧縮機23は、ケーシング23a内に、圧縮機駆動モータ23bと、駆動軸23cと、圧縮要素2dとが収容された密閉式構造となっている。圧縮機駆動モータ23bは、駆動軸23cに連結されている。圧縮要素2c、2dは、本変形例において、ロータリ式やスクロール式等の容積式の圧縮要素である。そして、圧縮機構202は、吸入管2aから冷媒を吸入し、この吸入された冷媒を圧縮機22の圧縮要素2cによって圧縮した後に中間冷媒管8に吐出し、中間冷媒管8に吐出された冷媒を圧縮機23の圧縮要素2dに吸入させて冷媒をさらに圧縮した後に吐出管2bに吐出するように構成されている。
また、本変形例の空気調和装置1の冷房運転や暖房運転等の動作は、圧縮機構2が圧縮機構202に置き換えられた点を除いては、上述の変形例1における動作(図10、図1〜図9及びその関連記載)と基本的に同じであるため、ここでは、説明を省略する。
そして、本変形例の構成においても、上述の変形例1等と同様の作用効果を得ることができる。
(10)変形例8
上述の実施形態及びその変形例では、中間熱交換器戻し管94に電磁弁からなる中間熱交換器戻し開閉弁94aが設けられており、切換機構3を冷却運転状態にしている際に閉め、切換機構3を加熱運転状態にしている際に開ける制御がなされるようになっているが、この中間熱交換器戻し開閉弁94aに代えて、暖房運転時に冷媒の蒸発器として機能する中間熱交換器7を流れる冷媒の流量を制御することができるように流量調節弁を設けるようにしてもよい。
例えば、図27に示されるように、上述の変形例7における冷媒回路610(図26参照)において、中間熱交換器戻し開閉弁94aに代えて、流量調節弁としての中間熱交換器戻し弁94bを設けた冷媒回路710にしてもよい。本変形例において、中間熱交換器戻し弁94bとしては、開度調節が可能な電動膨張弁が使用されている。また、中間熱交換器戻し弁94bを設けるにあたり、レシーバ入口管18aに設けられていた第1膨張機構5aを熱源側熱交換器4とブリッジ回路17との間を接続する冷媒管18h(より具体的には、冷媒管18hのうち中間熱交換器戻し管94の分岐位置と熱源側熱交換器4との間の部分)に設けることで、中間熱交換器戻し弁94bの前後の差圧を確保するようにし、また、レシーバ出口管18bに設けられていた第2膨張機構5bをブリッジ回路17と利用側熱交換器6との間を接続する冷媒管18iに設けることで、レシーバ18における冷媒の圧力が冷凍サイクルにおける中間圧になるようにしている。
そして、本変形例の構成においては、冷房運転時にブリッジ回路17を介して第1膨張機構5a、レシーバ18、第2膨張機構5bの順に冷媒回路710を冷媒が流れ、そして、暖房運転時にブリッジ回路17を介して第2膨張機構5b、レシーバ18、第1膨張機構5aの順に冷媒回路710を冷媒が流れる点が、上述の変形例7とは異なるものの(変形例7では、冷房運転時及び暖房運転時のいずれにおいても、第1膨張機構5a、レシーバ、第2膨張機構5bの順に冷媒回路610を冷媒が流れる)、この点を除いては、上述の変形例7等と同様の作用効果を得ることができる。しかも、本変形例の構成では、中間熱交換器戻し管94に流量調節弁としての中間熱交換器戻し弁94bが設けられているため、冷却運転時に中間熱交換器戻し管94への冷媒の流入を防ぐことができるだけでなく、加熱運転時に熱源側熱交換器4を流れる冷媒の流量と中間熱交換器7を流れる冷媒の流量との分配を確実に行うことができる。
(11)変形例9
上述の実施形態及びその変形例の構成において、熱源側熱交換器4と利用側熱交換器6との間に熱源側熱交換器4と利用側熱交換器6との間を流れる冷媒を等エントロピ的に膨張させる膨張装置を設けるようにしてもよい。
例えば、図28に示されるように、上述の変形例8における冷媒回路710(図27参照)において、レシーバ入口管18aに冷媒を等エントロピ的に膨張させる膨張装置97を設けた冷媒回路810にしてもよい。すなわち、本変形例において、膨張装置97は、熱源側熱交換器4から利用側熱交換器6へ向かって冷媒が流れる場合、及び、利用側熱交換器6から熱源側熱交換器4へ向かって冷媒が流れる場合のいずれにおいても膨張装置97の入口から冷媒が流入するように整流する整流回路としてのブリッジ回路17を介して接続されている。また、本変形例において、膨張装置97としては、遠心式や容積式の膨張機が使用されている。尚、本変形例においては、整流回路としてブリッジ回路17が採用されているが、四路切換弁や複数の電磁弁を組み合わせて同様の機能を果たすことができるように構成してもよい。
そして、本変形例の構成においても、上述の変形例8等と同様の作用効果を得ることができる。しかも、本変形例の構成においては、冷房運転時に整流回路としてのブリッジ回路17を介して第1膨張機構5a、膨張装置97、レシーバ18、第2膨張機構5bの順に冷媒回路810を冷媒が流れ、そして、暖房運転時に整流回路としてのブリッジ回路17を介して第2膨張機構5b、レシーバ18、第1膨張機構5aの順に冷媒回路810を冷媒が流れることで、冷房運転時及び暖房運転時のいずれにおいても、冷媒が冷凍サイクルにおける高圧から低圧に減圧される過程において、膨張装置97による等エントロピ的な冷媒の減圧が行われて(すなわち、冷房運転時には、図3及び図4を例にすると、点Fが低エンタルピ側及び低エントロピ側に移動しながら冷媒の減圧が行われ、暖房運転時には、図6及び図7を例にすると、点Eが低エンタルピ側及び低エントロピ側に移動しながら冷媒の減圧が行われる)、これにより、成績係数を高めるとともにエネルギー回収を行うことができるため、冷房運転時及び暖房運転時の運転効率をさらに高めることができる。尚、本変形例では、冷房運転時においては、膨張装置97の下流側の第2膨張機構5bの開度を大きくする制御や第1吸入戻し弁18gを開ける制御を行う等により、また、冷房運転時においては、膨張装置97の下流側の第1膨張機構5aの開度を大きくする制御や第1吸入戻し弁18gを開ける制御を行う等により、膨張装置97における減圧幅を大きくして、運転効率の向上を最大限に図るようにしてもよい。
(12)変形例10
上述の変形例9の構成において、膨張装置97の出口に位置するレシーバ18を気液分離器として機能させ、レシーバ18において気液分離されたガス冷媒を後段側の圧縮要素2dに戻す後段側インジェクション管を接続するようにして、冷房運転時及び暖房運転時において、気液分離器としてのレシーバ18による中間圧インジェクションを行うようにしてもよい。
例えば、図29に示されるように、上述の変形例9における冷媒回路810(図28参照)において、レシーバ18に第2後段側インジェクション管18cを接続するようにして、気液分離器としてのレシーバ18による中間圧インジェクションを行うことが可能な冷媒回路910にしてもよい。
第2後段側インジェクション管18cは、レシーバ18から冷媒を抜き出して圧縮機構202の後段側の圧縮要素2dに戻す中間圧インジェクションを行うことが可能な冷媒管であり、本変形例において、レシーバ18の上部と中間冷媒管8(すなわち、圧縮機構202の後段側の圧縮要素2dの吸入側)とを接続するように設けられている。この第2後段側インジェクション管18cには、第2後段側インジェクション開閉弁18dと第2後段側インジェクション逆止機構18eとが設けられている。第2後段側インジェクション開閉弁18dは、開閉動作が可能な弁であり、本変形例において、電磁弁である。第2後段側インジェクション逆止機構18eは、レシーバ18から後段側の圧縮要素2dへの冷媒の流れを許容し、かつ、後段側の圧縮要素2dからレシーバ18への冷媒の流れを遮断するための機構であり、本変形例において、逆止弁が使用されている。尚、第2後段側インジェクション管18cと第1吸入戻し管18fとは、レシーバ18側の部分が一体となっている。
そして、本変形例の構成においても、上述の変形例9と同様の作用効果を得ることができる。しかも、本変形例の構成においては、冷房運転時及び暖房運転時のいずれにおいても、膨張装置9の出口に接続されたレシーバ18を気液分離器として機能させ、このレシーバ18において気液分離されたガス冷媒を、第2後段側インジェクション管18cを通じて、後段側の圧縮要素2dに戻す中間圧インジェクションが行われて(すなわち、図20及び図21を例にすると、点Iから点Mを経由して点Gに至る行程が行われる)、これにより、後段側の圧縮要素2dに吸入される冷凍サイクルにおける中間圧の冷媒の温度を低下させることができるため、運転効率をさらに向上させることができる。
(13)変形例11
上述の変形例7〜10において、複数の空調空間の空調負荷に応じた冷房や暖房を行うこと等を目的として、互いに並列に接続された複数の利用側熱交換器6を有する構成にするようにしてもよい。
例えば、図30及び図31に示されるように、上述の変形例9、10における冷媒回路810、910(図28及び図29参照)において、互いに並列に接続された複数(ここでは、2つ)の利用側熱交換器6を有する冷媒回路1010、1110にしてもよい。ここで、複数の利用側熱交換器6を設けるにあたり、各利用側熱交換器6を流れる冷媒の流量を制御して各利用側熱交換器6において必要とされる冷凍負荷を得ることができるようにするために、第2膨張機構5bに代えて、レシーバ18と利用側熱交換器6との間において各利用側熱交換器6に対応するように(すなわち、冷媒管18iのうち各利用側熱交換器6に分岐された部分に)、利用側膨張機構5cを設けるようにしている。
そして、本変形例の構成においても、上述の変形例9、10等と同様の作用効果を得ることができる。
(14)変形例12
上述の変形例7〜11において、利用側熱交換器6や熱源側熱交換器4に送られる冷媒を過冷却状態になるように冷却することを目的として、過冷却器を設けるようにしてもよい。
例えば、図32に示されるように、上述の変形例11における冷媒回路1010(図30参照)において、レシーバ出口管18bに過冷却熱交換器96を設けるとともに、レシーバ入口管18aからレシーバ18を経由してレシーバ出口管18bに至るまでの間(ここでは、レシーバ18)に第3吸入戻し管95を設けた冷媒回路1210にしてもよい。
過冷却熱交換器96は、冷房運転時にはレシーバ18から複数(ここでは、2つ)の利用側膨張機構5cを経由して各利用側熱交換器6に、暖房運転時にはレシーバ18から第1膨張機構5a及び中間熱交換器戻し弁94bを経由して熱源側熱交換器4及び中間熱交換器7に送られる冷媒を冷却する熱交換器である。より具体的には、過冷却熱交換器96は、レシーバ18から圧縮機構2の吸入側(すなわち、吸入管2a)に戻す第3吸入戻し管95を流れる冷媒との熱交換を行う熱交換器である。第3吸入戻し管95には、開度制御が可能な第3吸入戻し弁95aが設けられており、過冷却熱交換器96において、冷房運転時には、レシーバ18から利用側膨張機構5cに送られる冷媒と第3吸入戻し弁95aにおいて低圧付近まで減圧された後の第3吸入戻し管95を流れる冷媒との熱交換を行い、レシーバ18から第1膨張機構5a及び中間熱交換器戻し弁94bに送られる冷媒と第3吸入戻し弁95aにおいて低圧付近まで減圧された後の第3吸入戻し管95を流れる冷媒との熱交換を行うようになっている。第3吸入戻し弁95aは、本変形例において、電動膨張弁である。尚、第3吸入戻し管95と第1吸入戻し管18fとは、レシーバ18側の部分が一体となっている。
そして、本変形例の構成においても、上述の変形例11等と同様の作用効果を得ることができる。しかも、本変形例の構成においては、冷房運転時においては、レシーバ18から各利用側膨張機構5cに送られる冷媒を、また、暖房運転時においては、レシーバ18から第1膨張機構5a及び中間熱交換器戻し弁94bに送られる冷媒を、過冷却状態にすることができるため(すなわち、図23及び図24を例にすると、点Iから点Rに至る行程が行われる)、これにより、冷房運転時には、各利用側膨張機構5cへの分配時に偏流を生じるおそれが少なくでき、また、暖房運転時には、第1膨張機構5a及び中間熱交換器戻し弁94bへの分配時に偏流を生じるおそれが少なくできる。
(15)変形例13
上述の実施形態及びその変形例では、二段圧縮式の圧縮機構2、102、202を採用しているが、三段圧縮式等のような、さらに多段の圧縮機構を採用してもよい。
例えば、図33に示されるように、上述の変形例11における冷媒回路1010(図30参照)において、圧縮機構202を構成する圧縮機22、23と同様の単段圧縮構造の圧縮機25、26、27を直列に接続した三段圧縮式の圧縮機構302を採用し、一段目の圧縮機25の吐出と二段目の圧縮機26の吸入とを接続する中間冷媒管8に、上述の実施形態及びその変形例と同様の中間熱交換器7、中間熱交換器バイパス管9、第2吸入戻し管92、中間熱交換器切換弁93、及び、中間熱交換器戻し弁94を設け、さらに、二段目の圧縮機26の吸入と三段目の圧縮機27とを接続する中間冷媒管308に、中間熱交換器7、中間熱交換器バイパス管9、第2吸入戻し管92、中間熱交換器切換弁93、及び、中間熱交換器戻し弁94と同様の中間熱交換器307、中間熱交換器バイパス管309、第2吸入戻し管392、中間熱交換器切換弁393、及び、中間熱交換器戻し弁394を設けるようにしてもよい。
そして、本変形例の構成においては、三段圧縮式の圧縮機構302を採用していることから、冷房運転時には、中間熱交換器切換弁93、393を冷媒不戻し状態に切り換えることで、中間熱交換器7、307を冷凍サイクルにおける中間圧の冷媒(前段側の圧縮要素302cから吐出された後にその後段側の圧縮要素302dに送られる冷媒、及び、前段側の圧縮要素303cから吐出された後にその後段側の圧縮要素302eに送られる冷媒)の冷却器として機能させ、暖房運転時には、中間熱交換器切換弁93、393を冷媒戻し状態に切り換えることで、中間熱交換器7、307を冷凍サイクルにおける低圧の冷媒(利用側熱交換器6において放熱した冷媒の蒸発器として機能させる点が、上述の変形例11等とは異なるものの、この点を除いては、上述の変形例11等と同様の作用効果を得ることができる。
(16)他の実施形態
以上、本発明の実施形態及びその変形例について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態及びその変形例に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、上述の実施形態及びその変形例において、利用側熱交換器6を流れる冷媒と熱交換を行う加熱源又は冷却源としての水やブラインを使用するとともに、利用側熱交換器6において熱交換された水やブラインと室内空気とを熱交換させる二次熱交換器を設けた、いわゆる、チラー型の空気調和装置に本発明を適用してもよい。
また、上述のチラータイプの空気調和装置の他の型式の冷凍装置であっても、超臨界域で作動する冷媒を冷媒として使用して多段圧縮式冷凍サイクルを行うものであれば、本発明を適用可能である。
また、超臨界域で作動する冷媒としては、二酸化炭素に限定されず、エチレン、エタンや酸化窒素等を使用してもよい。