以下、図面に基づいて、本発明にかかる冷凍装置の実施形態について説明する。
(1)空気調和装置の構成
図1は、本発明にかかる冷凍装置の一実施形態としての空気調和装置1の概略構成図である。空気調和装置1は、冷房運転と暖房運転を切り換え可能に構成された冷媒回路10を有し、超臨界域で作動する冷媒(ここでは、二酸化炭素)を使用して二段圧縮式冷凍サイクルを行う装置である。
空気調和装置1の冷媒回路10は、主として、圧縮機構102と、切換機構3と、熱源側熱交換器4と、ブリッジ回路17と、レシーバ18と、第1膨張機構5aと、第2膨張機構5bと、第1後段側インジェクション管18cと、利用側熱交換器6と、中間熱交換器7とを有している。
圧縮機構102は、前段側圧縮要素と後段側圧縮要素とを有する複数の圧縮部(ここでは、2つの圧縮部103、104)を並列に接続するとともに、圧縮部103、104の一つ(ここでは、第1圧縮部103)を運転容量を可変できるものとし、第1圧縮部103の運転容量の変更と他の圧縮部(ここでは、第2圧縮部104)の運転台数の変更とを組み合わせることによって、圧縮機構102全体の運転容量を可変できるように構成したものであり、本実施形態において、運転容量を可変できる第1圧縮部103としての第1圧縮機29と第2圧縮部104としての第2圧縮機30とを有している。
第1圧縮機29は、ケーシング29a内に、圧縮機駆動モータ29bと、駆動軸29cと、圧縮要素103c、103dとが収容された密閉式構造となっている。圧縮機駆動モータ29bは、駆動軸29cに連結されている。そして、この駆動軸29cは、2つの圧縮要素103c、103dに連結されている。すなわち、第1圧縮機29は、2つの圧縮要素103c、103dが単一の駆動軸29cに連結されており、2つの圧縮要素103c、103dがともに圧縮機駆動モータ29bによって回転駆動される、いわゆる一軸二段圧縮構造となっている。ここで、圧縮要素103c、103dは、本実施形態において、ロータリ式やスクロール式等の容積式の圧縮要素である。また、圧縮機駆動モータ29bは、本実施形態において、インバータ装置(図示せず)によって運転周波数(モータ回転数)が制御されることで、運転容量を可変することが可能になっており、第2圧縮機30よりも優先的に運転が行われる(すなわち、圧縮機構102を起動する際には、第1圧縮部103としての第1圧縮機29が第2圧縮部104としての第2圧縮機30よりも先に起動され、圧縮機構102を停止する際には、第2圧縮機30が第2圧縮機30よりも先に停止される)ようになっている。そして、第1圧縮機29は、圧縮機構102の吸入母管102aから分岐された第1吸入枝管103a、及び、圧縮機構102の吐出母管102bに合流する第1吐出枝管103bに接続されており、第1前段側圧縮要素103cによって、冷凍サイクルにおける低圧の冷媒を第1吸入枝管103aから吸入して冷凍サイクルにおける中間圧まで圧縮した後に中間冷媒管8に吐出し、第1後段側圧縮要素103dによって、冷凍サイクルにおける中間圧の冷媒を中間冷媒管8から吸入して冷凍サイクルにおける高圧まで圧縮した後に第1吐出枝管103bに吐出するように構成されている。
第2圧縮機30は、ケーシング30a内に、圧縮機駆動モータ30bと、駆動軸30cと、圧縮要素104c、104dとが収容された密閉式構造となっている。圧縮機駆動モータ30bは、駆動軸30cに連結されている。そして、この駆動軸30cは、2つの圧縮要素104c、104dに連結されている。すなわち、第2圧縮機30は、第1圧縮機29と同様、2つの圧縮要素104c、104dが単一の駆動軸30cに連結されており、2つの圧縮要素104c、104dがともに圧縮機駆動モータ30bによって回転駆動される、いわゆる一軸二段圧縮構造となっている。ここで、圧縮要素104c、104dは、本実施形態において、ロータリ式やスクロール式等の容積式の圧縮要素である。但し、圧縮機駆動モータ30bは、本実施形態において、第1圧縮機29とは異なり、一定のモータ回転数で運転されるものである。そして、第2圧縮機30は、圧縮機構102の吸入母管102aから分岐された第2吸入枝管104a、及び、圧縮機構102の吐出母管102bに合流する第2吐出枝管104bに接続されており、第2前段側圧縮要素104cによって、冷凍サイクルにおける低圧の冷媒を第2吸入枝管104aから吸入して冷凍サイクルにおける中間圧まで圧縮して吐出し、第2後段側圧縮要素104dによって、冷凍サイクルにおける中間圧の冷媒を中間冷媒管8から吸入して冷凍サイクルにおける高圧まで圧縮した後に第2吐出枝管104bに吐出するように構成されている。
ここで、吐出母管102bは、圧縮機構102から吐出された冷媒を切換機構3に送るための冷媒管である。そして、吐出母管102bに接続される第1吐出枝管103bには、第1油分離機構141と第1逆止機構142とが設けられており、吐出母管102bに接続される第2吐出枝管104bには、第2油分離機構143と第2逆止機構144とが設けられている。第1油分離機構141は、第1圧縮部103から吐出される冷媒に同伴する冷凍機油を冷媒から分離して圧縮機構102の吸入側へ戻す機構であり、主として、第1圧縮部103から吐出される冷媒に同伴する冷凍機油を冷媒から分離する第1油分離器141aと、第1油分離器141aに接続されており冷媒から分離された冷凍機油を圧縮機構102の吸入側に戻す第1油戻し管141bとを有している。第2油分離機構143は、第2圧縮部104から吐出される冷媒に同伴する冷凍機油を冷媒から分離して圧縮機構102の吸入側へ戻す機構であり、主として、第2圧縮部104から吐出される冷媒に同伴する冷凍機油を冷媒から分離する第2油分離器143aと、第2油分離器143aに接続されており冷媒から分離された冷凍機油を圧縮機構102の吸入側に戻す第2油戻し管143bとを有している。本実施形態において、第1油戻し管141bは、第2吸入枝管104aに接続されており、第2油戻し管143cは、第1吸入枝管103aに接続されている。このため、第1圧縮部103内に溜まった冷凍機油の量と第2圧縮部104内に溜まった冷凍機油の量との間に偏りに起因して第1圧縮部103から吐出される冷媒に同伴する冷凍機油の量と第2圧縮部104から吐出される冷媒に同伴する冷凍機油の量との間に偏りが生じた場合であっても、圧縮部103、104のうち冷凍機油の量が少ない方に冷凍機油が多く戻ることになり、第1圧縮部103内に溜まった冷凍機油の量と第2圧縮部104内に溜まった冷凍機油の量との間の偏りが解消されるようになっている。尚、本実施形態において、油戻し管141b、143bには、油戻し管141b、143bを流れる冷凍機油を減圧する減圧機構141c、143cが設けられている。そして、逆止機構142、144は、圧縮部103、104の吐出側から切換機構3への冷媒の流れを許容し、かつ、切換機構3から圧縮部103、104の吐出側への冷媒の流れを遮断するための機構である。
また、本実施形態において、第1吸入枝管103aは、第2油戻し管143bとの合流部から吸入母管102aとの合流部までの間の部分が、吸入母管102aとの合流部に向かって下り勾配になるように構成されており、第2吸入枝管104aは、第1油戻し管141bとの合流部から吸入母管102aとの合流部までの間の部分が、吸入母管102aとの合流部に向かって下り勾配になるように構成されている。このため、第2圧縮部104だけが停止されている場合であっても、運転中の第1圧縮部103に対応する第1油戻し管141bから停止中の第2圧縮部104に対応する第2吸入枝管104aに戻される冷凍機油は、吸入母管102aに戻ることになり、運転中の第1圧縮部103の油切れが生じにくくなっている。
また、中間冷媒管8は、前段側圧縮要素103c、104cから吐出された冷媒を後段側圧縮要素103d、104dに吸入させる冷媒管であり、主として、第1圧縮部103の第1前段側圧縮要素103cの吐出側に接続される第1入口側中間枝管81と、第2圧縮部104の第2前段側圧縮要素104cの吐出側に接続される第2入口側中間枝管84と、両入口側中間枝管81、84が合流する中間母管82と、中間母管82から分岐されて第1圧縮部103の第1後段側圧縮要素103dの吸入側に接続される第1出口側中間枝管83と、中間母管82から分岐されて第2圧縮部104の第2後段側圧縮要素104dの吸入側に接続される第2出口側中間枝管85とを有している。そして、中間冷媒管8を構成する第1入口側中間枝管81には、第1圧縮部103の第1前段側圧縮要素103cの吐出側から中間母管82側への冷媒の流れを許容し、かつ、中間母管82側から第1前段側圧縮要素103cの吐出側への冷媒の流れを遮断するための逆止機構81aが設けられており、中間冷媒管8を構成する第2入口側中間枝管84には、第2圧縮部103の第2前段側圧縮要素104cの吐出側から中間母管82側への冷媒の流れを許容し、かつ、中間母管82側から第2前段側圧縮要素104cの吐出側への冷媒の流れを遮断するための逆止機構84aが設けられている。本実施形態においては、逆止機構81a、84aとして逆止弁が使用されている。このため、第1圧縮部103だけが運転中であっても、運転中の第1圧縮部103の第1前段側圧縮要素103cから吐出された冷媒が中間冷媒管8を通じて、停止中の第2圧縮部104の第2前段側圧縮要素104cの吐出側に達するということが生じないため、運転中の第1圧縮部103の第1前段側圧縮要素103cから吐出された冷媒が、停止中の第2圧縮部104の第2前段側圧縮要素104c内を通じて圧縮機構102の吸入側に抜けて、停止中の第2圧縮部104の冷凍機油が第2圧縮部104内から流出するということが生じなくなっており、これにより、停止中の第2圧縮部104を起動する際の冷凍機油の不足が生じにくくなっている。
また、本実施形態においては、中間冷媒管8(より具体的には、中間母管82)が圧縮部103、104に共通に設けられており、中間冷媒管8によって、第1前段側圧縮要素103cから吐出された冷媒と第2前段側圧縮要素104cから吐出された冷媒とが一旦合流した後に、第1後段側圧縮要素103dの吸入側と第2後段側圧縮要素104dの吸入側とに分岐されるようになっており、第1圧縮部103だけを起動させた状態においては、第2圧縮部104の第2前段側圧縮要素104cの吐出側及び第2後段側圧縮要素104dの吸入側が、中間冷媒管8を通じて、既に起動されている第1圧縮部103の第1前段側圧縮要素103cの吐出側の圧力及び第1後段側圧縮要素103dの吸入側の圧力の影響を受けた状態になる。このため、第1圧縮部103を起動させた状態において第2圧縮部104を起動させる際に、第2圧縮部104の第2前段側圧縮要素104cの吐出側及び第2後段側圧縮要素104dの吸入側が第1圧縮部103の第1前段側圧縮要素103cの吐出側の圧力及び第1後段側圧縮要素103dの吸入側の圧力の影響を受けた状態を緩和しなければ、第2圧縮部104を安定的に起動することが困難になるおそれがある。そこで、本実施形態では、第2出口側中間枝管85に後段側吸入弁85aを設け、かつ、第2入口側中間枝管84と第2出口側中間枝管85とを連通させる起動バイパス管86を設けて、第1圧縮部103を起動させた状態から第2圧縮部104を起動する後発圧縮部起動制御において、この後段側吸入弁85aを閉め、かつ、起動バイパス管86に設けられた後発圧縮部起動弁86aを開けた状態で第2圧縮部104を起動するようにしている。これにより、第2圧縮部104の第2前段側圧縮要素104cから吐出された冷媒を、第1圧縮部103の第1前段側圧縮要素103cから吐出される冷媒に合流させることなく、起動バイパス管86を通じて、第2圧縮部104の第2後段側圧縮要素104dに吸入させることができるようになるため、第2圧縮部104の第2前段側圧縮要素104cの吐出側及び第2後段側圧縮要素104dの吸入側が第1圧縮部103の第1前段側圧縮要素103cの吐出側の圧力及び第1後段側圧縮要素103dの吸入側の圧力の影響を受けた状態を緩和することができ、第1圧縮部103を起動させた状態において第2圧縮部104を起動させる際に、第2圧縮部104を安定的に起動することができる。そして、第2圧縮部104が安定的に起動された後には、後段側吸入弁85aを開け、かつ、後発圧縮部起動弁86aを閉めることで、第2圧縮部104の第2前段側圧縮要素104cから吐出された冷媒を第1圧縮部103の第1前段側圧縮要素103cから吐出された冷媒と合流させた状態である通常の運転状態に移行することができる。尚、本実施形態において、起動バイパス管86は、その一端が第2出口側中間枝管85の後段側吸入弁85aと第2圧縮部104の第2後段側圧縮要素104dの吸入側との間に接続され、その他端が第2圧縮部104の第2前段側圧縮要素104cの吐出側と第2入口側中間枝管84の逆止機構84aとの間に接続されており、第2圧縮部104を起動する際に、第1圧縮部103の第1前段側圧縮要素103cの吐出側の圧力及び第1後段側圧縮要素103dの吸入側の圧力の影響をさらに受けにくくしている。また、本実施形態においては、後段側吸入弁85a及び後発圧縮部起動弁86aとして電磁弁が使用されている。
また、本実施形態においては、中間冷媒管8(より具体的には、中間母管82)が圧縮部103、104に共通に設けられているため、運転中の第1圧縮部103に対応する第1前段側圧縮要素103cから吐出された冷媒が中間冷媒管8の第2出口側中間枝管85を通じて、停止中の第2圧縮部104の第2後段側圧縮要素104dの吸入側に達し、これにより、運転中の第1圧縮部103の第1前段側圧縮要素103cから吐出された冷媒が、停止中の第2圧縮部104の第2後段側圧縮要素104d内を通じて圧縮機構102の吐出側に抜けて停止中の第2圧縮部104の冷凍機油が流出して、停止中の第2圧縮機構104を起動する際の冷凍機油の不足が生じるおそれがある。しかし、本実施形態では、上述のように、第2出口側中間枝管85に後段側吸入弁85aが設けられているため、第2圧縮部104が停止中の場合には、この後段側吸入弁85aによって第2出口側中間枝管85内の冷媒の流れを遮断することができる。これにより、運転中の第1圧縮部103の第1前段側圧縮要素103cから吐出された冷媒が中間冷媒管8の第2出口側中間枝管85を通じて、停止中の第2圧縮部104の第2後段側圧縮要素104dの吸入側に達することがなくなるため、運転中の第1圧縮部103の第1前段側圧縮要素103cから吐出された冷媒が、停止中の第2圧縮部104の第2後段側圧縮要素104d内を通じて圧縮機構102の吐出側に抜けて停止中の第2圧縮部104の冷凍機油が流出するということが生じなくなり、これにより、停止中の第2圧縮部104を起動する際の冷凍機油の不足がさらに生じにくくなっている。
切換機構3は、冷媒回路10内における冷媒の流れの方向を切り換えるための機構であり、冷房運転時には、熱源側熱交換器4を圧縮機構102によって圧縮される冷媒の放熱器として、かつ、利用側熱交換器6を熱源側熱交換器4において冷却された冷媒の蒸発器として機能させるために、圧縮機構102の吐出側と熱源側熱交換器4の一端とを接続するとともに圧縮機構102の吸入側と利用側熱交換器6とを接続し(図1の切換機構3の実線を参照、以下、この切換機構3の状態を「冷却運転状態」とする)、暖房運転時には、利用側熱交換器6を圧縮機構102によって圧縮される冷媒の放熱器として、かつ、熱源側熱交換器4を利用側熱交換器6において冷却された冷媒の蒸発器として機能させるために、圧縮機構102の吐出側と利用側熱交換器6とを接続するとともに圧縮機構102の吸入側と熱源側熱交換器4の一端とを接続することが可能である(図1の切換機構3の破線を参照、以下、この切換機構3の状態を「加熱運転状態」とする)。本実施形態において、切換機構3は、圧縮機構102の吸入側、圧縮機構102の吐出側、熱源側熱交換器4及び利用側熱交換器6に接続された四路切換弁である。尚、切換機構3は、四路切換弁に限定されるものではなく、例えば、複数の電磁弁を組み合わせる等によって、上述と同様の冷媒の流れの方向を切り換える機能を有するように構成したものであってもよい。
このように、切換機構3は、冷媒回路10を構成する圧縮機構102、熱源側熱交換器4及び利用側熱交換器6だけに着目すると、圧縮機構102、冷媒の放熱器として機能する熱源側熱交換器4、冷媒の蒸発器として機能する利用側熱交換器6の順に冷媒を循環させる冷却運転状態と、圧縮機構102、冷媒の放熱器として機能する利用側熱交換器6、冷媒の蒸発器として機能する熱源側熱交換器4の順に冷媒を循環させる加熱運転状態とを切り換えることができるように構成されている。
熱源側熱交換器4は、冷媒の放熱器又は蒸発器として機能する熱交換器である。熱源側熱交換器4は、その一端が切換機構3に接続されており、その他端がブリッジ回路17を介して第1膨張機構5aに接続されている。熱源側熱交換器4は、水や空気を熱源(すなわち、冷却源又は加熱源)とする熱交換器である。
ブリッジ回路17は、熱源側熱交換器4と利用側熱交換器6との間に設けられており、レシーバ18の入口に接続されるレシーバ入口管18a、及び、レシーバ18の出口に接続されるレシーバ出口管18bに接続されている。ブリッジ回路17は、本実施形態において、4つの逆止弁17a、17b、17c、17dを有している。そして、入口逆止弁17aは、熱源側熱交換器4からレシーバ入口管18aへの冷媒の流通のみを許容する逆止弁である。入口逆止弁17bは、利用側熱交換器6からレシーバ入口管18aへの冷媒の流通のみを許容する逆止弁である。すなわち、入口逆止弁17a、17bは、熱源側熱交換器4及び利用側熱交換器6の一方からレシーバ入口管18aに冷媒を流通させる機能を有している。出口逆止弁17cは、レシーバ出口管18bから利用側熱交換器6への冷媒の流通のみを許容する逆止弁である。出口逆止弁17dは、レシーバ出口管18bから熱源側熱交換器4への冷媒の流通のみを許容する逆止弁である。すなわち、出口逆止弁17c、17dは、レシーバ出口管18bから熱源側熱交換器4及び利用側熱交換器6の他方に冷媒を流通させる機能を有している。
第1膨張機構5aは、レシーバ入口管18aに設けられた冷媒を減圧する機構であり、本実施形態において、電動膨張弁が使用されている。また、本実施形態において、第1膨張機構5aは、冷房運転時には、熱源側熱交換器4において冷却された冷凍サイクルにおける高圧の冷媒をレシーバ18を介して利用側熱交換器6に送る前に冷媒の飽和圧力付近まで減圧し、暖房運転時には、利用側熱交換器6において冷却された冷凍サイクルにおける高圧の冷媒をレシーバ18を介して熱源側熱交換器4に送る前に冷媒の飽和圧力付近まで減圧する。
レシーバ18は、冷房運転と暖房運転との間で冷媒回路10における冷媒の循環量が異なる等の運転状態に応じて発生する余剰冷媒を溜めることができるように、第1膨張機構5aで減圧された後の冷媒を一時的に溜めるために設けられた容器であり、その入口がレシーバ入口管18aに接続されており、その出口がレシーバ出口管18bに接続されている。また、レシーバ18には、レシーバ18内から冷媒を抜き出して圧縮機構102の吸入母管102a(すなわち、圧縮機構102の前段側圧縮要素103c、104cの吸入側)に戻すことが可能な第1吸入戻し管18fが接続されている。
第1後段側インジェクション管18cは、気液分離器としてのレシーバ18によって気液分離されたガス冷媒を圧縮機構102の後段側圧縮要素103d、104dに戻す中間圧インジェクションを行うことが可能な冷媒管であり、本実施形態において、レシーバ18の上部と中間冷媒管8の中間母管82(すなわち、圧縮機構102の後段側圧縮要素103d、104dの吸入側)とを接続するように設けられている。この第1後段側インジェクション管18cには、第1後段側インジェクション開閉弁18dと第1後段側インジェクション逆止機構18eとが設けられている。第1後段側インジェクション開閉弁18dは、開閉制御が可能な弁であり、本実施形態において、電磁弁である。第1後段側インジェクション逆止機構18eは、レシーバ18から後段側圧縮要素103d、104dへの冷媒の流れを許容し、かつ、後段側圧縮要素103d、104dからレシーバ18への冷媒の流れを遮断するための機構であり、本実施形態において、逆止弁が使用されている。
第1吸入戻し管18fは、レシーバ18から冷媒を抜き出して圧縮機構102の前段側圧縮要素103c、104cに戻すことが可能な冷媒管であり、本実施形態において、レシーバ18の上部と吸入母管102a(すなわち、圧縮機構102の前段側圧縮要素103c、104cの吸入側)とを接続するように設けられている。この第1吸入戻し管18fには、第1吸入戻し開閉弁18gが設けられている。第1吸入戻し開閉弁18gは、開閉制御が可能な弁であり、本実施形態において、電磁弁である。
このように、レシーバ18は、第1後段側インジェクション開閉弁18dや第1吸入戻し開閉弁18gを開けることによって第1後段側インジェクション管18cや第1吸入戻し管18fを使用する場合には、熱源側熱交換器4と利用側熱交換器6との間を流れる冷媒を、第1膨張機構5aと第2膨張機構5bとの間において、気液分離する気液分離器として機能し、主として、レシーバ18において気液分離されたガス冷媒をレシーバ18の上部から圧縮機構102の後段側圧縮要素103d、104dや前段側圧縮要素103c、104cに戻すことができるようになっている。
第2膨張機構5bは、レシーバ出口管18bに設けられた冷媒を減圧する機構であり、本実施形態において、電動膨張弁が使用されている。第2膨張機構5bは、その一端がレシーバ18に接続され、その他端がブリッジ回路17を介して利用側熱交換器6に接続されている。また、本実施形態において、第2膨張機構5bは、冷房運転時には、第1膨張機構5aによって減圧された冷媒をレシーバ18を介して利用側熱交換器6に送る前に冷凍サイクルにおける低圧になるまでさらに減圧し、暖房運転時には、第1膨張機構5aによって減圧された冷媒をレシーバ18を介して熱源側熱交換器4に送る前に冷凍サイクルにおける低圧になるまでさらに減圧する。
利用側熱交換器6は、冷媒の蒸発器又は放熱器として機能する熱交換器である。利用側熱交換器6は、その一端がブリッジ回路17を介して第1膨張機構5aに接続されており、その他端が切換機構3に接続されている。利用側熱交換器6は、水や空気を熱源(すなわち、冷却源又は加熱源)とする熱交換器である。
このように、ブリッジ回路17、レシーバ18、レシーバ入口管18a及びレシーバ出口管18bによって、切換機構3を冷却運転状態にしている際には、熱源側熱交換器4において冷却された高圧の冷媒が、ブリッジ回路17の入口逆止弁17a、レシーバ入口管18aの第1膨張機構5a、レシーバ18、レシーバ出口管18bの第2膨張機構5b及びブリッジ回路17の出口逆止弁17cを通じて、利用側熱交換器6に送ることができるようになっている。また、切換機構3を加熱運転状態にしている際には、利用側熱交換器6において冷却された高圧の冷媒が、ブリッジ回路17の入口逆止弁17b、レシーバ入口管18aの第1膨張機構5a、レシーバ18、レシーバ出口管18bの第2膨張機構5b及びブリッジ回路17の出口逆止弁17dを通じて、熱源側熱交換器4に送ることができるようになっている。
中間熱交換器7は、中間冷媒管8に設けられており、本実施形態において、冷房運転時に、前段側圧縮要素103c、104cから吐出されて後段側圧縮要素103d、104dに吸入される冷媒の冷却器として機能させることが可能な熱交換器である。より具体的には、中間熱交換器7は、中間冷媒管8を構成する中間母管82に設けられており、冷房運転時には、第1圧縮部103の第1前段側圧縮要素103cから吐出された冷媒と第2圧縮部104の第2前段側圧縮要素104cから吐出された冷媒とが合流したものを冷却する熱交換器である。すなわち、中間熱交換器7は、冷房運転時には、2つの圧縮部103、104に共通の冷却器として機能するものとなっており、中間熱交換器7を設けるにあたり、圧縮機構102周りの回路構成の簡素化が図られている。この中間熱交換器7は、水や空気を熱源(ここでは、冷却源)とする熱交換器である。このように、中間熱交換器7は、冷媒回路10を循環する冷媒を用いたものではないという意味で、外部熱源を用いた冷却器ということができる。
また、中間冷媒管8には、中間熱交換器7をバイパスするように、中間熱交換器バイパス管9が接続されている。この中間熱交換器バイパス管9は、中間熱交換器7を流れる冷媒の流量を制限する冷媒管である。そして、中間熱交換器バイパス管9には、中間熱交換器バイパス開閉弁11が設けられている。中間熱交換器バイパス開閉弁11は、本実施形態において、電磁弁である。この中間熱交換器バイパス開閉弁11は、本実施形態において、基本的には、切換機構3を冷却運転状態にしている際に閉め、切換機構3を加熱運転状態にしている際に開ける制御がなされる。すなわち、中間熱交換器バイパス開閉弁11は、冷房運転を行う際に閉め、暖房運転を行う際に開ける制御がなされる。
また、中間冷媒管8には、中間熱交換器バイパス管9の前段側圧縮要素103c、104c側端との接続部から中間熱交換器7の前段側圧縮要素103c、104c側端までの部分に、中間熱交換器開閉弁12が設けられている。この中間熱交換器開閉弁12は、中間熱交換器7を流れる冷媒の流量を制限する機構である。中間熱交換器開閉弁12は、本実施形態において、電磁弁である。この中間熱交換器開閉弁12は、本実施形態において、基本的には、切換機構3を冷却運転状態にしている際に開け、切換機構3を加熱運転状態にしている際に閉める制御がなされる。すなわち、中間熱交換器開閉弁12は、冷房運転を行う際に開け、暖房運転を行う際に閉める制御がなされる。
また、中間冷媒管8には、前段側圧縮要素103c、104cの吐出側から後段側圧縮要素103d、104dの吸入側への冷媒の流れを許容し、かつ、後段側圧縮要素103d、104dの吸入側から前段側圧縮要素103c、104cの吐出側への冷媒の流れを遮断するための逆止機構15が設けられている。逆止機構15は、本実施形態において、逆止弁である。尚、逆止機構15は、本実施形態において、中間冷媒管8の中間熱交換器7の後段側圧縮要素103d、104d側端から中間熱交換器バイパス管9の後段側の圧縮要素103d、104d側端との接続部までの部分に設けられている。
このように、本実施形態の空気調和装置1は、冷却運転と加熱運転とを切り換え可能で、かつ、気液分離器としてのレシーバ18による中間圧インジェクションが可能な冷媒回路10を有する二段圧縮式冷凍サイクルを行う構成において、中間熱交換器7及び中間熱交換器バイパス管9を設けることで、冷房運転時には、前段側圧縮要素103c、104cから吐出されて後段側圧縮要素103d、104dに吸入される冷媒を中間熱交換器7によって冷却し、暖房運転時には、前段側圧縮要素103c、104cから吐出されて後段側圧縮要素103d、104dに吸入される冷媒が中間熱交換器7によって冷却されないようにしている。しかも、圧縮機構102が、前段側圧縮要素と後段側圧縮要素とを有する複数の圧縮部(ここでは、2つの圧縮部103、104)を並列に接続するとともに、圧縮部103、104の一つ(ここでは、第1圧縮部103)を運転容量を可変できるものとし、かつ、他の圧縮部(ここでは、第2圧縮部104)よりも優先的に運転されるものとし、第1圧縮部103の運転容量の変更と他の圧縮部(ここでは、第2圧縮部104)の運転台数の変更とを組み合わせることによって、圧縮機構102全体の運転容量を可変できるように構成しているため、第2圧縮部104を起動させる際においても、圧縮機構102全体の運転状態が不安定にならないように、後述の後発圧縮部起動制御を行うようにしている。
さらに、空気調和装置1には、各種のセンサが設けられている。具体的には、吸入母管102a又は圧縮機構102には、圧縮機構102の吸入側を流れる冷媒の圧力を検出する吸入圧力センサ60が設けられている。また、中間冷媒管8には、中間冷媒管8を流れる冷媒の圧力である冷凍サイクルにおける中間圧を検出する中間圧力センサ54が設けられている。また、空気調和装置1は、ここでは図示しないが、圧縮機構102、切換機構3、膨張機構5a、5b、中間熱交換器バイパス開閉弁11、中間熱交換器開閉弁12、第1後段側インジェクション開閉弁18d、後段側吸入弁85a、後発圧縮部起動弁86a、第1吸入戻し開閉弁18g等の空気調和装置1を構成する各部の動作を制御する制御部を有している。
(2)空気調和装置の動作
次に、本実施形態の空気調和装置1の動作について、図1〜図10を用いて説明する。ここで、図2は、冷房運転時における空気調和装置1内の冷媒の流れを示す図であり、図3は、冷房運転時の冷凍サイクルが図示された圧力−エンタルピ線図であり、図4は、冷房運転時の冷凍サイクルが図示された温度−エントロピ線図であり、図5は、暖房運転時における空気調和装置1内の冷媒の流れを示す図であり、図6は、暖房運転時の冷凍サイクルが図示された圧力−エンタルピ線図であり、図7は、暖房運転時の冷凍サイクルが図示された温度−エントロピ線図であり、図8は、後発圧縮部起動制御のフローチャートであり、図9は、後発圧縮部起動制御の開始前(すなわち、第1圧縮部103だけが起動されている状態)における空気調和装置1内の冷媒の流れを示す図であり、図10は、第2圧縮部104を起動した状態(すなわち、第2圧縮部104の起動後であって、後段側吸入弁85aの開操作、後発圧縮部起動弁86aの閉操作、及び、第1後段側インジェクション開閉弁18dの開操作を行う前の状態)における空気調和装置1内の冷媒の流れを示す図である。尚、以下の冷房運転、暖房運転、及び、圧縮機構の起動における運転制御は、上述の制御部(図示せず)によって行われる。また、以下の説明において、「高圧」とは、冷凍サイクルにおける高圧(すなわち、図3、図4の点D、D’、Eにおける圧力や図6、7の点D、D’、Fにおける圧力を意味し、「低圧」とは、冷凍サイクルにおける低圧(すなわち、図3、4の点A、Fにおける圧力や図6、7の点A、Eにおける圧力)を意味し、「中間圧」とは、冷凍サイクルにおける中間圧(すなわち、図3、4、6、7の点B、C、C’、G、G’、I、L、Mにおける圧力)を意味している。
<冷房運転>
冷房運転時は、切換機構3が図1及び図2の実線で示される冷却運転状態とされる。また、第1膨張機構5a及び第2膨張機構5bは、開度調節される。そして、切換機構3が冷却運転状態となるため、中間冷媒管8の中間熱交換器開閉弁12が開けられ、そして、中間熱交換器バイパス管9の中間熱交換器バイパス開閉弁11が閉められることによって、中間熱交換器7が冷却器として機能する状態にされる。さらに、第1後段側インジェクション開閉弁18dは、開状態にされる。尚、ここでは、第1圧縮部103及び第2圧縮部104の両方が起動された状態における冷房運転を例として説明するため、後段側吸入弁85aが開けられ、後発圧縮部起動弁86aが閉められた状態にされる。但し、第1圧縮部103だけが起動された状態における冷房運転の場合には、後段側吸入弁85a、及び、後発圧縮部起動弁86aが閉められた状態にされる(図9参照)。
この冷媒回路10の状態において、低圧の冷媒(図1〜図4の点A参照)は、吸入母管102aから圧縮機構102に吸入され、まず、前段側圧縮要素103c、104cによって中間圧まで圧縮された後に、中間冷媒管8の入口側中間枝管81、84に吐出され、逆止機構81a、84aを通じて、中間冷媒管8の中間母管82で合流する(図1〜図4の点B参照)。この前段側圧縮要素103c、104cから吐出されて中間冷媒管8で合流した中間圧の冷媒は、中間熱交換器7において、冷却源としての水や空気と熱交換を行うことで冷却される(図1〜図4の点C参照)。この中間熱交換器7において冷却された冷媒は、レシーバ18から第1後段側インジェクション管18cを通じて後段側圧縮要素103d、104dに戻される冷媒(図1〜図4の点M参照)と合流することでさらに冷却される(図1〜図4の点G参照)。次に、第1後段側インジェクション管18cから戻る冷媒と合流した(すなわち、気液分離器としてのレシーバ18による中間圧インジェクションが行われた)中間圧の冷媒は、中間冷媒管8の出口側中間枝管83、85に分岐される。この中間冷媒管8の中間母管82から出口側中間枝管83、85に分岐した中間圧の冷媒は、前段側圧縮要素103c、104cの後段側に接続された後段側圧縮要素103d、104dに吸入されてさらに圧縮されて、圧縮部103、104から吐出枝管103b、104bに吐出される(図1〜図4の点D参照)。ここで、圧縮部103、104から吐出された高圧の冷媒は、圧縮要素103c、104c、103d、104dによる二段圧縮動作によって、臨界圧力(すなわち、図3に示される臨界点CPにおける臨界圧力Pcp)を超える圧力まで圧縮されている。そして、第1圧縮部103から吐出された高圧の冷媒は、第1油分離機構141を構成する第1油分離器141aに流入し、同伴する冷凍機油が分離される。また、第1油分離器141aにおいて高圧の冷媒から分離された冷凍機油は、第1油分離機構141を構成する第1油戻し管141bに流入し、第1油戻し管141bに設けられた第1減圧機構141cで減圧された後に第2圧縮部104の第2吸入枝管104aに戻されて、再び、圧縮機構102に吸入される。また、第2圧縮部104から吐出された高圧の冷媒は、第2油分離機構143を構成する第2油分離器143aに流入し、同伴する冷凍機油が分離される。また、第2油分離器143aにおいて高圧の冷媒から分離された冷凍機油は、第2油分離機構143を構成する第2油戻し管143bに流入し、第2油戻し管143bに設けられた第2減圧機構143cで減圧された後に第1圧縮部103の第1吸入枝管103aに戻されて、再び、圧縮機構102に吸入される。次に、油分離機構141、143において冷凍機油が分離された後の高圧の冷媒は、逆止機構142、144を通過した後に吐出母管102bで合流し、切換機構3を通じて、冷媒の放熱器として機能する熱源側熱交換器4に送られる。そして、熱源側熱交換器4に送られた高圧の冷媒は、熱源側熱交換器4において、冷却源としての水や空気と熱交換を行って冷却される(図1〜図4の点E参照)。そして、熱源側熱交換器4において冷却された高圧の冷媒は、ブリッジ回路17の入口逆止弁17aを通じてレシーバ入口管18aに流入し、第1膨張機構5aによって中間圧付近まで減圧されてレシーバ18内に一時的に溜められるとともに気液分離が行われる(図1〜図4の点I、L、M参照)。そして、レシーバ18において気液分離されたガス冷媒は、第1後段側インジェクション管18cによってレシーバ18の上部から抜き出されて、上述のように、前段側圧縮要素103c、104cから吐出された中間圧の冷媒に合流することになる。そして、レシーバ18内に溜められた液冷媒は、レシーバ出口管18bに送られて、第2膨張機構5bによって減圧されて低圧の気液二相状態の冷媒となり、ブリッジ回路17の出口逆止弁17cを通じて、冷媒の蒸発器として機能する利用側熱交換器6に送られる(図1〜図4の点F参照)。そして、利用側熱交換器6に送られた低圧の気液二相状態の冷媒は、加熱源としての水や空気と熱交換を行って加熱されて、蒸発することになる(図1〜図4の点A参照)。そして、この利用側熱交換器6において加熱された低圧の冷媒は、切換機構3を経由して、再び、圧縮機構102に吸入される。このようにして、冷房運転が行われる。
このように、本実施形態の空気調和装置1(冷凍装置)では、第1後段側インジェクション管18cを設けて、熱源側熱交換器4において放熱した冷媒を分岐して後段側圧縮要素103d、104dに戻す気液分離器としてのレシーバ18による中間圧インジェクションを行うことによる後段側圧縮要素103d、104dに吸入される冷媒の冷却効果に加えて、前段側圧縮要素103c、104cから吐出された冷媒を後段側圧縮要素103d、104dに吸入させるための中間冷媒管8に中間熱交換器7を設けて、冷房運転時において、中間熱交換器開閉弁12を開け、また、中間熱交換器バイパス開閉弁11を閉めることによって、中間熱交換器7を冷却器として機能する状態にしているため、中間熱交換器7による後段側圧縮要素103d、104dに吸入される冷媒の冷却効果が加わり、中間熱交換器7を設けない場合や中間熱交換器7を使用しない場合(この場合には、図3、図4において、点A→点B→点G’→点D’→点E→点I→点L→点Fの順で冷凍サイクルが行われる)に比べて、前段側圧縮要素103c、104cの後段側圧縮要素103d、104dに吸入される冷媒の温度が低下し(図4の点G、G’参照)、最終的に圧縮機構102から吐出される冷媒の温度を低く抑えることができる(図4の点D、D’参照)。これにより、この空気調和装置1では、冷房運転時において、冷媒の放熱器として機能する熱源側熱交換器4における放熱ロスが小さくなるため、中間圧インジェクションだけの場合に比べて、運転効率をさらに向上させることができる。
<暖房運転>
暖房運転時は、切換機構3が図1及び図5の破線で示される加熱運転状態とされる。また、第1膨張機構5a及び第2膨張機構5bは、開度調節される。そして、切換機構3が加熱運転状態となるため、中間冷媒管8の中間熱交換器開閉弁12が閉められ、そして、中間熱交換器バイパス管9の中間熱交換器バイパス開閉弁11が開けられることによって、中間熱交換器7が冷却器として機能しない状態にされる。さらに、第1後段側インジェクション開閉弁18dは、開状態にされる。尚、ここでは、第1圧縮部103及び第2圧縮部104の両方が起動された状態における暖房運転を例として説明するため、後段側吸入弁85aが開けられ、後発圧縮部起動弁86aが閉められた状態にされる。但し、第1圧縮部103だけが起動された状態における暖房運転の場合には、後段側吸入弁85a、及び、後発圧縮部起動弁86aが閉められた状態にされる(図9参照)。
この冷媒回路10の状態において、低圧の冷媒(図1、図5〜図7の点A参照)は、吸入母管102aから圧縮機構102に吸入され、まず、前段側圧縮要素103c、104cによって中間圧まで圧縮された後に、中間冷媒管8の入口側中間枝管81、84に吐出され、逆止機構81a、84aを通じて、中間冷媒管8の中間母管82で合流する(図1、図5〜図7の点B参照)。この前段側圧縮要素103c、104cから吐出されて中間冷媒管8で合流した中間圧の冷媒は、上述の冷房運転時とは異なり、中間熱交換器7を通過せずに(すなわち、冷却されることなく)、中間熱交換器バイパス管9を通過する(図1、図5〜図7の点C参照)。この中間熱交換器7によって冷却されることなく中間熱交換器バイパス管9を通過した中間圧の冷媒は、レシーバ18から第1後段側インジェクション管18cを通じて後段側圧縮要素103d、104dに戻される冷媒(図1、図5〜図7の点M参照)と合流することで冷却される(図1、図5〜図7の点G参照)。次に、第1後段側インジェクション管18cから戻る冷媒と合流した(すなわち、気液分離器としてのレシーバ18による中間圧インジェクションが行われた)中間圧の冷媒は、中間冷媒管8の出口側中間枝管83、85に分岐される。この中間冷媒管8の中間母管82から出口側中間枝管83、85に分岐した中間圧の冷媒は、前段側圧縮要素103c、104cの後段側に接続された後段側圧縮要素103d、104dに吸入されてさらに圧縮されて、圧縮部103、104から吐出枝管103b、104bに吐出される(図1、図5〜図7の点D参照)。ここで、圧縮部103、104から吐出された高圧の冷媒は、圧縮要素103c、104c、103d、104dによる二段圧縮動作によって、臨界圧力(すなわち、図6に示される臨界点CPにおける臨界圧力Pcp)を超える圧力まで圧縮されている。そして、第1圧縮部103から吐出された高圧の冷媒は、第1油分離機構141を構成する第1油分離器141aに流入し、同伴する冷凍機油が分離される。また、第1油分離器141aにおいて高圧の冷媒から分離された冷凍機油は、第1油分離機構141を構成する第1油戻し管141bに流入し、第1油戻し管141bに設けられた第1減圧機構141cで減圧された後に第2圧縮部104の第2吸入枝管104aに戻されて、再び、圧縮機構102に吸入される。また、第2圧縮部104から吐出された高圧の冷媒は、第2油分離機構143を構成する第2油分離器143aに流入し、同伴する冷凍機油が分離される。また、第2油分離器143aにおいて高圧の冷媒から分離された冷凍機油は、第2油分離機構143を構成する第2油戻し管143bに流入し、第2油戻し管143bに設けられた第2減圧機構143cで減圧された後に第1圧縮部103の第1吸入枝管103aに戻されて、再び、圧縮機構102に吸入される。次に、油分離機構141、143において冷凍機油が分離された後の高圧の冷媒は、逆止機構142、144を通過した後に吐出母管102bで合流し、切換機構3を通じて、冷媒の放熱器として機能する利用側熱交換器6に送られて、冷却源としての水や空気と熱交換を行って冷却される(図1、図5〜図7の点F参照)。そして、利用側熱交換器6において冷却された高圧の冷媒は、ブリッジ回路17の入口逆止弁17bを通じてレシーバ入口管18aに流入し、第1膨張機構5aによって中間圧付近まで減圧されてレシーバ18内に一時的に溜められるとともに気液分離が行われる(図1、図5〜図7の点I、L、M参照)。そして、レシーバ18において気液分離されたガス冷媒は、第1後段側インジェクション管18cによってレシーバ18の上部から抜き出されて、上述のように、前段側圧縮要素103c、104cから吐出された中間圧の冷媒に合流することになる。そして、レシーバ18内に溜められた液冷媒は、レシーバ出口管18bに送られて、第2膨張機構5bによって減圧されて低圧の気液二相状態の冷媒となり、ブリッジ回路17の出口逆止弁17dを通じて、冷媒の蒸発器として機能する熱源側熱交換器4に送られる(図1、図5〜図7の点E参照)。そして、熱源側熱交換器4に送られた低圧の気液二相状態の冷媒は、熱源側熱交換器4において、加熱源としての水や空気と熱交換を行って加熱されて、蒸発することになる(図1、図5〜図7の点A参照)。そして、この熱源側熱交換器4において加熱されて蒸発した低圧の冷媒は、切換機構3を経由して、再び、圧縮機構102に吸入される。このようにして、暖房運転が行われる。
このように、本実施形態の空気調和装置1(冷凍装置)では、前段側圧縮要素103c、104cから吐出された冷媒を後段側圧縮要素103d、104dに吸入させるための中間冷媒管8に設けられた中間熱交換器7を、暖房運転時において、中間熱交換器開閉弁12を閉め、また、中間熱交換器バイパス開閉弁11を開けることによって、中間熱交換器7を冷却器として機能しない状態にしているため、熱源側熱交換器4において放熱した冷媒を分岐して後段側圧縮要素103d、104dに戻す気液分離器としてのレシーバ18による中間圧インジェクションを行うことによる後段側圧縮要素103d、104dに吸入される冷媒の冷却効果だけになり、中間熱交換器開閉弁12や中間熱交換器バイパス開閉弁11を設けずに中間熱交換器7だけを設けた場合や上述の冷房運転と同様に中間熱交換器7を冷却器として機能させた場合(この場合には、図6、図7において、点A→点B→点C’→点G’→点D’→点F→点I→点L→点Eの順で冷凍サイクルが行われる)に比べて、中間熱交換器7から外部への放熱が防止され、後段側圧縮要素103d、104dに吸入される冷媒の温度の低下が抑えられ(図7の点G、G’参照)、最終的に圧縮機構102から吐出される冷媒の温度の低下を抑えることができる(図7の点D、D’参照)。これにより、この空気調和装置1では、暖房運転時において、外部への放熱を抑えて、冷媒の放熱器として機能する利用側熱交換器6において利用できるようにして、運転効率の低下を防ぐことができる。
<圧縮機構の起動>
次に、上述のような冷房運転や暖房運転を行う際の圧縮機構102の起動時の動作について、冷房運転を例として説明する。ここで、本実施形態の空気調和装置1は、上述のように、運転容量を可変できる第1圧縮部103が第2圧縮部104よりも優先的に運転される構成となっている。具体的には、圧縮機構102の起動時には、図9に示されるように、まず、第1圧縮部103から起動され、第2圧縮部104は停止した状態となっている。ここで、第1圧縮部103だけが起動された状態においては、後段側吸入弁85a、及び、後発圧縮部起動弁86aが閉められた状態にされる。
まず、第1圧縮部103だけが起動されている場合において、空調能力を大きくする要求がなされると、第1圧縮部103の運転周波数が最大周波数に対して余裕がある場合には、第1圧縮部103の運転周波数を大きくする操作がなされる。しかし、第1圧縮部103の運転周波数を最大周波数にしても、空調能力が足りない場合には、第2圧縮部104の起動が要求される。そして、ステップS1において、第2圧縮部104の起動要求があったものと判定された場合には、ステップS2〜S4の後発圧縮部起動制御に移行することになる。
次に、ステップS2において、第2圧縮部104を起動した際に、第1圧縮部103だけが起動されている状態において圧縮機構102から吐出される冷媒の流量よりも大幅に冷媒の流量が増加してしまわないようにするために、第1圧縮部103の運転周波数を最低周波数まで下げることによって、第2圧縮部104の起動に先立って、第1圧縮部103の運転容量を下げる操作を行うとともに、この際に、第1後段側インジェクション開閉弁18cの開度を小さくする(ここでは、開状態から全閉状態にする)ことで、第1後段側インジェクション管18cを通じて中間冷媒管8に戻る冷媒の流れのない状態にする(図9において、第1後段側インジェクション管18cを通じて中間冷媒管8に戻る冷媒の流れを示す矢印がなくなった状態に対応)。
ここで、仮に、第2圧縮部104の起動に先立って、第1圧縮部103の運転容量を下げる操作だけを行った場合には、第1圧縮部103の第1前段側圧縮要素103cから吐出される冷媒の流量が減少することから、中間冷媒管8を流れる冷媒の流量に比べて、第1後段側インジェクション管18cから中間冷媒管8に戻される冷媒の流量が相対的に多い状態になって、第1圧縮部103の第1後段側圧縮要素103dに吸入される冷媒が一時的に湿り状態になるおそれがあり、これにより、装置の信頼性が低下するという問題がある。
しかし、このステップS2のように、第2圧縮部104の起動に先立って第1圧縮部103の運転容量を下げる際に、第1後段側インジェクション開閉弁18dの開度を小さくする(ここでは、開状態から全閉状態にする)ことで、第1圧縮部103の第1前段側圧縮要素103cから吐出される冷媒の流量が減少するにもかかわらず、第1後段側インジェクション管18cから中間冷媒管8に戻される冷媒の流量が中間冷媒管8を流れる冷媒の流量に比べて多い状態になるのを避けて、第1後段側圧縮要素に吸入される冷媒が湿り状態になるのを抑えることができ、これにより、装置の信頼性が向上させることができる。
次に、ステップS3において、後発圧縮部起動弁86aを開けた状態(第2圧縮部104の起動前であることから、後段側吸入弁85aが閉められた状態)で第2圧縮部104を起動する操作を行うことで、第2圧縮部104の第2前段側圧縮要素104cから吐出された冷媒を、第1圧縮部103の第1前段側圧縮要素103cから吐出される冷媒に合流させることなく、起動バイパス管86を通じて、第2圧縮部104の第2後段側圧縮要素104dに吸入させるように冷媒が流れる状態にする(図10参照)。
ここで、仮に、2つの圧縮部103、104が両方とも起動された状態と同様、後段側吸入弁85aを開け、かつ、後発圧縮部起動弁86aを閉めた状態にして、第2圧縮部104を起動しようとすると、中間冷媒管8によって、第1前段側圧縮要素103cから吐出された冷媒と第2前段側圧縮要素103cから吐出された冷媒とが一旦合流した後に、第1後段側圧縮要素103dの吸入側と第2後段側圧縮要素104dの吸入側とに分岐されるようになっていることに起因して、第2圧縮部104の第2前段側圧縮要素104cの吐出側及び第2後段側圧縮要素104dの吸入側が、中間冷媒管8を通じて、既に起動されている第1圧縮部103の第1前段側圧縮要素103cの吐出側の圧力及び第1後段側圧縮要素103dの吸入側の圧力の影響を受けた状態から第2圧縮部104を起動することになり、第2圧縮部104を安定的に起動することが困難である。
しかし、このステップS3のように、後発圧縮部起動弁86aを開けた状態(かつ、後段側吸入弁85aを閉めた状態)で第2圧縮部104を起動する操作を行うことで、第2圧縮部104の第2前段側圧縮要素104cの吐出側及び第2後段側圧縮要素104dの吸入側が第1圧縮部103の第1前段側圧縮要素103cの吐出側の圧力及び第1後段側圧縮要素103dの吸入側の圧力の影響を受けた状態を緩和することができ、第1圧縮部103を起動させた状態において第2圧縮部104を起動させる際に、第2圧縮部104を安定的に起動することができる。
そして、第2圧縮部104の起動から所定時間経過したり、圧縮機構102周りの圧力センサ54、60等が所定圧力範囲で安定する等のように、第2圧縮部104が安定的に起動されたら、次に、ステップS4において、後段側吸入弁85aを開け、かつ、後発圧縮部起動弁86aを閉めるとともに、第1後段側インジェクション開閉弁18dの開度を大きくする(ここでは、全閉状態から開状態にする)ことで、第2圧縮部104の第2前段側圧縮要素104cから吐出された冷媒を第1圧縮部103の第1前段側圧縮要素103cから吐出された冷媒と合流させる状態に移行するとともに、第1後段側インジェクション管18cから中間母管82に戻される冷媒の流量を、第2圧縮部104の起動時における後段側吸入弁85a及び後発圧縮部起動弁86aの開閉状態が考慮された適切なものにする(図2参照)。
ここで、仮に、第2圧縮部104が起動された後であって、後段側吸入弁85aが開けられ、かつ、後発圧縮部起動弁86aが閉められた状態に移行した後においても、第1後段側インジェクション開閉弁18dの開度を小さいまま(ここでは、全閉状態)にしていると、第1前段側圧縮要素103cから吐出された冷媒と第2前段側圧縮要素104cから吐出された冷媒との両方が合流して中間冷媒管8の中間母管82を流れているのにもかかわらず、中間母管82を流れる冷媒の流量に比べて、第1後段側インジェクション管18cから中間母管82に戻される冷媒の流量が相対的に少ない状態になって、中間圧インジェクションによる圧縮機構102の消費動力の低減や運転効率の向上の効果が十分に得られない状態となってしまう。このため、このような状態になるのを避けるために、第2圧縮部104が起動された後には、速やかに、第1後段側インジェクション開閉弁18dの開度を大きくして(ここでは、全閉状態から開状態にする)、第1後段側インジェクション管18cから中間冷媒管8に戻される冷媒の流量を増加させることが望ましい。
しかし、第2圧縮部104が起動された後であっても、後段側吸入弁85aが閉められ、かつ、後発圧縮部起動弁86aが開けられた閉められた状態(すなわち、ステップS3の処理を行った後のような、第2圧縮部104の起動直後の通常の運転に移行する前の状態)において、第1後段側インジェクション開閉弁18dを大きくしてしまうと、中間冷媒管8の中間母管82を流れる冷媒が第1前段側圧縮要素103cから吐出された冷媒だけであるにもかかわらず、第1後段側インジェクション管18cから中間母管82に戻される冷媒の流量が増加することになるため、中間母管82を流れる冷媒の流量に比べて、第1後段側インジェクション管18cから中間母管82に戻される冷媒の流量が相対的に多い状態になって、第1圧縮部103の第1後段側圧縮要素103dに吸入される冷媒が湿り状態になるおそれがある。
そこで、このステップS4のように、第2圧縮部104が起動された後であっても、後段側吸入弁85aが閉められ、かつ、後発圧縮部起動弁86aが開けられた状態においては、第1後段側インジェクション開閉弁18dの開度を大きくせずに、後段側吸入弁85aが開けられ、かつ、後発圧縮部起動弁86aが閉められる際に、第1後段側インジェクション開閉弁18dの開度を大きくすることで、後段側吸入弁85a及び後発圧縮部起動弁86aの開閉制御を伴う第2圧縮部104の起動時においても、第1後段側圧縮要素104dに吸入される冷媒が湿り状態になるのを抑えるとともに、通常の運転状態(ここでは、冷房運転)に移行された際には、速やかに、第1後段側インジェクション管18cから中間母管82に戻される冷媒の流量を増加させることができる。
また、本実施形態の空気調和装置1では、中間冷媒管8を構成する中間母管82に中間熱交換器7が設けられており、中間母管82を流れる冷媒が、第1後段側インジェクション管18cから中間母管82に戻される冷媒と合流する前に、前段側圧縮要素103c、104cから吐出された状態よりも冷却された状態になるため、第1後段側インジェクション管18cから中間母管82に戻される冷媒と合流した後に後段側圧縮要素103d、104dに吸入される冷媒が湿り状態になるおそれが高くなっているが、上述のステップS2のように、第2圧縮部104の起動に先立って第1圧縮部103の運転容量を下げる際に、第1後段側インジェクション開閉弁18dの開度を小さくするようにしているため、また、ステップS3、S4のように、後段側吸入弁85aを閉め、かつ、後発圧縮部起動弁86aを開けた状態で第2圧縮部104を起動し、第2圧縮部104が起動された後に、後段側吸入弁85aを開け、かつ、後発圧縮部起動弁86aを閉めることで、第2圧縮部104を安定的に起動させた後においては、後段側吸入弁85aが開けられ、かつ、後発圧縮部起動弁86aが閉められる際に、第1後段側インジェクション開閉弁18dの開度を大きくするようにしているため、中間母管82を流れる冷媒が、第1後段側インジェクション管18cから中間母管82に戻される冷媒と合流する前に、前段側圧縮要素103c、104cから吐出された状態よりも冷却された状態になるものであるにもかかわらず、第1後段側圧縮要素104cに吸入される冷媒が湿り状態になるのを抑えることができるようになっている。
また、暖房運転を行う際の圧縮機構102の起動時には、中間熱交換器7を冷却器として使用しないため、第1後段側インジェクション管18cから中間母管82に戻される冷媒と合流した後に第1後段側圧縮要素103dに吸入される冷媒が湿り状態になるおそれが、冷房運転を行う際の圧縮機構102の起動時よりも低くなっている点が異なるが、基本的には、冷房運転を行う際の圧縮機構102の起動時と同様の作用効果を得ることができる。
(3)変形例1
上述の実施形態では、切換機構3によって冷房運転と暖房運転とを切換可能に構成された空気調和装置1において、気液分離器としてのレシーバ18による中間圧インジェクションを行うための第1後段側インジェクション管18cを設けて、気液分離器としてのレシーバ18による中間圧インジェクションを行うようにしているが、このレシーバ18による中間圧インジェクションに代えて、第2後段側インジェクション管19及びエコノマイザ熱交換器20を設けて、エコノマイザ熱交換器20による中間圧インジェクションを行うようにすることが考えられる。
例えば、図11に示されるように、上述の実施形態において、第1後段側インジェクション管18cに代えて、第2後段側インジェクション管19、及び、エコノマイザ熱交換器20が設けられた冷媒回路110にすることができる。
ここで、第2後段側インジェクション管19は、熱源側熱交換器4又は利用側熱交換器6において放熱した冷媒を分岐して圧縮機構102の後段側圧縮要素103d、104dに戻す機能を有している。本変形例において、第2後段側インジェクション管19は、レシーバ入口管18aを流れる冷媒を分岐して後段側圧縮要素103d、104dの吸入側に戻すように設けられている。より具体的には、第2後段側インジェクション管19は、レシーバ入口管18aの第1膨張機構5aの上流側の位置(すなわち、切換機構3を冷却運転状態にしている際には、熱源側熱交換器4と第1膨張機構5aとの間、また、切換機構3を加熱運転状態にしている際には、利用側熱交換器6と第1膨張機構5aとの間)から冷媒を分岐して中間母管82の中間熱交換器7の下流側の位置に戻すように設けられている。この第2後段側インジェクション管19には、開度制御が可能な第2後段側インジェクション弁19aが設けられている。第2後段側インジェクション弁19aは、本変形例において、電動膨張弁である。
また、エコノマイザ熱交換器20は、熱源側熱交換器4又は利用側熱交換器6において放熱した冷媒と第2後段側インジェクション管19を流れる冷媒(より具体的には、第2後段側インジェクション弁19aにおいて中間圧付近まで減圧された後の冷媒)との熱交換を行う熱交換器である。本変形例において、エコノマイザ熱交換器20は、レシーバ入口管18aの第1膨張機構5aの上流側の位置(すなわち、切換機構3を冷却運転状態にしている際には、熱源側熱交換器4と第1膨張機構5aとの間、また、切換機構3を加熱運転状態にしている際には、利用側熱交換器6と第1膨張機構5aとの間)を流れる冷媒と第2後段側インジェクション管19を流れる冷媒との熱交換を行うように設けられており、また、両冷媒が対向するように流れる流路を有している。また、本変形例において、エコノマイザ熱交換器20は、レシーバ入口管18aの第2後段側インジェクション管19の上流側に設けられている。このため、熱源側熱交換器4又は利用側熱交換器6において放熱した冷媒は、レシーバ入口管18aにおいて、エコノマイザ熱交換器20において熱交換される前に第2後段側インジェクション管19に分岐され、その後に、エコノマイザ熱交換器20において、第2後段側インジェクション管19を流れる冷媒と熱交換を行うことになる。
また、エコノマイザ熱交換器20の第2後段側インジェクション管19側の出口には、エコノマイザ熱交換器20の第2後段側インジェクション管19側の出口における冷媒の温度を検出するエコノマイザ出口温度センサ55が設けられている。
次に、本変形例の空気調和装置1の動作について、図11〜図17を用いて説明する。ここで、図12は、冷房運転時における空気調和装置1内の冷媒の流れを示す図であり、図13は、冷房運転時の冷凍サイクルが図示された圧力−エンタルピ線図であり、図14は、冷房運転時の冷凍サイクルが図示された温度−エントロピ線図であり、図15は、暖房運転時における空気調和装置1内の冷媒の流れを示す図であり、図16は、暖房運転時の冷凍サイクルが図示された圧力−エンタルピ線図であり、図17は、暖房運転時の冷凍サイクルが図示された温度−エントロピ線図である。尚、以下の冷房運転、暖房運転、及び、圧縮機構の起動における運転制御は、上述の制御部(図示せず)によって行われる。また、以下の説明において、「高圧」とは、冷凍サイクルにおける高圧(すなわち、図12、13の点D、D’、E、Hにおける圧力や図16、17の点D、D’、F、Hにおける圧力を意味し、「低圧」とは、冷凍サイクルにおける低圧(すなわち、図13、14の点A、Fにおける圧力や図16、17の点A、Eにおける圧力)を意味し、「中間圧」とは、冷凍サイクルにおける中間圧(すなわち、図13、14、16、16の点B、C、C’、G、G’、J、Kにおける圧力)を意味している。
<冷房運転>
冷房運転時は、切換機構3が図11及び図12の実線で示される冷却運転状態とされる。また、第1膨張機構5a及び第2膨張機構5bは、開度調節される。そして、切換機構3が冷却運転状態となるため、中間冷媒管8の中間熱交換器開閉弁12が開けられ、そして、中間熱交換器バイパス管9の中間熱交換器バイパス開閉弁11が閉められることによって、中間熱交換器7が冷却器として機能する状態にされる。さらに、第2後段側インジェクション弁19aは、開度調節される。より具体的には、本変形例において、第2後段側インジェクション弁19aは、エコノマイザ熱交換器20の第2後段側インジェクション管19側の出口における冷媒の過熱度が目標値になるように開度調節される、いわゆる過熱度制御がなされるようになっている。本変形例において、エコノマイザ熱交換器20の第2後段側インジェクション管19側の出口における冷媒の過熱度は、中間圧力センサ54により検出される中間圧を飽和温度に換算し、エコノマイザ出口温度センサ55により検出される冷媒温度からこの冷媒の飽和温度値を差し引くことによって得られる。尚、本変形例では採用していないが、エコノマイザ熱交換器20の第2後段側インジェクション管19側の入口に温度センサを設けて、この温度センサにより検出される冷媒温度をエコノマイザ出口温度センサ55により検出される冷媒温度から差し引くことによって、エコノマイザ熱交換器20の第2後段側インジェクション管19側の出口における冷媒の過熱度を得るようにしてもよい。また、第2後段側インジェクション弁19aの開度調節は、過熱度制御に限られるものではなく、例えば、冷媒回路110における冷媒循環量等に応じて所定開度だけ開けるようにするものであってもよい。尚、ここでは、第1圧縮部103及び第2圧縮部104の両方が起動された状態における冷房運転を例として説明するため、後段側吸入弁85aが開けられ、後発圧縮部起動弁86aが閉められた状態にされる。但し、第1圧縮部103だけが起動された状態における冷房運転の場合には、後段側吸入弁85a、及び、後発圧縮部起動弁86aが閉められた状態にされる。
この冷媒回路110の状態において、低圧の冷媒(図11〜図14の点A参照)は、吸入母管102aから圧縮機構102に吸入され、まず、前段側圧縮要素103c、104cによって中間圧まで圧縮された後に、中間冷媒管8の入口側中間枝管81、84に吐出され、逆止機構81a、84aを通じて、中間冷媒管8の中間母管82で合流する(図11〜図14の点B参照)。この前段側圧縮要素103c、104cから吐出されて中間冷媒管8で合流した中間圧の冷媒は、中間熱交換器7において、冷却源としての水や空気と熱交換を行うことで冷却される(図11〜図14の点C参照)。この中間熱交換器7において冷却された冷媒は、第2後段側インジェクション管19から後段側圧縮要素103d、104dに戻される冷媒(図11〜図14の点K参照)と合流することでさらに冷却される(図11〜図14の点G参照)。次に、第2後段側インジェクション管19から戻る冷媒と合流した(すなわち、エコノマイザ熱交換器20による中間圧インジェクションが行われた)中間圧の冷媒は、中間冷媒管8の出口側中間枝管83、85に分岐される。この中間冷媒管8の中間母管82から出口側中間枝管83、85に分岐した中間圧の冷媒は、前段側圧縮要素103c、104cの後段側に接続された後段側圧縮要素103d、104dに吸入されてさらに圧縮されて、圧縮部103、104から吐出枝管103b、104bに吐出される(図11〜図14の点D参照)。ここで、圧縮部103、104から吐出された高圧の冷媒は、圧縮要素103c、104c、103d、104dによる二段圧縮動作によって、臨界圧力(すなわち、図13に示される臨界点CPにおける臨界圧力Pcp)を超える圧力まで圧縮されている。そして、第1圧縮部103から吐出された高圧の冷媒は、第1油分離機構141を構成する第1油分離器141aに流入し、同伴する冷凍機油が分離される。また、第1油分離器141aにおいて高圧の冷媒から分離された冷凍機油は、第1油分離機構141を構成する第1油戻し管141bに流入し、第1油戻し管141bに設けられた第1減圧機構141cで減圧された後に第2圧縮部104の第2吸入枝管104aに戻されて、再び、圧縮機構102に吸入される。また、第2圧縮部104から吐出された高圧の冷媒は、第2油分離機構143を構成する第2油分離器143aに流入し、同伴する冷凍機油が分離される。また、第2油分離器143aにおいて高圧の冷媒から分離された冷凍機油は、第2油分離機構143を構成する第2油戻し管143bに流入し、第2油戻し管143bに設けられた第2減圧機構143cで減圧された後に第1圧縮部103の第1吸入枝管103aに戻されて、再び、圧縮機構102に吸入される。次に、油分離機構141、143において冷凍機油が分離された後の高圧の冷媒は、逆止機構142、144を通過した後に吐出母管102bで合流し、切換機構3を通じて、冷媒の放熱器として機能する熱源側熱交換器4に送られる。そして、熱源側熱交換器4に送られた高圧の冷媒は、熱源側熱交換器4において、冷却源としての水や空気と熱交換を行って冷却される(図11〜図14の点E参照)。そして、熱源側熱交換器4において冷却された高圧の冷媒は、ブリッジ回路17の入口逆止弁17aを通じてレシーバ入口管18aに流入し、その一部が第2後段側インジェクション管19に分岐される。そして、第2後段側インジェクション管19を流れる冷媒は、第2後段側インジェクション弁19aにおいて中間圧付近まで減圧された後に、エコノマイザ熱交換器20に送られる(図11〜図14の点J参照)。また、第2後段側インジェクション管19に分岐された後の冷媒は、エコノマイザ熱交換器20に流入し、第2後段側インジェクション管19を流れる冷媒と熱交換を行って冷却される(図11〜図14の点H参照)。一方、第2後段側インジェクション管19を流れる冷媒は、放熱器としての熱源側熱交換器4において冷却された高圧の冷媒と熱交換を行って加熱されて(図11〜図14の点K参照)、上述のように、前段側圧縮要素103c、104cから吐出された中間圧の冷媒に合流することになる。そして、エコノマイザ熱交換器20において冷却された高圧の冷媒は、第1膨張機構5aによって飽和圧力付近まで減圧されてレシーバ18内に一時的に溜められる(図11及び図12の点I参照)。そして、レシーバ18内に溜められた冷媒は、レシーバ出口管18bに送られて、第2膨張機構5bによって減圧されて低圧の気液二相状態の冷媒となり、ブリッジ回路17の出口逆止弁17cを通じて、冷媒の蒸発器として機能する利用側熱交換器6に送られる(図11〜図14の点F参照)。そして、利用側熱交換器6に送られた低圧の気液二相状態の冷媒は、加熱源としての水や空気と熱交換を行って加熱されて、蒸発することになる(図11〜図14の点A参照)。そして、この利用側熱交換器6において加熱された低圧の冷媒は、切換機構3を経由して、再び、圧縮機構102に吸入される。このようにして、冷房運転が行われる。
このように、本変形例の空気調和装置1では、第1後段側インジェクション管18cではなく、第2後段側インジェクション管19を設けて、熱源側熱交換器4において放熱した冷媒を分岐して後段側圧縮要素103d、104dに戻すエコノマイザ熱交換器20による中間圧インジェクションを行うようにしている点は異なるが、冷房運転時において、上述の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
<暖房運転>
暖房運転時は、切換機構3が図11及び図15の破線で示される加熱運転状態とされる。また、第1膨張機構5a及び第2膨張機構5bは、開度調節される。そして、切換機構3が加熱運転状態となるため、中間冷媒管8の中間熱交換器開閉弁12が閉められ、そして、中間熱交換器バイパス管9の中間熱交換器バイパス開閉弁11が開けられることによって、中間熱交換器7が冷却器として機能しない状態にされる。さらに、第2後段側インジェクション弁19aは、冷房運転時と同様の開度調節がなされる。尚、ここでは、第1圧縮部103及び第2圧縮部104の両方が起動された状態における暖房運転を例として説明するため、後段側吸入弁85aが開けられ、後発圧縮部起動弁86aが閉められた状態にされる。但し、第1圧縮部103だけが起動された状態における暖房運転の場合には、後段側吸入弁85a、及び、後発圧縮部起動弁86aが閉められた状態にされる。
この冷媒回路110の状態において、低圧の冷媒(図11、図15〜図17の点A参照)は、吸入母管102aから圧縮機構102に吸入され、まず、前段側圧縮要素103c、104cによって中間圧まで圧縮された後に、中間冷媒管8の入口側中間枝管81、84に吐出され、逆止機構81a、84aを通じて、中間冷媒管8の中間母管82で合流する(図11、図15〜図17の点B参照)。この前段側圧縮要素103c、104cから吐出されて中間冷媒管8で合流した中間圧の冷媒は、上述の冷房運転時とは異なり、中間熱交換器7を通過せずに(すなわち、冷却されることなく)、中間熱交換器バイパス管9を通過する(図11、図15〜図17の点C参照)。この中間熱交換器7によって冷却されることなく中間熱交換器バイパス管9を通過した中間圧の冷媒は、第2後段側インジェクション管19から後段側圧縮要素103d、104dに戻される冷媒(図11、図15〜図17の点K参照)と合流することでさらに冷却される(図11、図15〜図17の点G参照)。次に、第2後段側インジェクション管19から戻る冷媒と合流した(すなわち、エコノマイザ熱交換器20による中間圧インジェクションが行われた)中間圧の冷媒は、中間冷媒管8の出口側中間枝管83、85に分岐される。この中間冷媒管8の中間母管82から出口側中間枝管83、85に分岐した中間圧の冷媒は、前段側圧縮要素103c、104cの後段側に接続された後段側圧縮要素103d、104dに吸入されてさらに圧縮されて、圧縮部103、104から吐出枝管103b、104bに吐出される(図11、図15〜図17の点D参照)。ここで、圧縮部103、104から吐出された高圧の冷媒は、圧縮要素103c、104c、103d、104dによる二段圧縮動作によって、臨界圧力(すなわち、図16に示される臨界点CPにおける臨界圧力Pcp)を超える圧力まで圧縮されている。そして、第1圧縮部103から吐出された高圧の冷媒は、第1油分離機構141を構成する第1油分離器141aに流入し、同伴する冷凍機油が分離される。また、第1油分離器141aにおいて高圧の冷媒から分離された冷凍機油は、第1油分離機構141を構成する第1油戻し管141bに流入し、第1油戻し管141bに設けられた第1減圧機構141cで減圧された後に第2圧縮部104の第2吸入枝管104aに戻されて、再び、圧縮機構102に吸入される。また、第2圧縮部104から吐出された高圧の冷媒は、第2油分離機構143を構成する第2油分離器143aに流入し、同伴する冷凍機油が分離される。また、第2油分離器143aにおいて高圧の冷媒から分離された冷凍機油は、第2油分離機構143を構成する第2油戻し管143bに流入し、第2油戻し管143bに設けられた第2減圧機構143cで減圧された後に第1圧縮部103の第1吸入枝管103aに戻されて、再び、圧縮機構102に吸入される。次に、油分離機構141、143において冷凍機油が分離された後の高圧の冷媒は、逆止機構142、144を通過した後に吐出母管102bで合流し、切換機構3を通じて、冷媒の放熱器として機能する利用側熱交換器6に送られて、冷却源としての水や空気と熱交換を行って冷却される(図11、図15〜図17の点F参照)。そして、利用側熱交換器6において冷却された高圧の冷媒は、ブリッジ回路17の入口逆止弁17bを通じてレシーバ入口管18aに流入し、その一部が第2後段側インジェクション管19に分岐される。そして、第2後段側インジェクション管19を流れる冷媒は、第2後段側インジェクション弁19aにおいて中間圧付近まで減圧された後に、エコノマイザ熱交換器20に送られる(図11、図15〜図17の点J参照)。また、第2後段側インジェクション管19に分岐された後の冷媒は、エコノマイザ熱交換器20に流入し、第2後段側インジェクション管19を流れる冷媒と熱交換を行って冷却される(図11、図15〜図17の点H参照)。一方、第2後段側インジェクション管19を流れる冷媒は、放熱器としての熱源側熱交換器4において冷却された高圧の冷媒と熱交換を行って加熱されて(図11、図15〜図17の点K参照)、上述のように、前段側圧縮要素103c、104cから吐出された中間圧の冷媒に合流することになる。そして、エコノマイザ熱交換器20において冷却された高圧の冷媒は、第1膨張機構5aによって飽和圧力付近まで減圧されてレシーバ18内に一時的に溜められる(図11及び図15の点I参照)。そして、レシーバ18内に溜められた冷媒は、レシーバ出口管18bに送られて、第2膨張機構5bによって減圧されて低圧の気液二相状態の冷媒となり、ブリッジ回路17の出口逆止弁17dを通じて、冷媒の蒸発器として機能する熱源側熱交換器4に送られる(図11、図15〜図17の点E参照)。そして、熱源側熱交換器4に送られた低圧の気液二相状態の冷媒は、熱源側熱交換器4において、加熱源としての水や空気と熱交換を行って加熱されて、蒸発することになる(図11、図15〜図17の点A参照)。そして、この熱源側熱交換器4において加熱されて蒸発した低圧の冷媒は、切換機構3を経由して、再び、圧縮機構102に吸入される。このようにして、暖房運転が行われる。
このように、本変形例の空気調和装置1では、第1後段側インジェクション管18cではなく、第2後段側インジェクション管19を設けて、熱源側熱交換器4において放熱した冷媒を分岐して後段側圧縮要素103d、104dに戻すエコノマイザ熱交換器20による中間圧インジェクションを行うようにしている点は異なるが、暖房運転時において、上述の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
<圧縮機構の起動>
本変形例の空気調和装置1では、第1後段側インジェクション開閉弁18dの代わりに第2後段側インジェクション弁19aが使用される点は異なるが、基本的には、上述の実施形態と同様の圧縮機構102の起動時の動作を行うことができる。
但し、第2後段側インジェクション弁19aは開度調節が可能であることから、図8に示されるステップS2において、第2後段側インジェクション弁19aの開度を小さくする際には、第1圧縮部103の運転周波数を下げた状態における中間冷媒管8を流れる冷媒の流量に見合った量の中間圧インジェクションが行われる開度に設定することができる。例えば、第2後段側インジェクション弁19aの開度を、第1圧縮部103の運転周波数を下げる操作を行う直前の運転周波数から最低周波数まで下げた際の中間冷媒管8を流れる冷媒の流量の減少分に見合う開度幅だけ、第1圧縮部103の運転周波数を下げる操作を行う直前の開度よりも小さくすることができる。また、図8に示されるステップS4において、第2後段側インジェクション弁19aの開度を大きくする際には、第2圧縮部104の起動操作による中間冷媒管8を流れる冷媒の流量の増加分に見合った量の中間圧インジェクションが行われる開度に設定することができる。例えば、第2後段側インジェクション弁19aの開度を、第2圧縮部104の起動操作を行った際の中間冷媒管8を流れる冷媒の流量の増加分に見合う開度幅だけ、第2圧縮部104の起動操作を行う直前の開度よりも大きくすることができる。このように、本変形例では、図8に示されるステップS2〜S4のような過渡的な制御状態においても、中間冷媒管8を流れる冷媒の流量に応じた中間圧インジェクションを行うことができる。
(4)変形例2
上述の実施形態及びその変形例における冷媒回路10、110(図1、11参照)においては、1つの利用側熱交換器6を有する構成となっているが、複数の空調空間の空調負荷に応じた冷房や暖房を行うこと等を目的として、互いに並列に接続された複数の利用側熱交換器6を有する構成にするとともに、各利用側熱交換器6を流れる冷媒の流量を制御して各利用側熱交換器6において必要とされる冷凍負荷を得ることができるようにするために、気液分離器としてのレシーバ18と利用側熱交換器6との間において各利用側熱交換器6に対応するように利用側膨張機構5cを設ける場合が考えられる。
例えば、詳細は図示しないが、上述の実施形態におけるブリッジ回路17を有する冷媒回路10(図1参照)において、互いが並列に接続された複数(ここでは、2つ)の利用側熱交換器6を設けるとともに、気液分離器としてのレシーバ18(より具体的には、ブリッジ回路17)と利用側熱交換器6との間において各利用側熱交換器6に対応するように利用側膨張機構5cを設け(図18参照)、レシーバ出口管18bに設けられていた第2膨張機構5bを削除し、また、ブリッジ回路17の出口逆止弁17dに代えて、暖房運転時に冷凍サイクルにおける低圧まで冷媒を減圧する第3膨張機構(図示せず)を設けることが考えられる。
そして、このような互いが並列に接続された複数の利用側熱交換器6を有するとともに、各利用側熱交換器6に対応するように気液分離器としてのレシーバ18と利用側熱交換器6との間に利用側膨張弁としての利用側膨張機構5cが設けられており、これらの利用側膨張機構5cが、各利用側熱交換器6において必要とされる冷凍負荷が得られるように各利用側熱交換器6を流れる冷媒の流量を制御している構成においては、切換機構3を加熱運転状態にした暖房運転において、各利用側熱交換器6を通過する冷媒の流量が、各利用側熱交換器6の下流側でかつレシーバ18の上流側に設けられた利用側膨張機構5cの開度によって概ね決定されることになるが、この際、各利用側膨張機構5cの開度は、各利用側熱交換器6を流れる冷媒の流量だけでなく、複数の利用側熱交換器6間の流量分配の状態によって変動することになり、複数の利用側膨張機構5c間で開度が大きく異なる状態が生じたり、利用側膨張機構5cが比較的小さい開度になったりする場合があり、このため、暖房運転時における利用側膨張機構5cの開度制御によって、気液分離器としてのレシーバ18における圧力が低くなる場合があり得る。また、このような空気調和装置1を、主として圧縮機構102、熱源側熱交換器4及びレシーバ18を含む熱源ユニットと、主として利用側熱交換器6を含む利用ユニットとが連絡配管によって接続されたセパレート型の空気調和装置として構成する場合には、利用ユニット及び熱源ユニットの配置によっては、この連絡配管が非常に長くなることがあり得るため、その圧力損失による低下分も加わり、さらに、レシーバ18における圧力が低下することになる。このように、気液分離器としてのレシーバ18による中間圧インジェクションは、レシーバ18における圧力と冷凍サイクルにおける中間圧との圧力差が小さい条件であっても使用可能であることから、この構成における暖房運転のように、レシーバ18における圧力が低くなるおそれの高い場合に有利である。
しかし、冷房運転のように、熱源側熱交換器4において冷却された後に気液分離器としてのレシーバ18に流入するまでの間に、熱源側膨張機構としての第1膨張機構5a以外に大幅な減圧操作が行われることがなく、冷凍サイクルにおける高圧から冷凍サイクルの中間圧付近までの圧力差を利用できる条件においては、熱源側熱交換器4と第1膨張機構5aとの間を流れる冷媒を分岐して後段側圧縮要素103d、104dに戻す第2後段側インジェクション管19と、熱源側熱交換器4と第1膨張機構5aとの間を流れる冷媒と第2後段側インジェクション管19を流れる冷媒との熱交換を行うエコノマイザ熱交換器20とを設けて、このエコノマイザ熱交換器20における熱交換によって加熱された後の第2後段側インジェクション管19を流れる冷媒を後段側圧縮要素103d、104dに戻す(すなわち、エコノマイザ熱交換器20による中間圧インジェクションを行う)ことが好ましい(例えば、後述の図18における第2後段側インジェクション管19及びエコノマイザ熱交換器20を参照)。なぜなら、エコノマイザ熱交換器20による中間圧インジェクションは、エコノマイザ熱交換器20における熱交換量の大小によって後段側圧縮要素103d、104dに戻すことができる冷媒の流量が変動することから、暖房運転のように、エコノマイザ熱交換器20の入口における冷媒の圧力と冷凍サイクルにおける中間圧との圧力差が小さい場合には、エコノマイザ熱交換器20における熱交換量が小さくなって後段側圧縮要素103d、104dに戻すことができる冷媒の流量が小さくなり、その適用が困難であるが、エコノマイザ熱交換器20の入口における冷媒の圧力と冷凍サイクルにおける中間圧との圧力差が大きい場合には、エコノマイザ熱交換器20における熱交換量が大きくなって後段側圧縮要素103d、104dに戻すことができる冷媒の流量が大きくなり、その適用が有効である。特に、二酸化炭素のような超臨界域で作動する冷媒を使用する場合には、冷凍サイクルにおける高圧が臨界圧力を超える圧力になることから、冷凍サイクルにおける高圧と中間圧との圧力差がさらに大きくなるため、エコノマイザ熱交換器20による中間圧インジェクションが有利である。
また、上述のように、複数の空調空間の空調負荷に応じた冷房や暖房を行うこと等を目的として、互いに並列に接続された複数の利用側熱交換器6を有する構成にするとともに、各利用側熱交換器6を流れる冷媒の流量を制御して各利用側熱交換器6において必要とされる冷凍負荷を得ることができるようにするために、レシーバ18と利用側熱交換器6との間において各利用側熱交換器6に対応するように利用側膨張機構5cを設けた構成を採用した場合には、冷房運転時において、第1膨張機構5aによって飽和圧力付近まで減圧されてレシーバ18内に一時的に溜められた冷媒(図18の点L参照)が、各利用側膨張機構5cに分配されるが、レシーバ18から各利用側膨張機構5cに送られる冷媒が気液二相状態であると、各利用側膨張機構5cへの分配時に偏流を生じるおそれがあるため、レシーバ18から各利用側膨張機構5cに送られる冷媒をできるだけ過冷却状態にすることが望ましい。
そこで、本変形例では、図18に示されるように、第1後段側インジェクション管18c、第2後段側インジェクション管19及びエコノマイザ熱交換器20を設けることによって、暖房運転時には、気液分離器としてのレシーバ18による中間圧インジェクションを行い、冷房運転時には、エコノマイザ熱交換器20による中間圧インジェクションを行うことを可能にするとともに、レシーバ18と利用側膨張機構5cとの間に、過冷却熱交換器96及び第2吸入戻し管95を設けた冷媒回路210としている。ここで、第1後段側インジェクション管18cと第2後段側インジェクション管19とは、中間冷媒管8側の部分が一体となっている。
また、本変形例において、利用側膨張機構5cは、電動膨張弁である。また、本変形例では、上述のように、第2後段側インジェクション管19及びエコノマイザ熱交換器20を冷房運転時に使用し、第1後段側インジェクション管18cを暖房運転時に使用するようにしていることから、エコノマイザ熱交換器20への冷媒の流通方向を冷房運転及び暖房運転を問わず一定にする必要がないため、ブリッジ回路17を省略して、冷媒回路210の構成を簡単化している。
また、第2吸入戻し管95は、放熱器としての熱源側熱交換器4から蒸発器としての利用側熱交換器6に送られる冷媒を分岐して圧縮機構102の吸入側(すなわち、吸入母管102a)に戻す冷媒管である。本変形例において、第2吸入戻し管95は、レシーバ18から利用側膨張機構5cに送られる冷媒を分岐するように設けられている。より具体的には、第2吸入戻し管95は、過冷却熱交換器96の上流側の位置(すなわち、レシーバ18とエコノマイザ熱交換器20との間)から冷媒を分岐して吸入母管102aに戻すように設けられている。この第2吸入戻し管95には、開度制御が可能な第2吸入戻し弁95aが設けられている。第2吸入戻し弁95aは、本変形例において、電動膨張弁である。
また、過冷却熱交換器96は、放熱器としての熱源側熱交換器4から蒸発器としての利用側熱交換器6に送られる冷媒と第2吸入戻し管95を流れる冷媒(より具体的には、第2吸入戻し弁95aにおいて低圧付近まで減圧された後の冷媒)との熱交換を行う熱交換器である。本変形例において、過冷却熱交換器96は、利用側膨張機構5cの上流側の位置(すなわち、第2吸入戻し管95が分岐される位置と利用側膨張機構5cとの間)を流れる冷媒と第2吸入戻し管95を流れる冷媒との熱交換を行うように設けられている。また、本変形例において、過冷却熱交換器96は、第2吸入戻し管95が分岐される位置よりも下流側に設けられている。このため、放熱器としての熱源側熱交換器4において冷却された冷媒は、エコノマイザ熱交換器20を通過した後に、第2吸入戻し管95に分岐され、過冷却熱交換器96において、第2吸入戻し管95を流れる冷媒と熱交換を行うことになる。
また、過冷却熱交換器96の第2吸入戻し管95側の出口には、過冷却熱交換器96の第2吸入戻し管95側の出口における冷媒の温度を検出する過冷却熱交出口温度センサ59が設けられている。
次に、本変形例の空気調和装置1の動作について、図18〜図24を用いて説明する。ここで、図19は、冷房運転時における空気調和装置1内の冷媒の流れを示す図であり、図20は、本変形例における冷房運転時の冷凍サイクルが図示された圧力−エンタルピ線図であり、図21は、本変形例における冷房運転時の冷凍サイクルが図示された温度−エントロピ線図であり、図22は、暖房運転時における空気調和装置1内の冷媒の流れを示す図であり、図23は、本変形例における暖房運転時の冷凍サイクルが図示された圧力−エンタルピ線図であり、図24は、本変形例における暖房運転時の冷凍サイクルが図示された温度−エントロピ線図である。尚、以下の冷房運転、暖房運転、及び、圧縮機構の起動における運転制御は、上述の制御部(図示せず)によって行われる。また、以下の説明において、「高圧」とは、冷凍サイクルにおける高圧(すなわち、図20、21の点D、E、H、I、Rにおける圧力や図23、24の点D、Fにおける圧力)を意味し、「低圧」とは、冷凍サイクルにおける低圧(すなわち、図20、21の点A、F、S、Uにおける圧力や図23、24の点A、Eにおける圧力)を意味し、「中間圧」とは、冷凍サイクルにおける中間圧(すなわち、図20、21の点B、C、G、J、Kにおける圧力や図23、24における点B、C、G、I、L、Mにおける圧力)を意味している。
<冷房運転>
冷房運転時は、切換機構3が図18及び図19の実線で示される冷却運転状態とされる。熱源側膨張機構としての第1膨張機構5a及び利用側膨張機構5cは、開度調節される。そして、切換機構3が冷却運転状態となるため、中間冷媒管8の中間熱交換器開閉弁12が開けられ、そして、中間熱交換器バイパス管9の中間熱交換器バイパス開閉弁11が閉められることによって、中間熱交換器7が冷却器として機能する状態にされる。また、切換機構3を冷却運転状態にしている際には、気液分離器としてのレシーバ18による中間圧インジェクションを行わずに、第2後段側インジェクション管19を通じて、エコノマイザ熱交換器20において加熱された冷媒を後段側圧縮要素103d、104dに戻すエコノマイザ熱交換器20による中間圧インジェクションを行うようにしている。より具体的には、第1後段側インジェクション開閉弁18dは閉状態にされて、第2後段側インジェクション弁19aは、上述の変形例1における冷房運転時と同様の開度調節がなされる。また、切換機構3を冷却運転状態にしている際には、過冷却熱交換器96を使用するため、第2吸入戻し弁95aについても、開度調節される。より具体的には、本変形例において、第2吸入戻し弁95aは、過冷却熱交換器96の第2吸入戻し管95側の出口における冷媒の過熱度が目標値になるように開度調節される、いわゆる過熱度制御がなされるようになっている。本変形例において、過冷却熱交換器96の第2吸入戻し管95側の出口における冷媒の過熱度は、吸入圧力センサ60により検出される低圧を飽和温度に換算し、過冷却熱交出口温度センサ59により検出される冷媒温度からこの冷媒の飽和温度値を差し引くことによって得られる。尚、本変形例では採用していないが、過冷却熱交換器96の第2吸入戻し管95側の入口に温度センサを設けて、この温度センサにより検出される冷媒温度を過冷却熱交出口温度センサ59により検出される冷媒温度から差し引くことによって、過冷却熱交換器96の第2吸入戻し管95側の出口における冷媒の過熱度を得るようにしてもよい。また、第2吸入戻し弁95aの開度調節は、過熱度制御に限られるものではなく、例えば、冷媒回路210における冷媒循環量等に応じて所定開度だけ開けるようにするものであってもよい。尚、ここでは、第1圧縮部103及び第2圧縮部104の両方が起動された状態における冷房運転を例として説明するため、後段側吸入弁85aが開けられ、後発圧縮部起動弁86aが閉められた状態にされる。但し、第1圧縮部103だけが起動された状態における冷房運転の場合には、後段側吸入弁85a、及び、後発圧縮部起動弁86aが閉められた状態にされる。
この冷媒回路210の状態において、低圧の冷媒(図18〜図21の点A参照)は、吸入母管102aから圧縮機構102に吸入され、まず、前段側圧縮要素103c、104cによって中間圧まで圧縮された後に、中間冷媒管8の入口側中間枝管81、84に吐出され、逆止機構81a、84aを通じて、中間冷媒管8の中間母管82で合流する(図18〜図21の点B参照)。この前段側圧縮要素103c、104cから吐出されて中間冷媒管8で合流した中間圧の冷媒は、中間熱交換器7において、冷却源としての水や空気と熱交換を行うことで冷却される(図18〜図21の点C参照)。この中間熱交換器7において冷却された冷媒は、第2後段側インジェクション管19から後段側圧縮要素103d、104dに戻される冷媒(図18〜図21の点K参照)と合流することでさらに冷却される(図18〜図21の点G参照)。次に、第2後段側インジェクション管19から戻る冷媒と合流した(すなわち、エコノマイザ熱交換器20による中間圧インジェクションが行われた)中間圧の冷媒は、中間冷媒管8の出口側中間枝管83、85に分岐される。この中間冷媒管8の中間母管82から出口側中間枝管83、85に分岐した中間圧の冷媒は、前段側圧縮要素103c、104cの後段側に接続された後段側圧縮要素103d、104dに吸入されてさらに圧縮されて、圧縮部103、104から吐出枝管103b、104bに吐出される(図18〜図21の点D参照)。ここで、圧縮部103、104から吐出された高圧の冷媒は、圧縮要素103c、104c、103d、104dによる二段圧縮動作によって、臨界圧力(すなわち、図20に示される臨界点CPにおける臨界圧力Pcp)を超える圧力まで圧縮されている。そして、第1圧縮部103から吐出された高圧の冷媒は、第1油分離機構141を構成する第1油分離器141aに流入し、同伴する冷凍機油が分離される。また、第1油分離器141aにおいて高圧の冷媒から分離された冷凍機油は、第1油分離機構141を構成する第1油戻し管141bに流入し、第1油戻し管141bに設けられた第1減圧機構141cで減圧された後に第2圧縮部104の第2吸入枝管104aに戻されて、再び、圧縮機構102に吸入される。また、第2圧縮部104から吐出された高圧の冷媒は、第2油分離機構143を構成する第2油分離器143aに流入し、同伴する冷凍機油が分離される。また、第2油分離器143aにおいて高圧の冷媒から分離された冷凍機油は、第2油分離機構143を構成する第2油戻し管143bに流入し、第2油戻し管143bに設けられた第2減圧機構143cで減圧された後に第1圧縮部103の第1吸入枝管103aに戻されて、再び、圧縮機構102に吸入される。次に、油分離機構141、143において冷凍機油が分離された後の高圧の冷媒は、逆止機構142、144を通過した後に吐出母管102bで合流し、切換機構3を通じて、冷媒の放熱器として機能する熱源側熱交換器4に送られる。そして、熱源側熱交換器4に送られた高圧の冷媒は、熱源側熱交換器4において、冷却源としての水や空気と熱交換を行って冷却される(図18〜図21の点E参照)。そして、熱源側熱交換器4において冷却された高圧の冷媒は、その一部が第2後段側インジェクション管19に分岐される。そして、第2後段側インジェクション管19を流れる冷媒は、第2後段側インジェクション弁19aにおいて中間圧付近まで減圧された後に、エコノマイザ熱交換器20に送られる(図18〜図21の点J参照)。また、第2後段側インジェクション管19に分岐された後の冷媒は、エコノマイザ熱交換器20に流入し、第2後段側インジェクション管19を流れる冷媒と熱交換を行って冷却される(図18〜図21の点H参照)。一方、第2後段側インジェクション管19を流れる冷媒は、放熱器としての熱源側熱交換器4において冷却された高圧の冷媒と熱交換を行って加熱されて(図18〜図21の点K参照)、上述のように、前段側圧縮要素103c、104cから吐出された中間圧の冷媒に合流することになる。そして、エコノマイザ熱交換器20において冷却された高圧の冷媒は、第1膨張機構5aによって飽和圧力付近まで減圧されてレシーバ18内に一時的に溜められる(図18〜図21の点I参照)。そして、レシーバ18内に溜められた冷媒は、その一部が第2吸入戻し管95に分岐される。そして、第2吸入戻し管95を流れる冷媒は、第2吸入戻し弁95aにおいて低圧付近まで減圧された後に、過冷却熱交換器96に送られる(図18〜図21の点S参照)。また、第2吸入戻し管95に分岐された後の冷媒は、過冷却熱交換器96に流入し、第2吸入戻し管95を流れる冷媒と熱交換を行ってさらに冷却される(図18〜図21の点R参照)。一方、第2吸入戻し管95を流れる冷媒は、エコノマイザ熱交換器20において冷却された高圧の冷媒と熱交換を行って加熱されて(図18〜図21の点U参照)、圧縮機構102の吸入側(ここでは、吸入母管102a)を流れる冷媒に合流することになる。この過冷却熱交換器96において冷却された冷媒は、利用側膨張機構5cに送られて、利用側膨張機構5cよって減圧されて低圧の気液二相状態の冷媒となり、冷媒の蒸発器として機能する利用側熱交換器6に送られる(図18〜図21の点F参照)。そして、利用側熱交換器6に送られた低圧の気液二相状態の冷媒は、加熱源としての水や空気と熱交換を行って加熱されて、蒸発することになる(図18〜図21の点A参照)。そして、この利用側熱交換器6において加熱された低圧の冷媒は、切換機構3を経由して、再び、圧縮機構102に吸入される。このようにして、冷房運転が行われる。
このように、本変形例の空気調和装置1では、冷房運転時においては、放熱器としての熱源側熱交換器4の下流側かつ熱源側膨張機構としての第1膨張機構5aの上流側における冷媒の圧力が高いままで保たれており、冷凍サイクルにおける高圧から冷凍サイクルの中間圧付近までの圧力差を利用できる条件であることから、上述の変形例1と同様、エコノマイザ熱交換器20による中間圧インジェクションが採用されており、圧縮機構102の消費動力を減らし、運転効率の向上を図ることができる。
また、レシーバ18から利用側膨張機構5cへ送られる冷媒(図20、図21の点I参照)を過冷却熱交換器96によって過冷却状態まで冷却することができるため(図20、図21の点R参照)、各利用側膨張機構5cへの分配時に偏流を生じるおそれを少なくすることができる。
<暖房運転>
暖房運転時は、切換機構3が図18及び図22の破線で示される加熱運転状態とされる。熱源側膨張機構としての第1膨張機構5a及び利用側膨張機構5cは、開度調節される。そして、切換機構3が加熱運転状態となるため、中間冷媒管8の中間熱交換器開閉弁12が閉められ、そして、中間熱交換器バイパス管9の中間熱交換器バイパス開閉弁11が開けられることによって、中間熱交換器7が冷却器として機能しない状態にされる。また、切換機構3を加熱運転状態にしている際には、エコノマイザ熱交換器20による中間圧インジェクションを行わずに、第1後段側インジェクション管18cを通じて、気液分離器としてのレシーバ18から冷媒を後段側圧縮要素103d、104dに戻すレシーバ18による中間圧インジェクションを行うようにしている。より具体的には、第1後段側インジェクション開閉弁18dが開状態にされて、第2後段側インジェクション弁19aが全閉状態にされる。また、切換機構3を加熱運転状態にしている際には、過冷却熱交換器96を使用しないため、第2吸入戻し弁95aについても全閉状態にされる。尚、ここでは、第1圧縮部103及び第2圧縮部104の両方が起動された状態における暖房運転を例として説明するため、後段側吸入弁85aが開けられ、後発圧縮部起動弁86aが閉められた状態にされる。但し、第1圧縮部103だけが起動された状態における暖房運転の場合には、後段側吸入弁85a、及び、後発圧縮部起動弁86aが閉められた状態にされる。
この冷媒回路210の状態において、低圧の冷媒(図18、図22〜図24の点A参照)は、吸入母管102aから圧縮機構102に吸入され、まず、前段側圧縮要素103c、104cによって中間圧まで圧縮された後に、中間冷媒管8の入口側中間枝管81、84に吐出され、逆止機構81a、84aを通じて、中間冷媒管8の中間母管82で合流する(図18、図22〜図24の点B参照)。この前段側圧縮要素103c、104cから吐出されて中間冷媒管8で合流した中間圧の冷媒は、上述の冷房運転時とは異なり、中間熱交換器7を通過せずに(すなわち、冷却されることなく)、中間熱交換器バイパス管9を通過する(図18、図22〜図24の点C参照)。この中間熱交換器7によって冷却されることなく中間熱交換器バイパス管9を通過した中間圧の冷媒は、レシーバ18から第1後段側インジェクション管18cを通じて後段側圧縮要素103d、104dに戻される冷媒(図18、図22〜図24の点M参照)と合流することで冷却される(図18、図22〜図24の点G参照)。次に、第1後段側インジェクション管18cから戻る冷媒と合流した(すなわち、気液分離器としてのレシーバ18による中間圧インジェクションが行われた)中間圧の冷媒は、中間冷媒管8の出口側中間枝管83、85に分岐される。この中間冷媒管8の中間母管82から出口側中間枝管83、85に分岐した中間圧の冷媒は、前段側圧縮要素103c、104cの後段側に接続された後段側圧縮要素103d、104dに吸入されてさらに圧縮されて、圧縮部103、104から吐出枝管103b、104bに吐出される(図18、図22〜図24の点D参照)。ここで、圧縮部103、104から吐出された高圧の冷媒は、圧縮要素103c、104c、103d、104dによる二段圧縮動作によって、臨界圧力(すなわち、図23に示される臨界点CPにおける臨界圧力Pcp)を超える圧力まで圧縮されている。そして、第1圧縮部103から吐出された高圧の冷媒は、第1油分離機構141を構成する第1油分離器141aに流入し、同伴する冷凍機油が分離される。また、第1油分離器141aにおいて高圧の冷媒から分離された冷凍機油は、第1油分離機構141を構成する第1油戻し管141bに流入し、第1油戻し管141bに設けられた第1減圧機構141cで減圧された後に第2圧縮部104の第2吸入枝管104aに戻されて、再び、圧縮機構102に吸入される。また、第2圧縮部104から吐出された高圧の冷媒は、第2油分離機構143を構成する第2油分離器143aに流入し、同伴する冷凍機油が分離される。また、第2油分離器143aにおいて高圧の冷媒から分離された冷凍機油は、第2油分離機構143を構成する第2油戻し管143bに流入し、第2油戻し管143bに設けられた第2減圧機構143cで減圧された後に第1圧縮部103の第1吸入枝管103aに戻されて、再び、圧縮機構102に吸入される。次に、油分離機構141、143において冷凍機油が分離された後の高圧の冷媒は、逆止機構142、144を通過した後に吐出母管102bで合流し、切換機構3を通じて、冷媒の放熱器として機能する利用側熱交換器6に送られて、冷却源としての水や空気と熱交換を行って冷却される(図18、図22〜図24の点F参照)。そして、利用側熱交換器6において冷却された高圧の冷媒は、冷媒の放熱器として機能する利用側熱交換器6に送られて、冷却源としての水や空気と熱交換を行って冷却される(図18、図22〜図24の点Fを参照)。そして、利用側熱交換器6において冷却された高圧の冷媒は、利用側膨張機構5cによって中間圧付近まで減圧された後に、レシーバ18内に一時的に溜められるとともに気液分離が行われる(図18、図22〜図24の点I、L、M参照)。そして、レシーバ18において気液分離されたガス冷媒は、第1後段側インジェクション管18cによってレシーバ18の上部から抜き出されて、上述のように、前段側圧縮要素103c、104cから吐出された中間圧の冷媒に合流することになる。そして、レシーバ18内に溜められた液冷媒は、第1膨張機構5aによって減圧されて低圧の気液二相状態の冷媒となり、冷媒の蒸発器として機能する熱源側熱交換器4に送られる(図18、図22〜図24の点E参照)。そして、熱源側熱交換器4に送られた低圧の気液二相状態の冷媒は、加熱源としての水や空気と熱交換を行って加熱されて、蒸発することになる(図18、図22〜図24の点A参照)。そして、この熱源側熱交換器4において加熱された低圧の冷媒は、切換機構3を経由して、再び、圧縮機構102に吸入される。このようにして、暖房運転が行われる。
このように、本変形例の空気調和装置1では、暖房運転時においては、暖房運転時における利用側膨張機構5cの開度制御によって、気液分離器としてのレシーバ18における圧力が低くなる場合があり得る条件であることから、上述の実施形態と同様、気液分離器としてのレシーバ18による中間圧インジェクションが採用されており、圧縮機構102の消費動力を減らし、運転効率の向上を図ることができる。
<圧縮機構の起動>
本変形例の空気調和装置1では、冷房運転時には、エコノマイザ熱交換器20による中間圧インジェクションを行い、暖房運転時には、レシーバ18による中間圧インジェクションを行っており、冷房運転又は暖房運転のいずれであるかによって、中間冷媒管8に戻すための後段側インジェクション管が使い分けされる点が、上述の実施形態及び変形例1とは異なるが、冷房運転時には、上述の変形例1と同様、図8のステップS2、S4において、第2後段側インジェクション管19の第2後段側インジェクション弁19aの開度を操作し、暖房運転時には、上述の実施形態と同様、図8のステップS2、S4において、第1後段側インジェクション管18cの第1後段側インジェクション開閉弁18dの開度を操作することで、上述の実施形態及び変形例1と同様の圧縮機構102の起動時の動作を行うことができる。
(5)変形例3
上述の変形例2における冷媒回路210(図18参照)においては、気液分離器としてのレシーバ18による中間圧インジェクションやエコノマイザ熱交換器20による中間圧インジェクションを行うことで、後段側圧縮要素103d、104dから吐出される冷媒の温度を低下させるとともに、圧縮機構102の消費動力を減らし、運転効率の向上を図るようにしたり、第2吸入戻し管95及び過冷却熱交換器96を設けて、過冷却熱交換器96によって利用側膨張機構5cに送られる冷媒を過冷却状態まで冷却するとともに、冷房運転時の熱源側熱交換器4における放熱ロスを低減するために、前段側圧縮要素103c、104cから吐出された冷媒を後段側圧縮要素103d、104dに吸入させるための中間冷媒管8に前段側圧縮要素103c、104cから吐出されて後段側圧縮要素103d、104dに吸入される冷媒の冷却器として機能する中間熱交換器7をさらに設けるとともに、暖房運転時における加熱能力の低下を抑えるために、中間熱交換器7をバイパスする中間熱交換器バイパス管9を設けるようにしている。
このため、中間熱交換器7は、暖房運転時には利用されない機器となっている。
そこで、暖房運転時における中間熱交換器7の有効利用を図るために、本変形例では、図25に示されるように、上述の変形例2の冷媒回路210において、中間熱交換器7の一端と圧縮機構102の吸入側とを接続させるための第3吸入戻し管92を設けるとともに、利用側熱交換器6と熱源側熱交換器4との間と中間熱交換器7の他端とを接続させるための中間熱交換器戻し管94を設けることで、冷媒回路310を構成するようにしている。
ここで、第3吸入戻し管92は、中間熱交換器7の一端(ここでは、前段側圧縮要素103c、104c側端)に接続されており、中間熱交換器戻し管94は、中間熱交換器7の他端(ここでは、後段側圧縮要素103d、104d側端)に接続されている。この第3吸入戻し管92は、中間熱交換器バイパス管9を通じて前段側圧縮要素103c、104cから吐出された冷媒を後段側圧縮要素103d、104dに吸入させる状態にしている際に、中間熱交換器7の一端と圧縮機構102の吸入側(ここでは、吸入母管102a)とを接続させるための冷媒管である。また、この中間熱交換器戻し管94は、中間熱交換器バイパス管9を通じて前段側圧縮要素103c、104cから吐出された冷媒を後段側圧縮要素103d、104dに吸入させる状態にし、かつ、切換機構3を加熱運転状態にしている際に、利用側熱交換器6と熱源側熱交換器4との間(ここでは、冷凍サイクルにおける低圧になるまで冷媒を減圧する熱源側膨張機構としての第1膨張機構5aと蒸発器としての熱源側熱交換器4との間)と中間熱交換器7の他端とを接続させるための冷媒管である。本変形例において、第3吸入戻し管92は、その一端が、中間冷媒管8の中間熱交換器バイパス管9の前段側圧縮要素103c、104c側端との接続部から中間熱交換器7の前段側圧縮要素103c、104c側端までの部分に接続されており、他端が、圧縮機構102の吸入側(ここでは、吸入母管102a)に接続されている。また、中間熱交換器戻し管94は、その一端が、第1膨張機構5aから熱源側熱交換器4までの部分に接続されており、他端が、中間冷媒管8の中間熱交換器7の前段側圧縮要素103c、104c側端から逆止機構15までの部分に接続されている。そして、第3吸入戻し管92には、第3吸入戻し開閉弁92aが設けられており、中間熱交換器戻し管94には、中間熱交換器戻し開閉弁94aが設けられている。第3吸入戻し開閉弁92a及び中間熱交換器戻し開閉弁94aは、本変形例において、電磁弁である。この第3吸入戻し開閉弁92aは、本変形例において、基本的には、切換機構3を冷却運転状態にしている際に閉め、切換機構3を加熱運転状態にしている際に開ける制御がなされる。また、中間熱交換器戻し開閉弁94aは、基本的には、切換機構3を冷却運転状態にしている際に閉め、切換機構3を加熱運転状態にしている際に開ける制御がなされる。
このように、本変形例では、主として、中間熱交換器バイパス管9、第3吸入戻し管92及び中間熱交換器戻し管94によって、冷房運転時には、中間冷媒管8を流れる中間圧の冷媒を中間熱交換器7によって冷却することができ、暖房運転時には、中間冷媒管8を流れる中間圧の冷媒を中間熱交換器バイパス管9によって、中間熱交換器7をバイパスさせるとともに、第3吸入戻し管92及び中間熱交換器戻し管94によって、利用側熱交換器6において冷却された冷媒の一部を中間熱交換器7に導いて蒸発させ、圧縮機構102の吸入側に戻すことができるようになっている。
次に、本変形例の空気調和装置1の動作について、図25、図26、図20、図21、図27〜図29を用いて説明する。ここで、図26は、冷房運転時における空気調和装置1内の冷媒の流れを示す図であり、図27は、暖房運転時における空気調和装置1内の冷媒の流れを示す図であり、図28は、本変形例における暖房運転時の冷凍サイクルが図示された圧力−エンタルピ線図であり、図29は、本変形例における暖房運転時の冷凍サイクルが図示された温度−エントロピ線図である。尚、以下の冷房運転、暖房運転、及び、圧縮機構の起動における運転制御は、上述の制御部(図示せず)によって行われる。また、以下の説明において、「高圧」とは、冷凍サイクルにおける高圧(すなわち、図20、21の点D、E、H、I、Rにおける圧力や図28、29の点D、Fにおける圧力)を意味し、「低圧」とは、冷凍サイクルにおける低圧(すなわち、図20、21の点A、F、S、Uにおける圧力や図28、29の点A、E、Vにおける圧力)を意味し、「中間圧」とは、冷凍サイクルにおける中間圧(すなわち、図20、21の点B、C、G、J、Kにおける圧力や図28、29における点B、C、G、I、L、Mにおける圧力)を意味している。
<冷房運転>
冷房運転時は、切換機構3が図25及び図26の実線で示される冷却運転状態とされる。熱源側膨張機構としての第1膨張機構5a及び利用側膨張機構5cは、開度調節される。そして、切換機構3が冷却運転状態となるため、中間冷媒管8の中間熱交換器開閉弁12が開けられ、そして、中間熱交換器バイパス管9の中間熱交換器バイパス開閉弁11が閉められることによって、中間熱交換器7が冷却器として機能する状態にされるとともに、第3吸入戻し管92の第3吸入戻し開閉弁92aが閉められることによって、中間熱交換器7と圧縮機構102の吸入側とが接続していない状態にされ、また、中間熱交換器戻し管94の中間熱交換器戻し開閉弁94aが閉められることによって、利用側熱交換器6と熱源側熱交換器4との間と中間熱交換器7とが接続していない状態にされる。また、切換機構3を冷却運転状態にしている際には、気液分離器としてのレシーバ18による中間圧インジェクションを行わずに、第2後段側インジェクション管19を通じて、エコノマイザ熱交換器20において加熱された冷媒を後段側圧縮要素103d、104dに戻すエコノマイザ熱交換器20による中間圧インジェクションを行うようにしている。より具体的には、第1後段側インジェクション開閉弁18dは閉状態にされて、第2後段側インジェクション弁19aは、上述の変形例1、2における冷房運転時と同様の開度調節がなされる。また、切換機構3を冷却運転状態にしている際には、過冷却熱交換器96を使用するため、第2吸入戻し弁95aについても、開度調節される。より具体的には、第2吸入戻し弁95aは、上述の変形例2における冷房運転時と同様の開度調節がなされる。尚、ここでは、第1圧縮部103及び第2圧縮部104の両方が起動された状態における冷房運転を例として説明するため、後段側吸入弁85aが開けられ、後発圧縮部起動弁86aが閉められた状態にされる。但し、第1圧縮部103だけが起動された状態における冷房運転の場合には、後段側吸入弁85a、及び、後発圧縮部起動弁86aが閉められた状態にされる。
この冷媒回路310の状態において、低圧の冷媒(図25、図26、図20、図21の点A参照)は、吸入母管102aから圧縮機構102に吸入され、まず、前段側圧縮要素103c、104cによって中間圧まで圧縮された後に、中間冷媒管8の入口側中間枝管81、84に吐出され、逆止機構81a、84aを通じて、中間冷媒管8の中間母管82で合流する(図25、図26、図20、図21の点B参照)。この前段側圧縮要素103c、104cから吐出されて中間冷媒管8で合流した中間圧の冷媒は、中間熱交換器7において、冷却源としての水や空気と熱交換を行うことで冷却される(図25、図26、図20、図21の点C参照)。この中間熱交換器7において冷却された冷媒は、第2後段側インジェクション管19から後段側圧縮要素103d、104dに戻される冷媒(図25、図26、図20、図21の点K参照)と合流することでさらに冷却される(図25、図26、図20、図21の点G参照)。次に、第2後段側インジェクション管19から戻る冷媒と合流した(すなわち、エコノマイザ熱交換器20による中間圧インジェクションが行われた)中間圧の冷媒は、中間冷媒管8の出口側中間枝管83、85に分岐される。この中間冷媒管8の中間母管82から出口側中間枝管83、85に分岐した中間圧の冷媒は、前段側圧縮要素103c、104cの後段側に接続された後段側圧縮要素103d、104dに吸入されてさらに圧縮されて、圧縮部103、104から吐出枝管103b、104bに吐出される(図25、図26、図20、図21の点D参照)。ここで、圧縮部103、104から吐出された高圧の冷媒は、圧縮要素103c、104c、103d、104dによる二段圧縮動作によって、臨界圧力(すなわち、図20に示される臨界点CPにおける臨界圧力Pcp)を超える圧力まで圧縮されている。そして、第1圧縮部103から吐出された高圧の冷媒は、第1油分離機構141を構成する第1油分離器141aに流入し、同伴する冷凍機油が分離される。また、第1油分離器141aにおいて高圧の冷媒から分離された冷凍機油は、第1油分離機構141を構成する第1油戻し管141bに流入し、第1油戻し管141bに設けられた第1減圧機構141cで減圧された後に第2圧縮部104の第2吸入枝管104aに戻されて、再び、圧縮機構102に吸入される。また、第2圧縮部104から吐出された高圧の冷媒は、第2油分離機構143を構成する第2油分離器143aに流入し、同伴する冷凍機油が分離される。また、第2油分離器143aにおいて高圧の冷媒から分離された冷凍機油は、第2油分離機構143を構成する第2油戻し管143bに流入し、第2油戻し管143bに設けられた第2減圧機構143cで減圧された後に第1圧縮部103の第1吸入枝管103aに戻されて、再び、圧縮機構102に吸入される。次に、油分離機構141、143において冷凍機油が分離された後の高圧の冷媒は、逆止機構142、144を通過した後に吐出母管102bで合流し、切換機構3を通じて、冷媒の放熱器として機能する熱源側熱交換器4に送られる。そして、熱源側熱交換器4に送られた高圧の冷媒は、熱源側熱交換器4において、冷却源としての水や空気と熱交換を行って冷却される(図25、図26、図20、図21の点E参照)。そして、熱源側熱交換器4において冷却された高圧の冷媒は、その一部が第2後段側インジェクション管19に分岐される。そして、第2後段側インジェクション管19を流れる冷媒は、第2後段側インジェクション弁19aにおいて中間圧付近まで減圧された後に、エコノマイザ熱交換器20に送られる(図25、図26、図20、図21の点J参照)。また、第2後段側インジェクション管19に分岐された後の冷媒は、エコノマイザ熱交換器20に流入し、第2後段側インジェクション管19を流れる冷媒と熱交換を行って冷却される(図25、図26、図20、図21の点H参照)。一方、第2後段側インジェクション管19を流れる冷媒は、放熱器としての熱源側熱交換器4において冷却された高圧の冷媒と熱交換を行って加熱されて(図25、図26、図20、図21の点K参照)、上述のように、前段側圧縮要素103c、104cから吐出された中間圧の冷媒に合流することになる。そして、エコノマイザ熱交換器20において冷却された高圧の冷媒は、第1膨張機構5aによって飽和圧力付近まで減圧されてレシーバ18内に一時的に溜められる(図25、図26、図20、図21の点I参照)。そして、レシーバ18内に溜められた冷媒は、その一部が第2吸入戻し管95に分岐される。そして、第2吸入戻し管95を流れる冷媒は、第2吸入戻し弁95aにおいて低圧付近まで減圧された後に、過冷却熱交換器96に送られる(図25、図26、図20、図21の点S参照)。また、第2吸入戻し管95に分岐された後の冷媒は、過冷却熱交換器96に流入し、第2吸入戻し管95を流れる冷媒と熱交換を行ってさらに冷却される(図25、図26、図20、図21の点R参照)。一方、第2吸入戻し管95を流れる冷媒は、エコノマイザ熱交換器20において冷却された高圧の冷媒と熱交換を行って加熱されて(図25、図26、図20、図21の点U参照)、圧縮機構102の吸入側(ここでは、吸入母管102a)を流れる冷媒に合流することになる。この過冷却熱交換器96において冷却された冷媒は、利用側膨張機構5cに送られて、利用側膨張機構5cよって減圧されて低圧の気液二相状態の冷媒となり、冷媒の蒸発器として機能する利用側熱交換器6に送られる(図25、図26、図20、図21の点F参照)。そして、利用側熱交換器6に送られた低圧の気液二相状態の冷媒は、加熱源としての水や空気と熱交換を行って加熱されて、蒸発することになる(図25、図26、図20、図21の点A参照)。そして、この利用側熱交換器6において加熱された低圧の冷媒は、切換機構3を経由して、再び、圧縮機構102に吸入される。このようにして、冷房運転が行われる。
このように、本変形例の空気調和装置1では、冷房運転時においては、上述の変形例2と同様の作用効果が得られる。
<暖房運転>
暖房運転時は、切換機構3が図25及び図27の破線で示される加熱運転状態とされる。熱源側膨張機構としての第1膨張機構5a及び利用側膨張機構5cは、開度調節される。そして、切換機構3が加熱運転状態となるため、中間冷媒管8の中間熱交換器開閉弁12が閉められ、そして、中間熱交換器バイパス管9の中間熱交換器バイパス開閉弁11が開けられることによって、中間熱交換器7が冷却器として機能しない状態にされるとともに、第3吸入戻し管92の第3吸入戻し開閉弁92aが開けられることによって、中間熱交換器7と圧縮機構102の吸入側とを接続されている状態にされ、また、中間熱交換器戻し管94の中間熱交換器戻し開閉弁94aが開けられることによって、利用側熱交換器6と熱源側熱交換器4との間と中間熱交換器7とが接続されている状態にされる。また、切換機構3を加熱運転状態にしている際には、エコノマイザ熱交換器20による中間圧インジェクションを行わずに、第1後段側インジェクション管18cを通じて、気液分離器としてのレシーバ18から冷媒を後段側圧縮要素103d、104dに戻すレシーバ18による中間圧インジェクションを行うようにしている。より具体的には、第1後段側インジェクション開閉弁18dが開状態にされて、第2後段側インジェクション弁19aが全閉状態にされる。また、切換機構3を加熱運転状態にしている際には、過冷却熱交換器96を使用しないため、第2吸入戻し弁95aについても全閉状態にされる。尚、ここでは、第1圧縮部103及び第2圧縮部104の両方が起動された状態における暖房運転を例として説明するため、後段側吸入弁85aが開けられ、後発圧縮部起動弁86aが閉められた状態にされる。但し、第1圧縮部103だけが起動された状態における暖房運転の場合には、後段側吸入弁85a、及び、後発圧縮部起動弁86aが閉められた状態にされる。
この冷媒回路310の状態において、低圧の冷媒(図25、図27〜図29の点A参照)は、吸入母管102aから圧縮機構102に吸入され、まず、前段側圧縮要素103c、104cによって中間圧まで圧縮された後に、中間冷媒管8の入口側中間枝管81、84に吐出され、逆止機構81a、84aを通じて、中間冷媒管8の中間母管82で合流する(図25、図27〜図29の点B参照)。この前段側圧縮要素103c、104cから吐出されて中間冷媒管8で合流した中間圧の冷媒は、上述の冷房運転時とは異なり、中間熱交換器7を通過せずに(すなわち、冷却されることなく)、中間熱交換器バイパス管9を通過する(図25、図27〜図29の点C参照)。この中間熱交換器7によって冷却されることなく中間熱交換器バイパス管9を通過した中間圧の冷媒は、レシーバ18から第1後段側インジェクション管18cを通じて後段側圧縮要素103d、104dに戻される冷媒(図25、図27〜図29の点M参照)と合流することで冷却される(図25、図27〜図29の点G参照)。次に、第1後段側インジェクション管18cから戻る冷媒と合流した(すなわち、気液分離器としてのレシーバ18による中間圧インジェクションが行われた)中間圧の冷媒は、中間冷媒管8の出口側中間枝管83、85に分岐される。この中間冷媒管8の中間母管82から出口側中間枝管83、85に分岐した中間圧の冷媒は、前段側圧縮要素103c、104cの後段側に接続された後段側圧縮要素103d、104dに吸入されてさらに圧縮されて、圧縮部103、104から吐出枝管103b、104bに吐出される(図25、図27〜図29の点D参照)。ここで、圧縮部103、104から吐出された高圧の冷媒は、圧縮要素103c、104c、103d、104dによる二段圧縮動作によって、臨界圧力(すなわち、図28に示される臨界点CPにおける臨界圧力Pcp)を超える圧力まで圧縮されている。そして、第1圧縮部103から吐出された高圧の冷媒は、第1油分離機構141を構成する第1油分離器141aに流入し、同伴する冷凍機油が分離される。また、第1油分離器141aにおいて高圧の冷媒から分離された冷凍機油は、第1油分離機構141を構成する第1油戻し管141bに流入し、第1油戻し管141bに設けられた第1減圧機構141cで減圧された後に第2圧縮部104の第2吸入枝管104aに戻されて、再び、圧縮機構102に吸入される。また、第2圧縮部104から吐出された高圧の冷媒は、第2油分離機構143を構成する第2油分離器143aに流入し、同伴する冷凍機油が分離される。また、第2油分離器143aにおいて高圧の冷媒から分離された冷凍機油は、第2油分離機構143を構成する第2油戻し管143bに流入し、第2油戻し管143bに設けられた第2減圧機構143cで減圧された後に第1圧縮部103の第1吸入枝管103aに戻されて、再び、圧縮機構102に吸入される。次に、油分離機構141、143において冷凍機油が分離された後の高圧の冷媒は、逆止機構142、144を通過した後に吐出母管102bで合流し、切換機構3を通じて、冷媒の放熱器として機能する利用側熱交換器6に送られて、冷却源としての水や空気と熱交換を行って冷却される(図25、図27〜図29の点F参照)。そして、利用側熱交換器6において冷却された高圧の冷媒は、冷媒の放熱器として機能する利用側熱交換器6に送られて、冷却源としての水や空気と熱交換を行って冷却される(図25、図27〜図29の点Fを参照)。そして、利用側熱交換器6において冷却された高圧の冷媒は、利用側膨張機構5cによって中間圧付近まで減圧された後に、レシーバ18内に一時的に溜められるとともに気液分離が行われる(図25、図27〜図29の点I、L、M参照)。そして、レシーバ18において気液分離されたガス冷媒は、第1後段側インジェクション管18cによってレシーバ18の上部から抜き出されて、上述のように、前段側圧縮要素103c、104cから吐出された中間圧の冷媒に合流することになる。そして、レシーバ18内に溜められた液冷媒は、第1膨張機構5aによって減圧されて低圧の気液二相状態の冷媒となり、冷媒の蒸発器として機能する熱源側熱交換器4に送られるとともに、中間熱交換器戻し管94を通じて、冷媒の蒸発器として機能する中間熱交換器7にも送られる(図25、図27〜図29の点E参照)。そして、熱源側熱交換器4に送られた低圧の気液二相状態の冷媒は、加熱源としての水や空気と熱交換を行って加熱されて、蒸発することになる(図25、図27〜図29の点A参照)。また、中間熱交換器7に送られた低圧の気液二相状態の冷媒も、加熱源としての水や空気と熱交換を行って加熱されて、蒸発することになる(図25、図27〜図29の点V参照)。そして、この熱源側熱交換器4において加熱されて蒸発した低圧の冷媒は、切換機構3を経由して、再び、圧縮機構102に吸入される。また、この中間熱交換器7において加熱されて蒸発した低圧の冷媒も、第3吸入戻し管92を通じて、再び、圧縮機構102に吸入される。このようにして、暖房運転が行われる。
このように、本変形例の空気調和装置1では、暖房運転時においては、上述の変形例2と同様の作用効果が得られるとともに、中間熱交換器7を利用側熱交換器7において放熱した冷媒の蒸発器として機能させるようにして、暖房運転時にも有効利用し、これにより、暖房運転時における冷媒の蒸発能力を高めて、利用側熱交換器6における加熱能力が低くなるのを抑えて、暖房運転時の運転効率が低下しないようにすることができる。
<圧縮機構の起動>
本変形例の空気調和装置1では、暖房運転時に中間熱交換器7を冷媒の蒸発器として使用する点が上述の変形例2とは異なるが、基本的には、上述の変形例2と同様の圧縮機構102の起動時の動作を行うことができる。
(6)他の実施形態
以上、本発明の実施形態及びその変形例について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態及びその変形例に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、上述の実施形態及びその変形例においては、前段側圧縮要素と後段側圧縮要素とを有する複数の圧縮部が並列に接続された圧縮機構として、それぞれ2つの圧縮要素が一体に組み込まれた二段圧縮式の圧縮機103、104を並列に接続した圧縮機構102を採用しているが、これに限定されるものではなく、3つ以上の圧縮要素が一体に組み込まれた圧縮機が複数台並列に接続された圧縮機構や、単一の圧縮要素が組み込まれた圧縮機及び/又は2つ以上の圧縮要素が組み込まれた圧縮機が複数台直列に接続されたものを複数台並列に接続された圧縮機構を採用してもよい。
また、上述の実施形態及びその変形例において、利用側熱交換器6を流れる冷媒と熱交換を行う加熱源又は冷却源としての水やブラインを使用するとともに、利用側熱交換器6において熱交換された水やブラインと室内空気とを熱交換させる二次熱交換器を設けた、いわゆる、チラー型の空気調和装置に本発明を適用してもよい。
また、超臨界域で作動する冷媒としては、二酸化炭素に限定されず、エチレン、エタンや酸化窒素等を使用してもよい。