JP2009180427A - 冷凍装置 - Google Patents

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敦史 吉見
Shuji Fujimoto
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Abstract

【課題】気液分離器による中間圧インジェクションが可能な多段圧縮式冷凍サイクルを行う冷凍装置において、気液分離器から後段側の圧縮要素に戻される冷媒の流量が極力減少しないようにして、中間圧インジェクションによる運転効率の向上を図れるようにする。
【解決手段】空気調和装置1は、二段圧縮式の圧縮機構2と、熱源側熱交換器4と、利用側熱交換器6と、熱交換器4、6間に設けられた2つの膨張機構5a、5bと、膨張機構5a、5b間を流れる冷媒を気液分離するレシーバ18と、レシーバ18から冷媒を後段側の圧縮要素2dに戻すための第1後段側インジェクション管18cとを備えている。この空気調和装置1は、レシーバ18における冷媒の圧力が後段側の圧縮要素2dに吸入される冷媒の圧力よりも高くなるように、膨張機構5a、5bのうち冷媒の流れ方向に対してレシーバ18の上流側に位置する膨張機構を制御するものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、冷凍装置、特に、気液分離器による中間圧インジェクションが可能な多段圧縮式冷凍サイクルを行う冷凍装置に関する。
従来より、多段圧縮式冷凍サイクルを行う冷凍装置の1つとして、特許文献1に示されるような、二段圧縮式冷凍サイクルを行う空気調和装置がある。この空気調和装置は、主として、直列に接続された前後段2つの圧縮要素を有する圧縮機と、室外熱交換器と、室内熱交換器と、室外熱交換器と室内熱交換器との間に設けられた2つの膨張弁と、2つの膨張弁間を流れる冷媒を気液分離する気液分離器と、気液分離器から冷媒を後段側の圧縮要素に戻すための後段側インジェクション管とを有している。
特開2007−232263号公報
上述の空気調和装置においては、圧縮機の後段側の圧縮要素から吐出された後に室外熱交換器と室内熱交換器との間を流れる冷媒の一部を、後段側インジェクション管を通じて気液分離器から後段側の圧縮要素に戻すことによって、圧縮機の前段側の圧縮要素から吐出されて後段側の圧縮要素に吸入される中間圧力の冷媒と合流させる中間圧インジェクションを行い、後段側の圧縮要素から吐出される冷媒の温度を低下させるとともに、圧縮機の消費動力を減らし、運転効率の向上を図るようにしている。
しかし、このような構成において、何らかの原因で、気液分離器における冷媒の圧力である気液分離器圧力が低下すると、気液分離器から後段側の圧縮要素に戻される冷媒の流量が減少して中間圧インジェクションを行えなくなったり、圧縮機の前段側の圧縮要素から吐出されて後段側の圧縮要素に吸入される中間圧力の冷媒が気液分離器に逆流してしまい、運転効率の向上を図ることができない場合が生じるおそれがある。
本発明の課題は、気液分離器による中間圧インジェクションが可能な多段圧縮式冷凍サイクルを行う冷凍装置において、気液分離器から後段側の圧縮要素に戻される冷媒の流量が極力減少しないようにして、中間圧インジェクションによる運転効率の向上を図れるようにすることにある。
第1の発明にかかる冷凍装置は、圧縮機構と、熱源側熱交換器と、利用側熱交換器と、冷媒を減圧する2つの膨張機構と、気液分離器と、後段側インジェクション管とを備えている。圧縮機構は、複数の圧縮要素を有しており、複数の圧縮要素のうちの前段側の圧縮要素から吐出された冷媒を後段側の圧縮要素で順次圧縮するように構成されている。ここで、「圧縮機構」とは、複数の圧縮要素が一体に組み込まれた圧縮機や、単一の圧縮要素が組み込まれた圧縮機及び/又は複数の圧縮要素が組み込まれた圧縮機を複数台接続したものを含む構成を意味している。また、「複数の圧縮要素のうちの前段側の圧縮要素から吐出された冷媒を後段側の圧縮要素で順次圧縮する」とは、「前段側の圧縮要素」及び「後段側の圧縮要素」という直列に接続された2つの圧縮要素を含むことだけを意味しているのではなく、複数の圧縮要素が直列に接続されており、各圧縮要素間の関係が、上述の「前段側の圧縮要素」と「後段側の圧縮要素」との関係を有することを意味している。2つの膨張機構は、熱源側熱交換器と利用側熱交換器との間に設けられている。気液分離器は、2つの膨張機構間を流れる冷媒を気液分離する。後段側インジェクション管は、気液分離器から冷媒を後段側の圧縮要素に戻すための冷媒管である。そして、この冷凍装置は、気液分離器における冷媒の圧力である気液分離器圧力が前段側の圧縮要素から吐出されて後段側の圧縮要素に吸入される冷媒の圧力である圧縮機構中間圧力よりも高くなるように、2つの膨張機構のうち冷媒の流れ方向に対して気液分離器の上流側に位置する膨張機構を制御するものである。
この冷凍装置では、気液分離器圧力が圧縮機構中間圧力よりも高くなるように、2つの膨張機構のうち冷媒の流れ方向に対して気液分離器の上流側に位置する膨張機構を制御するようにしているため、気液分離器による中間圧インジェクションを伴う運転時に、気液分離器圧力が低下するのを抑えることができ、これにより、後段側インジェクション管を通じて気液分離器から後段側の圧縮要素に戻される冷媒の流量が極力減少しないようにして、中間圧インジェクションによる運転効率の向上を図れるようにすることができる。
第2の発明にかかる冷凍装置は、第1の発明にかかる冷凍装置において、利用側熱交換器は、複数あり、互いが並列に接続されており、2つの膨張機構の一方は、気液分離器と利用側熱交換器との間において各利用側熱交換器に対応して設けられた利用側膨張弁であり、2つの膨張機構の他方は、気液分離器と熱源側熱交換器との間に設けられた熱源側膨張機構である。そして、この冷凍装置は、圧縮機構、熱源側熱交換器、熱源側膨張機構、気液分離器、利用側膨張弁、利用側熱交換器の順に冷媒を循環させる冷却運転状態と、圧縮機構、利用側熱交換器、利用側膨張弁、気液分離器、熱源側膨張機構、熱源側熱交換器の順に冷媒を循環させる加熱運転状態とを切り換える切換機構をさらに備えている。そして、この冷凍装置は、切換機構を加熱運転状態にしている際において、気液分離器の上流側に位置する膨張機構としての利用側膨張弁の可動できる開度範囲の下限に対応する下限開度を、気液分離器圧力及び圧縮機構中間圧力に基づいて変更することによって、気液分離器圧力が圧縮機構中間圧力よりも高くなるように制御するものである。
この冷凍装置では、互いが並列に接続された複数の利用側熱交換器を有するとともに、各利用側熱交換器に対応するように気液分離器と利用側熱交換器との間に利用側膨張弁が設けられており、これらの利用側膨張弁が、各利用側熱交換器において必要とされる冷凍負荷が得られるように各利用側熱交換器を流れる冷媒の流量を制御している。そして、切換機構を加熱運転状態にしている際には、各利用側熱交換器を通過する冷媒の流量は、各利用側熱交換器の下流側でかつ気液分離器の上流側に設けられた利用側膨張弁の開度によって概ね決定されるが、この際、各利用側膨張弁の開度は、各利用側熱交換器を流れる冷媒の流量だけでなく、複数の利用側熱交換器間の流量分配の状態によって変動することになり、複数の利用側膨張弁間で開度が大きく異なる状態が生じたり、利用側膨張弁が比較的小さい開度になったりする場合がある。このため、この冷凍装置では、切換機構を加熱運転状態にしている際における利用側膨張弁の開度制御によって、気液分離器圧力が過度に低下する場合があり、これにより、気液分離器から後段側の圧縮要素に戻される冷媒の流量が減少して中間圧インジェクションを行えなくなったり、圧縮機構の前段側の圧縮要素から吐出されて後段側の圧縮要素に吸入される中間圧力の冷媒が気液分離器に逆流してしまい、運転効率の向上を図ることができない場合が生じるおそれがある。
そこで、この冷凍装置では、切換機構を加熱運転状態にしている際において、気液分離器の上流側に位置する利用側膨張弁の可動できる開度範囲の下限に対応する下限開度を、気液分離器圧力及び圧縮機構中間圧力に基づいて変更することによって、気液分離器圧力が圧縮機構中間圧力よりも高くなるように制御することで、気液分離器による中間圧インジェクションを伴う運転時に、気液分離器圧力が低下するのを抑えることができ、これにより、後段側インジェクション管を通じて気液分離器から後段側の圧縮要素に戻される冷媒の流量が極力減少しないようにして、中間圧インジェクションによる運転効率の向上を図れるようにすることができる。
尚、この冷凍装置において、冷媒の流れ方向に対して気液分離器の上流側に位置する利用側膨張弁の開度を直接的に制御する手法を採用せずに、利用側膨張弁の可動できる開度範囲の下限に対応する下限開度を変更する手法を採用した理由は、この冷凍装置では、上述のように、利用側膨張弁が、各利用側熱交換器を流れる冷媒の流量だけでなく、複数の利用側熱交換器間の流量分配の状態も制御しており、このような機能を有する利用側膨張弁に対して、利用側膨張弁の開度を直接的に制御する機能を持たせると、複数の利用側熱交換器間の流量分配の状態に変動が生じてしまい、結果的に、各利用側熱交換器を流れる冷媒の流量の制御に悪影響を及ぼすおそれがあるからである。これに対して、利用側膨張弁の可動できる開度範囲の下限に対応する下限開度を変更する手法では、利用側膨張弁の開度を直接的に制御するものではなく、利用側膨張弁の可動できる開度範囲を変更するものであることから、複数の利用側熱交換器間の流量分配の状態を極力維持しながら、気液分離器圧力が圧縮機構中間圧力よりも高くなるように制御することができ、これにより、各利用側熱交換器を流れる冷媒の流量の制御と気液分離器圧力の制御とを両立させることができる。
第3の発明にかかる冷凍装置は、第2の発明にかかる冷凍装置において、第1の後段側インジェクション管としての後段側インジェクション管とは別に熱源側熱交換器と熱源側膨張機構との間を流れる冷媒を分岐して後段側の圧縮要素に戻す第2の後段側インジェクション管と、熱源側熱交換器と熱源側膨張機構との間を流れる冷媒と第2の後段側インジェクション管を流れる冷媒との熱交換を行うエコノマイザ熱交換器とをさらに備えている。そして、この冷凍装置は、切換機構を加熱運転状態にしている際には、第1の後段側インジェクション管を通じて、気液分離器から冷媒を後段側の圧縮要素に戻し、切換機構を冷却運転状態にしている際には、第2の後段側インジェクション管を通じて、エコノマイザ熱交換器において加熱された冷媒を後段側の圧縮要素に戻すものである。
この冷凍装置では、第1の後段側インジェクション管としての後段側インジェクション管とは別に熱源側熱交換器と熱源側膨張機構との間を流れる冷媒を分岐して後段側の圧縮要素に戻す第2の後段側インジェクション管と、熱源側熱交換器と熱源側膨張機構との間を流れる冷媒と第2の後段側インジェクション管を流れる冷媒との熱交換を行うエコノマイザ熱交換器とをさらに備えているため、第1の後段側インジェクション管を通じて気液分離器から冷媒を後段側の圧縮要素に戻す気液分離器による中間圧インジェクションと、第2の後段側インジェクション管を通じてエコノマイザ熱交換器において加熱された冷媒を後段側の圧縮要素に戻すエコノマイザ熱交換器による中間圧インジェクションとを使い分けることができるようになっている。ここで、気液分離器による中間圧インジェクションは、気液分離器圧力と圧縮機構中間圧力との圧力差が小さい条件であっても使用可能であるという特徴を有しており、エコノマイザ熱交換器による中間圧インジェクションは、エコノマイザ熱交換器における熱交換量の大小によって後段側の圧縮要素に戻すことができる冷媒の流量が変動することから、エコノマイザ熱交換器の入口における冷媒の圧力と圧縮機構中間圧力との圧力差が小さい場合にはエコノマイザ熱交換器における熱交換量が小さくなって後段側の圧縮要素に戻すことができる冷媒の流量が小さくなり、エコノマイザ熱交換器の入口における冷媒の圧力と圧縮機構中間圧力との圧力差が大きい場合にはエコノマイザ熱交換器における熱交換量が大きくなって後段側の圧縮要素に戻すことができる冷媒の流量が大きくなるという特徴を有している。
そこで、この冷凍装置では、切換機構を加熱運転状態にしている際には、利用側膨張弁の下流側における冷媒の圧力が低くなるおそれがあることを考慮して、気液分離器による中間圧インジェクションを使用し、切換機構を冷却運転状態にしている際には、熱源側熱交換器の下流側かつ熱源側膨張機構の上流側における冷媒の圧力が高いままで保たれることを考慮して、エコノマイザ熱交換器による中間圧インジェクションを使用するようにしている。これにより、この冷凍装置では、切換機構の状態によらず、後段側の圧縮要素に戻される冷媒の流量が極力確保されるようにして、中間圧インジェクションによる運転効率の向上を図れるようにすることができる。
第4の発明にかかる冷凍装置は、第1〜第3の発明のいずれかにかかる冷凍装置において、気液分離器圧力を、気液分離器における冷媒温度、気液分離器の入口における冷媒温度又は気液分離器の出口における冷媒温度から得る。
この冷凍装置では、気液分離器圧力を、気液分離器における冷媒温度、気液分離器の入口における冷媒温度又は気液分離器の出口における冷媒温度から得るようにしているため、気液分離器による中間圧インジェクションを伴う運転時の気液分離器圧力が低下するのを抑える制御を行うにあたり、この制御に専用の圧力センサを省略することができる。
第5の発明にかかる冷凍装置は、第1〜第4の発明のいずれかにかかる冷凍装置において、前段側の圧縮要素から吐出された冷媒を後段側の圧縮要素に吸入させるための中間冷媒管に設けられ、前段側の圧縮要素から吐出されて後段側の圧縮要素に吸入される冷媒の冷却器として機能する中間冷却器をさらに備えている。
この冷凍装置では、中間冷却器をさらに備えているため、後段側の圧縮要素に吸入される冷媒の温度をさらに低くすることができ、圧縮機構から吐出される冷媒の温度をさらに低く抑えることができる。
以上の説明に述べたように、本発明によれば、以下の効果が得られる。
第1の発明では、後段側インジェクション管を通じて気液分離器から後段側の圧縮要素に戻される冷媒の流量が極力減少しないようにして、中間圧インジェクションによる運転効率の向上を図れるようにすることができる。
第2の発明では、各利用側熱交換器を流れる冷媒の流量の制御と気液分離器圧力の制御とを両立させることができる。
第3の発明では、切換機構の状態によらず、後段側の圧縮要素に戻される冷媒の流量が極力確保されるようにして、中間圧インジェクションによる運転効率の向上を図れるようにすることができる。
第4の発明では、気液分離器圧力の制御に専用の圧力センサを省略することができる。
第5の発明では、後段側の圧縮要素に吸入される冷媒の温度をさらに低くすることができ、圧縮機構から吐出される冷媒の温度をさらに低く抑えることができる。
以下、図面に基づいて、本発明にかかる冷凍装置の実施形態について説明する。
(1)空気調和装置の構成
図1は、本発明にかかる冷凍装置の一実施形態としての空気調和装置1の概略構成図である。空気調和装置1は、冷房運転と暖房運転を切り換え可能に構成された冷媒回路10を有し、超臨界域で作動する冷媒(ここでは、二酸化炭素)を使用して二段圧縮式冷凍サイクルを行う装置である。
空気調和装置1の冷媒回路10は、主として、圧縮機構2と、切換機構3と、熱源側熱交換器4と、ブリッジ回路17と、気液分離器としてのレシーバ18と、第1膨張機構5aと、第2膨張機構5bと、第1後段側インジェクション管18cと、利用側熱交換器6とを有している。
圧縮機構2は、本実施形態において、2つの圧縮要素で冷媒を二段圧縮する圧縮機21から構成されている。圧縮機21は、ケーシング21a内に、圧縮機駆動モータ21bと、駆動軸21cと、圧縮要素2c、2dとが収容された密閉式構造となっている。圧縮機駆動モータ21bは、駆動軸21cに連結されている。そして、この駆動軸21cは、2つの圧縮要素2c、2dに連結されている。すなわち、圧縮機21は、2つの圧縮要素2c、2dが単一の駆動軸21cに連結されており、2つの圧縮要素2c、2dがともに圧縮機駆動モータ21bによって回転駆動される、いわゆる一軸二段圧縮構造となっている。圧縮要素2c、2dは、本実施形態において、ロータリ式やスクロール式等の容積式の圧縮要素である。そして、圧縮機21は、吸入管2aから冷媒を吸入し、この吸入された冷媒を圧縮要素2cによって圧縮した後に中間冷媒管8に吐出し、中間冷媒管8に吐出された冷媒を圧縮要素2dに吸入させて冷媒をさらに圧縮した後に吐出管2bに吐出するように構成されている。ここで、中間冷媒管8は、圧縮要素2cの前段側に接続された圧縮要素2cから吐出された冷媒を、圧縮要素2cの後段側に接続された圧縮要素2dに吸入させるための冷媒管である。また、吐出管2bは、圧縮機構2から吐出された冷媒を切換機構3に送るための冷媒管であり、吐出管2bには、油分離機構41と逆止機構42とが設けられている。油分離機構41は、圧縮機構2から吐出される冷媒に同伴する冷凍機油を冷媒から分離して圧縮機構2の吸入側へ戻す機構であり、主として、圧縮機構2から吐出される冷媒に同伴する冷凍機油を冷媒から分離する油分離器41aと、油分離器41aに接続されており冷媒から分離された冷凍機油を圧縮機構2の吸入管2aに戻す油戻し管41bとを有している。油戻し管41bには、油戻し管41bを流れる冷凍機油を減圧する減圧機構41cが設けられている。減圧機構41cは、本実施形態において、キャピラリチューブが使用されている。逆止機構42は、圧縮機構2の吐出側から切換機構3への冷媒の流れを許容し、かつ、切換機構3から圧縮機構2の吐出側への冷媒の流れを遮断するための機構であり、本実施形態において、逆止弁が使用されている。
このように、圧縮機構2は、本実施形態において、2つの圧縮要素2c、2dを有しており、これらの圧縮要素2c、2dのうちの前段側の圧縮要素から吐出された冷媒を後段側の圧縮要素で順次圧縮するように構成されている。
切換機構3は、冷媒回路10内における冷媒の流れの方向を切り換えるための機構であり、冷房運転時には、熱源側熱交換器4を圧縮機構2によって圧縮される冷媒の冷却器として、かつ、利用側熱交換器6を熱源側熱交換器4において冷却された冷媒の加熱器として機能させるために、圧縮機構2の吐出側と熱源側熱交換器4の一端とを接続するとともに圧縮機21の吸入側と利用側熱交換器6とを接続し(図1の切換機構3の実線を参照、以下、この切換機構3の状態を「冷却運転状態」とする)、暖房運転時には、利用側熱交換器6を圧縮機構2によって圧縮される冷媒の冷却器として、かつ、熱源側熱交換器4を利用側熱交換器6において冷却された冷媒の加熱器として機能させるために、圧縮機構2の吐出側と利用側熱交換器6とを接続するとともに圧縮機構2の吸入側と熱源側熱交換器4の一端とを接続することが可能である(図1の切換機構3の破線を参照、以下、この切換機構3の状態を「加熱運転状態」とする)。本実施形態において、切換機構3は、圧縮機構2の吸入側、圧縮機構2の吐出側、熱源側熱交換器4及び利用側熱交換器6に接続された四路切換弁である。尚、切換機構3は、四路切換弁に限定されるものではなく、例えば、複数の電磁弁を組み合わせる等によって、上述と同様の冷媒の流れの方向を切り換える機能を有するように構成したものであってもよい。
このように、切換機構3は、冷媒回路10を構成する圧縮機構2、熱源側熱交換器4、第1膨張機構5a、レシーバ18、第2膨張機構5b、及び利用側熱交換器6だけに着目すると、圧縮機構2、熱源側熱交換器4、第1膨張機構5a、レシーバ18、第2膨張機構5b、利用側熱交換器6の順に冷媒を循環させる冷却運転状態と、圧縮機構2、利用側熱交換器6、第1膨張機構5a、レシーバ18、第2膨張機構5b、熱源側熱交換器4の順に冷媒を循環させる加熱運転状態とを切り換えることができるように構成されている。
熱源側熱交換器4は、冷媒の冷却器又は加熱器として機能する熱交換器である。熱源側熱交換器4は、その一端が切換機構3に接続されており、その他端がブリッジ回路17を介して第1膨張機構5aに接続されている。熱源側熱交換器4は、空気や水を熱源(すなわち、冷却源又は加熱源)とする熱交換器である。
ブリッジ回路17は、熱源側熱交換器4と利用側熱交換器6との間に設けられており、レシーバ18の入口に接続されるレシーバ入口管18a、及び、レシーバ18の出口に接続されるレシーバ出口管18bに接続されている。ブリッジ回路17は、本実施形態において、4つの逆止弁17a、17b、17c、17dを有している。そして、入口逆止弁17aは、熱源側熱交換器4からレシーバ入口管18aへの冷媒の流通のみを許容する逆止弁である。入口逆止弁17bは、利用側熱交換器6からレシーバ入口管18aへの冷媒の流通のみを許容する逆止弁である。すなわち、入口逆止弁17a、17bは、熱源側熱交換器4及び利用側熱交換器6の一方からレシーバ入口管18aに冷媒を流通させる機能を有している。出口逆止弁17cは、レシーバ出口管18bから利用側熱交換器6への冷媒の流通のみを許容する逆止弁である。出口逆止弁17dは、レシーバ出口管18bから熱源側熱交換器4への冷媒の流通のみを許容する逆止弁である。すなわち、出口逆止弁17c、17dは、レシーバ出口管18bから熱源側熱交換器4及び利用側熱交換器6の他方に冷媒を流通させる機能を有している。
第1膨張機構5aは、レシーバ入口管18aに設けられた冷媒を減圧する機構であり、本実施形態において、電動膨張弁が使用されている。第1膨張機構5aは、その一端がブリッジ回路17を介して熱源側熱交換器4に接続され、その他端がレシーバ18に接続されている。また、本実施形態において、第1膨張機構5aは、冷房運転時には、熱源側熱交換器4において冷却された高圧の冷媒を利用側熱交換器6に送る前に減圧し、暖房運転時には、利用側熱交換器6において冷却された高圧の冷媒を熱源側熱交換器4に送る前に減圧する。
レシーバ18は、第1膨張機構5aで減圧された後の冷媒を一時的に溜めることができる容器であり、その入口がレシーバ入口管18aに接続されており、その出口がレシーバ出口管18bに接続されている。また、レシーバ18には、第1後段側インジェクション管18c及び吸入戻し管18fが接続されている。ここで、第1後段側インジェクション管18cと吸入戻し管18fとは、レシーバ18側の部分が一体となっている。
第1後段側インジェクション管18cは、レシーバ18から冷媒を抜き出して圧縮機構2の後段側の圧縮要素2dに戻す中間圧インジェクションを行うことが可能な冷媒管であり、本実施形態において、レシーバ18の上部と中間冷媒管8(すなわち、圧縮機構2の後段側の圧縮要素2dの吸入側)とを接続するように設けられている。この第1後段側インジェクション管18cには、第1後段側インジェクション開閉弁18dと第1後段側インジェクション逆止機構18eとが設けられている。第1後段側インジェクション開閉弁18dは、開閉動作が可能な弁であり、本実施形態において、電磁弁である。第1後段側インジェクション逆止機構18eは、レシーバ18から後段側の圧縮要素2dへの冷媒の流れを許容し、かつ、後段側の圧縮要素2dからレシーバ18への冷媒の流れを遮断するための機構であり、本実施形態において、逆止弁が使用されている。
吸入戻し管18fは、レシーバ18から冷媒を抜き出して圧縮機構2の前段側の圧縮要素2cに戻すことが可能な冷媒管であり、本実施形態において、レシーバ18の上部と吸入管2a(すなわち、圧縮機構2の前段側の圧縮要素2cの吸入側)とを接続するように設けられている。この吸入戻し管18fには、吸入戻し開閉弁18gが設けられている。吸入戻し開閉弁18gは、開閉動作が可能な弁であり、本実施形態において、電磁弁である。
このように、レシーバ18は、第1後段側インジェクション開閉弁18dや吸入戻し開閉弁18gを開けることによって第1後段側インジェクション管18cや吸入戻し管18fを使用する場合には、熱源側熱交換器4と利用側熱交換器6との間を流れる冷媒を、第1膨張機構5aと第2膨張機構5bとの間において、気液分離する気液分離器として機能し、主として、レシーバ18において気液分離されたガス冷媒をレシーバ18の上部から圧縮機構2の後段側の圧縮要素2dや前段側の圧縮要素2cに戻すことができるようになっている。
第2膨張機構5bは、レシーバ出口管18bに設けられた冷媒を減圧する機構であり、本実施形態において、電動膨張弁が使用されている。第2膨張機構5bは、その一端がレシーバ18に接続され、その他端がブリッジ回路17を介して利用側熱交換器6に接続されている。また、本実施形態において、第2膨張機構5bは、冷房運転時には、第1膨張機構5aによって減圧された冷媒を利用側熱交換器6に送る前に低圧になるまでさらに減圧し、暖房運転時には、第1膨張機構5aによって減圧された冷媒を熱源側熱交換器4に送る前に低圧になるまでさらに減圧する。
利用側熱交換器6は、冷媒の加熱器又は冷却器として機能する熱交換器である。利用側熱交換器6は、その一端がブリッジ回路17を介して第1膨張機構5aに接続されており、その他端が切換機構3に接続されている。利用側熱交換器6は、空気や水を熱源(すなわち、冷却源又は加熱源)とする熱交換器である。
このように、ブリッジ回路17、レシーバ18、レシーバ入口管18a及びレシーバ出口管18bによって、切換機構3を冷却運転状態にしている際には、熱源側熱交換器4において冷却された高圧の冷媒が、ブリッジ回路17の入口逆止弁17a、レシーバ入口管18aの第1膨張機構5a、レシーバ18、レシーバ出口管18bの第2膨張機構5b及びブリッジ回路17の出口逆止弁17cを通じて、利用側熱交換器6に送ることができるようになっている。また、切換機構3を加熱運転状態にしている際には、利用側熱交換器6において冷却された高圧の冷媒が、ブリッジ回路17の入口逆止弁17b、レシーバ入口管18aの第1膨張機構5a、レシーバ18、レシーバ出口管18bの第2膨張機構5b及びブリッジ回路17の出口逆止弁17dを通じて、熱源側熱交換器4に送ることができるようになっている。
さらに、空気調和装置1には、各種のセンサが設けられている。具体的には、中間冷媒管8には、中間冷媒管8を流れる冷媒の圧力である圧縮機構中間圧力を検出する中間圧力センサ54が設けられている。中間冷媒管8には、第1後段側インジェクション管18cが接続された部分よりも後段側の圧縮要素2d側の位置に、後段側の圧縮要素2dの吸入側における冷媒の温度を検出する中間温度センサ56が設けられている。レシーバ入口管18aには、第1膨張機構5aよりもレシーバ18側の位置に、レシーバ18における冷媒の温度を検出する気液分離器温度センサ57が設けられている。尚、この気液分離器温度センサ57は、レシーバ出口管18bの第2膨張機構5bよりもレシーバ18側の位置に設けられていてもよいし、例えば、レシーバ18の底部のように、レシーバ18に直接設けられていてもよい。また、空気調和装置1は、ここでは図示しないが、圧縮機構2、切換機構3、膨張機構5a、5b、第1後段側インジェクション開閉弁18d、吸入戻し開閉弁18g等の空気調和装置1を構成する各部の動作を制御する制御部を有している。
(2)空気調和装置の動作
次に、本実施形態の空気調和装置1の動作について、図1〜図5を用いて説明する。ここで、図2は、冷房運転時の冷凍サイクルが図示された圧力−エンタルピ線図であり、図3は、冷房運転時の冷凍サイクルが図示された温度−エントロピ線図であり、図4は、暖房運転時の冷凍サイクルが図示された圧力−エンタルピ線図であり、図5は、暖房運転時の冷凍サイクルが図示された温度−エントロピ線図である。尚、以下の冷房運転や暖房運転における運転制御、及び、気液分離器圧力の低下を抑える制御は、上述の制御部(図示せず)によって行われる。また、以下の説明において、「高圧」とは、冷凍サイクルにおける高圧(すなわち、図2、図3の点D、D’、Eにおける圧力や図4、5の点D、D’、Fにおける圧力)を意味し、「低圧」とは、冷凍サイクルにおける低圧(すなわち、図2、3の点A、Fにおける圧力や図4、5の点A、Eにおける圧力)を意味し、「中間圧」や「圧縮機構中間圧力」とは、冷凍サイクルにおける中間圧力(すなわち、図2〜5の点B1、Gにおける圧力)を意味している。
<冷房運転>
冷房運転時は、切換機構3が図1の実線で示される冷却運転状態とされる。第1膨張機構5a及び第2膨張機構5bは、開度調節される。さらに、第1後段側インジェクション開閉弁18dは、開状態にされる。
この冷媒回路10の状態において、圧縮機構2を駆動すると、低圧の冷媒(図1〜図3の点A参照)は、吸入管2aから圧縮機構2に吸入され、まず、圧縮要素2cによって中間圧まで圧縮された後に、中間冷媒管8に吐出される(図1〜図3の点B1参照)。この前段側の圧縮要素2cから吐出された中間圧の冷媒は、レシーバ18から第1後段側インジェクション管18cを通じて後段側の圧縮機構2dに戻される冷媒(図1〜図3の点M参照)と合流することでさらに冷却される(図1〜図3の点G参照)。次に、第1後段側インジェクション管18cから戻る冷媒と合流した(すなわち、気液分離器としてのレシーバ18による中間圧インジェクションが行われた)中間圧の冷媒は、圧縮要素2cの後段側に接続された圧縮要素2dに吸入されてさらに圧縮されて、圧縮機構2から吐出管2bに吐出される(図1〜図3の点D参照)。ここで、圧縮機構2から吐出された高圧の冷媒は、圧縮要素2c、2dによる二段圧縮動作によって、臨界圧力(すなわち、図2に示される臨界点CPにおける臨界圧力Pcp)を超える圧力まで圧縮されている。そして、この圧縮機構2から吐出された高圧の冷媒は、切換機構3を経由して、冷媒の冷却器として機能する熱源側熱交換器4に送られて、冷却源としての空気や水と熱交換を行って冷却される(図1〜図3の点E参照)。そして、熱源側熱交換器4において冷却された高圧の冷媒は、ブリッジ回路17の入口逆止弁17aを通じてレシーバ入口管18aに流入し、第1膨張機構5aによって中間圧付近まで減圧されてレシーバ18内に一時的に溜められるとともに気液分離が行われる(図1〜図3の点I、L、M参照)。そして、レシーバ18において気液分離されたガス冷媒は、第1後段側インジェクション管18cによってレシーバ18の上部から抜き出されて、上述のように、前段側の圧縮要素2cから吐出された中間圧の冷媒に合流することになる。そして、レシーバ18内に溜められた液冷媒は、レシーバ出口管18bに送られて、第2膨張機構5bによって減圧されて低圧の気液二相状態の冷媒となり、ブリッジ回路17の出口逆止弁17cを通じて冷媒の加熱器として機能する利用側熱交換器6に送られる(図1〜図3の点F参照)。そして、利用側熱交換器6に送られた低圧の気液二相状態の冷媒は、加熱源としての空気や水と熱交換を行って加熱されて、蒸発することになる(図1〜図3の点A参照)。そして、この利用側熱交換器6において加熱された低圧の冷媒は、切換機構3を経由して、再び、圧縮機構2に吸入される。このようにして、冷房運転が行われる。
このように、空気調和装置1では、第1後段側インジェクション管18cを設けて熱源側熱交換器4から膨張機構5a、5bに送られる冷媒を分岐して後段側の圧縮要素2dに戻すようにしているため、外部への放熱を行うことなく、後段側の圧縮要素2dに吸入される冷媒の温度をさらに低く抑えることができる(図3の点B1、G参照)。これにより、圧縮機構2から吐出される冷媒の温度が低く抑えられ(図3の点D、D’参照)、第1後段側インジェクション管18cを設けていない場合に比べて、図3の点B1、D’、D、Gを結ぶことによって囲まれる面積に相当する分の放熱ロスを小さくできることから、圧縮機構2の消費動力を減らし、運転効率を向上させることができる。
<暖房運転>
暖房運転時は、切換機構3が図1の破線で示される加熱運転状態とされる。第1膨張機構5a及び第2膨張機構5bは、開度調節される。さらに、第1後段側インジェクション開閉弁18dは、開状態にされる。
この冷媒回路10の状態において、圧縮機構2を駆動すると、低圧の冷媒(図1、図4、図5の点A参照)は、吸入管2aから圧縮機構2に吸入され、まず、圧縮要素2cによって中間圧力まで圧縮された後に、中間冷媒管8に吐出される(図1、図4、図5の点B1参照)。この前段側の圧縮要素2cから吐出された中間圧の冷媒は、レシーバ18から第1後段側インジェクション管18cを通じて後段側の圧縮機構2dに戻される冷媒(図1、図4、図5の点M参照)と合流することで冷却される(図1、図4、図5の点G参照)。次に、第1後段側インジェクション管18cから戻る冷媒と合流した(すなわち、気液分離器としてのレシーバ18による中間圧インジェクションが行われた)中間圧の冷媒は、圧縮要素2cの後段側に接続された圧縮要素2dに吸入されてさらに圧縮されて、圧縮機構2から吐出管2bに吐出される(図1、図4、図5の点D参照)。ここで、圧縮機構2から吐出された高圧の冷媒は、冷房運転時と同様、圧縮要素2c、2dによる二段圧縮動作によって、臨界圧力(すなわち、図4に示される臨界点CPにおける臨界圧力Pcp)を超える圧力まで圧縮されている。そして、この圧縮機構2から吐出された高圧の冷媒は、切換機構3を経由して、冷媒の冷却器として機能する利用側熱交換器6に送られて、冷却源としての空気や水と熱交換を行って冷却される(図1、図4、図5の点F参照)。そして、利用側熱交換器6において冷却された高圧の冷媒は、ブリッジ回路17の入口逆止弁17bを通じてレシーバ入口管18aに流入し、第1膨張機構5aによって中間圧付近まで減圧されてレシーバ18内に一時的に溜められるとともに気液分離が行われる(図1〜図3の点I、L、M参照)。そして、レシーバ18において気液分離されたガス冷媒は、第1後段側インジェクション管18cによってレシーバ18の上部から抜き出されて、上述のように、前段側の圧縮要素2cから吐出された中間圧の冷媒に合流することになる。そして、レシーバ18内に溜められた液冷媒は、レシーバ出口管18bに送られて、第2膨張機構5bによって減圧されて低圧の気液二相状態の冷媒となり、ブリッジ回路17の出口逆止弁17dを通じて冷媒の加熱器として機能する熱源側熱交換器4に送られる(図1、図4、図5の点E参照)。そして、熱源側熱交換器4に送られた低圧の気液二相状態の冷媒は、加熱源としての空気や水と熱交換を行って加熱されて、蒸発することになる(図1、図4、図5の点A参照)。そして、この熱源側熱交換器4において加熱された低圧の冷媒は、切換機構3を経由して、再び、圧縮機構2に吸入される。このようにして、暖房運転が行われる。
このように、空気調和装置1では、第1後段側インジェクション管18cを設けて利用側熱交換器6から膨張機構5a、5bに送られる冷媒を分岐して後段側の圧縮要素2dに戻すようにしているため、圧縮機構2から吐出される冷媒の温度が低くなり(図5の点D、D’参照)、これによって、利用側熱交換器6における冷媒の単位流量当たりの加熱能力は小さくなるが(図4の点D、D’、F参照)、後段側の圧縮要素2dから吐出される冷媒の流量は増加するため、利用側熱交換器6における加熱能力が確保されることから、圧縮機構2の消費動力を減らし、運転効率を向上させることができる。
<気液分離器圧力の低下を抑える制御>
上述のような気液分離器としてのレシーバ18による中間圧インジェクションを伴う冷房運転や暖房運転においては、何らかの原因で、気液分離器としてのレシーバ18における冷媒の圧力である気液分離器圧力が低下すると、レシーバ18から後段側の圧縮要素2dに戻される冷媒の流量が減少して中間圧インジェクションを行えなくなったり、圧縮機構2の前段側の圧縮要素2dから吐出されて後段側の圧縮要素2dに吸入される中間圧の冷媒がレシーバ18に逆流してしまい、運転効率の向上を図ることができない場合が生じるおそれがある。
これに対して、本実施形態においては、第1後段側インジェクション管18cに第1後段側インジェクション逆止機構18eが設けられているため、圧縮機構2の前段側の圧縮要素2dから吐出されて後段側の圧縮要素2dに吸入される中間圧の冷媒がレシーバ18に逆流してしまうのを防ぐことができるが、レシーバ18から後段側の圧縮要素2dに戻される冷媒の流量が減少してしまうのを防ぐことは困難である。
そこで、本実施形態では、気液分離器圧力が圧縮機構中間圧力よりも高くなるように、2つの膨張機構5a、5bのうち冷媒の流れ方向に対してレシーバ18の上流側に位置する膨張機構を制御するようにしている。具体的には、気液分離器圧力が圧縮機構中間圧力よりも高くなるように、2つの膨張機構5a、5bのうち冷媒の流れ方向に対してレシーバ18の上流側に位置する第1膨張機構5aを制御すればよい。ここで、気液分離器圧力は、気液分離器温度センサ57により検出される冷媒の温度を飽和圧力に換算することによって得られ、圧縮機構中間圧力は、中間圧力センサ54により検出することによって得られる。そして、気液分離器圧力が圧縮機構中間圧力よりも低くなった場合には、第1膨張機構5aの開度を大きくする方向に変更することで、気液分離器圧力が圧縮機構中間圧力よりも高くなるように制御し、気液分離器圧力が圧縮機構中間圧力よりも高くなった場合には、第1膨張機構5aの開度を維持するようにしている。尚、このような第1膨張機構5aの制御によっても、気液分離器圧力が圧縮機構中間圧力よりも高くならず、第1膨張機構5aが全開状態になる等のように所定開度以上になってしまう場合には、第1後段側インジェクション開閉弁18dを閉状態にしてレシーバ18による中間圧インジェクションを中止するとともに、吸入戻し開閉弁18gを開状態にしてレシーバ18から前段側の圧縮要素2cに冷媒を戻す制御に切り換えるようにしてもよい。
このように、本実施形態の空気調和装置1では、気液分離器圧力が圧縮機構中間圧力よりも高くなるように、2つの膨張機構5a、5bのうち冷媒の流れ方向に対してレシーバ18の上流側に位置する第1膨張機構5aを制御するようにしているため、レシーバ18による中間圧インジェクションを伴う冷房運転や暖房運転時に、気液分離器圧力が低下するのを抑えることができ、これにより、第1後段側インジェクション管18cを通じてレシーバ18から後段側の圧縮要素2dに戻される冷媒の流量が極力減少しないようにして、中間圧インジェクションによる運転効率の向上を図れるようにすることができる。
また、このようなレシーバ18による中間圧インジェクションを伴う冷房運転や暖房運転時の気液分離器圧力が低下するのを抑える制御を行うにあたり、気液分離器圧力を、レシーバ18における冷媒温度、レシーバ18の入口における冷媒温度又はレシーバ18の出口における冷媒温度から得るようにしているため、この制御に専用の圧力センサを省略することができる。
(3)変形例1
上述の実施形態においては、膨張機構5a、5b及びレシーバ18がブリッジ回路17を介して熱源側熱交換器4と利用側熱交換器6との間に接続されており、切換機構3の切り換え状態にかかわらず、熱源側熱交換器4と利用側熱交換器6との間を流れる冷媒を第1膨張機構5a、レシーバ18、第2膨張機構5bの順に流すことができるように構成されているが、図6に示されるように、ブリッジ回路17を省略するとともに、熱源側熱交換器4とレシーバ18との間に第1膨張機構5aを接続し、かつ、レシーバ18と利用側熱交換器6との間に第2膨張機構5bを接続することで、切換機構3を冷却運転状態にしている際には、熱源側熱交換器4と利用側熱交換器6との間を流れる冷媒を第1膨張機構5a、レシーバ18、第2膨張機構5bの順に流し、切換機構3を加熱運転状態にしている際には、熱源側熱交換器4と利用側熱交換器6との間を流れる冷媒を第2膨張機構5b、レシーバ18、第1膨張機構5aの順に流すように構成された冷媒回路110にしてもよい。
そして、本変形例の構成においては、ブリッジ回路17が省略されている点と、切換機構3を加熱運転状態にしている際には、熱源側熱交換器4と利用側熱交換器6との間を流れる冷媒が第2膨張機構5b、レシーバ18、第1膨張機構5aの順に流れる点とが異なる(このため、図4、5における点Iと点Lとが入れ替わることになる)が、上述の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
(4)変形例2
上述の実施形態及びその変形例においては、気液分離器としてのレシーバ18による中間圧インジェクションを伴う冷房運転や暖房運転時に、何らかの原因で、気液分離器としてのレシーバ18に液冷媒が多量に溜まる運転条件になり、気液分離が困難な状況になると、第1後段側インジェクション管18cを通じてレシーバ18から後段側の圧縮要素2dに戻される冷媒に液冷媒が混じってしまうおそれがあり、これにより、中間圧インジェクションが行われた後における後段側の圧縮要素2dに吸入される中間圧の冷媒が湿り状態になってしまい、圧縮機構2の信頼性が損なわれてしまうおそれがある。
そこで、本変形例では、第1後段側インジェクション開閉弁18dの開閉動作によって、後段側の圧縮要素2dに吸入される冷媒の過熱度を制御するようにしている。具体的には、冷媒回路10、110(図1、図6参照)において、レシーバ18による中間圧インジェクションが行われた後の後段側の圧縮要素2dに吸入される冷媒の過熱度が所定値より小さくならないように、第1後段側インジェクション開閉弁18dの開閉動作を行うようにしている。ここで、後段側の圧縮要素2dに吸入される冷媒の過熱度は、中間圧力センサ54により検出される圧縮機構中間圧力を飽和温度に換算し、中間温度センサ56により検出される冷媒の温度から、この圧縮機構中間圧力に対応する冷媒の飽和温度を差し引くことによって得られる。また、この制御における過熱度の所定値は、後段側の圧縮要素2dに吸入される中間圧の冷媒が湿り状態にならないようにするために、例えば、数℃〜十数℃等のように、少なくとも0度よりも大きな値に設定される。そして、第1後段側インジェクション開閉弁18dの開閉動作は、第1後段側インジェクション開閉弁18dを開状態にする時間t1と閉状態にする時間t2との時間比を可変することによって行われる。本実施形態においては、後段側の圧縮要素2dに吸入される冷媒の過熱度が所定値以上である場合には、レシーバ18による中間圧インジェクションを積極的に行うために、時間t1に対する時間t2の時間比を0にすることで、第1後段側インジェクション開閉弁18dを開状態に保ち、後段側の圧縮要素2dに吸入される冷媒の過熱度が所定値よりも小さくなった場合には、レシーバ18からから後段側の圧縮要素2dに戻される冷媒の流量を減らすために、時間t1に対する時間t2の時間比を大きくする方向(すなわち、第1後段側インジェクション開閉弁18dが閉状態になる時間を長くする)に変更するようにしている。そして、後段側の圧縮要素2dに吸入される冷媒の過熱度が所定値以上に回復した後には、レシーバ18からから後段側の圧縮要素2dに戻される冷媒の流量を再び増加させるために、時間t1に対する時間t2の時間比を小さく方向に変更するようにしている。
このように、本変形例では、第1後段側インジェクション開閉弁18dの開閉動作によって、前段側の圧縮要素2cから吐出されて後段側の圧縮要素2dに吸入される冷媒の過熱度を制御しているため、気液分離器としてのレシーバ18に液冷媒が多量に溜まる運転条件になりレシーバ18から後段側の圧縮要素2dに戻される冷媒に液冷媒が混じるような場合であっても、レシーバ18から後段側の圧縮要素2dに戻される冷媒の流量を減らすことによって、後段側の圧縮要素2dに吸入される冷媒が湿り状態になるのを防ぐことができる。これにより、この空気調和装置1では、圧縮機構2の信頼性を向上させることができる。しかも、レシーバ18から後段側の圧縮要素2dに戻される冷媒の状態によらず、後段側の圧縮要素2dに吸入される冷媒の過熱度を適切な値に制御することができるため、中間圧インジェクションによる運転効率の向上を図ることができる。
尚、第1後段側インジェクション開閉弁18dに代えて、開状態と閉状態との中間の開度にすることで冷媒を減圧させながら流量制御を行う弁を使用することも考えられるが、本実施形態のようなレシーバ18による中間圧インジェクションを行う構成においては、レシーバ18における冷媒の圧力である気液分離器圧力(図2、図4の点I、L、M参照)と前段側の圧縮要素2cから吐出されて後段側の圧縮要素2dに吸入される冷媒の圧力である圧縮機構中間圧力(図2、図4の点B1、G参照)との差圧が小さいため、開状態と閉状態との中間の開度にすることで冷媒を減圧させながら流量制御を行う弁を使用しにくい状況にある。しかし、本変形例のような第1後段側インジェクション開閉弁18dの開閉動作を採用する場合には、電磁弁のような開状態及び閉状態のみが可能な弁を使用することが可能であるため、レシーバ18による中間圧インジェクションを行う構成に適しているといえる。
(5)変形例3
上述の実施形態及びその変形例における冷媒回路10、110(図1、6参照)においては、1つの利用側熱交換器6を有する構成となっているが、複数の空調空間の空調負荷に応じた冷房や暖房を行うこと等を目的として、互いに並列に接続された複数の利用側熱交換器6を有する構成にするとともに、各利用側熱交換器6を流れる冷媒の流量を制御して各利用側熱交換器6において必要とされる冷凍負荷を得ることができるようにするために、気液分離器としてのレシーバ18と利用側熱交換器6との間において各利用側熱交換器6に対応するように利用側膨張機構5cを設ける場合がある。
例えば、図7に示されるように、上述の実施形態におけるブリッジ回路17を有する冷媒回路10(図1参照)において、互いに並列に接続された複数(ここでは、2つ)の利用側熱交換器6を設けるとともに、気液分離器としてのレシーバ18(より具体的には、ブリッジ回路17)と利用側熱交換器6との間において各利用側熱交換器6に対応するように利用側膨張機構5cを設け、レシーバ出口管18bに設けられていた第2膨張機構5bを削除し、また、ブリッジ回路17の出口逆止弁17dに代えて、第3膨張機構5dを設け、さらに、第1膨張機構5aをバイパスするように膨張機構バイパス弁5eを設けた冷媒回路210にすることができる。尚、本変形例において、利用側膨張機構5c及び第3膨張機構5dは、電動膨張弁であり、膨張機構バイパス弁5eは、電磁弁である。
次に、本変形例の空気調和装置1の動作について、図2〜5、7を用いて説明する。尚、以下の説明において、「高圧」とは、冷凍サイクルにおける高圧(すなわち、図2、図3の点D、D’、Eにおける圧力や図4、5の点D、D’、Fにおける圧力)を意味し、「低圧」とは、冷凍サイクルにおける低圧(すなわち、図2、3の点A、Fにおける圧力や図4、5の点A、Eにおける圧力)を意味し、「中間圧」や「圧縮機構中間圧力」とは、冷凍サイクルにおける中間圧力(すなわち、図2〜5の点B1、Gにおける圧力)を意味している。
<冷房運転>
冷房運転時は、切換機構3が図7の実線で示される冷却運転状態とされる。熱源側膨張機構としての第1膨張機構5a及び利用側膨張弁としての利用側膨張機構5cは、開度調節される。また、第3膨張機構5d及び膨張機構バイパス弁5eは、全閉状態にされる。さらに、第1後段側インジェクション開閉弁18dは、開状態(変形例2における後段側の圧縮要素2dに吸入される冷媒の過熱度制御を伴うようにしてもよい)にされる。
この冷媒回路210の状態において、圧縮機構2を駆動すると、低圧の冷媒(図2、3、7の点A参照)は、吸入管2aから圧縮機構2に吸入され、まず、圧縮要素2cによって中間圧まで圧縮された後に、中間冷媒管8に吐出される(図2、3、7の点B1参照)。この前段側の圧縮要素2cから吐出された中間圧の冷媒は、レシーバ18から第1後段側インジェクション管18cを通じて後段側の圧縮機構2dに戻される冷媒(図2、3、7の点M参照)と合流することでさらに冷却される(図2、3、7の点G参照)。次に、第1後段側インジェクション管18cから戻る冷媒と合流した(すなわち、気液分離器としてのレシーバ18による中間圧インジェクションが行われた)中間圧の冷媒は、圧縮要素2cの後段側に接続された圧縮要素2dに吸入されてさらに圧縮されて、圧縮機構2から吐出管2bに吐出される(図2、3、7の点D参照)。ここで、圧縮機構2から吐出された高圧の冷媒は、圧縮要素2c、2dによる二段圧縮動作によって、臨界圧力(すなわち、図2に示される臨界点CPにおける臨界圧力Pcp)を超える圧力まで圧縮されている。そして、この圧縮機構2から吐出された高圧の冷媒は、切換機構3を経由して、冷媒の冷却器として機能する熱源側熱交換器4に送られて、冷却源としての空気や水と熱交換を行って冷却される(図2、3、7の点E参照)。そして、熱源側熱交換器4において冷却された高圧の冷媒は、ブリッジ回路17の入口逆止弁17aを通じてレシーバ入口管18aに流入し、第1膨張機構5aによって中間圧付近まで減圧されてレシーバ18内に一時的に溜められるとともに気液分離が行われる(図2、3、7の点I、L、M参照)。そして、レシーバ18において気液分離されたガス冷媒は、第1後段側インジェクション管18cによってレシーバ18の上部から抜き出されて、上述のように、前段側の圧縮要素2cから吐出された中間圧の冷媒に合流することになる。そして、レシーバ18内に溜められた液冷媒は、レシーバ出口管18b及びブリッジ回路17の出口逆止弁17cを通じて利用側膨張機構5cに送られて、利用側膨張機構5cによって減圧されて低圧の気液二相状態の冷媒となる(図2、3、7の点F参照)。そして、利用側熱交換器6に送られた低圧の気液二相状態の冷媒は、加熱源としての空気や水と熱交換を行って加熱されて、蒸発することになる(図2、3、7の点A参照)。そして、この利用側熱交換器6において加熱された低圧の冷媒は、切換機構3を経由して、再び、圧縮機構2に吸入される。このようにして、冷房運転が行われる。
このように、本変形例の構成においては、第2膨張機構5bの代わりに利用側膨張機構5cが、気液分離器としてのレシーバ18の上流側に位置する第1膨張機構5aによって減圧された冷媒を利用側熱交換器6に送る前に低圧になるまでさらに減圧する動作を行う点が、上述の実施形態及びその変形例における冷房運転と異なる。
<暖房運転>
暖房運転時は、切換機構3が図7の破線で示される加熱運転状態とされる。熱源側膨張機構としての第3膨張機構5d及び利用側膨張弁としての利用側膨張機構5cは、開度調節される。また、膨張機構バイパス弁5eは、全開状態にされて、第1膨張機構5aによる減圧が行われないようになっている。さらに、第1後段側インジェクション開閉弁18dは、開状態(変形例2における後段側の圧縮要素2dに吸入される冷媒の過熱度制御を伴うようにしてもよい)にされる。
この冷媒回路210の状態において、圧縮機構2を駆動すると、低圧の冷媒(図4、5、7の点A参照)は、吸入管2aから圧縮機構2に吸入され、まず、圧縮要素2cによって中間圧力まで圧縮された後に、中間冷媒管8に吐出される(図4、5、7の点B1参照)。この前段側の圧縮要素2cから吐出された中間圧の冷媒は、レシーバ18から第1後段側インジェクション管18cを通じて後段側の圧縮機構2dに戻される冷媒(図4、5、7の点M参照)と合流することで冷却される(図4、5、7の点G参照)。次に、第1後段側インジェクション管18cから戻る冷媒と合流した(すなわち、気液分離器としてのレシーバ18による中間圧インジェクションが行われた)中間圧の冷媒は、圧縮要素2cの後段側に接続された圧縮要素2dに吸入されてさらに圧縮されて、圧縮機構2から吐出管2bに吐出される(図4、5、7の点D参照)。ここで、圧縮機構2から吐出された高圧の冷媒は、冷房運転時と同様、圧縮要素2c、2dによる二段圧縮動作によって、臨界圧力(すなわち、図4に示される臨界点CPにおける臨界圧力Pcp)を超える圧力まで圧縮されている。そして、この圧縮機構2から吐出された高圧の冷媒は、切換機構3を経由して、冷媒の冷却器として機能する利用側熱交換器6に送られて、冷却源としての空気や水と熱交換を行って冷却される(図4、5、7の点F参照)。そして、利用側熱交換器6において冷却された高圧の冷媒は、利用側膨張機構5cによって中間圧付近まで減圧されて、ブリッジ回路17の入口逆止弁17bを通じてレシーバ入口管18aに流入し、膨張機構バイパス弁5eを通過してレシーバ18内に一時的に溜められるとともに気液分離が行われる(図4、5、7の点I、L、M参照)。そして、レシーバ18において気液分離されたガス冷媒は、第1後段側インジェクション管18cによってレシーバ18の上部から抜き出されて、上述のように、前段側の圧縮要素2cから吐出された中間圧の冷媒に合流することになる。そして、レシーバ18内に溜められた液冷媒は、レシーバ出口管18bを通じてブリッジ回路17に送られて、第3膨張機構5dによって減圧されて低圧の気液二相状態の冷媒となり、冷媒の加熱器として機能する熱源側熱交換器4に送られる(図4、5、7の点E参照)。そして、熱源側熱交換器4に送られた低圧の気液二相状態の冷媒は、加熱源としての空気や水と熱交換を行って加熱されて、蒸発することになる(図4、5、7の点A参照)。そして、この熱源側熱交換器4において加熱された低圧の冷媒は、切換機構3を経由して、再び、圧縮機構2に吸入される。このようにして、暖房運転が行われる。
このように、本変形例の構成においては、各利用側熱交換器6を流れる冷媒の流量を制御するために利用側膨張機構5cの開度調節がなされる点と、第2膨張機構5bの代わりに第3膨張機構5dが利用側膨張機構5cによって減圧された冷媒を熱源側熱交換器4に送る前に低圧になるまでさらに減圧する動作を行う点とが、上述の実施形態及びその変形例における暖房運転と異なる。
<気液分離器圧力の低下を抑える制御>
上述のような気液分離器としてのレシーバ18による中間圧インジェクションを伴う冷房運転や暖房運転においては、上述の実施形態及びその変形例と同様に、何らかの原因で、気液分離器としてのレシーバ18における冷媒の圧力である気液分離器圧力が低下すると、レシーバ18から後段側の圧縮要素2dに戻される冷媒の流量が減少して中間圧インジェクションを行えなくなり、運転効率の向上を図ることができない場合が生じるおそれがある。
特に、本変形例の構成のように、互いが並列に接続された複数の利用側熱交換器6を有するとともに、各利用側熱交換器6に対応するように気液分離器としてのレシーバ18と利用側熱交換器6との間に利用側膨張弁としての利用側膨張機構5cが設けられており、これらの利用側膨張機構5cが、各利用側熱交換器6において必要とされる冷凍負荷が得られるように各利用側熱交換器6を流れる冷媒の流量を制御している構成においては、切換機構3を加熱運転状態にした暖房運転において、各利用側熱交換器6を通過する冷媒の流量が、各利用側熱交換器6の下流側でかつレシーバ18の上流側に設けられた利用側膨張機構5cの開度によって概ね決定されることになるが、この際、各利用側膨張機構5cの開度は、各利用側熱交換器6を流れる冷媒の流量だけでなく、複数の利用側熱交換器6間の流量分配の状態によって変動することになり、複数の利用側膨張機構5c間で開度が大きく異なる状態が生じたり、利用側膨張機構5cが比較的小さい開度になったりする場合があり、このため、暖房運転時における利用側膨張機構5cの開度制御によって、気液分離器圧力が過度に低下する場合があり得る。また、本変形例における空気調和装置1を、主として圧縮機構2、熱源側熱交換器4及びレシーバ18を含む熱源ユニットと、主として利用側熱交換器6を含む利用ユニットとが連絡配管によって接続されたセパレート型の空気調和装置として構成する場合には、利用ユニット及び熱源ユニットの配置によっては、この連絡配管が非常に長くなることがあり得るため、その圧力損失による気液分離器圧力の低下分も加わり、さらに、気液分離器圧力が低下することになる。
これに対して、冷房運転において、気液分離器圧力が圧縮機構中間圧力よりも低くなった場合には、上述の実施形態及びその変形例と同様に、冷媒の流れ方向に対して気液分離器としてのレシーバ18の上流側に位置する熱源側膨張機構としての第1膨張機構5aの開度を大きくする方向に変更することで、気液分離器圧力が圧縮機構中間圧力よりも高くなるように制御すればよい。
しかし、暖房運転時において、気液分離器圧力が圧縮機構中間圧力よりも低くなった場合には、冷房運転時のように、冷媒の流れ方向に対して気液分離器としてのレシーバ18の上流側に位置する利用側膨張機構5cの開度を直接的に制御する手法を採用することは困難である。なぜなら、本変形例の構成では、上述のように、利用側膨張機構5cが、各利用側熱交換器6を流れる冷媒の流量だけでなく、複数の利用側熱交換器6間の流量分配の状態も制御しており、このような機能を有する利用側膨張機構5cに対して、上述の実施形態及びその変形例と同様に、利用側膨張機構5cの開度を直接的に制御する機能を持たせると、複数の利用側熱交換器6間の流量分配の状態に変動が生じてしまい、結果的に、各利用側熱交換器6を流れる冷媒の流量の制御に悪影響を及ぼすおそれがあるからである。
そこで、本変形例では、切換機構3を加熱運転状態にする暖房運転において、気液分離器としてのレシーバ18の上流側に位置する膨張機構としての利用側膨張機構5cの可動できる開度範囲の下限に対応する下限開度を、気液分離器圧力及び圧縮機構中間圧力に基づいて変更することによって、気液分離器圧力が圧縮機構中間圧力よりも高くなるように制御している。具体的には、気液分離器圧力から圧縮機構中間圧力を差し引いた圧力差が大きい場合には、第1後段側インジェクション管18cを通じて後段側の圧縮要素2dに戻される冷媒の流量が確保され易い運転条件であることから、利用側膨張機構5cの下限開度を小さくすることで、利用側膨張機構5cの可動できる開度範囲をできるだけ大きくし、気液分離器圧力から圧縮機構中間圧力を差し引いた圧力差が小さい場合には、第1後段側インジェクション管18cを通じて後段側の圧縮要素2dに戻される冷媒の流量が確保されにくい運転条件であることから、利用側膨張機構5cの下限開度を大きくすることで、複数の利用側熱交換器6間の流量分配の状態を極力維持しながら利用側膨張機構5cの開度が大きくなる方向にシフトさせるようにしている。ここで、下限開度は、気液分離器圧力から圧縮機構中間圧力を差し引いた圧力差の関数やマップとして設定される。尚、このような利用側膨張機構5cの制御によっても、気液分離器圧力が圧縮機構中間圧力よりも高くならず、利用側膨張機構5cが全開状態になる等のように所定開度以上になってしまう場合には、上述の実施形態及びその変形例と同様に、第1後段側インジェクション開閉弁18dを閉状態にしてレシーバ18による中間圧インジェクションを中止するとともに、吸入戻し開閉弁18gを開状態にしてレシーバ18から前段側の圧縮要素2cに冷媒を戻す制御に切り換えるようにしてもよい。
このように、本変形例の構成では、切換機構3を加熱運転状態にする暖房運転において、気液分離器としてのレシーバ18の上流側に位置する利用側膨張機構5cの可動できる開度範囲の下限に対応する下限開度を、気液分離器圧力及び圧縮機構中間圧力に基づいて変更することによって、気液分離器圧力が圧縮機構中間圧力よりも高くなるように制御することで、レシーバ18による中間圧インジェクションを伴う運転時に、気液分離器圧力が低下するのを抑えることができ、これにより、第1後段側インジェクション管18cを通じてレシーバ18から後段側の圧縮要素2dに戻される冷媒の流量が極力減少しないようにして、中間圧インジェクションによる運転効率の向上を図れるようにすることができる。しかも、本変形例における制御手法は、利用側膨張弁としての利用側膨張機構5cの開度を直接的に制御するものではなく、利用側膨張機構5cの可動できる開度範囲を変更するものであることから、複数の利用側熱交換器6間の流量分配の状態を極力維持しながら、気液分離器圧力が圧縮機構中間圧力よりも高くなるように制御することができ、これにより、各利用側熱交換器6を流れる冷媒の流量の制御と気液分離器圧力の制御とを両立させることができる。
また、図8に示されるように、上述の変形例1におけるブリッジ回路17を有しない冷媒回路110(図6参照)において、互いに並列に接続された複数(ここでは、2つ)の利用側熱交換器6を設けるとともに、気液分離器としてのレシーバ18と利用側熱交換器6との間において各利用側熱交換器6に対応するように利用側膨張機構5cを設け、第2膨張機構5bを削除した冷媒回路310にすることができる。
そして、この構成においては、ブリッジ回路17が省略されていることから、切換機構3を加熱運転状態にしている際には、熱源側熱交換器4と利用側熱交換器6との間を流れる冷媒が利用側膨張機構5c、レシーバ18、第1膨張機構5aの順に流れる点が、冷媒回路210(図7参照)とは異なる(このため、図4、5における点Iと点Lとが入れ替わることになる)が、上述と同様の作用効果を得ることができる。
(6)変形例4
上述の変形例3における冷媒回路210、310(図7、8参照)においては、上述のように、切換機構3を冷却運転状態にする冷房運転及び切換機構3を加熱運転状態にする暖房運転のいずれにおいても、気液分離器としてのレシーバ18による中間圧インジェクションを行うことで、後段側の圧縮要素2dから吐出される冷媒の温度を低下させるとともに、圧縮機構2の消費動力を減らし、運転効率の向上を図るようにしている。そして、気液分離器としてのレシーバ18による中間圧インジェクションは、気液分離器圧力と圧縮機構中間圧力との圧力差が小さい条件であっても使用可能であることから、上述の変形例3の構成における暖房運転のように、気液分離器圧力が過度に低下するおそれの高い場合に有利である。
しかし、上述の変形例3の構成における冷房運転のように、熱源側熱交換器4において冷却された後に気液分離器としてのレシーバ18に流入するまでの間に、熱源側膨張機構としての第1膨張機構5a以外に大幅な減圧操作が行われることがなく、冷凍サイクルにおける高圧から冷凍サイクルの中間圧付近までの圧力差を利用できる条件においては、熱源側熱交換器4と第1膨張機構5aとの間を流れる冷媒を分岐して後段側の圧縮要素2dに戻す第2後段側インジェクション管19と、熱源側熱交換器4と第1膨張機構5aとの間を流れる冷媒と第2後段側インジェクション管19を流れる冷媒との熱交換を行うエコノマイザ熱交換器20とを設けて、このエコノマイザ熱交換器20における熱交換によって加熱された後の第2後段側インジェクション管19を流れる冷媒を後段側の圧縮要素2dに戻す(すなわち、エコノマイザ熱交換器20による中間圧インジェクションを行う)ことが好ましい(例えば、後述の図9、14における第2後段側インジェクション管19及びエコノマイザ熱交換器20を参照)。なぜなら、エコノマイザ熱交換器20による中間圧インジェクションは、エコノマイザ熱交換器20における熱交換量の大小によって後段側の圧縮要素2dに戻すことができる冷媒の流量が変動することから、上述の変形例3の構成における暖房運転のように、エコノマイザ熱交換器20の入口における冷媒の圧力と圧縮機構中間圧力との圧力差が小さい場合には、エコノマイザ熱交換器20における熱交換量が小さくなって後段側の圧縮要素2dに戻すことができる冷媒の流量が小さくなり、その適用が困難であるが、エコノマイザ熱交換器20の入口における冷媒の圧力と圧縮機構中間圧力との圧力差が大きい場合には、エコノマイザ熱交換器20における熱交換量が大きくなって後段側の圧縮要素2dに戻すことができる冷媒の流量が大きくなり、その適用が有効である。特に、本変形例3のように、二酸化炭素のような超臨界域で作動する冷媒を使用する場合には、冷凍サイクルにおける高圧が臨界圧力を超える圧力になることから、冷凍サイクルにおける高圧と中間圧との圧力差がさらに大きくなるため、エコノマイザ熱交換器20による中間圧インジェクションが有利である。しかも、二酸化炭素のような超臨界域で作動する冷媒を使用する場合には、気液分離器圧力が臨界圧力よりも高い圧力まで上昇して、気液分離器としてのレシーバ18内の冷媒をガス冷媒と液冷媒に分離することが困難な状況になるおそれもあるため、この点も考慮すると、上述の変形例3の構成における冷房運転のように、冷凍サイクルにおける高圧から冷凍サイクルの中間圧付近までの圧力差を利用できる条件においては、エコノマイザ熱交換器20による中間圧インジェクションを使用することが好ましい。
そこで、本変形例では、切換機構3を加熱運転状態にする暖房運転においては、利用側膨張機構5cの下流側における冷媒の圧力が低くなるおそれがあることを考慮して、気液分離器としてのレシーバ18による中間圧インジェクションを使用し、切換機構3を冷却運転状態にする冷房運転においては、熱源側熱交換器4の下流側かつ熱源側膨張機構としての第1膨張機構5aの上流側における冷媒の圧力が高いままで保たれることを考慮して、エコノマイザ熱交換器20による中間圧インジェクションを使用するようにしている。
例えば、図9に示されるように、上述の変形例3におけるブリッジ回路17を有する冷媒回路210(図7参照)において、第1後段側インジェクション管18cとは別に熱源側熱交換器4と熱源側膨張機構としての第1膨張機構5aとの間を流れる冷媒を分岐して後段側の圧縮要素2dに戻す第2後段側インジェクション管19と、熱源側熱交換器4と第1膨張機構5aとの間を流れる冷媒と第2後段側インジェクション管19を流れる冷媒との熱交換を行うエコノマイザ熱交換器20が設けられた冷媒回路410にすることができる。
第2後段側インジェクション管19は、熱源側熱交換器4と利用側熱交換器6との間を流れる冷媒を分岐して圧縮機構2の後段側の圧縮要素2dに戻す機能を有している。本変形例において、第2後段側インジェクション管19は、レシーバ入口管18aを流れる冷媒を分岐して後段側の圧縮要素2dの吸入側に戻すように設けられている。より具体的には、第2後段側インジェクション管19は、レシーバ入口管18aの第1膨張機構5aの上流側の位置(すなわち、切換機構3を冷却運転状態にしている際には、熱源側熱交換器4と第1膨張機構5aとの間)から冷媒を分岐して中間冷媒管8の中間冷却器7の下流側の位置に戻すように設けられている。ここで、第1後段側インジェクション管18cと第2後段側インジェクション管19とは、中間冷媒管8側の部分が一体となっている。また、この第2後段側インジェクション管19には、開度制御が可能な第2後段側インジェクション弁19aが設けられている。そして、第2後段側インジェクション弁19aは、本変形例において、電動膨張弁である。
エコノマイザ熱交換器20は、熱源側熱交換器4と利用側熱交換器6との間を流れる冷媒と第2後段側インジェクション管19を流れる冷媒(より具体的には、第2後段側インジェクション弁19aにおいて中間圧付近まで減圧された後の冷媒)との熱交換を行う熱交換器である。本変形例において、エコノマイザ熱交換器20は、レシーバ入口管18aの第1膨張機構5aの上流側の位置(すなわち、切換機構3を冷却運転状態にしている際には、熱源側熱交換器4と第1膨張機構5aとの間)を流れる冷媒と第2後段側インジェクション管19を流れる冷媒との熱交換を行うように設けられており、また、両冷媒が対向するように流れる流路を有している。また、本変形例において、エコノマイザ熱交換器20は、第2後段側インジェクション管19がレシーバ入口管18aから分岐されている位置よりも下流側に設けられている。このため、熱源側熱交換器4と利用側熱交換器6との間を流れる冷媒は、レシーバ入口管18aにおいて、エコノマイザ熱交換器20において熱交換される前に第2後段側インジェクション管19に分岐され、その後に、エコノマイザ熱交換器20において、第2後段側インジェクション管19を流れる冷媒と熱交換を行うことになる。
さらに、本変形例において、エコノマイザ熱交換器20の第2後段側インジェクション管19側の出口には、エコノマイザ熱交換器20の第2後段側インジェクション管19側の出口における冷媒の温度を検出するエコノマイザ出口温度センサ55が設けられている。
このように、本変形例では、第1後段側インジェクション管18cを通じて気液分離器としてのレシーバ18から冷媒を後段側の圧縮要素2dに戻すレシーバ18による中間圧インジェクションと、第2後段側インジェクション管19を通じてエコノマイザ熱交換器20において加熱された冷媒を後段側の圧縮要素2dに戻すエコノマイザ熱交換器20による中間圧インジェクションとを使い分けることができるようになっている。
次に、本変形例の空気調和装置1の動作について、図9〜13を用いて説明する。ここで、図10は、本変形例における冷房運転時の冷凍サイクルが図示された圧力−エンタルピ線図であり、図11は、本変形例における冷房運転時の冷凍サイクルが図示された温度−エントロピ線図であり、図12は、本変形例における暖房運転時の冷凍サイクルが図示された圧力−エンタルピ線図であり、図13は、本変形例における暖房運転時の冷凍サイクルが図示された温度−エントロピ線図である。尚、以下の冷房運転や暖房運転における運転制御、及び、気液分離器圧力の低下を抑える制御は、上述の制御部(図示せず)によって行われる。また、以下の説明において、「高圧」とは、冷凍サイクルにおける高圧(すなわち、図10、11の点D、E、Hにおける圧力や図12、13の点D、F、Hにおける圧力)を意味し、「低圧」とは、冷凍サイクルにおける低圧(すなわち、図10、11の点A、Fにおける圧力や図12、13の点A、Eにおける圧力)を意味し、「中間圧」とは、冷凍サイクルにおける中間圧(すなわち、図10〜13の点B1、Gにおける圧力)を意味している。
<冷房運転>
冷房運転時は、切換機構3が図9の実線で示される冷却運転状態とされる。熱源側膨張機構としての第1膨張機構5a及び利用側膨張弁としての利用側膨張機構5cは、開度調節される。また、第3膨張機構5d及び膨張機構バイパス弁5eは、全閉状態にされる。そして、切換機構3を冷却運転状態にしている際には、気液分離器としてのレシーバ18による中間圧インジェクションを行わずに、第2後段側インジェクション管19を通じて、エコノマイザ熱交換器20において加熱された冷媒を後段側の圧縮要素2dに戻すエコノマイザ熱交換器20による中間圧インジェクションを行うようにしている。より具体的には、第1後段側インジェクション開閉弁18dは閉状態にされて、第2後段側インジェクション弁19aが開度調節される。ここで、第2後段側インジェクション弁19aは、エコノマイザ熱交換器20の第2後段側インジェクション管19側の出口における冷媒の過熱度が目標値になるように開度調節される、いわゆる過熱度制御がなされるようになっている。本変形例において、エコノマイザ熱交換器20の第2後段側インジェクション管19側の出口における冷媒の過熱度は、中間圧力センサ54により検出される中間圧を飽和温度に換算し、エコノマイザ出口温度センサ55により検出される冷媒温度からこの冷媒の飽和温度値を差し引くことによって得られる。尚、本変形例では採用していないが、エコノマイザ熱交換器20の第2後段側インジェクション管19側の入口に温度センサを設けて、この温度センサにより検出される冷媒温度をエコノマイザ出口温度センサ55により検出される冷媒温度から差し引くことによって、エコノマイザ熱交換器20の第2後段側インジェクション管19側の出口における冷媒の過熱度を得るようにしてもよい。
この冷媒回路410の状態において、圧縮機構2を駆動すると、低圧の冷媒(図9〜11の点A参照)は、吸入管2aから圧縮機構2に吸入され、まず、圧縮要素2cによって中間圧力まで圧縮された後に、中間冷媒管8に吐出される(図9〜11の点B1参照)。この前段側の圧縮要素2cから吐出された中間圧の冷媒は、第2後段側インジェクション管19から後段側の圧縮機構2dに戻される冷媒(図9〜図11の点K参照)と合流することでさらに冷却される(図9〜図11の点G参照)。次に、第2後段側インジェクション管19から戻る冷媒と合流した(すなわち、エコノマイザ熱交換器20による中間圧インジェクションが行われた)中間圧の冷媒は、圧縮要素2cの後段側に接続された圧縮要素2dに吸入されてさらに圧縮されて、圧縮機構2から吐出管2bに吐出される(図9〜11の点D参照)。ここで、圧縮機構2から吐出された高圧の冷媒は、圧縮要素2c、2dによる二段圧縮動作によって、臨界圧力(すなわち、図10に示される臨界点CPにおける臨界圧力Pcp)を超える圧力まで圧縮されている。そして、この圧縮機構2から吐出された高圧の冷媒は、切換機構3を経由して、冷媒の冷却器として機能する熱源側熱交換器4に送られて、冷却源としての空気や水と熱交換を行って冷却される(図9〜11の点E参照)。そして、熱源側熱交換器4において冷却された高圧の冷媒は、ブリッジ回路17の入口逆止弁17aを通じてレシーバ入口管18aに流入し、その一部が第2後段側インジェクション管19に分岐される。そして、第2後段側インジェクション管19を流れる冷媒は、第2後段側インジェクション弁19aにおいて中間圧付近まで減圧された後に、エコノマイザ熱交換器20に送られる(図9〜11の点J参照)。また、第2後段側インジェクション管19に分岐された後のレシーバ入口管18aを流れる冷媒は、エコノマイザ熱交換器20に流入し、第2後段側インジェクション管19を流れる冷媒と熱交換を行って冷却される(図9〜11の点H参照)。一方、第2後段側インジェクション管19を流れる冷媒は、レシーバ入口管18aを流れる冷媒と熱交換を行って加熱されて(図9〜11の点K参照)、上述のように、前段側の圧縮要素2cから吐出された中間圧の冷媒に合流することになる。そして、エコノマイザ熱交換器20において冷却された高圧の冷媒は、第1膨張機構5aによって飽和圧力付近まで減圧されてレシーバ18内に一時的に溜められる(図9〜11の点I参照)。そして、レシーバ18内に溜められた冷媒は、レシーバ出口管18bに送られて、レシーバ出口管18b及びブリッジ回路17の出口逆止弁17cを通じて利用側膨張機構5cに送られて、利用側膨張機構5cによって減圧されて低圧の気液二相状態の冷媒となる(図9〜11の点F参照)。そして、利用側熱交換器6に送られた低圧の気液二相状態の冷媒は、加熱源としての空気や水と熱交換を行って加熱されて、蒸発することになる(図9〜11の点A参照)。そして、この利用側熱交換器6において加熱された低圧の冷媒は、切換機構3を経由して、再び、圧縮機構2に吸入される。このようにして、冷房運転が行われる。
このように、切換機構3を冷却運転状態にする冷房運転においては、熱源側熱交換器4の下流側かつ熱源側膨張機構としての第1膨張機構5aの上流側における冷媒の圧力が高いままで保たれており、冷凍サイクルにおける高圧から冷凍サイクルの中間圧付近までの圧力差を利用できる条件であるため、エコノマイザ熱交換器20による中間圧インジェクションを使用することで、後段側の圧縮要素2dに戻される冷媒の流量が極力確保されるようにして、中間圧インジェクションによる運転効率の向上を最大限に図れるようにしている。
また、本変形例では、エコノマイザ熱交換器20として、熱源側熱交換器4と熱源側膨張機構としての第1膨張機構5aとの間を流れる冷媒と第2後段側インジェクション管19を流れる冷媒とが対向するように流れる流路を有する熱交換器を採用しているため、エコノマイザ熱交換器20における熱源側熱交換器4と第1膨張機構5aとの間を流れる冷媒と第2後段側インジェクション管19を流れる冷媒との温度差を小さくすることができ、高い熱交換効率を得ることができる。
<暖房運転>
暖房運転時は、切換機構3が図9の破線で示される加熱運転状態とされる。熱源側膨張機構としての第3膨張機構5d及び利用側膨張弁としての利用側膨張機構5cは、開度調節される。また、膨張機構バイパス弁5eは、全開状態にされて、第1膨張機構5aによる減圧が行われないようになっている。そして、切換機構3を加熱運転状態にしている際には、エコノマイザ熱交換器20による中間圧インジェクションを行わずに、第1後段側インジェクション管18cを通じて、気液分離器としてのレシーバ18から冷媒を後段側の圧縮要素2dに戻すレシーバ18による中間圧インジェクションを行うようにしている。より具体的には、第1後段側インジェクション開閉弁18dが開状態(変形例2における後段側の圧縮要素2dに吸入される冷媒の過熱度制御を伴うようにしてもよい)にされて、第2後段側インジェクション弁19aが全閉状態にされる。
この冷媒回路410の状態において、圧縮機構2を駆動すると、低圧の冷媒(図9、12、13の点A参照)は、吸入管2aから圧縮機構2に吸入され、まず、圧縮要素2cによって中間圧力まで圧縮された後に、中間冷媒管8に吐出される(図9、12、13の点B1参照)。この前段側の圧縮要素2cから吐出された中間圧の冷媒は、レシーバ18から第1後段側インジェクション管18cを通じて後段側の圧縮機構2dに戻される冷媒(図9、12、13の点M参照)と合流することで冷却される(図9、12、13の点G参照)。次に、第1後段側インジェクション管18cから戻る冷媒と合流した(すなわち、気液分離器としてのレシーバ18による中間圧インジェクションが行われた)中間圧の冷媒は、圧縮要素2cの後段側に接続された圧縮要素2dに吸入されてさらに圧縮されて、圧縮機構2から吐出管2bに吐出される(図9、12、13の点D参照)。ここで、圧縮機構2から吐出された高圧の冷媒は、冷房運転時と同様、圧縮要素2c、2dによる二段圧縮動作によって、臨界圧力(すなわち、図12に示される臨界点CPにおける臨界圧力Pcp)を超える圧力まで圧縮されている。そして、この圧縮機構2から吐出された高圧の冷媒は、切換機構3を経由して、冷媒の冷却器として機能する利用側熱交換器6に送られて、冷却源としての空気や水と熱交換を行って冷却される(図9、12、13の点F参照)。そして、利用側熱交換器6において冷却された高圧の冷媒は、利用側膨張機構5cによって中間圧付近まで減圧されて、ブリッジ回路17の入口逆止弁17bを通じてレシーバ入口管18aに流入し、膨張機構バイパス弁5eを通過してレシーバ18内に一時的に溜められるとともに気液分離が行われる(図9、12、13の点I、L、M参照)。そして、レシーバ18において気液分離されたガス冷媒は、第1後段側インジェクション管18cによってレシーバ18の上部から抜き出されて、上述のように、前段側の圧縮要素2cから吐出された中間圧の冷媒に合流することになる。そして、レシーバ18内に溜められた液冷媒は、レシーバ出口管18bを通じてブリッジ回路17に送られて、第3膨張機構5dによって減圧されて低圧の気液二相状態の冷媒となり、冷媒の加熱器として機能する熱源側熱交換器4に送られる(図9、12、13の点E参照)。そして、熱源側熱交換器4に送られた低圧の気液二相状態の冷媒は、加熱源としての空気や水と熱交換を行って加熱されて、蒸発することになる(図9、12、13の点A参照)。そして、この熱源側熱交換器4において加熱された低圧の冷媒は、切換機構3を経由して、再び、圧縮機構2に吸入される。このようにして、変形例3と同様の暖房運転が行われる。
このように、切換機構3を加熱運転状態にする暖房運転においては、利用側膨張弁としての利用側膨張機構5cの下流側における冷媒の圧力が低くなるおそれがあり、気液分離器圧力と圧縮機構中間圧力との圧力差が小さい条件であるため、気液分離器としてのレシーバ18による中間圧インジェクションを使用することで、後段側の圧縮要素2dに戻される冷媒の流量が極力確保されるようにして、中間圧インジェクションによる運転効率の向上を最大限に図れるようにしている。
以上のように、本変形例では、冷凍サイクルにおける高圧から冷凍サイクルの中間圧付近までの圧力差を利用できる条件(ここでは、切換機構3を冷却運転状態にする冷房運転)においては、エコノマイザ熱交換器20による中間圧インジェクションを使用し、気液分離器圧力と圧縮機構中間圧力との圧力差が小さい条件(ここでは、切換機構3を加熱運転状態にする暖房運転)においては、気液分離器としてのレシーバ18による中間圧インジェクションを使用することで、切換機構3の状態によらず、後段側の圧縮要素2dに戻される冷媒の流量が極力確保されるようにして、中間圧インジェクションによる運転効率の向上を図れるようにすることができる。
<気液分離器圧力の低下を抑える制御>
本変形例では、気液分離器としてのレシーバ18による中間圧インジェクションは、暖房運転時のみにおいて行われている。このため、気液分離器圧力の低下を抑える制御については、暖房運転時にのみ、変形例3と同様の制御を行うようにすればよい。尚、気液分離器圧力の低下を抑える制御については、変形例3と同様であるため、ここでは説明を省略する。
また、図14に示されるように、上述の変形例3におけるブリッジ回路17を有しない冷媒回路310(図8参照)において、第1後段側インジェクション管18cとは別に熱源側熱交換器4と熱源側膨張機構としての第1膨張機構5aとの間を流れる冷媒を分岐して後段側の圧縮要素2dに戻す第2後段側インジェクション管19と、熱源側熱交換器4と第1膨張機構5aとの間を流れる冷媒と第2後段側インジェクション管19を流れる冷媒との熱交換を行うエコノマイザ熱交換器20が設けられた冷媒回路510にすることができる。
そして、この構成においては、ブリッジ回路17が省略されていることから、切換機構3を加熱運転状態にしている際には、熱源側熱交換器4と利用側熱交換器6との間を流れる冷媒が利用側膨張機構5c、レシーバ18、第1膨張機構5aの順に流れる点が、冷媒回路410(図9参照)とは異なる(このため、図12、13における点Iと点Lとが入れ替わることになる)が、上述と同様の作用効果を得ることができる。
(7)変形例5
上述の実施形態及びその変形例における冷媒回路10、110、210、310、410、510(図1、7、8、9、14参照)においては、気液分離器としてのレシーバ18による中間圧インジェクションやエコノマイザ熱交換器20による中間圧インジェクションを行うことで、後段側の圧縮要素2dから吐出される冷媒の温度を低下させるとともに、圧縮機構2の消費動力を減らし、運転効率の向上を図るようにしているが、この構成に加えて、前段側の圧縮要素2cから吐出された冷媒を後段側の圧縮要素2dに吸入させるための中間冷媒管8に前段側の圧縮要素2cから吐出されて後段側の圧縮要素2dに吸入される冷媒の冷却器として機能する中間冷却器7をさらに設けるようにしてもよい。
例えば、図15に示されるように、上述の変形例4におけるブリッジ回路17を有する冷媒回路410(図9参照)において、中間冷却器7及び中間冷却器バイパス管9が設けられた冷媒回路610にすることができる。
中間冷却器7は、中間冷媒管8に設けられており、前段側の圧縮要素2cから吐出されて圧縮要素2dに吸入される冷媒の冷却器として機能する熱交換器である。中間冷却器7は、空気や水を熱源(すなわち、冷却源)とする熱交換器である。このように、中間冷却器7は、冷媒回路610を循環する冷媒を用いたものではないという意味で、外部熱源を用いた冷却器ということができる。
また、中間冷媒管8には、中間冷却器7をバイパスするように、中間冷却器バイパス管9が接続されている。この中間冷却器バイパス管9は、中間冷却器7を流れる冷媒の流量を制限する冷媒管である。そして、中間冷却器バイパス管9には、中間冷却器バイパス開閉弁11が設けられている。中間冷却器バイパス開閉弁11は、本変形例において、電磁弁である。この中間冷却器バイパス開閉弁11は、本変形例において、基本的には、切換機構3を冷却運転状態にしている際に閉め、切換機構3を加熱運転状態にしている際に開ける制御がなされる。すなわち、中間冷却器バイパス開閉弁11は、冷房運転を行う際に閉め、暖房運転を行う際に開ける制御がなされる。
また、中間冷媒管8には、中間冷却器バイパス管9との接続部から中間冷却器7側の位置(すなわち、中間冷却器7の入口側の中間冷却器バイパス管9との接続部から中間冷却器7の出口側の接続部までの部分)に、冷却器開閉弁12が設けられている。この冷却器開閉弁12は、中間冷却器7を流れる冷媒の流量を制限する機構である。冷却器開閉弁12は、本変形例において、電磁弁である。この冷却器開閉弁12は、基本的には、切換機構3を冷却運転状態にしている際に開け、切換機構3を加熱運転状態にしている際に閉める制御がなされる。すなわち、冷却器開閉弁12は、冷房運転を行う際に開け、暖房運転を行う際に閉める制御がなされる。尚、冷却器開閉弁12は、本変形例において、中間冷却器7の入口側の位置に設けられている。
また、中間冷媒管8には、前段側の圧縮要素2cの吐出側から後段側の圧縮要素2dの吸入側への冷媒の流れを許容し、かつ、後段側の圧縮要素2dの吐出側から前段側の圧縮要素2cへの冷媒の流れを遮断するための逆止機構15が設けられている。逆止機構15は、本変形例において、逆止弁である。尚、逆止機構15は、本変形例において、中間冷媒管8の中間冷却器7の出口側から中間冷却器バイパス管9との接続部までの部分に設けられている。
次に、本変形例の空気調和装置1の動作について、図15〜図19を用いて説明する。ここで、図16は、本変形例における冷房運転時の冷凍サイクルが図示された圧力−エンタルピ線図であり、図17は、本変形例における冷房運転時の冷凍サイクルが図示された温度−エントロピ線図であり、図18は、本変形例における暖房運転時の冷凍サイクルが図示された圧力−エンタルピ線図であり、図19は、本変形例における暖房運転時の冷凍サイクルが図示された温度−エントロピ線図である。尚、以下の冷房運転や暖房運転における運転制御、及び、気液分離器圧力の低下を抑える制御は、上述の制御部(図示せず)によって行われる。また、以下の説明において、「高圧」とは、冷凍サイクルにおける高圧(すなわち、図16、17の点D、D’、E、Hにおける圧力や図18、19の点D、D’、F、Hにおける圧力)を意味し、「低圧」とは、冷凍サイクルにおける低圧(すなわち、図16、17の点A、Fにおける圧力や図18、19の点A、Eにおける圧力)を意味し、「中間圧」とは、冷凍サイクルにおける中間圧(すなわち、図16〜19の点B1、C1、Gにおける圧力)を意味している。
<冷房運転>
冷房運転時は、切換機構3が図15の実線で示される冷却運転状態とされる。熱源側膨張機構としての第1膨張機構5a及び利用側膨張弁としての利用側膨張機構5cは、開度調節される。また、第3膨張機構5d及び膨張機構バイパス弁5eは、全閉状態にされる。そして、切換機構3を冷却運転状態にしている際には、気液分離器としてのレシーバ18による中間圧インジェクションを行わずに、第2後段側インジェクション管19を通じて、エコノマイザ熱交換器20において加熱された冷媒を後段側の圧縮要素2dに戻すエコノマイザ熱交換器20による中間圧インジェクションを行うようにしている。より具体的には、第1後段側インジェクション開閉弁18dは閉状態にされて、第2後段側インジェクション弁19aが開度調節される。尚、第2後段側インジェクション弁19aの開度調節については、上述の変形例4と同様であるため、ここでは説明を省略する。さらに、冷却器開閉弁12が開けられ、また、中間冷却器バイパス管9の中間冷却器バイパス開閉弁11が閉められることによって、中間冷却器7が冷却器として機能する状態とされる。
この冷媒回路610の状態において、圧縮機構2を駆動すると、低圧の冷媒(図15〜17の点A参照)は、吸入管2aから圧縮機構2に吸入され、まず、圧縮要素2cによって中間圧力まで圧縮された後に、中間冷媒管8に吐出される(図15〜17の点B1参照)。この前段側の圧縮要素2cから吐出された中間圧の冷媒は、中間冷却器7において、冷却源としての空気や水と熱交換を行うことで冷却される(図15〜17の点C1参照)。この中間冷却器7において冷却された冷媒は、第2後段側インジェクション管19から後段側の圧縮機構2dに戻される冷媒(図15〜17の点K参照)と合流することでさらに冷却される(図15〜17の点G参照)。次に、第2後段側インジェクション管19から戻る冷媒と合流した(すなわち、エコノマイザ熱交換器20による中間圧インジェクションが行われた)中間圧の冷媒は、圧縮要素2cの後段側に接続された圧縮要素2dに吸入されてさらに圧縮されて、圧縮機構2から吐出管2bに吐出される(図15〜17の点D参照)。ここで、圧縮機構2から吐出された高圧の冷媒は、圧縮要素2c、2dによる二段圧縮動作によって、臨界圧力(すなわち、図16に示される臨界点CPにおける臨界圧力Pcp)を超える圧力まで圧縮されている。そして、この圧縮機構2から吐出された高圧の冷媒は、切換機構3を経由して、冷媒の冷却器として機能する熱源側熱交換器4に送られて、冷却源としての空気や水と熱交換を行って冷却される(図15〜17の点E参照)。そして、熱源側熱交換器4において冷却された高圧の冷媒は、ブリッジ回路17の入口逆止弁17aを通じてレシーバ入口管18aに流入し、その一部が第2後段側インジェクション管19に分岐される。そして、第2後段側インジェクション管19を流れる冷媒は、第2後段側インジェクション弁19aにおいて中間圧付近まで減圧された後に、エコノマイザ熱交換器20に送られる(図15〜17の点J参照)。また、第2後段側インジェクション管19に分岐された後のレシーバ入口管18aを流れる冷媒は、エコノマイザ熱交換器20に流入し、第2後段側インジェクション管19を流れる冷媒と熱交換を行って冷却される(図15〜17の点H参照)。一方、第2後段側インジェクション管19を流れる冷媒は、レシーバ入口管18aを流れる冷媒と熱交換を行って加熱されて(図15〜17の点K参照)、上述のように、中間冷却器7において冷却された冷媒に合流することになる。そして、エコノマイザ熱交換器20において冷却された高圧の冷媒は、第1膨張機構5aによって飽和圧力付近まで減圧されてレシーバ18内に一時的に溜められる(図15〜17の点I参照)。そして、レシーバ18内に溜められた冷媒は、レシーバ出口管18bに送られて、レシーバ出口管18b及びブリッジ回路17の出口逆止弁17cを通じて利用側膨張機構5cに送られて、利用側膨張機構5cによって減圧されて低圧の気液二相状態の冷媒となる(図15〜17の点F参照)。そして、利用側熱交換器6に送られた低圧の気液二相状態の冷媒は、加熱源としての空気や水と熱交換を行って加熱されて、蒸発することになる(図15〜17の点A参照)。そして、この利用側熱交換器6において加熱された低圧の冷媒は、切換機構3を経由して、再び、圧縮機構2に吸入される。このようにして、冷房運転が行われる。
そして、本変形例の構成においては、上述の実施形態及びその変形例と同様、中間圧インジェクションを使用することで、後段側の圧縮要素2dに戻される冷媒の流量が極力確保されるようにして、中間圧インジェクションによる運転効率の向上を最大限に図れるようにするとともに、切換機構3を冷却運転状態にする冷房運転において、中間冷却器7を冷却器として機能する状態にしていることから、後段側の圧縮要素2dに吸入される冷媒の温度をさらに低くすることができ、圧縮機構2から吐出される冷媒の温度をさらに低く抑えることができるため、中間冷却器7を冷却器として機能させていない場合に比べて、図17の点C1、D’、D、Gを結ぶことによって囲まれる面積に相当する分の放熱ロスをさらに小さくできる。
<暖房運転>
暖房運転時は、切換機構3が図15の破線で示される加熱運転状態とされる。熱源側膨張機構としての第3膨張機構5d及び利用側膨張弁としての利用側膨張機構5cは、開度調節される。また、膨張機構バイパス弁5eは、全開状態にされて、第1膨張機構5aによる減圧が行われないようになっている。そして、切換機構3を加熱運転状態にしている際には、エコノマイザ熱交換器20による中間圧インジェクションを行わずに、第1後段側インジェクション管18cを通じて、気液分離器としてのレシーバ18から冷媒を後段側の圧縮要素2dに戻すレシーバ18による中間圧インジェクションを行うようにしている。より具体的には、第1後段側インジェクション開閉弁18dが開状態(変形例2における後段側の圧縮要素2dに吸入される冷媒の過熱度制御を伴うようにしてもよい)にされて、第2後段側インジェクション弁19aが全閉状態にされる。さらに、冷却器開閉弁12が閉められ、また、中間冷却器バイパス管9の中間冷却器バイパス開閉弁11が開けられることによって、中間冷却器7が冷却器として機能しない状態とされる。
この冷媒回路610の状態において、圧縮機構2を駆動すると、低圧の冷媒(図15、18、19の点A参照)は、吸入管2aから圧縮機構2に吸入され、まず、圧縮要素2cによって中間圧力まで圧縮された後に、中間冷媒管8に吐出される(図15、18、19の点B1参照)。この前段側の圧縮要素2cから吐出された中間圧の冷媒は、冷房運転時とは異なり、中間冷却器7を通過せずに(すなわち、冷却されることなく)、中間冷却器バイパス管9を通過して(図15の点C1参照)、レシーバ18から第1後段側インジェクション管18cを通じて後段側の圧縮機構2dに戻される冷媒(図15、18、19の点M参照)と合流することで冷却される(図15、18、19の点G参照)。次に、第1後段側インジェクション管18cから戻る冷媒と合流した(すなわち、気液分離器としてのレシーバ18による中間圧インジェクションが行われた)中間圧の冷媒は、圧縮要素2cの後段側に接続された圧縮要素2dに吸入されてさらに圧縮されて、圧縮機構2から吐出管2bに吐出される(図15、18、19の点D参照)。ここで、圧縮機構2から吐出された高圧の冷媒は、冷房運転時と同様、圧縮要素2c、2dによる二段圧縮動作によって、臨界圧力(すなわち、図18に示される臨界点CPにおける臨界圧力Pcp)を超える圧力まで圧縮されている。そして、この圧縮機構2から吐出された高圧の冷媒は、切換機構3を経由して、冷媒の冷却器として機能する利用側熱交換器6に送られて、冷却源としての空気や水と熱交換を行って冷却される(図15、18、19の点F参照)。そして、利用側熱交換器6において冷却された高圧の冷媒は、利用側膨張機構5cによって中間圧付近まで減圧されて、ブリッジ回路17の入口逆止弁17bを通じてレシーバ入口管18aに流入し、膨張機構バイパス弁5eを通過してレシーバ18内に一時的に溜められるとともに気液分離が行われる(図9、18、19の点I、L、M参照)。そして、レシーバ18において気液分離されたガス冷媒は、第1後段側インジェクション管18cによってレシーバ18の上部から抜き出されて、上述のように、前段側の圧縮要素2cから吐出された中間圧の冷媒に合流することになる。そして、レシーバ18内に溜められた液冷媒は、レシーバ出口管18bを通じてブリッジ回路17に送られて、第3膨張機構5dによって減圧されて低圧の気液二相状態の冷媒となり、冷媒の加熱器として機能する熱源側熱交換器4に送られる(図15、18、19の点E参照)。そして、熱源側熱交換器4に送られた低圧の気液二相状態の冷媒は、加熱源としての空気や水と熱交換を行って加熱されて、蒸発することになる(図15、18、19の点A参照)。そして、この熱源側熱交換器4において加熱された低圧の冷媒は、切換機構3を経由して、再び、圧縮機構2に吸入される。このようにして、変形例3、4と同様の暖房運転が行われる。
そして、本変形例の構成においては、上述の実施形態及びその変形例と同様、中間圧インジェクションを使用することで、後段側の圧縮要素2dに戻される冷媒の流量が極力確保されるようにして、中間圧インジェクションによる運転効率の向上を最大限に図れるようにするとともに、切換機構3を加熱運転状態にした暖房運転において、中間冷却器7を冷却器として機能させない状態にしていることから、冷房運転と同様に中間冷却器7を冷却器として機能させた場合に比べて、中間冷却器7による外部への放熱ロスを抑えて、利用側熱交換器6における加熱能力の低下を抑えることができる。
<気液分離器圧力の低下を抑える制御>
本変形例では、気液分離器としてのレシーバ18による中間圧インジェクションは、暖房運転時のみにおいて行われている。このため、気液分離器圧力の低下を抑える制御については、暖房運転時にのみ、変形例3、4と同様の制御を行うようにすればよい。尚、気液分離器圧力の低下を抑える制御については、変形例3、4と同様であるため、ここでは説明を省略する。
また、図20に示されるように、上述の変形例4におけるブリッジ回路17を有しない冷媒回路510(図14参照)において、中間冷却器7及び中間冷却器バイパス管9が設けられた冷媒回路710にすることができる。
そして、この構成においては、ブリッジ回路17が省略されていることから、切換機構3を加熱運転状態にしている際には、熱源側熱交換器4と利用側熱交換器6との間を流れる冷媒が利用側膨張機構5c、レシーバ18、第1膨張機構5aの順に流れる点が、冷媒回路610(図15参照)とは異なる(このため、図18、19における点Iと点Lとが入れ替わることになる)が、上述と同様の作用効果を得ることができる。
(8)変形例6
上述の実施形態及びその変形例では、1台の一軸二段圧縮構造の圧縮機21によって、2つの圧縮要素2c、2dのうちの前段側の圧縮要素から吐出された冷媒を後段側の圧縮要素で順次圧縮する二段圧縮式の圧縮機構2が構成されているが、三段圧縮式等のような二段圧縮式よりも多段の圧縮機構を採用してもよいし、また、単一の圧縮要素が組み込まれた圧縮機及び/又は複数の圧縮要素が組み込まれた圧縮機を複数台直列に接続することで多段の圧縮機構を構成してもよい。また、利用側熱交換器6が多数接続される場合等のように、圧縮機構の能力を大きくする必要がある場合には、多段圧縮式の圧縮機構を2系統以上並列に接続した並列多段圧縮式の圧縮機構を採用してもよい。
例えば、図21に示されるように、上述の変形例5におけるブリッジ回路17を有しない冷媒回路610(図15参照)において、二段圧縮式の圧縮機構2に代えて、二段圧縮式の圧縮機構103、104を並列に接続した圧縮機構102を採用した冷媒回路810にしてもよい。
第1圧縮機構103は、本変形例において、2つの圧縮要素103c、103dで冷媒を二段圧縮する圧縮機29から構成されており、圧縮機構102の吸入母管102aから分岐された第1吸入枝管103a、及び、圧縮機構102の吐出母管102bに合流する第1吐出枝管103bに接続されている。第2圧縮機構104は、本変形例において、2つの圧縮要素104c、104dで冷媒を二段圧縮する圧縮機30から構成されており、圧縮機構102の吸入母管102aから分岐された第2吸入枝管104a、及び、圧縮機構102の吐出母管102bに合流する第2吐出枝管104bに接続されている。尚、圧縮機29、30は、上述の実施形態及びその変形例における圧縮機21と同様の構成であるため、圧縮要素103c、103d、104c、104dを除く各部を示す符号をそれぞれ29番台や30番台に置き換えることとし、ここでは、説明を省略する。そして、圧縮機29は、第1吸入枝管103aから冷媒を吸入し、この吸入された冷媒を圧縮要素103cによって圧縮した後に中間冷媒管8を構成する第1入口側中間枝管81に吐出し、第1入口側中間枝管81に吐出された冷媒を中間冷媒管8を構成する中間母管82及び第1出口側中間枝管83を通じて圧縮要素103dに吸入させて冷媒をさらに圧縮した後に第1吐出枝管103bに吐出するように構成されている。圧縮機30は、第1吸入枝管104aから冷媒を吸入し、この吸入された冷媒を圧縮要素104cによって圧縮した後に中間冷媒管8を構成する第2入口側中間枝管84に吐出し、第2入口側中間枝管84に吐出された冷媒を中間冷媒管8を構成する中間母管82及び第2出口側中間枝管85を通じて圧縮要素104dに吸入させて冷媒をさらに圧縮した後に第2吐出枝管104bに吐出するように構成されている。中間冷媒管8は、本変形例において、圧縮要素103d、104dの前段側に接続された圧縮要素103c、104cから吐出された冷媒を、圧縮要素103c、104cの後段側に接続された圧縮要素103d、104dに吸入させるための冷媒管であり、主として、第1圧縮機構103の前段側の圧縮要素103cの吐出側に接続される第1入口側中間枝管81と、第2圧縮機構104の前段側の圧縮要素104cの吐出側に接続される第2入口側中間枝管84と、両入口側中間枝管81、84が合流する中間母管82と、中間母管82から分岐されて第1圧縮機構103の後段側の圧縮要素103dの吸入側に接続される第1出口側中間枝管83と、中間母管82から分岐されて第2圧縮機構104の後段側の圧縮要素104dの吸入側に接続される第2出口側中間枝管85とを有している。また、吐出母管102bは、圧縮機構102から吐出された冷媒を切換機構3に送るための冷媒管であり、吐出母管102bに接続される第1吐出枝管103bには、第1油分離機構141と第1逆止機構142とが設けられており、吐出母管102bに接続される第2吐出枝管104bには、第2油分離機構143と第2逆止機構144とが設けられている。第1油分離機構141は、第1圧縮機構103から吐出される冷媒に同伴する冷凍機油を冷媒から分離して圧縮機構102の吸入側へ戻す機構であり、主として、第1圧縮機構103から吐出される冷媒に同伴する冷凍機油を冷媒から分離する第1油分離器141aと、第1油分離器141aに接続されており冷媒から分離された冷凍機油を圧縮機構102の吸入側に戻す第1油戻し管141bとを有している。第2油分離機構143は、第2圧縮機構104から吐出される冷媒に同伴する冷凍機油を冷媒から分離して圧縮機構102の吸入側へ戻す機構であり、主として、第2圧縮機構104から吐出される冷媒に同伴する冷凍機油を冷媒から分離する第2油分離器143aと、第2油分離器143aに接続されており冷媒から分離された冷凍機油を圧縮機構102の吸入側に戻す第2油戻し管143bとを有している。本変形例において、第1油戻し管141bは、第2吸入枝管104aに接続されており、第2油戻し管143cは、第1吸入枝管103aに接続されている。このため、第1圧縮機構103内に溜まった冷凍機油の量と第2圧縮機構104内に溜まった冷凍機油の量との間に偏りに起因して第1圧縮機構103から吐出される冷媒に同伴する冷凍機油の量と第2圧縮機構104から吐出される冷媒に同伴する冷凍機油の量との間に偏りが生じた場合であっても、圧縮機構103、104のうち冷凍機油の量が少ない方に冷凍機油が多く戻ることになり、第1圧縮機構103内に溜まった冷凍機油の量と第2圧縮機構104内に溜まった冷凍機油の量との間の偏りが解消されるようになっている。また、本変形例において、第1吸入枝管103aは、第2油戻し管143bとの合流部から吸入母管102aとの合流部までの間の部分が、吸入母管102aとの合流部に向かって下り勾配になるように構成されており、第2吸入枝管104aは、第1油戻し管141bとの合流部から吸入母管102aとの合流部までの間の部分が、吸入母管102aとの合流部に向かって下り勾配になるように構成されている。このため、圧縮機構103、104のいずれか一方が停止中であっても、運転中の圧縮機構に対応する油戻し管から停止中の圧縮機構に対応する吸入枝管に戻される冷凍機油は、吸入母管102aに戻ることになり、運転中の圧縮機構の油切れが生じにくくなっている。油戻し管141b、143bには、油戻し管141b、143bを流れる冷凍機油を減圧する減圧機構141c、143cが設けられている。逆止機構142、144は、圧縮機構103、104の吐出側から切換機構3への冷媒の流れを許容し、かつ、切換機構3から圧縮機構103、104の吐出側への冷媒の流れを遮断するための機構である。
このように、圧縮機構102は、本変形例において、2つの圧縮要素103c、103dを有するとともにこれらの圧縮要素103c、103dのうちの前段側の圧縮要素から吐出された冷媒を後段側の圧縮要素で順次圧縮するように構成された第1圧縮機構103と、2つの圧縮要素104c、104dを有するとともにこれらの圧縮要素104c、104dのうちの前段側の圧縮要素から吐出された冷媒を後段側の圧縮要素で順次圧縮するように構成された第2圧縮機構104とを並列に接続した構成となっている。
中間冷却器7は、本変形例において、中間冷媒管8を構成する中間母管82に設けられており、第1圧縮機構103の前段側の圧縮要素103cから吐出された冷媒と第2圧縮機構104の前段側の圧縮要素104cから吐出された冷媒とが合流したものを冷却する熱交換器である。すなわち、中間冷却器7は、2つの圧縮機構103、104に共通の冷却器として機能するものとなっている。このため、多段圧縮式の圧縮機構103、104を複数系統並列に接続した並列多段圧縮式の圧縮機構102に対して中間冷却器7を設ける際の圧縮機構102周りの回路構成の簡素化が図られている。
また、中間冷媒管8を構成する第1入口側中間枝管81には、第1圧縮機構103の前段側の圧縮要素103cの吐出側から中間母管82側への冷媒の流れを許容し、かつ、中間母管82側から前段側の圧縮要素103cの吐出側への冷媒の流れを遮断するための逆止機構81aが設けられており、中間冷媒管8を構成する第2入口側中間枝管84には、第2圧縮機構103の前段側の圧縮要素104cの吐出側から中間母管82側への冷媒の流れを許容し、かつ、中間母管82側から前段側の圧縮要素104cの吐出側への冷媒の流れを遮断するための逆止機構84aが設けられている。本変形例においては、逆止機構81a、84aとして逆止弁が使用されている。このため、圧縮機構103、104のいずれか一方が停止中であっても、運転中の圧縮機構の前段側の圧縮要素から吐出された冷媒が中間冷媒管8を通じて、停止中の圧縮機構の前段側の圧縮要素の吐出側に達するということが生じないため、運転中の圧縮機構の前段側の圧縮要素から吐出された冷媒が、停止中の圧縮機構の前段側の圧縮要素内を通じて圧縮機構102の吸入側に抜けて停止中の圧縮機構の冷凍機油が流出するということが生じなくなり、これにより、停止中の圧縮機構を起動する際の冷凍機油の不足が生じにくくなっている。尚、圧縮機構103、104間に運転の優先順位を設けている場合(例えば、第1圧縮機構103を優先的に運転する圧縮機構とする場合)には、上述の停止中の圧縮機構に該当することがあるのは、第2圧縮機構104に限られることになるため、この場合には、第2圧縮機構104に対応する逆止機構84aだけを設けるようにしてもよい。
また、上述のように、第1圧縮機構103を優先的に運転する圧縮機構とする場合においては、中間冷媒管8が圧縮機構103、104に共通に設けられているため、運転中の第1圧縮機構103に対応する前段側の圧縮要素103cから吐出された冷媒が中間冷媒管8の第2出口側中間枝管85を通じて、停止中の第2圧縮機構104の後段側の圧縮要素104dの吸入側に達し、これにより、運転中の第1圧縮機構103の前段側の圧縮要素103cから吐出された冷媒が、停止中の第2圧縮機構104の後段側の圧縮要素104d内を通じて圧縮機構102の吐出側に抜けて停止中の第2圧縮機構104の冷凍機油が流出して、停止中の第2圧縮機構104を起動する際の冷凍機油の不足が生じるおそれがある。そこで、本変形例では、第2出口側中間枝管85に開閉弁85aを設け、第2圧縮機構104が停止中の場合には、この開閉弁85aによって第2出口側中間枝管85内の冷媒の流れを遮断するようにしている。これにより、運転中の第1圧縮機構103の前段側の圧縮要素103cから吐出された冷媒が中間冷媒管8の第2出口側中間枝管85を通じて、停止中の第2圧縮機構104の後段側の圧縮要素104dの吸入側に達することがなくなるため、運転中の第1圧縮機構103の前段側の圧縮要素103cから吐出された冷媒が、停止中の第2圧縮機構104の後段側の圧縮要素104d内を通じて圧縮機構102の吐出側に抜けて停止中の第2圧縮機構104の冷凍機油が流出するということが生じなくなり、これにより、停止中の第2圧縮機構104を起動する際の冷凍機油の不足がさらに生じにくくなっている。尚、本変形例においては、開閉弁85aとして電磁弁が使用されている。
また、第1圧縮機構103を優先的に運転する圧縮機構とする場合においては、第1圧縮機構103の起動に続いて第2圧縮機構104を起動することになるが、この際、中間冷媒管8が圧縮機構103、104に共通に設けられているため、第2圧縮機構104の前段側の圧縮要素103cの吐出側の圧力及び後段側の圧縮要素103dの吸入側の圧力が、前段側の圧縮要素103cの吸入側の圧力及び後段側の圧縮要素103dの吐出側の圧力よりも高くなった状態から起動することになり、安定的に第2圧縮機構104を起動することが難しい。そこで、本変形例では、第2圧縮機構104の前段側の圧縮要素104cの吐出側と後段側の圧縮要素104dの吸入側とを接続する起動バイパス管86を設けるとともに、この起動バイパス管86に開閉弁86aを設け、第2圧縮機構104が停止中の場合には、この開閉弁86aによって起動バイパス管86内の冷媒の流れを遮断し、かつ、開閉弁85aによって第2出口側中間枝管85内の冷媒の流れを遮断するようにし、第2圧縮機構104を起動する際に、開閉弁86aによって起動バイパス管86内に冷媒を流すことができる状態にすることで、第2圧縮機構104の前段側の圧縮要素104cから吐出される冷媒を第1圧縮機構103の前段側の圧縮要素104cから吐出される冷媒に合流させることなく、起動バイパス管86を通じて後段側の圧縮要素104dに吸入させるようにして、圧縮機構102の運転状態が安定した時点(例えば、圧縮機構102の吸入圧力、吐出圧力及び中間圧力が安定した時点)で、開閉弁85aによって第2出口側中間枝管85内に冷媒を流すことができる状態にし、かつ、開閉弁86aによって起動バイパス管86内の冷媒の流れを遮断して、通常の冷房運転に移行することができるようになっている。尚、本変形例において、起動バイパス管86は、その一端が第2出口側中間枝管85の開閉弁85aと第2圧縮機構104の後段側の圧縮要素104dの吸入側との間に接続され、その他端が第2圧縮機構104の前段側の圧縮要素104cの吐出側と第2入口側中間枝管84の逆止機構84aとの間に接続されており、第2圧縮機構104を起動する際に、第1圧縮機構103の中間圧部分の影響を受けにくい状態にできるようになっている。また、本変形例においては、開閉弁86aとして電磁弁が使用されている。
また、本変形例の空気調和装置1の冷房運転、暖房運転、及び、気液分離器圧力の低下を抑える制御等の動作は、圧縮機構2に代えて設けられた圧縮機構102によって、圧縮機構102周りの回路構成がやや複雑化したことによる変更点を除いては、上述の実施形態及びその変形例における動作(図1〜図20及びその関連記載)と基本的に同じであるため、ここでは、説明を省略する。
そして、本変形例の構成においても、上述の実施形態及びその変形例と同様の作用効果を得ることができる。
また、図22に示されるように、上述の変形例5におけるブリッジ回路17を有しない冷媒回路610(図20参照)において、二段圧縮式の圧縮機構2に代えて、二段圧縮式の圧縮機構103、104を並列に接続した圧縮機構102を採用した冷媒回路910にしてもよい。
そして、この構成においては、ブリッジ回路17が省略されていることから、切換機構3を加熱運転状態にしている際には、熱源側熱交換器4と利用側熱交換器6との間を流れる冷媒が利用側膨張機構5c、レシーバ18、第1膨張機構5aの順に流れる点が、冷媒回路810(図21参照)とは異なるが、上述と同様の作用効果を得ることができる。
(9)他の実施形態
以上、本発明の実施形態及びその変形例について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態及びその変形例に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、上述の実施形態及びその変形例において、利用側熱交換器6を流れる冷媒と熱交換を行う加熱源又は冷却源としての水やブラインを使用するとともに、利用側熱交換器6において熱交換された水やブラインと室内空気とを熱交換させる二次熱交換器を設けた、いわゆる、チラー型の空気調和装置に本発明を適用してもよい。
また、上述のチラータイプの空気調和装置の他の型式の冷凍装置であっても、超臨界域で作動する冷媒を冷媒として使用して多段圧縮式冷凍サイクルを行うものであれば、本発明を適用可能である。
また、超臨界域で作動する冷媒としては、二酸化炭素に限定されず、エチレン、エタンや酸化窒素等を使用してもよい。
本発明を利用すれば、気液分離器による中間圧インジェクションが可能な多段圧縮式冷凍サイクルを行う冷凍装置において、気液分離器から後段側の圧縮要素に戻される冷媒の流量が極力減少しないようにして、中間圧インジェクションによる運転効率の向上を図れるようになる。
本発明にかかる冷凍装置の一実施形態としての空気調和装置の概略構成図である。 冷房運転時の冷凍サイクルが図示された圧力−エンタルピ線図である。 冷房運転時の冷凍サイクルが図示された温度−エントロピ線図である。 暖房運転時の冷凍サイクルが図示された圧力−エンタルピ線図である。 暖房運転時の冷凍サイクルが図示された温度−エントロピ線図である。 変形例1にかかる空気調和装置の概略構成図である。 変形例3にかかる空気調和装置の概略構成図である。 変形例3にかかる空気調和装置の概略構成図である。 変形例4にかかる空気調和装置の概略構成図である。 変形例4にかかる空気調和装置における冷房運転時の冷凍サイクルが図示された圧力−エンタルピ線図である。 変形例4にかかる空気調和装置における冷房運転時の冷凍サイクルが図示された温度−エントロピ線図である。 変形例4にかかる空気調和装置における暖房運転時の冷凍サイクルが図示された圧力−エンタルピ線図である。 変形例4にかかる空気調和装置における暖房運転時の冷凍サイクルが図示された温度−エントロピ線図である。 変形例4にかかる空気調和装置の概略構成図である。 変形例5にかかる空気調和装置の概略構成図である。 変形例5にかかる空気調和装置における冷房運転時の冷凍サイクルが図示された圧力−エンタルピ線図である。 変形例5にかかる空気調和装置における冷房運転時の冷凍サイクルが図示された温度−エントロピ線図である。 変形例5にかかる空気調和装置における暖房運転時の冷凍サイクルが図示された圧力−エンタルピ線図である。 変形例5にかかる空気調和装置における暖房運転時の冷凍サイクルが図示された温度−エントロピ線図である。 変形例5にかかる空気調和装置の概略構成図である。 変形例6にかかる空気調和装置の概略構成図である。 変形例6にかかる空気調和装置の概略構成図である。
符号の説明
1 空気調和装置(冷凍装置)
2、102 圧縮機構
4 熱源側熱交換器
5a 第1膨張機構(熱源側膨張機構)
5b 第2膨張機構
5c 利用側膨張機構(利用側膨張弁)
5d 第3膨張機構(熱源側膨張機構)
6 利用側熱交換器
7 中間冷却器
8 中間冷媒管
18 レシーバ(気液分離器)
18c 第1後段側インジェクション管
19 第2後段側インジェクション管
20 エコノマイザ熱交換器

Claims (5)

  1. 複数の圧縮要素を有しており、前記複数の圧縮要素のうちの前段側の圧縮要素から吐出された冷媒を後段側の圧縮要素で順次圧縮するように構成された圧縮機構(2、102)と、
    熱源側熱交換器(4)と、
    利用側熱交換器(6)と、
    前記熱源側熱交換器と前記利用側熱交換器との間に設けられ、冷媒を減圧する2つの膨張機構(5a、5b、5c、5d)と、
    前記2つの膨張機構間を流れる冷媒を気液分離する気液分離器(18)と、
    前記気液分離器から冷媒を前記後段側の圧縮要素に戻すための後段側インジェクション管(18e)とを備え、
    前記気液分離器における冷媒の圧力である気液分離器圧力が前記前段側の圧縮要素から吐出されて前記後段側の圧縮要素に吸入される冷媒の圧力である圧縮機構中間圧力よりも高くなるように、前記2つの膨張機構のうち冷媒の流れ方向に対して前記気液分離器の上流側に位置する膨張機構を制御する、
    冷凍装置(1)。
  2. 前記利用側熱交換器(6)は、複数あり、互いが並列に接続されており、
    前記2つの膨張機構(5a、5c、5d)の一方は、前記気液分離器(18)と前記利用側熱交換器との間において前記各利用側熱交換器に対応して設けられた利用側膨張弁(5c)であり、
    前記2つの膨張機構の他方は、前記気液分離器と前記熱源側熱交換器(4)との間に設けられた熱源側膨張機構(5a、5d)であり、
    前記圧縮機構(2、102)、前記熱源側熱交換器(4)、前記熱源側膨張機構(5a)、前記気液分離器(18)、前記利用側膨張弁(5c)、前記利用側熱交換器(6)の順に冷媒を循環させる冷却運転状態と、前記圧縮機構(2、102)、前記利用側熱交換器(6)、前記利用側膨張弁(5c)、前記気液分離器(18)、前記熱源側膨張機構(5d)、前記熱源側熱交換器(4)の順に冷媒を循環させる加熱運転状態とを切り換える切換機構(3)をさらに備え、
    前記切換機構を前記加熱運転状態にしている際において、前記気液分離器の上流側に位置する膨張機構としての前記利用側膨張弁は、可動できる開度範囲の下限に対応する下限開度を気液分離器圧力及び圧縮機構中間圧力に基づいて変更することによって、前記気液分離器圧力が前記圧縮機構中間圧力よりも高くなるように制御する、
    請求項1に記載の冷凍装置(1)。
  3. 第1の後段側インジェクション管としての前記後段側インジェクション管(18c)とは別に、前記熱源側熱交換器(4)と前記熱源側膨張機構(5d)との間を流れる冷媒を分岐して前記後段側の圧縮要素に戻す第2の後段側インジェクション管(19)と、
    前記熱源側熱交換器と前記熱源側膨張機構との間を流れる冷媒と前記第2の後段側インジェクション管を流れる冷媒との熱交換を行うエコノマイザ熱交換器(20)とをさらに備え、
    前記切換機構(3)を前記加熱運転状態にしている際には、前記第1の後段側インジェクション管を通じて、前記気液分離器(18)から冷媒を前記後段側の圧縮要素に戻し、
    前記切換機構を前記冷却運転状態にしている際には、前記第2の後段側インジェクション管を通じて、前記エコノマイザ熱交換器において加熱された冷媒を前記後段側の圧縮要素に戻す、
    請求項2に記載の冷凍装置(1)。
  4. 前記気液分離器圧力を、前記気液分離器(18)における冷媒温度、前記気液分離器の入口における冷媒温度又は前記気液分離器の出口における冷媒温度から得る、請求項1〜3のいずれかに記載の冷凍装置(1)。
  5. 前記前段側の圧縮要素から吐出された冷媒を前記後段側の圧縮要素に吸入させるための中間冷媒管(8)に設けられ、前記前段側の圧縮要素から吐出されて前記後段側の圧縮要素に吸入される冷媒の冷却器として機能する中間冷却器(7)をさらに備えている、請求項1〜4のいずれかに記載の冷凍装置(1)。
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